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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146178
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ゴムシートの取り出し方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/24 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
B29C43/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047009
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼部 大河
【テーマコード(参考)】
4F204
【Fターム(参考)】
4F204AA45
4F204AC03
4F204AG01
4F204AJ08
4F204FA06
4F204FB02
4F204FG08
4F204FJ09
4F204FN11
4F204FN20
4F204FQ40
(57)【要約】
【課題】押し出されたゴムシートを速やかにカレンダロールから引き剥がして把持するとともに、把持したゴムシートを適切に解放することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明のゴムシートSの取り出し方法は、ゴムシートSを把持する把持機構4が有する一対の爪部20を、一対の爪部20の先端同士の間隔が第1間隔である第1開状態にする工程と、第1開状態である一対の爪部20の先端を一対のカレンダロール2a、2bの外周面に摺接させ、ゴムシートSの先端部s1を一対のカレンダロール2a、2bから引き剥がす工程と、引き剥がしたゴムシートSの先端部s1を把持機構4に把持させる工程と、把持機構4を搬出装置8の上方へ移動させる工程と、把持機構4が目標位置に到達すると、一対の爪部20を、一対の爪部20の先端同士の間隔が第1間隔よりも広い第2間隔である第2開状態にし、ゴムシートSを解放する工程と、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対のカレンダロール間の隙間から押し出されるゴムシートの取り出し方法であって、
前記ゴムシートを把持する把持機構が有する開閉可能な上下一対の爪部を、前記一対の爪部の先端同士の間隔が第1間隔である第1開状態にする工程と、
前記把持機構を移動させることで、前記第1開状態である前記一対の爪部の先端を前記一対のカレンダロールの外周面に摺接させ、前記隙間から押し出されて前記一対のカレンダロールに付着する前記ゴムシートの先端部を前記一対のカレンダロールから引き剥がす工程と、
前記一対の爪部を、前記一対の爪部の先端が閉じた閉状態にすることで、引き剥がした前記ゴムシートの先端部を前記把持機構に把持させる工程と、
前記ゴムシートの先端部を把持した前記把持機構を、前記一対のカレンダロールの後段に設けられた搬出装置の上方へ移動させる工程と、
前記把持機構が前記搬出装置上方の目標位置に到達すると、前記一対の爪部を、前記一対の爪部の先端同士の間隔が前記第1間隔よりも広い第2間隔である第2開状態にし、前記ゴムシートの先端部を解放する工程と、
を含む
ゴムシートの取り出し方法。
【請求項2】
前記ゴムシートの先端部を解放する工程は、
前記把持機構が、前記目標位置に到達すると、前記一対の爪部を前記第2開状態にする前に、前記ゴムシートを上方から前記搬出装置へ向けて押圧する押さえローラによって、前記ゴムシートを前記押さえローラと前記搬出装置との間で保持する工程をさらに含む
請求項1に記載のゴムシートの取り出し方法。
【請求項3】
前記一対のカレンダロールの半径をrとすると、前記第1間隔は0.6r以下である
請求項1又は請求項2に記載のゴムシートの取り出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレンダロール装置から押し出されるゴムシートの取り出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カレンダロール装置から押し出されるゴムシートを取り出し、カレンダロール装置の後段に設けられた搬出装置へゴムシートを案内するゴムシート取り出し装置が開示されている。
