(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146175
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20220928BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B41J2/14 607
B41J2/14 603
B41J2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047004
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】神▲崎▼ 章太郎
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 啓太
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056KB15
2C056KB16
2C057AG29
2C057AG33
(57)【要約】
【課題】ノズルの端部の増粘インクを確実に除去する。
【解決手段】供給マニホールドからインクが供給され、供給されたインクの一部を帰還マニホールドに戻す複数の個別流路を備える。複数の個別流路は、それぞれ、圧力室と、インクを吐出するノズル21と、圧力室とノズル21とを繋ぐ接続流路23と、帰還マニホールドに繋がる流出流路25と、を有する。接続流路23は、途中にノズル21が接続された第1流路23aと、走査方向に関してノズル21と離隔しており圧力室22と第1流路23aとを繋ぐ第2流路23bとからなる。流出流路25は、走査方向に関してノズル21を挟んで第2流路23bとは反対側において第1流路23aに接続されている。第1流路23aは、走査方向と直交する搬送方向の一方側に膨らむように曲がっており、第1流路23a内を流れるインクの流れ方向が搬送方向の一方側に膨らむように曲がる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個別流路と、
前記複数の個別流路に共通して設けられており、前記複数の個別流路に液体を供給する第1共通液室と、
前記複数の個別流路に共通して設けられており、前記複数の個別流路からの液体が流れ込む第2共通液室と、を備えており、
前記複数の個別流路は、それぞれ、
圧力室と、
液体を吐出するノズルと、
途中に前記ノズルが接続された第1流路と、
前記ノズルが開口するノズル面に沿う第1方向に関して前記ノズルと離隔しており、前記圧力室と前記第1流路とを繋ぐ第2流路と、
前記第1方向に関して前記ノズルを挟んで前記第2流路とは反対側において前記第1流路に接続された第3流路と、を有しており、
前記第1流路は、前記ノズル面に沿い且つ前記第1方向と直交する第2方向の一方側に膨らむように曲がっており、前記第1流路内を流れる液体の流れ方向が前記第2方向の一方側に膨らむように曲がることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第1流路は、前記ノズル面と平行な面内で湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1流路は、前記ノズル面と平行な面内で折れ曲がっていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記ノズルは、前記第2方向に関して前記第1流路の中央に接続されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記第2流路は、その伸延方向が前記ノズルの伸延方向と平行であり、且つ、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に関して前記第1流路を挟んで前記ノズルとは反対側に位置しており、
前記ノズルは、その伸延方向から視て前記第2流路と重ならない位置に位置していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第2方向に沿って並ぶ複数の前記ノズルにより構成されるノズル列が、前記第1方向に複数設けられており、
前記ノズル列に含まれる各前記ノズルが接続された前記第1流路の曲がり方向は、前記ノズル列間で同じであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記第3流路は、液体の流動方向と直交する面での断面積が前記第1流路よりも小さいことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第3流路は、前記第1方向に沿って延びており、
前記第1方向に沿って延びる仮想直線であって、前記第1流路を画定する壁面において前記第3流路を画定する壁面における前記第2方向の前記他方側の壁面が接続されている接続箇所を通る仮想直線は、前記仮想直線上における前記第1流路の両端の位置以外の位置で前記第1流路を画定する壁面と交わらないことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記第1流路の曲げ角度は、90°以上であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記ノズルは、前記第1方向及び前記第2方向の両方と直交する第3方向から視て、前記第1流路の曲がり位置よりも前記第3流路側に位置しており、
