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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146377
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】車輪及び車両
(51)【国際特許分類】
   B60B 19/00 20060101AFI20220928BHJP
   B62D 63/04 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B60B19/00 D
B62D63/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047298
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 紘
(57)【要約】
【課題】単純な構造で、平地走行時の安定性を維持しつつ段差を乗り越えることができる車輪及び車両を提供する。
【解決手段】車輪1は、車輪回転軸Aw回りに回動する外輪10と、車輪回転軸Awに垂直な平面に平行なアーム軸Aaに沿って外輪10に対して直動可能なアーム50と、外輪10と独立して車輪回転軸Aw回りに回動可能なアーム作動軸部材70と、外輪10に対して相対的にアーム作動軸部材70が一方向に回転する場合にアーム50を外輪10の外周より径方向外側に一部を突出させる方向(突出方向Rp)にアーム軸Aaに沿って直動させ、外輪10に対して相対的にアーム作動軸部材70が一方向とは反対の他方向に回転する場合にアーム50を外輪10の外周より径方向内側に収容させる方向(収容方向Rs)にアーム軸Aaに沿って直動させる伝達部90と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪回転軸回りに回動する外輪と、
前記車輪回転軸に垂直な平面に平行なアーム軸に沿って前記外輪に対して直動可能なアームと、
前記外輪と独立して前記車輪回転軸回りに回動可能なアーム作動軸部材と、
前記外輪に対して相対的に前記アーム作動軸部材が一方向に回転する場合に前記アームを前記外輪の外周より径方向外側に一部を突出させる方向に前記アーム軸に沿って直動させ、前記外輪に対して相対的に前記アーム作動軸部材が前記一方向とは反対の他方向に回転する場合に前記アームを前記外輪の外周より径方向内側に収容させる方向に前記アーム軸に沿って直動させる伝達部と、
を備える車輪。
【請求項2】
前記伝達部は、前記外輪に対して相対的に前記アーム作動軸部材が回転しない場合、前記アームの突出した状態又は収容される状態を維持する、
請求項1に記載の車輪。
【請求項3】
前記アームは、前記アーム軸に沿って設けられるラック歯を含み、
前記アーム作動軸部材は、外周面にウォーム歯を有する円筒ウォームを含み、
前記伝達部は、前記車輪回転軸に垂直な平面に平行かつ前記車輪回転軸及び前記アーム軸とねじれの関係を有する伝達回転軸回りに回動可能であって、前記円筒ウォームに噛み合うホイール歯を有するウォームホイールと、前記ウォームホイールと共に回転しかつ前記ラック歯に噛み合うピニオンと、を含む、
請求項1又は2に記載の車輪。
【請求項4】
前記アームは、前記アーム軸に沿って設けられる雄ねじ部を含み、
前記アーム作動軸部材は、外周面にウォーム歯を有する円筒ウォームを含み、
前記伝達部は、前記車輪回転軸に垂直な平面に平行かつ前記車輪回転軸及び前記アーム軸とねじれの関係を有する伝達回転軸回りに回動可能であって、前記円筒ウォームに噛み合うホイール歯を有するウォームホイールと、前記ウォームホイールと共に回転しかつ前記雄ねじ部に噛み合う雌ねじ孔と、を含む、
請求項1又は2に記載の車輪。
【請求項5】
前記アーム作動軸部材を駆動するアーム作動用アクチュエータと、
前記車輪回転軸回りに前記外輪と一体的に回転する外輪歯車と、
前記外輪歯車と噛み合い、前記車輪回転軸と平行な外輪駆動回転軸回りに回転する外輪駆動歯車と、
前記アーム作動用アクチュエータと独立して駆動し、前記外輪駆動歯車を駆動する外輪駆動用アクチュエータと、
を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の車輪。
【請求項6】
前記アーム作動軸部材の前記車輪回転軸回りの回転を制動する状態と制動しない状態とを、通電の有無で切り替え可能なアーム作動用ブレーキを備え、
前記アーム作動軸部材は、前記アーム作動用ブレーキに制動されない状態において、前記外輪と同回転方向かつ同回転速度で回転する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の車輪。
【請求項7】
前記アーム作動軸部材を駆動するアーム作動用アクチュエータと、
前記アームの前記外輪の外周より径方向外側に一部を突出させる方向への移動範囲を制限する突出側規制部と、
前記アームの前記外輪の外周より径方向内側に収容させる方向への移動範囲を制限する収容側規制部と、
を備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の車輪。
【請求項8】
前記アームは、前記車輪回転軸回りに回転対称かつ等間隔に複数設けられる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の車輪。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の車輪と、
前記車輪を前記車輪回転軸回りに回転可能に支持する車体と、
を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
宅配ロボット、無人搬送台車(AGV;Auto Guided Vehicle)、搬送用カート、電動車いす、掃除ロボット、パートナーロボット等の自走車に搭載される駆動輪には、走行路に存在する段差、凹凸、傾斜部、階段等の障害物の乗り越え及び昇降を行う技術が求められている。特許文献1には、走行輪の周方向に分割され走行輪の放射方向に出退開閉可能に支持された複数の分割部を、選択的に突出展開して段差に係合させることで、段差を乗り越える車輪の構造が開示されている。また、特許文献2には、閉じ回転位置では転動周面を形成し、展開回転位置では転動周面外へ突出する、周方向所定間隔で設けられる複数の転動爪体を備える車輪の構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-155520号公報
【特許文献2】特開2011-031796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の車輪は、車輪側にそれぞれの分割部に対する変形用のアクチュエータが配置されるため、駆動源から回転するアクチュエータへの伝達部の機構が複雑である。また、特許文献2の車輪は、車輪の外輪自体を変形させるため、外輪が完全な円にならず、走行時の安定性に問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、単純な構造で、平地走行時の安定性を維持しつつ段差を乗り越えることができる車輪及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車輪は、車輪回転軸回りに回動する外輪と、前記車輪回転軸に垂直な平面に平行なアーム軸に沿って前記外輪に対して直動可能なアームと、前記外輪と独立して前記車輪回転軸回りに回動可能なアーム作動軸部材と、前記外輪に対して相対的に前記アーム作動軸部材が一方向に回転する場合に前記アームを前記外輪の外周より径方向外側に一部を突出させる方向に前記アーム軸に沿って直動させ、前記外輪に対して相対的に前記アーム作動軸部材が前記一方向とは反対の他方向に回転する場合に前記アームを前記外輪の外周より径方向内側に収容させる方向に前記アーム軸に沿って直動させる伝達部と、を備える。
