(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146096
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ルアー用フック及び釣り用ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 83/00 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
A01K83/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046895
(22)【出願日】2021-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】521119175
【氏名又は名称】鈴木 智雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智雄
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307AB01
2B307AB19
2B307AB21
(57)【要約】
【課題】ルアー側の構成追加を伴うことなく、水中でフックが位置ずれしにくくて針掛かりがよいルアー用フックを提供すること。
【解決手段】本発明のルアー用フック11は、第1フック構成部材21と第2フック構成部材31とを備える。第1フック構成部材21は、略J字状をなす金属線材からなり、チモト22、軸23及び針先26を有する。第2フック構成部材31は、第1フック構成部材31よりも短い線材からなり、その両方の端部32が非尖鋭状に形成されている。針先26を始点として軸23に直交する直線L1を引いたときの軸23との交点P1を想定する。第2フック構成部材31は、軸23と交差した状態となるように、その交点P1よりも下側の位置に、固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略J字状をなす金属線材からなり、チモト、軸及び針先を有する第1フック構成部材と、
前記第1フック構成部材よりも短い線材からなり、その両方の端部が非尖鋭状に形成された第2フック構成部材と
を備えるとともに、
前記第2フック構成部材は、前記軸と交差した状態となるように、前記針先を始点として前記軸に直交する直線を引いたときの前記軸との交点よりも下側の位置に、固定されている
ことを特徴とするルアー用フック。
【請求項2】
前記軸の横断面において前記軸を基準とする前記針先の方向を0°と定義したとき、前記第2フック構成部材の両方の端部が、それぞれ前記軸を基準とする±90°~±150°の範囲の方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載のルアー用フック。
【請求項3】
前記第2フック構成部材の両方の端部が、それぞれ前記軸を基準とする±100°~±130°の範囲の方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載のルアー用フック。
【請求項4】
前記第2フック構成部材は、略く字状または略円弧状に曲げ加工された金属線材であり、前記第2フック構成部材における凸状曲部が、前記軸の外側に固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のルアー用フック。
【請求項5】
前記第2フック構成部材の少なくとも両方の端部は、樹脂材またはゴム材からなる被覆体で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のルアー用フック。
【請求項6】
ルアー腹部の少なくとも1箇所に形成されたフックアイに、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のルアー用フックを取り付けた釣り用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアー用フック及びそれを備えた釣り用ルアーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ルアーフィッシングにはルアー(疑似餌)が用いられるが、通常、ルアーには1つまたは2つ以上のルアー用フックが取り付けられる。従来においては、3本の針先を等角度間隔で配置したトレブルフック(トリプルフック)が多く利用されてきた。しかし近年では、キャッチアンドリリースの目的のため、一般的なエサ用と同様の形状であるJ型のシングルフックをルアー用フックとして使用することも増えつつある。
