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特開2022-145650土壌固化方法、土壌固化材、水路、及び池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145650
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】土壌固化方法、土壌固化材、水路、及び池
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/02 20060101AFI20220926BHJP
   C09K 17/06 20060101ALI20220926BHJP
   E02B 5/02 20060101ALI20220926BHJP
   E02B 3/12 20060101ALI20220926BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20220926BHJP
   C09K 103/00 20060101ALN20220926BHJP
【FI】
C09K17/02 P
C09K17/06 P
E02B5/02 G
E02B3/12
E02D3/12 102
C09K103:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043097
(22)【出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2021043563
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517375738
【氏名又は名称】株式会社笹山工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古橋 孝將
【テーマコード(参考)】
2D040
2D118
4H026
【Fターム(参考)】
2D040AA08
2D040AB11
2D040BA13
2D040BB01
2D040CA03
2D040CA10
2D040CB01
2D040CD01
2D118CA07
2D118CA08
2D118DA01
2D118FA06
2D118FB31
4H026CA02
4H026CA04
4H026CB07
4H026CC02
(57)【要約】
【課題】環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図る。
【解決手段】土壌固化材は、土壌と混合させて土壌を固化させる土壌固化材であって、石灰と、石膏と、砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、少なくとも土壌内に供給された状態で発熱する発熱材と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかにおいて固化状態の土壌を設ける土壌固化方法であり、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、使用終了済み又は使用終了前のカイロと、を前記土壌に供給する供給工程と、
前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記カイロと、前記土壌とを混合する混合工程と、
前記混合工程により前記材料と前記石灰と前記石膏と前記カイロと前記土壌とが混合された混合材料を固化させる固化工程と、
を含み、
前記固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、前記土壌を前記岸又は前記底の少なくともいずれかに配置する
土壌固化方法。
【請求項2】
水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかにおいて固化状態の土壌を設ける土壌固化方法であり、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、水酸化第二鉄と、を前記土壌に供給する供給工程と、
前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記水酸化第二鉄と、前記土壌とを混合する混合工程と、
前記混合工程により前記材料と前記石灰と前記石膏と前記水酸化第二鉄と前記土壌とが混合された混合材料を固化させる固化工程と、
を含み、
前記固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、前記土壌を前記岸又は前記底の少なくともいずれかに配置する
土壌固化方法。
【請求項3】
水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかにおいて固化状態の土壌を設ける土壌固化方法であり、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、前記材料、前記石灰、及び前記石膏のいずれとも異なり且つ発熱反応を終えた後の発熱材と、を前記土壌に供給する供給工程と、
前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記発熱材と、前記土壌とを混合する混合工程と、
前記混合工程により前記材料と前記石灰と前記石膏と前記発熱材と前記土壌とが混合された混合材料を固化させる固化工程と、
を含み、
前記固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、前記土壌を前記岸又は前記底の少なくともいずれかに配置する
土壌固化方法。
【請求項4】
土壌と混合させて前記土壌を固化させる土壌固化材であって、
石灰と、
石膏と、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、
使用終了済み又は使用終了前のカイロと、
を含む
土壌固化材。
【請求項5】
前記カイロは、酸化反応に基づく発熱反応を終えた後の使用終了済みカイロである
請求項4に記載の土壌固化材。
【請求項6】
土壌と混合させて前記土壌を固化させる土壌固化材であって、
石灰と、
石膏と、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、
水酸化第二鉄と、
を含む
土壌固化材。
【請求項7】
当該土壌固化材は、水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかを固化するために用いられる固化材である
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の土壌固化材。
【請求項8】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の土壌固化材と前記土壌とが混合され且つ固化されて岸又は底が構成される水路。
【請求項9】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の土壌固化材と前記土壌とが混合され且つ固化されて岸又は底が構成される池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、土壌固化方法、土壌固化材、水路、及び池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱な地盤を強化して安定化するために、土壌に対して固化材を添加し、撹拌混合して固化処理する方法がある。このような土壌の改良の際に用いられる固化材として、セメント系固化材、石灰系固化材、及び石膏系固化材などが知られている。例えば、特許文献1の地盤改良用固化材は、セメント、高炉スラグ粉末、骨材、及び石膏を含有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-31574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学的な物質を多量に含む土壌固化材が用いられると、環境に対する影響が懸念される。一方で、土壌を固化する場合、環境に対する負荷を低減するだけでなく、実用上の利点を高めることも望まれる。例えば、環境への負荷が低い材料だけで土壌を固化することはできるが、土壌を固化するまでの必要な時間が極めて長くなるような土壌固化方法では、実用上問題である。
【0005】
そこで、本開示は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである土壌固化方法は、
水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかにおいて固化状態の土壌を設ける土壌固化方法であり、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、使用終了済み又は使用終了前のカイロと、を土壌に供給する供給工程と、
前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記カイロと、前記土壌とを混合する混合工程と、
前記混合工程により前記材料と前記石灰と前記石膏と前記カイロと前記土壌とが混合された混合材料を固化させる固化工程と、
を含み、
前記固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、前記土壌を前記岸又は前記底の少なくともいずれかに配置する。
【0007】
本開示の一つである土壌固化方法は、
水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかにおいて固化状態の土壌を設ける土壌固化方法であり、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、水酸化第二鉄と、を前記土壌に供給する供給工程と、
