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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146039
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】システム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220928BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046817
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】石川 秀水
(72)【発明者】
【氏名】川津 哲司
(72)【発明者】
【氏名】秋月 克之
(72)【発明者】
【氏名】馬場 友貴
(72)【発明者】
【氏名】今井 靖
(72)【発明者】
【氏名】山口 純一
(72)【発明者】
【氏名】井口 省吾
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC20
5L049CC29
(57)【要約】
【課題】 より適切な領域の情報を用いて、補完精度の向上を図る。
【解決手段】 システム1は、特定部101と、判定部102と、補完部103と、を備える。特定部101は、所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定する。判定部102は、所定の領域に係る領域属性の値と、特定された領域に係る領域属性の値と、が類似するか否かを判定する。補完部103は、類似する場合、特定された領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、所定の領域に含まれる所定の位置に係る位置属性の値を補完する。特定部101は、類似しない場合、同一の種類の領域のうち、所定の領域からの距離が特定された領域のつぎに近い領域を特定する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定する特定手段と、
前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定する判定手段と、
類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する補完手段と、
を備え、
前記特定手段は、類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する、
システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記所定の領域に係る前記領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、の類似度が所定の条件を満たすか否かを判定し、
前記補完手段は、前記類似度が前記所定の条件を満たす場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る前記位置属性の値に基づいて、前記所定の位置に係る前記位置属性の値を補完し、
前記特定手段は、前記類似度が前記所定の条件を満たさない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記領域属性は、各領域の種類に関連する属性である、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記位置属性は、各位置の環境を表す属性である、
請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記特定手段は、前記同一の種類の領域であって、前記所定の領域と同一の建物または同一の施設に含まれる領域から、前記所定の領域からの距離が近い領域を特定する、
請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記特定手段は、前記同一の種類の領域であって、前記所定の領域と同一の建物内の同一のフロアに含まれる領域から、前記所定の領域からの距離が近い領域を特定する、
請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記特定手段は、前記同一の種類の領域であって、前記所定の領域を含む建物から所定の範囲内にある建物に含まれる領域から、前記所定の領域からの距離が近い領域を特定する、
請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定し、
前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定し、
類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する、
類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する、
方法。
【請求項9】
コンピュータに、
所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定する処理と、
前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定する処理と、
類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する処理と、
を実行させ、
前記特定する処理では、類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
各場所にセンサなどの機器を配置し、各場所における様々な情報を取得する技術がある。例えば、特許文献1では、店舗の各売り場にセンサを設け、センサから得られる各情報に基づいて、対象となった部分に滞在している人が、当該部分に注目している度合を示す指標である注目度を算出する技術が記載されている。また、特許文献1では、センサがない売り場、もしくはセンサが故障した売り場の注目度を、同じ店舗の他のフロアの売り場、または他の店舗の売り場の過去の注目度を用いて予測することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/162119号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、センサがない領域やセンサが故障した領域における情報を他の領域の情報を用いて補完する場合、他の領域の情報によっては、補完精度が低くなるという問題点がある。
【0005】
本開示の目的の一例は、より適切な領域の情報を用いて、補完精度の向上を図る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様におけるシステムは、所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定する特定手段と、前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定する判定手段と、類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する補完手段と、を備え、前記特定手段は、類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する。