【0003】
ところで、J型のシングルフックはチモトに結んだ糸から引く力を針先に効率よく伝えるために、針先が若干内側(軸側)に向いたクローズゲイブがよいとされている。クローズゲイブのJ型のシングルフックをルアー腹部のフックアイに取り付けた場合には、針の軸部がルアー腹部と干渉して斜めになる。そのため、ルアー腹部と針先との距離が小さくなり、魚が口でルアーを咥えたときに針先との接触が減る結果、どうしても針掛かりが悪くなる。そこで、魚の口と針先との接触を増やすためには、
図6(a)に示すルアー51のルアー用フック52のように、針先と腹部との距離を大きくなるようストレートゲイブに近いものとすることが考えられる。しかしこの場合、魚が針先に接触したときに、自由端となっているチモト53を中心としてフック52が回転しやすい。その結果、
図6(b)に示すように、本来の好ましいルアー腹部中央位置からフック52が逃げて(位置ずれして)しまい、針掛かりが悪くなる。
【0004】
なお、J型のシングルフックに関する技術ではないが、水中でのフックの位置ずれを抑制するための技術が従来いくつか提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。特許文献1では、水中にてスイベルフックをルアーに保持させるために、ルアー腹部に磁石を設けたものが開示されている。特許文献2では、水中にてダブルフックをルアーに保持させるために、2つのフックにより挟着される板状部材をルアー腹部に設けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-19600号公報
【特許文献2】特開2009-178115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術ではルアー側にフック保持のための構成を追加する必要があるため、専用のルアーを用意しなければならず、汎用性が高いものとは言い難かった。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ルアー側の構成追加を伴うことなく、水中でフックが位置ずれしにくくて針掛かりがよいルアー用フック及びそれを備えた釣り用ルアーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、手段1に記載の発明は、略J字状をなす金属線材からなり、チモト、軸及び針先を有する第1フック構成部材と、前記第1フック構成部材よりも短い線材からなり、その両方の端部が非尖鋭状に形成された第2フック構成部材とを備えるとともに、前記第2フック構成部材は、前記軸と交差した状態となるように、前記針先を始点として前記軸に直交する直線を引いたときの前記軸との交点よりも下側の位置に、固定されていることを特徴とするルアー用フックをその要旨とする。
【0009】
従って、手段1に記載の発明によると、ルアー腹部におけるフックアイに対し、第1フック構成部材のチモト側を取り付けて使用した場合において、第1フック構成部材の針先に魚が触れたときに、第2フック構成部材がルアー腹部に当接して保持される。その結果、水中にてフック全体が位置ずれしにくくなり、針掛かりも向上する。また、本発明ではルアー側にフック保持のための構成を追加する必要がないため、様々な種類のルアーに適用することができ、汎用性に優れている。
【0010】
手段2に記載の発明は、手段1において、前記軸の横断面において前記軸を基準とする前記針先の方向を0°と定義したとき、前記第2フック構成部材の両方の端部が、それぞれ前記軸を基準とする±90°~±150°の範囲の方向を向いていることをその要旨とする。
【0011】
従って、手段2に記載の発明によると、第2フック構成部材の両方の端部がそれぞれ好適な範囲の方向を向いているため、第2フック構成部材の周面がルアーの腹部に当接したときに、横滑りしにくい状態で第2フック構成部材が保持される。よって、フック全体がより位置ずれしにくくなる。
【0012】
手段3に記載の発明は、手段1において、前記第2フック構成部材の両方の端部が、それぞれ前記軸を基準とする±100°~±130°の範囲の方向を向いていることをその要旨とする。
【0013】
従って、手段3に記載の発明によると、第2フック構成部材の両方の端部がそれぞれより好適な範囲の方向を向いているため、第2フック構成部材の周面に好適な凹状部位が形成される。ゆえに、第2フック構成部材の周面がルアーの腹部に当接したときに、いっそう横滑りしにくい状態で第2フック構成部材が確実に保持される。