このゴムシート取り出し装置は、上下一対の爪部を有する把持装置を備える。一対の爪部は、その先端が閉じた閉脚状態、及び、その先端が互いに離間する開脚状態のいずれか一方を選択的に採ることで開閉可能とされている。一対の爪部は閉脚状態においてゴムシートを把持可能である。
【0003】
上記ゴムシート取り出し装置を用いてゴムシートを取り出すには、まず、一対の爪部を開脚状態とし、開脚状態の一対の爪部の先端を一対のカレンダロールの外周面に摺接させる。
その後、回転する一対のカレンダロール間の隙間からゴムシートが押し出される。ここで、押し出し初期のゴムシート先端部は、一対のカレンダロールのいずれか一方に付着した状態で押し出される。
【0004】
これに対して、上記ゴムシート取り出し装置では、一対の爪部の先端を回転するカレンダロールの外周面に摺接させることで、カレンダロールに付着したゴムシートの先端部を一対の爪部によって引き剥がすことができる。
【0005】
一対の爪部によってゴムシートの先端部が引き剥がされると、一対の爪部を閉脚状態とし、把持装置にゴムシートの先端部を把持させる。
その後、把持装置を搬出装置の上方へ移動させ、一対の爪部を開脚状態とすることでゴムシートの先端部を搬出装置の上方で解放する。このようにして、ゴムシートを搬出装置へ案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-52557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ゴムシートにおいてカレンダロールに付着し引き剥がされる部分が長くなると、ゴムシートの先端部が丸まったり、折り畳まれたりする可能性が高くなり、一対の爪部によってゴムシートの先端部を確実に把持することができないおそれが生じる。
このため、ゴムシートにおいてカレンダロールに付着する部分をできるだけ短くするために、カレンダロール装置から押し出されたゴムシートを、できるだけ速やかにカレンダロールから引き剥がす必要がある。
【0008】
これに対して、開脚状態の一対の爪部の先端同士の間隔を狭くすれば、一対のカレンダロールの外周面に摺接させたときの一対の爪部の位置を一対のカレンダロール間の隙間により近づけることができ、押し出されたゴムシートを速やかにカレンダロールから引き剥がすことができる。これにより、カレンダロールに付着する周方向の距離が比較的短い間にゴムシートをカレンダロールから引き剥がすことができ、ゴムシートの先端部に生じる丸まりや折り畳まりを抑制することができる。
【0009】
一方、開脚状態の一対の爪部の先端同士の間隔を狭くすると、ゴムシートの先端部を解放する際に、ゴムシートの先端部が一対の爪部に引っかかることがある。このような引っかかりが生じると、ゴムシートが解放できなかったり、解放されたゴムシートが搬出装置上で不必要に折れ曲がったりし、適切に解放できないおそれが生じる。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、押し出されたゴムシートを速やかにカレンダロールから引き剥がして把持するとともに、把持したゴムシートを適切に解放することができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
上下一対のカレンダロール間の隙間から押し出されるゴムシートの取り出し方法であって、
前記ゴムシートを把持する把持機構が有する開閉可能な上下一対の爪部を、前記一対の爪部の先端同士の間隔が第1間隔である第1開状態にする工程と、
前記把持機構を移動させることで、前記第1開状態である前記一対の爪部の先端を前記一対のカレンダロールの外周面に摺接させ、前記隙間から押し出されて前記一対のカレンダロールに付着する前記ゴムシートの先端部を前記一対のカレンダロールから引き剥がす工程と、
前記一対の爪部を、前記一対の爪部の先端が閉じた閉状態にすることで、引き剥がした前記ゴムシートの先端部を前記把持機構に把持させる工程と、
