(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146335
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】コンクリートディストリビュータ
(51)【国際特許分類】
E04G 21/04 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
E04G21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047241
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510102306
【氏名又は名称】株式会社 ヤ マ コ ン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚原 裕一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 篤
(72)【発明者】
【氏名】林 和也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 兼治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】澤村 武
(72)【発明者】
【氏名】川原 崇嘉
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA31
2E172CA42
2E172CA47
(57)【要約】
【課題】コンクリート打設時の転倒安定性を確保することができる高機能なコンクリートディストリビュータを提供する。
【解決手段】ブーム12と、ブーム12に沿って設けられたコンクリート輸送管14と、ブーム12の基部を支持する本体16と、本体16を支持するとともに本体16から側方向に伸縮可能に張り出して設置面に設置される複数のアウトリガー18とを備えるコンクリートディストリビュータ10であって、アウトリガー18を所定の張り出し長さで伸縮不能に固定可能な固定手段と、アウトリガー18が固定手段によって伸縮不能に固定されているか否かを検出する固定検出手段40と、アウトリガー18が固定手段によって伸縮不能に固定されていないことを検出した場合に、その旨の警報を発報する警報発報手段42とをさらに備えるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームと、ブームに沿って設けられたコンクリート輸送管と、ブームの基部を支持する本体と、本体を支持するとともに本体から側方向に伸縮可能に張り出して設置面に設置される複数のアウトリガーとを備えるコンクリートディストリビュータであって、
アウトリガーを所定の張り出し長さで伸縮不能に固定可能な固定手段と、
アウトリガーが固定手段によって伸縮不能に固定されているか否かを検出する固定検出手段と、
アウトリガーが固定手段によって伸縮不能に固定されていないことを検出した場合に、その旨の警報を発報する警報発報手段とをさらに備えることを特徴とするコンクリートディストリビュータ。
【請求項2】
アウトリガーは、本体に設けられるとともに横方向に伸縮可能な横アウトリガーと、横アウトリンガーの先端側から設置面に向けて下方に設けられるとともに上下方向に伸縮可能な縦アウトリガーとを有しており、
縦アウトリガーに作用する設置面からの反力を検出し、検出した反力を報知する反力報知手段、または、検出した反力に基づいて、警報を発報する警報発報手段の少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートディストリビュータ。
【請求項3】
アウトリガーが設置面から浮いているか否かを検出する浮き検出手段をさらに備え、アウトリガーが設置面から浮いていることを検出した場合に、警報発報手段は、その旨の警報を発報することを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートディストリビュータ。
【請求項4】
本体の水平に対する傾斜角を検出する傾斜検出手段をさらに備え、傾斜検出手段により検出した傾斜角が所定角度以上である場合に、警報発報手段は、その旨の警報を発報することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のコンクリートディストリビュータ。
【請求項5】
アウトリガーに作用する重量を調整可能な重量調整手段をさらに備え、ブームの先端荷重を変更可能としたことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のコンクリートディストリビュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設の際に用いられる定置式のコンクリートディストリビュータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート打設に用いる打設用機械として、
