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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146033
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】トリラテラルサイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F01K 25/04 20060101AFI20220928BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20220928BHJP
   F01D 15/10 20060101ALI20220928BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20220928BHJP
   F01K 27/02 20060101ALI20220928BHJP
   F01C 21/06 20060101ALN20220928BHJP
   F25B 9/06 20060101ALN20220928BHJP
【FI】
F01K25/04
F01D25/12 Z
F01D15/10 B
F01K25/10 R
F01K27/02 B
F01C21/06
F25B9/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046805
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 誠
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA08
3G081BB10
3G081BC30
3G081BD00
(57)【要約】
【課題】気液二相流の作動流体を利用することで、発電機の冷却と発電機からの排熱の回収とを同時に達成するトリラテラルサイクルシステムを提供する。
【解決手段】熱交換器13から供給された気液二相流の作動流体により駆動する膨張機14と、この膨張機14に連結された発電機16と、を備えたトリラテラルサイクルシステム10において、発電機16は熱交換器13および膨張機14の間で気液二相流の作動流体が流通する通路19の中途位置に配置され、発電機16を冷却する冷却通路21が通路19の一部分で構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器から供給された気液二相流の作動流体により駆動する膨張機と、この膨張機に連結された発電機と、を備えたトリラテラルサイクルシステムにおいて、前記発電機は前記熱交換器および前記膨張機の間で気液二相流の作動流体が流通する通路の中途位置に配置され、前記発電機を冷却する冷却通路が前記通路の一部分で構成されることを特徴とするトリラテラルサイクルシステム。
【請求項2】
前記膨張機と前記発電機とは一つの筐体の内部に収納される請求項1に記載のトリラテラルサイクルシステム。
【請求項3】
前記筐体は、前記熱交換器を通過した気液二相流の作動流体が流入する入口配管と、前記膨張機を通過した作動流体が流出する出口配管と、が接続されて成り、前記冷却通路の先端が前記入口配管に連通し、中途位置が前記発電機を経由し、末端が前記膨張機の入口に連通する構成である請求項2に記載のトリラテラルサイクルシステム。
【請求項4】
前記膨張機の出力軸と前記発電機の駆動軸とは同軸上に配置されるとともに互いに連結され、前記出力軸および前記駆動軸の内部に気液二相流の作動流体が流通する軸用通路が形成されて、前記出力軸および前記駆動軸のそれぞれが配管で構成され、
前記冷却通路は、前記軸用通路と、その軸用通路の出口および前記膨張機の流体機器の入口を連通する連絡通路と、を有して構成される請求項3に記載のトリラテラルサイクルシステム。
【請求項5】
前記出力軸および前記駆動軸の両方の内部のそれぞれに前記軸用通路が形成されて、前記出力軸および前記駆動軸のそれぞれが配管で構成され、
前記出力軸の配管外径と前記駆動軸の配管内径とが同径であり、前記出力軸の先端が前記駆動軸の内部に配置されて、前記出力軸の外周面が前記駆動軸の内周面に固定される請求項4に記載のトリラテラルサイクルシステム。
【請求項6】
前記入口配管はその末端が前記筐体の内部に配置され、前記駆動軸の配管外径は前記入口配管の配管内径以下であり、前記駆動軸の先端が前記入口配管の内部に配置されて、前記駆動軸が回転可能に前記駆動軸の内部に形成された前記軸用通路が前記入口配管の内部に連通される請求項4または5に記載のトリラテラルサイクルシステム。
