(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146194
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】診断システム、診断方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220928BHJP
G06Q 10/10 20120101ALI20220928BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047028
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】390039240
【氏名又は名称】株式会社イセトー
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】藤井 敦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 有紀
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
5L049CC11
5L049EE01
(57)【要約】
【課題】帳票データの診断を行う診断システムを提供する。
【解決手段】診断システムは、帳票データを取得する帳票データ取得部と、前記帳票データが有する複数の属性について、属性値の算出を行う属性算出部と、前記属性値に基づいて、前記帳票データを診断項目別に診断する項目別診断部と、前記診断項目別の診断結果を含む診断結果レポートを作成するレポート作成部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票データを取得する帳票データ取得部と、
前記帳票データが有する複数の属性について、属性値の算出を行う属性算出部と、
前記属性値に基づいて、前記帳票データを診断項目別に診断する項目別診断部と、
前記診断項目別の診断結果を含む診断結果レポートを作成するレポート作成部と、
を備える診断システム。
【請求項2】
複数の前記診断項目に対する診断結果に基づいて、前記帳票データの総合的な診断を行う総合診断部、をさらに備え、
前記レポート作成部は、前記診断項目別の診断結果に加え、前記総合的な診断結果を含む診断結果レポートを作成する、
請求項1に記載の診断システム。
【請求項3】
前記総合診断部は、
前記診断項目の診断結果の組合せに応じて、総合診断の結果を順位付けし、
前記レポート作成部は、優先度が所定の順位以上の総合診断結果をレポートに含める、
請求項2に記載の診断システム。
【請求項4】
前記属性は、色、フォント、情報量、視線のうちの複数である、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の診断システム。
【請求項5】
前記項目別診断部は、前記属性値に基づいて、所定の範囲についての文字と配色のバランス、情報量と余白のバランス、文字組みへの配慮、全体の視線導線、の4つの前記診断項目のうちの複数について診断する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の診断システム。
【請求項6】
前記項目別診断部は、
前記属性値のうちの色に基づいて、所定の基準に基づいて文字と背景との配色とコントラストを診断してその診断結果を数値化した第1の値と、
前記属性値のフォントに基づいて、タイトルのフォントサイズが非タイトルのフォントサイズよりも大きいか否かを診断してその診断結果を数値化した第2の値と、
前記属性値のうちの視線に基づいて、タイトルに視線が行くか否かを診断してその診断結果を数値化した第3の値と、のうちの少なくとも1つを算出し、算出した前記第1の値から前記第3の値のうちの少なくとも1つに基づいて前記診断項目の1つである前記所定の範囲についての文字と配色のバランスについて診断する、
請求項5に記載の診断システム。
【請求項7】
前記項目別診断部は、
前記属性値のうちのフォントに基づいて、前記帳票データに含まれるフォントのサイズが所定のサイズより大きいか否かを診断してその診断結果を数値化した第1の値と、
1行あたりのフォント数が所定の値より大きいか否かを診断してその診断結果を数値化した第2の値と、のうちの少なくとも1つを算出し、算出した前記第1の値と前記第2の値とのうちの少なくとも1つに基づいて前記診断項目の1つである前記文字組みへの配慮について診断する、
請求項5または請求項6に記載の診断システム。
【請求項8】
前記項目別診断部は、
前記属性値の情報量に基づいて、情報量に応じて診断結果を数値化し、その値に基づいて前記診断項目の1つである前記情報量と余白のバランスについて診断する、
請求項5から請求項7の何れか1項に記載の診断システム。
【請求項9】
前記項目別診断部は、
前記属性値の視線情報に基づいて、視線が集中する位置を診断してその診断結果を数値化した第1の値と、視線の移動方向および移動順を診断してその診断結果を数値化した第2の値と、のうちの少なくとも1つを算出し、算出した前記第1の値と前記第2の値とのうちの少なくとも1つに基づいて前記診断項目の一つである前記視線導線について診断する、
請求項5から請求項8の何れか1項に記載の診断システム。
【請求項10】
帳票データを取得するステップと、
前記帳票データが有する複数の属性について、属性値の算出を行うステップと、
前記属性値に基づいて、前記帳票データを診断項目別に診断するステップと、
