(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145764
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】圧力調理器具の蓋及び圧力調理器具
(51)【国際特許分類】
A47J 27/08 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
A47J27/08 G
A47J27/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121550
(22)【出願日】2022-07-29
(62)【分割の表示】P 2019544052の分割
【原出願日】2017-12-11
(31)【優先権主張番号】102017202401.1
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502241800
【氏名又は名称】ヴェーエムエフ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリア モルモン
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ラインハルト
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、機能ユニットの制御の改善された手段、特に、目標調理圧力の改善された設定を実現することである。
【解決手段】本発明は、圧力調理器具の蓋に関し、この蓋は、蓋ハンドル(14)、蓋本体(12)、調理圧力制御装置(1)及び機能要素(2)、並びに回転可能な機械要素(3)により、その回転軸(3R)に関する回転運動を介して、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力P
zと機能要素(2)の機能に影響するパラメータの両方を機械的に設定することができる回転可能な機械要素(3)を有する。本発明はまた、圧力調理器具の蓋に関し、この蓋は、蓋ハンドル(14)、蓋本体(12)、調理圧力制御装置(1)、及び回転可能な機械要素(3)により、その回転軸(3R)に関する回転運動を介して、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力P
zを機械的に設定することができる回転可能な機械要素(3)を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋ハンドル(14)、
蓋本体(12)、
調理圧力制御装置(1)及び機能要素(2)、並びに
回転可能な機械要素(3)であって、この回転可能な機械要素(3)により、その回転軸(3R)に関する回転運動を介して、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzと機能要素(2)の機能に影響するパラメータの両方を機械的に設定することができる回転可能な機械要素(3)
を有する圧力調理器具の蓋であって、
調理圧力制御装置(1)及び機能要素(2)が、回転軸(3R)の方向で見て同じ高さ(H)で配置され、
接続線(V)が圧力制御装置(1)と機能要素(2)を通って引かれる場合、並びに、この接続線(V)及び回転可能な機械要素の回転軸(3R)が一緒に平面上に投影され、この平面が接続線(V)の平面に対して垂直に配向され、接続線(V)と回転軸(3R)が最小の間隔で接続した場合、この平面上への接続線の第一の投影と、この平面上への回転軸(3R)の第二の投影の間の角度αが、α≧45°であり、
調理圧力制御装置(1)が、微調節装置(5、6、7)を有し、これが、回転可能な機械要素(3)によって設定されるか、又は設定されうる、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzの微調節を機械的に可能にし、
微調節装置(5、6,7)が、圧力吸収要素(6)であって、圧力が増加するにつれてその長手方向の広がり(l)が次第に短くなるもの、及び、機械的にこの長手方向の広がり(l)を微調節する調節システム(5、7)を含み、
調節システム(5、7)が、オスねじ山(5’)を有する調節要素(5)、及び、圧力吸収要素(6)と調節要素(5)の両方を機械的に保持するように構成された、オスねじ山(5’)と相補的なメスねじ山(7’)を有する保持要素(7)を含み、
調節要素(5)及び保持要素(7)の位置及び/又は配向の、互いに対する変化が、長手方向の広がり(l)の微調節を可能とする、圧力調理器具の蓋。
【請求項2】
調理圧力制御装置(1)及び機能要素(2)が、回転軸(3R)の方向で見て、同じ高さで配列されるのみでなく、回転可能な機械要素(3)の反対側(3-1、3-2)にも配置されることを特徴とする、請求項1に記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項3】
回転可能な機械要素(3)は、少なくとも1つの偏心(3z)を伝達する、偏心伝達シャフトであるか、又はこれを含み、
その回転軸(3R)に関する偏心伝達シャフトの回転について、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzが、偏心機構(3z)によって機械的に設定されうることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項4】
調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzと機能要素(2)の機能に影響するパラメータの両方を、偏心機構(3z)により機械的に設定することができる、請求項3に記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項5】
1又は複数の駆動要素(4a、4b)であって、それぞれのロッカーレバーとして構成されるものであり、回転軸(3R)に関する偏心伝達シャフトの回転で、偏心伝達シャフトの偏心機構(3z)が駆動要素(4a)を機械的に駆動し、これによって、この駆動要素(4a)を介して、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzを、機械的に間接的に設定することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項6】
