(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146288
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】階段システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
E04F 11/104 20060101AFI20220928BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
E04F11/104
E06B9/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047173
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】須藤 征史
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301CD04
2E301DD11
2E301DD13
2E301DD72
2E301DD78
(57)【要約】
【課題】デザイン性、開放性、採光性を備え、且つプライバシーの侵害を防ぐことが可能な透明階段を提供する。
【解決手段】透明な階段の利用者のプライバシーを保護する機能を備えた階段システム100であって、少なくとも、透明な踏板と、該透明な踏板の少なくとも一方の面に透明と不透明の切り替えが可能な調光モジュールと、前記利用者が踏んだことを検知するセンサーと、を備えた複数の調光踏板4と、前記センサーの信号に基づいて、前記調光モジュールの透明と不透明の切り替えを制御する制御装置20と、を備えていることを特徴とする階段システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な階段の利用者のプライバシーを保護する機能を備えた階段システムであって、
少なくとも、
透明な踏板と、該透明な踏板の少なくとも一方の面に備えられた透明と不透明の切り替えが可能な調光モジュールと、前記利用者が踏んだことを検知するセンサーと、を備えた複数の調光踏板と、
前記センサーの信号に基づいて、前記調光モジュールの透明と不透明の切り替えを制御する制御装置と、
を備えていることを特徴とする階段システム。
【請求項2】
請求項1に記載の階段システムにおいて、
前記センサー(「第1センサー」という)に加えて、前記階段の、一方の端部において利用者を検知する第2センサーおよびもう一方の端部において利用者を検知する第3センサーとを備え、
前記制御装置が、前記第1センサーの信号に加えて前記第2センサーと前記第3センサーの信号に基づいて、前記調光踏板の前記調光モジュールの透明と不透明の切り替えを制御するものであることを特徴とする階段システム。
【請求項3】
階段システムの制御方法であって、
この階段システムが、透明な階段の利用者のプライバシーを保護する機能を備えた階段システムであって、少なくとも、透明な踏板と、該透明な踏板の少なくとも一方の面に備えられた透明と不透明の切り替えが可能な調光モジュールと、前記利用者が踏んだことを検知するセンサーと、を備えた複数の調光踏板と、前記センサーの信号に基づいて、前記調光モジュールの透明と不透明の切り替えを制御する制御装置と、を備えており、
前記センサーが、前記利用者が前記階段のどの前記調光踏板を踏んだのかを特定する第1工程と、
前記センサーの信号に基づき、前記制御装置が、特定された前記調光踏板と、その調光踏板の前後のいずれか一方または両方の1個以上の調光踏板の調光モジュールの透明と不透明を同時に切り替える第2工程と、を備えており、
前記第2工程において、
前記センサーの信号が、前記利用者が前記階段の前記調光踏板を踏んだことに相当する信号である場合は、前記制御装置は、前記第2工程における前記調光モジュールを不透明にすることを特徴とする階段システムの制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載の階段システムの制御方法であって、
前記階段システムが、前記センサー(「第1センサー」という)に加えて、前記階段の、一方の端部において利用者を検知する第2センサーおよびもう一方の端部において利用者を検知する第3センサーとを備え、かつ、前記制御装置が、前記第1センサーの信号に加えて前記第2センサーと前記第3センサーの信号に基づいて、前記調光踏板の前記調光モジュールの透明と不透明の切り替えを制御するものであり、
