(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145879
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】シートシステムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
A47C 7/62 20060101AFI20220926BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20220926BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
B60N2/90
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127530
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2021099836の分割
【原出願日】2018-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】沼尻 浩行
(72)【発明者】
【氏名】三好 貴子
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 隆一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 吉一
(72)【発明者】
【氏名】東 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
(72)【発明者】
【氏名】佐藤良祐
(72)【発明者】
【氏名】金田 悟
(57)【要約】
【課題】シートに着座した着座者に対して運動などの活動のプランを適切に行わせることを目的とする。
【解決手段】シートシステムは、シート本体に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得する複数のセンサ(圧力センサ21~26)を有するシートと、センサから情報を取得する端末(スマートフォンSP)を備える。端末は、着座者に所定のポーズをとらせるための指示を出し、端末の画面上において、シート本体に配置された複数のセンサと対応する位置に配置された複数の第1画像Gf1~Gf6を表示するとともに、着座者がシート本体上で所定のポーズをとるときにおいて目標にしないセンサとなる非目標センサよりも強く反応させるべき目標のセンサとなる目標センサに対応する第1画像を、他の第1画像よりも目立たせて表示し、情報に基づいて、着座者のポーズが所定のポーズと一致している程度を示す評価値を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得する複数のセンサと、
前記センサから前記情報を取得する端末と、を備えたシートシステムであって、
前記端末は、
前記端末の画面上において、前記着座者が前記シート本体上で所定のポーズをとるときにおいて目標にしないセンサとなる非目標センサよりも強く反応させるべき目標のセンサとなる目標センサに対応する画像を、前記非目標センサに対応する画像よりも目立たせて表示することを特徴とするシートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを有するシートを備えたシートシステムと、センサを有するシートから取得した情報に基づいて端末を動作させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員の着座姿勢を検出するために、シート上に複数の圧力センサを配置した車両用シートが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の車両用シートは、運転者の着座姿勢を評価して提示するだけであるので、あまり有効に利用できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、シートの新たな価値を提案するべく、シートに着座した着座者に対して運動などの活動のプランを適切に行わせることができるシートシステムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明に係るシートシステムは、シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得する複数のセンサを有するシートと、前記センサから前記情報を取得する端末と、を備える。
前記端末は、前記着座者に所定のポーズをとらせるための指示を出し、前記端末の画面上において、前記シート本体に配置された前記複数のセンサと対応する位置に配置された複数の第1画像を表示するとともに、前記着座者が前記シート本体上で前記所定のポーズをとるときにおいて目標にしないセンサとなる非目標センサよりも強く反応させるべき目標のセンサとなる目標センサに対応する第1画像を、他の第1画像よりも目立たせて表示し、前記情報に基づいて、前記着座者のポーズが前記所定のポーズと一致している程度を示す評価値を算出する。
【0007】
また、本発明に係るプログラムは、シート本体に設けられた複数のセンサから取得した情報に基づいて端末を動作させるためのプログラムである。
前記プログラムは、前端末を、着座者に所定のポーズをとらせるための指示を出す手段と、前記シート本体に配置された前記複数のセンサと対応する位置に配置された複数の第1画像を表示するとともに、前記着座者が前記シート本体上で前記所定のポーズをとるときにおいて目標にしないセンサとなる非目標センサよりも強く反応させるべき目標のセンサとなる目標センサに対応する第1画像を、他の第1画像よりも目立たせて表示する手段と、前記情報に基づいて、前記着座者のポーズが前記所定のポーズと一致している程度を示す評価値を算出する手段として機能させる。
【0008】
このようなシートシステムまたはプログラムによれば、端末からの指示に従ってシートに着座した着座者が所定のポーズをとる際において、目標センサに対応する第1画像を、他の第1画像よりも目立たせて表示するので、シートに着座した着座者に対して運動などの活動のプランを適切に行わせることができる。
【0009】
また、前記端末は、前記所定のポーズを所定時間ごとに変更してもよい。
【0010】
また、前記端末は、前記目標センサに対応する第1画像を前記他の第1画像とは異なる色に表示してもよい。
【0011】
これによれば、色の違いにより目標センサに対応する第1画像を良好に目立たせることができる。
【0012】
また、前記端末は、前記画面上において、前記シート本体に配置された前記複数のセンサと対応する位置に配置された複数の第2画像を表示するとともに、前記情報に基づいて、前記着座者が前記シート本体上で前記所定のポーズをとるときにおいて他のセンサよりも強く反応したセンサに対応する第2画像を、他の第2画像よりも目立たせて表示してもよい。
【0013】
これによれば、ポーズの目標となる第1画像と、着座者の動きによって変化する第2画像とが、画面上に表示されるので、着座者が所定のポーズをとれているかを良好に確認することができる。
【0014】
