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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146313
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ガイド部材及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/88 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
B66C23/88 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047207
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】坂井 桂次
(72)【発明者】
【氏名】村山 泰彦
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
(57)【要約】
【課題】本発明は、作業用ロープが軌道から外れることを抑制できると共に、容易に起伏部材に取り付けることができ、大きく振れた作業用ロープの力で破損されることが抑制できるガイド部材及び建設機械を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様は、建設機械の起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープの振れを抑制するガイド部材であって、上記作業用ロープの両側に位置し、上記起伏部材の背側で立設される一対の柱部を有するフレームと、上記フレームに保持され、上記フレームの内側で上記作業用ロープを跨ぐように配されるワイヤロープとを備える。本発明の他の一態様は、起伏部材と当該ガイド部材とを備える建設機械である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープの振れを抑制するガイド部材であって、
上記作業用ロープの両側に位置し、上記起伏部材の背側で立設される一対の柱部を有するフレームと、
上記フレームに保持され、上記フレームの内側で上記作業用ロープを跨ぐように配されるワイヤロープと
を備えるガイド部材。
【請求項2】
上記フレームが、上記一対の柱部の端部同士を連結する梁部をさらに有する請求項1に記載のガイド部材。
【請求項3】
上記フレームに上記ワイヤロープを吊り下げるために上記フレーム及び上記ワイヤロープ間に配される吊下げロープをさらに備える請求項1又は請求項2に記載のガイド部材。
【請求項4】
上記ワイヤロープの両端部が、上記ワイヤロープに張力を付与するように固定されている請求項1、請求項2又は請求項3に記載のガイド部材。
【請求項5】
上記フレームが、上記起伏部材に装着可能な支持台をさらに有し、
上記一対の柱部が、上記支持台に固定されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガイド部材。
【請求項6】
起伏部材と請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガイド部材とを備える建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド部材及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ブーム、ジブ等の起伏部材を有するクレーン等の建設機械の背側には、上記起伏部材の長手方向に沿って作業用ロープが架け渡されている。この作業用ロープは、巻上ウインチ等による作業用ロープ自体の移動や上記建設機械の旋回体の旋回に起因して振れることがある。
【0003】
作業用ロープの振れが大きくなると、作業用ロープが起伏部材の外側にはみ出し、起伏部材の結合ピン等に引っかかる場合がある。このような引っかかりが生じると、作業用ロープを通常の軌道に戻すために建設作業を中断することがあり、起伏部材や作業用ロープが破損することもある。
【0004】
作業用ロープが軌道から外れることを抑制するためにペンダントロープと起伏部材との間に一対のロープを配置するガイド部材が考案されている(実開昭60-137784号公報参照)。このガイド部材は、上記一対のロープを、弛みを持たせて配置するため、上記作業用ロープから大きい力が加えられても破損するおそれが少ない。
【0005】
また、作業用ロープが軌道から外れることを抑制するガイド部材として、門型支柱が作業用ロープを門型に囲むことで、この作業用ロープが軌道から外れることを抑制するものが発案されている(特開平10-218570号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭60-137784号公報
