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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146352
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】複層ガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/06 20060101AFI20220928BHJP
   E06B 3/663 20060101ALN20220928BHJP
【FI】
C03C27/06 101Z
E06B3/663 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047261
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】森田 琢也
(72)【発明者】
【氏名】北原 悦史
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸嗣
【テーマコード(参考)】
2E016
4G061
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016BA01
2E016BA06
2E016BA08
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC03
2E016EA01
2E016EA02
4G061AA01
4G061AA25
4G061BA01
4G061CB02
4G061CB06
4G061CD02
4G061CD21
(57)【要約】
【課題】框体を有さずに建具を構成できる強度を有し、かつ断熱性を確保できる複層ガラスを提供すること。
【解決手段】少なくとも2枚のガラス板がスペーサを介して隔置され、ガラス板同士の間隙に中空層が形成された複層ガラスにおいて、ガラス板同士の間隙の周縁部、かつスペーサよりもガラス板の端縁側に、補強部材を配置する。補強部材は、ガラス板以上の弾性強度を有し、繊維強化プラスチックにより構成される。これにより、複層ガラスの強度を向上でき、かつ断熱性を確保できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚のガラス板がスペーサを介して隔置され、前記ガラス板同士の間隙に中空層が形成された複層ガラスにおいて、
前記ガラス板同士の間隙の周縁部、かつ前記スペーサよりも前記ガラス板の端縁側もしくは内周側に、補強部材が配置され、
前記補強部材は、前記ガラス板以上の弾性強度を有する繊維強化プラスチックにより構成される、複層ガラス。
【請求項2】
前記スペーサは、前記ガラス板の端縁よりも内周側に配置され、
前記補強部材は、前記ガラス板に固定される第1補強部材と、前記第1補強部材に固定される第2補強部材と、を有する、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項3】
前記第1補強部材は、L字形状又はT字形状を有する、請求項2に記載の複層ガラス。
【請求項4】
前記ガラス板は、フィルムが挟持された合わせガラスであり、
前記スペーサは、前記ガラス板同士の間隙の周縁部に配置され、
前記フィルムは、前記ガラス板の周縁部に配置される、請求項1~3いずれかに記載の複層ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複層ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断熱性や防音性を向上させる観点から、建物の開口部に配置されるガラス窓として複層ガラスが用いられている。複層ガラスは、例えば、少なくとも2枚のガラス板とスペーサとを有する。スペーサは2枚のガラス板間の周縁部に配置され、2枚のガラス板を隔置する。スペーサとガラス板との間には、封着材が配置される。これによって、ガラス板で挟まれる中空層が封止され、複層ガラスが構成される。
【0003】
複層ガラスを用いて引き違い窓等の建具を製造する場合、矩形に枠組みされた框体に複層ガラスを嵌め込むことで、建具を製造することが一般的である。これによって、建具としての十分な強度が得られる。一方、複層ガラス自体に形状維持性及び長期耐久性を付与する技術として、ガラス板同士の間隙に、従来のスペーサに加え、樹脂スペーサや金属スペーサを配置する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-273705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
