(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146301
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】タッチ式操作装置
(51)【国際特許分類】
H01H 19/00 20060101AFI20220928BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
H01H19/00 Y
H01H36/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047190
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 裕司
【テーマコード(参考)】
5G046
5G219
【Fターム(参考)】
5G046AB02
5G046AC24
5G046AD03
5G046AE05
5G219GS21
5G219HT02
5G219KS07
(57)【要約】
【課題】ノブが回転しなくても、ノブの回し操作を検出できるタッチ式操作装置を提供する。
【解決手段】画像を表示する表示パネル4と、表示パネル4の前面に配置され、タッチ操作を検出する静電容量式のタッチセンサ5と、タッチセンサ5の前面に配置される保護パネル7と、を備えるタッチ式操作装置1であって、保護パネル7から突出する円筒状又は円柱状のノブ71と、ノブ71に設けられる複数の線状導電材72と、を更に備え、複数の線状導電材72は、保護パネル7の前面又はその近傍からノブ71の突出方向に延在し、かつノブ71の側面部において周方向に並列する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの前面に配置され、タッチ操作を検出する静電容量式のタッチセンサと、
前記タッチセンサの前面に配置される保護パネルと、を備えるタッチ式操作装置であって、
前記保護パネルから突出する円筒状又は円柱状のノブと、
前記ノブに設けられる複数の線状導電材と、を更に備え、
複数の前記線状導電材は、前記保護パネルの前面又はその近傍から前記ノブの突出方向に延在し、かつ前記ノブの側面部において周方向に並列する、タッチ式操作装置。
【請求項2】
前記ノブは、前記保護パネルに対して回転不能に設けられる、請求項1に記載のタッチ式操作装置。
【請求項3】
前記タッチセンサは、マトリクス状に配列された多数のタッチ操作検出領域を備え、
前記線状導電材の前記保護パネル側の端部は、前面視において複数の前記タッチ操作検出領域を跨がないように配置される、請求項2に記載のタッチ式操作装置。
【請求項4】
前記線状導電材は、前記ノブの側面部から先端面部まで延在している、請求項1~3のいずれか1項に記載のタッチ式操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチ式操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静電容量型のタッチパネルと、回転軸を中心としてタッチパネルに対して回転自在に設けられたノブと、ノブに保持され、回転軸を中心とした円周上の一部でタッチパネルに対向している第1導体と、を備えたセンサ装置が記載されている。このようなセンサ装置によれば、ノブの回転操作をタッチパネルで検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のセンサ装置では、ノブの回転に伴う第1導体の変位をタッチパネルで検出するので、ノブの回転不良が生じた場合、ノブ操作の検出が困難になる。
【0005】
そこで、本開示は、ノブが回転しなくても、ノブの回し操作を検出できるタッチ式操作装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
(1) 画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの前面に配置され、タッチ操作を検出する静電容量式のタッチセンサと、
前記タッチセンサの前面に配置される保護パネルと、を備えるタッチ式操作装置であって、
前記保護パネルから突出する円筒状又は円柱状のノブと、