図3に示すような定置式のコンクリートディストリビュータが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようなディストリビュータは、打設前日にクレーン等で容易に設置が可能であるため広く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来のディストリビュータを傾斜面に設置したり、アウトリガーが不完全な状態で設置したりすると、作業中の不適切な操作で衝突・接触することによってディストリビュータが転倒するおそれがある。このため、転倒防止対策を講じる必要がある。
【0005】
転倒防止対策として、例えば設置面にアウトリガーをアンカー等で固定する方法や、アウトリガーの張り出し長を拡張しかつ重くする方法、機械設計上のブーム先端重量を小さくする方法が考えられる。しかし、設置面にアウトリガーをアンカー等で固定する方法では、手間がかかり容易に移設ができないという問題がある。また、アウトリガーの張り出し長を拡張しかつ重くする方法では、有効な作業範囲が小さくなり、機械本体が大型化するという問題がある。
【0006】
また、機械設計上のブーム先端重量を小さくする方法では、JIS規格で定められた先端荷重から外れるおそれがある。例えば、ディストリビュータによるコンクリートの打設では、呼び径100Aの打設ホースを最高7m伸ばして床にホース先端側を寝かせて打設する「寝かせ打ち」が主流であるが、JIS A 8612ではその際の先端荷重が300kgと定められている。なお、ホースを寝かせずブーム先端から吊るしたまま打設する「吊打ち」では、呼び径100Aの打設ホースを4mとし、先端荷重を150kgとすることができる。「寝かせ打ち」と「吊打ち」の使い分けは打設部位によって異なる。寝かせ打ちは、打設部位を移動させる際にはホース先端側を作業員が持ち運ぶ必要があるため、その際にホースを引っかけるとディストリビュータが転倒するおそれがある。これに対し、吊打ちでは、常にホースが吊られた状態であるため、ホースを持つ必要が無く、作業員負荷も小さく移動も容易である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンクリート打設時の転倒安定性を確保することができる高機能なコンクリートディストリビュータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るコンクリートディストリビュータは、ブームと、ブームに沿って設けられたコンクリート輸送管と、ブームの基部を支持する本体と、本体を支持するとともに本体から側方向に伸縮可能に張り出して設置面に設置される複数のアウトリガーとを備えるコンクリートディストリビュータであって、アウトリガーを所定の張り出し長さで伸縮不能に固定可能な固定手段と、アウトリガーが固定手段によって伸縮不能に固定されているか否かを検出する固定検出手段と、アウトリガーが固定手段によって伸縮不能に固定されていないことを検出した場合に、その旨の警報を発報する警報発報手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータは、上述した発明において、アウトリガーは、本体に設けられるとともに横方向に伸縮可能な横アウトリガーと、横アウトリンガーの先端側から設置面に向けて下方に設けられるとともに上下方向に伸縮可能な縦アウトリガーとを有しており、縦アウトリガーに作用する設置面からの反力を検出し、検出した反力を報知する反力報知手段、または、検出した反力に基づいて、警報を発報する警報発報手段の少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータは、上述した発明において、アウトリガーが設置面から浮いているか否かを検出する浮き検出手段をさらに備え、アウトリガーが設置面から浮いていることを検出した場合に、警報発報手段は、その旨の警報を発報することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータは、上述した発明において、本体の水平に対する傾斜角を検出する傾斜検出手段をさらに備え、傾斜検出手段により検出した傾斜角が所定角度以上である場合に、警報発報手段は、その旨の警報を発報することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータは、上述した発明において、アウトリガーに作用する重量を調整可能な重量調整手段をさらに備え、ブームの先端荷重を変更可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るコンクリートディストリビュータによれば、ブームと、ブームに沿って設けられたコンクリート輸送管と、ブームの基部を支持する本体と、本体を支持するとともに本体から側方向に伸縮可能に張り出して設置面に設置される複数のアウトリガーとを備えるコンクリートディストリビュータであって、アウトリガーを所定の張り出し長さで伸縮不能に固定可能な固定手段と、アウトリガーが固定手段によって伸縮不能に固定されているか否かを検出する固定検出手段と、アウトリガーが固定手段によって伸縮不能に固定されていないことを検出した場合に、その旨の警報を発報する警報発報手段とをさらに備えるので、アウトリガーが適切な状態で設置されていない場合に、その旨を報知することでコンクリートディストリビュータの転倒を未然に防止することができる。