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特開2022-145642摺動ケージ挟持機構を有する血管閉塞物回収デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145642
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】摺動ケージ挟持機構を有する血管閉塞物回収デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022042314
(22)【出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】17/205,179
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・オマリー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ウィーラン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
(57)【要約】
【課題】血塊回収デバイスを提供すること。
【解決手段】開示された技術は、血管から血塊を回収するように構成されており、拘束された送達構成及び血塊係合構成を有する、血塊回収デバイスを含む。デバイスは、血塊回収デバイスが拘束された送達構成から血塊係合構成に移行すると、第1の本体を形成する第1の複数の支柱を有する第1の拡張可能なフレームワークと、第2の本体を形成する第2の複数の支柱を有する第2の拡張可能なフレームワークと、を備える。血塊係合構成では、第1の本体は、第2の本体に関連して第1の位置から第2の位置に移動するように構成され得る。第1の位置から第2の位置に移動すると、血塊回収デバイスは、第1の本体と第2の本体との間で血塊を挟むことができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拘束された送達構成及び血塊係合構成を含み、血管から血塊を除去するように構成されている、血塊回収デバイスであって、前記デバイスは、
第1の本体を形成する第1の複数の支柱を含む第1の拡張可能なフレームワークと、
前記第1の本体を少なくとも部分的に取り囲む第2の本体を形成する第2の複数の支柱を含む第2の拡張可能なフレームワークと、を備え、
前記血塊係合構成において、前記第1の本体は、前記第2の本体に関連して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている、血塊回収デバイス。
【請求項2】
前記第1の本体は第1の内径を有し、前記第2の本体は第2の内径を有し、前記第1の内径及び前記第2の内径は実質的に等しい、請求項1に記載の血塊回収デバイス。
【請求項3】
前記第1の本体が前記第1の位置にあるとき、前記第1の複数の支柱及び前記第2の複数の支柱は、係合解除されて、複数の血塊受容空間が形成される、請求項1に記載の血塊回収デバイス。
【請求項4】
前記第1の本体が前記第2の位置にあるとき、前記第1の複数の支柱及び前記第2の複数の支柱は係合され、前記第1の本体が前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると、前記複数の血塊受容空間の平均断面積が減少する、請求項3に記載の血塊回収デバイス。
【請求項5】
前記第1の複数の支柱は、少なくとも1つの径方向に延在している支柱を含み、前記第2の複数の支柱は、少なくとも1つのアイレットを含み、前記少なくとも1つの径方向に延在している支柱が、前記アイレットを通って径方向に延在し、前記少なくとも1つのアイレット及び前記少なくとも1つの径方向に延在している支柱は、前記第1の本体が前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると、前記少なくとも1つの径方向に延在している支柱が、前記少なくとも1つのアイレットに係合して、前記第2の複数の支柱に関連して、前記第2の位置を越えて前記第1の複数の支柱が移動するのを阻止するように構成されている、請求項1に記載の血塊回収デバイス。
【請求項6】
それぞれのアイレットはテーパ状である、請求項5に記載の血塊回収デバイス。
【請求項7】
前記第1の複数の支柱と前記第2の複数の支柱とを係合するための高分子コーティングを更に含み、前記高分子コーティングは、前記第1の本体が前記第1の位置から前記第2の位置に移動することを可能にすることができないように構成されている、請求項1に記載の血塊回収デバイス。
【請求項8】
前記第1の複数の支柱及び前記第2の複数の支柱に固着された少なくとも1つの高分子膜を更に含み、前記高分子膜は、前記第1の本体と前記第2の本体との間に配設されている、請求項1に記載の血塊回収デバイス。
【請求項9】
前記第1の本体が前記第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つの高分子膜は折りたたまれた構成であり、前記第1の本体が前記第2の位置に近位に移動すると、前記少なくとも1つの高分子膜は、伸張された構成に移行する、請求項8に記載の血塊回収デバイス。
【請求項10】
第3の本体を形成する第3の複数の支柱を含む第3の拡張可能なフレームワークを更に含み、前記第1の本体及び前記第2の本体は、前記血塊係合構成において前記第3の本体を少なくとも部分的に取り囲んでいる、請求項1に記載の血塊回収デバイス。
【請求項11】
前記第3の本体は、前記第1の本体及び前記第2の本体に関連して移動するように構成されている、請求項10に記載の血塊回収デバイス。
【請求項12】
前記血塊回収デバイスの近位端は、カラー部を形成する複数の拡張された支柱を含む、請求項10に記載の血塊回収デバイス。
【請求項13】
前記第3の複数の支柱は、少なくとも1つの切断された支柱を含む、請求項10に記載の血塊回収デバイス。
【請求項14】
前記第3の本体は、複数の血塊受容空間を含み、前記複数の血塊受容空間は、前記血塊に係合するように構成されている、請求項10に記載の血塊回収デバイス。
【請求項15】
拘束された送達構成及び血塊係合構成を含み、血管から血塊を除去するように構成されている、血塊回収デバイスであって、前記デバイスは、
プルワイヤに固着され、内側本体を形成する内側の複数の支柱を含む、内側の拡張可能なフレームワークと、
前記プルワイヤに固着され、前記内側本体を少なくとも部分的に取り囲んでいる外側本体を形成する外側の複数の支柱を含む、外側の拡張可能なフレームワークと、
前記プルワイヤの遠位端に近接して固着されたばねであって、前記ばねは、圧縮された構成及び延伸された構成を有する、ばねと、を備え、
前記血塊係合構成において、前記内側本体は、前記外側本体に関連して第1の位置から第2の位置に移動するように構成され、前記ばねは、前記圧縮された構成から前記延伸された構成に移行する、血塊回収デバイス。
【請求項16】
前記外側の拡張可能なフレームワークは、前記内側本体が前記第1の位置から前記第2の位置に移動した場合、前記内側本体と前記外側本体との間に前記血塊を挟むように構成された複数の血塊受容空間を含む、請求項15に記載の血塊回収デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には血管内医療処置中に血管から遮断物を除去するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血塊回収デバイスは、特に患者が急性虚血性脳卒中(acute ischemic stroke、AIS)、心筋梗塞(myocardial infarction、MI)、及び肺塞栓症(pulmonary embolism、PE)などの病状に罹患している場合に、血管内介入のための機械的な血塊除去において使用されている。急性の閉塞物としては、血塊、誤配置されたデバイス、移動されたデバイス、大きな塞栓などを含むことができる。血栓塞栓症は、血栓の一部又は全てが血管壁から剥離したときに発生する。この血塊(ここでは、塞栓と呼ぶ)は次に、血流の方向に運ばれる。虚血性脳卒中は、脳の血管系内に血塊が詰まった場合に結果として生じ得る。肺塞栓症は、血塊が静脈系で又は心臓の右側で発生し、かつ肺動脈又はその支脈内で詰まった場合に、結果として生じ得る。血塊はまた、解放されずに塞栓の形状に発達して血管を局所的に遮断し得るが、この機序は、冠状動脈の遮断物の形成において一般的である。
【0003】
高レベルの性能を提供することができる血塊回収デバイスの設計と関連する重大な課題が存在する。まず、デバイスを送達することを困難にする、アクセスに関する多くの課題が存在する。アクセスが大動脈弓を誘導することを伴う場合(冠状動脈閉塞又は脳閉塞など)、一部の患者における大動脈弓の形状は、ガイドカテーテルを位置付けることを困難にする。これらの困難な大動脈弓の構成は、II型又はIII型の大動脈弓として分類され、III型大動脈弓が最大の障害を呈する。
【0004】