偏心伝達シャフトの回転軸(3R)に関する偏心伝達シャフトの回転で、偏心伝達シャフトの偏心機構(3z)が、第1の駆動要素(4a)を機械的に駆動し、これによって、この駆動要素(4a)を介して、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzを機械的に間接的に設定し、且つ、第2の駆動要素(4b)も機械的に駆動し、これによって、この第2の駆動要素(4b)を介して、機能要素(2)の機能に影響するパラメータを、機械的に間接的に設定することを特徴とする、請求項5に記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項7】
機能要素(2)が、機能要素(2)を含む圧力調理器具用の圧力調理器具の蓋の安全開放システム、又はこの安全開放システムに接続されたコンポーネントとしてのタイマーであり、
機能要素(2)の機能に影響するパラメータが、持続時間であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項8】
圧力吸収要素(6)が加圧スプリングである、請求項1~7のいずれかに記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項9】
圧力吸収要素(6)がコイル加圧スプリングである、請求項1~7のいずれかに記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項10】
オスネジ山(5’)がスクリューネジである、請求項1~9のいずれかに記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項11】
回転可能な機械要素(3)によって設定され、微調節装置(5、6、7)によって微調節されることになる調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzが、圧力調理器具の蓋の粗調節装置(3z、4a、7)によって機械的に設定されうることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項12】
回転可能な機械要素(3)が、偏心機構(3z)を有する偏心伝達シャフトとして構成され、及び
粗調節装置(3z、4a、7)が、偏心機構(3z)、ロッカーレバーとして構成される駆動要素(4a)及び保持要素(7)を含み、偏心伝達シャフト(3)の、その回転軸(3R)に関する回転で、偏心機構(3z)が駆動要素(4a)を機械的に駆動し、この駆動要素(4a)は、次に保持要素(7)を機械的に駆動して、これによって間接的に目標調理圧力Pzを機械的に設定し、目標調理圧力Pzは、保持要素(7)による圧力吸収要素(6)の長手方向の広がり(l)の変化によって機械的に設定されること
を特徴とする、請求項11に記載の圧力調理器具の蓋。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の圧力調理器具の蓋、及び
容器ハンドルを有する調理容器
を含む圧力調理器具であって、
蓋ハンドル(14)及び容器ハンドルは、調理容器が閉じ機構によって圧力調理器具の蓋に液密に閉じられうるように互いに対応して構成され、蓋ハンドル(14)と容器ハンドルは一方が他方の上に置かれることを特徴とする、圧力調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分に従った圧力調理器具の蓋、並びに前記圧力調理器具の蓋及び調理用容器を含む圧力調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力調理器具は、従来技術により公知である。通常、種々の機能ユニットが、圧力調理器具の蓋ハンドルに収容されている(例えば、圧力制御装置及び安全開放システム)。この機能ユニットは縦に収容しなければならないので、圧力調理器具の蓋と、蓋ハンドルは比較的大きな取り付けスペースを必要とする。
【0003】
また、コンポーネントの公差が製造の理由によって個々のコンポーネントに存在する。バルブ要素にも作用するこのようなコンポーネントの公差は、特に、圧力制御装置を通して吸収される。これらは、(実際の弁座に対して)追加の圧力の揺らぎを導く。そのために、大量生産における品質の変動は望ましくないほど大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、機能ユニットの制御の改善された手段、特に、目標調理圧力の改善された設定を実現することである。これは、圧力調理器具又は圧力調理器具の蓋の大量生産に使用されるために、可能な限り経済的に実行されることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の圧力調理器具の蓋(以下、簡単に蓋という)、及び請求項13に記載の圧力調理器具によって達成される。有利な変形の実施形態が従属請求項に示されている。従属請求項の個々の特徴は、請求項の構造に従った互いの組み合わせによって実施されてもよいが、個々に実施されてもよい。特に、上記請求項の幾つかは省略されてもよく、又は、以下に記載する例示的な実施形態に示されるもの以外の形式で互いに組み合わされてもよい。
【0006】
まず最初に、解決の基本的概念は以下のとおりである。取り付けスペースの減少を実現するために、機能ユニットの同じ機能を維持するが、機能ユニットの直列制御(個々の機能ユニットは、制御シャフトから見て一方が他方の後ろに配置される)から機能ユニットの並列制御(個々の機能ユニットは、上記シャフトに沿って見た場合、同じ高さで又は少なくともほぼ同じ高さで配置される)に、設計を変更する。機能ユニットの1つは、調理圧力制御装置である。特に、これによって、調理圧力制御装置(以下では、簡単のために圧力制御装置と称する)及び安全開放システム(safety opening system)(以下では、SOSと略す)が互いにすぐ隣に、好ましくは制御シャフトの両側に配置される。制御シャフトの制御曲線がそれに応じて適合される。これによって、取り付けスペースを半分まで減少することができる。
【0007】
代替として又は追加として、機能ユニット(ここでは圧力制御装置)の最適な駆動のためには、調節要素が圧力制御装置の上部スプリングハウジングに適合される。これによって、スプリングの力の調節の改善が可能となる。これは、大量生産において、他の場合では最終製品(圧力調理器具の蓋又は圧力調理器具)の品質の揺らぎに繋がるコンポーネントの公差を補償する。
【0008】
本発明による圧力調理器具の蓋は請求項1に記載されている。
