(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145663
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】発光型LED表示デバイス
(51)【国際特許分類】
G09G 3/32 20160101AFI20220926BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220926BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20220926BHJP
H05B 45/46 20200101ALI20220926BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20220926BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20220926BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/20 621A
G09G3/20 641D
G09F9/33
H05B45/46
H05B45/10
H05B47/16
G09G3/20 623B
G09G3/20 624B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022044060
(22)【出願日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】2102701
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】507362786
【氏名又は名称】コミサリア ア エナジー アトミック エ オックス エナジーズ オルタネティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジエ マルゴー
【テーマコード(参考)】
3K273
5C080
5C094
5C380
【Fターム(参考)】
3K273AA05
3K273BA07
3K273CA02
3K273CA09
3K273CA13
3K273DA02
3K273FA03
3K273FA07
3K273FA14
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3K273FA27
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3K273FA40
3K273GA25
3K273GA28
3K273GA29
3K273HA14
3K273HA15
5C080AA07
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD22
5C080FF09
5C080HH13
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080KK02
5C080KK07
5C080KK42
5C094AA45
5C094BA03
5C094BA25
5C094CA19
5C094DB01
5C094HA08
5C380AA03
5C380AB05
5C380AB34
5C380AC07
5C380AC08
5C380AC11
5C380AC12
5C380BA11
5C380CA08
5C380CA36
5C380CA53
5C380CB01
5C380CB31
5C380CE04
5C380CE19
5C380CF32
5C380DA02
5C380DA47
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画像の少なくとも1つの画素を表示可能な表示デバイスの基本モジュールに関する。
【解決手段】基本モジュール(100)は、-M個のグループ(G(i))に分散されたN個のLED(101(i,j))の第1の集合体であって、M個のグループの少なくとも1つが少なくとも2つのLEDを有しており、N及びMは整数であり、Mは2以上である第1の集合体と、-M個のグループのLEDに夫々関連付けられ、対応するグループ(G(i))のLEDに夫々共有されてグループのLEDの発光を連続的に制御するように夫々適合されているM個のバイアス回路(103(i))を有する制御回路とを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送基板と、前記移送基板上にアレイで配置されて一又は複数の電子チップのコンパクトな集合体を夫々形成する複数の基本モジュール(100; 300)とを備えており、
前記基本モジュールは、前記移送基板の対応する接続パッドに接合されて電気的に接続されている接続パッドであって、前記基本モジュールに電力を供給して前記基本モジュールを制御するために信号を伝えるように構成されている前記接続パッドを含む接続面を夫々有し、前記基本モジュールは、画像の少なくとも1つの画素を表示することが夫々可能であり、前記基本モジュールは、
- M個のグループ(G(i))に分散されたN個のLED(101(i,j))の第1の集合体であって、前記M個のグループの少なくとも1つが少なくとも2つのLEDを有しており、N及びMは整数であり、Mは2以上である前記第1の集合体と、
- LEDの前記M個のグループに夫々関連付けられ、対応するグループ(G(i))のLEDに夫々共有されて前記グループのLEDの発光を連続的に制御するように夫々適合されているM個のバイアス回路(103(i))を有する制御回路と
を夫々有しており、
前記基本モジュールは、時間領域で多重化される、前記基本モジュールのN個のLED(101(i,j))の発光パワーを調節するための個々の調節信号を受信するように構成されている、データパッドと称される少なくとも1つの接続パッド(DATA; DATA_R, DATA_G, DATA_B)を夫々有しており、
各基本モジュールでは、前記基本モジュールの各バイアス回路(103(i))は、前記基本モジュールの前記データパッドを前記バイアス回路の光パワー調節ノード(d_in)に連結する第1の選択スイッチ(SW)を有しており、前記グループ(G(i))のLED(101(i,j))を前記バイアス回路(103(i))のバイアス電流(ib)を供給するための同一のノードに夫々連結する第2の選択スイッチ(K(1), ... K(L))の集合体を更に有しており、選択されたLEDが受ける前記バイアス電流は、前記光パワー調節ノード(d_in)に送信される調節信号の関数である、表示デバイス。
【請求項2】
各基本モジュール(100; 300)では、前記M個のグループ(G(i))の各々は同一の数のLEDを有している、請求項1に記載の表示デバイス。
【請求項3】
各基本モジュール(100; 300)では、前記バイアス回路(103(i))は、各グループ(G(i))で前記グループのLED(101(i,j))毎に前記LEDの発光期間(T_E) が他の夫々のグループの対応するLED(101(i,j))の発光期間(T_E) と同時的であるように構成されている、請求項1又は2に記載の表示デバイス。
【請求項4】
