IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-モータ 図1
  • 特開-モータ 図2
  • 特開-モータ 図3
  • 特開-モータ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146085
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/22 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
H02K9/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046880
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】三成 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰三
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB02
5H609BB03
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ23
5H609RR58
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コイルの放熱性を向上させたモータを提供する。
【解決手段】モータ1は、モータステータ3と、モータステータ3の軸方向に配置された第2ブラケット6とを備える。モータステータ3のコイルエンド32bは、第2ブラケット6と直接接触している。コイルエンド32bは樹脂モールドされていないので、コイルエンド32bと第2ブラケット6との間にモールド樹脂は介在しない。そのため、モールド樹脂に阻害されることなく、コイルエンド32bから第2ブラケット6に好適に伝熱させることができる
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
前記ステータの軸方向に配置されたブラケットと、
を備え、
前記ステータのコイルエンドが前記ブラケットと直接接触している、
モータ。
【請求項2】
前記ステータは、前記ブラケットとは別体のフレームに内嵌される、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記コイルエンドは、前記フレームの軸方向の端面から突出しており、
前記ブラケットは、前記フレームの前記端面と当接して軸方向に位置決めされる、
請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
ステータと、
前記ステータの軸方向に配置されたブラケットと、
前記ステータが内嵌されるフレームと、
を備え、
前記ブラケットは、高熱伝導率の素材で構成され、
前記フレームは、前記ブラケットよりも軽量な素材で構成され、
前記ステータのコイルエンドと前記ブラケットとの間に、空気よりも熱伝導率の高い介在部材が、前記コイルエンド及び前記ブラケットの双方と接触した状態で配置される、
モータ。
【請求項5】
前記フレームは樹脂製である、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記ブラケットと前記フレームを軸方向に締結する金属製の締結部材を備え、
前記締結部材が挿通される前記フレームの挿通孔に、空気よりも熱伝導率の高い材料が充填される、
請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記ブラケットには外部装置が接触している、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項8】
前記コイルエンドは樹脂モールドされていない、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータにおいては、ステータの発熱が課題となる場合がある。特にステータを収容するフレーム(ケーシング)を樹脂製とした場合には、金属製のもの比べて放熱性が悪くなるため、コイルの温度上昇を招来して出力が制限されるおそれがある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載のモータでは、フレーム側板のカバー部とコイルエンドとの間にシリコン(絶縁体)を介在させている。これにより、カバー部とコイルエンドとの間に隙間(空気)を介在させる場合に比べ、空気よりも熱伝導率の高いシリコンによってコイルエンドからカバー部への伝熱を促進している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-112975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のモータでは、シリコンによる伝熱の促進が行われるものの、その効果が十分ではなく、コイルの昇温を抑えるためにモータの出力が制限される場合がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、コイルの放熱性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、モータであって、
ステータと、
前記ステータの軸方向に配置されたブラケットと、
を備え、
前記ステータのコイルエンドが前記ブラケットと直接接触している。
【0008】
また本発明は、モータであって、
ステータと、
前記ステータの軸方向に配置されたブラケットと、
前記ステータが内嵌されるフレームと、
を備え、
