(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146048
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】半導体記憶装置および放熱用部品
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20220928BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/36 Z
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046831
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 和也
(72)【発明者】
【氏名】森田 伴明
(72)【発明者】
【氏名】船山 貴久
(72)【発明者】
【氏名】石井 憲弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀典
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB01
5E322AB02
5E322AB04
5E322AB11
5E322BA01
5E322FA04
5F136BB18
5F136BC03
5F136EA13
5F136FA32
5F136FA33
5F136FA51
5F136FA55
5F136FA82
(57)【要約】
【課題】放熱性の向上を図ることができる半導体記憶装置および放熱用部品を提供することである。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、基板と、発熱部品と、電子部品と、第1部材と、第2部材とを持つ。前記発熱部品は、前記基板に実装されている。前記電子部品の少なくとも一部は、前記基板の厚さ方向で、前記基板および前記発熱部品のうち少なくとも一方と少なくとも一部が重なって位置する。前記第1部材は、前記基板の厚さ方向で、前記基板および前記発熱部品のうち少なくとも一方と前記電子部品との間に位置した第1部分を含み、第1熱伝導率を持つ材料で形成されている。前記第2部材は、前記第1部材と前記電子部品との間に位置した部分を含み、前記第1熱伝導率よりも小さい第2熱伝導率を持つ材料で形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に実装された発熱部品と、
前記基板に実装され、前記基板の厚さ方向で前記基板および前記発熱部品のうち少なくとも一方と少なくとも一部が重なって位置した電子部品と、
前記基板の厚さ方向で前記基板および前記発熱部品のうち少なくとも一方と前記電子部品との間に位置した第1部分を含み、第1熱伝導率を持つ材料で形成された第1部材と、
前記基板の厚さ方向で前記第1部材と前記電子部品との間に位置した部分を含み、前記第1熱伝導率よりも小さい第2熱伝導率を持つ材料で形成された第2部材と、
を備えた半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1部材の前記第1部分は、前記基板の厚さ方向で前記発熱部品と前記電子部品との間に位置する、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1部材の前記第1部分は、直接または第1熱伝導部材を介して前記発熱部品と接続されている、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1部材の前記第1部分は、前記発熱部品の表面に面する第1平面部を有し、当該第1平面部が直接または前記第1熱伝導部材を介して前記発熱部品と接続されている、
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記発熱部品の前記表面と平行な方向における前記第1平面部の幅は、前記方向における前記電子部品の幅よりも大きい、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1部材は、前記基板の厚さ方向で前記電子部品に対して前記第1部分とは反対側に位置する第2部分を含む、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
筐体をさらに備え、
前記基板は、前記筐体の中に収容され、
前記第1部材の前記第2部分は、直接または第2熱伝導部材を介して前記筐体と接続されている、
請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1部材の前記第2部分は、前記筐体の内面に面する第2平面部を有し、当該第2平面部が直接または前記第2熱伝導部材を介して前記筐体と接続されている、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1部材の前記第1部分は、前記基板の厚さ方向で前記発熱部品と前記電子部品との間に位置し、
前記第1部材は、前記基板の厚さ方向で前記発熱部品とは重ならない領域で直接または第3熱伝導部材を介して前記基板と接続された第1放熱部をさらに含む、
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第1放熱部は、半田により前記基板に固定されている、
請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記基板は、第1固定穴を有し、
前記第1放熱部の少なくとも一部は、前記第1固定穴に挿入されている、
請求項10に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記基板は、グラウンド層を有し、
前記第1放熱部は、前記グラウンド層と接続されている、
請求項10または請求項11に記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記基板を収容する筐体と、
前記筐体と前記基板とを固定する固定部材と、をさらに備え、
前記第1部材は、前記基板の厚さ方向で前記発熱部品とは重ならない領域で直接または第4熱伝導部材を介して前記固定部材と接続された第1放熱部をさらに含む、
請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記電子部品は、部品本体と、前記部品本体から突出するとともに前記基板に向けて折り曲げられて前記基板と接続されたリードとを有し、
前記第1部材および前記第2部材のうち少なくとも一方は、前記基板に固定された支持部を有する、
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記基板は、第1固定穴と第2固定穴とを有し、
前記支持部は、固定部を有し、
前記固定部は、前記第1固定穴に挿入され、
前記固定部は、前記リードよりも太く、
前記リードは、前記第2固定穴に挿入される
請求項14に記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記支持部は、それぞれ前記基板に固定された第1支持部と第2支持部とを有し、
前記第1支持部および前記第2支持部は、前記リードが前記部品本体から突出する方向から見て前記リードの両側に分かれて配置されている、
請求項14または請求項15に記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
前記電子部品は、コンデンサであり、
前記コンデンサは、円柱状の部品本体を含み、
前記第2部材の少なくとも一部は、前記部品本体の外形に沿う円弧状または環状であり、
前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材の外形に沿う円弧状または環状である、
請求項1から請求項16のうちいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項18】
前記基板の厚さ方向と直交する方向で前記電子部品と並んで配置された第2電子部品をさらに備え、
前記第1部材は、前記電子部品の少なくとも一部を収容する第1収容部と、前記第2電子部品の少なくとも一部を収容する第2収容部とを有する、
