(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145700
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩、医薬製剤、製造方法およびヘルペスウイルスの処置のためのその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 417/12 20060101AFI20220926BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220926BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220926BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220926BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220926BHJP
A61P 23/00 20060101ALI20220926BHJP
A61P 23/02 20060101ALI20220926BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220926BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20220926BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220926BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20220926BHJP
A61K 47/16 20060101ALI20220926BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220926BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20220926BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220926BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220926BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220926BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20220926BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20220926BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20220926BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
C07D417/12 CSP
A61K31/4439
A61P29/00
A61P31/12
A61P25/04
A61P23/00
A61P23/02
A61K45/00
A61P31/22
A61K47/02
A61K47/14
A61K47/16
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/10
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/107
A61K9/12
A61K9/70
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022113134
(22)【出願日】2022-07-14
(62)【分割の表示】P 2019528126の分割
【原出願日】2017-11-28
(31)【優先権主張番号】16201009.4
(32)【優先日】2016-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】514134147
【氏名又は名称】アイクリス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】ヨゲシュワル バックハブ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルフレッド シュワブ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー バークマン
(72)【発明者】
【氏名】ズザンネ ボンズマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゴールドナー
(57)【要約】
【課題】本発明は、抗ウイルス活性物質に関する。
【解決手段】本発明は、抗ウイルス活性物質、特にN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの塩、より特に遊離塩基のマレイン酸塩、その医薬製剤、ならびにこれらの塩の製造方法の分野に関する。本発明はまた、ヒト単純ヘルペスウイルス感染症、特に、HSV-1およびHSV-2によって引き起こされる感染症の処置および/または予防方法における、これらの塩およびその医薬製剤それぞれの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)フェニル]アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩。
【請求項2】
前記マレイン酸塩が、少なくとも29時間にわたる、300nm~800nmに及ぶ波長、および少なくとも120万Lux時間の光暴露量、および少なくとも200Wh/m2の光暴露エネルギーの光暴露後に、少なくともN-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基の70%残留の光安定性を特徴とし、そのとき、前記光安定性が「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定される、請求項1に記載のマレイン酸塩。
【請求項3】
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、6.6、15.9、16.2、18.1、20.5、22.5、26.1、および28.6 2θにて特徴的なXRPDピークを有することを更なる特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【請求項4】
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、水性溶液中、室温および3.5~7.0のpHにて2週間の保存後に、出発濃度の少なくとも85%の前記マレイン酸塩の回収を特徴とする物理-化学的安定である、請求項1~3のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【請求項5】
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、約0.48mg/mLの水中での溶解性を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【請求項6】
前記医薬組成物が、更に少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩を含む医薬組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤と共に、請求項1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩を処方することによって得られる光安定性医薬組成物。
【請求項8】
抗炎症薬、抗ウイルス剤、中枢または末梢作用鎮痛剤、(局所)麻酔薬から成る群から選択される別の医薬的活性成分を更に含む、請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
オクチサレート、二酸化チタン、酸化亜鉛、PABA、ホモサレート、トロラミンサリチレート、ジオキシベンゾン、スルイソベンゾン、オキシベンゾン、アボベンゾン、エカムスル、メラジメート、シノキセート、オクトクリレンを含む群から選択される紫外線遮断剤を更に含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩を含む局所医薬製剤であって、ここで、前記製剤が、パッチ投与、クリーム、軟膏剤、軟膏、ゲル、スキンローション、ワックス製剤、リップスティック、トニック、ムース、フォーム、フィルム、乳濁液、ペースト、溶液、オイル、およびリポゲルのための製剤を更に含んでいる、局所医薬製剤。
【請求項11】
前記マレイン酸塩が、ICHガイドラインQ1Bに従って計測したときに、約95~105%の平均回収パーセンテージを有する、請求項10に記載の局所医薬製剤。
【請求項12】
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、0.1~10% w/wの量の溶存形態で存在する、請求項6~11のいずれか一項に記載の医薬組成物または局所医薬製剤。
【請求項13】
「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、前記マレイン酸塩が、前記組成物を用いた局所処置方法において、対象となった個体への適用の少なくとも1時間後に、表皮および真皮において少なくとも≧10nMの濃度に達するのに十分な量で存在する、請求項10~12のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【請求項14】
ヘルペス感染症の処置および/または予防方法における使用のための、請求項1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩または請求項6~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~5のいずれか一項に記載のN-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)フェニル]アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩の製造プロセスであって、以下のステップ:
i) 混合手段、好ましくはオーバヘッド撹拌機を備えた混合手段を準備し、
ii) ステップi)の前記混合手段に460~490gのプリテリビルの遊離塩基を充填し、
iii) ステップii)のプリテリビルの遊離塩基を、3~5倍量の水で懸濁し、
iv) ステップiii)の懸濁液を、好適な加熱手段によって45~55℃まで加熱し、
v) 結果として生じる溶液を得るまで、固形の225~240gのマレイン酸を40~90分間の期間にわたって加え、
vi) ステップv)で得られた溶液を44~52℃まで冷やし、
vii) ステップvi)の溶液のアリコートを、未精製のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩と共に導入し、
viii) ステップvii)の結果として生じる懸濁液を、1.5~2.5時間にわたって18~24℃まで冷まし、
ix) ステップviii)の懸濁液を一晩撹拌することを続いておこない、
x) ステップix)の懸濁液を、結果として生じる濾過ケーキが得られるように濾過し、
xi) ステップx)で得られた固形の濾過ケーキを、混合手段、好ましくはフラスコに移し、
xii) 以下の条件を適用しながら、恒量を得るように、25~32時間にわたるステップxi)の混合手段のロータリーエバポレーションを続いておこない:
a. 30~40℃の周囲温度、
b. 15~25mbarの圧力、
xiii) 均質化を続いておこない、好ましくは乳鉢と乳棒を用いた均質化を続いておこない、
xiv) 本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩を得るようにする、
を含む、製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、抗ウイルス活性物質、特にN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの塩、より特に遊離塩基のマレイン酸塩、(前記アセトアミド化合物は、これ以降、「プリテリビル」とも呼ばれ得る)、その医薬製剤、ならびにこれらの塩の製造方法の分野に関する。本発明はまた、ヒト単純ヘルペスウイルス感染症の処置および/または予防における、前記塩、特にマレイン酸塩およびその医薬製剤それぞれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド(すなわち、「プリテリビル」)、その遊離塩基およびメシル酸塩は、例えばWO2006/103011A1に開示されているとおり、単純ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス1および2はそれぞれ;以降、HSV-1およびHSV-2と略される)の処置に使用される既知の抗ウイルス化合物である。
【0003】
WO01/47904A1は、チアゾリルアミド誘導体、それらを製造する方法および薬剤、特に抗ウイルス性薬剤としてのそれらの使用を記載している。
WO03/000259A1は、ヒトにおけるヘルペス感染症の処置における置換されたチアゾリルアミドの局所適用、局所適用に好適な調製物およびその製造方法を記載している。
【0004】
前述のWO2006/103011A1は、N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドまたはその水和物もしくは溶剤和物、ならびにその酸を含有する、経口投与用の医薬製剤を記載している。前記文書はまた、前記調製物の製造方法、ならびにヘルペスウイルスによって媒介された疾患、特に単純ヘルペスウイルスによって媒介された疾患を処置/予防するためのその使用にも関係する。
【0005】
WO2013/045491A1は、明確な粒度分布および比表面積範囲のN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの結晶性メシル酸一水和物塩を記載しており、そしてそれは、増強された長期間安定性とその医薬組成物からの放出速度論を実証した。従って、N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの前記結晶性メシル酸一水和物塩を含有する医薬組成物もまた、そこに記載している。
【0006】
同様に、EP2 598 502A1は、(増強された長期間安定と医薬組成物からの放出速度論を実証した)明確な粒度分布および比表面積範囲のN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)フェニル]-アセトアミドの結晶性モノメシル酸一水和物塩、ならびに前述の粒度分布および比表面積範囲を有する前記N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)フェニル]-アセトアミドモノメシラート一水和物を含有する医薬組成物について記載している。
【0007】
WO2013/045479A1は、ボロン酸誘導体またはボロラン試薬を使用すると同時に、有害な有機物スズ化合物を回避することによってN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドおよびそのメシル酸塩の改良および短縮された合成プロセスを記載している。そのうえ、増強された長期間安定性とその医薬組成物からの放出速度論を有するN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの結晶性メシラート一水和物塩もまた、そこに記載されている。
【0008】
前記プリテリビルは、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症の革新的で、高活性で、および特異的な阻害剤である。チアゾリルアミドの化学クラスから得られた化合物としてのプリテリビルは、それぞれ口唇および性器ヘルペスを引き起こす両タイプの単純ヘルペスウイルスに対して活性であり、かつ、市販の薬物に対して抵抗性になったウイルスに対して活性を維持する。プリテリビルには、HSV感染症(すなわち、ヌクレオシド類似物質アシクロビルおよびそのプロドラッグであるバラシクロビル、ならびにファムシクロビル(ペンシクロビルのプロドラッグ))の処置に現在使用されている他の抗ウイルス物質と異なった作用機序がある。ヌクレオシド類似体が、ウイルスDNAポリメラーゼの阻害によって進行中のDNA鎖伸長を終止させるのに対して、プリテリビルは、ヘリカーゼ-プライマーゼ複合体の阻害によってウイルスDNAのデノボ合成を予防する。加えて、それは、ウイルス性チミジンキナーゼによるHSV感染細胞内での活性化を必要せず、そのため、非感染細胞に対して保護的でもある。
【0009】
HSV-1および/またはHSV-2感染症は、例えば口唇ヘルペス(例えば、主にHSV-1への感染症のためであるヘルペスと臨床的に表される)、性器ヘルペス(主にHSV-2感染症による)などの病原であるが、また、例えば角膜炎や脳炎などの重篤な疾患を引き起こすこともごく稀にある。ウイルスは、世界中で遍在的に分布している。単純ヘルペス感染症の処置に使用されるよく知られている薬物は、アシクロビル(すなわち2-アミノ-1,9-ジヒドロ-9-((2-ヒドロキシエトキシ)メチル)-6H-プリン-6-オン)であり、それはウイルスDNAポリメラーゼの特異的阻害剤である。
【0010】
よって、単純ヘルペスウイルスは、ヒト集団において広範囲に及んでおり(地理的な領域および亜集団に依存して、最大100%の血清反応陽性率)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)と2型(HSV-2)に分かれる。感染症は、頻繁かつ時々の苦痛な再発を伴うウイルスの一生涯の存続につながる。HSV-1は口腔病変(口唇ヘルペス)を引き起こし、HSV-2は性器部に現れ、そして主に性行為で伝染する。免疫無防備状態の患者では、HSVは重篤な合併症につながる。免疫能力がある状態では、性器ヘルペスに伴う良くない兆候および目に見える顔面病変は心理的苦悩を引き起こすであろう。
【0011】
WHOによると、2012年には、50歳以下では世界中で約37億人、または該集団の67%が、HSV-1に感染していた。感染症の有病率は、アフリカで最も高く(87%)、アメリカ大陸で最も低いと推定された(40~50%)。
【0012】
ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス薬は、例えば全身的に、経口的に、局所に、非経口的に、複数の方法で患者に投与できる。すべての薬物と同様に、患者上または患者体内での処置および/または予防方法で使用されるとき、物理-化学的安定性、貯蔵安定性および使用中安定性は、最も重要なことである。化合物プリテリビルの物理-化学的安定性が既にかなり良好であるが、前記化合物それ自体は紫外吸収が実証されている。
【0013】
これにより、本発明の目的は、より一層安定な、特により少ない不純物を示す光安定性化合物を提供することである。化合物プリテリビルのメシル酸塩形態は、かなり安定した形態に関する例であるが、残留不純物は、通常産生される産物の状態で提示され得、そしてそれは、克服すべき本発明の別の目的である。前述およびその他の目的は、本発明によって達成された。
【発明の概要】
【0014】
本発明によって提供されるN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの塩、そして特に、遊離塩基のマレイン酸塩の物理-化学的安定性および光安定性は、前記塩、そして特に、前記マレイン酸塩を含むように処方されるそれぞれの医薬組成物が、実質的に低減された量の任意の分解/崩壊生成物を有することを保証する。言い換えれば、活性薬剤成分としての前記塩、そして特に、本発明のマレイン酸塩(以降、「API」と略される)は、より高い純度(すなわち、より少量の崩壊生成物)にて提供されるか、または1体積単位あたりの斯かるAPIの用量はより高い。これらの塩、そして特に、本発明のマレイン酸塩のこれらの特徴は、その医薬組成物の処方でのAPIの初期量を低減することを可能にする。なぜなら、これらの塩、特に、N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩に基づいていない製剤と直接比較されたときに、所定の医薬の体積単位あたりの有効濃度がそれぞれより低いレベルにて達成され、かつ、より長い期間にわたり維持されるからである。
【0015】
要約すれば、本発明は、プリテリビルの安定した塩の形態、特にプリテリビルの遊離塩基の安定したマレイン酸塩を提供し、そしてそれにより、驚いたことに、例えばマレイン酸などの弱酸の添加を伴って、このように局所的適用(より高いpHは皮膚刺激効果を低減する)および経口適用(生物学的利用能特性の変化なく)における製薬学的使用を依然として確保しながら、溶解特性を同時に低減することなしにより高い固有pH値をもたらす、遊離塩基プリテリビルの塩が得られる場合がある。
【0016】
更に、プリテリビルの遊離塩基形の塩、特に、本明細書中に開示されるマレイン酸塩の本明細書中に記載した本発明の製造プロセスは、製造プロセスから、例えば溶剤から生じる不純物、または製造プロセスに使用されるAPIとしてのマレイン酸塩または他の化合物のいずれかの崩壊生成物が、基本的に不存在であることを確実にする。対照的に、前述したとおり、活性化合物のメシル酸塩が、基本的に安定形態の例であるが、それらは慣習的に産生されたその生成物中に生じる潜在的残留不純物を含むことが知られている。
【0017】
そのため、本発明は、特に、マレイン酸を伴った遊離塩基N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの驚くべき、予想外な物理-化学的に安定な塩の形態を提供する。厳密に言えば、プリテリビルの遊離塩基の本明細書中に提供されたマレイン酸塩は、溶解特性を低減させることなしに、より高い固有pH値を予想外に示す。
【0018】
非常に驚いたことに、本発明のマレイン酸塩は顕著な光安定性を示し、そしてそれは、特に、ヘルペス感染による感染症の処置/予防方法で使用されることが意図されるその局所製剤における使用のために有利である。より高いpHにて光安定性APIの医薬製剤は、同時に皮膚刺激性効果を低減し、そして、光暴露下であってもその安定性を可能にする。そのうえ、先に記載した特性のため、APIとして前記マレイン酸塩が経口投与形態で使用されるとき、マレイン酸塩の生物学的利用能特性は影響を受けない。