【0007】
本開示の一態様における方法は、所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定し、前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定し、類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する、類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する。
【0008】
本開示の一態様にプログラムは、コンピュータに、所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定する処理と、前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定する処理と、類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する処理と、を実行させ、前記特定する処理では、類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、より適切な領域の情報を用いて、補完精度の向上を図る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかるシステムの一構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1にかかるシステムの一動作例を示すフローチャートである。
図3】実施の形態2にかかるシステムに含まれる情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
図4】領域の種類別の領域属性、補完対象の位置属性、特定対象となる領域の例を示す説明図である。
図5】補完例1を示す説明図である。
図6】補完例2を示す説明図である。
図7】補完例3を示す説明図である。
図8】補完例4を示す説明図である。
図9】補完例5を示す説明図である。
図10】実施の形態2にかかるシステムに含まれる情報処理装置の一動作例を示すフローチャートである。
図11】コンピュータ装置のハードウェア構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本開示にかかるシステム、情報処理装置、方法、プログラム、およびプログラムを記録する記録媒体の実施の形態を詳細に説明する。ただし、図面は本開示の実施の形態における構成を概略的に表している。更に以下に記載される本開示の実施の形態は一例であり、その本質を同一とする範囲において適宜変更可能である。
【0012】
ここで、ディジタルツインについて簡単に説明する。ディジタルツインとは、現実空間にある情報を集め、集めた情報を元に仮想空間で現実空間を再現する技術である。より具体的に、ディジタルツインとは、リアルタイムに取得した情報を集め、AI(Artificial Intelligence)などの技術を用いて実際に起こりうる状況をコンピュータ等の仮想空間上で再現してシミュレーションを実行し、現実世界で起こることを予測するためのソリューションである。様々な場所に設置されたセンサやセンサを搭載した移動体等を通じて時系列の情報が取得される。仮想空間上でシミュレーションする際に、地図の情報上に、取得した時系列の情報や将来の予測情報等を重ねあわせてダイナミックマップを作成し、実際の状況を仮想空間上にそのままツインとして再現する。ダイナミックマップ上で現実空間の事象(World)を表現するために、シミュレーションで用いるデータは目的ごとに分類した層(レイヤ)の状態で蓄積される。
【0013】
本実施の形態で説明するシステムでは、例えば、現実空間で情報を発する機器の各位置における、位置に係る各位置属性の属性値を含むデータを取得する。システムでは、異なる位置における同一の位置属性の複数の属性値を層として管理してもよい。すなわち、層は、ある位置属性の複数の属性値からなる情報群である。なお、以下の説明において、位置属性の属性値は、位置属性の値とも称する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかるシステムの一構成例を示すブロック図である。システム1は、他の領域に含まれる各位置に係る位置属性の値を用いて、所定の領域に含まれる所定の位置に係る位置属性の値を補完する。所定の領域は特に限定されない。例えば、所定の領域は、屋外であっても屋内であってもよい。ここで、所定の領域を対象領域と呼ぶ。所定の位置は、特に限定されない。所定の位置は、例えば、対象領域のうち、センサがない位置、センサが故障した位置、指定された位置、中心位置などである。所定の位置は、複数あってもよい。システム1は、特定部101と、判定部102と、補完部103と、を有する。
【0015】
特定部101は、対象領域の種類と同一の種類の領域のうち、対象領域からの距離が近い領域を特定する。対象領域は特に限定されない。また、各領域の種類は、特に限定されない。各領域の種類は、例えば、会議室、病室、店舗、データセンターなどである。種類は、より詳細に分けられていてもよい。例えば、店舗の場合、飲食の店舗、洋服の店舗などのように店舗の種類が詳細に区別されてもよい。
【0016】
対象領域と、対象領域と同一の種類の領域と、の距離についての算出方法は特に限定されない。例えば、距離は、対象領域に含まれるある位置と、対象領域と同一の種類の領域に含まれる他の位置との間の距離であってもよい。ある位置および他の位置は、特に限定されない。例えば、ある位置及び他の位置の少なくとも一方は、対象領域の中心位置であってもよい。ある位置及び他の位置の少なくとも一方は、ランダムに選ばれた位置であってもよい。
【0017】
判定部102は、対象領域に係る領域属性の値と、特定された領域の領域属性の値と、が類似するか否かを判定する。領域属性は、例えば、各領域の種類に関連する属性である。領域属性は、例えば、種類によって異なっていてもよい。例えば、領域の種類が会議室の場合、領域属性は、各位置を含む領域の広さ、領域内の椅子の数、領域内の机の配置などであってもよい。対象領域に係る領域属性の値は、領域の広さ、椅子の数、机の数などの具体的な数値、あるいは、机の配列方向や配列数を示す値である。領域の広さを例に挙げると、判定部102は、特定された領域の広さが、対象領域の広さの所定範囲内であるか否かを判定してもよい。所定範囲は、特に限定されない。判定部102は、特定された領域の広さが、対象領域の広さの所定範囲内であれば、対象領域の広さと、特定された領域の広さと、が類似すると判定する。
【0018】
判定部102により類似すると判定された場合、補完部103は、特定された領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、対象領域に含まれる所定の位置に係る位置属性の値を補完する。位置属性は、特に限定されない。位置属性は、例えば、各位置における環境を表す属性であってもよい。環境を表す属性は、例えば、温度、湿度、音量、汚れ度合いなどが挙げられる。位置属性の値は、温度、湿度、または音量を検出するセンサの測定値であり、あるいは対象領域内の汚れ度合いの算出値である。センサは、固定配置されたものであってもよいし、移動体が有するものであってもよい。なお、同一の時刻または時間帯において、同一の位置に係る同一の位置属性の値が複数ある場合、それらの値の統計値が用いられてもよい。統計値は、例えば、平均値、中央値、最頻値などである。10時前後にある位置での温度の値が20℃、21℃、22℃と測定された場合、平均値や中央値であれば、10時前後のある位置に係る温度の値は21℃である。
