(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146343
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】給水機構及び水車
(51)【国際特許分類】
F03B 11/06 20060101AFI20220928BHJP
F03B 3/02 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
F03B11/06
F03B3/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047250
(22)【出願日】2021-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】598048727
【氏名又は名称】富士・フォイト ハイドロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】特許業務法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 大助
【テーマコード(参考)】
3H072
【Fターム(参考)】
3H072AA07
3H072AA27
3H072BB21
3H072CC10
3H072CC67
3H072CC71
(57)【要約】
【課題】清水を使用せずに、効率的に運用可能な給水機構を提供する。
【解決手段】給水機構2Aは、土砂類を除去するろ過装置30と、河川水が流れる水路100に設けられた取水口10とろ過装置30との間を連通する上流配管Uと、水路100に設けられる水車ランナ82の主軸80と摺動する封水装置70Aとろ過装置30とを連通する下流配管Dと、ろ過装置30によって土砂類が取り除かれた水の一部を上流配管Uに還流させる還流配管F1と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂類を除去するろ過装置と、
河川水が流れる水路に設けられた取水口と前記ろ過装置との間を連通する上流配管と、
前記水路に設けられる水車ランナの主軸と摺動する主軸摺動装置と前記ろ過装置とを連通する下流配管と、
前記ろ過装置によって土砂類が取り除かれた水の一部を前記上流配管に還流させる還流配管と、
を備える給水機構。
【請求項2】
前記主軸摺動装置は、前記河川水の流入を抑制する封水装置と、前記主軸の軸受装置とのうち、少なくとも一方を備える請求項1に記載の給水機構。
【請求項3】
前記還流配管は、前記下流配管から分岐して前記上流配管と連通する請求項1に記載の給水機構。
【請求項4】
前記還流配管には、前記主軸摺動装置の給水圧及び還流流量の少なくとも一方を調整する調整装置が設けられる、請求項3に記載の給水機構。
【請求項5】
前記還流配管は、前記主軸摺動装置と前記上流配管とを連通する、請求項1に記載の給水機構。
【請求項6】
前記還流配管と前記下流配管とに、逆洗機構が設けられる請求項5に記載の給水機構。
【請求項7】
前記還流配管の第1位置から分岐して、前記下流配管の第2位置に連通する第1配管と、
前記下流配管の第3位置から分岐して、前記還流配管の第4位置に連通する第2配管と、
前記第1配管に設けられる第1弁と、
前記第2配管に設けられる第2弁と、
前記還流配管において、前記第1位置から前記第4位置までの間に設けられる第3弁と、
前記下流配管において、前記第2位置から前記第3位置までの間に設けられる第4弁とを備え、
前記第1弁及び前記第2弁は、通常時に開状態となり、逆洗時に閉状態となり、
前記第3弁及び前記第4弁は、通常時に閉状態となり、逆洗時に開状態となる、
請求項5に記載の給水機構。
【請求項8】
前記還流配管の前記第1位置から前記第4位置までの間、及び前記下流配管の前記第2位置から前記第3位置までの間の少なくとも一方に設けられ、前記主軸摺動装置の給水圧及び還流流量の少なくとも一方を調整する調整装置を備える、請求項7に記載の給水機構。
【請求項9】
前記主軸摺動装置は、前記河川水の流入を抑制する封水装置と、前記主軸の軸受装置とを備え、
前記下流配管は、互いに連通する第1下流配管、第2下流配管、及び第3下流配管を備え、
前記第1下流配管は、前記ろ過装置と連通し、
前記第2下流配管は、前記封水装置と連通し、
前記第3下流配管は、前記軸受装置と連通し、
前記還流配管は、
前記封水装置と連通する第1還流配管と、
前記軸受装置と連通する第2還流配管とを備える、
請求項1に記載の給水機構。
【請求項10】
請求項1から請求項10までのうちいずれか1項に記載の給水機構と、
河川水を流す水路と、
前記水路に設けられる水車ランナと、
前記水車ランナと連結される主軸と、
を備える水車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水車の主軸に関する装置に水を供給するための給水機構及び水車に関する。
【背景技術】
【0002】
水車の主軸の軸受に水潤滑を用いる給水装置が特許文献1に開示されている。この給水装置では、軸受摺動部に土砂類を含む河川水が侵入することを防止するために水道水等の清水を利用する。主軸とカバーとの間には、封水装置と軸受が設けられる。封水装置は水車内へ河川水が流入しないようにシールするパッキンが用いられる。清水は、河川水よりも高い圧力で軸受及び封水装置に注入される。給水装置は、清水の利用効率を高めるために、清水の循環機構を備える。給水装置は、封水給水圧を確保するために、十分な容量を持つ給水ポンプと、十分な高さに配置した上部水槽を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の給水装置では、給水源として水道水又はそれに準ずる清水が必要である。しかし、清水が入手困難な場所では採用できず、更に清水の消費コストがかかるといった問題がある。