【0007】
車輪は、平地走行時にはアームを外輪の外周より径方向内側に収容することによって外輪が転動する。車輪は、平地走行時には変形しない外輪が転動するので、平地走行時の安定性を維持することができる。また、車輪は、段差走行時にはアームの一部を外輪の外周より径方向外側に突出することによってアームが段差を捉えて走破することができる。アームは、外輪とアーム作動軸部材とを相対回転させるという単純な構造で、突出及び収容することができる。
【0008】
本発明の一態様に係る車輪において、前記伝達部は、前記外輪に対して相対的に前記アーム作動軸部材が回転しない場合、前記アームの突出した状態又は収容される状態を維持する。これにより、車輪の意図しない変形を抑制できるので、安定した段差走行及び平地走行が可能である。
【0009】
本発明の一態様に係る車輪において、前記アームは、前記アーム軸に沿って設けられるラック歯を含み、前記アーム作動軸部材は、外周面にウォーム歯を有する円筒ウォームを含み、前記伝達部は、前記車輪回転軸に垂直な平面に平行かつ前記車輪回転軸及び前記アーム軸とねじれの関係を有する伝達回転軸回りに回動可能であって、前記円筒ウォームに噛み合うホイール歯を有するウォームホイールと、前記ウォームホイールと共に回転しかつ前記ラック歯に噛み合うピニオンと、を含む。これにより、アーム作動軸部材の車輪回転軸回りの回転を、アームのアーム軸方向への直動に伝達する伝達経路の構造を簡素化できる。
【0010】
本発明の一態様に係る車輪において、前記アームは、前記アーム軸に沿って設けられる雄ねじ部を含み、前記アーム作動軸部材は、外周面にウォーム歯を有する円筒ウォームを含み、前記伝達部は、前記車輪回転軸に垂直な平面に平行かつ前記車輪回転軸及び前記アーム軸とねじれの関係を有する伝達回転軸回りに回動可能であって、前記円筒ウォームに噛み合うホイール歯を有するウォームホイールと、前記ウォームホイールと共に回転しかつ前記雄ねじ部に噛み合う雌ねじ孔と、を含む。これにより、アーム作動軸部材の車輪回転軸回りの回転を、アームのアーム軸方向への直動に伝達する伝達経路の構造を簡素化できる。
【0011】
本発明の一態様に係る車輪は、前記アーム作動軸部材を駆動するアーム作動用アクチュエータと、前記車輪回転軸回りに前記外輪と一体的に回転する外輪歯車と、前記外輪歯車と噛み合い、前記車輪回転軸と平行な外輪駆動回転軸回りに回転する外輪駆動歯車と、前記アーム作動用アクチュエータと独立して駆動し、前記外輪駆動歯車を駆動する外輪駆動用アクチュエータと、を備える。すなわち、外輪とアーム作動軸部材とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、アーム作動用アクチュエータの出力軸及び外輪駆動用アクチュエータの出力軸の回転方向及び回転速度を制御することによって、アームの突出した状態又は収容される状態を維持することができる。これにより、車輪の意図しない変形を抑制できるので、安定した段差走行及び平地走行が可能である。また、アーム作動用アクチュエータの出力軸及び外輪駆動用アクチュエータの出力軸のいずれか一方の回転を停止させ、いずれか他方のみを駆動させることによって、アームを突出又は収容することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る車輪は、前記アーム作動軸部材の前記車輪回転軸回りの回転を制動する状態と制動しない状態とを、通電の有無で切り替え可能なアーム作動用ブレーキを備え、前記車輪において、前記アーム作動軸部材は、前記アーム作動用ブレーキに制動されない状態において、前記外輪と同回転方向かつ同回転速度で回転する。すなわち、外輪とアーム作動軸部材とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、アーム作動用ブレーキを作動させないように制御することによって、アームの突出した状態又は収容される状態を維持することができる。これにより、車輪の意図しない変形を抑制できるので、安定した段差走行及び平地走行が可能である。また、外輪10が回転している状態で、アーム作動用ブレーキを作動させるように制御することによって、アームを突出又は収容することができる。
【0013】
本発明の一態様に係る車輪は、前記アーム作動軸部材を駆動するアーム作動用アクチュエータと、前記アームの前記外輪の外周より径方向外側に一部を突出させる方向への移動範囲を制限する突出側規制部と、前記アームの前記外輪の外周より径方向内側に収容させる方向への移動範囲を制限する収容側規制部と、を備える。これにより、車輪の意図しない変形を抑制できるので、安定した段差走行及び平地走行が可能である。
【0014】
本発明の一態様に係る車輪において、前記アームは、前記車輪回転軸回りに回転対称かつ等間隔に複数設けられる。これにより、車輪は、周方向に均等になるので、走行時の安定性を向上させることができる。また車輪が段差に到達した際に、アームが段差に引っ掛かるまで、車輪が空転する量を抑制することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る車両は、前記車輪と、前記車輪を前記車輪回転軸回りに回転可能に支持する車体と、を備える。車両は、平地走行時にはアームを外輪の外周より径方向内側に収容することによって外輪が転動する。車両は、平地走行時には変形しない外輪が転動する車輪を備えるので、平地走行時の安定性を維持することができる。また、車両は、段差走行時にはアームの一部を外輪の外周より径方向外側に突出することによってアームが段差を捉えて走破することができる。アームは、外輪とアーム作動軸部材とを相対回転させるという単純な構造で、突出及び収容することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、単純な構造で、平地走行時の安定性を維持しつつ段差を乗り越えることができる車輪及び車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態に係る車輪の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す車輪の側面図である。
図3図3は、図1に示す車輪のA-A断面図である。
図4図4は、図1に示す車輪の伝達部の構成例を示す斜視図である。
図5図5は、第2実施形態に係る車輪の構成例を示す斜視図である。
図6図6は、図5に示す車輪の側面図である。
図7図7は、図5に示す車輪のB-B断面図である。
図8図8は、図5に示す車輪の伝達部の構成例を示す斜視図である。
図9図9は、第3実施形態に係る車輪の構成例を示す斜視図である。