【0019】
補完方法は特に限定されない。例えば、補完部103は、特定された領域に含まれる位置に係る位置属性の値を、所定の位置に係る位置属性の値としてもよい。特定された領域に含まれる複数の位置のそれぞれに位置属性の値が関連づけられている場合、補完部103は、特定された領域に含まれる複数の位置から、対象領域における所定の位置との位置関係が類似する位置を特定する。そして、補完部103は、特定した位置に係る位置属性の値を、所定の位置に係る位置属性の値としてもよい。また、補完部103は、例えば、特定された領域に含まれる各位置に係る位置属性の値の統計値を、所定の位置に係る位置属性の値としてもよい。統計値は、例えば、平均値、中央値、最頻値などである。
【0020】
また、特定部101は、対象領域に係る領域属性の値と、特定された領域に係る領域属性の値と、が類似しない場合、対象領域と同一の種類の領域のうち、対象領域からの距離が、特定された領域のつぎに近い領域を特定する。これにより、特定部101は、距離が近い順に、候補となる領域を特定することができる。
【0021】
図2は、実施の形態1にかかるシステム1の一動作例を示すフローチャートである。特定部101は、対象領域の種類と同じ種類の領域から距離が近い領域を特定する(ステップS101)。判定部102は、対象領域に係る領域属性の値と、特定された領域に係る領域属性の値と、が類似するかを判定する(ステップS102)。
【0022】
類似しないと判定された場合(ステップS102:No)、特定部101は、ステップS101へ戻る。これにより、ステップS101へ戻るため、特定部101は、同じ種類の領域からつぎに近い領域を特定する。
【0023】
一方、類似すると判定された場合(ステップS102:Yes)、補完部103は、類似すると判定された領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、対象領域に含まれる所定の位置に係る位置属性の値を補完する(ステップS103)。ステップS103のつぎに、システム1は、フローの動作を終了する。
【0024】
つぎに、実施の形態1の効果について説明する。システム1は、対象領域の種類と同一の種類の領域から、距離が近い領域を特定する。そして、システム1は、特定した領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、対象領域に含まれる所定の位置に係る位置属性の値を補完する。例えば、対象領域からの距離が近い領域ほど、対象領域の環境と似た環境にある可能性が高い。このため、システム1は、対象領域からより近い領域に含まれる各位置の位置属性の値を用いて補完することで、より精度よく補完することができる。したがって、システム1は、適切な領域に含まれる各位置の位置属性の値を用いることができ、補完精度の向上を図る。
【0025】
実施の形態1については上述した例に限られず、種々変更可能である。例えば、図1に示す各機能部は、1台の装置(情報処理装置)によって実現されてもよい。また例えば、図1に示す各機能部は、複数の装置によって実現されてもよい。
【0026】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態2では、より具体的な補完例について詳細に説明する。以下、本実施の形態2の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。
【0027】
図3は、実施の形態2にかかるシステムに含まれる情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。システム2は、例えば、情報処理装置20を含む。情報処理装置20は、ロボットまたはドローンなどの移動体、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット型の装置、サーバなど、特に限定されない。情報処理装置20は、通信ネットワーク21を介して他の装置と接続される。図示しないが、システム2は、ディジタルツインにおけるシミュレーション装置を有してもよい。なお、情報処理装置20が、シミュレーション装置であってもよい。また、システム2は、補完された値を用いる移動体を有してもよい。なお、移動体は、例えば、ロボット、ドローンなど特に限定されない。ロボットの場合、ロボットは、例えば、案内、掃除などの作業を行うサービスロボットであってもよい。例えば、ロボットは、対象領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、割り当てられた作業を行ってもよい。例えば、掃除ロボットは、対象領域に含まれる各位置における汚れの度合いによって掃除を行ってもよい。なお、情報処理装置20が、前述の通り、ロボットであってもよい。情報処理装置20は、複数のロボットのうちの親ロボットなどであってもよい。また、システム2は、対象領域に含まれる各位置に係る位置属性の値を利用する他の装置を有していてもよい。例えば、空調を管理する装置は、対象領域に含まれる各位置における温度の値によって空調の温度を設定してもよい。
【0028】
図3において、情報処理装置20は、特定部201と、判定部202と、補完部203と、予測部204と、記憶部205と、を有する。情報処理装置20は、実施の形態1で説明したシステム2の機能部に対して新たに予測部204と、記憶部205と、が追加された例である。特定部201と、判定部202と、補完部203は、それぞれ実施の形態1で説明した特定部101と、判定部102と、補完部103と、の機能を基本構成として有する。
【0029】
記憶部205は、例えば、情報処理装置20の各部の処理結果を記憶する。記憶部205としては、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)が挙げられる。記憶部205は、これらの組み合わせであってもよい。
【0030】
記憶部205は、各領域別に、領域の種類を記憶しておいてもよい。さらに、記憶部205は、各領域別に、領域の位置を記憶してもよい。なお、これらの情報は、記憶部205に限らず、情報処理装置20がアクセス可能なストレージ装置などに記憶されていてもよい。
【0031】
また、記憶部205は、各領域に含まれる各位置に関連付けて各位置属性の値を記憶してもよい。記憶部205は、時系列に、各領域に含まれる各位置に関連付けて各位置属性の値を記憶してもよい。
【0032】
特定部201は、対象領域と同一の種類の領域のうち、対象領域からの距離が他の領域より近い領域を特定する。実施の形態2の詳細な説明で用いる領域の種類については図4を用いて後述する。
【0033】
また、特定部201は、対象領域と同一の種類の領域であって、対象領域と同一の建物または同一の施設に含まれる領域から、対象領域からの距離が近い領域を特定してもよい。また、特定部201は、対象領域と同一の種類の領域であって、対象領域と同一の建物内の同一のフロアに含まれる領域から、対象領域からの距離が近い領域を特定する。特定部201は、対象領域と同一の種類の領域であって、対象領域を含む建物から所定の範囲内にある建物に含まれる領域から、対象領域からの距離が近い領域を特定する。