本開示は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、清水を用いずに運用可能な給水機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本開示の給水機構は、土砂類を除去するろ過装置と、 河川水が流れる水路に設けられた取水口と前記ろ過装置との間を連通する上流配管と、前記水路に設けられる水車ランナの主軸の外周面に取り付けられる主軸摺動装置と前記ろ過装置とを連通する下流配管と、前記ろ過装置によって土砂類が取り除かれた水の一部を前記上流配管に還流させる還流配管と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る水車1Aの構成例を示すブロック図である。
【
図2A】給水機構2Aに用いられる封水装置70Aの構成例を示す断面図である。
【
図2B】封水装置70Aの一部を拡大した断面図である。
【
図3】本開示の第2実施形態に係る水車1Bの構成例を示すブロック図である
【
図4A】給水機構2Bに用いられる封水装置70Bの構成例を示す断面図である。
【
図4B】封水装置70Bの他の構成例を示す断面図である。
【
図5A】本開示の第3実施形態に係る水車1Cの構成例を示すブロック図である。
【
図5B】給水機構2Cの逆洗時における水の流れる方向を説明するための説明図である。
【
図6】本開示の第4実施形態に係る水車1Dの構成例を示すブロック図である。
【
図7】本開示の第5実施形態に係る水車1Eの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本開示に係る実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法及び縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施形態は、本開示の好適な具体例である。このため、以下の実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
1.第1実施形態
図1は、本開示の第1実施形態に係る水車1Aの構成例を示すブロック図である。水車1Aは、例えば、水力発電所の施設に用いられる。水車1Aは、給水機構2A、主軸80、水車ランナ82、ガイドベーン84、及び水路100を備える。
【0009】
河川水が流れる水路100には、水車ランナ82が配置される。水路100は、例えば、鉄管又はコンクリートのケーシングによって構成される。水車ランナ82は主軸80と連結されている。ガイドベーン84は水車ランナ82を回転させる河川水の水量を調整する。主軸80は、その外周の一部に円筒状のスリーブ81を備える。
【0010】
給水機構2Aは、主軸80に取り付けられる封水装置70Aを備える。主軸80は、カバー90の内側に配置される。封水装置70Aは、水路100の河川水がカバー90の上側に侵入しないように、水路100の水圧よりも高い圧力で給水され、封水装置70Aから給水が漏れ出すように構成される。給水機構2Aは、封水装置70Aに前述した給水を行う。封水装置70Aは、主軸80の外周面に取り付けられる。封水装置70Aは、主軸80の外周面と摺動する主軸摺動装置の一例である。
【0011】
図2Aは封水装置70Aの構成例を示す断面図であり、
図2Bは
図2Aに示される封水装置70Aを拡大した断面図である。
図2A及び
図2Bに示されるように、封水装置70Aは、スリーブ81と摺動する。
【0012】
封水装置70Aは、パッキン71a及び71b、スプリング72a及び72b、パッキンケース73a、73b及び73c、並びに給水口74を備える。
【0013】
パッキン71a及び71bは、複数個の円弧状のセグメントを組み合わせて構成される。パッキン71a及び71bは、スリーブ81と摺動する。パッキンケース73aは、パッキン71a及びスプリング72aを収容し、パッキンケース73bは、パッキン71b及びスプリング72bを収容する。スプリング72aはパッキン71aをスリーブ81に押圧し、スプリング72bはパッキン71bをスリーブ81に押圧する。パッキン71aとパッキンケース73aとの間、パッキン71bとパッキンケース73bとの間にはわずかなギャップがあり、パッキン71a及び71bが主軸80の動きに追従できるようになっている。
【0014】
下流配管Dから封水装置70Aに流れ込む水は、給水口74を介して封水装置70A中に流れ込む。この水は、パッキン71a及び71bとスリーブ81との摺動面、パッキン71a及び71bとパッキンケース73a及び73bのギャップから漏れ出る。主軸80の回転に伴って、パッキン71a及び71bは、スリーブ81と摺動するが、摺動面に漏れ出る水によって、スリーブ81とパッキン71a及び71bとの間の摩擦力が低減すると共に摩擦熱が放熱される。
【0015】
封水装置70Aに供給される水は、ギャップの詰まり防止、パッキン71a及び71bとスリーブ81との摺動面の摩耗防止のため、土砂類が十分除去される必要がある。また、上述したように、封水装置70Aの給水圧は、水路100を流れる河川水の圧力よりも高いことが必要である。
【0016】