【0014】
手段4に記載の発明は、手段1乃至3のいずれか1項において、前記第2フック構成部材は、略く字状または略円弧状に曲げ加工された金属線材であり、前記第2フック構成部材における凸状曲部が、前記軸の外側に固定されていることをその要旨とする。
【0015】
従って、手段4に記載の発明によると、第2フック構成部材における凸状曲部の反対側には好適な凹状曲部が存在しており、その凹状曲部がルアーの腹部に当接したときに、いっそう横滑りしにくい状態となる。また、このように曲げ加工された第2フック構成部材は、ルアー腹部表面の曲面形状に追従しやすいものとなる。よって、第2フック構成部材がより安定した状態で保持される。
【0016】
手段5に記載の発明は、手段1乃至4のいずれか1項において、前記第2フック構成部材の少なくとも両方の端部は、樹脂材またはゴム材からなる被覆体で被覆されていることをその要旨とする。
【0017】
従って、手段5に記載の発明によると、比較的軟質な樹脂材またはゴム材からなる被覆体を介して、第2フック構成部材がルアー腹部に接触する。これにより滑り止めが図られる結果、第2フック構成部材がより安定した状態で保持される。また、ルアーと第2フック構成部材との当接による衝突音が軽減されるため、このような衝突音を嫌う魚の釣りに適したものとなる。さらに、第2フック構成部材との当接によるルアーの傷付きも回避される。
【0018】
手段6に記載の発明は、ルアー腹部の少なくとも1箇所に形成されたフックアイに、手段1乃至5のいずれか1項に記載のルアー用フックを取り付けた釣り用ルアーをその要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
以上詳述したように、請求項1~6に記載の発明によると、ルアー側の構成追加を伴うことなく、水中でフックが位置ずれしにくくて針掛かりがよいルアー用フック及びそれを備えた釣り用ルアーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(a)は本発明を具体化した一実施形態のルアー用フックの側面図、(b)は同じくその背面図、(c)は同じくその底面図。
【
図2】上記実施形態のルアー用フックにおける第2フック構成部材の両方の端部が向けられるべき好適角度範囲についての説明図。
【
図3】上記実施形態のルアー用フックをルアーに取り付けた状態を示す側面図。
【
図5】(a)~(c)は別の実施形態のルアー用フックを示す断面図。
【
図6】(a)、(b)は従来技術の問題点を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態のルアー用フック及びそれを使用したルアーを
図1~
図4に基づき詳細に説明する。
【0022】
図1には、本実施形態のルアー用フック11が示されている。このルアー用フック11は、いわゆるJ型のシングルフックと呼ばれるものであって、第1フック構成部材21と第2フック構成部材31とによって構成されている。
【0023】
第1フック構成部材21及び第2フック構成部材31は、いずれも金属線材からなる。金属線材としては、一般的に釣り針に使用されるものであれば特に限定されず使用することができるが、本実施形態ではステンレス鋼や高炭素鋼からなる線材を使用している。使用する金属線材の太さは特に限定されず、対象とする魚種に応じて任意に設定される。金属線材の太さは例えば1mm~5mm程度であることが好ましく、本実施形態では2mm~3mm程度の金属線材を選択している。使用する金属線材の色は特に限定されず、本実施形態では金属の素地の色(即ち銀色)のままとなっているが、銀色以外の金属色(例えば金色、黄銅色など)であってもよい。さらには、金属色ではない別の色(例えば黒色、赤色など)の塗膜が形成された金属線材を用いてもよい。
【0024】
このルアー用フック11を構成する第1フック構成部材21は、全体として略J字状をなす金属線材からなる。この第1フック構成部材21は、チモト22、軸23、曲げ部24、カエシ25及び針先26をこの順序で有している。チモト22は、第1フック構成部材21の基端部(
図1(a)では上端部)に位置しており、ここでは金属線材の端部をリング状に曲げ加工することにより形成されている。リング状のチモト22を採用する場合、孔部がルアー用フック11の前後方向(
図1(a)では左右方向、
図1(b)では紙面に垂直な方向)を向くように形成されることが好ましい。なお、チモト22はリング状でなくてもよく、ルアー15の腹部16のフックアイ17と何らかの連結部材を介して連結可能なものであれば、どのような形状であってもよい。
