(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014592
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】乗客コンベヤの逆進入防止装置
(51)【国際特許分類】
B66B 29/00 20060101AFI20220113BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B66B29/00 K
B66B31/00 C
B66B31/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116983
(22)【出願日】2020-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】松重 英樹
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321EA02
3F321EB04
3F321EB05
3F321EC03
3F321EC04
3F321GA31
3F321HA01
(57)【要約】
【課題】上階側乗降口への利用者の逆進入を検出することができるエスカレーターの逆進入防止装置を得る。
【解決手段】エスカレーターの逆進入防止装置5は、上昇運転する第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11に隣り合う上階側階床2の上面に設けられた圧力検出マット51と、圧力検出マット51が利用者に踏まれた場合に、圧力検出マット51の検出結果を用いて、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11への利用者の逆進入の有無を判定する逆進入判定装置52と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降口に隣り合う階床の上面に設けられた圧力検出マットと、
前記圧力検出マットが利用者に踏まれた場合に、前記圧力検出マットの検出結果を用いて、前記乗降口への前記利用者の逆進入の有無を判定する逆進入判定装置と、
を備えている乗客コンベヤの逆進入防止装置。
【請求項2】
前記圧力検出マットの検出領域は、前記乗降口の奥行方向について、前記乗降口側の領域である第1領域と、前記乗降口とは反対側の領域である第2領域と、に区分けされており、
前記逆進入判定装置は、往路側において移動する踏面が前記圧力検出マットに近づく方向に移動する運転が行われている場合であって、前記第1領域よりも先に前記第2領域が前記利用者に踏まれた場合に、前記利用者が前記乗降口へ逆進入していると判定する請求項1に記載の乗客コンベヤの逆進入防止装置。
【請求項3】
前記逆進入判定装置は、往路側において移動する踏面が前記圧力検出マットに近づく方向に移動する運転が行われている場合であって、前記利用者の足が前記圧力検出マットを踏み始めてから離れるまでの間に、前記利用者の足によって前記圧力検出マットに作用する圧力の中心が前記乗降口の奥行方向について前記乗降口に近づくように移動する場合に、前記利用者が前記乗降口に逆進入していると判定する請求項1に記載の乗客コンベヤの逆進入防止装置。
【請求項4】
前記逆進入判定装置の判定結果に基づいて、警告する警告装置をさらに備えている請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の乗客コンベヤの逆進入防止装置。
【請求項5】
互いに並行して設けられた一対の乗客コンベヤのうちの一方の乗客コンベヤが運転しており、他方の乗客コンベヤの運転が停止している場合の前記他方の乗客コンベヤの前記乗降口に隣り合う階床には、前記他方の乗客コンベヤの前記乗降口への前記利用者の進入を防止する安全柵が設けられており、
前記圧力検出マットは、前記一方の乗客コンベヤの前記乗降口に隣り合う階床の上面に設けられており、
前記警告装置は、前記安全柵に設けられている請求項4に記載の乗客コンベヤの逆進入防止装置。
【請求項6】
前記警告装置は、前記圧力検出マットに設けられている請求項4に記載の乗客コンベヤの逆進入防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗客コンベヤの逆進入防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗客コンベヤの出入口に進入する利用者に対して、乗客コンベヤの運転方向を表示する乗客コンベヤの逆進入防止装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の乗客コンベヤの逆進入防止装置では、乗客コンベヤの乗降口に利用者が逆進入する場合に、乗降口への利用者の逆進入を検出することができないという問題点があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、乗降口への利用者の逆進入を検出することができる乗客コンベヤの逆進入防止装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る乗客コンベヤの逆進入防止装置は、乗降口に隣り合う階床の上面に設けられた圧力検出マットと、圧力検出マットが利用者に踏まれた場合に、圧力検出マットの検出結果を用いて、乗降口への利用者の逆進入の有無を判定する逆進入判定装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る乗客コンベヤの逆進入防止装置によれば、乗降口への利用者の逆進入を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置が設けられている一対のエスカレーターのうちの一方のエスカレーターを示す構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置が設けられている一対のエスカレーターのうちの他方のエスカレーターを示す構成図である。