図1に示される水路100には取水口10が設けられており、取水口10から河川水が給水機構2Aに取り込まれる。取水口10とろ過装置30とは上流配管Uを介して連通する。上流配管Uは、合流点Xにおいて還流配管F1と連通する。還流配管F1には、還流水が流れる。この例では、合流点Xとろ過装置30との間にポンプ20が配置される。ポンプ20は流入する水に対して加圧して吐出する。ろ過装置30には、上流配管Uから河川水と還流水とが混合された水が流れ込む。この水には河川水に含まれる土砂類が混入している。
【0017】
ろ過装置30は、水に含まれる土砂類を除去する。土砂類には、土及び砂の他、固形物が含まれる。ろ過装置30は、例えば、サンドセパレータ及びストレーナ等が該当する。サンドセパレータは、遠心分離部と収容部とを備える。遠心分離部は流入する水に渦を発生させることにより、遠心力で土砂類を分離する。収容部は分離された土砂類を収容する。ストレーナは、網目状のエレメントと収容部を備え、異物をエレメントで捕集する。収容部は捕集した土砂類を収容する。ろ過装置30は、サンドセパレータ単体、ストレーナ単体、又はサンドセパレータとストレーナとの組み合わせで構成されてもよい。
【0018】
ろ過装置30は、排砂弁31を介して、排水槽32と接続される。排砂弁31を間欠的に開くことで、サンドセパレータ又はストレーナの収容部に蓄積された土砂類が間欠的に水と共に排水槽32に排出される。
【0019】
ろ過装置30は、分岐点Yを通り封水装置70Aに至る下流配管Dと接続される。下流配管Dは、分岐点Yにおいて分岐する還流配管F1と連通する。還流配管F1には調整装置50が設けられる。調整装置50は封水装置70Aの給水圧及び還流配管F1に流れる水の水量の少なくとも一方を調整することができる。調整装置50としては、流量調整弁、オリフィス、及び可変絞り弁等を用いることができる。
【0020】
上述したように封水装置70Aは下流配管Dからの給水によって、ギャップ及び摺動面から水が漏れ出る。封水装置70Aへの給水量は漏れ出る水の量によって定まるので、封水装置70Aへの給水量は、僅かであり、しかも不安定である。
【0021】
仮に、調整装置50を分岐点Yと封水装置70Aとの間に設けると、調整装置50を通過する水量は、少量且つ不安定である。調整装置50にて給水圧を調整する場合、調整装置50は絞り部を通過する際の圧力損失によって圧力を調整するため、給水量が少量且つ不安定な場合、圧力の調整が容易でなく、更に頻繁な再調整が必要となる。
【0022】
調整装置50に十分な水量の水を供給するため、下流配管Dから分岐した配管に調整装置50を設け、調整装置50を通過した後の水を排水槽等に廃棄することも考えられる。調整装置50を通過した水を廃棄すれば、調整装置50による圧力調整を容易とし、再調整の回数を低減できる。しかしながら、この場合には、取水口10から流入する河川水も増加し、河川水と共に流入する土砂の量も増加する。
【0023】
そこで、給水機構2Aは、還流配管F1を用いて、ろ過装置30を通過した水の一部を分岐し、調整装置50を通過した後、上流配管Uに還流させることによって、閉ループを構成した。ここで、取水口10から取り込む河川水の水量をQ1、ろ過装置30から土砂類を排出する際に捨てられる水量をQ2、封水装置70Aから漏れ出る水量をΔQとする。なお、Q2は、1回の排出に伴う水の量を長時間で平均した水量である。
【0024】
この場合、取水口10から取り込む河川水の取水量Q1は以下の式1で与えられる。
Q1=ΔQ+Q2…式1
また、還流配管F1を流れる還流水の流量をQ3、ろ過装置30に流れ込む水の水量をQ4とした場合、水量Q4に占める取水量Q1の割合は、以下に示す式2で与えられる。
Q1/Q4=Q1/(Q1+Q3)…式2
【0025】
取水量Q1は、式1に示されるように封水装置70Aから漏れ出る水量ΔQと排砂に伴う水量Q2の合計に過ぎなく、還流水量Q3よりも大幅に小さい。このため、河川水と共に閉ループに流入する土砂類は、還流配管F1を設けず分岐管の水を廃棄する場合と比較して大幅に減少する。その結果、封水装置70Aへの土砂侵入も大幅に制限される。更に、豪雨等によって河川水に大量の土砂類が含まれ、一度のろ過では土砂類が除去しきれない場合であっても、還流水を繰り返しろ過することによって給水中の土砂類の量を低くすることができる。これらの効果により、封水装置70Aに流入する土砂類の量が低減され、パッキン71a、71b及びスリーブ81が摩耗すること及びギャップの詰まりが抑制される。
【0026】
また、給水機構2Aによれば閉ループを採用するので、河川水の取水量Q1が減少する。この結果、取水口10から合流点Xまでの上流配管Uに、小径の配管を用いることができるので、給水機構2Aの構成が簡素化され、且つコストが削減される。
【0027】
また、合流点X→ろ過装置30→分岐点Y→調整装置50→還流配管F1→合流点Xといった閉ループを採用することによって、ろ過装置30によってろ過された水が循環するので、分岐管の水を廃棄する場合と比較して閉ループの流水の水質が向上する。更に、水質の向上に伴って、ポンプ20の摩耗が低減される。
【0028】
また、ろ過装置30にサンドセパレータを採用する場合、サンドセパレータは遠心分離によって土砂類を除去するため、ろ過装置30の入口から流れ込む水量Q4は効率的に遠心分離ができる範囲である必要がある。下流配管Dに分岐を設けない場合、取水口10から取水する河川水の取水量Q1は、封水装置70Aから漏れ出る水量ΔQとほぼ等しくなり、サンドセパレータに十分な水量を供給できない。また、下流配管Dに分岐を設け、分岐後の水を排水槽等に廃棄する場合、サンドセパレータの流量は確保できるが、河川水の取水量Q1が増加し、河川水と共に流入する土砂類の量が増加する。これに対して、閉ループを採用する給水機構2Aは、水量Q4に占める還流水量Q3が、取水量Q1と比較して大きいので、サンドセパレータに安定した水量Q4の水を供給できる。この結果、給水機構2Aはサンドセパレータを用いて効率的に土砂類を除去でき、かつ河川水の取水量Q1を減らして土砂類の流入を減らすことができる。