図10図10は、図9に示す車輪の側面図である。
図11図11は、図9に示す車輪のC-C断面図である。
図12図12は、第1実施形態に係る車輪を搭載する適用例としての車両の構成例を模式的に示す斜視図である。
図13図13は、図12に示す車両による段差乗り越え動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0019】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る車輪1の構成について、図1から図4までを参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る車輪1の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示す車輪1の側面図である。図3は、図1に示す車輪1のA-A断面図である。図4は、図1に示す車輪1の伝達部90の構成例を示す斜視図である。
【0020】
以下の説明において、車輪1が段差の走破が可能な方向への回転方向を正回転方向R1といい、正回転方向R1とは反対側の回転方向を逆回転方向R2という。正回転方向R1は、図2において、時計方向である。逆回転方向R2は、図2において、反時計方向である。
【0021】
実施形態の車輪1は、宅配ロボット、無人搬送台車、搬送用カート、電動車いす、掃除ロボット、パートナーロボット等の自走車に搭載される駆動輪である。自走車は、例えば、左右対称に車輪1が配置される四輪車両(後述の図12参照)が想定されるが、本実施形態ではこれに限定されない。
【0022】
第1実施形態において、車輪1が平地走行及び段差走行するための回転駆動力は、車輪1が搭載される自走車の車体側に搭載される電源等のエネルギー源から供給される。車輪1は、第1実施形態において、外輪10と、外輪駆動歯車30と、外輪駆動用アクチュエータ40と、アーム50と、アーム作動軸部材70と、アーム作動用アクチュエータ80と、伝達部90と、を備える。
【0023】
外輪10は、車輪1が搭載される自走車(例えば、後述の図12の車両300)に設けられる車輪支持部320に対して、車輪1の車輪回転軸Aw回りに回動可能に設けられる。外輪10は、外輪本体12と、筒状支持部14と、タイヤ部16と、カバー18と、アーム支持部20と、を含む。
【0024】
外輪本体12は、車輪回転軸Awを中心軸とする円板形状である。外輪本体12は、車輪支持部320より車体の外側に設けられる。すなわち、外輪本体12は、内側面22側で、車輪支持部320と対面する。なお、内側面22とは、車輪1が自走車に搭載される際に車体の内側に面する側面である。
【0025】
外輪本体12は、径方向の中心部に筒状支持部14の内周面側に連通する開口を有する。開口には、車輪支持部320から車体の外側に向かって突出するように設けられる筒状部322、及び筒状部322の内周面側に設けられる後述のアーム作動用アクチュエータ80が挿通する。開口は、外輪本体12が筒状部322及びアーム作動用アクチュエータ80に対して相対回転可能であるように、内径が筒状部322の外径より大きい。
【0026】
筒状支持部14は、中心軸が車輪回転軸Awに一致する円筒状である。筒状支持部14は、外輪本体12の内側面22側において、外輪本体12と一体で設けられる。なお、筒状支持部14は、外輪本体12と別体で設けられて外輪本体12に固定されてもよい。筒状支持部14には、筒状部322、及び後述のアーム作動用アクチュエータ80が挿通する。筒状支持部14は、内周面が、軸受24を介して筒状部322の外周面に支持される。これにより、外輪10は、筒状部322、軸受24、及び筒状支持部14を介して、車輪回転軸Aw回りに車輪支持部320に対して回動可能である。
【0027】
筒状支持部14は、外周面側には、外輪歯車26を有する。外輪歯車26は、径方向の中心に開口を有する外歯車である。外輪歯車26は、回転軸が車輪回転軸Awに一致するように、開口の内周面が、筒状支持部14の外周面に固定される。外輪歯車26は、後述の外輪駆動歯車30と噛み合う。外輪歯車26は、外輪駆動歯車30の回転方向と反対方向に回転する。これにより、外輪10は、外輪歯車26、及び筒状支持部14を介して、外輪駆動歯車30の回転方向と反対方向に回転する。
【0028】
タイヤ部16は、外輪本体12の外周面の周方向に取り付けられる輪形状である。タイヤ部16の外周面は、全周に亘って車輪1の転動周面を構成する。タイヤ部16は、例えば、ゴム等で形成され、走行時における接地面から受ける外輪10への衝撃を吸収する。
【0029】
カバー18は、外輪本体12の外側面28側を覆う蓋部材である。カバー18は、外輪本体12に固定される。カバー18は、外輪本体12の外側面28との間に、後述のアーム50、アーム作動軸部材70、及び伝達部90を収容する。カバー18には、アーム支持部20が設けられる。カバー18は、後述のようにアーム50が外輪10の外周より径方向外側に突出するための開口部を外周に有する。
【0030】
アーム支持部20は、外輪本体12の外側面28側に設けられる後述のアーム50を、アーム軸Aaに沿って直動可能に支持する。なお、外側面28とは、内側面22と反対側の側面であって、車輪1が自走車に搭載される際に車体の外側に面する側面である。アーム軸Aaは、それぞれのアーム50のアーム本体52の長手方向に平行であって、車輪1の車輪回転軸Awに垂直な平面に平行である。アーム軸Aaは、第1実施形態において、車輪回転軸Awとねじれの関係を有する。側面視において、車輪回転軸Awとそれぞれのアーム軸Aaとの距離は、全て等しい。側面視において、アーム軸Aaは、車輪回転軸Aw回りに回転対称かつ等間隔に設けられる。
【0031】
アーム支持部20は、第1実施形態において、カバー18と一体で設けられる。すなわち、アーム支持部20は、カバー18を介して、外輪本体12に固定される。アーム支持部20は、第1実施形態において、アーム50の直動方向(アーム軸Aaに沿う方向)に沿ってカバー18に設けられた孔を含む。アーム支持部20の孔は、アーム50を挿通する。
【0032】
なお、アーム支持部20は、アーム50をアーム軸Aa方向に沿って外輪10に対して直動可能に支持するものであれば、どのようなものでもよく、例えば、カバー18と別体で設けられてカバー18に固定されるガイド部材でもよい。また、アーム支持部20は、外輪本体12と一体で設けられてもよいし、外輪本体12と別体で設けられて外輪本体12に固定されてもよい。
【0033】
外輪駆動歯車30は、径方向の中心に開口を有する外歯車である。外輪駆動歯車30は、車輪1の車輪回転軸Aw及び外輪歯車26の回転軸と平行な外輪駆動回転軸Ad回りに回動可能に設けられる。外輪駆動歯車30は、外輪本体12の内側面22側に設けられる。外輪駆動歯車30は、外輪歯車26と噛み合う。外輪駆動歯車30は、外輪歯車26の回転方向と反対方向に回転する。
【0034】
外輪駆動歯車30は、開口の内周面が、後述の外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42に固定される。これにより、外輪駆動歯車30は、出力軸42の回転方向と同方向に回転する。外輪駆動歯車30は、出力軸42の回転方向と反対方向に、外輪歯車26、及び筒状支持部14を介して、外輪10を回転させる。