【特許文献2】特開平10-218570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のガイド部材の一対のロープは、一定の剛性を有するものの、最小作業半径時など起伏部材の角度が鉛直に近くなると下側方向に垂れ下がり、作業用ロープと干渉するおそれがある。特に、起伏部材の下側においては作業用ロープと起伏部材との間隔が大きいため、上述のような干渉のおそれが大きくなる。
【0008】
特許文献2のガイド部材の門型支柱は、作業用ロープが大きく振れた際に作業用ロープが衝突することで破損するおそれがある。
【0009】
上述のような事情に鑑みて、本発明は、作業用ロープの衝突により破損することを抑制できるとともに作業用ロープとの干渉を抑制できるガイド部材、及びこのガイド部材を備える建設機械を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、建設機械の起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープの振れを抑制するガイド部材であって、上記作業用ロープの両側に位置し、上記起伏部材の背側で立設される一対の柱部を有するフレームと、上記フレームに保持され、上記フレームの内側で上記作業用ロープを跨ぐように配されるワイヤロープとを備える。
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様は、起伏部材と当該ガイド部材をと備える建設機械である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様に係るガイド部材は、作業用ロープの衝突により破損することを抑制できるとともに作業用ロープとの干渉を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る建設機械を示す模式的側面図である。
図2図2は、図1の建設機械の起伏部材を背側から見た模式的斜視図である。
図3図3は、図1の建設機械のガイド部材を示す模式的斜視図である。
図4図4は、図3のガイド部材の模式的斜視図である。
図5図5は、図4のガイド部材が備えるワイヤロープの部分拡大図である。
図6図6は、図4のガイド部材が備えるフレームの部分拡大図である。
図7図7は、図4のA視図である。
図8図8は、図4とは異なるガイド部材を示す模式的斜視図である。
図9図9は、図4及び図8とは異なるガイド部材を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の実施形態の説明]
本発明の実施態様について説明する。
【0015】
本発明の一態様は、建設機械の起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープの振れを抑制するガイド部材であって、上記作業用ロープの両側に位置し、上記起伏部材の背側で立設される一対の柱部を有するフレームと、上記フレームに保持され、上記フレームの内側で上記作業用ロープを跨ぐように配されるワイヤロープとを備える。
【0016】
当該ガイド部材は、上記ワイヤロープが上記作業用ロープを跨ぐように配されているため、上記作業用ロープが、大きく振れて軌道から外れることを抑制できる。また、上記ワイヤロープは、起伏部材に立設される一対の柱部を有するフレームによって保持されるため、起伏部材の角度が鉛直に近くなっても下側方向に垂れ下がることを抑制でき、上記ワイヤロープと上記作業用ロープとの干渉を抑制できる。さらに、上記作業用ロープが大きく振れ、当該ガイド部材と上記作業用ロープとが衝突する際、上記ワイヤロープが上記作業用ロープと衝突し、この衝突による力(衝撃力)を緩衝又は分散して上記フレームに伝わるため、上記フレームの破損を抑制できる。
【0017】
上記フレームが、上記一対の柱部の端部同士を連結する梁部をさらに有するのが好ましい。このようにすることで、フレームの強度を向上することができる。
【0018】
当該ガイド部材は、上記フレームに上記ワイヤロープを直接固定する構成も考えられるが、上記フレームに上記ワイヤロープを吊り下げるために上記フレーム及び上記ワイヤロープ間に配される吊下げロープをさらに備える構成を採用することが好ましい。上記のように直接固定する構造の場合、この固定部分に上記作業用ロープが衝突するおそれがあり上記フレームの破損抑制効果が低くなるおそれがある。一方、上述のように吊下ロープを備える構成を採用した場合、上記フレームに上記ワイヤロープを離間した状態とすることができるので、フレームの破損抑制効果を向上できる。
【0019】
当該ガイド部材は、上記フレームに上記ワイヤロープを撓んだ状態で固定する構成も考えられるが、上記ワイヤロープの両端部が、上記ワイヤロープに張力を付与するように固定されている構成を採用することが好ましい。上記のように撓んだ状態で固定する構造の場合、上記作業用ロープが衝突した際に上記ワイヤロープが撓み、上記作業用ロープが上記ワイヤロープとともに上記フレームに衝突するおそれがあり上記フレームの破損抑制効果が低くなるおそれがある。一方、上記ワイヤロープに張力を付与する構成を採用した場合、上記作業用ロープがフレームに衝突することを抑制できるので、フレームの破損抑制効果を向上できる。