したがって、コンクリート打設時の転倒安定性を確保することができる高機能なコンクリートディストリビュータを提供することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータによれば、アウトリガーは、本体に設けられるとともに横方向に伸縮可能な横アウトリガーと、横アウトリンガーの先端側から設置面に向けて下方に設けられるとともに上下方向に伸縮可能な縦アウトリガーとを有しており、縦アウトリガーに作用する設置面からの反力を検出し、検出した反力を報知する反力報知手段、または、検出した反力に基づいて、警報を発報する警報発報手段の少なくとも一方をさらに備えるので、アウトリガーが浮く状態を容易に確認することができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータによれば、アウトリガーが設置面から浮いているか否かを検出する浮き検出手段をさらに備え、アウトリガーが設置面から浮いていることを検出した場合に、警報発報手段は、その旨の警報を発報するので、アウトリガーが浮く状態を確実に把握することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータによれば、本体の水平に対する傾斜角を検出する傾斜検出手段をさらに備え、傾斜検出手段により検出した傾斜角が所定角度以上である場合に、警報発報手段は、その旨の警報を発報するので、設置面に傾斜があるなど不適切な傾斜角の場合に、その旨を報知することでコンクリートディストリビュータの転倒を未然に防止することができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータによれば、アウトリガーに作用する重量を調整可能な重量調整手段をさらに備え、ブームの先端荷重を変更可能としたので、打設部位に応じて寝かせ打ちと吊打ちを使い分けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明に係るコンクリートディストリビュータの実施の形態を示す上面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るコンクリートディストリビュータの実施の形態を示す側面図である。
【
図3】
図3は、従来の定置式コンクリートディストリビュータの一例を示す写真図であり、(1)は外観、(2)はコンクリートの吊打ち状況である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るコンクリートディストリビュータの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
図1および
図2に示すように、本発明の実施の形態に係るコンクリートディストリビュータ10は、多関節型のブーム12と、ブーム12に沿って設けられたコンクリート輸送管14と、ブーム12の基部を支持する本体16と、本体16を支持するとともに地面G(設置面)に設置される4本のアウトリガー18とを備える。なお、図中の破線は打設作業時、実線は格納時である。コンクリート輸送管14の先端には、図示しない可撓性の打設ホースが取り付け可能である。本体16の上部には、上下方向の軸周りに旋回可能な旋回機構20が設けられている。ブーム12の基部は、この旋回機構20に取り付けられている。旋回機構20によってブーム12の向きを任意の角度に変更可能である。
【0021】
本体16には、パワーユニット22、制御盤24、格納ブーム受け26が設けられている。パワーユニット22および制御盤24は、コンクリートディストリビュータ10に備わる各機器の動力源および制御用としてそれぞれ使用される。制御格納ブーム受け26は、格納時のブーム12を支持するためのものであり、本体16の前側に立設される。
【0022】
アウトリガー18は、本体16の前側と後側からそれぞれ左右方向に張り出して設けられる。このアウトリガー18は、横方向に伸縮可能な横アウトリガー28と、縦方向に伸縮可能な縦アウトリガー30とを有している。
【0023】
横アウトリガー28は、本体16側に取り付けられる本体側アーム32と、本体側アーム32に沿って移動可能で本体側アーム32の先端から横方向に出没自在な先端側アーム34とからなる。本体側アーム32および先端側アーム34には、それぞれ横方向に所定間隔で図示しないピン穴が複数設けられている。本体側アーム32の所定位置のピン穴と先端側アーム34の所定位置のピン穴とにピンを通すことで、本体側アーム32および先端側アーム34を移動不能に固定することができる。ピン穴およびピンは、横アウトリガー28を所定の張り出し長さで伸縮不能に固定するための固定手段である。ピン穴の組み合わせによって、横アウトリガー28の水平張り出し長さを適切な長さに設定することができる。
【0024】
