(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145966
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】複数片の調節式眼内レンズ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129327
(22)【出願日】2022-08-15
(62)【分割の表示】P 2021129578の分割
【原出願日】2016-11-15
(31)【優先権主張番号】62/300,695
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/331,407
(32)【優先日】2016-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/257,087
(32)【優先日】2015-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/362,896
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/344,691
(32)【優先日】2016-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/334,998
(32)【優先日】2016-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/331,946
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ アルジェント
(72)【発明者】
【氏名】トム ソール
(57)【要約】
【課題】複数片の調節式眼内レンズの提供。
【解決手段】患者の眼の水晶体嚢内に移植する調節式眼内レンズ(AIOL)は、互いに連結された第1および第2の構成要素を備え、内部流体チャンバと外部流体貯蔵部とを画定する。AIOLの内部領域は、内部流体チャンバ内で形状化された流体、または第1もしくは第2の構成要素の形状のうちの1つ以上によって光学度数をもたらす。流体貯蔵部は、眼の光学軸の周囲に円周方向に延在する折り畳みを有するベローズ領域を備える。ベローズは水晶体嚢に係合し、内部および外部ベローズ部分の間の適合性折り畳み領域は、眼が近見のために調節するとAIOLのプロファイルを偏向させることができる。流体が内部流体チャンバと外部流体所蔵部との間を移動し、光学度数変化をもたらす。第1または第2の構成要素に連結される第3のレンズ構成要素は、さらなる光学度数をもたらす。
【選択図】
図48
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年11月18日に出願された米国仮出願第62/257,087号、名称「MULTI-PIECE ACCOMMODATING IOL」[弁理士整理番号120974-8003US00]、2016年2月26日に出願された米国仮出願第62/300,695号、名称「MULTI-PIECE ACCOMMODATING IOL」[弁理士整理番号120974-8004US00]、2016年5月3日に出願された米国仮出願第62/331,407号、名称「AIOL DELIVERY
DEVICE」[弁理士整理番号120974-8006US00]、2016年5月4日に出願された米国仮出願第62/331,946号、名称「MULTI-PIECE
ACCOMMODATING IOL」[弁理士整理番号120974-8007US00]、2016年5月11日に出願された米国仮出願第62/334,998号、名称「AIOL DELIVERY DEVICE」[弁理士整理番号120974-8008US00]、2016年6月2日に出願された米国仮出願第62/344,691号、名称「MULTI-PIECE ACCOMMODATING IOL」[弁理士整理番号120974-8010US00]、2016年7月15日に出願された米国仮出願第62/362,896号、名称「MULTI-PIECE ACCOMMODATING
IOL」[弁理士整理番号120974-8011US00]の優先権を主張するものであり、これらの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医療デバイスおよび方法に関する。特に、本開示は、調節式眼内レンズ(以後、「AIOL」)に関する。
【背景技術】
【0003】
白内障は、世界成人集団の大部分に影響を与え得、本来の水晶体が混濁し、視力の喪失をもたらす。白内障に罹患する患者は、本来の水晶体を取り除き、人工眼内レンズ(IOL)を外科移植することにより治療され得る。
【0004】
世界的に、年に数百万のIOL移植手技が実施される。米国では、350万の白内障手技が実施されるが、世界的には、年に2000万を超える手技が実施される。
【0005】
IOL移植は、視力の回復に有効であり得るが、従来のIOLは、少なくともいくつかの場合において、あまり理想的な結果をもたらさない。従来の多くのIOLは、本来の水晶体のように焦点を変化させる(調節として知られる)ことができない。また、従来のIOLを与えられた眼は、移植後、少なくともある程度の屈折誤差を有し得る場合があるため、遠見視力に眼鏡が有用となる場合がある。従来のIOLは、良好な遠見をもたらすのに有効であり得るが、多くの場合において、患者は、中間および近見には眼鏡をかける必要がある。この欠点に対処する従来の多焦点IOLが提案されたが、従来の多焦点IOLは、あまり理想的ではない場合がある。多焦点IOLは、一般に、少なくともいくつかの場合において、読書および遠見には良好に機能するが、少なくともいくつかの場合においては、従来の多焦点IOLは、顕著なまぶしさ、暈、および視覚的乱れ(visual artifacts)を生じる場合がある。
【0006】
調節式IOL(AIOL)は、患者が物体を見る距離に応じて調節式光学度数をもたらすよう提案されてきたが、従来のAIOLは、少なくともいくつかの点であまり理想的ではない場合がある。例えば、従来のAIOLは、移植後にあまり理想的な調節量をもたらさない可能性があり、あまり理想的な眼の屈折補正をもたらさない場合がある。また、従来のAIOLの調節量は、少なくともいくつかの場合において、移植後に減少し得る。従来のAIOLの少なくともいくつかは、眼の切開を通って挿入される場合、理想よりもいくらか大きい可能性があり、理想よりもいくらか大きい切開を必要とする場合がある。また、実施形態に関連する研究は、少なくともいくつかの場合において、従来のAIOLの少なくともいくつかが、眼に設置されると理想よりもあまり安定していない場合があることを示唆する。
【0007】
上記の欠点の少なくともいくつかを克服する、眼の自然な焦点調節応答によって調節をする、改善された移植可能な眼内レンズが望ましいであろう。理想的には、そのような改善されたAIOLは、移植されると調節量の増加をもたらし、屈折の安定性をもたらし、もし知覚可能な視覚の乱れがある場合はそれをほとんど取り込まず、患者が見る物体の距離に応じて、眼の光学度数が遠見から近見に変化することを可能にするだろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態は、改善されたAIOL方法および装置を提供する。多くの実施形態では、AIOLは、内部流体貯蔵部と、内部流体貯蔵部の周囲で連続して配置される外部流体貯蔵部とを備える。AIOLの内部領域は、内部流体貯蔵部を含み、光学度数をもたらす。外部流体貯蔵部は、水晶体嚢に流体的に連結されるベローズ領域を備え得る。AIOLは、1つ以上の方法で光学度数の調節をもたらす。ベローズ領域の適合性(complaint)折り畳み領域は、眼が近見に調節されるとき、AIOLの内部領域のプロファイルが偏向することを可能にすることができる。ベローズ領域は、眼が調節されると光学度数変化をもたらすように、流体が内部流体チャンバと外部流体貯蔵部との間を移動することを可能にする。内部流体チャンバの外縁において、支柱または突起等の複数の突出部が、第1および第2のレンズ構成要素間に所定量の分離をもたらし得、内部流体チャンバと外部流体貯蔵部との間に1つ以上の流体チャネルを画定し得る。ベローズは、多くの方法で構成することができるが、多くの実施形態では、ベローズは、レンズの光学軸の周囲で連続してかつ円周方向に延在し、ベローズの対向する側の1つ以上の折り畳みは、光学軸と同様の方向において互いに向かって延在する。ベローズの折り畳みは、実質的に光学軸の周囲で連続してかつ円周方向に延在し得、例えば、光学軸の周囲で360度延在することができる。
【0009】
本開示の態様は、対象の水晶体嚢内に設置するための調節式眼内レンズを提供する。調節式眼内レンズは、第1のレンズ領域および第1のベローズ領域を有する第1の構成要素と、第2のレンズ領域および第2のベローズ領域を有する第2の構成要素であって、第1の構成要素に連結される第2の構成要素と、を備え得る。流体チャンバは、第1のレンズ領域と第2のレンズ領域との間に形成され得る。流体貯蔵部は、第1のベローズ領域と第2のベローズ領域との間に形成され得、ここで、流体貯蔵部は、水晶体嚢の形状変化に応じて、流体チャンバと流体貯蔵部との間で流体を移動させるように流体チャンバと流体連通し、調節式眼内レンズに光学度数変化をもたらす。
【0010】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素は、接合部において、第2のレンズ構成要素に接着される。突起は、第1の構成要素または第2のレンズ構成要素のうちの1つ以上の内面上に位置し、第1の構成要素と第2の構成要素との間に間隙をもたらすことができる。第1のレンズ構成要素は、第1のレンズ構成要素および第2のレンズ構成要素の周囲に円周方向に延在する接合部において、第2のレンズ構成要素に接着することができる。
【0011】
第1のベローズ領域は、第1のレンズ領域の周囲に円周方向に連続して延在することができ、第2のベローズ領域は、第2のレンズ領域の周囲に円周方向に連続して延在することができる。
【0012】
第1のベローズ領域は、第1のレンズ領域の光学軸の周囲に円周方向に連続して延在する1つ以上の折り畳みを備え得、第2のベローズ領域は、第2のレンズ領域の光学軸の周囲に円周方向に連続して延在する1つ以上の折り畳みを備え得る。
【0013】
第1のベローズ領域は、第1のレンズ領域の周囲に内向きに、かつ円周方向に連続して延在する、第1の1つ以上の折り畳みを備え得、第2のベローズ領域は、第2のレンズ領域の周囲に内向きにかつ円周方向に連続して延在する、第2の1つ以上の折り畳みを備え得、第1の1つ以上の折り畳みおよび第2の1つ以上の折り畳みは、互いに向かって延在する。
【0014】
第1の構成要素は、第1のレンズ領域と第1のベローズ領域との間に円周方向に延在する、第1の環状に形状化された剛性の連結構造を備え、第1のベローズ領域の半径方向の移動に伴う、第1のレンズ領域の半径方向の移動を抑止し得る。第2の構成要素は、第2のレンズ領域と第2のベローズ領域との間に円周方向に延在する、第2の環状に形状化された剛性の連結構造を備え、第2のベローズ領域の半径方向の移動に伴う、第2のレンズ領域の半径方向の移動を抑止し得る。第1の環状に形状化された構造は、第1のベローズ領域の第1の厚さよりも大きい第1の半径方向の厚さを備え得、第2の環状に形状化された構造は、第2のベローズ領域の第2の厚さよりも大きい第2の半径方向の厚さを備え得る。
【0015】
第1のレンズ領域は前方レンズ領域を備え得、第2のレンズ領域は後方レンズ構成要素を備え得る。第1のレンズ領域は第1の平面部材を備え得、第2のレンズ領域は第2の平面部材を備え得る。第1または第2の構成要素のうちの1つ以上は、非平面シェル等、シェルを備え得る。第1または第2の構成要素のうちの一方が平面部材を備え得、第1または第2の構成要素のうちの他方が光学度数をもたらすように形状化された平凸部材を備え得る。
【0016】
流体チャンバ内の流体は、光学度数をもたらすように流体チャンバを形状化し得る。調節式眼内レンズの光学度数変化は、流体チャンバ内の流体の形状によってもたらされる光学度数の変化を含み得る。流体チャンバ内の流体の形状によってもたらされる光学度数の変化は、流体チャンバの形状の変化を含み得る。調節式眼内レンズの光学度数変化は、第1のレンズ領域と第2のレンズ領域との間の分離距離の変化を含み得る。
【0017】
第1および第2のレンズ領域の縁部の外縁にあり、かつベローズ領域から半径方向に内向きにある突出部は、重なり合い得、かつ互いと結合され得る。
【0018】
流体貯蔵部は、内部および外部ベローズ間の適合性折り畳み領域を備え得る。適合性領域は、内部および外部ベローズよりも薄くてもよい。レンズチャンバは、流体貯蔵部の適合性折り畳み領域の偏向に応じて、偏向可能であり得る。適合性領域は、それぞれ折り畳み領域に対して半径方向に内向きおよび半径方向に外向きに位置する、内部および外部ベローズ部分よりも薄くてもよい。
【0019】
調節式眼内レンズは、第1および第2のレンズ構成要素のうちの1つ以上に連結される、突起および支柱のうちの1つ以上等の複数の突出部をさらに備え得、第1および第2のレンズ構成要素は、互いから分離され得る。複数の突出部は、第1および第2のレンズ構成要素の内側部分の外縁部に沿って配置され得る。複数の突出部は、流体チャンバと流体貯蔵部との間の複数の流体チャネルを画定し得、各流体チャネルは支柱または突起等の2つの隣接する突出部の間で画定され得る。
【0020】
突出部は、ベローズ領域とレンズ領域との間に位置し、第1のレンズ構成要素を第2のレンズ構成要素に接続することができる。突出部は、第1のレンズ構成要素または第2のレンズ構成要素のうちの1つ以上の、1つ以上の剛性の連結構造上に位置し、第1の構成要素と第2の構成要素との間に間隙を提供し、かつ突出部の周囲、およびチャンバと貯蔵部との間に延在する複数のチャネルを画定して、貯蔵部をチャンバに流体的に連結させることができる。
【0021】
多くの実施形態では、流体貯蔵部は、内部ベローズ領域と外部ベローズ領域との間に適合性折り畳み領域を備え、適合性領域は内部および外部ベローズよりも薄い。
【0022】
多くの実施形態では、複数の突出部は、第1または第2の構成要素に連結され、第1および第2のレンズ構成要素を互いから分離する。複数の突出部は、ベローズ領域とレンズ領域との間に配置することができ、複数の突出部は、流体チャンバと流体貯蔵部との間の複数の流体チャネルを画定することができ、複数の流体チャネルの各々は2つの隣接する支柱の間に画定される。
【0023】
第1または第2のレンズ構成要素のうちの1つ以上は、PMMAコポリマー等のポリマー材を含み得る。ポリマー材は、透水性でもよい。ポリマー材は、親水性でもよい。対象の水晶体嚢内の水分は、調節式眼内レンズが水晶体嚢内に設置されると浸透平衡を達成するように、ポリマー材を通じて、流体チャンバまたは流体貯蔵部のうちの1つ以上の中へ、またはそれから外へ移動し得る。ポリマー材は、例えば、40kDa超の分子量を有する化合物に不透過性であってもよい。調節式眼内レンズはさらに、流体チャンバ内に流体を含み得る。流体は、溶液、油、シリコーン油、デキストランの溶液、高分子量デキストランの溶液、または別の高分子量化合物の溶液のうちの1つ以上を備え得る。
【0024】
多くの実施形態では、流体貯蔵部は、流体チャンバの外縁の周囲に配置される、連続したバッフル構造を備える。連続した構造は、環状、楕円状、または回転対称形状のうちの1つ以上を備え得る。
【0025】
多くの実施形態では、第1および第2の構成要素は、断面が低減された送達構成に折り畳まれるのに十分に可撓性がある。断面が低減された送達構成は、調節式眼内レンズの光学軸に対して横断方向である送達軸の周囲に、眼内レンズの折り畳みまたはロールのうちの1つ以上を備える。調節式眼内レンズは、送達管または開口を備え得、断面が低減された送達構成は、送達管または開口の中へ前進する眼内レンズを備える。
【0026】
多くの実施形態では、流体貯蔵部は、水晶体嚢に係合する触覚構造を備える。
【0027】
多くの実施形態では、流体チャンバ内の流体は、約1.336の眼の房水の屈折率よりも大きい屈折率を有する。
【0028】
多くの実施形態では、第1または第2のレンズ領域は、光学度数をもたらさない。
【0029】
多くの実施形態では、流体チャンバ内の流体は、光学度数をもたらす。
【0030】
多くの実施形態では、第1および第2のレンズ構成要素が互いに結合される。
【0031】
多くの実施形態では、第1および第2のレンズ構成要素は、ポリマー材を含み、第1および第2のレンズ構成要素はポリマー材のプレポリマーと結合される。
【0032】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素または第2のレンズ構成要素のうちの1つ以上が、3次元(3D)印刷等によって直接作製されている。
【0033】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素および第2のレンズ構成要素は、一緒に直接作製されており、単一の片を成す。
【0034】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素および第2のレンズ構成要素は、別個に成形され、一緒に結合されている。
【0035】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素および第2のレンズ構成要素は、別個に旋盤加工され、一緒に結合されている。
【0036】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素および第2のレンズ構成要素が、第1の構成要素と第2の構成要素との間に延在する突出部において一緒に結合される。
【0037】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素は、第1の作製された部品を備え、第2のレンズ構成要素は、第2の作製された部品を備える。
【0038】
本開示の態様は、対象の眼に調節をもたらす方法を提供する。水晶体嚢からの様々な圧縮力が、眼の水晶体嚢内に設置される調節式眼内レンズの外部流体貯蔵部によって受容され得る。受容された様々な圧縮力に応じて、流体が調節式眼内レンズの内部流体チャンバと外部流体貯蔵部のベローズ領域との間で付勢され、そのベローズ領域は眼内レンズの光学軸の周囲に円周方向に連続して延在する折り畳みを備える。内部流体チャンバのサイズまたは形状のうちの1つ以上は、内部流体チャンバの中または外へ付勢された流体に応じて変化され、調節式眼内レンズの光学度数を変化させることができる。
【0039】
多くの実施形態では、内部および外部ベローズ領域は、互いと、かつ内部流体チャンバと流体連通している。ベローズ領域のうちの1つ以上は、形状において環状、楕円状、または回転対称であり得る。
【0040】
多くの実施形態では、流体貯蔵部は、水晶体嚢に係合する触覚構造を備える。
【0041】
多くの実施形態では、内部流体チャンバのサイズまたは形状のうちの1つ以上を変化させることは、第1および第2のレンズ領域の部分間の分離距離を変化させることを含む。
【0042】
多くの実施形態では、内部流体チャンバのサイズまたは形状のうちの1つ以上を変化させることは、内部流体チャンバを画定する、第1または第2のレンズ領域のうちの1つ以上の曲率半径を変化させることを含む。
【0043】
多くの実施形態では、調節式眼内レンズは、内部流体チャンバを画定する第1および第2のレンズ領域を備え、第1または第2のレンズ領域のうちの1つ以上は、調節式眼内レンズに最低限の光学度数をもたらすように形状化された平凸部材を備える。
【0044】
多くの実施形態では、内部流体チャンバはその中に流体を備え、内部流体チャンバは、流体が調節式眼内レンズに光学度数をもたらすように、流体をある形状にする。
【0045】
多くの実施形態では、様々な圧縮力を増加させることにより、流体を内部流体チャンバ内へ付勢する。
【0046】
本開示の実施形態は、改善されたAIOL方法および装置を提供する。多くの実施形態では、AIOLは、剛性部材と、触覚構造に連結された偏向可能部材とを備える光学構造を備え、剛性部材および偏向可能部材はAIOLのチャンバを実質的に画定する。AIOLのチャンバは、眼の房水より大きい屈折率を有する流体を含むため、偏向可能部材は、調節可能な光学度数を有する流体レンズとするために、チャンバ流体の凸状に湾曲した表面を画定する。偏向可能部材および剛性部材は、眼が近見に調節されるとき、偏向可能部材および流体レンズのプロファイルを凸状に湾曲したプロファイルに偏向するように触覚構造に連結され得る。多くの実施形態では、水晶体嚢が内向きに移動して眼が近見に調節されると、触覚構造は、偏向可能部材に内向きの力をもたらすように剛性部材に対して回転する。触覚構造は、水晶体嚢を受容するように形状化された、湾曲した水晶体嚢係合部分を備え得る。触覚構造は、第1の領域で剛性部材に、および第1の領域と嚢係合部分との間の第2の領域で偏向可能部材に連結され得るため、変形可能部材の外側部分に増加した量の内向きの力を与えるよう、水晶体嚢の力がてこ作用により増加され得る。多くの実施形態では、偏向可能部材は、偏向可能部材の外側部分の内向きの移動を増幅するように構成されるため、眼が調節されると、周辺部分の外側部分が内向きに移動するよりも多く、偏向可能部材の内側部分が剛性部材から離れて移動する。この偏向可能部材の内側部分の移動の増幅および触覚部の嚢の力のてこ作用と連結した曲率の対応する増加は、改善されたAIOLの調節をもたらすことができる。
【0047】
多くの実施形態では、剛性部材、偏向可能部材、および回転触覚部の配置は、内向きの力によって偏向可能部材を偏向させることができるため、量を減少させた流体がAIOLに使用され、切開のサイズが減少し得る。多くの実施形態では、剛性部材、偏向可能部材、および回転触覚部の配置は、レンズチャンバの流体圧のない、内向きの力により偏向可能部材を偏向することができ、少なくともいくつかの実施形態では、この配置は、チャンバの負圧によって偏向可能部材に凸状曲率をもたらすことができる。多くの実施形態では、偏向可能部材および剛性部材により少なくとも部分的に画定されたチャンバは、偏向可能部材の外側部分の下のチャンバの外側部分から流体を受容するため、AIOLに含まれる流体の量および挿入プロファイルを減少し得る。
【0048】
光学構造は、多くの方法のうちの1つ以上で調節量の増加をもたらすように構成され得る。偏向可能部材は、内部光学補正部分と外部延長部分とを備え、内部光学部分と触覚部との間に曲率遷移をもたらし得る。反対に湾曲した外側部分は、内側部分内に光学度数変化を集中させるために、光学補正部分の直径を減少させることができる。眼が近見に調節されると、内側部分は、チャンバの流体によって光学度数をもたらす外部の凸状に湾曲した表面を備え、延長部は、内側部分の曲率とは反対である凹状曲率を備える。反対に湾曲した延長部は内部光学区域のサイズを減少させ得るため、偏向可能部材にもたらされた光学度数および曲率が増加する。偏向可能部材の内側部分の外面は、遠見のために、凸状に湾曲するか、凹状に湾曲するか、または実質的に平坦であってよく、近見のために調節構成に偏向されると、より正の曲率を備える。外側部分の外面は、遠見のために凹状に湾曲するか、または実質的に平坦となり得、近見のために調節構成に偏向されると、より負の曲率を備える。偏向可能部材の内部および外側部分の内面は、同様に湾曲され得る。多くの実施形態では、偏向可能部材は、実質的に均一の厚さを有する。代替的に、外側部分は、内側部分に対して減少した厚さを備え得、内向きの力が触覚部により適用されると、内側部分の凸状曲率を容易にする凹状プロファイルを有する外面を備え得る。外側部分は、内側部分が凸状曲率を有し、外側部分が凹状曲率を有するとき、外側部分の少なくとも一部分が収差を抑止するために瞳孔で覆われるよう、定寸され得る。
【0049】
多くの実施形態では、剛性部材は、患者の遠見を治療するように構成された光学度数を有する平凸状レンズ等のレンズを備える。眼が調節されると、偏向可能部分が近見のためにさらなる光学度数をもたらす。多くの実施形態では、剛性部材のレンズの直径が偏向可能部材の内側部分の直径に一致するため、眼に挿入されるときにAIOLの厚さプロファイルを減少させるよう、剛性部材のレンズの直径が偏向可能部材の外側部分よりも小さく定寸される。
【0050】
多くの実施形態では、調節式IOLは、第1のレンズ構成要素と、第2のレンズ構成要素とを備え、各々がポリマーおよびポリマーを含む接着剤から構成される。代替的に、または組み合わせて、第1の構成要素は、咬合継手、ネジ、取り付け具、または留め具などの機械的連結により第2の構成要素に固定され得る。多くの実施形態では、ポリマーは水和され、水和により膨張し得るため、第1の構成要素、第2の構成要素、および接着剤が一緒に(例えば、同時に、または実質的に類似する速度で)膨張する。一緒に膨張することによって、第1の構成要素、第2の構成要素、および接着剤の間の応力が、実質的に抑止され得る。また、水和可能な接着剤は、構成要素を一緒に接着する前に、第1および第2の構成要素が剛性の、完全に水和されない構成で機械加工されることを可能にする。剛性構成は、実質的に乾燥したポリマーなど、完全に水和されないポリマーを含み得る。構成要素は、製造中の取り扱いを容易にするために、実質的に剛性構成で一緒に結合され、接着剤で結合された構成要素が、眼に挿入するために柔軟な、水和された構成を備えるように、実質的に水和され得る。ポリマーを含む接着剤は、強度を増加させるために、ポリマー材自体に類似する化学結合で、第1および第2のレンズ構成要素を一緒に結合することができる。
【0051】
ある態様では、眼内レンズは、光学度数を有する光学構造と触覚構造とを備える。光学構造は、偏向可能部材と、剛性部材と、剛性部材および偏向可能部材により少なくとも部分的に画定される流体チャンバとを備える。触覚構造は、眼の嚢と係合する外部構造と、偏向可能部材に連結された内部構造とを有し、触覚構造が剛性部材に対して回転すると、偏向可能部材の曲率を増加させる。
【0052】
多くの実施形態では、偏向可能部材は第1のプロファイルから第2のプロファイルに偏向され、第2のプロファイルが第1のプロファイルよりも湾曲する。チャンバは1.33超の屈折率を有する流体を備えるため、チャンバは、偏向可能部材が第1の構成にある場合は第1の量の光学度数を有し、偏向可能部材が第2の構成にある場合は第2の量の光学度数を有し、第2の量の光学度数は第1の量より大きい。
【0053】
多くの実施形態では、偏向可能構造は、内部光学部分と、外部延長部分とを備える。光学度数を増加させるため、増加した曲率で内部光学部分が剛性部材から離れて移動し、逆の曲率で外部延長部が剛性部材に向かって移動するように、剛性部材、触覚部、および偏向可能部材が配置され得る。内部光学部分が剛性部材から離れて移動し、外部延長部分が剛性部材に向かって移動することにより、外部延長部分の下のチャンバの外側部分から、内部光学部分の下のチャンバの内側部分に流体を伝達させることができるため、流体の移動が低減され、AIOLの流体の容積を低減し得る。
【0054】
多くの実施形態では、触覚構造の外周を通過して延在する軸の周囲で回転が生じる。眼内レンズが眼に設置されるとき、触覚構造の外周は、例えば、眼の光学軸を横断する平面にあってよい。
【0055】
多くの実施形態では、触覚構造は、第1の位置で剛性部材に内部端部上で固定された片持ち触覚構造を備え得る。触覚部は、内部端部から外部端部までの距離を延在する長さを備え得る。触覚構造は厚さを有し、長さは厚さよりも大きくてよい。偏向可能部材は、分離距離だけ第1の位置から分離される第2の位置で触覚構造に連結され得る。触覚構造が剛性部材に対して回転するときに偏向可能部材の内部光学部分を剛性部材から分離するために、長さは分離距離よりも長くてもよい。
【0056】
多くの実施形態では、剛性部材は、1つ以上の、凸状に湾曲した光学表面を備える。剛性部材は、剛性部材の外縁部付近に位置する薄い部分まで延在し得る。薄い部分は、触覚部が眼の構造の圧力に応じて回転するときに半径方向の力によって偏向可能部材を内向きに付勢するよう、触覚構造が回転する固定旋回構造を画定し得る。
【0057】
多くの実施形態では、偏向可能部材は、内部光学部分と、触覚構造に連結された外部弾性延長部とを備える。弾性延長部は、偏向可能部材の内部領域の厚さよりも薄い厚さを有し得る。弾性延長部は、弾性延長部が剛性部材から偏向可能部材の内部光学部分を分離したとき、内部光学領域の曲率とは反対の曲率を備え得る。剛性部材に対する触覚構造の回転に応じて、内部光学領域の球状偏向により剛性部材から離れて内部光学領域を付勢し、剛性部材に向かって延長部を付勢するよう、触覚構造の内縁部は変形可能部材の弾性延長部に半径方向の力を加え、内部光学領域の直径を低減させるか、または、弾性延長部および内部光学領域の曲率を、互いに対して反対方向に偏向する、のうちの1つ以上を行うことができる。
【0058】
多くの実施形態では、偏向可能部材の直径の減少は、触覚構造の回転に応じて、第1の直径から第1の直径より小さい第2の直径に移行することを含み、光学構造の光学度数を増加させるために、直径の減少によって内部光学部分を剛性部材から離れて球状に偏向させ、流体で充填されたチャンバの形状をより凸状に湾曲したプロファイルに変化させる。
【0059】
多くの実施形態では、流体で充填されたチャンバの、凸状に湾曲したプロファイルは、光学構造の光学度数を変化させるために、増加した容積を備える。流体は、増加した容積に応じて周辺貯蔵部からチャンバ内に引き込まれ得る。
【0060】
多くの実施形態では、触覚構造は、方向付けられた半径方向の力に応じて偏向可能部材の周辺部分を半径方向内向きに第1の距離だけ移動させ、変形可能部材の内部領域は、第1の移動に対して第2の移動を増幅させ、球状プロファイルを有する偏向可能部材を形状化するよう、触覚構造の回転に応じて、第1の距離よりも大きい第2の距離だけ剛性部材から離れて付勢され得る。偏向可能部材は、ひずみを抑止するために実質的に均一かつ一定した厚さを有し得る。
【0061】
本開示の別の態様において、患者の眼に調節をもたらす方法は、眼の水晶体嚢内に眼内レンズを設置することを含む。眼内レンズは、光学構造と、光学構造の外部領域で光学構造に連結される触覚構造とを有し得る。眼内レンズの光学構造の光学度数は、水晶体嚢の内向きの力に応じて、外部領域において触覚構造を回転させることによって変化され得る。
【0062】
多くの実施形態では、触覚構造は、触覚構造の外周を通過して延在する軸の周囲を回転する。眼内レンズが眼に設置されると、触覚構造の外周は、例えば、眼の光学軸を横断する平面にあってよい。多くの実施形態では、本方法は、触覚構造の回転に応じて、触覚構造の外縁部に対して光学構造の少なくとも一部分を前方に並進させることをさらに含み得る。光学構造の少なくとも一部分を並進させることにより、眼の光学度数を変化させ得る。