調理圧力制御装置と機能要素の同じ高さでの配置は、特に、以下の意味の1つ、複数又はすべてをも有する。即ち、回転軸の方向で見るか又は回転軸に沿って見た場合、圧力制御装置及び機能要素は、一方が他方の後ろに置かれない。回転可能な機械要素は、圧力制御装置と、それと一緒に機能要素が並列して(機械的に)駆動される(即ち、直線で見た場合直列に、又は一方が他方の後に駆動されない)ように構成される。機械的に並列接続されるか、又は一方に調理圧力制御装置、そして他方に機能要素(特にSOS)が並列して配列されている。以下で接続線と称する直線が(圧力)制御装置と機能要素を通って(又はそれらの中心点を通って)引かれる場合、並びに、この接続線及び回転可能な機械要素の回転軸が一緒に平面上に投影され、この平面が接続線の平面に対して垂直に配向され、接続線と回転軸が最小の間隔で接続した場合、この平面上への接続線の第一の投影と、この平面上への回転軸の第二の投影の間の角度αについて、以下のものが適用される:α≧45°、好ましくはα≧70°、好ましくはα≧80°、好ましくはα≧85°、特に好ましくは90°(従って、最後の場合、接続線は回転軸と直交するか、又はその2つの前記投影が互いに直交する)。
【0009】
回転可能な機械要素にはまた、機能要素の機能に影響するいくつかのパラメータ(以下、文字「P」で省略する)が設定されうる。パラメータP(1又は複数)はまた、機能要素の幾つかの機能にも影響する。機能要素の機能に影響するとは、特に、そのパラメータ(1又は複数)が、かかる機能を、設定、調節、誘発、制御、及び/又は調整できることを意味しうる。例えば、機能要素は、圧力調理器具の蓋の安全開放システムSOSでありうる。回転可能な機械要素は、例えば、Pとしての時間分に関して、SOSに接続されたタイマーを調節できるシャフトでありうる。
【0010】
第一の代替(又はこれとの組み合わせ、即ち、幾つかの機能要素又はこれらのパラメータが回転可能な機械要素によって設定又は影響される)において、機能要素は、圧力調理器具からの穏やかな蒸発のためのシステムでありうる。関連するパラメータは、閉鎖位置及び/又は開放の程度でありうる。
【0011】
第二の代替(又は上述したもの、即ち、幾つかの機能要素又はこれらのパラメータが回転可能な機械要素によって設定又は影響されるものとの組み合わせ)において、機能要素は、(圧力)調理器具をロックするためのシステムでありうる。関連するパラメータは、軸方向のシフト又はそれらの位置でありうる。
【0012】
第三の代替(又は上述したもの、即ち、幾つかの機能要素又はこれらのパラメータが回転可能な機械要素によって設定又は影響されるものとの組み合わせ)において、機能要素は、調理段階のセッティングを固定するためのシステムでありうる。関連するパラメータは、角度位置でありうる。
【0013】
第四の代替(又は上述したもの、即ち、幾つかの機能要素又はこれらのパラメータが回転可能な機械要素によって設定又は影響されるものとの組み合わせ)において、機能要素は、圧力調理器具が、現在開いているか又は閉じているかを示すためのシステムでありうる。関連するパラメータは、角度位置、又は軸方向のシフト若しくはその位置でありうる。
【0014】
本発明による更なる圧力調理器具の蓋は請求項2に記載されている。
【0015】
ここで、微調節が蓋の製造又はそのコンポーネントの組み立てに際して実施されうる。目標の調理圧力又は調理圧力の大まかなセッティングは、組み立てられた蓋又は気密となるように閉じられた圧力調理器具の操作の間に、使用者によって後に行われうる。これについては、例えば、回転可能な機械要素を、各々が異なる所望の目標調理圧力に対応した異なる位置に回転させる。(本発明の全ての実施形態に対して、調理圧力の幾つかの異なる値が回転可能な機械要素又はシャフトによって設定されうる。)
【0016】
微調節は、特に、調理圧力調節装置のコンポーネントのコンポーネント公差を補償するのに役立ち、これによって、例えば、生産で生じる大きな機械的公差を有する安価なコンポーネントを使用することもできる。即ち、例えば、このような微調節装置の提供で、安価なスプリング(例えば、これらのスプリングの定数に大きな公差を有するもの)を調理圧力制御装置に使用することができる。
【0017】
従って、回転可能な機械要素によって後に操作される間に、生産中に取り付けられた微調節装置によって、上記の値に基づいて目標の調理圧力値を最適に設定することができる。従って、例えば、実際に使用されるスプリングの例の実際のスプリング定数に蓋を合わせることができる。従って、工業的量産で起こるコンポーネントの公差にもかかわらず、各回転位置について及び組み立てられた全ての蓋の例について、(少なくともほとんどの)回転可能な機械要素の一定の又は同じ目標の調理圧力値を実現できる。例えば、以下の例示的実施形態を参照。
【0018】
第一の有利な変形は請求項3に記載されている。これは、請求項1及び2に先に記載された2種類の蓋の特徴を組みわせたものである。
【0019】
正確には、1つの調理圧力制御装置、1つの安全開放システム、1つの回転可能な機械要素、1つの調節要素(以下参照)、1つの蓋ハンドル及び1つの蓋本体が存在する場合が好ましい。
【0020】
本発明による蓋では、回転可能な機械要素は(機械的な)シャフト、又はロッド様の機械要素であって、回転運動及び/又はトルクを伝えるように構成されているもの、及び/又は回転する部品を取り付けるように構成されたものでありうる。通常、蓋は、まさに、1つのそのような一般的要素、又は、まさに、1つのそのような一般的なシャフトを有する。回転可能な機械要素は、通常、蓋ハンドルのコンポーネントであるか、又は蓋ハンドルに配置される。
【0021】
本発明の各蓋において、目標調理圧力は、圧力調理器具が蓋によって気密に又は液密に閉じられる場合に、圧力調理器具の内部に発生する調理圧力でありうる(即ち、使用者によって要求される食品を調理するための蒸気圧である。)。回転可能な機械要素は、幾つかの異なる調理圧力が、その回転によって異なる位置(回転軸についてのねじり位置又は回転位置)に設定されうるように構成され、調理圧力制御装置(特に、調理圧力制御装置のスプリング)に使用される実際のコンポーネントに応じて、調節要素によって蓋の生産に先立って細かく設定される。
【0022】
調理圧力(1又は複数)及び/又は機能要素の機能(1又は複数)は、回転可能な機械要素を介して機械的に直接に、又は機械的に間接に設定される(後者は、例えば、カム、偏心器、ロッカーレバー(rocker lever)等、例示的実施形態を参照)。
【0023】
本発明による各蓋において、調理圧力制御装置及び/又は機能要素は、蓋ハンドル及び/又は蓋本体のコンポーネント又は組立体、通常は蓋ハンドルの部品及び蓋本体の部品である。
【0024】
更なる利点及び達成可能な特徴は請求項4に示されている。
【0025】
調理圧力制御装置及び機能要素は回転可能な機械要素又はシャフトの両側に配置されてよく、従って、相互に向かい合った半空間に配置されうる(この場合、回転可能な機械要素又はその回転軸はこれらの半空間を分離する平面内にあるか、又は当該平面内を走る)。
