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特開2022-145706飲料用缶の製造方法、飲料用缶、および、飲料缶
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145706
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】飲料用缶の製造方法、飲料用缶、および、飲料缶
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/00 20060101AFI20220926BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220926BHJP
   B41M 1/40 20060101ALI20220926BHJP
   B41M 1/28 20060101ALI20220926BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B41M3/00 Z
B41J2/01 109
B41M1/40 Z
B41M1/28
B41M5/00 116
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114200
(22)【出願日】2022-07-15
(62)【分割の表示】P 2018001181の分割
【原出願日】2018-01-09
(71)【出願人】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
(72)【発明者】
【氏名】池田 和紀
(72)【発明者】
【氏名】増田 和久
(72)【発明者】
【氏名】松島 妃美
(57)【要約】
【課題】飲料用缶の外周面に形成される画像の質をより高める。
【解決手段】飲料用缶100には、円筒状に形成された缶本体200が設けられている。缶本体200の上部には、円形の開口210が形成されている。また、缶本体200の下部には、底部220が設けられている。また、缶本体200は、外周面230を備える。インクジェット印刷方式による画像形成を、缶本体200の外周面230の全周に亘って行って、インクジェット画像を形成する。その後、形成されたこのインクジェット画像の上に、版式の印刷方式による画像形成を行って、文字を含んだ画像を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体の外周面に対し、インクジェット印刷方式を用い、当該インクジェット印刷方式により形成された画像であるインクジェット画像を形成するインクジェット印刷工程と、
前記外周面のうちの、前記インクジェット画像が形成される形成領域の一部に、版式の印刷方式を用いて文字画像を形成する版式印刷工程であって、当該形成領域に当該インクジェット画像が形成された後に、当該形成領域の当該一部に対して、当該文字画像を形成する版式印刷工程と、
を備える飲料用缶の製造方法。
【請求項2】
前記形成領域内に形成される前記インクジェット画像の一部と、前記版式印刷工程により当該形成領域内に形成される前記文字画像とが重なるように、当該インクジェット画像および当該文字画像を形成する請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項3】
前記インクジェット画像の前記形成領域内に形成される前記文字画像の形成領域である文字画像形成領域が、当該インクジェット画像の当該形成領域よりも小さい請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項4】
前記インクジェット印刷工程では、前記インクジェット印刷方式を用い、前記缶体の前記外周面の全周に亘って前記インクジェット画像を形成し、
前記版式印刷工程では、前記版式の印刷方式を用い、前記缶体の前記外周面の一部に、前記文字画像を形成する請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項5】
前記インクジェット印刷工程では、前記缶体の前記外周面に、写真画像を含んだ前記インクジェット画像を形成する請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項6】
前記版式印刷工程では、製造者に関する情報、および、前記缶体に入れられる内容物についての情報のうちの少なくとも一方の情報を表す文字画像を、前記インクジェット画像の前記形成領域の前記一部に形成する請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項7】