【0025】
針先26は第1フック構成部材21の先端部に位置しており、魚の口に容易に突き刺さるように、先に行くにつれて直径が徐々に細くなり最終的には点となる尖鋭的な形状に加工されている。カエシ25は針先26のすぐ近くにおいて逆方向(
図1(a)では下側方向)を向くように形成されている。軸23はチモト22の下方に連続するように形成されており、軸23の下端部と針先26の下端部との間には曲げ部24が配置されている。
【0026】
このルアー用フック11を構成する第2フック構成部材31は、第1フック構成部材21よりも短く、略円弧状に曲げ加工された金属線材からなる。第2フック構成部材31の長さは、例えば第1フック構成部材21の高さ方向の寸法L2の半分以下が好ましく、特には前記寸法L2の1/3~1/2程度であることが好ましい。この寸法を短くしすぎると、第2フック構成部材31がルアー15の腹部16に対して当接しうる長さが減ってしまい、第2フック構成部材31が保持されにくくなるおそれがある。逆に、この寸法を長くしすぎたとしても、第2フック構成部材31を保持する効果の向上は期待できないばかりか、かえって第2フック構成部材31の両方の端部32がルアー15の幅方向に張り出してしまい、水中での抵抗増大につながるおそれがある。以上の事情から、第2フック構成部材31は、上記の好適寸法範囲の条件を満たしつつ、ルアー15の横幅寸法よりも短く形成されていることがより好ましい。
【0027】
この第2フック構成部材31の両方の端部32は、上述した針先26とは逆に、先に行っても直径が細くならない非尖鋭状に形成されている。つまり、両方の端部32は、魚の体に容易に突き刺さりにくく、魚を傷付けにくい形状となっている。例えば、本実施形態では第2フック構成部材31の両方の端部32は、金属線材を切断工具で切断したときの断面そのままの状態となっている。
【0028】
第2フック構成部材31は、第1フック構成部材21における所定位置に固定されている。
図1(a)に示されるように、針先26を始点として軸23に直交する直線L1を引き、そのときに直線L1と軸23とが交わる点を「交点P1」とする。第2フック構成部材31は、軸23と交差した状態となるように、その交点P1よりも下側の位置に、固定されている。つまり、第2フック構成部材31は、軸23の下半分の領域、あるいは軸23と曲げ部24との境界領域付近に固定されている。本実施形態では、後者の領域が固定位置として選択されている。なお、第2フック構成部材31の固定位置を交点P1よりも上側の位置にしてしまうと、第2フック構成部材31が針先26に加わる力を十分に受け止めて保持することが難しくなるおそれがある。
【0029】
そして、略円弧状に曲げ加工された本実施形態の第2フック構成部材31は、凸状曲部33を軸23側に向け、凹状曲部34を軸23側とは反対側に向けた状態で、軸23の外側(即ち背面側)に固定されている。固定する手法としては特に限定されず従来公知の様々な手法を採用することができ、例えば溶接、ろう付け、接着、糸結び等の中から選択することが可能である。なお、
図1(b)に示されるように、第2フック構成部材31は、第1フック構成部材21の延びる上下方向(即ち軸23の延びる方向)に対して、直交する状態で配置される。また、第2フック構成部材31の両方の端部32は、軸23を基準として同じ長さずつ側方に突出している。従って、このルアー用フック11は、左右対称な形状及び重量バランスを有したものとなっている(
図1(b)、(c)を参照)。
【0030】
図2は、第2フック構成部材31の両方の端部32が向けられるべき好適角度範囲について説明したものである。軸23の横断面において、軸23を基準とする針先26の方向を0°と定義する。このとき、両方の端部32が、それぞれ軸23を基準とする±90°~±150°の範囲の方向を向いていることが好ましく、±100°~±130°の範囲の方向を向いていることが特に好ましい。特に後者の好適角度範囲に設定した場合、第2フック構成部材31の周面に好適な大きさ及び形状の凹状曲部34が形成される。ゆえに、第2フック構成部材31の周面がルアー15の腹部16に当接したときに、横滑りしにくい状態で第2フック構成部材21が確実に保持される。
【0031】
図3は、上記のように構成されたルアー用フック11をルアー15に取り付けた状態を示している。取付対象であるルアー15としては、基本的に魚の形状をしていて腹部16にフックアイ17を備えているものであれば、素材、大きさ、色を問わず各種のものを選択することができる。具体的にいうと、ミノー、ホッパー、シャッド、ペンシルベイト、クランクベイト、ジャークベイト、ウェイクベイトなどを選択することができる。