【0019】
加えて、本発明は、予想外にも、本明細書中に開示した製造プロセスから直接得られたときに、それ自体が高度な純度を有し、かつ、安定性のため、長期間にわたり保存されることができる安定した塩の形態、特に、プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の安定した塩の形態を提供する。更に、これらの塩、特に、APIとしてのマレイン酸塩の医薬および保存としての処方では、このAPIは、本発明で提供された医薬の体積単位あたりの治療的有効濃度が高く維持されるのを確実にする、基本的に分解を伴わないかまたは分解が非常に少ない、高濃度にて存在する。
【0020】
略語
2-Me-THF 2-メチルテトラヒドロフラン
ac アセトン
ACN アセトニトリル
am. 非結晶性
API 活性薬剤成分
COX シクロオキシゲナーゼ
DCM ジクロロメタン
DMSO ジメチルスルホキシド
DSC 示差走査熱量測定
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HP-β CD ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン
Hept n-ヘプタン
HSV 単純ヘルペスウイルス
IPA イソプロパノール
LIMS-サンプル/ID 分析サンプル用にLIMSシステムによって提供された独自の番号
LIMS-タスク/ID 分析タスク/計測用にLIMSシステムによって提供された独自の番号
MVTR 水蒸気透過率
MCH メチルシクロヘキサン
MEK 2-ブタノン(メチルエチルケトン)
MIBK メチルイソブチルケトン
NSAID 非ステロイド性抗炎症薬
NMP n-メチルー2-ピロリドン
NMR 核磁気共鳴(分光法)
PSAs 圧感接着剤を生じさせる。
STX サキシトキシン
TBME tertブチルメチルエーテル(MtBE)
TGA 熱重量法
THF テトラヒドロフラン
Tol トルエン
TTX テトロドトキシン
XRPD X線粉末回折
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の代表的な特徴的性質。
【
図2】プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩に関するOrtepプロット。プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の結晶構造(コード:P071-02-ACE11-01-SCXRD-01)。温熱楕円体は、50%の確率レベルにて電子密度セットを用いて示される。
【
図3】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の
1H NMRスペクトル。
【
図4】プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩(真ん中、100.0%a/a)のHPLCのオーバレイ;対応する母液(上、75.64%a/a)およびブランク(下)を伴う。
【
図5】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のDSC。177℃の融解吸熱。
【
図6】150℃までに0.74% w/wの重量減少がある本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のTGA。次のステップは、溶融物中のマレイン酸の分解を示す。
【
図7】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のXRPDであり、そしてそれは、結晶形を示す。
【
図8】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のXRPDデータ。
【
図9】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のXRPDであり、そしてそれは、結晶形を示す。
【
図10】
図10の表は、
図11で更に示したプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のPXRDパターンのピークリストを示す。前述のマレイン酸塩の特徴的なピークは、その中に強調表示されている。
【
図11】プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩(コード:P071-02-PXRD-01)の粉末X線回折パターンの特徴的なピーク。それぞれの相の前記特徴的なピークは矢印でマークされている。
【
図12】プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の
1H-NMRスペクトル。
【
図13】
図12のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の
1H-NMRスペクトルのピークリスト。凡例:s=一重項;d=二重項;t=三重項;m=多重項。
【
図14】プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の
13C-NMRスペクトル。
【
図15】
図14のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の
13C-NMRスペクトル(プロトンデカップリング)のピークリスト。凡例:s=一重項;d=二重項;t=三重項;m=多重項。
【
図16】プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のFTIRスペクトル。
【
図17】
図16のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のFTIRスペクトルのピークリスト。凡例:s=シャープ;b=ブロード;st=強;me=中;we=弱。
【
図18】プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のUV-Visスペクトル。
【
図19】
図18のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のUV-Visスペクトルのピークリスト。
【
図20】プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のMSスペクトル。
【
図21】
図20のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のMSスペクトルの関連ピーク。
【
図22】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩の
1H NMRスペクトル。
【
図23】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩(真ん中、100.0%a/a)のHPLCのオーバレイ;対応する母液(上、73.83%a/a)およびブランク(下)を伴う。
【
図24】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩のDSC。明確な融点は見られなかったが、水分放出による大きな吸熱があった(97℃開始)。
【
図25】6.3% w/wの重量減少を伴う、本発明によるプリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩のTGA。
【
図26】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩のXRPD。
【
図27】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩のXRPDデータ。
【
図28】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩の
1H NMRスペクトル。
【
図29】対応する母液(上、82.54%a/a)およびブランク(下)を伴った、本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩(真ん中、100.0%a/a)のHPLCのオーバレイ。
【
図30】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩のDSC。水分放出による大きな吸熱(100℃開始)、ならびに形態転換(180℃)および融解吸熱(250℃)が見られる。
【
図31】3.4% w/wの重量減少を伴う、本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩のTGA。
【
図32】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩のXRPDは、結晶形を示す。
【
図33】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩のXRPDデータ。
【
図34】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩の
1H NMRスペクトル。
【
図35】対応する母液(上、83.88%a/a)およびブランク(下)を伴った、本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩(真ん中、99.64%a/a)のHPLCのオーバレイ。
【
図36】0.15% w/wの重量減少を伴う、本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩のTGA。
【
図37】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩のXRPDは、結晶形を示す。
【
図38】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩のXRPDデータ。
【
図39】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のエシル酸塩の
1H NMRスペクトル。
【
図40】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のエシル酸塩(真ん中、100.0%a/a)のHPLCのオーバレイ;対応する母液(上、63.06%a/a)およびブランク(下)を伴う。
【
図41】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のエシル酸塩のDSC。150℃前後の水分放出/形態転換吸熱、および223℃の融解吸熱。
【
図42】200℃までに3.5% w/wの重量減少を伴う、本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のエシル酸塩のTGA。
【
図43】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のエシル酸塩のXRPDは、結晶形を示す。
【
図44】本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のエシル酸塩のXRPDデータ。
【
図45】試験品目の照射溶液および暗所対照:プリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸塩、そのスルホン酸塩、そのマレイン酸塩、そのエシル酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、のピーク%面積。
【
図46】試験品目の照射溶液および暗所対照:プリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸塩、そのスルホン酸塩、そのマレイン酸塩、そのエシル酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、のピーク%面積。
【
図47】試験品目:プリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸塩、そのスルホン酸塩、そのマレイン酸塩、そのエシル酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、のFaSSGF、FaSSIFおよびFeSSIF比較による溶解特性。
【
図48】水中における試験品目:プリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸塩、そのスルホン酸塩、そのマレイン酸塩、そのエシル酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、の溶解性の比較。
【
図49】様々な医薬賦形剤中における試験品目:プリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸塩、そのスルホン酸塩、そのマレイン酸塩、そのエシル酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、の溶解性の比較。
【
図50】周囲温度にて2週間保存したときの様々な医薬賦形剤中における試験品目:プリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸塩、そのスルホン酸塩、そのマレイン酸塩、そのエシル酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩の安定性の比較。
【
図51】50℃にて2週間保存したときの様々な医薬賦形剤中における試験品目:プリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸塩、そのスルホン酸塩、そのマレイン酸塩、そのエシル酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩の安定性の比較。
【
図52】試験品目の照射溶液および暗所対照:プリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸塩、そのスルホン酸塩、そのマレイン酸塩、そのエシル酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、のピーク%面積。
【
図53】試験品目の照射溶液および暗所対照:プリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸塩、そのスルホン酸塩、そのマレイン酸塩、そのエシル酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、のピーク%面積。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、本明細書を通じて使用される特定の専門用語についての定義を提供することが好都合であると思われる。本発明を特定の実施形態に関して説明するが、この説明は限定的な意味で解釈されるべきではない。本発明の代表的な実施形態を詳細に説明する前に、本発明を理解する上で重要な定義を示す。
【0023】
定義
本発明に関連する「プリテリビル」という用語は、化合物N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド自体を意味する。すなわち、例えば「プリテリビルの遊離塩基」などまたは類似の表現は、化合物N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基を意味する。同様に、プリテリビルのメシル酸塩は、化合物N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドのメシル酸塩を意味するものである。
【0024】
本発明に関連した、すべてが化合物プリテリビルを意味するものである類似の表現は、「BAY57-1293」、「AIC090096」および「AIC316」である。同様に、用語「プリテリビル」「BAY57-1293」、「AIC090096」および「AIC316」または化合物「N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド」は、本文全体を通して、以下の構造式を有する化合物を表すものである:
【0025】
【0026】
用語「マレイン酸塩」または同類の用語は、化合物N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩を意味する。
【0027】
説明との関連において、表現「マレイン酸塩」または類似の表現は、マレイン酸と反応させたときに、N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基から得られる塩を意味する。マレアートイオンは、マレイン酸のイオン化形態である。マレイン酸またはcis-ブテン二酸は、有機化合物、すなわち、2つのカルボキシル基を有する分子であるジカルボン酸である。その化学式は、HO2CCHCHCO2Hである。マレイン酸はブテン二酸のシス異性体であるのに対して、フマル酸はtrans異性体である。マレイン酸はフマル酸よりも不安定な分子である。マレイン酸は、フマル酸よりも水に可溶性である。マレイン酸(135℃)の融点もまた、フマル酸(287℃)のものよりはるかに低い。マレイン酸の両方の特性は、分子間相互作用を犠牲にしてマレイン酸内で起こる分子内水素結合の理由で説明できるが、それは、幾何的理由でフマル酸において不可能である。特に、マレイン酸およびマレイン酸のイオン化形態、すなわち、マレアートイオンは、3つの二重結合によって更に特徴づけられる。
【0028】
本願明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「a」および「an」の単数形には、文脈上別段の明確な指示がない限り、それぞれの複数形も含まれる。
【0029】
用語「光安定性」または類似の表現は、300nm~800nmの波長の光暴露下で、少なくとも120万Lux時間の光暴露量により、および少なくとも200ワット時/m2の光暴露エネルギーにより、医薬的に容認できない変化をもたらさない遊離塩基N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドのマレイン酸塩の物理-化学的安定性を意味する。光安定性は、Photostability Testing of New Active Substances and Medicinal Products(該文献を参照により本明細書に援用する)のICH Topic Q1Bガイダンスに従って試験され得る。
【0030】
本発明の文脈において、「約(about)」および「およそ(approximately)」なる用語は、当該の特徴の技術的効果を依然として保証するものと当業者が理解する精度の間隔を示す。この用語は、典型的には、示された数値から±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、更により好ましくは±5%の偏差を示す。
【0031】
「~を含む(comprising)」なる用語は、限定的ではないものと理解されるべきである。本発明において、「~からなる(consisting of)」なる用語は、「~を構成要素とする(comprising of)」なる用語の好ましい一実施形態であると考えられるべきである。以下で、ある群が少なくともある特定の数の実施形態を含むものと定義される場合に、このことは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も包含されることを意味する。
【0032】
更に、本明細書におけるおよび特許請求の範囲における「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などの用語は、類似の要素を区別するために使用されるものであって、必ずしも逐次的な順序または時系列で記述するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で互換的であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載または例示された順序とは異なる順序で実施されうるものと理解されるべきである。
【0033】
「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などの用語が、方法または使用の複数のステップに関する場合には、本明細書の上記または下記の適用において別段の指示がない限り、これらの複数のステップの間の時間または時間間隔は一貫しておらず、すなわち、これらの複数のステップは同時に実施されてもよいし、かかるステップの間に、数秒間、数分間、数時間、数日間、数週間、数か月間また更には数年間の時間間隔があってもよい。
【0034】
本発明の方法において、語句「抗ウイルス有効量」とは、意義のある患者の利益、すなわちヘルペスウイルス感染症の抑制が特徴である急性病態の治癒を示すのに十分な、該方法での各活性成分のトータル量を意味する。個々の活性成分のそれ単独投与に適用するとき、該語句はその活性成分単独に当てはめる。活性成分の組み合わせに適用するとき、該語句は一括、連続または同時投与のいずれの場合も、治療効果をもたらす各成分の合計量を指す。
【0035】
一態様において、本明細書および特許請求の範囲において使用される用語「予防(prophylaxisまたはprevention)」とは、例えば感染していない生物体または、例えば生物体の非感染細胞を感染から守るための本明細書中に開示した化合物または組成物の投与または使用を指す。しかしながら、本発明に関連して、これはまた、生物体がウイルスに既に感染していてもよいが、生物体内での(細胞から細胞への)または生物体の社会環境内での前記ウイルスの拡散が、本発明の塩、特に、本発明のマレイン酸塩によって予防されることを意味する。その生物体は、ヒトであっても、または他の哺乳類であってもよく、それによって、ヒトが好まれる。よって、本発明の一態様において、化合物または医薬組成物が投与される生物体は、ヘルペスウイルス、例えばHSV-1および/またはHSV-2に感染しているヒト、あるいは斯かるウイルスに感染する危険性があるヒトである。本発明の「予防」態様に対する更なる定義については、以下を参照のこと。
【0036】
本明細書および特許請求の範囲で用いる語句「処置する、処置すること、処置」とは、ヘルペスウイルス感染症に関連する疾患を予防または改善することを意味する。
【0037】
本明細書中で触れた本発明の塩、特に、本発明のマレイン酸塩の物理的特徴づけは、European Pharmacopoeia(Ph.Eur)および/またはU.S.Pharmacopeial Convention(USP)に従って公定書収載の方法を使用して行われた。