前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記水酸化第二鉄と、前記土壌とを混合する混合工程と、
前記混合工程により前記材料と前記石灰と前記石膏と前記水酸化第二鉄と前記土壌とが混合された混合材料を固化させる固化工程と、
を含み、
前記固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、前記土壌を前記岸又は前記底の少なくともいずれかに配置する。
【0008】
本開示の一つである土壌固化方法は、
水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかにおいて固化状態の土壌を設ける土壌固化方法であり、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、前記材料、前記石灰、及び前記石膏のいずれとも異なり且つ発熱反応を終えた後の発熱材と、を前記土壌に供給する供給工程と、
前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記発熱材と、前記土壌とを混合する混合工程と、
前記混合工程により前記材料と前記石灰と前記石膏と前記発熱材と前記土壌とが混合された混合材料を固化させる固化工程と、
を含み、
前記固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、前記土壌を前記岸又は前記底の少なくともいずれかに配置する。
【0009】
本開示の一つである土壌固化材は、
土壌と混合させて前記土壌を固化させる土壌固化材であって、
石灰と、
石膏と、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、
使用終了済み又は使用終了前のカイロと、
を含む。
【0010】
本開示の一つである土壌固化材は、
土壌と混合させて前記土壌を固化させる土壌固化材であって、
石灰と、
石膏と、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、
水酸化第二鉄と、
を含む。
【0011】
本開示の一つである水路は、前記土壌固化材と前記土壌とが混合され且つ固化されて岸又は底が構成される。
【0012】
本開示の一つである池は、前記土壌固化材と前記土壌とが混合され且つ固化されて岸又は底が構成される。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る技術は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第4実施形態に係る土壌固化材が適用されて構成された水路を例示する説明図1である。
図2図2は、第4実施形態に係る土壌固化材が適用されて構成された水路を例示する説明図2である。
図3図3は、第5実施形態に係る土壌固化材が適用されて構成された池を例示する説明図1である。
図4図4は、第5実施形態に係る土壌固化材が適用されて構成された池を例示する説明図2である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本開示に係る実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される〔1〕~〔7〕の特徴は、矛盾しない組み合わせで、どのように組み合わされてもよい。
【0016】
〔1〕 土壌と混合させて前記土壌を固化させる土壌固化材であって、
石灰と、
石膏と、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、
少なくとも前記土壌内に供給された状態で発熱する発熱材と、
を含む
土壌固化材。
【0017】
上記〔1〕の土壌固化材は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい。
【0018】
〔2〕 前記発熱材は、酸化反応によって発熱する発熱材料を含む
〔1〕に記載の土壌固化材。
【0019】
上記〔2〕の土壌固化材は、発熱材の酸化反応を利用して土壌の固化を促進することができる。
【0020】
〔3〕 土壌と混合させて前記土壌を固化させる土壌固化材の製造方法であって、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材のうちの少なくともいずれか1つを含む材料と、石灰と、石膏と、を準備する第1準備工程と、
少なくとも前記土壌内に供給された状態で発熱する発熱材を準備する第2準備工程と、
を含む
土壌固化材の製造方法。
【0021】
上記〔3〕の製造方法によって製造される土壌固化材は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい。
【0022】
〔4〕 前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記発熱材とを混合する混合工程を含む
〔3〕に記載の土壌固化材の製造方法。
【0023】
上記〔4〕の製造方法によって製造される土壌固化材は、上記材料、上記石灰、上記石膏、上記発熱材を、できるだけ分散させて土壌に供給しやすい。
【0024】
〔5〕 前記発熱材は、酸化反応によって発熱する発熱材料を含む
〔3〕又は〔4〕に記載の土壌固化材の製造方法。
【0025】
上記〔5〕の製造方法によって製造される土壌固化材は、発熱材の酸化反応を利用して土壌の固化を促進することができる。
【0026】
〔6〕 土壌を固化する土壌固化方法であって、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、発熱材と、を前記土壌に供給する供給工程と、
前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記発熱材と、前記土壌とを混合する混合工程と、
前記供給工程の後、前記土壌内で前記発熱材を発熱させる工程と、
を含む
土壌固化方法。
【0027】
上記〔6〕の土壌固化方法は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい。
【0028】
〔7〕 前記発熱材は、酸化反応によって発熱する発熱材料を含む
〔6〕に記載の土壌固化方法。
【0029】
上記〔7〕の土壌固化方法は、発熱材の酸化反応を利用して土壌の固化を促進することができる。
【0030】
〔8〕 水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかにおいて固化状態の土壌を設ける土壌固化方法であり、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、使用終了済み又は使用終了前のカイロと、を土壌に供給する供給工程と、
前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記カイロと、前記土壌とを混合する混合工程と、
前記混合工程により前記材料と前記石灰と前記石膏と前記カイロと前記土壌とが混合された混合材料を固化させる固化工程と、
を含み、
前記固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、前記土壌を前記岸又は前記底の少なくともいずれかに配置する
土壌固化方法。
【0031】
この土壌固化方法は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい。しかも、上記カイロの成分によって水に影響を与えることができる。
【0032】
〔9〕 水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかにおいて固化状態の土壌を設ける土壌固化方法であり、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、水酸化第二鉄と、を前記土壌に供給する供給工程と、
前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記水酸化第二鉄と、前記土壌とを混合する混合工程と、
前記混合工程により前記材料と前記石灰と前記石膏と前記水酸化第二鉄と前記土壌とが混合された混合材料を固化させる固化工程と、
を含み、
前記固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、前記土壌を前記岸又は前記底の少なくともいずれかに配置する
土壌固化方法。
【0033】
この土壌固化方法は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい。しかも、上記水酸化第二鉄の成分によって水に影響を与えることができる。
【0034】
〔10〕 水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかにおいて固化状態の土壌を設ける土壌固化方法であり、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、前記材料、前記石灰、及び前記石膏のいずれとも異なり且つ発熱反応を終えた後の発熱材と、を前記土壌に供給する供給工程と、
前記材料と、前記石灰と、前記石膏と、前記発熱材と、前記土壌とを混合する混合工程と、
前記混合工程により前記材料と前記石灰と前記石膏と前記発熱材と前記土壌とが混合された混合材料を固化させる固化工程と、
を含み、
前記固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、前記土壌を前記岸又は前記底の少なくともいずれかに配置する
土壌固化方法。
【0035】