【0035】
外輪駆動用アクチュエータ40は、外輪駆動歯車30を回転させる駆動源である回転アクチュエータである。外輪駆動用アクチュエータ40の筐体は、車輪支持部320に固定される。外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42は、軸心が外輪駆動回転軸Adに一致するように、外輪駆動歯車30に固定される。外輪駆動用アクチュエータ40によるトルクは、外輪駆動歯車30を介して、外輪歯車26及び外輪10に伝達される。
【0036】
外輪駆動用アクチュエータ40は、例えば、インナーロータ式のモータである。外輪駆動用アクチュエータ40は、例えば、ステータと、電力が供給されることによってステータに対して回転するロータと、ロータと共に回転する出力軸42と、を含む。外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42の回転方向及び回転速度は、例えば、車輪1が搭載される自走車の車体側に設けられた制御装置によって制御される。外輪駆動用アクチュエータ40は、車輪1が搭載される自走車の車体側に設けられた電源(不図示)から電力が供給される。
【0037】
外輪駆動用アクチュエータ40は、電力が供給されることによって、出力軸42を介して外輪駆動歯車30を回転させる。すなわち、外輪駆動用アクチュエータ40は、出力軸42及び外輪駆動歯車30の外輪駆動回転軸Ad回りの回転を介して、外輪歯車26及び外輪10を車輪回転軸Aw回りに回転させる。外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42及び外輪駆動歯車30は、外輪歯車26及び外輪10の回転方向と反対方向に回転する。
【0038】
アーム50は、柱状の棒部材である。アーム50は、外輪本体12の外側面28側に設けられる。アーム50は、第1実施形態において、1つの車輪1に対して3つ設けられる。それぞれのアーム50は、車輪回転軸Aw回りに回転対称かつ等間隔に設けられる。それぞれのアーム50は、カバー18を介して外輪本体12に固定されるアーム支持部20によって、アーム軸Aaに沿って外輪10に対して直動可能に支持される。アーム50は、外輪10の外周より径方向内側に収容される位置(図2の実線で示す位置。以下の説明では「収容位置」と称する)と、外輪10の外周より径方向外側に一部が突出する位置(図2の点線で示す位置。以下の説明では「突出位置」と称する)との間で、アーム軸Aaに沿って直動可能である。
【0039】
アーム50は、突出方向Rpに移動することにより、収容位置から突出位置に外輪10に対して相対的に移動して、一部を突出させる。アーム50は、収容方向Rsに移動することにより、突出位置から収容位置に外輪10に対して相対的に移動して、外輪10の外周より径方向内側に収容される。アーム50の突出方向Rp及び収容方向Rsは、対応するアーム50のアーム軸Aa方向に一致する。
【0040】
なお、第1実施形態では、部分的な突出も「突出」に含まれるものとする。より詳しくは、収容位置から突出位置へ向かう方向にアーム50が外輪10に対して相対的に移動して、外輪10の外周より径方向外側に少しでも突出した場合、突出位置まで完全に突出しなかったとしてもアーム50が突出したものとする。また、第1実施形態では、部分的な収容も「収容」に含まれるものとする。より詳しくは、突出位置から収容位置へ向かう方向にアーム50が外輪10に対して相対的に移動して、突出した部分が少しでも収容された場合、収容位置まで完全に収容しなかったとしても、アーム50が収容されたものとする。
【0041】
アーム50は、第1実施形態において、アーム本体52と、ラック歯54と、先端部60と、収容側規制部62と、突出側規制部64と、を含む。アーム本体52は、長手方向がアーム軸Aaに沿う平板状の棒状部分を示す。アーム本体52は、アーム支持部20によって、アーム軸Aaに沿って外輪10に対して直動可能に支持される。
【0042】
ラック歯54は、アーム本体52の外輪本体12の外側面28側に対面する側の面に設けられる。ラック歯54は、アーム軸Aaに沿って設けられる。ラック歯54は、後述の伝達部90のピニオン96と噛み合って、ラックアンドピニオン機構をなす。アーム50は、ピニオン96の回転運動がラック歯54を介してアーム軸Aa方向の直動運動に変換されることによって、アーム軸Aaに沿って直動する。
【0043】
先端部60は、アーム本体52の突出方向Rp側の端部に設けられる。先端部60は、第1実施形態において、球形状である。先端部60は、例えば、ゴム等で形成され、段差走行時における接地面から受けるアーム50への衝撃を吸収するとともに、段差を捉えるアーム50と接地面との間の滑りを抑制することができる。先端部60は、第1実施形態において、アーム軸Aaに垂直な断面形状が、アーム本体52の外形より大きい。先端部60は、例えば、アーム支持部20の孔の内径より大きい外径を有し、アーム50の収容方向Rs側への移動範囲を制限するストッパの役目を有していてもよい。
【0044】
収容側規制部62は、アーム50の外輪10に対する収容方向Rs側への移動範囲を制限する。収容側規制部62は、第1実施形態において、アーム本体52の外輪本体12の外側面28側に対面する側の面において、ラック歯54の突出方向Rp側の端部に設けられる凹面である。すなわち、ラック歯54と噛み合う後述の伝達部90のピニオン96は、アーム50が収容位置にある状態において、収容側規制部62に対して空転する。これにより、収容側規制部62は、アーム50の収容方向Rs側への移動範囲を制限するストッパの役目を有する。
【0045】
突出側規制部64は、アーム50の外輪10に対する突出方向Rp側への移動範囲を制限する。突出側規制部64は、第1実施形態において、アーム本体52の外輪本体12の外側面28側に対面する側の面において、ラック歯54の収容方向Rs側の端部に設けられる凹面である。すなわち、ラック歯54と噛み合う後述の伝達部90のピニオン96は、アーム50が突出位置にある状態において、突出側規制部64に対して空転する。これにより、突出側規制部64は、アーム50の突出方向Rp側への移動範囲を制限するストッパの役目を有する。
【0046】
アーム作動軸部材70は、第1実施形態において、径方向の中心に開口を有する。アーム作動軸部材70は、外輪10と独立して、車輪回転軸Aw回りに回動可能に設けられる。アーム作動軸部材70は、外輪本体12の外側面28側に設けられる。アーム作動軸部材70は、外周面にウォーム歯を有する円筒ウォーム72を含む。円筒ウォーム72は、後述の伝達部90のウォームホイール94に噛み合う。円筒ウォーム72の歯のねじれ方向は、第1実施形態において、左上がりである。
【0047】
アーム作動軸部材70は、開口の内周面が、後述のアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82に固定される。これにより、アーム作動軸部材70は、出力軸82の回転方向と同方向に回転する。アーム作動軸部材70は、円筒ウォーム72を介して、後述の伝達部90のウォームホイール94を回転させる。
【0048】
