(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014623
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】PTP包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/36 20060101AFI20220113BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20220113BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B65D75/36
B65D77/20 M
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117048
(22)【出願日】2020-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】399054321
【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519273762
【氏名又は名称】シオノギファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 光則
(72)【発明者】
【氏名】菅野 圭一
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 侑哉
(72)【発明者】
【氏名】内田 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】田村 巧己
(72)【発明者】
【氏名】濱松 伸司
(72)【発明者】
【氏名】古島 健太郎
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB16
3E067AB82
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3E086BB51
3E086CA01
3E086CA28
3E086CA35
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】本発明は、新たに、容器側及び蓋側にアルミニウム層を有しながらも、内容物を取り出す前に、内容物が充填されているか否かを視認することを可能とするPTP包装体を提供する事を主な目的とする。
【解決手段】PTP包装体であって、前記PTP包装体は、容器用シートと、前記容器用シートを覆う蓋材シートとが積層されており、前記容器用シートは、Al層を含み、及び、内容物を収容する為の収容部が形成されており、前記蓋材シートは、Al層を含み、前記蓋材シートは、前記容器用シートと接する側から順に、少なくとも、樹脂層、剥離層、及び前記Al層が積層されており、前記蓋材シートの樹脂層は、光透過性を有し、破断強度が1.0N~4.0Nであり、押出し強度が5.0N~30.0Nである、PTP包装体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレススルーパック包装体であって、
前記プレススルーパック包装体は、容器用シートと、前記容器用シートを覆う蓋材シートとが積層されており、
前記容器用シートは、アルミニウム層を含み、及び、内容物を収容する為の収容部が形成されており、
前記蓋材シートは、アルミニウム層を含み、
前記蓋材シートは、前記容器用シートと接する側から順に、少なくとも、樹脂層、剥離層、及び前記アルミニウム層が積層されており、
前記蓋材シートの樹脂層は、光透過性を有し、破断強度が1.0N~4.0Nであり、押出し強度が5.0N~30.0Nである、
プレススルーパック包装体。
【請求項2】
前記蓋材シートの樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂で形成され、複数の凹部を有し、厚さが6μm~25μmである、
請求項1に記載のプレススルーパック包装体。
【請求項3】
前記容器用シートのアルミニウム層は、厚さが7μm~60μmであり、
前記蓋材シートのアルミニウム層は、厚さが7μm~30μmである、
請求項1又は2に記載のプレススルーパック包装体。
【請求項4】
前記蓋材シートは、前記アルミニウム層と前記剥離層との間に、更に、第2の樹脂層を有し、
前記蓋材シートは、前記容器用シートと接する側から順に、少なくとも、前記樹脂層、前記剥離層、前記第2の樹脂層、及び前記アルミニウム層が積層されている、
請求項1~3いずれかに記載のプレススルーパック包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTP包装体に関する。本発明は、特に、アルミニウム層を含む容器を備えるPTP包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
プレススルーパック(以下「PTP」とも記す)包装体は、密閉性に優れ、光や熱の遮断により、成分の酸化、変質を防ぎ、品質保持の目的で、容器側及び蓋側にアルミニウム層を設けたものが開発されている。
【0003】
特許文献1は、出願人が提供する包装材料であり、PTP包装体として使用できる。この包装材料は、少なくともポリアミド系樹脂フィルム、アルミニウム箔、及び熱接着層を積層され、そのアルミニウム箔が、鉄を0.7質量%以上1.7質量%以下、含み、厚みが7μm以上150μm以下であり、X線回折において(111)面、(100)面、(110)面、及び(311)面の夫々を示す各回折強度の合計である合計回折強度に対する(100)面を示す回折強度の比率が30%以上50%以下であり、且つ前記合計回折強度に対する(110)面を示す回折強度の比率が15%以上40%以下である、包装材料である。
【0004】
この包装材料は、良好な成形性を有する点、この包装材料を成形加工することにより、成形深さが大きい容器、又は、成形割れ等の不良が生じ難い容器を得ることができる点、更に、この容器と蓋材とからなるPTP包装体は、良好なバリアー性(耐湿性及び耐酸素透過性)を示す点等の効果を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、新たに、容器側及び蓋側にアルミニウム層を有しながらも、内容物を取り出す前に、内容物が充填されているか否かを視認することを可能とするPTP包装体を提供する事を主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記のプレススルーパック(PTP)包装体を含む。
【0008】
項1.
プレススルーパック(PTP)包装体であって、
前記プレススルーパック包装体は、容器用シートと、前記容器用シートを覆う蓋材シートとが積層されており、
前記容器用シートは、アルミニウム層を含み、及び、内容物を収容する為の収容部が形成されており、
前記蓋材シートは、アルミニウム層を含み、
前記蓋材シートは、前記容器用シートと接する側から順に、少なくとも、樹脂層、剥離層、及び前記アルミニウム層が積層されており、
前記蓋材シートの樹脂層は、光透過性を有し、破断強度が1.0N~4.0Nであり、押出し強度が5.0N~30.0Nである、PTP包装体。
【0009】
項2.
