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特開2022-146202産業資材用ターポリン、及びこれらを用いたフレキシブルコンテナバッグ並びテント構造物
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  • 特開-産業資材用ターポリン、及びこれらを用いたフレキシブルコンテナバッグ並びテント構造物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146202
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】産業資材用ターポリン、及びこれらを用いたフレキシブルコンテナバッグ並びテント構造物
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/12 20060101AFI20220928BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20220928BHJP
   D03D 15/40 20210101ALI20220928BHJP
   D02G 3/28 20060101ALI20220928BHJP
   D02J 1/00 20060101ALI20220928BHJP
   B65D 88/22 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B32B27/12
D03D1/00 A
D03D1/00 Z
D03D15/00 C
D02G3/28
D02J1/00 A
B65D88/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047042
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000239862
【氏名又は名称】平岡織染株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 友規
【テーマコード(参考)】
3E170
4F100
4L036
4L048
【Fターム(参考)】
3E170AA29
3E170VA16
3E170VA20
3E170WG10
4F100AA20A
4F100AA20C
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK41B
4F100AK47B
4F100AK68A
4F100AK68C
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CA13A
4F100CA13C
4F100CA19A
4F100CA19C
4F100DG01B
4F100DG13B
4F100EC03
4F100EC08
4F100GB16
4F100JB16A
4F100JB16C
4F100JK03
4F100JK17
4L036MA05
4L036MA06
4L036MA33
4L036PA21
4L036PA43
4L036PA47
4L048AA20
4L048AA25
4L048AB08
4L048AB09
4L048AB11
4L048AB12
4L048AB16
4L048BA01
4L048BA02
4L048CA01
4L048CA12
4L048CA15
4L048DA30
4L048EB00
(57)【要約】
【課題】ターポリン本体の引裂強度、接合部強度、及び接合部の耐熱クリープ性に優れた産業資材用ターポリンの提供と、これらターポリンの溶着縫製によって得られる、耐久性に優れたフレキシブルコンテナバッグ、及びテント構造物などの提供。
【解決手段】部分嵩高織物の両面に熱可塑性樹脂層を被覆してなる産業資材用ターポリンであって、部分嵩高織物の経糸群及び緯糸群が、タスラン糸条及び非タスラン糸条を含み、A)経糸群はタスラン糸条(3本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、15~30本/inchの混用密度で配置され、かつ、B)緯糸群はタスラン糸条(2本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、15~30本/inchの混用密度で配置された交織織物とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分嵩高織物の両面に熱可塑性樹脂層を被覆してなる可撓性積層体であって、前記部分嵩高織物が経糸群及び緯糸群とで製織され、前記経糸群及び緯糸群が、タスラン糸条及び非タスラン糸条を含み、A)前記経糸群は、前記タスラン糸条(3本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、15~30本/inchの混用密度で配置され、かつ、B)前記緯糸群は、前記タスラン糸条(2本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、15~30本/inchの混用密度で配置された交織織物であることを特徴とする産業資材用ターポリン。