縦アウトリガー30は、横アウトリガー28の先端側から地面Gに向けて下方に設けられる油圧シリンダー36と、油圧シリンダー36の下端に設けられる設置部38とを含んで構成される。設置部38は、地面Gに接地しやすい平板構造のベースからなり、ベースの下面には、滑り防止用の表面加工が施されている。油圧シリンダー36の伸縮は、後述するように、本体16が常に水平状態を維持できるように制御盤24などから制御される。こうすることで、コンクリートディストリビュータ10が転倒し難くなる。
【0025】
このコンクリートディストリビュータ10は、固定検出手段40と、警報発報手段42と、反力報知手段44と、浮き検出手段46と、傾斜検出手段48と、重量調整手段50をさらに備える。
【0026】
固定検出手段40は、横アウトリガー28の張り出し位置が適切か否かを確認するために、横アウトリガー28がピンによって伸縮不能に固定されているか否かを検出する。固定検出手段40は、例えば、ピンが横アウトリガー28に確実にセットされていることを検出する近接センサーやリミットスイッチなどで構成することができる。
【0027】
警報発報手段42は、各種の警報を発報する機能を有する。例えば、上記のように固定検出手段40が、横アウトリガー28がピンによって伸縮不能に固定されていないことを検出した場合に、横アウトリガー28の張り出し位置が不適切であるとして、警報発報手段42は、その旨の警報(不適切な水平張り出し位置への警告)を発報する。したがって、横アウトリガー28が適切な張り出し位置となるように本体側アーム32および先端側アーム34のピン穴をピンで固定したつもりでも、ピンが確実にセットされていない場合には警報が発報される。警報発報手段42は、本体16に搭載された制御盤24などに設けることができる。警報は、例えば、本体16の周囲に発せられるアラームでもよいし、図示しない遠方監視モニターに発せられる画像や音声情報でもよい。
【0028】
このように、横アウトリガー28が適切な状態で設置されていない場合に、その旨を報知することでコンクリートディストリビュータ10の転倒を未然に防止することができる。したがって、コンクリート打設時の転倒安定性を確保することができる高機能なコンクリートディストリビュータ10を提供することができる。
【0029】
反力報知手段44は、コンクリート打設中などに縦アウトリガー30の油圧シリンダー36に作用する地面Gからの反力を検出し、検出した反力を報知するためのものである。反力報知手段44は、例えば、油圧シリンダー36に作用する反力を検出する反力検出部と、その検出値を報知する反力報知部を用いて構成することができる。この反力検出部は、油圧シリンダー36に供給する作動油圧を計測する圧力検出部(図示せず)である。この圧力検出部(圧力センサ)は、4本の油圧シリンダー36にそれぞれ設けてもよい。また、反力報知部には、例えば、本体16に搭載された制御盤24に備わるモニターや、図示しない遠方監視モニターなどを利用することができる。反力報知手段44によって、反力が急激に変化した状態(縦アウトリガー30が地面Gから浮く状態)を容易に確認することができる。なお、本発明はこれに限るものではなく、例えば反力報知手段44に代えて、または反力報知手段44に加えて、検出した反力に基づいて、警報発報手段42がその旨の警報(不適切な設置への警告)を発報する構成としてもよい。なお、反力が急激に変化した状態を把握した場合には、打設作業を一時停止し、油圧シリンダー36を伸縮制御することで、コンクリートディストリビュータ10の転倒を未然に防止することが可能である。
【0030】
浮き検出手段46は、打設中の不適切な操作により転倒しそうな状態(縦アウトリガー30が地面Gから浮く状態)か否かを確認するために、縦アウトリガー30が地面Gから浮いているか否かを検出する。浮き検出手段46は、例えば、設置部38の近傍に設けた近接センサーやリミットスイッチなどで構成することができる。また、浮き検出手段46は、圧力検出部が兼用してもよく、圧力検出部(圧力センサ)の計測値がゼロであれば縦アウトリガー30が地面Gから浮いていることを検出できる。浮き検出手段46によって、縦アウトリガー30が地面Gから浮いていることを検出した場合には、転倒しそうな状態にあるとして、警報発報手段42は、その旨の警報(不適切な操作への警告)を発報する。これにより、縦アウトリガー30が地面Gから浮く状態を確実に把握することができる。
【0031】
傾斜検出手段48は、打設中または設置作業中の本体16の水平に対する傾斜角を検出するためのものであり、例えば本体16に設けた傾斜計で構成することができる。設置面に傾斜がある場合などには本体16が傾斜する可能性がある。そこで、傾斜検出手段48により検出した傾斜角が所定角度以上である場合には、転倒しそうな状態にあると判定して、警報発報手段42は、その旨の警報(不適切な傾斜への警告)を発報してもよい。これにより、不適切な傾斜角の設置面に設置する場合において、転倒を未然に防止することができる。また、傾斜検出手段48により検出した傾斜角に基づいて、縦アウトリガー30の油圧シリンダー36の伸縮を制御してもよい。この場合、本体16が常に水平状態を維持できるように油圧シリンダー36の伸縮を制御してもよい。このようにすれば、コンクリートディストリビュータ10が転倒し難くなる。