前記蓋材シートの樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリプロピレン(OPP)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂で形成され、複数の凹部を有し、厚さが6μm~25μmである、前記項1に記載のPTP包装体。
【0010】
項3.
前記容器用シートのアルミニウム層は、厚さが7μm~60μmであり、
前記蓋材シートのアルミニウム層は、厚さが7μm~30μmである、前記項1又は2に記載のPTP包装体。
【0011】
項4.
前記蓋材シートは、前記アルミニウム層と前記剥離層との間に、更に、第2の樹脂層を有し、
前記蓋材シートは、前記容器用シートと接する側から順に、少なくとも、前記樹脂層、前記剥離層、前記第2の樹脂層、及び前記アルミニウム層が積層されている、前記項1~3いずれかに記載のPTP包装体。
【発明の効果】
【0012】
本発明のPTP包装体は、容器側及び蓋側にアルミニウム層を有しながらも、内容物を取り出す前に、内容物が充填されているか否かを視認することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のPTP包装体の一態様を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は以下のPTP包装体を含む。
【0015】
(1)PTP包装体
本発明のPTP包装体は、薬剤等の内容物を封入した包装体である。本発明のPTP包装体は、好ましくは、医薬品(錠剤、カプセル剤等の薬剤)、芳香剤、化学品、菓子類等を収容・保存する、カバーフィルム付きのPTP包装体である。
【0016】
本発明のプレススルーパック(PTP)包装体は、容器用シートと、前記容器用シートを覆う蓋材シートとが積層されており、前記容器用シートは、アルミニウム層(Al層)を含み、及び、内容物を収容する為の収容部が形成されており、前記蓋材シートは、アルミニウム層(Al層)を含み、前記蓋材シートは、前記容器用シートと接する側から順に、少なくとも、樹脂層、剥離層、及び前記Al層が積層されており、前記蓋材シートの樹脂層は、光透過性を有し、破断強度が1.0N~4.0Nであり、押出し強度が5.0N~30.0Nである。
【0017】
本発明のPTP包装体は、好ましくは、前記蓋材シートの樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリプロピレン(OPP)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂で形成され、複数の凹部を有し、厚さが6μm~25μmである。
【0018】
本発明のPTP包装体は、好ましくは、前記容器用シートのAl層は、厚さが7μm~60μmであり、前記蓋材シートのAl層は、厚さが7μm~30μmである。
【0019】
本発明のPTP包装体は、好ましくは、前記蓋材シートは、前記Al層と前記剥離層との間に、更に、第2の樹脂層を有し、前記蓋材シートは、前記容器用シートと接する側から順に、少なくとも、前記樹脂層、前記剥離層、前記第2の樹脂層、及び前記Al層が積層されている。
【0020】
上記特許文献1の包装材料は、容器及び蓋にAl層を含み、封入した状態では中(容器)が視認できないことが有る。この包装材料では、実際に、内容物を取り出すことを試みるまで、中(容器)に所定の内容物(薬剤等)が封入されているか否かを判断することが困難であった。また、開封後に内容物が見当たらない時に、当初、中(容器)に内容物が封入されていなかったのか、或は、開封時に、中(容器)から落下したのかを判断することが困難であった。
【0021】
本発明のPTP包装体は、従来技術に比べて、容器側及び蓋側にAl層を有しながらも、内容物を取り出す前に、内容物が充填されているか否かを視認することが可能である。
【0022】
本発明のPTP包装体は、容器及び蓋にAl層を含み、封入した状態でも、中(容器)を視認できる。本発明のPTP包装体は、実際に、内容物を取り出すことを試みる時に、中(容器)に所定の内容物(薬剤等)が封入されているか否かを判断することができる。本発明のPTP包装体は、開封後に内容物が見当たらない時に、当初、中(容器)に内容物が封入されていなかったのか、或は、開封時に、中(容器)から落下したのかを判断することができる。
【0023】
本発明のPTP包装体は、Al層を含み、内容物を収容する為の収容部が形成された容器用シートと、Al層を含む蓋材シートと、が積層されていることで、容器用シートと蓋材シートとが積層されている。本発明のPTP包装体は、内容物から見ると、全面がAl層で覆われており、密閉性に優れ、光や熱を遮断することができる。本発明のPTP包装体は、内容物の成分の酸化を防ぐことや、変質を防ぐことが可能であり、内容物の品質保持性能に優れている。
【0024】
(2)容器用シート
本発明のPTP包装体は、容器用シートと、前記容器用シートを覆う蓋材シートとが積層されており、前記容器用シートは、アルミニウム層(Al層)を含み、及び、内容物を収容する為の収容部が形成されている。本発明のPTP包装体は、好ましくは、前記容器用シートのAl層は、厚さが7μm~60μmである。
【0025】