前記第2流路は、前記第3方向から視て、前記第1流路の曲がり位置を挟んで前記ノズルと反対側に位置していることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの一例として、特許文献1には、ノズルからインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドが記載されている。特許文献1のインクジェット式記録ヘッドは、複数のノズルにそれぞれ連通する圧力室を有する個別流路と、複数の個別流路に共通して設けられており、複数の個別流路にインクを供給する第1共通液室と、を有している。そして、圧電アクチュエータにより圧力室内のインクに圧力変化を生じさせることで、ノズルからインク滴を吐出する。
【0003】
また、特許文献1のインクジェット式記録ヘッドは、複数の個別流路に共通して設けられており、複数の個別流路からのインクが流れ込む第2共通液室を有している。そして、個別流路を介して第1共通液室から第2共通液室にインクを送り、ヘッド内のインクを循環させることができる。
【0004】
個別流路は、ノズルが途中に配置され、ノズル面の面内方向である第1方向に延設された第1流路と、圧力室と第1流路とを繋ぐ第2流路と、第1方向に関してノズルを挟んで第2流路とは反対側において第1流路に接続された第3流路とを有している。ヘッド内で循環するインクにより、第1流路内にはノズル面の面内方向である第1方向に沿うインクの流れが生じる。このインクの流れによって、ノズルから侵入した気泡やノズルによって乾燥した増粘インクを除去し、個別流路から第2共通液室側に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のインクジェット式記録ヘッドにおいては、ノズルが途中に配置された第1流路は、第1方向に沿って直線状に延設されている。したがって、第1流路内に生じるインクの流れは、第1方向に沿う直線状となる。このとき、インクの流速は、第1流路の幅方向の中央部において最も大きく、幅方向の端部側ほど小さくなる。よって、ノズルの端部の増粘インクを十分に除去することができない。
【0007】
本発明の目的は、ノズルの端部の増粘インクを確実に除去することができる液体吐出ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体吐出ヘッドは、複数の個別流路と、前記複数の個別流路に共通して設けられており、前記複数の個別流路に液体を供給する第1共通液室と、前記複数の個別流路に共通して設けられており、前記複数の個別流路からの液体が流れ込む第2共通液室と、を備えている。前記複数の個別流路は、それぞれ、圧力室と、液体を吐出するノズルと、途中に前記ノズルが接続された第1流路と、前記ノズルが開口するノズル面に沿う第1方向に関して前記ノズルと離隔しており、前記圧力室と前記第1流路とを繋ぐ第2流路と、前記第1方向に関して前記ノズルを挟んで前記第2流路とは反対側において前記第1流路に接続された第3流路と、を有している。前記第1流路は、前記ノズル面に沿い且つ前記第1方向と直交する第2方向の一方側に膨らむように曲がっており、前記第1流路内を流れる液体の流れ方向が前記第2方向の一方側に膨らむように曲がる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体吐出ヘッドによると、第1流路内の液体の流れ方向が第2方向の一方側に膨らむように曲がるので、第1流路内の液体の流れ方向が直線状である場合に比べて、第1流路における第2方向の一方側の端部の液体の流速を高めることができる。したがって、第1流路に接続されたノズルの端部の増粘したインクを確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドを備えたプリンタの平面図である。
【
図2】
図1に示すインクジェットヘッドの平面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿ったインクジェットヘッドの断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線に沿ったインクジェットヘッドの断面図である。
【
図5】
図3に示す接続流路の形状を説明するための図である。
【
図6】
図3に示す接続流路の第1流路が形成されたプレートの平面図である。
【
図7】本発明の第1の変形例にかかる接続流路を示す図である。
【
図8】本発明の第2の変形例にかかる接続流路を示す図である。
【
図9】本発明の第3の変形例にかかる接続流路を示す図である。
【
図10】本発明の第4の変形例にかかる接続流路の第1流路が形成されたプレートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な一実施形態について説明する。
【0012】
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、本実施形態にかかるプリンタ100は、インクジェットヘッド1(本発明の「液体吐出ヘッド」)、キャリッジ2、ガイドレール3a、3b、プラテン4、搬送ローラ5a、5b及びインクタンク6を備えている。
【0013】
キャリッジ2は、水平方向に沿う走査方向(
図1中左右方向)に延びた2本のガイドレール3a、3bに支持され、ガイドレール3a、3bに沿って走査方向に移動する。インクジェットヘッド1は、キャリッジ2に搭載され、キャリッジ2とともに走査方向に移動する。以下の説明においては、走査方向のうち
図1の右方を「一方」とし、
図1の左方を「他方」とする。
【0014】
インクジェットヘッド1には、インクタンク6から図示しない管を介してブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクが供給される。インクジェットヘッド1は、その下面であるノズル面11y(