請求項1から請求項17のうちいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項19】
前記第1部材は、前記基板の厚さ方向と直交する方向で前記第1収容部と前記第2収容部との間の領域に通気孔を有する、
請求項18に記載の半導体記憶装置。
【請求項20】
円筒状または円弧状に形成されて電子部品が収容される収容部を有し、第1熱伝導率を持つ材料で形成された第1部材と、
前記収容部の内側に配置され、前記収容部に前記電子部品が収容された場合に前記電子部品と前記第1部材との間に位置する部分を含み、前記第1熱伝導率よりも小さい第2熱伝導率を持つ材料で形成された第2部材と、
前記第1部材から延びる支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記収容部に前記電子部品を挿入可能な第1方向に延びた第1部分と、
前記第1部分の一端から前記第1方向とは直交する第2方向に延びる第2部分と、
前記第2部分の一端から前記第2方向に延び、前記第2部よりも細い第3部分と、を含む、
放熱用部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置および放熱用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板に実装された発熱部品と、基板に実装された電子部品とを備えた半導体記憶装置が知られている。半導体記憶装置は、放熱性の向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-61108号公報
【特許文献2】特許第6658912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、放熱性の向上を図ることができる半導体記憶装置および放熱用部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、基板と、発熱部品と、電子部品と、第1部材と、第2部材とを持つ。前記発熱部品は、前記基板に実装されている。前記電子部品の少なくとも一部は、前記基板の厚さ方向で、前記基板および前記発熱部品のうち少なくとも一方と少なくとも一部が重なって位置する。前記第1部材は、前記基板の厚さ方向で、前記基板および前記発熱部品のうち少なくとも一方と前記電子部品との間に位置した第1部分を含み、第1熱伝導率を持つ材料で形成されている。前記第2部材は、前記第1部材と前記電子部品との間に位置した部分を含み、前記第1熱伝導率よりも小さい第2熱伝導率を持つ材料で形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体記憶装置を示す斜視図。
【
図2】第1実施形態の半導体記憶装置を一部分解して示す斜視図。
【
図3】第1実施形態の放熱キャップに関連する構造を一部分解して示す斜視図。
【
図4】第1実施形態の半導体記憶装置を示す断面図。
【
図5】第1実施形態の放熱キャップの取り付け方法の一例を示す断面図。
【
図6】第1実施形態の第1変形例の半導体記憶装置を示す断面図。
【
図7】第1実施形態の第2変形例の半導体記憶装置を示す断面図。
【
図8】第1実施形態の第3変形例の半導体記憶装置を示す断面図。
【
図9】第1実施形態の第4変形例の半導体記憶装置を示す断面図。
【
図10】第1実施形態の第4変形例の半導体記憶装置を示す断面図。
【
図11】第1実施形態の第5変形例の半導体記憶装置を示す断面図。
【
図12】第2実施形態の半導体記憶装置を示す断面図。
【
図13】第2実施形態の半導体記憶装置を別の方向から見た断面図。
【
図14】第2実施形態の変形例の半導体記憶装置を示す断面図。
【
図15】第3実施形態の半導体記憶装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の半導体記憶装置および放熱用部品を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本出願で「重なる」とは、2つの対象物の仮想的な投影像同士が重なることを意味し、2つの対象物が直接に接しない場合も含み得る。本出願で「平行」、「直交」、または「同一」とは、それぞれ「略平行」、「略直交」、または「略同一」である場合も含み得る。本出願で「接続」とは、機械的な接続に限定されず、電気的な接続である場合も含み得る。すなわち「接続」とは、対象物と直接に接続された場合に限定されず、別の要素を間に介在させて接続される場合も含み得る。また、本出願で「接続」とは、互いに連結された場合に限定されず、接しているだけの場合も含み得る。
【0008】
ここで先に、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向、および-Z方向について定義する。+X方向、-X方向、+Y方向、および-Y方向は、後述する基板21の第1面21a(
図2参照)と平行な方向である。+X方向は、後述する筐体10の第1端部10aから第2端部10bに向かう方向である(
図1参照)。-X方向は、+X方向とは反対の方向である。+X方向と-X方向とを区別しない場合は、単に「X方向」と称する。+Y方向および-Y方向は、X方向とは交差する(例えば直交する)方向である。+Y方向は、後述する筐体10の第3端部10cから第4端部10dに向かう方向である(
図1参照)。-Y方向は、+Y方向とは反対の方向である。+Y方向と-Y方向とを区別しない場合は、単に「Y方向」と称する。+Z方向および-Z方向は、X方向およびY方向とは交差する(例えば直交する)方向であり、後述する基板21の厚さ方向である。+Z方向は、基板21から後述する筐体10の第2主壁15に向かう方向である(
図2参照)。-Z方向は、+Z方向とは反対の方向である。+Z方向と-Z方向とを区別しない場合は、単に「Z方向」と称する。
【0009】
(第1実施形態)
<1.半導体記憶装置の全体構成>
図1から
図5を参照し、第1実施形態の半導体記憶装置1について説明する。半導体記憶装置1は、例えばSSD(Solid State Drive)のような記憶装置である。半導体記憶装置1は、例えば、サーバやパーソナルコンピュータなどの情報処理装置に取り付けられ、情報処理装置の記憶領域として利用される。本出願では、半導体記憶装置1が取り付けられる情報処理装置を「ホスト装置」と称する。
【0010】
図1は、半導体記憶装置1を示す斜視図である。
図2は、半導体記憶装置1を一部分解して示す斜視図である。
図1および
図2に示すように、半導体記憶装置1は、例えば、筐体10、基板ユニット20、支持フレーム30、および複数の固定部材40を有する。
【0011】
<1.1 筐体>
図1に示すように、筐体10は、例えば扁平な矩形箱状である。筐体10は、例えば金属製である。筐体10は、当該筐体10の長手方向(X方向)に分かれた一対の端部として、第1端部10aと、第2端部10bとを有する。第2端部10bは、第1端部10aとは反対側の端部である。第1端部10aには、後述する基板ユニット20の外部接続コネクタ22(
図2参照)を筐体10の外部に露出される開口(図示せず)が設けられている。一方で、筐体10は、当該筐体10の短手方向(Y方向)に分かれた一対の端部として、第3端部10cと、第4端部10dとを有する。第4端部10dは、第3端部10cとは反対側の端部である。
【0012】
図2に示すように、筐体10は、ベース11とカバー12とを含み、ベース11とカバー12とが組み合わされることで形成されている。ベース11は、例えば、第1主壁14と、3つの側壁11b,11c,11dとを含む。第1主壁14は、X方向およびY方向に沿う壁である。3つの側壁11b,11c,11dは、それぞれ筐体10の第2、第3、第4の端部10b,10c,10dにおいて第1主壁14から+Z方向に延びている。カバー12は、第2主壁15と、4つの側壁12a,12b,12c,12dとを有する。第2主壁15は、X方向およびY方向に沿う壁である。4つの側壁12a,12b,12c,12dは、それぞれ筐体10の第1から第4の端部10a,10b,10c,10dにおいて第2主壁15から-Z方向に延びている。ベース11は、「第1筐体部材」の一例である。カバー12は、「第2筐体部材」の一例である。
【0013】