また、前記端末は、前記他のセンサよりも強く反応したセンサに対応する第2画像を前記他の第2画像よりも大きく表示してもよい。
【0015】
これによれば、大きさの違いにより強く反応したセンサに対応する第2画像を良好に目立たせることができる。
【0016】
また、前記端末は、前記画面上において、前記複数の第1画像と、前記複数の第2画像とを、並べて表示してもよい。
【0017】
これによれば、複数の第1画像と複数の第2画像が並んでいるので、着座者が、目標となる第1画像と、着座者の動きによって変化する第2画像とを容易に見比べることができる。
【0018】
また、前記端末は、前記画面上において、前記複数の第1画像と、前記複数の第2画像とを、重ねて表示してもよい。
【0019】
これによれば、複数の第1画像と複数の第2画像が重なっているので、着座者が、目標となる第1画像と、着座者の動きによって変化する第2画像とを容易に見比べることができる。
【0020】
また、前記端末は、前記所定のポーズを指示したタイミングを含む所定の時間範囲内において、前記目標センサから取得した情報が第1閾値以上である場合に、第1閾値未満であるときよりも高い評価値を算出してもよい。
【0021】
これによれば、例えば所定のポーズを指示した時点で取得した情報に基づいて評価値を算出する方法に比べ、所定の時間範囲内において取得した情報に基づいて評価値を算出するので、着座者のポーズが所定のポーズと一致している程度を適切に判断することができる。
【0022】
また、前記端末は、前記所定のポーズを指示したタイミングを含む所定の時間範囲内において、前記非目標センサから取得した情報が第2閾値以下である場合に、第2閾値より大きいときよりも高い評価値を算出してもよい。
【0023】
これによれば、例えば所定のポーズを指示した時点で取得した情報に基づいて評価値を算出する方法に比べ、所定の時間範囲内において取得した情報に基づいて評価値を算出するので、着座者のポーズが所定のポーズと一致している程度を適切に判断することができる。
【0024】
また、前記シート本体は、シートクッションとシートバックとを備え、前記センサは、前記シートクッションと前記シートバックの両方に設けられていてもよい。
【0025】
これによれば、着座者の下半身の動きと上半身の動きをセンサで検出することができるので、所定のポーズにバリエーションをもたせることができ、着座者に様々な動きを指示することができる。
【0026】
また、前記センサは、圧力センサであってもよい。
【0027】
これによれば、例えばセンサとして光センサなどの、ON・OFFの出力信号しか得られないセンサを用いる構造と比べ、任意に変化する圧力値を得ることができるので、例えば第1画像の目立ち度合いを3段階以上で設定することができ、所定のポーズにバリエーションをもたせることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、シートに着座した着座者に対して運動などの活動のプランを適切に行わせることができる。
【0029】
また、目標センサに対応する第1画像を他の第1画像とは異なる色に表示することで、色の違いにより目標センサに対応する第1画像を良好に目立たせることができる。
【0030】
また、ポーズの目標となる第1画像と、着座者の動きによって変化する第2画像とを、画面上に表示することで、着座者が所定のポーズをとれているかを良好に確認することができる。
【0031】
また、他のセンサよりも強く反応したセンサに対応する第2画像を他の第2画像よりも大きく表示することで、大きさの違いにより強く反応したセンサに対応する第2画像を良好に目立たせることができる。
【0032】
また、複数の第1画像と複数の第2画像を並べて表示することで、着座者が、目標となる第1画像と、着座者の動きによって変化する第2画像とを容易に見比べることができる。
【0033】
また、複数の第1画像と複数の第2画像を重ねて表示することで、着座者が、目標となる第1画像と、着座者の動きによって変化する第2画像とを容易に見比べることができる。
【0034】
また、所定のポーズを指示したタイミングを含む所定の時間範囲内において、センサから取得した情報に基づいて評価値を算出することで、着座者のポーズが所定のポーズと一致している程度を適切に判断することができる。
【0035】
また、センサをシートクッションとシートバックの両方に設けることで、着座者に様々な動きを指示することができる。
【0036】
また、センサを圧力センサとすることで、所定のポーズにバリエーションをもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】一実施形態に係るシートシステムを示す図である。
【
図2】スマートフォンでの処理を示すフローチャートである。
【
図4】着座姿勢判定モードの開始時の画面を示す図である。
【
図5】着座姿勢判定モードでの判定結果を表示する画面を示す図である。
【
図6】練習モードおよびエクササイズゲームの開始時の画面を示す図である。
【
図7】右足捻り上げポーズを指示するときの画面を示す図である。
【
図8】基準姿勢を指示するときの画面を示す図である。
【
図9】左足捻り上げポーズを指示するときの画面を示す図である。
【
図10】練習モードおよびエクササイズゲームの終了時の画面を示す図である。
【
図11】運動ポイントから評価値を算出するためのテーブルを示す図である。
【
図12】第1画像および第2画像の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のシートシステム1は、シートSと、シート体験装置10とを含んでなる。
シートSは、シート本体S10と、圧力センサ21~26とを備えてなる。シート本体S10は、一例として、車両などの乗物に設置される乗物用シートであり、シートクッションS1、シートバックS2およびヘッドレストS3を有する。シートクッションS1とシートバックS2には、表皮の下に複数の圧力センサ21~26が設けられている。圧力センサ21~26は、シート本体S10に座っている着座者の動作を検出するためのセンサである。
【0039】
圧力センサ21~26は、シート本体S10に着座する着座者に対向する座面の状態を検知可能に配置され、シート本体S10に座っている着座者からの圧力値を取得する。ECU(電子制御ユニット)100は、シート本体S10の動作(例えば、図示しない電動リクライニングのモータやヒータなど)を制御する装置であり、各圧力センサ21~26から、測定値を取得可能に圧力センサ21~26と接続されている。
【0040】
各圧力センサ21~26は、シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ設けられている。なお、以下の説明や図面においては、左側に配置される圧力センサ21~26については、符号の末尾に「L」を付し、右側に配置される圧力センサ21~26については、符号の末尾に「R」を付して区別することもある。
【0041】
シートクッションS1には、圧力センサ21~23が設けられている。
圧力センサ21は、着座者の坐骨の最下部に対応する位置に設けられている。この位置では、着座者の荷重が最も大きくかかる。
【0042】