蛇行の問題は、脳に近づく動脈では、更により深刻である。例えば、デバイスが、180°の屈曲、90°の屈曲、及び360°の屈曲を有する血管部分を数センチメートルの血管にわたって間断なく進まなければならないことは、内頸動脈の遠位端では珍しくない。肺塞栓症の場合、アクセスは静脈系を通り、次いで心臓の右心房及び右心室を通る。右室流出路及び肺動脈は、不可撓性又は高プロファイルのデバイスによって容易に損傷する可能性のある繊細な血管である。これらの理由のため、血塊回収デバイスは、可能な限り低プロファイル及び可撓性のガイドカテーテルと適合性があることが望ましい。
【0005】
第2に、血塊が詰まっている可能性のある領域内の脈管構造は、多くの場合、脆弱であり、繊細である。例えば、神経血管は、身体の他の部分における同様のサイズの血管よりも脆弱である場合があり、軟組織床に存在する場合がある。これらの血管に加えられる過剰な引張力は、穿孔及び出血をもたらす可能性がある。肺の血管は、脳血管系の血管より大きい場合があるが、本質的に、特により遠位の血管では繊細でもある。
【0006】
更に、血塊は、いずれかの範囲の形態及び稠度を有することができる。例えば、血塊は把持することが困難であり得、不適切な把持は、塞栓を引き起こし得る断片化をもたらす場合がある。長い紐状のより軟質の血塊物質はまた、分岐点又は三分岐点で詰まる傾向があり、その結果、複数の血管が相当な長さにわたって同時に閉塞することがある。より成熟して組織化された血塊物質は、より軟質のより新しい血塊より圧縮性が低い可能性があり、血圧の作用下では、血塊物質が内部に詰まっている柔軟な血管を膨張させる場合がある。更に、血塊の特性は、血塊と相互作用するデバイスの作用によって著しく変化する場合がある。特に、血塊の圧縮が血塊の脱水を引き起こす場合があり、その結果、血塊の硬さ及び摩擦係数が劇的に増大する場合がある。
【0007】
最後に、血塊を捕捉するための挟持機構を用いる従来の血塊回収デバイスは、デバイスを使用して血塊を効果的に挟むために、血塊回収デバイスの展開後に送達マイクロカテーテルが前方にあることを必要とする場合がある。しかしながら、これは、手順において追加の工程を追加する場合があり、それによって、手順が煩雑で最適ではなくなる可能性がある。そのような手順の重要な特性により、適時にかつ効果的な方法で血塊を捕捉することが重要であり得る。
【0008】
血塊の除去と血流の回復に高いレベルの成功をもたらすためには、デバイスが上記の課題を克服する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
血塊回収デバイスは、AISに罹患している患者の大脳動脈から、MIに罹患している患者の自然の冠状血管又は移植血管から、かつPEに罹患している患者の肺動脈から、かつ血塊が少なくとも部分的な閉塞を引き起こしている他の末梢動脈及び末梢静脈から、血塊を除去することが所望されている。本明細書に提示される例示的なデバイス及び方法は、そのような手順及び/又は同様の手順のうちの少なくともいくつかに好適であり得る。
【0010】
例示的な血塊回収デバイスは、拘束された送達構成及び血塊係合構成を有することができ、血管から血塊を除去するように構成され得る。デバイスは、第1の本体を形成する第1の複数の支柱を有する第1の拡張可能なフレームワークと、第2の本体を形成する第2の複数の支柱を有する第2の拡張可能なフレームワークと、を備えることができる。血塊係合構成において、第1の本体は、第2の本体に関連して第1の位置から第2の位置に移動するように構成され得る。
【0011】
第1の本体は第1の内径を有することができ、第2の本体は第2の内径を有することができる。第1の内径及び第2の内径は、実質的に等しくてもよい。
【0012】
第1の本体が第1の位置にあるとき、第1の複数の支柱及び第2の複数の支柱は、係合解除され得、複数の血塊受容空間が形成される。
【0013】
第1の本体が第2の位置にあるとき、第1の複数の支柱及び第2の複数の支柱は係合され得、第1の本体が第1の位置から第2の位置に移動すると、複数の血塊受容空間の平均断面積が減少する。
【0014】
第1の複数の支柱は、径方向に延在している支柱を含むことができ、第2の複数の支柱は、目を含むことができ、径方向に延在している支柱が、目を通って径方向に延在している。アイレット及び径方向に延在している支柱は、第1の本体が第1の位置から第2の位置に移動すると、径方向に延在している支柱がアイレットに係合して、第2の複数の支柱に関連して第2の位置を越えて第1の複数の支柱が移動するのを阻止するように構成され得る。それぞれのアイレットはテーパ状であり得る。
【0015】
血塊回収デバイスは、第1の複数の支柱と第2の複数の支柱とを係合するための高分子コーティングを含むことができる。高分子コーティングは、第1の本体が第1の位置から第2の位置に移動することを可能にすることができないように構成され得る。
【0016】
少なくとも1つの高分子膜は、第1の複数の支柱及び第2の複数の支柱に固着され得、高分子膜は、第1の本体と第2の本体との間に配設される。
【0017】
第1の本体が第1の位置にあるとき、少なくとも1つの高分子膜は折りたたまれた構成であり得、第1の本体が第2の位置に近位に移動すると、少なくとも1つの高分子膜は伸張された構成に移行し得る。
【0018】
血塊回収デバイスは、第3の本体を形成する第3の支柱のフレームワークを有する第3の拡張可能なフレームワークを含むことができる。第1の本体及び第2の本体は、血塊係合構成において第3の本体を少なくとも部分的に取り囲むことができる。
【0019】
血塊回収デバイスの近位端は、カラー部を形成する複数の拡張された支柱を含むことができる。
【0020】
第3の支柱のフレームワークは、少なくとも1つの切断された支柱を含むことができる。
【0021】
第3の本体は、複数の血塊受容空間を含むことができる。複数の血塊受容空間は、血塊に係合するように構成することができる。
【0022】
別の例示的な血塊回収デバイスは、拘束された送達構成及び血塊係合構成を有することができ、血管から血塊を除去するように構成することができる。デバイスは、内側の拡張可能なフレームワーク、外側の拡張可能なフレームワーク、及びばねを備えることができる。内側の拡張可能なフレームワークは、プルワイヤに固着されることができ、内側本体を形成する第1の複数の支柱を含むことができる。外側の拡張可能なフレームワークは、プルワイヤに固着されることができ、内側本体を少なくとも部分的に取り囲んでいる外側本体を形成する第2の複数の支柱を含むことができる。ばねは、プルワイヤの遠位端に固着されることができ、圧縮された構成及び延伸された構成を有することができる。血塊係合構成において、内側本体は、外側本体に関連して第1の位置から第2の位置に移動するように構成され得、ばねは、圧縮された構成から延伸された構成に移行する。
【0023】
外側の拡張可能なフレームワークは、内側本体が第1の位置から第2の位置に移動した場合、内側本体と外側本体との間に血塊を挟むように構成されている複数の血塊受容空間を含むことができる。
【0024】
血塊を捕捉する例示的な方法は、血塊に近接して血塊回収デバイスを展開することであって、血塊回収デバイスは、第1の本体を形成する第1の拡張可能なフレームワークと、第1の本体を少なくとも部分的に取り囲んでいる第2の本体を形成する第2の拡張可能なフレームワークと、を含む、ことを含み得る。方法は、第2の本体に関連して第1の本体を移動させて、第1の本体と第2の本体との間で血塊の少なくとも一部を挟むことと、血塊の1つ以上の断片を捕捉することと、を更に含み得る。
【0025】
第2の本体に関連して第1の本体を移動させて、第1の本体と第2の本体との間で血塊の少なくとも一部を挟むことは、プルワイヤに張力を加えることを含むことができ、プルワイヤは、第1の本体と機械的に連絡している。
【0026】
方法は、第1の本体及び第2の本体を同時に引き込むことを更に含むことができる。
【0027】
血塊回収デバイスは、第3の本体を形成する第3の複数の支柱を有する第3の拡張可能なフレームワークを更に含むことができる。第1の本体及び第2の本体は、第3の本体を少なくとも部分的に取り囲むことができる。そのような構成では、方法は、第3の本体を近位方向に引き込んで、第1の本体と第3の本体とを係合することを更に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】本開示による、血塊係合構成における例示的な血塊回収デバイスの側面図である。
図1B】本開示による、図1Aの血塊回収デバイスの異なる視点からの追加の側面図である。
図1C】本開示による、図1A及び図1Bの血塊回収デバイスのシャフトの断面図である。
図1D】本開示による、図1A及び図1Bの血塊回収デバイスの第1の複数の支柱に接合されたプルワイヤの拡大図である。
図1E】本開示による、図1A及び図1Bの血塊回収デバイスの径方向に延在している支柱及びアイレットの拡大図である。
図1F】本開示による、血塊挟持構成に移行したときの図1A及び図1Bの血塊回収デバイスの側面図である。