【0038】
本発明の様々な実施形態については、本明細書中において以下で更に詳細に説明する。
組成物の構成要素に関するそれぞれの代替物、医薬組成物のタイプ、構成要素の濃度、投与の期間、投与の頻度、処置される医療適用に言及される場合はいつでも、これらが技術的に可能であれば、個々の組み合わせを作製できることを、当業者はすぐに理解するであろうし、または技術的に不可能であれば、別の方法で明確に示した。
【0039】
プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩
一実施形態において、本願は、分子式HO
2CCHCHCO
2Hを有する、N-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩に関する。本発明の前記マレイン酸塩の特徴的性質は、
図1に示されている。そのマレイン酸塩のOrtep Plotは、
図2に示されている。その特徴的なXRPDピークは、
図10および11に示されている。
【0040】
前記マレイン酸塩は、式(I)の化合物によって更に特徴づけられる:
【化2】
。
【0041】
本明細書中に使用される場合、用語「保存安定性」または「光安定性」および相当する用語は、本発明のマレイン酸塩が長期間にわたり分解も崩壊もしないことを示している。これは、化合物N-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド(すなわち、プリテリビル)に関する基準プロファイルを示す、前記化合物および/またはその分解産物の識別を可能にする標準測定法、例えばHPLC、XRPD、13C-および1H-NMR分光法、を使用して計測した場合に、マレイン酸塩濃度が、常に非常に高く維持されることを意味する。
【0042】
本発明の塩、および特に、本明細書中で触れられるマレイン酸塩の物理-化学的特徴づけは、European Pharmacopoeia(Ph.Eur)および/またはU.S.Pharmacopeial Convention(USP)に従って公定書収載の方法を使用して、通常行われる。
【0043】
不純物(製造プロセスから直接得られるか、またはN-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの分解に起因するかいずれかの本発明の塩、特にマレイン酸塩)の先に触れた概括的な不存在のため、製造生成物としての、あるいはプリテリビルの遊離塩基形のこれらの塩を最初に含む組成物または薬剤の製剤におけるこれらの塩、特にプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の純度は非常に高い、すなわち、1体積単位あたりのN-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの高濃度が達成される。
【0044】
これは、1体積単位あたりの活性化合物の有効濃度が非常に高くなるので、本発明の塩が医薬および薬剤の製剤に使用されるとき、特にその局所製剤に使用されるとき、非常に有益である。
【0045】
これは、製剤での本発明の塩、特にプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の量を低減することを可能にし、そのうえ、同時に活性化合物の好適に高い有効量を維持する。これは、局所用組成物(単一ユニット剤形と異なって、例えば錠剤などの基本的に固形の医薬、または-別の例として-、例えば全身的または非経口使用向けの、当業者によって理解される、即席使用のための医薬的に許容される媒質または担体中での再構成のための剤形)として使用される医薬には特に望ましい。なぜなら、局所適用医薬中の有効成分は、温度変化、UV照射などの光暴露、(相対)湿度、皮膚または粘膜の患部への適用時の機械的ストレスに関する厳しい環境条件に晒されるからである。
【0046】
斯かる過酷な状況下では、十分高く、かつ、治療的有効濃度のAPIが処置表面および表面(例えば、ヘルペスウイルスが患部細胞に損害を与える皮膚の表皮および皮層)を形成する細胞内にできるだけ迅速に到達することが重要である。処置領域(細胞、臓器、例えば皮膚、またはその一部)において有効な抗ウイルス濃度に迅速に到達したとき、処置領域のヘルペスウイルス数は減少する。これは、これらのウイルスが潜伏状態で存続し、結局、物理-化学的刺激、例えば生理的ストレス、UVストレス、またはヘルペスウイルス潜伏状態(およびそれぞれのウイルスにコードされたポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの発現)からヘルペスウイルス再活性化に患部細胞内のバランスを移行させる他の要因による細胞の変化、によって再活性化され得る、神経細胞に感染し得る患部のウイルス、特に単純ヘルペスウイルスの数もまた低減する。再活性化は、ヘルペスウイルスが潜伏状態を脱し、そして、後にウイルス自体によってまたは宿主防御機構によって、例えば免疫細胞によって破壊される細胞に感染し、およびそこで生産的に増殖するためだけの潜伏病原巣を形成する細胞を離脱する原因となる。
【0047】
先の文脈との関係において、本発明の更なる実施形態は、それを必要としている対象に、本発明の塩、特にN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩の組成物の有効量を投与することを含む、単純ヘルペスウイルス亜型1または2感染症の発生の処置または抑制方法、あるいは単純ヘルペスウイルス亜型1または2感染症の伝染の抑制方法である。
【0048】
本発明の他の側面において、用語「予防(prophylaxisおよび/またはprevention)」または本発明に適当な技術分野における類似の用語は、当業者に向けて、単純ヘルペスウイルス亜型1または2による感染症の再発の抑制または低減、あるいは感染症の伝染の抑制または低減を明確に意味する。
【0049】
本発明の文脈との関係において、用語「予防(prophylaxisおよび/またはprevention)」は、最も幅広く理に適った解釈の下であっても、いずれかの感染ウイルス粒子または患者の感染細胞の完全、かつ、全部の不存在を意味しない。本発明の背景によると、そのような立場は、本明細書中に開示した内容に適切な技術分野において妥当である。用語「予防(prophylaxisおよび/またはprevention)」に関するこれらの定義を支持する際に、以下の公表文献を、参照により本明細書中に援用する:
【0050】
【0051】
これらの文書はまた、ヘリカーゼ-プライマーゼ阻害と、当該技術分野で実証された単純ヘルペスウイルス感染症の予防または伝染予防との相関関係も支持している。
【0052】
更に、先に触れたKleymann, 2002は、396頁の左欄下部にて、再発性疾患および無症候性ウイルス出芽が、ヘリカーゼ-プライマーゼ阻害剤によってほぼ完全に抑制され、そしてそれが、ヒトからヒトへの伝染を減少させる、すなわち、効果的にHSVの伝染を予防するはずであると、教示している。
【0053】
Corey, 2004の先に触れた開示は、11頁の下部および17頁の第一欄にて、バラシクロビルを用いた1日1回の抑制療法が、異性愛者の、HSV-2不一致カップルの間の性器ヘルペスの伝染リスクを有意に低減する、すなわち、伝染を予防したことを教示している。その試験では、性器粘膜表面でHSV2型(HSV-2)の出芽を抑制することが示された薬物によってこれらの結果を得た。11頁上部を参照。更に、性器粘膜表面に無症状的に放たれたHSVの頻度および量が伝染性感染症の主要な起源であることがわかった。引用文献20~22(引用順で1997年、1998年および1997年にまで遡る)を参照。従って、このように、性器粘膜表面に無症状的に放たれたHSVの頻度および量を低減するためのアプローチは、ヘルペスの感染予防を達成する方法である。
【0054】
Karim, 2015は、その中の試験に基づいた530頁下部にて、テノホビルゲルのペリコイタル(pericoital)適用が女性のHSV-2捕捉を低減した、すなわち、HSV捕捉を予防したことを教示している。有効性は51%の低減であった。534頁の第二欄を参照。2010年まで遡る同グループよる以前の試験では(この参考文献の引用文献6を参照)、テノホビルの局所腟ゲル製剤のペリコイタル適用が、HIV捕捉を低減したことを示した。HIVは異なるウイルスであるが、薬物がウイルス感染の捕捉を予防できることは、上記を考慮すると当業者には信じられないことではない。そのうえ、こうしたことは、KarimによってHSVの場合でも起こることは明らかに確認されている。1987年3月よりGoldおよびCoreyは、アシクロビル(すなわち、ウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤)のよく知られた有効な予防効果を支持している。加えて、2002年よりTyringらは、プロドラッグのバラシクロビル(すなわち、ウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤)の有効性を支持している。
【0055】
HSV-1およびHSV-2の場合、感染によりウイルスが体内に存在しているが、N-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩がウイルスの発芽および急激な増加を効果的に抑制している(HSV-1およびHSV-2感染症の結果的な症状に対する「予防」または「抑制」である)ので、症状の発症が無いことを、当業者は認識している。
【0056】
本発明の「予防を抑制として扱う」態様の更なる支持に際し、バラシクロビル(すなわちTyring et al. 2002)およびアシクロビル(すなわちGold et al. 1987)に関する先に触れた引用文献が繰り返され、そしてそれはまた、HSV感染症が健常人において無症状型であることが十分に確立されており、更にこの技術分野において、予防/抑制療法を意味することも立証した。そのうえ、有効なHSV予防が、そのようにして臨床試験において臨床的に実証された。
【0057】
この点に関して、HSV-2性器ヘルペス適応症に関するICAAC2014のポスターを参照により援用する(Wald et al., 2014、前掲)。最後に、当業者は、テノホビルとの類推によって、ヘリカーゼ-プライマーゼ阻害剤としてのN-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの塩、特に、遊離塩基のマレイン酸塩は、HIVの場合のテノホビルより更に高い抗ウイルス効果を有することが知られており、これにより、当業者にとっては、N-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドはまた、より顕著な予防有効性を有することが予想されるであろう。この点に関して、先に触れたAndrei et al.およびKleymann et al.による公表文献が、特に関連している。テノホビルに関してその中で実証されたIC50値は、N-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩と比較して有意に高い。
【0058】
本明細書中に使用される場合、「抗炎症剤」という用語は、前掲の項でも規定したように、通常、炎症を患っている個体への投与により斯かる炎症を軽減する傾向がある化合物または化合物の組み合わせ、例えばステロイドおよび非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を指す。
【0059】
本明細書中で使用される場合、「中枢および末梢作用鎮痛剤」はオピオイド鎮痛薬を含む。オピオイド鎮痛薬は、例えばブプレノルフィン、生理学的に許容されるその塩またはエステルを含み、好適なオピオイド鎮痛薬としては、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベンジトラミド、ブトルファノール、クロニタゼン、シクラゾシン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼンフェンタニル、ヘロイン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナルブフィン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オピウム、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロファドール、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、およびトラマドールが挙げられる。前述のいずれかのエステル、塩、および混合物も含む。
【0060】
本明細書中に使用される場合、非オピオイド鎮痛薬は、例えば、NSAID、三環系抗欝薬(例えば、アミトリプチリン)、抗痙攣薬(例えば、ガバペンチン)、または抗片頭痛化合物(例えば、スマトリプタンまたはナラトリプタン)を含む。NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ(COX)であるCOX-1またはCOX-2のインヒビターでありうる。NSAIDの具体例は、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、ピロキシカム、ケトプロフェン、エトドラク、ジフルシナル、メロキシカム、アセクロフェナク、フェノプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェン酸、トルメチン、セレコキシブ、およびロフェコキシブ、ならびにそれらの生理的に許容できる塩およびエステルを含む。適当な塩は、カリウムまたはナトリウム塩などのアルカリ付加塩である。
【0061】
本発明の組成物において、ブピバカイン、リドカイン、キシロカイン、テトロドトキシン(TTX)、サキシトキシン(STX)などを含む群から選択される長期または短期作用型の局所および揮発性麻酔薬が使用され得る。
【0062】
局所適用
一般的に、皮膚バリアを通過する迅速な薬物送達は、局所塗付形態にとって重要である。溶解状態の薬物だけが表皮の角質層を横断できるので、懸濁薬物形態が局所送達特性に対して重大な影響を有する場合がある。懸濁形態の薬物によると、懸濁薬物はまず溶液中に入り込む必要があるはずなので、局所的に送達された薬物の量が少ない場合がある。これはまた、局所塗付形態の薬物送達も遅延させるであろう。
【0063】
対照的に、薬物が溶存形態で局所適用されるとき、薬物送達は、より速いはずであり、そして、送達された薬物の程度は、そのIC90値と比較したときに大いに高いはずである。
【0064】
pH/見かけのpH/局所製剤
pHは、患者コンプライアンス、薬物安定性、および活性部分の皮膚浸透に対するその影響により、特に局所製剤にとって重要なパラメータである。最も伝統的な局所製剤は、例えばゲルや、クリームや、ローションなどの水性系ベースであるが、しかしながら、オイル、軟膏剤などの非水性系もまた、疎水性薬物に使用される。非水性製剤の正確なpH測定は、水性製剤と比較して、はるかに複雑である。
【0065】
理論上、水溶液のpHを測定する間、水分子の一部はH+およびOH-イオンに分解されており、そのため、pH値が0~14のスケールで正確に得られる。しかしながら、非水性系に関して、0~14のpHスケールは適切でない可能性がある。
【0066】
pH値が、非プロトン性溶剤を用いた溶液中の水素イオン活性の計測である場合、水素イオンの濃度は、顕著に低減されるかまたはごく僅かである。普通の研究室の設定で使用されるpH電極は、水性緩衝液を使用して較正され、水溶液系のH+イオン濃度を記録するのに非常に好適である。これらのpH電極の電気化学は、非常に低濃度のため、非水性系のH+イオン濃度を記録するのに好適でない可能性がある。
【0067】
PorrasおよびKenndlerは、非水性系のpH測定が水性較正を使用しても可能であるが、しかしながら、そのpH値は見かけのpHとみなされなければならないことを示唆した。見かけのpHは、系の相対酸性度/アルカリ性度を提供する。
非水性系の見かけのpHを計測しながら、いくつかの実用的な困難に遭遇する可能性がある。
【0068】
低いH+イオン濃度は、ガラスpH指示電極と試験サンプルとの間の電気化学ポテンシャルの不正確な検出の原因となり得、そしてそれが、振動性のpH計測値、長い応答時間、および不正確な測定値をもたらし得る。
【0069】
これらの影響に関与する可能性がある他の要素が存在する:
・pH電極の大部分は、H+活性を検出するためにガラス球の外側の水和ゲル層に依存している。非水性サンプルの低い含水量によるゲル層の脱水が、遅い応答時間と不正確な測定値をもたらす。
・非水性系は、低い電気コンダクタンスを有する可能性があるので、そのため、H+活性の変化を検出するのに必要とされる電気成分の効率を減下させる。
・pH計を較正するのに使用される水性緩衝液は、非水性サンプルに適合し得ないので、そのため、その結果をそのまま解釈することはできない。
【0070】
当該発明者らは、驚いたことに、作用物質としての本発明の塩、特に本発明のマレイン酸塩が≧pH4.0にてより安定していることを見出した。そのため、本発明はまた、例えば(これが非常に低い濃度の水性成分に起因した見かけのpHであることは周知であるが)pH約4.0前後の軟膏製剤もまた提供する。
【0071】
これに関連して、発明者らの安定性分析が、APIの純度に対する少しの影響もなしに、4~7の範囲に及ぶ見かけのpH値を示したことに注意することが重要である。そのため、見かけのpHの計測されたシフトは、例えばその軟膏製剤において、プリテリビル遊離塩基形態の本発明の塩のアッセイおよび純度に対して全く影響を及ぼさなかった。
【0072】
従って、別の実施形態において、当該適用は、以下で更に概説される実施形態のいずれか一つ以上で規定される医薬組成物に関し、ここで、該N-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩は、5.0% w/wの量で存在し、ここで、該医薬組成物は軟膏剤であり、およびここで、前記軟膏剤は、1日5回投与され、更に、ここで、前記軟膏剤は、4日間にわたって投与される。
【0073】
別の実施形態において、当該適用は、以下の実施形態のいずれか一つ以上で規定される医薬組成物に関し、ここで、該N-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩は、5.0% w/wの量で存在し、ここで、該医薬組成物はゲルであり、およびここで、前記ゲルは、1日5回投与され、更に、ここで、前記ゲルは、4日間にわたって投与される。
【0074】
別の実施形態において、当該適用は、以下の実施形態のいずれか一つ以上で規定される医薬組成物に関し、ここで、該N-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩は、5.0% w/wの量で存在し、ここで、該医薬組成物はクリームであり、およびここで、前記クリームは、1日5回投与され、更に、ここで、前記クリームは、4日間にわたって投与される。
【0075】
本発明の他の側面において、本発明のプリテリビル塩の、特にマレイン酸塩の、本明細書中に開示されている医薬組成物は、全身、経口、局所または非経口適用のために好適に処方され得る。
【0076】
本発明に係るN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)フェニル]アセトアミドモノメタンスルホン酸遊離塩基マレイン酸塩は、感染症の処置および/もしくは予防方法に、ならびに/または感染症の伝染の予防における使用に有用な化合物である。そのうえ、N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]アセトアミド遊離塩基マレイン酸塩は、ヘルペスウイルスならびにヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症、および/または一つのヘルペスウイルスもしくは複数のヘルペスウイルスの伝染によって引き起こされる感染症に対する処置/予防方法において高い活性を有する。
【0077】
従って、本発明の結晶性N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]アセトアミドモノメタンスルホン酸遊離塩基マレイン酸塩は、ヘルペスウイルスによって引き起こされる、または、一つのヘルペスウイルスもしくは複数のヘルペスウイルスの伝染によって引き起こされる病気の処置および/または予防方法において使用されるべき医薬組成物の調製に有用である。
【0078】
N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド遊離塩基マレイン酸塩は、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症の処置および/もしくは予防の方法において、または一つのヘルペスウイルスもしくは複数のヘルペスウイルスの伝染の予防における使用に特に有用である。単純ヘルペスウイルス(HSV、亜型1および2)の感染症は、感染部位に基づいて複数の明らかな疾患の一つに分類される。口腔顔面のヘルペスウイルス感染症は、目に見える症状が口語的表現を用いて単純ヘルペスまたは熱性疱疹と呼ばれ、顔面および口に感染する。口腔顔面ヘルペスは感染症の最も一般的な形である。陰部ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス感染症のなかで二番目に一般的な形である。陰部ヘルペスは、大部分はHSV-2のみによって引き起こされると信じられているが、陰部HSV-1感染症は増加している。疱疹性ひょう疽、剣状ヘルペス、眼性ヘルペス(角膜炎)、脳ヘルペス感染症脳炎、モラレー(Mollaret’s)髄膜炎、新生児ヘルペス、およびおそらくベル麻痺などの他の疾患もまた単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる。
【0079】
N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド遊離塩基マレイン酸塩は、従って、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症の処置および/もしくは予防の方法において、ならびに/または単純ヘルペスウイルスの伝染の予防のための使用において有用である。
【0080】
本発明のN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド遊離塩基マレイン酸塩を、他の医薬的に活性な構成要素、例えばアセチルサリチル酸、およびアセトアミノフェンなどの抗炎症剤、または(局所)麻酔剤、あるいは他の抗ウイルス剤などと組み合わせて、共に投与することができる。