意匠性向上の観点から、複層ガラスの強度を向上させ、框体のガラス表面への掛かり代を極力小さく、もしくは框体を有さずに建具を構成できることができれば好ましい。しかし、上記目的を達成するため、特許文献1に開示されているように樹脂スペーサを単に配置する場合、建具の十分な強度が得られない。一方、金属スペーサを配置する場合、建具の断熱性が低下するという課題があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、框体を小さくできる、もしくは框体を有さずに建具を構成できる強度を有し、かつ断熱性を確保できる複層ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、少なくとも2枚のガラス板がスペーサを介して隔置され、前記ガラス板同士の間隙に中空層が形成された複層ガラスにおいて、前記ガラス板同士の間隙の周縁部、かつ前記スペーサよりも前記ガラス板の端縁側もしくは内周側に、補強部材が配置され、前記補強部材は、前記ガラス板以上の弾性強度を有する繊維強化プラスチックにより構成される、複層ガラスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る複層ガラスを示す斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図2の拡大断面図である。
図4】第2実施形態に係る複層ガラスを示す拡大断面図である。
図5】第3実施形態に係る複層ガラスを示す拡大断面図である。
図6】第4実施形態に係る複層ガラスを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第1実施形態》
本実施形態に係る複層ガラス1は、複数のガラス板であるガラス板21、ガラス板22、及びガラス板23と、補強部材3と、スペーサ41及びスペーサ42と、フィルム5と、を有する。以下の説明では、X方向とは、複層ガラス1の厚さ方向を示し、Y方向とは、X方向に直交する複層ガラス1の幅方向を示し、Z方向とは、X方向及びY方向に直交する複層ガラス1の高さ方向を示す。
【0010】
複層ガラス1は、図1及び図2に示すように、矩形状の3枚のガラス板21、ガラス板22、及びガラス板23と、上記ガラス板同士の間隙の周縁部に配置される枠状のスペーサ41及びスペーサ42と、を有する。ガラス板21、ガラス板22、及びガラス板23は、スペーサ41及びスペーサ42によって隔置される。上記構成によって、中空層6が封止される。
【0011】
ガラス板21、ガラス板22、及びガラス板23は、特に限定されず、材質としてはフロート法によって製造されるフロートガラス、強化ガラス等により構成できる。また、合わせガラス、型板ガラス、網入りガラス等であってもよい。本実施形態の複層ガラス1が有するガラス板の枚数は3枚であるが、これに限定されず、2枚以上であればよい。複層ガラスの外表面に配置されるガラス板は、後述するフィルム5を挟んで形成される合わせガラスであることが好ましい。フィルム5により、スペーサや補強部材が配置される複層ガラスの周縁部を好ましく加飾できるためである。また、フィルム5に紫外線防止フィルムを用いればスペーサや補強部材の紫外線による劣化を防ぐことができる。本実施形態において、複層ガラス1の外表面に配置されるガラス板21及びガラス板23は合わせガラスであり、複層ガラス1の内部に配置されるガラス板22は単板のガラス板である。ガラス板22は、ガラス板21及びガラス板23よりも、Y方向の長さが短く、段違いに配置される。これによって、補強部材3を配置するスペースを広く確保できる。上記に加えて、一組の補強部材3によって、3枚のガラス板を補強できる。
【0012】
補強部材3は、複層ガラス1の撓みを抑制し、強度を確保する部材である。補強部材3は、ガラス板同士の間隙の周縁部に配置され、複数のガラス板をX方向に隔置する。補強部材3は、例えばガラス板同士の互いに対向する内面に当接して配置される。補強部材3は、後述するスペーサ41及びスペーサ42よりも、ガラス板の端縁側に配置される。補強部材3は、スペーサ41及びスペーサ42との間に間隔を有して配置されていてもよい。
【0013】