缶体の外周面に対し、インクジェット印刷方式を用い、当該インクジェット印刷方式により形成された画像であるインクジェット画像を形成するインクジェット印刷工程と、
前記外周面のうちの、前記インクジェット画像が形成される形成領域の一部に、版式の印刷方式を用い、商標及び/又はコード画像を含んだ画像を形成する版式印刷工程であって、当該形成領域に当該インクジェット画像が形成された後に、当該形成領域の当該一部に対して、当該商標及び/又は当該コード画像を含んだ当該画像を形成する版式印刷工程と、
を備える飲料用缶の製造方法。
【請求項8】
缶体の外周面に対し、インクジェット印刷方式を用い、当該インクジェット印刷方式により形成された画像であるインクジェット画像を形成するインクジェット印刷工程と、
前記インクジェット画像の形成領域の一部の領域であって、前記缶体の軸方向に沿って延びる当該一部の領域に対し、版式の印刷方式を用いて文字画像を形成する版式印刷工程であって、当該形成領域に当該インクジェット画像が形成された後に、当該一部の領域に対して、当該文字画像を形成する版式印刷工程と、
を備える飲料用缶の製造方法。
【請求項9】
前記軸方向に沿って延びる前記一部の領域は、複数設けられ、複数の当該一部の領域は、前記缶体の周方向における位置が互いに異なるように配置され、
前記軸方向に沿って延びる前記複数の一部の領域の各々の面積を足し合わせた値の方が、前記インクジェット画像の前記形成領域の面積よりも小さい請求項8に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項10】
前記インクジェット印刷方式による画像形成を、前記缶体の前記外周面の全周に亘って行って当該外周面上に前記インクジェット画像を形成し、その後、形成された当該インクジェット画像の上に、前記版式の印刷方式による画像形成を行う請求項8に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項11】
缶体の外周面に形成される画像のうちの、多値画像の部分の画像を、インクジェット印刷方式を用いて形成するインクジェット印刷工程と、
前記インクジェット印刷工程により形成される画像であるインクジェット画像の形成領域の一部に、版式の印刷方式を用いて二値画像の形成を行う版式印刷工程であって、当該形成領域に前記多値画像が形成された後に、当該形成領域の当該一部に対して、当該二値画像を形成する版式印刷工程と、
を備える飲料用缶の製造方法。
【請求項12】
筒状の缶本体と、
前記缶本体の外周面に形成され、インクジェットヘッド印刷方式により形成された画像であるインクジェット画像部と、
前記缶本体の外周面に且つ前記インクジェット画像部の形成領域の一部に形成され、当該インクジェット画像部よりも小さい面積を有し、版式の印刷方式により形成され、文字画像、商標、及び、コード画像のうちの何れか一つ以上を含んだ画像部であって、当該インクジェット画像部の上に載っている画像部と、
を備える飲料用缶。
【請求項13】
筒状の缶本体と、
前記缶本体の外周面に形成されるとともに、当該缶本体の周方向に延びるように形成され、インクジェットヘッド印刷方式により形成された全体画像であるインクジェット全体画像と、
前記缶本体の外周面に且つ前記インクジェット全体画像の形成領域の一部に形成され、文字画像、商標、及び、コード画像のうちの何れか一つ以上を含み、版式の印刷方式により形成された部分画像であって、当該インクジェット全体画像の上に載っている部分画像と、
を備える飲料用缶。
【請求項14】
飲料用缶と、当該飲料用缶に入れられた内容物と、を備え、当該飲料用缶が、請求項12又は13に記載の飲料用缶により構成された飲料缶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用缶の製造方法、飲料用缶、および、飲料缶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シームレス缶の外面に対して、インクジェット印刷により画像を形成する態様が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-232771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料用缶の外周面に対する画像形成を、インクジェット印刷方式を用いて行う場合、版式の印刷方式に比べ、写真画像などの画像をより鮮明に形成できる。その一方で、インクジェット印刷方式を用いる場合、文字画像の輪郭がぼやけるなど、画像が不鮮明となることもある。