【請求項2】
前記経糸群及び前記緯糸群の非タスラン糸条の配置単位が2本連続である請求項1に記載の産業資材用ターポリン。
【請求項3】
前記タスラン糸条及び前記非タスラン糸条が三子撚糸で、前記タスラン糸条の撚り数が、前記非タスラン糸条の撚り数よりも少なく、1m長あたり10~50回少ない請求項1または2に記載の産業資材用ターポリン。
【請求項4】
前記タスラン糸条及び前記非タスラン糸条の三子撚糸が、222~555dtexの3本のマルチフィラメント糸条で構成される請求項1~3の何れか1項に記載の産業資材用ターポリン。
【請求項5】
前記非タスラン糸条が、全芳香族ポリエステル繊維、または全芳香族ポリアミド繊維である請求項1~4の何れか1項に記載の産業資材用ターポリン。
【請求項6】
請求項1~4いずれか1項に記載の産業資材用ターポリンの重ね合わせ接合により溶着縫製されたフレキシブルコンテナバッグ、またはテント構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルコンテナバッグ、中大型テント、パビリオン、テント倉庫、などの膜構造物に用いられる産業資材用ターポリンに関する。より詳しくは、ターポリンをラップ接合して溶着縫製したフレキシブルコンテナバッグ及びテント構造物などの産業資材において、優れたラップ接合部の強度、耐熱クリープ性、及びターポリン本体の引裂強度を発現することのできる産業資材用ターポリンに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルコンテナバッグ、中大型テント、パビリオン、テント倉庫などの膜構造物に用いる膜材には、織物基材の両面を可撓性樹脂フィルムで被覆してなるターポリンが使用されている。これらの膜構造物の形成は、複数のターポリンのパーツを繋ぎ合わせ、各々端部同士を熱溶着するラップ接合が汎用的である。ところが、このラップ接合部分では、実質的に可撓性樹脂フィルム同士の溶着のみで一体化された溶着縫製物であるため、ターポリンの強度の要となる織物基材を分断して含む集合体となっていることで、そもそも織物基材に対する可撓性樹脂フィルムの接着力が弱いものだと、ラップ接合部での剥離破壊を生じる問題があった。特にテント膜構造物においては、しばしば台風や積雪荷重によりラップ接合部が糸抜、もしくは剥離してテント膜構造物が破壊する事故が多発し、またフレキシブルコンテナバッグでは、充填物の蓄熱で可撓性樹脂フィルムが軟化し、ラップ接合部が糸抜、もしくは剥離してコンテナバッグの破袋事故を生じている。
【0003】
このようなラップ接合部の破壊事故の防止を目的に以前本出願人は、タスラン糸のような嵩高マルチフィラメント糸条による織物をターポリン基材に用いることで接合部における耐熱クリープ性に優れたターポリンが得られることを見出した。この効果は嵩高マルチフィラメント糸条とすることで糸条の露出表面積を増大させ、可撓性樹脂フィルム層内に多数のフィラメントを取り込み、樹脂との接触面積を大きくすることによる密着力の向上である。しかしながらその反面、多数のフィラメントが可撓性樹脂で強固に密着固定されたことで、ターポリンに物理的衝撃を受けた際にターポリンが破れ易い性状となってしまう欠点を露呈した。そこで再度本出願人らは、ターポリン本体の引裂強度を犠牲にすることなく、接合部における耐熱クリープ性に優れるターポリンの提供を課題として、嵩高状マルチフィラメント糸条(双糸または三子撚糸)と直線状マルチフィラメント糸条とを糸条総繊度比率1:2~2:1で含む部分嵩高合撚糸を含む繊維性基布を用いたターポリン(特許文献1)を提案した。この発明は、嵩高状マルチフィラメント糸条の部分を可撓性樹脂フィルム層に対する投錨接着効果に寄与させ、直線状マルチフィラメント糸条の部分をターポリン本体の引裂強度の維持に寄与させようとする設計で、ターポリン本体の引裂強度、及びラップ接合部の耐熱クリープ性に優れるターポリンの提供を可能とした。しかしながら、この発明では糸条の総繊度が大きい程より効果が顕著となるため、その結果、織物の厚さ増となり、またターポリンの風合いを硬くする難点を有していたことで、特にフレキシブルコンテナ用途では、風合いの改良と、より耐熱クリープ性に優れた産業資材用ターポリンが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-141023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フレキシブルコンテナバッグ、大型テント、パビリオン、テント倉庫、などの膜構造物用途において、ターポリン本体の引裂強度、接合部強度、及び接合部の耐熱クリープ性に優れた産業資材用ターポリンの提供と、これらターポリンの溶着縫製によって得られる、耐久性に優れたフレキシブルコンテナバッグ、及びテント構造物などの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる点を考慮し検討を重ねた結果、産業資材用のターポリン用の織物として、経糸群、経糸群に各々特定混用比率でタスラン糸条及び非タスラン糸条を特定の交織密度で配置してなる特別な部分嵩高織物を用いることによって、ターポリン本体の引裂強度、接合部強度、及び接合部の耐熱クリープ性に優れ、フレキシブルコンテナバッグ、大型テント、パビリオン、テント倉庫、などの膜構造物用途に適して用いられるターポリンが得られることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明の産業資材用ターポリンは、部分嵩高織物の両面に熱可塑性樹脂層を被覆してなる可撓性積層体であって、前記部分嵩高織物が経糸群及び緯糸群とで製織され、前記経糸群及び緯糸群が、タスラン糸条及び非タスラン糸条を含み、A)前記経糸群は、前記タスラン糸条(3本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、15~30本/inchの混用密度で配置され、かつ、B)前記緯糸群は、前記タスラン糸条(2本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、15~30本/inchの混用密度で配置された交織織物であることが好ましい。このような部分嵩高織物を用いることによって、タスラン糸条の嵩高部分(ループ毛羽状、渦巻きコイル)を熱可塑性樹脂層に対する投錨接着効果に寄与させ、非タスラン糸条の部分をターポリン本体の引裂強度の維持に寄与させるという役割分担を成すものである。本願明細書において非タスラン糸条とは、ループ毛羽状、渦巻きコイル状などの嵩高加工が施されていないプレーン糸条を意味する。
【0008】
本発明の産業資材用ターポリンは、前記経糸群及び前記緯糸群の非タスラン糸条の配置単位が2本連続であることが好ましい。この2本の非タスラン糸条の隣接配置を部分嵩高織物内に特定間隔で有することで、ターポリン本体の引裂強度をより優れたものとする。
【0009】
本発明の産業資材用ターポリンは、前記タスラン糸条及び前記非タスラン糸条が三子撚糸で、前記タスラン糸条の撚り数が、前記非タスラン糸条の撚り数よりも少なく、1m長あたり10~50回少ないことが好ましい。このような撚り数の糸条を用いることによって、タスラン糸条の部分を熱可塑性樹脂層に対する投錨接着効果に寄与させ、非タスラン糸条の部分をターポリン本体の引裂強度の維持に寄与させるという役割分担を成す。タスラン糸条の撚り数が、非タスラン糸条の撚り数よりも多いと、熱可塑性樹脂層に対する投錨接着効果と、ターポリン本体の引裂強度の維持とのバランスを悪くする傾向となる。
【0010】
本発明の産業資材用ターポリンは、前記タスラン糸条及び前記非タスラン糸条の三子撚糸が、222~555dtexの3本のマルチフィラメント糸条で構成されることが好ましい。
【0011】
本発明の産業資材用ターポリンは、前記非タスラン糸条が、全芳香族ポリエステル繊維、または全芳香族ポリアミド繊維であることが好ましい。これによって得られるターポリンの引裂強度を飛躍的に向上させることができる。
【0012】
本発明のフレキシブルコンテナバッグ、またはテント構造物は、請求項1~4いずれか1項に記載の産業資材用ターポリンの重ね合わせ接合により溶着縫製されたものであることが好ましい。これによってフレキシブルコンテナバッグ本体、またはテント構造物の引裂強度を低下させることなく、接合部における耐熱クリープ性に優れるフレキシブルコンテナバッグを得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ターポリン本体の引裂強度、接合部強度、及び接合部の耐熱クリープ性に優れた産業資材用ターポリンの提供ができるようになり、これらターポリンの溶着縫製によって形成された、フレキシブルコンテナバッグ、大型テント、パビリオン、テント倉庫、など産業資材において、耐久性に優れた膜構造物の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の産業資材用ターポリンの断面図の一例
図2】本発明に用いる部分嵩高織物の一例
図3】本発明に用いる部分嵩高織物の一例
図4】耐熱クリープ試験片の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の産業資材用ターポリンは、部分嵩高織物の両面に熱可塑性樹脂層を被覆してなる可撓性積層体であって、部分嵩高織物が経糸群及び緯糸群とで製織され、タスラン糸条及び非タスラン糸条を含み、A)経糸群はタスラン糸条(3本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、15~30本/inchの混用密度で配置され、かつ、B)緯糸群はタスラン糸条(2本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、15~30本/inchの混用密度で配置された交織織物であり、経糸群及び緯糸群の非タスラン糸条の配置単位が2本連続するもので、タスラン糸条及び非タスラン糸条が三子撚糸で、タスラン糸条の撚り数が、非タスラン糸条の撚り数よりも少なく、1m長あたり10~50回少なく、タスラン糸条及び非タスラン糸条の三子撚糸が、222~555dtexの3本のマルチフィラメント糸条で構成され、非タスラン糸条が、全芳香族ポリエステル繊維、または全芳香族ポリアミド繊維である態様で、非タスラン糸条とは、ループ毛羽状、渦巻きコイル状などの嵩高加工が施されていないプレーン糸条である。