圧力センサ22は、圧力センサ21の少し前に配置されている。
【0043】
圧力センサ21および圧力センサ22は、いずれも、着座者の臀部からの圧力を測定するためのものであり、いずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0044】
圧力センサ23は、圧力センサ21および圧力センサ22から前方に大きく離れて配置されている。圧力センサ23は、着座者の大腿の下に位置し、着座者の大腿からの圧力値を測定可能である。
【0045】
シートバックS2には、圧力センサ24~26が設けられている。圧力センサ24は、着座者の腰の後ろに対応する位置に設けられている。
【0046】
圧力センサ25は、圧力センサ24の少し上に配置されている。
【0047】
圧力センサ24および圧力センサ25は、いずれも、着座者の腰からの圧力を測定するためのものであり、いずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0048】
圧力センサ26は、圧力センサ24および圧力センサ25から上方に大きく離れて配置されている。圧力センサ26は、着座者の肩に対応して位置し、着座者の肩からの圧力値を測定可能である。
【0049】
本実施形態においては、シートシステム1は、各圧力センサ21~26を使用したエクササイズのゲームを提供するものとする。本実施形態においては、各圧力センサ21~26は、シート本体S10に座っている着座者の動作を検出するための測定値を取得するセンサの一例である。エクササイズのゲームは、シート本体S10に座った着座者が、スマートフォンSPのディスプレイDSP上に表示されたキャラクターのポーズやメッセージに従って、エクササイズを行うことを可能なゲームとする。
【0050】
シート本体S10には、スマートフォンSPを保持するためのホルダ4が設けられている。ホルダ4は、ワイヤを屈曲させて形成され、一端がシートバックS2に固定され、他端にスマートフォンSPを固定する固定部4Aが設けられている。固定部4AにスマートフォンSPを固定することで、着座者は、スマートフォンSPを手に持たなくても、スマートフォンSPのディスプレイDSPを見ることができる。このため、着座者は、ディスプレイDSPを見ながら、エクササイズのゲームで指示されている動きを、全身を使って行うことができる。
【0051】
シート体験装置10は、ECU100と、端末の一例としてのスマートフォンSPとを有してなる。
ECU100には、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。また、ECU100は、圧力センサ21~26と接続されている。
【0052】
ECU100およびスマートフォンSPは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行する。なお、スマートフォンSPは、ディスプレイDSPをさらに備えている。スマートフォンSPは、プログラムに従って動作することで、エクササイズのゲームを実行するための各手段として機能する。
【0053】
具体的に、スマートフォンSPは、近距離通信機3AおよびECU100を介して各圧力センサ21~26から測定値を取得し、取得した測定値に基づいてエクササイズのゲームを実行する機能を有している。スマートフォンSPは、エクササイズのゲーム中において、着座者に所定のポーズをとらせるための指示を出す機能を有している。また、スマートフォンSPは、前記所定のポーズを所定時間ごとに変更する機能も有している。
【0054】
本実施形態では、スマートフォンSPは、着座者に対して、
図6に示す基準のポーズと、
図7に示す右膝と左肘をくっつけるように上半身および下半身を捻ったポーズを交互に4回ずつ、合計8回とらせるように、リズムの良い音楽を再生するとともに各ポーズの画像を所定時間ごとに交互に変更して表示する。また、スマートフォンSPは、着座者に対して、
図6に示す基準のポーズと、
図9に示す左膝と右肘をくっつけるように上半身および下半身を捻ったポーズを交互に4回ずつ、合計8回とらせるように各ポーズの画像を所定時間ごとに交互に変更して表示する。なお、以下の説明では、
図7のポーズを、右足捻り上げポーズともいい、
図9のポーズを左足捻り上げポーズともいう。
【0055】
図6に示すように、スマートフォンSPは、当該スマートフォンSPの画面であるディスプレイDSP上において、シート本体S10に配置された複数の圧力センサ21~26と対応する位置に配置された複数の第1画像Gf1~Gf6を表示する機能を有している。具体的に、スマートフォンSPは、ディスプレイDSP上に表示したシートの画像SG1の上に重なるように、各第1画像Gf1~Gf6を表示する。詳しくは、各第1画像Gf1~Gf6は、実際の圧力センサ21~26と同様に、シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ表示されている。
【0056】
スマートフォンSPは、着座者がシート本体S10上で所定のポーズをとるときにおいて目標にしないセンサとなる非目標センサよりも強く反応させるべき目標のセンサとなる目標センサに対応する第1画像を、他の第1画像よりも目立たせて表示する機能を有している。ここで、
図6に示す基準のポーズは、着座者が捻り上げの運動を行いやすいように、着座者の肩をシート本体S10から浮かしたポーズに設定されている。そのため、
図6に示す基準のポーズにおいては、着座者の肩からの圧力を受ける左右の圧力センサ26が非目標センサとなり、残りの圧力センサ21~25が目標センサとなる。スマートフォンSPは、基準のポーズを指示する場合には、非目標センサに対応した左右の第1画像Gf6よりも、目標センサに対応した残りの第1画像Gf1~Gf5を目立たせて表示する。
【0057】
詳しくは、スマートフォンSPは、目標センサに対応する第1画像を他の第1画像とは異なる色で表示することで、目標センサに対応する第1画像を、他の第1画像よりも目立たせて表示する。具体的には、例えばシートの画像SG1の色をグレーとした場合には、スマートフォンSPは、基準のポーズを指示する際において、非目標センサに対応した左右の第1画像Gf6の色を、グレーに対して目立たない色(例えば、グレー)とし、目標センサに対応した残りの第1画像Gf1~Gf5の色を、グレーに対して目立つ色(例えば、グレーより彩度の高い色)とする。
【0058】
また、
図7に示す右足捻り上げポーズが正しく行われる場合には、着座者の右腿から圧力を受ける右側の圧力センサ23Rと着座者の肩から圧力を受ける左右の圧力センサ26に圧力がかからず、着座者の背中の右側から圧力を受ける右側の圧力センサ25Rに最も高い第1圧力がかかり、その他の圧力センサ21,22,23L,24,25Lに第1圧力よりも小さい第2圧力がかかる。
【0059】
そのため、右足捻り上げポーズを指示する際において、右側の圧力センサ23Rと左右の圧力センサ26を非目標センサとした場合には、残りの圧力センサが目標センサとなる。また、右足捻り上げポーズを指示する際において、第2圧力がかかる圧力センサ21,22,23L,24,25Lを非目標センサとした場合には、第1圧力がかかる右側の圧力センサ25Rが目標センサとなる。
【0060】