補強部材3は、ガラス板が3枚以上である場合、複数形成されるガラス板同士の間隙の全てに配置されることが好ましい。補強部材3は、少なくとも複層ガラス1のY方向及びZ方向のうち、少なくともいずれかの方向の両端部に配置されることが好ましく、Y方向及びZ方向の両方向の両端部に配置されることがより好ましい。補強部材3は、スペーサ及び中空層6を囲うように枠状に配置されることが更に好ましい。これによって、複層ガラス1の構造が、複数のガラス板と補強部材3とが一体化したモノコック構造を有するため、各部材の強度を単に足し合わせた強度よりも高い強度を得ることができる。つまり、通常はガラス端部に用いる框体(図示しない)でガラス強度を保っていたところ、この框体のガラス1の室内外のX-Y面に露出する幅を小さくすることができる。もしくは框体を用いずにガラス1のみとすることができる。このため、框体を枠内に収めることができ室内外から框体が見えないあるいは框体が無い仕様の建具を提供可能となる。
【0014】
補強部材3は、繊維強化プラスチックにより構成される。これによって、複層ガラス1に框体を有さずに建具を構成できる強度を持たせることができ、かつ断熱性を確保できる。繊維強化プラスチックの例としては、例えば、炭素繊維を補強繊維とし、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂を含侵させて硬化させた炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber-Reinforced Plastics)や、ガラス繊維を補強繊維として有するガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber-Reinforced Plastics)等が挙げられる。繊維強化プラスチックを構成する補強繊維としては、上記以外に、アラミド繊維、ボロン繊維等であってもよい。繊維強化プラスチックは、等方性及び直交異方性繊維強化プラスチック、並びに一方向繊維強化プラスチック複合材料のうちいずれであってもよい。補強部材3は、例えばシート状の繊維強化プラスチックを貼り合わせ、オートクレーブ等で加熱することで製造できる。
【0015】
補強部材3は、ガラス板以上の弾性強度を有する。本明細書において、弾性強度とは、ヤング率を指し、ガラス板のヤング率はおおよそ71600MPaである。ヤング率の測定は、JIS K 7161に規定する通則に基づき、繊維強化プラスチックの種類に応じて、JIS K 7164(等方性及び直交異方性繊維強化プラスチック)、及びJIS K 7165(一方向繊維強化プラスチック複合材料)のうちいずれかの規定に準拠して行うことができる。
【0016】
補強部材3は、図3に示すように、第1補強部材31aと、第2補強部材32と、を有する。図3は、図1のA-A線断面図の一部を拡大した断面図である。第1補強部材は、ガラス板の互いに対向する内面に接着されて固定される。第1補強部材は、ガラス板が3枚以上である場合、少なくとも外表面に配置される2枚のガラス板に固定されるものであればよい。本実施形態では、第1補強部材31aは、ガラス板21及びガラス板23の互いに対向する内面に対して、それぞれ接着剤Aにより固定される2つの部材である。第1補強部材は、一部材で構成されていてもよい。第1補強部材31aは、ガラス面の面方向に沿って配置される面と、ガラス板の厚み方向に沿って配置される面からなる板状部材であり、図3に示すように、断面がL字形状を有する。
【0017】
第2補強部材32は、第1補強部材31aに接着されて固定される。第2補強部材32の形状は、特に限定されないが、例えば略直方体形状を有する。第2補強部材32のいずれかの一面が、第1補強部材31aのガラス板の厚み方向に沿って配置される面に対して、接着剤Aにより固定される。第2補強部材32は、2つの第1補強部材31aに対してそれぞれ接着されて固定される。これによって、ガラス板21及びガラス板23にそれぞれ固定された2つの第1補強部材31aに対して、第2補強部材32が固定され、ガラス板と補強部材とが一体化される。
【0018】
第1補強部材31aと第2補強部材32とを有する補強部材3の上記構成により、複層ガラス1の製造工程を簡略化できる。例えば、補強部材3を一部材で構成した場合には、補強部材3をガラス板の間に挿入し、接着剤で固定することは、補強部材3を挿入する際に接着剤を削ぎ取るように移動させる事態が生じるため困難である。補強部材3の上記構成により、従来手法によりガラス板21、ガラス板22、及びガラス板23の間にスペーサ41及びスペーサ42を配置した後に、第1補強部材31aをガラス板に固定し、第2補強部材32を第1補強部材31aに固定できるため、容易に補強部材3をガラス板の間に接着して固定できる。