図1G】本開示による、図1Fに示される血塊挟持構成における血塊回収デバイスの追加の側面図である。
図2A】本開示による、血塊係合構成における追加の例示的な血塊回収デバイスの側面図である。
図2B】本開示による、図2Aの血塊回収デバイスの近位部分の断面図である。
図2C】本開示による、図2Aの血塊除去デバイスの第3の本体の例を示す図である。
図2D】本開示による、図2Aの血塊除去デバイスの第3の本体の例を示す図である。
図2E】本開示による、図2Aの血塊除去デバイスの第3の本体の例を示す図である。
図2F】本開示による、図2Aの血塊回収デバイスの追加の側面図である。
図2G】本開示による、図2Aの血塊除去デバイスの例示的な第3のカラー部を示す図である。
図3A】本開示による、圧縮された構成のばねを有する追加の例示的な血塊回収デバイスを示す図である。
図3B】本開示による、ばねが延伸された構成にある図3Aの血塊回収デバイスを示す図である。
図4図1A図1Gの血塊回収デバイスを使用して血塊を捕捉する方法を概説するフロー図である。
図5図2A図2Gの血塊回収デバイスを使用して血塊を捕捉する方法を概説するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願書において説明される設計及び機能性は、本質的に例示的であることが意図され、本開示をいかなる方法でも制限することを意図しない。当業者であれば、本開示の教示は、本明細書において開示される形態及び当業者に知られている追加的形態を含む、様々好適な形態で実施し得るということを理解するであろう。
【0030】
本開示の具体的な実施形態を図示及び説明したが、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく様々な変更を行うことが可能である点が、上記の説明により明らかとなるであろう。例えば、本明細書に記載された実施形態は特定の特徴に言及するが、本開示は、異なる特徴の組み合わせを有する実施形態を含む。本開示はまた、記載されている特定の特徴全てを含んではいない実施形態をも含む。本開示の具体的な実施形態が、以降に、図面を参照して詳細に説明されており、同一の参照番号は、同一の又は機能的に類似した要素を示す。
【0031】
「遠位」又は「近位」という用語は、以下の記載において、処置している医師に対する位置又は方向に関して使用される。「遠位」又は「遠位に」とは、医師から離れた位置又は医師から離れる方向である。「近位」又は「近位に」又は「近接」とは、医師に近い位置又は医師に向かう方向である。
【0032】
以下の説明では、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、開示された技術の例は、これらの具体的な詳細がなくても実施することができることを理解されたい。他の例では、この説明の理解を曖昧にしないために、周知の方法、構造、及び技法は詳細に示されていない。「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「特定の実施形態」、「様々な実施形態」、「一実施例」、「実施例」、「いくつかの実施例」、「特定の実施例」、「様々な実施例」などへの言及は、かかる開示された技術の(複数の)実施形態及び/又は(複数の)実施例が、特定の特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含むとは限らないことを示す。更に、「一実施形態において」などの句の繰り返しの使用は、必ずしも同じ実施形態、実施例、又は実装形態を指すとは限らないが、そうである場合もある。
【0033】
「備える(comprising)」又は「含有する(containing)」又は「含む(including)」又は「有する(having)」とは、少なくとも指定された化合物、元素、粒子、構成、又は方法工程が、組成物又はデバイス又は方法に存在することを意味するが、他の化合物、材料、粒子、方法工程、又は構成が名称と同じ機能を有する場合でも、他の化合物、材料、粒子、方法工程、又は構成の存在を除外するものではない。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、以下の用語は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、少なくとも本明細書に明示的に関連付けられた意味をとる。「又は」という用語は、包括的な「又は」を意味することを意図する。更に、「a」、「an」、及び「the」という用語は、特に指定されない限り、又は文脈から単数形を対象にしていることが明確でない限り、1つ以上を意味することを意図している。
【0035】
別段の指定がない限り、一般的な物体を説明するための順序の形容詞である「第1の」、「第2の」、「第3の」などの使用は、同様の物体の異なる例が言及されていることを単に示し、そのように記載された物体が、時間的、空間的、ランク付け、又は任意の他の様式で所与の順序であるべきであることを意味することを意図するものではない。
【0036】
本明細書で使用するとき、任意の数値又は数値の範囲について「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指し得る。
【0037】
本明細書で考察されるとき、「患者」又は「被験者」は、人間又は任意の動物であることができる。動物は、限定されるものではないが、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含む、種々のあらゆる該当する種類のものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。
【0038】
冠血管、肺血管、又は脳血管に関わらず、脈管内の様々な血管にアクセスすることは、周知の手順工程及び多数の従来の市販アクセサリ製品の使用を伴う。血管造影物質及びガイドワイヤなどのこれらの製品は、検査手技及び医療手技において広く使用されている。これらの製品が、以下の説明において本開示のシステム及び方法と共に使用される場合、それらの機能及び正確な構成は、詳細には記載されない。
【0039】
開示された技術は、全般的には、摺動ケージ(例えば、第1の本体)及び摺動ケージを径方向に取り囲む外側ケージ(例えば、第2の本体)を有する血塊除去デバイスを含むことができる。プルワイヤに張力が加えられると、摺動ケージが近位に、かつ外側のケージから独立して変位できるように、プルワイヤを摺動ケージに固着することができる。摺動ケージが近位に変位すると、摺動ケージ及び外側ケージは、血塊を挟むことができる。場合によっては、血塊除去デバイスは、内側チャネル(例えば、第3の本体)を更に含むことができる。外側ケージ及び摺動ケージは、内側チャネルを径方向に取り囲むことができる。張力が加えられると、内側チャネルは、外側ケージ及び摺動ケージの近位にかつ外側ケージ及び摺動ケージとは独立して移動することができる。その後、摺動ケージは、外側ケージに関連して近位にかつ外側ケージとは独立して移動することができる。そのような構成では、摺動ケージ及び外側ケージは、血塊を更に挟むことができ、それによって血塊は、血塊除去デバイス内に更に組み込まれ得る。したがって、血管からの血塊の効率的かつ効果的な除去を行うことができる。
【0040】
ここで図を参照すると、図1A及び図1Bは、血塊係合構成における例示的な血塊回収デバイス100の側面図を示す。血塊回収デバイス100は、第1の拡張可能なフレームワーク102及び第2の拡張可能なフレームワーク104を含むことができる。第1の拡張可能なフレームワーク102は、第1の複数の支柱106を含むことができ、第2の拡張可能なフレームワーク104は、第2の複数の支柱108を含むことができる。
【0041】
第1の拡張可能なフレームワーク102及び第2の拡張可能なフレームワーク104は、血塊又は他の閉塞物を横断するようにサイズ決めされた束縛シース(例えば、マイクロカテーテル)内に折りたたみ可能であり得る。血塊回収デバイス100は、血管内の血塊に近接して位置付けられ得る。任意選択で、血塊回収デバイス100は、血塊除去デバイス100の一部が血塊に関連して前方にあるように血塊を横断することができる。第1の拡張可能なフレームワーク102及び第2の拡張可能なフレームワーク104はそれぞれ、束縛シースから解放されると自己拡張するように構成することができる。解放されると、血塊回収デバイス100は、拘束された送達構成から血塊係合構成に移行することができ、その結果、血塊回収デバイス100を使用して、血塊除去、血流回復、及び/又は断片化保護を容易にすることができる。
【0042】
血塊係合構成に移行すると、第1の拡張可能なフレームワーク102の第1の複数の支柱106は、拡張して第1の本体110を形成することができる。同様に、第2の拡張可能なフレームワーク104の第2の複数の支柱108は、拡張して第2の本体112を形成することができる。第2の本体112は、第1の本体110を少なくとも部分的に径方向に取り囲むことができる。任意選択的に、第2の本体112は、第1の本体110を完全に径方向に取り囲むことができる。