図3及び
図4参照)に形成された複数のノズル21からインクを吐出する。
【0015】
複数のノズル21は、平面視で走査方向と直交する搬送方向(
図1中下方から上方に向かう方向)に沿ったノズル列21aを形成している。インクジェットヘッド1は、走査方向に並んだ4列のノズル列21aを有する。複数のノズル21からは、
図1において走査方向の最も右方に位置するノズル列21aを構成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。なお、インクジェットヘッド1については後ほど詳細に説明する。
【0016】
プラテン4は、インクジェットヘッド1の下面であるノズル面11yと対向して配置され、走査方向に記録用紙Pの全長にわたって延びている。プラテン4は、記録用紙Pを下方から支持する。搬送ローラ5a、5bは、搬送方向においてキャリッジ2よりも上流側及び下流側にそれぞれ配置され、記録用紙Pを搬送方向に搬送する。
【0017】
プリンタ100では、搬送ローラ5a、5bによって、記録用紙Pを搬送方向に所定距離ずつ搬送させる搬送処理と、キャリッジ2を走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド1の複数のノズル21からインクを吐出させる走査処理とを交互に行うことで、記録用紙Pに印刷を行う。すなわち、プリンタ100は、シリアル式である。なお、以下の説明においては、走査方向と搬送方向との両方に直交する方向を上下方向とする。
【0018】
<インクジェットヘッド1>
次に、
図2~
図4を参照しつつ、インクジェットヘッド1の詳細な構成について説明する。なお、走査方向が本発明の「第1方向」に相当し、搬送方向が本発明の「第2方向」に相当し、上下方向が本発明の「第3方向」に相当する。
図2に示すように、インクジェットヘッド1は、上面視で搬送方向に長尺な矩形形状を有している。インクジェットヘッド1は、流路ユニット11及び圧電アクチュエータ12などを備えている。
【0019】
流路ユニット11は、
図3及び
図4に示すように、上下方向に積層されかつ互いに接着された11枚のプレート11a~11kで構成されている。流路ユニット11内には、複数の個別流路20、供給マニホールド31(本発明の「第1共通液室」)、帰還マニホールド32(本発明の「第2共通液室」)及び連結流路33が形成されている。なお、
図2においては、個別流路20の図示を省略している。各プレート11a~11kには、これら個別流路20、供給マニホールド31、帰還マニホールド32及び連結流路33を構成する貫通孔及び凹部が形成されている。
【0020】
図2に示すように、供給マニホールド31及び帰還マニホールド32は4つずつ形成されている。供給マニホールド31及び帰還マニホールド32は、いずれも搬送方向に沿って延びている。4つの供給マニホールド31は、走査方向に等間隔で並んでいる。4つの帰還マニホールド32についても、走査方向に等間隔で並んでいる。
図3及び
図4に示すように、帰還マニホールド32は、供給マニホールド31の下方に位置している。帰還マニホールド32は、各供給マニホールド31と上下方向にそれぞれ重なっている。4つの供給マニホールド31及び4つの帰還マニホールド32には、それぞれブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが流れる。
【0021】
図4に示すように、供給マニホールド31における搬送方向の上流側の端部と帰還マニホールド32における搬送方向の上流側の端部とは、連結流路33により連結されている。
【0022】
供給マニホールド31は、搬送方向の下流側の端部に設けられた供給口31aを介してインクタンク6に連通している。また、帰還マニホールド32は、搬送方向の下流側の端部に設けられた帰還口32aを介してインクタンク6に連通している。供給口31a及び帰還口32aは、流路ユニット11の上面11xに開口している。
【0023】
複数の個別流路20は、
図2に示すように、ノズル21をそれぞれ有している。上下に並ぶ一対の供給マニホールド31及び帰還マニホールド32は、1つのノズル列21a(
図1参照)に含まれる複数のノズル21をそれぞれ有する複数の個別流路20に共通して設けられる。
図3に示すように、個別流路20は、走査方向に関して該個別流路20が接続されている供給マニホールド31及び帰還マニホールド32の他方側に位置している。
【0024】
インクタンク6内のインクは、図示しないポンプにより、供給口31aから供給マニホールド31に送り込まれる。供給マニホールド31に送り込まれたインクは、供給マニホールド31内を搬送方向の下流側から上流側に向かって移動しつつ、各個別流路20に供給される(
図3参照)。各個別流路20から流出したインクは、帰還マニホールド32に流入する。また、供給マニホールド31における搬送方向の上流側の端部に到達したインクは、連結流路33を通って帰還マニホールド32に流入する。帰還マニホールド32に流入したインクは、帰還マニホールド32内を搬送方向の上流側から下流側に向かって移動し、帰還口32aを介してインクタンク6に戻される。
【0025】
図3及び
図4に示すように、供給マニホールド31は、プレート11cに形成された下方が開放された凹部と、プレート11d及びプレート11eに形成された貫通孔とで構成されている。帰還マニホールド32は、プレート11gに形成された下方が開放された凹部と、プレート11h及びプレート11iに形成された貫通孔とで構成されている。
【0026】