【0020】
上記フレームが、上記起伏部材に装着可能な支持台をさらに有し、上記一対の柱部が、上記支持台に固定されているのが好ましい。上記支持台をさらに有することで、当該ガイド部材の上記起伏部材への取り付けがより容易にできる。
【0021】
本発明の他の一態様は、起伏部材と当該ガイド部材とを備える建設機械である。
【0022】
当該建設機械は、上述のガイド部材を備えるため、上記作業用ロープが軌道から外れることを抑制して上記起伏部材の破損等を抑制できると共に、大きく振れた作業用ロープとの衝突による力を吸収して当該ガイド部材の破損等を抑制できる。このため、効率的な建設作業をすることができる。
【0023】
なお、本発明において、「起伏部材の背側」とは、起伏部材を倒伏した状態で上になる側を意味し、「起伏部材の腹側」とは、その反対側(起伏部材を倒伏した状態で下になる側)を意味する。「上」とは、当該建設機械が配置されている面(地面等)から垂直に離間する方向の側を意味し、「下」とは、その反対側を意味する。
【0024】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0025】
<建設機械>
本発明の一態様である建設機械として、図1で示すクレーン1を用いて説明する。このクレーン1は、バケットを用いて掘削作業を行う掘削機である。このクレーン1は、下部走行体2と、下部走行体2に搭載され、下部走行体2が走行する面(例えば、地面)と平行な面内で旋回可能な上部旋回体3と、上部旋回体3に起伏可能に取り付けられる起伏部材とを主に備える。下部走行体2は、走行装置として一対のクローラー等を有し、任意の方向に進行することができる。なお、「起伏可能」とは、クレーン1の操作者による操作で、上記起伏部材が、下部走行体2の上記走行面に略平行になる倒伏状態と、上記走行面に略垂直になる起立状態との間で揺動できることを意味する。
【0026】
クレーン1の上記起伏部材はブーム4である。ブーム4は、四つの主桁を有する四角筒状のラチス構造を有する。具体的には、ブーム4は、背側に配置される一対の背側主桁4aと腹側に配置される一対の腹側主桁4bとが四角筒の角部を構成し、一対の背側主桁4a間、一対の腹側主桁4b間、及び隣接する背側主桁4a及び腹側主桁4bそれぞれの間に複数の補桁4cが接続されている。
【0027】
クレーン1は、上部旋回体3に配置される第一巻上ウインチ5と、第一巻上ウインチ5から繰り出され、ブーム4の背側にブーム4の長手方向に沿って架け渡されている第一作業用ロープ6を有する。第一作業用ロープ6は、ブーム4の先端側(上部旋回体3から離間している側)から垂下され、クラムシェルバケット7を吊り下げている。また、クレーン1は、上部旋回体3に配置される第二巻上ウインチ8と、第二巻上ウインチ8から繰り出され、ブーム4の背側にブーム4の長手方向に沿って架け渡されている第二作業用ロープ9を有する。第二作業用ロープ9の先端部には、例えば補フック(不図示)が吊り下げられる。さらに、クレーン1は、上部旋回体3のブーム4の基端(上部旋回体3に取り付けられている側の端部)よりも後方に取り付けられるガントリ10と、ガントリ10の先端部に設けられる下部スプレッダ11と、下部スプレッダ11と起伏ロープ12で接続されている上部スプレッダ13と、上部スプレッダ13とブーム4の先端とを接続するガイライン14とを備える。クレーン1は、ブーム4の長手方向で略平行に配置される一対のガイライン14を備える。
【0028】
クレーン1は、図2及び図3で示すように、ブーム4に取り付けられるガイド部材20を備える。ガイド部材20は、それ自体が本発明の一態様である。
【0029】
〔ガイド部材〕
ガイド部材20は、第一作業用ロープ6及び第二作業用ロープ9(以下、単に「作業用ロープ」ともいう)が、長手方向の移動中に大きく振れることを抑制する。ガイド部材20は、図4で示すように、上記作業用ロープの両側に位置し、ブーム4の背側で立設される一対の柱部21aを有するフレーム21と、フレーム21に保持され、フレーム21の内側で上記作業用ロープを跨ぐように配されるワイヤロープ22とを備える。ワイヤロープ22は、可撓性を有する線材(紐状部材)であり、フレーム21は、鉄、アルミニウム、ステンレス等で形成された可撓性を有しない部材である。
【0030】
ブーム4は、基端側の下部ブーム材41と、先端側の上部ブーム材42と、下部ブーム材41及び上部ブーム材42の間に配置される中間ブーム材43とを有する。ガイド部材20は、中間ブーム材43の先端側に取り付けられている。上部ブーム材42、下部ブーム材41及び中間ブーム材43それぞれの接続部分には、接続用のピン等が設けられている。ガイド部材20を上記接続部分に近接して取り付けることで、大きく振れた上記作業用ロープが上記ピン等に引っかかる(絡む)ことを抑制できる。