【0034】
また、特定部201は、対象領域と同一の種類の領域であって、予め決められた優先度が高い領域から、対象領域からの距離が近い領域を特定してもよい。優先度は、領域の種類別に定められてもよい。図4を用いて種類別の優先度を後述する。
【0035】
つぎに、判定部202は、対象領域に係る領域属性の値と、特定された領域に係る領域属性の値と、が類似するか否かを判定する。これにより、判定部202は、対象領域と、特定された領域とが類似するか否かを判定する。領域属性は、領域の種類に関連する領域の属性である。領域属性は、複数通りであってもよい。領域属性は、動的に変化する属性であってもよいし、静的な属性であってもよい。領域の種類に応じた領域属性の一例を、図4を用いて後述する。なお、記憶部205は、各領域別に、領域の種類に対応する領域属性の値を記憶してもよい。
【0036】
例えば、判定部202は、対象領域に係る領域属性の値と、特定された領域に係る領域属性の値と、の類似度が所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。より具体的に、例えば、判定部202は、類似度が所定の類似度以上であれば、類似すると判定してもよい。類似度の算出方法は特に限定されない。また、例えば、領域属性が複数通りある場合に、判定部202は、領域属性ごとに類似度を求め、求めた類似度の平均値によって類似を判定してもよい。判定部202は、類似度の平均値が所定の類似度以上であれば、2つの領域が類似すると判定してもよい。
【0037】
または、例えば、判定部202は、対象領域に係る領域属性の値から所定範囲内に特定された領域に係る領域属性の値が含まれるか否かによって、類似を判定してもよい。所定範囲は利用者などによって指定されてもよいし、固定値であってもよい。例えば、領域属性が領域の広さの場合、判定部202は、対象領域内の広さから所定範囲内の広さに、特定された領域の広さが含まれるか否かによって、2つの領域属性の値の類似を判定してもよい。判定部202は、対象領域内の広さから所定範囲内の広さに、特定された領域の広さが含まれば、2つの広さが類似していると判定してもよい。
【0038】
判定部202は、対象領域に係る領域属性の値と、特定された領域に係る領域属性の値と、が一致するか否かを判定してもよい。例えば、領域属性が床の材質の場合に、判定部202は、対象領域の床の材質と、特定された領域の床の材質と、が同じか否かを判定してもよい。
【0039】
判定部202により類似しないと判定された場合、特定部201は、対象領域の種類と同一の種類の領域から、対象領域からの距離がすでに特定済みの領域のつぎに近い領域を特定する。
【0040】
図4は、領域の種類別の領域属性、補完対象の位置属性、特定対象となる領域の例を示す説明図である。図4において、領域の種類は、会議室、病室、店舗、データセンターなどである。
【0041】
領域属性は、領域の種類に関連する領域の属性である。補完対象の位置属性は、領域に含まれる各位置の環境を表す属性である。なお、補完対象の位置属性は、利用者によって指定されてもよい。例えば、受付部(図示しない)が、補完対象の位置属性の指定を受け付けてもよい。また、領域の種類別に、対象領域に近い領域を特定する際に、検索対象とする領域、および検索対象とする領域の優先度の少なくともいずれかが決められていてもよい。
【0042】
まず、会議室を例に挙げて説明する。図4において、例えば、会議室の場合、領域属性は、会議室の広さ、会議室内の椅子の数、会議室内の机の数、会議室の机の配置、会議室の床および壁の少なくともいずれかの材質などである。例えば、床の材質は、カーペット、木製などであってもよい。例えば、壁の材質は、コンクリート、木などであってもよい。なお、領域属性は、これらの少なくともいずれかであってもよいし、これらから指定されてもよい。例えば、補完対象の位置属性は、温度、音量である。検索対象となる領域は、同一フロア内の領域、同一建物内の領域、近隣の建物内の領域である。近隣の建物とは、例えば、対象領域から所定範囲内にある建物である。建物を以降ビルとも呼ぶ。図4において、特定部201による特定時に用いる優先度は、数値が小さいほど、高い。例えば、同一フロア内の領域の優先度が最も高く、つぎに同一ビル内の領域の優先度が高く、最後に近隣のビル内の領域の優先度が最も低い。
【0043】
例えば、対象領域の種類が会議室の場合、特定部201は、同一フロア内の領域であって、領域の種類が会議室である領域のうち、対象領域に最も距離が近い領域を特定する。そして、判定部202は、会議室の広さ、会議室内の椅子の数、会議室内の机の数、会議室の机の配置、および会議室の壁や床の材質の少なくともいずれかによって、対象領域の領域属性の値と、特定された領域の領域属性の値とが、類似するか否かを判定する。類似しないと判定された場合、特定部201は、同一フロア内の領域から、領域の種類が会議室である領域のうち、対象領域にすでに特定済みの領域のつぎに距離が近い領域を特定する。例えば、つぎに距離が近い領域がない場合、特定部201は、同一ビル内の領域であって、領域の種類が会議室である領域のうち、対象領域に最も距離が近い領域を特定する。このように、特定部201は、優先度に基づいて、順次領域を特定すればよい。
【0044】
つぎに、病室を例に挙げて説明する。図4において、例えば、病室の場合、領域属性は、病室内の患者数、病室内のベッドの空き数、病室内の窓の向きなどである。なお、領域属性は、これらの少なくともいずれかであってもよいし、これらから指定されてもよい。例えば、補完対象の位置属性は、温度、湿度である。検索対象となる領域は、同一フロア内の領域、別病棟の領域、同一系列の病院内の領域である。また、例えば、同一フロア内の領域の優先度が最も高く、つぎに別病棟の領域の優先度が高く、最後に同一系列の病院内の領域の優先度が最も低い。
【0045】
つぎに、店舗を例に挙げて説明する。図4において、例えば、店舗の場合、領域属性は、店舗の広さ、店舗内の壁の材質、店舗における売り物(商品)などである。なお、領域属性は、これらの少なくともいずれかであってもよいし、これらから指定されてもよい。例えば、補完対象の位置属性は、温度である。検索対象となる領域は、同一フロア内の領域、同一施設内の領域、施設外の近隣の店舗の領域である。また、特定部201による特定時に、例えば、同一フロア内の領域の優先度が最も高く、つぎに同一施設内の領域の優先度が高く、最後に施設外の近隣の店舗の領域の優先度が最も低い。
【0046】
つぎに、データセンターを例に挙げて説明する。図4において、例えば、データセンターの場合、領域属性は、データセンター内の広さ、データセンター内のラックの数、データセンサ内の床および壁の少なくともいずれかの材質、データセンター内の通気孔の位置などである。なお、領域属性は、これらの少なくともいずれかであってもよいし、これらから指定されてもよい。例えば、補完対象の位置属性は、温度、湿度、音量である。検索対象となる領域は、同一フロア内の領域、同一施設内の領域である。また、特定部201による特定時に、例えば、同一フロア内の領域の優先度が高く、同一施設内の領域の優先度が低い。
【0047】