前記診断項目別の診断結果を含む診断結果レポートを作成するステップと、
を有する診断方法。
【請求項11】
コンピュータに
帳票データを取得するステップと、
前記帳票データが有する複数の属性について、属性値の算出を行うステップと、
前記属性値に基づいて、前記帳票データを診断項目別に診断するステップと、
前記診断項目別の診断結果を含む診断結果レポートを作成するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票類のデザインを評価する診断システム、診断方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業は、制作会社にデザイン発注する印刷物以外に、社内で多くの帳票を制作する。企業は、社内で制作した帳票を顧客等へ配布しても反応が薄かったり、帳票の分かりにくさに起因すると考えられる問い合わせが多く寄せられたりするといった悩みを抱えていることが多い。このような悩みに対し、帳票の分かりやすさや読みやすさなどを診断する有人の診断サービスが提供されている。
【0003】
また、特許文献1には、「情報量」、「タスク」、「テキスト(文意)」、「レイアウト」、「タイポグラフィ(文字)」、及び「色彩設計」の観点から帳票に発生し得る問題点を評価項目として列挙した領域と各評価項目への評価を記入する領域とを設けた帳票評価シートを作成し、複数の評価者による評価結果が記入された帳票評価シートの情報を読み取って集計し、評価対象帳票に対する評価の集計結果を記したレポートを作成する帳票評価支援装置が開示されている。
【0004】
また、上記の評価項目の一部については、評価の目安となる情報を数値化等して出力するツールが提供されている。例えば、帳票に含まれるテキストのフォントサイズを読み取って出力するツール、帳票の情報量を出力するツール、帳票に使用されている色を解析して出力するツール、帳票をみたときの利用者の視線を予測するツールが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のツールを使用して社内で制作した帳票を評価する場合、一般の利用者はツールが出力した数値を見ても、その数値をどのように理解し、帳票のデザインを評価すればよいのかが分からない。また、特許文献1に記載の帳票評価支援装置や一般に提供されている有人の評価サービスは、知見を有する評価者が必要なため、時間やコストが掛かりがちである。多数存在する社内制作帳票の1つ1つについて、有人の評価サービス等による診断を行うことは現実的ではない。帳票類のデザインを低コストで簡便に何度でも診断することができ、誰でも理解できるようにその診断結果を提供する技術が求められている。
【0007】
そこでこの発明は、上述した解題を解決する診断システム、診断方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、診断システムは、帳票データを取得する帳票データ取得部と、前記帳票データが有する複数の属性について、属性値の算出を行う属性算出部と、前記属性値に基づいて、前記帳票データを所定の診断項目別に診断する項目別診断部と、前記診断項目別の診断結果を含む診断結果レポートを作成するレポート作成部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様によれば、診断方法は、帳票データを取得するステップと、前記帳票データが有する複数の属性について、属性値の算出を行うステップと、前記属性値に基づいて、前記帳票データを所定の診断項目別に診断するステップと、前記診断項目別の診断結果を含む診断結果レポートを作成するステップと、を有する。
【0010】
本発明の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに、帳票データを取得するステップと、前記帳票データが有する複数の属性について、属性値の算出を行うステップと、前記属性値に基づいて、前記帳票データを所定の診断項目別に診断するステップと、前記診断項目別の診断結果を含む診断結果レポートを作成するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便に帳票類の診断を行い、その診断結果を理解しやすいように提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る診断システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る診断処理の概略図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る診断処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態に係るタイトルと重要箇所の設定画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るタイトルと重要箇所の確認画面の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る診断項目および診断方法を説明する図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る総合診断について説明する図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る診断結果レポートの一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る診断結果レポートのヒントの一例を示す第1の図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る診断結果レポートのヒントの一例を示す第2の図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る診断システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態による診断システムを