【0063】
多くの実施形態では、光学構造の少なくとも一部分は、触覚構造の内縁部に連結された外部領域と、内部領域と、触覚構造と内部領域との間の旋回領域とを備える偏向可能なプロファイル部材を備え得る。触覚構造の内縁部は、偏向可能部材の外部領域に内向きの力を加え、その直径を減少させるか、または、旋回領域で外部および内部領域を互いに対して旋回させ、触覚構造の回転に応じて剛性部材から離れて内部領域を偏向させて触覚力(haptic power)を変化させることのうちの1つ以上を行うことができる。偏向可能部材の直径を減少させること、および、偏向可能部材の外部および内部領域を互いに対して旋回させることにより、流体で充填されたチャンバの形状または容積のうちの1つ以上を変化させて、光学構造の光学度数を変化させることができる。触覚部の内縁部は、内縁部に方向付けられた半径方向の力に応じて、内縁部に対して第1の距離だけ移動することができ、偏向可能部材の内部領域は、触覚構造の回転に応じて、剛性部材から離れて第1の距離よりも大きい第2の距離だけ偏向され得る。
【0064】
本開示の別の態様では、眼内レンズが提供される。眼内レンズは、光学度数を有し、偏向可能部材と、剛性部材と、偏向可能部材と剛性部材との間に少なくとも部分的に画定される流体チャンバとを備える光学構造を備え得る。眼内レンズは、剛性部材の周辺領域に連結され、第1の外側要素と、第2の外側要素と、第1の外側要素と第2の外側要素との間に少なくとも部分的に画定される流体貯蔵部とを備える触覚構造を備え得る。流体貯蔵部は、1つ以上のチャネルを備える流体チャンバと流体連通していてもよい。触覚構造は、光学度数を変化させるため、周辺領域で回転するように構成され得、第2の外側要素は、第1の外側要素に向かって内向きに偏向し、水晶体嚢の内向きの力に応じて流体貯蔵部の容積を減少させるように構成され得る。多くの実施形態では、触覚構造は、触覚構造の外周を通って延在する軸の周囲を回転するように構成される。眼内レンズが眼に設置されるとき、触覚構造の外周は、例えば、眼の光学軸を横断する平面にあってよい。多くの実施形態では、第2の外側要素は、外部領域と、内部領域と、外部領域と内部領域との間の旋回領域を有し得る。第2の外側要素の外部および内部領域は、旋回領域で互いに対して旋回し、第1の外側要素に向かって第2の外側要素を偏向し得る。多くの実施形態では、流体チャンバの容積は、流体貯蔵部の容積の減少に応じて増加し、光学度数を変化させ得る。流体で充填されたチャンバの形状は、レンズ流体チャンバの容積の増加に応じて変化し、光学度数を変化させ得る。流体で充填されたチャンバの形状変化には、偏向可能部材の内部領域が剛性部材から離れて偏向すること、および、偏向可能部材の曲率半径が減少することが含まれ得る。多くの実施形態では、触覚構造の内縁部は、触覚構造の回転に応じて第1の距離を移動し得、偏向可能部材の内部領域は、第1の距離よりも大きい第2の距離だけ剛性部材から離れて偏向し、光学度数を変化させ得る。流体チャンバの形状変化は、剛性部材の幾何学構造を実質的に未偏向にとどめることができる。
【0065】
多くの実施形態では、偏向可能部材は、触覚構造の内縁部に連結された外部領域と、内部領域と、外部領域と内部領域との間の旋回領域とを備え得る。触覚構造の内縁部は、偏向可能部材の外部領域に内向きの力を加え、その直径を変化させるか、または、旋回領域で互いに対して外部および内部領域を旋回させて触覚構造の回転に応じて内部領域を剛性部材から離れて偏向させることのうちの1つ以上を行い、光学構造の光学度数を変化させることができる。偏向可能部材および剛性部材は、触覚構造で支持され、第1の方向とは反対の第2の方向の触覚構造の外部端部の回転に応じて第1の方向に一緒に並進することができる。偏向可能部材は、光学構造の後方部分に位置し、剛性部材は、眼の光学構造の前方部分に位置し得る。偏向可能部材は、触覚構造が水晶体嚢の内向きの力に応じて回転すると、剛性部材に対して後方に移動し、偏向可能部材の曲率を増加させ得る。偏向可能部材の曲率の増加、剛性部材に対して後方への偏向可能部材の偏向、ならびに剛性部材および偏向可能部材の前方への並進の各々によって眼の光学度数が増加するように、触覚構造は剛性部材および偏向可能部材を前方に一緒に並進させることができる。
【0066】
本開示のこの態様は、眼内レンズを提供し、提供された眼内レンズを使用することなどにより、患者の眼に調節を提供する方法も提供し得る。
【0067】
本開示の別の態様では、方法は、患者の眼に調節をもたらすために提供される。本方法は、眼の水晶体嚢内に眼内レンズを設置することを含み得る。眼内レンズの光学構造の周辺部分における眼内レンズの触覚構造は、水晶体嚢の内向きの力に応じて回転され得る。回転は、触覚構造の外周を通って延在する軸周りで生じ得る。光学構造の部材は、回転に応じて、より湾曲したプロファイルに偏向され、眼の光学度数を変化させ得る。光学構造の流体チャンバの形状および容積は、回転に応じて変化し、光学度数を変化させ得る。流体チャンバの形状および容積は、光学構造の前方または後方部材のうちの1つ以上を偏向することにより変化し、曲率半径を増加させ得る。光学構造は、回転に応じて触覚構造の外縁部に対して前方向に並進され、光学度数を変化させ得る。多くの実施形態では、そのような分離、偏向、および並進の組み合わせが組み合わされ、光学度数を変化させ得る。
【0068】
本開示のまた別の態様では、患者の眼に調節をもたらす方法が提供される。本方法は、眼の水晶体嚢内に眼内レンズを設置することを含み得る。眼内レンズは、光学構造と、光学構造の周辺領域に連結される触覚構造とを備え得る。眼内レンズの光学構造の光学度数は、周辺領域で眼内レンズの触覚構造を回転させることにより変化し、水晶体嚢の内向きの力に応じて触覚構造の流体貯蔵部の容積を減少させ得る。眼内レンズの触覚構造の回転は、触覚構造の外周を通って延在する軸の周囲で生じ得る。眼内レンズが眼に設置されると、触覚構造の外周は、例えば、眼の光学軸を横断する平面にあってよい。触覚構造の流体貯蔵部は、触覚構造の第1および第2の外側部材間で少なくとも部分的に画定され得る。流体貯蔵部の容積は、内向きの力に応じて、第1の外側部材に向かって内向きに第2の外側部材を偏向することにより減少させることができる。光学構造の光学度数を変化させることは、流体貯蔵部の容積の減少に応じて光学構造の流体チャンバの容積を増加させることをさらに含み得る。光学構造の光学度数を変化させることは、流体で充填されたチャンバの増加した容積に応じて流体で充填されたチャンバの形状を変化させることをさらに含み得る。
【0069】
多くの実施形態では、流体で充填されたチャンバの形状を変化させることは、光学構造の偏向可能部材の内部領域を剛性部材から離れて偏向させること、および、剛性部材に向かう偏向可能部材の曲率半径を減少させることを含む。流体で充填されたチャンバの形状は、偏向可能部材の内部領域および外部領域を剛性部材から離れて並進させることによってさらに変化され得る。触覚構造の内縁部は、触覚構造の回転に応じて第1の距離を移動し得る。偏向可能部材の内部領域は、第1の距離よりも大きい第2の距離だけ剛性部材から離れて偏向され、光学度数を変化させ得る。流体で充填されたチャンバの形状変化は、剛性部材の幾何学構造を実質的に未変形にとどめることができる。眼に設置されると、光学構造の偏向可能部材は光学構造の後方部分に位置し、剛性部材は光学構造の前方部分に位置し得る。光学構造の光学度数を変化させることは、触覚構造が水晶体嚢の内向きの力に応じて回転すると、偏向可能部材を剛性部材に対して前方に移動させて偏向可能部材の曲率を増加させ、眼の光学度数を増加させることを含み得る。剛性部材および偏向可能部材は、触覚構造と一緒に前方に並進され、眼の光学度数を増加させ得る。偏向可能部材の外周は、剛性部材の外周から離れて分離され、眼の光学度数を増加させ得る。多くの実施形態では、そのような偏向、並進、および分離が組み合わされて使用され、眼の光学度数を変化させ得る。
【0070】
本開示の別の態様では、眼内レンズは、後方部材と、前方部材と、後方および前方部材との間の流体で充填されたチャンバとを備える光学構造を備える。眼内レンズは、後方および前方部材の周辺領域を咬合する触覚構造を含み、流体で充填された触覚チャンバの中および外への流体の漏出を阻止し得る。多くの実施形態では、咬合領域は、流体の漏出を阻止するために流体密な封止部を備え得る。触覚構造は、1つ以上の雄部材を有する第1の側面と、1つ以上の雌部材を有する第2の側面とを有し得る。1つ以上の雄部材は、1つ以上の雌部材によって受容されることになる後方および前方部材の周辺領域を通過し、周辺領域を咬合し得る。後方および前方部材の周辺領域は、1つ以上の部材が通過する1つ以上の開口部を有し得る。後方または前方部材のうちの1つ以上の周辺領域は、触覚構造の1つ以上の雌部材によって受容されることになる1つ以上の雄部材を有し、周辺領域を咬合し得る。触覚構造による後方および前方部材の周辺領域の咬合は、眼内レンズが光学構造の光学度数を変化させるために変形されるか、または送達構成に折り畳まれる、もしくは丸められるか、のうちの1つ以上であるとき、維持され得る。
【0071】
本開示のまた別の態様では、眼内レンズが提供される。眼内レンズは、後方部材と、前方部材と、光学度数をもたらす後方と前方部材との間の流体で充填されたチャンバとを備える光学構造を備える。眼内レンズは、光学構造に連結された触覚構造を備え得る。流体で充填されたチャンバの形状または容積のうちの1つ以上は、触覚構造に加えられる半径方向の力に応じて変化するように構成され得る。流体で充填されたチャンバの形状または容積のうちの1つ以上の変化は、流体で充填されたチャンバの光学度数を変化させ得るが、後方および前方部材によって提供される光学度数は実質的に未変化にとどめる。
【0072】
本開示の別の態様では、患者の眼に調節をもたらす方法が提供される。本方法は、眼の水晶体嚢内に眼内レンズを設置することを含み得る。眼内レンズの流体で充填されたチャンバの形状または容積のうちの1つ以上が変化され、流体で充填されたチャンバの光学度数を変化させつつも、後方および前方部材によって提供される光学度数は実質的に未変化にとどめる。
【0073】
本開示のまた別の態様では、眼内レンズが提供される。眼内レンズは、眼に設置するための光学構造を備え得る。
【0074】
本開示の別の態様では、方法が提供される。本方法は、眼に光学構造を設置することを含み得る。
【0075】
多くの実施形態では、本明細書に記載される偏向可能な光学部材は、部材が偏向するときに光学収差を阻止するため、光学部材の厚さを実質的に維持しつつ偏向する利点を有する。
【0076】
本開示の態様は、患者の眼の水晶体嚢内に移植するための眼内レンズを提供する。眼内レンズは、光学構造と触覚構造とを備え得る。光学構造は、周辺部分を有し得、平面部材と、周辺部分で平面部材に連結される平凸部材と、平面部材と平凸部材との間に画定される流体光学要素とを備え得る。流体光学要素は、平面部材と平凸部材とを備える材料のいずれかまたは両方に類似する屈折率を有する流体を備え得る。触覚構造は、光学構造の周辺部分において、平面部材と平凸部材を連結し得る。触覚構造は、流体光学要素と流体連通にある流体貯蔵部と、水晶体嚢に接続するための周辺構造とを備え得る。水晶体嚢の形状を変化させることにより、平面部材の変形に対応した流体光学要素の容積または形状の変化のうちの1つ以上をもたらし、流体光学要素の光学度数を修正することができる。例えば、水晶体嚢の形状変化によって触覚構造に、平面状部材において機械的力を加えさせて、部材を変形させ、対応して流体光学要素の光学度数を修正することができる。そのような平面部材の変化は、一部の場合において、平面部材、平凸部材、またはその両方の光学度数に変化をもたらさない場合がある(すなわち、光学度数の変化は、単に、流体光学要素に対する形状または容積の変化のうちの1つ以上によってもたらされ、任意には、水晶体嚢内の眼内レンズの前方-後方位置に対する変化によってもたらされ得る)。
【0077】
触覚周辺構造は、触覚周辺構造に対する半径方向に方向付けられた力が流体光学要素の光学度数を修正するために平凸部材から離れて実質的平面部材を偏向し得るように、光学構造の実質的平面部材に固く連結され得る。平面部材は、平面部材の円形周辺部分に沿って構造に固定され得る。平凸部材から離れて平面部材が偏向することにより、球状光学補正をもたらすことができる。流体光学要素の光学度数の変化は、触覚構造の流体貯蔵部から流体光学要素の中または外への流体の移動への応答を含み得る。
【0078】
触覚流体貯蔵部に課される力は、触覚流体貯蔵部を変形させ、流体光学要素の光学度数を修正することができる。触覚流体貯蔵部に課される力は、触覚流体貯蔵部から流体光学要素の中または外に流体を移動させ、触覚流体貯蔵部を可逆的に変形させることができる。
【0079】
多くの実施形態では、流体光学要素に対する容積の変化は、触覚流体貯蔵部の流体によってもたらされる。多くの実施形態では、流体光学要素の中または外への流体移動は、平凸部材を未変形にとどめる。平凸部材は剛性部材を備え得、平面部材は偏向可能部材を備え得る。これらの実施形態では、流体光学要素は、眼内レンズの光学度数の大部分をもたらすことができる。流体光学要素内および触覚構造の流体貯蔵部内の流体は、1.33よりも大きいかまたは等しい屈折率を有し得る。
【0080】
流体光学要素および触覚構造の流体貯蔵部内の流体は、シリコーン油などの油、または高分子量デキストランなどの溶液を含み得る。流体は、好適な屈折率で提供され得る。高分子量デキストランは、1.33超の好適な屈折率、および眼の房水に類似する浸透圧で構成される。高分子量デキストランは、少なくとも40kDaの平均分子量を有し得、平均分子量は、約40kDaから約2000kDaの範囲内であってよく、中間範囲は、40kDa、70kDa、100kDa、1000kDa、または2000kDaのいずれかで定義される上限値および下限値を有する。高分子量デキストランは分子量の分布を有し得、分子量の分布は狭くても、広くてもよい。屈折率は容積当たりのデキストランの重量に基づき、浸透圧は容積当たりの溶質粒子の数によって決定することができるため、平均分子量およびデキストランの量は、適切な屈折率および浸透圧を有するデキストラン溶液を構成するために使用され得る。
【0081】
多くの実施形態では、触覚構造は、患者の眼の水晶体嚢内の定位置に眼内レンズを配向するように構成される。多くの実施形態では、触覚構造は、前方触覚構造と、後方触覚構造とを備え、前方触覚構造および後方構造は一緒に連結され、それらの間に流体貯蔵部を画定する。多くの実施形態では、触覚構造は、光学構造の周辺領域に連結される環状構造を備える。触覚構造は、光学構造の周辺部分に連結され、それにわたって分配される複数のタブ構造を備え得る。
【0082】
周辺部分は複数の開口部を備え得、触覚構造は複数の開口部を通して周辺部分に連結され得る。複数の開口部は、眼内レンズの光学軸に実質的に平行に配向され得る。代替的に、または組み合わせて、複数の開口部は、眼内レンズの光学軸を横断して配向され得る。触覚構造は、触覚構造を周辺部分に連結するための、光学構造の周辺部分の複数の開口部を通して設置するための1つ以上の支柱または他の構造を備え得る。代替的に、または組み合わせて、光学構造は、触覚構造の開口部などの構造と嵌合するための支柱を備え得る。
【0083】
眼内レンズは、断面を減少させた送達構成に折り畳まれるのに、十分に可撓性があってよい。眼内レンズの断面を減少させた送達構成は、レンズの光学軸に垂直な送達軸の周囲に眼内レンズを折り畳む、または丸めることによって達成され得る。代替的に、または組み合わせて、眼内レンズの断面を減少させた送達構成は、送達管または開口部を通して眼内レンズを前進させることによって達成され得る。
【0084】
多くの実施形態では、平面部材は、眼内レンズが水晶体嚢内に設置されるとき、平凸部材の後方である。
【0085】
本開示の別の態様は、患者の眼に調節をもたらす方法を提供する。最初に、眼内レンズが提供され得る。提供された眼内レンズは、周辺部分と触覚構造とを有する光学構造を備え得る。光学構造は、平面部材と、周辺部分で平面部材連結された平凸部材と、平面部材と平凸部材との間に画定される流体光学要素とを備え得る。流体光学要素は、平面部材と平凸部材との間に含む材料のいずれかまたは両方に類似する屈折率を有する流体を含み得る。流体光学要素は、光学度数を有し得る。触覚構造は、光学構造の周辺部分で平面部材と平凸部材を一緒に連結することができる。触覚構造は、流体光学要素と流体連通にある流体貯蔵部と、水晶体嚢に接続するための周辺構造とを備え得る。第2に、眼内レンズは、プロファイルが減少した構成に折り畳まれ得る。第3に、折り畳まれた眼内レンズは、患者の眼の水晶体嚢内に移植される。折り畳まれた眼内レンズは、水晶体嚢内に移植されると、プロファイルが減少した構成から動作構成に戻る。第4に、平面部材の変形に応じて、流体光学要素に対する容積または形状の変化のうちの1つ以上によって流体光学要素の光学度数を修正させるよう、光学構造または触覚構造のうちの1つ以上が作動され得る。
【0086】
光学構造または触覚構造のうちの1つ以上は、触覚構造において力を半径方向に方向付けることにより作動され、平面部材を変形させ、流体光学要素の光学度数を修正し得る。触覚周辺構造は、光学構造の実質的平面部材に固く連結され得る。流体光学要素の光学度数の変化は、触覚構造の流体貯蔵部から流体光学要素の中または外への流体の移動を伴い得る。触覚流体チャンバから流体光学要素の中または外への流体の移動は、平凸部材を未偏向にとどめつつ、平面部材を偏向し得る。代替的な実施形態では、触覚流体チャンバから流体光学要素の中または外への流体の移動は、平面部材および任意に平凸部材も偏向し得る。
【0087】
光学構造および触覚構造のうちの1つ以上を作動させることは、触覚流体貯蔵部に力を課すことによって作動させることができ、触覚流体貯蔵部を可逆的に変形させて流体光学要素の光学度数を修正する。
【0088】
多くの実施形態では、光学構造の周辺部分は複数の開口部を備え、触覚構造は複数の開口部を通して光学構造の周辺部分で後方および前方部材を一緒に連結する。周辺部分の複数の開口部に連結された触覚構造は、眼内レンズが折り畳まれるとき、および眼内レンズの機能中または動作中に、実質的平面部材および平凸部材を一緒に連結された状態に維持することができる。複数の開口部は、眼内レンズの光学軸に実質的に平行に配向され得る。複数の開口部は、眼内レンズの光学軸を横断して配向され得る。触覚構造は、複数の開口部を通して設置するための1つ以上の支柱を備え、触覚構造を周辺領域に連結し得る。代替的に、または組み合わせて、光学構造の周辺部分は、触覚構造の1つ以上の支柱が通過することができる1つ以上の開口部を有し、光学構造と触覚構造を一緒に連結し得る。
【0089】
眼内レンズは、レンズの光学軸に垂直な送達軸の周囲に眼内レンズを折り畳む、または丸めることによって、プロファイルを減少させた構成に折り畳むことができる。代替的に、または組み合わせて、眼内レンズは、送達管または開口部を通して眼内レンズを前進させることによって、プロファイルを減少させた構成に折り畳むことができる。
【0090】
折り畳まれた眼内レンズは、レンズ流体チャンバ内の流体を水晶体嚢に存在する流体と浸透平衡に到達させることにより水晶体嚢内に移植され得る。平面部材または平凸部材のうちの1つ以上は、浸透平衡が達せられるように透水性であってよい。多くの実施形態では、多孔質の後方または前方部材は、40kDaを超える分子量を有する化合物に不透過である。
【0091】
多くの実施形態では、平面部材または平凸部材のうちの1つ以上は、実質的に光学度数を有さない。
【0092】
多くの実施形態では、平面部材は、眼内レンズが水晶体嚢内に設置されるとき、平凸部材の後方である。
【0093】
別の態様では、実施形態は、調節式眼内レンズを製造する方法を提供する。ポリマーを含む第1のレンズ構成要素が提供される。ポリマーを含む第2のレンズ構成要素が提供される。第1のレンズ構成要素は、接着剤で第2のレンズ構成要素に結合される。接着剤は、ポリマーのプレポリマーを含み得る。
【0094】
多くの実施形態では、プレポリマーは、硬化されて、第1のレンズ構成要素と第2のレンズ構成要素との間に延在するポリマーにより、第1のレンズ構成要素を第2のレンズ構成要素に結合する。
【0095】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素と第2のレンズ構成要素は各々、第1のレンズ構成要素が第1のレンズ構成要素と第2のレンズ構成要素との間に延在するポリマーによって第2のレンズ構成要素に結合されるとき、剛性構成を有する。
【0096】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素が水和され、第2のレンズ構成要素と硬化した接着剤が水和され、水和された柔軟な調節式眼内レンズを提供する。
【0097】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素、第2のレンズ構成要素、および接着剤を水和させることは、移植されたときに、ポリマーの水和の量に対応する水和の量まで、構成要素の各々および接着剤のポリマーを完全に水和することを含む。
【0098】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素、第2のレンズ構成要素、および硬化された接着剤の各々は、水和前に剛性構成を備え、水和されると柔軟な構成を備え、第1のレンズ構成要素、第2のレンズ構成要素、および硬化された接着剤の各々は、接着剤と第1および第2の構成要素との間の接触面における応力を抑止するために、第1の構成から第2の構成まで実質的に類似する量だけ拡張する。
【0099】
多くの実施形態は、ポリマー材を提供することと、ポリマー材から第1のレンズ構成要素および第2のレンズ構成要素を形状化することとをさらに含む。
【0100】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素および第2のレンズ構成要素は各々、第1のレンズ構成要素および第2のレンズ構成要素を形状化するために、剛性である場合は旋盤にて加工される。
【0101】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素および第2のレンズ構成要素は成形される。
【0102】
多くの実施形態では、プレポリマーは、ポリマーのモノマー、オリゴマー、部分的に硬化されたモノマー、粒子、またはナノ粒子のうちの1つ以上を含む。
【0103】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素はディスク形状の構造を備え、第2の構成要素はディスク形状の構造を備え、第1の構成要素および第2の構成要素は、一緒に結合されたとき、チャンバの反対側のディスク形状の構造と共にチャンバを画定する。
【0104】
多くの実施形態では、第1の構成要素または第2の構成要素のうちの1つ以上は、反対側の構成要素を受容するように定寸され、形状化される溝を備え、接着剤は、溝に設置される。
【0105】
多くの実施形態では、第1の構成要素または第2の構成要素のうちの1つ以上は、第1のディスク構造を第2のディスク構造から分離し、チャンバの側壁を画定するため、ディスク構造と第2のディスク構造との間に延在する環状構造を備える。
【0106】
別の態様では、調節式眼内レンズは、第1のレンズ構成要素と、第2のレンズ構成要素と、接着剤とを備える。第1のレンズ構成要素はポリマー材を含む。第2のレンズ構成要素はポリマー材を含む。硬化した接着剤は、第1のレンズ構成要素を第2のレンズ構成要素に結合し、チャンバを画定するため、第1の構成要素と第2の構成要素の少なくとも一部分の間にポリマーを含む。
【0107】
多くの実施形態では、チャンバは、光学要素を備える。
【0108】
多くの実施形態は、チャンバ内に約1.336の眼の房水の屈折率よりも大きい屈折率を有する流体をさらに含み、第1の構成要素または第2の構成要素のうちの1つ以上は、調節式眼内レンズの光学度数を増加させるために変形するように構成される。
【0109】
多くの実施形態は、調節式眼内レンズの光学度数を増加させるため、眼の水晶体嚢の壁と係合し、収縮する水晶体嚢の壁部に応じて第1のレンズ構成要素または第2のレンズ構成要素のうちの1つ以上の曲率を増加させるための1つ以上の触覚部をさらに備える。
【0110】
多くの実施形態は、流体をさらに含み、流体は、溶液、油、シリコーン、油、高分子量分子の溶液、または高分子量デキストランのうちの1つ以上を含む。
【0111】
多くの実施形態は、接着剤を含むシームをさらに備え、シームは、第1の構成要素および第2の構成要素の少なくとも一部分に沿って円周方向に延在する。
【0112】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素は、第1のディスク形状の構造を備え、第2のレンズ構成要素は、チャンバの反対側に第2のディスク形状の構造を備え、環状構造は、第1のディスク形状の構造と第2のディスク形状の構造との間に延在し、第2のディスク形状の構造から第1のディスク形状の構造を分離し、チャンバを画定する。
【0113】
多くの実施形態では、眼内レンズは、移植前は剛性構成を有し、移植されると柔軟な構成を有する。
【0114】
多くの実施形態では、第1のレンズ構成要素は、レンズ、メニスカス、メニスカスレンズ、平板、のうちの1つ以上を備える第1のディスク形状の光学構造を備え、第2のレンズ構成要素は、レンズ、メニスカス、メニスカスレンズ、平板のうちの1つ以上を備える第2のディスク形状の光学構造を備える。
【0115】
本開示のまた別の態様は、患者の眼の水晶体嚢内に移植するための眼内レンズを提供する。眼内レンズは、光学構造と触覚構造とを備え得る。光学構造は周辺部分を有し得、後方部材と、周辺部分で後方部材に連結された前方部材と、後方と前方部材との間に画定される流体光学要素とを備え得る。流体光学要素は、後方部材および前方部材を含む材料のいずれかまたは両方に類似する屈折率を有する流体を含み得る。流体光学要素は、光学度数を有し得る。触覚構造は、光学構造の周辺部分で後方と前方部材を連結することができる。触覚構造は、流体光学要素と流体連通にある流体貯蔵部と、水晶体嚢に接続するための周辺構造とを備え得る。水晶体嚢の形状変化によって、後方または前方部材のうちの1つ以上における変形に応じて、流体光学要素に対して容積または形状の変化をもたらし、流体光学要素の光学度数を修正し得る。光学構造の後方部材または前方部材のうちの1つ以上は、患者の眼の水晶体嚢に存在する水分が、眼内レンズがその中に設置されたときに水晶体嚢に存在する流体と浸透平衡を達成するよう、そこを通って流体レンズチャンバの中または外に移動することができるように、透水性であってよい。眼内レンズの様々な特徴は、本明細書に開示される多くの実施形態において、多くの方法でさらに構成され得る。
【0116】
本開示の別の態様では、移植可能な眼内レンズが提供される。眼内レンズは、流体チャンバと流体チャンバ内に材料を有する光学構造を備え得る。材料は、完全に水和されない状態を有し得る。光学構造の一部分は、眼に設置されたときに材料を完全に水和し、流体チャンバを拡張するために、流体チャンバに水を提供し、流体チャンバからの材料の漏出を阻止するように構成され得る。
【0117】
本開示のまた別の態様では、患者の眼の水晶体嚢内に人工レンズを移植する方法が提供される。本方法は、眼の切開を通して完全に水和されない構成を備える眼内レンズを前進させることを含み得る。水晶体嚢からの水分は、眼内レンズを完全に水和するために、光学構造の少なくとも一部分を通過し得る。多くの実施形態では、眼内レンズの光学構造の流体チャンバ内の材料は、光学構造の少なくとも一部分から漏出することを阻止され得るが、水晶体嚢からの水分は、材料を完全に水和するために通過することができる。
参照による組み込み
【0118】
本明細書に記述される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に示されるかのように同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
対象の水晶体嚢内に設置するための調節式眼内レンズであって、
内部領域と外部領域とを有する第1の構成要素と、
内部領域と外部領域とを有する第2の構成要素であって、前記第1の構成要素に連結された第2の構成要素と、
前記第1および第2の構成要素の前記内部領域の内面の間に画定される流体チャンバと、
前記第1および第2の構成要素の前記外部領域の内面の間に画定される流体貯蔵部であって、前記流体チャンバと流体連通し、前記水晶体嚢の形状変化に応じて前記流体チャンバと前記流体貯蔵部との間で流体を移動させ、前記調節式眼内レンズに光学度数変化をもたらす流体貯蔵部と、
光学度数を有し、前記第1または第2の構成要素に連結される第3の構成要素であって、前記第3の構成要素が連結される前記第1または第2の構成要素の外面に対向しかつ隣接する内面を有する第3構成要素と、を備える調節式眼内レンズ。
(項目2)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2構成要素の前記内部領域のうちの1つ以上が平面部材を備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目3)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2構成要素の前記内部領域のうちの1つ以上が、前記流体チャンバと前記流体貯蔵部との間の流体移動に応じて偏向するよう構成される、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目4)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2構成要素の前記内部領域のうちの1つ以上の偏向が、前記光学度数変化の少なくとも一部をもたらす、項目3に記載の調節式眼内レンズ。
(項目5)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2構成要素の前記内部領域のうちの1つ以上の偏向が、前記流体チャンバの寸法または形状のうちの1つ以上を変化させ、前記光学度数変化の前記少なくとも前記一部分をもたらす、項目4に記載の調節式眼内レンズ。
(項目6)
前記流体チャンバの前記寸法または前記形状のうちの1つ以上への前記変化が、前記第1および第2構成要素の前記内部領域の内面の間の分離距離を備える、項目5に記載の調節式眼内レンズ。
(項目7)
前記第3の構成要素が前記第2の構成要素に連結され、前記第1の構成要素の前記内部領域が、前記流体チャンバと前記流体貯蔵部との間の前記流体移動に応じて偏向するよう構成された偏向可能部材を備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目8)