前記第2センサーと前記第3センサーの、いずれか一方または両方が、前記階段システムの利用者の有無を検知し、且つ性別を判定する第1工程と、
前記第1センサーが、前記階段システムの前記利用者が踏んだ前記調光踏板を特定する第2工程と、
前記第1センサーと前記第2センサーと前記第3センサーの信号に基づき、前記制御装置が、前記第2工程において特定された前記調光踏板と、その前記調光踏板の前後のいずれか一方または両方の1個以上の調光踏板の調光モジュールの透明と不透明を同時に切り替える第3工程と、を備えており、
前記第1工程における性別判定結果が男性である場合は、前記第2工程と前記第3工程
を実施せず、
前記第1工程における性別判定結果が女性である場合は、前記第3工程において、前記制御装置が前記第2工程で特定された前記調光踏板とその前記調光踏板の前後のいずれか一方または両方の1個以上の調光踏板の調光モジュールを不透明にすることを特徴とする階段システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光機能を備えた透明な階段に関する。さらに詳しくは、デザイン性、開放性、採光性を備えた透明階段におけるプライバシーの侵害を防ぐことが可能な階段システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図3(a)、(b)に例示したように、階段10´は、踏板1と、桁2と、蹴上3から構成されている。踏板1は足が踏む面であり、蹴上3は踏板と地祇の踏板の段の高さであり、桁2は、踏板1にかかる荷重を支える構造材である。蹴上3は、単に踏板1と踏板1の間の空間である場合もあるし、踏板1の端部を支える板(蹴込み板)などが据えられている場合もある。
【0003】
デザイン性の重視、開放的な空問の演出、採光性が良いといった理由で、踏板などがガラスやアクリルでできている透明な階段を取り付ける建築物がある。
【0004】
このような透明階段においては、透明階段の下から上を見上げた場合、デザイン性が良く、開放的で、採光性に優れているといったメリットがあるが、デメリットとしては、透明階段の下側から覗き見を可能にするなどのプライバシーの侵害となるような事態が発生する虞がある。
【0005】
デザイン性、開放性、採光性を備えた透明階段におけるプライバシーの侵害を防ぐことに関連する先行技術としては、特許文献1に、従来のオープン階段の欠点を解消し、階段の背後を明るくすることができ、しかも、階段を昇降する者のプライバシーを守ることができ、採光により明るい階段裏側のスペースを有効利用することができる採光階段が開示されている。具体的には、蹴込み板が、透光性を有する目隠し板からなり、その蹴込み板を通じて階上から階下に採光されることを特徴とする採光階段が開示されている。
【0006】
しかしながら、この技術における主要な構成要素である蹴込み板として、採光性と目隠し性を併せ持つ乳白色のアクリル板などが使用されるため、プライバシーの侵害防止はある程度確保されるが、常に目隠し状態である蹴込み板が設置されており、さらに、踏板については、光を透過させない鋼製のプレートや木が使用されているため、デザイン性や開放性については十分とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の事情に鑑み、本発明は、デザイン性、開放性、採光性を備え、且つプライバシーの侵害を防ぐことが可能な透明階段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第1の態様は、透明な階段の利用者のプライバシーを保護する機能を備えた階段システムであって、
少なくとも、
透明な踏板と、該透明な踏板の少なくとも一方の面に備えられた透明と不透明の切り
替えが可能な調光モジュールと、前記利用者が踏んだことを検知するセンサーと、を備えた複数の調光踏板と、
前記センサーの信号に基づいて、前記調光モジュールの透明と不透明の切り替えを制御する制御装置と、
を備えていることを特徴とする階段システムである。
【0010】
また、第2の態様は、第1の態様に記載の階段システムにおいて、