前記ブラケットは、高熱伝導率の素材で構成され、
前記フレームは、前記ブラケットよりも軽量な素材で構成され、
前記ステータのコイルエンドと前記ブラケットとの間に、空気よりも熱伝導率の高い介在部材が、前記コイルエンド及び前記ブラケットの双方と接触した状態で配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コイルの放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るモータの断面図である。
図2図1のモータにおけるコイルエンドからの伝熱態様を説明するための図である。
図3】第2実施形態に係るモータの断面図である。
図4】実施形態の変形例に係るモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<第1実施形態>
[モータの構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータ1の断面図である。
この図に示すように、第1実施形態に係るモータ1は、例えばロボット用のギヤモータに用いるためのものであり、モータロータ(ロータ)2と、モータステータ(ステータ)3とを備える。
モータロータ2は、シャフト(出力軸)21と、ロータコア22とを有する。ロータコア22は、例えば導体バーが埋設された積層鋼板からなるものであり、シャフト21の外周面に嵌合固定される。ただし、ロータコア22は、ロータヨークと永久磁石とを有する永久磁石型であってもよい。
なお、以下の説明では、シャフト21の中心軸Axに沿った方向を「軸方向」、中心軸Axに垂直な方向を「径方向」、中心軸Axを中心とする回転方向を「周方向」という。また、軸方向のうち、後述の外部装置Eと連結される側(図中の左側)を「出力側」といい、出力側とは反対側(図中の右側)を「反出力側」という。
【0013】
モータステータ3は、積層鋼板からなるステータコア31にコイルが巻回されて構成される。このモータステータ3は、モータロータ2の外径側に同心状に配置されている。
ステータコア31の軸方向両側には、ステータコア31に巻回されたコイルが露出してなるコイルエンド32(32a、32b)が突出している。このうち、少なくとも出力側のコイルエンド32bは、樹脂モールドされていない。ただし、ワニスで固化はされていてもよい。
【0014】
モータロータ2及びモータステータ3は、フレーム(ケーシング)4、第1ブラケット5及び第2ブラケット6の内部に収容されている。
フレーム4は、本実施形態では略円筒状に形成され、ステータコア31が内嵌された状態でモータステータ3を内側に保持している。フレーム4は、出力側の端部の内周面に、反出力側に向かって径が小さくなる段付き部41を有している。この段付き部41にステータコア31が反出力側から当接することで、フレーム4に対してモータステータ3が軸方向に位置決めされる。ただし、フレーム4に対してモータステータ3を適切に位置決めできるのであれば(例えば、フレーム4へのステータコア31の内嵌時に位置決め治具を用いる等)、段付き部41は無くてもよい。また、フレーム4は、絶縁性を有する樹脂で構成されている。
【0015】
第1ブラケット5は、モータロータ2(ロータコア22)及びモータステータ3の反出力側に配置され、これらモータロータ2及びモータステータ3を反出力側から覆う。第1ブラケット5の外周部は、フレーム4とインローで嵌合している。第1ブラケット5の内周部には、シャフト21を回転自在に支持する軸受51が配置されている。この第1ブラケット5は樹脂で構成されている。
また、第1ブラケット5と反出力側のコイルエンド32aとの間には隙間が介在しており、当該コイルエンド32aは第1ブラケット5に接触していない。
【0016】
第2ブラケット6は、モータロータ2(ロータコア22)及びモータステータ3の出力側に配置され、これらモータロータ2及びモータステータ3を出力側から覆う。第2ブラケット6は、外周部がフレーム4とインローで嵌合しており、フレーム4の出力側の端面42と当接することで軸方向に位置決めされる。第2ブラケット6の内周部には、シャフト21を回転自在に支持する軸受61が配置されている。この第2ブラケット6は樹脂で構成されている。
第2ブラケット6の出力側の面には、外部装置Eが取り付けられている。外部装置Eは、特に限定はされないが、例えば減速機であり、シャフト21からのモータ出力が入力される。
【0017】
また、第2ブラケット6には、モータステータ3のコイルエンド32bが直接接触している。そのため、図2に示すように、コイルの発熱を第2ブラケット6に逃がすことができ、さらに第2ブラケット6から外部装置Eに逃がすことができる。これにより、モータステータ3からフレーム4への伝熱量を低減でき、フレーム4の温度上昇を抑制できる。
すなわち、フレーム4は樹脂製であるため、金属製のものよりも放熱性が悪いところ、コイルの発熱を第2ブラケット6に逃がすことで放熱性を向上できる。さらに、樹脂製のフレーム4は一般的に積層鋼板のステータコア31よりも線膨張係数が高く、温度上昇によりステータコア31との嵌合が緩むおそれがあるところ、フレーム4の温度上昇を抑えることにより、このような嵌合の緩みを抑制できる。
【0018】
なお、コイルエンド32bを第2ブラケット6に接触させる際には、フレーム4に第2ブラケット6を組み付ける前に、フレーム4の出力側の端面42から突出しているコイルエンド32bの高さを調整するのが好ましい。第2ブラケット6は、フレーム4の端面42と当接して軸方向に位置決めされるため、このコイルエンド32bの突出高さを調整することにより、第2ブラケット6へのコイルエンド32bの接触程度(潰し量)をより正確に管理できる。コイルエンド32bの突出高さの調整は、例えばコイルエンド32bを変形させる、端面42を削る、端面42に調整シムを重ねるなどすればよい。