容器用シートは、PTP包装体を構成するものの1つであり、薬剤等の内容物を収容する為の収容部が形成されている。収容部は、好ましくは、薬剤を収容可能とする為に、蓋材シート側からみて、凹形状に構成されている。収容部は、好ましくは、列方向及び行方向に、複数設けられている。
【0026】
容器用シートの収容部は、好ましくは、少なくとも1又は2以上形成されている。収容部は、好ましくは、PTP包装体が長方形で有る時、その列方向(長手方向に縦断する方向)、及び行方向(短手方向に横断する方向)に複数設けられている。収容部は、好ましくは、列方向、及び行方向で、共に規則的に配列されている。
【0027】
容器用シートにAl層が含まれている時、その他の材質は、特に限定されない。容器用シートは、Al層以外の材質として、好ましくは、樹脂シート、金属シート、又は、金属シートに樹脂シートを貼り合わせたもの、から適宜選択する。樹脂シートは、好ましくは、ポリプロピレンのシート、ポリ塩化ビニルのシート等を用いる。
【0028】
容器用シートのAl層として、好ましくは、アルミニウム箔(Al箔)、アルミニウム蒸着膜(Al蒸着膜)を有する樹脂シート等を用いる。Al箔を用いる場合、好ましくは、公知のPTPで用いられているAl箔を使用する。
【0029】
容器用シートのAl層(Al箔)は、好ましくは、厚み7μm~60μm程度の(JIS)1N30材、8021材、8079材等の軟質材、半硬質材、又は硬質材を用いる。容器用シートは、好ましくは、Al層(Al箔)の厚みを7μm以上とすることで、収容部は優れた耐湿性、成型性、加工性等を発揮する。容器用シートは、好ましくは、Al層(Al箔)の厚みを60μm以下とすることで、Al層(Al箔)は厚くなく、容器用シートを蓋材シート側に押して、蓋材シート側の樹脂層を突き破って内容物を取り出す際に、内容物を良好に押し出すことができる。
【0030】
容器用シートは、更に、耐湿性や強度を向上させる為に、好ましくは、更に、保護層を備える。保護層は、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)、低密度ポリエチレン(LDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等からなる群から選ばれる樹脂を用いる。容器用シートは、好ましくは、Al層の両面に保護層を備える。
【0031】
容器用シートでは、上記材質の材料を用い、熱又は冷間真空成形、熱又は冷間圧空成形、プラグアシスト成形等により、錠剤等の内容物を収容する為の収容部を成形する。
【0032】
容器の厚みは、特に限定されない。容器の厚みは、好ましくは、通常、50μm~400μm程度である。
【0033】
(3)蓋材シート
本発明のPTP包装体は、容器用シートと、前記容器用シートを覆う蓋材シートとが積層されており、前記蓋材シートは、Al層を含み、前記蓋材シートは、前記容器用シートと接する側から順に、少なくとも、樹脂層、剥離層、及び前記Al層が積層されており、前記蓋材シートの樹脂層は、光透過性を有し、破断強度が1.0N~4.0Nであり、押出し強度が5.0N~30.0Nである。
【0034】
本発明のPTP包装体は、好ましくは、前記蓋材シートの樹脂層は、PET及びOPPからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂で形成され、複数の凹部を有し、厚さが6μm~25μmである。本発明のPTP包装体は、好ましくは、前記容器用シートのAl層は、厚さが7μm~60μmであり、前記蓋材シートのAl層は、厚さが7μm~30μmである。
【0035】
本発明のPTP包装体は、好ましくは、前記蓋材シートは、前記Al層と前記剥離層との間に、更に、第2の樹脂層を有し、前記蓋材シートは、前記容器用シートと接する側から順に、少なくとも、前記樹脂層、前記剥離層、前記第2の樹脂層、及び前記Al層が積層されている。
【0036】
Al層(Al箔)
本発明のPTPの蓋材シートは、Al層を含み、容器用シートと接する側から順に、少なくとも樹脂層、剥離層、及びAl層が積層されている。
【0037】
蓋材シートのAl層は、好ましくは、Al箔、Al蒸着膜を有する樹脂シート等を用いる。蓋材シートにAl箔を用いる場合、好ましくは、公知のPTPで用いられているAl箔を使用する。蓋材シートのAl箔は、好ましくは、厚み7μm~30μm程度の、例えば、(JIS)1N30材、8021材、8079材等の軟質材、半硬質材、又は硬質材を採用する。
【0038】
蓋材シートのAl層(Al箔)は、好ましくは、厚みを7μm以上とすることで、良好に耐湿性、及び加工性を発揮する。蓋材シートのAl層(Al箔)は、好ましくは、厚みを30μm以下とすることで、Al層を剥離する際に、良好に引き剥がし易くなる。
【0039】
蓋材シートのAl層には、好ましくは、適宜、印刷層、着色層、プライマーコート層等を積層し、介在させる。
【0040】
剥離層
蓋材シートの剥離層は、PTPの蓋材シートのAl層を剥離可能に構成されていればよい。蓋材シートの剥離層は、好ましくは、公知の剥離コート、接着剤のパターンコート方法等を採用する。
【0041】
蓋材シートの剥離層として、剥離コートを用いる場合、好ましくは、全面塗り(所謂ベタ塗り)とすることで、非接着状態とすることができる。蓋材シートの剥離層として、剥離コートを用いる場合、好ましくは、部分的に剥離コートを塗布することで、その占有面積に応じた剥離性(弱接着状態)を付与することができる。