前記センサー(「第1センサー」という)に加えて、前記階段の、一方の端部において利用者を検知する第2センサーおよびもう一方の端部において利用者を検知する第3センサーとを備え、
前記制御装置が、前記第1センサーの信号に加えて前記第2センサーと前記第3センサーの信号に基づいて、前記調光踏板の前記調光モジュールの透明と不透明の切り替えを制御するものであることを特徴とする階段システムである。
【0011】
また、第3の態様は、階段システムの制御方法であって、
この階段システムが、透明な階段の利用者のプライバシーを保護する機能を備えた階段システムであって、少なくとも、透明な踏板と、該透明な踏板の少なくとも一方の面に備えられた透明と不透明の切り替えが可能な調光モジュールと、前記利用者が踏んだことを検知するセンサーと、を備えた複数の調光踏板と、前記センサーの信号に基づいて、前記調光モジュールの透明と不透明の切り替えを制御する制御装置と、を備えており、
前記センサーが、前記利用者が前記階段のどの前記調光踏板を踏んだのかを特定する第1工程と、
前記センサーの信号に基づき、前記制御装置が、特定された前記調光踏板と、その調光踏板の前後のいずれか一方または両方の1個以上の調光踏板の調光モジュールの透明と不透明を同時に切り替える第2工程と、を備えており、
前記第2工程において、
前記センサーの信号が、前記利用者が前記階段の前記調光踏板を踏んだことに相当する信号である場合は、前記制御装置は、前記第2工程における前記調光モジュールを不透明にすることを特徴とする階段システムの制御方法である。
【0012】
また、第4の態様は、第3の態様に記載の階段システムの制御方法であって、
前記階段システムが、前記センサー(「第1センサー」という)に加えて、前記階段の、一方の端部において利用者を検知する第2センサーおよびもう一方の端部において利用者を検知する第3センサーとを備え、かつ、前記制御装置が、前記第1センサーの信号に加えて前記第2センサーと前記第3センサーの信号に基づいて、前記調光踏板の前記調光モジュールの透明と不透明の切り替えを制御するものであり、
前記第2センサーと前記第3センサーの、いずれか一方または両方が、前記階段システムの利用者の有無を検知し、且つ性別を判定する第1工程と、
前記第1センサーが、前記階段システムの前記利用者が踏んだ前記調光踏板を特定する第2工程と、
前記第1センサーと前記第2センサーと前記第3センサーの信号に基づき、前記制御装置が、前記第2工程において特定された前記調光踏板と、その前記調光踏板の前後のいずれか一方または両方の1個以上の調光踏板の調光モジュールの透明と不透明を同時に切り替える第3工程と、を備えており、
前記第1工程における性別判定結果が男性である場合は、前記第2工程と前記第3工程を実施せず、
前記第1工程における性別判定結果が女性である場合は、前記第3工程において、前記制御装置が前記第2工程で特定された前記調光踏板とその前記調光踏板の前後のいずれか一方または両方の1個以上の調光踏板の調光モジュールを不透明にすることを特徴とする階段システムの制御方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の階段システムは、少なくとも、透明基材と、その透明基材の少なくとも一方の面に透明と不透明の切り替えが可能な調光モジュールと、利用者が踏んだことを検知するセンサーと、を備えた複数の調光踏板と、センサーの信号に基づいて、調光モジュールの透明と不透明の切り替えを制御する制御装置と、を備えている。そのため、本発明の階段システムは、透明な踏板を備えた階段となっており、優れた、デザイン性、開放性、採光性を備えている。一方、利用者が本発明の階段システムの調光踏板を踏んだ瞬間に、調光踏板に備えられたセンサーが利用者を検知し、制御装置によって調光踏板を不透明にすることが可能となっているため、透明な踏板の下側から覗き見されるなどのプライバシーの侵害を防ぐことが可能である。
【0014】
本発明の階段システムの制御方法によれば、本発明の階段システムを、デザイン性、開放性、採光性を備え、且つプライバシーの侵害を防ぐことが可能な透明階段とする制御を実施可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の階段システムの概略構成を例示する説明図。
【