【0026】
しかし、圧力制御装置及び機能要素はまた、半径方向に回転軸から離れる方向に見て、回転可能な機械要素の一方及び同じ側(又は一方及び同じ半空間)、及び一方が他方の後ろに配置されてもよい。このように、例えば異なる長さの2種類のロッカーレバーを提供してもよく、一方が他方に入れ子状に重なってもよく、或いは、一方が他方の上に位置してもよい。この場合、その一方は、圧力制御装置を、他方は機能要素を機械的に(それぞれの場合において、直接的又は間接的に)調節することができる。従って、圧力制御装置と機能要素(特にSOS)の並列接続が、回転可能な機械要素の側、及びその一方の側のみで実現されうる。
【0027】
更なる利点及び達成可能な特徴は請求項5に示されている。
【0028】
偏心機構はカムであり得、回転可能な機械要素はカムシャフトでありうる。偏心機構又はカムは、放射状に突出する部分としての、回転可能な機械要素の一部であってもよい。従って、この機械要素及び偏心機構若しくはカムは、一体に形成されていてもよい。しかし、回転可能な機械要素に固定できる別のコンポーネントとして、偏心機構又はカムを構成することも可能である。
【0029】
従って、厳密には、一つの共通の偏心機構又はカムが、回転可能な機械要素上に、又は当該要素に提供でき、これによって、調理圧力制御装置の目標の調理圧力、及び機能要素の機能に影響するパラメータPの両方が機械的に調節されうる。
【0030】
同様に、回転可能な機械要素は、幾つかの偏心機構又は偏心部分を含むことができ、それは、例えば、調理圧力制御装置及び他の機能要素を調節できる。
【0031】
更なる利点及び達成可能な特徴は請求項6に記載されている。
【0032】
好ましくは、ロッカーレバー(1又は複数)は、蓋ハンドルの一部であるか、又は蓋ハンドル内に形成される。
【0033】
更なる利点及び達成可能な特徴は請求項7に記載されている。
【0034】
更なる利点及び達成可能な特徴は請求項8に記載されている。
【0035】
調理圧力制御装置は、特に、加圧スプリングを含み、そのスプリングの予荷重は調節システムを介して設定又は変更されうる。設定及び変更は、好ましくは、機械的に行われる。
【0036】
更なる利点及び達成可能な特徴は請求項9に記載されている。
【0037】
圧力吸収要素の予荷重(特にスプリングの予荷重)は、好ましくは、調節要素(好ましくはスクリュー)及びメスねじ山要素又はこれを保持するスクリューホルダーによって設定できる。調節要素及び保持要素の、互いの位置及び/又は配向は、調節要素を保持要素にねじ込むこと、及び保持要素から調節要素をゆるめることによって変化させることができる。
【0038】
好ましくは、圧力吸収要素は、調節要素によって機械的に保持され(例えば、取り囲まれ)、調節要素(保持された圧力吸収要素を含む)は、次に、保持要素のメスねじ山へ、そのオスねじ山によってねじ込まれる。このように、保持要素は、好ましくは、調節要素としてスクリューを保持するためのスプリングホルダーを含む。本発明によれば、用語「保持」を使用する場合、これは、特段の定めがない限り、常に機械的保持を意味する。
【0039】
更なる利点及び達成可能な特徴は請求項10に記載されている。
【0040】
更なる利点及び達成可能な特徴は請求項11に記載されている。
【0041】
従って、粗調節装置は、目標調理圧力を大まかに設定でき、微調節装置は、(大まかに)設定された目標調理圧力を細かく調節することができる。微調節はまた、大まかな調節の前に行うことができる(例えば、微調節が圧力調理器具の蓋の製造の際に行われ、次いで大まかな調節が調理の間に使用者によって行われる場合)。微調節は、大まかな調節によって達成されるか、達成することができる目標調理圧力を、その大まかな設定又は調節可能な初期値から始めて、更に、初期値の≦20%、好ましくは≦10%、好ましくは≦5%、好ましくは≦1%に、微調節によって変更できることを意味する。
【0042】
更なる利点及び達成可能な特徴は請求項12に記載されている。本発明による圧力調理器具は請求項13に記載されている。
【0043】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明される。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】従来技術の圧力調理器具の蓋の一部の平面図である。
【
図2】本発明による圧力調理器具の蓋の一部の平面図及び断面図である。
【
図3】本発明による圧力調理器具の蓋の一部の平面図及び断面図である。
【
図4】本発明による圧力調理器具の蓋の一部の平面図及び断面図である。
【
図5】パラメータ(1又は複数)又は機能(1又は複数)であって、機械的に設定されるか、又は、独立に影響されるか、若しくは回転可能な機械要素(ここではカムシャフト)によって、その回転軸に対する回転運動を介して任意の組み合わせで互いに影響されうるものの実施形態である。
【
図6】パラメータ(1又は複数)又は機能(1又は複数)であって、機械的に設定されるか、又は、独立に影響されるか、若しくは回転可能な機械要素(ここではカムシャフト)によって、その回転軸に対する回転運動を介して任意の組み合わせで互いに影響されうるものの実施形態である。
【
図7】パラメータ(1又は複数)又は機能(1又は複数)であって、機械的に設定されるか、又は、独立に影響されるか、若しくは回転可能な機械要素(ここではカムシャフト)によって、その回転軸に対する回転運動を介して任意の組み合わせで互いに影響されうるものの実施形態である。
【
図8】パラメータ(1又は複数)又は機能(1又は複数)であって、機械的に設定されるか、又は、独立に影響されるか、若しくは回転可能な機械要素(ここではカムシャフト)によって、その回転軸に対する回転運動を介して任意の組み合わせで互いに影響されうるものの実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、従来技術の圧力調理器具の蓋の蓋ハンドルのバルブキャリアの平面図を示す。この蓋の調理圧力制御装置は、1’で示されており、安全開放システムは2’で示されている。2つの偏心機構を含む偏心伝達シャフト3’(その回転軸を3R’で示した)は、ロッカーレバーを介して調理圧力制御装置1’の機能及びSOS2’を機械的に制御する。調理圧力制御装置1’について、この機能制御は、圧力調理器具の蓋がこれに相補的に形成された調理容器(示されていない)を圧密に閉じたときに、調理器具の内部で、目標調理圧力P
zを制御することを含む。