本発明の目的は、飲料用缶の外周面に形成される画像の質をより高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される飲料用缶の製造方法は、缶体の外周面に対し、インクジェット印刷方式を用い、当該インクジェット印刷方式により形成された画像であるインクジェット画像を形成するインクジェット印刷工程と、前記外周面のうちの、前記インクジェット画像が形成される形成領域の一部に、版式の印刷方式を用いて文字画像を形成する版式印刷工程であって、当該形成領域に当該インクジェット画像が形成された後に、当該形成領域の当該一部に対して、当該文字画像を形成する版式印刷工程と、を備える飲料用缶の製造方法である。
ここで、前記形成領域内に形成される前記インクジェット画像の一部と、前記版式印刷工程により当該形成領域内に形成される前記文字画像とが重なるように、当該インクジェット画像および当該文字画像を形成してもよい。
また、前記インクジェット画像の前記形成領域内に形成される前記文字画像の形成領域である文字画像形成領域が、当該インクジェット画像の当該形成領域よりも小さいようにしてもよい。
また、前記インクジェット印刷工程では、前記インクジェット印刷方式を用い、前記缶体の前記外周面の全周に亘って前記インクジェット画像を形成し、前記版式印刷工程では、前記版式の印刷方式を用い、前記缶体の前記外周面の一部に、前記文字画像を形成してもよい。
また、前記インクジェット印刷工程では、前記缶体の前記外周面に、写真画像を含んだ前記インクジェット画像を形成してもよい。
また、前記版式印刷工程では、製造者に関する情報、および、前記缶体に入れられる内容物についての情報のうちの少なくとも一方の情報を表す文字画像を、前記インクジェット画像の前記形成領域の前記一部に形成してもよい。
【0006】
他の観点から捉えると、本発明が適用される飲料用缶の製造方法は、缶体の外周面に対し、インクジェット印刷方式を用い、当該インクジェット印刷方式により形成された画像であるインクジェット画像を形成するインクジェット印刷工程と、前記外周面のうちの、前記インクジェット画像が形成される形成領域の一部に、版式の印刷方式を用い、商標及び/又はコード画像を含んだ画像を形成する版式印刷工程であって、当該形成領域に当該インクジェット画像が形成された後に、当該形成領域の当該一部に対して、当該商標及び/又は当該コード画像を含んだ当該画像を形成する版式印刷工程と、を備える飲料用缶の製造方法である。
さらに他の観点から捉えると、本発明が適用される飲料用缶の製造方法は、缶体の外周面に対し、インクジェット印刷方式を用い、当該インクジェット印刷方式により形成された画像であるインクジェット画像を形成するインクジェット印刷工程と、前記インクジェット画像の形成領域の一部の領域であって、前記缶体の軸方向に沿って延びる当該一部の領域に対し、版式の印刷方式を用いて文字画像を形成する版式印刷工程であって、当該形成領域に当該インクジェット画像が形成された後に、当該一部の領域に対して、当該文字画像を形成する版式印刷工程と、を備える飲料用缶の製造方法である。
ここで、前記軸方向に沿って延びる前記一部の領域は、複数設けられ、複数の当該一部の領域は、前記缶体の周方向における位置が互いに異なるように配置され、前記軸方向に沿って延びる前記複数の一部の領域の各々の面積を足し合わせた値の方が、前記インクジェット画像の前記形成領域の面積よりも小さいようにしてもよい。
また、前記インクジェット印刷方式による画像形成を、前記缶体の前記外周面の全周に亘って行って当該外周面上に前記インクジェット画像を形成し、その後、形成された当該インクジェット画像の上に、前記版式の印刷方式による画像形成を行うようにしてもよい。
さらに他の観点から捉えると、本発明が適用される飲料用缶の製造方法は、缶体の外周面に形成される画像のうちの、多値画像の部分の画像を、インクジェット印刷方式を用いて形成するインクジェット印刷工程と、前記インクジェット印刷工程により形成される画像であるインクジェット画像の形成領域の一部に、版式の印刷方式を用いて二値画像の形成を行う版式印刷工程であって、当該形成領域に前記多値画像が形成された後に、当該形成領域の当該一部に対して、当該二値画像を形成する版式印刷工程と、を備える飲料用缶の製造方法である。
【0007】
また、本発明を飲料用缶と捉えた場合、本発明が適用される飲料用缶は、筒状の缶本体と、前記缶本体の外周面に形成され、インクジェットヘッド印刷方式により形成された画像であるインクジェット画像部と、前記缶本体の外周面に且つ前記インクジェット画像部の形成領域の一部に形成され、当該インクジェット画像部よりも小さい面積を有し、版式の印刷方式により形成され、文字画像、商標、及び、コード画像のうちの何れか一つ以上を含んだ画像部であって、当該インクジェット画像部の上に載っている画像部と、を備える飲料用缶である。