そのため、スマートフォンSPは、右足捻り上げポーズを指示する場合には、右側の第1画像Gf3と左右の第1画像Gf6よりも、残りの第1画像Gf1~Gf5を目立たせて表示する。また、スマートフォンSPは、右足捻り上げポーズを指示する場合には、第1圧力に対応した右側の第1画像Gf5を、第2圧力に対応した第1画像Gf1~Gf5よりも目立たせて表示する。
【0061】
具体的に、スマートフォンSPは、第1圧力に対応した右側の第1画像Gf5を、第2圧力に対応した第1画像Gf1~Gf5とは異なる色で、かつ、第1画像Gf1~Gf5よりも大きく表示することで、右側の第1画像Gf5を第1画像Gf1~Gf5よりも目立たせている。詳しくは、スマートフォンSPは、第1画像Gf1~Gf5の色を、例えば彩度の低い黄色にした場合には、右側の第1画像Gf5を彩度の高い黄色にする。
【0062】
より詳細には、例えば、スマートフォンSPは、圧力センサから取得される圧力値が第1所定値未満となるべき圧力センサに対応する第1画像については、大きさを所定の第1面積とし、色をグレーとする。また、スマートフォンSPは、圧力センサから取得される圧力値が第1所定値以上、かつ、第2所定値未満となるべき圧力センサに対応する第1画像については、大きさを所定の第1面積とし、色を彩度の低い黄色とする。さらに、スマートフォンSPは、圧力センサから取得される圧力値が第2所定値以上となるべき圧力センサに対応する第1画像については、大きさを第1面積よりも大きな第2面積とし、色を彩度の高い黄色とする。
【0063】
また、スマートフォンSPは、ディスプレイDSP上において、シート本体S10に配置された複数の圧力センサ21~26と対応する位置に配置された複数の第2画像Gs1~Gs6を表示する機能を有している。具体的に、スマートフォンSPは、ディスプレイDSP上に表示したシートの画像SG2の上に重なるように、各第2画像Gs1~Gs6を表示する。詳しくは、各第2画像Gs1~Gs6は、実際の圧力センサ21~26と同様に、シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ表示されている。また、スマートフォンSPは、ディスプレイDSP上において、複数の第1画像Gf1~Gf6およびシートの画像SG1と、複数の第2画像Gs1~Gs6およびシートの画像SG2とを、左右に並べて表示する。
【0064】
スマートフォンSPは、各圧力センサ21~26から取得した測定値に基づいて、着座者がシート本体S10上で所定のポーズをとるときにおいて他のセンサよりも強く反応したセンサに対応する第2画像を、他の第2画像よりも目立たせて表示する機能を有している。具体的には、スマートフォンSPは、例えば
図7に示すように、着座者が右足捻り上げポーズをとるときにおいて、所定のセンサ(左右の圧力センサ21~25)が、他の圧力センサ(左右の圧力センサ26)よりも強く反応した場合には、所定のセンサに対応する第2画像Gs1~Gs5を、他のセンサに対応する第2画像Gs6よりも目立たせて表示する。詳しくは、スマートフォンSPは、第1画像Gf1~Gf6のときと同様に、色を変えることで目立たせている。
【0065】
また、
図7に示すように、スマートフォンSPは、所定のセンサ(反応したセンサ)のうち、右側の圧力センサ25Rが、その他のセンサ(左側の圧力センサ25Lおよび左右の圧力センサ21,22,23L,24)よりも強く反応した場合には、右側の圧力センサ25Rに対応する右側の第2画像Gs5を、その他のセンサに対応する第2画像Gs1~Gs5よりも目立たせて表示する。詳しくは、スマートフォンSPは、その他のセンサよりも強く反応したセンサに対応する第2画像Gs5を、その他の第2画像Gs1~Gs5よりも大きくするとともに、異なる色で表示することで、目立たせて表示している。
【0066】
より詳細には、例えば、スマートフォンSPは、所定の圧力センサから取得された圧力値が第1所定値未満である場合には、所定の圧力センサに対応する第2画像については、大きさを所定の第1面積とし、色をグレーとする。また、スマートフォンSPは、所定の圧力センサから取得された圧力値が第1所定値以上、かつ、第2所定値未満である場合には、所定の圧力センサに対応する第2画像については、大きさを所定の第1面積とし、色を彩度の低い黄色とする。さらに、スマートフォンSPは、所定の圧力センサから取得された圧力値が第2所定値以上である場合には、所定の圧力センサに対応する第2画像については、大きさを第1面積よりも大きな第2面積とし、色を彩度の高い黄色とする。
【0067】
スマートフォンSPは、すべての圧力センサ21~26のうち所定の圧力センサ23~26から取得した圧力値に基づいて、着座者のポーズが所定のポーズと一致している程度を示す評価値を算出する機能を有している。詳しくは、スマートフォンSPは、所定のポーズを指示したタイミングを含む所定の時間範囲内において、圧力を加えるべきセンサである目標センサから取得した圧力値が第1閾値α以上である場合に、第1閾値α未満であるときよりも高い評価値を算出する。また、スマートフォンSPは、所定のポーズを指示したタイミングを含む所定の時間範囲内において、圧力を加えるべきでない非目標センサから取得した圧力値が第2閾値β以下である場合に、第2閾値βより大きいときよりも高い評価値を算出する。
【0068】
具体的に、スマートフォンSPは、基準のポーズを指示する場合には、所定の時間範囲内において、着座者の肩に対応した左右の圧力センサ26での圧力値がそれぞれ第2閾値β以下であるか否かを判断するとともに、着座者の腰に対応した左右の圧力センサ24での圧力値がそれぞれ第1閾値α以上であるか否かを判断する。ここで、第2閾値βは、左右の圧力センサ26のそれぞれに対して個別に設定されている。つまり、左側の圧力センサ26Lに対しては、固有の第2閾値β61が設定され、右側の圧力センサ26Rに対しては、固有の第2閾値β62が設定される。第1閾値αも同様に、左側の圧力センサ24Lに対しては、固有の第1閾値β41が設定され、右側の圧力センサ24Rに対しては、固有の第1閾値β42が設定される。なお、第1閾値α、第2閾値βの設定については、後で詳述する。
【0069】
また、スマートフォンSPは、右足捻り上げポーズを指示する場合には、所定の時間範囲内において、着座者の右腿に対応した右側の圧力センサ23Rでの圧力値が第2閾値β以下であるか否かを判断するとともに、着座者の背中の右側に対応した右側の圧力センサ25Rでの圧力値が第1閾値α以上であるか否かを判断する。スマートフォンSPは、左足捻り上げポーズを指示する場合には、所定の時間範囲内において、着座者の左腿に対応した左側の圧力センサ23Lでの圧力値が第2閾値β以下であるか否かを判断するとともに、着座者の背中の左側に対応した左側の圧力センサ25Lでの圧力値が第1閾値α以上であるか否かを判断する。
【0070】
本実施形態において、評価値は、数値が高いほど高い評価値を示す運動ポイントとする。具体的に、スマートフォンSPは、前述した条件が満たされていないと判断すると、運動ポイントを加算せず、前述した条件が満たされたと判断した場合には、1ポイントまたは10ポイントを運動ポイントに加算する。
【0071】