前記第1の構成要素が接合部において前記第2の構成要素に接着される、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目9)
前記第1の構成要素と前記第2の構成要素との間に間隙をもたらすよう、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のうちの1つ以上の前記内面上に突出部をさらに備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目10)
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素の周囲に円周方向に延在する接合部において、前記第1の構成要素が前記第2の構成要素に接着される、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目11)
前記第1および第2の構成要素の前記外部領域が、前記第1および第2の構成要素の前記内部領域の周囲に連続してかつ円周方向にそれぞれ延在する、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目12)
前記第1の構成要素の前記外部領域が、前記第1の構成要素の前記外部領域の光学軸の周囲を連続してかつ円周方向に延在する1つ以上の折り畳みを備え、前記第2の構成要素の前記外部領域が、前記第2の構成要素の前記外部領域の光学軸の周囲を連続してかつ円周方向に延在する1つ以上の折り畳みを備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目13)
前記第1の構成要素の前記外部領域のうちの前記1つ以上の折り畳みおよび前記第2の構成要素の前記外部領域のうちの前記1つ以上の折り畳みが互いに向かって延在して複数のベローズを画定し、前記流体貯蔵部が前記複数のベローズを備える、項目12に記載の調節式眼内レンズ。
(項目14)
前記第1の構成要素が、前記内部領域の半径方向の移動に伴う、前記外部領域の半径方向の移動を抑止するように、前記内部領域と外部領域との間に円周方向に延在する第1の環状に形状化された剛性の連結構造を備え、前記第2の構成要素が、前記外部領域の半径方向の移動に伴う、前記内部領域の半径方向の移動を抑止するように、前記内部領域と外部領域との間に円周方向に延在する第2の環状に形状化された剛性の連結構造を備え、前記第1の環状に形状化された構造は、前記第1の構成要素の前記外部領域の第1の厚さよりも大きい第1の半径方向の厚さを備え、前記第2の環状に形状化された構造は、前記第2の構成要素の前記外部領域の第2の厚さよりも大きい第2の半径方向の厚さを備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目15)
前記第1の構成要素が前方構成要素を備え、前記第2の構成要素が後方構成要素を備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目16)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2の構成要素の前記内部領域のうちの1つ以上がシェルを備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目17)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2の構成要素の前記内部領域のうちの一方が平面部材を備え、前記内部領域の他方が光学度数をもたらすように形状化される平凸部材を備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目18)
前記流体チャンバ内の前記流体が、光学度数をもたらすように前記流体チャンバを形状化する、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目19)
前記第1および第2の構成要素の前記内部領域と外部領域との間に位置する突出部が前記第1の構成要素を前記第2の構成要素に接続し、前記突出部が、前記第1の構成要素と第2の構成要素との間に間隙をもたらすように前記第1または第2の構成要素のうちの1つ以上の、1つ以上の剛性の連結構造上に位置する、項目1に記載の調節式眼内レンズ。(項目20)
前記流体貯蔵部が、内部ベローズ領域と外部ベローズ領域との間に適合性折り畳み領域を備え、前記適合性折り畳み領域が前記内部および外部ベローズよりも薄い、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目21)
前記第1または第2の構成要素のうちの1つ以上に連結され、前記第1および第2の構成要素を互いから分離させる複数の突出部をさらに備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目22)
前記複数の突出部が、前記第1および第2の構成要素の前記内部領域と外部領域との間に位置する、項目21に記載の調節式眼内レンズ。
(項目23)
前記複数の突出部が、前記流体チャンバと前記流体貯蔵部との間に複数の流体チャネルを画定し、前記複数の流体チャネルがそれぞれ、2つの隣接する突出部の間に画定される、項目21に記載の調節式眼内レンズ。
(項目24)
前記第1または第2の構成要素のうちの1つ以上がポリマー材を備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目25)
前記ポリマー材がPMMAコポリマーを備える、項目24に記載の調節式眼内レンズ。(項目26)
前記ポリマー材が透水性のある、項目24に記載の調節式眼内レンズ。
(項目27)
前記ポリマー材が親水性のある、項目24に記載の調節式眼内レンズ。
(項目28)
前記調節式眼内レンズが前記水晶体嚢内に設置されるとき、前記対象の前記水晶体嚢内の水を、前記ポリマー材を通じて、前記流体チャンバまたは流体貯蔵部のうちの1つ以上の中へ、または外へ移動させ、浸透平衡を達成するように前記ポリマー材が構成される、項目24に記載の調節式眼内レンズ
(項目29)
前記ポリマー材が、40kDa超の分子量を有する化合物に不透過性である、項目24に記載の調節式眼内レンズ。
(項目30)
前記流体チャンバ内に流体をさらに備え、前記流体が、溶液、油、シリコーン油、デキストランの溶液、高分子量デキストランの溶液、または別の高分子量化合物の溶液のうちの1つ以上を備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目31)
前記流体貯蔵部が、前記流体チャンバの外縁の周囲に位置する連続したバッフル構造を備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目32)
前記連続したバッフル構造が、環状、楕円状、または回転対称形状のうちの1つ以上を備える、項目31に記載の調節式眼内レンズ。
(項目33)
前記第1および第2の構成要素が、断面が低減された送達構成に折り畳まれるのに十分に可撓性がある、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目34)
前記断面が低減された送達構成が、前記調節式眼内レンズの光学軸に対して横断方向の送達軸の周囲に、前記眼内レンズの折り畳みまたはロールのうちの1つ以上を備える、項目33に記載の調節式眼内レンズ。
(項目35)
送達管または開口をさらに備え、前記断面が低減された送達構成が、前記送達管または開口の中へ前進する前記眼内レンズを備える、項目33に記載の調節式眼内レンズ。
(項目36)
前記流体貯蔵部が、前記水晶体嚢に係合する触覚構造を備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目37)
前記流体チャンバ内の前記流体が、約1.336の前記眼の房水の屈折率よりも大きい屈折率を有する、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目38)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2の構成要素の前記内部領域のうちの1つ以上が、光学度数をもたらさない構成となるよう付勢される、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目39)
前記流体チャンバ内の前記流体が光学度数をもたらす、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目40)
前記第1および第2の構成要素が互いに結合される、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目41)
前記第1および第2の構成要素がポリマー材を備え、前記第1および第2の構成要素がポリマー材のプレポリマーと結合する、項目40に記載の調節式眼内レンズ。
(項目42)
前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のうちの1つ以上が直接作製された、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目43)
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素が、一緒に直接作製されており、単一の片を成す、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目44)
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素が別個に成形され、一緒に結合されている、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目45)
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素が別個に旋盤加工され、一緒に結合されている、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目46)
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素が、間に延在する突出部において一緒に結合される、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目47)
前記第1の構成要素が第1の作製された部品を備え、前記第2の構成要素が第2の作製された部品を備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目48)
前記第3の構成要素の外縁が、前記第1または第2の構成要素のうちの1つ以上の外縁内にある、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目49)
前記第3の構成要素が、前記第1または第2のレンズ構成要素上にスナップ嵌合するよう構成される、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目50)
前記第1および第2の構成要素をそれらの外縁において互いに連結するよう構成された第4の構成要素をさらに備える、項目1に記載の調節式眼内レンズ。
(項目51)
前記第4の構成要素が薄壁リングを備える、項目50に記載の調節式眼内レンズ。
(項目52)
前記第1および第2の構成要素の前記薄壁リングと前記外部領域とが一緒に前記流体貯蔵部を画定する、項目51に記載の調節式眼内レンズ。
(項目53)
方法であって、前記項目のいずれか1項にある調節式眼内レンズを提供することを含む方法。
(項目54)
調節式眼内レンズを移植する方法であって、
対象の水晶体嚢内に調節式眼内レンズの調節部分を位置付けするステップであって、中に位置付けされると、前記調節部分が、前記水晶体嚢の動きに応じてその光学度数を変化させるよう構成される、ステップと、
前記調節式眼内レンズの固定光学部分を前記水晶体嚢内に位置付けするステップであって、前記固定光学部分が固定光学度数を有する、ステップと、
前記水晶体嚢内で前記調節部分を前記固定光学部分に連結するステップであって、前記調節部分と前記固定光学部分が組み合わされ、前記対象の眼に光学補正と調節をもたらす、ステップと、を含む方法。
(項目55)
前記固定光学部分を複数の固定光学部分から選択するステップであって、前記複数の固定光学部分の前記固定光学部分が互いに異なる光学度数を有する、ステップをさらに含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記調節式眼内レンズの前記調節部分が前記水晶体嚢内に位置付けされた状態で、光学度数または前記眼の調節範囲のうちの1つ以上を測定するステップをさらに含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記固定光学部分が、前記光学度数または調節範囲のうちの、前記測定された1つ以上に基づいて選択される、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記調節部分が前記水晶体嚢内に位置付けされた状態で、前記眼の前記光学度数または調節範囲のうちの1つ以上を補填するよう前記固定光学部分が選択される、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記調節式眼内レンズの前記調節および固定光学部分を中に位置付けする前に、前記水晶体嚢から白内障を取り除くステップをさらに含む、項目55に記載の方法。
(項目60)
前記調節部分が流体チャンバを備え、前記流体チャンバが前記調節部分に光学度数と調節とをもたらすよう構成された、項目55に記載の方法。
(項目61)
前記流体チャンバが、前記水晶体嚢の動きに応じてサイズまたは形状のうちの1つ以上を変化させ、前記調節をもたらすよう構成される、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記調節部分が前記流体チャンバと流体連通する流体貯蔵部を備え、前記流体貯蔵部が流体を前記流体チャンバにもたらして前記流体チャンバの前記サイズまたは形状のうちの1つ以上への変化を補填する、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記流体貯蔵部が、1つ以上のベローを備える、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記流体貯蔵部が前記調節部分の円周に沿って位置付けされる、項目62に記載の方法。
(項目65)
前記固定光学部分が、前記調節部分に連結されると、前記流体貯蔵部によって画定される境界内に位置付けされる、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記固定光学部分が平凸部材を備える、項目55に記載の方法。
(項目67)
前記固定光学部分が、前記調節部分の前方または後方表面にわたって位置付けされる、項目55に記載の方法。
(項目68)
前記水晶体嚢内で前記固定光学部分と一緒に前記調節部分を連結させるステップが、前記調節および固定光学部分を一緒に結合するステップを含む、項目55に記載の方法。
(項目69)
前記眼の内部においてその場で(in-situ)一緒に組み立てられ、前記調節式眼内レンズを形成するよう配置される、複数のレンズ構成要素。
(項目70)
項目70に記載の調節式眼内レンズであって、前記複数の構成要素が、
内部領域と外部領域とを有する第1の構成要素と、
内部領域と外部領域とを有する第2の構成要素であって、前記第1の構成要素に連結される第2の構成要素と、
前記第1および第2の構成要素の前記内部領域の内面の間に画定される流体チャンバと、
前記第1および第2の構成要素の前記外部領域の内面の間に画定される流体貯蔵部であって、前記水晶体嚢の形状変化に応じて前記流体チャンバと前記流体貯蔵部との間で流体を移動させるように前記流体チャンバと流体連通し、前記調節式眼内レンズに光学度数変化をもたらす流体貯蔵部と、
光学度数を有し、前記第1または第2の構成要素に連結される第3の構成要素であって、前記第3の構成要素が連結される前記第1または第2の構成要素の外面に対向しかつ隣接する内面を有する第3構成要素と、を備える、調節式眼内レンズ。
(項目71)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2の構成要素の前記内部領域のうちの1つ以上が平面部材を備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目72)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2の構成要素の前記内部領域のうちの1つ以上が、前記流体チャンバと前記流体貯蔵部との間の前記流体移動に応じて偏向するよう構成された、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目73)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2構成要素の前記内部領域の1つ以上の偏向が、前記光学度数変化の少なくとも一部をもたらす、項目72に記載の調節式眼内レンズ。
(項目74)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2構成要素の前記内部領域の1つ以上の前記偏向が、前記流体チャンバの寸法または形状のうちの1つ以上を変化させ、
前記光学度数変化の少なくとも一部をもたらす、項目73に記載の調節式眼内レンズ。
(項目75)
前記流体チャンバの前記寸法または前記形状のうちの1つ以上への前記変化が、前記第1および第2構成要素の前記内部領域の内面の間の分離距離を備える、項目74に記載の調節式眼内レンズ。
(項目76)
前記第3の構成要素が前記第2の構成要素に連結され、前記第1の構成要素の前記内部領域が、前記流体チャンバと前記流体貯蔵部との間の前記流体移動に応じて偏向するよう構成された偏向可能部材を備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目77)
前記第1の構成要素が、接合部において前記第2の構成要素に接着される、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目78)
前記第1の構成要素と前記第2の構成要素との間に間隙をもたらすよう、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のうちの1つ以上の前記内面に突出部を備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目79)
前記第1の構成要素が、前記第1の構成要素と前記第2の構成要素の周囲に円周方向に延在する接合部において前記第2の構成要素に接着される、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目80)
前記第1および第2の構成要素の前記外部領域が、前記第1および第2の構成要素の前記内部領域の周囲を連続してかつ円周方向にそれぞれ延在する、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目81)
前記第1の構成要素の前記外部領域が、前記第1の構成要素の前記外部領域の光学軸の周囲を連続してかつ円周方向に延在する1つ以上の折り畳みを備え、前記第2の構成要素の前記外部領域が、前記第2の構成要素の前記外部領域の光学軸の周囲を連続してかつ円周方向に延在する1つ以上の折り畳みを備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目82)
前記第1の構成要素の前記外部領域の前記1つ以上の折り畳みと前記第2の構成要素の前記外部領域の前記1つ以上の折り畳みとが、互いに向かって延在して複数のベローズを画定し、前記流体貯蔵部が前記複数のベローズを備える、項目81に記載の調節式眼内レンズ。
(項目83)
前記第1の構成要素が、前記内部領域の半径方向の移動に伴う、前記外部領域の半径方向の移動を抑止するように、前記内部領域と外部領域との間に円周方向に延在する、第1の環状に形状化された剛性の連結構造を備え、前記第2の構成要素が、前記外部領域の半径方向の移動に伴う、前記内部領域の半径方向の移動を抑止するように、前記内部領域と外部領域との間に円周方向に延在する、第2の環状に形状化された剛性の連結構造を備え、前記第1の環状に形状化された構造が、前記第1の構成要素の前記外部領域の第1の厚さよりも大きい第1の半径方向の厚さを備え、前記第2の環状に形状化された構造が、前記第2の構成要素の前記外部領域の第2の厚さよりも大きい第2の半径方向の厚さを備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目84)
前記第1の構成要素が前方構成要素を備え、前記第2の構成要素が後方構成要素を備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目85)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2の構成要素の前記内部領域のうちの1つ以上がシェルを備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目86)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2の構成要素の前記内部領域のうちの一方が平面部材を備え、前記内部領域の他方が光学度数をもたらすように形状化される平凸部材を備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目87)
前記流体チャンバ内の前記流体が、光学度数をもたらすように前記流体チャンバを形状化する、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目88)
前記第1および第2の構成要素の前記内部領域と外部領域との間に位置する突出部が、前記第1の構成要素を前記第2の構成要素に接続し、前記突出部が、前記第1または第2の構成要素のうちの1つ以上の、1つ以上の剛性の連結構造上に位置し、前記第1の構成要素と第2の構成要素との間に間隙をもたらす、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目89)
前記流体貯蔵部が、内部ベローズ領域と外部ベローズ領域との間に適合性折り畳み領域を備え、前記適合性折り畳み領域が、前記内部および外部ベローズよりも薄い、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目90)
前記第1または第2の構成要素のうちの1つ以上に連結され、前記第1および第2の構成要素を互いから分離する複数の突出部をさらに備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目91)
前記複数の突出部が、前記第1および第2の構成要素の前記内部領域と外部領域との間に位置する、項目90に記載の調節式眼内レンズ。
(項目92)
前記複数の突出部が、前記流体チャンバと前記流体貯蔵部との間に複数の流体チャネルを画定し、前記複数の流体チャネルはそれぞれ、2つの隣接する突出部の間に画定される、項目90に記載の調節式眼内レンズ。
(項目93)
前記第1または前記第2の構成要素のうちの1つ以上がポリマー材を備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目94)
前記ポリマー材がPMMAコポリマーを備える、項目93に記載の調節式眼内レンズ。(項目95)
前記ポリマー材が透水性である、項目93に記載の調節式眼内レンズ。
(項目96)
前記ポリマー材が親水性である、項目93に記載の調節式眼内レンズ。
(項目97)
前記調節式眼内レンズが前記水晶体嚢内に設置されると、前記対象の前記水晶体嚢内の水を、前記ポリマー材を通じて、前記流体チャンバまたは流体貯蔵部のうちの1つ以上の中へ、または外へ移動させ、浸透平衡を達成するように前記ポリマー材が構成される、項目93に記載の調節式眼内レンズ。
(項目98)
前記ポリマー材が、40kDa超の分子量を有する化合物に不透過性である、項目93に記載の調節式眼内レンズ。
(項目99)
前記流体チャンバ内に流体をさらに備え、前記流体が、溶液、油、シリコーン油、デキストランの溶液、高分子量デキストランの溶液、または別の高分子量化合物の溶液のうちの1つ以上を備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目100)
前記流体貯蔵部が、前記流体チャンバの外縁の周囲に位置する連続したバッフル構造を備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目101)
前記連続したバッフル構造が、環状、楕円状、または回転対称形状のうちの1つ以上を備える、項目100に記載の調節式眼内レンズ。
(項目102)
前記第1および第2の構成要素が、断面が低減された送達構成に折り畳まれるのに十分に可撓性である、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目103)
前記断面が低減された送達構成が、前記調節式眼内レンズの光学軸に対して横断方向の送達軸の周囲に、前記眼内レンズの折り畳みまたはロールのうちの1つ以上を備える、項目102に記載の調節式眼内レンズ。
(項目104)
送達管または開口をさらに備え、前記断面が低減された送達構成が、前記送達管または開口の中へ前進する前記眼内レンズを備える、項目102に記載の調節式眼内レンズ。
(項目105)
前記流体貯蔵部が、前記水晶体嚢に係合する触覚構造を備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目106)
前記流体チャンバ内の前記流体が、約1.336の前記眼の房水の屈折率よりも大きい屈折率を有する、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目107)
前記第1の構成要素の前記内部領域または前記第2の構成要素の前記内部領域のうちの1つ以上が、光学度数をもたらさない構成となるよう付勢される、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目108)
前記流体チャンバ内の前記流体が、光学度数をもたらす、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目109)
前記第1および第2の構成要素が互いに結合される、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目110)
前記第1および第2の構成要素がポリマー材を備え、前記第1および第2の構成要素がポリマー材のプレポリマーと結合する、項目109に記載の調節式眼内レンズ。
(項目111)
前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のうちの1つ以上が直接作製されている、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目112)
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素が、一緒に直接作製され、単一の片を成す、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目113)
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素が別個に成形され、一緒に結合されている、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目114)
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素が別個に旋盤加工され、一緒に結合されている、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目115)
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素が、間に延在する突出部において一緒に結合される、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目116)
前記第1の構成要素が第1の作製された部品を備え、前記第2の構成要素が第2の作製された部品を備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目117)
前記第3の構成要素の外縁が、前記第1または第2の構成要素のうちの1つ以上の外縁内にある、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目118)
前記第3の構成要素が、前記第1または第2のレンズ構成要素上にスナップ嵌合するよう構成される、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目119)
前記第1および第2の構成要素をそれらの外縁において互いに結合するよう構成された第4の構成要素をさらに備える、項目70に記載の調節式眼内レンズ。
(項目120)
前記第4の構成要素が薄壁リングを備える、項目119に記載の調節式眼内レンズ。
(項目121)
前記第1および第2の構成要素の前記薄壁リングと前記外部領域とが一緒に前記流体貯蔵部を画定する、項目120に記載の調節式眼内レンズ。
(項目122)
方法であって、項目69から項目122のいずれか1項にある調節式眼内レンズを提供することを含む方法。
(項目123)
対象の水晶体嚢内に設置するための調節式眼内レンズアセンブリであって、
第1の光学構成要素と、前記第1の光学構成要素に対して後方に第2の光学構成要素とを有する調節式レンズユニットであって、前記第1の光学構成要素および/または前記第2の光学構成要素の屈曲が前記調節式レンズユニットの光学度数を変化させるよう、前記第1の光学構成要素および/または前記第2の光学構成要素に可撓性がある調節式レンズユニットと、
一定の光学度数を有する補正レンズであって、前記補正レンズが前記調節式レンズユニットの前記第1の光学構成要素の前方に、かつ離間されるよう、前記補正レンズが前記調節式レンズユニットに取り外し可能に連結されるよう構成される補正レンズと、を備える調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目124)