図1~
図11を参照して説明する。
(システム構成)
図1は本発明の実施形態に係る診断システムの一例を示す機能ブロック図である。
診断システム10は、帳票、レポート、チラシ、通知物等の情報提供媒体(これらを帳票データと称する。)のデザインを診断する。診断システム10は、入力部11と、帳票データ取得部12と、診断制御部13と、出力部14と、記憶部15と、を備える。
【0014】
入力部11は、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタン等の入力装置を用いて構成される。入力部11は、診断システム10に対する利用者の操作による入力を受け付ける。入力部11は、受け付けた入力の内容を診断制御部13等に出力する。
帳票データ取得部12は、帳票データを取得する。帳票データは、PDF形式の電子ファイル、画像形式の電子ファイルとして取得される。
【0015】
診断制御部13は、帳票データの診断処理を制御する。例えば、診断制御部13は、帳票データ診断用の各種インタフェース画面を作成する。診断制御部13は、これらの画面を通じて入力された利用者の指示に基づいて診断処理を実行する。ここで
図2を参照する。
図2に本実施形態に係る診断処理の概略を示す。診断制御部13は、診断ツールを用いて、(a)色、(b)フォント、(c)情報量、(d)視線などの帳票データが有する属性について属性値を算出する。診断制御部13は、これらの属性値に基づいて、所定の診断項目について診断を行い、その診断結果をスコア化する。診断項目とは、(A)タイトルの見やすさ、(B)情報量と余白のバランス、(C)文字組への配慮、(D)全体の視線導線である。また、診断制御部13は、各診断項目に対する診断結果(スコア)の組合せを算出し、総合診断を行う。例えば、帳票データの複合的、全体的な問題点とその優先度が(A)~(D)の診断結果の組合せのパターンごとに予め定められていて、このパターンに基づいて、総合診断においては、優先度の高い問題点が指摘されるようになっている。また、診断制御部13は、診断項目別の診断結果、総合診断の結果を記載した診断結果レポートを作成する。
【0016】
診断制御部13は、色情報算出部131と、フォント情報算出部132と、情報量算出部133と、視線情報算出部134と、項目別診断部135と、総合診断部136と、レポート作成部137と、を備える。
【0017】
色情報算出部131は、帳票データの所定領域における配色を例えばCMYK体系下で数値化したり、色弱者が所定領域を見たときの見え方を解析したりする。色情報算出部131は、一般に提供されている電子データ用の各種色解析用のツール(ソフトウェア)等を用いて構成される。
【0018】
フォント情報算出部132は、帳票データに含まれるフォントのサイズおよび種類、フォント数、行間、文字間などの情報を算出する。フォント情報算出部132は、各種ドキュメント作成・編集ソフトウェア(例えば、PDF形式の電子ファイル用のツール、画像解析によりフォントサイズ、フォントの種類、行間、1行あたりのフォント数などを解析するツール)を用いて構成される。
【0019】
情報量算出部133は、帳票データの情報量(印字率)を算出する。情報量算出部133は、一般に提供されている電子データから画率や情報量を算出するソフトウェアを用いて構成される。
【0020】
視線情報算出部134は、利用者が帳票データを見たときの視線を解析し、その解析結果をヒートマップ等で出力する。視線情報算出部134は、一般に提供されている視線予測ソフトウェアを用いて構成される。
【0021】
項目別診断部135は、色情報算出部131の算出結果と、フォント情報算出部132の算出結果と、情報量算出部133の算出結果と、視線情報算出部134の算出結果と、のうちの何れか又は複数を用いて、診断項目別に帳票データの診断を行い、その診断結果をスコア化する。ここで、診断項目とは、(A)タイトルの見やすさ、(B)情報量と余白のバランス、(C)文字組への配慮、(D)全体の視線導線である。各診断項目についての診断方法については後述する。
【0022】
総合診断部136は、項目別診断部135による診断項目別の診断結果を組み合わせて、帳票データに対する総合的な診断を行う。
【0023】
レポート作成部137は、診断項目別の診断結果と改善の支援情報、総合的な診断結果と改善の支援情報、を含む診断結果レポートを作成する。
出力部14は、帳票データの診断処理において提供される画面を表示装置に出力し、レポート作成部137が作成した診断結果レポートを表示装置や電子ファイルへ出力する。
記憶部15は、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成される。記憶部15は、帳票データの診断処理に必要な各種情報を記憶する。
【0024】
(動作)
次に
図3~