前記ノブに設けられる複数の線状導電材と、を更に備え、
複数の前記線状導電材は、前記保護パネルの前面又はその近傍から前記ノブの突出方向に延在し、かつ前記ノブの側面部において周方向に並列することを特徴とする。
【0008】
(2) (1)の構成において、
前記ノブは、前記保護パネルに対して回転不能に設けられることを特徴とする。
【0009】
(3) (2)の構成において、
前記タッチセンサは、マトリクス状に配列された多数のタッチ操作検出領域を備え、
前記線状導電材の前記保護パネル側の端部は、前面視において複数の前記タッチ操作検出領域を跨がないように配置されることを特徴とする。
【0010】
(4) (1)~(3)のいずれかに記載の構成において、
前記線状導電材は、前記ノブの側面部から先端面部まで延在していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ノブが回転しなくても、ノブの回し操作を検出できるタッチ式操作装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るタッチ式操作装置の概略構成を示す正面図である。
【
図3】
図1のタッチ式操作装置のノブ及び線状導電材を示す斜視図であり、(a)は線状導電材をノブの中心線と平行に配置した例を示す斜視図、(b)は線状導電材をノブの中心線に対して傾けて配置した例を示す斜視図である。
【
図4】
図2のB-B断面図であり、(a)は線状導電材をノブの外周面に配置した例を示す断面図、(b)は線状導電材をノブの内部に配置した例を示す断面図、(c)は線状導電材をノブの内周面に配置した例を示す断面図である。
【
図5】ノブの先端面まで線状導電材を配置した例を示すノブの垂直断面図である。
【
図6】タッチセンサのタッチ操作検出領域と線状導電材の位置関係を示す図であり、(a)は好ましい位置関係を示す図、(b)は好ましくない位置関係を示す図である。
【
図7】変形例のタッチ式操作装置を示す図であり、(a)は変形例のタッチ式操作装置の断面図、(b)は変形例のタッチ式操作装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチ式操作装置1の概略構成を示す正面図であり、
図2は、
図1のA-A断面図である。
図1及び
図2に示す本実施形態のタッチ式操作装置1は、車載空気調和装置の操作パネルを構成しており、車載空気調和装置の各種の設定状態(設定温度など)を表示しつつ、タッチ操作やスワイプ操作によるユーザの設定変更操作を受け付ける。
【0015】
図1及び
図2に示すように、タッチ式操作装置1は、ケース2と、基板3と、表示パネル4と、タッチセンサ5と、粘着シート6と、保護パネル7と、操作有効性判定部8と、を備える。
【0016】
ケース2は、例えば、ポリプロピレン(PP)などの樹脂材からなる樹脂成形品であり、基板3、表示パネル4などを覆うように保持するとともに、基板3、表示パネル4などを外的衝撃や塵埃などから保護する。タッチ式操作装置1の駆動時には、基板3などから熱を発生するため、ケース2は、その熱を逃がすような貫通穴を備えることができる。また、基板3にスピーカが搭載される場合、ケース2は、その音を遮らないような貫通穴を備えることができる。
【0017】
基板3は、例えば、エポキシ系樹脂からなる平板樹脂であり、あらかじめ決められた電気回路に基づき銅箔パターンが配設され、タッチ式操作装置1を動作させるためのマイコンや照明用LEDなどが実装される。また、基板3は、ガラス繊維を織り交ぜて、温度、振動に対して信頼性を向上させたものや、銅箔パターンを両面又は階層構造にして回路パターンの省スペース化を図ったものでもよい。
【0018】
表示パネル4は、略矩形の表示領域が設けられた表示素子と、表示素子に照明光を導くための光学シート、導光体、光源などからなる照明手段と、表示素子や照明手段を保持するケースと、これらを前面から覆うように固定配置する金属製のベゼルと、表示素子や光源に接続されたフレキシブル配線板9(FPC)と、を備える。
【0019】
表示素子は、例えば、複数個の画素を有するドットマトリクスタイプのTFT型のLCD表示パネル(液晶パネル)からなる。表示素子は、フレキシブル配線板9を介して、基板3と電気的に接続され、車両のECUなどから取得した各種情報に基づいて、所定情報を画像にて表示領域に表示する。また、表示素子は、OLED表示パネル(有機ELパネルなどであってもよい。