図3のルアー15では、腹部16における1箇所にフックアイ17が設けられている。そして、連結部材としての二重リング18を用いてチモト22とフックアイ17とを連結することにより、ルアー用フック11がルアー15に取り付けられている。なお、二重リング18は本実施形態のように2個であってもよいが、2個用いることに限定されるものではない。
【0032】
そして、このように構成された本実施形態のルアー用フック11を取り付けた釣り用ルアー15は、以下のような効果を奏することができる。
【0033】
(1)ルアー15を水中に投入した後に魚がルアーを咥えようとして、魚が針先26に接触したときには、自由端となっているチモト22を中心として、ルアー用フック11全体を
図6(b)のように回転させようとする力が作用する。しかし、このような場合であっても、第2フック構成部材31がルアー15の腹部16に当接することで、ルアー用フック11が本来の好ましい腹部16の中央位置にて回転不能に保持される。その結果、水中にてルアー用フック11全体が位置ずれしにくくなり、針掛かりも向上する。また、本実施形態の構成によると、ルアー用フック11側にのみ保持のための構成を設けていることから、ルアー15側にそのような構成を追加する必要がない。それゆえ、本実施形態のルアー用フック11は、様々な種類のルアー15に広く適用することができ、汎用性に優れたものとなっている。勿論、本実施形態のルアー用フック11は、基本的にJ型のシングルフックであるため、魚のバラシの危険性も低く、キャッチアンドリリースに好適なものとなっている。以上述べたように、本実施形態によれば、ルアー15側の構成追加を伴うことなく、水中で位置ずれしにくくて針掛かりがよいルアー用フック11及びそれを備えた釣り用ルアー15を提供することができる。
【0034】
(2)本実施形態のルアー用フック11では、略円弧状に曲げ加工された金属線材を第2フック構成部材31として用いており、その第2フック構成部材31における凸状曲部33の中央部分を軸23の外側に固定している。また、第2フック構成部材31の両方の端部32は、それぞれ上記の好適角度範囲となるように設定されている。なお、第2フック構成部材31における凸状曲部33の反対側には、好適な形状(即ち適用するルアー15の腹部16の曲率にほぼ等しい曲率を有する形状)の凹状曲部34が存在している。従って、その凹状曲部34がルアー15の腹部16に当接したときには、横滑りしにくい状態で第2フック構成部材31が確実に保持される。よって、ルアー用フック11全体がより位置ずれしにくくなる。また、このように曲げ加工された第2フック構成部材31は、ルアー15の腹部16の表面の曲面形状に追従しやすいものとなる。よって、第2フック構成部材31がより安定した状態で保持される。
【0035】
(3)本実施形態のルアー用フック11では、第2フック構成部材31が軸23の外側(即ち背面側)に固定されていることに加え、リング状のチモト22における孔部が前後方向を向くように形成されている。それゆえ、
図1(a)に示されるように、軸23及びチモト22よりも第2フック構成部材31のほうが背面側に位置しており、軸23及びチモト22が突出していない。従って、
図3に示されるように、第2フック構成部材31がルアー15の腹部16に優先的に当接する一方で、第1フック構成部材21が腹部16に当接しない構成とすることができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるわけではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で任意に変更することが可能である。
【0037】
・上記実施形態では、第2フック構成部材31を略円弧状に湾曲した金属線材からなるものとしたが、これに限定されない。例えば、
図5(a)に示される別の実施形態のルアー用フック11Aのように、直線的な金属線材からなる第2フック構成部材31Aを用いてもよい。また、
図5(b)に示される別の実施形態のルアー用フック11Bのように、略く字状に屈曲した金属線材からなる第2フック構成部材31Bを用いてもよい。
【0038】
・例えば、