各基本モジュール(100; 300)では、前記制御回路は、期間T_TRAME 中、前記N個のLED(101(i,j))の夫々の発光パワーを個々に調節するように構成されており、
期間T_TRAME は、L個の連続する期間Tjに分割されており、Lは整数であり、jは1~Lの範囲の整数であり、各期間Tjは、初期化期間T_INITと、その後の発光期間T_E とを有しており、
前記制御回路は、各期間Tjで、初期化期間T_INIT中、LEDの対応するグループG(i)のランクjのLEDの所望の発光パワーを個々に調節するための調節信号を前記M個のバイアス回路(103(i))に連続的に適用して、その後、前記発光期間(T_E) 中、個々の調節信号に応じてランクjのM個のLEDの発光を同時的に制御するように構成されている、請求項1~3のいずれか1つに記載の表示デバイス。
【請求項5】
各初期化期間T_INIT中、前記バイアス回路の第1の選択スイッチ(SW)は連続的にオンされて、オンされた前記第1の選択スイッチ(SW)によって選択されたグループの光パワー調節ノード(d_in)に、前記データパッドで受信した信号を送信し、前記第2の選択スイッチ(K(1), ... K(L))はオフであり、
各バイアス回路で、各発光期間T_E 中、前記第2の選択スイッチ(K(1), ... K(L))の内の1つの第2の選択スイッチがオンされ、グループ毎に1つのLEDを選択して、関連付けられたバイアス回路の前記光パワー調節ノードに送信された調節信号の関数であるバイアス電流を前記1つのLEDに与える、請求項4に記載の表示デバイス。
【請求項6】
各基本モジュール(100; 300)では、各バイアス回路(103(i))は、調節可能な強度のバイアス電流源(107) を有しており、
対応するグループのLED(101(i,j))の各々の発光パワーは、前記バイアス電流源(107) によって供給される電流を変えることによって調節される、請求項1~5のいずれか1つに記載の表示デバイス。
【請求項7】
各基本モジュール(100; 300)では、各バイアス回路(103(i))は固定バイアス電圧源を有しており、
対応するグループのLED(101(i,j))の各々の発光パワーは、例えばバイナリコード変調に応じて前記LEDの発光時間を変調することによって調節される、請求項1~5のいずれか1つに記載の表示デバイス。
【請求項8】
各基本モジュール(100; 300)では、各バイアス回路(103(i))は、調節可能な強度のバイアス電流源を有しており、
対応するグループのLED(101(i,j))の各々の発光パワーは、前記バイアス電流源(107) によって供給される電流を変えて、例えばバイナリコード変調に応じて前記LEDの発光時間を変調することによって調節される、請求項1~5のいずれか1つに記載の表示デバイス。
【請求項9】
各基本モジュール(100; 300)では、前記第1の集合体の前記N個のLEDは同一の第1の色を有し、
前記基本モジュールは、M個のグループ(G(i))に分散された同一の第2の色のN個のLED(101(i,j))の第2の集合体を更に有しており、前記M個のグループの少なくとも1つは少なくとも2つのLEDを有しており、
前記基本モジュールは、M個のグループ(G(i))に分散された同一の第3の色のN個のLED(101(i,j))の第3の集合体を更に有しており、前記M個のグループの少なくとも1つは少なくとも2つのLEDを有している、請求項1~8のいずれか1つに記載の表示デバイス。
【請求項10】
各基本モジュール(100; 300)では、前記LEDの第1の集合体はLEDチップを形成しており、前記制御回路は、前記LEDチップの表面に接するように置かれている制御チップを形成するCMOSタイプの集積回路である、請求項1~12のいずれか1つに記載の表示デバイス。
【請求項11】
各基本モジュール(100; 300)は、一組の同一寸法のN個の画像について同一の空間座標の1つの画素を表示するように構成されており、前記基本モジュールのN個のLEDは同一の画素のN個のサブ画素に対応し、各サブ画素は、多視点表示デバイスのN個の視野角に夫々対応するN個の画像の内の1つの画素を表示することが可能である、請求項1~10のいずれか1つに記載の表示デバイス。
【請求項12】
各基本モジュール(100; 300)は、前記第1の選択スイッチ及び前記第2の選択スイッチを制御するための内部信号を生成するために使用される制御信号の受信を可能にする制御パッドと称される少なくとも別の接続パッドを更に有している、請求項1~11のいずれか1つに記載の表示デバイス。
【請求項13】
同一の内部制御信号は、LEDの第1の集合体、第2の集合体及び第3の集合体の選択スイッチを制御するために使用され、
第1のデータパッド、第2のデータパッド及び第3のデータパッドは、光強度調節信号をLEDの第1の集合体、第2の集合体及び第3の集合体の各々に平行して送信すべく、前記第1の集合体、前記第2の集合体及び前記第3の集合体に夫々連結されている、請求項9を引用する請求項12に記載の表示デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光ダイオード(LED)を備えた発光型画像表示デバイス、例えばテレビ、コンピュータ、スマートフォン、タブレットなどのためのスクリーンの形成に関する。本開示は、より具体的にはこのようなデバイスの基本モジュールの形成に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許出願の国際公開第2017/089676号パンフレット、又は特許出願の国際公開第2018/185433号パンフレット及び国際公開第2018/185434号パンフレットに、以下に基本モジュールと称される複数の基本電子チップが同一の移送基板上にアレイで配置されている画像表示デバイスが既に提案されている。基本モジュールは、移送基板に固定して組み立てられて、制御のために移送基板の電気接続素子に接続されている。各基本モジュールは、一又は複数のLED及び前記一又は複数のLEDを制御するための回路を備えており、デバイスの画素に対応する。より具体的には、各基本モジュールは、基本モジュールの前記一又は複数のLEDを一体化するLEDチップと称される第1のチップと、基本モジュールの前記一又は複数のLEDを制御するための回路を含む制御チップと称される第2のチップとを備えている。LEDチップ及び制御チップは、互いに接するように置かれて互いに電気的に接続されており、この集合体は、移送基板の対応する接続端子に接続されるように構成されている接続端子を有する、いわゆるモノリシックモジュール、言い換えればコンパクトな集合体を形成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このタイプの画像表示デバイスのある態様を少なくとも部分的に向上させ得ることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態は、画像の少なくとも1つの画素を表示することが可能な表示デバイスの基本モジュールであって、
- M個のグループに分散されたN個のLEDの第1の集合体であって、前記M個のグループの少なくとも1つが少なくとも2つのLEDを有しており、N及びMは整数であり、Mは2以上である前記第1の集合体と、
