(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146359
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20220928BHJP
G01L 5/1627 20200101ALI20220928BHJP
【FI】
G01L3/10 311
G01L5/1627
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047273
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安富 陽子
(72)【発明者】
【氏名】井ノ口 貴敏
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB09
2F051BA03
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
【課題】 内部を外部因子から保護するセンサを提供することにある。
【解決手段】 本実施形態に係るセンサ10は、第1構造体11と、第2構造体12と、第1構造体11と第2構造体12とを接続する複数の第3構造体13と、複数の第3構造体13のうち2つの第3構造体13の間で、第1構造体11と前記第2構造体12との間に、トルク又は力を検出するために設けられた歪センサ20と、2つの第3構造体13を把持し、歪センサ20を覆う第1カバー15とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1構造体と、
第2構造体と、
前記第1構造体と前記第2構造体とを接続する複数の第3構造体と、
前記複数の第3構造体のうち2つの第3構造体の間で、前記第1構造体と前記第2構造体との間に、トルク又は力を検出するために設けられた歪センサと、
前記2つの第3構造体を把持し、前記歪センサを覆う第1カバーと
を備えることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記第1カバーは、
前記2つの第3構造体を把持する把持部と、
前記2つの第3構造体の間に圧入される圧入部とを含むこと
を特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記第1カバーは、
前記2つの第3構造体を把持する把持部と、
前記第1構造体と前記第2構造体との間に圧入される圧入部とを含むこと
を特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記第1カバーは、
前記2つの第3構造体を把持する把持部と、
前記2つの第3構造体の間に圧入される第1圧入部と、
前記第1圧入部と一体形成され、前記第1構造体と前記第2構造体との間に圧入される第2圧入部とを含むこと
を特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記2つの第3構造体は、前記第1カバーで把持される部分に、前記第1カバーが把持する把持部が引っ掛かる張出した形状を含むこと
を特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記第1カバーは、前記2つの第3構造体13の前記第1カバーが覆う側と反対側の縁部分を把持する形状に形成されたこと
を特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記歪センサを介して前記第1カバーと対向するように設けられ、前記歪センサを覆う第2カバー
を備えることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記第1構造体は、環状に形成され、
前記第2構造体は、前記第1構造体よりも径の小さい環状に形成され、前記第1構造体の内周側に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記歪センサは、トルクを検出するために設けられたこと
を特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、トルク又は力を検出するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の歪センサを含むブリッジ回路が、第1構造体と第2構造体との間に伝達される力を検出するトルクセンサが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トルク又は力を検出するセンサは、精密機器であり、センサ素子は、水分、湿度、又は、塵埃により検出出力に影響を受ける。このため、センサ素子が配置された部分に水分等の外部因子の進入を防止する必要がある。
本実施形態は、内部を外部因子から保護するセンサを提供することにある。
【発明の効果】
【0005】