この土壌固化方法は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい。しかも、上記発熱材の成分によって水に影響を与えることができる。
【0036】
〔11〕 土壌と混合させて前記土壌を固化させる土壌固化材であって、
石灰と、
石膏と、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、
使用終了済み又は使用終了前のカイロと、
を含む
土壌固化材。
【0037】
この土壌固化材は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい。しかも、上記カイロの成分によって水に影響を与えることができる。
【0038】
〔12〕 前記カイロは、酸化反応に基づく発熱反応を終えた後の使用終了済みカイロである
〔11〕に記載の土壌固化材。
【0039】
この土壌固化材は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい。しかも、上記カイロの成分によって水に影響を与えることができる。
【0040】
〔13〕 土壌と混合させて前記土壌を固化させる土壌固化材であって、
石灰と、
石膏と、
砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、
水酸化第二鉄と、
を含む
土壌固化材。
【0041】
この土壌固化材は、環境に対する負荷を低減しつつ、土壌の固化の迅速化を図りやすい。しかも、上記水酸化第二鉄の成分によって水に影響(特に浄化作用)を与えることができる。
【0042】
〔14〕 前記土壌固化材は、水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかを固化するために用いられる固化材である
〔11〕から請求項〔13〕のいずれか一つに記載の土壌固化材。
【0043】
この土壌固化材は、当該土壌固化材が固化されてなる岸又は底によって水が流れる領域又は水が溜まる領域を構成しつつ、岸又は底によって水に影響を与えることができる。
【0044】
〔15〕〔11〕から〔13〕のいずれか一つに記載の土壌固化材と前記土壌とが混合され且つ固化されて岸又は底が構成される水路。
【0045】
〔16〕〔11〕から〔13〕のいずれか一つに記載の土壌固化材と前記土壌とが混合され且つ固化されて岸又は底が構成される池。
【0046】
[第1実施形態]
1-1.土壌固化材の構成
第1実施形態に係る土壌固化材について説明する。
第1実施形態に係る土壌固化材は、例えば、建築土木工事の際に発生する汚泥、土壌、池、河川、湖沼、及びダムの汚泥などを改良して再利用するための固化材である。土壌固化材は、例えば、軟弱地盤の改良、路体や路床の改良、河川の築堤工事、及び川底土壌の固化などに用いられる。なお、固化対象となる土壌はこれらの種類に限定されるわけではなく、様々な種類の土壌を固化対象とすることができる。
【0047】
第1実施形態の土壌固化材は、土壌と混合させてこの土壌を固化させる固化材である。この土壌固化材は、例えば粉粒体である。この土壌固化材は、石灰と、石膏と、砕石ダストと、発熱材と、を含んでいる。なお、土壌固化材には、石灰、石膏、砕石ダスト、発熱材以外の構成材料が含まれていてもよい。
【0048】
土壌固化材は、石灰、石膏、及び砕石ダストを含む第1材料と、発熱材を含む第2材料と、を有する。第1材料と第2材料は、予め混合された状態で管理されてもよく、第2材料が第1材料とは別々の収容体に収容されて管理されてもよい。土壌固化材は、第2材料が第1材料とは別々の収容体に収容されて管理される方式のものでは、第2材料が土壌に供給される少し前に第1材料に混合されてもよく、第2材料が土壌に供給された後に土壌と第1材料と第2材料とが混合されてもよい。
【0049】
土壌固化材の上記第1材料は、石灰、石膏、及び砕石ダストが合計100重量%となるように、石灰の含有割合が10~30重量%の範囲内にあり、石膏の含有割合が10~30重量%の範囲内にあり、砕石ダストの含有割合が50~70重量%の範囲内にある。具体的には、土壌固化材は、石灰、石膏、及び砕石ダストの合計100重量%に対して、石灰の含有割合が20重量%程度であり、石膏の含有割合が20重量%程度であり、砕石ダストの含有割合が60重量%程度であることが一つの例として好ましい。
【0050】
第1実施形態の土壌固化材に含まれる石灰は、土壌固化材を生成・構成する際のつなぎとして機能する。また、この石灰は、土壌を固化させる際のつなぎとしても機能する。石灰は、公知の石灰であり、酸化カルシウム(CaO)によって構成されていてもよく、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)によって構成されていていてもよく、炭酸カルシウム(CaCO3)によって構成されていてもよい。石灰は、生石灰であってもよく、消石灰であってもよい。
【0051】
石灰は、例えば、粒径が0mmよりも大きく5mm未満(例えば、粒径が2mm以上且つ3mm未満の範囲)の粉粒体である。石灰は、第1実施形態の土壌固化材を土壌に混ぜて混合させた場合に、土壌から水分を除去する機能を有する。ここでいう石灰の粒径とは、石灰の粒子を篩で篩って分離したときの篩い目(目開き)の大きさのことである。本明細書の「篩」は、縦方向及び横方向と直交する方向に平面視したときの各開口の形状が正方形の篩であり、各開口における縦方向の開口幅と横方向(上記縦方向と直交する方向)の開口幅が同一である篩を指す。そして、「目開き」は、縦方向の開口幅及び横方向の開口幅を指し、具体的には、2つの近接する縦線又は横線の内径を指す。例えば粒径5mm未満の石灰とは、篩い目(目開き)が5mmの篩を通過する石灰のことであり、粒径5mm以上の石灰とは、篩い目(目開き)が5mmの篩を通過しない石灰のことである。本実施形態の土壌固化材では、石灰、石膏、及び砕石ダストの合計を100重量%としたとき、粒径が0mmよりも大きく5mm未満の石灰が、10~30重量%の範囲内であることが望ましい。
【0052】
第1実施形態の土壌固化材に含まれる石膏は、土壌固化材を生成・構成する際のつなぎとして機能する。また、この石膏は、土壌を固化させる際のつなぎとしても機能する。石膏は、公知の石膏であり、硫酸カルシウム(CaSO4)を主成分として構成されている。石膏は、具体的構成は限定されず、例えば、二水石膏、半水石膏、無水石膏などが挙げられる。石膏は、例えば、粒径が0mmよりも大きく5mm未満(例えば、粒径が0mmよりも大きく3mm未満)の粉粒体である。石膏は、第1実施形態の土壌固化材を土壌に混ぜて混合させた場合に、土壌を固化させる機能を有する。ここでいう石膏の粒径とは、石膏の粒子を篩で篩って分離したときの篩い目(目開き)の大きさのことである。例えば粒径5mm未満の石膏とは、篩い目(目開き)が5mmの篩を通過する石膏のことであり、粒径5mm以上の石膏とは、篩い目(目開き)が5mmの篩を通過しない石膏のことである。本実施形態の土壌固化材では、石灰、石膏、及び砕石ダストの合計を100重量%としたとき、粒径が0mmよりも大きく5mm未満の石膏が、10~30重量%の範囲内であることが望ましい。
【0053】
第1実施形態の土壌固化材に含まれる砕石ダストは、土壌固化材を生成・構成する際の骨材として機能する。この砕石ダストは、土壌固化材の主成分としても機能する。この砕石ダストは、大きな石(例えば岩石)を砕いて砕石を作る際に生じる細かな石の集合であり、粉粒体である。砕石ダストは、例えば、石を砕いて所定サイズ(具体的には、5mm以上のサイズ)の砕石を得る際に生じる微小な石の集合である。砕石ダストは、一般的に、一部又は全部が廃材となるもの、或いは廃材となりやすいものである。砕石ダストは、例えば、化学的処理を行うことなく機械的処理のみによって砕石を作る際に付随的に形成される。なお、石を砕いて砕石ダストを得るまでの間に、化学的な処理を一切行わなくても良いが、化学的処理を多少行ってもよい。
【0054】
第1実施形態の土壌固化材に含まれる砕石ダストの粒径は、例えば、0mmよりも大きく5mm未満である。この砕石ダストは、例えば、採石場で岩盤をクラッシャー(破砕機)で破砕して砕石を作る際に形成される。ここでいう砕石ダストの粒径は、砕石ダストの粒子を篩で篩って分離したときの篩い目(目開き)の大きさのことである。例えば粒径5mm未満の砕石ダストとは、篩い目(目開き)が5mmの篩を通過する砕石ダストのことであり、粒径5mm以上の砕石ダストとは、篩い目(目開き)が5mmの篩を通過しない砕石ダストのことである。本実施形態の土壌固化材は、石灰、石膏、及び砕石ダストの合計を100重量%としたとき、粒径5mm未満の砕石ダストの含有割合が50重量%以上且つ100重量%未満であることが望ましく、より望ましくは、50重量%以上且つ70重量%未満であるとよい。更に望ましくは、石灰、石膏、及び砕石ダストの合計を100重量%としたとき、粒径3mm未満の砕石ダストの含有割合が50重量%以上且つ100重量%未満であることが望ましく、より望ましくは、50重量%以上且つ70重量%未満であるとよい。
【0055】
第1実施形態の土壌固化材において、砕石ダストは、石灰よりも含有割合(重量割合)が大きい。つまり、上記第1材料において、砕石ダストは、石灰よりも含有割合(重量割合)が大きい。この土壌固化材は、当該土壌固化材に含まれる砕石ダストの重量が当該土壌固化材に含まれる石灰の重量よりも大きくなる割合で含有されている。また、第1実施形態の土壌固化材において、砕石ダストは、石膏よりも含有割合(重量割合)が大きい。つまり、上記第1材料において、砕石ダストは、石膏よりも含有割合(重量割合)が大きい。この土壌固化材は、当該土壌固化材に含まれる砕石ダストの重量が当該土壌固化材に含まれる石膏の重量よりも大きくなる割合で含有されている。第1実施形態の土壌固化材において、石灰、石膏、及び砕石ダストのうち、砕石ダストの含有割合が最も大きい。また、第1実施形態の土壌固化材は、砕石ダストの総体積が、石灰の総体積よりも大きく、石膏の総体積よりも大きくなるような割合で構成されている。