【
図3】
図1の第1のエスカレーターの一部と上階側階床に設けられているエスカレーターの逆進入防止装置の一部を示す平面図である。
【
図4】実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置を示すブロック図である。
【
図5】
図3の圧力検出マットの上を利用者が順方向に移動する場合に圧力検出マットが検出する圧力の変化を示す図である。
【
図6】
図5の圧力検出マットの上を利用者が逆方向に移動する場合に圧力検出マットが検出する圧力の変化を示す図である。
【
図7】実施の形態2に係るエスカレーターの逆進入防止装置における圧力検出マットの上を利用者が順方向に移動する場合に圧力検出マットが検出する圧力の変化を示す図である。
【
図8】
図7の圧力検出マットの上を利用者が逆方向に移動する場合に圧力検出マットが検出する圧力の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置が設けられている一対のエスカレーターのうちの一方のエスカレーターを示す構成図である。
図2は、実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置が設けられている一対のエスカレーターのうちの他方のエスカレーターを示す構成図である。
【0010】
実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置は、一対のエスカレーター1に設置されている。
図1では、一対のエスカレーター1のうちの一方のエスカレーター1である第1のエスカレーター1Aが示されている。
図2では、一対のエスカレーター1のうちの他方のエスカレーター1である第2のエスカレーター1Bが示されている。この例では、乗客コンベヤとして、エスカレーターを例に説明する。
【0011】
第1のエスカレーター1Aおよび第2のエスカレーター1Bのそれぞれは、上階側階床2と下階側階床3とに渡って設けられている。第1のエスカレーター1Aおよび第2のエスカレーター1Bは、互いに並行して配置されている。したがって、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11と第2のエスカレーター1Bの上階側乗降口11とは、互いに隣り合っており、第1のエスカレーター1Aの下階側乗降口12と第2のエスカレーター1Bの下階側乗降口12とは、互いに隣り合っている。
【0012】
踏段は、往路側および帰路側を含む移動経路を循環移動する。往路側において踏段が下階側階床3から上階側階床2に移動する運転が上昇運転であり、往路側において踏段が上階側階床2から下階側階床3に移動する運転が下降運転である。往路側を移動するときの踏段の状態は、利用者を踏段に乗せることができる状態である。
【0013】
第1のエスカレーター1Aの運転および第2のエスカレーター1Bの運転のそれぞれが通常運転である場合には、第1のエスカレーター1Aの運転は下降運転であり、第2のエスカレーター1Bの運転は上昇運転となっている。第1のエスカレーター1Aの保守点検が行われるために第1のエスカレーター1Aの運転が停止される場合には、第2のエスカレーター1Bの運転は、上昇運転のままとなる。一方、第2のエスカレーター1Bの保守点検が行われるために第2のエスカレーター1Bの運転が停止される場合には、第1のエスカレーター1Aの運転は上昇運転となる。したがって、第1のエスカレーター1Aの運転は、下降運転と上昇運転との間で切り替えられる。
【0014】
図1では、第1のエスカレーター1Aの運転は、上昇運転となっている。したがって、第1のエスカレーター1Aの下階側乗降口12において踏段に乗った利用者は、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11に移動する。
【0015】
図2では、第2のエスカレーター1Bの運転は、停止されている。第2のエスカレーター1Bの運転が停止されることによって、第2のエスカレーター1Bの保守点検が可能となる。第2のエスカレーター1Bにおける上階側乗降口11および下階側乗降口12のそれぞれには、安全柵4が設けられている。第2のエスカレーター1Bの上階側乗降口11および下階側乗降口12のそれぞれに安全柵4が設けられることによって、第2のエスカレーター1Bの上階側乗降口11および下階側乗降口12への利用者の進入が防止される。
【0016】
上方から見た場合に、エスカレーター1の乗降口への進入であって、往路側において移動する踏段の踏面の移動方向に対して反対の方向の進入を逆進入とする。具体的には、エスカレーター1が上昇運転する場合に、上階側階床2からエスカレーター1の上階側乗降口11に利用者が進入することを逆進入とする。また、エスカレーター1が下降運転する場合に、下階側階床3からエスカレーター1の下階側乗降口12に利用者が進入することを逆進入とする。
【0017】
第2のエスカレーター1Bの運転が停止され、第1のエスカレーター1Aの運転が上昇運転である場合には、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11には、利用者が逆進入する可能性がある。実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置5は、利用者が第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11に逆進入する場合に、逆進入する利用者を検出し、逆進入する利用者に対して警告を行う。
【0018】
図3は、
図1の第1のエスカレーター1Aの一部と上階側階床2に設けられているエスカレーターの逆進入防止装置5の一部を示す平面図である。
