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  • 特開-電池パック 図1
  • 特開-電池パック 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146315
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/273 20210101AFI20220928BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20220928BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20220928BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20220928BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20220928BHJP
   H01M 50/236 20210101ALI20220928BHJP
【FI】
H01M50/273
H01M50/211
H01M50/242
H01M50/262 E
H01M50/271 S
H01M50/236
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047211
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多賀 和樹
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 功朗
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AS07
5H040AT04
5H040AY05
5H040CC05
5H040CC27
5H040CC28
5H040CC35
5H040CC36
5H040CC38
5H040NN03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】他部材で生じた振動が電池セルに伝わることを抑制し得る電池パックを提供する。
【解決手段】電池パック10は、電池セル16を収容する。電池パックは、電池セルが配置される電池ケース8と、電池ケースの上部開口を塞ぐ蓋部材2を備えている。蓋部材は、電池支持部材30に固定されるとともに、電池支持部材の振動が電池ケースに伝達することを低減する弾性体で形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを収容する電池パックであって、
電池パックは、電池セルが配置される電池ケースと、電池ケースの上部開口を塞ぐ蓋部材と、を備えており、
蓋部材は、電池支持部材に固定されるとともに、電池支持部材の振動が電池ケースに伝達することを低減する弾性体で形成されている、電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
蓋部材は、電池パックを電池支持部材に固定したときに、蓋部材と電池ケースの固定面が、蓋部材と電池支持部材の固定面と同一平面に含まれるように形成されている、電池パック。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電池パックであって、
電池セルを押圧する押圧部が、蓋部材に設けられている、電池パック。
【請求項4】
請求項3に記載の電池パックであって、
電池ケースの底部は、蓋部材よりも高剛性の材料で形成されており、内面が平面状に形成されている、電池パック。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電池パックであって、
電池ケースの底部の外面に、底部を補強するための補強部材が設けられている、電池パック。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電池パックであって、
電池ケースは、底部の外面が電池支持部材と非接触になるように蓋部材によって吊るされている、電池パック。
【請求項7】
請求項6に記載の電池パックであって、
電池ケースの底部の外面が、電池ケースと電池支持部材の間に配置される衝撃緩衝材に接触する、電池パック。
【請求項8】
請求項6または7に記載の電池パックであって、
電池ケースの底部の一部が、電池ケースと電池支持部材の間に配置されて電池ケースの上下変位を抑制する規制部材に対向する、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電池セルを収容する電池パックに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、車両等に搭載する電池に関する技術が開示されている。特許文献1では、電池パック内に電池セルを固定し、その電池パックを車両等に搭載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-538662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電池パックは、複数の電池セルを収容した状態で車両等の他部材に固定される。しかしながら、特許文献1の電池パックは、他部材で生じる振動が電池パックに伝わり易く、結果として電池セルに他部材で生じた振動が伝わる。電池(電池セル)の耐久性、安全性を向上させるため、電池セルに他部材の振動が伝わることを抑制することが必要である。本明細書は、他部材で生じた振動が電池セルに伝わることを抑制し得る電池パックを実現する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する第1技術は、電池セルを収容する電池パックである。この電池パックは、電池セルが配置される電池ケースと、電池ケースの上部開口を塞ぐ蓋部材を備えていてよい。また、この電池パックでは、蓋部材は、電池支持部材に固定されるとともに、電池支持部材の振動が電池ケースに伝達することを低減する弾性体で形成されていてよい。