【0056】
以上のように、第1実施形態の土壌固化材は、石を砕いて砕石を作る際に生じる砕石ダストを含む構成であるため、廃材となる砕石ダストを有効に利用することができる。また、砕石ダストは、大きな石(例えば自然界に存在する岩石)を加工する際にこの石から生じる粉粒体であり、セメント系固化材(セメントが多く含まれる固化材)のように化学的な物質が多量に土壌に残存する事態が生じにくく、環境に対する負荷が生じにくい。さらに、砕石ダストは、セメント系固化材の調製のように化学的な処理などが不要であり、準備に手間を省くことができる。したがって、本第1実施形態の土壌固化材によれば、廃材を有効利用し、環境に対する負荷を低減しつつ、低コストで固化処理を行うことができる。
【0057】
第1実施形態の土壌固化材において、発熱材は、少なくとも土壌内に供給された状態で発熱する機能を有する。この発熱材は、第1材料に含まれる3種の材料(石灰、石膏、砕石ダスト)とは異なる材料である。発熱材は、酸素が遮断された状態で発熱が抑制され、酸素が供給されることにより発熱する材料であってもよい。発熱材は、酸化反応によって発熱する発熱材料を有していることが望ましく、例えば、発熱材料として鉄粉を含んでいるとよい。発熱材は、発熱材料(例えば、鉄粉)以外に、水、塩類、活性炭、保水材(バーミキュライト)等を含ませておき、公知の使い捨てカイロと同様の原理で発熱させてもよい。上記発熱材が上記発熱材料以外に水や塩類を含んでいれば、発熱材料(例えば、鉄粉)の酸化の速度をより速めるように促進することができる。上記発熱材が上記発熱材料以外に活性炭を含んでいれば、空気中の酸素を吸着して酸素濃度を高めることができる。上述の例では、例えば、発熱材が収容体内に収容されて発熱材に対する酸素供給が遮断又は抑制されていると、酸化反応が抑えられ、発熱材が収容体から土壌(内部に空気又は酸素が存在する土壌)内に供給されると、土壌内でFe+3/4O+2/3HO→Fe(OH)の反応式で示される酸化反応が生じ、水酸化第二鉄(Fe(OH))が生成される。なお、上述の例では、発熱材料として鉄粉が例示されたが、酸素が供給されることによって酸化が生じ得る他の金属の粉粒体であってもよい。
【0058】
1-2.土壌固化材の製造方法
第1実施形態に係る土壌固化材の製造方法について説明する。
第1実施形態に係る土壌固化材の製造方法は、第1準備工程、第2準備工程を含み、更に、混合工程が付加されてもよい。第1準備工程は、例えば、収集工程を含む。
【0059】
収集工程では、石又は岩(例えば岩石)を砕いて砕石ダストを生じさせる。収集工程は、主に破砕工程と抽出工程を含む。
【0060】
破砕工程は、公知の方法で石又は岩を破砕する工程である。破砕工程では、例えば、採石場などで岩又は石(例えば岩盤など)をクラッシャー(破砕機)などで破砕して砕石を作ることで、砕石ダストを生じさせる。なお、石又は岩の破砕方法(即ち、砕石の生成方法及び砕石ダストの生成方法)は、この例に限定されず、岩や石を破砕して砕石及び砕石ダストを生じさせ得る方法であれば、他の様々な公知方法を用いることができる。
【0061】
抽出工程は、破砕工程で生じた破砕物から土壌固化材に用いる砕石ダストを抽出する工程である。抽出工程では、クラッシャー(破砕機)などの破砕手段による破砕で生じた破砕物(砕石や砕石ダスト)の一部又は全部を選別対象とし、この選別対象の中から砕石ダストを抽出する。砕石ダストの抽出方法は、例えば、上記破砕物(砕石や砕石ダスト)から相対的に大きい砕石や異物を取り除き、残留物を所定の篩い目(目開き)の篩にかけることで当該目開き以上の粒径の石を除去し、当該目開き未満の粒径の砕石ダストを抽出する。より具体的には、例えば、上記破砕物(砕石や砕石ダスト)から相対的に大きい砕石や異物を取り除き、残留物を5mmの篩い目(目開き)の篩にかけることで当該目開き以上の粒径の石を除去し、当該目開き未満の粒径の砕石ダストを抽出し、収集する。なお、破砕物から相対的に大きい砕石や異物を取り除く方法は篩によって行ってもよく、その他の方法によって行ってもよい。
【0062】
なお、上述の説明では、5mmの目開きの篩によって砕石ダストを抽出する例を示したが、5mmよりも小さい目開きの篩によって砕石ダストを抽出してもよく、5mmよりも大きい目開きの篩によって砕石ダストを抽出してもよい。また、上述の説明では、上記破砕物から相対的に大きい砕石や異物を取り除いた後の残留物を所定目開きの篩にかけて砕石ダストを抽出する例を示したが、上記破砕物を直接的に所定目開きの篩にかけて砕石ダストを抽出してもよい。
【0063】
このように、第1準備工程では、上述の収集工程や抽出工程によって砕石ダストを準備することができる。なお、上述された第1準備工程はあくまで一例であり、砕石ダストを準備できる工程であれば、公知の他の方法を用いてもよい。第1準備工程では、石灰や石膏は、公知の様々な製造方法を用いて製造し、準備することができる。
【0064】
第2準備工程では、上述された発熱材を準備する。発熱材は、公知の使い捨てカイロの内容物と同様の方法で製造されて準備されてもよく、他の方法で製造されて準備されてもよい。
【0065】
混合工程では、抽出工程によって抽出及び収集された砕石ダストと、石灰と、石膏と、を混合する。具体的には、混合工程では、例えば、石灰、石膏、及び砕石ダストの合計を100重量%としたとき、石灰の含有割合が10~30重量%の範囲内となり、石膏の含有割合が10~30重量%の範囲内となり、砕石ダストの含有割合が50~70重量%の範囲内となるように、抽出工程によって抽出及び収集された砕石ダストと、石灰と、石膏と、を混合する。より具体的には、混合工程では、例えば、石灰、石膏、及び砕石ダストを、合計100重量%に対して、石灰の含有割合が20重量%程度、石膏の含有割合が20重量%程度、砕石ダストの含有割合が60重量%程度となるように配合して調製し、土壌固化材を生成する。このように調整された土壌固化材は、調整された配合で袋などに収容する。
【0066】
なお、混合工程で混合する石灰は、所定の粒径(例えば、0mmよりも大きく5mm未満の粒径)のものを、公知の方法で製造することができる。同様に、混合工程で混合する石膏は、所定の粒径(例えば、0mmよりも大きく5mm未満の粒径)のものを、公知の方法で製造することができる。
【0067】
混合工程では、石灰、石膏、砕石ダスト、に加え、上記発熱材を混合してもよい。混合工程において、石灰、石膏、砕石ダスト、発熱材を混合して土壌固化材を得る場合、石灰、石膏、砕石ダスト、発熱材の4種が少なくとも混合された土壌固化材(即ち、第1材料と第2材料が混合された土壌固化材)が得られる。
【0068】
混合工程では、石灰、石膏、砕石ダストを混合し、上記発熱材を混合しておかなくてもよい。この場合、石灰、石膏、砕石ダストを混合した第1材料と、発熱材を含む第2材料とを分けて管理することができる。この例では、土壌固化材は、第1材料と第2材料とが分けて管理され、土壌供給前又は土壌供給後に第1材料と第2材料が混合される土壌固化材として機能する。第1材料と第2材料を分けて管理する場合、例えば、第1材料を第1収容体内に収容し、第2材料を第2収容体内に収容しておくとよい。第1収容体や第2収容体は、例えば、樹脂製の袋やフレキシブルコンテナバックなどの包装体であってもよく、箱体などの容器であってもよい。
【0069】
このような土壌固化材の製造方法によれば、岩石を砕いて砕石を作る際に生じる砕石ダストを含む構成で土壌固化材を製造することができ、廃材となる砕石ダストを有効に利用することができる。また、砕石ダストは、岩石から生じる部材であり、セメント系固化材(セメントが多く含まれる固化材)のように化学的な物質が土壌に多量に残存する懸念がなく、環境に対する負荷がより抑えられる。さらに、砕石ダストは、セメント系固化材の調製のように化学的な処理などが不要又は少なくて済み、準備に際し手間を省くことができる。したがって、第1実施形態に係る土壌固化材の製造方法によれば、一部又は全部が廃材となりやすい石灰ダストを有効に利用することができ、環境に対する負荷を低減しつつ、低コストで固化処理を行うことができる。
【0070】
1-3.第1の土壌固化方法
第1実施形態に係る第1の土壌固化方法について説明する。
第1実施形態に係る第1の土壌固化方法は、第1実施形態に係る上述の土壌固化材を用いて行うことができる。この第1の土壌固化方法は、土壌固化材によって土壌を固化・改良する方法であり、主に、供給工程と、混合工程と、発熱工程とを含む。
【0071】
供給工程は、第1実施形態に係る上述の土壌固化材を土壌に対して供給する工程である。例えば、供給工程では、固化対象(改良対象)の土壌の対象土上に、土壌固化材を堆積するように供給する。或いは、供給工程では、固化対象(改良対象)の土壌の対象土上に、土壌固化材を均一の厚さとなるように散布する方式で供給する。供給工程では、既に混合された第1材料及び第2材料を土壌に供給してもよく、第1材料と第2材料を別々に土壌に供給してもよく、石灰、石膏、砕石ダスト、発熱材を別々に土壌に供給してもよい。
【0072】
この供給工程の後、混合工程を行う。混合工程では、供給工程によって土壌固化材(石灰、石膏、砕石ダスト、発熱材を含む固化材)が供給された土壌を、当該土壌固化材と混合させつつ撹拌手段によって撹拌する。混合工程では、例えば、バックホー又はスタビライザーを撹拌手段として用い、この撹拌手段によって上記土壌固化材と上記土壌とを混合しつつ撹拌する。バックホーは、公知のバックホーであり、パワーショベルやブルドーザーなどの作業車に鍬状の排土板が取り付けられ、掘削を行う。スタビライザーは、例えば、公知のロータリー式のスタビライザーであり、自走型であり、回転翼で土壌の混合撹拌を行う。なお、ここで例示された撹拌手段はあくまで一例であり、土壌固化材と土壌を混合しつつ撹拌し得る手段であれば、公知の他の手段を用いてもよい。