アーム作動用アクチュエータ80は、アーム作動軸部材70を回転させる駆動源である回転アクチュエータである。アーム作動用アクチュエータ80の筐体は、車輪支持部320の筒状部322の内周面側に固定される。アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82は、軸心が車輪回転軸Awに一致するように、アーム作動軸部材70に固定される。アーム作動用アクチュエータ80によるトルクは、アーム作動軸部材70の円筒ウォーム72を介して、後述の伝達部90に伝達される。さらに、伝達部90に伝達されたトルクは、伝達部90のピニオン96及びアーム50のラック歯54を介して、伝達部90の回転運動がアーム50直動運動に変換されて、アーム50に伝達される。
【0049】
アーム作動用アクチュエータ80は、例えば、インナーロータ式のモータである。アーム作動用アクチュエータ80は、例えば、ステータと、電力が供給されることによってステータに対して回転するロータと、ロータと共に回転する出力軸82と、を含む。アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向及び回転速度は、例えば、車輪1が搭載される自走車の車体側に設けられた制御装置によって制御される。アーム作動用アクチュエータ80は、車輪1が搭載される自走車の車体側に設けられた電源(不図示)から電力が供給される。
【0050】
アーム作動用アクチュエータ80は、電力が供給されることによって、出力軸82を介してアーム作動軸部材70を回転させる。すなわち、アーム作動用アクチュエータ80は、出力軸82及びアーム作動軸部材70の車輪回転軸Aw回りの回転を介して、後述の伝達部90を後述の伝達回転軸At回りに回転させる。さらに、伝達回転軸At回りに回転する伝達部90は、伝達部90のピニオン96及びアーム50のラック歯54を介して、アーム50をアーム軸Aa方向に直動させる。
【0051】
アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82及びアーム作動軸部材70は、外輪10に対して相対的に一方向(第1実施形態では、逆回転方向R2)に回転すると、アーム50を突出方向Rpに直動させる。また、アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82及びアーム作動軸部材70は、外輪10に対して相対的に一方向とは反対の他方向(第1実施形態では、正回転方向R1)に回転すると、アーム50を突出方向Rpに直動させる。なお、アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向とアーム50の直動方向との関係は、アーム作動軸部材70の円筒ウォーム72のウォーム歯のねじれ方向と、アーム50のラック歯54と後述の伝達部90のピニオン96とが噛み合う位置関係と、によって決まる。
【0052】
伝達部90は、アーム作動軸部材70の車輪回転軸Aw回りの回転運動を、アーム50のアーム軸Aa方向への直動運動に変換して伝達する。伝達部90は、第1実施形態において、伝達軸部92と、ウォームホイール94と、ピニオン96と、を含む。
【0053】
伝達軸部92は、円柱状の軸部材である。伝達軸部92は、外輪本体12の外側面28側に設けられる。伝達軸部92は、1つのアーム50に対して1つずつ設けられる。伝達軸部92は、第1実施形態において、1つの車輪1に対して3つ設けられる。それぞれの伝達軸部92は、車輪回転軸Aw回りに回転対称かつ等間隔に設けられる。それぞれの伝達軸部92は、外輪本体12によって伝達回転軸At回りに外輪10に対して回動可能に支持される。
【0054】
伝達回転軸Atは、車輪1の車輪回転軸Awに垂直な平面に平行かつ車輪回転軸Awとねじれの関係を有する。側面視において、車輪回転軸Awとそれぞれの伝達回転軸Atとの距離は、全て等しい。側面視において、伝達回転軸Atは、車輪回転軸Aw回りに回転対称かつ等間隔に設けられる。第1実施形態において、それぞれの伝達回転軸Atは、側面視においてそれぞれのアーム軸Aaと直交し、かつアーム軸Aaとねじれの関係を有する。
【0055】
ウォームホイール94は、径方向の中心に開口を有する。ウォームホイール94は、回転軸が伝達回転軸Atに一致するように、開口の内周面が、伝達軸部92の長手方向の一方の端部近傍の外周面に固定される。ウォームホイール94は、外周面に円筒ウォーム72のウォーム歯と噛み合うホイール歯を有する。
【0056】
ピニオン96は、径方向の中心に開口を有する。ピニオン96は、回転軸が伝達回転軸Atに一致するように、開口の内周面が、伝達軸部92の長手方向のウォームホイール94が設けられる側とは反対側の他方の端部近傍の外周面に固定される。すなわち、ピニオン96は、回転軸が伝達軸部92及びウォームホイール94と一致し、かつ共に回転する。ピニオン96は、アーム50のラック歯54と噛み合う外歯車である。
【0057】
このような構成により、伝達部90は、円筒ウォーム72及びウォームホイール94、伝達軸部92、ピニオン96及びラック歯54を介して、アーム作動軸部材70の車輪回転軸Aw回りの回転運動を、アーム50のアーム軸Aa方向への直動運動に変換して伝達する。伝達部90は、外輪10に対して相対的にアーム作動軸部材70が一方向(第1実施形態では、逆回転方向R2)に回転する場合、アーム50を突出方向Rpにアーム軸Aaに沿って直動させる。伝達部90は、外輪10に対して相対的にアーム作動軸部材70が一方向とは反対の他方向(第1実施形態では、正回転方向R1)に回転する場合、アーム50を収容方向Rsにアーム軸Aaに沿って直動させる。伝達部90は、外輪10に対して相対的にアーム作動軸部材70が回転しない場合、アーム50の突出した状態又は収容される状態を維持する。
【0058】
なお、セルフロック効果により、円筒ウォーム72はウォームホイール94を回転させるが、ウォームホイール94は円筒ウォームを回転させない。すなわち、アーム50が外力を受けた場合、アーム50のアーム軸Aaに沿う方向に受けた力によって、ウォームホイール94を介して円筒ウォーム72を回転させることができない。
【0059】
次に、第1実施形態の車輪1におけるアーム50の収容位置(図2の実線で示す位置)と突出位置(図2の点線で示す位置)との間の変形動作について説明する。第1実施形態の車輪1において、アーム支持部20は、カバー18を介して外輪10の外輪本体12に固定されている。また、伝達部90は、伝達軸部92の伝達回転軸Atが外輪本体12に固定されている。このため、アーム支持部20に支持されるアーム50のアーム軸Aaと伝達軸部92の伝達回転軸Atとは、外輪10と共に車輪回転軸Aw回りに回動する。
【0060】
アーム作動軸部材70が外輪10と同回転方向かつ同回転速度で回転する(相対回転しない)場合、伝達部90に対してアーム作動軸部材70が相対回転しないので、伝達部90は、伝達回転軸At回りに回転しない。すなわち、アーム50のラック歯54に対してピニオン96が回転しないので、アーム50は、外輪10に対してアーム軸Aa方向に直動しない。
【0061】