【0032】
重量調整手段50は、アウトリガー18に作用する重量を調整可能な手段であり、例えば本体16に対して着脱可能に搭載されるカウンターウェイト52やバランスウェイト54により構成することができる。この重量調整手段50でアウトリガー18の重量を調整すれば、ブーム12の先端荷重が変更可能である。例えば、先端荷重を300kgから150kgに変更可能である。これにより、打設部位に応じて寝かせ打ちと吊打ちを使い分けることができる。また、転倒し難い構造を実現することができる。
【0033】
上記の構成によれば、アウトリガー18が適切な状態で設置されていない場合に、その旨を報知することでコンクリートディストリビュータ10の転倒を未然に防止することができる。したがって、本実施の形態によれば、コンクリート打設時の転倒安定性を確保することができる高機能なコンクリートディストリビュータ10を提供することができる。
【0034】
なお、上記の実施の形態において、本体16の後端などに吊環56を設けてもよい。このようにすれば、吊環56を介して本体16を容易に周囲の構造物と固定することができる。この吊環56は、例えばコンクリートディストリビュータ10を、構台などを用いた高所に設置した場合の落下防止用に使用することを想定している。
【0035】
以上説明したように、本発明に係るコンクリートディストリビュータによれば、ブームと、ブームに沿って設けられたコンクリート輸送管と、ブームの基部を支持する本体と、本体を支持するとともに本体から側方向に伸縮可能に張り出して設置面に設置される複数のアウトリガーとを備えるコンクリートディストリビュータであって、アウトリガーを所定の張り出し長さで伸縮不能に固定可能な固定手段と、アウトリガーが固定手段によって伸縮不能に固定されているか否かを検出する固定検出手段と、アウトリガーが固定手段によって伸縮不能に固定されていないことを検出した場合に、その旨の警報を発報する警報発報手段とをさらに備えるので、アウトリガーが適切な状態で設置されていない場合に、その旨を報知することでコンクリートディストリビュータの転倒を未然に防止することができる。したがって、コンクリート打設時の転倒安定性を確保することができる高機能なコンクリートディストリビュータを提供することができる。
【0036】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータによれば、アウトリガーは、本体に設けられるとともに横方向に伸縮可能な横アウトリガーと、横アウトリンガーの先端側から設置面に向けて下方に設けられるとともに上下方向に伸縮可能な縦アウトリガーとを有しており、縦アウトリガーに作用する設置面からの反力を検出し、検出した反力を報知する反力報知手段、または、検出した反力に基づいて、警報を発報する警報発報手段の少なくとも一方をさらに備えるので、アウトリガーが浮く状態を容易に確認することができる。
【0037】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータによれば、アウトリガーが設置面から浮いているか否かを検出する浮き検出手段をさらに備え、アウトリガーが設置面から浮いていることを検出した場合に、警報発報手段は、その旨の警報を発報するので、アウトリガーが浮く状態を確実に把握することができる。
【0038】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータによれば、本体の水平に対する傾斜角を検出する傾斜検出手段をさらに備え、傾斜検出手段により検出した傾斜角が所定角度以上である場合に、警報発報手段は、その旨の警報を発報するので、設置面に傾斜があるなど不適切な傾斜角の場合に、その旨を報知することでコンクリートディストリビュータの転倒を未然に防止することができる。
【0039】
また、本発明に係る他のコンクリートディストリビュータによれば、アウトリガーに作用する重量を調整可能な重量調整手段をさらに備え、ブームの先端荷重を変更可能としたので、打設部位に応じて寝かせ打ちと吊打ちを使い分けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明に係るコンクリートディストリビュータは、コンクリート打設の際に用いられる定置式のコンクリートディストリビュータに有用であり、特に、コンクリート打設時の転倒安定性を確保するのに適している。
【符号の説明】
【0041】
10 コンクリートディストリビュータ
12 ブーム
14 コンクリート輸送管
16 本体
18 アウトリガー
20 旋回機構
22 パワーユニット
24 制御盤
26 格納ブーム受け
28 横アウトリガー
30 縦アウトリガー
32 本体側アーム
34 先端側アーム
36 油圧シリンダー
38 設置部
40 固定検出手段
42 警報発報手段
44 反力報知手段
46 浮き検出手段
48 傾斜検出手段
50 重量調整手段
52 カウンターウェイト
54 バランスウェイト
56 吊環
G 地面(設置面)