前記第1の光学構成要素が可撓性であり、前記第1の光学構成要素が調節のために所望の光学度数をもたらすのに十分な程度まで前方に屈曲できるよう構成された間隙によって、前記補正レンズが前記第1の光学構成要素から離間した、項目123に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目125)
前記補正レンズが、本体流体が前記補正レンズと前記第1の光学構成要素との間の間隙内および外に流れることができるよう構成された通路をさらに含む、項目124に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目126)
前記調節式レンズユニットが、固定レンズ受容体をさらに備え、前記補正レンズが前記固定レンズ受容体内にスナップ嵌合される、項目123に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目127)
前記調節式レンズユニットが、前記第1の光学構成要素と第2の光学構成要素との間の流体チャンバと、前記流体チャンバに流体連結された貯蔵部と、前記流体チャンバと前記貯蔵部内の流動可能な光学部材とをさらに備え、前記第1の光学構成要素および/または前記第2の光学構成要素が前記流体チャンバと前記貯蔵部との間に流れる前記光学部材に応じて屈曲し、前記光学度数を変化させる、項目123に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目128)
項目127に記載の調節式眼内レンズアセンブリであって、ここにおいて、
前記調節式レンズユニットが、前記第1の光学構成要素を有する第1の構造要素と、前記第1の光学構成要素周りの第1の外側部分と、前記第2の光学構成要素を有する第2の構造要素と、前記第2の光学構成要素周りの第2の外側部分と、をさらに備え、前記第1および第2の構造要素が一緒に結合され、前記第1の光学構成要素と第2の光学構成要素との間の前記流体チャンバを形成し、第1の外側要素と第2の外側要素との間の前記貯蔵部を形成し、
前記補正レンズが前記第1の構造要素の前記第1の外側部分に取り付けられた、調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目129)
前記第1の光学構成要素および前記流体チャンバの前記流動可能な光学部材の前方偏向が、光学度数調節をもたらすよう、前記第1の光学構成要素が偏向可能であり、前記第2の光学構成要素が少なくとも実質的に硬い、項目127に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目130)
前記第1および第2の構造要素の前記第1および第2の外側部分によって画定される前記貯蔵部が環状ベローズであり、前記流動可能な光学部材が前記環状ベローズと前記流体チャンバとの間を流れる、項目127に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目131)
前記補正レンズが、円環レンズを光学軸に整合するよう構成された整合特徴を有する前記円環レンズを備える、項目123に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目132)
調節式眼内レンズアセンブリであって、
第1の光学構成要素と、前記第1の光学構成要素に対して後方の第2の光学構成要素と、前記第1の光学構成要素と第2の光学構成要素との間の光学流体と、前記第1の光学構成要素から環状に突出する壁部と、前記第1および第2の光学構成要素に対して前方に前記壁部に沿った保持特徴とを有する調節式レンズユニットであって、前記第1の光学構成要素と第2の光学構成要素との間の前記光学流体と組み合わせた前記第1の光学構成要素および/または前記第2の光学構成要素の屈曲が、前記調節式レンズユニットの光学度数を変化させるよう、前記第1の光学構成要素および/または前記第2の光学構成要素が可撓性である調節式レンズユニットと、
一定の光学度数を有する補正レンズであって、前記調節式レンズユニットが眼に移植された後、前記補正レンズが前記眼においてその場で(in-situ)前記壁部に沿った保持特徴に取り外し可能に結合されるよう構成された補正レンズと、を備える調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目133)
前記第1の光学構成要素が可撓性であり、前記第1の光学構成要素が調節のために所望の光学度数をもたらすのに十分な程度まで前方に屈曲できるよう構成された間隙によって、前記補正レンズが前記第1の光学構成要素から離間した、項目132に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目134)
前記補正レンズが、本体流体が前記補正レンズと前記第1の光学構成要素との間の前記間隙内に、および外に流れることができるよう構成された通路をさらに含む、項目132に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目135)
前記調節式レンズユニットが、固定レンズ受容体をさらに備え、前記補正レンズが前記固定レンズ受容体内にスナップ嵌合される、項目132に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目136)
項目132に記載の調節式眼内レンズアセンブリであって、前記調節式レンズユニットが、前記第1の光学構成要素と第2の光学構成要素との間の流体チャンバと、前記流体チャンバに流体連結された貯蔵部と、前記流体チャンバと前記貯蔵部内にある光学流体とをさらに備え、ここにおいて、前記流体チャンバ内の光学流体の容積の変化が前記光学度数を変化させるよう、前記第1の光学構成要素および/または前記第2の光学構成要素が、前記流体チャンバと前記貯蔵部との間に流れる前記光学流体に応じて屈曲する、調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目137)
項目136に記載の調節式眼内レンズアセンブリであって、ここにおいて、
前記調節式レンズユニットが、前記第1の光学構成要素と、前記第1の光学構成要素の周りの第1の外側部分とを有する第1の構造要素と、前記第2の光学構成要素と、前記第2の光学構成要素の周りの第2の外側部分とを有する第2の構造要素と、をさらに備え、前記第1および第2の構造要素が一緒に結合され、前記第1の光学構成要素と第2の光学構成要素との間に前記流体チャンバを形成し、前記第1および第2の外側要素の間に前記貯蔵部を形成し、
前記補正レンズが前記第1の構造要素の前記第1の外側部分に取り付けられる、調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目138)
前記第1の光学構成要素の前方偏向が光学度数調節をもたらすよう、前記第1の光学構成要素が偏向可能であり、前記第2の光学構成要素が少なくとも実質的に硬い、項目136に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目139)
前記第1および第2の構造要素の前記第1および第2の外側部分によって画定される前記貯蔵部が環状ベローズであり、前記光学流体が前記環状ベローズと前記流体チャンバとの間を流れる、項目136に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目140)
前記補正レンズが、円環レンズを光学軸に整合するよう構成された整合特徴を有する前記円環レンズを備える、項目132に記載の調節式眼内レンズアセンブリ。
(項目141)
調節式眼内レンズアセンブリを移植する方法であって、
眼の嚢内に調節式レンズユニットを配置するステップあって、前記調節式レンズユニットが、第1の光学構成要素と、前記第1の光学構成要素に対して後方の第2の光学構成要素を備え、前記第1の光学構成要素および/または前記第2の光学構成要素の屈曲が、前記調節式レンズユニットの光学度数を動的に変化させるよう、前記第1の光学構成要素および/または前記第2の光学構成要素が可撓性である、ステップと、
前記第1および第2の光学構成要素に対し前方に補正レンズを前記調節式レンズユニットに取り外し可能に連結するステップであって、前記補正レンズが一定の光学度数を有する、ステップと、を含む方法。
(項目142)
前記第1の光学構成要素および/または前記第2の光学構成要素が他方から離れて屈曲するよう、前記第1の光学構成要素と第2の光学構成要素との間の前記調節式レンズユニット内に流体を流すことによって調節をもたらすステップをさらに含む、項目141に記載の方法。
(項目143)
前記第1の光学構成要素が前記第1の光学構成要素と前記補正レンズとの間の間隙内に前方に屈曲し、前記第2の光学構成要素が少なくとも実質的に硬い、項目142に記載の方法。
(項目144)
その場(in-situ)で前記調節式レンズユニットから前記補正レンズを取り除くステップと、異なる光学度数を有する別の補正レンズを前記調節式レンズユニットに取り外し可能に連結するステップと、をさらに含む、項目141に記載の方法。
(項目145)
患者にとって所望の固定補正度数を決定するステップと、前記所望の固定補正度数を有するために前記補正レンズを選択するステップと、をさらに含む、項目141に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0119】
本発明の新規特徴は、具体的に添付の特許請求の範囲に記述される。本発明の特徴および利点のより深い理解は、本発明の原理が利用される図示的な実施例を記述する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することにより得られるだろう。
【0120】
【
図1】
図1は、多くの実施形態による、調節式眼内レンズ(AIOL)システムを図示する。
【
図2】
図2は、多くの実施形態による、レンズ支持構造およびレンズの側面図を図示する。
【
図3】
図3は、多くの実施形態による、ねじを使用したレンズ接触面を組み込むレンズ支持構造の断面図を図示する。
【
図4】
図4は、多くの実施形態による、締まり嵌めを使用した接続されたレンズ(lens interfaced)を組み込むレンズ支持構造の断面図を図示する。
【
図5】
図5は、多くの実施形態による、支持構造および触覚構造の半分がAIOLの上半分および下半分に含まれ、全てが同じ材料から作製されたAIOLを図示する。
【
図6】
図6は、多くの実施形態による、触覚および支持構造が一体式であり、環状様構造として構成されるAIOLを図示する。
【
図7】
図7は、多くの実施形態による、送達断面の減少に役立つ特徴を組み込む
図6のAIOLの変形を図示する。
【
図8】
図8は、多くの実施形態による、AIOLの送達後に硬化することができる、流体で充填された弾性支持構造を備えるAIOLを図示する。
【
図9】
図9A、9B、および9Cは、多くの実施形態による、代替折り畳み式レンズ支持構造を示す。
【
図10】
図10から14Bは、多くの実施形態による、取り付け区域が嚢の半環状領域を封止し、半環状領域とAIOLの内部との間の流体移動がAIOLの調節変化をもたらすよう、AIOLが本来の嚢内に挿入され、接触する、代替AIOL構造を図示する。
図10は、多くの実施形態による、1つの光学要素を組み込む水晶体嚢の赤道および後方領域を封止することにより流体チャンバが形成される、代替触覚構造を有するAIOLを示す。
【
図11】
図10から14Bは、多くの実施形態による、取り付け区域が嚢の半環状領域を封止し、半環状領域とAIOLの内部との間の流体移動がAIOLの調節変化をもたらすよう、AIOLが本来の嚢内に挿入され、接触する、代替AIOL構造を図示する。
図11は、多くの実施形態による、2つの光学要素を組み込む水晶体嚢の赤道および後方領域を封止することにより流体チャンバが形成される、代替触覚構造を有するAIOLを示す。
【
図12】
図10から14Bは、多くの実施形態による、取り付け区域が嚢の半環状領域を封止し、半環状領域とAIOLの内部との間の流体移動がAIOLの調節変化をもたらすよう、AIOLが本来の嚢内に挿入され、接触する、代替AIOL構造を図示する。
図12は、多くの実施形態による、2つの光学要素を組み込む水晶体嚢の赤道および後方領域を封止する薄膜により流体チャンバが形成される、代替触覚構造を有するAIOLを示す。
【
図13】
図10から14Bは、多くの実施形態による、取り付け区域が嚢の半環状領域を封止し、半環状領域とAIOLの内部との間の流体移動がAIOLの調節変化をもたらすよう、AIOLが本来の嚢内に挿入され、接触する、代替AIOL構造を図示する。
図13は、多くの実施形態による、薄膜により、および1つの光学要素を組み込む水晶体嚢の赤道および後方領域を封止することにより流体チャンバが形成される、代替触覚構造を有するAIOLを示す。
【
図14A】
図10から14Bは、多くの実施形態による、取り付け区域が嚢の半環状領域を封止し、半環状領域とAIOLの内部との間の流体移動がAIOLの調節変化をもたらすよう、AIOLが本来の嚢内に挿入され、接触する、代替AIOL構造を図示する。
図14Aは、多くの実施形態による、AIOLの移植後の代替実施形態を図示する。
【
図14B】
図10から14Bは、多くの実施形態による、取り付け区域が嚢の半環状領域を封止し、半環状領域とAIOLの内部との間の流体移動がAIOLの調節変化をもたらすよう、AIOLが本来の嚢内に挿入され、接触する、代替AIOL構造を図示する。
図14Bは、多くの実施形態による、水晶体嚢が設置されたデバイスに一致した、手術後の
図14Aの設置されたAIOLを図示する。
【
図15】
図15は、多くの実施形態による、前面および後面を備える光学構造を図示する。
【
図16A】
図16Aは、多くの実施形態による、結合前の光学構造に接合されたレンズ支持構造を図示する。
【
図16B】
図16Bは、多くの実施形態による、外周に沿って封止部を提供する、一緒に結合された点を有する最終AIOLを表す。
【
図17】
図17は、多くの実施形態による、
図16BのAIOLに代替後方不透明化セルダムおよび前方嚢切開支持体を追加したものを表す。
【
図18】
図18は、多くの実施形態による、代替AIOLを示す。
【
図19】
図19は、多くの実施形態による、代替光学構造を示す。
【
図21B】
図21Bは、多くの実施形態による、眼の嚢構造により発生する力に関連する半径方向および圧力の負荷にある
図20から
図22の触覚構造のモデル化図である。
【
図22】
図22は、多くの実施形態による、
図19から
図21に示される要素から構成される最終AIOLアセンブリの図である。
【
図23】
図23Aおよび23Bは、多くの実施形態による、代替AIOL実施形態および製造方法を図示する。
【
図24】
図24は、多くの実施形態による、代替触覚構造および支持構造を有する代替低プロファイルAIOLを示す。
【
図29】
図29は、多くの実施形態による、さらに別のAIOLの断面斜視図を示す。
【
図31】
図31は、多くの実施形態による、別のAIOLの調節可能性のモデルを示す。
【
図32】
図32は、多くの実施形態による、さらに別のAIOLの調節可能性のモデルを示す。
【
図33】
図33は、多くの実施形態による、AIOLの調節可能性の概略図を示す。
【
図36】
図36は、多くの実施形態による、AIOLを製造する方法を示す。
【
図37】
図37は、光学度数を提供するように変形された光学構造を示す。
【
図38A】
図38Aは、多くの実施形態による、AIOLの偏向可能部材が触覚部の並進および回転移動に応じて偏向するように構成される、触覚部の最も前方部分の前方に、AIOLの最も前方部分を有するAIOLを示す。
【
図42】
図42は、実施形態による、眼内レンズの断面図を示す。
【
図43】
図43は、実施形態による、ベローズ構造を備える、流体で充填された調節式レンズシステムの断面図を示す。
【
図44】
図44は、実施形態による、代替調節式レンズシステムの断面図を示す。
【
図45】
図45は、実施形態による、流体で充填された、代替調節式レンズシステムの断面図を示す。
【
図46A】
図46Aは、実施形態による、4つの主要部品を備える代替AIOLのアセンブリを図示する。
【
図50】
図50は、複数の方形形状環状領域縁部を備える代替AIOLレンズシステムを示す。
【
図51】
図51Aから
図51Cは、インデキシング特徴と嚢回転抑止を有する円環レンズを組み込む実施形態を図示する。
【
図52】
図52Aから
図52Cは、インデキシング特徴と嚢回転抑止を有する円環レンズを組み込む代替実施形態を図示する。
【
図53】
図53は、嚢回転抑止を有し、送達デバイス内に適切に位置するAIOLを示す。
【発明を実施するための形態】
【0121】
本明細書に記載される調節式眼内レンズ(AIOL)は、視力の改善をもたらすために使用され、白内障手術および眼内レンズ挿入機等、多くの既知の外科手技および装置のうちの1つ以上と組み合わせることができる。AIOLの光学構造は、眼の生体計測に基づく商業的に利用可能なIOL度数計算式とともに使用するのに非常に適しており、視力の改善をもたらすのに使用され得る。多くの実施形態では、医師は、本明細書に記載されるAIOLを容易に使用することができるように、従来の非調節式IOLと類似する方法で、本明細書に記載されるAIOLを挿入することができる。
【0122】
本明細書に記載されるAIOLの構造は、改善された調節式IOLを提供するための多くの方法のうちの1つ以上と組み合わせることができる。多くの実施形態では、AIOLは、柔軟な材料から構成される光学構造を備え、光学構造は、例えば、本明細書に記載されるように、眼の水晶体嚢の自然な力を用いて光学度数をもたらすように、触覚部に連結される。多くの実施形態では、偏向可能部材は、偏向可能部材の外側部分に対する半径方向内向きの力が偏向可能部材の内側部分の偏向をもたらすように、十分な半径方向強度を有する。偏向は、例えば、偏向可能部材の一次可逆的座屈を有し得る。多くの実施形態では、偏向可能部材は、内側部分が外面に沿って凸状曲率を有し、外側部分が外面に沿って反対の凸状曲率を有するように屈曲する。凸状内側部分はディスク形状を有し、外側凹状部分はディスク形状に隣接して環状形状を有し得る。凸状ディスク形状および凹状環状形状の配置は、例えば、偏向可能部材の直径にわたって2つの変曲点をもたらすことができる。
【0123】
半径方向に延在する偏向可能部材は、例えば、弾性係数、厚さ、または直径のうちの1つ以上により少なくとも内側部分を偏向させるために、半径方向強度をもたらす多くの方法のうちの1つ以上に構成されることができる。
【0124】
偏向可能部材は、水晶体嚢と係合する触覚部によって半径方向内向きに付勢されるときに偏向するように、多くの方法のうちの1つ以上で、触覚部に連結されることができる。多くの実施形態では、偏向可能部材は、偏向可能部材の外側部分が半径方向内向きに付勢されるか、または回転するか、またはこれらの組み合わせであるとき、少なくとも内側部分の形状の変化を誘導するように、十分な半径方向強度を有する。多くの実施形態では、偏向可能部材は、剛性部材に対する触覚部の回転が偏向可能部材の外側部分の半径方向内向きの移動および回転偏向を誘導するように、水晶体嚢に連結される。代替的に、または組み合わせて、触覚部は、半径方向の力により偏向可能部材を内向きに付勢し、外側部分の半径方向強度により偏向可能部材の内側部分を偏向させるために、半径方向に、かつ剛性部材に関して摺動するように配置されることができる。偏向可能部材は、例えば、外側部分の凹状偏向および内側部分の凸状偏向を助長するために、凹状外側部分または薄い環状領域等、偏向を助長するために外側部分に1つ以上の構造を備え得る。
【0125】
本開示は、改善された調節式眼内レンズ(AIOL)に関連するデバイス、方法、およびシステムに関する。いくつかの実施形態は、レンズの光学軸と同心のレンズ支持構造等により、それらの光学軸に沿って離間される2つの変形可能なレンズから構成される中央光学構造を備えるであろう。レンズおよび任意にレンズ支持構造によって境界された容積は、生理食塩水等のイオン溶液、またはデキストランもしくはシリコーン油等の非イオン溶液で充填され得る。同時に、光学構造は、1つ以上の触覚構造によって境界されてもよく、触覚構造は、流体で充填されるか、または別の実施形態では、レンズの光学軸に垂直な平面に配置されるかのいずれかである。触覚構造は、光学構造によって境界された流体と流体連通することができる。触覚構造と流体で充填された光学構造との間の流体の移動は、1つまたは両方のレンズを変形することにより、レンズの調節力を変化させることができる。代替的に、または組み合わせて、触覚構造は、変形をもたらし、調節力を変化させるために、流体で充填された光学構造のレンズに機械的力を直接加えてもよい。改善された調節式眼内レンズシステムは、本明細書に記載される特徴のいずれかの組み合わせをさらに含み得る。
【0126】
本明細書に記載されるレンズおよび支持構造のいくつかは、典型的には、水和されたときに光学的に透明であり、水和時に10%超膨張し、水和されたときに100%超のゆがみレベルを調節する、親水性材料から作製されるであろう。材料は、小さいディスクおよびロッドとして購入することができる。例えば、親水性材料は、Contamac Ltd.(UK)により製造されるCI18、CI21、またはCI26等のヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とメチルメタクリレート(MMA)のコポリマーを含み得る。さらに、本明細書に示され、記載される眼内レンズシステムのいずれかは、Benz
Research and Development(フロリダ、サラソタ)により製造されるBenz IOL 25 UVXTM材から成り得る。これらの材料はまた、本明細書においてPMMAとも表され、本明細書で使用される、PMMAは、PMMAを含むポリマー、またはPMMAポリマー(以後、「ポリ(メチルメタクリレート)」)または例えば、p(HEMA-co-MMA)等のHEMAとPMMAのコポリマーのうちの1つ以上等、PMMAを含むコポリマーを指す。本明細書で使用される、p(HEMA-co-MMA)は、HEMAとPMMAのコポリマーを指し、p(HEMA-MMA)とも称され得る。
【0127】
コポリマーは、例えば、ブロックコポリマー(PPPP-HHHH)、交互コポリマー(PHPHPHPH)、統計もしくはランダムコポリマー(PHPPHPHH)、星型コポリマー、ブラシコポリマー、またはグラフトコポリマーのうちの1つ以上を含み得、ここで、例えば、「P」は「MMA」を示し、「H」は「HEMA」を示す。
【0128】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルAIOLの構成要素は、以下の一般的な3D印刷プロセスのうちのいずれかを含むが、これらに限定されない、3D印刷によって作製され得る:ステレオリソグラフィ(SLA)、インクジェット材料噴射(IMJ)、デジタルライ卜プロセシング(DLP)、選択的レーザ焼結(SLS)、熱溶解積層、または溶解フィラメント製作(FDM/FFF)。SLA、IMJ、およびDLP等の方法は、PMMA等のヒドロゲルおよびHEMA等のコポリマーから成るAIOL要素の製作に特に適し得る。そのような実施形態では、出発材料は、ヒドロゲルポリマーのモノマー若しくはオリゴマー前駆体、またはこれらの組み合わせであり得る。本明細書において説明されるAIOLの作製において有用である、そのような1つのポリマーは、pHEMAを含み得、ここでは、重合反応は、適切な波長および期間のUV源によって光開始される。そのようないくつかの実施形態では、光開始は、印刷のために使用されるモノマーと混合された光開始剤化合物の添加によってさらに増強され得る。そのような光開始剤は、照明上の更なるフリーラジカルを放出することができ、それによって重合反応の速度を増加させる。光開始剤の選択を以下に列記する。
【0129】
いくつかの実施形態では、完全なAIOLは、3D印刷プロセス、および構造の内側の未重合材料を構築の完了後に除去することによって、作製され得る。代替的に、または組み合わせて、レンズ構造内の未重合材料は、材料の更なる重合が生じ得ないように、反応性末端基が非反応性になるように、処理され得る。他の実施形態では、AIOL構造は、機械加工された部品に対して、本明細書の他のいずれかの個所に説明されるように、後の組み立てのための、サブ構成要素として作製され得る。
【0130】
本明細書で使用される、外面の正の曲率は、凸状曲率を包含し、外面の負の曲率は、凹状曲率を包含する。
【0131】
本明細書で使用される、同様の参照番号は同様の構造を指す。本明細書に説明される多くの実施形態では、参照番号は、3桁または4桁からなり、最初の1桁または2桁は図の番号を指し、最後の2桁は異なる数字を有する図の中の同様の構造を指す。例えば、参照番号2503および3303は、それぞれ、
図25および33の類似する偏向可能部材を指す。当業者は、1つの図面の構造を説明する文章が本明細書に提供される任意の他の図の類似する構造に適用されることを認識するだろう。
【0132】
多くの実施形態では、偏向可能部材は、内部光学部分内の光学度数を集中させ、増幅するように、内部光学部分および外部延長部分を備える。内部光学部分は、増加した光学度数を提供する凸状に湾曲した外面を含むように剛性部材から離れて移動し得る。加えて、外側部分は、反対の曲率を含むように剛性部材に向かって偏向され、剛性部材に向かって移動し得る。反対に湾曲した外側部分は、内側部分内に光学度数変化を集中させるために、光学補正部分の直径を減少させることができる。内側部分の光学度数は、剛性部材からの内側部分の中央の距離の増加、および、外部延長部分から剛性部材までの距離の減少に関係する。内部分離の距離の増加と外部分離の距離の減少の、このような併用作用は、光学度数の増加において併用作用を有する。また、レンズの光学度数が、およそレンズの直径の平方として減少することができるとき、反対に湾曲した外側部分により提供される内側部分の減少した直径は、レンズの光学度数をさらに増加させることができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、眼内レンズ/レンズシステム、および/または、レンズチャンバまたは流体光学要素を画定する他の構成要素は、システムの光学度数を増加させるために、水よりも高い屈折率を有する水系の透明な流体で充填される。レンズチャンバ液体の高屈折率は、溶質の存在によりもたらされ得る。そのような溶質は、多くの場合、構成要素を画定するチャンバを横断することができない大きい分子を含む。そのような大きい分子の例としては、<40kD、<70kD、<500kD、および<1000kDの例示的な分子量を有する、デキストランが挙げられる。そのような溶質のさらなる例としては、糖分子が挙げられる。溶質および水は、浸透圧を有する希釈溶液を構成してよい。そのような浸透圧は、チャンバの中または外に水を移動させ、浸透平衡容積を達成することができる。そのような容積は、患者のために所望される強度に、システムにおいて適切な光学度数を生じさせるのに十分であり得る。
【0134】
本明細書に説明される調節式IOLの各々は、前方側面および後方側面を備える。レンズの節点は、好ましくは、レンズの光学構造の前面および後面からほぼ等距離の光学軸に沿って位置する中間点のレンズの光学軸に沿って位置する。多くの実施形態では、レンズの節点は、レンズの前方から後方までの配向を画定するために、周辺触覚レバー構造の間に延在する平面から離れて位置する。レンズの前方から後方までの配向は、本明細書に開示される教示に基づき、当業者が逆にすることができる。
【0135】
AIOLの光学構造の柔軟な材料は、多くの方法のうちの1つ以上において形状化され得、例えば、機械加工された構成要素、または成形された構成要素、およびこれらの組み合わせを含み得る。
【0136】
改善された調節式眼内レンズは、減少した送達断面を有し得る。減少した送達断面は、送達構成から動作構成に変換することができる光学構造によって容易にされ得る。光学構造は、送達構成において光学軸に沿って小さい寸法を有し、動作構成においては光学軸に沿ってより大きい寸法を有することができる。また、レンズ支持構造は、動作構成の2つのレンズの外縁間の距離を維持し、かついずれかの構成において、流体が、触覚構造と、光学構造によって境界された流体容積との間を通過することを可能にするように構成され得る。
【0137】
送達断面は、光学軸に垂直な送達軸の周囲にAIOLを折り畳むまたは丸めることによって達成されてもよい。送達断面は、送達軸に垂直な平面において測定された送達構成において最大寸法として測定され得る。本明細書に開示されるAIOLに達成可能な送達断面は、4.5mm未満、好ましくは2.5mm未満であってもよい。代替実施形態では、送達断面は、管または送達開口部にAIOLを強制的に通すことにより達成されることができる。そのような管は、AIOLが管の下に進むにつれて圧縮され得るように断面が円錐であってもよい。遠位端は、眼の切開口と接触するように定寸され得る。送達は、シリンジまたはプランジャによって容易にされ得る。
【0138】
眼内レンズシステムは、PMMAが、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、またはメチルメタクリレート(MMA)のうちの1つ以上を含む化合物を表す、少なくとも2つの親水性PMMAレンズから構成され得る。レンズシステムは、次の材料、とりわけ、特に、NiTi、ポリウレタン、親水性PMMA、光活性化ポリマー、PMMAの前駆体、エチレングリコールジメチルアクリレート(EGDMA)、シリコーン、シリコーンコポリマーのうちのいずれかまたはこれらの任意の組み合わせから構成される他の要素を含み得る。
【0139】