図5(c)に示される別の実施形態のルアー用フック11Cのように、第2フック構成部材31の両方の端部32が、樹脂材またはゴム材からなるキャップ状の被覆体41で被覆されていてもよい。この構成によると、比較的硬質な金属線材からなる第2フック構成部材31が、それよりも軟質な材料で覆われた状態となる。ゆえに、第2フック構成部材31を構成する金属線材がルアー15の腹部16に対して直接的に接触するのではなく、被覆体41を介して間接的に接触することで、滑り止めが図られる。この結果、第2フック構成部材31がより安定した状態で保持される。また、ルアー15と第2フック構成部材31との当接による衝突音が軽減されるため、このような衝突音を嫌う魚の釣りに適したものとすることができる。さらに、第2フック構成部材31との当接によるルアー15の傷付きも回避することができる。なお、被覆体41は第2フック構成部材31の両方の端部32のみに形成されていてもよいほか、第2フック構成部材31の全体にわたって形成されていてもよい。また、被覆体41はキャップ状でなくてもよく、樹脂材やゴム材を層状にコーティングすることにより形成されたものであってもよい。
【0039】
・上記実施形態では、第2フック構成部材31が第1フック構成部材21の背側に固定されていたが、腹側に固定することも一応可能である。なお、製造の容易化の観点からすると、上記実施形態のように背側に固定する構成のほうが有利である。
【0040】
・上記実施形態では、第2フック構成部材31が線材からなるものであったが、線材に限定されることはなく、例えば板状などであってもよい。また、第2フック構成部材31は金属製でなくてもよく、金属以外の材料(例えば樹脂など)からなるものであってもよい。
【0041】
・上記実施形態では、ルアー用フック11をルアー15の腹部16における1箇所に設けたが、例えば腹部16における2箇所にフックアイ17が2つあるような場合には、各々にルアー用フック11を設けてもよい。その際、第2フック構成部材31の形状や大きさは等しくてもよいが、異なっていてもよい。
【0042】
・上記実施形態では、第1フック構成部材21及び第2フック構成部材31が共通の材料(即ち同じ金属種かつ同じ太さの金属線材)を用いて形成されていたが、これに限定されない。例えば、第1フック構成部材21及び第2フック構成部材31を異なる金属種の金属線材で形成したり、異なる太さの金属線材で形成したりすることができる。なお、製造コストの低減を図るうえでは、上記実施形態のように共通の材料を用いて形成することが有利である。
【符号の説明】
【0043】
11、11A、11B、11C…ルアー用フック
15…釣り用ルアー
16…腹部
17…フックアイ
21…第1フック構成部材
23…軸
26…針先
31、31A、31B…第2フック構成部材
32…端部
33…凸状曲部
41…被覆体
L1…直線
P1…交点
【手続補正書】
【提出日】2021-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚の形状をしたルアーの腹部に接離可能な状態で、前記腹部の少なくとも1箇所に形成されたフックアイに取り付けられるルアー用フックであって、
略J字状をなす金属線材からなり、チモト、軸及び針先を有する第1フック構成部材と、
前記第1フック構成部材よりも短かくて略く字状または略円弧状に曲げ加工された金属線材からなり、その両方の端部が非尖鋭状に形成された第2フック構成部材と
を備えるとともに、
前記第2フック構成部材の長さは、前記第1フック構成部材の高さ方向の寸法の1/3~1/2であり、かつ適用する前記ルアーの横幅寸法よりも短く、
第2フック構成部材は、前記第1フック構成部材を前記針先のある前側から見たときに、上下方向に延びる前記軸と交差して左右方向に延びた状態となるように、前記針先を始点として前記軸に直交する直線を引いたときの前記軸との交点よりも下側の位置に、固定されているとともに、
前記第2フック構成部材における凸状曲部は、前記軸の後側に固定され、
前記第2フック構成部材において前記凸状曲部の反対側に存在する凹状曲部は、適用する前記ルアーの前記腹部に接離可能であり、かつ当該ルアーの前記腹部の表面の曲面形状に追従しうる形状となっている
ことを特徴とするルアー用フック。
【請求項2】
前記軸の横断面において前記軸を基準とする前記針先の方向を0°と定義したとき、前記第2フック構成部材の両方の端部が、それぞれ前記軸を基準とする±90°~±150°の範囲の方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載のルアー用フック。
【請求項3】
前記第2フック構成部材の両方の端部が、それぞれ前記軸を基準とする±100°~±130°の範囲の方向を向いていることを特徴とする請求項2に記載のルアー用フック。
【請求項4】