本実施形態では、筐体10は、ベース11とカバー12とが組み合わされることで、第1から第4の側壁16,17,18,19を有する(
図1参照)。第1側壁16は、-X方向側の側壁であり、カバー12の側壁12aにより形成されている。第2側壁17は、+X方向側の側壁であり、ベース11の側壁11bとカバー12の側壁12bとにより形成されている。第1側壁16および第2側壁17の各々は、Y方向およびZ方向に沿う壁である。第3側壁18は、-Y方向側の側壁であり、ベース11の側壁11cとカバー12の側壁12cとにより形成されている。第4側壁19は、+Y方向側の側壁であり、ベース11の側壁11dとカバー12の側壁12dとにより形成されている。第3側壁18および第4側壁19の各々は、X方向およびZ方向に沿う壁である。
【0014】
図2に示すように、筐体10の第1側壁16は、複数の第1通気孔16aを有する。同様に、筐体10の第2側壁17は、複数の第2通気孔17aを有する。第1通気孔16aおよび第2通気孔17aは、いずれが吸気孔として機能し、いずれが排気孔として機能してもよい。例えば、+X方向に風が流れる設置環境に半導体記憶装置1が置かれる場合、筐体10の外部の空気は第1通気孔16aから筐体10の内部に流入し、第2通気孔17aから筐体10の外部に排気される。一方で、-X方向に風が流れる設置環境に半導体記憶装置1が置かれる場合、筐体10の外部の空気は第2通気孔17aから筐体10の内部に流入し、第1通気孔16aから筐体10の外部に排気される。
【0015】
ベース11は、後述する基板21が載置される複数の支持部11sを有する。複数の支持部11sは、筐体10の4つの角部に対応して設けられている。各支持部11sは、後述する固定部材40が挿入されて固定される固定穴11hを有する。カバー12は、それぞれ固定部材40が通される複数の挿通穴12hを有する。挿通穴12hは、固定穴11hに対応する位置に設けられている。
【0016】
<1.2 基板ユニット>
基板ユニット20は、筐体10のベース11とカバー12との間に位置し、筐体10に収容されている。基板ユニット20は、基板21、外部接続コネクタ22、コントローラ23、複数のDRAM(Dynamic Random Access Memory)24、複数のNAND型フラッシュメモリ25(以下では「NAND25」と称する)、複数のコンデンサ26、および複数の放熱キャップ27を有する。
【0017】
基板21は、X方向およびY方向に沿う板状である。基板21は、プリント配線板であり、絶縁基材と、当該絶縁基材に設けられた配線パターンとを有する。基板21は、第1面21aと、第1面21aとは反対側に位置した第2面21bとを有する。第1面21aは、-Z方向に向いており、筐体10の第1主壁14の内面に面する。一方で、第2面21bは、+Z方向に向いており、筐体10の第2主壁15の内面に面する。基板21は、ベース11に設けられた複数の支持部11sの上に載置される。基板21は、それぞれ固定部材40が通される複数の挿通穴21hを有する。挿通穴21hは、ベース11の支持部11sの固定穴11hに対応する位置に設けられている。
【0018】
外部接続コネクタ22は、基板21の-X方向側の端部に設けられている。外部接続コネクタ22は、複数の金属端子を有する。外部接続コネクタ22は、筐体10の第1端部10aに設けられた開口(図示せず)を通じて筐体10の外部に露出されている。外部接続コネクタ22は、ホスト装置のコネクタと接続可能である。
【0019】
コントローラ23は、例えば、基板21の第1面21aに実装されている。コントローラ23は、半導体記憶装置1の全体を統括的に制御する。コントローラ23は、例えば、ホスト装置に対するホストインターフェース回路、複数のDRAM24を制御する制御回路、および複数のNAND25を制御する制御回路などが1つの半導体チップに集積されたSoC(System on a Chip)を含む半導体パッケージである。コントローラ23は、不図示の熱接続部材を介して、筐体10の第1主壁14に接続されている。これにより、コントローラ23で発生する熱の一部は、筐体10の第1主壁14に移動し、筐体10の第1主壁14から筐体10の外部に放散される。
【0020】
DRAM24は、例えば、基板21の第2面21bに実装されている。DRAM24は、揮発性の半導体メモリチップを含む半導体パッケージである。DRAM24は、ホスト装置から受信した書き込み対象データ、およびNAND25から読み出された読み出し対象データなどが一時的に格納されるデータバッファである。ただし、半導体記憶装置1は、DRAM24を有しなくてもよい。
【0021】
NAND25は、例えば、基板21の第2面21bに実装されている。複数のNAND25は、X方向およびY方向に並べて配置されている。NAND25は、不揮発性の半導体メモリチップを含む半導体パッケージである。NAND25は、「半導体メモリ部品」の一例である。NAND25は、動作時に発熱する部品であり、「発熱部品」の一例である。ただし、「発熱部品」は、NAND25に限定されず、コントローラ23、DRAM24、または別の部品が該当してもよい。
【0022】
コンデンサ26は、例えば、基板21の第2面21bに実装されている。コンデンサ26は、予期せぬ電力遮断時のデータ保護を目的とする電源バックアップ機能を担う。例えば、コンデンサ26は、ホスト装置からの電力供給が予期せず遮断された場合、コントローラ23、複数のDRAM24、および複数のNAND25などに対して電力を一定時間にわたり供給する。コンデンサ26は、例えば電解コンデンサである。さらに言えば、コンデンサ26は、例えばアルミ電解コンデンサである。ただし、コンデンサ26は、上記例に限定されない。コンデンサ26は、「電子部品」の一例である。
【0023】
放熱キャップ27は、コンデンサ26に取り付けられている。放熱キャップ27は、「放熱用部品」の一例である。本出願で「放熱用部品」とは、ヒートシンクのような熱放散機能を持つ部品に限定されず、ある部品の熱を別の部品に伝える熱伝導用の部品も該当し得る。本実施形態では、放熱キャップ27は、NAND25で発生する熱の一部を筐体10の第2主壁15に伝える機能を持つ。放熱キャップ27については、詳しく後述する。
【0024】
<1.3 支持フレーム>
支持フレーム30は、基板21とカバー12との間に位置する。支持フレーム30は、基板21とカバー12との間の隙間を埋めるスペーサである。支持フレーム30は、例えば、基板21の外周に沿う枠状である。支持フレーム30は、基板21の第2面21bの上に載置される。支持フレーム30は、それぞれ固定部材40が通される複数の挿通穴30hを有する。挿通穴30hは、ベース11の支持部11sの固定穴11hに対応する位置に設けられている。なお、支持フレーム30は、省略されてもよい。この場合、カバー12、基板21、およびベース11が固定部材40によって共締めされることで一体に固定されてもよい。
【0025】
<1.4 固定部材>
固定部材40は、カバー12の挿通穴12h、支持フレーム30の挿通穴30h、基板21の挿通穴21h、およびベース11の固定穴11hに挿入され、カバー12、支持フレーム30、基板21、およびベース11を一体に固定する。固定部材40は、ねじでもよいし、ピンのような嵌合部材でもよい。ただし、本出願でいう「固定部材」は、上記例に限定されない。固定部材40は、ベース11とカバー12とを固定する固定部材に限定されず、ベース11とカバー12とのうちいずれか一方のみと基板21とを固定する固定部材でもよい。
【0026】
<2.放熱キャップ>
<2.1 放熱キャップの設置場所の周辺構造>
次に、放熱キャップ27について説明する。
図3は、放熱キャップ27に関連する構造を一部分解して示す斜視図である。
図4は、本実施形態の半導体記憶装置1を示す断面図である。
図3および
図4は、例えば、基板21の+X方向側の端部に位置する放熱キャップ27に関連する構造を示す。
図3および
図4は、説明の便宜上、1つのNAND25上に1つのコンデンサ26および1つの放熱キャップ27が配置された場合を示す。ただし、
図2に示すように、1つのNAND25上に複数のコンデンサ26および複数の放熱キャップ27が配置されてもよい。
【0027】