上下方向において供給マニホールド31と帰還マニホールド32との間には、ダンパ室30が設けられている。ダンパ室30は、プレート11fに形成された下方が開放された凹部で構成されている。プレート11fにおける凹部の底部は、供給マニホールド31のダンパ膜31dとして機能する。プレート11gにおける帰還マニホールド32を構成する凹部の底部は、帰還マニホールド32のダンパ膜32dとして機能する。
【0027】
各個別流路20は、
図3に示すように、ノズル21と、圧力室22と、第1流路23a及び第2流路23bからなる接続流路23と、流入流路24と、流出流路25(本発明の「第3流路」)とを含む。
【0028】
ノズル21は、プレート11kに形成された貫通孔で構成され、流路ユニット11の下面であるノズル面11yに開口している。すなわち、ノズル21は、上下方向に沿って伸延している。
【0029】
圧力室22は、プレート11aに形成された貫通孔で構成され、流路ユニット11の上面11xに開口している。圧力室22は、走査方向の一方側の端部に流入流路24が接続されており、走査方向の他方側の端部に接続流路23が接続されている。
【0030】
接続流路23は、ノズル21と圧力室22とを互いに接続している。接続流路23の第1流路23aは、プレート11jに形成された貫通孔で構成されている。第1流路23aは、上面視でノズル21と重なっている。すなわち、第1流路23aは、途中にノズル21が接続されている。接続流路23の第2流路23bは、プレート11b~11iに形成された貫通孔で構成され、上下方向に沿って伸延している。第2流路23bは、走査方向に関してノズル21と離隔しており圧力室22と第1流路23aとを繋いでいる。第2流路23bは、上下方向に関して第1流路23aを挟んでノズル21とは反対側に位置している。接続流路23の詳細は、後述する。
【0031】
流入流路24は、供給マニホールド31と圧力室22とを互いに接続している。流入流路24は、プレート11bに形成された下方に開放された凹部及び該凹部における走査方向の他方側の端部に位置する貫通孔と、プレート11cに形成された貫通孔とで構成されている。より詳細には、流入流路24は、プレート11bに形成された貫通孔により圧力室22に接続されている。また、流入流路24は、プレート11cに形成された供給マニホールド31を構成する凹部の底部に形成された貫通孔により、供給マニホールド31に接続されている。流入流路24は、走査方向(インクの流動方向)と直交する面での断面積が圧力室22よりも小さく、絞りとして機能する。
【0032】
流出流路25は、接続流路23の第1流路23aと帰還マニホールド32とを互いに接続している。流出流路25は、走査方向に関してノズル21を挟んで第2流路23bとは反対側において第1流路23aに接続されている。流出流路25は、プレート11jに形成された下方に開放された凹部及び該凹部における走査方向の一方側の端部に位置する貫通孔で構成されている。流出流路25を構成するプレート11jの貫通孔は、上下方向に関してプレート11iに形成された帰還マニホールド32を構成する貫通孔と重なっている。流出流路25を構成するプレート11jの凹部における走査方向の他方側の端部は、接続流路23の第1流路23aを構成する貫通孔に繋がっている。流出流路25は、インクの流動方向と直交する面での断面積が接続流路23の第1流路23aよりも小さく、絞りとして機能する。
【0033】
供給マニホールド31から各個別流路20に供給されたインクは、流入流路24を通って圧力室22に流入し、圧力室22内を略水平に移動して、接続流路23に流入する。接続流路23に流入したインクは、第2流路23bにおいて下方に移動した後、水平面内に広がる第1流路23aに流れ込む。第1流路23aに流れ込んだインクは、一部がノズル21から吐出され、残りが流出流路25を通って帰還マニホールド32に流入する。
【0034】
このようにインクタンク6と流路ユニット11との間でインクを循環させることで、流路ユニット11に形成された供給マニホールド31及び帰還マニホールド32、さらには個別流路20における、エアの排出やインクの増粘防止が実現される。また、インクが沈降成分(沈降が生じ得る成分。顔料等)を含む場合、当該成分が攪拌されて沈降が防止される。
【0035】
圧電アクチュエータ12は、
図3及び
図4に示すように、下から順に、振動板12a、共通電極12b、圧電層12c及び複数の個別電極12dを含む。
【0036】
振動板12aは、流路ユニット11の上面11xに配置されている。振動板12aの上面における複数の圧力室22と対向する領域には、下方から順に積層された共通電極12b、圧電層12c及び個別電極12dが配置されている。振動板12a、共通電極12b及び圧電層12cは、複数の圧力室22に跨って配置されている。個別電極12dは、圧力室22毎に設けられており、上面視で各圧力室22と重複している。
【0037】
共通電極12b及び複数の個別電極12dは、図示しない配線部材を介して図示しないドライバICに接続されている。ドライバICは、共通電極12bの電位をグランド電位に維持する一方、個別電極12dの電位を変化させる。これにより、振動板12a及び圧電層12cにおいて個別電極12dと圧力室22とで挟まれた部分(アクチュエータ12x)が、圧力室22に向けて凸となるように変形する。この変形によって、圧力室22の容積が小さくなって圧力室22内のインクの圧力が上昇し、圧力室22に連通するノズル21からインクが吐出される。すなわち、圧電アクチュエータ12は、圧力室22のそれぞれに対応する複数のアクチュエータ12xを有する。
【0038】
<接続流路23>
次に、
図5及び
図6をさらに参照しつつ、接続流路23についてより詳細に説明する。なお、