略平面部材または平凸部材のうちの1つ以上は、ポリマー材を含み得る。ポリマー材は、例えば、Contamac Ltd.(UK)またはVista Optics Ltd.(UK)から入手可能な材料を含み得る。例えば、PMMAコポリマーは、Definitive 50材料、Definitive 65材料、Definitive 74材料、Filcon V3材料、Filcon V4材料、Filcon V5材料、Optimum Classic材料、Optimum Comfort材料、Optimum Extra材料、Optimum Extra 16材料、Optimum Extra 18.25mm材料、Optimum Extra 19mm材料、Optimum Extra 21mm材料、Optimum Extreme材料、F2材料、F2 Low材料、F2 Mid材料、F2 High材料、Focon III 2材料、Focon III 3材料、Focon III 4材料、Hybrid FS材料、Contaflex GM Advance材料、Contaflex GM Advance 49%材料、Contaflex GM Advance 58%材料、Filcon I 2材料、Filcon II 2材料、Contaflex GM3 49%材料、Contaflex GM3 58%材料、Contaflex材料、Contaflex 58%材料、Contaflex 67%材料、Contaflex 75%材料、Polymacon 38%材料、Hefilcon 45%材料、Methafilcon 55%材料、Filcon II材料、Filcon IV 2材料、HI56材料、PMMA材料、CI26材料、CI26Y材料、CI18材料、およびContamac Ltd.(UK)から入手可能な他の変形物、ならびにVistaflex GL 59材料、HEMA/GMA材料、Advantage+49材料、Advantage+59材料、Filcon I 1材料、Filcon 12材料、VSO nVP材料、nVP/MMA材料、VSO 60材料、VSO 68材料、VSO 75材料、Filcon II 1材料、Filcon II 2材料、VSO pHEMA材料、pHEMA材料、HEMA材料、VSO 38材料、VSO 42材料、VSO 50材料、Vistaflex 67 Clear UV材料、ポリシロキシ-アクリレート材料、AddVALUEシリコーンアクリレート材料、AddVALUE 18材料、AddVALUE 35材料、ポリーフルオローシリコン-アクリレート材料、AddVALUE蛍光シリコーンアクリレート材料、AddVALUE 25材料、AddVALUE 50材料、AddVALUE 75材料、AddVALUE 100材料、強膜硬質ガス透過性材料、疎水性眼内レンズ材料、VOPhobic Clear Tg
16材料、VOPhobic Yellow Tg 16材料、親水性眼内レンズ材料、HEMA-MMAコポリマー材、IOSoft材料、IOSoft透明材料、IOSoft黄色材料、PMMA材料、Vistacryl CQ UV材料、Vistacryl XL青色材料、Vistacryl CQ材料、およびVista Optics Ltd.(UK)から入手可能な他の変形物を含むリストから選択され得る。多くの場合、ポリマー材は、透水性および親水性のうちの1つ以上であってもよい。患者の眼の水晶体嚢に存在する水分は、眼内レンズがその中に設置されたとき、水晶体嚢に存在する流体と浸透平衡を達成するように、ポリマー材を通して流体光学要素の中または外に移動してもよい。ポリマー材は、シリコーン油に不透過性であってもよい。ポリマー材は、40kDa超の分子量を有する化合物に不透過性であってもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、AIOLは、接触面区域が嚢の半環状領域を形成する封止部を作り出すように本来の嚢内に挿入され、接続し、この場合、半環状領域とAIOLの内部との間の流体移動がAIOLの調節の変化をもたらす。そのような実施形態では、生理食塩水等の流体は、半環状領域内に注入され得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、光学構造は、眼の嚢内に導入された後、送達構成から動作構成に変更される材料で構成される。そのような材料の1つは、導入後に光活性化により硬化される、送達構成では液体である光活性ポリマーを含み得る。別のそのような材料は、送達構成では光学軸に垂直な平面で薄い寸法を有し、導入後は誘導性カップリングを介して加熱することにより動作構成への変更が開始されるNiTi合金等の記憶金属を含み得る。他の実施形態では、NiTiは、送達構成から動作構成に移るためのその超弾性特性に依存し得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、光学構造は、送達構成よりも動作構成において機械的により安定しており、眼の嚢内に導入した後に、送達構成から動作構成に自然に変更される。そのような構成では、光学構造は、送達の直前、または製造時に、送達構成にされ得る。そのようなシステムの1つは、嚢内にデバイスを導入されると、送達構成から飛び出す超弾性金属要素を含み得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、レンズ支持構造および1つのレンズは、単一構造として機械加工されるか、または成形され、第2のレンズは、結合手段によって支持構造に固定される。多くの他の実施形態では、AIOLは、2つの半分から構成され、それぞれは、一緒に結合されて、光学構造を形成するレンズを組み込む。そのような実施形態は、触覚構造を組み込んでもよい。また他の実施形態では、第2の機械加工動作が、結合された構造に対して実施され得る。代替結合手段は、レンズの外縁部にねじ山を付け、支持構造の内面にねじ山を付ける、ねじ山等の機械的接続を含み得る。代替実施形態では、接続は、単純な締まり嵌めであることができる。いくつかの実施形態では、固定することは、別の結合表面のうちの1つまたは両方を前駆体モノマーで処理することにより材料を結合し、次いで、構造を組み立て、結合表面全体に負荷を加え、一定期間の間アセンブリを加熱するステップを含む。そのようなプロセスは、両方の部品を含む材料間の架橋を容易にし得る。場合によっては、前駆体モノマーは、ポリマーの小さい粒子と混合され得る。結合剤はさらに、とりわけ、ウレタン、シリコーン、エポキシ、アクリルを含み得る。
【0144】
本開示のデバイスにおいて、レンズは、水およびイオン透過性材料から構成され得る。いくつかの実施形態では、AIOLは、移植後に自動給水されてもよく、それにより送達断面を最小にする。
【0145】
代替実施形態では、AIOLは、移植後に充填される。
【0146】
図1は、中央レンズ支持構造11と、2つの触覚構造12と、2つの偏向可能レンズ13で、そのうちの1つのみが
図1に示される偏向可能レンズ13と、2つの圧縮バンド14から構成される調節式眼内レンズ(AIOL)システムまたは眼内レンズ10を図示する。触覚構造12は、最小負荷下で変形するように構成され、弾性材料から構成される薄壁構造を備え得る。AIOL10の内部容積は、水晶体嚢の周囲の眼の流体と同等の浸透圧の生理食塩水等、透明な流体で充填されることができる。あるいは、AIOL10は、本明細書の別の箇所に記載される高屈折率の流体で充填され得る。流体が触覚部から支持構造の内部容積内に移動するにつれてレンズが偏向され、それによってそれらの調節力を変化させるように、レンズ13が支持構造11に接続される。
【0147】
図1のレンズ支持構造11の側面図が、2つのレンズ13とともに
図2に図示される。レンズ13は、同じ形状のものであっても、異なる形状を有してもよい。レンズ支持構造11に含まれる触覚構造接触面特徴15も
図2に示される。触覚構造12の開口端は、触覚構造接触面特徴15にわたって嵌合し、圧縮バンド14を使用して、レンズ支持構造接触面特徴15にさらに固定される。さらに、いくつかの実施形態では、シリコーン等の接着剤または封止剤が使用され得る。代替実施形態では、圧力嵌めが使用され得る。さらに他の実施形態では、触覚部12は、触覚接触面上に成形され得る。一実施形態では、触覚部12は、後に支持構造11に結合されるPMMAバーブ上に成形される。該結合は、本明細書において以下に記載されるように、接着剤によるか、またはバーブと支持構造との間の架橋結合を容易にすることによってなされる。触覚構造12および触覚構造を接続するための材料は、シリコーン、PEBAX、ウレタン、PMMAとシリコーンのコポリマー、および他の弾性材料のうちのいずれか、または任意の組み合わせを含み得る。流体容積が支持構造11内で増加するにつれてレンズの中央が偏向可能とされる間は、レンズ13の外縁間の距離が支持構造11によって維持され得、それによって構造の調節力を変化させる。いくつかの実施形態では、触覚構造12は、押出で作製され得る。
【0148】
図3は、2つのレンズのうちの1つである第1のレンズ36が支持構造31内に含まれるか、またはそれと一体である、レンズ支持構造31を図示する。
図3の実施形態では、第2のレンズであるレンズ33は、ねじ山37を介して支持構造31に接続されるように構成される。構造35は、外向きに延在して、レンズ本体を触覚部に連結する。
【0149】
図3に示されるものと類似する中央支持構造の別の実施形態が
図4に図示される。この実施形態では、第2のレンズ43は、締まり嵌めを介して接続される。いくつかの実施形態では、締まり嵌めは、封止剤または接着剤の使用を通してさらに封止され得る。締まり嵌めは、構成要素を組み立て、再水和するために使用する手順によってさらに容易にされる。
図4に示される支持構造41に実施されるそのような手順の1つは、次の通りである。すなわち、レンズ46を備える支持構造41の底部が水和され、次いで、未水和状態のレンズ43が支持構造41に含まれる溝に嵌合され、支持構造41ならびにレンズ43および46が完全に水和され、次いで、必要に応じて、封止剤または接着剤が適用される。締まり嵌めの使用は、結合剤の必要性および/またはその量を最小にすることができる。
【0150】
図5は、支持構造51および触覚構造52の半分がAIOL50の上および下半分に含まれ、それにより全体が同じ材料から作製される、AIOL50の別の実施形態を図示する。2つの半分は、シーム59で一緒に結合されて、完全な触覚および支持構造51を形成する。レンズ53は、半分の構造と一体であるか、または支持構造51に結合されるかのいずれかであってよい。製造環境では、1つのレンズを整合し、構造の残部を作製した後に結合することにより、2つのレンズの光学軸が正確に整合されることを確実にする利点をもたらすことができる。
【0151】
図1および2に示される実施形態では、触覚構造12は、レンズの光学軸に垂直な平面で広がり、支持構造11から離れて折り畳まれ得るような方法で構成される。そのような構成は、流体で充填されたデバイスの送達断面の減少を容易にすることができる。
図6および7に示される実施形態では、触覚構造は、レンズ支持構造と一体であり、かつレンズ支持構造の外周の周囲に連続して取り付けられる。
【0152】
図6は、AIOL60の実施形態を図示し、触覚構造62および支持構造61は一体であり、環状様構造として構成される。すなわち、環状様構造の内径は、支持構造61を含む。流体は、開口部67を通して触覚構造62と支持構造61の内部容積との間を流れることが可能にされてもよい。AIOL60は、シーム69で2つの半分を結合することによって作製されることができる。レンズ63は、半分と一体であるか、または半分に別個に結合されてもよい。
【0153】
図6の実施形態の変形が
図7に図示される。AIOL70の実施形態は、送達断面を減少させるのに役立つ特徴を組み込む。支持構造の半分は、それぞれAIOL70の上および下半分に含まれてもよく、それぞれ城郭状リング(castellated ring)を形成する空間によって分離される一連の構造71から構成され得る。城郭状構造は、シーム79で結合される前の組み立て時にかみ合わせることができる。ばねリング79’は、溝に嵌合することができ、光学軸に沿った変位に対して構造の上および下半分を係止することができる。
図7に示されるように、レンズ73は、AIOL70を含む半構造と一体であることができる。他の実施形態では、レンズ73は、分離され、別の時に結合され得る。そのような実施形態では、支持構造は、城郭状要素がより大きい曲率半径で折り重なることができるため、送達中により大きく変形することができる。AIOL70は、特徴78も含み得、これは、結合プロセス中にシーム79にわたって直接圧力を適用する手段を可能にすることができる。シームを含む表面は、結合剤の流れを方向付け、空隙を作り出す可能性を最小にするために、面取りまたは平縁をさらに組み込む場合がある。
【0154】
図8は、AIOLの送達後に硬化することができる流体で充填された弾性支持構造81を備えるAIOL80の実施形態を表す。そのような流体は、光学的に硬化されてもよく、例えば、UV硬化シリコーンもしくはエポキシ、コラーゲン溶液等のpH硬化流体、または熱硬化流体を含み得、この場合、材料は、マグネタイト粒子等の誘導的に加熱されることが可能な粒子の懸濁液を含む。チャネル87は、流体が触覚部と支持構造の中央容積との間を通過するのを可能にすることができる。
【0155】
代替実施形態では、AIOL80の支持構造81は、
図9Aに示されるAIOL80の拡張構成に示される、チャネル構造97を備える支持構造91で、または
図9Bおよび9Cに示される支持構造98により置き換えることができ、これは、組み立て前に
図9Bに示される平坦化構成99を備えるように平坦化され、後に、
図9Cに示されるように、送達後に動作構成を取ることができる誘導性カップリングにより加熱される記憶金属から構成され得る。かかる構成は、断面の減少をもたらすことができる。
【0156】
本明細書に記載される実施形態は、レンズの適切な光学整合を確実にするために、組み立ての順序、ならびに長期固化、熱、圧力、および/または光学開始結合材料の使用も可能にする。
【0157】
HEMAとMMAのコポリマーの結合は、結合表面をEGDMAまたはトリエチレングリコールジメチルアクリレート(TEGDMA)で処理し、次いで、結合した表面を圧力および温度に曝すことにより容易にされてもよい。処理は、蒸気処理、湿潤、湿潤して蒸発させること、EGDMAまたはTEGDMAおよびヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーの粒子の混合物を適用することを含んでもよいが、これらに限定されない。そのような手順の1つにおいて、40ミクロンのHEMAとMMAのコポリマーのビーズがEGDMAと混合され、結合剤として使用され得る。そのような結合スキームは、シームがないか、またはシームが最低限であり、結合接続の機械的性質が構造と同じ機械的性質を有するという点で利点をもたらすことができる。
【0158】
送達手順は変動してよく、デバイスの実施形態に依存するであろう。典型的には製造時に作動液で事前充填され、すぐに使用することができるAIOLの一送達手順において、デバイスは、患者の要求に一致するサイズおよび基準調節強度に選択され得る。眼は、非調節レンズの滴下注入に典型的な、標準的な手順に従い準備されるが、いくつかの実施形態においては、切開が大きい場合がある例外の可能性がある。AIOLは、注入機に装填され、次いで、準備された眼の嚢内に注入される。次いで、AIOLは、位置が調節され得る。代替送達手順では、レンズは、手術時に充填される場合がある。そのような手順では、充填は、AIOLを定寸することと、AIOLの基準強度を設定することとを含み得る。そのような手順を調節するために、デバイスは、移植前に結合により封止可能であってよい充填ポート、または弾性材料等の自己封止材料を含むポートを組み込むことができる。
【0159】
またさらなる代替では、AIOLは、移植後に充填され、それにより送達断面を最小にする。そのような実施形態では、移植後、デバイスは、前述のとおり、充填ポートを介して充填され得る。代替実施形態では、デバイスは、最初は完全に水和されていない状態にあり、眼の自然に利用可能な流体による自己充填等により、移植後に完全に水和され得る。例えば、AIOLは、AIOL内の流体要素等、完全に水和されない状態の材料を含み得、これは、眼からの流体により完全に水和されることができ、水和プロセス中のAIOLからの漏出が阻止される。そのような実施形態は、AIOLに含まれる材料の透水性および小分子に依存し得る。そのような手順では、適切に定寸され、適切な作動液、典型的には、眼に自然に生じる流体に相当する浸透圧およびイオンバランスを有する生理食塩水溶液で充填されたデバイスは、超高分子量デキストランの溶液等の大きい分子の高張溶液に曝すことにより、移植ができるように準備される。この前処理は、移植前にAIOLの外に流体を引き出し、それによりその送達断面を減少させることができる。次いで、AIOLは、眼の切開を通して移植されることができる。移植後、AIOLは、眼から流体を除去し、その流体および光学平衡を回復することができる。いくつかの実施形態では、AIOLの浸透圧は、製造時にAIOLを含む材料を通して拡散するにはあまりにも大きい分子を組み込むことによりさらに調節され得る。そのようなシステムでは、AIOLの平衡充填圧は、調節されるか、または充填時に設定され得る。
【0160】
図10は、流体チャンバが位置1004および1005で嚢の赤道領域1002を封止することにより形成される、代替触覚構造を有するAIOLを示す。赤道チャンバ1002は、AIOLの構造の穴1007により後方チャンバ1006と連通することができる。毛様体の移動は、チャンバ1002の流体をチャンバ1006の中および外に通過させ、単一光学要素1003を偏向し、調節をもたらす。
【0161】
チャンバ1002および1006は、水性流体(aqueous)のように自然に、または生理食塩水等の他の流体のいずれかで充填され得、接触位置1004および1005での漏出を阻止するために粘稠な凝集性流体が使用され得る。
【0162】
封止を改善するための様々な方法が、位置1004および1005で採用され得る。すなわち、結合剤として糊が嚢に適用され得る、線維形成機構が誘導され得る、嚢をへこませることにより嚢に対する封止を増加させるために、鋭い突出部が接触点に提供され得る、嚢切開1001の端部を捕捉するための手段を有する前方接触位置1005が提供されることができる。
【0163】
偏向および変位、したがって、光学度数を増加させるために、光学領域の縁部に沿ってヒンジ手段を有する光学要素1003が提供され得る。
【0164】
アセンブリは、結晶質に近い寸法の外部包囲体を有し得、したがって、嚢収縮の可能性を最小限にする。
【0165】
従来の触覚部がないことによる定寸の問題はあまりないかもしれないが、唯一関連性のある嚢寸法はその高さであり得る。
【0166】
システムは、房水の浸透圧の相違に無作用であり得る。
【0167】
漏出の可能性を減少させるために、切断されたときの寸法が調節幾何学構造にあり得る。
【0168】
図11は、多くの実施形態による、水晶体嚢の赤道および後方領域を封止することによって流体チャンバを形成するように構成された触覚構造を備える2つの光学要素レンズシステムを組み込む、代替AIOLを示す。さらなる後方光学要素1101は、流体光学要素または流体チャンバ1102を画定し、光学的な理由のために提供され得る(例えば、流体チャンバ1102を確立し、改善された光学調節を提供する)。
【0169】
図12は、多くの実施形態による、水晶体嚢の赤道および後方領域を封止することによって流体チャンバを形成するように構成された触覚構造を備える2つの光学要素を組み込み、薄膜1201が流体を含むように構造に取り付けられ得る、代替AIOLを示す。
【0170】
図13は、多くの実施形態による、1つの光学要素を組み込む水晶体嚢の赤道および後方領域を封止することによって流体チャンバを形成するように構成された触覚構造を有し、薄膜1301が単一光学要素の実装に対して流体を含むように構造に取り付けられ得る、代替AIOLを示す。
【0171】
図14Aおよび14Bは、多くの実施形態による、単一光学要素のレンズ支持構造1401がデバイスの外周に沿って円周方向に均一に開き、該レンズ支持構造が流体で充填された、または他の従来の触覚部に接続されない、代替AIOLを図示する。AIOLデバイスは、水晶体嚢受容構造またはチャンバ1405に留まるように
図14Aおよび14Bに示され、レンズ支持構造1401は、1402で後方水晶体嚢に接触し、1403で前方水晶体嚢にも接触する。デバイスは、前方嚢開口部1404およびレンズ支持構造1401が以下に記載される作動機械的封止部に影響を及ぼすようなある方法で嚢切開1001と整合し得るように、位置付けられることができる。
図14Bは、水晶体嚢が、設置されたデバイスに一致し、レンズの調節の起動および緩和のためのチャンバ1405および1406を作り出すために必要とされる封止部を提供する、手術後の、設置されたAIOLを図示する。AIOLは、取り付け区域が嚢の半環状領域を封止するように、本来の嚢内に挿入され、接触し得る。半環状領域とAIOLの内部との間の流体移動は、レンズ表面1407の偏向等、AIOLにおける調節変化をもたらすことができる。
【0172】
図15-23Bは、それらの製造に重点を置いた、代替AIOL実施形態を図示する。
図15は、前方レンズ要素1501および後方レンズ要素1502から構成される光学サブアセンブリである。光学流体チャネル1503は、流体が流体光学要素または光学チャンバ1504に流入することを可能にし、サブアセンブリは、取り付け穴1505でレンズ支持構造1601に結合される。
【0173】
図16Aおよび16Bは、レンズ支持構造1601内に挿入成形され、接触点1602および1603が1604で一緒に結合されて、AIOLの組み立てを完了する、
図15の光学サブアセンブリを示す。
【0174】
図17は、後方不透明化セルダム1701および嚢切開支持フランジ1702を組み込む、
図16に前述されたものの修正された実施形態を示す。
【0175】
図18は、光学サブアセンブリ1806がレンズ支持構造1805内に挿入成形され、触覚構造1801が点1802および1803で1805に結合されて、触覚流体チャンバ1804を作り出す、AIOLの最終アセンブリを図示する。この構成は、代替として、光学アセンブリ1901が、溶剤または熱のいずれかを使用して、挿入支柱1902で支持構造1903に結合される、
図19に図示されるレンズ等のレンズを組み込んでもよい。
図19のレンズシステムは、約10%膨張し、それにより流体密な圧力嵌めをもたらすまで、レンズシステムを水和することにより、組み立て後に封止される。
【0176】
図20は、
図19等に示される光学アセンブリを組み込む、AIOLの上面図である。挿入点および結合点2001が示される。調節は、触覚構造2003が水晶体嚢(図示せず)の赤道外周によって圧縮されるにつれ、流体チャネル2002が中央流体光学要素またはレンズチャンバ内への流体の移動を可能にするとき、生じ得る。触覚部のレリーフ2004によって、圧縮中には最小の円周方向応力をもたらす、圧縮が緩和されると、非調節位置への迅速な回復をもたらすことができる。
【0177】
図21Aは、触覚構造における最小変形の点2101を示す
図20のAIOLの側方断面図であり、
図21Bは、触覚構造に対して生理学的に適切な負荷が与えられた触覚構造の変形を示す。
図22は、
図20、21A、および21BのAIOLアセンブリの等角図である。
【0178】
図23Aは、レンズシステム2302が触覚構造包囲体2303内に挿入成形される、代替実施形態および組み立て方法である。
図23Bは、触覚チャンバ2308を作り出す封止された触覚シーム2307と、中央流体光学要素またはレンズチャンバ2304を有する完成したAIOLアセンブリを示す。
【0179】
図24は、本明細書に記載される光学構造、後方触覚構造2406、および前方触覚構造2407から構成される代替触覚構造および支持構造を備える代替低プロファイルAIOLを示す。光学構造は、支柱2441への取り付けを介して整合および固定され得、支柱2441は、点2401で結合され得る。AIOLの外縁2402における触覚シーム2442は、結合されて、封止部を形成し、触覚流体貯蔵部2404を作り出すことができる。そのような実施形態では、点2401での結合および触覚シーム2442は、流体が触覚流体貯蔵部2404の中および/または外に漏出するのを防止するために、流体密な封止を形成することができる。中央光学構造は、偏向可能であり得る前方平面部材2403と、偏向に耐性があり得る後方平凸部2410とを備え得る。
【0180】
本明細書に記載される実施形態は、多くの方法のうちの1つ以上のもので組み合わせることができる。例えば、
図25A-28Bおよび31-35Bの実施形態は、本明細書に記載される類似する、または代替構造、およびこれらの組み合わせを含むように組み合わせることができ、図の識別番号の最後2桁は、同様の構造を示す。
【0181】
図25Aは、
図24に類似するAIOLの調節可能性のモデルを示す。AIOLは、遠見のための非偏向構成2521と、近見のための偏向構成2522とを有する。AIOLは、レバー触覚構造2502に連結された前方平面偏向可能部材2503の平面構成を有する非調節構成で示される。触覚部2502の外側構造は、水晶体嚢を係合するように構成され、本明細書に記載されるように、嚢に対する圧力を減少させるための構造を有し得る。剛性部材2510は、遠見のための光学度数を提供するためのレンズを備え得る。偏向可能部材2503は、例えば、実質的に一定の厚さを有する略平面部材を備え得る。偏向可能部材2503は、内部光学部分と、外部外縁延長部とを備える。延長部は、内部光学部分と回転触覚構造2502との間に延在する。内部光学部分が凸状偏向を有する場合、内部光学部分の下のチャンバの流体は、光学補正を提供するように成形される。
【0182】
偏向可能部材2503および剛性部材2510は、内部チャンバ2512の少なくとも一部分を画定する。内部チャンバ2512は、眼の房水の屈折率よりも大きい屈折率を有する流体を含む。偏向可能部材2503が増加した曲率を有する場合、内部流体は、凸状レンズ形状を有し、さらなる光学度数をもたらす。
【0183】
AIOLは、剛性部材2510の外面から偏向可能部材2503の外面に延在する中央の厚さを有する。中央の厚さは、遠見構成にあるAIOLレンズの第1の中央の厚さ2530と、近見構成にあるAIOLレンズの第2の中央の厚さ2531とを有し得る。中央のレンズの厚さの増加は、レンズの光学度数の増加に関連する。レンズの光学度数の増加はまた、中央光学部分の直径の平方にほぼ逆比例して関連する。延長部分は、光学部分の直径を減少させ、第1の距離2530から第2の距離2531の変化量に関する光学度数の増加をもたらすことができる。
【0184】
剛性部材2510は触覚構造2502に接続されるため、レンズが近見のために調節されるとき、触覚構造2502が回転する。触覚構造2502は、触覚部が剛性部材2510に対して回転する固定点(
図26に示す固定点2640に類似する位置)等の第1の固定領域まで延在する。触覚構造は、第1の固定領域から水晶体嚢の壁までの距離を延在する。触覚構造2502は、第2の固定領域または点(
図26に示す固定領域または点2641に類似する位置)等の第2の固定領域まで延在する。第2の固定領域は、偏向可能部材に内向きの力を誘導するために、偏向可能部材2503に連結される。第1の領域から水晶体嚢を係合する触覚部の外側構造までの距離は、第1の領域から第2の領域までの距離よりも長い。この距離の差は、偏向可能部材2503に水晶体嚢力の機械的てこ作用をもたらす。偏向可能部材2502に対する水晶体嚢の力は、偏向可能膜の凸状偏向2524を誘導する。延長部2511は、反対の凹状曲率を有する。
【0185】
延長部分は、反対の凹状曲率を有し得るが、この曲率は、視覚的乱れを減少させるために、多くの方法のうちの1つ以上で提供されることができる。調節光学補正の量は、延長部分の反対の曲率によって患者の知覚可能な光学的影響をもたらす可能性がないように、約2~10ジオプターであってもよい。また、眼は本来、球状収差を有し、少量の収差は知覚できない場合がある。さらに、レンズは、瞳孔が反対に湾曲する凹状部分の少なくとも一部分を覆うように定寸されることができる。少なくともいくつかの実施形態では、偏向可能構成要素の延長部分の厚さプロファイルは、反対の曲率を偏向可能部材のより薄い外側部分に集中させるために薄くあり得る。湾曲した偏向可能部材がもたらされ、内部反射に関する視覚の乱れを抑止するように構成され得るが、実施形態に関する研究は、略平面偏向可能部材が、例えば、内部反射により生じ得る視覚の乱れを減少させることを示唆する。
【0186】
多くの実施形態では、触覚部2502は、チャンバ2512に連結された外側貯蔵部を備え、外側貯蔵部に対する触覚部の力は、例えば、固定点2541での触覚部2502の内向きの力に加え、眼が調節すると、チャンバ2512に向かって流体を付勢することができる。
【0187】
本明細書に記載されるAIOLは、有限要素モデル化を用いて研究することができる。有限要素モデル化は、多くの方法のうちの1つ以上のもので行うことができるが、多くの実施形態では、有限要素モデル化は、当業者に公知であるAbaqus等の既知の商業的に入手可能なソフトウェアを用いて行われる。本明細書に記載されるレンズは、有限要素メッシュおよび本明細書に記載される1つ以上の材料の既知の材料性質を用いてモデル化され、水晶体嚢力に対するAIOLの応答が決定され得る。
【0188】
当業者は、本明細書に記載されるレンズの有限要素モデル化出力を取り、例えば、眼に調節を提供するための適切なAIOLパラメータを決定するために、水晶体嚢力に応じてAIOLの光学度数を決定することができる。少なくとも
図25Aから
図28Bおよび
図31から
図35Bは、実施形態による、水晶体嚢の力に対するAIOLの応答を示す。
【0189】
図25Bは、
図25Aが開発されたモデルの断面図を示す。レンズまたは光学構造2505は、個々のレンズ間にさらなる空間を有し、後方触覚構造2506および前方触覚構造2507はさらなる嵌合表面2508を組み込むことに留意されたい。そのような実施形態では、触覚構造2506、2507は、レンズまたは光学構造2503上に被覆成形され得る。触覚構造2506、2507は、熱可塑性または溶剤溶着性材料から構成されてもよく、それにより2つの半分の接合を容易にする。嵌合表面2508を備える特徴は、
図25Cに示す流体通路2509または位置決めおよび整合特徴(図示せず)も含み得る。
【0190】
図25Aから
図25CのAIOLによる実施形態では、偏向可能構造またはレンズ2503の偏向は、触覚構造2502の中間部分により偏向可能構造またはレンズ2503に伝達される触覚構造2502の周辺縁部に適用される機械的力によって主に駆動され得る。偏向可能構造またはレンズ2503は、非偏向レンズ2510上に直接載置されないため、偏向可能構造またはレンズ2503は、示されるように留められてもよい。そのような実施形態では、偏向可能レンズまたは構造2503が受ける偏向は、偏向可能構造またはレンズ2503と非偏向構造またはレンズ2510との間に作り出される流体光学要素またはレンズの調節力を増加させ、流体光学要素の容積は、調節力が増加すると増加するであろう。したがって、さらなる光学流体が必要とされ、チャネル2509を介して、触覚構造2502に含まれる貯蔵部からもたらされ得る。
【0191】
図26は、
図25Aから
図25CのAIOLの変形を表し、前方触覚構造2602は、偏向可能構造2603への偶力を向上させるよう、触覚構造壁2606で剛化されている。眼の嚢構造の赤道領域からもたらされる力は、触覚構造2602の外縁を介して合わせられ、屈曲点2611の周囲にモーメントを作り出す。モーメントは、偏向可能構造2603の外向きの偏向をもたらす。
図26のAIOLは、剛性部材2610、内部チャンバ2612、偏向構成2622、凸状偏向2624、内部光学部分2625、第1の中央厚さ2630、第2の中央厚さ2631、固定点2640、固定点または領域2641等、