前記ゴムシートの先端部を把持した前記把持機構を、前記一対のカレンダロールの後段に設けられた搬出装置の上方へ移動させる工程と、
前記把持機構が前記搬出装置上方の目標位置に到達すると、前記一対の爪部を、前記一対の爪部の先端同士の間隔が前記第1間隔よりも広い第2間隔である第2開状態にし、前記ゴムシートの先端部を解放する工程と、
を含む。
【0012】
上記構成によれば、ゴムシートの先端部を一対のカレンダロールから引き剥がす工程における一対の爪部の先端同士の間隔を第1間隔とし、ゴムシートの先端部を解放する工程における一対の爪部の先端同士の間隔を第1間隔よりも広い第2間隔としたので、ゴムシートの先端部を解放する工程を考慮することなく、第1間隔をできるだけ狭くすることができる。
これにより、ゴムシートの先端部を一対のカレンダロールから引き剥がす工程においては、一対のカレンダロールの外周面に摺接させたときの一対の爪部の先端の位置を、一対のカレンダロール間の隙間により近づけることができ、押し出されたゴムシートを、速やかにカレンダロールから引き剥がすことができる。
また、ゴムシートの先端部を解放する工程においては、ゴムシートの先端部を一対のカレンダロールから引き剥がす工程を考慮することなく、第2間隔をできるだけ広く設定することができる。よって、ゴムシートの先端部を解放する際に、ゴムシートの先端部が一対の爪部に引っかかるのを抑制でき、ゴムシートを適切に解放することができる。
このように、上記構成によれば、押し出されたゴムシートを速やかにカレンダロールから引き剥がして把持するとともに、把持したゴムシートを適切に解放することができる。
【0013】
上記方法において、
前記ゴムシートの先端部を解放する工程は、
前記把持機構が、前記目標位置に到達すると、前記一対の爪部を前記第2開状態にする前に、前記ゴムシートを上方から前記搬出装置へ向けて押圧する押さえローラによって、前記ゴムシートを前記押さえローラと前記搬出装置との間で保持する工程をさらに含むことが好ましい。
この場合、ゴムシートの先端部を解放する前に、ゴムシートを押さえローラと搬出装置との間で保持するので、解放したゴムシートを確実に搬出装置上に載置でき、ゴムシートを搬出装置によって搬出することができる。
【0014】
上記方法において、
前記一対のカレンダロールの半径をrとすると、前記第1間隔は0.6r以下であることが好ましい。
第1間隔が0.6rよりも大きいと、一対のカレンダロールの外周面に摺接させたときの一対の爪部の先端から、一対のカレンダロール間の隙間までの距離が大きくなり、ゴムシートにおいてカレンダロールに付着する部分が長くなる。よって、引き剥がされる部分も長くなり、ゴムシートの先端部が丸まったり、折り畳まれたりする可能性が高くなる。
第1間隔を0.6r以下とすることで、一対のカレンダロールの外周面に摺接させたときの一対の爪部の先端の位置を、一対のカレンダロール間の隙間に十分に近づけることができ、ゴムシートにおいてカレンダロールに付着し引き剥がされる部分の長さを短くすることができる。この結果、ゴムシートの先端部が丸まったり、折り畳まれたりするのを効果的に抑制することができ、一対の爪部にゴムシートの先端部を確実に把持させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、押し出されたゴムシートを速やかにカレンダロールから引き剥がして把持するとともに、把持したゴムシートを適切に解放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係るゴムシート取り出し装置の一例を示す斜視図である。
図2図2は、ゴムシート取り出し装置の側面図である。
図3図3(a)は、把持機構の側面図、図3(b)は、把持機構の上面図である。
図4図4は、把持部の要部を示す図である。
図5図5は、取り出し作業の内容を示すフローチャートである。
図6図6(a)は、第1開状態である一対の爪部を一対のカレンダロールに摺接させた状態を示す図、図6(b)は、ゴムシートの先端部を把持部に把持させた状態を示す図である。
図7図7は、把持機構を目標位置まで移動させたときの取り出し装置の側面図である。