- LEDの前記M個のグループに夫々関連付けられ、対応するグループのLEDに夫々共有されて前記グループのLEDの発光を連続的に制御するように夫々適合されているM個のバイアス回路を有する制御回路と
を有している前記基本モジュールを提供する。
【0005】
実施形態によれば、前記基本モジュールは、一又は複数の電子チップのコンパクトな集合体を形成しており、移送基板の対応する接続パッドに接合されて電気的に接続されるように構成されている接続パッドを含む接続面を有する。
【0006】
実施形態によれば、前記M個のグループの各々は同一の数LのLEDを有しており、Lは2以上の整数である。
【0007】
実施形態によれば、前記バイアス回路は、各グループで前記グループのLED毎に前記LEDの発光期間が他の夫々のグループの対応するLEDの発光期間と同時的であるように構成されている。
【0008】
実施形態によれば、前記制御回路は、期間T_TRAME 中、前記N個のLEDの夫々の発光パワーを個々に調節するように構成されている。
【0009】
実施形態によれば、期間T_TRAME は、L個の連続する期間Tjに分割されており、jは1~Lの範囲の整数であり、各期間Tjは、初期化期間T_INITと、その後の発光期間T_E とを有しており、前記制御回路は、各期間Tjで、初期化期間T_INIT中、LEDの対応するグループG(i)のランクjのLEDの所望の発光パワーを個々に調節するための調節信号を前記M個のバイアス回路に連続的に適用して、その後、前記発光期間中、個々の調節信号に応じてランクjのM個のLEDの発光を同時的に制御するように構成されている。
【0010】
実施形態によれば、前記基本モジュールは、外部デバイスに接続するための少なくとも1つの端子を有しており、前記端子は、時間領域で多重化される、前記電子チップのN個のLEDの発光パワーを個々に調節するための調節信号を受信するように構成されている。
【0011】
実施形態によれば、各バイアス回路は、前記端子を光パワー調節ノードに連結するスイッチと、対応するグループのLEDを、バイアス電流を供給するためのノードに夫々連結するスイッチの集合体とを有している。
【0012】
実施形態によれば、各バイアス回路は、調節可能な強度のバイアス電流源を有しており、対応するグループのLEDの各々の発光パワーは、前記バイアス電流源によって供給される電流を変えることによって調節される。
【0013】
実施形態によれば、各バイアス回路は固定バイアス電圧源を有しており、対応するグループのLEDの各々の発光パワーは、例えばバイナリコード変調に応じて前記LEDの発光時間を変調することによって調節される。
【0014】
実施形態によれば、各バイアス回路は、調節可能な強度のバイアス電流源を有しており、対応するグループのLEDの各々の発光パワーは、前記バイアス電流源によって供給される電流を変えて、例えばバイナリコード変調に応じて前記LEDの発光時間を変調することによって調節される。
【0015】
実施形態によれば、前記第1の集合体の前記N個のLEDは同一の第1の色を有し、前記基本モジュールは、M個のグループに分散された同一の第2の色のN個のLEDの第2の集合体を更に有しており、前記M個のグループの少なくとも1つは少なくとも2つのLEDを有しており、前記基本モジュールは、M個のグループに分散された同一の第3の色のN個のLEDの第3の集合体を更に有しており、前記M個のグループの少なくとも1つは少なくとも2つのLEDを有している。
【0016】
実施形態によれば、前記LEDの第1の集合体はLEDチップを形成しており、前記制御回路は、前記LEDチップの表面に接するように置かれている制御チップを形成するCMOSタイプの集積回路である。
【0017】
実施形態によれば、前記基本モジュールは、一組の同一寸法のN個の画像について同一の空間座標の1つの画素を表示するように構成されており、前記基本モジュールのN個のLEDは同一の画素のN個のサブ画素に対応し、各サブ画素は、多視点表示デバイスのN個の視野角に夫々対応するN個の画像の内の1つの画素を表示することが可能である。
【0018】
別の実施形態は、移送基板と、前記移送基板上にアレイで配置されている上記に定義されているような複数の基本モジュールとを備えており、前記基本モジュールは前記移送基板に固定して組み立てられており、前記基本モジュールに電力を供給して前記基本モジュールを制御するための信号を伝えるように構成されている、前記移送基板の電気接続素子に接続されている表示デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0020】
【
図1】実施形態に係る表示デバイスの基本モジュールの例の回路を示す電気回路図である。
【
図2】
図1の基本モジュールの動作の例を示すタイミング図である。
【
図3】実施形態に係る表示デバイスの基本モジュールの別の例を示す簡略図である。
【
図4】実施形態に係る基本モジュールを制御するための回路の例を更に詳細に示す図である。
【
図5】LEDの量子効率の曲線特性の例を示す図表である。
【
図6】実施形態に係る基本モジュールの動作の例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る基本モジュールの動作の別の例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る基本モジュールを制御するための回路の別の例を更に詳細に示す図である。
【
図9】実施形態に係る基本モジュールを制御するための回路の別の例を更に詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
同様の特徴が、様々な図で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態に共通する構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有してもよく、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有してもよい。
【0022】
明瞭化のために、本明細書に記載されている実施形態の理解に有用な工程及び要素のみが示されて詳細に記載されている。特に、記載されている表示デバイスの基本モジュールの製造は詳述されておらず、このようなモジュールの製造は、本開示の教示に基づく当業者の技能の範囲内である。各基本モジュールは、移送基板に固定して組み立てられて、制御のために移送基板の電気接続素子に接続されるように構成されている。各基本モジュールは、モノリシックチップ又は複数の電気的に接続されたモノリシックチップの集合体を備えている。一般に、基本モジュールは、マイクロ電子部品の製造方法に従って有利に得られる一又は複数の電子チップのコンパクトな集合体である。例えば同一又は同様の複数のモジュールが同一の移送基板上に組み立てられてもよく、各モジュールは、例えば表示デバイスの画素に対応する。例として、記載されている表示デバイスの基本モジュールは、複数のLED、及びトランジスタに基づく制御回路を夫々備えており、上記の特許出願の国際公開第2017/089676号パンフレットに記載されている方法と同一又は同様の方法に従って製造されてもよい。