図3に示すように、基板21は、コンデンサ26が固定される一対の第2固定穴51と、放熱キャップ27が固定される一対の第1固定穴52とを有する。第1固定穴52の直径は、第2固定穴51の直径よりも大きい。第2固定穴51および第1固定穴52は、例えば、基板21に設けられたスルーホールである。第2固定穴51および第1固定穴52の内周面には、例えばめっき処理により形成された導電層55が設けられている。基板21の第1面21aおよび第2面21bにおいて、第2固定穴51および第1固定穴52の周囲には、めっき処理により形成されたランド56が設けられている。第1固定穴52の周囲に設けられたランド56は、例えば、基板21のグラウンド層57(
図4参照)に接続されている。グラウンド層57は、X方向およびY方向に沿う面状の導電層であり、基板21の内部で比較的広い面積を持つ。
【0028】
コンデンサ26は、コンデンサ本体61と、一対のリード62とを有する。コンデンサ本体61は、中心軸CLがX方向に沿う円柱状である。コンデンサ本体61は、「部品本体」の一例である。リード62は、基板21と接続される。リード62は、「接続部」の一例である。リード62は、コンデンサ本体61の端部から+X方向に突出するとともに、-Z方向に折り曲げられている。すなわち、コンデンサ26は、基板21からの実装高さを低くするために、リード62が折り曲げられ、コンデンサ本体61がX方向に沿うように、基板21に実装される。
【0029】
図4に示すように、コンデンサ本体61は、NAND25に対して、基板21とは反対側に配置されている。コンデンサ本体61の少なくとも一部は、Z方向で、NAND25と重なって位置する。本実施形態では、コンデンサ本体61の少なくとも一部は、Z方向で、NAND25と筐体10の第2主壁15の内面との間に位置する。本実施形態では、コンデンサ本体61の全体がNAND25と筐体10の第2主壁15の内面との間に位置する。これに代えて、コンデンサ本体61の一部のみがNAND25と筐体10の第2主壁15の内面との間に位置してもよい。コンデンサ本体61のZ方向の厚さT1(例えば最大厚さ)は、NAND25のZ方向の厚さT2(例えば最大厚さ)よりも大きい。
【0030】
リード62は、コンデンサ本体61の端部から+X方向に突出し、Z方向でNAND25と重ならない位置まで延びている。リード62は、Z方向でNAND25と重ならない位置で基板21に向けて折り曲げられ、基板21の第2固定穴51に挿入されている。リード62は、基板21の第1面21aおよび第2面21bのランド56に供給される半田Sによって基板21に固定されている。
【0031】
<2.2 放熱キャップの構造>
図4に示すように、放熱キャップ27は、コンデンサ26に取り付けられる。放熱キャップ27は、外層部材71と、内層部材72とを有する。例えば、放熱キャップ27は、外層部材71と内層部材72とからなる2層構造を持つ。外層部材71は、「第1部材」の一例である。内層部材72は、「第2部材」の一例である。
【0032】
<2.2.1 外層部材>
外層部材71は、NAND25の放熱促進の機能を担う部分である。本実施形態では、外層部材71は、コンデンサ26の耐衝撃性向上の機能を担う部分でもある。外層部材71は、熱伝導性が比較的大きい第1熱伝導率を持つ材料により形成されている。例えば、外層部材71は、銅またはアルミニウムのような金属材料により形成されている。これに代えて、外層部材71は、導電性フィラー(例えば金属フィラー)を含む樹脂材料などにより形成されてもよい。外層部材71は、例えば、環状部75と、支持部76とを有する。
【0033】
環状部75は、例えば、コンデンサ本体61の外形に沿う円環状である。環状部75は、コンデンサ本体61の周面を外周側から囲う。言い換えると、環状部75の内部に、コンデンサ本体61および後述する内層部材72が収容される収容部Cが形成されている。コンデンサ本体61の中心軸CLに沿う方向(X方向)における環状部75の長さL1は、X方向におけるコンデンサ本体61の長さL2の半分以上である。
図4は、環状部75の長さL1と、コンデンサ本体61の長さL2とが同一である場合を図示する。
【0034】
環状部75は、第1部分75a、第2部分75b、および第3部分75cを含む。ただし、これら第1から第3部分75a,75b,75cは、説明の便宜の区分であり、互いの間に物理的な境界が存在しなくてもよい。本実施形態では、第1部分75a、第2部分75b、および第3部分75cは、互いに一体に形成されている。
【0035】
第1部分75aは、Z方向で、NAND25とコンデンサ本体61との間に位置する。第1部分75aは、NAND25と接続されて、NAND25で発生する熱をNAND25から受け取る受熱部である。本実施形態では、第1部分75aは、NAND25の表面に対して直接に接することでNAND25に接続されている。これに代えて、第1部分75aは、当該第1部分75aとNAND25との間に挟まれた熱伝導部材HT1(
図3参照、例えば熱伝導性シート)を介してNAND25と接続されてもよい。熱伝導部材HT1は、「第1熱伝導部材」の一例である。
【0036】
本実施形態では、第1部分75aは、Y方向におけるコンデンサ本体61の両側において、環状部75の径方向の外側に向けて張り出す一対の張出部75aaを含む。これにより、第1部分75aは、NAND25の表面に面する平面部81を有する。Y方向は、NAND25の表面と平行な方向である。平面部81は、例えば、NAND25の表面に対して平行に広がる。平面部81は、直接(または熱伝導部材HT1を介して)NAND25と接続されている。本実施形態では、Y方向における平面部81の幅W1(例えば最大幅)は、Y方向におけるコンデンサ26の幅W2(例えば最大幅)よりも大きい。平面部81は、「第1平面部」の一例である。
【0037】
第2部分75bは、第1部分75aがNAND25から受け取った熱を、放散または別部品に伝導させる放熱部である。第2部分75bは、Z方向で、コンデンサ26の少なくとも一部に対して第1部分75aとは反対側に位置する。本実施形態では、第2部分75bは、コンデンサ26の一部よりも筐体10の第2主壁15の内面の近くに位置する。本実施形態では、第2部分75bは、第1部分75aがNAND25から受け取った熱の一部を筐体10の第2主壁15に伝導させる放熱部である。例えば、第2部分75bは、当該第2部分75bと筐体10の第2主壁15との間に挟まれた熱伝導部材HT2(例えば熱伝導性シート)を介して筐体10の第2主壁15の内面と接続されている。熱伝導部材HT2は、「第2熱伝導部材」の一例である。これに代えて、第2部分75bは、熱伝導部材HT2を介さずに、筐体10の第2主壁15の内面に対して直接に接することで筐体10の第2主壁15と接続されてもよい。
【0038】
本実施形態では、第2部分75bは、コンデンサ本体61の外形に沿う円弧状に形成されている。熱伝導部材HT2は、第2部分75bと筐体10の第2主壁15との間で変形可能な弾性または可撓性を有する。これにより、第2部分75bと筐体10の第2主壁15との間の熱接続面積が増加されている。
【0039】
第3部分75cは、第1部分75aと第2部分75bとの間に設けられている。第3部分75cは、第1部分75aがNAND25から受け取った熱を、第2部分75bに伝える熱伝導部である。本実施形態では、第3部分75cは、コンデンサ本体61の外形に沿う円弧状に形成されている。
【0040】
次に、外層部材71の支持部76について説明する。
支持部76は、環状部75から突出して基板21に固定され、環状部75を支持する。加えて、支持部76は、基板21に固定される(基板21に接続される)ことで、NAND25から環状部75に伝わる熱の一部を基板21に伝える。支持部76は、「放熱部」の一例である。本実施形態では、支持部76は、リード62がコンデンサ本体61から突出する方向から見てコンデンサ26の両側に分かれて設けられた第1支持部76aおよび第2支持部76bを含む(
図3参照)。第1支持部76aおよび第2支持部76bの各々は、延伸部91と、固定部92とを含む。
【0041】
延伸部91は、第1部分91aと、第2部分91bとを有する。第1部分91aは、環状部75の端部から+X方向に突出し、Z方向でNAND25と重ならない位置まで+X方向に延びている。第2部分91bは、Z方向でNAND25と重ならない位置で第1部分91aの一端から-Z方向に折れ曲がり、基板21に向けて延びている。第2部分91bの先端は、基板21の第2面21bに接している。延伸部91は、基板21と直接に接することで基板21と接続されることに代えて、熱伝導部材HT3(