【0016】
本発明の産業資材用ターポリンに用いる部分嵩高織物は、マルチフィラメントのタスラン糸条及びマルチフィラメントの非タスラン糸条の混用による織布で、織布のタスラン糸条の部分が部分嵩高となる。織布としては平織、綾織、繻子織などが挙げられるが、特に平織織布が得られるターポリンの経・緯方向での物性バランスに優れ好ましい。部分嵩高織物の経糸群・緯糸群を構成するマルチフィラメント糸条は、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレナフタレート)繊維、ナイロン繊維、全芳香族ポリエステル繊維(ポリアリレート繊維)、全芳香族ポリアミド繊維(ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラベンズアミド繊維、パラフェニレン3,4オキシジフェニレンテレフタルアミド共重合繊維から選ばれた1種以上)などの公知の合成繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの公知の無機繊維が使用でき、複数種の糸条、複数種の繊維の混用糸条として用いることもできる。タスラン糸条及び非タスラン糸条は、これら公知の合成繊維、無機繊維から選択され、選択の組み合わせは任意であるが、タスラン糸条及び非タスラン糸条は同一種の繊維であることが好ましい。汎用的にタスラン糸条、非タスラン糸条共にポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)繊維であることが好ましいが、本発明の産業資材用ターポリンの引裂強度を向上させる仕様として、非タスラン糸条に、全芳香族ポリエステル繊維(ポリアリレート繊維)、または全芳香族ポリアミド繊維(ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラベンズアミド繊維、パラフェニレン3,4オキシジフェニレンテレフタルアミド共重合繊維から選ばれた1種以上)を用いることが好ましい。この具体例は、タスラン糸条にポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)繊維を用い、非タスラン糸条に全芳香族ポリアミド繊維(ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維)を用いた仕様である。部分嵩高織物には、必要に応じて接着剤の塗布、樹脂含浸加工、吸水防止処理、防炎処理などを施すことができる。
【0017】
タスラン糸条は、繊度666~1665dtexのタスランマルチフィラメント単糸撚糸(Z撚り、またはS撚り)、繊度333~833dtexのタスランマルチフィラメント単糸2本をZ撚り、またはS撚りで合撚した繊度666~1665dtexの双糸、繊度222~555dtexのタスランマルチフィラメント単糸3本をZ撚り、またはS撚りで合撚した繊度666~1665dtexの三子撚糸が例示でき、これらタスランマルチフィラメントの構成フィラメントは繊度2.2~11dtex、特に2.2~5.5dtexが好ましい。これらのタスラン糸条(単糸、双糸、三子撚糸)の撚数は100~150回/m、特に100~120回/mが好ましく、非タスラン糸条(単糸、双糸、三子撚糸)の撚数よりも10~50回/m少ないこと、特に20~30回/m少ないことが好ましい。例えば278dtexのタスランマルチフィラメント単糸3本を撚り合わせた三子撚糸のタスラン糸条の撚数が120回/mの場合、278dtexのプレーンマルチフィラメント単糸3本を撚り合わせた三子撚糸の非タスラン糸条の撚数は140~150回/mの設計である。タスラン糸条は、流体(主に気体)を使用してループ状の毛羽を発生させ嵩高性を付与する方法で、流体攪拌室(タスランノズル)に供給したマルチフィラメント糸を、高圧乱流体によってフィラメント開繊混繊し、流体の渦の中で激しく衝突することで、巻き込みと絡みのループ毛羽、渦巻きコイル、結び目をランダムに多数発生させ、糸の引取り、糸の仮撚、熱処理を行うことで絡みの強い嵩高糸を得る加工法で、加工条件は種々調整できる。またタスラン糸条として、マルチフィラメント芯糸の開繊に、マルチフィラメント鞘糸の開繊を立体的に絡めてルーズな絡みを多数形成したコアヤーン形態のタスラン複合糸条も含む。タスラン糸条形成時のオーバーフィード率は20~40%、特に20~30%が好ましい。オーバーフィード率が20%未満だとループ毛羽、渦巻きコイルの生成が伴わず、十分な嵩高とならない傾向がある。部分嵩高織物においてタスラン糸条の部分がループ毛羽、渦巻きコイルによる部分嵩高となり、ループ毛羽、渦巻きコイルが熱可塑性樹脂層内に取り込まれる投錨効果となり部分嵩高織物と熱可塑性樹脂層との接着力を増強させ、ターポリン接合部の耐クリープ性、耐熱クリープ性を向上させる。