【0043】
第1の複数の支柱106を含む第1の拡張可能なフレームワーク102、及び第2の複数の支柱108を含む第2の拡張可能なフレームワーク104の両方は、好ましくは、拘束された送達構成から解放されると自動的にその形状を回復することができる材料から製造され得る。ニチノール又は同様の特性を有する合金などの超弾性又は擬弾性材料が特に好適である。材料は、本明細書に記載されるように、弾性的に折りたたみ及び拡張するのに十分な、高い回復可能な歪みを有することができる。材料は、ワイヤ又はストリップ又はシート又は管などの多くの形態であり得る。特に好適な製造プロセスは、ニチノール管をレーザ切断し、次いで、結果として生じた構造体を熱処理及び電解研磨して、支柱及び接続要素のフレームワークを作製することである。例えば、第1の拡張可能なフレームワーク102及び第2の拡張可能なフレームワーク104はそれぞれ、約0.40ミリメートルの外径を有するニチノール管からレーザ切断することができる。第1及び第2の拡張可能なフレームワーク102、104は、本明細書に開示される教示に従って、当業者によって理解されるような形状の範囲のいずれかであり得る。第1及び第2の拡張可能なフレームワーク102、104は、合金元素の添加によって、又は多様な他のコーティング若しくはマーカーバンドによって透視下で可視化することができる。例えば、第1及び第2の拡張可能なフレームワーク102、104は、硫酸バリウム、亜炭酸ビスマス、オキシ塩化バリウム、金、タングステン、白金、イリジウム、タンタル、及びそれらの合金を含むがこれらに限定されない放射線不透過性材料を有する材料及び/又はマーカーを含むことができる。具体的には、いくつかの例では、第1及び第2の拡張可能なフレームワーク102、104は、イリジウム合金、より具体的には白金イリジウム合金を有する放射線不透過性マーカーを含むことができる。
【0044】
図1A及び図1Bに示されるように、血塊係合構成では、第1の本体110及び第2の本体112はそれぞれ、実質的に円筒形の形状を有することができる。更に、第1の本体110は、第1の内径134を有することができ、第2の本体112は、第2の内径136を有することができる。第1の内径134は、第1の本体110及び第2の本体112が互いに実質的に整列することができるように、第2の内径136とほぼ同じであり得る。例として、第1の本体の第1の内径134は、約4.75ミリメートルであり得、第2の内径136は、約5ミリメートルであり得る。第1の本体110及び第2の本体112は、実質的に等しい内径132、134を有するので、第1の本体110は、血塊係合構成において第2の本体112に外向きの力を加えることができる。
【0045】
図1A及び図1Bは、第1の位置にある第1の本体110及び第2の本体112を示す。第1の複数の支柱106は、閉鎖セルを有する第1の複数の足場セグメント138aを形成することができ、第2の本体112の第2の複数の支柱108は、同じく閉鎖セルを有する第2の複数の足場セグメント138bを形成することができる。第1の複数の足場セグメント138a及び第2の複数の足場セグメント138bは、互いに実質的に整列することができる。第1及び第2の複数の足場セグメント138a、138bの各足場セグメント間に間隙を形成することができる。そのような間隙は、血塊を受容するように構成された血塊受容空間120であり得る。血塊の一部は、そのような血塊受容空間120に入ることができ、それによって、本明細書で更に論じられるように、第1の本体110が第2の本体112に関連して第1の位置から第2の位置に移動すると、血塊回収デバイス100によって捕捉される。
【0046】
第1の本体110及び第2の本体112の遠位端は、遠位バスケット122を形成することができる。遠位バスケット122は、実質的に円錐形を有することができ、捕捉された血塊の断片が血塊回収デバイス100から移動するのを軽減及び/又は防止することができる。
【0047】
図1C及び図1Dに更に示されるように、血塊回収デバイス100の近位端は、外部シース116によって囲まれたプルワイヤ114を含むシャフト132を含むことができる。図1Dに示されるように、第1の複数の支柱106の近位の支柱は、プルワイヤ114に固着され得る。プルワイヤ114は、ステンレス鋼、MP35N、ニチノール、又は好適に高い弾性率及び引張強度の他の材料で製造することができる。プルワイヤ114は、好ましくは中実コアを有することができるが、中空コアを有することもできる。第1の本体110の第1の複数の支柱106は、隣接するチューブから切断されることによって、又は他の取り付け手段によって、溶接、結合を介して、接合部130でプルワイヤ114に固着され得る。接合部130は、第1の複数の支柱106の近位の支柱とプルワイヤ114の取り付け部のおおよその位置に作製することができる。このような接合部130は、本明細書で更に論じられるように、第1の本体110が第2の本体112に関連して移動するときに、所望の位置を越える意図しない移動を抑制することができる。第2の本体112の第2の複数の支柱108は、溶接、結合によって外部シース116に接合することができ、あるいは第2の本体112は、外部シース116の同じニチノール又は他の材料チューブを使用して形成することができる。第1の本体110及び第2の本体112は、シャフト132の独立した部分(例えば、それぞれプルワイヤ114及び外部シース116)に固着されているので、本明細書で更に論じられるように、プルワイヤ114に張力が加えられると、第1の本体110及び第2の本体112は、互いに独立して移動することができる。
【0048】
図1Eは、実質的に位置合わせされた第1の本体110及び第2の本体112の拡大図を示し、第1の本体110と第2の本体112との間の摺動運動の範囲を抑制するための任意の径方向に延在している支柱126及びアイレット124を含む。図示のように、第2の本体112は、第2の複数の支柱108が第1の複数の支柱106の外側にあるように、第1の本体110を径方向に取り囲むことができる。第2の複数の支柱108は、1つ以上のアイレット124を更に含むことができ、第1の複数の支柱106は、それぞれが、それぞれのアイレット124を通って延在する1つ以上の径方向に延在する「コネクタ」支柱を含むことができる。それぞれのアイレット124は、延伸された開口部又は代替の形状の開口部を有することができる。例として、アイレット124は、実質的に卵形、円形、矩形などであり得る。いくつかの例では、アイレット124は実質的にテーパ状であり得る。
【0049】
図1F及び図1Gは、第1の本体110が、第2の本体112に関連して図1A及び図1Bに示されるような第1の位置から第2の位置に移動する(例えば、摺動する)血塊挟持構成における血塊回収デバイス100の側面図を示す。プルワイヤ114は、張力を加えるために近位方向に引っ張ることができる。張力により、第1の本体110は、第2の本体112に関連して第1の位置(図1A及び図1B)から第2の位置(図1F及び図1G)に移動することができる。したがって、第1の本体110は、第1の本体110及び第2の本体112が互いに係合するように、第2の本体112に関連して第1の位置から第2の位置に摺動することができる。例えば、第1の本体110は、第2の本体112に関連して約5ミリメートル未満摺動することができる。任意選択で、第1の本体110は、第2の本体112に関連して約4ミリメートル未満摺動することができる。任意選択で、第1の本体110は、第2の本体112に関連して約2ミリメートル未満摺動することができる。任意選択で、第1の本体110は、第2の本体112に関連して約0.5ミリメートル未満摺動することができる。第1の本体110が第1の位置から第2の位置に移動し、デバイス100が、図1Eに示されるように、それぞれのアイレット124を通る1つ以上の径方向に延在している支柱126を含む場合、径方向に延在している支柱126は、アイレット124と係合することができ、それにより、第1の本体110及び第2の本体112は、互いに係合するようになる。更に、アイレット124は、径方向に延在している支柱126が近位方向に過度に移動するのを制限することができるので、第1の本体110が第2の本体112に関連して第2の位置を越えて移動するのを阻止することができる。
【0050】
更に、あるいは代わりに、第1の拡張可能なフレームワーク102及び第2の拡張可能なフレームワーク104は、高分子コーティング(例えば、パリレン)でコーティングされて、第1の本体110を第2の本体112に関連して第1の位置に一時的に保持することができる。プルワイヤ114が近位方向に引っ張られると、高分子コーティングは、第1の本体110が第2の本体112に関連して第1の位置から第2の位置に移動できないようにすることができる。移動できないようにした高分子コーティングから粒子を除去するために、吸引を適用することができる。
【0051】