図3参照)を間に挟んで基板21と接続されてもよい。熱伝導部材HT3は、「第3熱伝導部材」の一例である。
【0042】
固定部92は、延伸部91の-Z方向の端部(すなわち第2部分91bの一端)に設けられている。固定部92は、基板21の第1固定穴52に挿入されている。第1支持部76aおよび第2支持部76bの各々は、基板21の第1面21aおよび第2面21bのランド56に供給される半田Sによって、ランド56に接続されて基板21に固定される。本実施形態では、第1支持部76aおよび第2支持部76bの各々は、ランド56を介して基板21のグラウンド層57と接続されている。固定部92は、例えば、リード62よりも太い。なお、半田Sが設けられるランド56は、基板21の第1面21aおよび第2面21bのうちいずれか一方のみに設けられてもよい。
【0043】
本実施形態では、固定部92は、延伸部91よりも細い。例えば、固定部92は、延伸部91の第2部分91bよりも細い。これにより、延伸部91の第2部分91bと固定部92との間には、段差部93が形成されている。本実施形態では、段差部93を基板21の第2面21bに当接させることで、放熱キャップ27の取り付け時の高さ位置の位置合わせが行われる。固定部92は、「第3部分」の一例である。
【0044】
本実施形態では、第1支持部76aおよび第2支持部76bは、Y方向において、コンデンサ26のリード62の両側に分かれて配置されている。これにより、第1支持部76aおよび第2支持部76bによって、コンデンサ26の両側に、コンデンサ26を支持する支持構造が形成されている。
【0045】
<2.2.2 内層部材>
次に、内層部材72について説明する。
内層部材72は、外層部材71がNAND25から受け取った熱がコンデンサ26に伝導することを抑制する機能を担う部分である。本実施形態では、内層部材72は、外層部材71と合わせて用いられることで、コンデンサ26の耐衝撃性向上の機能の一部を担う部分でもある。内層部材72は、第2熱伝導率を持つ材料により形成されている。第2熱伝導率は、外層部材71を形成する材料の熱伝導率(第1熱伝導率)よりも小さい。例えば、内層部材72は、ウレタン樹脂のような樹脂材料により形成されている。
【0046】
図4に示すように、内層部材72は、例えば、コンデンサ本体61の外形に沿う円環状である。内層部材72は、外層部材71の環状部75とコンデンサ本体61との間に設けられる。内層部材72の一部は、Z方向で、外層部材71の環状部75とコンデンサ本体61との間に位置する。内層部材72は、外層部材71の環状部75の内側において、コンデンサ本体61の周面を外周側から囲う。すなわち本実施形態では、外層部材71の環状部75と、内層部材72とにより二重の円環構造が形成されている。コンデンサ本体61の中心軸CLに沿う方向(X方向)における内層部材72の長さL3は、例えば、X方向における外層部材71の環状部75の長さL1以上である。
【0047】
本実施形態では、内層部材72の外径は、外層部材71の環状部75の内径と比べて、僅かに小さい。外層部材71の環状部75の内周面と、内層部材72の外周面とは、隙間嵌めの関係にある。言い換えると、外層部材71の環状部75の内周面と、内層部材72の外周面との間には、微小な隙間が設けられている。このため、内層部材72と外層部材71とは、互いに着脱可能であり、コンデンサ26に対して別々に取り付け可能である。これに代えて、内層部材72と外層部材71とは、中間嵌め、または締まり嵌めの関係を有し、一体に構成されてもよい。
【0048】
<2.3 放熱キャップの取り付け方法>
図5は、放熱キャップ27の取り付け方法の一例を示す図である。
本実施形態では、コンデンサ26が基板21に取り付けられる前に、放熱キャップ27がコンデンサ26に取り付けられる。詳しく述べると、まず、内層部材72がコンデンサ26に対して取り付けられる(
図5中の(a)参照)。すなわち、内層部材72の内側にコンデンサ本体61が挿入される。
【0049】
次に、外層部材71が内層部材72に対して取り付けられる(
図5中の(b)参照)。すなわち、外層部材71の環状部75の内側に内層部材72およびコンデンサ本体61が挿入される。これにより、2層構造の放熱キャップ27の内側にコンデンサ本体61が収容された状態になる(
図5中の(c)参照)。
【0050】
次に、コンデンサ26および放熱キャップ27が一体として、基板21に取り付けられる(
図5中の(d)参照)。すなわち、放熱キャップ27がNAND25の上に載置され、コンデンサ26のリード62が基板21の第2固定穴51に挿入され、放熱キャップ27の支持部76の固定部92が基板21の第1固定穴52に挿入される。最後に、基板21の第1面21aおよび第2面21bにおいて第2固定穴51および第1固定穴52の周囲に半田Sが供給され、コンデンサ26のリード62と基板21とが半田Sにより固定されるとともに、放熱キャップ27の支持部76と基板21とが半田Sにより固定される。
【0051】
<3.作用>
<3.1 放熱に関する作用>
図4に示すように、放熱キャップ27の外層部材71がNAND25と接続されていると、NAND25で発生した熱の一部は、NAND25から外層部材71に伝わる。NAND25から外層部材71に伝わった熱の一部は、外層部材71が熱伝導部材HT2を介して筐体10の第2主壁15と接続されているため、外層部材71から筐体10に移動し、筐体10の表面から筐体10の外部に放散される。これにより、NAND25の放熱が促進される。
【0052】
さらに本実施形態では、NAND25から外層部材71に伝わった熱の別の一部は、外層部材71の支持部76から基板21に伝わり、基板21の表面から筐体10の内部空間に放散される。これにより、NAND25の放熱が促進される。例えば、外層部材71の支持部76が基板21のグラウンド層57に接続されていると、NAND25から外層部材71に伝わった熱の一部は、グラウンド層57を通じて基板21の内部で広範囲に拡散される。この場合、外層部材71の支持部76から基板21に伝わる熱は、基板21のより多くの領域から筐体10の内部空間に放散される。
【0053】
<3.2 耐衝撃性に関する作用>
図4に示すように、コンデンサ本体61は、NAND25の上に載置された放熱キャップ27によって支持されている。これにより、半導体記憶装置1に衝撃が作用した場合でもコンデンサ本体61が大きく動くことが規制され、リード62と基板21との接続部に大きな力が作用しにくい。このため、耐衝撃性が向上する。また別の観点では、コンデンサ本体61は、基板21に固定された支持部76を有した放熱キャップ27によって支持されている。これにより、半導体記憶装置1に衝撃が作用した場合でもコンデンサ本体61が大きく動くことが規制され、リード62と基板21との接続部に大きな力が作用しにくい。このため、耐衝撃性が向上する。
【0054】
<4.利点>
比較例として、放熱キャップ27が設けられていない構成について説明する。すなわち、半導体記憶装置の小型化のため、NAND25の上方にコンデンサ本体61を水平に沿わせて配置し、コンデンサ26のリード62を折り曲げて基板21に接続する構成が考えられる。この場合、コンデンサ本体61の直下に位置するNAND25の放熱性が低下しやすい。さらに、コンデンサ本体61から、リード62と基板21との接続部までの距離が長くなる。このため、半導体記憶装置に衝撃が作用した場合、リード62と基板21との接続部に大きな力が作用しやすい。その結果、リード62と基板21との接続部に含まれる半田にクラックが生じる可能性がある。このため、半導体記憶装置の耐衝撃性が小さくなりやすい。
【0055】
一方で、本実施形態では、放熱キャップ27は、外層部材71と、内層部材72とを有する。外層部材71は、Z方向で、NAND25とコンデンサ26との間に位置した第1部分75aを含み、第1熱伝導率を持つ材料で形成されている。内層部材72は、外層部材71とコンデンサ26との間に位置した部分を含み、第1熱伝導率よりも小さい第2熱伝導率を持つ材料で形成されている。このような構成によれば、NAND25で発生する熱の一部を外層部材71により放散させる、または別の部品へ伝導させることができる。これにより、NAND25の放熱を促進し、半導体記憶装置1の放熱性の向上を図ることができる。また上記構成によれば、内層部材72が設けられていることで、外層部材71がNAND25から熱を受け取る場合でも、コンデンサ26に熱が伝わりにくい。このため、コンデンサ26に熱が伝わることによるコンデンサ26の寿命低下を抑制することができる。