【0073】
このような第1の土壌固化方法によれば、土壌固化材を土壌に対して直接的に供給(散布や堆積等)した上で、バックホーやスタビライザーなどの撹拌手段によって混合撹拌することで、土壌を土壌固化材によって固化・改良することができる。バックホー又はスタビライザーのような汎用重機を用いることで、専用の設備やプラントが不要となり、土壌固化時のコストを低減することができる。
【0074】
発熱工程は、土壌内で発熱材を発熱させる工程である。例えば、混合工程は、供給工程によって土壌に供給された発熱材の発熱(発熱材料の酸化反応による発熱)が終了していない状態で終了する。この場合、発熱工程は、少なくとも混合工程の後、発熱材の発熱(発熱材料の酸化反応による発熱)が終了するまでの間において土壌内で発熱材を発熱させる。このような発熱により、土壌内の水分除去作用が促進され、土壌の固化が一層促進される。
【0075】
1-4.第2の土壌固化方法
第1実施形態に係る第2の土壌固化方法について説明する。
この第2の土壌固化方法は、第1実施形態に係る上述の土壌固化材を用いて行うことができる。この第2の土壌固化方法は、上記土壌固化材によって土壌を固化・改良する方法であり、上記土壌固化材を用いつつ、主に、供給工程(投入工程)と、混合工程と、発熱工程と、を行う。
【0076】
投入工程(供給工程)では、土壌と第1実施形態に係る上記土壌固化材とを混合装置内(例えば、改良機のミキサー内)に投入する。具体的には、投入工程(供給工程)では、土壌に加え、石灰、石膏、砕石ダスト、発熱材を混合装置内に投入するように供給する。
【0077】
混合工程では、上記投入工程の後、混合装置によって、土壌と土壌固化材とを混合しつつ撹拌して改良土を生成する。改良土は、土壌固化材の混合によって土壌の固化が開始された土である。
【0078】
発熱工程では、上記混合工程の後、上記混合工程によって得られた改良土を、土壌固化対象の場所に堆積させ、堆積後に発熱材の発熱状態を継続させる。
【0079】
[第1実施形態の変更例]
第1実施形態の変更例に係る土壌固化材は、土壌と混合させて土壌を固化させる土壌固化材であって、第1実施形態と同様の石灰、石膏、砕石ダスト、発熱材を含む。更に、第1実施形態の変更例に係る土壌固化材は、第1実施形態と同様の石灰、石膏、砕石ダストに加え、ペーパースラッジ灰又は焼却灰の少なくともいずれか追加材料として含む。
【0080】
第1実施形態の変更例に係る土壌固化材は、具体的には、ペーパースラッジ灰を追加材料として含み、石灰、石膏、砕石ダスト、ペーパースラッジ灰を含む粉粒体であってもよい。なお、ペーパースラッジは、製紙工程において発生する廃棄物であり、ペーパースラッジ灰は、ペーパースラッジを焼却して得られる灰である。ペーパースラッジ灰は、表面に多数の微細孔を有する多孔質であり、保水性や通気性などに優れる。
【0081】
第1実施形態の変更例に係る土壌固化材は、ペーパースラッジ灰に代えて又はペーパースラッジ灰と共に焼却灰を追加材料として含み、石灰、石膏、砕石ダスト、焼却灰を含む粉粒体であってもよい。焼却灰は、所定の燃焼対象を高温で燃焼させたときに得られる灰であり、例えば、可燃物を燃焼させた後に得られる灰である。燃焼灰は、有機物を燃焼させた後に得られる灰であることが望ましい。例えば、木を燃やしたことによって得られる木質灰を燃焼灰として用いてもよい。また、燃焼灰は、石炭灰などであってもよい。
【0082】
第1実施形態の変更例に係る土壌固化材は、上述した追加材料をどのような形で含む場合でも、石灰、石膏、砕石ダスト、及び追加材料のうち、砕石ダストの含有割合が最も大きいことが望ましい。但し、この例に限定されず、追加材料のほうが砕石ダストよりも含有割合が大きくてもよい。
【0083】
第1実施形態の変更例に係る土壌固化材は、第1実施形態と同様の製造方法によって製造することができる。但し、混合工程では、石灰、石膏、砕石ダストに加え、ペーパースラッジ灰又は焼却灰のいずれか又は両方を混合すればよい。
【0084】
第1実施形態に係る第1の土壌固化方法又は第2の土壌固化方法と同様の土壌固化方法に、第1実施形態の変更例の土壌固化材を用いることができる。具体的には、例えば、第1実施形態に係る第1の土壌固化方法において、第1実施形態に係る土壌固化材に代えて第1実施形態の変更例に係る土壌固化材を用いることができる。或いは、第1実施形態に係る第2の土壌固化方法において、第1実施形態に係る土壌固化材に代えて第1実施形態の変更例に係る土壌固化材を用いることができる。これにより、第1実施形態に係る第1の土壌固化方法又は第2の土壌固化方法と同様の効果を奏する。
【0085】
[第2実施形態]
2-1.土壌固化材の構成
第2実施形態に係る土壌固化材は、第1実施形態に係る土壌固化材において、砕石ダストの代わりに石灰ダストが含まれている。
【0086】
第2実施形態の土壌固化材は、石灰、石膏、及び石灰ダストを含む第1材料と、第1実施形態の土壌固化材と同一の発熱材を含む第2材料と、を有する。第1材料と第2材料は、予め混合された状態で管理されてもよく、第2材料が第1材料とは別々の収容体に収容されて管理されてもよい。土壌固化材は、第2材料が第1材料とは別々の収容体に収容されて管理される方式のものでは、第2材料が土壌に供給される少し前に第1材料に混合されてもよく、第2材料が土壌に供給された後に土壌と第1材料と第2材料とが混合されてもよい。
【0087】
第2実施形態の土壌固化材の第1材料は、石灰、石膏、及び石灰ダストが合計100重量%となるように、石灰の含有割合が10~30重量%の範囲内にあり、石膏の含有割合が10~30重量%の範囲内にあり、石灰ダストの含有割合が50~70重量%の範囲内にある。具体的には、第2実施形態の土壌固化材は、石灰、石膏、及び石灰ダストの合計100重量%に対して、石灰の含有割合が20重量%程度であり、石膏の含有割合が20重量%程度であり、石灰ダストの含有割合が60重量%程度であることが好ましい。
【0088】
第2実施形態の土壌固化材に含まれる石灰は、第1実施形態の土壌固化材に含まれる石灰と同様の石灰であり、土壌固化材を生成・構成する際のつなぎとして機能する。また、この石灰は、土壌を固化させる際のつなぎとしても機能する。石灰は、公知の石灰であり、後述する石灰ダストではない石灰である。石灰は、例えば、酸化カルシウム(CaO)によって構成されていてもよく、水酸化カルシウム(Ca(OH))によって構成されていていてもよく、炭酸カルシウム(CaCO)によって構成されていてもよい。石灰は、生石灰であってもよく、消石灰であってもよい。石灰は、例えば、粒径が0mmよりも大きく5mm未満(例えば、粒径が2mm以上且つ3mm未満の範囲)の粉粒体である。本実施形態の土壌固化材では、石灰、石膏、及び石灰ダストの合計を100重量%としたとき、粒径が0mmよりも大きく5mm未満の石灰が、10~30重量%の範囲内であることが望ましい。
【0089】
第2実施形態の土壌固化材に含まれる石膏は、土壌固化材を生成・構成する際のつなぎとして機能する。また、この石膏は、土壌を固化させる際のつなぎとしても機能する。石膏は、公知の石膏であり、硫酸カルシウム(CaSO)を主成分として構成されている。石膏は、具体的構成は限定されず、例えば、二水石膏、半水石膏、無水石膏である。石膏は、例えば、粒径が0mmよりも大きく5mm未満(例えば、粒径が0mmよりも大きく3mm未満)の粉粒体である。石膏は、第3実施形態の土壌固化材を土壌に混ぜて混合させた場合に、土壌を固化させる機能を有する。本実施形態の土壌固化材では、石灰、石膏、及び石灰ダストの合計を100重量%としたとき、粒径が0mmよりも大きく5mm未満の石膏が、10~30重量%の範囲内であることが望ましい。
【0090】
第2実施形態の土壌固化材に含まれる石灰ダストは、例えば土壌固化材の主成分として機能する。石灰ダストは、粉粒体である。石灰ダストは、例えば焼成炉で石灰石を焼成して生石灰を製造する際に発生する飛散ダストである。より具体的には、石灰ダストは、石灰石を焼成する際に焼成キルンの集塵機により捕集された乾燥ダストである。
【0091】
第2実施形態の土壌固化材に含まれる石灰ダストの粒径は、例えば、0mmよりも大きく5mm未満である。ここでいう石灰ダストの粒径は、石灰ダストの粒子を篩で篩って分離したときの篩い目(目開き)の大きさのことである。例えば粒径5mm未満の石灰ダストとは、篩い目(目開き)が5mmの篩を通過する石灰ダストのことであり、粒径5mm以上の石灰ダストとは、篩い目(目開き)が5mmの篩を通過しない石灰ダストのことである。本実施形態の土壌固化材は、石灰、石膏、及び石灰ダストの合計を100重量%としたとき、粒径5mm未満の石灰ダストの含有割合が50重量%以上且つ100重量%未満であることが望ましく、より望ましくは、50重量%以上且つ70重量%未満であるとよい。
【0092】
第2実施形態の土壌固化材において、石灰ダストは、石灰(石灰ダストとは異なる石灰)よりも含有割合(重量割合)が大きい。すなわち、この土壌固化材に含まれる石灰ダストの重量が当該土壌固化材に含まれる上記石灰の重量よりも大きくなる割合で含有されている。また、第2実施形態の土壌固化材において、石灰ダストは、石膏よりも含有割合(重量割合)が大きい。すなわち、この土壌固化材に含まれる石灰ダストの重量が当該土壌固化材に含まれる石膏の重量よりも大きくなる割合で含有されている。つまり、第2実施形態の土壌固化材において、石灰、石膏、及び石灰ダストのうち、石灰ダストの含有割合が最も大きい。また、第2実施形態の土壌固化材は、石灰ダストの総体積が、石灰の総体積よりも大きく、石膏の総体積よりも大きくなるような割合で構成されている。