【0029】
次に、
図1を参照して、給水機構2Aの各部の圧力について説明する。以下の説明では、取水口10における河川水の水圧をP1、ガイドベーン84の圧力損失をΔP1、水車ランナ82の入口における河川水の水圧をP2、取水口10から合流点Xまでの上流配管Uの圧力損失をΔP2、合流点Xにおける合流水の水圧をP3、分岐点Yから合流点Xまでの還流配管F1の圧力損失をΔP3、封水装置70Aの給水圧をP4とする。
【0030】
水路100における水車ランナ入口付近の水圧P2は、以下の式3で与えられる。
P2=P1-ΔP1…式3
合流点Xにおける水圧P3は、以下の式4で与えられる。
P3=P1-ΔP2…式4
封水装置70Aの給水圧P4は以下の式5で与えられる。
P4=P3+ΔP3=P1-ΔP2+ΔP3…式5
河川水を封水装置70Aに侵入させないためには、給水圧P4が河川水の水圧P2を上回る必要がある。従って、以下に示す式6を充足する必要がある。
P4>P2
P1-ΔP2+ΔP3>P1-ΔP1
ΔP1-ΔP2+ΔP3>0…式6
ここで、ΔP2は一般的にガイドベーン84の圧力損失ΔP1よりも小さいため、式6が充足される。
【0031】
以上説明したように、封水装置70Aにおいて、給水圧P4は封水装置70Aの河川水側の水圧P2よりも高くなっている。このため、ポンプ20に必要とされる容量は、閉ループ内に配置されたろ過装置30、調整装置50及び配管の損失に抗し、還流水量Q3を安定して確保できるだけの容量であれば十分である。よって、ポンプ20の容量は小さくてよい。
【0032】
また、合流点Xは、取水口10の水圧P1から僅かに上流配管Uの圧力損失ΔP2だけ低くなった圧力を背圧として有する。このため、封水装置70Aの給水圧P4は、この背圧に分岐点Yから合流点Xまでの圧力損失ΔP3を加えた圧力を常に持つことになる。従って、安定して封水装置70Aの河川水側の水圧P2よりも高い給水圧P4を保つことができる。
【0033】
更に、上池の水位等により、水路100の河川水の圧力が変動する場合、河川水側の水圧P2はこれに応じて変動する。この場合、同時に合流点Xの水圧P3の背圧も連動するため、給水圧P4が河川水側の水圧P2よりも高いという相対関係を常に保つことができる。以上の圧力の関係は、他の実施形態についても同様である。
【0034】
以上説明したように、第1実施形態の給水機構2Aは、土砂類を除去するろ過装置30と、河川水が流れる水路100に設けられた取水口10とろ過装置30との間を連通する上流配管Uと、水路100に設けられる水車ランナ82の主軸80と摺動する封水装置70A(主軸摺動装置の一例)と、ろ過装置30と封水装置70Aとを連通する下流配管Dと、ろ過装置30によって土砂類が取り除かれた水の一部を上流配管Uに還流させる還流配管F1と、を備える。
【0035】
給水機構2Aは、河川水から封水装置70Aに給水するための水を生成するので、水道水等の清水を使用しなくとも、封水装置70Aに給水できる。また、給水機構2Aは、還流配管F1を備えるので、ろ過装置30によって土砂類が取り除かれた水を循環させる閉ループを構成する。このため、給水機構2Aは、閉ループを構成しない場合と比較して、河川水を給水機構2Aに取り込む量を削減できる。更に、ろ過装置30には、河川水と還流水とが混合された水が流入するので、閉ループを構成しない場合と比較して、土砂類が十分に取り除かれた水を封水装置70Aに給水できる。
【0036】
また、ろ過装置30としてストレーナを閉ループ内に配置する場合、土砂類の流入量が減ることで、ストレーナの詰まり速度を遅くすることができる。また、ろ過装置30としてサンドセパレータを閉ループ内に配置する場合、十分な水量の水がサンドセパレータに流入するので、土砂類を効率的に除去できる。
【0037】
ここで、還流配管F1は下流配管Dから分岐して上流配管Uと連通する。下流配管Dにはろ過装置30によって土砂類が取り除かれた水が流れるが、還流配管F1は下流配管Dから分岐するので、還流配管F1にはろ過装置30によって土砂類が取り除かれた水の一部が流れる。この水を上流配管Uに還流させることによって、閉ループが構成される。また、封水装置70Aの給水量は、封水装置70Aから漏れ出る水量と等しくなるので、少ない。一方、ろ過装置30がサンドセパレータの場合、効率よく土砂類を除去するためには、封水装置70Aの給水量と比較して大きな水量が必要である。下流配管Dに分岐を設けることによって、給水機構2Aは、ろ過装置30(例えば、サンドセパレータ)へ十分な水量の合流水を供給しつつ、封水装置70Aには適切な水量で給水できる。
【0038】
また、還流配管F1には、封水装置70A(主軸摺動装置の一例)の給水圧及び還流流量の少なくとも一方を調整する調整装置50が設けられる。還流配管F1が分岐する位置よりも下流に調整装置50を設ける場合と比較して、給水機構2Aは、調整装置50に大きな水量の水を安定的に流入させることができるので、調整装置50を用いた封水装置70Aの給水圧の調整が容易になる。
【0039】
2.第2実施形態