【0018】
非タスラン糸条は、繊度666~1665dtexのプレーンマルチフィラメント単糸撚糸(Z撚り、またはS撚り)、繊度333~833dtexのプレーンマルチフィラメント単糸2本をZ撚り、またはS撚りで合撚した繊度666~1665dtexの双糸、繊度222~555dtexのプレーンマルチフィラメント単糸3本をZ撚り、またはS撚りで合撚した繊度666~1665dtexの三子撚糸が例示でき、これらプレーンマルチフィラメントの構成フィラメントは繊度2.2~11dtex、特に2.2~5.5dtexが好ましい。本願明細書において非タスラン糸条とは、ループ毛羽状、渦巻きコイル状などの嵩高加工が施されていないプレーン糸条を意味する。これらの非タスラン糸条(単糸、双糸、三子撚糸)の撚数は110~200回/m、特に140~160回/mが好ましく、タスラン糸条(単糸、双糸、三子撚糸)の撚数よりも10~50回/m多いこと、特に20~30回/m多いことが好ましい。例えば278dtexのタスランマルチフィラメント単糸3本を撚り合わせた三子撚糸のタスラン糸条の撚数が120回/mの場合、278dtexのプレーンマルチフィラメント単糸3本を撚り合わせた三子撚糸の非タスラン糸条の撚数は140~150回/mの設計である。タスラン糸条との混用は、同一繊度とし、単糸/単糸、双糸/双糸、三子撚糸/三子撚糸に整合してなる部分嵩高織物が最も好ましい。
【0019】
部分嵩高織物は、経糸群及び緯糸群にタスラン糸条及び非タスラン糸条を含み、A)経糸群はタスラン糸条(3本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、15~30本/inchの混用密度で配置され、かつ、B)緯糸群はタスラン糸条(2本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、15~30本/inchの混用密度で配置された質量120~380g/m2、空隙率(目抜け)5~30%の交織織物で、タスラン糸条の部分が部分嵩高となる。タスラン糸条と非タスラン糸条との混用は、同一繊度とし、単糸/単糸、双糸/双糸、三子撚糸/三子撚糸に整合された態様が最も好ましい。具体的に経糸群におけるタスラン糸条「T」3本:非タスラン糸条「N」1本比率の混用は「TTTN」の繰り返し配置、「TTTTTTNN」の繰り返し配置、「TTTTTNTN」の繰り返し配置、「TTTTNTTN」の繰り返し配置であるが、より高い引裂強度を得るために、非タスラン糸条(N)の配置単位が2本連続した「TTTTTTNN」の繰り返し配置が好ましい。部分嵩高織物(経糸群)における2本の非タスラン糸条「N」の配置は、引揃であっても非引揃であってもよいが非引揃が好ましく、2本間の隙間の有無は問わない。例えば「/」を平織の織交点とすると引揃は「T/T/T/T/T/T/NN/」、非引揃は「T/T/T/T/T/T/N/N/」である。また、具体的に緯糸群におけるタスラン糸条「T」2本:非タスラン糸条「N」1本の比率混用は「TTN」の繰り返し配置、「TTTTNN」の繰り返し配置、「TTTNTN」の繰り返し配置、「TTNTTN」の繰り返し配置であるが、より高い引裂強度を得るために、非タスラン糸条「N」の配置単位が2本連続した「TTTTNN」の繰り返し配置が好ましい。部分嵩高織物(経糸群)における2本の非タスラン糸条「N」の配置は、引揃であっても非引揃であってもよいが、非引揃が好ましく、2本間の隙間の有無は問わない。例えば「/」を平織の織交点とすると引揃は「T/T/T/T/NN/」、非引揃は「T/T/T/T/N/N/」である。従って本発明において好ましい部分嵩高織物は「T/T/T/T/T/T/N/N/」の繰り返し配置の経糸群混用、及び「T/T/T/T/N/N/」の繰り返し配置の緯糸群混用である。
【0020】
本発明の産業資材用ターポリンに用いる熱可塑性樹脂層は、公知の熱可塑性樹脂およびエラストマーにより形成される組成物であり、例えば、軟質塩化ビニル樹脂(可塑剤含有)、塩化ビニル系共重合体樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂(PE,PP)、オレフィン系共重合体樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、フッ素含有共重合体樹脂などであり、これらにはウレタンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、SBR、EPDM、EPMなどの熱可塑性ゴムを補助成分として含んでいてもよい。上記熱可塑性樹脂のうち特に高周波発熱性を有する軟質塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂、ウレタン樹脂、及びフッ素含有共重合体樹脂から選ばれた1種以上を高周波溶着性付与成分として熱可塑性樹脂層に対し50質量%以上含有することが好ましい。これらの熱可塑性樹脂層には、安定剤、フィラー、着色剤、顔料、光輝性顔料、難燃剤、防炎剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防黴剤、抗菌剤、帯電防止剤、架橋剤などの公知の添加剤を任意に用いることができる。