図4は、実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置5を示すブロック図である。実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置5は、圧力検出マット51と、逆進入判定装置52と、警告装置53と、を備えている。
【0019】
圧力検出マット51は、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11に隣り合う上階側階床2の上面に設けられている。利用者は、圧力検出マット51の上を移動する。利用者が圧力検出マット51の上を移動することによって、圧力検出マット51は、利用者に踏まれる。圧力検出マット51が利用者に踏まれることによって、圧力検出マット51は、圧力検出マット51に作用する圧力を検出する。圧力検出マット51の検出結果は、逆進入判定装置52に入力される。
【0020】
逆進入判定装置52は、圧力検出マット51が利用者に踏まれた場合に、圧力検出マット51の検出結果を用いて、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11への利用者の逆進入の有無を判定する。
【0021】
警告装置53は、図示しないフックを有している。警告装置53は、フックが安全柵4に掛けられることによって、安全柵4に取り付けられている。警告装置53は、逆進入判定装置52の判定結果に基づいて、警告する。警告装置53は、スピーカを有している。警告装置53は、音声によって、上階側乗降口11に逆進入する利用者に対して、利用者が上階側乗降口11に逆進入していることを警告する。
【0022】
次に、逆進入判定装置52による利用者の逆進入の有無の判定方法について説明する。利用者が圧力検出マット51の上を移動する方向に関して、上方から見た場合に、往路側において移動する踏段の踏面の移動方向と同一の方向を順方向とし、往路側において移動する踏段の踏面の移動方向に対して反対の方向を逆方向とする。
【0023】
図5は、
図3の圧力検出マット51の上を利用者が順方向に移動する場合に圧力検出マット51が検出する圧力の変化を示す図である。
図6は、
図5の圧力検出マット51の上を利用者が逆方向に移動する場合に圧力検出マット51が検出する圧力の変化を示す図である。
図5および
図6のそれぞれにおいて、右側を向く方向が順方向D1であり、左側を向く方向が逆方向D2である。
図5および
図6には、利用者の足6が示されている。
図5および
図6では、第1のエスカレーター1Aの運転が上昇運転となっている。言い換えれば、
図5および
図6では、第1のエスカレーター1Aは、往路側において移動する踏段の踏面が圧力検出マット51に近づく方向に移動する運転が行われている。
【0024】
圧力検出マット51の検出領域は、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11の奥行方向Aについて、上階側乗降口11側の領域である第1領域511と、上階側乗降口11とは反対側の領域である第2領域512と、に区分けされている。この例では、奥行方向Aとは、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11の奥行方向Aとする。
【0025】
利用者が圧力検出マット51の上を順方向に移動する場合には、利用者は、第2領域512よりも先に第1領域511を踏む。逆進入判定装置52は、
図5に示すように、第1のエスカレーター1Aの運転が上昇運転である場合であって、第2領域512よりも先に第1領域511が利用者に踏まれた場合に、利用者が上階側乗降口11に逆進入していないと判定する。
【0026】
利用者が圧力検出マット51の上を逆方向に移動する場合には、利用者は、第1領域511よりも先に第2領域512を踏む。逆進入判定装置52は、
図6に示すように、第1のエスカレーター1Aの運転が上昇運転である場合であって、第1領域511よりも先に第2領域512が利用者に踏まれた場合に、利用者が上階側乗降口11に逆進入していると判定する。
【0027】
以上説明したように、実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置5は、圧力検出マット51と、逆進入判定装置52と、を備えている。圧力検出マット51は、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11に隣り合う上階側階床2の上面に設けられている。逆進入判定装置52は、圧力検出マット51が利用者に踏まれた場合に、圧力検出マット51の検出結果を用いて、上階側乗降口11への利用者の逆進入の有無を判定する。この構成によれば、利用者が上階側乗降口11に逆進入する場合に、上階側乗降口11への利用者の逆進入を検出することができる。
【0028】
また、実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置5では、圧力検出マット51の検出領域は、奥行方向Aについて、上階側乗降口11側の領域である第1領域511と、上階側乗降口11とは反対側の領域である第2領域512と、に区分けされている。逆進入判定装置52は、第1のエスカレーター1Aの運転が上昇運転である場合であって、第1領域511よりも先に第2領域512が利用者に踏まれた場合に、利用者が上階側乗降口11へ逆進入していると判定する。この構成によれば、簡単な構成で、上階側乗降口11に対して利用者が逆進入していることを検出することができる。
【0029】
また、実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置5は、警告装置53を備えている。警告装置53は、逆進入判定装置52の判定結果に基づいて、上階側乗降口11に逆進入する利用者に対して警告する。この構成によれば、利用者が上階側乗降口11に逆進入する場合に、上階側乗降口11に逆進入する利用者に対して警告することができる。その結果、利用者が上階側乗降口11に逆進入することを抑制することができる。