【0056】
本実施形態では、外層部材71の第1部分75aは、直接または熱伝導部材HT1を介してNAND25と接続されている。このような構成によれば、NAND25で発生した熱をより効果的に外層部材71で受け取ることができる。これにより、半導体記憶装置1の放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0057】
本実施形態では、外層部材71の第1部分75aは、NAND25の表面に面する平面部81を有する。平面部81は、直接または熱伝導部材HT1を介してNAND25と接続されている。このような構成によれば、外層部材71とNAND25との間の熱接続面積を大きく確保することができる。これにより、半導体記憶装置1の放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0058】
本実施形態では、外層部材71の第2部分75bは、直接または熱伝導部材HT2を介して筐体10と接続されている。このような構成によれば、外層部材71がNAND25から受け取る熱の一部を、筐体10を通じて筐体10の外部に放散させることができる。これにより、半導体記憶装置1の放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0059】
本実施形態では、外層部材71は、Z方向でNAND25とは重ならない領域に位置して直接または熱伝導部材HT3を介して基板21と接続された支持部76(放熱部)を含む。このような構成によれば、外層部材71がNAND25から受け取る熱の一部を基板21に伝え、基板21を通じて熱を放散させることができる。これにより、半導体記憶装置1の放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0060】
本実施形態では、外層部材71の支持部76(放熱部)は、半田Sにより基板21に固定されている。このような構成によれば、外層部材71がNAND25から受け取る熱の一部を、より効率的に基板21に伝えることができる。これにより、半導体記憶装置1の放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0061】
本実施形態では、コンデンサ26は、コンデンサ本体61と、コンデンサ本体61から突出するとともに基板21に向けて折り曲げられて基板21と接続されたリード62とを有する。外層部材71は、基板21に固定された支持部76を有する。このような構成によれば、コンデンサ本体61から、リード62と基板21との接続部までの距離が長い場合でも、基板21に固定された支持部76を含む放熱キャップ27によりコンデンサ本体61が支持されるため、リード62と基板21との接続部に大きな力が作用しにくい。これにより、半導体記憶装置1の耐衝撃性の向上を図ることができる。
【0062】
本実施形態では、外層部材71の支持部76の固定部92は、コンデンサ26のリード62よりも太い。このような構成によれば、外層部材71と基板21との固定強度が高くなる。これにより、半導体記憶装置1の耐衝撃性のさらなる向上を図ることができる。
【0063】
本実施形態では、外層部材71の支持部76は、それぞれ基板21に固定された第1支持部76aと第2支持部76bとを有する。第1支持部76aおよび第2支持部76bは、コンデンサ26のリード62の両側に分かれて配置されている。このような構成によれば、第1支持部76aおよび第2支持部76bによってコンデンサ26が両側から支持される。これにより、半導体記憶装置1の耐衝撃性のさらなる向上を図ることができる。
【0064】
本実施形態では、外層部材71の支持部76は、延伸部91と、固定部92とを有する。延伸部91は、基板21に向けて延びた部分を含む。固定部92は、延伸部91の先端に設けられて延伸部91よりも細い。このような構成によれば、延伸部91と固定部92との間の段差部93により、基板21に対して放熱キャップ27およびコンデンサ26の高さ位置が規定される。このような構成によれば、コンデンサ26の取り付け高さを調整するための治具が不要になる、または治具を簡素化することができる。これにより、半導体記憶装置1の製造性を高めることができる。
【0065】
以下、第1実施形態のいくつかの変形例について説明する。各変形例で以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0066】
(第1変形例)
図6は、第1変形例の半導体記憶装置1Aを示す断面図である。第1変形例では、放熱キャップ27Aの外層部材71の環状部75の第2部分75bは、Y方向におけるコンデンサ本体61の両側において、環状部75の径方向の外側に向けて張り出す一対の張出部75baを含む。これにより、第2部分75bは、筐体10の第2主壁15の内面に面する平面部82を有する。平面部82は、例えば、筐体10の第2主壁15の内面に対して平行に広がる。平面部82は、筐体10の第2主壁15と直接に接することで、筐体10の第2主壁15と接続されている。本実施形態では、Y方向における平面部82の幅W3(例えば最大幅)は、Y方向におけるコンデンサ26の幅W2(例えば最大幅)よりも大きい。上記例に代えて、平面部82は、当該平面部82と筐体10の第2主壁15の内面との間に挟まれた熱伝導部材HT2(
図4参照)を介して、筐体10の第2主壁15と接続されてもよい。平面部82は、「第2平面部」の一例である。
【0067】
このような構成によれば、外層部材71と筐体10の第2主壁15との間の熱接続面積を大きく確保することができる。これにより、半導体記憶装置1Aの放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0068】
(第2変形例)
図7は、第2変形例の半導体記憶装置1Bを示す断面図である。第2変形例では、筐体10の第2主壁15は、コンデンサ本体61に対応する位置に、開口15aを有する。Y方向における開口15aの幅W4は、Y方向におけるコンデンサ26の幅W2よりも小さい。開口15aは、例えば、筐体10の外側から貼られたシール15bにより塞がれている。
【0069】
第2変形例では、放熱キャップ27Bの内層部材72は、第1実施形態と同様に、円環状である。内層部材72の一部は、Z方向において、筐体10の第2主壁15の開口15aの内側に位置する。
【0070】
外層部材71は、第1実施形態で説明した環状部75に代えて、周方向の一部が+Z方向側に開放された円弧部101を有する。円弧部101は、内層部材72の外形に沿う円弧状である。円弧部101は、第1部分75a、一対の第2部分75b、および一対の第3部分75cを含む。
【0071】
一対の第2部分75bは、Y方向において、筐体10の第2主壁15の開口15aの両側に分かれて位置する。第2部分75bの各々は、筐体10の第2主壁15の内面に面する平面部82Bを有する。平面部82Bは、筐体10の第2主壁15の内面と平行である。平面部82Bは、筐体10の第2主壁15の内面に対して直接に接することで、筐体10の第2主壁15と接続されている。これに代えて、平面部82Bは、当該平面部82Bと筐体10の第2主壁15の内面との間に挟まれた熱伝導部材HT2(
図4参照)を介して、筐体10の第2主壁15と接続されてもよい。
【0072】
このような構成によれば、内層部材72の一部が筐体10の第2主壁15の開口15aの内側に位置することで、半導体記憶装置1Bの小型化(例えばZ方向の薄型化)を図ることができる。
【0073】
(第3変形例)
図8は、第3変形例の半導体記憶装置1Cを示す断面図である。第3変形例では、放熱キャップ27Cの外層部材71は、第2変形例と同様に、+Z方向側が開放された円弧部101を有する。第3変形例では、内層部材72も、周方向の一部が+Z方向側に開放された円弧状である。すなわち、内層部材72は、コンデンサ本体61の外形に沿う円弧状である。第3変形例では、コンデンサ本体61の一部は、Z方向において、筐体10の第2主壁15の開口15aの内側に位置する。