実施形態によれば、内部を外部因子から保護するセンサを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態のセンサは、第1構造体と、第2構造体と、前記第1構造体と前記第2構造体とを接続する複数の第3構造体と、前記複数の第3構造体のうち2つの第3構造体の間で、前記第1構造体と前記第2構造体との間に、トルク又は力を検出するために設けられた歪センサと、前記2つの第3構造体を把持し、前記歪センサを覆う第1カバーとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係るトルクセンサの上面側を示す平面図。
【
図2】第1実施形態に係るトルクセンサの下面側を示す平面図。
【
図3】第1実施形態に係る
図1のA部の上面側を示す平面図。
【
図4】第1実施形態に係る
図2のB部の下面側を示す斜視図。
【
図5】第1実施形態に係る
図1のV-V線で切断した断面図。
【
図6】第1実施形態に係る
図1のVI-VI線で切断した断面図。
【
図7】第1実施形態に係る上カバーを下方から見た斜視図。
【
図8】第1実施形態に係る
図1のVIII-VIII線で切断した断面図。
【
図9】第1実施形態に係る下カバーを上方から見た斜視図。
【
図10】第1実施形態に係る下カバーを下方から見た斜視図。
【
図11】第1実施形態の第1変形例に係る上カバーが位置する部分を示す断面図。
【
図12】第1実施形態の第1変形例に係る上カバー及び第1固定プレートによる構成を示す斜視図。
【
図13】第1実施形態の第2変形例に係る上カバーが位置する部分を示す断面図。
【
図14】第1実施形態の第3変形例に係る上カバーが位置する部分を示す断面図。
【
図15】第2実施形態に係るトルクセンサの下カバーが位置する部分の断面図。
【
図16】第3実施形態に係るトルクセンサの下カバーが位置する部分の断面図。
【
図17】第4実施形態に係る力センサの下カバーが位置する部分を簡略化した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るトルクセンサ10の上面側を示す平面図である。
図2は、本実施形態に係るトルクセンサ10の下面側を示す平面図である。図面において、同一部分には、同一符号を付している。
【0009】
なお、トルクセンサ10は、ここで説明するものに限らず、様々な形状又は構成に変更してもよい。また、トルクセンサ10は、少なくともトルク(z軸モーメントMz)を検出するセンサであれば、力覚センサなどの他の名称のセンサでもよい。例えば、力覚センサとして用いる場合、
図1及び
図2に示す直交する3軸(x、y、z)について、並進力(Fx、Fy、Fz)及びモーメント(Mx、My、Mz)を検出する。
【0010】
さらに、ここでは、主にトルクを検出するトルクセンサ10として説明するが、トルクセンサ10と同様の構成で、z軸の力Fzを検出する力センサとすることができる。力センサの場合、少なくともz軸の力Fzを検出すれば、トルクを含め、他の力の検出はしなくてもよい。以降の実施形態についても同様である。
【0011】
トルクセンサ10は、第1構造体11、第2構造体12、複数の第3構造体13、複数の上カバー14、複数の下カバー15、ケース16、ブッシュ17、及び、ケーブル18を備える。
【0012】
第1構造体11及び第2構造体12は、環状に形成される。第2構造体12の径は、第1構造体11の径より小さい。第2構造体12は、第1構造体11と同心円上で内周側に配置される。複数の第3構造体13は、放射状に配置され、第1構造体11と第2構造体12を接続する梁として設けられる。第3構造体13の数は、16個である。2つの隣接する第3構造体13を1組として、8組の第3構造体13が円周方向に等間隔に配置される。なお、第3構造体13の数は、8組(16個)に限定されず、何組でもよい。また、3つ以上の第3構造体13を1組としてもよいし、1組を構成する複数の第3構造体13は、互いに接続又は一体形成される部分を有してもよい。
【0013】
第3構造体13の厚さ(z軸方向の長さ)は、第1構造体11及び第2構造体12の厚さよりも薄い。具体的には、第3構造体13の厚さは、第1構造体11又は第2構造体12に接続される両端部から中央に向けて薄くなるように傾斜し、中央部分は均一の厚さ(平面)である。第3構造体13は、厚さ(z軸方向の長さ)を幅(周方向の長さ)より長くすることで、トルクを検出し易くしているが、これに限らず、第3構造体13の厚さ及び幅は、任意に決定してよい。
【0014】
例えば、第1構造体11は、トルク等の力が印加される被測定対象の構造体に連結され、第2構造体12は、トルク等の力を印加する側の構造体に連結される。トルク等により、第1構造体11及び第2構造体12が相対的に動くことで、歪センサ20が起歪体に生じた歪を検出する。歪センサ20の検出結果に基づいて、トルク等を検出する。なお、第1構造体11が力を印加する側の構造体に連結され、第2構造体12が被測定対象の構造体に連結されてもよい。