図1は、偏心伝達シャフト3’の回転軸3R’に沿って見た場合(この方向は高さ方向とも呼ばれ、圧力調理器具の蓋のコンポーネントの高さHは、回転軸3R’に沿ったその位置を示す。)、安全開放システム2’及び調理圧力制御装置1’は、一方が他方の後ろに、相隔たって配置されている。SOS2’は、高さH2’に配置され、(高さ方向Hで)これから離れて、調理圧力制御装置1’が高さH1’に位置する。これは、蓋のハンドルが、2つの機能ユニット1’及び2’の機械的な直列接続又は機械的な直列的な駆動のために、かなり長い取り付けスペースを必要とするという不利益を有する。
【0046】
対照的に、
図2から4は、本発明による圧力調理器具の蓋の、及びそのような圧力調理器具の蓋を通した、本質的なコンポーネントの平面図(
図2)及び2つの断面図(
図3及び
図4)を示す。細長く実質的に棒様の偏心伝達シャフト3又は円筒状の偏心伝達シャフト3が、蓋の蓋ハンドル14のバルブキャリア14a上に、回転可能に取り付けられている。本発明によれば、シャフト3の回転軸3Rの軸方向で見ると、調理圧力制御装置1及び機能要素2としてのSOSが、従来技術のように、一方が他方の後ろに配置されておらず、回転軸3Rの両側又は反対側に同じ高さH(軸方向3Rと同一の高さ方向)で配置されている。調理圧力制御装置1の中心点及びSOS2の中心点が理論的に接続された場合、これは、接続線Vを与える(
図2参照)。機能ユニット1及び2の前記並列接続又は並列駆動は、接続線Vが回転軸3Rと垂直に交差することを意味する。より正確には、接続線Vのバルブキャリア14aの平面上への投影が前記平面上への回転軸3Rの投影と垂直に交わる。従って、角度αは90°である。
【0047】
バルブキャリア14aの平面に垂直に走り、回転軸3Rを含有する平面(以下、この平面を半空間平面と称する)を考えると、接続線Vはこの半空間平面に垂直に走り、2つの機能ユニット1及び2は、異なる半空間3-1及び3-2において、半空間平面の両側にある。調理圧力制御装置1は、半空間3-1に配置され、一方、SOS2は半空間3-2に配置される。この2つの機能ユニット1及び2は、それぞれ半空間平面から相隔たって配置される。
【0048】
本発明の本質的な特徴は、2つの機能ユニット1及び2が、回転軸3Rに沿って見た場合、半空間平面の2つの側に同じ高さHで配置され、これによって、回転軸3Rに沿った方向で見た場合に、H1がH2と同一であるということである。ここで、H1は調理圧力制御装置2の高さ又は位置であり、H2はSOS2の高さ又は位置である。偏心伝達シャフト3による機能ユニット1、2の機械的影響、又は調理圧力制御装置1及びパラメータPの目標調理圧力の機械的設定(ここでは、SOS2のタイマー又はその一部としてSOS2に接続されたタイマーの継続時間)は、以下のとおりに行われる。
【0049】
機能ユニット1及び2の接続線Vの高さHで、偏心伝達シャフト3は、詳細には、1つの偏心機構3zを有する。第一のロッカーレバー4aは、第一の半空間3-1内でバルブキャリア14aに、可動に固定される。第二のロッカーレバー4bは、第二の半空間3-2内でバルブキャリア14a上に、可動に固定される。
【0050】
圧力調理器具の操作において、使用者がその回転軸3Rに関して偏心伝達シャフト3を回転すると、偏心機構3z(これが、3Rのまわりの回転位置であって、圧力制御装置1に機械的に影響するのに適しているか、又は3Rの周りに回転軌道の部分を介して移動される位置に置かれる限り)は、半空間平面に面している第一のロッカーレバー4aの側面の機械的な上昇(即ち、バルブキャリア14aの平面から離れる動き)を引き起こす。これ、又はロッカーレバー4aのピボットの乗り上げ(明記していない)は、半空間平面からそれるこのロッカーレバー4aの側面の降下(即ち、バルブキャリア14aの面に向かう動き)を引き起こす。この降下は、調理圧力制御装置1の保持要素7の2つの外側ウイング7f上に半空間平面からそれる(接続線Vに関して見た場合)ように第一のロッカーレバー4aの側面を押圧し、これによって、この保持要素7がバルブキャリアプレート14aの方に移動する。この動きは、圧力吸収要素6であって、ここではスプリング6(
図2には明記していない、
図3及び4参照)のスプリング力に対して起こり、これによって、使用者によって望まれる調理圧力P
zがあらかじめ選択されるか、又は設定される。これは、
図3及び4を参照して以下に更に詳細に説明される。
【0051】
SOS2の機能は、第二のロッカーレバー4bによる同様の機能で機械的に動かされる。即ち、使用者がシャフト3を回転する、従って、回転軸3Rに関して適切な位置に又は当該軸3Rに関して適切な軌道位置に沿って偏心機構を回転すると、半空間平面に面しているロッカーレバー4bの側面が上昇し、これによって、最終的に、SOS2の保持要素の2つのウイング(示していない)が、バルブキャリア14aの平面に向けて押される。後者は、SOS2のタイマーの持続時間Pの調節を引き起こす。
【0052】
図3及び4は、圧力調理器具の蓋の調理圧力制御装置1の内部構造、及びこの装置1の目標調理圧力を調節する方法を詳細に示す。
【0053】
調理圧力制御装置1は、コンポーネント5、6及び7を含む微調節装置を有する。軸方向3Rで見て、保持要素7の中心から両側に突出している上記ウイング7fだけでなく、保持要素7はバルブキャリア14aから離れる方向に向いたその頂部側にメスねじ山(スクリューねじ山)7’を有する。形状の合った又は相補的なスクリュー5’が調節要素として構成される。即ち、その外側に、このスクリューは、メスねじ山7’に相補的に形成されたオスねじ山5’を有する。従って、スクリュー5は、そのオスねじ山5’により、その頂部端で保持要素7のメスねじ山7’にねじ込まれうる。スクリュー5の下側又はそのヘッドは、スクリュー5の長手軸に関して、実質的に円筒状に対照的な突起を有し、加圧スプリング6の頂部側は、スクリューの下側に接合部を見出すように構成されている。
【0054】
保持要素7の下側は、(要素5、6及び8の中心長手軸と一致した要素7の中心長手軸の周りで見た場合)円筒形の孔を有し、この孔は、実質的に中空で円筒状のスプリングホルダー9を保持するように機能する。このスプリングホルダー9は、下から、即ち、バルブキャリア14aに面した側から保持要素7に作られた孔に挿入されうる。保持要素7は、加圧スプリング6として形成された圧力吸収要素に対するスプリングのハウジングとして機能し、他方、スプリング6の頂部側は、スクリュー5のスクリューヘッドの下側に位置し、加圧スプリング6の下端は、スプリングホルダー9の底面に接してその内側に配置される(従って、ホルダー9はその上端でスプリング6を保持するように形成された孔を有する)。従って、加圧スプリング6は、一方の側のスクリュー5と他方のスプリングホルダー9の間で、締めつけられる。