【0042】
蓋材シートには、好ましくは、蓋材シートからAl層を良好に引き剥がす為に、指で摘む為の摘み部を備える。蓋材シートの摘み部は、例えば、剥離層において大部分の面で剥離コートが部分コートされており、端部は剥離コートがベタ塗りされて、摘み部を構成する。剥離コートがベタ塗りされた領域の形状は、特に限定されない。
【0043】
剥離コートがベタ塗りされた領域と部分コートされた領域との境界は、好ましくは、曲線を有する形状でも直線形状でもギザギザ形状である。剥離コートがベタ塗りされた領域と部分コートされた領域との境界は、好ましくは、曲線を有する形状とすることで、剥離の際に、Al層が破れ難いという効果を発揮する。
【0044】
剥離コートの塗布量は、特に限定されない。剥離コートの塗布量は、好ましくは、ベタ塗り部(全面塗り、非接着領域)では乾燥後重量で、0.3g/m2~10g/m2程度である。剥離コートの塗布量は、好ましくは、部分コート部(弱接着領域)では乾燥後重量で、0.1g/m2~3g/m2程度である。
【0045】
剥離コートの積層方法は、特に限定されない。剥離コートの積層方法は、好ましくは、剥離コート剤を用いて、ハケ塗り、ローラー、スプレー等の塗布方法、グラビア印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法も適用する。
【0046】
剥離コートの種類は、特に限定されない。剥離コートの種類は、好ましくは、アクリル系、シリコン系、フッ素系からなる群から選択される剥離コート剤を用いる。
【0047】
接着層
蓋材シートの剥離層が剥離コートである場合、好ましくは、蓋材シートAl層と剥離層との間に接着層を備える。これにより、蓋材シートでは、樹脂層に剥離層と接着層とを介してAl層が積層される為、蓋材シートと容器用シートとが積層されている状態では、内容物が四方Al層で覆われて保護される。一方で、蓋材シートでは、接着層は剥離層上に積層されている為、接着層を界面としてAl層が剥離可能となって樹脂層が露出する。
【0048】
蓋材シートは、好ましくは。容器用シートと接する側から順に、少なくとも、(透明)樹脂層(PET、OPP等、第1の樹脂層)、剥離層、接着層、及びAl層が積層される。
【0049】
蓋材シートの接着層は、好ましくは、公知のPTPで用いられている接着剤を使用する。蓋材シートの接着層は、好ましくは、ポリエステル系接着剤、ポリプロピレン系接着剤、ポリ塩化ビニル系接着剤、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体系接着剤等を使用する。
【0050】
蓋材シートの接着層では、好ましくは、接着剤の塗布量は、乾燥後重量で、0.5g/m2~15g/m2程度である。
【0051】
本発明のPTP包装体を作製する時、好ましくは、ヒートシール条件は、通常140℃~260℃程度で、0.1MPa~0.3MPa程度である。本発明のPTP包装体を作製する時、好ましくは、シール後の断面形状は、連続する凹凸状(ギザギザ状)のメッシュシールとしても良い。
【0052】
樹脂層(第1の樹脂層)
蓋材シートの樹脂層は、光透過性を有し、破断強度が1.0N~4.0Nであり、押出し強度が5.0N~30.0Nである。蓋材シートの樹脂層は、好ましくは、複数の凹部を有し、厚みは6μm~25μmである。
【0053】
<樹脂層の凹部形成>
樹脂層に押出し強度の高い樹脂を用いる場合、好ましくは、予め樹脂層に複数の凹部を形成する。樹脂層の凹部は、好ましくは、くぼみであっても貫通孔であっても良い。樹脂層の凹部は、好ましくは、平面視で、樹脂層に、規則的又はランダム状に配置されており、樹脂層1cm2当たり500個~10,000個の範囲内で形成される。樹脂層の凹部は、樹脂層1cm2当たり500個~10,000個の範囲内で形成さることで、凹部同士は連結せず、不用意に破れる虞も無い。
【0054】
樹脂層の凹部形成の加工方法は、特に制限されない。樹脂層の凹部形成の加工方法は、好ましくは、レーザー加工、熱芯による溶融加工、溶剤による溶解加工等で加工する。
【0055】
<樹脂の光透過性>
本発明のPTPの蓋材シートは、樹脂層は、光透過性を有することで、Al層を剥離して、樹脂層が露出した場合に、蓋材シートに貼り合わせた容器用シートの積層表面側が視認可能となる。蓋材シートは、良好に、樹脂層を通して容器用シートの収容部内が視認可能となり、内容物の有無を確認することができる。
【0056】
<樹脂層の破断強度及び押出し強度>
蓋材シートの樹脂層(第1の樹脂層)は、破断強度は1.0N~4.0Nであり、押出し強度は5.0N~30.0Nであることで、蓋材シートからAl層を剥離した時点では樹脂層は破断せず、容器用シート側から内容物を押して樹脂層を突き破って内容物を取り出すことが可能となる。
【0057】
蓋材シートの樹脂層は、破断強度を1.0N以上とすることで、蓋材シートからAl層を剥離する際に、容器用シート側から内容物を押し出さない時は、樹脂層が破断しない。
【0058】
蓋材シートの樹脂層は、押出し強度を30.0N以下とすることで、蓋材シートからAl層を剥離した後に、容器用シート側から内容物を押し出す時に、良好に樹脂層が破断され、内容物を容易に取り出すことができる。