【0019】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、第1実施形態のモータ1によれば、モータステータ3のコイルエンド32bが、モータステータ3の軸方向に配置された第2ブラケット6と直接接触している。
これにより、コイルの発熱を第2ブラケット6に逃がすことができ、コイルの放熱性を向上させることができる。また、コイルエンドとブラケットとの間にシリコンを介在させる場合に比べ、簡便な構造にでき、組み立てが容易になる。
【0020】
また、第1実施形態のモータ1によれば、モータステータ3が第2ブラケット6とは別体のフレーム4に内嵌される。
これにより、例えば外部装置Eとの取り合いを変更する場合などでも、第2ブラケット6だけを交換すれば足り、フレーム4及びこれに内嵌されたモータステータ3を使い回すことができる。
【0021】
また、第1実施形態のモータ1によれば、コイルエンド32bがフレーム4の軸方向出力側の端面42から突出しており、第2ブラケット6がフレーム4の当該端面42と当接して軸方向に位置決めされる。
そのため、フレーム4の端面42からのコイルエンド32bの突出高さを調整することにより、第2ブラケット6へのコイルエンド32bの接触程度(潰し量)を正確に管理できる。また、コイルエンド32bがフレーム4の端面42から突出しているので、突出していない(凹んでいる)場合に比べ、突出高さを確認・計測しやすい。
【0022】
また、第1実施形態のモータ1によれば、フレーム4が樹脂製であるので、金属製の場合に比べて軽量化を図ることができる。また、樹脂製のフレーム4は金属製のものよりも放熱性が悪いところ、コイルの発熱を第2ブラケット6に逃がすことで放熱性を向上できる。さらに、樹脂製のフレーム4は一般的に積層鋼板のステータコア31よりも線膨張係数が高く、温度上昇によりステータコア31との嵌合が緩むおそれがあるところ、フレーム4の温度上昇を抑えることにより、このような嵌合の緩みを抑制できる。
したがって、軽量化を図りつつ、好適に放熱性を向上させることができる。
【0023】
また、第1実施形態のモータ1によれば、コイルエンド32bが接触している第2ブラケット6には外部装置Eが接触している。
これにより、コイルエンド32bから第2ブラケット6に伝わった熱を外部装置Eに逃がすことができる。
【0024】
また、第1実施形態のモータ1によれば、コイルエンド32bは樹脂モールドされていないので、コイルエンド32bと第2ブラケット6との間にモールド樹脂は介在しない。
そのため、モールド樹脂に阻害されることなく、コイルエンド32bから第2ブラケット6に好適に伝熱させることができる。
【0025】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態に係るモータ7について説明する。以下、上記第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0026】
[モータの構成]
図3は、第2実施形態に係るモータ7の断面図である。
この図に示すように、第2実施形態に係るモータ7は、上記第1実施形態のものと同様に構成されたモータロータ2及びモータステータ3とを備える。ただし、モータステータ3のコイルエンド32(32a、32b)は、樹脂モールドされていてもよい。
【0027】
モータロータ2及びモータステータ3は、フレーム(ケーシング)8、第1ブラケット5及び第2ブラケット9の内部に収容されている。
このうち、第1ブラケット5は、上記第1実施形態のものと同様に構成されている。
【0028】
フレーム8は、本実施形態では略円筒状に形成され、ステータコア31が内嵌された状態でモータステータ3を内側に保持している。フレーム8は、出力側の端部の内周面に、反出力側に向かって径が小さくなる段付き部41を有している。この段付き部41にステータコア31が反出力側から当接することで、フレーム8に対してモータステータ3が軸方向に位置決めされる。ただし、フレーム8に対してモータステータ3を適切に位置決めできるのであれば(例えば、フレーム8へのステータコア31の内嵌時に位置決め治具を用いる等)、段付き部41は無くてもよい。
また、フレーム8は、軽量であって絶縁性を有する素材で構成され、本実施形態ではPEEK樹脂で構成されている。ただし、フレーム8の素材は、少なくとも第2ブラケット9の素材よりも軽量であればよい。
【0029】
第2ブラケット9は、高熱伝導率の素材で構成され、本実施形態ではアルミニウム合金で構成されている。ここで、「高熱伝導率」とは、本実施形態では30[W/m・K]以上であり、好ましくは150[W/m・K]以上である。
第2ブラケット9は、上記以外の点については、上記第1実施形態の第2ブラケット6と同様に構成されている。
【0030】
また、第2ブラケット9とモータステータ3のコイルエンド32bとの間には、中心軸Ax回りの全周に亘って、シリコン部材10が介在している。シリコン部材10は、本発明に係る介在部材の一例であり、コイルエンド32b及び第2ブラケット9の双方と接触した状態で配置されている。シリコン部材10の素材は、空気よりも熱伝導率及び絶縁性の高いものであり、本実施形態では放熱シリコンである。
これにより、シリコン部材10を通じてコイルの発熱を第2ブラケット9に逃がすことができ、さらに第2ブラケット9から外部装置Eに逃がすことができる。ひいては、モータステータ3からフレーム8への伝熱量を低減でき、フレーム8の温度上昇を抑制できる。
