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  • 特開-濃度測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146243
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】濃度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047102
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀和
(72)【発明者】
【氏名】五所尾 康博
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑弥
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB04
2G059DD12
2G059EE01
(57)【要約】
【課題】気泡の影響を受けずに光学的な濃度の測定を実施する。
【解決手段】測定配管101は、管状とされ、測定対象の処理液が流れる。測定配管101は、管軸方向に液体の領域121と気体の領域122とを分けるように気液界面が形成され、管軸方向に液体の領域121と気体の領域122とが交互に存在して流れる状態となる内径とされている。例えば、測定配管101は、処理液と気体との間で毛管現象が発現する範囲の管径とされている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸方向に液体の領域と気体の領域とを分けるように気液界面が形成され、管軸方向に液体の領域と気体の領域とが交互に存在して流れる状態となる内径とされた測定対象の処理液が流れる管状の測定配管と、
前記測定配管を流れる前記処理液の光透過特性を測定する測定器と、
前記測定器が測定した光透過特性より前記処理液の濃度を求めるように構成された処理部と
を備える濃度測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の濃度測定装置において、
前記測定配管は、透明な材料から構成され、
前記測定器は、前記測定配管の管壁を通して前記測定配管を流れる前記処理液の光透過特性を測定することを特徴とする濃度測定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の濃度測定装置において、
前記処理部は、設定されている基準範囲の光透過特性より前記処理液の濃度を求めることを特徴とする濃度測定装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の濃度測定装置において、
前記測定配管は、前記処理液が輸送される主配管から分岐して接続し、前記主配管から見て大地の側に配置されていることを特徴とする濃度測定装置。
【請求項5】
請求項4記載の濃度測定装置において、
前記測定配管は、前記主配管から分岐して大地の側に向かう第1測定配管と、
前記第1測定配管に連続し、大地に対して略平行な方向、または大地の側に前記処理液が流れる第2測定配管とを有し、
前記測定器は、前記第2測定配管を流れる前記処理液の光透過特性を測定する
ことを特徴とする濃度測定装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の濃度測定装置において、
前記測定配管は、大地の側から離れる方向に前記処理液が流れる第1測定配管と、
前記第1測定配管の途中に接続して分岐し、大地に対して略平行な方向に前記処理液が流れる第2測定配管とを有し、
前記測定器は、前記第2測定配管を流れる前記処理液の光透過特性を測定する
ことを特徴とする濃度測定装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の濃度測定装置において、
前記測定配管は、前記処理液と気体との間で毛管現象が発現する範囲の管径とされていることを特徴とする濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程においては、様々な溶液が処理液として使用され、処理液の使用に関しては、製品の歩留の向上、安全性や作業効率などの観点から、濃度管理が重要である。この種の濃度測定では、一般に処理液の吸光度をもとに濃度を求めるようにしている。
【0003】
しかしながら、このような光学的な測定では、測定対象の液中に発生する気泡が、測定の障害となる。多数の気泡が発生している状態では、光学的な測定の光路上に、屈折率が変化する気体と液体との界面(気液界面)が存在するため、測定の障害となる。
【0004】
この気泡の問題に対し、予め決めておいた閾値と比較して、光学的な測定結果が気泡の影響を受けているかを判断し、気泡の影響を受けていない測定結果を用いて濃度を求める技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-247937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、測定対象の溶液の光学的に測定している箇所に発生する気泡の状態(気泡の数、気泡の大きさ、気泡の移動速度)は、一定ではない。このため、前述した技術では、閾値を決定した際の気泡状態に対し、測定しているときの気泡状態が変化することが発生し得る。この場合、測定結果が、気泡の影響を受けているか否かが正確に判定できない。
【0007】