第1実施形態に係る給水機構2Aは、下流配管Dから分岐した還流配管F1が、上流配管Uに連通することによって、閉ループを構成した。これに対して、第2実施形態に係る給水機構2Bは、還流配管F1の替わりに還流配管F2を用いる点、及び封水装置70Aの替わりに封水装置70Bを備える点で、
図1に示される給水機構2Aと相違する。
【0040】
図3は、本開示の第2実施形態に係る水車1Bの構成例を示すブロック図である。水車1Bは給水機構2Aの替わりに給水機構2Bを用いる点を除いて、第1実施形態の水車1Aと同様に構成される。
図3に示される給水機構2Bの各構成において、給水機構2Aと同一の構成については、同一の符号付して説明を省略する。以下、相違点について説明する。
【0041】
還流配管F2は、封水装置70Bと上流配管Uとを連通する。封水装置70Bは主軸摺動装置の一例である。第1実施形態の封水装置70Aには、封水装置70Aから漏れ出る水量とほぼ等しい水量が給水された。これに対して封水装置70Bには、漏れ出る水量を超える水量が下流配管Dから給水される。
【0042】
図4Aは、封水装置70Bの一構成例を示す断面図である。封水装置70Bは、排水口75Aを備える点を除いて、
図2Aに示される封水装置70Aと同様に構成される。封水装置70Bにおいて、給水口74を介して供給される水は、封水装置70Bとスリーブ81の境界から漏れ出ると共に、パッキンケース73a及び73bの内部に流入する。パッキンケース73a及び73bの内部に流入した水は、排水口75Aを介して還流配管F2に流れ出る。
【0043】
図4Bは、封水装置70Bの他の構成例を示す断面図である。給水口74を介して供給される水は、パッキン71aとパッキンケース73aとのギャップを通過し、パッキン71aがスプリング72aと接触する面とパッキンケース73aの内壁とで囲まれた空間77aに流入する。また、給水口74を介して供給される水は、パッキン71bとパッキンケース73bとのギャップを通過し、パッキン71bがスプリング72bと接触する面とパッキンケース73bの内壁とで囲まれた空間77bに流入する。空間77a及び77bは排水管75Bと連通する。給水口74を介して供給される水の一部は、排水管75Bを介して還流配管F2に流れ出る。
【0044】
図4Bに示される封水装置70Bの他の構成例では、パッキン71a及び71bとパッキンケース73a及び73bの間のギャップを常時大きな流量の水が流れるので、ギャップに土砂類が詰まりにくくなる。
【0045】
図3に示されるように、取水口10から取り込む河川水の水量をQ1、ろ過装置30から土砂類を排出する際に捨てられる水量Q2、封水装置70Bから漏れ出る水量をΔQ、ろ過装置30に流れ込む合流水の水量をQ4、還流配管F2に流れ出る還流水の流量をQ5、とした場合、封水装置70Bに流れ込む合流水の水量Q7は、以下の式7で与えられる。
Q7=Q5+ΔQ…式7
【0046】
第1実施形態の封水装置70Aに流れ込む水の水量は封水装置70Aから漏れ出る水量ΔQとほぼ等しい。これに対して、封水装置70Bに流れ込む水の水量Q7は、封水装置70Aに流れ込む水の水量ΔQと比較して大きい。封水装置70Bにおいて、水がパッキン71a及び71bとパッキンケース73a及び73bの間のギャップを通過するようにすれば、ギャップを常時大きな流量の水が流れることになるため、土砂類がギャップに詰まりにくくなる。
【0047】
また、給水機構2Bによれば、第1実施形態の給水機構2Aと同様に、ろ過装置30で除去しきれない土砂類によって、パッキン71a、71b及びスリーブ81が摩耗すること及びギャップの詰まることが抑制される。加えて、給水機構2Bによれば、ろ過装置30及びポンプ20等の長寿命化が図られる。
【0048】
3.第3実施形態
第3実施形態に係る水車1Cは、給水機構2Bの替わりに給水機構2Cを備える点を除いて、第2実施形態に係る水車1Bと同様に構成されている。給水機構2Cは、逆洗機構200を備える点、及び還流配管F2を逆洗配管と兼用する点を除いて、
図3に示される第2実施形態の給水機構2Bと同様に構成される。なお、上述した第2実施形態では、封水装置70Bとして、
図4Aに示す構成例と
図4Bに示す他の構成例を例示した。第3実施形態の給水機構2Cでは、
図4Bに示される他の構成例の封水装置70Bが用いられる。以下の、給水機構2Cが給水機構2Bと相違する点について説明する。
【0049】
図5Aは、本開示の第3実施形態に係る給水機構2Cの構成例を示すブロック図である。
図5Aに示される給水機構2Cの各構成において、給水機構2Bと同一の構成については、同一の符号付して説明を省略する。
【0050】
給水機構2Cは、通常時において、給水機構2Bと同様に、下流配管D→封水装置70B→還流配管F2といった経路で水を流す。一方、給水機構2Cは、逆洗時に還流配管F2→封水装置70B→下流配管Dといった経路で水を流す。このように逆洗時には水の流れる方向が、通常時の逆方向になる。
【0051】
給水機構2Cは、閉ループを構成するので、ろ過装置30によって土砂類を効率的に除去することができる。しかし、ろ過装置30で除去しきれない土砂類が封水装置70Bに流れ込み、パッキン71a及び71bとパッキンケース73a及び73bとの間のギャップに詰まって、パッキン71a及び71bのスリーブ81への密着度を悪化させ、河川水の侵入防止機能を阻害する可能性がある。逆洗機構200は逆洗時に水の流れる方向を逆方向に制御する。通常時と逆方向に水を流すことによって、給水機構2Cは、ギャップに詰まった土砂類を掻き出すことできる。従って、逆洗機構200を備える給水機構2Cは、封水装置70Bのメンテナンス回数を低減しつつ、封水装置70Bの性能を高く維持できる。