【0019】
スペーサ41及びスペーサ42は、ガラス板同士の間隙に中空層6を形成する。スペーサ41及びスペーサ42は、補強部材3と同様に、ガラス板同士の間隙の周縁部に、ガラス板同士の互いに対向する内面に当接して配置される。スペーサ41は、ガラス板21及びガラス板22を、スペーサ42は、ガラス板22及びガラス板23をX方向に隔置する。ガラス板21とガラス板22との間隙、及びガラス板22とガラス板23との間隙にそれぞれ中空層6が形成される。スペーサ41及びスペーサ42は、図2及び図3に示すように、補強部材3よりもガラス板の内周側に配置される。これによって、ガラス板同士の間隙のスペーサよりも外周側に、補強部材3を配置するスペースを確保できる。上記に加えて、従来手法により複層ガラス1同士の間にスペーサ41及びスペーサ42を配置した後に、補強部材3を配置することができる。
【0020】
スペーサ41及びスペーサ42は、従来公知のものを使用できる。スペーサ41及びスペーサ42は、例えば、内部にゼオライト等の乾燥材が充填された中空のパイプ材と、ガラス板に対向する両側面に配置される第一シール材と、ガラス板の端縁側に配置される第二シール材により構成されるものであってもよい。上記以外に、スペーサ41及びスペーサ42は、樹脂系材料により一体に形成されるものであってもよい。
【0021】
フィルム5は、合わせガラスを構成する、2枚のガラス板の間に挟持されて配置される。本実施形態において、複層ガラス1の外表面に配置される、ガラス板21及びガラス板23が合わせガラスである。フィルム5は、着色されたフィルムであり、ガラス板21及びガラス板23の周縁部に配置される。フィルム5が配置されることで、スペーサ41、スペーサ42及び補強部材3がX方向から視認しづらいように隠蔽することができる。これによって、複層ガラス1の意匠性を向上できる。また、フィルム5に紫外線防止フィルムを用いればスペーサや補強部材の紫外線による劣化を防ぐことができる。フィルム5を合わせガラスの間に配置することで、フィルム5の剥がれや劣化を抑制できるため好ましい。フィルム5は、合わせガラスの間ではなく、例えばガラス板の外側に配置されていてもよい。
【0022】
中空層6は、ガラス板21及びガラス板22の間隙、並びにガラス板22及びガラス板23の間隙に形成される。中空層6は、スペーサ41及びスペーサ42によって封止される。中空層6に封入されるガスは、例えば、空気、又はアルゴンガス、クリプトンガス等の不活性ガスである。
【0023】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0024】
《第2実施形態》
図4は、本実施形態に係る複層ガラス1aの構成を示す概略断面図である。図4は、図1におけるA-A断面図のY方向端部を拡大した図である。本実施形態に係る複層ガラス1aは、図4に示すように、段違いに配置された3枚のガラス板を有する。ガラス板21及びガラス板22は、ガラス板23よりもY方向の長さが短い。上記ガラス板は全て単板のガラス板である。複層ガラス1aは、補強部材3aを有する。補強部材3aは、第1補強部材31a及び31bと、第2補強部材32と、を有する。
【0025】
第1補強部材31bは、ガラス板の面方向に沿って配置される面と、ガラス板の厚み方向に沿って配置される面からなる板状部材であり、図4に示すように、断面がT字形状を有する。第1補強部材31bの、ガラス板の面方向に沿って配置される面は、外部に露出し、ガラス板21の外表面に対して接着剤Aで固定される。このような第1補強部材31bにより、上記第1補強部材31aと同様の効果が得られる。上記に加えて、第1補強部材31bにより、スペーサ41、スペーサ42及び補強部材3がX方向から視認しづらいように隠蔽することができる。このため、フィルム5を用いない場合であっても、複層ガラス1aの意匠性を向上できる。本実施形態において、第1補強部材のうち一方がT字形状を有する第1補強部材31bであり、他方がL字形状を有する第1補強部材31aであるが、両方が第1補強部材31bであってもよい。
【0026】
《第3実施形態》