【0081】
本発明のN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド遊離塩基マレイン酸塩と麻酔剤との組み合わせ、ならびに斯かる組み合わせを含む医薬組成物が、本発明の別の実施形態である。
【0082】
更に、別の態様において、本発明のN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド遊離塩基マレイン酸塩を、抗ウイルス剤と組み合わせることができ、および組み合わせて使用することができる。抗ウイルス剤は好ましくは代謝拮抗剤であり、最も好ましくは、核塩基類似体薬、ヌクレオチド類似体薬、またはヌクレオシド類似体薬である。抗ウイルス剤が、ヘルペスウイルスに対して、および/または一つのヘルペスウイルス、もしくは複数のヘルペスウイルスの伝染に対して有用であり、限定されないが、トリフルリジン、イドクスウリジン、フォスカーネット、シドホビル、ガンシクロビル、アシクロビルまたはペンシクロビルまたはアシクロビルのプロドラッグであるバラシクロビル、ペンシクロビルのプロドラッグであるファムシクロビル、またはバルガンシクロビを含む薬物の群から選択されると更に好ましい。
【0083】
本発明のN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド遊離塩基マレイン酸塩と、抗炎症剤、例えば処置用ワクチン、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ナノ粒子などの免疫調節剤、抗ウイルス剤またはn-ドコサノールなどのウイルス取り込み阻害剤のような更なる活性化剤との組み合わせを、一つの単一医薬組成物で、または一つより多くの医薬組成物で、同時に投与してもよく、ここで各組成物は少なくとも一つの活性化剤を含む。
【0084】
本発明の医薬組成物は、公知の方法において、従来の固体および従来の薬学的に調製され補助剤中で、適切な用量レベルで調製されることができる。好ましい調製物は、口腔投与に適用されてよい。これらの投与形態は、例えば、ピル、錠剤、フィルム錠剤、コート錠剤、持続放出製剤、およびカプセルなどを含む。
【0085】
本発明に係る医薬組成物は、5~70重量%、より好ましくは10~30重量%のN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]アセトアミド遊離塩基マレイン酸塩を含み得る(全てのパーセンテージデータは、医薬調製物の重量に基づく重量パーセントである)。
【0086】
本発明の医薬組成物は、次の防腐剤:フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタネジオール、またはソルビン酸を含んでよい。
【0087】
薬学的に許容できる担体、賦形剤、および/または希釈剤として、好ましくはラクトース、デンプン、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸ジカルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液体充填カプセル)のような不活性担体などの担体を使用することができ、好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖、コーン甘味料、例えばアカシアなどの天然および合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびワックス、例えばスクロースなどのような糖、小麦コーン米およびジャガイモ由来のデンプン、例えばアカシアなどのような天然ゴム、ゼラチンとトラガカント、例えばアルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびアンモニウムカルシウムアルギネートなどのような海草の誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのようなセルロース材、ポリビニルピロリドン、および例えばマグネシウムアルミニウムシリケートなどのような無機化合物;ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸カリウム、ステアリン酸、高融点ワックスなどのような潤滑剤、ならびに例えば塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、およびD,L-ロイシンなどのような他の水溶性潤滑剤;例えば、デンプン、メチルセルロース、グアーゴムなどのような崩壊剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルデンプンなどのような修飾デンプン、例えば、イナゴマメ、カラヤ、グアール、トラガカントおよび寒天などのような天然および合成ゴム、例えばメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのようなセルロース誘導体、微結晶セルロース、ならびに例えば、クロスカルメロースナトリウムなどのような架橋微結晶セルロース、例えばアルギン酸およびアルギン酸ナトリウムなどのようなアルギネート、例えばベントナイトなどのような粘土ならびに発泡性混合物;着色剤、甘味料、香料、防腐剤を含み;グリデント(glidents)は、例えば二酸化ケイ素およびタルクなどであり;好適な吸着剤は、粘土、酸化アルミニウムであり、好適な希釈剤は非経口的注射のための水または水/プロピレングリコール溶液、ジュース、例えばラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトールなどの糖、小麦、コーンライス、およびジャガイモ由来のデンプン、ならびに、例えば微結晶セルロースなどのようなセルロースである。
【0088】
パッチ
本発明による塩化合物、特にマレイン酸塩、およびその医薬組成物はまた、ヘルペスウイルスに感染している、例えばHSV-1および/またはHSV-2に感染している生物体の、例えばヒトの、身体の部分に適用されるパッチを使用して投与されることもできる。より特に、本発明の斯かるパッチは、皮膚接着層、裏打ち層および剥離ライナーを含み、該接着層は、本発明の塩化合物、特に本発明のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩、および/または低揮発性溶剤中に溶解された他の活性化合物、および高揮発性溶剤中に可溶性のポリマー接着剤を含む。本発明の塩化合物、特に本発明のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩は、抗ウイルス物質として、低揮発性溶剤中に溶解した処置的および予防的有効量、例えば乾燥接着層の0.1~10重量%で、接着層内に組み込まれてもよい。
【0089】
「溶剤」は、それらの物理-化学的性質の相関関係で分類できる。とりわけ、基本性質は、密度、粘性、誘電率、双極子モーメント、溶解および沸点を含む。「溶剤」は、1barにおける沸騰温度に応じて、低、中、または高沸点:低沸点:100℃未満の沸騰範囲;中沸点:100℃~150℃の沸騰範囲;高沸点:150℃超の沸騰範囲、として幅広く分類される。低沸点溶剤は高揮発性溶剤であるのに対して、高沸点溶剤は、それが低揮発性溶剤と規定されるような、留去するのが難しい傾向にある溶剤である。本発明による低揮発性溶剤の例は、乾燥接着層の10~50重量%の量で存在し得るジメチルスルホキシドである。粘着性ポリマーは、ペクチン、グアールゴム、アカシアゴム、キサンタンゴム、ポリビニールアルコール、ポリメタクリル酸、ポリメタクリラート、アクリラート/アルキルメタクリラートコポリマー、任意のアクリル酸エステルコポリマー、アミノアルキルメタクリラートコポリマー、ポリビニルピロリドン、セルロースまたは、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはその混合物などのセルロース誘導体から選択される。接着層は、高揮発性、すなわち、低沸点(40℃~100℃の範囲内)かつ高蒸気圧を有する、溶剤中の粘着性ポリマーの溶液から形成されてもよい。次いで、前記溶剤は、特定の量(最大15重量%)が乾燥後に接着層に残され得るとしても、製造プロセス中に通常留去される。粘着性ポリマーまたは粘着性ポリマー混合物は、乾燥接着層の20~50重量%の量で存在し得る。
【0090】
本発明のパッチは、非ポリマー結晶化阻害剤として、例えば、乾燥接着層の0.5~15重量%の量で、クエン酸、コハク酸、乳酸およびそのエステルを更に含有してもよい。パッチはまた、例えば、架橋剤、浸透促進剤、可塑剤、保存料、抗酸化剤、香料、皮膚軟化剤などの他の賦形剤を含んでもよい。裏打ち層は、透過性であっても、半閉鎖性または閉鎖性であっても、酸素浸透性であってもよく、例えば、50~3500g/m2/日の水蒸気透過率(MVTR)および20~150μmの厚さを有する、ポリウレタンエーテルもしくはエステルフィルム、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルまたはポリオレフィンフィルムから成る。裏打ち層は、非常に柔軟性があり、かつ、柔らかく、透明であるかまたは色付きでなければならず、閉鎖性であってもまたは耐汗であってもよく、ヘルペスのマスキング効果を提供する。そのうえ、それは、損傷皮膚およびウイルス病巣を外部接触から保護し、これにより、患者の疼痛、および更なる汚染または感染症の可能性を低減し、そして、再上皮化プロセスを改善する。接着層は、剥離ライナーを通じて外部環境から保護され、そして、剥離ライナーは、ウイルス病巣と関与する身体部位にパッチを適用する前に取り除かれなければならない。一旦、自己粘着層を通して、パッチが適用されれば、それは、最長6~24時間皮膚の中および皮膚を通過して有効成分を送達する。
【0091】
本発明によると、パッチは、高揮発性溶剤中の粘着性ポリマーの溶液を他の成分と一緒に混ぜ合わせるステップ、および次に、その混合物をシリコーンコートしたライナーフィルム上で鋳造され、その後に、乾燥、そして、最終的なはり合わせを含むプロセスで調製される。高揮発性溶剤を留去し、そして、剥離ライナー上に接着膜が残るが、それに対して、低揮発性溶剤は、接着層内に残り、薬物の結晶化を防止する。本願発明に従って使用されるポリマーは、高揮発性溶剤の濃度が10~50%であるのに対し、接着剤混合物の組成物の20~80%、好ましくは20~50%の範囲に及ぶ濃度で、有機または水溶液中で圧感接着剤(PSAs)または生体接着フィルムを製造するのに通常使用されるものである。
【0092】
本発明によると、接着層または貯留層の他の成分は、増粘剤、化学透過促進剤、非ポリマー結晶化抑制剤、風味料、界面活性剤、架橋剤、緩衝剤、可塑剤、保存料、抗酸化剤、顔料を含む。選択された溶剤およびポリマーは、もちろん、一様に鋳造され得る均一溶液と混合可能であり、かつ、それを形成しなければならない。低沸点溶剤、すなわち、100℃以下の沸点を有する高揮発性溶剤は、好ましくは水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチルであり、より好ましくは水である。
【0093】
従って、本発明によれば、適用部位へ継続的に送達できる有効な薬物作用物質として有効量の本発明の塩化合物、特に本発明のマレイン酸塩を有する、抗ヘルペスパッチを製造することが可能である。低揮発性溶剤は、皮膚および作用部位に到達するように、マトリックス中の活性作用物質を溶存態で維持することによって結晶化を回避するのに役立ち、かつ、マトリックス全体への薬物の拡散性に作用する。マトリックスは、低揮発性溶剤または溶剤混合物の物理-化学的性質に従って選択されなければならない。ポリマーは、最終生成物に良好な粘着性を提供しなければならない。粘着性の混合物の定量的組成は、厚さ、粘着特性、機械的抵抗性、皮膚接着性、剥離性、および取り扱いで許容されるフィルムを有するように選択される。低沸点溶剤または溶剤混合物中に可溶化される、乾燥マトリックス中のポリマー混合範囲は、5~50%、最も好ましくは20~35%である。溶剤パーセンテージは、接着層または貯留層を製造するために鋳造されるべき混合物中、20~70%、好ましくは35~55%の範囲に及ぶ。乾燥マトリックス中、低沸点溶剤の量は、15重量%を超えてはならない。その代わり、低揮発性溶剤は、乾燥マトリックス中に含まれ、ポリマー中に巻き込まれ、および有効成分を溶解する。乾燥状態におけるこれらの溶剤の量は、10~50%の範囲内にあり、特に30~55%の範囲内にある。
本発明の塩の製造プロセス
プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩
【0094】
【0095】
プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の合成スキーム
本発明の他の側面において、プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の製造プロセスを提供する。
【0096】
前記プロセスは、以下のステップを含む:
i) 混合手段、好ましくはオーバヘッド撹拌機を備えた混合手段を準備し、
ii) ステップi)の前記混合手段に460~490gのプリテリビルの遊離塩基を充填し、
iii) ステップii)のプリテリビルの遊離塩基を、3~5倍量の水で懸濁し、
iv) ステップiii)の懸濁液を、好適な加熱手段によって45~55℃まで加熱し、
v) 結果として生じる溶液を得るまで、固形の225~240gのマレイン酸を40~90分間の期間にわたって加え、
vi) ステップv)で得られた溶液を44~52℃まで冷やし、
vii) ステップvi)の溶液のアリコートを、プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩と共に導入し、
viii) ステップvii)の結果として生じる懸濁液を、1.5~2.5時間にわたって18~24℃まで冷まし、
ix) ステップviii)の懸濁液を一晩撹拌することを続いておこない、
x) ステップix)の懸濁液を、結果として生じる濾過ケーキが得られるように濾過し、
xi) ステップx)で得られた固形の濾過ケーキを、混合手段、好ましくはフラスコに移し、
xii) 以下の条件を適用しながら、恒量を得るように、25~32時間にわたるステップxi)の混合手段のロータリーエバポレーションを続いておこない:
a. 30~40℃の周囲温度、
b. 15~25mbarの圧力、
xiii) 均質化を続いておこない、好ましくは乳鉢と乳棒を用いた均質化を続いておこない、
xiv) 本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩を得るようにする。
【0097】
先のプロセスの好ましい実施形態において、前記プロセスは、以下のステップを含む:
i) オーバヘッド撹拌機を備えた混合フラスコを準備し、
ii) ステップi)の前記混合フラスコに約475.4gのプリテリビルの遊離塩基を充填し、
iii) ステップii)のプリテリビルの遊離塩基を、約4倍量の水で懸濁し、
iv) ステップiii)の懸濁液を、好適な加熱手段によって約51℃まで加熱し、
v) 結果として生じる溶液を得るまで、固形の約232gのマレイン酸を約60分間の期間にわたって加え、
vi) ステップv)で得られた溶液を約48℃まで冷やし、
vii) ステップvi)の溶液のアリコートを、プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩と共に導入し、
viii) ステップvii)の結果として生じる懸濁液を、約2時間にわたって約21℃まで冷まし、
ix) ステップviii)の懸濁液を一晩撹拌することを続いておこない、
x) ステップix)の懸濁液を、結果として生じる濾過ケーキが得られるように濾過し、
xi) ステップx)で得られた固形の濾過ケーキを、混合手段、好ましくはフラスコに移し、
xii) 以下の条件を適用しながら、恒量を得るように、約28時間にわたるステップxi)の混合手段のロータリーエバポレーションを続いておこない:
a. 約35℃の周囲温度、
b. 約20mbarの圧力、
xiii) 均質化を続いておこない、好ましくは乳鉢と乳棒を用いた均質化を続いておこない、
xiv) 本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩を得るようにする。
【0098】
本発明の他の試験された塩
プリテリビルの遊離塩基形のN-メチル-N-(4-メチル-5-スルファモイルチアゾール-2-イル)-2-(4-(ピリジン-2-イル)フェニル)アセトアミド硫酸塩
プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩の製造プロセス
【0099】
【0100】
プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩の合成スキーム
一般的なプロセスの説明:
すべての同等物、体積(L/kg)および重量(kg/kg)は、プリテリビルの出発物質遊離塩基の重量を指す。オーバヘッド撹拌機を備えた2.5Lスルホン化フラスコ内で、プリテリビルの遊離塩基(1当量、1wt、250.0g)を、水(4.0vol.)およびエタノール(4.0vol.)中に懸濁する。懸濁液を50℃まで加熱する。水(0.256vol.)中の硫酸の溶液(96%、1.05当量、0.256wt)を調製し、15%の溶液を50℃にて懸濁液に加える。50℃にて5分後に、懸濁液は、より粘度の高い懸濁液に変わるので、それを50℃にて更に150分間撹拌する。残った硫酸水溶液を、50℃にて75分間の間に懸濁液に加える。懸濁液を、3時間の間に21℃まで冷まし、前記21℃にて13時間撹拌した。懸濁液を濾過し、そして、濾過ケーキを水(0.8vol.)とエタノール(0.8vol.)の混合物で洗浄する。フィルタ上の濾過ケーキの脱溶剤後に、固形物をフラスコに移し、ロータリーエバポレーター(35℃、<20mbar、6時間)により恒量まで乾燥させた。
【0101】
IPC:93.59%の乾燥質量(160℃)。
294.43gのプリテリビル遊離塩基の硫酸塩(アッセイ向けに補正しなかった収率94.7%)。
【0102】
プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩の特徴づけ
NMRによるエタノール量:<100ppm(定量限界未満)。
カールフィッシャー滴定による水分含量:6.33% w/w(一水和物3.5%、二水和物6.7% w/w)。
NMRによるアッセイ:一硫酸塩として95.3% w/w(NMRによる推定一硫酸塩含有量はカールフィッシャー滴定より高くなる)。
プリテリビルの遊離塩基として76.6% w/w。
硫酸塩:18.1% w/w、理論値(一水和物一硫酸塩):18.9% w/w、(推定、(異なる遊離塩基)対(100%-水分含量))。
19.4% w/w(元素分析およびNMRアッセイから推定)(プリテリビルの遊離塩基)。
【0103】
【0104】
プリテリビル遊離塩基の硫酸塩のための特別なプロセスの説明
1Lのエタノールおよび1Lの水中に懸濁したプリテリビルの遊離塩基を50℃の温度まで加熱する。0.16当量の硫酸を1分間の間に加える。約5分後に、粘性の懸濁液が形成される。更に約2時間の撹拌を続いておこなって、撹拌懸濁液を得、そして、0.9当量の硫酸を、50℃の温度にて75分間の間に加える。懸濁液を、室温まで冷まし、更に18時間撹拌する。濾過し、0.4Lのエタノール/水 1/1(v/v)で洗浄し、そして真空中での乾燥を続いておこなう。
【0105】
結果:
未精製のプリテリビル遊離塩基の硫酸塩を得た:294.4gの白色固体(乾燥質量:93.6%(160℃)、<100ppmのエタノール)。
硫酸塩含有量:未決定(元素分析から推定される)。
NMR:一硫酸塩として推定して85.7% w/w
TGA:6.48%の重量減少
カールフィッシャー:6.23% w/wの水
等級(純度):250G
生成物(%理論値):94.7(未修正)
【0106】
プリテリビルの遊離塩基形のN-メチル-N-(4-メチル-5-スルファモイルチアゾール-2-イル)-2-(4-(ピリジン-2-イル)フェニル)アセトアミドヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のエタン-1,2-ジスルホン酸塩の製造プロセス
【0107】
【0108】
プリテリビルの遊離塩基形のエタン-1,2-ジスルホン酸塩の合成スキーム
プリテリビルの遊離塩基形のエタン-1,2-ジスルホン酸塩の製造プロセスの概説:
【0109】
すべての同等物、体積(L/kg)および重量(kg/kg)は、プリテリビルの出発物質遊離塩基の重量を指す。オーバヘッド撹拌機を備えた2.5Lスルホン化フラスコ内で、プリテリビル遊離塩基(1当量、1wt、250.0g)を、水(4.0vol.)およびエタノール(4.0vol.)中に懸濁する。懸濁液を53℃まで加熱する。水(0.31vol.)中のエタン-1,2-ジスルホン酸の溶液(0.60当量、0.312wt)を調製し、15%の溶液を53℃にて懸濁液に加える。懸濁液を導入し(0.02% w/w)、45分後に、酸溶液の添加を10分間の間続けた。懸濁液を、53℃にて90分間撹拌し、3時間の間に21℃まで冷まし、前記21℃にて13時間撹拌した。懸濁液を濾過し、そして、濾過ケーキを水(0.8vol.)とエタノール(0.8vol.)の混合物で洗浄する。フィルタ上の濾過ケーキの脱溶剤後に、固形物をフラスコに移し、ロータリーエバポレーター(35℃、<20mbar、3時間)により恒量まで乾燥させた。
【0110】
結果:
IPC:96.84%の乾燥質量(160℃)。
305.12gの未精製のプリテリビルの遊離塩基形のエタン-1,2-ジスルホン酸塩(アッセイアッセイ向けに補正しなかった収率98.7%)。
プリテリビルの遊離塩基形のエタン-1,2-ジスルホン酸塩の特徴づけ
NMRによるエタノール量:不検出。
カールフィッシャー滴定による水分含量:3.48% w/w(一水和物1.8%、二水和物3.5% w/w)。
NMRによるアッセイ:ヘミスルホン酸塩として95.6% w/w。
遊離塩基として77.3% w/w。
【0111】
プリテリビルの遊離塩基形のエタン-1,2-ジスルホン酸塩のための特別なプロセスの説明
プリテリビルの遊離塩基を、1Lのエタノールと1Lの水1中に懸濁し、54℃の温度まで加熱する。0.09当量のエタン-1,2ジスルホン酸(11.6g)を、11.6gの水中に溶解し、そして、シリンジフイルターにかけて濾過する。前記エタン-1,2ジスルホン酸溶液を、1分間の間に遊離塩基懸濁液に加える。エタン-1,2ジスルホン酸塩の種を加える。懸濁液を、54℃にて40分間撹拌する。0.51当量のエタン-1,2-ジスルホン酸(66.4g)を、54℃にて、1時間の間に水中(66g、シリンジフイルターにかけて濾過した)に溶解した。54℃にて90分間の撹拌を続いておこなう。混合物を、室温まで冷まし、室温にて更に18時間撹拌する。濾過し、エタノール/水 1/1(v/v、0.4L)で洗浄し、そして真空中での乾燥を続いておこなう。