図3の説明に戻る。判定部202によって類似すると判定された場合、補完部203は、特定された領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、対象領域に含まれる所定の位置に係る位置属性の値を補完する。所定の位置は、実施の形態1で説明したように特に限定されない。ここで、所定の位置を対象位置と呼ぶ。位置属性は、前述の通り、各位置における環境を表す属性である。位置属性は、図4のように、対象領域の種類に応じて予め決められていてもよい。図4の例を用いて説明すると、会議室の場合、補完部203は、特定された領域に含まれる各位置に係る温度の値に基づいて、対象位置の温度の値を補完する。そして、会議室の場合、補完部203は、特定された領域に含まれる各位置に係る湿度の値に基づいて、対象位置の湿度の値を補完する。または、位置属性は、指定されてもよい。
【0048】
また、補完方法は、特に限定されない。例えば、補完部203は、特定された領域に含まれる位置に係る位置属性の値を、対象位置に係る位置属性の値としてもよい。または、補完部203は、特定された領域に含まれる複数の位置から、対象領域における対象位置との位置関係が類似する位置を特定する。そして、補完部203は、特定した位置に係る位置属性の値を、対象位置に係る位置属性の値としてもよい。
【0049】
図5は、補完例1を示す説明図である。図5において、Sビルの1階の会議室Xには、センサがない。一方、Nビルの2階の会議室Yには位置PN1にセンサが1台ある。ここで、会議室Yの領域属性の値と、会議室Xの領域属性の値とが類似している場合を例に挙げる。補完部203は、例えば、会議室Yに含まれる位置PN1に係る温度の値を、会議室Xに含まれる位置PS1に係る温度の値とする。これにより、図5において、会議室Xに含まれる位置PS1に係る温度の値が補完される。
【0050】
図3の説明に戻って、補完部203は、例えば、特定された領域に含まれる各位置に係る位置属性の値の統計値を、対象位置に係る位置属性の値としてもよい。統計値は、例えば、平均値、中央値、最頻値などである。
【0051】
図6は、補完例2を示す説明図である。図6において、Sビルの1階の会議室Xには、センサがない。一方、Nビルの2階の会議室Yには、センサが、位置PN1、位置PN2、位置PN3のそれぞれにあり、合計3台ある。図6において、会議室Yの領域属性の値と、会議室Xの領域属性の値とが類似している。補完部203は、例えば、会議室Yに含まれる各位置PN1,PN2,PN3に係る温度の値の統計値を、会議室Xに含まれる位置PS1に係る温度の値とする。これにより、図6において、会議室Xに含まれる位置PS1に係る温度の値が補完される。
【0052】
図3の説明に戻って、補完部203は、例えば、対象領域に含まれる複数の位置の各々と、特定された領域に含まれる複数の位置の各々と、の対応関係を特定する。例えば、補完部203は、窓の位置、ドアの位置、机の位置に基づいて、対応関係を特定してもよい。例えば、ドアの位置を例に挙げると、補完部203は、対象領域にあるドアの位置から、対象領域に含まれる各位置までの距離と、特定された領域にあるドアの位置から、特定された領域に含まれる各位置までの距離と、の類似によって、対応関係を特定する。そして、補完部203は、対象領域に含まれる対象位置以外の位置の各々に係る位置属性の値と、この位置の各々に対応する位置の各々に係る位置属性の値と、の差分を算出する。補完部203は、対象位置に対応する位置に係る位置属性の値から、差分の統計値を加算もしくは減算することにより、対象位置に係る位置属性の値を求める。
【0053】
図7は、補完例3を示す説明図である。図7において、Sビルの1階の会議室Xには、センサは、位置PS1と位置PS4とにあり、合計2台ある。一方、Nビルの2階の会議室Yには、センサは、位置PN1から位置PN4にあり、合計4台ある。図7において、会議室Yの領域属性の値と、会議室Xの領域属性の値とが類似している。図7において、補完部203は、Sビルの1階の会議室Xの2つの位置(PS3とPS4)に係る温度の値を補完する。
【0054】
そこで、補完部203は、例えば、会議室Xに含まれる複数の位置の各々と、会議室Yに含まれる複数の位置の各々と、の対応関係を特定する。例えば、補完部203は、窓の位置からの距離、ドアの位置からの距離、机の配置などによって、対応関係を特定してもよい。図7において、例えば、位置PS1は位置PN1に対応し、位置PS2は位置PN2に対応し、位置PS3は位置PN3に対応し、位置PS4は位置PN4に対応する。
【0055】
ここで、温度の値を補完する例を挙げる。補完部203は、位置PN1に係る温度の値から、位置PN1に対応する位置PS1に係る温度の値を減算する。また、補完部203は、位置PN2に係る温度の値から位置PS2に係る温度の値を減算した値を算出する。補完部203は、これらの減算した値の平均値を算出する。補完部203は、位置PN3に係る温度の値から平均値を減算した値を、位置PN3に対応する位置PS3に係る温度の値とする。補完部203は、位置PN4に係る温度の値から平均値を減算した値を、位置PN4に対応する位置PS4に係る温度の値とする。これにより、位置PS3に係る温度の値と、位置PS4に係る温度の値と、が補完される。
【0056】
なお、病室の場合、補完部203は、ベッドの配置などによって領域間の位置の対応関係を特定してもよい。データセンターの場合、補完部203は、ラックの位置、ラックの配置などによって領域間の位置の対応関係を特定してもよい。
【0057】
また、補完部203は、電波伝搬特性などを使って電界強度の値を補完してもよい。
【0058】
図8は、補完例4を示す説明図である。図8において、対象位置は、位置PS1である。対象位置PS1に係る位置属性として、電界強度を例に挙げる。Sビルの1階の会議室Xには、ルータ2001が設置されているが、端末装置がない。一方、Nビルの2階の会議室Yには、ルータ2002が設置されてあり、端末装置2003がある。なお、端末装置2003は、PC、スマートフォン、タブレット型の装置など、ルータ2002からの電波を受信可能な装置であれば、特に限定されない。
【0059】
補完部203は、ルータ2002の送信電力と、端末装置2003がルータ2002と通信した際の電界強度の値と、ルータ2002の位置から端末装置2003の位置までの距離とによって、ルータ2002に関する電波伝搬特性(電波伝搬モデル)を求める。例えば、電波伝搬モデルは、送信電力および距離をパラメータとし、電界強度の値を返す関数であってもよい。そして、補完部203は、ルータ2001の送信電力と、ルータ2001の位置から対象位置PS1までの距離と、をパラメータとして、算出された電波伝搬特性により、対象位置PS1に係る電界強度の値を補完する。
【0060】
また、例えば、ルータ2001の性能(例えば、送信電力)と、ルータ2002の性能とが同じであり、ルータ2002と端末装置2003との位置関係と、ルータ2001と対象位置PS1との位置と関係が同じ場合がある。このような場合、補完部203は、端末装置2003における電界強度の値を、対象位置PS1の電界強度の値としてもよい。これにより、図8において、会議室Xに含まれる位置PS1に係る電界強度の値が補完される。
【0061】