【0059】
蓋材シートは、好ましくは、樹脂層そのものの破断強度を1.0N~4.0Nとし、押出し強度を5.0N~30.0Nとする。蓋材シートは、樹脂層に、好ましくは、例えば破断強度が4.0Nを超える樹脂を用いる場合、樹脂層に窪み、貫通孔等の凹部を形成する処理を施すことで、破断強度を1.0N~4.0Nの範囲とすることができる。
【0060】
<樹脂層の厚み及び種類>
樹脂層(樹脂フィルム)の厚みは、好ましくは、6μm~25μm程度である。樹脂層(樹脂フィルム)は、厚みを6μm以上とすることで、樹脂フィルムの剛性が適度に高く、良好に穴開け加工を施すことができる。樹脂層(樹脂フィルム)は、厚みを25μm以下とすることで、樹脂フィルムの剛性が適度に低く、良好に押出し機能を発揮する。
【0061】
蓋材シートの樹脂層(第1の樹脂層)に用いる樹脂の種類は、特に制限されない。樹脂層に用いる樹脂の種類は、好ましくは、公知の樹脂フィルムを用いる。樹脂層に用いる樹脂の種類は、好ましくは、例えば、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム(例えば、一軸又は二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、無延伸のフィルム(例えば、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)等)、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等)、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、その他各種の樹脂のフィルムを使用する。樹脂層の樹脂のフィルムとして、好ましくは、一軸又は二軸方向に延伸されているフィルム(例えば、OPPフィルム等)、或は無延伸のフィルム(例えば、CPPフィルム等)を用いる。
【0062】
蓋材シートの樹脂層は、好ましくは、PET及びOPPからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂で形成されるフィルムである。
【0063】
蓋材シートは、容器用シートと接する側から順に、少なくとも、樹脂層(PET、OPP等)(第1の樹脂層)、剥離層、及びAl層が積層される。
【0064】
第2の樹脂層(補強層)
本発明のPTP包装体は、好ましくは、蓋材シートは、Al層と剥離層との間に、更に、第2の樹脂層を有し、蓋材シートは、容器用シートと接する側から順に、少なくとも、樹脂層(第1の樹脂層)、剥離層、第2の樹脂層、及びAl層が積層されている。蓋材シートは、Al層と剥離層との間に、好ましくは、樹脂層(第1の樹脂層)とは別の第2の樹脂層を備える。蓋材シートは、好ましくは、Al層と剥離層との間であって、Al層表面に接着剤を介して、第2の樹脂層が積層されており、第2の樹脂層のAl層と対向する面とは、反対側の面が剥離層と接する。
【0065】
蓋材シートは、好ましくは、第2の樹脂層を備えることで、Al層を引き剥がす際に、Al層が破断し難くなり、容易にアルミニウム層を剥離することができる。
【0066】
蓋材シートの第2の樹脂層に用いる樹脂の種類は、特に制限されない。第2の樹脂層に用いる樹脂の種類は、好ましくは、公知の樹脂フィルムを用いる。第2の樹脂層に用いる樹脂の種類は、好ましくは、例えば、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等)、ポリアミド(ナイロン)系フィルム、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、その他各種の樹脂のフィルムを使用する。第2の樹脂層の樹脂のフィルムとして、好ましくは、一軸又は二軸方向に延伸されているフィルム、或は無延伸のフィルムを用いる。
【0067】
蓋材シートは、好ましくは、容器用シートと接する側から順に、少なくとも、樹脂層(第1の樹脂層)、剥離層、第2の樹脂層、及びAl層が積層されている。
【0068】
蓋材シートのその他の構成
本発明のPTP包装体は、好ましくは、蓋材シートに、必要に応じてアンカーコート層、アルミナ、シリカ等の蒸着層、プライマーコート層、印刷層(着色、バーコードを含む)、透明保護層等を設ける。
【0069】
本発明のPTP包装体の蓋材シートにおいて、例えば、印刷層は、任意的な層である。蓋材シートの印刷層の形成方法は、特に限定されない。蓋材シートの印刷層の形成方法は、好ましくは、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等の公知の印刷方法に従う。蓋材シートの印刷層を形成する位置は、特に限定されない。蓋材シートの印刷層を形成する位置は、好ましくは、基材上、カバーフィルム上等であり、好ましくは、2つ以上の印刷層を形成する。
【0070】
蓋材シートの印刷層に印刷する内容は、特に制限されない。蓋材シートの印刷層に印刷する内容は、好ましくは、PTP包装体の用途、使用目的等に応じて適宜決定する。蓋材シートの印刷層に印刷する内容は、好ましくは、例えば、医薬品を包装する場合、いずれかの印刷層に薬剤名、注意書き等を印刷する。
【0071】
