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特開2022-146228動物用ケージ及びその排水・排気兼用管
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  • 特開-動物用ケージ及びその排水・排気兼用管 図1
  • 特開-動物用ケージ及びその排水・排気兼用管 図2
  • 特開-動物用ケージ及びその排水・排気兼用管 図3
  • 特開-動物用ケージ及びその排水・排気兼用管 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146228
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】動物用ケージ及びその排水・排気兼用管
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/03 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
A01K1/03 B
A01K1/03 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047083
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】504000605
【氏名又は名称】藤原 三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100101568
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 三郎
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA11
2B101AA13
2B101BB05
2B101CB06
2B101CC13
2B101FA04
(57)【要約】
【課題】ケージ内に居住する動物の健康状態を良好に保ち得る動物用ケージを提供する。
【解決手段】排水・排気兼用口1は、ケージ背面100RSの内でケージ100内のスノコ10の位置よりも下方に存在し且つケージ床面100BSに当接する部分に配設されている。排水・排気兼用管2は、排水・排気兼用口1に全体的に結合されており、排水・排気兼用管2と排水・排気兼用口1との結合部2Pの近傍に於いて分岐して上方へと延在する排気管3と、排気管3の分岐部3Pより下方へと延在する排水管4とを有する。排水・排気兼用管2は、排水・排気兼用口1より排水・排気兼用管2へ流入したケージ100内の空気を上方へ向けて排気する一方、排水・排気兼用口1より排水・排気兼用管2へ流入したケージ100の洗浄水を下方へ向けて排水する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケージ背面の内で前記ケージ内のスノコの位置よりも下方であって且つ前記ケージ床面に当接する部分に配設された排水・排気兼用口と、
前記排水・排気兼用口に全体的に結合されて前記ケージ背面の外側空間に延在すると共に、前記ケージ床面を洗浄する洗浄水の前記排水・排気兼用口を介した排水とは分離して、前記排水・排気兼用口を介した前記ケージ内の空気の排気を行う排水・排気兼用管と
を備えることを特徴とする、動物用ケージ。
【請求項2】
請求項1に記載の動物用ケージであって、
前記排水・排気兼用管は、前記排水・排気兼用口より前記排水・排気兼用管へ流入した前記ケージ内の空気を上方へ向けて排気する一方、前記排水・排気兼用口より前記排水・排気兼用管へ流入した前記洗浄水を下方へ向けて排水する
ことを特徴とする、動物用ケージ。
【請求項3】
請求項2に記載の動物用ケージであって、
前記排水・排気兼用管は、
前記排水・排気兼用管と前記排水・排気兼用口との結合部の近傍に於いて分岐して上方へと延在する排気管と、
前記排気管の分岐部より下方へと延在する排水管と
を備えることを特徴とする、動物用ケージ。
【請求項4】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の前記排水・排気兼用管を
備えることを特徴とする、動物用ケージの排水・排気兼用管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用ケージ及びその排水・排気兼用管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な目的・構成を有する動物用ケージが提案されている(例えば、特許文献1乃至4を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-176358号公報
【特許文献2】特開2014-023517号公報
【特許文献3】特開2009-225750号公報