図8図8は、第2開状態の把持機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔ゴムシート取り出し装置の全体構成について〕
図1は、実施形態に係るゴムシート取り出し装置の一例を示す斜視図であり、図2は、ゴムシート取り出し装置の側面図である。
このゴムシート取り出し装置1(以下、取り出し装置1ともいう)は、カレンダロール装置2から押し出されるゴムシートを取り出す装置であり、ゴムシートSの先端部s1を把持する把持機構4と、把持機構4を移動させる移動機構6と、ゴムシートSを搬出するための搬出装置8とを備える。
【0018】
カレンダロール装置2は、上下一対のカレンダロール2a、2bを備える。一対のカレンダロール2a、2bの外径及び長手方向の寸法は同じであり、互いに平行に配置されている。一対のカレンダロール2a、2bは、中心軸回りに回転可能に設けられており、図示しない駆動機構によって駆動される。
カレンダロール2aの外周面2a1と、カレンダロール2bの外周面2b1との間には僅かな隙間Tが設けられている。カレンダロール装置2には、例えば、図2中の紙面左側に設置されたゴム押出機Gから混練ゴムが供給される。混練ゴムは、一対のカレンダロール2a、2b間の隙間Tに供給され、圧延されてゴムシートSとして押し出される。
【0019】
本実施形態では、カレンダロール装置2から押し出されたゴムシートSは、図2中、紙面左側から右側へ向かって搬出される。以下の説明では、紙面左側から右側へ向く方向を搬出方向ともいう。
図2中、矢印Yで示すカレンダロール装置2によるゴムシートSの押し出し方向は、カレンダロール装置2から搬出方向下流側へ向かって下方へ傾斜している。
【0020】
搬出装置8は、無端状のメッシュベルト8aを備えたコンベアであり、カレンダロール装置2の後段(搬出方向下流側)に設けられている。搬出装置8は、搬出方向に沿ってほぼ水平に延びている。搬出装置8は、カレンダロール装置2の近傍から次工程のラインまで延びており、メッシュベルト8aを搬出方向に沿って走行させることでゴムシートSを次工程のラインへ搬出する。
メッシュベルト8aの走行速度は、カレンダロール装置2の押し出し速度と一致するように制御される。
【0021】
移動機構6は、一対のレール12と、把持機構4を一対のレール12に沿って移動させるための駆動部14とを備えている。
一対のレール12は、搬出方向下流側へ向かって上方へ傾斜して延びている。一対のレール12は、設置面に立設された支柱13によって支持され、搬出装置8の上方に配置されている。
一対のレール12の一端部12aは、カレンダロール装置2と、搬出装置8の一端との間に位置している。把持機構4は、一対のレール12の一端部12aの把持位置するときに、ゴムシートSの先端部s1を把持する。
把持機構4は、一対のレール12に沿って、把持位置から搬出装置8の上方までの間を移動することができる。
【0022】
駆動部14は、一対のレール12それぞれの両端に設けられる一対のスプロケット(図示省略)と、一対のスプロケット間に掛け渡される無端状のチェーン(図示省略)と、チェーンを駆動するモータMとを備える。把持機構4はチェーンに固定される。
チェーンは、モータMが出力する回転力によって駆動され、一対のスプロケット間を周回する。これにより、駆動部14は、把持機構4を一対のレール12に沿って移動させる。
【0023】
把持機構4は、一対のレール12を走行する台車部16と、ゴムシートSを把持する把持部18とを備える。
図3(a)は、把持機構4の側面図、図3(b)は、把持機構4の上面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、台車部16は、金属からなる枠状のフレーム16aを有する。フレーム16aは、一対の桁部16a1と、一対の桁部16a1を繋ぐ梁部16a2とを有する。一対の桁部16a1の側面には、一対のレール12を走行するための車輪16bが設けられている。フレーム16aは、上述したように、駆動部14のチェーンに固定される。これにより、フレーム16aは、駆動部14によって一対のレール12に沿って走行する。
フレーム16aは、桁部16a1の長手方向がレール12の長手方向に沿うように走行する。
【0024】