【0112】
結果:
未精製のエタン-1,2ジスルホン酸塩:305.1gの白色固体(乾燥質量:96.8%(160℃)、NMRで見えるエタノールはない。
エタン-1,2-ジスルホン酸含有量:0.53当量(NMR)
NMR:ヘミ塩として推定して95.6% w/w。
カールフィッシャー:3.48% w/wの水
等級(純度):250g
生成物(%理論値):98.7(未修正)
【0113】
プリテリビルの遊離塩基形のN-メチル-N-(4-メチル-5-スルファモイルチアゾール-2-イル)-2-(4-(ピリジン-2-イル)フェニル)アセトアミドベンゼンスルホン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩の製造プロセス
【0114】
【0115】
プリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩の合成スキーム。
プリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩の製造プロセスの概説
【0116】
すべての同等物、体積(L/kg)および重量(kg/kg)は、出発物質のプリテリビル遊離塩基の重量を指す。オーバヘッド撹拌機を備えた2.5Lスルホン化フラスコ内で、プリテリビルの遊離塩基(1当量、1wt、250.0g)を、水(4.0vol.)およびエタノール(4.0vol.)中に懸濁する。懸濁液を53℃まで加熱する。水(0.15vol.)中のベンゼンスルホン酸一水和物の溶液(1.0当量、0.442wt)を調製し、15%の溶液を50℃にて懸濁液に加える。懸濁液を導入し(0.02% w/w)、30分後に、酸溶液の添加を90分間の間続けた。懸濁液を、3時間の間に21℃まで冷まし、前記21℃にて14時間撹拌した。懸濁液を濾過し、そして、濾過ケーキを水(0.8vol.)とエタノール(0.8vol.)の混合物で洗浄する。フィルタ上の濾過ケーキの脱溶剤後に、固形物をフラスコに移し、ロータリーエバポレーター(35℃、<20mbar、4時間)により恒量まで乾燥させた。
【0117】
結果:
IPC:99.63%の乾燥質量(160℃)。
322.51gのプリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩(アッセイ向けに補正しなかった収率92.6%)。
プリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩の特徴づけ
NMRによるエタノール量:500ppm
カールフィッシャー滴定による水分含量:0.17% w/w(一水和物3.1% w/w)
NMRによるアッセイ:ベンゼンスルホン酸塩として102.1% w/w。
遊離塩基として73.4% w/w
【0118】
プリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩の特別なプロセスの説明
プリテリビルの遊離塩基を、1Lのエタノールと1Lの水1中に懸濁し、52℃の温度まで加熱する。0.15当量のベンゼンスルホン酸(16.4g)を、1分間の間に、水(6.3g)中の溶液として加える。プリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩の種を加え、52℃の温度にて30分間撹拌する。0.85当量のベンゼンスルホン酸(94.0g)を、90分間の間に、水(30.5g)中の溶液として加える。この混合物を、室温まで冷ます。更に、室温にて約18時間の撹拌を続いておこなう。濾過し、0.4Lのエタノール/水 1/1(v/v)で洗浄し、そして真空中での乾燥を続いておこなう。
【0119】
結果:
未精製のプリテリビルの遊離塩基形のベンゼンスルホン酸塩:322.5gの白色固体(乾燥質量:99.6%(160℃))。
500ppmのエタノール
ベンゼンスルホン酸含有量:0.93当量(NMR)
NMR:一硫酸塩として推定して102.1% w/w
TGA:0.15%の重量減少
カールフィッシャー:0.17% w/wの水
等級(純度):250g
生成物(%理論値):92.6(未修正)
【0120】
プリテリビルの遊離塩基形のN-メチル-N-(4-メチル-5-スルファモイルチアゾール-2-イル)-2-(4-(ピリジン-2-イル)フェニル)アセトアミドエタンスルホン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のエタンスルホン酸塩の製造プロセス
【0121】
【0122】
プリテリビルの遊離塩基形のエタンスルホン酸塩の合成スキーム
プリテリビルの遊離塩基形のエタンスルホン酸塩の製造プロセスの概説
【0123】
すべての同等物、体積(L/kg)および重量(kg/kg)は、プリテリビルの出発物質遊離塩基の重量を指す。オーバヘッド撹拌機を備えた2.5Lスルホン化フラスコ内で、プリテリビルの遊離塩基(1当量、1wt、250.0g)を、水(4.0vol.)およびエタノール(4.0vol.)中に懸濁する。懸濁液を55℃まで加熱する。
エタンスルホン酸(1.56当量、0.427wt)を、水(0.43vol.)中に溶解し、そして、50分間の間に加える。懸濁液を、3時間の間、21℃に冷まし(約38℃前後にて、粘性の懸濁液が形成され得る)、そして、21℃にて14時間の更に撹拌を続いておこなう。懸濁液を濾過し、そして、濾過ケーキを水(0.8vol.)とエタノール(0.8vol.)の混合物で洗浄する。フィルタ上の濾過ケーキの脱溶剤後に、固形物をフラスコに移し、ロータリーエバポレーター(35℃、<20mbar、4時間)により恒量まで乾燥させた。
【0124】
結果:
IPC:96.31%の乾燥質量(160℃)。
314.28gの未精製のプリテリビルの遊離塩基形のエタンスルホン酸塩(アッセイ向けに補正しなかった収率98.7%)。
特徴づけ:
NMRによるエタノール量:220ppm
カールフィッシャー滴定による水分含量:3.35% w/w(一水和物3.4% w/w)。
NMRによるアッセイ:マレイン酸塩として95.0% w/w。
遊離塩基として72.1% w/w。
【0125】
プリテリビルの遊離塩基形のエタンスルホン酸塩の製造プロセスの具体的な説明
プリテリビルの遊離塩基を、1Lのエタノールと1Lの水1中に懸濁し、60℃の温度まで加熱する。1.56当量のエタンスルホン酸(106.8g)を、水(107g)中に溶解し、そして、50分間の間に懸濁液に加える。懸濁液を、室温まで冷まし、18時間更に撹拌する。濾過し、0.4Lのエタノール/水 1/1(v/v)で洗浄し、そして真空中での乾燥を続いておこなう。
【0126】
結果:
未精製のプリテリビルの遊離塩基形のエタンスルホン酸塩:314.3gの白色固体(乾燥質量:96.3%(160℃))
200ppmのエタノール(NMR)
1当量のエタンスルホン酸(NMR)
NMR:モノエシル酸塩として推定して95.0% w/w
TGA:3.46%の重量減少
カールフィッシャー:3.35% w/wの水
等級(純度):250g
生成物(%理論値):98.7(未修正)
【0127】
結論:
本発明のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩以外に、発明者らは、更に驚いたことに、4種類の追加の塩を見出し、そしてそれらは、以下のとおりであった:
i) すべてが結晶性であり、
ii) すべてが水を含み、
iii) NMRデータによると、本明細書の範囲外であろう残留エタノール存在はなかった。
iv) DSCは、すべての塩について見込まれる形態変化を示し、および
v) 本発明の同定された塩形態のすべてが、40℃/75%の相対湿度にて4週間にわたり物理-化学的に安定である。
【0128】
先の文脈によれば、以下の連続付番した実施形態は、本発明のその他の特有の態様を提供する:
【0129】
1.
N-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩。
【0130】
実施形態1に加えて、本発明はまた、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩も提供する。
【0131】
2.
前記マレイン酸塩が、少なくとも29時間にわたる、300nm~800nmに及ぶ波長、および少なくとも120万Lux時間の光暴露量、および少なくとも200Wh/m2の光暴露エネルギーの光暴露の後に、少なくともN-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基の70%残留の光安定性を特徴とし、そのとき、前記光安定性が「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定される、実施形態1に記載のマレイン酸塩。
【0132】
3.
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、6.6、15.9、16.2、18.1、20.5、22.5、26.1、および28.6 2θにて特徴的なXRPDピークを有することを更なる特徴とする、実施形態1~2のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0133】
4.
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、水性溶液中、室温および3.5~7.0のpHにて2週間の保存後に、出発濃度の少なくとも85%の前記マレイン酸塩の回収を特徴とする物理-化学的安定である、実施形態1~3のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0134】
5.
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、約0.48mg/mLの水中での溶解性を特徴とする、実施形態1~4のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0135】
6.
前記医薬組成物が、更に少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤を含む、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩を含む医薬組成物。
【0136】
実施形態6に加えて、同様に、本明細書中に開示する医薬製剤は、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩も提供する。
【0137】
7.
少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤と共に、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩を処方することによって得られる光安定性医薬組成物。
【0138】
8.
抗炎症薬、抗ウイルス剤、中枢または末梢作用鎮痛剤、(局所)麻酔薬から成る群から選択される別の医薬的活性成分を更に含む、実施形態6または7に記載の医薬組成物。
【0139】
実施形態8に加えて、同様に、本明細書中に開示したプリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩はまた、抗炎症薬、抗ウイルス剤、中枢または末梢作用鎮痛剤、(局所)麻酔薬から成る群から選択される別の医薬的活性成分と共に医薬製剤に組み合わせられてもよい。
【0140】
9.
前記局所麻酔剤がリドカインである、実施形態8に記載の医薬組成物。
【0141】
10.
Octisalate、二酸化チタン、酸化亜鉛、PABA、ホモサレート、トロラミンサリチレート、Dioxybenzone、スルイソベンゾン、オキシベンゾン、アボベンゾン、エカムスル、メラジメート、シノキセート、オクトクリレンを含む群から選択される紫外線遮断剤を更に含む、実施形態6~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0142】
実施形態10に加えて、同様に、本明細書中に開示したプリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩はまた、Octisalate、二酸化チタン、酸化亜鉛、PABA、ホモサレート、トロラミンサリチル塩、Dioxybenzone、スルイソベンゾン、オキシベンゾン、アボベンゾン、エカムスル、メラジメート、シノキセート、オクトクリレンを含む群から選択される紫外線遮断剤と共に医薬製剤に組み合わせられてもよい。
【0143】
11.
実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩を含む局所医薬製剤であって、ここで、前記製剤は、パッチ投与、クリーム、軟膏剤、軟膏、ゲル、スキンローション、ワックス製剤、リップスティック、トニック、ムース、フォーム、フィルム、乳濁液、ペースト、溶液、オイル、およびリポゲルのための製剤を更に含んでいる。
【0144】
実施形態11に加えて、本発明の別の態様において、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、パッチ投与、クリーム、軟膏剤、軟膏、ゲル、スキンローション、ワックス製剤、リップスティック、トニック、ムース、フォーム、フィルム、乳濁液、ペースト、溶液、オイル、およびリポゲルのための製剤中に更に含まれてもよい。
【0145】
12.
前記マレイン酸塩が、ICHガイドラインQ1Bに従って計測したときに、約95~105%の平均回収パーセンテージを有する、実施形態11に記載の局所医薬製剤。
【0146】
13.
前記マレイン酸塩が、ICHガイドラインQ1Bに従って計測した場合に、95~105%の範囲に及ぶ、好ましくは約100%面積/面積の平均純度を有する、実施形態11~12のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【0147】
14.
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、0.1~10% w/wの量の溶存形態で存在する、実施形態6~13のいずれか一項に記載の医薬組成物または局所医薬製剤。
【0148】
15.
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、3.0~8% w/wの量で存在する、実施形態6~14のいずれか一項に記載の医薬組成物または局所医薬製剤。
【0149】
16.
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、4~7% w/wの量で存在する、実施形態6~15のいずれか一項に記載の医薬組成物または局所医薬製剤。
【0150】
17.
前記マレイン酸塩が、「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、5.0% w/wの量で存在する、実施形態6~16のいずれか一項に記載の医薬組成物または局所医薬製剤。
【0151】
18.
前記マレイン酸塩が、1.0~10% w/w、特に5.0% w/wの量で存在し、かつ、前記局所医薬製剤が軟膏剤であり、かつ、前記軟膏剤を1日に1~10回、1日に2~10回、1日に3~8回、1日に3~7回、1日に4~6回、または1日に5回投与する、実施形態11~17のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【0152】
19.
前記マレイン酸塩が、1.0~7.5% w/w、特に5.0% w/wの量で存在し、かつ、前記局所医薬製剤が軟膏剤であり、かつ、前記軟膏剤を1日に1~10回、1日に2~10回、1日に3~8回、1日に3~7回、1日に4~6回、または1日5回投与し、かつ、前記軟膏剤を2~14日間、3~10日間、3~7日間、4~5日間の期間にわたって、または5日間もしくは4日間にわたって投与する、実施形態11~18のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【0153】
20.
前記マレイン酸塩が5.0% w/wの量で存在し、かつ、前記局所医薬製剤が軟膏剤であり、かつ、前記軟膏剤を1日に5回投与し、かつ、前記軟膏剤を4日間の期間にわたって投与する、実施形態11~19のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【0154】
実施形態20に隣接する実施形態において、前記マレイン酸塩は5.0% w/wの量で存在し、かつ、前記局所医薬製剤はゲルであり、かつ、前記ゲルを1日に5回投与し、かつ、前記ゲルを4日間の期間にわたって投与する。
【0155】
実施形態20に隣接する実施形態において、前記マレイン酸塩は5.0% w/wの量で存在し、かつ、前記局所医薬製剤はクリームであり、かつ、前記クリームを1日に5回投与し、かつ、前記クリームを4日間の期間にわたって投与する。
【0156】
実施形態20に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた5.0% w/wの量で存在し、かつ、前記局所医薬製剤が、軟膏剤、ゲル、またはクリームのいずれかであり、かつ、前記軟膏剤、ゲルまたはクリームのいずれかを1日に5回投与し、かつ、前記軟膏剤、ゲルまたはクリームのいずれかを4日間の期間にわたって投与する。
【0157】
21.
「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、前記マレイン酸塩が、前記組成物を用いた局所処置方法において、対象となった個体への適用の少なくとも1時間後に、表皮および真皮において少なくとも≧10nMの濃度に達するのに十分な量で存在する、実施形態11~20のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【0158】
22.
「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、前記局所医薬製剤が、3.5~7.0、特に4.0~5.0の見かけのpHを有する、実施形態11~21のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【0159】
23.
「Ph. Eur」および/または「USP」法による公定書収載の方法を使用して測定したとき、前記マレイン酸塩が、室温、かつ、3.5~7.0、特に4.0~5.0の見かけのpHにて2週間の保存後に、少なくとも85%の物理-化学的安定性を有する、実施形態11~22のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【0160】
24.
薬剤としての使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0161】
実施形態24に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、薬剤としての使用のために提供される。
【0162】
25.
ヘルペス感染症の処置および/または予防方法における使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0163】
実施形態25に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、ヘルペス感染症の処置および/または予防方法における使用のために提供される。
【0164】
26.
ヘルペス感染症の処置および/または予防における使用のためのものであって、ここで、前記ヘルペスウイルスが単純ウイルス目から選択される、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0165】
実施形態26に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、ヘルペス感染症の処置および/または予防方法における使用のために提供され、ここで、前記ヘルペスウイルスは、単純ウイルス目から選択される。
【0166】
27.
前記単純ウイルスが、単純ヘルペスウイルス1または単純ヘルペスウイルス2から選択される、実施形態25~26のいずれか一項に記載の使用のためのマレイン酸塩。
【0167】
実施形態27に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、ヘルペス感染症の処置および/または予防方法における使用のために提供され、ここで、前記ヘルペスウイルスは、単純ウイルス目から選択される。
【0168】
28.
単純ヘルペスウイルス亜型1または2感染症の発生の処置または抑制方法、あるいは単純ヘルペスウイルス亜型1または2感染症の伝染の抑制方法であって、それを必要としている対象に、有効量の、実施形態1~5のいずれか一項に記載のN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]の遊離塩基形のマレイン酸塩を投与することを含む方法。
【0169】
実施形態28に加えて、単純ヘルペスウイルス亜型1または2感染症の発生の処置または抑制方法、あるいは単純ヘルペスウイルス亜型1または2感染症の伝染の抑制方法であって、それを必要としている対象に、有効量の、本明細書中に開示するプリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩を含む群から選択される塩を投与することを含む方法が、提供される。
【0170】
29.
それを必要としている対象の処置における経口医薬製剤での使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0171】
実施形態29に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、それを必要としている対象の処置における経口医薬製剤での使用のために提供される。
【0172】
30.
それを必要としている対象の、ヘルペス感染症と、特に単純ヘルペス感染症の処置および/または予防における経口医薬製剤での使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0173】
実施形態30に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、それを必要としている対象の、ヘルペス感染症、特に単純ヘルペス感染症の処置および/または予防における経口医薬製剤での使用に提供される。
【0174】
31.