【0093】
このような土壌固化材によれば、第1実施形態に係る土壌固化材と同様の効果又は近似する効果を奏する。
【0094】
2-2.土壌固化材の製造方法
第2実施形態に係る土壌固化材の製造方法について説明する。
第2実施形態に係る土壌固化材の製造方法では、第1実施形態に係る土壌固化材の製造方法と比較して、第1準備工程(具体的には収集工程)が異なっている。なお、第2準備工程は、第1実施形態と同様である。
【0095】
収集工程では、焼成炉で石灰石を焼成して生石灰を生成することで、石灰ダストを発生させる。石灰ダストは、公知の集塵機によって収集される。
【0096】
混合工程では、収集工程の後に収集された石灰ダストと、石灰と、石膏と、を混合する。混合工程では、例えば、石灰、石膏、及び石灰ダストの合計を100重量%としたとき、石灰の含有割合が10~30重量%の範囲内となり、石膏の含有割合が10~30重量%の範囲内となり、石灰ダストの含有割合が50~70重量%の範囲内となるように、石灰ダストと、石灰と、石膏と、を混合する。より具体的には、混合工程では、例えば、石灰、石膏、及び石灰ダストを、合計100重量%に対して、石灰の含有割合が20重量%程度、石膏の含有割合が20重量%程度、石灰ダストの含有割合が60重量%程度となるように配合して調製し、土壌固化材を生成する。このように調整された土壌固化材は、調整された配合で袋などに収容する。
【0097】
混合工程では、石灰、石膏、石灰ダスト、に加え、上記発熱材を混合してもよい。混合工程において、石灰、石膏、石灰ダスト、発熱材を混合して土壌固化材を得る場合、石灰、石膏、石灰ダスト、発熱材の4種が少なくとも混合された土壌固化材(即ち、第1材料と第2材料が混合された土壌固化材)が得られる。
【0098】
混合工程では、石灰、石膏、石灰ダストを混合し、上記発熱材を混合しておかなくてもよい。この場合、石灰、石膏、石灰ダストを混合した第1材料と、発熱材を含む第2材料とを分けて管理することができる。この例では、土壌固化材は、第1材料と第2材料とが分けて管理され、土壌供給前又は土壌供給後に第1材料と第2材料が混合される土壌固化材として機能する。第1材料と第2材料を分けて管理する場合、例えば、第1材料を第1収容体内に収容し、第2材料を第2収容体内に収容しておくとよい。第1収容体や第2収容体は、例えば、樹脂製の袋やフレキシブルコンテナバックなどの包装体であってもよく、箱体などの容器であってもよい。
【0099】
このような土壌固化材の製造方法によれば、焼成炉で石灰石を焼成して生石灰を作る際に生じる石灰ダストを含む構成で土壌固化材を製造することができ、一部又は全部が廃材となりやすい石灰ダストを有効に利用することができる。また、石灰ダストは、環境に対する大きな負荷が生じにくい。さらに、石灰ダストは、化学的な処理が不要又は少なくて済む。したがって、第2実施形態に係る土壌固化材の製造方法によれば、一部又は全部が廃材となりやすい石灰ダストを有効に利用することができ、環境に対する負荷を低減しつつ、低コストで固化処理を行うことができる。
【0100】
また、土壌固化材は、対象となる土壌が川原である場合、土壌固化材に川原で採取される砂利などが含まれていてもよい。この場合、対象土壌の成分を川原の成分に近づけることができる。
【0101】
2-3.土壌固化方法
第1実施形態に係る第1の土壌固化方法又は第2の土壌固化方法と同様の土壌固化方法に、第2実施形態の土壌固化材を用いることができる。具体的には、例えば、第1実施形態に係る第1の土壌固化方法において、第1実施形態に係る土壌固化材に代えて第2実施形態に係る土壌固化材を用いることができる。或いは、第1実施形態に係る第2の土壌固化方法において、第1実施形態に係る土壌固化材に代えて第2実施形態に係る土壌固化材を用いることができる。これにより、第1実施形態に係る第1の土壌固化方法又は第2の土壌固化方法と同様の効果を奏する。
【0102】
[第2実施形態の変更例]
第2実施形態の変更例に係る土壌固化材は、土壌と混合させて土壌を固化させる土壌固化材であって、第2実施形態と同様の石灰、石膏、石灰ダスト、発熱材を含む。更に、第2実施形態の変更例に係る土壌固化材は、第2実施形態と同様の石灰、石膏、石灰ダストに加え、ペーパースラッジ灰又は焼却灰の少なくともいずれか追加材料として含む。
【0103】
第2実施形態の変更例に係る土壌固化材は、具体的には、ペーパースラッジ灰を追加材料として含み、石灰、石膏、石灰ダスト、ペーパースラッジ灰を含む粉粒体であってもよい。なお、この場合、ペーパースラッジ灰は、第1実施形態の変更例で説明されたものと同様のものを用いることができる。
【0104】
第2実施形態の変更例に係る土壌固化材は、ペーパースラッジ灰に代えて又はペーパースラッジ灰と共に焼却灰を追加材料として含み、石灰、石膏、石灰ダスト、焼却灰を含む粉粒体であってもよい。この場合、焼却灰は、第1実施形態の変更例で説明されたものと同様のものを用いることができる。
【0105】
第2実施形態の変更例に係る土壌固化材は、上述した追加材料をどのような形で含む場合でも、石灰、石膏、石灰ダスト、及び追加材料のうち、石灰ダストの含有割合が最も大きいことが望ましい。但し、この例に限定されず、追加材料のほうが石灰ダストよりも含有割合が大きくてもよい。
【0106】
第2実施形態の変更例に係る土壌固化材は、第2実施形態と同様の製造方法によって製造することができる。但し、混合工程では、石灰、石膏、石灰ダストに加え、ペーパースラッジ灰又は焼却灰のいずれか又は両方を混合すればよい。
【0107】
第1実施形態に係る第1の土壌固化方法又は第2の土壌固化方法と同様の土壌固化方法に、第2実施形態の変更例の土壌固化材を用いることができる。具体的には、例えば、第1実施形態に係る第1の土壌固化方法において、第1実施形態に係る土壌固化材に代えて第2実施形態の変更例に係る土壌固化材を用いることができる。或いは、第1実施形態に係る第2の土壌固化方法において、第1実施形態に係る土壌固化材に代えて第2実施形態の変更例に係る土壌固化材を用いることができる。これにより、第1実施形態に係る第1の土壌固化方法又は第2の土壌固化方法と同様の効果を奏する。
【0108】
[第3実施形態]
3-1.土壌固化材の構成
第3実施形態に係る土壌固化材は、第1実施形態に係る土壌固化材において、砕石ダストの代わりに細骨材が含まれている。
【0109】
第3実施形態の土壌固化材は、石灰、石膏、及び細骨材を含む第1材料と、第1実施形態の土壌固化材と同一の発熱材を含む第2材料と、を有する。第1材料と第2材料は、予め混合された状態で管理されてもよく、第2材料が第1材料とは別々の収容体に収容されて管理されてもよい。土壌固化材は、第2材料が第1材料とは別々の収容体に収容されて管理される方式のものでは、第2材料が土壌に供給される少し前に第1材料に混合されてもよく、第2材料が土壌に供給された後に土壌と第1材料と第2材料とが混合されてもよい。
【0110】
第3実施形態の土壌固化材の第1材料は、石灰、石膏、及び細骨材が合計100重量%となるように、石灰の含有割合が10~30重量%の範囲内にあり、石膏の含有割合が10~30重量%の範囲内にあり、細骨材の含有割合が50~70重量%の範囲内にある。具体的には、土壌固化材は、石灰、石膏、及び細骨材の合計100重量%に対して、石灰の含有割合が20重量%程度であり、石膏の含有割合が20重量%程度であり、細骨材の含有割合が60重量%程度であることが好ましい。
【0111】
第3実施形態の土壌固化材に含まれる石灰は、第1実施形態の土壌固化材に含まれる石灰と同様の石灰であり、土壌固化材を生成・構成する際のつなぎとして機能する。また、この石灰は、土壌を固化させる際のつなぎとしても機能する。石灰は、公知の石灰であり、例えば、酸化カルシウム(CaO)によって構成されていてもよく、水酸化カルシウム(Ca(OH))によって構成されていていてもよく、炭酸カルシウム(CaCO)によって構成されていてもよい。石灰は、生石灰であってもよく、消石灰であってもよい。石灰は、例えば、粒径が0mmよりも大きく5mm未満(例えば、粒径が2mm以上且つ3mm未満の範囲)の粉粒体である。本実施形態の土壌固化材では、石灰、石膏、及び細骨材の合計を100重量%としたとき、粒径が0mmよりも大きく5mm未満の石灰が、10~30重量%の範囲内であることが望ましい。
【0112】
第3実施形態の土壌固化材に含まれる石膏は、土壌固化材を生成・構成する際のつなぎとして機能する。また、この石膏は、土壌を固化させる際のつなぎとしても機能する。石膏は、公知の石膏であり、硫酸カルシウム(CaSO)を主成分として構成されている。石膏は、具体的構成は限定されず、例えば、二水石膏、半水石膏、無水石膏である。石膏は、例えば、粒径が0mmよりも大きく5mm未満(例えば、粒径が0mmよりも大きく3mm未満)の粉粒体である。石膏は、第3実施形態の土壌固化材を土壌に混ぜて混合させた場合に、土壌を固化させる機能を有する。本実施形態の土壌固化材では、石灰、石膏、及び細骨材の合計を100重量%としたとき、粒径が0mmよりも大きく5mm未満の石膏が、10~30重量%の範囲内であることが望ましい。
【0113】
第3実施形態の土壌固化材に含まれる細骨材は、土壌固化材を生成・構成する際の主成分として機能する。この細骨材は、粉粒体である。細骨材は、砂、砂利、又はこれら混合したものである。砂は、岩石が破砕されてできた破片や粒子であり、砂は、天然砂であってもよく、人口砂であってもよい。砂利は、例えば岩石が破砕されてできた破片や粒子であり、例えば、直径が2mm以上且つ5mm未満の範囲の大きさのものである。砂利は、天然砂利であってもよく、人口砂利であってもよい。
【0114】