更に、あるいは代わりに、第1の本体110及び第2の本体112の形状記憶効果を使用して、所定の時間が経過した後、第1の本体110の自動変位を引き起こすことができる。例えば、第2の拡張可能なフレームワーク104の第2の複数の支柱108は、局所的に熱処理されて、脳卒中又は他の重大な身体的事象中の典型的な体温よりも高い範囲にオーステナイト終了温度を上昇させることができる。第2の複数の支柱108は、再度シースに格納されると拡張し、次に電流によってオーステナイト終了温度に加熱され得る。オーステナイト終了温度に達すると、第1の本体110は、第2の本体112に関連して第1の位置から第2の位置に自動的に移動(例えば、摺動)することができ、血塊が第1の本体110と第2の本体112との間に挟まれ得る。
【0052】
プルワイヤ114は、第1の複数の支柱106の近位の支柱がシャフト132の近くに位置付けられた接合部130に遭遇するまで、第1の本体110が近位方向に移動する(例えば、摺動する)ように、近位方向に引っ張られ得る。したがって、接合部130は、第2の位置を越える望ましくない動きを防止するための機構として機能することができる。第1の本体110が第1の位置から第2の位置に移動するにつれて、複数の血塊受容空間120の平均断面積は減少し得る(例えば、少なくとも部分的に閉じ得る)。例えば、第1の複数の足場セグメント138aが血塊受容空間120を横切って配設されるように、第1の複数の足場セグメント138aが第2の複数の足場セグメント138bに関連して摺動すると、複数の血塊受容空間120は、少なくとも部分的に閉じることができる。それにより、血塊は、第1の本体110と第2の本体112との間に挟まれ得る。挟持により、他の血塊回収デバイスと比較して、血塊回収デバイス100の把持力を増加させることができるため、血塊を挟むことは、特に血塊回収デバイス100の引き込み時に、血塊が血塊回収デバイス100から移動するのを防ぐことができる。特にフィブリンに富む血塊についてそうである。したがって、血塊回収デバイス100は、患者からの血塊の効果的かつ効率的な除去を確実にすることができる。
【0053】
図1F及び図1Gに示されるように、血塊回収デバイス100は、第1の本体110と第2の本体112との間に配設された高分子膜128を含むことができる。高分子膜128(例えば、弾性膜)は、第1の本体110が第1の位置から第2の位置に移動すると、第1の本体110及び第2の本体112が伸張された構成に係合解除されるように、第1の本体110が第1の位置にあるときに、折りたたまれた構成から移行するように構成することができる。それにより、高分子膜128は、図1Eに示される径方向に延在している支柱126及びアイレット124に加えて、又はその代替として、第2の本体112に関連して第1の本体110の横方向の動きを制限するように機能することができる。高分子膜128は、マイクロファイバーを第2の本体112のアイレット124に通すことによって形成することができ、かつ/又は高分子膜128は、高分子膜128をアイレット124内に引っ掛けることによって形成することができる。高分子膜128は、血塊が第1の本体110と第2の本体112との間に挟まれると、血塊が血塊回収デバイス100から移動するのを防ぐことができる。図1F及び図1Gは、1つの場所にある高分子膜128を示しているが、血塊回収デバイス100は、複数の場所にわたって追加の高分子膜128を含むことができると想到される。例えば、血塊回収デバイス100は、122の遠位バスケットに近接する第1の高分子膜と、シャフト132に近接する第2の高分子膜と、を含むことができる。
【0054】
図2Aは、追加の例示的な血塊回収デバイス200を示している。図1A図1Gに示される血塊回収デバイス100を参照して上で論じたように、血塊回収デバイス200は、同様に、第1の複数の支柱106を含む第1の拡張可能なフレームワーク102と、第2の複数の支柱108を含む第2の拡張可能なフレームワーク104と、を備えることができる。血塊回収デバイス200が束縛シース(例えば、マイクロカテーテル)から展開され、拘束された送達構成から血塊係合構成に移行すると、第1の拡張可能なフレームワーク102の第1の複数の支柱106は、自己拡張して第1の本体110を形成することができ、第2の拡張可能なフレームワーク104の第2の複数の支柱108は、自己拡張して第2の本体112を形成することができる。第1の本体110及び第2の本体112は、実質的に円筒形であり得る。更に、第1の本体110及び第2の本体112は、実質的に等しい内径134、136を有することができる。したがって、上記のように、第1の本体110及び第2の本体112の複数の足場セクション138a、138bは、互いに実質的に整列させることができる。
【0055】
図1A図1Gに示される血塊回収デバイス100とは対照的に、血塊回収デバイス200は、第3の複数の支柱204を有する第3の拡張可能なフレームワーク202を更に含むことができる。血塊回収デバイス200が束縛シースから展開されると、第3の拡張可能なフレームワーク202の第3の複数の支柱204は、自己拡張して第3の本体206を形成することができる。第3の本体206は、実質的に多孔性であり得る。更に、第3の本体206は、同様に実質的に円筒形であり得、第1の本体110の内径134及び第2の本体112の内径136よりも小さい内径238を有することができる。これにより、第1の本体110及び第2の本体112は、第3の本体206を径方向に取り囲むことができる。任意選択で、第3の本体206は、第1の本体110の内径134及び第2の本体112の内径136のサイズの約半分(1/2)である内径238を有することができる。任意選択で、第3の本体206は、第1の本体110の内径134及び第2の本体112の内径136のサイズの約4分の3(3/4)である内径238を有することができる。第3の拡張可能なフレームワーク202は、好ましくは、抑圧された送達構成から解放されるとその形状を自動的に回復することができる材料から製造することができる。ニチノール又は同様の特性を有する合金などの超弾性又は擬弾性材料が特に好適である。材料は、本明細書に記載されるように、弾性的に折りたたみかつ拡張するのに十分な、高い回復可能な歪みを有することができる。材料は、ワイヤ又はストリップ又はシート又は管などの多くの形態であり得る。特に好適な製造プロセスは、ニチノール管をレーザ切断し、次いで、結果として生じた構造体を熱処理及び電解研磨して、支柱及び接続要素のフレームワークを作製することである。任意選択で、第3の拡張可能なフレームワーク202は、ニチノール管からレーザ切断することができる。
【0056】
血塊回収デバイス100に関して上で論じたように、第1の本体110は、第1の複数の足場セグメント138aを含むことができ、第2の本体112は、第2の複数の足場セグメント138bを含むことができる。第1及び第2の複数の足場セグメント138a、138bは、実質的に互いに整列することができる。第1の複数の足場セグメント138a、138b及び第2の複数の足場セグメント138a、138bの各足場セグメントの間に間隙を形成することができる。そのような間隙は、本明細書で更に説明するように、血塊回収デバイス200が血塊挟持構成に移行すると、血塊の少なくとも一部を受容するように構成された血塊受容空間120であり得る。第3の本体206の構成は、本明細書で更に論じられるように、同様に追加の血塊受容空間230を作り出すことができる。
【0057】
血塊回収デバイス200の遠位端は、遠位バスケット122を含むことができる。遠位バスケット122は、実質的に円錐形を有することができ、血塊の捕捉された断片が血塊回収デバイス200から移動することを軽減することができる。
【0058】
図2Bに更に示されるように、複数の拡張された支柱208a、208bは、第1の本体110のシャフト216から形成され得る。例えば、第1の本体110のシャフト216は、管(例えば、ニチノール管)であり得、そして2つの拡張された支柱208a、208bは、そのような管から形成(例えば、レーザ切断)され得る。第1の本体110のシャフト216は、プルワイヤ114を受け入れるようにサイズ決めされた中空管であり得る。したがって、プルワイヤ114は、第1の本体110のシャフト216を通って延びることができる。複数の拡張された支柱208a、208bは、血塊回収デバイス200が血塊挟持構成に移行したときの改善された挟持を容易にすることができる。任意選択で、血塊回収デバイス200が血塊挟持構成に移行する際に効果的な挟持がなされない場合、複数の拡張された支柱208a、208bを使用して、第3の本体206の再拡張を可能にして血塊を安定させることができる。第2の本体112のシャフト222は、第1の本体110のシャフト216及びプルワイヤ114を取り囲むことができる。第2の本体112のシャフト222は、管(例えば、ニチノール管)であり得る。第2の本体112の近位支柱224は、第2の本体112のシャフト222の遠位端から延びることができる。近位支柱224は、第2の拡張可能なフレームワーク104の最も近位の支柱であり得る。第3の本体206のシャフト218の近位端は、プルワイヤ114の遠位端に固着させることができる。第3の本体206のシャフト218は、中実コア管であり得る。第3の本体206のシャフト218がプルワイヤ114に固着され、第1の本体110のシャフト216が拡張された支柱208a、208bを形成する接合部220(例えば、溶接接合部)を形成することができる。第3の本体206の近位の支柱226は、第3の本体206のシャフト218の遠位端から延在することができる。近位の支柱226は、第3の拡張可能なフレームワーク202の最も近位の支柱であり得る。