図2】本発明の階段システムにおいて使用する調光踏板の断面構成を例示する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<階段システム>
本発明の階段システムの実施形態について、
図1と
図2を用いて説明する。
【0017】
この実施形態の階段システム100は、透明な階段10の利用者のプライバシーを保護する機能を備えた階段システムである。
【0018】
この実施形態の階段システム100は、少なくとも、透明な踏板1と、透明な踏板1の少なくとも一方の面に、透明と不透明の切り替えが可能な調光モジュール40と、利用者が踏んだことを検知する第1センサー21と、を備えた複数の調光踏板4と、第1センサー21の信号に基づいて、調光モジュール40の透明と不透明の切り替えを制御する制御装置20と、制御装置20から送信される信号に基づいて調光踏板4の調光モジュール40を駆動する駆動装置30と、を備えている。
【0019】
調光踏板4は、
図2に例示したように、透明な踏板1の少なくとも一方の面に、透明と不透明の切り替えが可能とするために、調光モジュール40を積層した物品である。透明な踏板1は透明な材料からなる踏板である。また、調光踏板4には、利用者が調光踏板4を踏んでいることを検知する第1センサー21が備えられている。
【0020】
各調光踏板4の調光モジュール40の第1センサー21と制御装置20は配線5によって接続されており、第1センサー21からの信号を制御装置20が受信可能となっている。同様に、第2センサー22と第3センサー23も制御装置20と配線5を介して接続され、第2センサー22と第3センサー23からの信号を制御装置20が受信可能となっている。また、制御装置20と駆動装置30は配線を介して接続され、制御装置20からの信号を駆動装置30が受信可能となっている。さらに、駆動装置30と各調光踏板4の調光モジュール40とは、配線5を介して接続されており、駆動装置30から供給される駆動電圧によって各調光モジュール40が駆動可能となっている。
【0021】
(階段)
階段10は、調光踏板4と、蹴上3と、桁2から構成されている。
調光踏板4は、人が足を乗せ、踏みつける板状の構造体である。
図2に例示したように、調光踏板4は、透明な踏板1に調光モジュール40を積層した物品となっている。透明な踏板1は、透明であって、踏板としての十分な機械的強度を備えた材料からなるものであれば特に限定されない。このような構成にすることによって、透明な踏板1が透明な樹脂板やガラス板であっても、調光モジュール40を透明にしたり、不透明にしたり、することによって、調光踏板4を透明にしたり、不透明にしたりすることが可能となる。
【0022】
桁2は、調光踏板4を支持する構造体である。桁2には、種々の形態が存在する。踏板の両側に配置され支持する側桁、踏板の一端を桁に挿入した形で支持する力桁などが知られている。木や金属や紺クリードなどからなる構造体である。デザイン性、開放性、採光性に優れた透明な階段とするには、桁2も透明な材料で構成することが望ましい。
【0023】
蹴上3は、階段の段の高さを示すものであり、単なる空間であることもあるが、木やコンクリートなどの構造体であることもある。デザイン性、開放性、採光性に優れた透明な階段とするには、蹴上3も、空間や透明な材料で構成することが望ましい。
【0024】
また、階段10は、壁などの支持体に、踏板の一方の端部を挿入した形で支持した片持ち階段や、円柱状の支持体に同様にして支持させ、らせん状に踏板を配置した螺旋階段などが知られている。階段10は、いかなる形態の階段であっても構わない。
【0025】
本発明では特に、デザイン性の重視、開放的な空問の演出、採光性が良いといった理由で、踏板がガラスや透明なアクリル樹脂などでできている透明な階段を想定している。このような透明な階段においては、デザイン性の重視、開放的な空問の演出、採光性が良い反面、例えばスカートをはいた女性がそのような階段を使用すると、プライバシーが侵害される虞がある。
【0026】
(第1センサー)