図6は、接続流路23の第1流路23aが形成されたプレート11jの平面図であるが、ノズル21及び接続流路23の第2流路23bを破線で示している。
【0039】
図5に示すように、接続流路23の第1流路23aは、その走査方向に関する一方側の端部に流出流路25が接続されている。第1流路23aは、水平な面内において搬送方向の下流側に膨らむように湾曲している。
【0040】
なお、「搬送方向の下流側に膨らむ」とは、第1流路23aにおける走査方向に関して流出流路25が接続されている側とは反対側の端部(他方側の端部)を基準とし、基準となる他方側の端部よりも搬送方向の下流側に張り出している部分があることを意味する。また、第1流路23aが、その他方側の端部に対して張り出している方向を、「第1流路の曲がり方向」とする。すなわち、本実施形態においては、第1流路の曲がり方向は、搬送方向の下流側である。
【0041】
ここで、平面視で接続流路23における第1流路23aの周縁上の異なる2つの点であって、該2点を結ぶ線分が最も長くなる2つの点を点a1、a2とする。また、平面視で点a1、a2を通る仮想直線La1と平行な方向を長手方向とし、長手方向と直交する方向を短手方向とする。本実施形態においては、長手方向は走査方向と平行な方向であり、短手方向は搬送方向と平行な方向である。第1流路23aの周縁は、いずれも2つの点a1、a2を結ぶ第1部分23a1と第2部分23a2とに分けることができる。
図5に示すように、第1部分23a1は短手方向に関して仮想直線La1の一方側に位置しており、第2部分23a2は短手方向に関して仮想直線La1の他方側に位置している。
【0042】
第1流路23aの周縁の第1部分23a1は、全体として短手方向の一方側に突出する凸形状を有している。凸形状の第1部分23a1の頂点を点a3とする。第1流路23aの周縁の第2部分23a2は、短手方向の他方側に突出する2つの凸部の間に、短手方向の一方側に突出する凸部が位置する形状となっている。この第2部分23a2の短手方向の他方側に突出する2つの凸部の頂点をそれぞれ点a4、a5とし、第2部分23a2の短手方向の一方側に突出する凸部の頂点を点a6とする。この時、点a3及び点a6を通る仮想直線La2の位置を、第1流路23aの曲がり位置とする。第1流路23aは、仮想直線La2に関して対称な形状を有している。
【0043】
第1流路23aを画定する壁面において、流出流路25を画定する壁面における搬送方向の上流側の壁面25aが接続されている接続箇所を点a7とする。また、走査方向に沿って延び、且つ、点a7を通る直線を仮想直線La3とする。このとき、仮想直線La3は、仮想直線La3上における第1流路23aの両端の位置(
図5中点a7及び点a8で示す位置)以外の位置で第1流路23aを画定する壁面と交わらない。
【0044】
上面視で、第1流路23aの周縁の第1部分23a1における点a1及び点a3の長手方向に関する中央位置での接線を仮想直線La4とする。また、上面視で、第1流路23aの周縁の第1部分23a1における点a2及び点a3の長手方向に関する中央位置での接線を仮想直線La5とする。なお、仮想直線La4及び仮想直線La5は、いずれも互いの交点を端点とする半直線である。このとき、仮想直線La4及び仮想直線La5のなす角度は、第1流路23aの1つ目の曲げ角度θa1である。曲げ角度θa1は、90°以上である。
【0045】
上面視で、第1流路23aの周縁の第2部分23a2における点a4及び点a6の長手方向に関する中央位置での接線を仮想直線La6とする。また、上面視で、第1流路23aの周縁の第2部分23a2における点a5及び点a6の長手方向に関する中央位置での接線を仮想直線La7とする。なお、仮想直線La6及び仮想直線La7は、いずれも互いの交点を端点とする半直線である。このとき、仮想直線La6及び仮想直線La7のなす角度は、第1流路23aの2つ目の曲げ角度θa2である。曲げ角度θa2は、90°以上である。
【0046】
図5に示すように、ノズル21は、第1流路23aにおける搬送方向の中央に接続されている。ノズル21は、上面視で接続流路23の第2流路23bと重ならない位置に位置している。ノズル21は、上面視で第1流路23aの曲がり位置(仮想直線La2の位置)よりも流出流路25側に位置している。接続流路23の第2流路23bは、上面視で第1流路23aの曲がり位置(仮想直線La2の位置)を挟んでノズル21とは反対側に位置している。
【0047】
上述のように、第1流路23aが搬送方向の下流側に膨らむように湾曲していることで、
図5において一点鎖線の矢印で示すように、第2流路23bから第1流路23aに流れ込み流出流路25に向かうインクの流れ方向は、搬送方向の下流側に膨らむように曲がる。これにより、第1流路23a内のインクの流速は、搬送方向の下流側ほど速くなる。
【0048】
図6に示すように、プレート11jには、接続流路23の複数の第1流路23aが形成されている。1つのノズル列21aに含まれる複数のノズル21がそれぞれ接続された複数の第1流路23aは、搬送方向に沿って一列に並んでいる。一列に並ぶ複数の第1流路23aの曲がり方向は同じ方向(搬送方向の下流側)である。また、ノズル列21aに含まれる各ノズル21が接続された第1流路23aの曲がり方向は、ノズル列21a間で同じ方向(搬送方向の下流側)である。
【0049】
<実施形態の特徴>