他の観点から捉えると、本発明が適用される飲料用缶は、筒状の缶本体と、前記缶本体の外周面に形成されるとともに、当該缶本体の周方向に延びるように形成され、インクジェットヘッド印刷方式により形成された全体画像であるインクジェット全体画像と、前記缶本体の外周面に且つ前記インクジェット全体画像の形成領域の一部に形成され、文字画像、商標、及び、コード画像のうちの何れか一つ以上を含み、版式の印刷方式により形成された部分画像であって、当該インクジェット全体画像の上に載っている部分画像と、を備える飲料用缶である。
また、本発明を飲料缶と捉えた場合、本発明が適用される飲料缶は、飲料用缶と、当該飲料用缶に入れられた内容物と、を備え、当該飲料用缶が、上記に記載の飲料用缶により構成された飲料缶である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飲料用缶の外周面に形成される画像の質をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】飲料用缶の斜視図である。
図2】缶本体の外周面に形成された印刷画像の展開図である。
図3】印刷画像のうち、インクジェット印刷により形成された印刷画像を示した図である。
図4】印刷画像のうち、版式印刷により形成された印刷画像を示した図である。
図5】飲料用缶の外周面に形成される印刷画像の他の一例を示した展開図である。
図6】印刷画像のうちのインクジェット印刷により形成された印刷画像を示した図である。
図7】印刷画像のうちの版式印刷により形成された印刷画像を示した図である。
図8】印刷装置を側方から見た場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る飲料用缶100の斜視図である。
本実施形態の飲料用缶100には、円筒状に形成された缶本体(缶体)200が設けられている。缶本体200の上部には、円形の開口210が形成されている。また、缶本体200の下部には、底部220が設けられている。また、缶本体200は、外周面230を備える。
外周面230には、版式による印刷、インクジェット印刷方式による印刷が施され、外周面230には、印刷画像が形成されている。
【0011】
本実施形態では、缶本体200の上部に位置する開口210を通じて、缶本体200の内部に、内容物である飲料が充填される。その後、この開口210は、不図示の缶蓋により塞がれる。これにより、飲料が充填された飲料缶が完成する。
ここで、飲料用缶100とは、飲料が充填される前の空缶をいい、飲料缶とは、内容物である飲料が充填された後の缶をいう。
【0012】
缶本体200は、金属材料により形成される。具体的には、缶本体200は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等により形成される。また、缶本体200は、例えば、ティンフリースチールなどの鉄合金等により形成される。また、缶本体200は、例えば、平板状の板材を、ドロー&アイアニング(DI)成形や、ストレッチドロー成形することにより形成される。
缶本体200の内部に充填される飲料としては、例えば、ビール等のアルコール系飲料や、清涼飲料などの非アルコール系飲料が挙げられる。
【0013】
図2は、缶本体200の外周面230に形成された印刷画像の展開図である。図3は、図2にて示した印刷画像のうち、インクジェット印刷により形成された印刷画像を示した図である。図4は、図2にて示した印刷画像のうち、版式印刷により形成された印刷画像を示した図である。
本実施形態の印刷画像(図2にて示す印刷画像)は、図3にて示す印刷画像と、図4にて示す印刷画像とが重ね合わされた画像となっている。
【0014】
本実施形態では、図3に示すように、インクジェットヘッド印刷により形成される画像(以下、「インクジェット画像」と称する)は、缶本体200の外周面230に形成されるとともに、缶本体200の外周面230の全周に亘って形成される。
言い換えると、インクジェット画像は、全体画像の一例であり、缶本体200の外周面230のほぼ全体に亘って形成される。また、インクジェット画像は、帯状に形成され、缶本体200の周方向に延びるように形成される。
【0015】
本実施形態では、インクジェット印刷方式による画像形成を、缶本体200の外周面230の全周に亘って行って、インクジェット画像(図3にて示す画像)を形成する。
その後、本実施形態では、形成されたこのインクジェット画像の上に、版式の印刷方式による画像形成を行って、版式の印刷方式による画像(以下、「版式画像」と称する)(図4にて示す画像)を形成する。