図10を参照して診断システム10の動作について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る診断処理の一例を示すフローチャートである。
診断制御部13が、診断対象の帳票データの登録画面(図示せず)を作成し、出力部14を通じて、表示装置に登録画面を出力する。例えば、登録画面には、ファイル選択ボタンが設けられており、利用者がこのボタンを選択すると、電子ファイルの選択ダイアログが表示される。利用者は、例えば、PDF形式又は画像の帳票データの電子ファイルを選択する。帳票データ取得部12は、選択された電子ファイルを取得して(ステップS1)、記憶部15に書き込む。
【0025】
次に診断制御部13が、記憶部15から電子ファイルを読み出して、帳票データを表示するとともに、その帳票データのタイトルと最も重要な箇所を選択するよう促す設定画面を作成し、出力部14を通じて表示装置に設定画面を出力する。診断制御部13は、タイトルと重要箇所の設定を受け付ける(ステップS2)。例えば、診断制御部13は、
図4に例示する設定画面100Aを作成、表示する。設定画面100Aでは、診断対象の帳票データ101が表示され、タイトルの範囲を選択するよう促される。利用者が、タイトルの範囲をドラッグすると、入力部11はその操作を受け付け、診断制御部13は、その範囲を枠102Aで囲む等の表示を行う。利用者がボタン103Aを押下すると、入力部11はその操作を受け付け、診断制御部13は、設定されたタイトルの範囲の座標情報(例えば、帳票データのある頂点を原点とする座標系における座標情報)を記憶部15に記録する。次に、診断制御部13は、設定画面100Bを作成、表示する。設定画面100Bでは、帳票データ101が表示され、帳票の最も重要な箇所の範囲を選択するよう促される。利用者が、重要な箇所の範囲をドラッグすると、入力部11はその操作を受け付け、診断制御部13は、その範囲を枠102Bで囲む等の表示を行う。利用者がボタン103Bを押下すると、入力部11はその操作を受け付け、診断制御部13は、設定された重要な箇所の範囲の座標情報を記憶部15に記録して、次の処理へ進む。
なお、ステップS2で選択した領域はあくまでも一例である。ステップS2において、タイトルと最も重要な箇所に加えて、サブタイトル、次に重要な箇所など、他の領域を選択するようにしてもよい。
【0026】
次に診断制御部13は、ステップS2の設定内容が正しいか否かの判定を行う(ステップS3)。例えば、診断制御部13は、
図5に例示する確認画面110を作成し、出力部14を通じて表示装置に確認画面110を出力する。確認画面110では、診断対象の帳票データ101が表示され、その上に、ステップS2で設定されたタイトルの範囲を示す枠102Aと、最も重要な範囲を示す枠102Bが重畳して表示される。利用者は、確認画面110にて表示された枠102Aと枠102Bの位置が正しければ、診断実行ボタン112を押下し、枠102Aと枠102Bの何れかの位置が誤っていれば戻るボタン111を押下する。入力部11が診断実行ボタン112の押下を検出すると、診断制御部13は、設定内容は正しいと判定する。入力部11が戻るボタン111の押下を検出すると、診断制御部13は、設定内容は正しくないと判定する。
【0027】
設定内容は正しくないと判定すると(ステップS3;No)、診断制御部13は、ステップS2の処理を繰り返す。例えば、診断制御部13は、設定画面100A、100Bを再度、表示し、タイトルと重要箇所の設定を受け付ける。
【0028】
設定内容が正しいと判定すると(ステップS3;Yes)、診断制御部13は、帳票データの診断を開始する。まず、診断制御部13は、帳票データの色、フォント、情報量、視線の各属性を算出する(ステップS4)。(a)例えば、色情報算出部131が、帳票データのタイトルの範囲について、タイトルの文字と背景の色を検出し、それぞれの色の明度を数値化する。また、色情報算出部131は、帳票データのタイトルの文字と背景の色を検出し、それぞれの色をCMYK等の所定の色空間の体系下で数値化する。(b)また、例えば、フォント情報算出部132が、帳票データのタイトルの範囲と、最も重要な範囲と、それら以外の範囲のそれぞれについて各範囲で使用されているフォントのサイズおよび種類を検出する。また、フォント情報算出部132は、帳票データのタイトルの範囲と、最も重要な範囲と、それら以外の範囲のそれぞれについて、1行又は1列あたりのフォント数を検出する(行長さ)。また、フォント情報算出部132は、帳票データのタイトルの範囲と、最も重要な範囲と、それら以外の範囲のそれぞれについて、行間又は列間を検出する(行送り)。(c)また、情報量算出部133は、帳票データの全体について、情報量(印字率)を算出する。(d)また、視線情報算出部134は、帳票データの全体について、視線の集まりやすさを解析し、視線集中の分布を色彩で表したヒートマップを算出する。このヒートマップでは、例えば、視線が集中しやすい位置を臙脂色~赤色で表示される。また、視線情報算出部134は、利用者が帳票データを見たときの最初の数秒の視線の導線を予測してその予測結果を出力する。例えば、帳票データ上に視線の動きが、移動順とともに矢印で示される。
【0029】
次に診断制御部13は、各属性に基づいて診断項目別の診断を実行する(ステップS5)。
図6に診断項目別の診断方法の一例を示す。
