(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145587
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】薬剤送達装置と薬剤送達装置の空気の流れ及び湿気の制御方法
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20220926BHJP
A61M 11/02 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036765
(22)【出願日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】17/205,280
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン ジュニア.・ジェームス ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マーラ サード・マイケル エー.
(57)【要約】
【課題】薬剤送達装置のための吐出ヘッドの乾燥及び垂れを防止するための薬剤送達装置及び方法。
【解決手段】該装置は、薬剤送達装置本体と、薬剤送達装置本体に取り付けられた流体吹出ノズルと、薬剤送達装置本体内に設けられた液体薬剤を含む流体噴射吐出カートリッジとを含む。流体噴射吐出ヘッドは流体噴射吐出カートリッジに取り付けられ、流体噴射吐出ヘッドは流体吹出ノズルと流体連通している。細長い蛇行した空気流路が流体噴射吐出カートリッジの外面と流体吹出ノズルの内面との間に提供される。細長い蛇行した空気流路は、薬剤送達装置の使用の際に流体噴射吐出ヘッドの表面に隣接した減圧差を提供し、加湿区域を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置であって、
薬剤送達装置本体と、
前記薬剤送達装置本体に取り付けられた流体吹出ノズルと、
前記薬剤送達装置本体内に設けられた液体薬剤を含み、前記流体吹出ノズルと流体連通した流体噴射吐出ヘッドが取り付けられた、流体噴射吐出カートリッジと、
前記流体噴射吐出カートリッジの外面と前記流体吹出ノズルの内面との間の細長い蛇行した空気流路と
を含み、
前記細長い蛇行した空気流路が前記薬剤送達装置の使用の際に前記流体噴射吐出ヘッドの表面に隣接した、減圧差を提供し、加湿区域を提供する、
薬剤送達装置。
【請求項2】
前記細長い蛇行した空気流路が、約30:1~約100:1の長さ対断面積比を有する、
請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記細長い蛇行した空気流路が、前記流体吹出ノズルの内面と前記流体噴射吐出カートリッジの外面との間で前記流体吹出ノズル内に設けられたマルチチャンバ封止材により提供され、前記マルチチャンバ封止材が、エアチャンバと、隣接したエアチャンバ間の空気の流れのための切欠きとを含む、
請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記細長い蛇行した空気流路が、前記マルチチャンバ封止材の前記切欠きと前記エアチャンバとを介し、前記流体噴射吐出カートリッジの外面と前記マルチチャンバ封止材の内面との間に提供された、
請求項3に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記細長い蛇行した空気流路が、前記流体吹出ノズルの前記内面と、前記流体噴射吐出カートリッジに隣接して前記流体吹出ノズル内に設けられた封止材の外面との間に提供された、
請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
前記流体吹出ノズルを閉塞し、使用と使用との間に前記薬剤送達装置内に加湿区域を提供するためのプラグを更に含み、
請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
鼻孔スプレー装置の流体噴射吐出ヘッド上の圧力差を減少させるための方法であって、
薬剤送達装置本体に取り付けられた流体吹出ノズルと、前記薬剤送達装置本体内に設けられた流体噴射吐出カートリッジとを有する薬剤送達装置を提供することであって、前記流体噴射吐出カートリッジが、前記流体吹出ノズルと流体連通した前記流体噴射吐出ヘッドと、前記流体噴射吐出カートリッジ内の薬剤とを含むことと、
前記流体噴射吐出カートリッジの外面と前記流体吹出ノズルの内面との間に封止材を挿入することであって、前記封止材が、前記薬剤送達装置の使用の際に前記流体吹出ノズルの表面に隣接した、減圧差を提供するため、細長い蛇行した空気流路を含むことと、