詳しくは、スマートフォンSPは、基準のポーズを指示する際において、前述した条件を満たした場合には、運動ポイントに1ポイントを加算する。また、スマートフォンSPは、右足捻り上げポーズまたは左足捻り上げポーズを指示する際において、前述した条件を満たした場合には、基準のポーズのときよりも高いポイント、詳しくは10ポイントを運動ポイントに加算する。
【0072】
次に、スマートフォンSP(詳しくは、スマートフォンSP内の処理部)の動作について詳細に説明する。
スマートフォンSPは、着座者がエクササイズゲームを行うためのアプリを立ち上げると、
図2に示す処理を開始する(START)。この処理において、スマートフォンSPは、まず、シートSと通信可能な状態であるか否かを判断する(S11)。
【0073】
ステップS11において通信可能な状態でないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、本処理を終了する。ステップS11において通信可能な状態であると判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、エクササイズゲームのスタート画面(
図3参照)をディスプレイDSP上に表示する(S12)。
【0074】
なお、
図3に示すスタート画面では、エクササイズゲームを開始するためのスタートボタンB1と、エクササイズゲームを終了するためのボタンB2とが表示されている。
【0075】
ステップS12の後、スマートフォンSPは、スタートボタンB1が選択されたか否かを判断する(S13)。ステップS13においてスタートボタンB1が選択されたと判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、エクササイズゲームにおける着座姿勢判定モードおよび練習モードが過去に既に実行されているかを示すフラグFが0であるか否かを判断する(S14)。
【0076】
ここで、着座姿勢判定モードとは、着座者の通常時の着座姿勢を判定するモード、具体的には着座者の下半身および上半身の左右の体重バランスを判定するモードである。スマートフォンSPは、着座姿勢判定モードにおいて、着座者の通常時の着座姿勢における各圧力値を取得し、各圧力値からエクササイズゲームにおける基準姿勢での圧力値の目標値を決めるための第1基準値を設定する。
【0077】
また、練習モードとは、エクササイズゲームを着座者に練習させるモードである。スマートフォンSPは、練習モードにおいて、エクササイズゲームの練習中における各圧力値を取得し、所定の圧力値からエクササイズゲームにおける捻り姿勢での圧力値の目標値を決めるための第2基準値を設定する。
【0078】
ステップS14においてF=0でないと判断した場合(No)、つまり着座姿勢判定モードおよび練習モードが過去に実行されている場合には、スマートフォンSPは、着座姿勢判定モードおよび練習モード(S15~S20)を飛ばして、エクササイズゲームを開始する(S21)。ステップS14においてF=0と判断した場合(Yes)、つまり着座姿勢判定モードおよび練習モードが過去に一度も実行されていない場合には、スマートフォンSPは、着座姿勢判定モードを開始する(S15)。
【0079】
スマートフォンSPは、着座姿勢判定モードを開始すると、
図4に示す画面を、ディスプレイDSP上に表示する。
図4の画面では、「シートに深く座りましょう。腿、尻、腰、背中、肩をシートにくっつけましょう」というメッセージと、着座者の体重配分を測定するための時間を表示するカウントダウン表示とが、表示されている。本実施形態では、16拍のカウントダウンを示す「16」という数字が、着座姿勢判定モード開始時のカウントダウン表示として表示される。
【0080】
スマートフォンSPは、16拍のカウントダウンの実行中において、各圧力センサ21~26から圧力値を取得する。詳しくは、スマートフォンSPは、最初の8拍においては圧力値を取得せず、残りの8拍をカウントダウンする間に圧力値を取得する。つまり、スマートフォンSPは、着座姿勢判定モードを開始してから所定時間の間、圧力値を取得せず、所定時間の経過後に圧力値を取得する。このように、スマートフォンSPが、着座姿勢判定モードの開始から所定時間の間、圧力値を取得しないことで、例えば着座者がシートSに座り直している際の不安定な圧力値を排除することができ、より正確な圧力値を取得することが可能となっている。
【0081】
詳しくは、スマートフォンSPは、8拍をカウントダウンする間に、各圧力センサ21~26から所定の周期で圧力値を取得する。ここで、例えば、スマートフォンSPが圧力値を取得する周期が20Hzであり、1拍が1秒である場合には、1つの圧力センサから取得される圧力値の数は、161個となる。
【0082】
図2に示すように、スマートフォンSPは、各圧力センサ21~26で取得した各圧力値の平均値を、各圧力センサ21~26での第1基準値として設定する(S16)。なお、以下の説明では、右側の圧力センサ21R~26Rに対応する第1基準値を「FR1,FR2,・・・,FR6」とも示し、左側の圧力センサ21L~26Lに対応する第1基準値を「FL1,FL2,・・・,FL6」とも示す。
【0083】
ステップS16の後、スマートフォンSPは、第1基準値に基づいて着座者の姿勢を判定し(S17)、判定結果をディスプレイDSP上に表示する(S18)。詳しくは、ステップS17において、スマートフォンSPは、着座者の下半身の右側に対応した第1基準値FR1~FR3と、下半身の左側に対応した第1基準値FL1~FL3とを比較して、下半身の体重の配分を判定する。また、スマートフォンSPは、着座者の上半身の右側に対応した第1基準値FR4~FR6と、上半身の左側に対応した第1基準値FL4~FL6とを比較して、上半身の体重の配分を判定する。
【0084】
より詳しくは、スマートフォンSPは、以下の式(1),(2)を用いて着座者の姿勢を判定する。
K1≦(FR1+FR2+FR3)/(FL1+FL2+FL3)≦K2・・・(1)
K3≦(FR4+FR5+FR6)/(FL4+FL5+FL6)≦K4・・・(2)
【0085】
ここで、K1は、1より小さい数値、例えば0.9とすることができる。また、K2は、1より大きい数値、例えば1.1とすることができる。K3は、1より小さい数値、例えば0.95とすることができ、K4は、1より大きい数値、例えば1.05とすることができる。
【0086】
そして、スマートフォンSPは、下半身または上半身の左右の圧力値の比が、上記の式(1),(2)を満たす場合には、ディスプレイDSP上に良い判定結果を表示し、上記の式(1),(2)を満たさない場合には、ディスプレイDSP上に悪い判定結果を表示する。
【0087】
具体的に、例えば下半身の圧力値の比が、上記の式(1)を満たす場合には、
図5に示すように、スマートフォンSPは、下半身について、「左右のバランスが良いですね」、「素晴らしいですね」といったメッセージをディスプレイDSP上に表示する。また、例えば上半身の圧力値の比が、上記の式(2)の上限値K4を上回る場合には、スマートフォンSPは、上半身について、「右側に体重がかかる傾向ですね」といったメッセージをディスプレイDSP上に表示する。
【0088】