それを必要としている対象の処置における局所医薬製剤での使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0175】
実施形態31に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、それを必要としている対象の処置における局所医薬製剤での使用のために提供される。
【0176】
32.
それを必要としている対象への局所投与における使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩であって、ここで、前記局所投与が、皮膚および粘膜表面への適用、例えば、顔面適用、口唇、性器、および眼部への適用を含む。
【0177】
実施形態32に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、それを必要としている対象への局所投与における使用のために提供され、ここで、前記局所投与は、皮膚および粘膜表面への適用、例えば、顔面適用、口唇、性器、および眼部への適用を含む。
【0178】
33.
それを必要としている対象への全身投与における使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0179】
実施形態33に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、それを必要としている対象への全身投与における使用のために提供される。
【0180】
34.
再発性口唇ヘルペスの処置および/または予防方法における使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0181】
実施形態34に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、再発性口唇ヘルペスの処置および/または予防方法における使用のために提供される。
【0182】
35.
口唇ヘルペスの前駆症状的段階の兆候示す患者、紅斑を患っている患者、口唇丘疹を示す患者、口唇小水疱を患っている患者、口唇に潰瘍および/または軟性痂皮(soft crusts)を患っている患者、口唇に硬性痂皮(hard crusts)を患っている患者、後遺性口唇紅斑を患っている患者の群から選択される再発性口唇ヘルペスの処置および/または予防方法における使用のための実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0183】
実施形態35に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、口唇ヘルペスの前駆症状的段階の兆候示す患者、紅斑を患っている患者、口唇丘疹を示す患者、口唇小水疱を患っている患者、口唇に潰瘍および/または軟性痂皮(soft crusts)を患っている患者、口唇に硬性痂皮(hard crusts)を患っている患者、後遺性口唇紅斑を患っている患者の群から選択される再発性口唇ヘルペスの処置および/または予防方法における使用のために提供される。
【0184】
36.
外陰部ヘルペスの処置および/または予防方法における使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0185】
37.
ヘルペス性角膜炎の処置および/または予防における使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩
【0186】
38.
ヘルペス髄膜炎および/またはヘルペス脳炎の処置および/または予防による使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0187】
39.
新生児のヘルペス感染症の処置および/または予防における使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0188】
40.
免疫応答性個体および/または免疫不全個体におけるヘルペス感染症の処置および/または予防における使用のための、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0189】
同様に、実施形態36~40の内容に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた適用する。
【0190】
41.
前記免疫不全個体が、臓器移植の受容個体、別のウイルスまたは細菌による感染症、特にHIVおよび/または別のヘルペスウイルスによる感染症を患っている個体、および少なくとも1種類の抗ウイルス作用に対して耐性である単純ヘルペスウイルスに感染している個体を含む群から選択される、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩。
【0191】
42.
それを必要としている対象に、実施形態1~5のいずれか一項に記載のマレイン酸塩を投与することを含む、ヘルペス感染症の処置および/または予防方法。
【0192】
実施形態42に加えて、プリテリビルの遊離塩基形の硫酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびエタンスルホン酸塩もまた、前述の使用および処置方法のために提供される。
【0193】
43.
実施形態1~5のいずれか一項に記載のN-[5-(アミノ-スルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)フェニル]アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩の製造のためのプロセスであって、前記プロセスは、以下のステップを含む:
i) 混合手段、好ましくはオーバヘッド撹拌機を備えた混合手段を準備し、
ii) ステップi)の前記混合手段に460~490gのプリテリビルの遊離塩基を充填し、
iii) ステップii)のプリテリビルの遊離塩基を、3~5倍量の水で懸濁し、
iv) ステップiii)の懸濁液を、好適な加熱手段によって45~55℃まで加熱し、
v) 結果として生じる溶液を得るまで、固形の225~240gのマレイン酸を40~90分間の期間にわたって加え、
vi) ステップv)で得られた溶液を44~52℃まで冷やし、
vii) ステップvi)の溶液のアリコートを、未精製のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩と共に導入し、
viii) ステップvii)の結果として生じる懸濁液を、1.5~2.5時間にわたって18~24℃まで冷まし、
ix) ステップviii)の懸濁液を一晩撹拌することを続いておこない、
x) ステップix)の懸濁液を、結果として生じる濾過ケーキが得られるように濾過し、
xi) ステップx)で得られた固形の濾過ケーキを、混合手段、好ましくはフラスコに移し、
xii) 以下の条件を適用しながら、恒量を得るように、25~32時間にわたるステップxi)の混合手段のロータリーエバポレーションを続いておこない:
a. 30~40℃の周囲温度、
b. 15~25mbarの圧力、
xiii) 均質化を続いておこない、好ましくは乳鉢と乳棒を用いた均質化を続いておこない、
xiv) 本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩を得るようにする。
【0194】
44.
以下のステップを含む、実施形態43に記載のプロセス:
i) オーバヘッド撹拌機を備えた混合フラスコを準備し、
ii) ステップi)の前記混合フラスコに約475.4gのプリテリビルの遊離塩基を充填し、
iii) ステップii)のプリテリビルの遊離塩基を、約4倍量の水で懸濁し、
iv) ステップiii)の懸濁液を、好適な加熱手段によって約51℃まで加熱し、
v) 結果として生じる溶液を得るまで、固形の約232gのマレイン酸を約60分間の期間にわたって加え、
vi) ステップv)で得られた溶液を約48℃まで冷やし、
vii) ステップvi)の溶液のアリコートを、未精製のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩と共に導入し、
viii) ステップvii)の結果として生じる懸濁液を、約2時間にわたって約21℃まで冷まし、
ix) ステップviii)の懸濁液を一晩撹拌することを続いておこない、
x) ステップix)の懸濁液を、結果として生じる濾過ケーキが得られるように濾過し、
xi) ステップx)で得られた固形の濾過ケーキを、混合手段、好ましくはフラスコに移し、
xii) 以下の条件を適用しながら、恒量を得るように、約28時間にわたるステップxi)の混合手段のロータリーエバポレーションを続いておこない:
a. 約35℃の周囲温度、
b. 約20mbarの圧力、
xiii) 均質化を続いておこない、好ましくは乳鉢と乳棒を用いた均質化を続いておこない、
xiv) 本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩を得るようにする。
【0195】
次の実施例は、本発明の好ましい実施形態を明らかにすることを含む。続く実施例に開示される技術は、本発明の実施においてよく機能するために発明者によって開示される技術を表すことは当業者から評価されるべきであるので、当該実施のための好ましい態様を続けることを考慮されることができる。
【0196】
本発明の種々の態様の更なる修正および代替的な実施形態は、本明細書を考慮して当業者に明らかになるだろう。従って、本願明細書は、実例と解釈されるだけであり、当業者に本発明を実施する一般的な方法を教示するためにある。本願に示されるおよび記述される本発明の形態は、実施形態の実施例と見なすことができることを理解することができる。全て本発明のこの明細書を利用した後、当業者におそらく明らかになるように、要素および物質を本願で説明されたものおよび記述されたものに置換してよく、部分および過程を入れ替えてよく、本発明の特定の特徴を独立して利用してよい。
【実施例0197】
適用した一般的な解析方法:
DSCによる融点
原理:電力補償を用いた示差走査熱量測定。
装置:DSCシステム(DSC822e-Mettler Toledo)/分析用微量天秤。
手順:正確に計量した量のサンプル(典型的には1~5mg)を、清潔で乾燥したアルミニウムるつぼに入れ、穴をあけたアルミキャップで閉じた。第二のるつぼは、基準るつぼである。
条件:開始温度:20℃
加熱速度:10℃/分
終了温度:300℃
雰囲気:N2(流量20mL/分)
【0198】
TGA揮発成分
原理:熱重量法。
装置:オーブン、オーブン温度センサーおよびサンプル温度センサー/酸化アルミニウムパン/分析用微量天秤を含むTGA851e装置。
手順:空の酸化アルミニウムパンを、バックグラウンドカーブを得るために使用する。その後、正確に計量した量のサンプル(典型的には10mg)を、清潔で乾燥したパンに入れる。計測を、分析用取扱説明書に記載のとおりおこなう。
条件:開始温度:25℃
加熱速度:5℃/分
終了温度:300℃
雰囲気:N2(流量50mL/分)
【0199】
1H NMR
装置:Bruker AVANCE 400MHz
溶剤:DMSO-D6またはCDCl3
内部標準:テトラメチルシラン(TMS)または溶剤ピーク
デカップリング:逆ゲート付きデカップリング
アッセイ:アッセイでは、化合物の積分面積と、内部標準(典型的にはヒドロキノンジメチルエーテル)の積分面積との比較によるACD/Spac Manager9のマクロを使用して測定される。
【0200】
ホットステージを用いた光学顕微鏡検査
装置:Di-Li5MPカメラと、グラブよび測定ソフトウェアを備えたOlympus BX41;FP82加熱テーブルを備えたHotstage Mettler Toledo FP90。
方法:サンプルを対物ホルダー上にブラシを用いて調製する。40、100、200もしくは400×倍にて、非偏光、または2つの偏光フィルタを使用した偏光を使用して、観察をおこなう。写真をソフトウェアによって撮影し、JPEGとしてエクスポートし、縮尺は概算にすぎず、確認していない。
【0201】
X線粉末回折
装置:シリコン製低バックグラウンドサンプルホルダーを使用したRigaku Corporation製MiniFlex(直径24mm、ピット0.2mm)。
チューブ:Cu、λ=1.54056Å、15kV
方法:
角度:2θ=2Å~2θ=40Å
サンプリング幅0.02[2θ]
計測時間:75分。
調製:十分な量が単離したときには、乳鉢と乳棒を用いてサンプルを粉砕する;これが、より一貫性のある結果、より少ない選択配向、および巨大な粒度を有する材料のより良好な取り扱いにつながる。サンプルホルダー上に配置した固形物を、グリースを用いて調製し、ガラス製ディスクを用いて平らにした。
【0202】
HPLC
純度の推定と、溶液中の溶解性の測定のために、一般的な社内法を使用する。
カラム:Phenomenex Luna 3μm C18(50×4.6mm)
検出:DAD検出装置、254nmにて記録する
希釈剤:ACN/H2O 1:1+1%のTFA中に0.5mg/mL
溶出液:
A=「H2O+0.05%のCF3COOH」
B=「CH3CN+0.05%のCF3COOH」
方法:
注入:5μL
流量:1.0mL/分
【0203】
Min溶出液
0.00% A=90.0
% B=10.0
0.10% A=90.0
% B=10.0
10.1% A=10.0
% B=90.0
12.1% A=10.0
% B=90.0
13.1% A=90.0
% B=10.0
15.1% A=90.0
% B=10.0
【0204】
実施例I-N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩の同定
【0205】
単結晶XRD(SCXRD)による構造確認
本発明のマレイン酸塩の濃縮溶液を、様々な結晶化実験に供したが、それは、例えば、冷却によるか、蒸留によるか、蒸気拡散によるか、または溶融からの結晶化などの様々な技術を含む。
【0206】
I.1 プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の粉末X線回折パターン
使用した装置と方法
サンプル調製:得られたマレイン酸塩の固形物の粉末回折パターンを取得するために、約20mgのサンプルを、ポリアセテート製の2枚のホイルを使用して標準サンプルホルダー内で調製した。
【0207】
データ収集:粉末回折パターンを、透過幾何学においてCuKα1放射線(1.54060A)を使用したブBruker D8 Advance Series 2Theta/Theta粉末回折システムにより取得した。そのシステムは、VANTEC-1単一光子計測PSD、Germaniumモノクロメータ、90位自動変換サンプルステージ、固定発散スリット、およびラジアルソラーを備えている。
【0208】
使用したプログラム:DIFFRACおよびXRD Commander V.2.4.1を用いたデータ収集と、EVA V.12.0およびMicrosoft Excel(商標)を用いた評価。サンプルを、4°~40°の2θの範囲(ステップサイズ:0.016°)での20分間の走査において計測した。
図7~11を参照。例えば
図10~11の特徴的なピークにより、当業者にとって、マレイン酸塩が純粋な結晶固体であることは実証できた。
【0209】
本明細書中で言及するプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の物理的特徴づけを、European Pharmacopoeia(Ph.Eur)および/またはU.S.Pharmacopeial Convention(USP)に従って公定書収載の方法を使用しておこなった。
【0210】
すべての実験が結晶化によって固形物を提供しているが、その大部分が、粉末またはせいぜい(クラスターにまとまる)非常に小さい単結晶であって、SCXRD分析にとって好適ではない。好適な、小さい結晶を、アセトン中での冷却結晶化によって入手し、それをSCXRD測定に使用したが、より大きい結晶を、何週間後かに蒸気拡散によって入手できた(Methyl Ethyl Ketone/Ethyl Acetate、Methyl Ethyl Ketone/Diethyl EtherおよびAcetone/Diethyl Ether、SCXRD測定には不使用)。
【0211】
構造決定のためのデータを、低温(100K)にて収集した。非対称ユニットは、陽イオン性有機化合物1分子とマレアート陰イオン1分子を含む。構造は、明らかにマレイン酸を伴った塩である。
【0212】
本発明のマレイン酸塩分子において、カルボキシル基のうちの1つが、酸素原子とは明らかに異なった結合距離を示し(1.22と1.32Å)、より長い結合を有する酸素原子のプロトン付加反応を示唆している。実験での残差電子密度は水素原子の存在を立証した。なぜなら、それが予想された位置に明確に局在化したからであった。その一方、マレアートの第二のカルボキシル基は、酸素原子に一致する結合距離を示し(1.26と1.27Å)たが、電子密度は、水素原子について予想された距離に局在化していなかった。同一の結合距離と失われた電子密度の両方が、カルボキシラート基の存在を立証している。有機分子において、水素原子は、ピリジン環の窒素原子に近い予想位置に配置された残差電子密度から明確に同定でき、分子のカチオン形が立証される。
【0213】
本発明のマレイン酸塩は、両カルボキシル基の間の分子内水素結合を形成し、そしてそれが、その構造およびその陰イオン形態を安定させているはずである。更に、カルボキシラートは、ピリジン環の水素との水素結合を形成する。結晶充填では、本発明のマレイン酸塩が、有機分子との数回の追加の弱い相互作用を生じることが観察でき、そしてそれが、構造を更に安定させるはずである。その構造は、優れた質の構造である(R1:3.81%)。すべての関連水素原子が、残差電子密度から実験的に局在化した。
【0214】
単結晶データからシミュレートしたPXRDパターンは、フェーズ1の間、本発明のマレイン酸塩の実験PXRDパターンに非常によく類似しており(
図7~11を参照)、バルクと計測した単結晶が同じ結晶相に相当することを立証している。
【0215】
本発明のマレイン酸塩の一連の結晶化実験を、様々な溶剤で実施した。一つの冷却結晶化実験と3つの蒸気拡散実験が、SCXRDに好適な結晶を提供した。
【0216】
表1:単結晶XRD実験に使用した溶剤のリスト
【表2】
【0217】
本発明のマレイン酸塩の結晶構造を分析し、該分子が塩であることを確認した。単結晶計測からの推定PXRDパターンは、フェーズ1標準である本発明のマレイン酸塩のものに相当する。
【0218】
I.2 N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドのマレイン酸塩は、遊離塩基およびメシル酸塩を超える利益をもたらす
【0219】
本発明による様々な塩、すなわち:N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの硫酸塩、エタンスルホン酸、マレイン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、遊離塩基およびメシル酸塩を、首尾よくスケールアップし、それに続いてそれらの溶解性および安定性特性に関して更に詳細に試験した。
【0220】
I.3 水および(経口経路投与用の)関連製剤ビヒクル中での遊離塩基形プリテリビルのマレイン酸塩の溶解性特性
【0221】
【0222】
I.4 様々な医薬賦形剤における溶解性の測定
試験の目的は、周囲温度にて30%のCaptisol(登録商標)、30%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β CD)、エタノール、プロピレングリコール(PG)、およびポリエチレングリコール(PEG400)中でのプリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸、その硫酸塩、そのモノエタンスルホン酸、そのマレイン酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩およびそのヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、の溶解性を測定することであった。ジメチルスルホキシド(DMSO)が対照溶剤としての役割を果たした。