【0055】
キャビティ15が、一方のスプリングホルダー9の頂部側と、他方のスクリューヘッド5の下側との間に提供され、スプリングホルダー9を、(スクリュー5がスプリングハウジング7に堅くねじ込まれる場合)加圧スプリング6のスプリング力に逆らって、スプリングハウジング7のキャビティ内に向けて上向きに、即ちスクリュー5の方に移動することができ、(スプリング6のスプリング張力が緩められた場合)逆の方向、即ちバルブキャリア14の方に下向きに、後退させることができる。
【0056】
その下端で、スプリングホルダー9は、その下端上に数個の脚10aを有する実質的に環状のスタンド要素10に囲まれる。スタンド要素10は、蓋本体12上又はそのリングギャップ12a上で、これらの脚10a(
図3は1つの脚10aのみを示す)で立つ(
図4参照)。ここで、リングギャップ12aは、調理圧力制御装置1の領域において、蓋本体12の蓋本体プレート12b内に作成されるか、又はこのプレート12bに固定される。
【0057】
シリコーン又はゴムでできた環状シール11は、調理圧力制御装置1のバルブを密封するため、又は、液密に閉じられた圧力調理器具の内側を、周囲の気圧よりも大きな圧力若しくは目標調理圧力を維持するために、第一のスタンド要素10のほぼ環状の主本体と、第二の蓋本体12又はそのリングギャップ12aとの間に置かれる。
【0058】
これについて、このバルブのバルブ要素8は、当業者に公知の様式で、一方の側のスプリングホルダー9と、他方のリングギャップ12aとの間で、調理圧力制御装置1の中心に存在する。ここで、リングシール12の内側部分は、スプリングホルダー9とバルブ要素8の底基準部との間に押し付けられる。バルブ軸に対して外側に放射状に広がるシール12の部分は、第一のバルブキャリア14aと、第二のリングギャップ12a又は蓋本体12との間で密封機能を果たす。脚10aの位置で、シール11は貫通孔を有し、スタンド要素10の下向きに突出した脚10aがシール11を通して下方に、即ち蓋本体12に向けて貫通し、シール11を越えて突出する。最後に、リングギャップ12aは、その中心、即ちバルブ要素8の領域に、圧力除去のための貫通孔13を有する。
【0059】
従って、バルブ又は調理圧力制御装置1の機能は以下のとおりである。即ち、閉じた圧力調理器具内の調理圧力が、貫通孔13を介して目標調理圧力未満からその圧力を越える、即ちp>pzとなるように上昇されると、バルブ要素8の下端に作用する圧力が、粗調節装置3z、4a、7によって大まかに設定され、微調節装置5、6、7によって細かく調節されている加圧スプリング6のスプリング力(予荷重)より大きくなる。この場合、スプリングホルダー9を有するバルブ要素8及びスプリング6の下端がスプリング6のスプリング力に対抗して押し上げられ、第一のリングギャップ12aと第二のバルブ要素8の下端との間で、バルブ要素8の上記上昇によって開いた貫通孔13とギャップを介して圧力調理器具の内部から圧力Pが逃げる。これによって、調理器具内の圧力が値p≒pzでほぼ一定のままとなる。
【0060】
目標調理圧力Pzの大まかな調節及び微調節は以下のように行われる。
【0061】
偏心機構3z、ロッカーレバー4a、スプリングハウジング7、バルブ要素8、スプリングホルダー9、スタンド要素10、シール11及び蓋本体12若しくはそのリングギャップ12aの形状、位置及びサイズは、以下のとおり互いに調和されている。使用者が、シャフト3を、軸3Rに関して、所望の調理圧力を規定する位置に回転すると、偏心機構3zは、ロッカーレバー4aの側面を、半空間平面から離れ、2つのウイング7fが14aの平面に向かうように押す。この機械的な動きは、要素7によって伝達される。即ち、下方に押されたスプリングハウジング7(又はそのウイング端7f)はスプリング6を機械的に加圧する。即ち、規定された長さl(使用者によって選択された目標調理圧力に対応したスプリング6の、規定された長手方向の広がりl、
図3参照)にスプリング6を加圧する。
【0062】
スプリング6のスプリング係数に依存して、この長さlは、バルブ要素8によって加えられなければならない規定された逆の力に一致し、このスプリング力に対抗して更にスプリングを加圧する。次に、閉じた圧力調理器具の内圧pが、前記スプリング力を克服する目標値Pzを越えるまで増加すると、圧力は、貫通孔13を介して、及び要素8と12aとの間、即ち一方の側のバルブキャリア14aと他方の蓋本体との間に開いている前記リングギャップを介して軽減される。従って、調理圧力は、圧力調理器具の加熱で高められた対応する圧力に達した後、使用者によって選択された目標調理圧力Pzに維持される。
【0063】
スプリング6は、製造の理由により、製造過程の間にすでにわずかに異なるスプリング定数を有しうるので、スプリング6の任意の製造公差又はそのスプリング定数を補償(スプリング6の予荷重の変化)するために、スクリュー5を、頂部からスプリングハウジング7により大きな広がり又はより小さな広がりになるように回転する。これは、1つの圧力調理器具と次の圧力調理器具との間、及び1つのスプリングと次のスプリングの間の製造の理由で生じる目標調理圧力Pzの揺らぎについて、微調節装置5,6、7又は調節システム5、7、及びその圧力吸収要素8を、できる限り容易に、且つ簡単な様式で補償することを可能にする。従って、各圧力調理器具の蓋又は製造された圧力調理器具に対して、シャフト3の確定した位置は、同じ目標調理圧力Pzに常に正確に対応する。
【0064】
図5は、回転可能な偏心伝達シャフト又はカムシャフト3によって、一方の蓋又はその蓋本体の小さな開口と他方のシリコーン膜との間の開口の程度をパラメータとして機械的にどのように調節できるかについて、第一の代替(本明細書で「代替」の概念は、
図2~4に関連してなされた説明であって、機能要素が圧力調理器具の蓋の安全開放システム2に対応するものに関する)を示す。このパラメータは、機能要素として圧力調理器具からの穏やかな蒸発のためのシステムの機能に影響する。
【0065】
機能要素又はこのシステムは、蓋本体(参照符号50)及び前記シリコーン膜51における前記小さな開口を含む。
【0066】
機能の方法は以下のとおりである。温和な蒸発について、圧力調理器具の蓋の蓋本体12の小さな開口50は、シリコーン膜51によって開けられ再度閉じられる。それぞれの調理段階「1」又は「2」に、カムシャフト3を回転する(回転軸3Rに関して。
図2参照。しかし、この場合において、機能要素は、安全開放システムである)ことにより、小さな開口50がカムシャフト3のカム3z-1又はカム3z-2によって閉じられる。カムシャフト3が、それぞれの調理段階「1」又は「2」から