図6の項目別診断テーブル200は記憶部15に登録されている。項目別診断テーブル200には「診断項目」、「診断内容・方法」、「診断に用いる属性」、「採点」、「NGコメント」、「ヒント」、「問題ないときに出るコメント」の各項目を有している。診断制御部13は、「診断項目」、「診断内容・方法」、「診断に用いる属性」、「採点」に登録された情報に基づいて項目別の診断を実行する。例えば、項目別診断部135は、(A)タイトルの見やすさの「配色」について、以下のように診断する。項目別診断部135は、タイトルの範囲(
図5の枠102A)の文字部分のCMYKの数値と、背景のCMYKの数値とが所定の閾値以上離れているかどうかを判定し、閾値以上離れていない場合、タイトルの文字色と背景色は、色弱者にとって色の差を感じられるようになっていないと判定する。項目別診断部135は、色弱者にとって色の差を感じられるようになっていると判定した場合、(A)タイトルの見やすさの配色に対するスコアに1を加算し(1点)、色の差を感じられるようになっていないと判定した場合、配色に対するスコアへの加算は行わない(0点)。また、例えば、項目別診断部135は、(A)の「背景とのコントラスト」についてタイトルの範囲の文字部分の明度について数値化した値と、背景の明度について数値化した値が所定の閾値以上離れているかどうかを判定し、閾値以上離れていない場合、タイトルの文字色と背景色には、十分なコントラスト比が設定されていないと判定する。項目別診断部135は、十分なコントラスト比が設定されていると判定した場合、(A)タイトルの見やすさの背景とのコントラストに対するスコアに1を加算し(1点)、十分なコントラスト比が設定されていないと判定した場合、背景とのコントラストに対するスコアへの加算は行わない(0点)。また、例えば、項目別診断部135は、(A)の「文字」について、フォント情報算出部132が算出したフォントサイズに基づいて、タイトルの文字が、他の範囲の文字に比べて大きくなっているか否かを判定し、大きくなっている場合は、(A)タイトルの見やすさの文字に対するスコアに1を加算し(1点)、そうでない場合は文字に対するスコアへの加算は行わない(0点)。また、例えば、項目別診断部135は、(A)の「視線」について、視線情報算出部134が算出したヒートマップに基づいて、タイトルへの視線の集中度に応じて(A)タイトルの見やすさの視線に対するスコアに0~2点の何れかを加算する。例えば、ヒートマップにおいて、タイトルの範囲が臙脂色か赤色であれば2点、オレンジ色であれば1点、それ以外の色などであれば0点を加算する。上記の配色に対するスコア、背景とのコントラストに対するスコア、文字に対するスコア、視線に対するスコアを合計することにより、帳票データの(A)タイトルの見やすさに対する診断が実行され、0~5点の何れかのスコアが設定される。なお、ここでは、「色」、「背景とのコントラスト」、「文字」、「視線」の4項目について評価することとしたが、これらすべては必ずしも必要ではなく、これらのうちの少なくとも1個、又は2~3個の項目に対する評価を組み合わせて、(A)タイトルの見やすさに対する評価を行うことができる。
【0030】
また、この例では「(A)タイトルの見やすさ」は、ステップS2で設定したタイトルの範囲を対象としたが、例えば、ステップS2で設定した重要な箇所の範囲について、タイトルと同様の評価を行ってもよいし、ステップS2において、タイトルに代えてあるいはタイトルに加えて、他の領域(例えば、サブタイトルの範囲、帳票の中で最も目立つ範囲、帳票の中で評価してほしい範囲)をユーザに評価対象として選択してもらい、この領域に対しても、「(A)タイトルの見やすさ」と同様の評価を行って、その結果を後述する診断結果レポート400へ出力するようにしてもよい。
【0031】
また、例えば、項目別診断部135は、(B)情報量と余白のバランスの「情報量」について、情報量算出部133が算出した情報量(%)と所定の閾値を比較して、情報量が閾値未満であれば紙面の情報量・余白のバランスが適切であると判定し、情報量に応じて、0~5点の何れかを加算する。例えば、情報量がX1%以上ならば0点、X2%程度ならば5点、その間は情報量に応じて1~4点を加算する(情報量が少ない程、大きな点が加算される。)。これらにより、帳票データの(B)情報量と余白のバランスに対する診断が実行され、0~5点の何れかのスコアが設定される。
【0032】
また、例えば、項目別診断部135は、(C)文字組への配慮の「文字サイズ」について、フォント情報算出部132が算出したフォントサイズと所定の閾値を比較して、フォントサイズが閾値以上であれば1点、閾値未満であれば0点を(C)の文字サイズに対するスコアに加算する。また、項目別診断部135は、(C)の「UD(universal design)フォント」について、フォント情報算出部132が算出したフォントサイズと種類に基づいて、フォントサイズが所定の閾値以下の文字のフォント種類がUDフォントであれば1点、そうでなければ0点を(C)のUDフォントに対するスコアに加算する。また、項目別診断部135は、「行長さ」について、フォント情報算出部132が算出した行長さ(1行当たりの文字数)が所定の第1閾値以下であれば2点、第1閾値~第2閾値(第2閾値>第1閾値)の間であれば1点、第2閾値以上であれば0点を(C)の行長さに対するスコアに加算する。また、項目別診断部135は、「行送り」について、フォント情報算出部132が算出した行送り(行間のサイズ)が所定の閾値以上であれば1点、そうでなければ0点を(C)の行送りに対するスコアに加算する。これらの文字サイズに対するスコア、UDフォントに対するスコア、行長さに対するスコア、行送りに対するスコアを合計することにより、帳票データの(C)文字組への配慮に対する診断が実行され、0~5点の何れかのスコアが設定される。なお、ここでは、「文字サイズ」、「UDフォント」、「行長さ」、「行送り」の4項目について評価することとしたが、これらすべては必ずしも必要ではなく、これらのうちの少なくとも1個、又は2~3個の項目に対する評価を組み合わせて、(C)文字組への配慮に対する評価を行うことができる。