以上の例では、対象位置に係る位置属性の値を補完する例を説明した。補完部203は、現状の位置属性の値ではなく、未来の位置属性の値を補完してもよい。また、予測部204は、対象領域に含まれる各位置に係る位置属性の値から、異なる時刻における同一位置に係る位置属性の値を予測してもよい。例えば、予測部204は、対象領域に含まれる各位置に係る現在の位置属性の値から、同一位置に係る明日の位置属性の値を予測してもよい。この際、予測部204は、さらに他の情報を利用して、同一位置に係る明日の位置属性の値を予測してもよい。他の情報とは、例えば、対象領域のスケジュールの情報、対象領域の周辺の天気の情報などが挙げられる。例えば、予測部204は、現在の天気の情報と、明日の天気予報の情報と、を用いて、対象領域に含まれる各位置に係る現在の位置属性の値から、同一位置に係る明日の位置属性の値を予測してもよい。例えば、現在の天気と明日の天気が同じであれば、予測部204は、対象領域に含まれる各位置に係る現在の温度の値を、同一位置に係る明日の温度の値としてもよい。また、予測部204は、各位置における時系列の位置属性の値から、同一位置に係る未来の位置属性の値を予測してもよい。例えば、予測部204は、過去2日間の各位置の温度の値から、明日の各位置の温度の値を予測してもよい。このように、予測部204による予測方法は特に限定されない。
【0062】
そして、補完部203は、特定された領域にかかる各位置に係る位置属性の値と、対象領域に含まれる各位置に係る、予測された位置属性の値と、に基づいて、対象位置に係る位置属性の値を補完してもよい。図9を用いて具体例を説明する。
【0063】
図9は、補完例5を示す説明図である。図9において、Sビルの1階の会議室Xには、センサは、位置PS1と位置PS4とにあり、合計2台ある。一方、Nビルの2階の会議室Yには、センサは、位置PN1から位置PN4までにあり、合計4台ある。
【0064】
ここで、予測部204および補完部203によってSビルの1階の会議室Xに含まれる位置PS1から位置PS4までのそれぞれに係る、明日の温度の値を求める例を説明する。まず、予測部204は、位置PS1に係る現在の温度の値から、位置PS1に係る明日の温度の値を求める。予測部204は、位置PS2に係る現在の温度の値から、位置PS2に係る明日の温度の値を求める。例えば、現在の天気と、明日の予報の天気とが同じ場合、予測部204は、位置PS1に係る現在の温度の値を位置PS1に係る明日の温度の値とする。そして、予測部204は、位置PS2に係る現在の温度の値を、位置PS2に係る明日の温度の値とする。このようにして、位置PS1に係る温度の値と、位置PS2に係る温度の値と、が予測される。
【0065】
補完部203は、図7で説明したように、対象領域に含まれる各位置と、特定された領域に含まれる各位置と、の対応関係を求める。図9において、例えば、位置PS1は位置PN1に対応し、位置PS2は位置PN2に対応し、位置PS3は位置PN3に対応し、位置PS4は位置PN4に対応する。
【0066】
そして、図7で説明したように、補完部203は、位置PN1に係る現在の温度の値から、位置PN1に対応する位置PS1に係る明日の温度の値(予測値)を減算する。また、補完部203は、位置PN2に係る現在の温度の値から位置PS2に係る明日の温度の値(予測値)を減算した値を算出する。補完部203は、これらの減算した値の平均値を算出する。補完部203は、位置PN3に係る現在の温度の値から平均値を減算した値を、位置PN3に対応する位置PS3に係る、明日の温度の値とする。補完部203は、位置PN4に係る温度の値から平均値を減算した値を、位置PN4に対応する位置PS4に係る、明日の温度の値とする。このようにして、位置PS3に係る温度の値と、位置PS4に係る温度の値と、が補完される。
【0067】
図10は、実施の形態2にかかるシステム2に含まれる情報処理装置20の一動作例を示すフローチャートである。特定部201は、対象領域の種類を取得する(ステップS201)。例えば、記憶部205が、領域別に、領域の種類の情報を記憶している場合、特定部201は、記憶部205から、対象領域の種類の情報を読み出す。
【0068】
そして、例えば、特定部201は、同一種類の領域を特定する(ステップS202)。ステップS202において、例えば、特定部201は、記憶部205から、対象領域の種類と同一の種類の領域を検索する。また、ステップS202において、特定部201は、記憶部205から、対象領域からの距離が所定範囲内である領域であって、対象領域の種類と同一の種類の領域を検索する。
【0069】
特定部201は、同一種類の領域を対象領域から近い順に並べる(ステップS203)。ステップS203において、特定部201は、優先度および近い順に、同一種類の領域を並べてもよい。優先度については、図4で説明した例が挙げられる。
【0070】
特定部201は、並べた領域のうち、未選択の領域があるか否かを判定する(ステップS204)。未選択の領域がある場合(ステップS204:Yes)、特定部201は、近い順に領域を選択する(ステップS205)。判定部202は、選択された領域の領域属性の値と、対象領域の領域属性の値と、が類似するか否かを判定する(ステップS206)。類似しないと判定された場合(ステップS206:No)、補完部203は、ステップS204へ戻る。
【0071】
一方、類似すると判定された場合(ステップS206:Yes)、補完部203は、選択された領域に含まれる各位置に係る補完対象の位置属性の値があるか否かを判断する(ステップS207)。すなわち、ステップS207において、補完部203は、各位置に、補完対象の位置属性の値が関連付けられているか否かを判定する。ここで、補完対象の位置属性については、図4に示す通り、予め決められたものであってもよい。また、補完対象の位置属性は、利用者によって指定されてもよい。ない場合(ステップS207:No)、補完部203は、ステップS204へ戻る。ある場合(ステップS207:Yes)、補完部203は、選択された領域に含まれる各位置に係る位置属性の値によって、対象位置に係る位置属性の値を補完する(ステップS208)。ステップS208のつぎに、情報処理装置20は、フローの動作を終了する。
【0072】
また、未選択の領域がない場合(ステップS204:No)、情報処理装置20は、フローの動作を終了する。なお、情報処理装置20は、エラーを出力して終了してもよい。
【0073】
つぎに、実施の形態2の効果について説明する。情報処理装置20は、対象領域に係る領域属性の値と、特定された領域に係る領域属性の値と、の類似度が所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。これにより、情報処理装置20は、類似しているか否かを相対的に判定することができる。
【0074】
また、例えば、会議室、病室などの種類によって、配置されているもの(机やベッド)など異なる。このため、領域属性は、各領域の種類に関連する属性である。これにより、情報処理装置20は、領域の種類に関連する領域属性の値によって、対象領域に類似する領域を特定することができる、したがって、情報処理装置20は、対象領域により類似している領域を特定することができ、補完精度の向上を図ることができる。
【0075】
また、対象領域に近い領域であれば、より環境が似ている。このため、補完対象の位置属性が、各位置の環境を表す属性であれば、情報処理装置20は、補完精度の向上を図ることができる。
【0076】
情報処理装置20は、対象領域と同一の種類の領域であって、対象領域と同一の建物または同一の施設に含まれる領域から、対象領域からの距離が近い領域を特定する。これにより、情報処理装置20は、対象領域に近く、環境が似ていると推定される領域から、対象領域により近い領域を特定することができる。前述の通り、より近いと環境が似ている可能性が高いため、情報処理装置20は、より精度よく対象位置に係る位置属性の値を補完することができる。