【0223】
材料
試験品目
参照品目:プリテリビルの遊離塩基
MW遊離形態:402.5g/mol
純度:99%
バッチ番号:BX01AWL微粉化
試験品目:
プリテリビルの遊離塩基形のメシル酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のスルホン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のモノエタンスルホン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のモノベンゼンスルホン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩
【0224】
方法
サンプル調製
ガラスバイアル内に試験品目を計り入れ、適切な溶剤を添加することによって、懸濁液を調製した。その懸濁液を、短時間、ボルテックス混合し、22時間オーバヘッドで振り混ぜた。アリコート(500μL)を、ポリフッ化ビニリデン膜を備えた濾過装置に移し、そして遠心分離によって固形物を分離した。濾液を、アセトニトリル/メタノール/水/酢酸(25+25+50+0.5、v+v+v+v)で希釈した(1:100)。
【0225】
すべての塩の対照溶液を、20mg/mLの濃度にてDMSO中に調製し、そして先に記載したように処理した。溶解性を、過飽和溶液の希釈濾液の濃度測定で測定した。
【0226】
較正とQCサンプル
20.0~1001μg/Lの範囲を網羅する較正のサンプルを調製した。バッチ内対照のために、3つの異なった濃度レベル(50.0、300、801μg/mL)にて、QCを調製した。
【0227】
クロマトグラフィーと検出
クロマトグラフィー分離を、1%の酢酸と、1%の酢酸を含有したアセトニトリル/メタノール(1+1、v+v)とを使用した勾配溶出によって、Phenomenex Luna C18(2)、5μmカラム(150×2mm)で実施した。検出のために、ダイオードアレイ検出装置を使用した。吸光度を300nmの波長で記録した。詳細な方法説明を、原資料データフォルダ内にファイルした。
【0228】
データ評価
すべての計算をMicrosoft Excel2010で実施した。平均データを算術平均として与えた。
【0229】
結果:
プリテリビルの遊離塩基、そのメシル酸塩、そのスルホン酸塩、そのモノエタンスルホン酸塩、そのマレイン酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩、およびそのヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩を、周囲温度にてCaptisol(登録商標)、HP-β-シクロデキストリン(HP-β CD)、エタノール、プロピレングリコール(PG)およびポリエチレングリコール(PEG400)中に溶解した。ジメチルスルホキシド(DMSO)が対照溶剤としての役割を果たした。
【0230】
最高の溶解度は、全ての塩に関して30%のCaptisol(登録商標)および30%のβ-シクロデキストリン溶液で見られた。Captisol(登録商標)において、適用した試験条件下での最大可溶濃度は、18.5~37.6mg/mLに及んだ。類似の濃度は、21.0~37.7mg/mLに及ぶβ-シクロデキストリンでも見られた。プリテリビルの遊離塩基は、Captisol(登録商標)およびβ-シクロデキストリン中のそれぞれで1.79および1.91mg/mLの値を有する有意に低い溶解性を示した。
【0231】
最低濃度はエタノール中で観察され、遊離塩基とすべての塩で類似しており、0.197~0.485mg/mLに及んだ。溶解性に関するより大きな変化は、PGとPEGにおいて測定された。硫酸塩は、12.5mg/mLにてPG中で最高濃度を示し、続いて、11.6mg/mLのメシル酸塩、モノエタンスルホン酸塩およびマレイン酸塩が5~6mg/mLであった。最低の溶解性は、0.769mg/mLにてヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩で測定された。PEGでは、プリテリビルの遊離塩基が89.6mg/mLにて最高濃度を示した。PEG中でのマレイン酸塩の溶解性は32.2mg/mLであることがわかった。他のすべての塩が≦15.2mg/mLの値を示した。DMSO溶液からの回収率は93.0~109%に及び、アッセイの適切さが確認された。
【0232】
最高の溶解度は、全ての塩に関して30%のCaptisol(登録商標)および30%のβ-シクロデキストリン溶液で見られた。Captisol(登録商標)において、適用した試験条件下での最大可溶濃度は、18.5~37.6mg/mLに及んだ。類似の濃度は、21.0~37.7mg/mLに及ぶβ-シクロデキストリンでも見られた。プリテリビルの遊離塩基は、Captisol(登録商標)およびβ-シクロデキストリン中のそれぞれで1.79および1.91mg/mLの値を有する有意に低い溶解性を示した。
【0233】
最低濃度はエタノール中で観察され、遊離塩基とすべての塩で類似しており、0.197~0.485mg/mLに及んだ。溶解性に関するより大きな変化は、PGとPEGにおいて測定された。硫酸塩は、12.5mg/mLにてPG中で最高濃度を示し、続いて、11.6mg/mLのメシル酸塩、モノエタンスルホン酸塩およびマレイン酸塩が5~6mg/mLであった。最低の溶解性は、0.769mg/mLにてヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩で測定された。PEGでは、遊離塩基が89.6mg/mLにて最高濃度を示した。PEG中でのマレイン酸塩の溶解性は32.2mg/mLであることがわかった。他のすべての塩が≦15.2mg/mLの値を示した。
詳細に関しては、
図48~49を参照。
【0234】
I.5 人工胃液および腸液中での溶解性(n=3、別段の言及がない限り):
この試験の目的は、断食状態の人工胃液(FaSSGF)、食事摂取状態の人工腸液(FeSSIF)および断食状態の人工腸液(FaSSIF)中のモノエタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、モノベンゼンスルホン酸塩およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩の相対溶解性を測定することである。
プリテリビルの遊離塩基とそのメシル酸塩との相対溶解性を更に詳細に測定し、基準として使用した。
【0235】
材料
試験品目
試験品目:モノエタンスルホン酸塩
MWモノエタンスルホン酸塩:530.6g/mol
MW遊離形態:402.5g/mol
純度:99%
バッチ番号:Carbogen-NE-023931-Z-0-2-VV4
試験品目:マレイン酸塩
MWマレイン酸塩:939.1g/mol
MW遊離形態:402.5g/mol
純度:99%
バッチ番号:Carbogen-NE-023931-Z-0-2-VV3
試験品目:モノベンゼンスルホン酸塩
MWモノベンゼンスルホン酸塩:578.7g/mol
MW遊離形態:402.5g/mol
純度:99%
バッチ番号:Carbogen-NE-023931-Z-0-2-VV2
試験品目:ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩
MWヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩:1013.2g/mol
MW遊離形態:402.5g/mol
純度:99%
バッチ番号:Carbogen-NE-023931-Z-0-2-VV1
【0236】
基準品目:プリテリビル遊離塩基
MWプリテリビル遊離塩基形態:402.5g/mol
純度:n.d.
バッチ番号:BHC-BXO1AWL微粉化
基準品目:メシル酸塩
MWメシル酸塩:516.2g/mol
MW遊離形態:402.5g/mol
純度:99.8%
バッチ番号:BHC-BXR3NC1微粉化
【0237】
マトリクス
断食状態の人工胃液(FaSSGF)
SIF Powder Originalを、塩化ナトリウム溶液(34.2mM、pH1.6)に加え、0.06g/Lの終濃度を得た。
【0238】
断食状態の人工腸液(FaSSIF)
10.5mMの水酸化ナトリウム(MW40)、28.7mMのリン酸二水素ナトリウム(MW119.98)および106mMの塩化ナトリウム(MW58.44)から成るバッファーを調製した。1Nの塩酸の添加によって、pHを6.5に調整した。SIF Powder Originalを加えて、2.24g/Lの終濃度を得た。
【0239】
食事摂取状態の人工腸液(FeSSIF)
101mMの水酸化ナトリウム(MW40)、144mMの氷酢酸(MW60.05)および203mMの塩化ナトリウム(MW58.44)から成るバッファーを調製した。1Nの塩酸の添加により、pHを5に調整した。SIF Powder Originalを加えて、11.2g/Lの終濃度を得た。
【0240】
方法
すべてのサンプルを、3つの個別の初期重量を用いた三連として調製した。
【0241】
サンプル調製
約12mgの試験品目を計量し、600μLのFaSSGF、FaSSIFまたはFeSSIF(終濃度20mg/mL)を添加することによって三連として、モノエタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、モノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、メシル酸塩またはプリテリビル遊離塩基の懸濁液を調製した。懸濁液を、37℃にてインキュベートした。0、0.5、1および2時間後に、固形物の除去のために(約15000×gおよび37℃にて10分間)、アリコート(100μL)を遠心分離デバイス(ポリビニリデンジフルオリド膜、0.2μm)に移した。FaSSGF濾液を、1:1000の最終的な希釈までアセトニトリルで希釈した。FaSSIF濾液を1:50の最終的な希釈まで、およびFeSSIF濾液を1:100の最終的な希釈まで、アセトニトリルで希釈した。
【0242】
較正とQC-サンプル
プリテリビルの遊離塩基形のメシル酸塩の較正溶液および品質管理溶液を、アセトニトリル/DMSO 4+1(v+v)中に調製した。10μL較正または品質管理溶液を、内部標準を含有するメタノール/水(1+1、v+v)に加えた(すなわち、メタノール/水(1+1、v+v)+1%の酢酸中のプリテリビル遊離塩基の安定同位体、1000μg/L)。較正サンプルを、10~1000μg/Lの範囲内で調製した。品質管理サンプルを、バッチ内対照として3つの異なるレベル(25、300、および800μg/L)にて調製した。
【0243】
クロマトグラフィーと検出
移動相として1%の酢酸と、1%の酢酸を含有するアセトニトリル/メタノール(1/1、v/v)とを使用した勾配溶出による、Phenomenex Luna PFP(2)、3μmカラム(100×2mm)により、クロマトグラフィー分離を実施した。検出のために、トリプルステージ質量分析計(3200 QTrap)を使用し、そして、ポジティブ多段階反応観察モード(MRM遷移403.6→196.3)で作動させた。
【0244】
サンプルを、それらのプリテリビルの遊離塩基の含有量について分析した。人工流体のpHは、少量のサンプルの添加によって有意に変化しなかったので、媒質中の遊離塩基の安定性を考慮しなかったので、そのため、塩基の加水分解速度の違いを予想していなかった。加水分解産物が検出されなかったので、相対溶解性だけを結果の更なる評価に使用した。
【0245】
結果と考察
モノエタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、モノベンゼンスルホン酸塩、ヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、プリテリビルの遊離塩基およびそのメシル酸塩の相対溶解性を、37℃にて2時間のインキュベーションの間、FaSSGF、FaSSIFおよびFeSSIF中で測定した。モノエタンスルホン酸塩は、調査した媒質FaSSGF、FaSSIFおよびFeSSIFにおいてすべての試験品目で最も高い相対溶解性を示した。FaSSGF中のヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩の溶解性は、マレイン酸塩およびモノベンゼンスルホン酸塩の溶解性より高いことがわかった。FaSSIFおよびFeSSIFにおいて、マレイン酸塩、モノベンゼンスルホン酸塩およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩は、基本的に類似した濃度を示した。FaSSGFおよびFaSSIFにおける経時的な異常な濃度減少は、いくつかの実験設定で観察された遊離塩基の加水分解によって一部説明されるであろう。加水分解産物が測定されなかったので、相対溶解性だけが結果の更なる評価に使用されるべきである。参照品目遊離塩基プリテリビルおよびそのメシル酸塩の溶解性が、予想どおりであり、以前の調査と十分に一致することがわかった。まとめられた結果を
図47で示す。
【0246】
図47に示したデータによると、試験した塩は、FeSSIF条件下でN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基を超える顕著な利益を実証し、そしてそこでは、それらの溶解特性が前記遊離塩基の溶解性より有意に高い。
【0247】
対照的に、FaSSIF条件下、N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの試験塩だけが、短時間にわたってのみ、すなわち30分間にわたって、高められた溶解特性に関して遊離塩基を超える利益を実証した。
【0248】
N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド塩の溶解性もまた、その遊離塩基と比較して、水中および異なった医薬賦形剤の存在下で測定した。
【0249】
遊離塩基は、水中で0.00130mg/mLの最も低い溶解性を示した。硫酸塩、モノエタンスルホン酸、マレイン酸塩、モノベンゼンスルホン酸塩およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩は、0.175~0.606mg/mLに及ぶ範囲によって類似の溶解性を示した。対応するpHは、3.03~3.69に及んだ。最も高い溶解性は、メシル酸塩に関して測定され、そしてそれは、2.8のpHで最大1.20mg/mLまで水中に溶解することがわかった。これらの結果は、pHが溶解性に対して大きな影響を及ぼすことを示している。より高い酸性を有する対イオンが、より低いpHとより高い溶解性につながった。本明細書中では、結果に関して
図47を参照。
【0250】
遊離塩基、メシル酸塩、硫酸塩、エタンスルホン酸、マレイン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩は、同様に、周囲温度にて、Captisol(登録商標)、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(以降、簡略化したHP-β CD)、エタノール、プロピレングリコール(以降、簡略化したPG)およびポリエチレングリコール400(以降、簡略化したPEG400)中の溶解特性について試験した。ジメチルスルホキシド(以降、簡略化したDMSO)が対照溶剤としての役割を果たす。
【0251】
驚いたことに、試験した塩が30%のCaptisol(登録商標)および30%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β CD)を含むとき、シクロデキストリン水溶液中で有意に高い(すなわち、10倍超高い)溶解性を示すことが、発明者らによって見出された。
【0252】
最も高い溶解性は、30%のCaptisol(登録商標)および30%のHP-β CD溶液中においてすべての試験した塩で見られた。Captisol(登録商標)では、適用した試験条件での最大可溶濃度は、18.5~37.6mg/mLに及んだ。類似の濃度は、21.0~37.7mg/mLの範囲でHP-β CDにおいて見られた。遊離塩基は、Captisol(登録商標)およびHP-β CDにおいて、それぞれ1.79および1.91mg/mLの値で有意に低い溶解を示した。
【0253】
最低濃度はエタノールにおいて観察され、遊離塩基とすべての試験した塩で類似しており、0.197~0.485mg/mLに及んだ。
溶解特性に関してより大きい変化は、PGおよびPEGで測定された。
【0254】
硫酸塩は、12.5mg/mLにてPG中で最高濃度を示し、続いて、11.6mg/mLのメシル酸塩、モノエタンスルホン酸塩およびマレイン酸塩が5~6mg/mLであった。最低の溶解性は、0.769mg/mLにてヘミエタン-1,2-ジスルホン酸で測定された。PEG400では、プリテリビルの遊離塩基が89.6mg/mLにて最高濃度を示した。PEG中でのマレイン酸塩の溶解性は32.2mg/mLであることがわかった。他のすべての塩が≦15.2mg/mLの値を示した。DMSO溶液からの回収率は93.0~109%に及ぶものであり、試験アッセイの適切さが確認された。
詳細な結果に関しては、
図47を参照。
【0255】
実施例II-安定性の測定
試験の目的は、2週間の期間わたる、周囲温度および50℃にて、30%のCaptisol(登録商標)、30%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β CD)、エタノール、プロピレングリコール(PG)、およびポリエチレングリコール(PEG400)中でのプリテリビル遊離塩基およびそのメシル酸塩、硫酸塩、モノエタンスルホン酸、マレイン酸塩、モノベンゼンスルホン酸塩およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩の安定性を測定することであった。更に、水中でのプリテリビルの遊離塩基およびその前述の塩の溶解性を測定し、および得られたpHを計測した。
【0256】
材料
試験品目
参照品目:プリテリビルの遊離塩基
MW遊離形態:402.5g/mol
純度:99%
バッチ番号:BX01AWL微粉化
試験品目:
プリテリビルの遊離塩基形のメシル酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のスルホン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のモノエタンスルホン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のモノベンゼンスルホン酸塩
プリテリビルの遊離塩基形のヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩
【0257】
方法
サンプル調製
ガラスバイアル内に試験品目を計り入れ、適切な溶剤を添加することによって、懸濁液を調製した。その懸濁液を、短時間、ボルテックス混合し、22時間オーバヘッドで振り混ぜた。アリコート(500μL)を、ポリフッ化ビニリデン膜を備えた濾過装置に移し、そして遠心分離によって固形物を分離した。濾液を、アセトニトリル/メタノール/水/酢酸(25+25+50+0.5、v+v+v+v)で希釈した(1:50~1:500)。安定性および溶解性を、過飽和溶液の希釈濾液の濃度測定で測定した。
【0258】
較正とQCサンプル
20.0~1001μg/Lの範囲を網羅する較正のサンプルを調製した。バッチ内対照のために、3つの異なった濃度(50.0、300、801μg/mL)にて、QCを調製した。
【0259】
クロマトグラフィーと検出
クロマトグラフィー分離を、1%の酢酸と、1%の酢酸を含有したアセトニトリル/メタノール(1+1、v+v)とを使用した勾配溶出によって、Phenomenex Luna C18(2)、5μmカラム(150×2mm)で実施した。検出のために、ダイオードアレイ検出装置を使用した。吸光度を300nmの波長で記録した。
【0260】
データ評価