【0033】
また、例えば、項目別診断部135は、(D)全体の視線導線の「重要な箇所への視線」について視線情報算出部134が算出したヒートマップに基づいて、重要な箇所(
図5の枠102B)への視線の集中度に応じて、0~3点の何れかのスコアを設定する。例えば、ヒートマップにおいて、重要な箇所の範囲が臙脂色、赤色であれば3点、オレンジ色であれば2点、黄色であれば1点、それ以外の色などであれば0点を(D)の重要な箇所への視線に対するスコアに加算する。また、例えば、項目別診断部135は、(D)全体の視線導線の「導線」について視線情報算出部134が算出した導線の予測結果に基づいて、0~2点の何れか(例えば、視線が上から下、左から右へ移動するようであれば2点、それらに反する毎に-1点など)を(D)の導線に対するスコアに加算する。これらの重要な箇所への視線に対するスコア、導線に対するスコアを合計することにより、帳票データの(D)全体の視線導線に対する診断が実行され、0~5点の何れかのスコアが設定される。なお、ここでは、「重要な箇所への視線」と「導線」の2つの項目について評価することとしたが、これらすべては必ずしも必要ではなく、これらのうちの少なくとも1個に基づいて(D)全体の視線導線に対する評価を行うことができる。
【0034】
また、この例では「(D)全体の視線導線」のうちの重要な箇所への視線に対するスコアについては、ステップS2で設定した重要な箇所の範囲を対象としたが、例えば、ステップS2で設定したタイトルの範囲について、重要な箇所の範囲と同様の評価を行ってもよいし、ステップS2において、他の領域(例えば、サブタイトルの範囲、帳票の中で最も目立つ範囲、帳票の中で評価してほしい範囲)をさらにユーザに評価対象として選択してもらい、この領域に対しても、“重要な箇所への視線”と同様の評価を行って、その結果を後述する診断結果レポート400へ出力するようにしてもよい。
【0035】
項目別診断部135は、項目別の診断結果(スコア)を記憶部15に記録する。(A)~(D)の診断項目別のスコア算出が完了すると、次に総合診断部136が、診断項目別の診断結果に基づいて総合診断を実行する(ステップS6)。ここで
図7を参照する。
図7に総合的な診断方法の一例を示す。
図7の総合診断テーブル300は記憶部15に登録されている。総合診断テーブル300には「診断結果1」、「診断結果2」、・・・、「診断結果N」、「ひとこと」、「詳細コメント」、「ヒント」、「優先度」の各項目を有している。「診断結果1」、「診断結果2」、・・・、「診断結果N」には、診断項目別の診断結果が登録される。「ひとこと」、「詳細コメント」には、「診断結果1」~「診断結果N」の診断結果が得られた帳票データの問題点を説明する文言が登録され、「ヒント」には問題点の改善を支援する情報が登録されている。「優先度」には、「診断結果1」~「診断結果N」の診断結果の組合せの重要度に応じた優先度が格納される。例えば、複数の診断結果の組合せが示す帳票データの問題点がUDの観点からみて重大である程、高い優先度が設定される。例えば、「診断結果1」~「診断結果N」に格納された診断結果のスコアが何れも0点の場合(組合せに係る診断結果が何れも悪い場合)、その組み合わせに対する優先度には“1”が設定され、0点と1点が混在している場合(組合せに係る診断結果の一部が悪い場合)には“2”が設定され、1点だけのとき(組合せに係る診断結果が何れも良い場合)には“3”(問題なし)が設定される。また、同じ優先度が設定されているものの間でも問題点の重要度に応じて優先度が設定されていてもよい(最も影響が大きい問題点に最も高い優先度が設定される)。
【0036】
例えば、
図7のNo=1を参照すると、「診断結果1」には“(B)情報量と余白のバランス”の診断結果「情報量が高い」(例えば、スコアが0~1点の場合)が格納され、「診断結果2」には“(C)文字組への配慮”の診断結果「行間が狭い」(スコアが0点)が格納され、「診断結果3」~「診断結果N」は空欄である。「ひとこと」には、「情報量が多くて余白がとれない状態かも!」といった文言が登録され、「ヒント」にはよい例と悪い例を含む改善のヒントが登録されている。ヒントに登録される内容については後に
図10を用いて説明する。また、「詳細コメント」には、問題点および改善するためのヒントについてさらに詳細な説明が登録され、「優先度」には1が設定されている。このように、総合診断テーブル300には、項目別の診断結果の組合せごとに複合的、総合的な視点で帳票データの問題点や改善へのヒントの情報が登録されている。なお、
図7では、項目別の診断結果を2つ組み合わせた場合を例示しているが、3つ以上の項目別の診断結果の組合せに対する問題点やヒントが登録されていてもよい。
【0037】
総合診断部136は、
図7の総合診断テーブル300に基づいて総合診断を実行する。例えば、総合診断部136は、項目別診断部135による“(B)情報量と余白のバランス”のスコアが0点で、(C)文字組への配慮”のスコアが0点の場合、「情報量が多くて余白がとれない状態」(