【0023】
特に示されていない場合、共に接続された2つの要素を参照するとき、これは、導体以外のいかなる中間要素も無しの直接接続を表し、共に連結された2つの要素を参照するとき、これは、これら2つの要素が接続され得るか、又は、一若しくは複数の他の要素を介して連結され得ることを表す。
【0024】
「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、特に指定されていない場合、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0025】
図1は、実施形態に係る表示デバイスの画素100 の例の回路を示す電気回路図である。この例では、モジュール100 は、制御チップ及びLEDチップの集合体によって形成されたモノリシックモジュールである。LEDチップは例えば、制御チップの最上部に制御チップと接して配置されている。例として、LEDチップは、制御チップの上面側に配置された電気接続端子に電気的に接続された電気接続端子を下面側に有している。
【0026】
いわゆる多視点表示デバイスの形成、すなわち、表示される画像が画素に分割され、画素が、示される所望のシーンの異なるビューに対応する複数のサブ画素を夫々有する表示デバイスの形成が、より具体的に検討される。例として、同一の画素の異なるサブ画素は、異なる視野角で撮像された同一のシーンの異なる画像の同一の画素に夫々対応する。多視点表示デバイスは例えば、三次元表示の印象をユーザに与えることが望ましい用途に使用されてもよい。
【0027】
図1の例では、表示デバイスは単色のデバイスである。各モジュール100 は、モジュールのLEDチップを形成する、同一の色、すなわち同一の中心発光波長を有するN個の基本LED101 の集合体を備えている。Nは整数であり、好ましくは4以上である。N個のLED101 は、例えば全て製造ばらつきの範囲内で同一である。モジュールのN個のLEDは個別に制御可能であり、多視点画素のN個のサブ画素に夫々対応する。各モジュールは、LEDチップに接するように置かれてLEDチップに電気的に接続されて、モジュールの制御チップを形成する、N個のLEDを制御するための集積回路、例えばCMOS(相補型金属酸化物半導体)回路を更に備えている。
【0028】
表示デバイスは、同一の移送基板に、例えばアレイ配置で配置される同一又は同様の複数の基本モジュール100 を備えてもよい。移送基板は、例えば、モジュールの電力供給及び制御のために電気接続素子を有している受動移送基板である。
【0029】
図1の例では、モジュール100 のN個のLED101 が、L個のLEDのM個のグループG(1),..., G(M)に夫々分散している。M及びLは2以上の整数である。参照符号101(i,j)は以降、グループG(i)のランクjのLED101 を表す。iは1~Mの範囲内の整数であり、jは1~Lの範囲内の整数である。
【0030】
図1の例では、モジュール100 を制御するための回路は、LEDのM個のグループG(1),..., G(M)に夫々関連付けられているM個のバイアス回路103(1),..., 103(M)を有している。モジュール100 を制御するための回路は、M個のバイアス回路103(i)を制御するための回路105 を更に有している。
【0031】
M個のバイアス回路103(1),..., 103(M)は、例えば製造ばらつきの範囲内で同一である。各バイアス回路103(i)は、対応するグループG(i)のL個のLED101(i,1),..., 101(i,L)のアノードに夫々連結されている、好ましくは接続されているL個の出力ノードS(1),..., S(L)を有している。この例では、LEDの各グループG(i)で、LEDのカソードが、モジュールの一定の基準電位が与えられる同一のノードGNDLED、例えば接地に連結されている、好ましくは接続されている。(不図示の)変形例として、LEDの向きが反転されてもよい。言い換えれば、各LED101(i,j)は、バイアス回路103(i)の対応する出力ノードS(j)に連結されている、例えば接続されているカソードと、基準電位が与えられる端子に連結されている、例えば接続されているアノードとを有してもよい。そのため、バイアス回路103 は、前述した回路に相補的なCMOS回路であってもよい。
【0032】
図1の例では、各バイアス回路103(i)は、対応するグループG(i)のL個のLED101(j)に共通するバイアス電流源107 を有している。バイアス電流源107 は、バイアス電流源107 によって供給されるバイアス電流を調節するための設定点信号を受けるように構成されている入力ノードd_inを有している。バイアス電流源107 は、入力ノードd_inに与えられる設定点信号の値に応じてバイアス電流ibを供給するように構成されている出力ノードout を更に有している。
【0033】
この例では、各バイアス回路103(i)は、バイアス回路103(i)のL個の出力ノードS(1),..., S(L)をバイアス回路103(i)のバイアス電流源107 の出力ノードout に夫々連結するL個の個々に制御可能なスイッチK(1),..., K(L)を更に有している。各スイッチK(j)は、バイアス回路103(i)のバイアス電流源107 の出力ノードout に連結される、例えば接続される第1の伝導ノードと、バイアス回路103(i)の同一のランクjの出力ノードS(j)に連結されている、例えば接続されている第2の伝導ノードとを有している。
【0034】
図1の例では、各バイアス回路103(i)はスイッチSWを更に有している。スイッチSWは、電流源107 の制御ノードd_inを、モジュール100 を制御するための信号が与えられる端子DATAに連結する。より具体的には、スイッチSWは、端子DATAに連結される、例えば接続される第1の伝導ノードと、ノードd_inに連結されている、例えば接続されている第2の伝導ノードとを有している。入力端子DATAは、モジュール100 の全てのLEDに共通である。M×L個のLED 101の個々の輝度調節信号が、端子DATAで時分割多重化される。モジュールのM個のスイッチSW及びM×L個のスイッチK(j)により、M×L個のLED 101を個々に制御するための輝度調節信号を逆多重化することが可能になる。
【0035】
制御回路105 により、M個のスイッチSW及びM×L個のスイッチK(j)を制御することが可能になる。より具体的には、この例では、制御回路105 は、M個のスイッチSWを夫々制御するためにMビットの制御信号W_ENを生成する。この例では、制御信号W_ENは、M個のスイッチSWの制御ノードに夫々接続されている、制御回路105 のM個の出力ノードのパラレルポートに供給される。制御回路105 は、各バイアス回路103(i)のL個のスイッチK(j)を夫々制御するためにLビットの制御信号LED_ENを更に生成する。この例では、同一の制御信号LED_ENが、M個のバイアス回路103(i)に平行して与えられる。信号LED_ENは、M個のバイアス回路103(i)の各々のL個のスイッチK(j)の制御ノードに夫々接続されている、制御回路105 のL個の出力ノードのパラレルポートに与えられる。従って、信号LED_ENの各ビットLED_EN<j> は、制御回路の同一のランクjのM個のスイッチK(j)の制御ノードに同時的に与えられる。言い換えれば、1~Lの範囲のランクj毎に、同一のランクjのM個のスイッチK(j)は全て同一の状態に同時的に制御される。従って、1~Lの範囲のランクj毎に、同一のランクのM個のLED101(i,j)は全て発光モードで同時的に起動して、同時的に動作を停止する。