アーム50が収容位置にある状態で、アーム作動軸部材70が外輪10と同回転方向かつ同回転速度で回転する(相対回転しない)場合、アーム50は、収容位置から突出方向Rpへ直動しない。すなわち、平地走行時においては、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42及びアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向及び回転速度を制御する。これにより、車輪1は、アーム50が外輪10の外周より径方向内側に収容される収容位置を維持する。この場合、車輪1は、円形を保ち、外輪10の外周面が全周に亘って車輪1の転動周面を構成するので、通常の車輪と同様な走行が可能である。
【0062】
アーム作動軸部材70の正回転方向R1への回転速度が、外輪10の正回転方向R1への回転速度より遅い場合、アーム作動軸部材70は、外輪10に対して相対的に逆回転方向R2へ回転する。アーム50が収容位置にある状態において、アーム作動軸部材70が外輪10に対して相対的に逆回転方向R2へ回転すると、伝達部90に対してアーム作動軸部材70が逆回転方向R2へ相対回転する。これにより、伝達部90は、伝達回転軸At回りに、ピニオン96がアーム50のラック歯54を突出方向Rpへ送り出す方向に回転する。したがって、アーム50は、収容位置から突出位置まで、外輪10に対してアーム軸Aaに沿って突出方向Rpに直動する。すなわち、アーム50を収容位置から突出位置まで変形させる際には、アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転を停止させ、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42のみを駆動させる。これにより、アーム50を突出位置に突出させて、車輪1を変形させることができる。
【0063】
アーム50が突出位置にある状態で、アーム作動軸部材70が外輪10と同回転方向かつ同回転速度で回転する(相対回転しない)場合、アーム50は、突出位置から収容方向Rsへ直動しない。すなわち、段差走行時においては、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42及びアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向及び回転速度を制御する。これにより、車輪1は、アーム50の一部が外輪10の外周より径方向外側に突出させた突出位置を維持する。この場合、車輪1は、アーム50の先端部60を段差(後述の図13を参照)の上面に引っ掛けることによって、段差の走破が可能である。
【0064】
アーム作動軸部材70の正回転方向R1への回転速度が、外輪10の正回転方向R1への回転速度より早い場合、アーム作動軸部材70は、外輪10に対して相対的に正回転方向R1へ回転する。アーム50が突出位置にある状態において、アーム作動軸部材70が外輪10に対して相対的に正回転方向R1へ回転すると、伝達部90に対してアーム作動軸部材70が正回転方向R1へ相対回転する。これにより、伝達部90は、伝達回転軸At回りに、ピニオン96がアーム50のラック歯54を収容方向Rsへ送り出す方向に回転する。したがって、アーム50は、突出位置から収容位置まで、外輪10に対してアーム軸Aaに沿って収容方向Rsに直動する。すなわち、アーム50を突出位置から収容位置まで変形させる際には、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42の回転を停止させ、アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82のみを駆動させる。これにより、アーム50を収容位置に収容させて、車輪1を円形に戻すことができる。
【0065】
以上説明したように、第1実施形態の車輪1は、車輪回転軸Aw回りに回動する外輪10と、車輪回転軸Awに垂直な平面に平行なアーム軸Aaに沿って外輪10に対して直動可能なアーム50と、外輪10と独立して車輪回転軸Aw回りに回動可能なアーム作動軸部材70と、外輪10に対して相対的にアーム作動軸部材70が一方向(例えば、逆回転方向R2)に回転する場合にアーム50を外輪10の外周より径方向外側に一部を突出させる方向にアーム軸Aaに沿って直動させ、外輪10に対して相対的にアーム作動軸部材70が一方向とは反対の他方向(例えば、正回転方向R1)に回転する場合にアーム50を外輪10の外周より径方向内側に収容させる方向にアーム軸Aaに沿って直動させる伝達部90と、を備える。
【0066】
車輪1は、平地走行時にはアーム50を外輪10の外周より径方向内側に収容することによって外輪10が転動する。車輪1は、平地走行時には変形しない外輪10が転動するので、平地走行時の安定性を維持することができる。また、車輪1は、段差走行時にはアーム50の一部を外輪10の外周より径方向外側に突出することによってアーム50が段差を捉えて走破することができる。アーム50は、外輪10とアーム作動軸部材70とを相対回転させるという単純な構造で、突出及び収容することができる。
【0067】
また、第1実施形態の車輪1において、伝達部90は、外輪10に対して相対的にアーム作動軸部材70が回転しない場合、アーム50の突出した状態又は収容される状態を維持する。これにより、車輪1の意図しない変形を抑制できるので、安定した段差走行及び平地走行が可能である。
【0068】
また、第1実施形態の車輪1において、アーム50は、アーム軸Aaに沿って設けられるラック歯54を含み、アーム作動軸部材70は、外周面にウォーム歯を有する円筒ウォーム72を含み、伝達部90は、車輪回転軸Awに垂直な平面に平行かつ車輪回転軸Aw及びアーム軸Aaとねじれの関係を有する伝達回転軸At回りに回動可能であって、円筒ウォーム72に噛み合うホイール歯を有するウォームホイール94と、ウォームホイール94と共に回転しかつラック歯54に噛み合うピニオン96と、を含む。これにより、アーム作動軸部材70の車輪回転軸Aw回りの回転を、アーム50のアーム軸Aa方向への直動に伝達する伝達経路の構造を簡素化できる。
【0069】
また、第1実施形態の車輪1は、アーム作動軸部材70を駆動するアーム作動用アクチュエータ80と、車輪回転軸Aw回りに外輪10と一体的に回転する外輪歯車26と、外輪歯車26と噛み合い、車輪回転軸Awと平行な外輪駆動回転軸Ad回りに回転する外輪駆動歯車30と、アーム作動用アクチュエータ80と独立して駆動し、外輪駆動歯車30を駆動する外輪駆動用アクチュエータ40と、を備える。すなわち、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82及び外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42の回転方向及び回転速度を制御することによって、アーム50の突出した状態又は収容される状態を維持することができる。これにより、車輪1の意図しない変形を抑制できるので、安定した段差走行及び平地走行が可能である。また、アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82及び外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42のいずれか一方の回転を停止させ、いずれか他方のみを駆動させることによって、アーム50を突出又は収容することができる。