【請求項7】
前記膨張機と前記発電機とは一つの出力兼駆動軸で連結され、前記出力兼駆動軸の内部に気液二相流の作動流体が流通する軸用通路が形成されて、前記出力兼駆動軸が配管で構成され、
前記冷却通路は、前記軸用通路のみを有して、前記膨張機の流体機器の入り口に連通する、あるいは、前記軸用通路と、その軸用通路の出口および前記膨張機の流体機器の入口を連通する連絡通路と、を有して構成される請求項3に記載のトリラテラルサイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリラテラルサイクルシステムに関し、より詳細には、熱交換器から供給される気液二相流の作動流体で駆動する膨張機と膨張機に連結された発電機とを備えるトリラテラルサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トリラテラルサイクルシステムでは無いが、膨張機と発電機とが密閉容器に収容され、密閉容器の発電機が配置された内部空間がポンプと加熱器(熱交換器)との間の流路の一部で構成されたランキンサイクルシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のランキンサイクルシステムは、加熱器で加熱される前の作動流体で発電機を冷却することで、発電機の温度上昇を抑制するとともに加熱器に流入する前の作動流体を予熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-174494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排熱回収においては低温の熱源からエネルギーを回収するシステムとして、温度-エントロピー線図で略三角形を構成するトリラテラルサイクルシステムが知られている。トリラテラルサイクルとは、気液二相断熱膨張サイクルとも呼称され、熱源から作動流体への熱交換後に作動流体が気液二相状態になり、膨張機内で気液二相状態の作動流体を減圧沸騰させてエネルギーを取り出すサイクルである。
【0005】
トリラテラルサイクルに上記の特許文献1に記載の発明を適用しても、加熱器で加熱される前の作動流体で発電機を冷却する構造であることから、一つの密閉容器の内部に温度帯の異なる作動流体が存在することになる。それ故、トリラテラルサイクルに特許文献1に記載の発明を適用しても、密閉容器の内部で、高温の作動流体が冷却される、あるいは、低温の作動流体が加熱されるため、密閉容器の内部の断熱対策が必須となっており、密閉容器の内部が複雑化する。また、密閉容器に二つの流路が接続される構造であるため、システムの流路に制約が生じる。このように、トリラテラルサイクルシステムにランキンサイクルシステムの技術事項を単純に利用しても、簡易な構成で、発電機の冷却と発電機からの排熱の回収とを同時に達成することはできない。
【0006】
本願の発明者は、トリラテラルサイクルにおいて熱交換器から膨張機に供給される作動流体が気液二相状態であることに着目し、膨張機に流入する気液二相流の作動流体を利用することを見出した。
【0007】
本開示の目的は、気液二相流の作動流体を利用することで、発電機の冷却と発電機からの排熱の回収とを同時に達成するトリラテラルサイクルシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する本発明の一態様のトリラテラルサイクルシステムは、熱交換器から供給された気液二相流の作動流体により駆動する膨張機と、この膨張機に連結された発電機と、を備えたトリラテラルサイクルシステムにおいて、前記発電機は前記熱交換器および前記膨張機の間で気液二相流の作動流体が流通する通路の中途位置に配置され、前記発電機を冷却する冷却通路が前記通路の一部分で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、気液二相流の作動流体が冷却通路を流れる際に、その作動流体の液相が発電機の熱により蒸発することで、発電機を冷却すると同時に発電機の排熱を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態のトリラテラルサイクルシステムを例示する構成図である。
図2図1の筐体の内部を例示する断面図である。
図3図1の筐体の内部の第一変形例を例示する断面図である。
図4図1の筐体の内部の第二変形例を例示する断面図である。