図25Aから
図25Cのそれらに類似した要素を含み得る。
【0192】
図27は、
図24のそれに類似するAIOL2700の調節可能性の表示である。AIOLは、偏向可能構造または前方レンズ2703と、剛性または非偏向可能部材2710と、偏向可能構造2703および剛性部材2710を支持する触覚構造2702とを含む。眼に設置されると、偏向可能部材2703は、AIOLの前方部分に位置し、剛性部材2710は、AIOLの後方部分に位置することができる。この実施形態では、触覚構造2702の触覚壁2706は、AIOLの内部チャンバ2712の流体レンズ構造と流体連通する(例えば、流体チャネルを通して)触覚貯蔵部2707に連結される。光学構造の偏向可能部材2703の偏向は、触覚構造2702および触覚壁2706の偏向により作り出される流体圧力によって少なくとも一部もたらされ得る。例えば、触覚構造2702の外縁は、触覚構造2702の外縁に適用される力(例えば、嚢構造の内向きの力)によって回転することができ、同時に、触覚貯蔵部2707において内向きの崩壊を引き起こし、それにより触覚貯蔵部2707内の圧力を増加させ、そこから流体レンズ構造2712内に流体を移動させる。流体レンズ構造2712の容積の増加は、剛性部材2710に対して偏向可能部材2703を前方に移動させることができ、それにより曲率を増加させ、眼の光学度数を増加させる。いくつかの実施形態では、触覚構造2702の回転は、眼の光学度数を増加させるために、触覚構造2702に対して偏向可能構造2703および剛性部材2710を回転方向の反対方向に一緒にさらに移動させることができる。AIOL2700は、
図25Aから
図25Cおよび
図26に記載のAIOLのそれらと類似した要素をさらに含み得る。例えば、AIOL2700は、屈曲点2711、偏向構成2722、凸状偏向2724、内部光学部分2725、第1の中央厚さ2730、第2の中央厚さ2731、固定点2720、固定点または領域2741をさらに含み得る。
【0193】
図28Aおよび
図28Bは、
図25および
図26のAIOLの変形を図示する。
図28Aは、AIOLの半断面を示す。AIOLは、光学またはレンズ構造2805から構成され、同時に、偏向可能構造または部材2803、剛性もしくは非偏向可能レンズまたは部材2810、および流体で充填されたレンズチャンバまたは流体光学要素2812から構成される。光学またはレンズ構造2805は、触覚構造2802により一緒に保持されることができる。触覚構造2802は、AIOLの要素が組み立て中に積み重ねることができる整合構造2816を有し得る。整合構造2816は、整合支柱2822およびダイヤフラム要素2826も備え得る。他の要素は、スペーサー2814およびカバーシール2815を含む。触覚構造2802が構成される材料は、典型的には、溶剤および/または熱溶着性である。スペーサー要素2814は、流体で充填されたレンズチャンバ2812とダイヤフラム2826を備える触覚貯蔵部2813との間の流体連通を容易にするチャネルを備える。流体で充填されたレンズチャンバ2812および触覚貯蔵部2813は、封止された貯蔵部等の閉鎖システムを形成してもよい。この実施形態では、触覚貯蔵部2813は、触覚構造2802の外縁に適用される作動力による変形のようには変形されない。ダイヤフラム要素2826は眼の嚢構造から伝達される直接的な力を受けることから隔離され得、代わりに、流体で充填されたレンズチャンバまたは流体光学要素2812内の圧力変化の調節において偏向する。ダイヤフラム要素2826は、
図28Bに示されるダイヤフラム要素2826の前方偏向が流体で充填されたレンズチャンバ2812の容積の増加および偏向可能構造2803の後方偏向に対応するように、流体で充填されたレンズチャンバ2812に流体的に連結され得る。そのような実施形態は、調節を媒介するために嚢の赤道領域で発生した力のみを使用することが望ましい場合、利点を有し得る。そのような実施形態では、内部レンズチャンバの圧力は負であり得る。
図28Aおよび
図28BのAIOLは、屈曲点2811、非偏向構成2821、2821、凸状偏向2824、内部光学部分2825、第1の中央厚さ2830、第2の中央厚さ2831、固定点2820、固定点または領域2841等、
図25Aから
図25C、
図26、
図27に記載のAIOLのそれらを類似した要素をさらに含み得る。
【0194】
図24から
図28Bの実施形態等、上述の実施形態の多くにおいて、AIOLは、その構成要素の全てが乾燥状態にあるときに組み立てられるであろう。光学またはレンズ構造が親水性PMMAコポリマーから構成される場合、システムは、組み立ての完了時に水和されるであろう。水和される際、親水性レンズ構成要素は膨張し、それにより構造内のチャンバの封止を強化する。
【0195】
図29は、AIOLの実施形態を示し、レンズまたは光学構造は、AIOLの2つの半分2906および2907のそれぞれの中にレンズ2910を被覆成形することにより作製される。示されるように、レンズは同じである。しかしながら、いくつかの実施形態では、1つのレンズが偏向可能であり、もう1つがそうではないとき等、それらが異なることが望ましい場合がある。触覚流体チャンバ2913を備える触覚構造2902は、構造2906の周辺要素を折り畳み、それを結合表面2903に結合することにより、組み立て時に作製されることができる。この実施形態では、シーム2908は、位置2909等において未結合のまま残してもよい。そのような実施形態では、圧力が触覚構造2902の外面に適用されると、レンズ2910が変位および偏向されるだろう。そのような構造は、構造が圧縮されたときに上および下半分が互いに陥入することができるため、送達断面を最小にすることにより利点をもたらし得る。
【0196】
図30は、レンズがAIOL構造のいずれかの半分内に被覆成形されるとき、触覚構造2902の構成要素の固定を容易にする穴特徴2920を組み込む、
図29のAIOLからのレンズ構造を図示する。
【0197】
図31は、凹状領域3111、剛性または非偏向可能部材3110、および流体で充填されたチャンバ3112を備える偏向可能部材3103を備えるAIOL3100の実施形態を示す。この実施形態では、凹状部材3111の凹面は、剛性または非偏向可能部材に対して凹状領域3111の中央部分の内向きの偏向に、剛性または非偏向可能部材に対して偏向可能部材3103の外向きの偏向を生じさせて凸状構成にする。多くの実施形態では、AIOL3100が水晶体嚢内に設置されるとき、凹状領域3111の内向きの偏向は前方向にあり、凹状部材3111の中央部分の外向きの偏向は後方向にあり、代替実施形態では、逆もまた同様である。多くの実施形態では、凹状領域3111は、均一の厚さを有する。AIOL3100は、内部チャンバ3112、偏向構成3122、凸状偏向3124、内部光学部分3125、第1の中央厚さ3130、第2の中央厚さ3131、固定点3140、固定点または領域3141等、上述(
図25Aから
図25C、
図26、
図27、
図28Aから
図28B等)のAIOLのそれらに類似した要素をさらに含み得る。
【0198】
図32は、凹状領域3211、剛性または非偏向可能部材3210、流体に充填されたレンズチャンバ3212、および壁を有する触覚構造3221を備える偏向可能部材3203を備えるAIOL3200の実施形態を示す。この実施形態では、凹状部材3211の凹面は、剛性部材3210に対する触覚および触覚構造壁3221の回転を、剛性部材3210に対して偏向可能部材3203の外向きの偏向に変換するため、偏向可能部材の外側部分が剛性部材に向かって移動するにつれ、偏向可能部材3203の中央が剛性部材3210から分離する。多くの実施形態では、AIOL3200が水晶体嚢内に設置されると、凹状領域3211の内向きの偏向は前方向にあり、凹状部材3211の中央部分の外向きの偏向は後方向にあり、代替実施形態では、逆もまた同様である。多くの実施形態では、凹状領域3211は、ヒンジとして作用するように、偏向可能部材3203の残部を薄くする。例えば、凹状領域3211は、偏向可能部材3203の外面領域の凹状切欠きを含み得る。AIOL3200は、偏向構成3222、凸状偏向3224、内部光学部分3225、第1の中央厚さ3230、第2の中央厚さ3231、固定点3240、固定点または領域3241等、上述(
図25Aから
図25C、
図26、
図27、
図28Aおよび
図28B,
図31等)のAIOLのそれらに類似した要素をさらに含み得る。
【0199】
図33は、非偏向構成3321および偏向構成3322のAIOLの概略図を示す。AIOLは、剛性または非偏向可能部材3310(例えば、もう1つ凸状に湾曲した光学表面)、偏向構成3325まで偏向することができる偏向可能部材3303(例えば、ひずみを阻止するために均一かつ一定した厚さを有する光学材料)、流体で充填されたチャンバ3312、およびレバーまたは片持ち触覚構造3302を備える。レバー構造の触覚部3302は、剛性部材3310の外縁付近の薄い部分等、第1の固定点3340または領域で剛性部材3310に接続される。第1の固定点3340または領域は、剛性部材3310の外縁を通って延在する軸に沿った任意の点または領域、およびレバー構造の触覚部3302の外周であってもよい。AIOLが眼の水晶体嚢に設置されると、レバー構造の触覚部3302の外周は、眼の光学軸を横断する、またはそれに垂直な方向に延在し得る。レバー構造の触覚部3302は、第2の固定点3341または領域で弾性延長部3311を通して偏向可能部材3303にも接続される。多くの実施形態では、弾性延長部3311は、偏向可能部材3303の厚さよりも薄い厚さを有する。これらの実施形態では、レバー構造の触覚部3302は、厚さおよび厚さより大きい長さを有する。レバー構造の触覚部3302の長さは、機械的てこ作用(例えば、水晶体嚢からの内向きの力または眼の圧力)が眼の水晶体嚢に接触するレバー構造の触覚部3302の端部から第2の固定点3341に適用され得るように、第1の固定点3340と第2の固定点3341との間の距離よりも長くてもよい。
【0200】
多くの実施形態では、剛性部材3310の第1の固定点3340の周囲でのレバー構造の触覚部3302の回転は、反対の曲率で反対方向に弾性延長部3311および偏向可能部材3303を偏向させるために、弾性延長部3311に力を加えることができる。例えば、回転は、弾性延長部3311を、凹状外面を有する剛性部材3310に近づかせ、偏向可能部材3303を、凸状外面を有する剛性部材3310からさらに離れて分離させてもよい。偏向可能部材3303の偏向は、第1の直径D1から第2の直径D2への遷移を伴う場合があり、第2の直径D2は、第1の直径D1よりも小さい。直径のサイズの減少により、偏向可能部材3303の球状偏向等の凸状偏向3324を剛性部材3310から離れさせることができる。偏向構成3322において、偏向可能部材3303の凸状偏向3324は、曲率によって特徴付けることができ、弾性延長部3311は、反対の曲率によって特徴付けることができる。凸状偏向3324の曲率は、弾性延長部3311の曲率の反対であることができる。例えば、凸状偏向3324の曲率は、AIOLの外面に沿って正の曲率であってもよく、延長部の曲率は、AIOLの外面に沿って負の曲率を有し得る。
【0201】
D1からD2への偏向可能部材3303の直径の変更は、剛性部材3310から離れる、対応する増幅した移動をもたらし得るため、第1の高さ3330と第2の高さ3331との間の偏向高さは、対応する直径の変更よりも大きい。そのような実施形態では、球状偏向の正の曲率は、AIOLの光学度数を変化させるために、流体で充填されたチャンバ3312により凸状に湾曲したプロファイルを取らせることができる。流体で充填されたチャンバ3312の形状の変化は、容積の増加をもたらし、それにより周辺貯蔵部等から流体を流体で充填されたチャンバ3312内に引き入れることができる。代替的に、または組み合わせて、偏向可能部材3303および流体チャンバ3312の形状の変化は、チャンバ3312の容積を実質的に変化させることなく生じ得る。例えば、流体で充填されたチャンバ3312の形状の変化は、例えば、チャンバ3312の外側部分から流体を引き込むことにより、および周辺貯蔵部から流体を引き込むことなく、内部流体の再分布により光学度数を変化させることができる。また、レバー構造の触覚部3302の回転は、AIOLが水晶体嚢内に設置されるとき、レバー構造の触覚部3302の外縁に対して前方向に偏向可能部材3303および剛性部材3310を一緒に並進させることができる。そのような並進は、眼の光学度数をさらに変化し得る。剛性部材3310から偏向可能部材3303を分離すること、偏向可能部材3303を偏向させてその曲率を増加させること、ならびに偏向可能部材3303および剛性部材3310を前方向へ一緒に並進させることとが組み合わされて、眼の光学度数を変化させ得る。例えば、この組み合わせは、AIOLを収納する水晶体嚢における小さな収縮を、AIOLの光学度数における顕著な変化に増幅することができる。そのような光学度数における変化は、分離、偏向、および並進動作のうちのいずれか1つのみの場合よりも大幅に大きくてもよい。
【0202】
本明細書に記載される触覚構造は、シリコーン、ウレタン、または他の好適な熱可塑性のもの、PMMA、およびPMMAコポリマーを含み得る。多くの実施形態では、触覚構造は、光学構造と同じ、または類似する材料を含む。
【0203】
図34Aは、実施形態による、AIOLを示す。本明細書に記述されるように、非偏向構成3421は破線で示され、偏向構成3422は実線で示される。AIOLは、本明細書に記載されるように、内部光学部分3425および延長部を備える。類似する最後2桁で示される、類似する構造が本明細書において示される。
【0204】
図34Bは、
図34AにあるようなAIOLチャンバの内圧を示す。内部チャンバ3412の圧力は、負荷とともに増加することが示される。負荷によるこの増加した圧力は、レバー触覚構造の内向きの力およびAIOLの内圧の両方が内部光学構造3425の凸状偏向3424に起因することを示す。
【0205】
図34Aおよび34BのAIOLは、触覚構造3402、偏向可能構造または前方レンズ3403、剛性部材3410、屈曲点3411、第1の中央厚さ3430、第2の中央厚さ3431、固定点3440、固定点または領域3441等、上述(
図25Aから
図25C、
図26、
図27、
図28Aおよび
図28B,
図31、
図32等)のAIOLのそれらに類似した要素をさらに含み得る。
【0206】
図35Aは、実施形態による、AIOLを示す。本明細書に記述されるように、非偏向構成3521は破線で示され、偏向構成3522は実線で示される。AIOLは、本明細書に記載されるように、内部光学部分3525および延長部を備える。類似する最後2桁で示される、類似する構造が本明細書において示される。
【0207】
図35Bは、
図35AにあるようなAIOLチャンバの内圧を示す。内部チャンバ3512の圧力は、負荷とともに減少することが示される。負荷によるこの減圧は、レバー触覚構造の内向きの力が、内部光学構造3525の凸状偏向3524をもたらすことができることを示す。さらに、圧力が負のとき、この圧力応答曲線は、偏向および光学度数の変化が、チャンバの流体からの圧力からとは対照的に、機械的に駆動された半径方向内向きの負荷の結果であることを示す。
図35Bは、レバー触覚構造の内向きの力が、内部チャンバの負圧により偏向可能部材3503を偏向させることができることを示す。
【0208】
図35Aおよび35BのAIOLは、触覚構造3502、偏向可能構造または前方レンズ3503、剛性部材3510、屈曲点3511、内部チャンバ3512、凸状偏向3512、第1の中央厚さ3530、第2の中央厚さ3531、固定点3540、固定点または領域3541等、上述(
図25Aから
図25C、
図26、
図27、
図28Aおよび
図28B,
図31、
図32、
図34Aおよび
図34B等)のAIOLのそれらに類似した要素をさらに含み得る。
結合
【0209】
結合は、本明細書に開示される多くのAIOL構造のうちの1つ以上を接着するために使用されることができる。構造は、本明細書に記載される多くの方法のうちの1つ以上で結合され得、ステップ、プロセス、および材料は、改善されたAIOL構造の結合をもたらすように組み合わせることができる。
【0210】
本明細書に記載される構成要素の結合は、例えば、多くのIOL構成要素のうちの1つ以上を用いて使用することができ、多くのIOL材料のうちの1つ以上を用いて使用することができ、調節および非調節式IOLを用いて使用することができ、および、本明細書に記載される多くのAIOLのうちの1つ以上を用いて使用することができる。調節式IOLは、水晶体嚢の変形に応じてレンズの光学度数を変化させるために、ディスク形状の構成要素を水晶体嚢に連結するための1つ以上の触覚部を備え得る。多くの実施形態では、1つ以上の触覚部は、第1および第2のレンズ構成要素を備えるチャンバと流体的に連結されるチャンバを備える。触覚部は、例えば、アクリレートポリマー、またはシリコーンポリマー、またはこれらの組み合わせ等、本明細書に記載される柔軟な材料から作製され得る。
【0211】
剛性の機械加工されたポリマーの結合が参照されているが、本明細書に開示される結合は、例えば、水和ポリマー、柔軟な水和ポリマー、機械加工されたポリマー、成形ポリマー、成形乾燥ポリマー、成形剛性ポリマー、成形柔軟ポリマー、または成形水和ポリマー、およびこれらの組み合わせのうちの1つ以上を用いて使用されることができる。
【0212】
多くの実施形態では、AIOLは、第1の構成要素および第2の構成要素を備える。第1の構成要素は第1のディスク形状の構造を備え、第2の構成要素は第2のディスク形状の構造を備える。環状構造は、第1のディスク形状の構造と第2のディスク形状の構造との間に延在し、眼の房水の屈折率である約1.336超の屈折率を有する流体を含むチャンバを画定する。第1のディスク構造または第2のディスク構造のうちの1つ以上の曲率が増加する場合、AIOLの光学度数が増加する。
【0213】
第1および第2の構成要素は、1つ以上の結合表面で互いに結合されることができる。結合表面の位置は、AIOLの光学性質に対する結合表面の影響を低減させるように選択されることができる。例えば、結合表面は、環状構造、第1のディスク形状の構成要素、第2のディスク形状の構成要素、およびこれらの組み合わせのうちの1つ以上の周囲に円周方向に延在し得る。多くの実施形態では、結合表面は、構成要素を一緒に結合する、環状構造、第1のディスク形状の構成要素、第2のディスク形状の構成要素、およびこれらの組み合わせのうちの1つ以上の周囲に円周方向に延在するシームに、またはシーム付近に位置する。第1および第2の構成要素の光学部分から離れてシームを位置付けることにより、改善された光学性質がもたらされる。
【0214】
多くの実施形態では、第1および第2の構成要素は、第1のディスク形状の構造および第2のディスク形状の構造等、回転対称構造を提供するために旋盤で加工される。第1の構成要素または第2の構成要素のうちの1つ以上は、構成要素を一緒に結合する前に環状構造を有し得る。1つ以上の環状溝が、第1の構成要素を第2の構成要素と光学的に整合させるために、第1の構成要素および第2の構成要素上に提供されることができる。環状溝の1つ以上の部分または他の形状の溝または複数の溝は、第1および第2の構成要素を一緒に結合するための結合表面として使用されることができる。
【0215】
第1および第2の構成要素を互いに結合するために様々な技法が使用され得る。例えば、本明細書に記載される結合表面を接合するために、直接結合方法が使用されることができる。直接結合方法は、有利に、構造の残部と類似する材料および機械性質を有する連続した結合接触面を提供することができる。例えば、結合接触面は、構造の第1および第2の構成要素に類似して膨張し得る。例示的な直接結合方法としては、熱結合、溶剤結合、局部溶着、または表面改質が挙げられ得る。
【0216】
第1および第2構成要素の熱結合は、構成要素(例えば、結合表面の、またはその付近の)を、構成要素のうちの1つまたは両方のガラス転移温度付近またはそれを上回る温度に加熱することを伴うことができる。加熱プロセス中、圧力が適用され、結合表面の構成要素間の接触力を増加させることができる。好適な温度および圧力条件を使用することにより、構成要素のポリマー鎖を結合表面間で相互拡散させ、互いに交絡し、それにより第1および第2の構成要素を一緒に結合することができる。
【0217】
溶剤結合は、好適な溶剤を、第1および第2の構成要素の結合表面に適用することを伴うことができる。溶剤は、結合表面の構成要素のポリマー鎖を溶媒和し、それにより鎖の可動性を増加させ、結合表面間で相互拡散することができる。例えば、HEMAとMMAのコポリマーから作製された構成要素の溶剤結合は、結合表面を好適な溶剤で処理することにより促進され得る。例示的な溶剤としては、EGDMA、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、トリエチレングリコールジメチルアクリレート(TEGDMA)、水、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、イソプロパノール、n-ヘキサノール、二塩化エチレン、二塩化メチレン、シクロヘキサン、またはこれらの好適な組み合わせを挙げることができる。結合表面は、洗浄され、その後、溶剤で湿潤され得る。結合表面は、互いに接触し、既定の時間の長さの間、好適な圧力および温度条件に曝される(例えば、プレス、オーブン、加熱プレートを使用して等)ことにより結合されることができる。
【0218】
局部溶着は、結合表面を加熱し、軟化させるために、結合表面に、またはその付近にエネルギーを集中して適用し、それにより構成要素を一緒に結合することを伴うことができる。好適なエネルギー形態は、超音波エネルギー、マイクロ波エネルギー、または赤外線エネルギーを含み得る。いくつかの例では、好適な構成要素は、適用されるエネルギーを結合表面の適切な領域に指向するように、構成要素のうちの1つ以上に形成されることができる。
【0219】
別の例として、好適な表面改質技法は、直接結合を達成するために、本明細書に記載される結合表面のうちの1つ以上に適用することができる。表面改質は、その表面エネルギーを増加させるために結合表面を処理することを伴い、よって、表面接触を改善し、結合表面間のポリマー鎖交絡の程度を増加させることができる。多くの実施形態では、結合表面は、プラズマの活性化、UV曝露、および/またはオゾン曝露により改質することができる。本明細書に記載される表面改質処理のパラメータ(例えば、処理時間)は、結合表面のポリマー鎖の表面再配列の程度を最適化するように選択されることができる。
【0220】
代替的に、または加えて、AIOLの第1および第2の構成要素を結合するために、好適な接着剤を利用する直接結合技法が使用されることができる。接着剤は、本明細書に記載される結合表面の少なくとも一部分に適用され得る。多くの実施形態では、接着剤は、第1および第2の構成要素と類似する材料および機械性質を有するように選択される。例えば、接着剤は、構成要素のポリマーのプレポリマーを含み得る。プレポリマーは、例えば、ポリマーのモノマー、オリゴマー、部分的に硬化されたモノマー、粒子、またはナノ粒子のうちの1つ以上を含み得る。そのような結合実施形態は、シームがないか、またはシームを減少させる、つまり、結合接触面は構造と類似する機械性質を有するという利点を提供することができる。例えば、接着剤は、第1および第2の構成要素に類似して膨張し得る。そのような構成要素は、例えば、実質的に直径および周囲に沿って膨張し得るため、これは、接着剤が上述のように第1および第2の構成要素の周囲に円周方向に提供される場合、有益であり得る。AIOLは、挿入の大きさを低減させるために小さく作製され得、低減した応力で変形するように構成された薄い変形可能構造を備え得るため、AIOLの結合表面に沿った応力の減少は有益であり得る。
【0221】
多くの実施形態では、接着剤(例えば、プレポリマー)は硬化され、第1および第2の構成要素を一緒に結合する。硬化プロセスは、当業者に公知の技法を使用して、接着剤の1つ以上の成分を重合することを伴い得る。例えば、プレポリマーの前駆体モノマーは、開始剤の添加により部分的または完全に重合され得る。開始剤は、例えば、Irgacure651(I651,Ciba-Geigy)等の光開始剤、または2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ジラウロイル、あるいはビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート等のラジカル開始剤であってもよい。多くの実施形態では、モノマーは、架橋剤の存在下で重合される。架橋剤は、EGDMA、DEGDMA、またはTEGDMAのうちの1つ以上を含み得る。モノマーおよび架橋剤の重合は、第1および第2の構成要素と交絡され、それによりそれらを一緒に接合し得る相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)を形成し得る。場合によっては、結合表面は、露出された反応基を提供するために好適な活性化剤を使用して活性化され、それにより結合表面とプレポリマーおよび/または架橋剤との間の化学結合の形成を可能にすることができる。重合プロセス後、過剰な試薬は、すすぎ、好適な溶剤中への浸漬、または当業者に公知の他の方法により除去されることができる。
【0222】
本明細書に記載される結合技法は、本明細書に記載されるAIOLの作製中の任意の時点で適用することができる。例えば、第1および第2の構成要素は、剛性の実質的に乾燥構成にある間に、互いに結合されることができる。構成要素のそれぞれは、機械加工のために剛性構成で提供され、剛性構成にある間に接着剤で一緒に結合されることができる。構成要素は、実質的に水和され得る。あるいは、構成要素は、部分的に、または完全に水和された構成にある間に結合されることができる。
【0223】
多くの実施形態では、第1および第2のレンズ構成要素は、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーを含む。硬化される場合、接着剤は、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーを含む。この構成は、レンズが剛性で完全に水和されない構成から、実質的に膨張し、構成要素に対する応力を阻止し、接着剤がシームに沿って位置する完全に水和された構成に拡張することを可能にすることができる。ポリマー材の剛性で完全に水和されない構成は、第1および第2の構成要素のポリマー材に剛性をもたらすのに十分に低量である水分を有するポリマーを含むことを、当業者は理解するだろう。完全に水和されない構成は、約5%以下の水分、例えば、0.2~3%の水分から成る、実質的に乾燥構成を備え得るため、当業者により容易に理解されるように、ポリマー材が光学公差まで材料を機械加工するのに十分な剛性を備える。当業者によって理解されるように、例えば、AIOLが水晶体嚢内に設置されるか、または水和緩衝液中に設置されるとき、ポリマーは、水和状態に膨張し、徐々に完全な水和状態に膨張し得る。完全に水和状態のポリマーは、選択された材料により、例えば、約15%~30%の水分から成ってもよい。完全に水和状態のポリマーは、10%~15%等、10%超膨張し得る。
【0224】
図36は、製造方法3600およびAIOLを提供する方法を示す。
【0225】
ステップ3610において、本明細書に記載されるポリマー材の塊が提供される。材料の塊は、第1の構成要素3612および第2の構成要素3614に寸断される。ポリマー材は、本明細書に記載されるように、剛性構成を有する。
【0226】
ステップ3620で、第1の構成要素3612および第2の構成要素3614は、AIOLの第1のレンズ構成要素3622および第2のレンズ構成要素3624に形状化される。構成要素は、旋盤で加工したり、切断したり、摩耗したり、光学レンズを形状化する他の既知の方法等の、多くの方法のうちの1つ以上で形状化されることができる。代替として、または組み合わせて、構成要素は成形され得る。構成要素3622、3624のうちの1つ以上は、反対の構成要素を受容するように形状化された特徴3626を有し得る(特徴3626は、例えば、環状溝を有し得る)。チャネル3628は、AIOLのチャンバ3636と流体連通を可能にするように提供されることができる。代替として、または組み合わせて、チャネル3628は、第1および第2の構成要素が一緒に結合されるときに形成されることができる。
【0227】
ステップ3630において、第1の構成要素3622および第2の構成要素3624は、特徴3626において提供される接着剤3632で一緒に結合される。第1の構成要素3622および第2の構成要素3624は、チャンバ3636を画定する。
【0228】
接着剤3632は、構成要素3612および3614のポリマーのプレポリマーを含む。単一の塊から提供される構成要素が示されるが、ポリマー材は、類似するポリマー組成を有する別個の材料の塊で提供されることができる。
【0229】
触覚部3638は、IOLの内部チャンバが触覚部のチャンバに流体的に連結されるよう、AIOL3635に固定されることができる。触覚部は、AIOLに類似する材料、または異なる材料を含み得る。触覚部3638は、厚さ3639を有し得る。例えば、AIOLは、本明細書に記載されるように、アクリレートを含み得、触覚部3638は、柔軟なシリコーン材料を含み得る。触覚部は、AIOLが例えば、剛性構成を有する場合、AIOL内に挿入される柔軟な材料を含み得る。
【0230】
剛性構成のAIOLは、直径等、横断する寸法3634を含む。AIOLは、AIOL本体の最前方部分とAIOL本体の最後方部分との間に延在する厚さ3648を有し得る。
【0231】
ステップ3640において、AIOL3635は、AIOLが柔軟な材料を有するように、剛性を減少させるために実質的に水和された構成に水和される。水和された構成では、AIOLの寸法は増加し、互いに比例的に増加し得る。多くの実施形態では、この増加は、各寸法に沿って類似するパーセンテージ増加を有する。
【0232】
多くの実施形態では、剛性構成における水和量は、眼に移植されるときにAIOLが完全な水和状態を有するとき、適切な量の屈折力にレンズ構成要素を正確に機械加工するために、既定の水和量を有する。
【0233】
上側構成要素3622のディスク形状の光学構造は、例えば、平坦であるか、またはレンズ形状であってもよい。下側構成要素3624のディスク形状の光学構造は、光学構造のうちの1つ以上のものが変形して、光学度数を提供するように、例えば、平坦であるか、またはレンズ形状であってもよい。
【0234】