桁部16a1の長手方向一方側の端部には、把持部18を支持する支持軸16cが設けられている。支持軸16cの軸中心は、桁部16a1の長手方向に直交する方向に平行であり、支持軸16cは、その軸中心回りに回動可能である。
把持部18は、支持軸16cに固定されており、支持軸16cとともに一体に回動する。
フレーム16aの上方には、エアシリンダ16dが設けられている。エアシリンダ16dは、フレーム16aの梁部16a2と支持軸16cとを連結しており、伸縮することで支持軸16cを回動させる。これにより、把持部18は、エアシリンダ16dの伸縮によって、支持軸16cの軸中心回りに回動する。このように、把持部18の腕部18a1の長手方向の傾きは、エアシリンダ16dによって調整可能である。
【0025】
把持部18は、金属からなる枠状のフレーム18aと、フレーム18aに固定されたエアシリンダ18bと、一対の爪部20とを備える。
フレーム18aは、一対の腕部18a1と、一対の腕部18a1を繋ぐ梁部18a2とを有する。梁部18a2は、一対の腕部18a1の長手方向に直交する幅方向に沿って延びている。
エアシリンダ18bは、本体部18b1と、本体部18b1から腕部18a1の長手方向に沿って伸縮するシリンダロッド18b2とを備える。本体部18b1は、台車部16の支持軸16cに固定されている。シリンダロッド18b2の先端は梁部18a2に固定されている。よって、エアシリンダ18bのシリンダロッド18b2を伸縮させると、把持部18は、台車部16に対して腕部18a1の長手方向に沿って移動する。このように、把持部18の台車部16に対する位置は、エアシリンダ18bによって調整可能である。
【0026】
一対の爪部20は、一対の腕部18a1の長手方向一方側の端部から突出して設けられている。一対の爪部20は、一対の腕部18a1の長手方向一方側の端部に設けられた上下一対のシャフト26に設けられている。一対のシャフト26は、幅方向に平行に延びるように設けられている。一対のシャフト26の軸中心は幅方向に平行であり、一対のシャフト26は、その軸中心回りに回動可能である。
一対の爪部20のうち、上側の爪部20は、上側のシャフト26に設けられており、下側の爪部20は、下側のシャフト26に設けられている。
【0027】
各爪部20は、矩形状に形成された爪本体22と、爪本体22とシャフト26とを繋ぐ4本のアーム24とを有する。
アーム24は、腕部18a1の長手方向に沿ってシャフト26から突出して設けられている。爪本体22はアーム24の先端に設けられている。
一対の爪部20は、一対のシャフト26によって回動可能である。よって、一対の爪部20の先端は、上下に開閉可能である。
【0028】
爪本体22の長辺は、幅方向に平行である。
爪部20は、爪本体22に設けられた先端部材22aをさらに有する。先端部材22aは、例えば、ゴムや樹脂等により形成された板状の部材である。
上側の爪部20の先端部材22aは、爪本体22の下面に設けられ、下側の爪部20の先端部材22aは、爪本体22の上面に設けられている。
先端部材22aは、爪本体22の長辺側の先端縁から僅かに突出して設けられている。先端部材22aにおいて爪本体22から突出し、爪部20の先端を構成する先端部22a1は鋭利に形成されている。
【0029】
把持部18は、さらに、一対のシャフト26に設けられた一対のピニオン28と、一対のピニオン28の間に配置されたラック30と、エアシリンダ32とを備える。
一対のピニオン28、ラック30、及びエアシリンダ32は、一対のシャフト26を回転駆動することで一対の爪部20を開閉させる機能を有する。
【0030】
図4は、把持部18の要部を示す図であり、一対の爪部20、一対のピニオン28、ラック30、及びエアシリンダ32を示している。
図4中、中心線Cは、腕部18a1の長手方向に平行かつ、一対のシャフト26の中心間の中点P0を通過する直線である。一対の爪部20は、中心線Cに対して対称となるように回動し開閉動作する。
【0031】
図4中、一対のピニオン28は、一対のシャフト26に固定されており、一対のシャフト26とともに一体に回動する。
ラック30は、上面及び下面の両方に歯が設けられており、一対のピニオン28の両方に噛み合っている。ラック30は、エアシリンダ32のシリンダロッド32aに設けられている。
