(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146266
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/0968 20060101AFI20220928BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220928BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220928BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220928BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220928BHJP
【FI】
G08G1/0968
G01C21/26 B
G09B29/00 A
G09B29/10 A
G06T7/00 650A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047145
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 武志
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
2C032HB05
2C032HB22
2C032HC08
2C032HC27
2C032HD03
2C032HD07
2C032HD16
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC06
2F129DD29
2F129DD40
2F129EE02
2F129EE62
2F129EE72
2F129GG17
2F129HH12
2F129HH25
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA66
5L096HA08
5L096JA11
5L096JA18
(57)【要約】
【課題】高速道路か一般道路かを高精度に判定することが可能なナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】画像取得部31は、位置センサ41によって検出される現在位置と地図データ44とに基づいて、現在位置と高速道路との距離が予め定めた基準値以下か否かを判定し、当該距離が当該基準値以下である場合にカメラ2によるカメラ画像36を取得する。画像解析部33は、カメラ画像36に高速道路特有の特徴点が含まれているか否かを解析する。判定部34は、カメラ画像36に高速道路特有の特徴点が含まれている場合に、現在位置を高速道路上と判定し、当該判定結果をナビゲーション装置4へ通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向を撮影するカメラと、
前記カメラを制御するカメラ制御部と、
位置センサを用いて前記車両の現在位置を検出し、地図データに基づく地図上に前記車両の現在位置を表示するナビゲーション装置と、
を有し、
前記カメラ制御部は、
前記位置センサによって検出される前記現在位置と前記地図データとに基づいて、前記現在位置と高速道路との距離が予め定めた基準値以下か否かを判定し、前記距離が前記基準値以下である場合に前記カメラによるカメラ画像を取得する画像取得部と、
前記カメラ画像に前記高速道路特有の特徴点が含まれているか否かを解析する画像解析部と、
前記カメラ画像に前記高速道路特有の特徴点が含まれている場合に、前記現在位置を前記高速道路上と判定し、当該判定結果を前記ナビゲーション装置へ通知する判定部と、
を有する、
ナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記画像解析部は、さらに、前記画像取得部で取得した前記カメラ画像に一般道路特有の特徴点が含まれているか否かを解析し、
前記判定部は、前記カメラ画像に一般道路特有の特徴点が含まれている場合に、前記現在位置を前記一般道路上と判定し、当該判定結果を前記ナビゲーション装置へ通知する、
ナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記高速道路特有の特徴点の一つは、所定の下地に所定の色で料金所と書かれた案内板である、
ナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項2記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記一般道路特有の特徴点の一つは、信号機である、
ナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、料金収受処理を行なう車載端末装置と、ナビゲーション装置とを備え、高速道路の下に一般道路が存在する場合に、車載端末装置による料金収受の履歴情報に基づいて有料道路か一般道路かを判定する移動体案内装置が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーション装置は、高速道路と一般道路とが並走する箇所では、高速道路か一般道路かを判定する必要がある。この判定を実現するため、一般的なナビゲーション装置は、ジャイロセンサや加速度センサを用いて傾斜を走行したか否かを検出、すなわち高速道路への進入有無を検出している。一方、特許文献1には、このようなセンサを用いた場合の誤判定を補正するため、車載端末装置(すなわちETC車載器)による料金収受の履歴情報に基づく判定方式が示される。しかし、特許文献1の方式を用いた場合でも、例えば、料金の先払い/後払いの違い等によって、誤判定が生じる恐れがあった。
【0005】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、高速道路か一般道路かを高精度に判定することが可能なナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のナビゲーションシステムは、車両の進行方向を撮影するカメラと、カメラを制御するカメラ制御部と、位置センサを用いて車両の現在位置を検出し、地図データに基づく地図上に車両の現在位置を表示するナビゲーション装置と、を有する。カメラ制御部は、画像取得部と、画像解析部と、判定部と、を有する。画像取得部は、位置センサによって検出される現在位置と地図データとに基づいて、現在位置と高速道路との距離が予め定めた基準値以下か否かを判定し、当該距離が当該基準値以下である場合にカメラによるカメラ画像を取得する。画像解析部は、カメラ画像に高速道路特有の特徴点が含まれているか否かを解析する。判定部は、カメラ画像に高速道路特有の特徴点が含まれている場合に、現在位置を高速道路上と判定し、当該判定結果をナビゲーション装置へ通知する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高速道路か一般道路かを高精度に判定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態によるナビゲーションシステムの主要部の構成例を示す概略図である。
【
図2】
図1のナビゲーションシステムの主要部の動作例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
《ナビゲーションシステムの構成》
図1は、本発明の一実施の形態によるナビゲーションシステムの主要部の構成例を示す概略図である。
図1に示すナビゲーションシステム1は、カメラ2と、カメラ制御部3と、ナビゲーション装置4とを有する。カメラ2は、CMOS(Complementary MOS)センサまたはCCD(Charge Coupled Device)センサ等のイメージセンサを含む。カメラ2は、例えば、車両に設置され、車両の進行方向を撮影する。カメラ制御部3は、当該カメラ2を制御する。ナビゲーション装置4は、主に、ユーザの要求に応じて目的地へのルート案内を行う。
【0011】
カメラ制御部3は、互いにバス35で接続されたメモリ30、画像取得部31、通信インタフェース(通信IFと略す)32、画像解析部33および判定部34を有する。メモリ30は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリとの組み合わせで構成される。通信IF32は、例えば、CAN(Controller Area Network)またはLIN(Local Interconnect Network)等の車載ネットワークインタフェースである。
【0012】
画像取得部31は、通信IF32を介してカメラ2を制御し、カメラ2からのカメラ画像36を取得する。そして、画像取得部31は、取得したカメラ画像36をメモリ30に保存する。また、詳細は後述するが、画像解析部33は、メモリ30に保存されたカメラ画像36を、メモリ30に予め保存された解析用データ37を用いて解析する。判定部34は、画像解析部33の解析結果に基づいて、車両の現在位置が高速動作上か一般道路上かを判定し、当該判定結果を通信IF32を介してナビゲーション装置4へ通知する。
【0013】
ナビゲーション装置4は、通信IF40と、位置センサ41と、メモリ42と、ディスプレイ43とを備える。位置センサ41は、車両の現地位置を検出するGPS(Global Positioning System)センサ等である。通信IF40は、CANまたはLIN等の車載ネットワークインタフェースであり、カメラ制御部3の通信IF32と通信する。メモリ42は、例えば、RAMと不揮発性メモリとの組み合わせで構成され、予め地図データ44が保存される。このような構成により、ナビゲーション装置4は、主に、位置センサ41を用いて車両の現在位置を検出し、ディスプレイ43を介して、地図データ44に基づく地図上に当該車両の現在位置を表示する。
【0014】