なお、ここでは、インクジェット画像を先に形成し、後に、版式画像を形成する場合を説明したが、この順序は必須ではない。版式画像を先に形成し、後に、インクジェット画像を形成してもよい。
【0016】
本実施形態では、図3に示すように、インクジェット画像の一部として、写真画像3Cが形成されている。
ここで、写真画像3Cとは、写真データに基づき形成された画像である。なお、写真画像3Cには、写真データそのものから得られた画像のみではなく、写真データを加工した後のデータに基づき形成する画像も含む。ここで、写真データの加工には、写真データに対して新たな画像を追加する処理も含まれる。
【0017】
また、本実施形態では、缶本体200の外周面230に形成される画像のうちの、多値画像の部分の画像を、インクジェット印刷方式で形成しているともいえる。
多値画像には、カラーの画像やグレースケールの画像が含まれ、多値画像の部分をインクジェットヘッド印刷方式により形成すると、版式の印刷方式により形成する場合に比べ、画像がより鮮明となる。
その一方で、本実施形態では、缶本体200の外周面230に形成される画像のうち、文字画像(後述)や、単色で形成されるコード画像(後述)など、二値画像の部分を、版式の印刷方式により形成する。
【0018】
図4を参照し、版式印刷により形成される画像(版式画像)を説明する。
本実施形態では、図4に示すように、版式印刷による画像形成は、インクジェット画像の形成領域よりも小さい領域に対して行われる。
具体的には、本実施形態では、インクジェット画像は、缶本体200の外周面230の全面に対して形成されるが(図3参照)、版式画像は、図4に示すように、缶本体200の外周面230の一部に対して形成される。
【0019】
より具体的には、版式画像は、缶本体200の外周面230の全面ではなく、図4にて示す、第1形成領域E11~第8形成領域E18に形成される。言い換えると、本実施形態では、版式画像は、部分画像として捉えることができ、缶本体200の外周面230に対し部分的に形成される。
【0020】
ここで、第1形成領域E11および第2形成領域E12は、缶本体200の軸方向に沿って延びる矩形状(帯状)の領域である。また、第1形成領域E11および第2形成領域E12は、缶本体200に軸方向における一端211(図1参照)から他端212にかけて設けられている。また、第1形成領域E11および第2形成領域E12は、缶本体200の周方向における位置が互いに異なるように配置されている。
【0021】
また、本実施形態では、第1形成領域E11および第2形成領域E12の各々の面積を足し合わせた値の方が、インクジェットヘッド画像の形成領域(図3にて破線3Aで示す矩形状の破線よりも内側に位置する領域)の面積よりも小さくなっている。
なお、本実施形態では、缶本体200の軸方向に沿って延びる上記形成領域(第1形成領域E11、第2形成領域E12)を2つ設けたが、この形成領域は、1つとしてもよいし、3つ以上としてもよい。
【0022】
また、本実施形態では、図4に示すように、第3形成領域E13、第4形成領域E14の各々に、「ABC Draft Beer」という商標が、版式画像の一部として形成されている。
また、第5形成領域E15、第6形成領域E16の各々は、円形に形成され、さらに、第5形成領域E15、第6形成領域E16の各々には、缶本体200に入れられる内容物の種類を示す「お酒」という文字画像が形成されている。
【0023】
また、第7形成領域E17、第8形成領域E18の各々にも、缶本体200の内容物の種類を示す「生ビール(非熱処理)」という文字画像が形成されている。
なお、第1形成領域E11~第8形成領域E18の各々の形状は、特に制限されず、円形、楕円形、多角形などとしてもよい。また、これらの形状には該当しない異形の形状としてもよい。多角形としては、三角形、四角形などがあげられる。また、五角形以上としてもよい。
【0024】
本実施形態では、版式画像の形成(版式の印刷方式による画像形成)を、インクジェット画像の形成(インクジェット印刷方式による画像形成)よりも後に行っている。
これにより、版式画像の形成を、インクジェット画像の形成よりも前に行う場合に比べ、版式画像が前面側に出るようになり、版式画像に含まれる文字画像などがより鮮明となる。
なお、版式画像の形成を、インクジェット画像の形成よりも後に行うことは必須ではなく、版式画像の形成を、インクジェット画像の形成よりも前に行ってもよい。
【0025】
ここで、インクジェット印刷方式による画像形成とは、インクジェットヘッド411からインクを吐出させて、缶本体200にこのインクを付着させることにより行う印刷を指す。