前記第2フック構成部材の少なくとも両方の端部は、樹脂材またはゴム材からなる被覆体で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のルアー用フック。
【請求項5】
魚の形状をしたルアーの腹部の少なくとも1箇所に形成されたフックアイに、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のルアー用フックを取り付けた釣り用ルアー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するために、手段1に記載の発明は、魚の形状をしたルアーの腹部に接離可能な状態で、前記腹部の少なくとも1箇所に形成されたフックアイに取り付けられるルアー用フックであって、略J字状をなす金属線材からなり、チモト、軸及び針先を有する第1フック構成部材と、前記第1フック構成部材よりも短かくて略く字状または略円弧状に曲げ加工された金属線材からなり、その両方の端部が非尖鋭状に形成された第2フック構成部材とを備えるとともに、前記第2フック構成部材の長さは、前記第1フック構成部材の高さ方向の寸法の1/3~1/2であり、かつ適用する前記ルアーの横幅寸法よりも短く、第2フック構成部材は、前記第1フック構成部材を前記針先のある前側から見たときに、上下方向に延びる前記軸と交差して左右方向に延びた状態となるように、前記針先を始点として前記軸に直交する直線を引いたときの前記軸との交点よりも下側の位置に、固定されているとともに、前記第2フック構成部材における凸状曲部は、前記軸の後側に固定され、前記第2フック構成部材において前記凸状曲部の反対側に存在する凹状曲部は、適用する前記ルアーの前記腹部に接離可能であり、かつ当該ルアーの前記腹部の表面の曲面形状に追従しうる形状となっていることを特徴とするルアー用フックをその要旨とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
従って、手段1に記載の発明によると、ルアー腹部におけるフックアイに対し、第1フック構成部材のチモト側を取り付けて使用した場合において、第1フック構成部材の針先に魚が触れたときに、第2フック構成部材がルアー腹部に当接して保持される。その結果、水中にてフック全体が位置ずれしにくくなり、針掛かりも向上する。また、本発明ではルアー側にフック保持のための構成を追加する必要がないため、様々な種類のルアーに適用することができ、汎用性に優れている。
また、前記第2フック構成部材は、略く字状または略円弧状に曲げ加工された金属線材であり、前記第2フック構成部材における凸状曲部が、前記軸の外側に固定されている。つまり、第2フック構成部材における凸状曲部の反対側には好適な凹状曲部が存在しているので、その凹状曲部がルアーの腹部に当接したときに、いっそう横滑りしにくい状態となる。また、このように曲げ加工された第2フック構成部材は、ルアー腹部表面の曲面形状に追従しやすいものとなる。よって、第2フック構成部材がより安定した状態で保持される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
手段4に記載の発明は、手段1乃至3のいずれか1項において、前記第2フック構成部材の少なくとも両方の端部は、樹脂材またはゴム材からなる被覆体で被覆されていることをその要旨とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
従って、手段4に記載の発明によると、比較的軟質な樹脂材またはゴム材からなる被覆体を介して、第2フック構成部材がルアー腹部に接触する。これにより滑り止めが図られる結果、第2フック構成部材がより安定した状態で保持される。また、ルアーと第2フック構成部材との当接による衝突音が軽減されるため、このような衝突音を嫌う魚の釣りに適したものとなる。さらに、第2フック構成部材との当接によるルアーの傷付きも回避される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
手段5に記載の発明は、魚の形状をしたルアーの腹部の少なくとも1箇所に形成されたフックアイに、手段1乃至4のいずれか1項に記載のルアー用フックを取り付けた釣り用ルアーをその要旨とする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
以上詳述したように、請求項1~5に記載の発明によると、ルアー側の構成追加を伴うことなく、水中でフックが位置ずれしにくくて針掛かりがよいルアー用フック及びそれを備えた釣り用ルアーを提供することができる。