【0020】
タッチセンサ5は、無機ガラス、又はPETなどのプラスチックシートに、透明電極をパターニングして構成されるものである。タッチセンサ5は、
図6に示すように、メトリクス状に配列された多数のタッチ操作検出領域51を有しており、これらのタッチ操作検出領域51は、ユーザが保護パネル7上をタッチ操作したり、スワイプ操作したりすると、これらの操作に応じた静電容量の変化を検出し、ユーザの操作位置を特定可能とする。
【0021】
粘着シート6は、例えば、無色透明なシート状の粘着物であるOCAであり、タッチセンサ5と保護パネル7を隙間なく接合する。粘着シート6は、20μm~200μm程度の厚みのものが好ましい。
【0022】
保護パネル7は、透明基材(例えば、PCやPMMAなど)からなる平面、又は曲面を有する板状の部材であり、ケース2の前面開口部21を覆うことで、タッチ式操作装置1の内部に設けられる部材を衝撃や塵埃などから保護する。保護パネル7の裏面は、粘着シート6を介してタッチセンサ5が一体的に固着されており、タッチセンサ5は、ユーザによる保護パネル7の表面操作(タッチ操作やスワイプ操作)を検出する。なお、保護パネル7の裏面に表示パネル4を縁取るような印刷部を施し、印刷部の内側に表示パネル4の表示内容が表示されるようにしてもよい。
【0023】
図1~
図3に示すように、保護パネル7は、保護パネル7の前面から突出する円筒状又は円柱状のノブ71と、ノブ71に設けられる複数の線状導電材72と、を備える。本実施形態のノブ71は、保護パネル7と同一部品で形成されており、保護パネル7に対して回転不能である。ノブ71の操作方法としては、ユーザが複数の指で外周部を摘み、周方向(回転方向)に指を滑らせる操作(以下、適宜、疑似回転操作と称する場合がある。)を想定している。なお、ノブ71の外周部に周方向に回転可能なリングを設け、このリングを回転操作するようにしてもよい。
【0024】
複数の線状導電材72は、ノブ71よりも導電率の高い高導電率材(例えば、金属、金属粉を含むゴム、樹脂、インキ塗料など)を用いて形成されており、
図2~
図4に示すように、保護パネル7の前面又はその近傍からノブ71の突出方向に延在し、かつノブ71の側面部において周方向に並列している。複数の線状導電材72の向きは、
図3の(a)に示すように、垂直方向でもよいし、
図3の(b)に示すように、斜め方向であってもよい。また、複数の線状導電材72は、
図4の(a)に示すように、ノブ71の外周面に設けてもよいし、
図4の(b)に示すように、ノブ71の内部に設けてもよいし、
図4の(c)に示すように、円筒形状を有するノブ71の内周面に設けてもよい。
【0025】
このようなノブ71によれば、側面部に複数の線状導電材72をストライプ状に備えるので、ユーザが指でノブ71の外周部を摘むと、ユーザの指が接触した位置に対応する線状導電材72を介してタッチセンサ5が静電容量変化を検出し、ユーザの指が接触した位置に対応するタッチセンサ5上の位置を特定することが可能になる。また、ユーザがノブ71を擬似回転操作すると、タッチセンサ5上の検出位置がノブ71の外周に沿って移動するので、ユーザによるノブ71の疑似回転操作及び疑似回転操作方向を検出することが可能になる。
【0026】
また、複数の線状導電材72は、ユーザが指でノブ71の外周部を摘んだとき、複数の線状導電材72に接触又は近接するように線状導電材72の並列ピッチが設定されている。これにより、タッチセンサ5にてバラツキの少ない静電容量変化を得ることが可能となり、操作有効性判定部8における誤判定を抑制できる。
【0027】
図5に示すように、複数の線状導電材72は、ノブ71の側面部から先端面部まで延在するように配置してもよい。このようにすると、ノブ71の先端面のタッチ操作やスワイプ操作もタッチセンサ5にて検出することが可能になる。例えば、ノブ71の先端面を1本の指で触り、先端面の周縁部に沿って指を滑らせれば、複数の指でノブ71の外周部を摘まなくても擬似回転操作を行うことが可能になる。
【0028】