前記流体吹出ノズルが使用者の鼻道内に挿入されたとき空気を前記薬剤送達装置本体と前記細長い蛇行した空気流路とに流動させつつ前記鼻孔スプレー装置を起動することにより、流体が前記流体噴射吐出ヘッドから垂れることを防止することと
を含む、
方法。
【請求項8】
前記細長い蛇行した空気流路が、約30:1~約100:1の長さ対断面積比を有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記減圧差が、前記流体吹出ノズル内に設けられたマルチチャンバ封止材により提供され、前記マルチチャンバ封止材が、エアチャンバと、隣接したエアチャンバ間の空気の流れのための切欠きとを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記減圧差が、前記流体噴射吐出カートリッジの前記外面と前記マルチチャンバ封止材の前記エアチャンバとの間に提供される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記減圧差が、記流流体吹出ノズルの前記内面と前記封止材の外面との間に提供される、
請求項7に記載の方法。
【請求項12】
鼻孔スプレー装置のための流体噴射吐出ヘッドの表面が使用と使用との間に乾燥することを防止するための方法であって、
薬剤送達装置本体に取り付けられた流体吹出ノズルと、前記薬剤送達装置本体内に設けられた流体噴射吐出カートリッジとを有する薬剤送達装置を提供することであって、前記流体噴射吐出カートリッジが、前記流体吹出ノズルと流体連通した前記流体噴射吐出ヘッドと、前記流体噴射吐出カートリッジ内の薬剤とを含むことと、
前記流体噴射吐出カートリッジの外面と前記流体吹出ノズルの内面との間に封止材を挿入することであって、前記封止材が、前記薬剤送達装置の使用と使用との間に前記薬剤送達装置内に前記流体吹出ノズルの表面に隣接した加湿区域を提供するため、細長い蛇行した空気流路を含むことと、
前記流体吹出ノズルの前記表面の乾燥を防止するため、前記流体吹出ノズルをキャップで塞ぐことと
を含む、方法。
【請求項13】
前記細長い蛇行した空気流路が、約30:1~約100:1の長さ対断面積比を有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加湿区域が、前記流体吹出ノズル内に設けられたマルチチャンバ封止材により提供され、前記マルチチャンバ封止材が、エアチャンバと、隣接したエアチャンバ間の空気の流れのための切欠きとを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記加湿区域が、記流体噴射吐出カートリッジの前記外面と前記マルチチャンバ封止材の前記エアチャンバとの間に提供される、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記加湿区域が、前記流体吹出ノズルの前記内面と前記封止材の外面との間に提供される、
請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入薬剤送達システムに関するものであり、特に、改善された空気の流れ及び湿気の制御を有する吸入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鼻腔スプレー装置は、患者に薬剤を送達するための重要な方法となっている。そのような鼻腔スプレー装置は、点滴又は注射による薬剤の投与よりも便利である。また、鼻腔スプレー装置は、薬剤の経口投与と比較し、薬剤のより高い生物学的利用能も提供する。経口投与される薬剤の吸収と比較し、鼻腔スプレー装置により送達される薬剤は直接血流に進入し、効果がより即時的となることから、鼻腔スプレー装置からの薬剤の吸収は迅速である。
【0003】