【0070】
また、第1実施形態の車輪1は、アーム作動軸部材70を駆動するアーム作動用アクチュエータ80と、アーム50の外輪10の外周より径方向外側に一部を突出させる方向への移動範囲を制限する突出側規制部64と、アーム50の外輪10の外周より径方向内側に収容させる方向への移動範囲を制限する収容側規制部62と、を備える。これにより、車輪1の意図しない変形を抑制できるので、安定した段差走行及び平地走行が可能である。
【0071】
また、第1実施形態の車輪1において、アーム50は、車輪回転軸Aw回りに回転対称かつ等間隔に複数設けられる。これにより、車輪1は、周方向に均等になるので、走行時の安定性を向上させることができる。また車輪1が段差に到達した際に、アーム50が段差に引っ掛かるまで、車輪1が空転する量を抑制することができる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る車輪101の構成について、図5から図8までを参照して説明する。図5は、第2実施形態に係る車輪101の構成例を示す斜視図である。図6は、図5に示す車輪101の側面図である。図7は、図5に示す車輪101のB-B断面図である。図8は、図5に示す車輪101の伝達部190の構成例を示す斜視図である。
【0073】
第2実施形態に係る車輪101について、第1実施形態に係る車輪1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第2実施形態に係る車輪101は、第1実施形態に係る車輪1と比較して、外輪10、アーム50及び伝達部90の代わりに、外輪110、アーム150及び伝達部190を備える点で異なる。
【0074】
第2実施形態の外輪110は、第1実施形態の外輪10と比較して、外輪本体12、カバー18及びアーム支持部20の代わりに、外輪本体112、カバー118及び伝達部支持部120を含む点で異なる。第2実施形態の外輪本体112及びカバー118について、第1実施形態の外輪本体12及びカバー18と同様の構成については説明を省略する。第2実施形態の外輪本体112は、後述の伝達部190を伝達回転軸At回りに回動可能に支持する伝達部支持部120が設けられる点で、第1実施形態の外輪本体12と異なる。第2実施形態のカバー118は、第1実施形態のアーム支持部20が設けられない点で、第1実施形態のカバー18と異なる。
【0075】
伝達部支持部120は、第2実施形態において、外輪本体112と一体で設けられる。伝達部支持部120は、第2実施形態において、アーム150の直動方向(アーム軸Aaに沿う方向)に沿って設けられた貫通孔を含み、外輪本体112の外側面28から外側面28側に突出して設けられる板形状である。
【0076】
第2実施形態のアーム150について、第1実施形態のアーム50と同様の構成については説明を省略する。アーム150は、外輪本体112に設けられる伝達部支持部120によって、アーム軸Aaに沿って外輪110に対して直動可能に支持される。
【0077】
アーム150は、第2実施形態において、アーム本体152と、雄ねじ部154と、溝部156と、回転止め158と、先端部60と、収容側規制部162と、突出側規制部164と、を含む。アーム本体152は、長手方向がアーム軸Aaに沿う円柱状の棒状部分を示す。アーム本体152は、後述の伝達部190の雌ねじ孔196によって、アーム軸Aaに沿って外輪110に対して直動可能に支持される。
【0078】
雄ねじ部154は、アーム本体152の外周面に設けられる。雄ねじ部154は、後述の伝達部190の雌ねじ孔196と噛み合って、ボールねじ機構をなす。アーム150は、雌ねじ孔196の回転運動が雄ねじ部154を介してアーム軸Aa方向の直動運動に変換されることによって、アーム軸Aaに沿って直動する。
【0079】
溝部156は、アーム本体152の外輪本体112の外側面28側に対面する側において、アーム軸Aaに平行な方向に沿って、雄ねじ部154に設けられる。溝部156には、回転止め158が挿通する。溝部156及び回転止め158は、アーム本体152のアーム軸Aa方向への直動をガイドするとともに、アーム軸Aa回りの回動を規制する。
【0080】
回転止め158は、外輪本体112の外側面28から外側面28側に突出して設けられる突起である。回転止め158は、外輪本体112と一体で設けられてもよいし、外輪本体112と別体で設けられて外輪本体112に固定されてもよい。溝部156及び回転止め158は、アーム本体152のアーム軸Aa方向への直動をガイドするとともに、アーム軸Aa回りの回動を規制する。
【0081】
収容側規制部162は、アーム150の外輪110に対する収容方向Rs側への移動範囲を制限する。収容側規制部162は、第2実施形態において、雄ねじ部154の突出方向Rp側の端部に設けられる。収容側規制部162は、第2実施形態において、雄ねじ部154のねじの谷部分の径と同等又は小さい径を有する円柱状である。すなわち、雄ねじ部154と噛み合う後述の伝達部190の雌ねじ孔196は、アーム150が収容位置にある状態において、収容側規制部162に対して空転する。これにより、収容側規制部162は、アーム150の収容方向Rs側への移動範囲を制限するストッパの役目を有する。
【0082】
突出側規制部164は、アーム150の外輪110に対する突出方向Rp側への移動範囲を制限する。突出側規制部164は、第2実施形態において、雄ねじ部154の収容方向Rs側の端部に設けられる。突出側規制部164は、第2実施形態において、雄ねじ部154のねじの谷部分の径と同等又は小さい径を有する円柱状である。すなわち、雄ねじ部154と噛み合う後述の伝達部190の雌ねじ孔196は、アーム150が突出位置にある状態において、突出側規制部164に対して空転する。これにより、突出側規制部164は、アーム150の突出方向Rp側への移動範囲を制限するストッパの役目を有する。
【0083】
伝達部190は、アーム作動軸部材70の車輪回転軸Aw回りの回転運動を、アーム150のアーム軸Aa方向への直動運動に変換して伝達する。伝達部190は、第2実施形態において、筒状部192と、ウォームホイール194と、雌ねじ孔196と、を含む。
【0084】
筒状部192は、円筒状の回転部材である。筒状部192は、外輪本体112の外側面28側に設けられる。筒状部192は、1つのアーム150に対して1つずつ設けられる。筒状部192は、第2実施形態において、1つの車輪101に対して3つ設けられる。それぞれの筒状部192は、車輪回転軸Aw回りに回転対称かつ等間隔に設けられる。それぞれの筒状部192は、外輪本体112に設けられる伝達部支持部120によって伝達回転軸At回りに外輪110に対して回動可能に支持される。
【0085】
第2実施形態において、それぞれの伝達回転軸Atは、それぞれのアーム軸Aaと一致する。すなわち、第2実施形態の筒状部192は、内周面側にアーム150のアーム本体152の一部を収容する。
【0086】
ウォームホイール194は、径方向の中心に開口を有する。ウォームホイール94は、回転軸が伝達回転軸Atに一致するように、開口の内周面が、筒状部192の長手方向の一方の端部の外周面に固定される。ウォームホイール194は、外周面に円筒ウォーム72のウォーム歯と噛み合うホイール歯を有する。