エアシリンダ32は、梁部18a2に設けられており、シリンダロッド32aを一対の爪部20側へ向けて中心線Cに平行な方向に伸縮させる。
よって、エアシリンダ32は、ラック30を中心線Cに平行に進退移動させることができる。ラック30が進退移動すると、ラック30に噛み合う一対のピニオン28は、共に反対方向に同じ角度だけ回転する。一対のピニオン28が共に反対方向に同じ角度だけ回転すると、一対の爪部20は、中心線Cに対して対称に開閉動作する。
このように、一対の爪部20は、エアシリンダ32によって、中心線Cに対して対称となるように開閉動作する。
【0032】
図4では、一対の爪部20が互いに接近した閉状態である場合を示している。閉状態にある一対の爪部20は、その先端である先端部22a1がほぼ閉じられている。一対の爪本体22同士の間には、ゴムシートSを把持できる程度の隙間が設けられている。
なお、後に説明するが、一対の爪部20は、一対の爪部20の先端同士の間隔が第1間隔である第1開状態、及び、一対の爪部20の先端同士の間隔が第1間隔よりも広い第2間隔である第2開状態の2つの開状態を選択することができる。
【0033】
図1に戻って、取り出し装置1は、押さえローラ40と、押さえローラ40を進退させるエアシリンダ42とを備える。
押さえローラ40及びエアシリンダ42は、支柱13に設けられた上部架台44に設けられている。
押さえローラ40は、搬出装置8のメッシュベルト8aの上方に配置されており、カレンダロール装置2から延ばされるゴムシートSを上方から押さえてメッシュベルト8a上でゴムシートSを保持する。エアシリンダ42は、押さえローラ40を上下方向に進退させる。
【0034】
〔取り出し作業について〕
次に、カレンダロール装置2から押し出されるゴムシートSを取り出す取り出し作業について説明する。
図5は、取り出し作業の内容を示すフローチャートである。
まず、作業者は、カレンダロール装置2から押し出されるゴムシートSを把持するために把持機構4を移動させる(図5中、ステップS1)。
作業者は、図2に示すように、把持機構4を把持位置に移動させ、エアシリンダ16dを動作させることで把持機構4の把持部18の傾きを調整し、把持部18における中心線C(図4)をカレンダロール装置2によるゴムシートSの押し出し方向に一致させる。
【0035】
次いで、作業者は、一対の爪部20が第1開状態となるように把持機構4を動作させる(図5中、ステップS2)。
さらに、作業者は、カレンダロール装置2及び搬出装置8を動作させ、把持機構4の把持部18を移動させて、一対の爪部20の先端を一対のカレンダロール2a、2bの外周面2a1、2b1に摺接させる。このとき、作業者は、エアシリンダ18bを動作させることで把持部18を腕部18a1の長手方向に平行に移動させて、把持部18を一対のカレンダロール2a、2bに接近させ、第1開状態である一対の爪部20の先端を外周面2a1、2b1に摺接させる。
【0036】
図6(a)は、第1開状態である一対の爪部20を一対のカレンダロール2a、2bに摺接させた状態を示す図である。
図6(a)に示すように、一対のカレンダロール2a、2bの間から押し出されるゴムシートSは、回転する一対のカレンダロール2a、2bの外周面2a1、2b1に付着して押し出される。なお、図6(a)では、ゴムシートSが上側のカレンダロール2aに付着した状態を示している。
作業者は、図6(a)のように、第1開状態である一対の爪部20を一対のカレンダロール2a、2bの外周面2a1、2b1に摺接させることで、ゴムシートSの先端部s1をカレンダロール2aから引き剥がす(図5中、ステップS3)。
【0037】
引き剥がされたゴムシートSの先端部s1は、押し出し方向に沿って押し出されて一対の爪部20の間に進出する。
図6(a)中、第1開状態のときの一対の爪部20の先端(先端部材22aの先端部22a1)の第1間隔k1の下限値は、一対のカレンダロール2a、2bから引き剥がされて押し出されるゴムシートSの先端部s1が一対の爪部20の間に進出することができる寸法に設定される。より具体的には、一対の爪部20とゴムシートSとのクリアランスを考慮すると、第1間隔k1の下限値は、ゴムシートSの厚み寸法の2倍であることが好ましい。第1間隔k1がゴムシートSの厚み寸法の2倍よりも小さいと、押し出されるゴムシートSが一対の爪部20の間に進出できないおそれがある。第1間隔k1の下限値をゴムシートSの厚み寸法の2倍とすることで、押し出されるゴムシートSの進出が妨げられるのを防止することができる。