【0074】
このような構成によれば、コンデンサ本体61の一部が筐体10の第2主壁15の開口15aの内側に位置することで、半導体記憶装置1Cの小型化(例えばZ方向の薄型化)を図ることができる。
【0075】
(第4変形例)
図9および
図10は、第4変形例の半導体記憶装置1Dを示す断面図である。
図9は、筐体10と組み合わされる前の状態における放熱キャップ27Dを示す。
図10は、筐体10と組み合わされた状態における放熱キャップ27Dを示す。
【0076】
図9に示すように、放熱キャップ27Dの外層部材71は、一対の当接部111を有する。当接部111は、外層部材71の円弧部101の第2部分75bを起点として、コンデンサ26から離れる方向に延びている。例えば、当接部111は、コンデンサ26から離れるに従い基板21からも離れるように傾いて延びている。当接部111は、円弧部101と一体に形成され、第2部分75bに対して弾性変形可能である。言い換えると、当接部111は、円弧部101に対して板ばね状に形成されている。
【0077】
図10に示すように、放熱キャップ27Dと筐体10とが組み合わされた場合、放熱キャップ27Dの当接部111は、筐体10の第2主壁15の内面に当接する。これにより、放熱キャップ27Dの当接部111は、筐体10の第2主壁15の内面によって押圧され、筐体10の第2主壁15の内面と平行な姿勢に弾性変形する。
【0078】
このような構成によれば、円弧部101に対して弾性変形可能な当接部111によって、外層部材71と筐体10の第2主壁15との接続関係をより強固に維持することができる。これにより、半導体記憶装置1Dの放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0079】
(第5変形例)
図11は、第5変形例の半導体記憶装置1Eを示す断面図である。第5変形例では、放熱キャップ27Eの外層部材71の第3部分75cは、複数のフィン121aを含むヒートシンク121を有する。複数のフィン121aは、例えば、X方向およびY方向に沿う板状である。例えば、フィン121aは、X方向において、外層部材71の全長に亘って設けられている。ヒートシンク121は、複数のフィン121aに代えて、複数の円柱状のピンを有してもよい。
【0080】
このような構成によれば、NAND25から外層部材71に伝わる熱の一部を、ヒートシンク121によって筐体10の内部空間に放散することができる。これにより、半導体記憶装置1Eの放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、複数のコンデンサ26に対して1つの放熱キャップ27Fが設けられる点で、第1実施形態とは異なる。以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0082】
図12は、第2実施形態の半導体記憶装置1Fを示す断面図である。本実施形態では、2つのコンデンサ26(以下では説明の便宜上、「第1コンデンサ26A」および「第2コンデンサ26B」と称する)に対して1つの放熱キャップ27Fが設けられている。
【0083】
図12に示すように、第1コンデンサ26Aおよび第2コンデンサ26Bは、例えば、Y方向に並んで配置されている。第1コンデンサ26Aのコンデンサ本体61の少なくとも一部は、NAND25と筐体10の第2主壁15の内面との間に位置する。第2コンデンサ26Bのコンデンサ本体61の少なくとも一部は、NAND25と筐体10の第2主壁15の内面との間に位置する。第1コンデンサ26Aは、「第1電子部品」の一例である。第2コンデンサ26Bは、「第2電子部品」の一例である。
【0084】
本実施形態では、放熱キャップ27Fは、1つの外層部材71と、2つの内層部材72(以下では「第1内層部材72A」および「第2内層部材72B」と称する)とを有する。第1内層部材72Aは、第1コンデンサ26Aのコンデンサ本体61の周面を囲む円環状である。第1内層部材72Aは、後述する外層部材71と、第1コンデンサ26Aのコンデンサ本体61との間に設けられている。一方で、第2内層部材72Bは、第2コンデンサ26Bのコンデンサ本体61の周面を囲む円環状である。第2内層部材72Bは、後述する外層部材71と、第2コンデンサ26Bのコンデンサ本体61との間に設けられている。
【0085】
本実施形態では、外層部材71は、第1内層部材72Aおよび第2内層部材72Bを一体に囲う。言い換えると、外層部材71は、第1コンデンサ26Aのコンデンサ本体61および第1内層部材72Aを収容する第1収容部C1と、第2コンデンサ26Bのコンデンサ本体61および第2内層部材72Bを収容する第2収容部C2とを有する。さらに、外層部材71は、第1平面部81と、第2平面部82とを有する。
【0086】
第1平面部81は、外層部材71の-Z方向側の端部に設けられ、NAND25の表面に面する。第1平面部81は、例えば、NAND25の表面に対して平行に広がる。第1平面部81は、Z方向で第1コンデンサ26Aのコンデンサ本体61の少なくとも一部と重なるとともに、Z方向で第2コンデンサ26Bのコンデンサ本体61の少なくとも一部と重なる。例えば、Y方向における第1平面部81の幅W1は、Y方向におけるNAND25の幅W5の半分以上である。
図12は、第1平面部81の幅W1と、NAND25の幅W5とが同じ場合を示す。
【0087】
一方で、第2平面部82は、外層部材71の+Z方向側の端部に設けられ、筐体10の第2主壁15の内面に面する。第2平面部82は、例えば、筐体10の第2主壁15の内面に対して平行に広がる。第2平面部82は、Z方向で第1コンデンサ26Aのコンデンサ本体61の少なくとも一部と重なるとともに、Z方向で第2コンデンサ26Bのコンデンサ本体61の少なくとも一部と重なる。
【0088】
本実施形態では、外層部材71は、第1領域131と、第2領域132とを有する。第1領域131は、コンデンサ本体61の中心よりも-Z方向側に位置し、Y方向で第1収容部C1と第2収容部C2との間に位置する領域である。言い換えると、第1領域131は、放熱キャップ27FをX方向から見た場合、第1平面部81と、第1収容部C1と、第2収容部C2とにより3方向から囲まれる領域である。一方で、第2領域132は、コンデンサ本体61の中心よりも+Z方向側に位置し、Y方向で第1収容部C1と第2収容部C2との間に位置する領域である。言い換えると、第2領域132は、放熱キャップ27FをX方向から見た場合、第2平面部82と、第1収容部C1と、第2収容部C2とにより3方向から囲まれる領域である。
【0089】
本実施形態では、第1領域131および第2領域132の各々は、通気孔133を有する。通気孔133は、放熱キャップ27FをX方向に貫通している。すなわち、通気孔133は、筐体10内における空気の流れの方向に沿って設けられている。通気孔133には、筐体10の第1通気孔16a(または第2通気孔17a)を通じて外部から筐体10の内部に流入した空気が流れる。
【0090】
図13は、第2実施形態の半導体記憶装置1Fを別の方向から見た断面図である。
図13では、説明の便宜上、リード62および放熱キャップ27Fを基板21に固定する半田Sの図示を省略している。本実施形態では、外層部材71は、3つの支持部76(以下では、「第1支持部76a」、「第2支持部76b」、および「第3支持部76c」と称する)を有する。第1支持部76a、第2支持部76b、および第3支持部76cの各々は、第1実施形態の第1支持部76aおよび第2支持部76bと同様に、延伸部91と、固定部92とを有する。
【0091】
第1支持部76aは、第1コンデンサ26Aのリード62に対して+Y方向側に設けられている。第2支持部76bは、第2コンデンサ26Bのリード62に対して-Y方向側に設けられている。第3支持部76cは、第1コンデンサ26Aのリード62と第2コンデンサ26Bのリード62との間に設けられている。例えば、Y方向における第3支持部76cの幅W6(例えば延伸部91の幅)は、Y方向における第1支持部76aの幅W7(例えば延伸部91の幅)よりも大きく、Y方向の第2支持部76bの幅W8(例えば延伸部91の幅)よりも大きい。
【0092】