ここで、カメラ制御部3は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)を構成する配線基板に搭載されたマイクロコントローラ等によって実現される。この場合、画像取得部31、画像解析部33および判定部34は、主に、マイクロコントローラ内のプロセッサが、マイクロコントローラ内のメモリ30に格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0015】
ただし、カメラ制御部3は、これに限らず、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアで実現されてもよく、または、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実現されてもよい。さらに、カメラ制御部3は、ナビゲーション装置4に搭載されてもよい。この場合、カメラ制御部3は、ナビゲーション装置4内のマイクロコントローラ等で実現される。そして、ナビゲーション装置4が、通信IFを介してカメラ2を制御する。
【0016】
《ナビゲーションシステムの動作》
図2は、
図1のナビゲーションシステムの主要部の動作例を示すフロー図である。
図3および
図4は、
図2の動作例を説明する補足図である。
図2において、まず、ナビゲーション装置4は、イグニッションスイッチのオンまたはユーザによる起動操作等に応じて前回終了時の案内モードで起動する(ステップS101)。案内モードには、高速道路モードと、一般道路モードとが含まれる。
【0017】
続いて、カメラ制御部3内の画像取得部31は、位置センサ41によって検出される車両の現在位置を取得する(ステップS102)。また、画像取得部31は、地図データ44に基づき高速道路の位置を取得し、車両の現在位置と高速道路との距離Lを算出する(ステップS103)。ステップS102,S103に際し、画像取得部31は、
図1の例では、通信IF32を介して車両の現在位置および高速道路の位置を取得する。ただし、カメラ制御部3がナビゲーション装置4内に設けられる場合には、通信IF32を介する必要はない。
【0018】
次いで、画像取得部31は、ステップS103で算出した車両の現在位置と高速道路との距離Lが予め定めた基準値Lr以下か否かを判定する(ステップS104)。そして、画像取得部31は、距離Lが基準値Lr以下である場合、カメラ2によるカメラ画像36を取得し、メモリ30に保存する(ステップS105)。この際に、画像取得部31は、カメラ2が未起動の場合には、カメラ2を起動させたのちにカメラ画像36を取得する。すなわち、カメラ2は、例えば、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)用カメラ等であってもよく、この場合、カメラ2は、常時起動されていることになる。
【0019】
一方、画像取得部31は、ステップS104での判定によって距離Lが基準値Lrよりも長い場合には、ナビゲーション装置4が動作している限りステップS102に戻り、所定の制御周期で同様の処理を繰り返す(ステップS113:No)。なお、基準値Lrは、例えば、1km等に定められる。
【0020】
ステップS105の後、カメラ制御部3内の画像解析部33は、メモリ30に保存されたカメラ画像36を解析する(ステップS106)。具体的には、画像解析部33は、カメラ画像36に高速道路特有の特徴点が含まれているか否かを解析し、また、カメラ画像36に一般道路特有の特徴点が含まれているか否かを解析する。そして、カメラ制御部3内の判定部34は、ステップS106での解析結果に基づいて、車両の現在位置が高速道路上か一般道路上かを判定する(ステップS107)。
【0021】
図3および
図4には、高速道路で取得されたカメラ画像36の一例が示される。
図3に示すカメラ画像36aには、緑地に白色で“YY料金所”と書かれた案内板50や、紫地に白色で“ETC専用”と書かれた案内板51や、緑地に白色で“一般”と書かれた案内板52等が含まれている。
図4に示すカメラ画像36bには、緑地に白色で“料金所 70m”と書かれた案内板53や、緑地に白色で“ETC専用”と書かれた案内板54等が含まれている。
【0022】
これらの案内板50~54は、一般道路には存在せず、高速道路特有の特徴点となり得る。そこで、
図2のステップS106において、画像解析部33は、カメラ画像36に、高速道路特有の特徴点である案内板50~54等のいずれかが含まれているか否かを解析する。なお、高速道路特有の特徴点は、勿論、案内板50~54に限定されず、高速道路のみに存在するものであればよい。
【0023】
同様に、図示は省略されるが、一般道路で取得されたカメラ画像36には、例えば、信号機や横断歩道等が含まれ得る。信号機や横断歩道等は、高速道路には存在せず、一般道路特有の特徴点となり得る。また、一般道路特有の特徴点は、例えば、高速道路の出口を表す案内板等であってもよい。そこで、
図2のステップS106において、画像解析部33は、カメラ画像36に、一般道路特有の特徴点である各種オブジェクトのいずれかが含まれているか否かを解析する。なお、ステップS106の際に、高速道路特有の特徴点のデータおよび一般道路特有の特徴点のデータは、解析用データ37として予めメモリ30に保存される。