【0006】
本明細書で開示する第2技術は、上記第1技術の電池パックであって、蓋部材は、電池ケースを電池支持部材に固定したときに、蓋部材と収容部材の固定面が、蓋部材と電池支持部材の固定面と同一平面に含まれるように形成されていてよい。
【0007】
本明細書で開示する第3技術は、上記第1または第2技術の電池パックであって、電池セルを押圧する押圧部が、蓋部材に設けられていてよい。
【0008】
本明細書で開示する第4技術は、上記第3技術の電池パックであって、電池ケースの底部は、蓋部材よりも高剛性の材料で形成されており、内面が平面状に形成されていてよい。
【0009】
本明細書で開示する第5技術は、上記第1から第4技術のいずれかの電池パックであって、電池ケースの底部の外面に、底部を補強するための補強部材が設けられていてよい。
【0010】
本明細書で開示する第6技術は、上記第1から第5技術のいずれかの電池パックであって、電池ケースは、底部の外面が電池支持部材と非接触になるように蓋部材によって吊るされていてよい。
【0011】
本明細書で開示する第7技術は、上記第6技術の電池パックであって、電池ケースの底部の外面が、電池ケースと電池支持部材の間に配置される衝撃緩衝材に接触してよい。
【0012】
本明細書で開示する第8技術は、上記第6または第7技術の電池パックであって、電池ケースの底部の一部が、電池ケースと電池支持部材の間に配置されて電池ケースの上下変位を抑制する規制部材に対向してよい。
【発明の効果】
【0013】
第1技術によると、電池パックが搭載される機器(例えば、有人又は無人航空機、車両等の移動体)の振動が蓋部材によって低減され、電池ケースが振動することを抑制することができる。電池ケースの振動を抑制することにより、電池ケース内の電池セルに異常が生じることを抑制することができる。
【0014】
第2技術によると、電池パックの組み立て(蓋部材と電池ケースの固定)、及び、電池パックを電池支持部材(電池パックが搭載される機器に設けられている支持部材)に固定する際の作業性が向上する。また、電池パックを電池支持部材に固定すると、電池支持部材の基部に対する電池パックの位置を位置決めすることができる。
【0015】
第3技術によると、蓋部材を電池ケースに固定することにより、電池ケース内で電池セルが移動することを抑制することができる。電池セルの移動を抑制することにより、電池セルに接続されている配線等に負荷が加わることが抑制され、電池パックの耐久性が向上する。また、押圧部によって電池セルの膨張を抑制することもできる。第3技術によると、蓋部材を電池ケースに固定する(電池パックを組み立てる)だけで、電池ケース内における電池セルの移動、及び、電池セルの膨張を抑制することができる。
【0016】
第4技術によると、蓋部材が変形して電池ケースに加わる振動を抑制しつつ、電池セルの変形を抑制することができる。その結果、電池セルの劣化を抑制することができる。
【0017】
第5技術によると、電池ケースの底部の強度がさらに増し、電池セルの変形をさらに抑制することができる。
【0018】
第6技術によると、電池ケースが電池支持部材に接触して電池ケースに衝撃が加わることを抑制することができる。その結果、電池ケース内の電池セルに異常が生じることを抑制することができる。
【0019】
第7技術によると、電池パックが搭載される機器の振動を、蓋部材と衝撃緩衝材の双方で低減することができる。電池ケースに加わる振動がさらに抑制され、電池セルに異常が生じることをさらに抑制することができる。
【0020】
第8技術によると、電池パックが搭載される機器が激しく振動し、蓋部材が大きく変形しても、電池パックの変位量を制限することができる。その結果、電池パックに接続されている配線等が損傷することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施例の電池パック支持構造の断面図を示す。
図2】第2実施例の電池パック支持構造の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施例)
図1を参照し、電池パック支持構造100について説明する。図1は、電池パック10を、車両、有人・無人航空機等の移動体に設けられた電池支持部材30に固定した状態を示している。電池支持部材30は、移動体の電池取付部(図示省略)に固定される基部34と、基部34から重力方向(鉛直方向)上方に向けて伸びる柱部32を備えている。
【0023】
電池パック10は、電池ケース8と蓋部材2を備えている。電池ケース8は、一面(上部)が開口した箱型であり、底部6と側壁部4を備えている。底部6及び側壁部4は、金属製の薄板で形成されている。なお、底部6の内面(電池ケース8の内側の面)は、平面状である。すなわち、底部6の内面には凹凸が形成されていない。また、電池ケース8の外面に、補強部材18が固定されている。補強部材18は、底部6の一部と側壁部4の一部に固定されている。補強部材18によって、電池ケース8は、特に底部6が補強されている。その結果、電池ケース8の底部6の強度がさらに増し、電池セル16の変形をさらに抑制することができる。
【0024】
複数の電池セル16と複数の放熱板14が、電池ケース8内に配置されている。電池セル16及び放熱板14は、上下方向(底部6と上部の開口を結ぶ方向)に交互に積層されている。図示は省略するが、各電池セル16は、外装から突出する電極タブを備えている。電池パック10では、全ての電池セル16が直列に接続されるように、各電池セル16の電極タブ同士が接続されている。電池セル16同士の接続形態については、公知のため説明を省略する。
【0025】