図7のNo=1)であり、このような帳票データは解決すべき優先度1の問題点を有していると診断する。このように複数の項目別診断結果を組み合わせた診断を総合診断と呼ぶ。総合診断部136は、1つの帳票データについて、総合診断テーブル300に基づいて、優先度の高低に関わらず、全ての総合診断を行い、その結果を記憶部15に記録する。
【0038】
次にレポート作成部137は、総合診断部136の診断結果と総合診断テーブル300に基づいて、優先度が高い診断結果の組合せを選択する(ステップS7)。レポート作成部137は、総合診断部136が記録した総合診断の結果を記憶部15から読み出して、優先度が高い診断結果の組合せを優先度が高い順に所定数(例えば、1~3個)選択する。後述するように選択した情報は、診断結果レポートの総評欄に表示されるが、表示する内容を厳選することで、帳票の改善に最も効果的なアドバイスを伝えることができ、これを見た一般ユーザは混乱すること無く帳票の改善に取り組むことができる。
【0039】
次にレポート作成部137が、診断項目別の診断結果、総合診断の結果およびステップS7で選択した優先度が高い診断結果の組合せに基づいて診断結果レポートを作成する(ステップS8)。レポート作成部137は、項目別診断結果(ステップS5)、総合診断結果(ステップS6)、優先度が高い診断結果の組合せ(ステップS7)、項目別診断テーブル200、総合診断テーブル300に基づいて、以下に
図8~
図10を用いて説明する診断結果レポート400を作成する。次に診断制御部13が診断結果レポート400の出力を指示する。この指示に基づき、出力部14が、診断結果レポート400を表示装置等へ出力する(ステップS9)。
【0040】
図8に出力された診断結果レポート400の一例を示す。診断結果レポート400には、帳票データ101と、(A)~(D)に対する項目別の診断結果と、総合診断の結果が記載される。(A)タイトルの見やすさに対する診断結果は領域401Aに表示され、(B)情報量と余白のバランスに対する診断結果は領域401Bに表示され、(C)文字組への配慮に対する診断結果は領域401Cに表示され、(D)全体の視線導線に対する診断結果は領域401Dに表示される。例えば、領域401Aには、スコア表示領域402Aと、コメント領域403Aと、ヒントボタン404Aが設けられている。スコア表示領域402Aには、(A)に対する項目別診断部135によって診断されたスコアの合計が表示される。コメント領域403Aには、低スコアが算出された全ての項目について、
図6の項目別診断テーブル200の「NGコメント」に登録された文言が表示される。例えば、「配色」、「文字」、「背景とのコントラスト」についてのスコアが0で、「視線」についてのスコアが1以上の場合、コメント領域403Aには、「配色」、「文字」、「背景とのコントラスト」についてのNGコメントが表示される。また、例えば、「配色」、「文字」、「背景とのコントラスト」、「視線」についてのスコアが全て1以上の場合、コメント領域403Aには、
図6の項目別診断テーブル200の「問題ないときに出るコメント」に登録された文言「タイトルは見やすく設計されている」が表示される。
【0041】
ヒントボタン404Aを押下すると、診断制御部13の指示により、
図6の項目別診断テーブル200の「ヒント」に登録された情報がポップアップ表示される。
図9に項目別診断結果に対するヒントの一例を示す。
図9(a)にポップアップ画面421を示す。ポップアップ画面421には、(A)タイトルの見やすさの「背景とのコントラスト」に対するヒントが表示される。ポップアップ画面421には、文字と背景のコントラストの良い例と悪い例が表示され、「文字色と背景色のコントラストを高くし、はっきりと読めるようにする」といった改善を支援する情報が表示されている。「背景とのコントラスト」以外にも(A)についてスコア0点の項目がある場合には、同様にして、当該項目についてのヒントがポップアップ画面で表示される。
【0042】
以上、(A)タイトルの見やすさについて、領域401Aを例に説明を行ったが、(B)~(D)の点についても同様に、それぞれ領域401B~401Dにて、スコア表示領域と、コメント領域と、ヒントボタンが設けられる。例えば、領域401Cのヒントボタン404Cを押下すると、
図9(b)に例示するポップアップ画面422が表示される。ポップアップ画面422には“(C)文字組への配慮”の「行長さ」に対するヒントが表示される。
図9(b)には、行長の良い例と悪い例が表示され、改善支援情報「1行当たりの文字数が〇〇文字以下になるようにする」が表示されている。
【0043】
図8に戻る。総合診断の結果は領域410と領域414に表示される。領域410には、スコア表示領域411と、コメント領域412と、ヒントボタン413が設けられている。スコア表示領域411には、項目別診断(A)~(D)のスコアの合計が表示される。コメント領域412、領域414には、総合診断部136による診断結果が表示される。例えば、コメント領域412には、
図7の総合診断テーブル300の「詳細コメント」の情報のうち、優先度の高いものから所定数が選択されて表示され、領域414には総合診断テーブル300の「ひとこと」の情報のうち最も優先度の高いものが表示される。
図8の例では、
図7のNo=3の診断結果「情報量が低い」と「文字が小さい」の組合せに対して、領域414には「文字をもっと大きくできるかも!」が表示されている。総合診断の結果のうち、優先度が高いものには、帳票データのデザインを改善するうえで需要な項目が設定されている。コメント領域412には、優先度順にできるだけ多くの「詳細コメント」を表示してもよいし、最も重要なものに絞って表示するようにしてもよい。