また、カレンダロール2a、2bの半径をrとすると、第1間隔k1は0.6r以下に設定される。これにより、一対の爪部20を一対のカレンダロール2a、2bに摺接させたときに、一対の爪部20の先端を一対のカレンダロール2a、2b間の隙間Tに十分に近づけることができる。
【0038】
より具体的に、第1間隔k1が0.6rの場合、一対のカレンダロール2a、2bの軸中心P1、P2を通過する直線L1と、下側の爪部20の先端部とカレンダロール2bの外周面2b1との接触点P3と軸中心P2とが通過する直線L2とがなす角度θが45度程度となる。これにより、一対のカレンダロール2a、2bに摺接させたときの一対の爪部20の先端から、一対のカレンダロール2a、2bの隙間Tまでのカレンダロール2a、2bの外周面2a1、2b1に沿う円弧距離は、カレンダロール2a、2bの円周の1/8程度になる。
第1間隔を0.6r以下とすることで、一対のカレンダロール2a、2bに摺接させたときの一対の爪部20の先端から、一対のカレンダロール2a、2bの隙間Tまでのカレンダロール2a、2bの外周面2a1、2b1に沿う円弧距離は、カレンダロール2a、2bの円周の1/8以下となり、ゴムシートSがカレンダロール2a、2bに付着する長さを、カレンダロール2a、2bの円周の1/8以下に抑えることができる。
【0039】
第1間隔k1が0.6rよりも大きいと、一対のカレンダロール2a、2bの外周面2a1、2b1に摺接させたときの一対の爪部20の先端から、一対のカレンダロール2a、2b間の隙間Tまでの円弧距離が大きくなり、ゴムシートSにおいてカレンダロール2a、2bに付着する部分が長くなる。よって、引き剥がされる部分も長くなり、ゴムシートSの先端部s1が丸まったり、折り畳まれたりする可能性が高くなる。
第1間隔を0.6r以下とすることで、一対のカレンダロール2a、2bの外周面2a1、2b1に摺接させたときの一対の爪部20の先端の位置を、一対のカレンダロール2a、2b間の隙間Tに十分に近づけることができ、ゴムシートSにおいてカレンダロール2a、2bに付着し引き剥がされる部分の長さを短くすることができる。この結果、ゴムシートSの先端部s1が丸まったり、折り畳まれたりするのを効果的に抑制することができる。
【0040】
カレンダロール2aから引き剥がされたゴムシートSの先端部s1が押し出されて一対の爪部20の間に進出すると、作業者は、一対の爪部20を閉状態にし、図6(b)に示すように、ゴムシートSの先端部s1を把持部18に把持させる(図5中、ステップS4)。
【0041】
次いで、作業者は、ゴムシートSを把持した把持機構4を搬出装置8の上方へ移動させる(図5中、ステップS5)。
作業者は、把持部18を腕部18a1の長手方向に平行に移動させて把持部18を一対のカレンダロール2a、2bから離間させ、把持部18の腕部18a1の長手方向が一対のレール12の長手方向にほぼ平行となるように把持部18の傾きを調整する。
その後、作業者は、把持機構4を一対のレール12に沿って移動させる。作業者は、予め設定された搬出装置8上方の目標位置まで把持機構4を移動させる。このとき、把持機構4は、ゴムシートSの押し出し速度とほぼ同じ速度で移動する。
【0042】
図7は、把持機構4を目標位置まで移動させたときの取り出し装置1の側面図である。
目標位置は、一対のレール12における位置であり、把持機構4が搬出装置8のメッシュベルト8a上となる位置である。
ゴムシートSは、カレンダロール装置2から、目標位置に位置する把持機構4まで延ばされている。
【0043】
次いで、作業者は、押さえローラ40によってゴムシートSを搬出装置8のメッシュベルト8a上で保持した後、ゴムシートSを解放させる(図5中、ステップS6)。
作業者は、エアシリンダ42を動作させ、押さえローラ40を下方へ進出させてゴムシートSを上方から押圧しメッシュベルト8aに押し付ける。