第3実施形態の土壌固化材に含まれる細骨材の粒径は、例えば、粒径が0.0625mm以上であり且つ25mm未満とするとよい。より望ましくは、細骨材は、粒径が0.0745mm以上であり且つ25mm未満とすることができる。或いは、細骨材は、粒径が0.0625mm以上であり且つ2mm未満とすることができる。細骨材は、粒径が0.0745mm以上であり且つ5mm未満の砂が含まれていてもよい。或いは、細骨材は、粒径が5mm以上であり且つ25mm未満の砂利が含まれていてもよい。ここでいう細骨材の粒径は、細骨材の粒子を篩で篩って分離したときの篩い目(目開き)の大きさのことである。例えば粒径2mm未満の細骨材とは、篩い目(目開き)が2mmの篩を通過する細骨材のことであり、粒径2mm以上の細骨材とは、篩い目(目開き)が2mmの篩を通過しない細骨材のことである。本実施形態の土壌固化材は、石灰、石膏、及び細骨材の合計を100重量%としたとき、粒径が0.0625mm以上であり且つ25mm未満の細骨材の含有割合が50重量%以上且つ100重量%未満であることが望ましく、より望ましくは、50重量%以上且つ70重量%未満であるとよい。
【0115】
第3実施形態の土壌固化材において、細骨材は、石灰よりも含有割合(重量割合)が大きい。つまり、第3実施形態の土壌固化材の第1材料において、細骨材は、石灰よりも含有割合(重量割合)が大きい。第3実施形態の土壌固化材は、当該土壌固化材に含まれる細骨材の重量が当該土壌固化材に含まれる石灰の重量よりも大きくなる割合で含有されている。また、第3実施形態の土壌固化材において、細骨材は、石膏よりも含有割合(重量割合)が大きい。つまり、第3実施形態の土壌固化材の第1材料において、細骨材は、石膏よりも含有割合(重量割合)が大きい。第3実施形態の土壌固化材は、当該土壌固化材に含まれる細骨材の重量が当該土壌固化材に含まれる石膏の重量よりも大きくなる割合で含有されている。第3実施形態の土壌固化材において、石灰、石膏、及び細骨材のうち、細骨材の含有割合が最も大きい。また、第3実施形態の土壌固化材は、細骨材の総体積が、石灰の総体積よりも大きく、石膏の総体積よりも大きくなるような割合で構成されている。
【0116】
このような土壌固化材によれば、第3実施形態に係る土壌固化材と同様の効果又は近似する効果を奏する。
【0117】
3-2.土壌固化材の製造方法
第3実施形態に係る土壌固化材の製造方法について説明する。
土壌固化材の製造方法では、第1実施形態に係る土壌固化材の製造方法において、第1準備工程(収集工程)が異なっている。なお、第2準備工程は、第1実施形態と同様である。
【0118】
収集工程では、細骨材(砂、砂利、又はこれらを混合したもの)を収集する。細骨材の収集方法は公知の様々な方法を用いることができる。
【0119】
混合工程では、収集工程の後に収集された細骨材と、石灰と、石膏と、を混合する。例えば、石灰、石膏、及び細骨材を、合計100重量%に対して、石灰の含有割合が20重量%程度、石膏の含有割合が20重量%程度、細骨材の含有割合が60重量%程度となるように配合して調製し、土壌固化材を生成する。
【0120】
混合工程では、石灰、石膏、細骨材、に加え、上記発熱材を混合してもよい。混合工程において、石灰、石膏、細骨材、発熱材を混合して土壌固化材を得る場合、石灰、石膏、細骨材、発熱材の4種が少なくとも混合された土壌固化材(即ち、第1材料と第2材料が混合された土壌固化材)が得られる。
【0121】
混合工程では、石灰、石膏、細骨材を混合し、上記発熱材を混合しておかなくてもよい。この場合、石灰、石膏、細骨材を混合した第1材料と、発熱材を含む第2材料とを分けて管理することができる。この例では、土壌固化材は、第1材料と第2材料とが分けて管理され、土壌供給前又は土壌供給後に第1材料と第2材料が混合される土壌固化材として機能する。第1材料と第2材料を分けて管理する場合、例えば、第1材料を第1収容体内に収容し、第2材料を第2収容体内に収容しておくとよい。第1収容体や第2収容体は、例えば、樹脂製の袋やフレキシブルコンテナバックなどの包装体であってもよく、箱体などの容器であってもよい。
【0122】
このような土壌固化材の製造方法によれば、第1実施形態に係る土壌固化材の製造方法と同様の効果を奏する。
【0123】
3-3.土壌固化方法
第1実施形態に係る第1の土壌固化方法又は第2の土壌固化方法と同様の土壌固化方法に、第3実施形態の土壌固化材を用いることができる。具体的には、例えば、第1実施形態に係る第1の土壌固化方法において、第1実施形態に係る土壌固化材に代えて第3実施形態に係る土壌固化材を用いることができる。或いは、第1実施形態に係る第2の土壌固化方法において、第1実施形態に係る土壌固化材に代えて第3実施形態に係る土壌固化材を用いることができる。これにより、第1実施形態に係る第1の土壌固化方法又は第2の土壌固化方法と同様の効果を奏する。
【0124】
[第3実施形態の変更例]
第3実施形態の変更例に係る土壌固化材は、土壌と混合させて土壌を固化させる土壌固化材であって、第3実施形態と同様の石灰、石膏、細骨材、発熱材を含む。更に、第3実施形態の変更例に係る土壌固化材は、第3実施形態と同様の石灰、石膏、細骨材に加え、ペーパースラッジ灰又は焼却灰の少なくともいずれか追加材料として含む。
【0125】
第3実施形態の変更例に係る土壌固化材は、具体的には、ペーパースラッジ灰を追加材料として含み、石灰、石膏、細骨材、ペーパースラッジ灰を含む粉粒体であってもよい。なお、ペーパースラッジ灰は、第1実施形態の変更例で説明されたものと同様のものを用いることができる。
【0126】
第3実施形態の変更例に係る土壌固化材は、ペーパースラッジ灰に代えて又はペーパースラッジ灰と共に焼却灰を追加材料として含み、石灰、石膏、細骨材、焼却灰を含む粉粒体であってもよい。焼却灰は、第1実施形態の変更例で説明されたものと同様のものを用いることができる。
【0127】
第3実施形態の変更例に係る土壌固化材は、上述した追加材料をどのような形で含む場合でも、石灰、石膏、細骨材、及び追加材料のうち、細骨材の含有割合が最も大きいことが望ましい。但し、この例に限定されず、追加材料のほうが細骨材よりも含有割合が大きくてもよい。
【0128】
第3実施形態の変更例に係る土壌固化材は、第3実施形態と同様の製造方法によって製造することができる。但し、混合工程では、石灰、石膏、細骨材に加え、ペーパースラッジ灰又は焼却灰のいずれか又は両方を混合すればよい。
【0129】
第1実施形態に係る第1の土壌固化方法又は第2の土壌固化方法と同様の土壌固化方法に、第3実施形態の変更例の土壌固化材を用いることができる。具体的には、例えば、第1実施形態に係る第1の土壌固化方法において、第1実施形態に係る土壌固化材に代えて第3実施形態の変更例に係る土壌固化材を用いることができる。或いは、第1実施形態に係る第2の土壌固化方法において、第1実施形態に係る土壌固化材に代えて第3実施形態の変更例に係る土壌固化材を用いることができる。これにより、第1実施形態に係る第1の土壌固化方法又は第2の土壌固化方法と同様の効果を奏する。
【0130】
[第4実施形態]
4-1.土壌固化材
本実施形態の土壌固化材としては、例えば、第1~第3実施形態のいずれかの土壌固化材又はいずれかの実施形態の変更例の土壌固化材と同一の土壌固化材が用いられてもよく、これらのいずれかから若干変更された土壌固化材が用いられてもよい。いずれの場合でも、用いられる土壌固化材は、土壌と混合させて当該土壌を固化させる土壌固化材である。この土壌固化材は、具体的には、水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかを固化するために用いられる固化材である。この土壌固化材を用いることで、後述の土壌固化方法を実現できる。本実施形態に係る土壌固化方法は、水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかにおいて固化状態の土壌を設ける土壌固化方法(固化土設置方法)である。
【0131】
本実施形態に係る土壌固化材は、石灰と、石膏と、砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、使用終了済み又は使用終了前のカイロと、を含む。「カイロ」は、第1~第3実施形態で用いられる発熱材と同一のものであってもよく、この発熱材が発熱しなくなった後の材料であってもよい。第1~第3実施形態で用いられる発熱材は、酸化反応に基づく発熱反応を終える前の使用終了前のカイロの一例に相当する。「使用終了前のカイロ」は、酸化反応に基づく発熱機能を発揮できる状態のカイロであり、具体的には、土壌と混合された状態で酸化反応(発熱反応)が生じ得るカイロである。「使用終了済みのカイロ」は、酸化反応に基づく発熱機能を発揮しない状態のカイロであり、具体的には、土壌と混合された状態で酸化反応が生じないカイロである。
【0132】
本実施形態において土壌に混合されるカイロは、酸化反応が生じない「使用終了済みのカイロ」であることが望ましいが、酸化反応の機能を終える前(発熱機能の発揮を終える前(例えば、発熱反応開始前又は発熱反応中))のカイロであってもよい。「使用終了前のカイロ」は、Fe+3/4O+2/3HO→Fe(OH)の反応式で示される酸化反応が生じ得るカイロであり、具体的には、土壌固化材に「使用終了前のカイロ」が含まれる場合、当該土壌固化材中におけるFeの含有割合が、当該土壌固化材中におけるFe(OH)の含有割合よりも大きい。逆に、土壌固化材に「使用終了済みのカイロ」が含まれる場合、当該土壌固化材中におけるFeの含有割合が、当該土壌固化材中におけるFe(OH)の含有割合よりも小さい。この場合、当該土壌固化材にFeが含有されていなくてもよい。このように、土壌固化材に「使用済みカイロ」が含まれる場合、「使用済みカイロ」には、水酸化第二鉄が含まれる。
【0133】
4-2.土壌固化方法
以下で説明される方法は、上述の土壌固化材を用いた固化方法であり、水が流れる領域又は水が溜まる領域において水に接する岸又は底の少なくともいずれかを固化する土壌固化方法である。