以上のように、上述の実施形態のインクジェットヘッド1は、供給マニホールド31からインクが供給され、供給されたインクの一部を帰還マニホールド32に戻す複数の個別流路20を備えている。複数の個別流路20は、それぞれ、圧力室22と、インクを吐出するノズル21と、圧力室22とノズル21とを繋ぐ接続流路23と、帰還マニホールド32に繋がった流出流路25と、を有している。接続流路23は、途中にノズル21が接続された第1流路23aと、走査方向に関してノズル21と離隔しており圧力室22と第1流路23aとを繋ぐ第2流路23bとからなる。流出流路25は、走査方向に関してノズル21を挟んで第2流路23bとは反対側において第1流路23aに接続されている。第1流路23aは、走査方向と直交する搬送方向の一方側(下流側)に膨らむように曲がっており、第1流路23a内を流れるインクの流れ方向が搬送方向の一方側(下流側)に膨らむように曲がる。
【0050】
上述の構成によると、第1流路23a内のインクの流れ方向が搬送方向の一方側に膨らむように曲がるので、第1流路23a内の液体の流れ方向が直線状である場合に比べて、第1流路23aにおける搬送方向の一方側の端部のインクの流速を高めることができる。したがって、第1流路23aに接続されたノズル21の端部の増粘したインクを確実に除去することができる。
【0051】
また、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、第1流路23aは、水平面内で湾曲している。したがって、第1流路23a内のインクの流れを滑らかにし、乱流が生じにくくすることができる。
【0052】
さらに、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、ノズル21は、搬送方向に関して第1流路23aの中央に接続されている。したがって、ノズル21の端部の増粘したインクをより確実に除去することができる。
【0053】
加えて、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、ノズル21及び第2流路23bはいずれも上下方向に伸延している。また、第2流路23bは、上下方向に関して第1流路23aを挟んでノズル21とは反対側に位置している。そして、ノズル21は、上下方向から視て第2流路23bと重ならない位置に位置している。したがって、ノズル21から第1流路23a内に侵入したエアが、第2流路23bから第1流路23aへのインクの流れ(上下方向に沿う流れ)によってノズル21内に押し込まれるのを防ぐことができる。
【0054】
さらに、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、搬送方向に沿って並ぶ複数のノズル21により構成されるノズル列21aが、走査方向に複数設けられており、ノズル列21aに含まれる各ノズル21が接続された第1流路23aの曲がり方向は、ノズル列21a間で同じである。したがって、ノズル列21aに含まれる各ノズル21に接続された第1流路23a内を流れるインクの流れ方向が、ノズル列21a間で同じとなるので、ノズル列21aに含まれる各ノズル21から吐出されるインクの飛翔曲がりの向きをノズル列21a間で揃えることができる。
【0055】
また、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、流出流路25は、インクの流動方向と直交する面での断面積が第1流路23aよりも小さい。したがって、圧電アクチュエータ12の駆動によってインクを吐出する圧力が流出流路25に逃げにくくし、ノズル21から確実にインクを吐出することができる。
【0056】
加えて、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、流出流路25は、走査方向に沿って延びている。そして、走査方向に沿って延びる仮想直線であって、第1流路23aを画定する壁面において流出流路25を画定する壁面における搬送方向の上流側の壁面25aが接続されている接続箇所(点a7)を通る仮想直線La3は、仮想直線La3上における第1流路23aの両端の位置(点a7、点a8)以外の位置で第1流路23aを画定する壁面と交わらない。
【0057】
ここで、第1流路23aにおける第2部分23a2の周縁の点a6(
図5参照)が仮想直線La3よりも搬送方向の下流側に位置している場合は、仮想直線La3は、点a7及び点a8以外で第1流路23aを画定する壁面と交わる。この場合、第1流路23aにおける走査方向に関して点a6の一方側であり、且つ、仮想直線La3よりも搬送方向の上流側の部分に、よどみ点が生じる。上述の構成では、第1流路23a内によどみ点ができにくくし、第1流路23aからエアを排出しやすくすることができる。
【0058】
また、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、第1流路23aの曲げ角度θa1、θa2は、いずれも90°以上である。第1流路23aの曲げ角度が鋭角である場合には、第1流路23aの作製が困難であり、複数の個別流路20間で第1流路23aの形状にばらつきが生じる。上述の構成では、複数の個別流路20間で第1流路23aの形状にばらつきが生じにくくすることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
上述の実施形態においては、接続流路23の第1流路23aは、長手方向が走査方向に平行な方向であり、短手方向が搬送方向に平行な方向である場合について説明したが、これには限定されない。ここで、
図7に、上述の実施形態の第1の変形例にかかる接続流路123の第1流路123aを示す。
図7に示すように、本変形例にかかる第1流路123aは、上述の実施形態の第1流路23aと同一形状であるが、その長手方向が走査方向に対して傾斜しており、短手方向が搬送方向に対して傾斜している。
【0061】