図5に示されるゼロ位置「0」に戻されると、圧力調理器具の蓋又はその蓋本体の12の小さな開口50が開き、蒸気のわずかな流れが、圧力調理器具又はその調理容器(図示せず)から漏れ出る。これによって、圧力調理器具の穏やかでゆっくりした蒸発が達成されうる。
【0067】
図6は、機能要素又はそのパラメータの更なる代替を示す。この代替において、機能要素は調理器具をロックするためのシステムである。この機能要素の機能に影響する関連したパラメータはカムシャフト3の軸方向のシフトである。
【0068】
カムシャフト3によって、容器又は調理器具ハンドル61(抜粋であるので、ここではこれのみ示されている)内の調節ブロック62が移動し、蓋ハンドル14(及びここで示されているその抜粋60)又は圧力調理器具の蓋全体が開放に対してロックされる。ここで、カムシャフト3が、
図6の矢印63(これは、パラメータとして軸方向のシフトを表す)で示される軸の前方に向かって押される。調節ブロック62は、ある種のワイドチャネル64で案内され、軸方向のシフト63によって同じ方向に運ばれる。これによって、調節ブロック62上のカムシャフトのカム3z-3が、蓋ハンドル14、60上の閉じたチャンバー65に移動され、そこに固定される。従って、蓋ハンドル14は、調理ハンドル61に堅く接続され、もはや回らなくなる。そのあと、圧力調理器具の蓋の開放は、もはや不可能となる。
【0069】
ここで、機能要素はコンポーネント62、64及び65を含む。
【0070】
第三の更なる代替は
図7に示されている。ここで、機能要素は、調理段階のセッティングを固定するためのシステムである。この機能要素の機能に影響する関連するパラメータは角度位置である。
【0071】
図7の機能要素によって、ラッチ位置が2つの調理段階、即ち調理ステージ「1」及び調理ステージ「2」に対して固定されうる。示されているラッチ機能は、それぞれの調理ステージ位置に調理ステージのセッティングを固定する。これは、フラットなスプリング70がカムシャフト3上のフラットな面(フラットな面71、72及び73を参照)上を押すことで実現される。3つのフラットな面71~73は、調理ステージ「1」及び「2」、並びにゼロのセッティングの回転位置に対応する角度位置で、機械要素又はカムシャフト3上に配置される。面71は調理段階「1」に対応し、面72は調理段階「2」に対応し、面73はゼロ位置又はゼロセッティングに対応する。
【0072】
カムシャフト3はそれぞれの面上で、スプリング70の保持力の影響によって、対応する位置に保持される。カムシャフト3を回転する使用者による対応する力の付加だけが、この保持力に対抗でき、これによって、カムシャフト3を回転することができる。
【0073】
従って、
図7の代替における機能要素は、コンポーネント70~73を含む。
【0074】
更なる代替(いずれの図にも示されていない)において、機能要素は、圧力調理器具が現在開いているか、閉じているかを示すためのシステムである。関連するパラメータは、角度位置又は軸方向のシフト又はカムシャフトのセッティングでありうる。反対に、このような指標は、(例えば軸方向の)シフトによって(あるいは、幾つかの場合では、カムシャフトの回転軸に関する回転によって)、カムシャフトが他の色の領域に移動することができるカムシャフト上に作られた色を介して、カムシャフトによって本発明に従って与えることができる。色の変化は、例えば蓋ハンドルの窓を介して表示することができる。
【0075】
最後に、
図8は、機能要素の機能に影響するパラメータが、機能要素としての安全開放システム、又は機能要素2としての安全開放システムのタイマーを有する、
図2~4に示される例示的実施形態に対してどのように調節されうるかを示す。このタイマーは参照符号80を有する。
【0076】
タイマー80は、磁場の変化に反応して、磁場の変化に関連したデータを、例えば対数で処理する。タイマーは、使用者に対して、例えばディスプレイ(示していない)にデータを出力する。
【0077】
これに対して、SOS2のストロークの変化(閉じた圧力調理器具の圧力の上昇により、SOS2のプランジャー81が上方に移動しうる)を利用することもできる。マグネット82(例えば永久磁石)がプランジャー81と一体化され、前記プランジャーと共に上方に移動する。これによる、磁場がシフトし、タイマー80のホールセンサー83がこの変化を検出する。従って、タイマー80とマグネット82との間の接触点は、接触しないように設計されうる。
【0078】
調理ステージ「1」及び「2」について等しい上昇の動きを得るために、調節の原理は圧力制御装置1と同じ方法で適用される。言い換えれば、偏心伝達シャフト3を介して、駆動要素(ここでは、ロッカー84)を駆動させ、これによって保持力(スプリング86も参照)が、プランジャー81上のスリーブ85によって変化されうる。これによって、上昇の移動が、全ての調理段階に対して等しく行われる。これは、タイマー80が同じ位置(ここには示されていない)で固定される場合に必要である。
【0079】
タイマー80のスイッチが(例えばボタンを押すことによって)入れられ、所望の調理時間が(またボタンを押すことによって)入力されうる。所望の調理圧力が達成された(マグネットが頂部の位置)後、タイマーは自動的に秒読みを開始することができる。同時に、使用者の注意を、音(例えば深味のある音色)によって喚起する。調理時間が終了したら、再度音によって注意をひくことができる。タイマー80はまた、圧力調理器具内の圧力の状況を示す(例えば、赤/緑のLEDによって)ための光学ディスプレイを有していてもよい。プランジャー81(マグネット82参照)が特定の上昇移動を越えると、ディスプレイが赤(圧力調理器具の中に圧力が存在)又は緑(圧力調理器具の内部が加圧されていない)に切り替わる。
【0080】
以下、本明細書に記載の主な発明について列記する。
(I) 蓋ハンドル(14)、
蓋本体(12)、
調理圧力制御装置(1)及び機能要素(2)、並びに
回転可能な機械要素(3)であって、この回転可能な機械要素(3)により、その回転軸(3R)に関する回転運動を介して、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzと機能要素(2)の機能に影響するパラメータの両方を機械的に設定することができる回転可能な機械要素(3)
を有する圧力調理器具の蓋であって、
調理圧力制御装置(1)及び機能要素(2)が、回転軸(3R)の方向で見て同じ高さ(H)で配置されることを特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(II) 蓋ハンドル(14)、
蓋本体(12)、
調理圧力制御装置(1)、及び