【0077】
情報処理装置20は、対象領域と同一の種類の領域であって、対象領域と同一の建物内の同一のフロアに含まれる領域から、対象領域からの距離が近い領域を特定する。これにより、情報処理装置20は、対象領域に近く、環境が似ていると推定される領域から、対象領域により近い領域を特定することができる。前述の通り、より近いと環境が似ている可能性が高いため、情報処理装置20は、より精度よく対象位置に係る位置属性の値を補完することができる。
【0078】
情報処理装置20は、対象領域と同一の種類の領域であって、対象領域を含む建物から所定の範囲内にある建物に含まれる領域から、対象領域からの距離が近い領域を特定する。これにより、情報処理装置20は、近いと推定される領域から、対象領域に近い領域を特定することができる。前述の通り、より近いと環境が似ている可能性が高いため、情報処理装置20は、より精度よく対象位置に係る位置属性の値を補完することができる。
【0079】
実施の形態2については上述した例に限られず、種々変更可能である。情報処理装置20の各機能部が、複数の装置によって実現されてもよい。
【0080】
以上で、各実施の形態の説明を終了する。
【0081】
(コンピュータ装置)
つぎに、実施の形態2で説明した情報処理装置20などの各装置をコンピュータ装置で実現した場合のハードウェア構成例について説明する。図11は、コンピュータ装置のハードウェア構成例を示す説明図である。例えば、実施の形態2で説明した情報処理装置20などの装置の一部又は全部は、例えば図11に示すようなコンピュータ装置30とプログラムとの任意の組み合わせを用いて実現することも可能である。
【0082】
コンピュータ装置30は、例えば、プロセッサ301と、ROM302と、RAM303と、記憶装置304と、通信インターフェース305と、入出力インターフェース306と、を有する。各構成部は、バス307を介してそれぞれ接続される。
【0083】
プロセッサ301は、コンピュータ装置30の全体を制御する。プロセッサ301は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などが挙げられる。コンピュータ装置30は、記憶部として、ROM302、RAM303および記憶装置304などを有する。記憶装置304は、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリ、HDD、SSDなどが挙げられる。例えば、記憶装置304は、OS(Operating System)のプログラム、アプリケーションプログラム、各実施の形態にかかるプログラムなどのプログラムを記憶する。または、ROM302は、アプリケーションプログラム、各実施の形態にかかるプログラムなどのプログラムを記憶する。そして、RAM303は、プロセッサ301のワークエリアとして使用される。
【0084】
また、プロセッサ301は、記憶装置304、ROM302などに記憶されたプログラムをロードする。そして、プロセッサ301は、プログラムにコーディングされている各処理を実行する。また、プロセッサ301は、通信ネットワーク31を介して各種プログラムをダウンロードしてもよい。また、プロセッサ301は、コンピュータ装置30の一部または全部として機能する。そして、プロセッサ301は、プログラムに基づいて図示したフローチャートにおける処理または命令を実行してもよい。
【0085】
通信インターフェース305は、無線または有線の通信回線を通じて、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などの通信ネットワーク31に接続される。これにより、コンピュータ装置30は、通信ネットワーク31を介して外部の装置や外部のコンピュータに接続される。通信インターフェース305は、通信ネットワーク31とコンピュータ装置30の内部とのインターフェースを司る。そして、通信インターフェース305は、外部の装置や外部のコンピュータからのデータの入出力を制御する。
【0086】
また、入出力インターフェース306は、入力装置、出力装置、および入出力装置の少なくともいずれかに接続される。接続方法は、無線であってもよいし、有線であってもよい。入力装置は、例えば、キーボード、マウス、マイクなどが挙げられる。出力装置は、例えば、表示装置、点灯装置、音声を出力するスピーカなどが挙げられる。また、入出力装置は、タッチパネルディスプレイなどが挙げられる。なお、入力装置、出力装置、および入出力装置などは、コンピュータ装置に内蔵されていてもよいし、外付けであってもよい。
【0087】
図11に示すコンピュータ装置30のハードウェア構成は一例である。コンピュータ装置30は、図11に示す一部の構成要素を有していなくてもよい。コンピュータ装置30は、図11に示す以外の構成要素を有していてもよい。コンピュータ装置30は、図示しない装置を有していてもよい。例えば、コンピュータ装置30は、撮像装置としてカメラを有していてもよい。また、コンピュータ装置30は、各種センサなどを有していてもよい。例えば、コンピュータ装置30は、ドライブ装置などを有してもよい。そして、プロセッサ301は、ドライブ装置などに装着された記録媒体からRAM303にプログラムやデータを読み出してもよい。記録媒体としては、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリなどが挙げられる。
【0088】
以上で、各装置のハードウェア構成例の説明を終了する。また、各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、システムは、構成要素ごとにそれぞれ異なるコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0089】
また、各装置の各構成要素の一部または全部は、特定用途向けの回路で実現されてもよい。また、システムの一部または全部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)のようなプロセッサなどを含む汎用の回路によって実現されてもよい。また、システムの一部または全部は、特定用途向けの回路や汎用の回路などの組み合わせによって実現されてもよい。また、これらの回路は、単一の集積回路であってもよい。または、これらの回路は、複数の集積回路に分割されてもよい。そして、複数の集積回路は、バスなどを介して接続されることにより構成されてもよい。
【0090】
また、各装置の各構成要素の一部または全部が複数のコンピュータや回路などにより実現される場合、複数のコンピュータや回路などは、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。
【0091】
各実施の形態で説明した方法は、コンピュータ装置が実行することにより実現される。また、方法は、予め用意されたプログラムをコンピュータ装置が実行することにより実現される。各実施の形態で説明したプログラムは、HDD、SSD、フレキシブルディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、USBメモリなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録される。そして、本プログラムは、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、プログラムは、通信ネットワーク31を介して配布されてもよい。