図5は、本実施形態に係る複層ガラス1bの構成を示す概略断面図である。図5は、図1におけるA-A断面図のY方向端部を拡大した図である。複層ガラス1bは、図5に示すように、Y方向の長さが等しいガラス板21、ガラス板22、及びガラス板23を有する。上記ガラス板は全て単板のガラス板である。複層ガラス1bは、補強部材3bを有する。補強部材3bは、第1補強部材31a及び第2補強部材32と、を有する。第1補強部材31a及び第2補強部材32は、ガラス板21とガラス板22との間、及びガラス板22とガラス板23との間にそれぞれ配置される。上記の点以外は、第1補強部材31a及び第2補強部材32は、第1実施形態における構成と同様の構成を有する。
【0027】
本実施形態に係る複層ガラス1bは、複数のガラス板の間にそれぞれ補強部材が配置されているため、複層ガラス1bの強度をより向上できる。また、同一サイズのガラス板のみを用いて複層ガラス1bを構成できるため、複層ガラス1bの製造コストを低減できる。
【0028】
《第4実施形態》
図6は、本実施形態に係る複層ガラス1cの構成を示す概略断面図である。図6は、図1におけるA-A断面図のY方向端部を拡大した図である。複層ガラス1cのガラス板21、ガラス板22、及びガラス板23の構成は、図6に示すように、第3実施形態に係る複層ガラス1bと同様である。複層ガラス1cは、補強部材3cを有する。補強部材3cは、一対の第1補強部材31bを有する。一対の第1補強部材31bは、ガラス板21とガラス板22との間、及びガラス板22とガラス板23との間にそれぞれ配置される。
【0029】
第1補強部材31bは、図6に示すように断面が略L字形状を有し、ガラス板の互いに対向する内面に接着剤Aで固定される面と、傾斜面311とを有する。一対の第1補強部材31bは、同一形状を有する2つの第1補強部材31bを、互いの傾斜面311を当接させて配置される。一対の第1補強部材31bの当接する傾斜面311同士は、接着剤Aにより接着されて固定される。
【0030】
一対の第1補強部材31bを配置する手順を以下に説明する。まず、一方の第1補強部材31bを、傾斜面311がガラス板の端部方向から見える配置で、ガラス板の内面に接着剤Aで接着して固定する。次に、他方の第1補強部材31bを、一方の第1補強部材31bに対して傾斜面311同士が当接するように接着剤Aで接着すると共に、ガラス板の内面に対しても接着剤Aで接着する。この際に、傾斜面311同士が当接し、ガラス板の内面には当接しない状態から他方の第1補強部材31bを傾斜面311に沿ってスライド移動させ、ガラス板の内面に当接する位置に移動させることが好ましい。これにより、接着剤Aが削ぎ取られることなく、一対の第1補強部材31bをガラス板の互いに対向する内面に接着して固定できる。
【0031】
本実施形態に係る複層ガラス1cによれば、第3実施形態に係る効果に加えて、以下の効果が奏される。複層ガラス1cは、第2補強部材を有さず、同一形状を有する2つの第1補強部材31bにより補強部材3cが構成されるため、複層ガラス1cの製造コストを低減できる。
【0032】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、変形、改良等は本開示に含まれる。上記第1~第4実施形態では補強部材をスペーサよりもガラス端縁側に用いた場合を例示したが、ガラスの端部において補強部材をスペーサの内周側(スペーサが補強部材のガラス端縁側)にもちいてもよい。また、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態では、複層ガラスを構成するガラス板として、単板のガラス板であるものとしたが、上記に限定されない。第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態の構成と、フィルム5を有する合わせガラスの構成を組み合わせて用いてもよい。第2実施形態において、ガラス板の外表面に接着される第1補強部材31bを、T字形状を有するものとして説明したが、上記に限定されない。ガラス板の外表面に接着される第1補強部材31bとして、L字形状を有するものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1、1a、1b 複層ガラス、21、22、23 ガラス板、3、3a、3b、3c 補強部材、31a、31b、31c 第1補強部材、32 第2補強部材、41、42 スペーサ、5 フィルム、6 中空層
図1
図2
図3
図4
図5
図6