回転可能な機械要素(3)であって、この回転可能な機械要素(3)により、その回転軸(3R)に関する回転運動を介して、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzを機械的に設定することができる回転可能な機械要素(3)
を有する圧力調理器具の蓋であって、
調理圧力制御装置(1)が、微調節装置(5、6、7)を有し、これが、回転可能な機械要素(3)によって設定されるか、又は設定されうる、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzの微調節を機械的に可能とすることを特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(III) 圧力調理器具の蓋であって、上記(I)の特徴及び上記(II)の特徴の両方を満たすことを特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(IV) 上記(I)~(III)のいずれかに記載の圧力調理器具の蓋であって、
調理圧力制御装置(1)及び機能要素(2)が、回転軸(3R)の方向で見て、同じ高さで配列されるのみでなく、回転可能な機械要素(3)の反対側(3-1、3-2)にも配置されることを特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(V) 好ましくは、上記(I)~(IV)のいずれかに記載の圧力調理器具の蓋であって、
回転可能な機械要素(3)は、少なくとも1つの偏心(3z)を伝達する、偏心伝達シャフトであるか、これを含み、
その回転軸(3R)に関する偏心伝達シャフトの回転について、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzが、偏心機構(3z)によって機械的に設定され、好ましくは、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzと機能要素(2)の機能に影響するパラメータの両方を、偏心機構(3z)により機械的に設定することができることを特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(VI) 上記(V)に記載の圧力調理器具の蓋であって、
1又は複数の駆動要素(4a、4b)であって、好ましくはそれぞれのロッカーレバーとして構成されるものであり、回転軸(3R)に関する偏心伝達シャフトの回転で、偏心伝達シャフトの偏心機構(3z)が駆動要素(4a)を機械的に駆動し、これによって、この駆動要素(4a)を介して、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzを、機械的に間接的に設定し、
好ましくは、偏心伝達シャフトの回転軸(3R)に関するその回転で、偏心伝達シャフトの偏心機構(3z)が、第一の駆動要素(4a)を機械的に駆動し、これによって、この駆動要素(4a)を介して、調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力を設定し、且つ、第2の駆動要素(4b)も機械的に駆動し、これによって、この第二の駆動要素(4b)を介して、機能要素(2)の機能に影響するパラメータを、機械的間接的に設定することを特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(VII) 上記(I)~(VI)のいずれかに記載の圧力調理器具の蓋であって、
機能要素(2)が、後者を含む圧力調理器具用の、圧力調理器具の蓋の安全開放システム、又はこの安全開放システムに接続されたコンポーネント、特にタイマーであり、
機能要素(2)としてタイマーの場合、機能要素(2)の機能に影響するパラメータが、好ましくは持続時間であることを特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(VIII) 上記(I)~(VII)に記載の圧力調理器具の蓋であり、
微調節装置(5、6,7)が、圧力吸収要素(6)、好ましくは加圧スプリング、特に好ましくはコイル加圧スプリングであって、圧力が増加するにつれてその長手方向の広がり(l)が次第に短くなるもの、及び、機械的にこの長手方向の広がり(l)を微調節する調節システム(5、7)を含むことを特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(IX) 上記(VIII)に記載の圧力調理器具の蓋であって、
調節システム(5、7)が、メスねじ山(5)、特にスクリューを有する調節要素(5)、及び、圧力吸収要素(6)と調節要素(6)の両方を機械的に保持するように構成された、メスねじ山(5’)と相補的なオスねじ山(7’)を有する保持要素(7)を含み、
調節要素(5)及び保持要素(7)の位置及び/又は配向の、互いに対する変化が、長手方向の広がり(l)の微調節を可能とすることを特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(X) 上記(I)~(IX)、好ましくは上記(VIII)又は(IX)に記載の圧力調理器具の蓋であって、
回転可能な機械要素(3)によって設定され、微調節装置(5、6、7)によって微細調節されることになる調理圧力制御装置(1)の目標調理圧力Pzが、圧力調理器具の蓋の粗調節装置(3z、4a、7)によって機械的に設定されうることを特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(XI) 上記(X)に記載の圧力調理器具の蓋であって、
回転可能な機械要素(3)が、偏心機構(3z)を有する偏心伝達シャフトとして構成され、及び
粗調節装置(3z、4a、7)が、偏心機構(3z)、好ましくはロッカーレバーとして構成される駆動要素(4a)及び保持要素(7)を含み、偏心伝達シャフト(3)のその回転軸(3R)に関する回転で、偏心機構(3z)が駆動要素(4a)を機械的に駆動し、この(4a)は、次に保持要素(7)を機械的に駆動して、これによって間接的に目標調理圧力Pzを機械的に設定し、好ましくは、後者は保持要素(7)によって圧力吸収要素(6)の長手方向の広がり(l)の変化を起こすこと
を特徴とする、圧力調理器具の蓋。
(XII) 上記(I)~(XI)のいずれかに記載の圧力調理器具の蓋、及び
容器ハンドルを有する調理容器
を含む圧力調理器具であって、
蓋ハンドル(14)及び容器ハンドルは、調理容器が閉じ機構によって圧力調理器具の蓋に液密に閉じられるように互いに対応して構成され、蓋ハンドル(14)と容器ハンドルは一方が他方の上に置かれることを特徴とする、圧力調理器具。