インクジェット印刷方式による画像形成では、公知の方式を用いることができる。具体的には、例えば、ピエゾ方式、サーマル(バブル)方式、コンティニュアス方式などを用いることができる。
【0026】
また、版式による画像形成とは、版を用いた印刷を指す。より具体的には、版にインクを付着させた後、版に付着したこのインクを缶本体200に対して転写することにより缶本体200への印刷を行う印刷形態を指す。
なお、この転写は、版を缶本体200に直接接触させて行ってもよいし、版と缶本体200との間に中間転写体を配置し、この中間転写体を介して、缶本体200に対する転写を行ってもよい。
ここで、版式による印刷としては、例えば、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、孔版印刷を挙げることができ、版式による印刷では、これらの何れを用いてもよい。なお、本実施形態では、凸版印刷を用いて、版式画像を形成する。
【0027】
図4を参照し、第1形成領域E11、第2形成領域E12について詳細に説明する。
第1形成領域E11には、文字画像が形成されている。
具体的には、文字画像として、飲料用缶100に入れられる内容物についての情報を表示する文字画像(文字列)(符号4Aで示す部分)、製造者を表す文字画像(符号4Bで示す部分)、問い合わせ先等を表す文字画像(符号4Cで示す部分)などが形成されている。
ここで、内容物についての情報を表示する文字画像では、符号4Dで示すように、内容物の原材料が列挙されて表示され、また、符号4Eで示すように、内容物の成分が列挙されて表示されている。
【0028】
また、第2形成領域E12にも、文字画像が形成されている。
具体的には、第2形成領域E12には、文字画像として、注意書きを表す文字画像(符号4Fで示す部分)が形成されている。
さらに、第2形成領域E12には、符号4Gで示すように、コード画像が形成されている。ここで、コード画像とは、数値や文字を符号化して表した画像をいう。コード画像としては、棒状の画像が一列に並んだバーコードの他、二次元バーコードなどの他の形態のコード画像も含む。
さらに、第2形成領域E12には、符号4Hで示すように、リサイクルに関する画像が形成されている。
【0029】
なお、本実施形態では、上記のように、内容物についての情報を表示する文字画像、製造者を表す文字画像、問い合わせ先等を表す文字画像など、複数種類の文字画像が形成される場合を例示した。ところで、これらの文字画像の全てが必須なわけではなく、何れかの文字画像を省略したり、他の内容の文字画像を追加したりしてもよい。
【0030】
また、上記では、インクジェット画像の上に、版式画像を形成した場合を説明した。言い換えると、インクジェット画像と版式画像とが重なって形成される場合を説明した。
ところで、印刷形態はこれに限らず、インクジェット画像と版式画像とが重ならないように、インクジェット画像および版式画像を形成してもよい。
具体的には、例えば、インクジェット画像を形成する際、版式画像が形成される形成予定箇所には、インクジェット画像を形成しないようにし(形成予定箇所は、抜き画像とし)、その後、この形成予定箇所に、版式画像を形成するようにしてもよい。
また、その他に、例えば、インクジェット画像が形成される領域と、版式画像が形成される領域とを明確に区分けしたうえで、インクジェット画像および版式画像を形成してもよい。
【0031】
ここで、缶本体200の外周面230への画像形成を、インクジェット印刷方式を用いて行うと、版式の印刷方式を用いる場合に比べ、写真画像などをより鮮明に形成できるようになる。
これに対し、文字画像や、商標など、輪郭を際立たせて形成したい画像などを、インクジェット印刷方式で形成すると、輪郭が不鮮明となるおそれがある。
そこで、本実施形態では、上記のように、文字画像や、商標など、輪郭を際立たせて形成したい画像については、版式の印刷方式を用いて形成する。これにより、輪郭がより明確となり、缶本体200に形成される画像の質が向上する。
【0032】
また、本実施形態では、インクジェット画像の形成領域と、版式画像の形成領域とを比較した場合に、版式画像の形成領域の方が、インクジェット画像の形成領域よりも小さい。
付言すると、インクジェット印刷工程により缶本体200に付着するインクの付着面積と、版式印刷工程により缶本体200に付着するインクの付着面積とを比較した場合に、版式印刷工程により缶本体200に付着するインクの付着面積の方が、インクジェット印刷工程により缶本体200に付着するインクの付着面積よりも小さい。
【0033】
これにより、本実施形態では、版式画像の形成領域の方が、インクジェット画像の形成領域よりも大きい場合に比べ、缶本体200への画像の形成を、より簡易に行えるようになる。