【0030】
また、実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置5では、圧力検出マット51は、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11に隣り合う上階側階床2の上面に設けられている。第2のエスカレーター1Bの上階側乗降口11に隣り合う上階側階床2には、安全柵4が設けられている。警告装置53は、安全柵4に設けられている。この構成によれば、利用者が第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11に逆進入する場合に、第1のエスカレーター1Aの上階側乗降口11に逆進入する利用者に対してより効果的に警告することができる。
【0031】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係るエスカレーターの逆進入防止装置における圧力検出マットの上を利用者が順方向に移動する場合に圧力検出マットが検出する圧力の変化を示す図である。
図8は、
図7の圧力検出マットの上を利用者が逆方向に移動する場合に圧力検出マットが検出する圧力の変化を示す図である。
図7および
図8のそれぞれにおいて、右側を向く方向が順方向D1であり、左側を向く方向が逆方向D2である。
図7および
図8には、利用者の足6が示されている。
図7および
図8では、第1のエスカレーター1Aの運転が上昇運転となっている。言い換えれば、
図7および
図8では、第1のエスカレーター1Aは、往路側において移動する踏段の踏面が圧力検出マット51に近づく方向に移動する運転が行われている。
【0032】
実施の形態2に係るエスカレーターの逆進入防止装置5は、逆進入判定装置52による利用者の逆進入の有無の判定方法において、実施の形態1に係るエスカレーターの逆進入防止装置5と異なる。
【0033】
利用者の足6が圧力検出マット51を踏み始めてから離れるまでの時間を接触時間とする。逆進入判定装置52は、接触時間に、利用者の足6によって圧力検出マット51に作用する圧力の中心Cの位置を測定する。
【0034】
利用者が圧力検出マット51の上を順方向に移動する場合には、接触時間に、利用者の足6によって圧力検出マット51に作用する圧力の中心Cが奥行方向Aに上階側乗降口11から離れるように移動する。逆進入判定装置52は、
図7に示すように、第1のエスカレーター1Aの運転が上昇運転である場合であって、接触時間に、中心Cが奥行方向Aについて上階側乗降口11から離れるように移動する場合に、利用者が逆進入していないと判定する。
【0035】
利用者が圧力検出マット51の上を逆方向に移動する場合には、接触時間に、利用者の足6によって圧力検出マット51に作用する圧力の中心Cが奥行方向Aに上階側乗降口11に近づくように移動する。逆進入判定装置52は、
図8に示すように、第1のエスカレーター1Aの運転が上昇運転である場合であって、接触時間に、中心Cが奥行方向Aについて上階側乗降口11に近づくように移動する場合に、利用者が逆進入していると判定する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0036】
以上説明したように、実施の形態2に係るエスカレーターの逆進入防止装置5では、逆進入判定装置52は、接触時間に、利用者の足6によって圧力検出マット51に作用する圧力の中心Cの位置を測定する。逆進入判定装置52は、第1のエスカレーター1Aの運転が上昇運転である場合であって、接触時間に、中心Cが奥行方向Aについて上階側乗降口11に近づくように移動する場合に、利用者が上階側乗降口11に逆進入していると判定する。この構成によれば、簡単な構成で、上階側乗降口11に対して利用者が逆進入していることを検出することができる。
【0037】
なお、各実施の形態では、乗客コンベヤとして、エスカレーターを例に説明したが、エスカレーターに限らず、例えば、動く歩道であってもよい。動く歩道における利用者を乗せる部分がベルトである場合には、ベルトが往路側および帰路側を含む移動経路を循環移動する。上方から見た場合に、動く歩道の乗降口への進入であって、往路側において移動するベルトの踏面の移動方向に対して反対の方向の進入を逆進入とする。
【0038】
また、各実施の形態では、エスカレーター1の上階側階床2に圧力検出マット51が設けられ、利用者が上階側乗降口11に逆進入する場合に、上階側乗降口11への利用者の逆進入を検出するエスカレーターの逆進入防止装置5の構成について説明した。しかしながら、エスカレーター1の下階側階床3に圧力検出マット51が設けられ、利用者が下階側乗降口12に逆進入する場合に、下階側乗降口12への利用者の逆進入を検出するエスカレーターの逆進入防止装置5の構成であってもよい。この場合に、エスカレーター1は、下降運転を行う。
【0039】
また、各実施の形態では、警告装置53が安全柵4に設けられている構成について説明した。しかしながら、警告装置53は、圧力検出マット51に設けられてもよい。これにより、上階側階床2に安全柵4が設けられていない場合であっても、上階側乗降口11に逆進入する利用者に対して警告することができる。この場合には、警告装置53は、進入禁止のマークを表示して、利用者に警告する表示装置を有してもよい。これにより、警告装置53は、表示装置による表示によって、上階側乗降口11に逆進入する利用者に対して、利用者が上階側乗降口11に逆進入していることを警告することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 エスカレーター、1A 第1のエスカレーター、1B 第2のエスカレーター、2 上階側階床、3 下階側階床、4 安全柵、5 エスカレーターの逆進入防止装置、6 足、11 上階側乗降口、12 下階側乗降口、51 圧力検出マット、52 逆進入判定装置、53 警告装置、511 第1領域、512 第2領域。