【0021】
熱可塑性樹脂層用フィルムは、例えばT-ダイス押出法、インフレーション法、カレンダー法など公知法により成形することができる。熱可塑性樹脂層用フィルムの厚みに制限はないが、80~800μm、特に160~350μmがフレキシブルコンテナバッグ並びテント構造物に適している。ターポリンは部分嵩高織物の両面に熱可塑性樹脂層用フィルムを積層して得られるもので、予め成形した2層の熱可塑性樹脂層用フィルムを表側、及び裏側用として、金属熱ロール/ゴムロール、ヒーターを装備するラミネーターを通過させ、熱可塑性樹脂層用フィルムを加熱で半溶融軟化させた状態で部分嵩高織物上に熱圧着して得られる。このとき、部分嵩高織物の目抜け空隙部を介在して表側と裏側の熱可塑性樹脂層用フィルム同士が部分的に熱溶融ブリッジ形成することで、熱可塑性樹脂層と部分嵩高織物(ループ毛羽、渦巻きコイル)との接触表面積を増し、さらに熱可塑性樹脂層内にタスラン糸条のループ毛羽、渦巻きコイルが取り込まれることで強固な投錨効果を発揮することで、ターポリン接合部での優れた耐クリープ性、耐熱クリープ性を発現させることを可能とする。ターポリンの接合縫製は、高周波ウエルダー融着法、熱板融着法、熱風融着法、超音波融着法などの熱融着法が可能で、この接合部ではさらに熱可塑性樹脂層と部分嵩高織物(ループ毛羽、渦巻きコイル)との投錨食込効果が強固となる。
【0022】
テント構造物用のターポリンの表面には防汚層が形成されていることが好ましい。防汚層は、防汚塗料の塗布による形成、防汚性フィルムの積層による形成の何れであってもよい。防汚塗料は、例えば、アクリル系樹脂、フッ素系共重合樹脂、アクリル-シリコン共重合樹脂、アクリルーフッ素共重合樹脂、アクリル-ウレタン共重合樹脂、アクリル系樹脂とフッ素系共重合樹脂とのブレンドなど、さらにこれらの樹脂にシリカ微粒子、コロイダルシリカ、オルガノシリケート、シランカップリング剤、紫外線吸収剤などを含んでなる被膜形成能を有する溶剤系、またはエマルジョン系組成物が例示できる。防汚性フィルムは、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、フッ素系樹脂/アクリル系樹脂の2層フィルム、フッ素系樹脂/アクリル系樹脂/塩化ビニル系樹脂の3層フィルムが例示できる。これらの防汚層上には更に、光触媒性無機材料(例えば光触媒性酸化チタン・光触媒性酸化タングステンなど)を含む光触媒層を設けることが親水性セルフクリーニングによる雨筋(煤塵)汚れの防止とすることができる。さらに防汚層には、煤塵付着を抑止するために公知の帯電防止剤(界面活性剤、高分子複素環ポリマー、導電性金属ナノ粒子など)を含有することができる。
【0023】
実施例
本発明を下記の実施例及び比較例を挙げて更に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。
接合体の評価方法
〈経糸方向耐熱クリープ性〉
ターポリンのヨコ方向(緯糸方向)の下端部と、もう一方のターポリンのヨコ方向(緯糸方向)の上端部とを9cm幅で平行に重ね合わせ、9cm幅×30cm長のウエルドバーを装着した高周波ウエルダー溶着機(山本ビニター(株)製YTO-8A型:高周波出力8KW)を用い、陽極電流1.0Aでターポリンを高周波溶着接合して接合体とした。この接合体より9cm幅の溶着接合部をタテ方向の中央に含む、3cm幅×30cm長の試験片を採取し、耐熱クリープ試験片とし、クリープ試験機(東洋精機製作所(株)製:100LDR型)を使用して60℃×40kgf荷重(条件1)、65℃×40kgf荷重(条件2)、70℃×40kgf荷重(条件3)の3条件で経糸方向の耐熱クリープ性を24時間評価した。
〈緯糸方向耐熱クリープ性〉
ターポリンのタテ方向(経糸方向)の下端部と、もう一方のターポリンのタテ方向(経糸方向)の上端部とを9cm幅で平行に重ね合わせ、上記経糸方向耐熱クリープ性評価用試験片の準備と同様の手順によって得た試験片を用い、60℃×40kgf荷重(条件1)、65℃×40kgf荷重(条件2)、70℃×40kgf荷重(条件3)の3条件で緯糸方向の耐熱クリープ性を24時間評価した。
評価基準
1 :24時間経過後、接合部に異変や異常なく良好
2 :24時間未満で接合部が破壊し、試験片が分断した
〈破壊した時間を記録〉
3 :1時間以内に接合部が破壊し、試験片が分断した
〈破壊した時間を記録〉
破壊状態の判断 : 接合部糸抜け破壊(糸の断裂なし),
本体破壊等(糸の断裂あり)
ターポリンの引裂強度
〈JIS L1096:8.17.1 A法〉シングルタング法
1 :経方向240N以上 緯方向290N以上
2 :経方向240N未満 緯方向290N未満