すなわち、フレーム4は樹脂製であり、金属製のものよりも放熱性が悪いところ、コイルの発熱を第2ブラケット9に逃がすことで放熱性を向上でき、ひいてはモータステータ3の出力トルクを大きくできる。さらに、樹脂製のフレーム8は一般的に積層鋼板のステータコア31よりも線膨張係数が高く、温度上昇によりステータコア31との嵌合が緩むおそれがあるところ、フレーム8の温度上昇を抑えることにより、このような嵌合の緩みを抑制できる。
【0031】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、第2実施形態のモータ7によれば、モータステータ3の軸方向に配置された第2ブラケット9が高熱伝導率の素材で構成され、モータステータ3が内嵌されるフレーム8が第2ブラケット9よりも軽量な素材で構成される。また、モータステータ3のコイルエンド32bと第2ブラケット9との間に、空気よりも熱伝導率の高いシリコン部材10が、コイルエンド32b及び第2ブラケット9の双方と接触した状態で配置されている。
これにより、体積の大きいフレーム8の軽量化を図りつつ、シリコン部材10を通じてコイルの発熱を第2ブラケット9に逃がすことができ、コイルの放熱性を向上させることができる。
【0032】
また、第2実施形態のモータ7によれば、フレーム8が樹脂製であるので、金属製の場合に比べて軽量化を図ることができる。また、樹脂製のフレーム8は金属製のものよりも放熱性が悪いところ、コイルの発熱を第2ブラケット9に逃がすことで放熱性を向上でき、ひいてはモータステータ3の出力トルクを大きくできる。さらに、樹脂製のフレーム8は一般的に積層鋼板のステータコア31よりも線膨張係数が高く、温度上昇によりステータコア31との嵌合が緩むおそれがあるところ、フレーム8の温度上昇を抑えることにより、このような嵌合の緩みを抑制できる。
したがって、軽量化を図りつつ、好適に放熱性を向上させることができる。
【0033】
また、第2実施形態のモータ7によれば、コイルエンド32bが接触している第2ブラケット9には外部装置Eが接触している。
これにより、コイルエンド32bから第2ブラケット9に伝わった熱を外部装置Eに逃がすことができる。
【0034】
また、第2実施形態のモータ7によれば、コイルエンド32bは樹脂モールドされていないので、コイルエンド32bとシリコン部材10との間にモールド樹脂は介在しない。
そのため、モールド樹脂に阻害されることなく、シリコン部材10を通じてコイルエンド32bから第2ブラケット9に好適に伝熱させることができる。
【0035】
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、フレーム、第1ブラケット及び第2ブラケットを締結する締結ボルト(締結部材)を利用して、ステータの放熱を促進させてもよい。
具体的には、図4に示すように、例えば上記第1実施形態のモータ1において、フレーム4、第1ブラケット5及び第2ブラケット6の3体が、金属製の締結ボルト11により軸方向に共締めされる。そして、締結ボルト11が挿通されるフレーム4の挿通孔43内に、空気よりも熱伝導率の高い充填剤(例えば伝熱シリコン)12が充填(封入)される。これにより、ステータコア31の発熱を好適に締結ボルト11に伝え、この締結ボルト11を通じて第2ブラケット6(及び第1ブラケット5)に逃がすことができる。
なお、締結ボルト11が締結される雌ねじやザグリ穴は、第1ブラケット5及び第2ブラケット6のいずれに形成されていてもよい。締結ボルト11は、少なくともフレーム4と第2ブラケット6を締結するものであればよい。締結ボルト11の本数や周方向の位置等は特に限定されない。
また、図示は省略するが、この締結構造は上記第2実施形態のモータ7にも同様に適用可能である。
【0036】
また、上記第1実施形態では、出力側のコイルエンド32bのみを第2ブラケット6に直接接触させることとしたが、反出力側のコイルエンド32aを第1ブラケット5に直接接触させてもよい。
また、上記第2実施形態では、反出力側のコイルエンド32aと第1ブラケット5との間にもシリコン部材10を配置してもよい。
【0037】
また、上記第1実施形態では、専ら軽量化の目的で、筐体であるフレーム4、第1ブラケット5及び第2ブラケット6を樹脂製とした。しかし、これらは金属製であってもよい。例えば、コイルエンド32bからの伝熱を促進させるために、第2ブラケット6を金属製としてもよい。ただし、フレーム4を金属製とする場合には、ステータコア31との絶縁性を確保する必要があるのは勿論である。
【0038】
また、上記第1実施形態では、フレーム4と第2ブラケット6(又は第1ブラケット5)とは、別体でなく、一体に構成されていてもよい。
また、フレーム4と第2ブラケット6(又は第1ブラケット5)とは、インローによる嵌合構造でなくともよい。例えばロボットによってインローに依らない位置決め(芯出し)を行ってもよい。
また、外部装置Eは第2ブラケット6ではなくフレーム4に取り付けられてもよい。
【0039】
また、モータステータ3は、ステータコア31にコイルが巻回されたものであればよく、モータロータ2も含めて、その形式・電気的構造は特に限定されない。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1、7 モータ
2 モータロータ
3 モータステータ(ステータ)
31 ステータコア
32 コイルエンド
32b 出力側のコイルエンド
4、8 フレーム
41 段付き部
42 端面
43 挿通孔
5 第1ブラケット
6、9 第2ブラケット(ブラケット)
10 シリコン部材(介在部材)
11 締結ボルト
12 充填剤
Ax 中心軸
E 外部装置
図1
図2
図3
図4