【0031】
ガイド部材20は、下部ブーム材41と中間ブーム材43との接続部分に近接して取り付けられてもよい。また、ブームが中間ブーム材を複数有する場合は、ガイド部材20は、上記中間ブーム材同士の接続部分に近接して取り付けられてもよい。ガイド部材20は、ブーム4の背側に配設されているガイライン14、ガントリ、スプレッダ格納用部材など、上記作業用ロープが引っかかりやすい部材又は衝突しやすい部材に近接して取り付けられてもよい。また、複数のガイド部材を、ブーム4に取り付けてもよい。
【0032】
フレーム21の一対の柱部21aは、その長手方向が、一対の背側主桁4a間で構成される仮想平面に対して略垂直になるように配設されている。ワイヤロープ22は、少なくとも一部がフレーム21に保持されて、上記作業用ロープを跨ぐように一対のフレーム21間に配置される。より具体的には、ワイヤロープ22は、上記作業用ロープを跨ぐことができるようにアーチ状をなしている。ワイヤロープ22は、アーチ状に設けられることで、大きく振れた上記作業用ロープと衝突することがある。この衝突によってワイヤロープ22は適度に弾性変形することで、上記衝突による力を吸収する。このため、ガイド部材20は、破損等することが抑制される。なお、この説明における「アーチ状」とは、円弧状、三角形状、矩形状、台形状、多角形状等、作業用ロープを跨ぐことができる種々の形状を含む。
【0033】
フレーム21が、一対の柱部21aの端部同士を連結する梁部21bをさらに有するのが好ましい。本実施形態のフレーム21は、柱部21aと同一の材料で形成された梁部21bを有する。梁部21bは、異なる材料で形成される可撓性を有しない部材あってもよいし、可撓性を有する線材であってもよい。一対の柱部21aと梁部21bとは、一体で形成されてもよい。
【0034】
フレーム21は、ブーム4の背側主桁4a、又は背側主桁4a間に配置されている補桁4cに取り付けられる。ワイヤロープ22は、略中央部がフレーム21に保持される。ワイヤロープ22の両端部は、ブーム4の背側主桁4a若しくは補桁4cに取り付けられる。ワイヤロープ22の両端部は、一対の柱部21aの下方に取り付けられてもよい。フレーム21及びワイヤロープ22それぞれは、ブーム4に脱着可能である。このため、ガイド部材20は、取り付けを容易にできる。
【0035】
フレーム21の梁部21bは、ワイヤロープ22を保持する。ワイヤロープ22の両端部が、ワイヤロープ22に張力を付与するように固定されているのが好ましい。ワイヤロープ22は、張力を付与されることで、上記作業用ロープとの衝突による力を効果的に吸収することができる。
【0036】
フレーム21が、ブーム4に装着可能な支持台23をさらに有し、一対の柱部21aが、支持台23に固定されているのが好ましい。このようにすることで、ガイド部材20をブーム4により容易に取り付けることができる。ワイヤロープ22及びフレーム21をブーム4の背側主桁4a等に取り付けるようにする場合、ブーム4を加工する必要が生じるおそれがある。ガイド部材20が、ブーム4に取り付けられる支持台23を備え、この支持台23にワイヤロープ22及びフレーム21を取り付けるようにすることで、ブーム4の加工が不必要になり、又は必要であっても小規模な加工にとどめることができる。
【0037】
本実施形態のフレーム21は、一対の柱部21aとワイヤロープ22の両端部とを固定する支持台23を有する。支持台23は、鉄、アルミニウム、ステンレス等で形成されている略矩形状の板状部材であり、一辺と、この一辺に対向する他の一辺とが、一対の背側主桁4aに架け渡されるように配置される。支持台23は、補桁4cに取り付けられるように構成されてもよい。支持台23は、接続部材24を有し、この接続部材24で背側主桁4aに固定される。接続部材24は、例えば、背側主桁4aに外嵌するU字ボルトである。支持台23の材質、形状及びブーム4に対する固定方法としては、ブーム4の構造に応じたものを採用してもよい。
【0038】
一対の柱部21aは、支持台23に脱着可能になるようにボルト等で固定される。このようにすることで、ブーム4へのガイド部材20の取り付けが容易にできる。一対の柱部21aは、溶接等により支持台23と一体になるようにしてもよい。
【0039】
一対の柱部21aの下端部は、ブーム4の幅方向(平面視で長手方向に直交する方向)で、一対の背側主桁4aから離間して配置されることが好ましい。具体的には、支持台23における一対の柱部21aの下端部と、背側主桁4aとの間に隙間25が設けられることが好ましい。このようにすることで、隙間25にガイライン14を格納することができる。具体的には、隙間25に露出する支持台23の上面23aが、クレーム1の組立時、分解時等に弛んだガイライン14を支持することができ、意図しないガイライン14の落下を抑制できる。