図1は、人の鼻腔10の解剖学的構造の、縮尺通りでない、断面図である。脳12の一部が鼻腔10の上に示される。脳12と篩板16との間には、嗅球14が配置されている。嗅粘膜18は篩板16の下にある。鼻腔はまた、上鼻甲介20と、中鼻甲介22と、呼吸器粘膜24と、下鼻甲介26とを含む。物体28は口蓋を表す。薬剤ミストの注入は、鼻孔30と扁平上皮32とを通って鼻腔10に進入する。鼻腔スプレー装置を用いた薬剤の適切な血流への送達を達成するためには、薬剤が高度に血管形成された呼吸器粘膜へ送達されなければならない。高度に血管形成された2つの領域は、嗅部と呼吸部である。呼吸部は、薬剤吸収に利用可能な表面積を増加させる鼻甲介を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鼻腔を介した薬剤送達のための従来の方法には、医用滴びん、スプレーチップ付きのマルチスプレーボトル、スプレーチップ付きの単回投与シリンジ、及び乾燥粉末システムを含む。従って、従来の薬剤送達装置は典型的に鼻腔経路を介して特定の薬剤を送達するよう設計されており、各装置はより多様な薬剤を鼻腔経路を介して送達するようには適応させることができない。鼻腔薬剤送達のための従来の方法の多くは、流体のミストの鼻腔への注入のために、加圧された容器に依存している。従って、薬剤送達装置は典型的に特定の薬剤のために設計されており、異なる薬剤を投与するように適応させることができない。
【0005】
鼻腔経路を介して薬剤を送達するための様々な装置が利用可能であるにもかかわらず、様々な薬剤を送達するよう適応させる鼻腔薬剤送達装置の必要性が残っている。そのような装置の1つがオンデマンド流体噴射送達装置である。従来の流体噴射送達装置は、雰囲気の気圧下で流体を基板へ吐出するよう動作する。しかし、鼻腔アプリケータのノズルが用いられるとき、ノズルは使用者の鼻孔の1つに挿入され、これは鼻孔を雰囲気から遮断する。使用者が呼吸するとき、装置のノズルに低圧領域が生成される。流体カートリッジに取り付けられた流体噴射送達吐出ヘッドを鼻腔アプリケータが用いる場合、この低圧が圧力差を与え、流体カートリッジ内の流体が吐出ヘッドから垂れ、その表面に水たまりを生じさせる。このような流体の水たまりは、吐出ヘッドから噴射される流体、及び使用者への医薬品の正確な量の送達の妨げとなる。
【0006】
使用者の鼻孔へ薬剤を投与するための流体吐出器装置の使用に関連するもう1つの問題は、流体が使用と使用との間に吐出ヘッド上で乾燥し、吐出ヘッド上の流体ノズルを介した流体吐出に干渉して、流体のミスディレクションや流体吐出器の誤射を引き起こすことである。従って、使用者の鼻孔へ流体を吐出するため、流体噴射送達装置を有する流体カートリッジからの流体の垂れを防止するよう設計された、改善された鼻腔アプリケータが必要とされる。この装置は、装置の使用と使用との間に流体が吐出ヘッド上で乾燥することも防止しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を鑑み、本発明の実施形態は、薬剤送達装置の吐出ヘッドの乾燥と垂れを防止するための薬剤送達装置及び方法を提供する。該装置は、薬剤送達装置本体と、薬剤送達装置本体に取り付けられた流体吹出ノズルと、薬剤送達装置本体に設けられた流体薬剤を含む流体噴射吐出カートリッジとを含む。流体噴射吐出ヘッドは流体噴射吐出カートリッジに取り付けられ、流体噴射吐出ヘッドは流体吹出ノズルと流体連通している。細長い蛇行した空気流路が流体噴射吐出カートリッジの外面と流体吹出ノズルの内面とに提供される。細長い蛇行した空気流路は、薬剤送達装置の使用の際に、流体噴射吐出ヘッドの表面に隣接した減圧差(reduced pressure differential)を提供し、そして加湿区域を提供する。
【0008】
1つの実施形態において、鼻孔スプレー装置の流体噴射吐出ヘッド上の圧力差を低減するための方法を提供する。該方法は、流体吹出ノズルが取り付けられた薬剤送達装置と、薬剤送達装置本体に設けられた流体噴射吐出カートリッジとを提供することを含み、流体噴射吐出カートリッジは、流体吹出ノズルと流体連通した流体噴射吐出ヘッドと、流体噴射吐出カートリッジ内の薬剤とを含む。流体噴射吐出カートリッジの外面と流体吹出ノズルの内面との間には封止材が挿入される。封止材は、薬剤送達装置の使用の際に流体噴射吐出ヘッドの表面に隣接した減圧差を提供するため、細長い蛇行した空気流路を含む。流体吹出ノズルが使用者の鼻道に挿入されたとき、薬剤送達装置本体と細長い蛇行した空気流路とを介して空気を流動させつつ鼻孔スプレー装置が起動され、これにより流体が流体噴射吐出ヘッドから垂れることを防止する。
【0009】
もう1つの実施形態において、鼻孔スプレー装置の流体噴射吐出ヘッドの表面が装置使用と装置使用との間に乾燥することを防止するための方法を提供する。該方法は、流体吹出ノズルが取り付けられた薬剤送達装置と、薬剤送達装置本体に設けられた流体噴射吐出カートリッジとを提供することを含み、流体噴射吐出カートリッジは、流体吹出ノズルと流体連通した流体噴射吐出ヘッドと、流体噴射吐出カートリッジ内の薬剤とを含む。流体噴射吐出カートリッジの外面と流体吹出ノズルの内面との間には封止材が挿入される。封止材は、薬剤送達装置の使用と使用との間に流体噴射吐出ヘッドの表面に隣接した薬剤送達装置内の加湿区域を提供するため、細長い蛇行した空気流路を含む。流体吹出ノズルは、流体噴射吐出ヘッドの表面が乾燥することを防止するため、キャップで塞がれる。