【0036】
図2は、
図1のモジュール100 の動作の例を示すタイミング図である。
【0037】
図2は、制御回路105 によって供給される制御信号W_EN(Mビット)及び制御信号LED_EN(Lビット)の時間変化を概略的に示す。
【0038】
M×L個の特定の輝度レベルに応じてモジュール100 のM×L個のLED 101を個々に制御することができる時間に対応する期間T_TRAME を以下に定義する。新たな期間T_TRAME 毎に、M×L個のLED 101の輝度レベルを変更してもよい。
【0039】
期間T_TRAME は、例えばT_TRAME/Lに実質的に等しい、例えば実質的に同一の継続時間のL個の連続する期間T1, T2, … TLに分割される。
【0040】
各期間Tj中、モジュールの同一のランクjのM個のLED101(1,j), ... 101(M,j)は発光モードで同時的に制御される。他のLED 101は動作を停止する。
【0041】
より具体的には、この例では、各期間Tjは2つの連続する期間T_INIT及び期間T_E に分割される。期間T_INITは初期化期間であり、期間T_E は発光期間である。
【0042】
期間T_INIT中、モジュールのデータ入力端子DATAで連続的に受信される、M個のLED101(1,j),..., 101(M,j)を調節するための信号が、M個のバイアス回路103(i)の夫々のバイアス電流源107 の入力端子d_inに連続的に与えられる。より具体的には、この例では、期間T_INITは、例えばT_INIT/Mに実質的に等しい、例えば実質的に同一の継続時間のM個の連続する期間t1,..., tMに分割される。期間ti(iは1~Mの範囲内である)毎に、バイアス回路103(i)のスイッチSWはオン状態に制御され、他のスイッチSWはオフに維持される。従って、端子DATAに与えられる調節信号は、バイアス回路103(i)のバイアス電流源107 の入力端子d_inに送信される。従って、M個のバイアス回路103(i)のバイアス電流源107 は、LED101(1,j), ..., 101(M,j)の夫々の所望の輝度レベルに対応する電流値に連続的に調節される。
【0043】
発光期間T_E 中、M個のバイアス回路103(i)のスイッチK(j)は同時的にオンされる一方、他のスイッチKは全てオフに維持される。従って、LED101(1,j), ..., 101(M,j)は、期間T_INIT中に個々に調節される輝度レベルで同時的に発光する。他のLED 101は動作停止状態である。発光期間T_E 中、M個のスイッチSWは全てオフ状態に同時的に制御されてもよい。
【0044】
発光期間T_E の終わりに、新たな期間Tj+1が開始する。この新たな期間中、LED101(1,j+1), ..., 101(M,j+1) が個々に調節されて、次に発光モードで同時的に制御される。
【0045】
このようにして、LEDのM個のグループG(i)で平行して、各グループG(i)のL個のLED101 の連続的な走査が実行される。
【0046】
図1の構造及び
図2に関連して記載されている動作の利点は、L個のLED 101のグループで共有されるバイアス回路103(i)の存在に関連付けられる。このため、LED制御回路の一般的な体積を制限することが可能になる。特に、制御回路105 のサイズは相対的に制限される。例として、制御回路105 は、信号LED_EN及び信号W_ENを夫々生成するために夫々Lビット及びMビットの、図面に詳細に示されていない2つのシフトレジスタを有してもよい。
【0047】
モジュール100 の外側の接続端子の数は、1つの端子DATAでのデータ信号の時分割多重化により更に相対的に少ない。例として、モジュール100 は、端子DATAに加えて、高電源電位源に接続された端子VDD 、及び低電源電位源に接続された端子GND を有してもよい。各バイアス電流源107 は、端子VDD に連結されている、例えば接続されている電源ノードを有してもよい(接続は
図1に詳細に示されていない)。端子GND は、ノードGNDLEDに連結されてもよく、例えば接続されてもよい(接続は
図1に詳細に示されていない)。モジュール100 は、制御信号が与えられる一又は複数の端子を更に有してもよい。例として、モジュール100 は、信号W_ENを生成するシフトレジスタを制御するための信号が与えられる(
図1に詳細に示されていない)3つの端子で形成されたポートCT_Wと、信号LED_ENを生成するシフトレジスタを制御するための信号が与えられる(
図1に詳細に示されていない)3つの端子で形成された部分CT_LEDとを有してもよい。ポートCT_Wは、例えば、信号W_ENを生成するシフトレジスタのクロック信号が与えられる第1の端子、信号W_ENを生成するシフトレジスタをリセットするための信号が与えられる第2の端子、及び信号W_ENを生成するシフトレジスタを初期化するための信号が与えられる第3の端子を有している。ポートCT_LEDは、例えば、信号LED_ENを生成するシフトレジスタのクロック信号が与えられる第1の端子、信号LED_ENを生成するシフトレジスタをリセットするための信号が与えられる第2の端子、及び信号LED_ENを生成するシフトレジスタを初期化するための信号が与えられる第3の端子を有している。従って、この例では、モジュール100 は、LEDチップと制御チップとの間の内部電気接続部に加えて、移送基板の対応する接続端子に夫々接続されるように構成されている9個の電気接続端子を有している。
【0048】
図3は、実施形態に係る表示デバイスのモジュール300 の別の例を示す簡略図である。
【0049】
図3のモジュール300 は、モジュール300 ではLEDチップが複数の色のLED、すなわち異なる中心発光波長を有するLEDを有している点で
図1のモジュール100 とは主に異なる。
図3の例では、モジュール300 のLEDチップは、3つの異なる色のLED、例えば赤色の光を主に放射するように適合された第1のLED、緑色の光を主に放射するように適合された第2のLED、及び青色の光を主に放射するように適合された第3のLEDを有している。
図1の例と同様に、モジュール300 は、LEDチップに接するように置かれてLEDチップに電気的に接続されて、LEDチップのLEDを個々に制御するように適合された制御チップを有している。
【0050】
図3の例では、
図1のモジュールのM×L個の基本LED 101、M個のバイアス回路103(i)及びデータ入力端子DATAを備えている集合体が、異なる色の3つのタイプの基本LEDで3回(色毎に1回)再現されている。M個のバイアス回路103(i)は、場合によっては赤色、青色又は緑色のLEDに接続されるか否かに応じて異なる平均電流を供給するように適合されてもよいが、バイアス回路の構造は変更されないままである。