【0059】
図2C図2Eは、第3の本体206の様々な構成を示している。図2C図2Eでは、第3の複数の支柱204は、相互接続された支柱の実質的に円筒形の本体を形成するように構成することができる。第3の複数の支柱204は、第3の複数の支柱が大部分の閉鎖セルを形成するように、互いに相互接続することができる。第3の複数の支柱204は、異なるサイズの閉鎖セルを形成するように構成することができる。任意選択で、閉鎖セルは、捕捉される血塊の内容に応じて(例えば、捕捉される血塊がどれほど柔らかく、かつ/又はフィブリンが豊富であるかに基づいて)サイズを決定することができる。図2C図2Eに示すように、第3の本体206は、複数の血塊受容空間230を更に含むことができる。各血塊受容空間230のサイズは、第3の複数の支柱204の構成に基づくことができる。任意選択で、図2C及び図2Eに示されるように、第3の複数の支柱204は、少なくとも1つの切断された支柱204aを含むことができる。切断された支柱は、開口したセルを形成することができる。そのような開口したセルは、より大きな血塊受容空間230を形成することができ、それによって、血塊の第3の本体206への移動を容易にすることができる。任意選択で、第3の複数の支柱204は、セルの大部分が開口したセルであるように、複数の切断された支柱204aを含むことができる。第3の本体206は、2つの主要な機能を果たすことができる。例えば、第3の本体206は、血塊が血塊回収デバイス200によって捕捉及び引き抜かれているときに、血管を通る少なくとも部分的な血流が存在するように、血液の通過を容易にすることができる。更に、血塊回収デバイス200が展開されると、血塊は、第1の本体110及び第2の本体112の血塊受容空間120に部分的に組み込まれ得る。第3の本体206が第1の本体110及び第2の本体112に関連して移動する(例えば、摺動する)と、第3の本体206は、血塊と相互作用することができ、それにより、挟持を形成する前に、第1の本体110と第2の本体112との間の血塊の更なる組み込みを促進する。
【0060】
図2Fは、血塊回収デバイス200の追加の側面図を示す。図2Fに示されるように、第1の本体110は、第1のカラー部210を含むことができ、第2の本体112は、第2のカラー部212を含むことができ、第3の本体206は、第3のカラー部214を含むことができる。それぞれのカラー部210、212、214は、第1の本体110及び第2の本体112に関連して第3の本体206を移動(例えば、摺動)させ、続いて第2の本体112に関連して第1の本体110を移動(例えば、摺動)させて、血塊の少なくとも一部を挟むことを容易にすることができる。プルワイヤ114は、第3の本体206に固着させることができ、プルワイヤ114が近位方向に引っ張られると、血塊回収デバイス200が第1の位置から第2の位置に移動する(例えば、摺動する)ことができ、続いて第2の位置から第3の位置に移動することができるように、それぞれのカラー部210、212、214に通すことができる。
【0061】
図2Gは、例示的な第3のカラー部214を示す。第3のカラー部214は、拡張された支柱208a、208bが結合するように配設され得る。第3のカラー部214は、血塊回収デバイス200が第1の位置から第2の位置に移動し、続いて第2の位置から第3の位置に移動すると、血塊を挟むことを容易にするための特定の設計でレーザ切断することができる。
【0062】
血塊回収デバイス200を使用して血塊を挟むために、プルワイヤ114を近位方向に引っ張ることができる。そのような張力は、第1の矢印232によって示されるように、第3の本体206を第1の本体110及び第2の本体112に関連して移動(例えば、摺動)させることができ、血塊回収デバイス200を第1の位置から第2の位置に移行させる。例えば、第3の本体206は、第1の本体110及び第2の本体112に関連して約5ミリメートル未満摺動することができる。任意選択で、第3の本体206は、第1の本体110及び第2の本体112に関連して約4ミリメートル未満摺動することができる。任意選択で、第3の本体206は、第1の本体110及び第2の本体112に関連して約2ミリメートル未満摺動することができる。任意選択で、第3の本体206は、第1の本体及び第2の本体112に関連して約0.5ミリメートル未満摺動することができる。
【0063】
第3の本体206が第1の本体110及び第2の本体112に関連して移動すると、血塊の少なくとも一部は、第3の本体206と第1の本体110と第2の本体112との間に挟まれて、血塊の一部を第1の本体110及び第2の本体112内に移動させることができる。加えて、第3の本体206が第1の位置から第2の位置に移動すると、第3のカラー部214が第1のカラー部210と係合するときに第3の本体206は第1の本体110と係合し得る。第3のカラー部214及び第1のカラー部210が係合されると、引張力を第1の本体110に伝達することができ、それによって更なる変位を可能にする。
【0064】
その後、第1の本体110は、第2の矢印234によって示されるように、血塊回収デバイス200が第2の位置から第3の位置に移行するように、第2の本体112に関連して移動(例えば、摺動)することができる。例えば、第1の本体110は、第2の本体112に関連して約5ミリメートル未満摺動することができる。任意選択で、第1の本体110は、第2の本体112に関連して約4ミリメートル未満摺動することができる。任意選択で、第1の本体110は、第2の本体112に関連して約2ミリメートル未満摺動することができる。任意選択で、第1の本体110は、第2の本体112に関連して約0.5ミリメートル未満摺動することができる。
【0065】
第1の本体110が第2の位置から第3の位置に移動すると、第3の本体206と係合された第1の本体110は、第2の本体112と係合して、複数の血塊受容空間120の平均断面積を減少させる(例えば、少なくとも部分的に閉じる)ことができる。これにより、血塊の少なくとも一部を更に挟むことができる。血塊の一部は、第1の本体110と第2の本体112との間、更には第3の本体206との間に挟まれ得る。したがって、血塊の一部は、第3の本体206内で更に移動することができる。したがって、血塊の一部は、第3の本体206の血塊受容空間230内に更に移動することができる。第3の位置に移行すると、拡張された支柱208a、208bは、第1のカラー部210が第2のカラー部212と係合すると、再度シースに格納され得る。第1のカラー部210が第2のカラー部212と係合されると、引張力を第2の本体112に伝達することができる。したがって、捕捉された血塊又はその一部を含む第1の本体110、第2の本体112、及び第3の本体206は、患者の血管系から同時に除去され得る。
【0066】
任意選択で、血塊回収デバイス200は、医師が張力を加えることを停止した場合でも、血塊回収デバイス200が挟持を維持することを可能にするシールを含むことができる。例えば、血塊回収デバイス200は、溶接接合部220に近接して配設されたシールを含むことができる。シールは、摩擦を使用して、血塊回収デバイス200を所定の位置に維持することができる。したがって、シールは、血塊の回収中に血塊回収デバイス200を操作し、患者からの血塊回収デバイス200の除去の際に、ユーザが静止摩擦に打ち勝つことができないほどそのような静止摩擦が高すぎることを確実にする一方で、医師が張力を加えることを停止すると、血塊除去デバイス200が変位しないように、十分な静止摩擦を生じさせることができる。
【0067】
図3A及び図3Bは、更なる例示的な血塊回収デバイス300を示す。血塊回収デバイス300は、拘束された送達構成及び血塊係合構成を有することができ、血管から血塊(例えば、血栓)Tを除去するように構成することができる。血塊除去デバイス300は、血塊除去デバイス300が束縛シース(例えば、マイクロカテーテル)内に位置付けられているときに、拘束された送達構成であり得る。束縛シースが引き込まれると、血塊除去デバイス300は、血塊係合構成に移行することができる。血塊回収デバイス300は、内側の拡張可能なフレームワーク302及び外側の拡張可能なフレームワーク304を含むことができる。内側の拡張可能なフレームワーク302は、血塊回収デバイス300が拘束された送達構成から血塊係合構成に移行すると、内側本体310を形成するように自己拡張する複数の内側支柱306を含むことができる。同様に、外側の拡張可能なフレームワーク304は、血塊回収デバイス300が拘束された送達構成から血塊係合構成に移行すると、外側本体312を形成するように自己拡張する複数の外側支柱308を含むことができる。内側の拡張可能なフレームワーク302及び外側の拡張可能なフレームワーク304は、好ましくは、抑圧された送達構成から解放されるとその形状を自動的に回復することができる材料から製造され得、第1の拡張可能なフレームワーク102及び第2の拡張可能なフレームワーク104を参照して上述したような追加の特性を更に含む。