【0010】
もう1つの実施形態において、細長い蛇行した空気流路は、約30:1~約100:1の長さ対断面積比を有する。
【0011】
もう1つの実施形態において、細長い蛇行した空気流路は、流体吹出ノズルの内面と流体噴射吐出カートリッジの外面との間で流体吹出ノズルに設けられたマルチチャンバ封止材により提供され、マルチチャンバ封止材は、エアチャンバと、隣接するエアチャンバ間の空気の流れのための切欠きとを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、細長い蛇行した空気流路は、流体噴射吐出カートリッジの外面とマルチチャンバ封止材のエアチャンバとの間に提供される。
【0013】
他の実施形態において、細長い蛇行した空気流路は、流体吹出ノズルの内面と、流体噴射吐出カートリッジに隣接した流体吹出ノズルに設けられた封止材の外面との間に提供される。
【0014】
いくつかの実施形態において、流体吹出ノズルを閉塞し、装置使用と装置使用との間に薬剤送達装置に加湿区域を生成するため、プラグが提供される。
【0015】
開示される実施形態の利点は、薬剤装置の使用の間の噴射吐出ヘッド上の減圧差と、吐出ヘッドが乾燥することを防止するためキャップされたときの装置内の加湿区域との両方を、単一の封止材が提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、人の鼻腔及び頭蓋骨の一部の、縮尺通りでない、断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の1つの実施形態による薬剤送達装置の縮尺通りでない、斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態による封止材を含む
図2の薬剤送達装置の、縮尺通りでない、部分斜視断面図である。
【
図4】
図4は、
図3の装置の流体吹出ノズル内の封止材の、縮尺通りでない、部分断面図である。
【
図5】
図5は、流体噴射吐出カートリッジが取り外された
図3の装置の、縮尺通りでない、図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施形態による封止材の、縮尺通りでない、部分図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施形態による封止材を含む
図2の薬剤送達装置の、縮尺通りでない、部分斜視断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施形態による封止材の、縮尺通りでない、部分図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3の実施形態による封止材を含む
図2の薬剤送達装置の、縮尺通りでない、部分斜視断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3の実施形態による封止材の、縮尺通りでない、斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第4の実施形態による封止材を含む
図2の薬剤送達装置の、縮尺通りでない、部分斜視断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第4の実施形態による封止材の、縮尺通りでない、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
薬剤送達装置100を
図2に図示する。該薬剤送達装置100は、流体吹出ノズル104が取り付けられた薬剤送達装置本体102を含む。電源ボタン106が薬剤送達装置を起動するために提供され、起動はLED108に示される。薬剤送達装置100の使用の間、分注ボタン110が押下され、流体の送達がLED112により示される。使用されないとき、使用者へ薬剤を送達するために用いられる流体噴射吐出ヘッド上で流体が乾燥することを防止するため、プラグ114が薬剤送達装置100に挿入されてよい。薬剤送達装置本体102はまた、電源と、流体噴射吐出ヘッドからの流体の吐出を制御するためのコントローラとを含む。
【0018】