図5図1の筐体の内部の第三変形例を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示におけるトリラテラルサイクルシステムの実施形態について説明する。図中において、白抜き矢印は排熱の流れを示し、塗り潰し矢印は作動流体の流れを示す。図中では、構成が分かり易いように部材の寸法を変化させており、必ずしも実際に製造するものとは一致させていない。以下、本開示において、通路とは作動流体が流通する部位を示し、配管とは通路を構成する部材を示す。
【0012】
図1に例示するように、実施形態のトリラテラルサイクルシステム10は、図示しないエンジンの排熱を電力に変換して回収するシステムである。エンジンの排熱としては、燃料の燃焼により生じる排気や燃焼による熱を冷却する冷却水が例示される。トリラテラルサイクルシステム10は膨張機14に流入する作動流体の状態が、乾き蒸気ではなく、気液二相の状態であり、エンジンの排熱が100℃以下の低温の場合でも排熱を回収することが可能である。それ故、トリラテラルサイクルシステム10の熱源としては、エンジンの冷却水が好適であり、本実施形態のトリラテラルサイクルシステム10は排熱として冷却水を採用している。トリラテラルサイクルシステム10の作動流体としてはエタノールが例示される。
【0013】
トリラテラルサイクルシステム10は、作動流体が循環する循環通路11に作動流体の流れに関して順に、ポンプ12、熱交換器13、膨張機14、および、凝縮器15が配置される。トリラテラルサイクルシステム10は膨張機14に連結された発電機16を備える。
【0014】
ポンプ12により循環通路11を循環する作動流体は、熱交換器13でエンジンの冷却水と熱交換して加熱されて気液二相流の作動流体になる。熱交換器13を通過した後の気液二相流の作動流体は膨張機14を駆動する。膨張機14を駆動した後の作動流体は凝縮器15で冷却されて再びポンプ12へ戻る。膨張機14の駆動により発電機16が発電した電力は図示しないバッテリに蓄電される。
【0015】
トリラテラルサイクルシステム10は筐体20と冷却通路21とを備えて構成される。トリラテラルサイクルシステム10は、膨張機14と発電機16とが一つの筐体20の内部に収納され、筐体20の内部で、膨張機14の出力軸17と発電機16の駆動軸18とが同軸上に配置されて直に連結する構造を有する。トリラテラルサイクルシステム10は、循環通路11のうちの熱交換器13と膨張機14との間に存在し、熱交換器13を通過後の気液二相流の作動流体が流通する通路19の中途位置に発電機16が配置され、発電機16を冷却する冷却通路21が通路19の一部分で構成される。図中では、斜線の部分が通路19を示すものとする。
【0016】
図2において、X方向は出力軸17および駆動軸18の軸方向を、Y方向はX方向に直交する方向をそれぞれ示している。本開示において、先端や末端は作動流体の流れを基準としており、先端は上流側に存在する一端を、末端は下流側に存在する他端を示すものとする。
【0017】
図2に例示するように、膨張機14は気液二相流の作動流体のエネルギーを出力軸17の回転運動に変換する流体機器14aと、その流体機器14aを収納する膨張機用筐体14bとを有して構成される。流体機器14aとしてはターボ型(遠心式タービンや軸流式タービン)や容積型(ベーン膨張機、スクロール膨張機、スクリュー膨張機)が例示され、特に限定されるものではない。本実施形態の膨張機14は流体機器14aがピストンの外周面あるいは内周面をベーンが摺動する構造であるロータリ式膨張機を採用している。
【0018】
発電機16は駆動軸18に固定されたロータ16aとロータ16aの周囲に配置されて筐体20に固定されたステータ16bとを有して構成される。発電機16は図示しないインバータを介してバッテリに電気的に接続される。発電機16はその内部に発電機16を冷却する冷却通路21が形成される。
【0019】
筐体20は密閉構造を成し、気液二相流の作動流体の流れに関して、上流側に発電機16を収納し、下流側に膨張機14を収納する。筐体20は入口配管22および出口配管23が接続される。
【0020】
入口配管22は通路19を構成する配管の一つであり、熱交換器13を通過後の気液二相流の作動流体が筐体20の内部へ流入する配管である。入口配管22はその末端が筐体20の内部に配置される。出口配管23は膨張機14を通過した作動流体が筐体20の外部へ流出する配管である。
【0021】
冷却通路21は、通路19の一部分であり、先端が入口配管22に連通し、中途位置が発電機16を経由し、末端が膨張機14の流体機器14aの入口14cに連通する通路である。冷却通路21は、気液二相流の作動流体が流通する通路であり、その作動流体の流れに関して上流側から順に、駆動軸用通路24、出力軸用通路25、および、連絡通路26が配置されて成る。