第1センサー21は、調光踏板4に備えられているセンサーである。この第1センサー21は、人の足によって調光踏板4が踏みつけられていることを検知可能なセンサーであれば特に限定する必要は無い。例えば、調光踏板4の人の足によって踏みつけられる透明な踏板1の面(上面とする。)に圧力センサーを設置しておくことで検知することが可能となる。透明な踏板1の表面ではなく、透明な踏板1の内部に埋め込んでおくことでもよい。圧力センサーを透明な踏板1の内部に埋め込んでおく場合、透明な踏板1に人が乗ると、透明な踏板1が僅かに湾曲するのを検知可能なセンサーを使用すればよい。そのようなセンサーとしては、例えば圧電効果を利用した応力センサーを使用することができる。また、力学的な物理量を検知するのではなく、光学的なセンサーによって、人の足を検知することであっても良い。例えば、赤外線センサーなどを設置しておき、人の足によって赤外線などが遮られたことを検知する方法であっても良い。また、透明な踏板1の変形を検知可能な光学的なセンサーであっても良い。
【0027】
(第2、第3センサー)
第2センサー22および第3センサー23は、階段10の始点(階段10が始まる部位、階段10の一方の端部)と終点(階段10が終わる部位、階段10のもう一方の端部)の両方に設置しておき、人が階段10にやってきたことを検知するセンサーである。そのようなセンサーとしては、例えば、ビデオカメラを例示することができる。ビデオカメラによって取得した利用者の顔や服装などの画像情報から、利用者の有無だけでなく、利用者が男性なのか、女性なのか、を判定するセンサーとして使用することができる。また、単に、超音波などを使用して、利用者が階段10に近接したことを検知可能な人感センサーであっても良い。
【0028】
なお、この実施形態の階段システム100においては、第2センサー22と第3センサー23が無く、上述した第1センサー21だけであっても、階段システムとして稼働させることは可能である。
【0029】
(駆動装置)
駆動装置30は、調光踏板4の調光モジュール40を駆動可能な電気信号(駆動電圧)を供給可能な装置または電子回路である。制御装置20からの信号に従って、調光モジュール40に電気信号を供給することで、調光モジュール40を透明および不透明にする装置である。駆動装置30は、制御装置20と一体となっていても良い。
【0030】
(制御装置)
制御装置20は、第1センサー21と第2センサー22と第3センサー23からの信号を受信し、その信号に基づいて、駆動装置30を制御する。
制御装置20としては、コンピュータ装置を好適に使用することができる。
【0031】
例えば、第1センサー21が圧力センサーである場合、使用する圧力センサーからの信号の閾値レベルを予め設定しておくことで、インターフェース回路を介してコンピュータ装置の入力端子に入力した信号が、圧力センサーが利用者によって踏まれた状態であるかどうかを識別することが可能である。
【0032】
また、第2センサー22や第3センサー23がビデオカメラである場合、ビデオカメラが取得した画像情報から利用者の顔の画像を使用し、予めコンピュータ装置に顔認証プログラムをインストールしておいたり、あるいは、人工知能を利用した顔認証機能にアクセスすることによって、利用者が男性であるか、女性であるか、の性別を識別することができる。顔の画像だけでなく、服装に関する画像情報を同様に分析処理することにより、性別だけでなく、例えばスカートを着用した認物であるか、どうかを識別することも可能である。そのようなプログラムを併用する場合は、女性であってもスカートを着用していないため、男性と同じ扱い方を選択することも可能となる。
【0033】
<階段システムの制御方法>
次に、本発明の階段システムの制御方法の実施形態について
図1と
図2を用いて説明する。
【0034】
(階段システムの制御方法の第1実施形態)
本発明の階段システムの制御方法に関する第1実施形態は、
図1に例示した階段システム100の実施形態において、第2センサー22と第3センサー23が備えられていない場合の階段システムの制御方法である。
【0035】
この第1実施形態の階段システムの制御方法は、第1センサー21が、利用者が階段10の複数ある調光踏板4のうち、どの調光踏板4を踏んだのかを特定する第1工程と、各調光踏板4に備えられた第1センサー21の信号に基づき、制御装置20が、利用者が踏んでいると特定された調光踏板4と、その調光踏板4の前後のいずれか一方または両方の1個以上の調光踏板4の調光モジュール40(
図2参照)の透明と不透明を同時に切り替える第2工程と、を備えている。
【0036】