図3を参照し、薬剤送達装置100の一部の断面斜視図を表す。薬剤送達装置100は、カートリッジホルダ120内の、薬剤118を含む流体噴射吐出カートリッジ116を保持するための、薬剤送達装置本体102を含む。濾過塔構造124を通って流体噴射吐出ヘッド126へ流れる流体を濾過するため、流体フィルタ122が流体噴射吐出カートリッジ116内に設けられる。いくつかの実施形態において、流体噴射吐出カートリッジ116は、流体噴射吐出ヘッド126上に背圧をもたらすためのブラダ又は発泡体といった背圧制御装置も含んでよい。流体噴射吐出ヘッド126は、サーマル噴射吐出ヘッド、バブル噴射吐出ヘッド、圧電噴射吐出ヘッド等を含むがこれらに限定されない従来型の流体噴射吐出ヘッドから選択されてよい。各上記吐出ヘッドは必要に応じて流体の噴霧を生成できる。
【0019】
上述したように、流体吹出ノズル104が使用者の鼻孔30に挿入され、使用者が吸入したとき、低圧領域が流体噴射吐出ヘッド126の露出面に隣接して形成される。この低圧領域は、流体噴射吐出ヘッド126の表面128と流体噴射吐出カートリッジ116内の流体との間の「圧力差(pressure differential)」を形成する。この圧力差は、流体噴射吐出ヘッド126からの流体の望まれない流出又は垂れを引き起こす。従って、流体噴射吐出ヘッド126の表面128に隣接した圧力差を減少させるため、蛇行した空気流路132を含む封止材130が流体噴射吐出カートリッジ116を囲む流体吹出ノズル104に提供される。1つの実施形態において、封止材130は、隣接したエアチャンバ136と流体連通した互い違いの切欠き134を含み、封止材130を通る蛇行した経路が提供される。
【0020】
薬剤送達装置100と共に用いられる封止材は、流体噴射吐出ヘッド126から吐出される流体と親和性のある、ショアA硬度が約60未満の天然又は合成ゴム、熱可塑性又は熱硬化性エラストマーといった多様な硫黄を含まない弾性材から選択されてもよい。そのような材料の例は、天然ゴム、EPDMゴム、エクソンモービル社から商品名SANTOPRENEで入手可能な、ポリプロピレン(PP)マトリックスに封止された完全に硬化したEPDMゴム粒子を主に含む動的加硫アロイである。封止材130は、蛇行した空気流路132を提供するよう成型されて形成されることができ、流体噴射吐出カートリッジ116と流体吹出ノズル104との間の封止を提供することができる。薬剤送達装置100の薬剤送達装置本体102は気密ではなく、このためボタン106と110や、流体噴射吐出カートリッジ116を薬剤送達装置本体102に挿入するために提供された開口といった、様々な位置からの吸入空気流路を提供することを理解されたい。
【0021】
図4に示すように流体吹出ノズル104がプラグ114で塞がれたとき、チャンバ136が湿った空気を保持するための領域を提供し、これにより流体噴射吐出ヘッド126の表面128上の流体は薬剤送達装置100の使用と使用との間に乾燥する可能性が低い。このため、チャンバ136は、塞がれたとき、薬剤送達装置100の流体吹出ノズル104内に加湿区域を提供する。
【0022】
図5と
図6は、封止材130と、封止材130を通る空気流路132の更なる詳細を提供する。
図3~
図6の実施形態において、封止材130は、
図6に表すように封止材をチャンバ136A~Cに分離する複数のセパレータ140を含む。各セパレータ140は切欠き142を含み、セパレータ140に隣接した切欠き142は流体噴射吐出カートリッジ116に対向する側にあり、これにより流体噴射吐出カートリッジ116の周囲の蛇行した空気流路132を提供する。
図3~
図6に表された実施形態において、封止材130は3つのチャンバ136A~Cを提供する少なくとも3つのセパレータ140を含む。
【0023】
図7~
図8、と
図11~
図12に表された実施形態において、封止材は、エアチャンバと切欠きを含まず、流路の空気流断面積よりも大きい長さを有するよう選択された蛇行した空気流路を含む。いくつかの実施形態において、蛇行した空気流路は、約35:1~約60:1といった、約30:1~約100:1の長さ対面積比を有する。
【0024】
薬剤送達装置100の封止材150の代替構成を
図7と
図8に表す。本実施形態によると、封止材150は、上述したセパレータ140とチャンバ136ではなく、流体噴射吐出カートリッジ116に隣接した1以上の蛇行した空気流路152を含む。少なくとも2つの蛇行した空気流路152が封止材150に提供され、2つの蛇行した空気流路152は流体噴射吐出カートリッジ116に対向する側にある。薬剤送達装置100が塞がれたときに十分な加湿区域を提供するため、封止材150はその内周周囲に3つ又は4つの蛇行した空気流路152を含んでよい。
【0025】