以上のような構成によれば、第1実施形態と同様に、半導体記憶装置1Fの放熱性の向上を図ることができる。本実施形態では、放熱キャップ27Fの外層部材71は、第1コンデンサ26Aの少なくとも一部を収容する第1収容部C1と、第2コンデンサ26Bの少なくとも一部を収容する第2収容部C2とを有する。このような構成によれば、複数のコンデンサ26を収容する比較的大型の放熱キャップ27FによりNAND25の熱を受け取ることができる。これにより、半導体記憶装置1Fの放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0093】
また、このような比較的大型の放熱キャップ27Fによれば、2つの収容部C1,C2の間に位置する中央の支持部(第3支持部76c)を太く設計しやすくなる。中央の支持部(第3支持部76c)を太く形成すると、半導体記憶装置1Fの耐振動性および耐衝撃性の向上を図りやすくなる。
【0094】
本実施形態では、放熱キャップ27Fの外層部材71は、Y方向で第1収容部C1と第2収容部C2との間の第1領域131(または第2領域132)に通気孔133を有する。このような構成によれば、通気孔133に空気が流れることで、外層部材71がNAND25から受け取った熱の一部をより効率的に放散させることができる。これにより、半導体記憶装置1Fの放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0095】
以下、第2実施形態の変形例について説明する。本変形例で以下に説明する以外の構成は、第2実施形態と同様である。
【0096】
(変形例)
図14は、変形例の半導体記憶装置1Gを示す断面図である。
図14は、説明の便宜上、半導体記憶装置1Gの構成を簡略化して模式的に示している。また
図14では、リード62を基板21に固定する半田Sの図示を省略している。
【0097】
本変形例では、放熱キャップ27Gの支持部76は、第1支持部76aおよび第2支持部76bを有する。第1支持部76aおよび第2支持部76bの各々は、基板21の第2面21bに沿って固定部材40に向けて延びており、固定部材40に接続されている。例えば、第1支持部76aおよび第2支持部76bの各々は、固定部材40が通される挿通穴76hを有する。第1支持部76aおよび第2支持部76bの各々は、固定部材40によって基板21とともに筐体10に固定される。固定部材40は、上述したように、ねじ、またはピンのような嵌合部材であり、例えば金属製である。第1支持部76aおよび第2支持部76bの各々は、固定部材40を介して筐体10に接続されている。なお、第1支持部76aおよび第2支持部76bの各々と固定部材40との間には、熱伝導部材HT4が設けられてもよい。すなわち、第1支持部76aおよび第2支持部76bの各々は、熱伝導部材HT4を介して固定部材40と接続されてもよい。熱伝導部材HT4は、「第4熱伝導部材」の一例である。
【0098】
このような構成によれば、放熱キャップ27Gの外層部材71がNAND25から受け取った熱の一部は、第1支持部76aおよび第2支持部76bから固定部材40を介して筐体10に伝わり、筐体10の表面から筐体10の外部に放散される。これにより、半導体記憶装置1Gの放熱性の向上を図ることができる。また上記構成によれば、第1実施形態のように、半田Sを用いて第1支持部76aおよび第2支持部76bを基板21に固定する必要がなくなる。これにより、半導体記憶装置1Gの製造性を向上させることができる。
【0099】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、放熱キャップ27HがNAND25に代えて基板21に接続される点で、第1実施形態とは異なる。以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0100】
図15は、第3実施形態の半導体記憶装置1Hを示す断面図である。本実施形態では、基板21の第1面21aには、コントローラ23が実装されている。コントローラ23は、「発熱部品」の一例である。ただし、「発熱部品」は、コントローラ23に限定されず、DRAM24、NAND25、または別の部品でもよい。
【0101】
本実施形態では、コンデンサ本体61の少なくとも一部は、Z方向で、基板21と重なって位置する。本実施形態では、コンデンサ本体61の少なくとも一部は、Z方向で、基板21と筐体10の第2主壁15の内面との間に位置する。コンデンサ26は、第1実施形態と同様に、基板21からの実装高さを低くするために、リード62が折り曲げられ、コンデンサ本体61がX方向に沿うように、基板21に実装されている。
【0102】
本実施形態では、放熱キャップ27Hの外層部材71の少なくとも一部は、基板21の第2面21bのなかでもZ方向でコントローラ23と重なる領域に配置されている。外層部材71は、Z方向で、基板21とコンデンサ本体61との間に位置する第1部分75aを含む。第1部分75aは、基板21と接続されて、コントローラ23で発生する熱を基板21から受け取る受熱部である。本実施形態では、第1部分75aは、基板21の表面に対して直接に接することで基板21に接続されている。これに代えて、第1部分75aは、当該第1部分75aと基板21との間に挟まれた熱伝導部材HT1(
図3参照)を介して基板21と接続されてもよい。
【0103】
以上のような構成によれば、第1実施形態と同様に、半導体記憶装置1Hの放熱性の向上を図ることができる。例えば、本実施形態の構成によれば、基板21の裏側に位置する発熱部品から生じる熱を、基板21を通じて放熱キャップ27Hによって受け取ることができる。これにより、半導体記憶装置1Hの放熱性の向上を図ることができる。
【0104】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、上述した実施形態および変形例は、適宜組み合わせて実現可能である。
また、上述した第1実施形態では放熱キャップ27がNAND25に接続され、上述した第3実施形態では放熱キャップ27Gが基板21に接続されている。これらに代えて、放熱キャップは、NAND25と基板21の両方に接続されてもよい。
【0105】
上述した第1実施形態では、基板21に固定される支持部76は、外層部材71の一部として設けられている。これに代えて、支持部76は、内層部材72の一部として設けられてもよく、外層部材71および内層部材72の両方に設けられてもよい。放熱キャップは、1つまたは2つのコンデンサ26に限らず、3つ以上のコンデンサ26を収容するものでもよい。上述した実施形態では「半導体メモリ部品」がNAND型フラッシュメモリである例を取り上げて説明した。ただし、「半導体メモリ部品」は、NAND型フラッシュメモリに限定されず、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)や抵抗変化型メモリ、またはその他のタイプの記憶装置でもよい。すなわち、「半導体メモリ部品」は、電荷の蓄積状態によってデータを記憶するメモリ素子を含むものに限定されず、磁気状態または抵抗状態などによりデータを記憶するメモリ素子を含むものでもよい。これら半導体メモリ部品のいずれも「発熱部品」の一例に該当し得る。
【0106】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、放熱用部品は、第1部材と、第2部材とを有する。第1部材は、基板の厚さ方向で、基板および発熱部品のうち少なくとも一方と電子部品との間に位置した第1部分を含み、第1熱伝導率を持つ材料で形成されている。第2部材は、前記第1部材と前記電子部品との間に位置した部分を含み、前記第1熱伝導率よりも小さい第2熱伝導率を持つ材料で形成されている。このような構成によれば、半導体記憶装置の放熱性の向上を図ることができる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0108】
1~1G…半導体記憶装置、10…筐体、21…基板、25…NAND型フラッシュメモリ(発熱部品)、26…コンデンサ(電子部品)、27~27G…放熱キャップ(放熱用部品)、57…グラウンド層、61…コンデンサ本体(部品本体)、62…リード、71…外層部材(第1部材)、72…内層部材(第2部材)、75a…第1部分、75b…第2部分、76…支持部(放熱部)、76a…第1支持部、76b…第2支持部。