すべての計算をMicrosoft Excel2010で実施した。平均データを算術平均として与えた。回収を、計測した出発濃度(t0)との比較で算出した。
【0261】
II.1 医薬賦形剤中のN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基および様々な塩の短期安定性:
【0262】
N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドのすべての調査した塩および遊離塩基は、周囲温度にて2週間の遮光条件下で保存したとき、30%のCaptisol(登録商標)、30%のHP-β CD、エタノール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール中で2週間にわたり安定性を示した。遊離塩基だけが、2週間後にエタノール、PEGおよびプロピレングリコール中で若干減少した。
【0263】
驚いたことに、すべての試験した塩が、周囲温度にて2週間後にすべての医薬賦形剤中での十分な溶解性を示した;
図50を参照。
【0264】
50℃での保存後に、遊離塩基は、103%および88.9%の計測した出発濃度と比較した回収により、それぞれ30%のCaptisol(登録商標)および30%のHP-β CDを含有する水性溶剤中での安定性を示した。軽微な分解は、78.3%の回収により、ポリエチレングリコール中で観察された。より顕著な不安定性は、エタノールおよびプロピレングリコール中で注目され、そしてそこでは、50℃にて2週間後に21.3%および0%が回収された。50℃での保存後に、メシル酸塩、硫酸塩、モノエタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、モノベンゼンスルホン酸塩およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩が、2週間後の≧85%の計測した出発濃度と比較した回収により、30%のCaptisol(登録商標)、30%のHP-β CD、エタノールおよびプロピレングリコール中での安定していることがわかった。
【0265】
エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩は、50℃にて2週間の保存後にポリエチレングリコール中での分解を示した。回収は、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩に関して、それぞれ80.1%、74.7%および75.4%にて測定された。メシル酸塩、硫酸塩およびベンゼンスルホン酸塩は、50℃にて2週間の保存後にポリエチレングリコール中での安定性を示した。
【0266】
驚いたことに、マレイン酸塩を含め、先に触れたN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの試験した塩は、50℃の加速条件での2週間の保存後でさえ医薬賦形剤中での改善された安定性を示した;更なる詳細に関しては、
図51を参照。
【0267】
実施例III-N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基および試験した塩に関する光安定性の実験
【0268】
試験の目的は、2000Wh/m2(>310nmの波長にて約29時間)への暴露後の、本発明によるプリテリビル遊離塩基対その塩、すなわち、メシル酸塩、硫酸塩、モノエタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、モノベンゼンスルホン酸塩、およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩、の光安定性を測定することであった。
【0269】
化合物を固形物として暴露し、そして、0.3mg/mLの目標濃度にて0.1Mの塩酸/アセトニトリル(75+25、v+v)中に溶解した。対応する暗所対照サンプルを調製し、そして、照射チャンバーの中のUV光遮光バイアル内に入れて、周囲条件と同等の条件に保った。更に、未処理の固形物を溶解し、参照サンプルとして分析した。
すべてのサンプルを調製し、そして、A&M Labor fur Analytik und Metabolismusforschung Service GmbH(A&M 15-034)にて照射した。処理後に、サンプルを、分析が実施するAiCurisへの発送まで急速冷凍して保存した。
【0270】
III.1-材料
基準品目と試験品目
基準品目:プリテリビルの遊離塩基
MW遊離形態:402.5g/mol
純度:99%
バッチ番号:BX01AWL微粉化
【0271】
試験品目のバッチ番号
プリテリビルの遊離塩基(Batch BXR2KVE)
プリテリビルの遊離塩基形のメシル酸塩(Batch Car-NE023932Batch05-2010)
プリテリビルの遊離塩基形のスルホン酸塩(Batch Carbogen-NE-021681-A-1-3未精製1#1)
プリテリビルの遊離塩基形のモノエタンスルホン酸塩(Batch Carbogen-NE-026323-A-1-1未精製1#1)
プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩(Batch Carbogen-NE-026322-A-1-1未精製1#1)
プリテリビルの遊離塩基形のモノベンゼンスルホン酸塩(Batch Carbogen-NE-026321-A-1-1未精製1#1)
プリテリビルの遊離塩基形のヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩(Batch Carbogen-NE-026320-A-1-1未精製1#1)
【0272】
III.2-方法
すべてのサンプルを調製し、そして、A&M Labor fur Analytik und Metabolismusforschung Service GmbH(A&M 15-034)にて照射した。処理後に、サンプルを、分析が実施するAiCurisへの発送まで急速冷凍して保存した。
【0273】
固体サンプルの調製
それぞれの固形の試験品目から、2つのサンプルを調製した。(遊離塩基に対して補正した)約20mgのそれぞれの試験品目を、クォーツガラスバイアル内に計り入れた。第二のアリコートを遮光ガラスバイアル内に計り入れた(暗所対照)。両方のサンプルを、照射チャンバー内に配置した。
【0274】
溶液の調製
(遊離塩基に対して補正した)約20mgのそれぞれの試験品目を計量し、0.1Mの塩酸/アセトニトリル(75+25、v+v)中に溶解し、そして、プリテリビルの遊離塩基の300μg/mLの一定濃度を得た。2つのアリコートを(照射および暗所対照サンプル)調製した。
【0275】
暗所対照サンプルを、照射チャンバー内の密閉および遮光ガラスバイアルの中で保存し、一方で、光ストレス溶液を、緩いクォーツガラスカバーを備えただけのクォーツフラスコ中に保存した。照射の間、サンプルは、照射チャンバー内の熱発生のため、部分的に蒸発した。蒸発の程度は、サンプルごとに様々であった(プリテリビル遊離塩基の硫酸塩はほぼ完全に蒸発した)。そのため、異なる溶液間のおよびそれぞれの暗所対照サンプルに対する比較性を確保するために、照射溶液を0.1Mの塩酸/アセトニトリル(75+25、v+v)で初期体積まで満たした。
【0276】
照射
サンプル(溶液および固体)に、29時間、ガラスフィルターを通して765Wh/m2にてキセノンランプで照射した(UV光の総適用量約2000Wh/m2)。使用した器具は、Suntest CPS+(Atlas)であった。ガラスフィルターの使用によって、>310nmの波長だけが照射され、ID65標準(屋内の間接的な日光標準)のシミュレーションが可能になった。照射した光にはまた、完全なVISスペクトルも含まれた。記録された平均チャンバー熱の温度は38℃であった。照射後に、すべてのサンプルを急送冷凍して分析まで保存した。
【0277】
クロマトグラフィー用のサンプル調製
照射した固形物および暗所対照を解凍し、そして2~3mgを計量し、3mg/mLの濃度にて0.1Mの塩酸/アセトニトリル(75+25、v+v)中に溶解した。続いて、その溶液を、0.3mg/mLの終濃度まで0.1Mの塩酸/アセトニトリル(75+25、v+v)で希釈した。溶液を解凍し、分析のために新しいガラスバイアルに移した。
【0278】
クロマトグラフィーと検出
%ピーク面積を、すべての試験サンプルにおいてプリテリビル遊離塩基に関して測定した。クロマトグラフィー分離を、1%の酢酸と、1%の酢酸を含有するアセトニトリル/メタノール(1+1、v+v)とを使用した勾配溶出による、Phenomenex Luna C18(2)、5μmカラム(150×2mm)により実施した。検出のために、ダイオードアレイ検出装置を使用した。吸収を280nmの波長で記録した。詳細な方法の説明を、原資料データフォルダ内にファイルした。
【0279】
データ評価
すべてのサンプル(固形物および溶液)を、分析前に、約0.3mg/mLの終濃度まで、0.1Mの塩酸/アセトニトリル(75+25、v+v)で溶解するかまたは希釈した。分解の程度を、(UV活性)分解産物のクロマトグラフィー分離によって、およびクロマトグラムあたりの総ピーク面積のそれぞれのパーセンテージ(%総ピーク面積)の測定によって測定した。塩は溶液中で解離するので、プリテリビル遊離塩基のピーク面積をすべてのサンプルで測定した。
【0280】
クロマトグラフィー問題のため、硫酸塩およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩の照射溶液の暗所対照サンプルを、基準サンプルとして、プリテリビルの遊離塩基およびそのメシル酸塩の暗所対照を含めた別々のバッチで再分析した。従って、プリテリビルの遊離塩基およびそのメシル酸塩の%ピーク面積を、n=2の平均として報告した。すべての計算を、Microsoft Excel2010で実施した。
【0281】
III.4 結果と考察
99.7~100%のプリテリビルの遊離塩基の%総ピーク面積で急速冷凍して保存したとき、プリテリビル遊離塩基およびその塩の未処理の固形物が、非常に安定していることがわかった。個々の分解産物は、%総ピーク面積≦0.5%で見られた。固形の遊離塩基および固形の塩は、2000Wh/m2の総用量でのUV光の照射に対して良好な安定性を示した。照射した固形物および対応する暗所対照サンプルの溶液において、有意な分解は観察されなかった。単一の分解産物が、%総ピーク面積≦0.5%の少量で見られた。測定されたプリテリビルの遊離塩基の%総ピーク面積は、97.4%~100%に及んだ。
【0282】
酸性溶液の暗所対照サンプルは、プリテリビル遊離塩基、そのメシル酸塩、そのモノエタンスルホン酸塩、そのマレイン酸塩およびそのモノベンゼンスルホン酸塩の溶液の97.4~98.3%に及ぶ%総ピーク面積を有するプリテリビルの遊離塩基の良好な光安定性を示した。95.7および94.7%の総ピーク面積がプリテリビルの遊離塩基と関連することを観察した硫酸塩およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩に関してわずかな分解が観察された。単一の不純物が、%ピーク面積≦1.58%で観察された。
【0283】
照射溶液は、2000Wh/m2の総用量での29時間後に高度の分解を示した。プリテリビルの遊離塩基は、プリテリビル遊離塩基、そのメシル酸塩、その硫酸塩、そのモノエタンスルホン酸塩、そのモノベンゼンスルホン酸塩およびそのヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩の溶液中で6.67~11.9%の%総ピーク面積を有することがわかった。主な分解産物(相対保持時間0.85)は、27.8~36.2%の%総ピーク面積でプリテリビル遊離塩基および(マレイン酸塩を除いた)すべての塩の溶液で観察された。3つの他の分解産物(RRT0.64、0.67および0.87)は、同じ溶液において10%超の総ピーク面積に達することが検出された。溶解されたプリテリビル遊離塩基のマレイン酸塩は、有意に少ない分解を示した。UV光による照射の29時間後に、プリテリビルの遊離塩基は、総ピーク面積の71.5%に相当した。同様に他の試験品目に関しても見られたRRT0.85の主な分解産物は、14.7%の総ピーク面積で観察された。他のすべての分解産物が、≦3.3の%総ピーク面積であることがわかった。
【0284】
更に詳細には:
試験したN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの固形の遊離塩基および固形の塩は、2000Wh/m
2の総用量でのUV光の照射に対して十分な安定性を示した。照射した固形物および対応する暗所対照サンプルの溶液において、有意な分解は観察されなかった。個々の分解産物が、≦0.5%の%総ピーク面積を有する少量で見られた。測定されたN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基のピーク面積は、
図45~46および52~53に示したとおり、97.4%~100%に及んだ。
【0285】
照射溶液は、2000Wh/m2の総用量での29時間後に高度の分解を示した。遊離塩基は、N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基、メシル酸塩、硫酸塩、モノエタンスルホン酸塩、モノベンゼンスルホン酸塩およびヘミエタン-1,2-ジスルホン酸塩を含有する試験溶液中で6.67~11.9%の%総ピーク面積を有することがわかった。主な分解産物(相対保持時間0.85(RRT)を示す)は、27.8~36.2%の%総ピーク面積で遊離塩基および(マレイン酸塩を除いた)すべての試験した塩の溶液で観察された。3つの他の分解産物(0.64、0.67および0.87のRRT)は、同じ溶液において10%超の総ピーク面積に達することが検出された。
【0286】
驚いたことに、かつ、意外にも、溶解されたマレイン酸塩は、わずかな分解を示した。UV光による照射の29時間後に、残留遊離塩基含量は、総ピーク面積の71.5%に相当した。同様に他の試験された塩に関しても見られたRRT0.85の主な分解産物は、14.7%の総ピーク面積で観察された。他のすべての分解産物が、≦3.3の%総ピーク面積であることがわかった。
【0287】
試験した照射溶液中およびそれぞれの暗所対照中のN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基の含有量に関する%総ピーク面積は、
図45~46および52~53に示されている。
【0288】
驚いたことに、かつ、意外にも、マレイン酸塩は、著しく高い光安定性;すなわち、同時試験した塩とその遊離塩基によるN-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基の11.9%の総ピーク面積に対して、N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基の71.5%の総ピーク面積、を示した。
【0289】
実施例IV-プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の更なる特徴づけ
本発明によるプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩を、1H-NMRおよび13C-NMR分析、FT-IR分析、UV-Vis分析、およびMass Spectrometryによって更に特徴づけした。
【0290】
IV.1 使用した装置と方法
1Hおよび13C核磁気共鳴
プロトンおよび炭素核磁気共鳴分析を、Bruker-AV500Mhz NMR分光計により重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)中で記録した。スペクトルを、0.6mLの重水素化溶剤中に10~20mgのサンプルを溶解して得た。スキャン数:128(1H-NMR)、2048(13C-NMR)。
【0291】
フーリエ変換赤外分光法
FTIRスペクトルを、Diamond単反射ATRシステムを備えたAgilentCary 630分光計を使用して記録した。各計測前にバックグラウンドを得、そして、スペクトルを、4000~600cm-1の範囲内の4cm-1の分解能にて128スキャンにより得た。
【0292】
UV可視分光法
UV-Vis測定を、光電子増倍管検出装置、二重ビーム光、ならびにD2およびW光源を備えたShimadzu UV-2401PC分光光度計により1cmのクォーツキュベット中、室温にて実施した。サンプル調製のために、サンプルを、アセトニトリル(25g/mL)中に溶解し、次いで、200~900nmの波長域内でのUV可視分光法によって分析した。
【0293】
質量分析法
質量スペクトルを、50~20000m/zの質量範囲、m/z 1220にて16500FWHM(半値全幅)の分解能および≦5ppmの質量精度を有する、Bruker Daltonics HLPC MS TOF MicroTOF IIにより得た。使用したイオン化モード:ESI Negative。
【0294】
IV.2 結果:
1H-NMRおよび
13C-NMR分析
重水素化DMSO中のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のプロトンおよび炭素NMRスペクトル(
図12および14、ならびに
図13および15の表を参照)は、有意な不純物を示さなかった。
【0295】
FTIR分析
プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のFTIRスペクトルを
図16に示し、そして、対応するピークリストは
図17の表中で入手できる。
【0296】
UV-Vis分析
アセトニトリル(4g/mL溶液)中のプリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩のUV-Visスペクトル(200~900nmに及ぶ)を
図18~19に示す。
【0297】
質量分析法
プリテリビルの遊離塩基形のマレイン酸塩の質量スペクトルを
図20~21に示す。
【0298】
実施例V-製法
V.1 N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミドの遊離塩基形のマレイン酸塩の製造のための代表的なプロセス
【0299】
本発明によるマレイン酸塩の製造のためのプロセスに関する本実施例において、すべての同等物、体積(L/kgで指定される)および重量(kg/kgで指定される)は、出発物質であるプリテリビルの遊離塩基の重量を指す。
【0300】
オーバヘッド撹拌を備えた5Lフラスコでは、プリテリビルの遊離塩基(1当量、1wt、475.4g)を、水(4.0vol.)およびエタノール(4.0vol.)中に懸濁した。懸濁液を51℃に加熱した。マレイン酸(2.0当量、0.576wt)を、1時間の間、固形物として加えた。酸添加の終わり頃に、懸濁液は、ほぼ完全に溶解し、そして、添加が終わった後に、溶液に変わった。溶液を、48℃に冷やし、そして、導入した(溶液のアリコートをプリテリビルの遊離塩基形の未精製マレイン酸塩と共に導入した)。懸濁液を21℃(約2時間以内)まで冷まし、一晩撹拌した。
【0301】
懸濁液を、濾過し、結果として生じた濾過ケーキを、水(0.8vol.)とエタノール(0.8vol.)との混合物で洗浄した。フィルタ上のフイルターケーキの脱溶剤後に、固形物を、フラスコに移し、(35℃の温度、<20mbarにて、28時間にわたり)ロータリーエバポレーションデバイス(Rotavapor(登録商標))により恒量まで乾燥させた。結果として生じるマレイン酸塩材料を、乳鉢と乳棒で均一化した。
【0302】
V.2 実施例V.1で得られた材料の特徴づけ
IPC:99.26%乾燥質量(Ta160℃)。
289.29gのプリテリビルの遊離塩基形の未精製のマレイン酸塩(アッセイ向けに補正しなかった収率89.6%)。
NMRによって計測したエタノール量:1520ppm
カールフィッシャー滴定によって測定した水分含量は:3.4% w/w(一水和物3.4% w/w)
NMRによって測定したアッセイ:マレイン酸塩として98.7% w/w/遊離塩基として76.6% w/w