ここで、版式による画像形成では、版を用意する必要が生じ、また、版の設置や、色合わせなどが必要となる。この場合、手間やコストが大きくなる。特に、版が大きくなるほど、手間やコストが大きくなりやすい。
【0034】
これに対し、本実施形態では、上記のように、版式画像の形成領域の方が、インクジェット画像の形成領域よりも小さくなっており、版式画像の形成領域の方が、インクジェット画像の形成領域よりも大きい場合に比べ、版式の印刷に用いる版を、より簡易に、また、より安価に準備できるようになる。また、版式画像の形成領域の方が、インクジェット画像の形成領域よりも小さいと、版式画像の形成領域の方が、インクジェット画像の形成領域よりも大きい場合に比べ、色合わせなどの手間がより小さいものとなる。
【0035】
図5は、飲料用缶100の外周面230に形成される印刷画像の他の一例を示した展開図である。図6は、図5にて示した印刷画像のうちのインクジェット印刷により形成された印刷画像を示した図である。図7は、図5にて示した印刷画像のうちの版式印刷により形成された印刷画像を示した図である。
図5にて示す印刷画像は、図6にて示す印刷画像と、図7にて示す印刷画像とが重ね合わされた画像となっている。
【0036】
図6に示すように、この例でも、缶本体200の外周面230のほぼ全体に亘って、インクジェット画像が形成されている。
このインクジェット画像には、上記と同様、写真画像3Cが含まれている。より具体的には、このインクジェット画像には、寺院を表す写真画像3Cが含まれている。
【0037】
さらに、図7に示すように、この構成例でも、缶本体200の外周面230に、版式画像が形成される。具体的には、この構成例では、第1形成領域E21~第5形成領域E25の5つの形成領域に版式画像が形成される。
第1形成領域E21は、缶本体200の軸方向に延び且つ矩形状となっている。この第1形成領域E21には、符号7Aで示すように、インクジェット画像に含まれる画像(寺院の画像)を説明する説明分を表す文字画像が形成されている。また、第1形成領域E21には、上記と同様、符号7Bで示すように、缶本体200に入れられる内容物についての情報を表示する文字画像が形成されている。また、第1形成領域E21には、符号7C、符号7Dで示すように、コード画像、製造者を表す文字画像が形成されている。
【0038】
さらに、図7に示すように、第2形成領域E22には、缶本体200に入れられる内容物の種類を示す「お酒」という文字画像が形成されている。また、第3形成領域E23には、缶本体200に入れられる内容物を表す文字画像が形成されている。
また、第4形成領域E24には、商標が形成されている。また、第5形成領域E25にも、商標が形成されている。
【0039】
次に、インクジェット画像および版式画像を形成する印刷装置400を説明する。
図8は、印刷装置400を側方から見た場合の図である。
印刷装置400には、インクジェット印刷方式を用いて画像形成を行うインクジェット印刷部410(インクジェット印刷工程)と、版式の印刷方式を用いて画像形成を行う版式印刷部450(版式印刷工程)とが設けられている。さらに、印刷装置400には、缶本体200を図中矢印8Aで示す方向へ搬送する缶搬送機構490が設けられている。
【0040】
版式印刷部450は、缶本体200の搬送方向において、インクジェット印刷部410よりも下流側に配置され、本実施形態では、インクジェットによる印刷の後に、版式による印刷が行われる。
インクジェット印刷部410には、4つのインクジェットヘッド411が設けられている。具体的には、イエローのインクを吐出する第1インクジェットヘッド411Y、マゼンタのインクを吐出する第2インクジェットヘッド411M、シアンのインクを吐出する第3インクジェットヘッド411C、黒のインクを吐出する第4インクジェットヘッド411Kが設けられている。
【0041】
この4つのインクジェットヘッド411は、缶本体200の搬送方向に対して直交する方向(図中、紙面に対して直交する方向)に延びるように配置されている。また、この4つのインクジェットヘッド411の各々は、搬送される缶本体200の軸方向に沿って延びるように配置されている。
また、この4つのインクジェットヘッド411の各々は、缶本体200の搬送経路の上方に配置され、下方に位置する缶本体200に向けてインクを吐出する。
【0042】
缶搬送機構490には、複数の移動ユニット491が設けられている。移動ユニット491の各々には、缶本体200を支持するマンドレル491Aが設けられている。このマンドレル491Aは、円筒状に形成され、缶本体200に挿入される。また、移動ユニット491の各々には、マンドレル491Aを回転させるモータ(不図示)が設けられている。