図2に戻って、スマートフォンSPは、ステップS18の後、練習モードを実行する(S19)。スマートフォンSPは、練習モードを開始すると、
図6に示す画面を、ディスプレイDSP上に表示する。
図6の画面では、「腹式呼吸のように背中をシートに押し付けながらお腹を丸めた状態で、腕を閉じて、捻りをかけ、片足をあげていきます。リズム良く左右それぞれ4回です」というメッセージと、エクササイズを実行するための時間を表示するカウントダウン表示とが、表示されている。本実施形態では、16拍のカウントダウンを示す「16」という数字が、練習モード開始時のカウントダウン表示として表示される。
【0089】
なお、メッセージとしては、上記のメッセージに加え、「まずは、右膝を左肘に近づけるように身体を捻る動作を4回行い、その後、左膝を右肘に近づけるように身体を捻る動作を4回行います」などといったメッセージを表示してもよい。
【0090】
スマートフォンSPは、練習モードにおいて、着座者のポーズの手本となるキャラクターの画像をディスプレイDSP上に表示する。詳しくは、スマートフォンSPは、着座者に右足捻り上げポーズを4回行わせる場合には、
図6に示す基準姿勢と、
図7に示す右足捻り上げポーズと、を1拍おきに交互に4回ずつディスプレイDSP上に手本として表示する。また、スマートフォンSPは、着座者に左足捻り上げポーズを4回行わせる場合には、前述した基準姿勢と、
図9に示す左足捻り上げポーズと、を1拍おきに交互に4回ずつディスプレイDSP上に手本として表示する。そして、スマートフォンSPは、リズムの良い音楽に合わせて前述したポーズを切り替えていくとともに、前述したポーズを切り替えるたびにカウントダウン表示を1ずつ減らしてく。
【0091】
スマートフォンSPは、練習モード中において、各圧力センサ21~26から所定の周期で圧力値を取得する。詳しくは、スマートフォンSPは、右足捻り上げポーズを8拍の間で行わせる場合には、8拍のうち最初の4拍においては圧力値を取得せず、残りの4拍をカウントダウンする間に、右足捻り上げポーズに関する圧力値を取得する。また、スマートフォンSPは、左足捻り上げポーズを8拍の間で行わせる場合にも、8拍のうち最初の4拍においては圧力値を取得せず、残りの4拍をカウントダウンする間に、左足捻り上げポーズに関する圧力値を取得する。つまり、スマートフォンSPは、右足捻り上げポーズまたは左足捻り上げポーズの指示を開始してから所定時間の間、圧力値を取得せず、所定時間の経過後に圧力値を取得する。これにより、前述と同様の効果を得ることができる。
【0092】
スマートフォンSPは、右足捻り上げポーズを行わせる後半の4拍のうち、奇数拍の付近(カウントダウン表示が11,9となる付近)において右側の圧力センサ23R,25Rでの各圧力値の平均値を、右足捻り上げポーズでの目標値となる第2基準値として設定する。また、スマートフォンSPは、左足捻り上げポーズを行わせる後半の4拍のうち、奇数拍の付近(カウントダウン表示が3,1となる付近)において左側の圧力センサ23L,25Lでの各圧力値の平均値を、左足捻り上げポーズでの目標値となる第2基準値として設定する。なお、以下の説明では、右側の圧力センサ23R,25Rに対応する第2基準値を「SR3,SR5」とも示し、左側の圧力センサ23L,25Lに対応する第2基準値を「SL3,SL5」とも示す。
【0093】
図2に戻って、スマートフォンSPは、ステップS19の練習モードを終了すると、フラグFを1にして(S20)、エクササイズゲームを開始する(S21)。エクササイズゲームにおいては、スマートフォンSPは、練習モードと同じような画面(
図6~
図10)を表示して、着座者に運動を行わせる。
【0094】
エクササイズゲーム中において、スマートフォンSPは、各圧力センサ21~26から取得した圧力値と、前述した第1基準値および第2基準値とに基づいて、運動ポイントを算出する(S22)。詳しくは、スマートフォンSPは、16拍のうち偶数拍において基準姿勢のポーズを着座者に指示している場合には、ポーズを指示したタイミングを含む所定の時間範囲内において、着座者の肩に対応する左右の圧力センサ26と着座者の腰に対応する左右の圧力センサ24とから圧力値を取得する。
【0095】
そして、スマートフォンSPは、肩に対応した圧力センサ26から所定の時間範囲内において取得した圧力値の最小値と、肩に対応した第1基準値FR6,FL6とを比較するとともに、腰に対応した圧力センサ24から所定の時間範囲内において取得した圧力値の最大値と、腰に対応した第1基準値FR4,FL4とを比較することで、着座者の姿勢が基準姿勢と一致している程度を判断する。詳しくは、以下の式(3)~(6)に示す4つの条件が1つ満たされるごとに、スマートフォンSPは、運動ポイントを1ポイント加算する。そのため、例えば、以下の式(3)~(6)に示す4つの条件がすべて満たされていると、スマートフォンSPは、運動ポイントを4ポイント加算する。
【0096】
PR6≦FR6×K5 ・・・(3)
PL6≦FL6×K5 ・・・(4)
PR4≧FR4×K6 ・・・(5)
PL4≧FL4×K6 ・・・(6)
PR6:肩の右側に対応した圧力センサ26Rから所定の時間範囲内において取得した圧力値の最小値
PL6:肩の左側に対応した圧力センサ26Lから所定の時間範囲内において取得した圧力値の最小値
PR4:腰の右側に対応した圧力センサ24Rから所定の時間範囲内において取得した圧力値の最大値
PL4:腰の左側に対応した圧力センサ24Lから所定の時間範囲内において取得した圧力値の最大値
K5,K6:係数
【0097】
ここで、FR4×K6およびFL4×K6は、前述した第1閾値αに相当し、FR6×K5およびFL6×K5は、前述した第2閾値βに相当する。K5は、1よりも小さい数値、例えば0.1とすることができる。また、K6は、1よりも大きい数値、例えば1.1とすることができる。
【0098】
なお、各閾値α,βとして、第1基準値FR6,FL6,FR4,FL4に係数K5,K6をかけた値を利用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、各閾値α,βを、第1基準値FR6,FL6,FR4,FL4そのものとしてもよい。ただし、第1基準値に係数をかけることで、通常の着座姿勢のときの圧力値のバラツキの範囲を超えて、基準姿勢での圧力の強弱を明確に判断することができる。
【0099】
具体的には、例えば、肩に対応した第1基準値FR6,FL6は、着座者の身体全体をシートSに密着させた通常の着座姿勢での肩に対応した圧力値に相当している。このような圧力値である第1基準値FR6,FL6に対して、1よりも小さい係数K5をかけることで、着座者がシートSから肩を離していることを明確に判断することができる。同様に、腰に対応した第1基準値FR4,FL4に対して、1よりも大きい係数K6をかけることで、着座者がシートSに腰を密着させていることを明確に判断することができる。
【0100】
また、スマートフォンSPは、16拍の前半の8拍のうち奇数拍において右足捻り上げポーズを着座者に指示している場合には、ポーズを指示したタイミングを含む所定の時間範囲内において、着座者の背中の右側に対応する圧力センサ25Rと、着座者の右腿に対応した圧力センサ23Rとから圧力値を取得する。そして、スマートフォンSPは、背中右側に対応した圧力値の最大値と、背中右側に対応した第2基準値SR5とを比較するとともに、右腿に対応した圧力値の最小値と、右腿に対応した第2基準値SR3とを比較することで、着座者の姿勢が右足捻り上げポーズと一致している程度を判断する。