図37は、本明細書に記載されるような、湾曲した球状表面プロファイル3700によって光学度数をもたらすために、偏向した表面プロファイルで変形した光学構造を示す。湾曲した表面3700で光学度数を増加させるため、AIOLの流体は、房水の1.33の屈折率より大きくてもよい。光学構成要素3624は、第1の構成では有意な光学度数をもたらさない略平面形状を備え得、調節のために光学度数をもたらす、偏向され、湾曲した球状表面プロファイル3700に変形され得る。
【0235】
アクリレートが参照されているが、例えば、ポリマーおよびプレポリマーはシリコーンヒドロゲル材料を含んでもよい。
【0236】
図38Aは、AIOLの最前方部分が触覚部の最前方部分の前方にある(その頁では両方ともより低く示されている)AIOLを示し、AIOLの偏向可能部材が触覚部の並進および回転移動に応じて偏向するように構成される。代替実施形態では、レンズは、本明細書に記載される、対向する前方後方配向で設置されることができる。偏向可能部材3803は、偏向可能部材の外側部分に対する半径方向内向きの力が本明細書に記載される偏向可能部材の内側部分の偏向をもたらすように、十分な半径方向強度を備える。
【0237】
偏向可能部材は、例えば、弾性係数、厚さ、または直径のうちの1つ以上によって少なくとも内側部分を偏向させるため、半径方向強度をもたらす多くの方法のうちの1つ以上において構成されることができる。
【0238】
偏向可能部材は、水晶体嚢と係合する触覚部によって半径方向内向きに付勢されると偏向するように、多くの方法のうちの1つ以上において、触覚部に連結されることができる。多くの実施形態では、偏向可能部材は、偏向可能部材の外側部分が半径方向内向きに付勢されるか、または回転されるか、およびこれらの組み合わせであるときに少なくとも内側部分の形状の変化を誘導するのに十分な半径方向強度を備える。多くの実施形態では、剛性部材に対して触覚部が回転することによって偏向可能部材の外側部分が半径方向内向きに移動して回転偏向を誘導するように、偏向可能部材が水晶体嚢に連結される。代替的には、または組み合わせて、半径方向の力により偏向可能部材を内向きに付勢し、外側部分の半径方向強度により偏向可能部材の内側部分を偏向させるため、触覚部は半径方向に、かつ剛性部材に関して摺動するように配置することができる。偏向可能部材は外側部分において、例えば、外側部分の凹状偏向および内側部分の凸状偏向を助長する、凹状外側部分または薄い環状領域等、偏向を助長するための1つ以上の構造を備え得る。
【0239】
AIOLは、遠見のために非偏向構成3821を、および近見のために偏向構成3822を有する。AIOLは、レバー触覚構造3802に連結された前方平面偏向可能部材3803の平面構成を有する非調節構成で示される。触覚部3802の外側構造は、水晶体嚢に係合するように構成され、本明細書に記載されるように、嚢に対する圧力を減少させるための構造を備え得る。剛性部材3810は、遠見のために光学度数をもたらすレンズを備え得る。偏向可能部材3803は、例えば、実質的に一定の厚さを有する実質的な平面部材を備え得る。偏向可能部材3803は、内部光学部分3825と、延長部3811とを備える。延長部3811は、内部光学部分3825と並進および回転触覚構造3802との間に延在する。内部光学部分3825が凸状偏向3824を備えると、内部光学部分の下のチャンバの流体は、近見のために光学補正をもたらすように形状化される。
【0240】
偏向可能部材3803および剛性部材3810は、本明細書に記載されるように、内部チャンバ3812の少なくとも一部分を画定する。
【0241】
AIOLは、剛性部材3810の外面から偏向可能部材3803の外面に延在する中央の厚さを有する。中央の厚さは、遠見構成にあるレンズの第1の中央の厚さ3830、および近見構成にあるレンズの第2の中央の厚さ3831を備え得る。中央でのレンズの厚さの増加は、レンズの光学度数の増加に関連する。レンズの光学度数の増加はまた、中央光学部分の直径の平方にほぼ逆比例する。延長部分が光学部分の直径を減少させ、第1の距離3830から第2の距離3831の変化量に対して光学度数の増加をもたらすことができる。
【0242】
剛性部材3810は、近見のためにレンズが調節されると触覚構造3802が回転するように、触覚構造3802に接続される。触覚構造3802は、触覚部が並進し、剛性部材3810に対して回転する固定点3840等の第1の固定領域まで延在する。触覚構造は、第1の固定領域から水晶体嚢の壁部までの距離を延在する。触覚構造3802は、第2の固定点3841等の第2の固定領域まで延在する。第2の固定領域3841は、偏向可能部材に内向きの力を誘導するよう、偏向可能部材3803に連結される。第1の領域から水晶体嚢を係合する触覚部の外側構造までの距離は、第1の領域から第2の領域までの距離よりも長い。少なくともいくつかの実施形態では、この距離の差によって、水晶体嚢の力の少なくともいくらかの機械的てこ作用を偏向可能部材3803にもたらすことができる。偏向可能部材3803にかかる水晶体嚢の半径方向の力は、偏向可能部材の凸状偏向3824を誘導する。延長部3811は、反対の凹状曲率を備える。
【0243】
剛性部材、偏向可能部材、および1つ以上の触覚部等のAIOLの構成要素は、本明細書に記載されるような、同一のポリマーを含み得る。これらの構成要素は、例えば、厚さによって異なる量の柔軟性および剛性を有することができる。多くの実施形態では、触覚部は、水晶体嚢の半径方向内向きの力に応じた回転または並進のうちの1つ以上により偏向可能部材を半径方向内向きに付勢するとき、少なくとも部分的に可逆的に変形させるための厚さを有する。
【0244】
図38Bは、
図38AにあるようなAIOLの負荷に応じた内部チャンバ圧を示す。AIOLの内圧は、AIOLの負荷とともにほぼ直線的に増加する。内圧および半径方向内向きの力を併用することにより、本明細書に記載されるように、眼が調節するときに光学度数をもたらすための部材3803を偏向させることができる。モデル化された負荷は、AIOLに対する水晶体嚢の力に対応する1つ以上の公表された最大負荷値に関して基準化され、これは、公表データに基づき当業者により容易に決定されることができる。本明細書においてモデル化されるAIOLの材料性質は、本明細書に記載される材料の公表データに基づき容易に決定することができる。
【0245】
図39Aは、調節式眼内レンズ3900を示す。眼内レンズ3900は、中央レンズ領域3904と、2つのベローズ3903aおよび3903bを有する周辺ベローズ領域3903とを備え得る。眼内レンズ3900は、2つの構成要素である上部半分3900aおよび底部半分3900bにおいて製造され得る。使用される材料は、例えば、親水性アクリルまたはヒドロゲルのように、適合性があり得る。他の材料が、代替的に、または組み合わせて使用することができる。2つの半分3900aおよび3900bは、接合部3901において上部半分3900aを底部半分3900bに接着することによって、
図39Bに示されるように組み立てることができる。2つの半分3900aおよび3900bの間の空洞3905は、高屈折率流体で充填されてもよく、眼内レンズ3900をレンズとして機能させる。
【0246】
2重ベローズ特徴3903の機能は、眼内レンズ3900の反応性を増加させることであってもよい。ベローズ3903の最外部3903cは、眼の水晶体嚢と相互作用し得る。嚢がベローズ3903に圧力を加えると、流体がベローズ領域3903から中央レンズ空洞内へ変位され得る。増加した圧力によって上部レンズ部3900aが上向きに変形し、その曲率半径を変化させ得、したがって、強度変化および調節を生み出す。最内ベローズ3903aは、その最外壁部が非常に適合性があり得るように適応され得る。最外ベローズ3903bの最内壁部から加わるいかなる圧力も、最内ベローズ3903a空洞からの流体変位に変換され得る。このように、最外ベローズ3903に沿った接着線によって剛性が増加されたとしても、変形は依然として、最内ベローズ3903aにおいて生じることが可能であり得る。
【0247】
一列の個別の突出部、または突起3902は、
図39Bに示されるように、底部半分3900bの内面3906b、または代替的に、上部半分3900aの内面3906a上に構築され得る。突起3902は、2つの半分の間の間隙を保持するように機能し得、それによって、作製を容易にする。
【0248】
眼内レンズ3900の特徴のうちのいずれも、本明細書において説明される他の眼内レンズの特徴のうちのいずれとも組み合わされ得、逆もまた同様である。
【0249】
図40Aおよび40Bは、調節式眼内レンズ4000を示す。眼内レンズ4000は、中央レンズ領域4004と、周辺ベローズ領域4003とを備え得る。眼内レンズ4000は、2つの構成要素である上部半分4000aおよび底部半分4000bにおいて製造され得る。使用される材料は、例えば、親水性アクリルまたはヒドロゲルとして適合性があり得る。他の材料が、代替的に、または組み合わせて使用することができる。2つの半分4000aおよび4000bは、接合部4001において、上部半分4000aを底部半分4000bに接着することによって、
図40Bに示すように組み立てることができる。2つの半分4000aおよび4000bの間の空洞4005は、高屈折率流体で充填され得、眼内レンズ4000をレンズとして機能させる。
【0250】
一連の個別のパドル4002が、ベローズ4003の最外壁部に沿って構築され得る。嚢がパドル4002に圧力を加えると、パドル4002は、力をベローズ4003の最外壁部に移動させ、壁部を半径方向に内向きに変形させ得る。このように、流体は、ベローズ領域4003から中央レンズ空洞4005の中へ変位され得る。パドル4002は、アセンブリまたはレンズ4000の円周方向の、したがって、半径方向の剛性を低減するように、
図40Aに示すように眼内レンズ4000の円周方向の外縁に沿って連続していなくてもよい。
【0251】
変位した流体は、圧力の増加を引き起こし得、この圧力増加は、上部レンズ部4000aを上方に変形させ得、その曲率半径を変化させ、その結果として強度の変化および調節をもたらす。眼内レンズ3900と同様に、一列の個別の突出部または突起は、
図39Bに示すように、底部半分4000bの内面4006b、または代替的に、上部半分4000aの内面4006a上に構築され得る。突起は、2つの半分4000a、4000bの間の間隙を保持するように機能し得、それによって、作製を容易にする。
【0252】
眼内レンズ4000の特徴のうちのいずれも、本明細書において説明される他の眼内レンズの特徴のうちのいずれとも組み合わされ得、逆もまた同様である。
【0253】
図41Aは、調節式眼内レンズ4100を示す。光学軸4140は、中央レンズ領域4104を通って延在する。眼内レンズ4100は、例えば、中央レンズ領域4104と、2つのベローズを有する周辺ベローズ領域4103と、を備え得る。環状に形状化された剛性の連結構造は、光学軸を含む中央レンズ領域4104の周囲で円周方向に延在することができる。環状に形状化された剛性の連結構造は、第1の構成要素上に位置する第1の環状に形状化された剛性の連結構造4107aと、第2の構成要素上に位置する第2の環状に形状化された剛性の連結構造4107bとを備え得る。
【0254】
2つのベローズは、互いに流体連通している連続した内部ベローズ4103aと連続した外部ベローズ4103bとを備え得る。多くの実施形態では、ベローズは、1つ以上の折り畳みを備え得る。ベローズの折り畳みは、水晶体嚢が内向きに付勢するにつれて水晶体嚢に対する抵抗性が減少し、水晶体嚢が拡張するにつれてベローズが半径方向に外向きに移動することができる、という利点を有する。折り畳みはまた、水晶体嚢に対して非常に穏やかな外向きの力をもたらし、水晶体嚢との連結を改善し得る。当業者は、光干渉断層法等の生物測定学を使用して、ベローズ領域を水晶体嚢に合わせて定寸することができる。ベローズ領域4103は、第1の構成要素上の第1の折り畳み4108aと、第2の構成要素上の第2の折り畳み4108bと、を備え得る。第1の折り畳み4108aおよび第2の折り畳み4108bは、内向きに、かつ光学軸と同様の方向において互いに向かって延在することができる。第1の折り畳みおよび第2の折り畳みは、連続してかつ、光学軸の周囲で円周方向に、例えば、光学軸の周囲で360度延在することができる。折り畳みのこの配置は、折り畳みの偏向を伴って、水晶体嚢へのレンズの連結を提供することができる。
【0255】
ベローズ領域は、多くの方法において構成することができ、外部貯蔵部が内部チャンバに連結することを可能にする1つ以上の折り畳みを備える。円周方向に延在する2つのベローズがその間に延在する折り畳みを有して示されているが、例えば、3つ以上のベローズ等、異なる数のベローズが提供されてもよい。ベローズ4103aおよび4103bは、中央レンズ領域4104の外縁に沿って連続していてもよい。ベローズ4103aおよび4103bは、形状において環状、楕円状、または回転対称であり得る。流体は、ベローズ4103aおよび4103bの連続した内部容積内に存在し得る。内部ベローズ4103aは、中央レンズ領域4104と流体連通し得る。
【0256】
水晶体嚢がベローズ領域に対して付勢し、流体をベローズ領域から中央レンズ領域4104内へ移動させるときに、ベローズ領域から中央レンズ領域4104への半径方向内向きの移動または力を抑止する多くの方法において、剛性の連結構造を構成することができる。剛性の連結構造は同様に、水晶体嚢の力の減少に応じてベローズ領域が半径方向外向きに移動するとき、中央レンズ領域4104の半径方向外向きの移動を抑止する。環状に形状化された第1の剛性の連結構造4107aは、第1のベローズ領域4103aの第1の厚さよりも大きい第1の半径方向の厚さを含み得、環状に形状化された第2の構造4107bは、第2のベローズ領域4103bの第2の厚さよりも大きい第2の半径方向の厚さを含み得る。剛性の連結構造は、折り畳み等のレンズの他の構造と比較して、比較的剛性であり得るが、剛性の連結構造は、例えば、眼の小さな切開を通じた挿入のために、丸められるか、折り畳まれるか、または圧縮されるかのうちの1つ以上が行われるように構成することができる。眼内レンズ4100は、例えば、1つ以上の構成要素を形成化するための旋削加工、1つ以上の構成要素を形成するための成形、または1つ以上の構成要素を形成するための直接作製のうちの1つ以上を用いて、多くの方法において製造され得る。代替的に、または組み合わせて、構成要素は、レンズのコンピュータモデルに基づいて、直接作製を用いて製造することができる。レンズ構成要素は、直接作製を用いて別個にまたは一緒に作製することができる。レンズは、本明細書において説明される構成要素を備える単一片のレンズとして直接作製することができる。
【0257】
多くの実施形態では、眼内レンズは、2つの構成要素の片である、上部構成要素4100aおよび底部構成要素4100bにおいて製造される。使用される材料は、例えば、親水性アクリルまたはヒドロゲルのように、適合性があり得る。他の材料が、代替的に、または組み合わせて使用されることができる。2つの構成要素4100aおよび4100bは、接合部4101において、上部構成要素4100aを底部構成要素4100bに結合することによって、
図41Aに示すように組み立てることができる。2つの構成要素4100aおよび4100bの間の空洞4105は、高屈折率流体で充填されてもよく、可変光学度数を有するレンズとして機能する眼内レンズ4100内に変形可能な流体空間をもたらす。
【0258】
周辺ベローズ領域4103は、上部構成要素4100aおよび底部構成要素4100bの複数の折り畳みによって画定される、連続した流体貯蔵部またはチャンバを備え得、折り畳みは、内部ベローズ4103aおよび外部ベローズ4103bを画定する。上部構成要素4100aおよび底部構成要素4100bは、内部ベローズ4103aと外部ベローズ4103bとの間で内向きに折り畳まれ得、内部ベローズ4103aと外部ベローズ4103bとの間に適合性領域を画定する。この適合性領域は、内部ベローズ4103aと外部ベローズ4103bとの間の、1つ以上の流体チャネルを画定し得る。流体チャネル(複数を含む)は、内部ベローズ4103aおよび外部ベローズ4103bのように、環状、外周、または回転対称の形状であり得る。前後方向において、この適合性領域は、内部ベローズ4103aおよび外部ベローズ4103bよりも薄くてもよい。
【0259】
上部構成要素4100aは、偏向可能な、平面部材4110(
図41C)を備え得、底部構成要素4100aは、光学度数をもたらし得る平凸部材4120を備え得る(
図41B)。あるいは、底部構成要素4100aが実質的に光学度数をもたらさない平面部材を備え得、上部構成要素4100bが光学度数をもたらすように、屈折流体で充填され得る空洞4105にある形状を与えるように、事前湾曲され(またはシェルの形態であり)得る。水晶体嚢に設置されると、上部構成要素4100aは前方位置にあり得、底部構成要素4100bは後方位置にあり得る。あるいは、上部構成要素4100aが後方位置にあり得、底部構成要素4100bが前方位置にあり得る。
【0260】
複数のベローズ特徴4103における2重折り畳みの機能は、眼内レンズ4100の機械的反応性を増加させることであってもよい。ベローズ4103の最外部4103cは、眼の水晶体嚢と相互作用し得る。嚢がベローズ4103に圧力を加えると、流体は、ベローズ領域4103から中央レンズ空洞4105の中へと変位され得る。中央レンズ空洞4105における流体の増加した圧力および容積は、典型的に、上部レンズ部4100aを上方に変形させ、その曲率半径を変化させ、その結果として強度変化と調節をもたらす。例えば、平面部材4110は、上方に偏向し、曲率半径の減少を受け得る。代替的に、または組み合わせて、2つの構成要素4100aと4100bとの間の分離距離が、圧力の増加に応じて増加し、光学度数を変化させる(即ち、中央レンズ領域4104の外縁を画定する構成要素4100aおよび4100bの領域が前後方向において分離し得る)。最内ベローズ4103aは、その最外壁部が非常に適合性があり得るように適応され得る。ベローズ内で最外折り畳みに印加される力に起因する、最外ベローズ4103bの最内壁部から加えられる圧力は、最内ベローズ4103a空洞からの流体の変位に変換され得る。このように、最外ベローズ4103に沿った結合線によって剛性が増加する場合も、依然として最内ベローズ4103aにおいて変形を生じることが可能であり得る。
【0261】
ベローズ領域4103は、製造を容易にするために、レンズ領域の光学軸の周囲で回転対称であり得る。ベローズの回転対称構造は、旋盤上で容易に加工され得るか、または、容易に旋盤加工され得る鋳型から形成することができる。
【0262】
複数の突出部、または突起、または支柱4102は、例えば、
図41Aおよび
図41Bに示すように、底部構成要素4100bの内面4106b、または、代替的には、上部構成要素4100aの内面4106a、およびこれらの組み合わせ上に半径方向に配置され得る。突起または支柱4102は、2つの構成要素間の間隙を保持するように機能し得、それによって、作製を容易にする。いくつかの実施形態では、突起または支柱4102は、上部構成要素4100aおよび底部構成要素4100bを一緒にした後、眼内レンズ4100の他の構成要素に結合され得る。隣接する突起または支柱4102の間の空間は、ベローズ4103と空洞4105との間の流体のための導管として機能し得る。いくつかの実施形態では、突起または支柱4102は、眼内レンズ4100の他の構成要素から自在であり、対向する平面部材の非対称変形を最小化する。いくつかの実施形態では、突起または支柱4102に対向する平面部材は、突起または支柱4102と接触している外部環状領域と、外部環状領域および突起または支柱4102から隆起および分離された偏向可能な内部円形領域とを備え得る。
【0263】
上部および底部構成要素を備える上部部分4100aおよび底部部分4100bは、多くの方法において形成することができる。例えば、上部部分4100aおよび底部部分4100bは、例えば、旋盤上で各部分を加工することによって、または成形することによって、形成することができる。多くの実施形態では、上部および底部部分は各々、本明細書において説明されるようなベローズおよび他の構成要素等の回転対称構造を備える。突出部は、多くの方法において形成することができる。回転対称構成要素は一緒に結合され、本明細書において開示されるようなレンズを形成することができる。
【0264】
本明細書において開示されるようなベローズ4103aおよび4103bは、眼の水晶体嚢との流体貯蔵部の改善された連結を提供することができる。ベローズ4103aおよび4103bの折り畳まれた構造は、貯蔵部が水晶体嚢に対して穏やかに付勢することができ、かつ水晶体嚢が内向きに移動させることを可能にして、流体を貯蔵部から内部レンズ構造に移動させて、光学度数を提供するように、貯蔵部に弾性ばね機能を提供することができる。
【0265】
突出部4102は、前方レンズ構成要素4100aおよび後方レンズ構成要素4100bの流体移動および分離を提供する多くの方法において形成することができる。例えば、突出部4102は、個別の突出部、突起、または支柱を提供することができる。代替的には、突出部4102は、リム等の環状構造の部分を備え得る。リムは、流体移動を可能にするために、少なくとも部分的にリムの中へチャネルカットを有し得る。チャンバを貯蔵部に流体的に連結するために、複数の突出部が互いから分離され、複数の突出部によって画定される複数のチャネル4107を画定する。
【0266】
突出部4102は、光学収差および乱れを抑制するために、レンズ4100の光学的に使用される部分から離れて位置させることができる。
【0267】
眼内レンズ4100の特徴のうちのいずれも、本明細書において記載される他の眼内レンズの特徴のうちのいずれとも組み合わされ得、逆もまた同様である。
【0268】
図42は、調節式眼内レンズ4200の断面図を示し、その実施形態は、調節式眼内レンズ4100と同様の構造を備える。第1の構成要素4200aは、偏向可能な、平面部材4210備え得、第2の構成要素4200bは、光学度数を提供し得る光学ゲルまたは流体を結合するシェル部材4220を含み得る。第1の構成要素4200aおよび第2の構成要素4200bは、シーム4201にて固定される。複数の突出部4202は、内面4206上で半径方向に配置され得、2つの構成要素間の間隙を保持するように機能し得、それによって、作製を容易にする。突出部4202は複数のチャネル4207を画定し、チャンバをベローズに流体的に連結できる。
【0269】
調節式眼内レンズ4200は、チャンバ4205が第2の構成要素の中へ延在するように構成される。第2の構成要素は、レンズ4100と比較して減少した量の固形材を含み得、これは、眼の狭い切開内に収めるために、狭い挿入プロファイルを有するレンズを構成するために、より小さい断面となるようにレンズ4200を折り畳むこと、丸めること、圧縮することを容易にすることができる。
【0270】
光学軸4240は、調節式レンズシステム4200の中央レンズ領域4204を通って延在する、つまり、第1の構成要素連結構造4207aと第2の構成要素連結構造4207bは、光学軸を含む中央レンズ領域4204の周囲で円周方向に延在する。複数のベローズ特徴4203は、最内ベローズ4203aと、外部ベローズ4203bと、最外ベローズ領域4203cと、を含む2重折り畳みベローズを図示する。ベローズ特徴4203は、第1の構成要素上に第1の折り畳み4208aを、第2の構成要素上に第2の折り畳み4208bを含み得る。
【0271】
眼内レンズ4200の特徴のうちのいずれも、本明細書において説明される他の眼内レンズの特徴のうちのいずれとも組み合わされ得、逆もまた同様である。
【0272】
図43は、固定レンズ4330(固定力(fixed-power)レンズ)と、流体で充填された構造4340を有する調節式レンズユニットとを備えるAIOLシステム4300を図示する。流体で充填された構造4340は、動作においてAIOL4200の構造に関連するが、流体で充填された構造4340は、AIOLシステム4300が緩和状態(例、外部圧力がベローズ構造4303に印加されていない状態)にあるとき、構造要素に関する、負の基礎力を有するか、基礎力または正の基礎力を有しなくてもよい。流体で充填された構造4340は、本明細書に前述されるように、例えば糊または結合剤を使用してシームまたは接合部4301において互いに固定される第1の構成要素4340a(例、第1の構造要素)と、第2の構成要素4340b(例、第2の構造要素)を含み得る。接合部4301は、本明細書に前述の接合部またはシームのいずれかに実質的に類似し得る。例えば、接合部4301は、第1の構成要素4340aおよび第2の構成要素4340bの周囲で円周方向に延在し得る。第1の構成要素4340aおよび/または第2の構成要素4340bは、第1の構成要素4340aおよび第2の構成要素4340bのうちの1つ以上の内面上に位置する突出部4302(本明細書では支柱とも称される)を有し得、第1の構成要素4340aおよび第2の構成要素4340bは、接合部4301と同様に、突出部4302において互いに選択的に固定することができる。代替的に、または組み合わせて、突出部4302は第1の構成要素4340aの第1の剛性の連結構造4307aおよび/または第2の構成要素4340bの第2の剛性の連結部材4307b上に配置され得る。突出部4302は、例えば、第1の構成要素4340aと第2の構成要素4340bとの間に間隙を提供し、本明細書に前述の第1の構成要素4340aおよび第2の構成要素4340bを分離し得る。
【0273】
流体で充填された構造4340は、チャンバ4305と、チャンバ4305の周囲に少なくとも部分的に延在する流体貯蔵部4303を、少なくとも部分的に画定する外側部分4308とを含み得る。流体貯蔵部4303は、流体チャンバ4305の外縁の周囲に配置される、連続したバッフル構造を備え得る。流体貯蔵部4303は、例えば、ベローズ領域を画定し得る。流体貯蔵部4303の連続した構造は、本明細書に前述の通り、環状、楕円状、および/または回転対称形状を有し得る。その他の実施形態では、流体で充填された構造4340の外側部分4308は、AIOL4300の光学軸に対して回転非対称であってもよい。流体貯蔵部4303は、本明細書に前述の通り、水晶体嚢に係合する触覚構造を備え得る。
【0274】
流体で充填された構造4340は、流体貯蔵部4303およびチャンバ4305に比較的高い屈折率の光学流体を含み得る。チャンバ4305および流体貯蔵部4303は、流体貯蔵部4303に加えられる力に応じて光学流体が流体貯蔵部4303とチャンバ4305との間を流れることができるよう、互いに流体連通している。
図43に示す実施形態では、流体貯蔵部4303は、より具体的には、本明細書に前述の通り、第1の構成要素4340aの外部領域の内面と第2の構成要素4340bの外部領域の内面との間の容積である。流体貯蔵部4303は、本明細書に前述の通り、第1の構成要素4340aおよび第2の構成要素4340bのうちの1つ以上の光学軸の周囲で連続してかつ円周方向に延在する1つ以上の折り畳み4309aおよび4309bを備え得、折り畳み4309aおよび4309bは、流体貯蔵部4303が内部ベローズおよび外部ベローズを含む複数のベローズを備えるように互いの方向に延在し得る。流体貯蔵部4303は、本明細書に前述の通り、複数のベローズの内部ベローズと外部ベローズとの間の適合性折り畳み領域を備え得る。
【0275】
チャンバ4305は、第1の構成要素4340aの内部領域によって画定される第1の光学構成要素4310の内面と第2の構成要素4340bの内部領域によって画定される第2の光学構成要素4350の内面との間に画定され得る。第1の光学構成要素4310および第2の光学構成要素4350は、それぞれ、流体貯蔵部4303によって取り囲まれ得る。
図43に図示する実施形態では、流体貯蔵部4303は、第1の光学構成要素4310および第2の光学構成要素4350の周囲で連続してかつ円周方向に延在する。さらに、
図43に図示するAIOLシステム4300の実施形態では、本明細書に前述の通り、突出部4302が光学構成要素4310および4350と流体貯蔵部4303との間に配置され、チャンバ4305と流体貯蔵部4303との間に複数の流体チャネルまたは導管を画定する。したがって、本明細書に前述の通り、流体貯蔵部4303およびチャンバ4305は互いに流体連通し、水晶体嚢の形状変化に応じてAIOLの光学度数を変化させる。
【0276】
第1の剛性の結合領域4307aと第2の剛性の結合領域4307bは、本明細書に前述の通り、外部領域に対して、光学構成要素4310および4350の半径方向の動きを抑制するように構成され得る。したがって、第1および第2の結合領域4307a-bは、力が流体貯蔵部4303に対して加えられている間は、光学構成要素4310、4350の光学整合を維持する(例、光学構成要素4310、4350の外周は、所望の作動寸法内に維持される)。
【0277】
第2の構成要素4340bは、固定レンズ4330が図示のように第2の構成要素4340bに連結され得るように、固定レンズ4330を捕捉(例えば、保持)することができる、解除可能なロック特徴または捕捉特徴等の咬合特徴4331(例えば、連結特徴)をさらに備え得る。代替的に、固定レンズ4330は、第2の構成要素4340bではなく、第1の構成要素4340aに連結され得る。固定レンズ4330外縁は、第1の構成要素4340aおよび/または第2の構成要素4340bの外縁内にあるように構成される。固定レンズ4330は、第1の構成要素4340aおよび第2の構成要素4340b上にスナップ嵌合するよう構成され、いくつかの実施形態では、固定レンズ4330は、第1の構成要素4340aまたは第2の構成要素4340bのどちらかに解除可能に取り付けられるよう構成される。
【0278】
さらに、組み立てられ、かつ流体で充填された構造4340が眼の本来の水晶体嚢に配置された後、固定レンズ4330が、眼の本来の水晶体嚢内等、患者の眼の中のその場で(in-situ)、第1の構成要素4340aまたは第2の構成要素4340bに解放可能に連結され得るように、固定レンズ4330および第1の構成要素4340aおよび/または第2の構成要素4340bが構成され得る。第2の構成要素4340bが前方構成要素であるとき、これによって、固定レンズ4330が調節式レンズユニットから取り除かれ、別の固定レンズ4330によってその場で(in-situ)取り替えられることが可能である。この特徴により、調節式レンズユニットが本来の水晶体嚢内に配置された後、調節式レンズユニットを本来の水晶体嚢から取り除くことなく、AIOL4300の固定光学度数を変化させる(適応させる)ことが可能である。本体流体が解放空間4334および4333と自在に連通するのを可能にするようにチャネルが存在するよう、接続特徴4331および/または固定レンズ4330が構成され得る。
【0279】