さらに、缶搬送機構490には、移動ユニット491を移動させる移動機構(不図示)が設けられている。
【0043】
移動機構としては、例えば、リニア移動機構を用いることがきる。リニア移動機構を用いる場合、移動ユニット491の移動経路に沿って電磁石を設置するとともに、移動ユニット491側に磁石を設置する。そして、電磁石に対する通電を制御することで、移動ユニット491を移動させる。
なお、移動機構には、リニア移動機構に限らず、他の公知の移動機構を用いてもよい。また、移動ユニット491に、モータなどの駆動源を設置し、移動ユニット491自ら移動する構成としてもよい。
【0044】
版式印刷部450には、複数の版胴451が設けられている。版胴451の表面には、インクジェット画像に対応した凸部(不図示)が設けられている。また、版式印刷部450には、この版胴451の凸部にインクを供給する複数のインク供給ユニット452が設けられている。
さらに、版式印刷部450には、版胴451からのインクが転写されるとともに、このインクを缶本体200に転写するブランケット453が設けられている。
【0045】
印刷装置400では、缶搬送機構490を用い、缶本体200を下流側へ順次搬送する。そして、4つのインクジェットヘッド411の各々の下方にて缶本体200を停止させる。さらに、缶本体200を周方向に回転させる。
この状態にて、インクジェットヘッド411から、下方に位置する缶本体200へのインクの吐出が行われる。これにより、本実施形態では、4つのインクジェットヘッド411を缶本体200が通過すると、この缶本体200の外周面230に、カラーのインクジェット画像が形成された状態となる。
【0046】
その後、本実施形態では、版式印刷部450へ缶本体200が移動し、版式印刷部450にて缶本体200が一旦停止する。さらに、缶本体200は、周方向への回転を行う。
版式印刷部450では、インク供給ユニット452の各々から、対応する版胴451の表面にインクを供給する。そして、版胴451の表面に付着したインク(版胴451の凸部に付着したインク)を、ブランケット453に転写する。さらに、ブランケット453に転写されたインクを、回転している缶本体200に転写する。これにより、缶本体200の外周面230に、版式画像が形成される。
【0047】
ここで、版式画像の色が1色である場合には、1つのインク供給ユニット452、および、この1つのインク供給ユニット452に対応した1つの版胴451を用いる。また、版式画像が2色以上の色により構成される場合には、複数のインク供給ユニット452、および、複数の版胴451を用いる。
本実施形態では、商標の部分が一の色で形成され、他の部分が他の一の色で形成され、版式画像は、2色の色により構成されている。このため、本実施形態では、2つのインク供給ユニット452、2つの版胴451を用いる。
【0048】
なお、本実施形態では、インクジェット印刷部410が上流側に位置し、版式印刷部450が下流側に位置する場合を説明したが、インクジェット画像を版式画像よりも後に形成する場合には、各印刷部の配置を逆にする。即ち、版式印刷部450を上流側に配置し、インクジェット印刷部410を下流側に配置する。
また、上記では、図示を省略したが、必要に応じ、インクジェット画像の形成、版式画像の形成が行われる前に、缶本体200の外周面230に、白色等の色を有する下地層を形成してもよい。
【0049】
また、図示は省略するが、インクジェット印刷部410、版式印刷部450の下流側には、缶本体200の加熱や、缶本体200への紫外線の照射を行って、インクジェット画像、版式画像を硬化させる工程が設けている。
また、図示は省略するが、インクジェット印刷部410、版式印刷部450の下流側には、インクジェット画像、版式画像の上に塗料を塗布して保護層を形成する保護層形成工程が設けられている。
【0050】
また、上記では、1つの印刷装置400内に、インクジェット印刷部410、版式印刷部450の2つの印刷部を設けた場合を説明したが、インクジェット印刷を行う印刷装置400、版式の印刷を行う印刷装置400の2台の印刷装置400を設置してもよい。
また、本実施形態の上記印刷装置400では、缶本体200が直線状に移動して搬送される場合を説明したが、環状の経路に沿って缶本体200を移動させ、この移動の過程で、インクジェット画像の形成、版式画像の形成を行ってもよい。
【符号の説明】
【0051】
3C…写真画像、100…飲料用缶、200…缶本体(缶体)、230…外周面、410…インクジェット印刷部(インクジェット印刷工程)、450…版式印刷部(版式印刷工程)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8