【0015】
第1構造体11、第2構造体12、及び、第3構造体13は、ステンレス鋼等の金属により構成されるが、印加されるトルク等の力に対して機械的に十分な強度があれば、金属以外の材料(樹脂等)を使用してもよい。
【0016】
各第3構造体13に対応して、歪センサ20が配置される。ここでは、歪センサ20の数は、第3構造体13の数と同数としたが、これに限定されるものではなく、歪センサ20の数は、第3構造体13の数より少なくてもよい。
【0017】
歪センサ20は、外部環境の外部因子から保護するためのカバー14,15により覆われる。例えば、カバー14,15は、防水用のカバーである。上カバー14は、歪センサ20の上面を覆うように設けられる。下カバー15は、歪センサ20の下面を覆うように設けられる。これにより、カバー14,15は、歪センサ20を介して互いに対向するように配置され、歪センサ20の上面及び下面を保護するように覆う。カバー14,15は、シリコーンゴム、又は、弾性を有する樹脂などにより構成される。ここでは、説明の便宜上、上カバー14が設けられる側を上とし、下カバー15が設けられる側を下とするが、上下が逆でもよい。
【0018】
第2構造体12は、中心部分に中空部12aを有する。ケース16は、中空部12aの周囲の第2構造体12に取り付けられる。ケース16の内部には、歪センサ20から供給される電気信号を処理し、センサ信号としてのトルクの検出信号を生成する処理回路が設けられる。ケース16の一部分には、ケーブル18を保持するブッシュ17が設けられる。例えば、ケーブル18は、一端がケース16内の処理回路に接続され、他端が中空部12aに通される。ケーブル18は、処理回路に外部から電源を供給したり、処理回路により処理されたセンサ信号を外部に出力したりする。
【0019】
図3、
図4及び
図5を参照して、歪センサ20の配置について説明する。
図3は、
図1のA部の上面側を示し、上カバー14及び下カバー15を取り外した状態である。
図4は、
図2のB部の下面側を示し、上カバー14及び下カバー15を取り外した状態である。
図5は、
図1のV-V線で切断した断面図である。
【0020】
凹部19は、第1構造体11、第2構造体12、及び、第3構造体13に一体的に形成される。歪センサ20は、凹部19内において、第1構造体11と第2構造体12との間であって、隣接する2つ(1組)の第3構造体13の間に配置される。
【0021】
歪センサ20は、例えば金属製の起歪体20aと、起歪体20aの表面に配置された複数の歪ゲージ20bを含み、複数の歪ゲージ20bは、例えばブリッジ回路を構成する。起歪体20aの一端は、第1構造体11上に配置され、他端は第2構造体12上に配置される。
【0022】
固定部材は、第1固定プレート21、第2固定プレート22、第1ネジ23、及び、第2ネジ24を含む。第1固定プレート21は、第1構造体11及び起歪体20aの一端の上に配置され、第1ネジ23により、第1構造体11に固定される。第2固定プレート22は、第2構造体12及び起歪体20aの他端の上に配置され、第2ネジ24により第2構造体12に固定される。このため、起歪体20aの一端は、第1固定プレート21及び第1ネジ23により第1構造体11に固定され、他端は、第2固定プレート22及び第2ネジ24により第2構造体12に固定される。
【0023】
複数の歪ゲージ20bは、フレキシブル基板25の一端に接続され、フレキシブル基板25の他端は、ケース16内の処理回路に接続される。
【0024】
図6は、
図1のVI-VI線で切断した断面図である。
図7は、上カバー14を下方から見た斜視図である。
【0025】
上カバー14は、凹部19の上面から見た外形と同形状の平面を有する。
図5に示すように、上カバー14の長さ(上カバー14の長手方向の長さ)L11は、凹部19の長さL12より僅かに大きい(L11>L12)。
図6に示すように、上カバー14の幅(上カバー14の短手方向の長さ)W11は、凹部19の幅W12より僅かに大きい(W11>W12)。このため、上カバー14が凹部19内に圧入されることにより、上カバー14が変形して、第1構造体11又は第2構造体12と固定部材(例えば、第1ネジ23又は第2ネジ24)との間の隙間が上カバー14で埋まる。
【0026】
上カバー14は、第1ネジ23及び第2ネジ24とそれぞれ対応する位置で、幅方向の両側に4つの脚部14aを有する。各脚部14aは、第1ネジ23及び第2ネジ24とそれぞれ対向する面に、第1係合部14bを有する。各第1係合部14bは、第1ネジ23及び第2ネジ24の各頭部23a,24aにそれぞれ係合する。
【0027】
図6に示すように、第1固定プレート21の幅W13は、第1ネジ23の頭部23aの直径D1より小さく(W13<D1)、第1ネジ23の頭部が第1固定プレート21の幅方向の両側より外側に位置する。第2固定プレート22及び第2ネジ24は、第1固定プレート21及び第1ネジ23と同様に構成される。このため、上カバー14の各第1係合部14bは、第1固定プレート21又は第2固定プレート22から張出した第1ネジ23の頭部23a又は第2ネジ24の頭部24aと係合する。