ターポリンの柔軟性
〈JIS L1096:8.21.1 A法〉45°カンチレバー法
試験片の自重による垂れ度合で判断する評価で、カンチレバー試験機の45°傾斜部に試験片の先端が触れるまでの試験片の移動距離(cm)で示し、移動距離が短いほど柔軟性が高いものと判断する。
【0024】
[実施例1]
<部分嵩高織物1>
A)タスラン糸条(T)
オーバーフィード率20%でタスラン加工された250デニール(278dtex)のポリエステル繊維(フィラメント数48本)糸条3本を、S撚り120T/mで三子撚した糸条を用いた。このタスラン糸条にはループ毛羽状、渦巻きコイル状などの嵩高部分を有する。
B)非タスラン糸条(N)
250デニール(278dtex)のポリエステル繊維(フィラメント数48本)糸条3本を、S撚り150T/mで三子撚した糸条を用いた。この非タスラン糸条にはループ毛羽状、渦巻きコイル状などの嵩高部分を有さない。
経糸群配置)
タスラン糸条(3本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、22本/inchの混用密度による「TTTN」の繰り返し配置
緯糸群配置)
タスラン糸条(2本):非タスラン糸条(1本)の混用比率、22本/inchの混用密度による「TTN」の繰り返し配置
上記経糸群及び緯糸群の交絡による平織物(空隙率15%、質量152g/m2)を部分嵩高織物1とした。
<ターポリン1>
部分嵩高織物1の両面上に、下記配合1のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂組成物による厚さ0.28mmのカレンダー成形フィルムを、ラミネーター150℃の金属熱ロール/ゴムロール間で熱圧着して、部分嵩高織物1のループ毛羽状、渦巻きコイル状などの嵩高部分をエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂組成物フィルムに食い込ませて一体化すると同時に、部分嵩高織物1の空隙部15%を介在する表裏フィルム同士のブリッジ積層を行い、部分嵩高織物1の表裏に厚さ0.3mmの熱可塑性樹脂層を形成して、厚さ0.78mm、質量690g/mのターポリン1を得た。
<配合1>エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂組成物
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂
(酢酸ビニル含有率20質量%) 100質量部
シリカ 10質量部
オレフィン用着色剤(白顔料) 1質量部
オレフィン用着色剤(青顔料) 2質量部
有機リン酸エステル系化合物(滑剤) 0.2質量部
【0025】
[実施例2]
実施例1の部分嵩高織物1を部分嵩高織物2に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.78mm、質量690g/mのターポリン2を得た。
<部分嵩高織物2>
経糸群配置)
実施例1のタスラン糸条(3本):実施例1の非タスラン糸条(1本)の混用比率、22本/inchの混用密度による「TTTTTTNN」の繰り返し配置
緯糸群配置)
実施例1のタスラン糸条(2本):実施例1の非タスラン糸条(1本)の混用比率、22本/inchの混用密度による「TTTTNN」の繰り返し配置
上記経糸群及び緯糸群の交絡による平織物(空隙率15%、質量152g/m2)を部分嵩高織物2とした。
【0026】
[実施例3]
実施例1の部分嵩高織物1を部分嵩高織物3に変更し、熱可塑性樹脂層の樹脂を下記配合2の軟質塩化ビニル樹脂組成物に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.75mm、質量840g/mのターポリン3を得た。
部分嵩高織物3は実施例1と同じタスラン糸条(T)を用い、非タスラン糸条(N)には下記C)を用いた平織物(空隙率15%、質量157g/m2)で、経緯のタスラン糸条(T)及び非タスラン糸条(N)の配置は部分嵩高織物1と同一である。
C)非タスラン糸条(N)
250デニール(278dtex)の全芳香族ポリアミド(ポリパラフェニレンテレフタルアミド:フィラメント数166本)糸条3本を、S撚り150T/mで三子撚した糸条を用いた。この非タスラン糸条にはループ毛羽状、渦巻きコイル状などの嵩高部分を有さない。
<ターポリン3>
部分嵩高織物3の両面上に、下記配合2の軟質塩化ビニル樹脂組成物による厚さ0.28mmのカレンダー成形フィルムを、ラミネーター175℃の金属熱ロール/ゴムロール間で熱圧着して、部分嵩高織物3のループ毛羽状、渦巻きコイル状などの嵩高部分を軟質塩化ビニル樹脂組成物フィルムに食い込ませて一体化すると同時に、部分嵩高織物3の空隙部15%を介在する表裏フィルム同士のブリッジ積層を行い、部分嵩高織物3の表裏に厚さ0.28mmの熱可塑性樹脂層を形成して、厚さ0.75mm、質量840g/mのターポリン3を得た。
<配合2>軟質塩化ビニル樹脂組成物
塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
ジイソノニルフタレート(可塑剤) 55質量部
リン酸トリクレジル(防炎可塑剤) 10質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 5質量部
Ba/Zn複合安定剤 2質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ルチル型酸化チタン(白顔料) 5質量部
ベンゾトリアゾール骨格化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
【0027】
[実施例4]
実施例3の部分嵩高織物3を部分嵩高織物4に変更した以外は実施例3と同様として厚さ0.75mm、質量840g/mのターポリン4を得た。
部分嵩高織物4は実施例1と同じタスラン糸条(T)を用い、非タスラン糸条(N)には実施例3のC)を用いた平織物(空隙率15%、質量157g/m2)で、経緯のタスラン糸条(T)及び非タスラン糸条(N)の配置は部分嵩高織物2と同一である。
【0028】
[比較例1]
実施例1の部分嵩高織物1を非嵩高織物に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.78mm、質量688g/mのターポリン5を得た。
非嵩高織物は実施例1と同じ非タスラン糸条(N)を用い、経糸群配置:非タスラン糸条22/inchの密度、緯糸群配置:非タスラン糸条22本/inchの密度による平織物(空隙率20%、質量150g/m2)である。
得られたターポリン5は柔軟で、経緯方向とも引裂強度に優れたものであったが、経緯方向での接合部耐熱クリープ性に極めて劣り、実使用に耐えない性状であった。
【0029】
[比較例2]
実施例1の部分嵩高織物1を嵩高織物に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.78mm、質量692g/mのターポリン6を得た。
嵩高織物は実施例1と同じタスラン糸条(T)を用い、経糸群配置:タスラン糸条22本/inchの密度、緯糸群配置:タスラン糸条22本/inchの密度による平織物(空隙率10%、質量154g/m2)である。
得られたターポリン6は柔軟で、経緯方向とも接合部耐熱クリープ性に極めて優れたものであったが、経緯方向での引裂強度に極めて劣り、実使用に耐えない性状であった。
【0030】
[比較例3]
実施例1の部分嵩高織物1を部分嵩高織物5に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.78mm、質量690g/mのターポリン7を得た。
部分嵩高織物5は実施例1と同じタスラン糸条(T)、及び非タスラン糸条(N)を用い、
経糸群配置)
タスラン糸条(1本):非タスラン糸条(1本)の混用比率1:1、22本/inchの混用密度による「TN」の繰り返し配置
緯糸群配置)
タスラン糸条(1本):非タスラン糸条(1本)の混用比率1:1、22本/inchの混用密度による「TN」の繰り返し配置
として得られた平織物(空隙率18%、質量152g/m2)である。
得られたターポリン7は柔軟で、経緯方向とも引裂強度に優れたものであったが、経緯方向での接合部耐熱クリープ性に劣り、実使用に問題のある性状であった。
【0031】
[比較例4]
実施例1の部分嵩高織物1を部分嵩高織物6に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.78mm、質量690g/mのターポリン8を得た。
部分嵩高織物6は実施例1と同じタスラン糸条(T)、及び非タスラン糸条(N)を用い、
経糸群配置)
タスラン糸条(6本):非タスラン糸条(1本)の混用比率6:1、22/inchの混用密度による「TTTTTTN」の繰り返し配置
緯糸群配置)
タスラン糸条(4本):非タスラン糸条(1本)の混用比率4:1、22本/inchの混用密度による「TTTTN」の繰り返し配置
として得られた平織物(空隙率12%、質量152g/m2)である。
得られたターポリン8は柔軟で、経緯方向とも接合部耐熱クリープ性に優れたものであったが、経緯方向での引裂強度に劣り、実使用に問題のある性状であった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の産業資材用ターポリンは、ターポリン本体の引裂強度、接合部強度、及び接合部の耐熱クリープ性に優れたターポリンの提供ができるようになり、これらターポリンの溶着縫製によって形成された、フレキシブルコンテナバッグ、大型テント、パビリオン、テント倉庫、など産業資材において、耐久性に優れた膜構造物の提供を可能とする。
【符号の説明】
【0035】
1:産業資材用ターポリン(可撓性積層体)
2:部分嵩高織物
2-1:経糸
2-1-1:タスラン糸条
2-1-2:非タスラン糸条
2-2:緯糸
2-2-1:タスラン糸条
2-2-2:非タスラン糸条
3:熱可塑性樹脂層
4:耐熱クリープ試験片
5:接合部
図1
図2
図3
図4