【0052】
逆洗機構200は、還流配管F2と、下流配管Dとに設けられている。逆洗機構200は、第1配管L1と、第2配管L2と、第1弁201と、第2弁202と、第3弁203と、第4弁204とを備える。第1配管L1は、還流配管F2の第1位置Zf1から分岐して、下流配管Dの第2位置Zd2に連通する。第2配管L2は、下流配管Dの第3位置Zd3から分岐して、還流配管F2の第4位置Zf4に連通する。
また、調整装置50は、還流配管F2の第1位置Zf1と第3弁203との間に配置される。
【0053】
第1弁201は第1配管L1に設けられ、通常時に閉状態となり、逆洗時に開状態となる。第2弁202は、第2配管L2に設けられ、通常時に閉状態となり、逆洗時に開状態となる。第3弁203は、還流配管F2において、第1位置Zf1から第4位置Zf4までの間に設けられる。第3弁203は、通常時に開状態となり、逆洗時に閉状態となる。第4弁204は、下流配管Dにおいて、第2位置Zd2から第3位置Zd3までの間に設けられる。第4弁204は、通常時に開状態となり、逆洗時に閉状態となる。
【0054】
図5Aに示されるように通常時には、第3弁203及び第4弁204が閉状態となり、第1弁201及び第2弁202が開状態となる。通常時には、
図5Aに示す矢印の方向に水が流れる。具体的には、給水機構2Cは、ポンプ20→ろ過装置30→第4弁204→下流配管D→封水装置70B→還流配管F2→調整装置50→第3弁203→合流点X→ポンプ20の順に水を流す。
【0055】
一方、逆洗時には、
図5Bに示されるように、第3弁203及び第4弁204が閉状態となり、第1弁201及び第2弁202が開状態となる。逆洗時には、
図5Bに示す矢印の方向に水が流れる。具体的には、給水機構2Cは、ポンプ20→ろ過装置30→第1配管L1→第1弁201→還流配管F2→封水装置70B→下流配管D→第2配管L2→第2弁202→還流配管F2→合流点X→ポンプ20の順に水を流す。
【0056】
第3実施形態に係る給水機構2Cは、逆洗時に用いる配管を還流配管F2と兼用している。このため、給水機構2Cは、逆洗用配管を別途設ける場合と比較して構成が簡素化される。また、調整装置50を還流配管F2の第1位置Zf1と第3弁203との間に配置したので、逆洗時には調整装置50に水が流れない。よって、給水機構2Cは、通常時と比較して逆洗時の水量を大きくできる。この結果、給水機構2Cは効率的に逆洗を実施できる。なお、調整装置50は、還流配管F2の第1位置Zf1から第4位置Zf4までの間に配置すればよい。加えて、給水機構2Cによれば、ろ過装置30で除去しきれない土砂類によって、パッキン71a、71b及びスリーブ81が摩耗すること、並びにギャップの詰まりが抑制される。
【0057】
4.第4実施形態
第1実施形態から第3実施形態までの給水機構2A、2B、及び2Cは、封水装置70A又は70Bに給水する。これに対して、第4実施形態の給水機構2Dは、軸受装置800に対して給水する点で相違する。
図6は、本開示の第4実施形態に係る水車1Dの構成例を示すブロック図である。第4実施形態の水車1Dは、給水機構2Bの替わりに給水機構2Dを備える点を除いて、第2実施形態の水車1Bと同様に構成される。
【0058】
給水機構2Dは、封水装置70Bの替わりに封水装置700を備える点、及び軸受装置800を備える点で、給水機構2Bと相違する。封水装置700及び軸受装置800は、主軸80と摺動する主軸摺動装置の一例である。
【0059】
給水機構2Dは、下流配管Dを介して軸受装置800に給水する。軸受装置800は、主軸80の軸受として機能し、主軸80の外周面に設けられたスリーブ81と摺動する。スリーブ81と軸受装置800との間は、下流配管Dからの給水によって、水潤滑が実施される。水潤滑によって、摩擦熱を放熱すると共に、摩擦力の低減が図れる。
軸受装置800に供給された水の一部は、軸受装置800から漏れ出る。また、軸受装置800に供給された水の残りは、回収されて還流配管F2を介して、合流点Xに還流する。
【0060】
封水装置700は、上述した封水装置70A及び70Bと同様に、河川水の流入を抑制する。封水装置700は、主軸80の外周面に設けられたスリーブ81と摺動する。封水装置700には、下流配管Dからの直接の給水は無い。封水装置700は、軸受装置800から漏れ出た水によって、スリーブ81との間で水潤滑を実施してもよい。
【0061】
第4実施形態に係る給水機構2Dによれば、軸受装置800に給水することができるので、水潤滑方式の軸受装置800を採用することができる。水循環方式の軸受装置800は、潤滑油が漏れ出ることがないので、環境に対する影響を軽減できる。
【0062】
5.第5実施形態
第5実施形態の水車1Eは、給水機構2Dの替わりに給水機構2Eを用いる点を除き、第4実施形態の水車1Dと同様に構成される。
図7は、本開示の第5実施形態に係る水車1Eの構成例を示すブロック図である。
【0063】
第4実施形態に係る給水機構2Dは、軸受装置800に給水する一方、封水装置700に給水していない。これに対して、第5実施形態に係る給水機構2Eは、下流配管Dに分岐を設けることによって封水装置700及び軸受装置800に給水する点、封水装置700からの還流水と軸受装置800からの還流水を上流配管Uに還流させるために2系統の配管を備える点で、給水機構2Dと相違する。以下、給水機構2Eが給水機構2Dと相違する点について説明する。
【0064】