【0101】
詳しくは、以下の式(7),(8)に示す2つの条件が1つ満たされるごとに、スマートフォンSPは、運動ポイントを10ポイント加算する。そのため、例えば、以下の式(7),(8)に示す2つの条件がすべて満たされていると、スマートフォンSPは、運動ポイントを20ポイント加算する。
【0102】
PR5≧SR5×K7 ・・・(7)
PR3≦SR3×K8 ・・・(8)
PR5:背中の右側に対応した圧力センサ25Rから所定の時間範囲内において取得した圧力値の最大値
PR3:右腿に対応した圧力センサ23Rから所定の時間範囲内において取得した圧力値の最小値
K7,K8:係数
【0103】
ここで、SR5×K7は、前述した第1閾値αに相当し、SR3×K8は、前述した第2閾値βに相当する。K7は、1より大きい数値、例えば1.5とすることができる。また、K8は、1より小さい数値、例えば0.8とすることができる。
【0104】
なお、各閾値α,βとして、第2基準値SR5,SR3に係数K7,K8をかけた値を利用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、各閾値α,βを、第2基準値SR5,SR3そのものとしてもよい。ただし、第2基準値に係数をかけることで、練習モードのときの圧力値のバラツキの範囲を超えて、エクササイズゲームでの圧力の強弱を明確に判断することができる。
【0105】
具体的には、例えば、背中の右側に対応した第2基準値SR5は、練習モードにおいて右足捻り上げポーズをしているときの背中の右側に対応した圧力値に相当している。このような圧力値である第2基準値SR5に対して、1よりも大きい係数K7をかけることで、着座者が背中の右側をシートSに強く押し付けていることを明確に判断することができる。同様に、右腿に対応した第2基準値SR3に対して、1よりも小さい係数K8をかけることで、着座者がシートSから右腿を浮かしていることを明確に判断することができる。
【0106】
なお、スマートフォンSPが左足捻り上げポーズを指示する場合は、右足捻り上げポーズを指示する場合と左右の関係を逆にしただけであり、上記と同じような動作を行うため、説明は省略する。
【0107】
エクササイズゲームが終了すると、スマートフォンSPは、運動ポイントに基づいて評価値を決定して、ディスプレイDSP上に表示する(S23)。具体的には、スマートフォンSPは、
図11に示すテーブルに基づいて、評価値を決定する。詳しくは、スマートフォンSPは、運動ポイントPtが35ポイント未満である場合には、評価値を「Worst」に決定する。また、スマートフォンSPは、35≦Pt<70の場合、評価値を「Bad」に決定し、70≦Pt<90の場合、評価値を「Good」に決定する。さらに、スマートフォンSPは、90≦Pt<110の場合、評価値を「Great」に決定し、110≦Ptの場合、評価値を「Excellent」に決定する。なお、スマートフォンSPは、評価値をディスプレイDSP上に表示した後、スタート画面を表示する。
【0108】
図2に戻って、ステップS23の後、または、ステップS13においてNoと判断した場合には、スマートフォンSPは、
図3に示すスタート画面において、エクササイズゲームを終了するためのボタンB2が選択されたか否かを判断する(S24)。ステップS24においてボタンB2が選択されていないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、ステップS12の処理に戻る。ステップS24においてボタンB2が選択されたと判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、本処理を終了する。
【0109】
次に、シートシステム1の具体的な動作の一例を詳細に説明する。
図1に示すように、シートシステム1を構成する各機器(S,SP)が通信可能な状態において、着座者がスマートフォンSPを操作してエクササイズアプリを立ち上げると、
図2に示す処理において、ステップS11:Yes→ステップS12の処理が順次実行される。これにより、
図3に示すスタート画面が、ディスプレイDSP上に表示される。
【0110】
着座者がスタートボタンB1を選択すると、ステップS13でYesと判断されて、ステップS14の処理に移行する。ここで、着座者が着座姿勢判定モード等を過去に一度も行っていない場合には、ステップS14でYesと判断されて、着座姿勢判定モードおよび練習モードが実行される(S15~S20)。
【0111】
着座姿勢判定モードにおいては、
図4に示す画面がディスプレイDSP上に表示される。着座者は、画面の指示に従って、身体全体をシートSに密着させるように座り直す。そして、画面中のカウントダウン表示が16から0までカウントダウンされる間、着座者が姿勢を保つことで、各圧力センサ21~26から圧力値がスマートフォンSPで取得される。
【0112】
スマートフォンSPは、着座姿勢判定モードにおいて取得した圧力値に基づいて、
図5に示すように、着座者の座り姿勢の傾向をディスプレイDSP上に表示する。これにより、着座者は、着座時において自分の左右の体重配分がどのようになっているかを知ることができ、正しい着座姿勢を身に付けることができる。
【0113】
また、スマートフォンSPは、着座姿勢判定モードにおいて取得した圧力値に基づいて、エクササイズゲームの基準姿勢の評価に用いる第1基準値を設定する。
【0114】
練習モードにおいて、スマートフォンSPは、
図6~
図10に示すポーズを1拍ごとに順次表示するとともに、各圧力センサ21~26から圧力値を取得する。そして、スマートフォンSPは、練習モードにおいて取得した圧力値に基づいて、エクササイズゲームの捻り姿勢の評価に用いる第2基準値を設定する。
【0115】
練習モードの終了後、スマートフォンSPは、エクササイズゲームを開始する(S21)。エクササイズゲームにおいて、スマートフォンSPは、練習モードのときと同様に
図6~
図10に示すポーズを1拍ごとに順次表示するとともに、各圧力センサ21~26から圧力値を取得する。
【0116】
練習モードやエクササイズゲーム中において、ディスプレイDSP上には、目標となる第1画像Gf1~Gf6と、着座者の姿勢を反映した第2画像Gs1~Gs6とが並んで表示されている。これにより、例えば
図6に示すように、着座者が基準姿勢をとるときにおいて、反応させるべきでない肩の圧力センサ26に対応した第2画像Gs6が第1画像Gf6よりも目立って表示されている場合には、着座者が自分の姿勢が間違っていることを認識することができる。そのため、この場合、着座者は、第2画像Gs6の表示が第1画像Gf6の表示と同じ表示となるように、肩をシートSから浮かして正しい基準姿勢をとることができる。
【0117】
また、例えば