【0024】
ステップS106の後、判定部34は、画像解析部33の解析結果を受けて、カメラ画像36に高速道路特有の特徴点が含まれている場合には、車両の現在位置を高速道路上と判定し、当該判定結果をナビゲーション装置4へ通知する(ステップS108:Yes,ステップS110)。すなわち、判定部34は、通信IF32を介してナビゲーション装置4へ高速道路モードを指示する(ステップS110)。その結果、ナビゲーション装置4は、現在、一般道路モードでルート案内を行っている場合には、高速道路モードでのルート案内に切り替えることができる。
【0025】
同様に、判定部34は、画像解析部33の解析結果を受けて、カメラ画像36に一般道路特有の特徴点が含まれている場合には、車両の現在位置を一般道路上と判定し、当該判定結果をナビゲーション装置4へ通知する(ステップS109:Yes,ステップS111)。すなわち、判定部34は、通信IF32を介してナビゲーション装置4へ一般道路モードを指示する(ステップS111)。その結果、ナビゲーション装置4は、現在、高速道路モードでルート案内を行っている場合には、一般道路モードでのルート案内に切り替えることができる。
【0026】
また、判定部34は、画像解析部33の解析結果を受けて、カメラ画像36に、高速道路特有の特徴点も一般道路特有の特徴点も含まれていない場合、ナビゲーション装置4への通知を行わない(ステップS109:No)。この場合、ナビゲーション装置4は、現在の案内モードでのルート案内をそのまま維持すればよい。ステップS108~S111の後、カメラ制御部3は、ナビゲーション装置4が動作している限りステップS102に戻り、所定の制御周期で同様の処理を繰り返す(ステップS112:No)。
【0027】
ここで、ステップS106の具体例として、画像解析部33は、解析用データ37をテンプレートデータとして、カメラ画像36のデータに対してテンプレートマッチングを行ってもよい。この場合、
図3および
図4の案内板50~54のような高速道路特有の特徴点を表す各画像データと、一般道路特有の特徴点を表す各画像データとが解析用データ37として予め保存される。また、この際には、例えば、
図3の案内板50における地域固有の名称等、すなわち“YY”の箇所等は、テンプレートデータから除外されてもよい。
【0028】
ただし、画像解析部33は、例えば、ナビゲーション装置4のルート情報に基づいて地域固有の名称等を得ることもできるため、当該地域固有の名称等を含んだ案内板をテンプレートデータとして取得または生成してもよい。このように、地域固有の名称等を含めてテンプレートマッチングを行うことで、判定精度をより高められる場合がある。
【0029】
また、ステップS106の別の具体例として、画像解析部33は、CNN(Convolutional neural network)等の学習済みAI(Artificial Intelligence)モデルを解析用データ37として用いてもよい。詳細には、例えば、高速道路での複数のカメラ画像および一般道路での複数のカメラ画像を用いた教師有り学習によって、予めAIモデルに、高速道路特有の特徴点および一般道路特有の特徴点を学習させておく。
【0030】
そして、このようにして得られた学習済みAIモデルを、解析用データ37としてメモリ30に予め保存しておく。これにより、画像解析部33は、当該保存された学習済みAIモデルにカメラ画像36を入力することで、例えば、現在位置が高速道路上である確率や一般道路上である確率を表す評価値等を得ることができる。判定部34は、このような評価値等に基づいて判定を行えばよい。
【0031】
《実施の形態の主要な効果》
以上、実施の形態の方式を用いることで、高速道路と一般道路とが並走する箇所でも、高速道路か一般道路かを高精度に判定することが可能になる。その結果、ユーザに対してルート案内を正確に提供することができ、ユーザの利便性の向上等が図れる。また、
図2に示したように、車両の現在位置と高速道路との距離が基準値以下の場合に画像解析を行うことで、処理が必要な期間を適切に定めることができる。その結果、画像解析等に伴うプロセッサ等の処理負荷を軽減することが可能になる。
【0032】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0033】
例えば、ここでは、高速道路か一般道路かの判定結果を、ナビゲーション装置4のルート案内に反映させたが、例えば、高速道路特有のADAS機能や一般道路特有のADAS機能の有効/無効を切り替える際の切り替え条件として反映させることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…ナビゲーションシステム、2…カメラ、3…カメラ制御部、4…ナビゲーション装置、30…メモリ、31…画像取得部、32…通信インタフェース、33…画像解析部、34…判定部、35…バス、36,36a,36b…カメラ画像、37…解析用データ、40…通信インタフェース、41…位置センサ、42…メモリ、43…ディスプレイ、44…地図データ、50~54…案内板