【0028】
上記構成において、上カバー14が凹部19内に圧入されると、各脚部14aの第1係合部14bは、第1ネジ23の頭部23a又は第2ネジ24の頭部24aの下側に入る。これにより、各係合部14bは、第1ネジ23の頭部23a又は第2ネジ24の頭部24aに係合(スナップ・フィット)される。
【0029】
なお、ここでは、上カバー14の各脚部14aに設けられた第1係合部14bは、第1ネジ23の頭部23aと第2ネジ24の頭部24aの両方に係合されるが、これに限らない。上カバー14が外れないように係合されれば、第1ネジ23の頭部23a又は第2ネジ24の頭部24aの一方のみに第1係合部14bが係合されてもよい。この構成は、以降の実施形態でも同様である。
【0030】
図8は、
図1のVIII-VIII線で切断した断面図である。
図9は、下カバー15を上方から見た斜視図である。
図10は、下カバー15を下方から見た斜視図である。
【0031】
下カバー15は、歪センサ20の両側に位置する第3構造体13とともに歪センサ20の下側を覆う平板部15aを含む。平板部15aは、第1構造体11と第2構造体12の間に形成される輪状の隙間に嵌るように、長手方向に延びた平板形状である。
【0032】
なお、
図2、
図9及び
図10に示すように、平板部15aは、長手方向の両端側よりも中央部分が幅広に形成されてもよい。また、
図4に示すように、第2構造体12には、平板部15aの幅広の中央部分に対応して、トルクセンサ10の中心に向かって径方向(中心方向)に凹む凹部12bが設けられてもよい。これにより、下カバー15を取り付けると、平板部15aの中央部分が第2構造体12の凹部12bに嵌ることで、下カバー15が周方向にズレるのを防止する。このような凹部12bは、第2構造体12の代わりに第1構造体11に設けられてもよいし、第1構造体11と第2構造体12の両方に設けられてもよい。
【0033】
図2及び
図10に示すように、下カバー15の取り付ける向きが分かり易いように、下カバー15の表面(下側)に、目印15eを設けてもよい。ここでは、目印15eは、三角形状の1つの頂点が第2構造体12の凹部12bに向くように取り付けることを示している。
【0034】
平板部15aの長手方向の両端には、歪センサ20の両側の第3構造体13を外側から把持する把持部15bが設けられる。把持部15bは、平板部15aに対して垂直で上方に(内側に多少傾いてもよい)延びた形状である。把持部15bの先端部分には、第3構造体13の外側面と接触して、その摩擦力により、下カバー15が外れ難くなるように、内側に張出した凸形状部分が設けられる。
【0035】
平板部15aの長手方向の両端より中央側には、2つの第1圧入部15c及び2つの第2圧入部15dが設けられる。ここでは、2つの第1圧入部15c及び2つの第2圧入部15dが直方形の枠状に一体形成された形状を説明するが、一体形成されなくてもよい。なお、第1圧入部15c及び第2圧入部15dは、いずれも設けられなくてもよいし、いずれか一方が設けられてもよい。
【0036】
各第1圧入部15cは、歪センサ20の両側の第3構造体13のそれぞれの内側面の間に圧入される部分である。第1圧入部15cは、平板部15aの長手方向に対して垂直で水平方向(トルクセンサ10の径方向)に延びた形状が、上方に張出した部分である。各第1圧入部15cの上部の外側には、各第3構造体13の内側面に圧入されるように、第3構造体13の内側面に向けて張出した凸形状部分が設けられる。
【0037】
各第2圧入部15dは、第1構造体11と第2構造体12の間の空間に圧入される部分である。第2圧入部15dは、平板部15aの長手方向と平行に延びた形状が、上方に張出した部分である。各第2圧入部15dの上部の外側には、第1構造体11又は第2構造体12の内側面に圧入されるように、第1構造体11又は第2構造体12の内側面に向けて張出した凸形状部分が設けられる。
【0038】
図8に示すように、2つの把持部15bにそれぞれ設けられた凸形状部分の先端の間の長さL21は、2つの把持部15bで把持される第3構造体13のそれぞれの外側面の間の長さL22よりも短い(L21<L22)。このため、下カバー15の取り付け時に、2つの把持部15bを広げるように変形させて、2つの第3構造体13を間に挟むように取り付けることで、2つの把持部15bが、凸形状部分の先端で、2つの第3構造体13の外側面を確実に把持する。
【0039】
図8に示すように、第1圧入部15cにそれぞれ設けられた凸形状部分の先端の間の長さL23は、圧入される第3構造体13のそれぞれの内側面の間の長さL24より僅かに大きい(L23>L24)。このため、両側の第1圧入部15cが2つの第3構造体13の内側面の間に圧入されることにより、各第1圧入部15cが、変形して、各第1圧入部15cと第3構造体13がそれぞれ密着して固定される。