【0040】
ガイド部材20は、フレーム21にワイヤロープ22を吊り下げるためにフレーム21及びワイヤロープ22間に配される吊下げロープ26をさらに備える。フレーム21にワイヤロープ22の一部を固定すると、上記作業用ロープとの衝突による力が、十分に緩和されることなくフレーム21に伝わるおそれがある。フレーム21がワイヤロープ22を吊り下げるように保持することで、フレーム21とワイヤロープ22とを離間することができる。このため、上記作業用ロープとの衝突による力がフレーム21に伝わり難くすることができる。
【0041】
吊下げロープ26は、環状である。このため、内側にワイヤロープ22及びフレーム21を挿通することができ、ワイヤロープ22及び吊下げロープ26をフレーム21に容易に取り付けることができる。取り付け方法としては、例えば、フレーム21を吊下げロープ26の内側に挿通し、フレーム21を支持台23に固定する。その後、吊下げロープ26の内側にワイヤロープ22を挿通し、ワイヤロープ22の略中央部を梁部21bの略中央部に合わせて、ワイヤロープ22の一方の端部を支持台23に固定する。その後、張力を付与しながらワイヤロープ22の他方の端部を支持台23に固定する。
【0042】
図5で示すように、ワイヤロープ22が、複数の線材を含む撚り線である場合、そのうちの一つの線材を吊下げロープ26が保持してもよい。この場合の取り付け方法としては、例えば、ワイヤロープ22を保持している吊下げロープ26の内側にフレーム21を挿通し、フレーム21を支持台23に固定する。その後、張力を付与しながらワイヤロープ22の一方の端部及び他方の端部を支持台23に固定する。
【0043】
梁部21bは、図6で示すように、環状の吊下げロープ26が幅方向に移動することを規制する一対のフック30を有する。この一対のフック30間に吊下げロープ26を配置することで、フレーム21への吊下げロープ26の取り付けが容易にできる。吊下げロープ26の取り付けは、その一部がフレーム21に固定されて取り付けられてもよい。
【0044】
ワイヤロープ22の端部は、図7で示すように、支持台23の下側で固定されている。支持台23は、ワイヤロープ22が張力をもった状態で固定される固定手段を有している。具体的には、支持台23は、ワイヤロープ22を挿通する貫通孔(不図示)と、この貫通孔に隣接する位置から下方に延びて設けられ、ワイヤロープ22を固定するための板状部分28を有している。また、支持台23は、板状部分28とによってワイヤロープ22を挟み込むための固定部材29、及び固定部材29を板状部分28に固定するボルト30を有している。
【0045】
固定部材29は、断面が略矩形の柱状部材である。固定部材29の長手方向の両端部には、ボルト30を挿通するための貫通孔がそれぞれ形成されている。固定部材29には、二つの貫通孔の間において貫通孔の軸方向に直交する方向に溝が形成されており、この溝に収容された状態で上記ワイヤロープ22は固定部材29と板状部分28とによって挟み込まれて固定される。
【0046】
上記溝の幅は、ワイヤロープ22の直径と略同一である。固定部材29の上記軸方向の厚みはワイヤロープ22の直径より僅かに小さい。板状部分28は、固定部材29の上記二つの貫通孔に対応する固定用貫通孔(不図示)を有する。板状部分28の上記固定用貫通孔の間にワイヤロープ22の一方の端部を配置し、上記貫通孔と上記固定用貫通孔との位置を合わせつつ、固定部材29の上記溝部分にワイヤロープ22を嵌合する。その後、上記貫通孔と上記固定用貫通孔とにボルト30を挿通し、このボルト30と、板状部分28の固定部材29が配置される側と反対の側に用意したナット(不図示)とでワイヤロープ22の端部及び固定部材29を固定する。固定部材29の上記軸方向の厚みがワイヤロープ22の直径より僅かに小さいため、ワイヤロープ22は強固に固定される。
【0047】
ワイヤロープ22の一方の端部を固定する固定部材29の数は三つである。つまり、両端部で六つである。固定部材29の数は、ワイヤロープ22に付与される張力、想定される上記作業用ロープとの衝突による力などにより、二つ以下、又は四つ以上とすることもできる。
【0048】
ワイヤロープ22の他方の端部も、同様にして固定される。ワイヤロープ22の他方の端部は、ワイヤロープ22に所望する張力が付与されるように、必要な力で引っ張られながら固定される。
【0049】
<利点>
当該ガイド部材20は、作業用ロープを跨ぐように配置されるワイヤロープ22と、ワイヤロープ22を自立できるように保持しているフレーム21とを有する。ワイヤロープ22は上記作業用ロープを囲んでいるため、当該ガイド部材20は、上記作業用ロープが振れてブーム4等の他の部材に引っ掛かること、及び上記他の部材を破損等することを抑制できる。
【0050】