第1流路123aは、水平な面内において搬送方向の下流側に膨らむように湾曲している。すなわち、第1流路123aは、第1流路123aにおける走査方向に関して流出流路25が接続されている側とは反対側の端部(他方側の端部)を基準とし、基準となる他方側の端部よりも搬送方向の下流側に張り出している部分がある。そして、
図7において一点鎖線の矢印で示すように、第2流路123bから第1流路123aに流れ込み流出流路25に向かうインクの流れ方向は、搬送方向の下流側に膨らむように曲がる。
【0062】
さらに、上述の実施形態においては、第1流路23aが水平な面内で湾曲している場合について説明したが、これには限定されない。
【0063】
ここで、
図8に、上述の実施形態の第2の変形例にかかる接続流路223の第1流路223aを示す。
図8に示すように、第1流路223aは、水平な面内において折れ曲がっている。
【0064】
第1流路223aは、水平な面内において搬送方向の下流側に膨らむように折れ曲がっている。すなわち、第1流路223aは、第1流路223aにおける走査方向に関して流出流路25が接続されている側とは反対側の端部(他方側の端部)を基準とし、基準となる他方側の端部よりも搬送方向の下流側に張り出している部分がある。そして、
図8において一点鎖線の矢印で示すように、第2流路223bから第1流路223aに流れ込み流出流路25に向かうインクの流れ方向は、搬送方向の下流側に膨らむように曲がる。
【0065】
ここで、平面視で接続流路223における第1流路223aの周縁上の異なる2つの点であって、該2点を結ぶ線分が最も長くなる2つの点を点b1、b2とする。また、平面視で点b1、b2を通る仮想直線Lb1と平行な方向を長手方向とし、長手方向と直交する方向を短手方向とする。
【0066】
本変形例においては、長手方向は走査方向に対して傾斜しており、短手方向は搬送方向に対して傾斜している。第1流路223aの周縁は、いずれも2つの点b1、b2を結ぶ第1部分223a1と第2部分223a2とに分けることができる。
図8に示すように、第1部分223a1は短手方向に関して仮想直線Lb1の一方側に位置しており、第2部分223a2は短手方向に関して仮想直線Lb1の他方側に位置している。
【0067】
第1流路223aの周縁の第1部分23a1は、点b3、点b4、点b5の3か所で屈曲している。第1流路223aの周縁の第2部分223a2については、点b6、点b7、点b8の3か所で屈曲している。点b3~点b8の6つの屈曲位置での曲げ角度θb1、θb2、θb3、θb4、θb5及びθb6は、いずれも90°以上である。第1部分23a1の3つの屈曲位置のうち真ん中の屈曲位置である点b4と、第2部分223a2の3つの屈曲位置のうち真ん中の屈曲位置である点b7とを通る仮想直線Lb2の位置を、第1流路323aの曲がり位置とする。
【0068】
ノズル21は、上面視で第1流路223aの曲がり位置(仮想直線Lb2の位置)よりも流出流路25側に位置している。接続流路223の第2流路223bは、上面視で第1流路223aの曲がり位置(仮想直線Lb2の位置)を挟んでノズル21と反対側に位置している。ノズル21は、第1流路223aにおける搬送方向の中央に接続されている。ノズル21は、上面視で接続流路223の第2流路223bと重ならない位置に位置している。
【0069】
第1流路223aを画定する壁面において、流出流路25を画定する壁面における搬送方向の上流側の壁面25aが接続されている接続箇所を点b9とする。また、走査方向に沿って延び、且つ、点b9を通る直線を仮想直線Lb3とする。このとき、仮想直線Lb3は、仮想直線Lb3上における第1流路223aの両端の位置(
図8中点b9及びb10で示す位置)以外の位置で第1流路223aを画定する壁面と交わらない。
【0070】
さらに、上述の実施形態の第3の変形例にかかる接続流路323の第1流路323aを
図9に示す。
図9に示すように、第1流路323aは、水平な面内において折れ曲がっている。
【0071】
第1流路323aは、水平な面内において搬送方向の下流側に膨らむように折れ曲がっている。すなわち、第1流路323aは、第1流路323aにおける走査方向に関して流出流路25が接続されている側とは反対側の端部(他方側の端部)を基準とし、基準となる他方側の端部よりも搬送方向の下流側に張り出している部分がある。そして、
図9において一点鎖線の矢印で示すように、第2流路323bから第1流路323aに流れ込み流出流路25に向かうインクの流れ方向は、搬送方向の下流側に膨らむように曲がる。
【0072】
ここで、平面視で接続流路323における第1流路323aの周縁上の異なる2つの点であって、該2点を結ぶ線分が最も長くなる2つの点を点c1、c2とする。また、平面視で点c1、c2を通る仮想直線Lc1と平行な方向を長手方向とし、長手方向と直交する方向を短手方向とする。本変形例においては、長手方向は走査方向と平行であり、短手方向は搬送方向と平行である。第1流路323aの周縁は、いずれも2つの点c1、c2を結ぶ第1部分323a1と第2部分323a2とに分けることができる。すなわち、第1部分323a1は、第2部分223a2よりも搬送方向の下流側に位置している。
【0073】
第1流路323aの周縁の第1部分323a1は、点c3で屈曲している。第1流路323aの周縁の第2部分323a2については、点c4、点c5、点c6の3か所で屈曲している。点c3~点c6の4つ屈曲位置での曲げ角度θc1、θc2、θc3、θc4は、いずれも90°以上である。第1部分323a1の屈曲位置である点c3と、第2部分323a2の3つの屈曲位置のうち真ん中の屈曲位置である点c5とを通る仮想直線Lc2の位置を、第1流路323aの曲がり位置とする。
【0074】