さらに、測定箇所に常に気泡が発生している場合、気泡の影響がない状態が存在せず、気泡の影響を受けずに測定することができない。例えば、アンモニアと過酸化水素とを用いた水溶液では、溶解する成分同士の反応により、高温で発泡するため、このような状態では、気泡の影響を受けない状態での測定が困難である。
【0008】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、気泡の影響を受けずに光学的な濃度の測定ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る濃度測定装置は、管軸方向に液体の領域と気体の領域とを分けるように気液界面が形成され、管軸方向に液体の領域と気体の領域とが交互に存在して流れる状態となる内径とされた測定対象の処理液が流れる管状の測定配管と、測定配管を流れる処理液の光透過特性を測定する測定器と、測定器が測定した光透過特性より処理液の濃度を求めるように構成された処理部とを備える。
【0010】
上記濃度測定装置の一構成例において、測定配管は、透明な材料から構成され、測定器は、測定配管の管壁を通して測定配管を流れる処理液の光透過特性を測定する。
【0011】
上記濃度測定装置の一構成例において、処理部は、設定されている基準範囲の光透過特性より処理液の濃度を求める。
【0012】
上記濃度測定装置の一構成例において、測定配管は、処理液が輸送される主配管から分岐して接続し、主配管から見て大地の側に配置されている。
【0013】
上記濃度測定装置の一構成例において、測定配管は、主配管から分岐して大地の側に向かう第1測定配管と、第1測定配管に連続し、大地に対して略平行な方向、または大地の側に処理液が流れる第2測定配管とを有し、測定器は、第2測定配管を流れる処理液の光透過特性を測定する。
【0014】
上記濃度測定装置の一構成例において、測定配管は、大地の側から離れる方向に処理液が流れる第1測定配管と、第1測定配管の途中に接続して分岐し、大地に対して略平行な方向に処理液が流れる第2測定配管とを有し、測定器は、第2測定配管を流れる処理液の光透過特性を測定する。
【0015】
上記濃度測定装置の一構成例において、測定配管は、処理液と気体との間で毛管現象が発現する範囲の管径とされている。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、測定配管を、管軸方向に液体の領域と気体の領域とが交互に存在して流れる状態となる内径としたので、気泡の影響を受けずに光学的な濃度の測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る濃度測定装置の構成を示す構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態2に係る濃度測定装置の構成を示す構成図である。
図3図3は、本発明の実施の形態3に係る濃度測定装置の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る濃度測定装置について説明する。
【0019】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1に係る濃度測定装置について、図1を参照して説明する。この濃度測定装置は、測定配管101、測定器102、処理部103を備える。
【0020】
測定配管101は、管状とされ、測定対象の処理液が流れる。測定配管101は、管軸方向に液体の領域121と気体の領域122とを分けるように気液界面が形成され、管軸方向に液体の領域121と気体の領域122とが交互に存在して流れる状態となる内径とされている。例えば、測定配管101は、処理液と気体との間で毛管現象が発現する範囲の管径とされている。
【0021】
測定器102は、測定配管101を流れる処理液の光透過特性を測定する。測定器102は、例えば、光源102aと、光源102aから出射され、測定対象の処理液を透過した透過光の光透過特性を測定する測定部102bとから構成されている。測定部102bでは、例えば、空気を透過したときの光強度を基準とし、処理液を透過した透過光の光強度を基準の光強度で除することで、処理液の光透過特性として吸光度を求めて出力することができる。測定器102は、よく知られた吸光光度計とすることができる。また、測定器102は、よく知られた分光光度計とすることができる。処理部103は、測定器102が測定した光透過特性より、処理液における目的とする成分の濃度を求める。
【0022】
測定配管101は、透明な材料から構成され、測定器102は、測定配管101の管壁を通して測定配管101を流れる処理液の光透過特性を測定する。また、実施の形態1において、処理部103は、設定されている基準範囲の光透過特性より処理液における目的の成分の濃度を求める。
【0023】
前述したように、測定配管101においては、処理液が、管軸方向に液体の領域121と気体の領域122とが交互に存在して流れる状態となるので、測定器102における光学的な測定の光路上に、屈折率が変化する気液界面が存在する状態が発生しない。言い換えると、測定配管101を用いた測定では、測定のタイミングによって、測定器102による測定対象が、液体の領域121のみとすることができる。
【0024】
ここで、例えば、測定配管101を構成する材料により、管内に処理液が存在しない箇所(気体の領域122)は、測定配管101を光が透過しない場合と光が透過する場合とがある。管内に処理液が存在しない箇所でも光が透過する場合、測定される気体の領域122の光透過特性は、液体の領域121の光透過特性より大きい値となる。例えば、この場合、気体の領域122の吸光度はほぼ1となる。一方、管内に処理液が存在しない箇所では光が透過しない場合、測定される気体の領域122の光透過特性は、ほぼ0となる。