給水機構2Dは、互いに連通する第1下流配管D1、第2下流配管D2、及び第3下流配管D3を備える。これらの配管D1~D3は、第4実施形態の下流配管Dに相当する。第1下流配管D1は、ろ過装置30と連通する配管である。第2下流配管D2は、封水装置700と連通する配管である。第3下流配管D3は、軸受装置800と連通する配管である。この例の軸受装置800は、水潤滑方式を採用する。
【0065】
給水機構2Dは、分岐点Z2において互いに連通する第1還流配管Fa、第2還流配管Fb、及び第3還流配管Fcを備える。第1還流配管Faは、封水装置700と連通する配管である。第2還流配管Fbは、軸受装置800と連通する配管である。第1還流配管Fa及び第2還流配管Fbは、第3還流配管Fcを介して上流配管Uと連通する。なお、第1還流配管Faは第3還流配管Fcを介することなく、上流配管Uと直接連通してもよい。また、第2還流配管Fbは第3還流配管Fcを介することなく、上流配管Uと直接連通してもよい。
【0066】
第1還流配管Faには、調整装置51が設けられている。また、第2還流配管Fbには、調整装置52が設けられている。調整装置51及び52は、給水圧及び還流流量の少なくとも一方を調整する。
【0067】
第5実施形態に係る給水機構2Eによれば、封水装置700及び軸受装置800といった2系統の主軸摺動装置に給水できる。また、2系統の第1還流配管Fa及び第2還流配管Fbを用いて、還流水を合流点Xに還流させることができる。
【0068】
6.変形例
本開示は、上述した各実施形態に限定されるものでは、以下に述べる各種の変形が可能である。また、各種の変形及び各実施形態は、適宜組み合わせてもよい。
(1)上述した各実施形態では、上流配管Uを用いて取水口10から取り込んだ河川水を合流点Xに導いたが、本開示はこれに限定されない。例えば、取水口10から合流点Xまでの上流配管Uに、他のろ過装置が配置されてもよい。上流配管Uに土砂類を除去する装置が設けることにより、ある程度、土砂類が除去された河川水をろ過装置30に供給することができる。
【0069】
(2)上述した第1実施形態では、ポンプ20は合流点Xとろ過装置30との間に配置されたが、本開示はこれに限定されない。ポンプ20は、合流点Xから分岐点Yまでの上流配管U又は下流配管D、若しくは還流配管F1であって、ポンプ入口圧がポンプ20の許容下限値以下とならない位置に配置してもよい。
【0070】
(3)上述した第1実施形態では、調整装置50は還流配管F1に配置されたが、ポンプ20から分岐点Yまでの上流配管U又は下流配管Dに配置してもよい。また、調整装置50は還流配管F1とポンプ20から分岐点Yまでの上流配管U又は下流配管Dの両方に設置しても良い。
【0071】
(4)上述した第2実施形態及び第4実施形態では、ポンプ20を上流配管Uにおいて合流点Xとろ過装置30の間に配置したが、本開示はこれに限定されない。ポンプ20は、下流配管Dにおいてろ過装置30から封水装置70Bまでの間、あるいは還流配管F2に設けてもよい。
【0072】
(5)上述した第2実施形態では、調整装置50は還流配管F1に配置されたが、ポンプ20から封水装置70Bまでの下流配管Dに配置してもよい。また、調整装置50は還流配管F1及びポンプ20から封水装置70Bまでの下流配管Dの両方に設置しても良い。
【0073】
(6)上述した第3実施形態では、ポンプ20を上流配管Uにおいて合流点Xとろ過装置30の間に配置したが、本開示はこれに限定されない。ポンプ20は、下流配管Dにおいてろ過装置30から逆洗機構200までの間、あるいは還流配管F2において逆洗機構200から合流点Xとの間に設けてもよい。
【0074】
(7)上述した第3実施形態では、調整装置50は還流配管F2の第1位置Zf1から第4位置Zf4の間に配置されたが、調整装置50は下流配管Dの第2位置Zd2から第3位置Zd3の間に配置されてもよい。また、調整装置50は、還流配管F2の第1位置Zf1から第4位置Zf4の間と、下流配管Dの第2位置Zd2から第3位置Zd3の間との両方に配置してもよい。
【0075】
(8)上述した第4実施形態では、ポンプ20を上流配管Uにおいて合流点Xとろ過装置30の間に配置したが、本開示はこれに限定されない。ポンプ20は、上流配管U、下流配管Dあるいは還流配管F2の任意の位置に配置してよい。
【0076】
(9)上述した第4実施形態では、調整装置50は還流配管F2に配置されたが、下流配管Dに配置してもよい。また、調整装置50は還流配管F2と下流配管Dの両方に配置してもよい。
【0077】
(10)上述した第5実施形態では、ポンプ20を上流配管Uにおいて合流点Xとろ過装置30の間に配置したが、本開示はこれに限定されない。ポンプ20は、上流配管U、第1下流配管D1あるいは第3還流配管Fcの任意の位置に配置してよい。
【0078】
(11)上述した第5実施形態では、調整装置51は第1還流配管Faに配置されたが、第2下流配管D2に配置してもよい。また、調整装置51は第1還流配管Faと第2下流配管D2の両方に配置してもよい。調整装置52は第2還流配管Fbに配置されたが、第3下流配管D3に配置してもよい。また、調整装置52は第2還流配管Fbと第3下流配管D3の両方に配置してもよい。調整装置は、調整装置51又は52の代替として、若しくは追加装置として、第1下流配管D1又は第3還流配管Fcに置くこともできる。
【0079】
(12)上述した第4実施形態において、第3実施形態で説明した逆洗機構200を適用してもよい。この場合、還流配管F2を逆洗配管として利用される。
【0080】