【0051】
図3では、3つの発光色に対応するデータ入力端子が、参照符号DATA_R、参照符号DATA_G及び参照符号DATA_Bで夫々表されている。更に、参照符号301Rは、M×L個の赤色LED 101及び対応するバイアス回路103(i)の集合体を表し、参照符号301Gは、M×L個の緑色LED 101及び対応するバイアス回路103(i)の集合体を表し、参照符号301Bは、M×L個の青色LED 101及び対応するバイアス回路103(i)の集合体を表す。
【0052】
図3の例では、制御回路105 は3つの色で共有されている。この制御回路及びその動作は、例えば
図1及び
図2に関連して記載されているものと同一又は同様である。
【0053】
従って、
図2を参照すると、期間T_TRAME の各期間Tj中、集合体301Rの同一のランクjのM個のLED101、集合体301Gの同一のランクjのM個のLED 101、及び集合体301Bの同一のランクjのM個のLED 101は発光モードで同時的に制御され、他のLED 101は動作を停止する。
【0054】
より具体的には、段階Tjの初期化期間T_INIT中、モジュールのデータ入力端子DATA_Rで連続的に受信される、集合体301RのM個のLED101(1,j),..., 101(M,j)を調節するための信号が、上述されたものと同一又は同様に集合体301RのM個のバイアス回路103(i)の夫々のバイアス電流源107 の入力端子d_inに連続的に与えられる。平行して且つ同様に、モジュールの入力端子DATA_Gで連続的に受信される、集合体301GのM個のLED101(1,j),..., 101(M,j)を調節するための信号が、集合体301GのM個のバイアス回路103(i)の夫々のバイアス電流源107 の入力端子d_inに連続的に与えられ、モジュールの入力端子DATA_Bで連続的に受信される、集合体301BのM個のLED101(1,j),..., 101(M,j)を調節するための信号が、集合体301BのM個のバイアス回路103(i)の夫々のバイアス電流源107 の入力端子d_inに連続的に与えられる。
【0055】
より具体的には、段階Tjの期間T_INITの期間ti(iは1~Mの範囲内である)毎に、集合体301R, 301G, 301Bの各々で、バイアス回路103(i)のスイッチSWはオン状態に制御され、他のスイッチSWはオフに維持される。従って、端子DATA_R、端子DATA_G及び端子DATA_Bに夫々与えられる調節信号は、集合体301R、集合体301G及び集合体301Bの夫々のバイアス回路103(i)のバイアス電流源107 の入力端子d_inに送信される。従って、集合体301R、集合体301G及び集合体301Bの各々では、M個のバイアス回路103(i)のバイアス電流源107 は、集合体のLED 101(1,j), ..., 101(M,j)の夫々所望の輝度レベルに対応する電流値に連続的に調節される。
【0056】
発光期間T_E 中、集合体301R、集合体301G及び集合体301Bの各々で、M個のバイアス回路103(i)のスイッチK(j)は同時的にオンされる一方、他のスイッチKは全てオフに維持される。従って、集合体のLED101(1,j), ..., 101(M,j)は、期間T_INIT中に個々に調節される輝度レベルで同時的に発光する。他のLED 101は動作停止状態である。発光期間T_E 中、M個のスイッチSWは全て同時的にオフされてもよい。
【0057】
図3の例では、モジュール300 は、LEDチップと制御チップとの間の内部電気接続部に加えて、移送基板の対応する接続端子に夫々接続されるように構成されている11個の電気接続端子を有している。
【0058】
図4は、実施形態に係るモジュールを制御するための回路の例を更に詳細に示す。
図4は、
図1のモジュール100 のバイアス回路103(i)の実施形態の例をより具体的に示す。
【0059】
この例では、バイアス回路103(i)は、カスコード型電流源を形成する2つのトランジスタM1, M2を有している。図示されている例では、トランジスタM1, M2はPチャネルMOSトランジスタである。トランジスタM1は、ノードVDD に連結されている、例えば接続されているソース、及び中間ノードn1に連結されている、例えば接続されているドレインを有している。トランジスタM2は、ノードn1に連結されている、例えば接続されているソース、及びノードout に連結されている、例えば接続されているドレインを有している。トランジスタM1のゲートは、ノードd_inに連結されている、例えば接続されている。トランジスタM2のゲートは、一定の電圧が印加されるノードVcasc に連結されている、例えば接続されている。この例では、各バイアス回路103(i)は、電流源107 の出力ノードout を端子DATAに連結するスイッチSW' を更に有している。スイッチSW' は、端子DATAに連結される、例えば接続される第1の伝導ノードと、ノードout に連結されている、例えば接続されている第2の伝導ノードとを有している。スイッチSW' は、ノードW_EN<i> に連結されている、例えば接続されている制御ノードを有している。各バイアス回路103(i)では、バイアス回路のスイッチSW及びスイッチSW' は、例えば同一の状態に同時的に制御される。スイッチSW及びスイッチSW' がオン状態であるとき、トランジスタM2のドレインが、トランジスタM1のゲートに連結されている、例えば接続されている。ノードd_inとノードVDD との間の電位差は、出力ノードout に電流源107 によって供給されるバイアス電流ibの強度を定め、ひいては電流ibが与えられるLED101(i,j)の発光の光強度を定める。(図面に詳細に示されていない)トランジスタM1のゲート-ソース静電容量により、ノードd_inとノードVDD との間の電圧をLEDの発光時間に亘って実質的に一定に維持することが可能になる。
【0060】
変形例として、カスコード型集合体が単純なトランジスタに置き換えられてもよい。この場合、トランジスタM2は省略され、そのため、トランジスタM1のドレインはノードout に直接連結されている、例えば接続されている。より一般的には、電流源107 の他の実装を提供することは当業者の技能の範囲内である。別の変形例では、電圧制御が提供されてもよい。この場合、トランジスタM2は省略されてもよく、トランジスタM1が、電圧フォロワとして機能するNチャネルMOSトランジスタに置き換えられてもよい。
【0061】
図4の例では、制御信号W_EN<i> は、電流源107 の入力ノードd_inを端子DATAに連結するスイッチSW、及び電流源107 の出力ノードout を端子DATAに連結するスイッチSW' を直接制御する。更に、この例では、スイッチK(1), ..., K(L) は、信号LED_EN<1:L> によって直接制御されず、信号LED_EN<1:L> 及び補完信号W_EN(i) の組み合わせによって制御される。言い換えれば、信号LED_EN<j> が高状態であり、信号W_EN<i> が低状態である(バイアス回路103(i)のスイッチSWがオフである)ときのみ、各スイッチK(j)はオン状態に制御される。
【0062】