【0022】
駆動軸用通路24は駆動軸18の内部に形成された通路であり、気液二相流の作動流体が流通する。駆動軸用通路24はその先端が入口配管22に連通し、末端が出力軸用通路25に連通する。駆動軸用通路24が内部に形成された駆動軸18は配管で構成され、その配管の外周面にロータ16aが固定される。
【0023】
出力軸用通路25は出力軸17の内部に形成された通路であり、駆動軸用通路24を通過した後の気液二相流の作動流体が流通する。出力軸用通路25はその先端が駆動軸用通路24に連通し、末端が連絡通路26に連通する。出力軸用通路25が内部に形成された出力軸17は配管で構成され、その配管が流体機器14aにより回転駆動される。
【0024】
連絡通路26は膨張機用筐体14bに形成された通路であり、出力軸用通路25を通過した後の気液二相流の作動流体が流通する。連絡通路26はその先端部が出力軸用通路25に連通し、末端が流体機器14aの入口14cに連通する。
【0025】
駆動軸18の配管外径は入口配管22の配管内径以下である。駆動軸18の先端は入口配管22の内部に配置される。駆動軸18は回転可能に駆動軸用通路24が入口配管22に連通する。駆動軸18の配管外径は入口配管22の配管内径よりも小さいことが望ましい。駆動軸18の配管外径が入口配管22の配管内径よりも小さくなると、駆動軸18の外周面が入口配管22の内周面に対して非接触となり、接触による抵抗負荷を低減するには有利になる。駆動軸18の配管外径が入口配管22の配管内径よりも小さくなると、駆動軸18の外周面と入口配管22の内周面との間に隙間が生じる。膨張機14の出口が筐体20の内部の圧力よりも低圧であることから、気液二相流の作動流体は入口配管22から駆動軸18に流れ、その隙間から漏れ出ることはない。仮に、その隙間から気液二相流の作動流体が漏れ出ても筐体20の内部に留まり筐体20の外部に漏れ出ることはない。
【0026】
出力軸17の配管外径は駆動軸18の配管内径と同径である。出力軸17の先端は駆動軸18の内部に配置される。出力軸17の外周面は駆動軸18の内周面に固定される。出力軸17はその先端が発電機16の中央部分に位置するまで延在することが望ましい。出力軸17の先端が発電機16の中央部分に位置することで、出力軸17と駆動軸18との固定面積が増え、回転する配管どうしの固定に有利になる。出力軸17と駆動軸18との固定面積を増やすために、出力軸17の先端が作動流体の流れに関して発電機16の中央部分よりも上流側に配置されてもよい。また、駆動軸18の末端が発電機16から膨張機14の側に突出してもよい。
【0027】
連絡通路26の末端部はX方向上側の通路壁面にX方向に貫通した貫通穴26aが形成される。貫通穴26aの穴径は出力軸17の配管外径以上である。出力軸17の末端は流体機器14aからX方向下方に突出し、その貫通穴26aを介して連絡通路26の末端部の内部に配置される。出力軸17は回転可能に出力軸用通路25が連絡通路26に連通する。貫通穴26aの穴径は出力軸17の配管外径よりも大きいことが望ましい。貫通穴26aの穴径が出力軸17の配管外径よりも大きくなると、出力軸17の外周面が膨張機用筐体14bに対して非接触となり、接触による抵抗負荷を低減するには有利になる。同様に、膨張機用筐体14bのX方向上端に形成されて、出力軸17が挿通される貫通穴14dの穴径も出力軸17の配管外径以上であり、その穴径は出力軸17の配管外径よりも大きいことが望ましい。
【0028】
熱交換器13を通過した気液二相流の作動流体は、入口配管22、駆動軸用通路24、出力軸用通路25、連絡通路26、流体機器14a、および、出口配管23の順に流通する。駆動軸用通路24を通過する際に、発電機16の温度が気液二相流の作動流体の温度よりも高い場合に、作動流体の液相は蒸発し、蒸発する過程で発電機16から気化熱を奪う。これにより、発電機16が冷却されるとともに気液二相流の作動流体に発電機16の排熱を回収させる。
【0029】
以上のように本実施形態のトリラテラルサイクルシステム10は、発電機16を冷却する冷却通路21が熱交換器13を通過した後の気液二相流の作動流体が流通する通路19の一部分で構成される。それ故、トリラテラルサイクルシステム10によれば、冷却通路21に気液二相流の作動流体が冷却通路21を流れる際に、その作動流体の液相が発電機16の熱により蒸発することで、発電機16を冷却すると同時に発電機16の排熱を回収することができる。