これにより、ゴムシートSは、図7中の破線Hに示すように、押さえローラ40に押されて下方に撓み、押さえローラ40とメッシュベルト8aとの間で挟持され、メッシュベルト8a上で保持される。
その後、作業者は、一対の爪部20が第2開状態となるように把持機構4を動作させる。これにより、把持機構4は、ゴムシートSの先端部s1を解放する。
本実施形態では、ゴムシートSの先端部s1を解放する前に、ゴムシートSを押さえローラ40と搬出装置8との間で保持するので、解放したゴムシートSを確実に搬出装置8のメッシュベルト8a上に載置できる。
【0044】
メッシュベルト8aの走行速度は、上述のように、カレンダロール装置2の押し出し速度と一致するように制御される。よって、ゴムシートSは、カレンダロール装置2から押し出されつつ、搬出装置8によって次工程へ向けて搬出される。
【0045】
図8は、第2開状態の把持機構4を示す図である。
第2開状態のときの一対の爪部20の先端(先端部材22aの先端部22a1)の第2間隔k2は、第1開状態のときの第1間隔k1よりも広く設定され、把持したゴムシートSの先端部s1を確実に解放しうる値に設定される。
【0046】
本実施形態では、ゴムシートSの先端部s1を一対のカレンダロール2a、2bから引き剥がす工程(図5中、ステップS3)における一対の爪部20の先端同士の間隔を第1間隔k1とし、ゴムシートSの先端部s1を解放する工程(図5中、ステップS6)における一対の爪部20の先端同士の間隔を第1間隔k1よりも広い第2間隔k2としたので、ゴムシートSの先端部s1を解放する工程を考慮することなく、第1間隔k1をできるだけ狭くすることができる。
これにより、ゴムシートSの先端部s1を一対のカレンダロール2a、2bから引き剥がす工程においては、一対のカレンダロール2a、2bの外周面2a1、2b1に摺接させたときの一対の爪部20の先端の位置を、一対のカレンダロール2a、2b間の隙間Tにより近づけることができ、押し出されたゴムシートSを、速やかにカレンダロール2a、2bから引き剥がすことができる。
よって、ゴムシートSのうち、カレンダロール2aに付着し引き剥がされる部分を短くすることができ、ゴムシートSの先端部s1に生じる丸まりや折り畳まりを抑制することができる。この結果、一対の爪部20にゴムシートSの先端部s1を確実に把持させることができる。
【0047】
また、ゴムシートSの先端部s1を解放する工程においては、ゴムシートSの先端部s1を一対のカレンダロール2a、2bから引き剥がす工程を考慮することなく、第2間隔k2をできるだけ広く設定することができる。よって、ゴムシートSの先端部s1を解放する際に、ゴムシートSの先端部s1が一対の爪部20に引っかかるのを抑制でき、ゴムシートSの先端部s1を適切に解放することができる。
【0048】
このように、上記構成によれば、押し出されたゴムシートSを速やかにカレンダロール2a、2bから引き剥がして把持するとともに、把持したゴムシートSを適切に解放することができる。
【0049】
〔その他〕
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0050】
1 ゴムシート取り出し装置
2 カレンダロール装置
2a カレンダロール
2a1 外周面
2b カレンダロール
2b1 外周面
4 把持機構
6 移動機構
8 搬出装置
8a メッシュベルト
12 レール
12a 一端部
13 支柱
14 駆動部
16 台車部
16a フレーム
16a1 桁部
16a2 梁部
16b 車輪
16c 支持軸
16d エアシリンダ
18 把持部
18a フレーム
18a1 腕部
18a2 梁部
18b エアシリンダ
18b1 本体部
18b2 シリンダロッド
20 爪部
22 爪本体
22a 先端部材
22a1 先端部
24 アーム
26 シャフト
28 ピニオン
30 ラック
32 エアシリンダ
32a シリンダロッド
40 押さえローラ
42 エアシリンダ
44 上部架台
C 中心線
H 破線
k1 第1間隔
k2 第2間隔
L1 直線
L2 直線
M モータ
P0 中点
P1 軸中心
P2 軸中心
P3 接触点
S ゴムシート
s1 先端部
T 隙間
Y 矢印
θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8