蓋部材2は、電池ケース8の上部開口を塞いでいる。蓋部材2は、樹脂製の薄板で形成されている。蓋部材2は、弾性体であり、電池ケース8と比較して弾性係数が低い。そのため、蓋部材2は、電池ケース8と比較して弱い力で変形することができる。換言すると、蓋部材2は、電池ケース8が変形しない力であっても変形することができる。電池ケース8の底部6は、蓋部材2よりも高剛性の材料で形成されている。そのため、蓋部材2が変形しても電池セル16の変形は抑制されるので、電池セル16の劣化を抑制することができる。蓋部材2には、第1固定部2aと第2固定部2bが設けられている。第1固定部2aは電池ケース8に固定され、第2固定部2bは電池支持部材30(柱部32)に固定される。図示は省略するが、第1固定部2aと電池ケース8、及び、第2固定部2bと電池支持部材30は、各々ボルトによって固定されている。蓋部材2は板状なので、電池パック10を電池支持部材30に固定すると、蓋部材2(第1固定部2a)と電池ケース8(側壁部4)の固定面は、蓋部材2(第2固定部2b)と電池支持部材30(柱部32)の固定面と同一平面に含まれる。そのため、電池パック10を電池支持部材30(柱部32)に固定すると、電池支持部材30の基部34に対する電池パック10の位置(基部34からの高さ)が位置決めされる。
【0026】
電池パック支持構造100では、電池パック10を電池支持部材30に固定すると、電池パック10は、電池ケース8の底部6の外面6aが電池支持部材30の基部34の表面34aと非接触になるように、蓋部材2によって吊るされた格好となる。上述したように、蓋部材2は、弾性体であり、比較的弱い力で変形することができる。そのため、電池パック10を搭載した移動体の振動(より正確には、電池支持部材30の振動)が、蓋部材2によって減衰し、電池ケース8に伝達することを低減することができる。電池ケース8の振動を抑制することにより、電池ケース8内の電池セル16に異常が生じることを抑制することができる。
【0027】
なお、蓋部材2には、樹脂製の押圧部12が設けられている。押圧部12は、板状であり、蓋部材2の一部(中央部)に設けられている。蓋部材2を電池ケース8に固定すると、押圧部12は、電池ケース8内に位置する。蓋部材2を電池ケース8に固定すると、押圧部12は、電池セル16に接触し、電池セル16に力を加える。換言すると、蓋部材2を電池ケース8に固定すると、電池セル16は、押圧部12と電池ケース8の底部6によって挟まれ、圧縮力が加わる。押圧部12は、電池ケース8内で電池セル16が移動したり、電池セル16が膨張したりすることを抑制することができる。電池セル16の移動を抑制することにより、電池セル16に接続されている配線等に負荷が加わることが抑制され、電池パック10の耐久性が向上する。
【0028】
電池ケース8の底部6と電池支持部材30の基部34の間に、規制部材40が配置されている。より正確には、規制部材40は、電池支持部材30の柱部32に固定されており、基部34と電池ケース8の底部6の間の空間に向けて突出している。そのため、電池ケース8の底部6の一部は、規制部材40に対向している。規制部材40は、電池ケース8(電池パック10)の上下変位が所定量を越えないように抑制する。すなわち、電池支持部材30が大きく振動し、蓋部材2が大きく変形しても、電池ケース8の上下変位を所定量以下に抑制することができる。その結果、電池パック10に接続されている配線等が損傷することを抑制することができる。
【0029】
(第2実施例)
図2を参照し、電池パック支持構造100aについて説明する。電池パック支持構造100aは、電池パック支持構造100の変形例であり、電池パック支持構造100に設けられている規制部材40に代えて、電池ケース8の底部6と基部34の間に、衝撃緩衝材50が設けられている点が異なる。電池パック支持構造100aについて、電池パック支持構造100と同一の構造については、電池パック支持構造100に付した参照番号と同一の参照番号を付すことにより、説明を省略する。なお、電池パック10の構造は、電池パック支持構造100,100aともに同一である。
【0030】
電池ケース8の底部6(より正確には、底部6を補強している補強部材18)は、衝撃緩衝材50に接している。そのため、電池支持部材30から電池ケース8に伝達する振動は、蓋部材2と衝撃緩衝材50の双方で低減される。その結果、電池支持部材30の振動が、電池ケース8に伝達することをさらに低減することができる。また、衝撃緩衝材50によって、電池ケース8の上下変位を所定量以下に抑制することもできる。その結果、電池セル16に異常が生じることをさらに抑制することができる。
【0031】
(他の実施形態)
上記実施例では、電池ケースの底部と電池支持部材の基部の間に規制部材が設けられている形態、及び、電池ケースの底部と電池支持部材の基部の間に衝撃緩衝材が設けられている形態について説明した。しかしながら、規制部材及び衝撃緩衝材は必須ではなく、必要に応じて省略することもできる。あるいは、必要に応じて、電池ケースの底部と電池支持部材の基部の間に、規制部材と衝撃緩衝材の双方を設けてもよい。
【0032】
蓋部材は、電池支持部材に固定され、電池支持部材の振動が電池ケースに伝達することを低減する弾性体で形成されていればよく、電池パックを電池支持部材に固定したときに、蓋部材と電池ケースの固定面が、必ずしも蓋部材と電池支持部材の固定面と同一平面に含まれていなくてもよい。また、押圧部は蓋部材に設けられていなくてもよい。例えば、蓋部材と電池セルの間に、両者とは別体の押圧部材を配置し、蓋部材を電池ケースに固定したときに、押圧部材が電池セルを押圧してもよい。また、電池ケースの底部の厚みを厚く確保することにより、補強部材を削除してもよい。
【0033】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0034】
2:蓋部
8:電池ケース
10:電池パック
16:電池セル
30:電池支持部材
図1
図2