他の実施形態において、細長い蛇行した空気流路は流体噴射吐出カートリッジ116に隣接した内側面ではなく、封止材の外面に配置されてよい。
図9~
図12は、代替実施形態である封止材160と封止材170を表す。
図9と
図10において、封止材160は互い違いの切欠き164を有するセパレータリング162を含み、セパレータリング162の間のチャンバ166A~166Dを提供する。従って、封止材160の外面166と流体吹出ノズル104の内面168との間に、流体吹出ノズル104内の空気の流れのための蛇行した経路を提供するため、切欠き164は封止材160の両側にあってよい。
【0026】
図11と
図12において、封止材170の両側に蛇行した経路172を封止材170は含む。前の実施形態のように、蛇行した経路172は流体吹出ノズル104の内側面168と封止材170の外側面174との間に設けられる。2つの蛇行した経路172を
図12に表しているが、封止材170はその周囲に4つまでの蛇行した経路172を含んでよい。上述した全ての実施形態で、薬剤送達装置100を塞ぐためにプラグ114が用いられるとき、流体噴射吐出ヘッド126が使用と使用との間に乾燥することを防止するため、蛇行した経路及びチャンバが流体吹出ノズル104と流体噴射吐出カートリッジ116との間の加湿区域を提供する。
【0027】
図7~
図8、と
図11~
図12に表された実施形態において、封止材150と封止材170は、エアチャンバと切欠きとを含まず、空気流路の空気流断面積よりも相当に大きい長さを有するよう選択された蛇行した空気流路152と172をそれぞれ含む。いくつかの実施形態において、蛇行した空気流路は、約35:1~約60:1といった、約30:1~約100:1の長さ対面積比を有する。
【0028】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる単数形「a」、「an」、「the」は、明示的かつ明確に1つの指示物に限定されない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。本明細書で用いられる「include」という用語およびその文法上の変形は、リスト内の項目の列挙が、リストされた項目を置換または追加できる他の同様の項目を除外しないよう、非限定的であることを意図している。
【0029】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のため、特に明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される量、百分率又は比率を表す全ての数値及び他の数値は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。従って、そうでないと示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明により得ることが求められる所望の特性に応じて変わり得る近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも言及された有効数字の数を考慮し、そして通常の丸め手法を適用することにより、解釈されるべきである。
【0030】
特定の実施形態について説明したが、出願人又は他の当業者には、現在予測してない、又は予測できない、代替、修正、変形、改善、及び実質的な均等物が生じうる。従って、提出された添付の特許請求の範囲及び補正された特許請求の範囲は、そのようなすべての代替、修正、変形、改善、及び実質的な均等物を包含することを意図している。
【符号の説明】
【0031】
10:鼻腔
12:脳
14:脳の一部、嗅球
16:篩板
18:嗅粘膜
20:上鼻甲介
22:中鼻甲介
24:呼吸器粘膜
26:下鼻甲介
28:口蓋
30:鼻孔
32:扁平上皮
100:薬剤送達装置
102:薬剤送達装置本体
104:流体吹出ノズル
106:電源ボタン
108:LED
110:分注ボタン
112:LED
114:プラグ
116:流体噴射吐出カートリッジ
118:薬剤
120:カートリッジホルダ
122:流体フィルタ
124:濾過塔構造
126:流体噴射吐出ヘッド
128:吐出ヘッドの表面
130:封止材
132:空気流路
134:切欠き
136、136A~136C:エアチャンバ
140:セパレータ
142:切欠き
150:封止材
152:空気流路
160:封止材
162:セパレータリング
164:切欠き
166、166A~166C:チャンバ
168:流体吹出ノズルの内面
170:封止材
172:蛇行した経路
174:封止材の外側面