【0025】
このように、液体の領域121と気体の領域122とは、測定される光の透過特性(分光、光スペクトルなど)が、明らかに異なる状態となる。従って、上述した気体の領域122の光透過特性を除く範囲を基準範囲とする。測定された光の透過特性が、上述した基準範囲に入っていれば、この測定結果は、液体の領域121の光透過特性とすることができる。
【0026】
このように、実施の形態1によれば、測定のタイミングによって、測定器102による測定対象が、液体の領域121のみとすることができるので、基準範囲となっている測定結果は、液体の領域121の光透過特性とすることができ、気泡の影響を受けずに光学的な濃度の測定ができるようになる。
【0027】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る濃度測定装置について、図2を参照して説明する。この濃度測定装置は、測定配管201、測定器102、処理部203を備える。測定器102は、前述した実施の形態1と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0028】
測定配管201は、管状とされ、測定対象の処理液が流れる。測定配管201は、管軸方向に液体の領域と気体の領域とを分けるように気液界面が形成され、管軸方向に液体の領域と気体の領域とが交互に存在して流れる状態となる内径とされている。例えば、測定配管201は、処理液と気体との間で毛管現象が発現する範囲の管径とされている。測定配管201は、透明な材料から構成され、測定器102は、測定配管201の管壁を通して測定配管201を流れる処理液の光透過特性を測定する。
【0029】
また、測定配管201は、処理液が輸送される主配管111から分岐して接続し、主配管111から見て大地の側に配置されている。実施の形態2において、測定配管201は、主配管111から分岐して大地の側に向かう第1測定配管201aと、第1測定配管201aに連続し、大地に対して略平行な方向に処理液が流れる第2測定配管201bとを有する。実施の形態2において、測定器102は、第2測定配管201bを流れる処理液の光透過特性を測定する。
【0030】
処理部203は、測定器102が測定した光透過特性より処理液における目的の成分の濃度を求める。実施の形態2によれば、主配管111を流れる処理液に気泡が発生しても、発生した気泡が、主配管111より大地の側に配置されている測定配管201に入ることがない。このため、測定器102による測定対象は、処理液のみとなる。この結果、実施の形態2によれば、気泡の影響を受けずに光学的な濃度の測定ができるようになる。
【0031】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る濃度測定装置について、図3を参照して説明する。この濃度測定装置は、測定配管301、測定器102、処理部203を備える。測定器102は、前述した実施の形態1と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0032】
測定配管301は、管状とされ、測定対象の処理液が流れる。測定配管301は、管軸方向に液体の領域と気体の領域とを分けるように気液界面が形成され、管軸方向に液体の領域と気体の領域とが交互に存在して流れる状態となる内径とされている。例えば、測定配管301は、処理液と気体との間で毛管現象が発現する範囲の管径とされている。測定配管301は、透明な材料から構成され、測定器102は、測定配管301の管壁を通して測定配管301を流れる処理液の光透過特性を測定する。
【0033】
実施の形態3において、測定配管301は、第1測定配管301aと第2測定配管301bとを備える。第1測定配管301aは、大地の側から離れる方向に処理液が流れるものとされている。第1測定配管301aは、例えば、大地に対して管軸が垂直とされ、理液は、大地の側から上方に流れていく。第2測定配管301bは、第1測定配管301aの途中に接続して分岐し、大地に対して略平行な方向、または大地の側に処理液が流れるものとされている。第2測定配管301bは、例えば、管軸が第1に対して略平行な状態、または、大地の側に傾いている。実施の形態3において、測定器102は、第2測定配管301bを流れる処理液の光透過特性を測定する。
【0034】
処理部203は、測定器102が測定した光透過特性より処理液における目的の成分の濃度を求める。実施の形態3によれば、第1測定配管301aを流れる処理液に気泡が発生しても、発生した気泡は、第1測定配管301aを上昇し、第2測定配管301bに入ることがない。このため、測定器102による測定対象は、処理液のみとなる。この結果、実施の形態3によれば、気泡の影響を受けずに光学的な濃度の測定ができるようになる。
【0035】
以上に説明したように、本発明によれば、測定配管を、管軸方向に液体の領域と気体の領域とが交互に存在して流れる状態となる内径としたので、気泡の影響を受けずに光学的な濃度の測定ができるようになる。
【0036】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0037】
101…測定配管、102…測定器、102a…光源、102b…測定部、103…処理部、…液体の領域、…気体の領域。
図1
図2
図3