上述した例では、LEDバイアス回路の初期化時間を無視すると、各LEDの発光時間T_E はT_TRAME/Lと実質的に等しい。従って、非多重化表示デバイス、すなわち全てのLEDが期間T_TRAME 全体に亘って同時的に発光する表示デバイスと比較すると、同等の輝度レベルを得るためにバイアス電流ibの強度にLを掛ける必要がある。これは、LEDが高バイアス電流に関してより好ましい外部量子効率(EQE) を一般に有するので有利である。バイアス回路103(i)の数M、ひいては各バイアス回路103(i)によってアドレス指定される基本LEDの数Lは、外部量子効率を最大化するように選択されてもよい。
【0063】
図5は、LEDに与えられるバイアス電流の密度I(横座標)に応じた、LEDの外部量子効率EQE (縦座標)の変化を概略的に示す図である。
【0064】
図5に示されているように、外部量子効率は、電流値の最大値IMAXを有する釣鐘形状である。継続時間T_TRAME に亘る連続的な発光の場合(すなわち、非多重化デバイスで)LEDにバイアスをかけることが望ましい範囲P1の平均強度をI0と称する。この例では、値I0は最大値IMAXより小さい。
【0065】
図1の例を考慮すると、比IMAX/I0がN-1より小さい場合(Nは多視点画素の異なるビューの数に相当するサブ画素の数である)、Lは、E[IMAX/I0]+1に等しいように選択されることが好ましい。ここで、E[IMAX/I0]はIMAX/I0 の整数部を表し、MはE[(N-1)/L]+1に等しい。そのため、LED毎の発光時間はT_TRAME/Lと実質的に等しく、ひいては各LEDの平均バイアス電流ILEDはI0×Lと実質的に等しく、すなわちI0×(E[IMAX/I0]+1)と実質的に等しくなる。従って、電流ILEDは、より高い値から電流IMAXに近づく。これにより、LEDの外部量子効率を最大限に高めることが可能である。
【0066】
この構成が、(初期化段階T_INITの継続時間を無視できるとみなして)
図6に概略的に示されている。
【0067】
比IMAX/I0がN-1より大きい場合、平均バイアス電流I0が電流IMAXに近づくように、各LEDの発光時間がT_TRAME/Lより短いことが好ましい。そのため、期間T_TRAME の各期間Tjは、LEDがオフである期間を有してもよい。言い換えれば、各LEDは、発光に割り当てられる期間T_E の一部だけで発光する。
【0068】
この構成が、(初期化段階T_INITの継続時間を無視できるとここでも再度みなして)
図7に概略的に示されている。
【0069】
図5は、各LEDの有効発光時間の減少により、値IMAXの周囲の範囲P1の置き換えに対応する電流IMAXを中心とした範囲P2を概略的に示す。
【0070】
図8は、実施形態に係るモジュールを制御するための回路の別の例を更に詳細に示す。
図8は、
図1のモジュール100 のバイアス回路103(i)の代替的な実施形態をより具体的に示す。以下の記載では、
図1のバイアス回路103(i)に対する差のみが強調される。
【0071】
この例では、バイアス回路103(i)は時間バイアス回路である。言い換えれば、LEDに印加されるバイアス電圧は一定の値を有する。LEDの個々の輝度レベルは、各LEDの発光時間の変調によって制御される。例えば毎秒50フレーム以上の十分に高いリフレッシュレベルでは、残像により、各期間T_TRAME 中の各LEDから認識される輝度を平均化することができる。例として、各LEDの発光時間の変調はバイナリコード変調であり、例えばBCM (Binary Code Modulation)タイプの変調である。認識される輝度をL_PERCUEとし、LEDに印加される一定のバイアス電圧VREFによって定められる一定の輝度をL0とし、符号化された輝度情報を有するビットの数をnとし、符号化の重みkのビットをbkとし、kは1~nの範囲内の整数であるとすると、以下の通りになる。
【0072】
【0073】
図8の例では、電流源107 は省略され、スイッチK(1), ... K(L)は、LED101(i,1), ... 101(i,L)の夫々のアノードを、一定のバイアス電位VREFが与えられる同一のノードに直接連結する。
【0074】
この例では、輝度情報は、期間T_TRAME の各期間Tjの段階T_INITの期間ti中、バイアス回路103(i)のメモリ回路又はレジスタ801(MEM)にバイナリ形式で記憶される。
【0075】
スイッチSWは、端子DATAをメモリ回路801 の入力ノードd_inに連結する。グループG(i)の各LED101(i,j)の発光段階T_E 中、対応するスイッチK(j)(すなわち、同一のランクjのスイッチ)は、メモリ回路801 に記憶されたデジタルのnビットコードによって設定された変調パターンに応じてオン状態及びオフ状態に交互に制御される。他のスイッチK(j)はオフに維持される。
【0076】
図8の例では、バイアス回路103(i)はL個のスイッチK'<1>, ... K'<L>を有している。各スイッチK'<j> は、メモリ回路801 の出力ノードout に連結される、例えば接続される第1の伝導ノードと、同一のランクjのスイッチK(j)の制御ノードに連結されている、例えば接続されている第2の伝導ノードとを有している。各LED101(i,j)の発光段階T_E 中、対応するスイッチK'(j) はオンに維持され、バイアス回路103(i)の他のスイッチK'はオフに維持される。従って、輝度コードのnビットがスイッチK(j)の制御ノードに連続的に与えられるため、LED101(i,j)によって放射される平均光パワーを制御することができる。
【0077】
図8の例では、制御信号W_EN<i> は、端子DATAをメモリ回路801 の入力ノードd_inに連結するスイッチSWを直接制御する。更に、この例では、スイッチK'(1), ..., K'(L) は、信号LED_EN<1:L> によって直接制御されず、信号LED_EN<1:L> 及び補完信号W_EN(i) の組み合わせによって制御される。言い換えれば、信号LED_EN<j> が高状態であり、信号W_EN<i> が低状態である(バイアス回路103(i)のスイッチSWがオフである)ときのみ、各スイッチK'(j) はオン状態に制御される。
【0078】
より一般的には、LED発光時間の時間変調を伴う他のタイプのバイアス回路、例えば仏国特許出願公開第3076396 号明細書に記載されているタイプの回路に、記載されている実施形態を適合させることは当業者の技能の範囲内である。
【0079】
図9は、実施形態に係るモジュールを制御するための回路の別の例を更に詳細に示す。
図9は、
図1のモジュール100 のバイアス回路103(i)の代替的な実施形態をより具体的に示す。以下の記載では、
図1のバイアス回路103(i)に対する差のみが強調される。
【0080】
この例では、バイアス回路103(i)は、
図1及び
図4に関連して記載されているようなLEDバイアス電流の強度の調節と、
図8に関連して記載されているような時間変調とによって輝度制御を組み合わせる。
【0081】
より具体的には、
図9の例では、バイアス回路103(i)は、実質的に同様に配置された、
図8の例と同一の要素を有しており、
図1及び