本発明のPTP包装体の蓋材シートにおいて、例えば、透明保護層は、任意的な層である。蓋材シートの透明保護層(所謂OP層:オーバープリント層)は、好ましくは、特に印刷層を保護する目的で、必要に応じて形成する。蓋材シートの透明保護層を形成する材質は、好ましくは、公知のPTP包装体で使用されている材料を使用する。蓋材シートの透明保護層は、好ましくは、例えば、ニトロセルロース系樹脂、エポキシ系樹脂等の材質を用いて形成する。蓋材シートの透明保護層を形成する時、ニトロセルロース系樹脂、エポキシ系樹脂等の材質の塗布量は、好ましくは、乾燥後重量で、0.5g/m2~5g/m2程度である。
【0072】
(4)蓋材シートの作製
本発明のPTP包装体の蓋材シートの各層の積層方法は、特に限定されない。蓋材シートの各層の積層方法は、好ましくは、公知の方法に従う。蓋材シートの各層の積層方法は、好ましくは、例えば、ポリエステル、ポリウレタン系接着剤を利用したドライラミネート法、ウェットラミネート法、ヒートラミーネート、押し出しラミネート法、グラビア印刷、ロールコーティング等による塗布積層を採用する。
【0073】
(5)PTP包装体の作製
本発明のPTP包装体の製造方法は、特に限定されず、好ましくは、従来のPTP包装体の製造方法に従って実施する。
【0074】
本発明のPTP包装体では、好ましくは、蓋材シートと容器用シートとを積層する目的で、蓋材シートと容器用シートとの少なくとも一方の最表面に、ヒートシール層を設ける。
【0075】
ヒートシール層は、特に限定されない。ヒートシール層は、好ましくは、公知のPTP包装体で使用されている材料と同様の材料で形成し、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体等の樹脂類を用いる。
【0076】
ヒートシール層の厚みは、好ましくは、通常、乾燥後重量で0.5g/m2~15g/m2程度で形成する。
【0077】
PTP包装体を製造する時、蓋材シートと内容物が収容された容器用シートとを積層し、ヒートシール条件は、好ましくは、通常、140℃~260℃程度で、0.1MPa~0.3MPa程度である。
【0078】
(6)PTP包装体の有用性
本発明のPTP包装体は、容器側及び蓋側にAl層を有しながらも、内容物を取り出す前に、内容物が充填されているか否かを視認することが可能である。
【0079】
本発明のPTP包装体は、容器及び蓋にAl層を含み、封入した状態でも、中(容器)を視認できる。本発明のPTP包装体は、実際に、内容物を取り出すことを試みる時に、中(容器)に所定の内容物(薬剤等)が封入されているか否かを判断することができる。本発明のPTP包装体は、開封後に内容物が見当たらない時に、当初、中(容器)に内容物が封入されていなかったのか、或は、開封時に、中(容器)から落下したのかを判断することができる。
【0080】
本発明のPTP包装体は、Al層を含み、内容物を収容する為の収容部が形成された容器用シートと、Al層を含む蓋材シートと、が積層されていることで、容器用シートと蓋材シートとが積層されている。本発明のPTP包装体は、内容物から見ると、全面がAl層で覆われており、密閉性に優れ、光や熱を遮断することができる。本発明のPTP包装体は、内容物の成分の酸化を防ぐことや、変質を防ぐことが可能であり、内容物の品質保持性能に優れている。
【実施例0081】
以下に実施例を示し、本発明の特徴を一層明確にする。但し、本発明の範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
【0082】
<実施例1>
(1)蓋材シートの作製
蓋材シートとして、厚み12μm、材質1N30、片ツヤ、軟質のアルミニウム箔(
図1のAl箔、Al層)(東洋アルミニウム社製)の一方の面に、接着剤を用いて、厚さ25μmのPETフィルム(
図1のPET(第2の樹脂層))(製品名「E5100」東洋紡績製)を積層した。接着剤は、2液硬化型ドライラミネート用接着剤、主剤として製品名「LX-500」10重量部、硬化剤として製品名「KW75」1重量部(いずれもDICグラフィックス株式会社製)を用いた。接着剤の塗布は、グラビアコートにより、乾燥後重量3.0g/m
2となる塗布量で実施した。接着剤が塗布された塗膜(
図1のAl箔とPET(第2の樹脂層)との間の接着層)を80℃で乾燥した後、60℃で接着した。
【0083】
次いで、貼り合わせたAl箔(
図1のAl箔)と25μmのPETフィルム(
図1のPET(第2の樹脂層))の内のAl箔面に、グラビア印刷により、印刷層(
図1のAl箔側の印刷層、PET(第2の樹脂層)側の印刷層)を設けた。印刷層はテストパターンとして任意のマークとした。
【0084】
次いで、Al箔(Al層)面の印刷層上に、OPコート層(
図1のOPコート)を積層した。OPコート層には、エポキシ系OPコート剤を使用した。エポキシ系OPコート剤の塗布は、グラビアコートにより、乾燥後重量1.6g/m
2となる塗布量で実施した。塗布された塗膜(
図1のOPコート)を180℃で乾燥した。
【0085】
次いで、PETフィルム(
図1のPET(第2の樹脂層))面の印刷層上に、剥離コート層(
図1の剥離層)を積層した。剥離コート剤は、有機溶剤(メチルエチルケトンと酢酸エチルを1:1の重量比で混合したもの)に、アクリル樹脂17重量%及びワックス2重量%を含む液剤を使用した。剥離コート剤の塗布は、グラビアコート(#175で版深度33μmのグラビア版)により、メッシュパターンにて、剥離コート剤が70%(部分コート部、弱接着領域)となる様に塗布した。剥離コート剤が塗布された塗膜(