【特許文献4】特開昭52-054492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の動物用ケージに於いては、ケージ内に排水口及び排気口の2か所が設けられている。即ち、当該ケージの背面の上面側に当該ケージ内の空気を排気するための排気口が設けられる一方で、当該ケージの背面の床面側に当該床面を洗浄した際の洗浄水を排水するための排水口が設けられている。
【0005】
斯かる構造により、ケージ内に居住する動物の体で、排気口が塞がれてしまうという問題点がある。
【0006】
又、ケージ内の排気口には、埃・ゴミが溜まり易いので、埃・ゴミ止め用の金網を排気口に設けることが必要である。しかし、ケージ内の動物の爪が上記排気口の金網に挟まれる場合があるという問題点がある。
【0007】
更に、上記排気口を介したケージ内の空気の吸引によって、当該空気がケージ内を下部から上部の排気口へと流れるために、粉塵・体毛・臭気・体毛に付着したウィルス又病原菌等が動物の居住空間であるケージ内に舞い上がってしまい、清潔な空間を確保することが出来ないという問題点がある。
【0008】
更に、従来の動物用ケージでは、当該ケージ内の動物が排出・吐出した糞尿・汚物をペットシーツ等に吸着させて回収する方法が採用されているが、斯かる回収方法では、ウィルス又病原菌等の作業者等への空気感染又は接触感染の発生という問題点がある。
【0009】
(発明の目的)
この発明はその様な諸問題点に鑑みて成されたものであり、その主目的は、動物用ケージ内に居住する動物の健康状態を良好に保ち得ると共に、作業者等への病原菌等の空気感染又は接触感染の発生を防止し得る動物用ケージを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主題に係る動物用ケージは、ケージ背面の内で前記ケージ内のスノコの位置よりも下方であって且つ前記ケージ床面に当接する部分に配設された排水・排気兼用口と、前記排水・排気兼用口に全体的に結合されて前記ケージ背面の外側空間に延在すると共に、前記ケージ床面を洗浄する洗浄水の前記排水・排気兼用口を介した排水とは分離して、前記排水・排気兼用口を介した前記ケージ内の空気の排気を行う排水・排気兼用管とを備えることを特徴とする。
【0011】
以下、本発明の様々な具体化を、添付図面を基に、その効果・利点と共に、詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る動物用ケージの構成を模式的に示す図である。
図2】動物用ケージに於ける排水及び排気の様子を模式的に示す図である。
図3】排水・排気兼用管の構成を拡大化して模式的に示す端面図である。
図4】排水・排気兼用管の構成例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
<特徴点>
本実施の形態に於いては、動物用ケージ(以下、単に「ケージ」ともいう。)内の排気管をケージ内に独自に設けずに、ケージの床面を洗浄する水用の排水管と併用することが出来る排気管を設けた点に特徴がある。即ち、ケージ背面の内でケージ内のスノコの位置よりも下方であって且つケージ床面に当接する部分に配設された排水・排気兼用口に結合された排水・排気兼用管は、排水・排気兼用口より流入したケージ内の空気を上方へ向けて排気する一方、排水・排気兼用口より流入したケージ床面の洗浄水を下方へ向けて排水する。以下、図面を参照しつつ、本実施の形態に於ける特徴的構成要素である上記動物用ケージ用の排水・排気兼用管の構成・作用・利点について詳述する。
【0014】
<動物用ケージの構成>
図1(a)は、本実施の形態に係る動物用ケージ100の正面構成を透視する態様で以って模式的に示す図であり、図1(b)は、動物用ケージ100の側面構成を透視する態様で以って模式的に示す図である。図2は、動物用ケージ100に於ける排水及び排気の様子を模式的に示す図である。図3は、排水・排気兼用管2の構成を拡大化して模式的に示す端面図である。更に、図4は、排水・排気兼用管2の具体的構成例を模式的に示す側面図である。尚、図1(a)及び図1(b)では、図示の便宜上、ケージ正面口100Eに配設される正面扉の図示は省略されている。
【0015】
先ず、図1(a)及び図1(b)に於いて、動物用ケージ100は、そのケージ空間100SP内に設けられたステンレス製の棚(図示せず。)の上に敷設されたスノコ10を有しており、動物20はスノコ10の上に載ってケージ空間100SP内で居住する。動物用ケージ100は、例えば、合成樹脂より成る。
【0016】
次に、ケージ空間100SP内には、ケージ正面口100Eに対向した後部のケージ背面100RSの内でスノコ10の位置よりも下方であって且つケ ージ床面100BSに当接する部分に、排水・排気兼用口1が配設されている。この排水・排気兼用口1は、動物用ケージ100の排水口でもあり且つ排気口でもある、外部と繋がった貫通孔である。
【0017】