ワイヤロープ22は、上記作業用ロープが大きく振れて衝突すると、その衝突による力の一部を吸収する。このため、フレーム21への上記衝突による力は緩和され、当該ガイド部材20自体が破損等することも抑制できる。
【0051】
当該ガイド部材20は、フレーム21及びワイヤロープ22それぞれがブーム4に脱着可能であるため、取り付けが容易にできる。
【0052】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0053】
上記実施形態では、フレーム21がワイヤロープ22を保持する箇所の数として、二箇所のもので説明したが、一箇所又は三箇所以上としてもよい。
【0054】
ワイヤロープ22は、一本ではなく、複数本としてもよい。例えば、図8で示すように、ブーム4の長手方向で視て、二本のワイヤロープ22aが交差するようにフレーム22、又はフレーム22と支持台23若しくはブーム4とに固定され、作業用ロープが上記二本のワイヤロープ22aが交差している箇所の下方に位置するようにしてもよい。
【0055】
ワイヤロープ22は、一本の線材であってもよいし、複数本を束ねたものでもよい。
【0056】
フレーム21は、図9で示すように、梁部21bを有さなくてもよい。具体的には、一対のフレーム21の上端側に吊下げロープ26を配置し、この吊下げロープ26がワイヤロープ22を保持するようにしてもよい。
【0057】
フレーム21は、棒状の部材であってもよいし、板状の部材、又はL字型、C字型などの横断面を有する形材であってもよい。
【0058】
フレーム21及びワイヤロープ22は、左右(幅方向)に対称に形成される必要はなく、左右非対称であってもよい。
【0059】
フレーム21及びワイヤロープ22は、ブーム4(起伏部材)の背側で略垂直に立ち上げるように配置される必要はなく、上記起伏部材の長手方向に傾斜するように配置してもよい。
【0060】
フレーム21及びワイヤロープ22は、その全部が一対の背側主桁4aの内側に配置される必要はなく、フレーム21及びワイヤロープ22の少なくとも一部が、一対の背側主桁4a上に配置され、又は一対の背側主桁4aの外側に配置されてもよい。
【0061】
上記実施形態では、一対の背側主桁4aに架け渡されるように配置される支持台23について説明したが、一方の背側主桁4a及び他方の背側主桁4aそれぞれに装着される一対の支持台としてもよい。
【0062】
吊下げロープ26は、環状でなくともよい。例えば、一方の端部がフレーム21に接続され、他方の端部がワイヤロープ22に接続される紐状であってもよい。
【0063】
上記実施形態では、ワイヤロープ22の端部を固定部材29とボルト30とで固定したが、ワイヤロープ22の端部の固定方法はこれに限定されず、他の公知の方法を用いてもよい。
【0064】
上記実施形態では、クレーン1について説明したが、これに限定されるものではく、ラッフィング仕様、タワー仕様、クレーン仕様等、他の建設機械でもよい。また、当該建設機械は、クラムシェルバケット7に代えて他のバケットを有してもよく、又はフック、ハンマ、マグネット等の他の任意のアタッチメントを有してもよい。
【0065】
上記起伏部材は、中間ブーム材43等を有するブーム4に限定されるものではなく、伸縮可能なブームであってもよい。上記起伏部材は、ブームの先端側に連結されるジブを有していてもよい。この場合、当該ガイド部材20は、ブームに取り付けられてもよく、ジブに取り付けられてもよく、ブーム及びジブの両方に取り付けられてもよい。また、ブーム4は、上述のラチス構造を有していなくてもよい。
【0066】
上記実施形態では、当該ガイド部材の内部を第一作業用ロープ6及び第二作業用ロープ9が通過する構成について説明したが、作業用ロープの本数は特に限定されるものではなく、建設機械の仕様に応じて適宜設定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のガイド部材は、作業用ロープが軌道から外れることを抑制できるため、建設機械に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0068】
1 クレーン
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 ブーム
4a 背側主桁
4b 腹側主桁
4c 補桁
5 第一巻上ウインチ
6 第一作業用ロープ
7 クラムシェルバケット
8 第二巻上ウインチ
9 第二作業用ロープ
10 ガントリ
11 下部スプレッダ
12 起伏ロープ
13 上部スプレッダ
14 ガイライン
20 ガイド部材
21 フレーム
21a 柱部
21b 梁部
22,22a ワイヤロープ
23 支持台
23a 支持台の上面
24 接続部材
25 隙間
26 吊下げロープ
27 フック
28 固定部分
29 プレート
30 ボルト
41 下部ブーム材
42 上部ブーム材
43 中間ブーム材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9