【0068】
内側本体310及び外側本体312は、異なる内径330、332、及び/又は構成を有することができる。例えば、内側本体310は、外側本体312の内径332よりも小さい内径330を有することができ、それ故に外側本体312が内側本体310を径方向に取り囲むことができる。任意選択で、内側本体310の内径330は、外側本体312の内径332のサイズの約半分であり得る。任意選択で、内側本体310の内径330は、外側本体312の内径332のサイズの約3/4であり得る。図3Aに示すように、内側本体310及び外側本体312の異なる直径330、332及び形状構成は、血塊Tと係合するように構成された複数の血塊受容空間320を形成することができる。例えば、外側本体312は、複数の足場セクションを含むことができる。血塊受容空間320は、複数の足場セクションの各足場セクション338の間に形成することができる。更に、内側本体310は、実質的に「S」波形を有し得る。そのような「S」波形は、内側本体310が外側本体312に関連して移動すると、血塊を挟持及び捕捉することを容易にし得、血塊を捕捉すると、捕捉された血塊が血塊回収デバイス300から外れて移動するのを防止することを容易にし得る。
【0069】
内側本体310及び外側本体312はそれぞれ、プルワイヤ314に固着され得る。プルワイヤ314は、プルワイヤの近位端326に第1のストッパ322及び第2のストッパ324を含むことができる。第1のストッパ322は、第2のストッパ324に関連して遠位に配設することができる。
【0070】
ばね316は、プルワイヤ314の遠位端318に固着され得る。ばね316は、作動時に圧縮された構成及び延伸された構成から移行するように構成することができる。ばね316は、外側本体312内の内側本体310の中心位置を維持するように構成することができる。前に示された血塊回収デバイス100、200では、第1の本体110が第2の本体112にほぼ等しい内径134を有するため、第1の本体110から第2の本体112への外向きの力のために第1の本体110は第2の本体112内で中央に存在する。図3A及び図3Bに示されるように、内側本体310が外側本体312よりも実質的に小さい内径330を有する場合、内側本体310の遠位部分は、外側本体312に対して径方向に偏向することができるが、ばね316が遠位部分を偏向させることを阻止する。ばね316は、プルワイヤ314が張力下にないときに、デバイス300を第1の位置に保持するように更に機能することができる。
【0071】
図3Aに示されるように、血塊回収デバイス300は、血塊Tに近接して位置付けられることができる。血塊回収デバイス300の少なくとも一部分は、血塊回収デバイス300の遠位端が血塊Tに関連して前方にあり得るように血塊Tを横断することができる。プルワイヤ314は、近位方向に引かれ得、外側本体312に関連して第1の位置から第2の位置へ内側本体310を移動させる(例えば、摺動させる)。
【0072】
図3Bは、内側本体310が第1の位置から第2の位置に移動すると、血塊挟持構成に移行する血塊回収デバイス300を示す。プルワイヤ314は、第1のストッパ322が近接する、かつ/又は第2のストッパ324に係合する(例えば、第2のストッパ324の所定の距離内にあるか距離内となる)まで近位方向に引っ張られ得、それ故に第2のストッパ324は、プルワイヤ314に張力を加えることをいつ停止すべきか、かつ/又はプルワイヤ314に加えられる張力の量をいつ徐々に弱めるべきかのインジケータとして機能することができる。プルワイヤ314が近位方向に引っ張られると、ばね316を作動させて、ばね316を圧縮された構成から延伸された構成に移行させることができる。ばね316が延伸された構成に移行すると、内側本体310は、第1の位置から第2の位置に移動することができる。第1の位置から第2の位置へのそのような移動は、血塊受容空間320の平均断面積を減少させる(例えば、少なくとも部分的に閉じる)ことができ、それによって、内側本体310と外側本体312との間で血塊Tを挟む。内側本体310と外側本体312との間に血塊Tを挟むと、血塊Tを含む内側本体310及び外側本体312は、束縛シース(例えば、マイクロカテーテル)内に引き込まれ得、その後、血塊回収デバイス300は患者から除去され得る。
【0073】
図4は、図1A図1Gに示される血塊回収デバイス100を使用して血塊を捕捉する方法400を概説するフロー図を示す。方法400は、血塊に近接して血塊回収デバイス100を展開すること402を含むことができる。本明細書で論じられるように、血塊回収デバイス100は、第1の拡張可能なフレームワーク102及び第2の拡張可能なフレームワーク104を含むことができる。血塊回収デバイス100を展開すると、血塊回収デバイス100は、拘束された送達構成から血塊係合構成に移行することができ、第1の拡張可能なフレームワーク102は、拡張して第1の本体110を形成する一方、第2の拡張可能なフレームワーク104は、拡張して第1の本体110を径方向に取り囲む第2の本体112を形成することができる。第1の本体110及び第2の本体112は、第1の本体110及び第2の本体112が互いに実質的に径方向に整列するように実質的に同じ内径134、136を有することができる。
【0074】
方法400は、血塊除去デバイス100が血塊挟持構成に移行するように、第1の本体110と第2の本体112との間で血塊の少なくとも一部分を挟むように第1の本体110を第2の本体112に関連して近位に移動させること404(例えば、摺動させること)を更に含むことができる。例として、第1の本体110が接合部130に遭遇するまで、張力をプルワイヤ114に加えることができる。プルワイヤ114が近位方向に引っ張られると、第1の本体110は、第2の本体112に関連して近位方向に移動することができ、それによって、第1の本体110と第2の本体112との間で血塊の少なくとも一部を挟むことができる。
【0075】
方法400は、血塊の1つ以上の断片を捕捉すること406を更に含むことができる。
【0076】
更に、方法400は、第1の本体110が第2の本体112に関連して移動すると、第1の本体110と第2の本体112が係合するので、第1の本体110及び第2の本体112を同時に引き込むことを含むことができる。同様に、第1の本体110及び第2の本体112が束縛シース内に引き込まれると、束縛シースは、患者の血管系から除去され得る。
【0077】
図5は、図2A図2Fに示される血塊回収デバイス200を使用して血塊を捕捉する方法500を概説するフロー図を示す。方法500は、血塊に近接して血塊回収デバイス200を展開すること502を含むことができる。本明細書で論じられるように、血塊回収デバイス100は、第1の拡張可能なフレームワーク102、第2の拡張可能なフレームワーク104、及び第3の拡張可能なフレームワーク202を含むことができる。血塊回収デバイス200を展開すると、血塊回収デバイス200は、拘束された送達構成から血塊係合構成に移行することができ、第1の拡張可能なフレームワーク102は、拡張して第1の本体110を形成する一方、第2の拡張可能なフレームワーク104は、拡張して第1の本体110を径方向に取り囲む第2の本体112を形成することができる。第1の本体110及び第2の本体112は、第1の本体110及び第2の本体112が互いに実質的に整列することができるように、実質的に同じ内径134、136を有することができる。同様に、第3の拡張可能なフレームワーク202は、拡張して、第3の本体206を形成することができる。第1の本体110及び第2の本体112は、第3の本体206が第1の本体110及び第2の本体112と比較してより小さい内径238を有することができるため、第3の本体206を径方向に取り囲むことができる。
【0078】
方法500は、血塊除去デバイス200が血塊挟持構成に移行するように、第3の本体206と第1の本体110と第2の本体112との間で血塊の少なくとも一部を挟むように第1の本体110及び第2の本体112に関連して第3の本体206を移動させること504(例えば、摺動させること)を更に含むことができる。したがって、血塊の少なくとも一部は、第1の本体110及び第2の本体112内に移動することができる。第1の本体110及び第2の本体112に関連して第3の本体206を移動させると、第3の本体206は、第1の本体110と係合することができる。
【0079】