【0040】
図5に示すように、第2圧入部15dにそれぞれ設けられた凸形状部分の先端の間の長さL25は、圧入される第1構造体11と第2構造体12のそれぞれの内側面の間の長さL26より僅かに大きい(L25>L26)。このため、両側の第2圧入部15dが第1構造体11と第2構造体12のそれぞれの内側面の間に圧入されることにより、各第2圧入部15dが、変形して、各第2圧入部15dと第1構造体11又は第2構造体12がそれぞれ密着して固定される。
【0041】
本実施形態によれば、下カバー15を設けることで、歪センサ20の下側に対して、防水及び防塵などの外部因子からの保護効果を高めることができる。また、下カバー15は、歪センサ20の両側に位置する第3構造体13を含めて覆うような形状にすることで、歪センサ20を確実に保護することができる。
【0042】
2つの第3構造体13を把持する把持部15bを下カバー15に設けることで、接着剤等を使用しなくても、下カバー15を取り付けることができる。なお、下カバー15は、接着剤等を使用して取り付けられてもよい。また、2つの第3構造体13の内側面の間に圧入される第1圧入部15c、又は、第1構造体11と第2構造体12のそれぞれの内側面の間に圧入される第2圧入部15dの少なくとも一方を設けることで、下カバー15が脱落するのを防止することができる。
【0043】
第1圧入部15c及び第2圧入部15dを両方とも設ける場合、第1圧入部15c及び第2圧入部15dを一体形成することで、第1圧入部15c及び第2圧入部15dの強度を強化することができる。
【0044】
下カバー15に加えて、上カバー14を設けることで、歪センサ20の上側及び下側の両面に対して、防水及び防塵などの保護効果を高めることができる。
【0045】
(第1変形例)
図11は、本実施形態の第1変形例に係る上カバー14が位置する部分を示す断面図であり、
図6に相当する部分の断面図である。
図12は、本変形例に係る上カバー14及び第1固定プレート21による構成を示す斜視図である。
図6では、各第1係合部14bは、第1ネジ23の頭部23a又は第2ネジ24の頭部24aに係合される。これに対して、本変形例では、各第2係合部14dは、固定部材としての第1固定プレート21又は第2固定プレート22に係合される。
【0046】
具体的には、第1固定プレート21は、凹部19の幅方向の両側に第1固定プレート21の長さ方向に沿って段部21aを有する。なお、第2固定プレート22は、第1固定プレート21と同様に構成されるものとする。上カバー14の各脚部14a及び各脚部14aに設けられた第2係合部14dは、第1固定プレート21及び第2固定プレート22のそれぞれの段部21aに係合する位置に配置される。各第2係合部14dの長さL3は、各段部21aの長さL4と等しい。なお、上カバー14が外れないように係合されれば、第2係合部14dの長さL3は、段部21aの長さL4より短くてもよい。
【0047】
上記構成において、上カバー14が凹部19内に圧入されると、各脚部14aの第2係合部14dは、第1固定プレート21又は第2固定プレート22の段部21aの下側に入る。これにより、各第2係合部14dは、第1固定プレート21又は第2固定プレート22の段部21aに係合(スナップ・フィット)される。
【0048】
本変形例によれば、上カバー14の第2係合部14dは、固定プレート21,22の段部21aと係合するため、
図6に示す基本構成のネジ23,24の頭部23a,24aと係合する場合と比較して、係合する接触面積を大きくすることができる。これにより、上カバー14をより外れ難くすることができる。
【0049】
(第2変形例)
図13は、本実施形態の第2変形例に係る上カバー14が位置する部分を示す断面図であり、
図6に相当する部分の断面図である。本変形例では、
図11及び
図12に示す第1変形例の固定プレート21,22の段部21aは有さずに、上カバー14の複数の第2係合部14dは、第1固定プレート21及び第2固定プレート22の下面にそれぞれ係合される。第1固定プレート21及び第2固定プレート22の長さと、第2係合部14dの長さの関係は、第1変形例と同様である。
【0050】
本変形例によれば、上カバー14の第1変形例と同様の効果が得られる。また、第1固定プレート21及び第2固定プレート22は、段部を持たないため、第1変形例よりも製造し易い。
【0051】
(第3変形例)
図14は、本実施形態の第3変形例に係る上カバー14が位置する部分を示す断面図であり、
図5に相当する部分の断面図である。上カバー14は、長手方向に所定間隔をおいて2つの脚部14eを有する。2つの脚部14eは、第1ネジ23に対応して配置される。一方の脚部14eは、上カバー14の側面に設けられ、他方の脚部14eは、側面より内側に設けられる。各脚部14eは、第1ネジ23の頭部23aに係合する第3係合部14fを有する。なお、第1ネジ23の頭部23aに第3係合部14fを係合させるため、第1固定プレート21の第3係合部14fと対応する位置に凹部21bを設けてもよい。