図4に関連して記載されている電流源と同一又は同様の調節可能な電流源107 を更に有している。電流源の出力ノードout は、LED101 と反対側のスイッチK(1), ... K(L)の端部に連結されている、例えば接続されている。バイアス回路103(i)は、電流源107 の入力ノードd_inをモジュールの追加のデータ入力端子BIAS_DATA に連結するスイッチSW' と、電流源107 の出力ノードout をデータ入力端子BIAS_DATA に連結するスイッチSW''とを更に有している。
【0082】
M個のバイアス回路103(i)のスイッチSW' 及びSW''は、例えば信号W_ENと同一である、Mビットの信号WBIAS_ENによって制御される。各バイアス回路103(i)では、スイッチSW' 及びスイッチSW''は、例えば信号WBIAS_EN<i> によって同一の状態に同時的に制御される。
【0083】
図9には、特に
図8のスイッチK'<j> を一体化する論理回路901 が更に示されている。論理回路901 は、(Lビットの)制御信号LED_ENと、メモリ回路801 の出力ノードout に供給されるバイナリ変調コードとを受信し、スイッチK(j)を制御するための信号を生成する。論理回路901 によって特に、
図8に関連して記載されているものと同様に、発光するLEDを選択することができる。
【0084】
電流バイアスにより、LED毎に、例えば全てのLEDに関して同一の平均輝度点L0を個別に調節することが可能になる。このため、例えばLED間に起こり得る製造ばらつきを補償することが可能になる。例として、端子BIAS_DATA に与えられる調節値は5ビットで符号化され、バイアス電流ibの32の可能な強度値が与えられる。端子DATAを介して制御される時間変調により、モジュールの各基本LEDに求められる階調を調節することが可能になる。
【0085】
様々な実施形態及び変形例が記載されている。当業者は、これらの様々な実施形態及び変形例のある特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に想起される。特に、記載された実施形態は、多視点表示デバイスへの上記の適用に限定されず、複数のLEDを夫々有する基本モジュールを備えたあらゆる表示デバイスに適用されてもよい。
【0086】
更に、記載された実施形態は、M個のグループG(i)に分散されたN個のLEDの各集合体が同一色のLEDのみを有している上記の特定の場合に限定されない。変形例として、N個のLEDの各集合体及び/又は各グループG(i)が異なる色のLEDを有してもよい。
【0087】
更に、記載された実施形態は、N個のLEDの集合体が、同一の数LのLEDを夫々有するM個のグループに分割されている上記の好ましい例に限定されない。変形例として、異なるグループが異なる数のLEDを含んでもよいが、少なくとも1つのグループが少なくとも2つのLEDを有する。そのため、LEDのグループ毎に1つのバイアス回路103(i)(すなわち、M個のバイアス回路)が、上述したバイアス回路と同様に設けられている。バイアス回路103(i)及びその動作は、LEDがより少ないグループでは欠けているLEDはアドレス指定されない点を除いて、前述されたものと同一又は同様である。特に、スイッチK(j)又はスイッチK'(j) の数は、異なるバイアス回路103(i)で異なってもよい。
【0088】
更に、各色のLEDの数が同一であるカラーモジュールの例が、
図3に関連して上述されている。変形例として、LEDの数は色毎に異なってもよい。それに応じて、制御回路105 を適合させることは当業者の技能の範囲内である。
図3の例では更に、色の1つが他の色とは異なる効率を有する場合により均一なバイアスをかけるために、例えばLED集合体の1つを複製してもよい。
【0089】
本開示では、画素は、表示される所望の画像の画素を意味することに留意すべきである。基本モジュールが複数のサブ画素、例えばN個のサブ画素を一体化する場合、各サブ画素は、(N個の異なる視野角を使用して)表示される所望のN個の画像の内の1つの画素に対応する。画像がX×Y個の画素のアレイで形成される場合、所与の画素に関連付けられているi番目のサブ画素は、i番目の画像の同一の座標(x,y) 画素に対応する。
【0090】
変形例として、本願の意味での基本モジュールが、表示される同一の画像の複数の画素を一体化してもよい。1つの画素を夫々有する基本モジュールの場合、基本モジュールは、移送基板上で互いに間隔を置いて配置されてもよい。そのため、各基本モジュールの制御チップの表面積は、基本モジュールのLEDチップの表面積より大きくてもよい。これにより、制御チップのシリコン表面積に対してLED材料の表面積を減らすことができる。複数の画素を夫々有する基本モジュールの場合、複数の基本モジュールを互いに対して横方向に配置して、より大きな寸法のディスプレイスクリーンを形成してもよい。そのため、各基本モジュールの制御チップは、基本モジュールのLEDチップの横寸法と実質的に同一の横寸法を有することが好ましい。変形例として、この変形例の可能性が低い場合でも、特に制御チップが「3D」回路ではなく1つの半導体層を有するとき、制御チップの表面積が一般に制限されるので、各基本モジュールの制御チップの表面積はLEDチップの表面積より小さくてもよい。
【0091】
更に、本開示では、「チップ」という用語は、制御チップ及びLEDチップの各モジュールでの存在を表すために使用されている。実際、各チップは、半導体材料の層の内側及び/又は最上部に形成された半導体部品を有している。従って、制御チップは、例えば、広く知られているように半導体層(例えばシリコン)に形成された部分及び半導体層の上側に形成された(例えば金属製の絶縁する)部分を有して、部品を接続する金属ラインが形成されている誘電体材料で覆われている、MOSタイプのトランジスタを特に有している。同様に、LEDチップは、一又は複数の積層された半導体層に少なくとも部分的に形成された発光ダイオードを有している。LEDチップは、例えばカラーフィルタを形成するための他の層の集合体、又は光変換素子を更に有してもよい。
【0092】
制御チップ及びLEDチップは個別に製造された後に互いに接合されてもよい。或いは、チップの1つが、連続的な製造方法に従って他のチップ上に直接構築されてもよい。
【0093】
チップ、特に制御チップが、実際には複数の「階層」、言い換えれば「3D」回路を形成すべく積層された複数のチップで形成されてもよいことに更に注目すべきである。「階層」という用語は、「フロントエンド」とも称される、部品(トランジスタ、抵抗器、・・・)を含む半導体層と、「バックエンド」とも称される電気相互接続網を形成すべく交互に形成される誘電体層及び導電層とを夫々有する異なる段階を表すために使用されることが多い。
【0094】
最後に、記載されている実施形態及び変形例の実際の実施は、上述されている機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。特に、基本LED、及びモジュールを制御するための回路の形成は、本開示の機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。
【外国語明細書】