【0092】
以上説明した、各実施の形態におけるシステムの各構成要素は、図11に示すコンピュータ装置30のように、その機能をハードウェア的に実現されてもよい。または、各構成要素は、プログラム制御に基づくコンピュータ装置、ファームウェアで実現されてもよい。
【0093】
以上、各実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではない。各開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が把握し得る様々な変更を適用した実施の形態を含み得る。本開示は、本明細書に記載された事項を必要に応じて適宜に組み合わせ、または置換した実施の形態を含み得る。例えば、特定の実施の形態を用いて説明された事項は、矛盾を生じない範囲において、他の実施の形態に対しても適用され得る。例えば、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施の形態を実施するときには、その複数の動作の順番を内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0094】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されることができる。ただし、上記の実施の形態の一部または全部は、以下に限られない。
【0095】
(付記1)
所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定する特定手段と、
前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定する判定手段と、
類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する補完手段と、
を備え、
前記特定手段は、類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する、
システム。
【0096】
(付記2)
前記判定手段は、前記所定の領域に係る前記領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、の類似度が所定の条件を満たすか否かを判定し、
前記補完手段は、前記類似度が前記所定の条件を満たす場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る前記位置属性の値に基づいて、前記所定の位置に係る前記位置属性の値を補完し、
前記特定手段は、前記類似度が前記所定の条件を満たさない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する、
付記1に記載のシステム。
【0097】
(付記3)
前記領域属性は、各領域の種類に関連する属性である、
付記1または2に記載のシステム。
【0098】
(付記4)
前記位置属性は、各位置の環境を表す属性である、
付記1から3のいずれかに記載のシステム。
【0099】
(付記5)
前記特定手段は、前記同一の種類の領域であって、前記所定の領域と同一の建物または同一の施設に含まれる領域から、前記所定の領域からの距離が近い領域を特定する、
付記1から4のいずれかに記載のシステム。
【0100】
(付記6)
前記特定手段は、前記同一の種類の領域であって、前記所定の領域と同一の建物内の同一のフロアに含まれる領域から、前記所定の領域からの距離が近い領域を特定する、
付記1から4のいずれかに記載のシステム。
【0101】
(付記7)
前記特定手段は、前記同一の種類の領域であって、前記所定の領域を含む建物から所定の範囲内にある建物に含まれる領域から、前記所定の領域からの距離が近い領域を特定する、
付記1から4のいずれかに記載のシステム。
【0102】
(付記8)
所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定する特定手段と、
前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定する判定手段と、
類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する補完手段と、
を備え、
前記特定手段は、類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する、
情報処理装置。
【0103】
(付記9)
所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定し、
前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定し、
類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する、
類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する、
方法。
【0104】
(付記10)
コンピュータに、
所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定する処理と、
前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定する処理と、
類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する処理と、
を実行させ、
前記特定する処理では、類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する、
プログラム。
【0105】
(付記11)
コンピュータに、
所定の領域の種類と同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が他の領域より近い領域を特定する処理と、
前記所定の領域に係る領域属性の値と、特定された前記領域に係る前記領域属性の値と、が類似するか否かを判定する処理と、
類似する場合、特定された前記領域に含まれる各位置に係る位置属性の値に基づいて、前記所定の領域に含まれる所定の位置に係る前記位置属性の値を補完する処理と、
を実行させ、
前記特定する処理では、類似しない場合、前記同一の種類の領域のうち、前記所定の領域からの距離が特定された前記領域のつぎに近い領域を特定する、
プログラム記録する、前記コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体。
【符号の説明】
【0106】
1 システム
2 システム
20 情報処理装置
21 通信ネットワーク
30 コンピュータ装置
31 通信ネットワーク
101 特定部
102 判定部
103 補完部
201 特定部
202 判定部
203 補完部
204 予測部
205 記憶部
301 プロセッサ
302 ROM
303 RAM
304 記憶装置
305 通信インターフェース
306 出力インターフェース
307 バス
図1
図2
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