(13)上述した第5実施形態において、第3実施形態で説明した逆洗機構200を適用してもよい。この場合、第1還流配管Fa及び第2還流配管Fbを逆洗配管として利用される。
【0081】
(14)上述した第5実施形態において、第1還流配管Fa及び第2還流配管Fbを用いて、還流水を還流させたが、本開示はこれに限定されない。例えば、軸受装置800あるいは封水装置700の内部で第1還流配管Faと第2還流配管Fbとを1本の還流配管によって連通され、この還流配管が上流配管Uに連通されてもよい。この場合、1本の還流配管を用いて還流水を還流させることができるので、第1還流配管Fa及び第2還流配管Fbを用いる場合と比較して、給水機構2Eの構成を簡素化できる。
【0082】
(15)上述した各実施形態において、封水装置70A、70B、又は700はラビリンスシールあるいはメカニカルシールでも良い。
【符号の説明】
【0083】
1A,1B,1C,1D,1E…水車、2A,2B,2C,2D,2E…給水機構、10…取水口、20…ポンプ、30…ろ過装置、31…排砂弁、32…排水槽、50…流量調整弁、60,61,62…オリフィス、70A,70B,700…封水装置、71a,71b…パッキン、72a,72b…スプリング、73a,73b…パッキンケース、74…給水口、75A…排水口、75B…排水管、80…主軸、81…スリーブ、100…水路、200…逆洗機構、201…第1弁、202…第2弁、203…第3弁、204…第4弁、800…軸受装置、D…下流配管、D1…第1下流配管、D2…第2下流配管、D3…第3下流配管、F1,F2…還流配管、Fa…第1還流配管、Fb…第2還流配管、L1…第1配管、L2…第2配管、U…上流配管、Zf1…第1位置、Zd2…第2位置、Zd3…第3位置、Zf4…第4位置。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂類を除去するろ過装置と、
河川水が流れる水路に設けられた取水口と前記ろ過装置との間を連通する上流配管と、
前記水路に設けられる水車ランナの主軸と摺動する主軸摺動装置と前記ろ過装置とを連通する下流配管と、
前記ろ過装置によって土砂類が取り除かれた水の一部を前記上流配管に還流させる還流配管とを備え、
前記主軸摺動装置は、前記河川水の流入を抑制する封水装置と、前記主軸の軸受装置とのうち、少なくとも一方を備える給水機構。
【請求項2】
土砂類を除去するろ過装置と、
河川水が流れる水路に設けられた取水口と前記ろ過装置との間を連通する上流配管と、
前記水路に設けられる水車ランナの主軸と摺動する主軸摺動装置と前記ろ過装置とを連通する下流配管と、
前記ろ過装置によって土砂類が取り除かれた水の一部を前記上流配管に還流させる還流配管とを備え、
前記還流配管は、前記下流配管から分岐して前記上流配管と連通する給水機構。
【請求項3】
前記還流配管には、前記主軸摺動装置の給水圧及び還流流量の少なくとも一方を調整する調整装置が設けられる、請求項2に記載の給水機構。
【請求項4】
土砂類を除去するろ過装置と、
河川水が流れる水路に設けられた取水口と前記ろ過装置との間を連通する上流配管と、
前記水路に設けられる水車ランナの主軸と摺動する主軸摺動装置と前記ろ過装置とを連通する下流配管と、
前記ろ過装置によって土砂類が取り除かれた水の一部を前記上流配管に還流させる還流配管とを備え、
前記還流配管は、前記主軸摺動装置と前記上流配管とを連通する給水機構。
【請求項5】
前記還流配管と前記下流配管とに、逆洗機構が設けられる請求項4に記載の給水機構。
【請求項6】
前記還流配管の第1位置から分岐して、前記下流配管の第2位置に連通する第1配管と、
前記下流配管の第3位置から分岐して、前記還流配管の第4位置に連通する第2配管と、
前記第1配管に設けられる第1弁と、
前記第2配管に設けられる第2弁と、
前記還流配管において、前記第1位置から前記第4位置までの間に設けられる第3弁と、
前記下流配管において、前記第2位置から前記第3位置までの間に設けられる第4弁とを備え、
前記第1弁及び前記第2弁は、通常時に開状態となり、逆洗時に閉状態となり、
前記第3弁及び前記第4弁は、通常時に閉状態となり、逆洗時に開状態となる、
請求項4に記載の給水機構。
【請求項7】
前記還流配管の前記第1位置から前記第4位置までの間、及び前記下流配管の前記第2位置から前記第3位置までの間の少なくとも一方に設けられ、前記主軸摺動装置の給水圧及び還流流量の少なくとも一方を調整する調整装置を備える、請求項6に記載の給水機構。
【請求項8】
土砂類を除去するろ過装置と、
河川水が流れる水路に設けられた取水口と前記ろ過装置との間を連通する上流配管と、
前記水路に設けられる水車ランナの主軸と摺動する主軸摺動装置と前記ろ過装置とを連通する下流配管と、
前記ろ過装置によって土砂類が取り除かれた水の一部を前記上流配管に還流させる還流配管とを備え、
前記主軸摺動装置は、前記河川水の流入を抑制する封水装置と、前記主軸の軸受装置とを備え、
前記下流配管は、互いに連通する第1下流配管、第2下流配管、及び第3下流配管を備え、
前記第1下流配管は、前記ろ過装置と連通し、
前記第2下流配管は、前記封水装置と連通し、
前記第3下流配管は、前記軸受装置と連通し、
前記還流配管は、
前記封水装置と連通する第1還流配管と、
前記軸受装置と連通する第2還流配管とを備える、
給水機構。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのうちいずれか1項に記載の給水機構と、
河川水を流す水路と、
前記水路に設けられる水車ランナと、
前記水車ランナと連結される主軸と、
を備える水車。