そして、ケージ背面100RSの後ろ側の外側空間に配設されて延在する排水・排気兼用管2が、結合部2Pに於いて、排水・排気兼用口1に全体的に結合されている。この排水・排気兼用管2は、後述する様に、ケージ床面100BSを洗浄水の排水・排気兼用口1を介した排水とは分離して、排水・排気兼用口1を介したケージ空間100SP内の空気の排気を行う機能を呈する。即ち、構造上、排水・排気兼用管2は、排水・排気兼用管2と排水・排気兼用口1との結合部2Pの外側近傍の分岐部3Pに於いて分岐して上方へと延在して吸引機・排気ダクト(何れも図示せず。)と繋がった排気管3と、排気管3の分岐部3Pより下方へ向けて延在して下水管(図示せず。)と繋がった排水管4とを有する。排気管3と排水管4とが交差して成す、ケージ床部方向の角度θは、所定の角度に設定されるが、好ましくは、角度θは約45度に設定される。図4に例示される様に、例えば、排水・排気兼用管2は、塩ビパイプ(塩ビ管)より構成されており、塩ビ溶接によって、排水管4の湾曲した上面に設けられた開口部の分岐部3Pに、排気管3の一端部は結合される。又、塩ビ溶接によって、結合部2Pに於いて、排水・排気兼用管2は排水・排気兼用口1に結合される。
【0018】
<動物用ケージ100用の排水・排気兼用管2の作用及び利点・効果>
動物用ケージ100のケージ床面100BSを作業者が水で洗浄する際に、洗浄水は、ケージ床面100BSから排水・排気兼用口1を介して排水・排気兼用管2内に流入し、更に、排気管3内に流入すること無く、専ら下方に延在する排水管4内を流れていく。そのため、排気口及びその付近は一般的には埃等が溜まり易い場所ではあるが、斯かる洗浄水の排水・排気兼用管2内への流入に伴って、排水・排気兼用口1は水洗いされ、排水・排気兼用口1に溜まった埃等は洗浄水と共に排水・排気兼用管2の排水管4へと流れて行ってしまうので、排水・排気兼用管2は、ケージ空間100SP内を衛生的に保つことが出来、動物20の健康衛生にとっても良い。しかも、ケージ床面100BS上の動物20が排出・吐出した糞尿等の汚物は、上方へ向かって延びた排気管3内に流入すること無く下水管に繋がった排水管4側へ流れ込んでいくので、排水・排気兼用管2は、排気管3が汚物によって詰まってしまうことを確実に防止することが出来、排水・排気兼用管2及び排気管3を衛生的に清潔に保つことが出来る。そのため、従来の様に作業者が動物用ケージを手前側に引き出してケージ床面上の汚物を取り出して処分する作業(例えばペットシーツ等による汚物の吸着回収方法)が不要となり、糞尿等の汚物の全ては専ら動物用ケージ100の背面裏側の排水・排気兼用管2へと洗い流されていく。その結果、排水・排気兼用管2は、作業者等のウィルス・病原菌の空気感染又は接触感染の発生を確実に防止することが出来、例えば動物病院での院内感染の発生の防止にも寄与し得る。
【0019】
既述の通り、排水・排気兼用口1はケージ床面100BSに直近側のケージ背面100RSの下部に設けられている。そのため、ケージ空間100SP内の空気は、ケージ空間100SPの上方からケージ床面100BS側の下方へ向かってケージ空間100SP内を流れていき、やがて排水・排気兼用口1を通って排水・排気兼用管2へと流入し、専ら排気管3内を流れて強制排気(吸引)される。従って、スノコ10の上側の、動物20の居住空間であるケージ空間100SP内を、臭気・体毛・埃・体毛に付着したウィルス・細菌等を含んだ粉塵が上方へと舞い上がってしまうことが無く(拡散防止)、排水・排気兼用口1及び排水・排気兼用管2は、動物にとって衛生上好ましい清潔なケージ空間100SPを常に確保することが出来る。
【0020】
既述の通り、排気口及び排水口を兼ね備えた排水・排気兼用口1が、ケージ床面100BS側に、一か所だけ配設されている。そのため、排気及び排水のための入口部を別々に設ける必要性は無くなり、しかも、排気口が動物20にとって障害とは成らず、排水・排気兼用口1及び排水・排気兼用管2は、安定した一方向気流をケージ空間100SPの内外に形成することが出来る。勿論、本実施の形態に於いては、動物の体で排気口が塞がれてしまうということも無く、又、埃・ゴミ止め用の金網を排気口に設ける必要も無く、従って、動物の爪が排気口の金網に挟まれる場合も無い。
【0021】
以上の通り、本実施の形態に係る排水・排気兼用口1及び排水・排気兼用管2は、衛生的に見て動物用ケージ100内に居住する動物20の健康状態を良好に保ち得ると共に、作業者等への病原菌等の空気感染又は接触感染の発生を防止し得る動物用ケージ100を提供することが出来る。
【0022】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正及び/又は変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、例えば、動物病院用入院ケージ又は実験動物用飼育ケージ等の動物用ケージに適用して好適である。
【符号の説明】
【0024】
100 動物用ケージ(ケージ)
100RS ケージ背面
100BS ケージ床面
100SP ケージ空間
10 スノコ
1 排水・排気兼用口
2 排水・排気兼用管
3 排気管
4 排水管
3P 分岐部
2P 排水・排気兼用管と排水・排気兼用口との結合部
図1
図2
図3
図4