図7に示すように、着座者が右足捻り上げポーズをとるときにおいて、着座者が右足を上げるのを忘れて、右腿に対応する圧力センサ23Rが反応してしまっている場合には、圧力センサ23Rに対応した第2画像Gs3が第1画像Gf3よりも目立って表示される。そのため、この場合、着座者は、第2画像Gs3の表示が第1画像Gf3の表示と同じ表示となるように、右足を上げて正しい右足捻り上げポーズをとることができる。
【0118】
以上、本実施形態のシートシステム1によれば、次の各効果を奏することができる。
スマートフォンSPからの指示に従ってシートSに着座した着座者が所定のポーズをとる際において、目標センサに対応する第1画像を、他の第1画像よりも目立たせて表示するので、シートSに着座した着座者に対してエクササイズを適切に行わせることができる。
【0119】
スマートフォンSPが目標センサに対応する第1画像を他の第1画像とは異なる色に表示するので、色の違いにより目標センサに対応する第1画像を良好に目立たせることができる。
【0120】
ポーズの目標となる第1画像と、着座者の動きによって変化する第2画像とが、画面上に表示されるので、着座者が所定のポーズをとれているかを良好に確認することができる。
【0121】
スマートフォンSPが他のセンサよりも強く反応したセンサに対応する第2画像を他の第2画像よりも大きく表示するので、大きさの違いにより強く反応したセンサに対応する第2画像を良好に目立たせることができる。
【0122】
複数の第1画像と複数の第2画像が並んでいるので、着座者が、目標となる第1画像と、着座者の動きによって変化する第2画像とを容易に見比べることができる。
【0123】
スマートフォンSPが、所定のポーズを指示したタイミングを含む所定の時間範囲内において取得した情報に基づいて評価値を算出するので、例えば所定のポーズを指示した時点で取得した情報に基づいて評価値を算出する方法に比べ、着座者のポーズが所定のポーズと一致している程度を適切に判断することができる。
【0124】
圧力センサ21~26がシートクッションS1とシートバックS2の両方に設けられているので、着座者の下半身の動きと上半身の動きを圧力センサ21~26で検出することができ、所定のポーズにバリエーションをもたせることができ、着座者に様々な動きを指示することができる。
【0125】
センサとして圧力センサ21~26を用いたので、例えばセンサとして光センサなどの、ON・OFFの出力信号しか得られないセンサを用いる構造と比べ、任意に変化する圧力値を得ることができる。そのため、第1画像や第2画像の目立ち度合いを3段階以上で設定することができ、所定のポーズにバリエーションをもたせることができる。
【0126】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。なお、以下の説明において、前記実施形態と略同様の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0127】
前記実施形態では、第1画像Gf1~Gf6と第2画像Gs1~Gs6とを左右に並べて表示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、第1画像と第2画像の並べる方向は、左右以外の方向であってもよい。また、
図12に示すように、スマートフォンSPは、画面上において、複数の第1画像Gf1~Gf6と、複数の第2画像Gs1~Gs6とを、重ねて表示してもよい。
【0128】
具体的に、
図12の形態では、第1画像Gf1~Gf6を色や大きさの異なる破線の円で表示し、第2画像Gs1~Gs6を内側に色を付した実線の円の大きさや色を変えて表示している。詳しくは、第1画像Gf1~Gf6のうち、反応させる強さが弱い順に、順次第1画像の大きさを大きくするとともに、シートの画像SG1に対する色を順次目立つ色に設定している。同様に、また、第2画像Gs1~Gs6のうち、圧力値が小さい順に、順次第2画像の大きさを大きくするとともに、シートの画像SG1に対する色を順次目立つ色に設定している。なお、この形態において、圧力値が0となる第2画像については、表示しないように設定されている。
【0129】
これによれば、複数の第1画像Gf1~Gf6と複数の第2画像Gs1~Gs6が重なっているので、着座者が、目標となる第1画像と、着座者の動きによって変化する第2画像とを容易に見比べることができる。
【0130】
前記実施形態では、画像(第1画像または第2画像)を目立たせるために、色や大きさを変更するようにしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、画像の形状を変化させたり、画像の明るさを変化させたりすることで、画像を目立たせてもよい。
【0131】
前記実施形態では、センサとして圧力センサ21~26を例示したが、本発明はこれに限定されず、センサは、例えば光センサなどであってもよい。この場合、光センサで光が検知されたか否かの情報に基づいて着座者のポーズが所定のポーズと一致している程度を示す評価値を算出してもよい。また、光センサが光量の大きさを検知可能である場合には、光量の大きさの情報に基づいて評価値を算出してもよい。
【0132】
前記実施形態では、ゲームとしてエクササイズゲームを例示したが、本発明はこれに限定されず、ゲームは、例えば、シートS上において着座者に座禅をさせるための座禅ゲームなどであってもよい。座禅ゲームは、例えば、シートクッションS1の左側にかかる圧力と右側にかかる圧力とが略一致し、かつ、シートクッションS1の前側にかかる圧力と後側にかかる圧力とが略一致するように、着座者の姿勢を促すゲームとして構成することができる。具体的には、座禅ゲームは、スマートフォンSPの画面上において、着座者の動き(圧力値の変動)に応じて移動するカーソルを、目標となる画像に合わせるようなゲームとして構成することができる。そして、このようなカーソルと目標となる画像に加え、圧力センサの位置を示す第1画像、第2画像を表示してもよい。なお、座禅ゲームにおいては、所定のポーズは、所定時間ごとに変更させる必要はなく、1つのポーズであればよい。
【0133】
前記実施形態では、シートSとして、自動車で使用される車両用シートを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。また、シートは、乗物用シートに限らず、例えば、座椅子などであってもよい。
【0134】
前記実施形態では、端末としてスマートフォンSPを例示したが、本発明はこれに限定されず、端末は、例えばタブレットなどのスマートフォンSP以外の携帯端末であってもよい。また、端末は、シートに備え付けの端末であり、シートに一体に設けられていてもよい。また、端末は、カーナビゲーションシステムを構成する端末であってもよい。
【0135】
ポーズを切り替えるための拍数は、前記実施形態の拍数に限らず、適宜任意に設定することができる。また、前記実施形態では、拍数を音楽などのリズムと組み合わせたが、本発明はこれに限定されず、拍数を音楽などのリズムと組み合わせなくてもよい。
【0136】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0137】
1 シートシステム
21~26 圧力センサ
Gf1~Gf6 第1画像
S シート
S10 シート本体
SP スマートフォン