【0052】
上記構成において、上カバー14が凹部19内に圧入されると、第1変形例と同様に、上カバー14の第3係合部14fは、第1ネジ23の頭部23aに係合(スナップ・フィット)される。
【0053】
本変形例によれば、上カバー14の第1変形例と同様の効果が得られる。
【0054】
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態に係るトルクセンサ10Aの下カバー15が位置する部分の断面図であり、第1実施形態に係る
図8に相当する部分の断面図である。
【0055】
トルクセンサ10Aは、
図8に示す第1実施形態に係るトルクセンサ10の第3構造体13の外側面(歪センサ20と反対側の面)に、把持部15bの先端部分に設けられた凸形状部分が引っ掛かるように、段部13aを設けたものである。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0056】
図15では、第3構造体13の下側部分の全てが上側部分よりも外側に張出した形状を示しているが、把持部15bの凸形状部分が引っ掛かるように外側に張出した形状を含むのであれば、第3構造体13の形状は、どのような形状でもよい。例えば、把持部15bの凸形状部分が引っ掛かる部分だけ、第3構造体13に張出した形状(凸形状など)が設けられてもよい。
【0057】
本実施形態によれば、第1実施形態による作用効果に加え、第3構造体13に、把持部15bの凸形状部分が引っ掛かる段部13aを設けることで、第1実施形態よりも下カバー15を外れ難くすることができる。
【0058】
(第3実施形態)
図16は、第3実施形態に係るトルクセンサ10Bの下カバー15Bが位置する部分の断面図であり、第1実施形態に係る
図8に相当する部分の断面図である。
【0059】
トルクセンサ10Aは、
図8に示す第1実施形態に係る下カバー15において、把持部15bの形状を変更した下カバー15Bを設けたものである。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0060】
下カバー15Bは、
図8に示す下カバー15の把持部15bよりも上方に延びた形状の把持部15bBを備える。把持部15bBの先端部分の凸形状部分は、第3構造体13の上部の縁部分に適切に引っ掛かるように形成される。これにより、下カバー15Bは、両側にある第3構造体13のそれぞれの上部の縁部分を下から覆うように把持する。その他の点は、第1実施形態に係る下カバー15と同様である。
【0061】
本実施形態によれば、第1実施形態による作用効果に加え、第3構造体13の上部の縁部分に引っ掛かるように形成された把持部15bBを設けることで、第1実施形態よりも下カバー15を外れ難くすることができる。
【0062】
(第4実施形態)
図17は、第4実施形態に係る力センサ10Cの下カバー15Cが位置する部分を簡略化した断面図であり、第1実施形態に係る
図8に相当する部分の断面図である。
【0063】
力センサ10Cは、第1実施形態に係るトルクセンサ10において、主に、第3構造体13の形状をz軸の力Fzを検出し易いように変形させた第3構造体13Cを備えたものである。例えば、力センサ10Cは、第1構造体11を固定し、第2構造体12にz軸の力Fzを印加して、z軸の力Fzを検出する。なお、力センサ10Cは、トルクを検出しなくてもよいが、本実施形態は、トルクを検出するトルクセンサとして適用してもよい。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0064】
第3構造体13Cは、厚さ(z軸方向の長さ)を幅(周方向の長さ)より短くすることで、z軸方向に変形し易くなり、z軸の力Fzを検出し易くなる。その他の点は、第1の実施形態に係る第3構造体13と同様である。
【0065】
なお、第3構造体13Cは、第2実施形態と同様に、把持部15bの先端部分の凸形状部分が引っ掛かり易いように、
図15に示す段部13aに相当する部分を設けてもよい。さらに、下カバー15は、
図16に示す第3実施形態に係る下カバー15Bと同様に、把持部15bの先端部分の凸形状部分が第3構造体13Cの上部の縁部分に引っ掛かるように形成されてもよい。
【0066】
本実施形態によれば、z軸の力Fzを検出する力センサ10Cとして、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0067】
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…トルクセンサ、11…第1構造体、12…第2構造体、13…第3構造体、14…上カバー、15…下カバー、16…ケース、17…ブッシュ、18…ケーブル、19…凹部、20…歪センサ。