【0030】
車両に搭載された発電機や電動発電機をエンジンの冷却水により冷却する技術は周知慣用技術である。本実施形態のトリラテラルサイクルシステム10はエンジンの排熱としてエンジンの冷却水を用いている。それ故、膨張機14に流入する気液二相流の作動流体の温度はエンジンの冷却水よりも低い温度であり、発電機16が周知慣用技術の範疇の発電機や電動発電機であれば十分に冷却可能な状態である。なお、本実施形態の発電機16の仕様は適宜、変更可能である。
【0031】
トリラテラルサイクルシステム10は、膨張機14と発電機16とが一つの筐体20の内部に収納されることが望ましい。本実施形態のように、膨張機14と発電機16とが一つの筐体20の内部に収納されることで、膨張機14の出力軸17から作動流体が漏れ出しても、漏れ出した作動流体が筐体20の内部に留まり、外部へ流出することを防ぐことができる。これにより、作動流体の流出に起因する定期メンテナンスの頻度を減少することが可能となる。
【0032】
トリラテラルサイクルシステム10は、膨張機14の出力軸17と発電機16の駆動軸18とが同軸上に配置され、それらの軸のそれぞれの内部に気液二相流の作動流体の通路が形成されることが望ましい。本実施形態のように、出力軸17と駆動軸18との両方が内部に軸用通路が形成された配管で構成されると、冷却通路21を形成するための配管を別途設ける必要がない。それ故、膨張機14と発電機16とが一つの筐体20の内部に収納された一体化構造をコンパクトにできる。
【0033】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示のトリラテラルサイクルシステム10は特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0034】
図3に例示するように、トリラテラルサイクルシステム10は、膨張機14の出力軸17と発電機16の駆動軸18とが同軸上に配置されて互いに連結する構成の場合に、出力軸17の中途位置が連絡通路26に連通する構成でもよい。出力軸17は中実軸17aと配管で構成された中空軸17bとが同軸上に連結されて、中空軸17bの末端が連絡通路26の内部に配置される。駆動軸18の末端も連絡通路26の内部に配置される。中空軸17bの末端部と駆動軸18の末端部の二つ配管が重なった管壁に複数の貫通孔27が形成される。連絡通路26の内部で中空軸17bの末端部と駆動軸18の末端部とを重ねて二重にすることで、それらの末端部に複数の貫通孔27が形成されることで低下する耐久性を向上することが望ましい。
【0035】
図4に例示するように、トリラテラルサイクルシステム10は、膨張機14と発電機16とが一つの出力兼駆動軸28で連結される場合に、その出力兼駆動軸28の内部に軸用通路29が形成され、出力兼駆動軸28が配管で構成されてもよい。この出力兼駆動軸28はX方向上側の部分にロータ16aが固定され、X方向下側の部分に流体機器14aが固定される。
【0036】
また、図5に例示するように、出力兼駆動軸28が中実の出力軸部28aとその出力軸部28aが軸中心に配置された中空の駆動軸部28bとから構成され、出力軸部28aと駆動軸部28bとが連結部28cにより連結される構成でもよい。この出力兼駆動軸28は、出力軸部28aに膨張機14の流体機器14aが固定され、駆動軸部28bに発電機16のロータ16aが固定される。この出力兼駆動軸28を備える場合に、冷却通路21は、出力兼駆動軸28の末端が膨張機14の流体機器14aの入口14cに直結される。
【0037】
以上のように、膨張機14および発電機16の連結や冷却通路21の構成は膨張機14の流体機器14aの仕様や各々の配管の耐久性により適宜、変更可能である。
【0038】
本開示のトリラテラルサイクルシステム10は膨張機14と発電機16とが一つの筐体20の内部に収納された一体化した構造に限定されず、トリラテラルサイクルシステム10の循環通路11に別々に配置される構成でもよい。
【0039】
また、本開示のトリラテラルサイクルシステム10は冷却通路21が膨張機14の出力軸17や発電機16の駆動軸18の内部に形成される構成に限定されず、それらの軸と冷却通路21が別々に配置された構成でもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 トリラテラルサイクルシステム
11 循環通路
12 ポンプ
13 熱交換器
14 膨張機
15 凝縮器
16 発電機
17 出力軸
18 駆動軸
19 通路
20 筐体
21 冷却通路
図1
図2
図3
図4
図5