図1の剥離層)を70℃で乾燥した。
【0086】
次いで、剥離コート層表面に接着剤を用いて厚さ9μmの凹部形成PETフィルム(
図1の凹部形成PET(第1の樹脂層))を積層した。接着剤は、2液硬化型ドライラミネート用接着剤、主剤として製品名「LX-500」10重量部、硬化剤として製品名「KW75」1重量部(いずれもDICグラフィックス株式会社製)を用いた。接着剤の塗布は、グラビアコートにより、乾燥後重量3.0g/m
2となる塗布量で実施した。接着剤が塗布された塗膜(
図1の剥離層と凹部形成PET(第1の樹脂層)との間の接着層)を80℃で乾燥した後、60℃で接着した。
【0087】
凹部形成PET(第1の樹脂層)は、円錐状の突起を用いて平面視ランダム状に凹部数4,000個/cm2、凹部数の平均サイズ9.2×10-4mm2で配置したものとした。
【0088】
次いで、凹部形成PET(
図1の凹部形成PET(第1の樹脂層))表面に、ヒートシール層(
図1のヒートシール層)を積層した。ヒートシール剤は、ポリエステル系熱接着剤を使用した。ヒートシール剤の塗布は、グラビアコートにより、乾燥後重量5.0g/m
2となる塗布量で実施した。
【0089】
次いで、レーザーによって、ヒートシール層側から、凹部形成9μmPETフィルム(
図1の凹部形成PET(第1の樹脂層))に切れ目(
図1の切れ目)を入れ、剥離時に25μmPETフィルム(
図1のPET(第2の樹脂層))と9μm凹部形成PETフィルム(
図1の凹部形成PET(第1の樹脂層))との層間で、剥離させる為の曲線を設けた。
【0090】
【0091】
(2)Al層を含む容器用シートの作製
容器用シートとして、厚み45μm、8079、片ツヤ、軟質のアルミニウム箔(Al箔)(東洋アルミニウム社製)の一方の面に、接着剤を介して、厚さ25μmの市販のナイロン層を積層した。Al箔のもう一方の面には、接着剤を介して、厚さ60μmのPVC(ポリ塩化ビニル)を積層した。
【0092】
次いで、公知の冷間圧空成形により、収容部を成形した。収容部は、長手方向に5個、短方向に2個が、規則的に配列させた。収容部は、1個当たり、短手方向に幅15mm、長手方向に幅12mmの楕円で、高さ4mmの収容部とした。
【0093】
(3)PTP包装体の作製
作製した容器用シートの収容部に赤色のダミー錠剤を入れた後、蓋材シートと容器用シートとを、ヒートシール層(
図1のヒートシール層)を介して、245℃×0.24MPaによりヒートシールして、PTP包装体を作製した。
【0094】
(4)PTP包装体の評価
PTP包装体を、蓋材シートのアルミニウム層(Al層)を引き剥がしたところで、「視認性」として、ダミー錠剤が樹脂層を介して視認可能か否かを評価した。
【0095】
なお、実施例1はn=30とし、それ以外はn=10とした。
【0096】
PTP包装体を、蓋材シートのアルミニウム層(Al層)を引き剥がしたところで、「取り出し性」として、容器用シート側からダミー錠剤を押し出して、取り出し可能か否かを評価した。
【0097】
(A)視認性の評価
○評価:ダミー錠剤が、樹脂層を介して、視認可能となったもの。
×評価:(ア)樹脂層を介してダミー錠剤が視認できなかったもの、(イ)Al層を引き剥がした時点で、樹脂層が無く、ダミー錠剤が露出して、ダミー錠剤が直接取り出し可能になったもの、(ウ)樹脂層が存在するものの、破断又は損傷してダミー錠剤が露出して、ダミー錠剤が直接取り出し可能になったもの。
【0098】
(B)取り出し性の評価
○評価:蓋材シートのAl層を引き剥がした後に、容器シート側からダミー錠剤を押し出して、容易にダミー錠剤が取り出し可能となったもの。
×評価:蓋材シートのAl層を引き剥がした後に、容器シート側からダミー錠剤を押しても、樹脂層が破断せずに、ダミー錠剤が取り出し困難であったもの。
【0099】
(C)破断性(破断強度)の評価
蓋材シートのAl層を引き剥がした後に、先端が半球状で、該半径が0.5mmのポンチを、各蓋材のPET面(
図1の凹部形成PET(第1の樹脂層))側から、50mm/minの速度で突き刺した。そのポンチの貫通に要する最大荷重を測定した。
【0100】
結果には、n=6の平均値を示す。
【0101】
破断強度は、突起物による不用意な破れを想定しており、突刺強度1.0N以上で、破れ難く、破れ防止性が良好であることを示す。
【0102】
(D)押出し性(押出し強度)の評価
上記と同様に各包装体を作製し、蓋材シートのAl層を引き剥がした後に、容器側の底部分を除去した。その除去した部分から、先端半径2.5mmの円柱状の押出し治具を用いて、50mm/minの速度で、錠剤を圧迫した。押出し治具を用いて、錠剤を圧迫し、蓋材が錠剤によって破断する最大荷重を測定した。
【0103】
結果には、n=10の平均値を示す。
【0104】
押出し強度は、5N~30Nの範囲内で良好な内容物取り出し性を示す。
【0105】
実施例1について、(A)視認性、(B)取出し性、(C)破断性、及び(D)押出し性の結果を表1に示す。
【0106】
<実施例2>
実施例2は、実施例1を基準に、凹部形成PET(