利用者が踏んでいる調光踏板4だけを不透明にしても、プライバシーの侵害を防げない場合がある。そのため、利用者が踏んでいる調光踏板4の前後にある調光踏板をも不透明にする。階段10の始点にある調光踏板4の手前には調光踏板は設置されていないため、利用者が踏んでいる調光踏板4の、利用者の進行方向(または前方)にある調光踏板4を
不透明にする。
【0037】
第2工程において、第1センサー21の信号が、利用者が階段10の調光踏板4を踏んだことに相当する信号である場合は、制御装置20は、第2工程における調光モジュール40を不透明にする。
【0038】
例えば、利用者が踏んだ調光踏板40と、その調光踏板40の前後1個の調光踏板を不透明にする場合、利用者が階段10を進行方向に進むに従って、利用者が踏んでいる調光踏板40の位置が進行方向に移動して行く。その進行方向への移動に伴って、不透明にする調光踏板の位置も移動するが、常に、不透明な調光踏板は、利用者が踏んでいる調光踏板40と、その前後1個の調光踏板となる。そのような不透明な一連の調光踏板が、利用者の進行に伴って、進行方向に移動するように、制御装置20が、駆動装置30を介して調光踏板4の調光モジュール40の透明状態と不透明状態をコントロールする。利用者が階段10を逆戻りする場合も同様である。
なお、利用者の進行方向前方に位置する調光踏板については、利用者の移動に伴って急峻な電圧(例えば矩形波の電圧)を印加して、透明状態から不透明状態に急激に変化させることが望ましい。覗き見を防止して、プライバシー保護の実効性を担保するためである。
一方、利用者の進行方向後方に位置する調光踏板については、これを不透明状態から透明状態に急激に変化させることもできるが、不透明状態から透明状態に向かって徐々に変化させることができる。このように徐々に透明に戻っていくことで、後追い覗き見を防止して、プライバシー保護の実効性を担保することが可能である。調光踏板40を不透明状態から透明状態に向かって徐々に変化させるためには、調光踏板40に印加する電圧を段階的又は連続的に低下させることによって可能である。また、調光踏板40に印加した電圧を自然放電させることによって調光踏板40を不透明状態から透明状態に向かって徐々に変化させることも可能である。
【0039】
このようにこの第1実施形態の階段システム100においては、利用者の移動に伴って、透明な調光踏板40が順次不透明になり、利用者が通り過ぎた後は、再び透明に戻る。
【0040】
(階段システムの制御方法の第2実施形態)
本発明の階段システムの制御方法に関する第2実施形態は、
図1に例示した階段システム100の実施形態の制御方法である。
【0041】
この階段システムの第2実施形態の制御方法は、第2センサー22と第3センサー23の、いずれか一方または両方が、階段システム100の利用者の有無を検知し、且つ性別を判定する第1工程と、第1センサー21が、階段システム100の利用者が踏んだ調光踏板4を特定する第2工程と、第1センサー21と第2センサー22と第3センサー23の信号に基づき、制御装置20が、第2工程において特定された調光踏板4と、その調光踏板4の前後のいずれか一方または両方の1個以上の調光踏板4の調光モジュール40の透明と不透明を同時に切り替える第3工程と、を備えている。
【0042】
第1工程における性別判定結果が男性である場合は、前記第2工程と前記第3工程においては何もしない。
【0043】
第1工程における性別判定結果が女性である場合は、第3工程において、制御装置20が第2工程で特定された調光踏板4とその調光踏板4の前後のいずれか一方または両方の1個以上の調光踏板4の調光モジュール40を不透明にする。
【0044】
このような制御を行うことによって、この階段システム100の実施形態の利用者が女
性である場合だけ、透明であった調光踏板4を不透明にすることで、プライバシーの侵害を防ぐことができる。一方、利用者がプライバシーの侵害の虞が無い男性である場合は、階段システム100は透明な状態を維持する。そのため、この階段システム100の実施形態の優れたデザイン性、開放性、採光性が保持される。
【符号の説明】
【0045】
1・・・透明な踏板
2・・・桁
3・・・蹴上
4・・・調光踏板
5・・・配線
10、10´・・・階段
20・・・制御装置
21・・・第1センサー
22・・・第2センサー
23・・・第3センサー
30・・・駆動装置
40・・・調光モジュール
100・・・階段システム