ノズル21は、上面視で第1流路323aの曲がり位置(仮想直線Lc2の位置)よりも流出流路25側に位置している。接続流路323の第2流路323bは、上面視で第1流路323aの曲がり位置(仮想直線Lc2の位置)を挟んでノズル21と反対側に位置している。ノズル21は、第1流路323aにおける搬送方向の中央に接続されている。ノズル21は、上面視で接続流路323の第2流路323bと重ならない位置に位置している。
【0075】
第1流路323aを画定する壁面において、流出流路25を画定する壁面における搬送方向の上流側の壁面25aが接続されている接続箇所を点c7とする。また、走査方向に沿って延び、且つ、点c7を通る直線を仮想直線Lc3とする。このとき、仮想直線Lc3は、仮想直線Lc3上における第1流路323aの両端の位置(
図9中点c7及び点c8で示す位置)以外の位置で第1流路323aを画定する壁面と交わらない。
【0076】
また、上述の実施形態においては、ノズル21が第1流路323aにおける搬送方向の中央に接続されている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、ノズル21は、第1流路323aにおける搬送方向の下流側に接続されていてもよいし、搬送方向の上流側に接続されていてもよい。
【0077】
さらに、上述の実施形態においては、ノズル21及び第2流路23bは、いずれも上下方向に伸延しており、伸延方向が平行である場合について説明したが、これには限定されない。ノズル21及び第2流路23bが異なる方向に伸延していてもよい。
【0078】
また、上述の実施形態においては、ノズル列21aに含まれる各ノズル21が接続された第1流路23aの曲がり方向が、ノズル列21a間で同じである場合について説明したが、これには限定されない。第1流路23aの曲がり方向は、ノズル列21a間で異なっていてもよい。
【0079】
加えて、上述の実施形態においては、走査方向に沿って延びる仮想直線であって、第1流路23aを画定する壁面において流出流路25を画定する壁面における搬送方向の上流側の壁面25aが接続されている接続箇所(点a7)を通る仮想直線La3は、仮想直線La3上における第1流路23aの両端の位置(点a7及び点a8)以外の位置で第1流路23aを画定する壁面と交わらない場合について説明したが、これには限定されない。仮想直線La3は、仮想直線La3上における第1流路23aの両端の位置以外の位置で第1流路23aを画定する壁面と交わっていてもよい。
【0080】
また、上述の実施形態においては、第1流路23aの曲げ角度が90°以上である場合について説明したが、第1流路23aの曲げ角度は90°未満であってもよい。
【0081】
さらに、上述の実施形態においては、ノズル21が上面視で第1流路23aの曲がり位置よりも流出流路25側に位置しており、第2流路23bが上面視で第1流路23aの曲がり位置を挟んでノズル21と反対側に位置している場合について説明したが、これには限定されない。ノズル21及び第2流路23bは、第1流路23aの曲がり位置に対して同じ側に位置していてもよい。
【0082】
加えて、上述の実施形態においては、流出流路25が、接続流路23における第1流路23aの走査方向の一方側の端部に接続されている場合について説明したが、これには限定されない。
【0083】
ここで、上述の実施形態の第4の変形例にかかる接続流路423の第1流路423aが形成されたプレート411jを
図10に示す。なお、
図10においては、ノズル21及び接続流路423の第2流路423bを破線で示している。
図10に示すように、本変形例では、ノズル列21aに含まれる各ノズル21が接続された第1流路423aに対して流出流路25が接続されている箇所は、ノズル列21a間で異なる。
【0084】
すなわち、
図10において上方に位置するノズル列21aに含まれる各ノズル21が接続された第1流路423aは、走査方向の他方側の端部に流出流路25が接続されている。一方、
図10において下方に位置するノズル列21aに含まれる各ノズル21が接続された第1流路423aは、走査方向の一方側の端部に流出流路25が接続されている。なお、本変形例においては、ノズル列21aに含まれる各ノズル21が接続された第1流路423aの曲がり方向は、ノズル列21a間で同じである。
【0085】
アクチュエータ12xは、圧電素子を用いたピエゾ方式のものに限定されず、その他の方式(例えば、発熱素子を用いたサーマル方式、静電力を用いた静電方式等)のものであってもよい。
【0086】
プリンタ100の記録形式は、シリアル式に限定されず、記録用紙Pの幅方向に長尺であり、且つ、位置が固定されたヘッドのノズルからインクを吐出するライン式であってもよい。
【0087】
ノズル21から吐出される液体は、インクに限定されず、任意の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってよい。また、吐出対象は、記録用紙Pに限定されず、例えば布、基板等であってもよい。
【0088】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出装置(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出装置)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 インクジェットヘッド
20 個別流路
21 ノズル
21a ノズル列
22 圧力室
23a 第1流路
23b 第2流路
25 流出流路(第3流路)
31 供給マニホールド(第1共通液室)
32 帰還マニホールド(第2共通液室)