固定レンズ4330は例えば、固定レンズ4330が連結する第1の構成要素4340aまたは第2の4340bそれぞれの、第1の光学構成要素4310の外面または第2の光学構成要素4350の外面に対向してかつ隣接する内面を有する。固定レンズ4330は例えば、AIOLシステム4300の第3の構成要素を画定し得る。固定レンズ4330は光学度数を有し得る。
【0280】
第1の構成要素4340aおよび/または第2の構成要素4340bの、光学構成要素4310および/または4350はそれぞれ、平面部材を含み得る。光学構成要素4310および/または4350は、光学度数を提供しない構成となるよう付勢され得る。例えば、第1の光学構成要素4310は、流体チャンバ4305と流体貯蔵部4303との間の流体移動に応じて、中立圧力の平面形状から湾曲した形状へ偏向するよう構成された偏向可能部材を含み得る。流体貯蔵部4303が圧縮され、流体が強制的にチャンバ4305内に流れると、第1の光学構成要素4310は、
図43に示す中立状態の平面形状から、第1の光学構成要素4310が湾曲された調節構成(すなわち、第2の光学構成要素4350に対して凸状)まで上向きに偏向する。調節構成においては、チャンバ4305の流体と第1の光学構成要素4310は、流体貯蔵部4303の圧縮に基づいて動的変化をする光学度数を伝達する。第1の光学構成要素4310の偏向は、本明細書に前述の通り、光学構成要素4310および4350の内面の間の分離距離の変化等、流体チャンバ4305の寸法および/または形状を変化させ得、第1の光学構成要素4310の曲率半径の変化を生じさせる。第1の光学構成要素4310の形状と組み合わせたチャンバ4305の流体によって提供される光学度数は、例えば、AIOLシステム4300の光学度数変化の一部を生じさせ得る。第2の光学構成要素4350が第1の光学構成要素4310より少なく変形するか、または、全く変形しないように、第2の光学構成要素4350は第1の光学構成要素4310より大きい断面(例えば、厚さ)を有し得る。第2の光学構成要素4350が変形する程度まで、第2の光学構成要素4350の変形の程度は、第2のレンズ構成要素4340bと固定レンズ4330との間の解放4334空間の深さによって調節され得る。いくつかの実施形態では、解放空間4334の深さは、光場の固体面が互いに接触し得ないような深さである。
【0281】
光学構成要素4310および/または4350のうちの1つ以上は、本明細書に前述の通り、非平面シェル等の、シェルを含み得る。本明細書に前述の通り、第1の構成要素4340aは前方構成要素を含み得、第2の構成要素4340bは後方構成要素を含み得る。代替的には、第1の構成要素4340aが後方構成要素を画定することができ、第2の構成要素4340bが前方構成要素を画定することができる。
【0282】
図43では光学構成要素4310および4350が平面部材として示されているが、どちらか一方が光学度数を提供するよう形状付けられた別個の平凸部材を含み得、一方で光学構成要素4310および4350のうちの他方が平面部材を含む。光学構成要素4310および4350は、円環要素として構成されることができる。
【0283】
第1の構成要素4340aおよび第2の構成要素4340bのうちの1つ以上は、本明細書に前述の通り、ポリマー材を含み得る。第1の構成要素4340aおよび第2の構成要素4340bは、本明細書に前述の通り、眼に送達するため、低減された断面の送達構成に折り畳まれるのに十分に可撓性であり得る。第1の構成要素4340aおよび第2の構成要素4340bは、本明細書の前述の通り互いに結合され得る。第1の構成要素4340aおよび第2の構成要素4340bは、本明細書に前述の通り作製され得る。第3の構成要素(すなわち、固定レンズ4330)は同様に、眼に送達するための低減された断面の送達構成に折り畳まれるのに十分に可撓性であり得、上述の通り、第1の構成要素4340aまたは第2の構成要素4340bにその場で(in-situ)固定(例えば、永久的に、または、解除可能に)連結され得る。
【0284】
流体は、本明細書に前述された流体のいずれも含み得る。流体チャンバ4305のの流体は光学度数を提供し得る。
【0285】
本明細書に記載の調節レンズシステムの寸法と幾何学形状は変更され得る。例えば、
図44は、参照番号の最後2桁が類似する構造を示す、AIOLシステム4300に類似した代替的AIOLシステム4400を図示する。AIOLシステム4400は、AIOLシステム4400が第2の構成要素4340bの第2の光学構成要素4350よりも薄い第2の光学構成要素4450を有するという点で、AIOLシステム4300とは異なる。結果として、第2の光学構成要素4450は、第2の構成要素4340bの第2の光学構成要素4350と比較して調節式レンズに光学度数を追加する様式で変形し得、第2の構成要素4340bは光学度数を提供しないように付勢され得る。光学視野内で第2の光学構成要素4450をさらに薄くすることが、解放部4434によって提供され得る。流体貯蔵部4403はまた、流体貯蔵部4403が4440の構造の1つの半分のみに2つの折り畳みを含み得る、という点で、流体貯蔵部4303とは異なる。例えば、第1の構成要素の外部領域4440aは、2つの折り畳み4408を含み得、一方で第2の構成要素の外部領域4440bは、1つも有さない(例えば、流体貯蔵部4403の後方半分が2つの折り畳み4408を含む)。
【0286】
その他の例では、流体で充填されたチャンバまたはベローズ、またはその他の流体貯蔵部構造の幾何学形状は変更され得る。例えば、
図45は、構造がAIOLシステム4400に類似するAIOLシステム4500を図示し、参照番号の最後の2桁が類似の構造を示す。流体で充填されたベローズ構造4503は、例えば、第1の構成要素4540aおよび第2の構成要素4540bの外側部分の周囲に円周方向に延在する直線的断面形状を有し得る。
【0287】
AIOL4200、4300、4400、4500の様々な周辺流体貯蔵部構造は、流体貯蔵部の剛性を制御し、それによって、本明細書に前述された、変化する調節と眼が構造に印加する力との関係を制御する手段を提供し得る。
【0288】
図46A、46B、46Cは、上述のAIOLシステム4300、4400、4500に類似する、AIOLシステム4600のさらに別の実施形態を図示し、参照番号の最後の2桁は、
図43から
図46Cまで類似した構造を示す。AIOL4600は、第1の構成要素4640aと、第2の構成要素4640bと、第3の構成要素を画定する固定レンズ構造4630と、第4の構成要素を画定する薄壁リング4640cとを含む4つの主要部品から作製され得る。AIOL4600は、薄壁リング4640cと、第1の構成要素4640aおよび第2の構成要素4640bの外側部分によって画定される、流体貯蔵部4603を含む。薄壁リング4640cは、薄壁リング4640cが第1の構成要素4640aおよび第2の構成要素4640bの外縁部を互いに連結するよう、シームまたは接合部4601において第1の構成要素4640aおよび第2の構成要素4640bに固定され得る。薄壁リング4640cは、構造の残りの構成要素とは異なる材料特性を有する材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、薄壁リング4640cは、低減された弾性係数で第1の構成要素4640aおよび第2の構成要素4640bを作製するのに使用されるポリマーのバージョンで作製され得る。そのため、薄壁リング4640cは、より簡単に作製されるか、他の場合に可能となり得るよりも薄い断面で作製され得る。代替的に、または組み合わせて、薄壁リング4640cは、遠心鋳造(spin cast)または求心鋳造(centripetally cast)されるため、機械加工によって達成し得るであろうよりもより薄い構造が可能になる。この特定の実施形態は、本来の生体構造の動きに良好な応答を提供することが期待され、特定の例では、より低い圧力に対してより大きな応答を提供する。
【0289】
固定レンズ構造4630は例えば、凹凸構成を備え得る。触覚のような構造4635は、接続特徴4631において咬合するのに使用され得る。解放部4634は、触覚のような構造4635と固定レンズ4630の凸面をオフセットすることによって作り出される。
【0290】
図47は、
図46Aから46Cに示すAIOLシステム4600の変形であるAIOLシステム4700を図示する。
図47では、様々な構造が様々な参照番号で示されており、参照番号の最後の2桁は、上述したそれらに類似する構造を示す。第1の構成要素4740aと第3の構成要素4740cとの間の接続区域と、第2の構成要素(例えば、
図46Bおよび
図46Cに示す第2の構成要素4640b)と第3の構成要素4740cとの間の接続区域は、あまり剛性のない構造が可能となるよう、複数のスロット4770を有し得る。スロット4770は、流体で充填された構造4740を組み立てる前にAIOLシステム4700の構成要素内で作製され得るか、または、スロット4770は、構成要素が組み立てられた後に作られ得る。構造が組み立てられた後に追加されるとき、機械加工切断、レーザー切断、およびその他の好適な手段のうちの1つ以上によってスロット4770が作られ得る。スロット4770は、シームの一部が切断されないままであり、AIOLの構成要素の間の封止部が残るよう、スロット4770がシームを部分的に下に延在させるように作られ得る。
【0291】
図48A、
図48B,
図48Cは、
図43から
図47に関して上述されるAIOLシステム4300、4400、4500、4600、4700の実施形態に類似したAIOLシステム4800の代替的実施形態の態様を図示する。AIOLシステム4800は、固定レンズ4830と、第1の構造要素4840aと第2の構造要素4840bとを含む、流体で充填された構造4840とを備える。第1の構造要素4840aは、第1の光学構成要素4810を確定する内部領域と、第1の光学構成要素4810の周囲の剛性の環状結合領域4807と、剛性の結合領域4807の周囲の外部領域4808とを含むことができる。剛性の結合領域4807は、いくつかの機能のうちのいずれをも実施する環状壁となり得、1)剛性結合領域4807は、外部領域4808に対して加えられる外部の力から第1の光学構成要素4810を隔離させ、第1の光学構成要素4810の光学整合を維持する、2)剛性結合領域4807は、固定レンズ4830と第1の光学構成要素4810との間の空間において空洞4841を形成する高さを有する、3)剛性結合領域4807は、前方端においてある形状を維持し、流体貯蔵部4803が変形するにつれ、固定レンズ4830を所定位置にしっかりと保持する、4)剛性結合領域4807は、光学流体が調節式レンズ内に方向付けされるよう、流体貯蔵部4803の設定された内部境界を画定する。第1の構造要素4840aおよび第2の構造要素4840bは、シーム4801において一緒に結合され、
図48Aの断面アセンブリ図に示す、流体で充填された構造4840の外側部分4808において流体貯蔵部4803を画定する。第1の構造要素4840aは、空洞4841が第1の光学構成要素4801と固定レンズ4830との間に前方空間を画定するよう、本来の水晶体嚢に対して前方に対向する前方構成要素となり得る。第2の構造要素4840bは、第2の光学構成要素4850を含み得る。第2の光学構成要素4850は、第1の光学構成要素4810よりもより剛性があり得る。例えば、第2の光学構成要素4850は剛性があり得(例えば、硬い)、第1の光学構成要素4810は可撓性があり得る。
【0292】
第1の光学構成要素4810と第2の光学構成要素4850との間の空間4812は、光学流体で充填され得る。流体で充填された構造4840は、流体貯蔵部4830と、第1の光学構成要素4810と第2の光学構成要素4850との間の空間4812との間に流体チャネル4849(
図48A)を有する。動作中、光学流体は、本来の水晶体嚢によって加わる力に応じて流体貯蔵部4830と空間4812との間を通過する。空間4812における圧力が増加するにつれ、少なくとも第1の光学構成要素4810が空洞4841内前方に、固定レンズ4830に向かって偏向し、AIOLシステム4800の光学度数を動的に変化させ、調節を提供する。空間4812の光学流体と、少なくとも第1の光学構成要素4810はそれに応じて調節式レンズを画定する。
【0293】
AIOLシステム4800の別の特徴は、第1の構造要素4840aと第2の構造要素4840bとの間の接続である(
図48Cに最良に示される)。第1の構造要素4840aは結合ピン4855をさらに備え得、第2の構造要素は、結合ピン4855を受容するよう構成された受容体4856をさらに備え得る。結合ピン4855は、
図48Cに示す配向で、第1の構造要素4840aの剛性の結合領域4807から下向きに突出し、受容体4856は第2の光学構成要素4850の外周の貫通穴となり得る。第2の構造要素4840bはスタンドオフ4857をさらに含み、第1の構造要素4840aおよび第2の構造要素4840bが結合ピン4855において一緒に結合されると、受容体4856は流体チャネル4849(
図48A)を形成し、流体貯蔵部4803と、第1および第2の光学構成要素4850の間の空間4812との間を光学流体が流れることができる。さらに、流体で充填された構造4840は、本来の水晶体嚢の外縁からレンズ4800の光学部分への細胞移動の障壁を提供する、方形縁の環状領域4851を有し得る。そのような細胞移動は、光学システムの術後の混濁化を引き起こし得る。
【0294】
図48Aおよび
図48Bに示す固定レンズ4830は、本来の水晶体嚢内の水様流体が、固定レンズ4830を通って空洞4841の中または外を通過することを可能にする、穴または切り込み(例、凹部)等の、少なくとも1つの通路4820を外周に含む。例えば、空洞4841の本来の水様流体は、第1の光学構成要素4810の形状の変化に応じて、固定レンズ4830内の通路4820を通過する。したがって、液体が空洞4841にある一方で第1の光学構成要素4810が前方に偏向することができる間は、第1の光学構成要素4810が所望の性能を維持するよう、通路4820は、本来の水様流体が第1の光学構成要素4810を濡らすことができる。
【0295】
固定レンズ4830は、空洞4841の前方部分において、または近くに位置する固定レンズ受容体4831において、第1の構造要素4840aの剛性の結合領域4807に取り付られ得る(詳細は
図48Cの断面)。固定レンズ受容体4831および固定レンズ4830は、固定レンズ4830が第1の構造要素4840aに取り付けられ得、流体で充填された構造4840が本来の水晶体嚢に移植された後に第1の構造要素4840aから取り除かれるように構成される。これは、固定レンズ4830が流体で充填された構造4840の前方部分に取り付けられるため、可能である。この設計は、流体で充填された調節部分4840が本来の水晶体嚢に配置された後、手技の時点で患者が必要とする固定レンズの補正力を提供することが可能である。さらに、固定レンズ4830およびレンズ受容体4831は、固定レンズ4830が流体で充填された部分からその場で(in-situ)取り除かれ得るように構成されるため、ある光学度数の固定レンズ4830が異なる光学度数の固定レンズ4830で置き換えられ得、固定レンズ4830の光学度数をその場で(in-situ)調整し得る。この構成は、調節式レンズユニットの形状が移植前と比べて、移植された後は同一ではない可能性があるため、より良い効能を提供することが期待され、同時に、固定光学度数は、移植後の調節式レンズユニットの実際の形状と力に基づいて決定され得る。また、患者の視力は時間とともに変化し得、患者の処方が変化するにつれて固定レンズが変化され得る。
【0296】
図49Aは上面図であり、
図49Bは
図48Aから
図48Cに示す実施形態の第2の構造要素4840bが第2の構造要素4940bで置き換えられた、代替的実施形態の断面側面図である。第2の構造要素4940bは、流体貯蔵部4903の一部分において厚み付け特徴4960を備える。
図49Aに最も明確に示されているように、厚み付け特徴4960は第2の構造要素4940bの一側面のみにあり、厚み付け特徴4960は、第2の構造要素4940bの円周の一部のみの周囲に延在する。厚み付け特徴4960は、アセンブリの内部に流体を送達し、そのアセンブリの内部からガスを取り除くのに使用する針または管状部材を介して、完全なアセンブリの内部に到達するのに使用する、より長い部材経路を提供する。4960のバルク材を通る、針のより長い経路は、管状部材が取り除かれるとき、経路を封止するさらなる表面エリアを提供し、場合によっては、針を取り除いた後にさらに封止処置をする必要性をなくす。図示の通り、第2の構造要素4940bはまた、
図48Cに示す実施形態における貫通穴受容体4856とは対照的に、凹部によって画定される代替受容体4956を備える。
【0297】
図50は、
図48Aから
図49Bに示す実施形態に類似した、AIOLシステム5000のさらに別の実施形態を示す。AIOLシステム5000は、固定レンズ5030と、第1の構造要素5040aおよび第2の構造要素5040bを有する、流体で充填されたユニット5040とを含む。第2の構造要素5040bは、方形外縁を有する複数の環状領域5051を含む。ベローズ構造の後方および前方領域に取り込まれるこれらの4つの環状領域5051は、後方の嚢の混濁化に関わる細胞移動に対してさらなる保護を提供する。AIOLシステム5000の実施形態はさらに、互いに直径方向に対向する2つの厚み付け特徴5060を取り込み、充填手技中の流体の流入および流体の流出を可能にする。これらの特徴は断面で示され、
図49Aおよび
図49Bに示す厚み付け特徴4960の円周角に類似した円周角に対応する。AIOLシステム5000の第1の構造要素5040aは、第2の構造要素5040bの連続する受容体リング5056に接触するスタンドオフ5055をさらに含む。
図50では、様々な構造が様々な参照番号で示され、参照番号の最後2桁は、
図48Aから
図49Bに記載のそれらに類似した構成を示す。
【0298】
図51および
図52は、性能を向上させるためにさらなる特徴が取り込まれてきた
図48Aから
図50Bに図示されるAIOLシステムに類似したAIOLシステム5100および5200を図示する。両実施形態は、AIOLシステムが円環レンズを含むときに性能を向上させる特徴を備える。円環レンズは、調節部分または固定部分のいずれかにあり得る。これらの特徴は主に、光学構成要素のそれら自体に対する回転、およびまたは、それらが移植された嚢に対する回転を最小限にする。ここに図示されるように、固定レンズ5130または5230は、円環に構成される。AIOLシステム5100および5200はそれぞれ、嚢に係合して本来の水晶体嚢内でのAIOLシステム5100および5300の回転を抑制する、嚢回転制約部5166(
図51Aおよび
図51C)および5266(
図52Aおよび
図52C)を外縁に含む。嚢回転制約部5166および5266は、AIOLシステム5100および5200それぞれの外縁において、第1の構造要素5140a、5240aおよび/または第2の構造要素5140b、5240bの、厚み付けされた一部分となり得る。嚢回転制約部の代替実施形態は、外縁上において他の表面よりもしっかりと本来の嚢に係合する、任意の特徴となり得る。あるいは、AIOLシステム5100または5200は、1つのみの、または2つ以上の嚢回転抑止部5166または5266を有することができる。
【0299】
嚢回転制約部5166および5266に加え、AIOLシステム5100および5200はまた、AIOLシステムの調節部分に対する固定レンズの配向を回転維持する特徴を含むことができる。AIOLシステム5100および5200の固定レンズ回転制約部または円環インデキシング特徴は、この特徴を提供する。AIOLシステム5100の固定レンズ5130は、固定レンズ5130の外周に沿った切り欠きまたは穴によって画定される複数の通路5120を有し、その通路5120のうちの1つがある位置に受容体5167を画定し、第1の構造要素5140aに対する固定レンズ5130の適切な配向をガイドする。第1の構造要素5140aは、対応する半径方向の位置においてキー5168を備え、円環固定レンズ5130を整合させる。受容体5167およびキー5168は、円環インデキシング特徴5170を一緒に画定する。固定レンズ5130は、固定レンズ5130上、またはその中において、受容体5167がキー5168に整合されることになるのはどの通路5120であるかを示す円環インデキシングマーク5169をさらに含み得る。あるいは、円環インデキシングマーク5169を有する代わりに、正確な整合に関するキー/受容体が、レンズ(例えば、湾曲した)におけるその他の通路5120とは異なる形状(例えば、三角形状)を有すことができる。
図52は、受容体5267が第1の構造要素5240aの内周における切り欠きまたは凹部であり、円環固定レンズ5230が受容体5267と嵌合するよう構成されたキー5268を備える、代替的実施形態を図示する。
【0300】
同時係属仮出願第62/334,998号および第62/331,407号に記載された通り、AIOLシステム5100および5200の嚢回転制約部5166および5266の厚み付けされた領域は、AIOL送達デバイスの狭い口径狭窄または管を通ってAIOLシステム5100および5200を送達するときに使用する、より強固な前縁部をさらに提供する。厚み付けされた回転制約部5166および5266のうちの一方は、AIOLシステム5100および5200の前縁部となるように位置付けすることができ、他方は、それらが送達デバイスの狭い口径または管を通過するときに後縁部となるように位置付けすることができる。送達中厚み付けされた回転制約部に前縁部を画定させることにより、最遠部が送達器具の制約された区域に入った後、送達中に、AIOLシステムの先導セクションにおいて流体がトラップされると、AIOLシステム5100および5200の前縁部がより大きな圧力を保持することができる。
【0301】
図53は、AIOLシステム5100の厚み付けされた回転制約部5166のうちの1つが、送達中に送達デバイス5300の遠位端においてどのように動作するかを概略的に図示する。嚢回転制約部5166に対して適切に配向され、送達のために注入端5375に入っていくAIOLシステム5100が示される。AIOLシステム5100は、柔軟な遠位端5378を備えるプランジャ5377の遠位端によって挿入漏斗5376を通って押される間は、送達器具狭窄部に一致する。AIOLシステム5100における流体の内部圧が、漏斗5376において圧縮されるにつれて増加することが理解されるだろう。前縁部における厚み付けされた回転制約部5166は、圧力の増加に耐え、かつ送達中の前端部が破裂するのを防ぐためにより多くの材料を提供する。
【0302】
図54Aから
図54Cは、少なくとも1つの中間ベローズ取付特徴5471(
図54Bおよび
図54Cの横断面図に図示される)を備える代替AIOLシステム5400を図示する。AIOLシステム5400は、上述のAIOLシステム5200の実施形態に類似する。例えば、AIOLシステム5400の図示された実施形態は、ベローズ領域5403を画定するシーム5401において一緒に結合される、上側構造要素5440aと下側構造要素5440bとをそれぞれ備える。AIOLシステム5400は、固定レンズ5430と、第1の光学構成要素5410と、第2の光学構成要素5450と、第1の光学構成要素5410と第2の光学構成要素5450との間の空間5412とをさらに備える。第1の光学構成要素5410と第2の光学構成要素5450のうちの少なくとも1つは変形可能(例えば、前方および/または後方に屈曲することができる)であり、いくつかの実施形態では、第1の光学構成要素5410は第2の光学構成要素5450よりもより変形可能である。例えば、第1の光学構成要素5410は、薄く柔軟な部材であるが、第2の光学構成要素5450は少なくとも実質的に強固であり得る(例えば、光学度数を変化させる方法では屈曲しない)。空間5412において光学流体と組み合わせた第1の光学構成要素5410および/または第2の光学構成要素5450は流体調整式レンズを画定する。AIOLシステム5400はまた、(a)特徴4960に対して上述された、充填手技中の流体送達を容易にする、厚み付け特徴5460と、(b)光学経路内で患者の嚢の外縁からAIOLシステム5400の部分への細胞移動への障壁を提供する、方形形状環状縁部5451とを含む。
【0303】
中間ベローズ取付特徴5471は、上側構造要素5440aおよび下側構造要素5440bにそれぞれ一体化される上側嵌合要素5471aおよび下側嵌合要素5471bをそれぞれ備え得る。上側嵌合要素5471aおよび下側嵌合要素5471bは、嵌合領域5472において一緒に接合される。中間ベローズ取付特徴5471は、互いに離間した複数の個別位置において、ベローズ構造5403の中間セクションの周りに円周方向に分配され得る。例えば、
図54Aから
図54Cに示すAIOLシステム5400の実施形態では、中間ベローズ取付特徴5471は、ベローズ領域5403の中間セクションの周りの、8つの離間した位置(図示なし)において均等に分配されているが、ベローズ取付特徴5471は特定の数に限定されない。
【0304】
中間ベローズ取付特徴5471は、ベローズ構造5403から調節式レンズの空間5412への流体がより効率的に移動することを期待されている。より具体的には、中間ベローズ取付特徴5471がなければ、上側構造要素5404aおよび下側構造要素5404bの外縁の頂点は、ベローズ構造5403において圧力が増加するにつれ、互いから分離する傾向がある。中間ベローズ取付特徴5471は、上側構造要素5404aおよび下側構造要素5404bの外縁の頂点が分離するのを抑制することによって、調節中はベローズ構造5403の中間セクションでの所望しない、または過度の拡張等を制限する。中間ベローズ取付特徴5471はしたがって、流体が空間5412内に流れると、ベローズ構造5403の中間セクションの容積を安定化させ、ベローズ構造5403から調節式レンズの空間5412への調節流体をより効率的に移動させる。
図54Bは、中間ベローズ取付特徴5471のうちの2つを通過するAIOLシステム5400を通るセクションを図示し、
図54Cは、ベローズの外周から流体調節式レンズの空間5412へ流体が通過することを可能にする、中間ベローズ取付特徴5471の間の2つの空間を通過するAIOLシステム5400のセクションを図示する。
【0305】
中間ベローズ取付特徴5471は、
図54Aから
図54Cに関して上述したAIOLシステム5400の実施形態においての使用に限定されず、むしろ本明細書に開示されているAIOLシステムの任意の適切な実施形態に組み込まれ得る。例えば、ベローズ構造を有する前述のAIOLシステムのいくつかは、中間ベローズ取付特徴5471をAIOLシステム3900、4100、4200、4300、4400、4800、5000、5200、5300等の実施形態に組み込み得るが、これらに限定されない。
【0306】
図43から
図54Cに図示された実施形態のうちのいずれかのような実施形態は、これらに限定されないが、光学経路XX内にはない、いくらかまたは全ての部分が、光スループットを減少させるよう染色されるかまたは処理された部品から構築され、
図51Bに示すように、光学経路の外側の迷光入射部分の能力が、光学経路YYの中に散乱することを制限することができる。
【0307】
本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の固定レンズは、球状、非球状、円環、またはその他の任意の既知のレンズ構成であってよい。代替的に、または組み合わせて、固定固体レンズは、平凸状、凸凹状、または凹凸状であってもよい。固定レンズは、正または負の固定力を有するよう構成されてもよい。
【0308】
本明細書に記載の流体レンズは、1つ以上の調節表面、例えば2つの調節表面を有するように構成されてもよい。
【0309】
いくつかの実施形態では、光学流体は屈折率の高いポリビニルアルコールから成り得る。
【0310】
図43から
図54Cに記載のAIOLデバイス(AIOL4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、5100、5200、5400等)は、以下の方法で移植され得る。眼の準備をし、本来のレンズを任意の適切な方法で嚢から取り除き得る。次に、流体で充填された構造が眼の嚢に配置され得る。次いで、患者は、固定レンズを選択するためには、基礎光学度数およびまたは乱視補正のために評価され得る。次いで、選択した固定レンズがAIOLの、事前に移植された、流体で充填された構造内へ挿入され得る。次いで、選択した固定レンズが、眼の嚢内の、流体で充填された構造に結合され得る。上述の通り、流体で充填された構造または固定レンズのうちの1つ以上はそれぞれ、水晶体嚢内への送達のため、低減されたプロファイルの送達構成に再構成され得る(例えば、折り畳まれ得る)くらい可撓性があってもよい。いくつかの例では、手術後に固定部分にさらなる補正をすることが要求され得る。そのような例は、手術後、数日から数年のうち、いつでも起こり得る。そのようなとき、患者は、医師の元へ戻り、固定レンズを、異なる光学度数またはその他の処方を有する新しい固定レンズと置き換え得る。そのような例では、元の固定レンズを取り除く前、または、後に、新しい処方を特徴づけてもよい。そのような例では、新しい固定レンズが、検査の時点で作製され、移植され得、その他の例では、患者は検査後のいつか、固定レンズを移植するために戻り得る。
【0311】
いくつかの実施形態では、AIOLの固定部分は、調節部分とは異なる材料で作成されてもよい。そのような材料は、親水性または疎水性のあるメタクリレートまたはシリコーン、および、非調節IOLに従来から使用されるその他の任意の材料を含む。固定レンズは、調節部分に使用される材料よりも硬い材料で作製されてもよい。
【0312】
図43から
図54に記載された眼内レンズシステムの特徴のうちのいずれも、本明細書において記載される他の眼内レンズの特徴のうちのいずれとも組み合わされ得、逆もまた同様である。
【0313】
本開示の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されてきたが、そのような実施形態が単に例として提供されることは、当業者には明らかであろう。多くの変形、変更、および置換が、本発明から逸脱することなく当業者により今後構想されるであろう。本明細書に記載される本開示の実施形態に対する様々な代替は、本開示の実践において採用され得ることを理解するべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を画定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物がそれにより網羅されるものとする。