【0134】
本実施形態に係る土壌固化方法では、まず、供給工程を行う。供給工程では、砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、使用済み又は使用前のカイロと、を土壌に供給する。以下で挙げる代表例では、土壌固化材に含まれるカイロは、上述の「使用終了済みのカイロ」である。代表例の土壌固化材は、第1~第3実施形態のいずれかの土壌固化材において、発熱材を「使用終了済みのカイロ」に変更したものである。例えば、第1実施形態のいずれかの土壌固化材において、発熱材を「使用済みカイロ」に変更したものであってもよい。上述の「使用終了済みのカイロ」は、酸化反応に基づく発熱反応を終えた後の使用終了済みカイロの一例に相当し、水酸化第二鉄(例えば水酸化第二鉄の粉末)が含まれるものである。供給工程では、具体的には、砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、「使用終了済みのカイロ」と、を土壌に供給する。これらの土壌への供給は、容器内において行ってもよく、容器が無い場所に配置される土壌(例えば、屋外に配置された土壌など)に対して供給する形で行ってもよい。逆に、容器が無い場所に配置される土壌固化材に対して土壌を供給する形で行ってもよい。
【0135】
供給工程の次には、混合工程を行う。混合工程は、砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、上述の「使用終了済みのカイロ」と、土壌とを混合する。これらの混合は、土壌と土壌固化材と混合させつつ撹拌手段によって撹拌するように行ってもよい。、例えば、バックホー又はスタビライザーを撹拌手段として用い、この撹拌手段によって上記土壌固化材と上記土壌とを混合しつつ撹拌してもよい。
【0136】
混合工程の次には、固化工程を行う。固化工程は、混合工程により材料と石灰と石膏と上述の「使用終了済みのカイロ」と土壌とが混合された混合材料を固化させる工程である。例えば、固化工程の前に上記混合材料を上述の岸や底に配置し、このように配置した状態で、長時間放置することで上記混合材料を固化させ、固化土を構成してもよい。固化工程の前に上記混合材料を上述の岸や底に配置する場合に、このような配置を行う工程が、配置工程の一例に相当する。なお、配置工程の前に固化工程を行い、固化工程を経て固化された固化土(混合材料が固化されてなる固化土)を上記岸や上記底に配置してもよい。このように、配置工程は、固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、固化前又は固化後の上記混合材料(上記土壌及び上記土壌固化材を混合した材料)を岸又は底の少なくともいずれかに配置する工程である。
【0137】
図1図2の例では、水が流れる領域の一例として、川などの水路100における水が流れる領域170が例示される。水路100は、大規模の川、小規模の川や、その他の様々な水路が挙げられ、特に屋外において水が流れる様々な水路が該当し得る。領域170では、水180が流れる。領域170を流れる水の種類は限定されない。図1の例では、水路100は、一方側の岸192と、他方側の岸194と、領域170の底を構成する底196とを含む。岸192において水に接する領域に、上記土壌固化材が固化してなる固化部2(上記混合材料が固化してなる固化土)が設けられる。岸194において水に接する領域に、上記土壌固化材が固化してなる固化部4(上記混合材料が固化してなる固化土)が設けられる。底196において水に接する領域に、上記土壌固化材が固化してなる固化部6(上記混合材料が固化してなる固化土)が設けられる。なお、本実施形態の土壌固化材及び土壌固化方法において「使用終了済みのカイロ」を「使用終了前のカイロ」に変更し、本実施形態の土壌固化方法を実現してもよい。この場合、「使用終了前のカイロ」は、第1~第3実施形態で用いられる発熱材を使用することができる。
【0138】
この例では、「使用終了済みのカイロ」が含まれた固化土によって岸192,194や底196が構成されるため、岸192,194や底196に含まれる「使用終了済みのカイロ」の成分によって水に影響を及ぼすことができる。具体的には、、岸192,194や底196に含まれる水酸化第二鉄によって岸192,194や底196が接する水を浄化する作用を生じさせることができる。例えば、硫化水素などを除去する効果が高まる。
【0139】
[第5実施形態]
第5実施形態は、混合材料が配置される場所が第4実施形態と異なるだけであり、混合材料を製造するまでの工程は第4実施形態と同様である。混合材料は、第4実施形態の説明で例示された様々な例を採用することができる。
【0140】
本実施形態に係る土壌固化方法でも、第4実施形態と同様に供給工程及び混合工程を行う。そして、混合工程の次には、固化工程を行う。例えば、固化工程の前に上記混合材料を池の岸や底に配置し、このように配置した状態で、長時間放置することで上記混合材料を固化させ、固化土を構成してもよい。固化工程の前に上記混合材料を池の岸や底に配置する場合に、このような配置を行う工程が、配置工程の一例に相当する。なお、配置工程の前に固化工程を行い、固化工程を経て固化された固化土(混合材料が固化されてなる固化土)を上記岸や上記底に配置してもよい。このように、配置工程は、固化工程による固化を終える前又は固化を終えた後に、固化前又は固化後の上記混合材料(上記土壌及び上記土壌固化材を混合した材料)を岸又は底の少なくともいずれかに配置する工程である。
【0141】
図3図4の例では、水が溜まる領域の一例として、用水地などの池200における水が溜まる領域270が例示される。領域270は、水が溜まり得るように凹んだ地形の内側の領域である。領域270には、淡水などの水280が溜まる。池200は、領域270の周囲を構成する岸292と、領域270の底を構成する底296とを含む。岸292において水に接する領域には、上記土壌固化材が固化してなる固化部202(上述の混合材料が固化されてなる固化土)が設けられる。底部296において水に接する領域には、上記土壌固化材が固化してなる固化部206(上述の混合材料が固化されてなる固化土)が設けられる。
【0142】
[他の実施形態]
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0143】
上述した実施形態では、土壌固化材が砕石ダスト、石灰ダスト、及び細骨材のうちの1つを含む構成であったが、これらのうちの2つ以上の材料が含まれる構成としてもよい。
【0144】
上述した実施形態の変更例では、追加材料としてペーパースラッジ灰や焼却灰を例示したが、追加材料は、これら以外であってもよい。追加材料は、環境に負荷を与えない材料又は与えにくい材料であることが望ましく、化学物質を多く含まない材料であるとよい。例えば、貝殻などの生体鉱物が追加材料として含まれる構成であってもよく、有機物そのもの又は有機物の焼却灰が追加材料として含まれる構成であってもよい。例えば、土壌固化材は、対象土壌が海に近い場所にある場合、土壌固化材に海の近くで採取される貝殻などが含まれていてもよい。この場合、対象土壌の成分を海に近い場所に近づけることができる。
【0145】
上述した第1実施形態では、砕石ダストの粒径を5mm未満としたが、このようなサイズに限定されず、5mmよりも大きい粒径の砕石ダストが含まれていてもよい。例えば、石灰、石膏、及び砕石ダストの合計を100重量%としたとき、粒径10mm未満の砕石ダストの含有割合が50重量%以上且つ100重量%未満であってもよい。具体的には、粒径10mm未満の砕石ダストの含有割合が、50重量%以上且つ70重量%未満であるとよい。粒径30mm未満の砕石ダストの含有割合が、50重量%以上且つ70重量%未満であるとよい。
【0146】
上述した第1実施形態では、砕石ダストの採取場所として採石場を例示したが、その他の場所で採取されてもよい。
【0147】
いずれの場合でも、粒径は、上述した方法以外で定められる粒径であってもよい。例えば、上述した粒径は、球体積相当径であってもよく、長径や短径であってもよい。
【0148】
上述された実施形態の説明では、砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、が予め混合されて第1材料が構成されるが、第1材料は、使用前(土壌への供給前)に混合されていなくてもよい。例えば、砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、発熱材の4種の材料の各々が、土壌への供給の際に別々に供給され、土壌への供給後に、4種の材料と土壌とが混合されてもよい。あるいは、砕石ダスト、石灰ダスト、細骨材の少なくとも1つを含む材料と、石灰と、石膏と、発熱材の4種の材料のうちの2種又は3種の材料とその他の種類の材料とが土壌への供給の際に別々に供給され、土壌への供給後に、4種の材料と土壌とが混合されてもよい。
【0149】
上述された実施形態の説明では、発熱材として、酸化反応によって発熱する発熱材の具体例が示されたが、その他の化学反応によって発熱する発熱材であってもよい。例えば、発熱材が生石灰を含み、土壌に供給されたときに、土壌内に存在する水、又は別途供給される水と反応して発熱する材料であってもよい。
【0150】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0151】
2 :固化部
4 :固化部
6 :固化部
100 :水路
170 :領域
180 :水
192 :岸部
194 :岸部
196 :底部
200 :池
202 :固化部
206 :固化部
270 :領域
280 :水
292 :岸部
296 :底部
図1
図2
図3
図4