方法500は、第3の本体206と第1の本体110と第2の本体112との間で血塊の少なくとも一部を更に挟むように、第1の本体110を第2の本体112に関連して近位に移動させること506(例えば、摺動させること)を更に含むことができる。第1の本体110が第2の本体112に関連して移動するにつれて、血塊受容空間120の平均断面積は減少し得、それによって血塊の少なくとも一部を挟み、血塊の捕捉された部分を血塊回収デバイス200から外れて後方へ移動させることを防止及び/又は軽減することができる。血塊を挟むと、血塊の少なくとも一部は、第3の本体206の内側に移動することができる。血塊の少なくとも一部が第3の本体206内にあるとき、捕捉された血塊の一部が血塊回収デバイス200から外れて後方へ移動する可能性を減少させることができる。
【0080】
方法500は、血塊の1つ以上の断片を捕捉すること508を更に含むことができる。
【0081】
更に、方法500は、第1の本体110、第2の本体112、及び第3の本体206を同時に引き込むことを含むことができる。送達マイクロカテーテル内に引き込まれると、送達マイクロカテーテルを患者の血管系から除去することができるので、血塊を患者の血管系から効果的かつ効率的に除去することができる。
【0082】
開示された技術の特定の実施例及び実装形態は、開示された技術の実施例によるブロック図及びフロー図を参照して上述されている。ブロック図及びフロー図の1つ以上のブロック、並びにブロック図及びフロー図におけるブロックの組み合わせがそれぞれ理解されるであろう。同様に、開示された技術のいくつかの実施例又は実装形態によれば、ブロック図及びフロー図のいくつかのブロックは、必ずしも提示された順序で実行される必要がなく、繰り返されてもよく、あるいは、必ずしも実行される必要がない。また、1つ又は2つ以上の方法工程への言及が、明示的に特定されたそれらの工程間の追加の方法工程又は介在する方法工程の存在を除外しないことも理解されたい。更に、1つのプロセスフロー図又はブロック図からの方法工程は、別のプロセス図又はブロック図からの方法工程と組み合わせることができる。これらの組み合わせ及び/又は変形例は、本明細書において想到される。
【0083】
〔実施の態様〕
(1) 拘束された送達構成及び血塊係合構成を含み、血管から血塊を除去するように構成されている、血塊回収デバイスであって、前記デバイスは、
第1の本体を形成する第1の複数の支柱を含む第1の拡張可能なフレームワークと、
前記第1の本体を少なくとも部分的に取り囲む第2の本体を形成する第2の複数の支柱を含む第2の拡張可能なフレームワークと、を備え、
前記血塊係合構成において、前記第1の本体は、前記第2の本体に関連して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている、血塊回収デバイス。
(2) 前記第1の本体は第1の内径を有し、前記第2の本体は第2の内径を有し、前記第1の内径及び前記第2の内径は実質的に等しい、実施態様1に記載の血塊回収デバイス。
(3) 前記第1の本体が前記第1の位置にあるとき、前記第1の複数の支柱及び前記第2の複数の支柱は、係合解除されて、複数の血塊受容空間が形成される、実施態様1に記載の血塊回収デバイス。
(4) 前記第1の本体が前記第2の位置にあるとき、前記第1の複数の支柱及び前記第2の複数の支柱は係合され、前記第1の本体が前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると、前記複数の血塊受容空間の平均断面積が減少する、実施態様3に記載の血塊回収デバイス。
(5) 前記第1の複数の支柱は、少なくとも1つの径方向に延在している支柱を含み、前記第2の複数の支柱は、少なくとも1つのアイレットを含み、前記少なくとも1つの径方向に延在している支柱が、前記アイレットを通って径方向に延在し、前記少なくとも1つのアイレット及び前記少なくとも1つの径方向に延在している支柱は、前記第1の本体が前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると、前記少なくとも1つの径方向に延在している支柱が、前記少なくとも1つのアイレットに係合して、前記第2の複数の支柱に関連して、前記第2の位置を越えて前記第1の複数の支柱が移動するのを阻止するように構成されている、実施態様1に記載の血塊回収デバイス。
【0084】
(6) それぞれのアイレットはテーパ状である、実施態様5に記載の血塊回収デバイス。
(7) 前記第1の複数の支柱と前記第2の複数の支柱とを係合するための高分子コーティングを更に含み、前記高分子コーティングは、前記第1の本体が前記第1の位置から前記第2の位置に移動することを可能にすることができないように構成されている、実施態様1に記載の血塊回収デバイス。
(8) 前記第1の複数の支柱及び前記第2の複数の支柱に固着された少なくとも1つの高分子膜を更に含み、前記高分子膜は、前記第1の本体と前記第2の本体との間に配設されている、実施態様1に記載の血塊回収デバイス。
(9) 前記第1の本体が前記第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つの高分子膜は折りたたまれた構成であり、前記第1の本体が前記第2の位置に近位に移動すると、前記少なくとも1つの高分子膜は、伸張された構成に移行する、実施態様8に記載の血塊回収デバイス。
(10) 第3の本体を形成する第3の複数の支柱を含む第3の拡張可能なフレームワークを更に含み、前記第1の本体及び前記第2の本体は、前記血塊係合構成において前記第3の本体を少なくとも部分的に取り囲んでいる、実施態様1に記載の血塊回収デバイス。
【0085】
(11) 前記第3の本体は、前記第1の本体及び前記第2の本体に関連して移動するように構成されている、実施態様10に記載の血塊回収デバイス。
(12) 前記血塊回収デバイスの近位端は、カラー部を形成する複数の拡張された支柱を含む、実施態様10に記載の血塊回収デバイス。
(13) 前記第3の複数の支柱は、少なくとも1つの切断された支柱を含む、実施態様10に記載の血塊回収デバイス。
(14) 前記第3の本体は、複数の血塊受容空間を含み、前記複数の血塊受容空間は、前記血塊に係合するように構成されている、実施態様10に記載の血塊回収デバイス。
(15) 拘束された送達構成及び血塊係合構成を含み、血管から血塊を除去するように構成されている、血塊回収デバイスであって、前記デバイスは、
プルワイヤに固着され、内側本体を形成する内側の複数の支柱を含む、内側の拡張可能なフレームワークと、
前記プルワイヤに固着され、前記内側本体を少なくとも部分的に取り囲んでいる外側本体を形成する外側の複数の支柱を含む、外側の拡張可能なフレームワークと、
前記プルワイヤの遠位端に近接して固着されたばねであって、前記ばねは、圧縮された構成及び延伸された構成を有する、ばねと、を備え、
前記血塊係合構成において、前記内側本体は、前記外側本体に関連して第1の位置から第2の位置に移動するように構成され、前記ばねは、前記圧縮された構成から前記延伸された構成に移行する、血塊回収デバイス。
【0086】
(16) 前記外側の拡張可能なフレームワークは、前記内側本体が前記第1の位置から前記第2の位置に移動した場合、前記内側本体と前記外側本体との間に前記血塊を挟むように構成された複数の血塊受容空間を含む、実施態様15に記載の血塊回収デバイス。
(17) 血塊を捕捉する方法であって、前記方法は、
前記血塊に近接して血塊回収デバイスを展開することであって、前記血塊回収デバイスは、第1の本体を形成する第1の拡張可能なフレームワークと、前記第1の本体を少なくとも部分的に取り囲んでいる第2の本体を形成する第2の拡張可能なフレームワークと、を含む、ことと、
前記第2の本体に関連して前記第1の本体を移動させて、前記第1の本体と前記第2の本体との間で前記血塊の少なくとも一部を挟むことと、
前記血塊の1つ以上の断片を捕捉することと、を含む、方法。
(18) 前記第2の本体に関連して前記第1の本体を移動させて、前記第1の本体と前記第2の本体との間で前記血塊の少なくとも一部を挟むことは、プルワイヤに張力を加えることを含み、前記プルワイヤは、前記第1の本体と機械的に連通している、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記第1の本体及び前記第2の本体を同時に引き込むことを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記血塊回収デバイスは、第3の本体を形成する第3の複数の支柱を含む第3の拡張可能なフレームワークを更に含み、前記第1の本体及び前記第2の本体は、前記第3の本体を少なくとも部分的に取り囲んでおり、前記方法は、
前記第3の本体を近位方向に引き込んで、前記第1の本体と前記第3の本体とを係合することを更に含む、実施態様17に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図4
図5
【外国語明細書】