図6の(a)に示すように、線状導電材72の端部のうち、保護パネル7の前面に近い側の端部は、前面視において、タッチセンサ5の複数のタッチ操作検出領域51を跨がないように配置されることが好ましい。その理由は、
図6の(b)に示すように、タッチセンサ5の複数のタッチ操作検出領域51を跨ぐように配置すると、1本の線状導電材72に対するタッチ操作がタッチセンサ5上の複数のタッチ操作検出領域51で検出され、分解能が低下するからである。
【0029】
なお、本実施形態のノブ71は、保護パネル7に同一部品として形成されるが、
図7の(a)及び(b)に示すように、ノブ71を保護パネル7と別部品とし、両面粘着テープ73を介して、保護パネル7にノブ71を固定するようにしてもよい。
【0030】
操作有効性判定部8は、例えば、タッチセンサ用のドライバICであり、タッチセンサ5で得られた静電容量変化に対して、あらかじめ決められた閾値をもとに、タッチ操作やスワイプ操作の有効性を判定する。有効と判定された操作については、タッチセンサ5上の操作座標信号を基板3に出力する。
【0031】
基板3は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能構成として、操作種別判定手段を備える。操作種別判定手段は、操作有効性判定部8から入力されるタッチセンサ5上の操作座標信号に基づいて、タッチセンサ5上での操作種別を判定する。例えば、タッチセンサ5上の操作座標が、ノブ71の投影範囲から外れている場合は、ノブ71以外の操作領域のタッチ操作又はスワイプ操作であると判定し、その操作種別に応じた処理を行う。また、タッチセンサ5上の操作座標が、ノブ71の外周部投影範囲であり、かつ操作座標がノブ71の外周部投影範囲に沿って時計回り方向に移動している場合は、ノブ71の時計回り方向の疑似回転操作であると判定し、その操作種別に応じた処理(例えば、空気調和装置の設定温度上げ処理)を行う。また、タッチセンサ5上の操作座標が、ノブ71の外周部投影範囲であり、かつ操作座標がノブ71の外周部投影範囲に沿って反時計回り方向に移動している場合は、ノブ71の反時計回り方向の疑似回転操作であると判定し、その操作種別に応じた処理(例えば、空気調和装置の設定温度下げ処理)を行う。
【0032】
以上のように構成された本実施形態によれば、画像を表示する表示パネル4と、表示パネル4の前面に配置され、タッチ操作を検出する静電容量式のタッチセンサ5と、タッチセンサ5の前面に配置される保護パネル7と、を備えるタッチ式操作装置1であって、保護パネル7から突出する円筒状又は円柱状のノブ71と、ノブ71に設けられる複数の線状導電材72と、を更に備え、複数の線状導電材72は、保護パネル7の前面又はその近傍からノブ71の突出方向に延在し、かつノブ71の側面部において周方向に並列するので、ユーザが複数の指でノブ71の外周部を摘み、周方向に指を滑らせる疑似回転操作をタッチセンサ5で検出することができる。その結果、ノブ71が回転しなくても、ノブ71の回し操作を検出できるタッチ式操作装置1の提供が可能となる。
【0033】
また、ノブ71は、保護パネル7に対して回転不能に設けられるので、ノブ71を回転可能に設ける場合に比べて、構造を簡略化してコストを低減できるだけでなく、耐久性の向上が図れる。
【0034】
また、タッチセンサ5は、マトリクス状に配列された多数のタッチ操作検出領域51を備え、線状導電材72の保護パネル7側の端部は、前面視において複数のタッチ操作検出領域51を跨がないように配置されるので、ノブ71の疑似回転操作を高精度に検出できる。
【0035】
また、線状導電材72は、ノブ71の側面部から先端面部まで延在するようにしてもよく、この場合には、ノブ71の先端面を1本の指で触り、先端面の周縁部に沿って指を滑らせれば、複数の指でノブ71の外周部を摘まなくても擬似回転操作を行うことが可能になる。
【0036】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 タッチ式操作装置
2 ケース
21 前面開口部
3 基板
4 表示パネル
5 タッチセンサ
51 タッチ操作検出領域
6 粘着シート
7 保護パネル
71 ノブ
72 線状導電材
73 両面粘着テープ
8 操作有効性判定部
9 フレキシブル配線板