【0044】
ヒントボタン413を押下すると、
図7の総合診断テーブル300の「ヒント」に登録された情報がポップアップ表示される。
図10に総合診断結果に対するヒントを表示したポップアップ画面423の一例を示す。
図10に例示するヒントは、
図7のNo=3の診断結果の組合せに対するヒントの例である。
図10に例示するヒントには、「情報量が低い」(=良いスコア)と「文字が小さい」(=悪いスコア)を組み合わせた場合の悪い例と、「情報量が低い」まま、「文字が小さい」を改善し、文字を大きくした良い例が表示されている。また、
図10には、改善支援情報「空いたスペースを有効活用して文字サイズが小さいところは大きくして読みやすくしましょう」が表示されている。
【0045】
以上により、帳票データの診断処理が完了する。利用者は、診断結果レポート400を参照して、例えば、総合診断の結果への対処を優先的に行い、加えて各診断項目の問題点への対処を行って、帳票データを改善する。そして、再び、診断システム10に改善後の帳票データを入力して、診断を行う。この工程を問題点が無くなるまで繰り返し行うことにより、理想的にデザインされた帳票データを制作することができる。
【0046】
(効果)
社内で制作された帳票データについて、知見を有さない利用者が、そのデザインの良し悪しを判断し、自主的に改善することは難しい。また、専門家によるデザイン診断は、気軽に何度でも利用できるものではない。また、色、フォント、情報量、視線などを解析するツールを用いて、デザインの診断に必要な属性の解析結果を得ることはできるが、一般の利用者は、解析結果の数値をどのように理解して良いかが分からない。これに対し、本実施形態によれば、帳票データを診断システム10へ入力し、タイトルの範囲と重要な箇所の設定を行うことによって、帳票データの診断を自動的に行うことができる。ツールが出力する数値の意味が分からない利用者でも、帳票データの問題点を把握することができる。また、本実施形態の診断方法によれば、帳票データのデザインを診断するうえで重要な上記の(A)~(D)の診断項目を設定し、これらの観点から診断結果および改善のヒントを提供してくれるので、知識のない人でも、どのような観点から帳票デザインの問題点を捉え、個々の観点から見た場合にどのような問題があり、どのようにすれば改善できるかを容易に理解することができる。また、(A)~(D)の個々の診断結果および改善のヒントを見ただけでは、どの点を優先的に改善すれば良いか分からなかったり、両立しにくいヒントが提供されたりする可能性がある。そのような場合でも、総合診断の結果および改善のヒントを参照することで、どのような点を優先して改善すれば良いかが理解できる。また、改善した帳票データを再度診断システム10へ入力することで、何度でも気軽に帳票データの診断を行うことができる。また、社内で制作した帳票データの数が膨大であっても、それらすべての帳票データについて低コストで簡易な診断を行うことができる。
【0047】
図11は、本発明の実施形態による診断システムのハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備えるタブレット端末、PCやサーバ装置である。上述の診断システム10の各々は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0048】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、入出力インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0050】
例えば、(A)について、「配色」、「文字」、「視線」、「背景とのコントラスト」に基づいて項目別の診断を行うこととしたが、これらのうちの一部のみを用いて(A)タイトルの見やすさについて診断してもよい。(C)、(D)についても同様である。また、項目別診断の診断項目として(A)~(D)を用いることとしたが、これらのうちの一部、例えば(A)~(C)のみを診断項目として採用してもよい。また、上記の実施形態では、帳票データは、PDF形式の電子ファイルか画像データとしたが、ツールによって診断に必要な属性値を検出、算出することができれば他の形式のデータであってもよい。色情報算出部131、フォント情報算出部132、情報量算出部133、視線情報算出部134は属性算出部の一例である。「(A)タイトルの見やすさ」は「所定の範囲についての文字と配色のバランス」の一例である。なお、「所定の範囲についての文字と配色のバランス」について評価を行う領域は複数存在してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10・・・診断システム、 11・・・入力部、 12・・・帳票データ取得部、 14・・・出力部、 15・・・記憶部、 13・・・診断制御部、 131・・・色情報算出部、 132・・・フォント情報算出部、 133・・・情報量算出部、 134・・・視線情報算出部、 135・・・項目別診断部、 136・・・総合診断部、 137・・・レポート作成部、 900・・・コンピュータ、 901・・・CPU、 902・・・主記憶装置、 903・・・補助記憶装置、 904・・・入出力インタフェース、 905・・・通信インタフェース