図1の凹部形成PET(第1の樹脂層))の厚さを6μmとし、樹脂層の破断強度を1.2Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0107】
<実施例3>
実施例3は、実施例1を基準に、凹部形成PETの厚さを12μmとし、樹脂層の破断強度を1.9Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0108】
<実施例4>
実施例4は、実施例1を基準に、凹部形成PETの厚さを16μmとし、樹脂層の破断強度を2.0Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0109】
<実施例5>
実施例5は、実施例1を基準に、凹部形成PETの厚さを25μmとし、樹脂層の破断強度を2.8Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0110】
<実施例6>
実施例6は、実施例1を基準に、凹部形成PETを、厚さ12μmの凹部形成ポリプロピレンフィルムとし、樹脂層の破断強度を1.7Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0111】
<実施例7>
実施例7は、実施例1を基準に、凹部形成PETを、厚さ6μmの凹部形成未処理のものとし、樹脂層の破断強度を3.2Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0112】
<比較例1>
比較例1は、実施例1を基準に、凹部形成PETを、厚さ12μmの凹部形成未処理のものとし、樹脂層の破断強度を6.1Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0113】
<比較例2>
比較例2は、実施例1を基準に、凹部形成PETを、厚さ25μmの凹部形成未処理のものとし、樹脂層の破断強度を12.9Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0114】
<比較例3>
比較例3は、実施例1を基準に、凹部形成PETの厚さを12μmとし、凹部数を400個/cm2として、樹脂層の破断強度を5.2Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0115】
<比較例4>
比較例4は、実施例1を基準に、凹部形成PETの厚さを12μmとし、凹部数を11,000個/cm2として、樹脂層の破断強度を0.9Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0116】
<比較例5>
比較例5は、蓋材シートに樹脂層(第1の樹脂層)を設けないPTP包装である。
【0117】
(1)蓋材シートの作製
蓋材シートを、136mm幅の厚み20μm、1N30、片ツヤ、軟質のAl箔(東洋アルミニウム社製)の一方の面に、グラビア印刷により印刷層を設けることで作製した。印刷層は、テストパターンとして任意のマークとした。
【0118】
次いで、印刷層上にOPコート層を積層した。コート剤として、エポキシ系OPコート剤を使用した。エポキシ系OPコート剤の塗布は、グラビアコートにより乾燥後重量1.6g/m2となる塗布量で実施した。エポキシ系OPコート剤が塗布された塗膜を180℃で乾燥した。
【0119】
Al箔のもう一方の面に、ヒートシール層を積層した。ヒートシール剤として、ポリエステル系熱接着剤を使用した。ヒートシール剤の塗布は、グラビアコートにより、乾燥後重量5.0g/m2となる塗布量で実施した。
【0120】
上記作製により、蓋材シートを得た。
【0121】
(2)PTP包装体の作製
容器用シートの収容部に赤色のダミー錠剤を入れた後、蓋材シートと容器用シートを、ヒートシール層を介して、225℃×24MPaによりヒートシールして、PTP包装体を作製した。
【0122】
<比較例6>
比較例6は、実施例1を基準に、凹部形成PETを、厚さ15μmの凹部形成NY(ナイロン樹脂の層)とし、樹脂層の破断強度を5.4Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0123】
<比較例7>
比較例7は、実施例1を基準に、凹部形成PETを、厚さ30μmの凹部形成PETとし、樹脂層の破断強度を4.7Nとした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
【0124】
実施例2~7及び比較例1~7について、実施例1と同様に、評価を行い、(A)視認性、(B)取出し性、(C)破断性、及び(D)押出し性の結果を表1に示す。
【0125】
【0126】
実施例の評価結果の考察
実施例の視認性において○のものは、n=10及びn=30の全てにおいて、ダミー錠剤が、樹脂層を介して、視認可能であった。
【0127】
本発明のPTP包装体は、容器にも蓋にもアルミニウム層を有しながらも、蓋材のアルミニウム層を引き剥がすことで樹脂層が視認可能となり、且つ樹脂層が光透過性であるために内容物を視認することができると評価できる。
【0128】
本発明のPTP包装体は、また、樹脂層の破断強度が1.0N~4.0N、且つ、押出し強度が5.0N~30.0Nであることで、容器側から内容物を押し出す時に、樹脂層が破断し、内容物を確認した上で、取り出すことが容易であると評価できる。