【0087】
雌ねじ孔196は、軸心が伝達回転軸Atに一致するように、筒状部192の内周面に設けられる。雌ねじ孔196は、アーム150の雄ねじ部154に噛み合う。雌ねじ孔196は、伝達回転軸At回りに回動することによって、アーム150をアーム軸Aaに沿って直動可能に支持する。
【0088】
このような構成により、伝達部190は、円筒ウォーム72及びウォームホイール194、筒状部192、雌ねじ孔196及び雄ねじ部154を介して、アーム作動軸部材70の車輪回転軸Aw回りの回転運動を、アーム150のアーム軸Aa方向への直動運動に変換して伝達する。伝達部190は、外輪110に対して相対的にアーム作動軸部材70が一方向(第2実施形態では、逆回転方向R2)に回転する場合、アーム150を突出方向Rpにアーム軸Aaに沿って直動させる。伝達部190は、外輪110に対して相対的にアーム作動軸部材70が一方向とは反対の他方向(第2実施形態では、正回転方向R1)に回転する場合、アーム150を収容方向Rsにアーム軸Aaに沿って直動させる。伝達部190は、外輪110に対して相対的にアーム作動軸部材70が回転しない場合、アーム150の突出した状態又は収容される状態を維持する。
【0089】
次に、第2実施形態の車輪101におけるアーム150の収容位置(図6の実線で示す位置)と突出位置(図6の点線で示す位置)との間の変形動作について説明する。第2実施形態の車輪101において、伝達部支持部120は、外輪110の外輪本体112に設けられている。また、伝達部190は、伝達回転軸Atが、伝達部支持部120を介して外輪本体112に固定されている。このため、伝達部190の雌ねじ孔196に支持されるアーム150のアーム軸Aaと伝達部190の伝達回転軸Atとは、外輪110と共に車輪回転軸Aw回りに回動する。
【0090】
アーム作動軸部材70が外輪110と同回転方向かつ同回転速度で回転する(相対回転しない)場合、伝達部190に対してアーム作動軸部材70が相対回転しないので、伝達部190は、伝達回転軸At回りに回転しない。すなわち、アーム150の雄ねじ部154に対して雌ねじ孔196が回転しないので、アーム150は、外輪110に対してアーム軸Aa方向に直動しない。
【0091】
アーム150が収容位置にある状態で、アーム作動軸部材70が外輪110と同回転方向かつ同回転速度で回転する(相対回転しない)場合、アーム150は、収容位置から突出方向Rpへ直動しない。すなわち、平地走行時においては、外輪110とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42及びアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向及び回転速度を制御する。これにより、車輪101は、アーム150が外輪110の外周より径方向内側に収容される収容位置を維持する。この場合、車輪101は、円形を保ち、外輪110の外周面が全周に亘って車輪101の転動周面を構成するので、通常の車輪と同様な走行が可能である。
【0092】
アーム作動軸部材70の正回転方向R1への回転速度が、外輪110の正回転方向R1への回転速度より遅い場合、アーム作動軸部材70は、外輪110に対して相対的に逆回転方向R2へ回転する。アーム150が収容位置にある状態において、アーム作動軸部材70が外輪110に対して相対的に逆回転方向R2に回転すると、伝達部190に対してアーム作動軸部材70が逆回転方向R2へ相対回転する。これにより、伝達部190は、伝達回転軸At回りに、雌ねじ孔196がアーム150の雄ねじ部154に対して突出方向Rpへ送り出す方向に回転する。したがって、アーム150は、収容位置から突出位置まで、外輪110に対してアーム軸Aaに沿って突出方向Rpに直動する。すなわち、アーム150を収容位置から突出位置まで変形させる際には、アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転を停止させ、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42のみを駆動させる。これにより、アーム150を突出位置に突出させて、車輪101を変形させることができる。
【0093】
アーム150が突出位置にある状態で、アーム作動軸部材70が外輪110と同回転方向かつ同回転速度で回転する(相対回転しない)場合、アーム150は、突出位置から収容方向Rsへ直動しない。すなわち、段差走行時においては、外輪110とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42及びアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向及び回転速度を制御する。これにより、車輪101は、アーム150の一部が外輪110の外周より径方向外側に突出させた突出位置を維持する。この場合、車輪101は、アーム150の先端部60を段差(後述の図13を参照)の上面に引っ掛けることによって、段差の走破が可能である。
【0094】
アーム作動軸部材70の正回転方向R1への回転速度が、外輪110の正回転方向R1への回転速度より早い場合、アーム作動軸部材70は、外輪110に対して相対的に正回転方向R1へ回転する。アーム150が突出位置にある状態において、アーム作動軸部材70が外輪110に対して相対的に正回転方向R1に回転すると、伝達部190に対してアーム作動軸部材70が正回転方向R1へ相対回転する。これにより、伝達部190は、伝達回転軸At回りに、雌ねじ孔196がアーム150の雄ねじ部154に対して収容方向Rsへ送り出す方向に回転する。したがって、アーム150は、突出位置から収容位置まで、外輪110に対してアーム軸Aaに沿って収容方向Rsに直動する。すなわち、アーム150を突出位置から収容位置まで変形させる際には、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42の回転を停止させ、アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82のみを駆動させる。これにより、アーム150を収容位置に収容させて、車輪101を円形に戻すことができる。
【0095】
以上説明したように、第2実施形態の車輪101は、アーム150は、アーム軸Aaに沿って設けられる雄ねじ部154を含み、アーム作動軸部材70は、外周面にウォーム歯を有する円筒ウォーム72を含み、伝達部190は、車輪回転軸Awに垂直な平面に平行かつ車輪回転軸Aw及びアーム軸Aaとねじれの関係を有する伝達回転軸At回りに回動可能であって、円筒ウォーム72に噛み合うホイール歯を有するウォームホイール194と、ウォームホイール194と共に回転しかつ雄ねじ部154に噛み合う雌ねじ孔196と、を含む。これにより、アーム作動軸部材70の車輪回転軸Aw回りの回転を、アーム150のアーム軸Aa方向への直動に伝達する伝達経路の構造を簡素化できる。
【0096】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る車輪201の構成について、図9から図11までを参照して説明する。図9は、第3実施形態に係る車輪201の構成例を示す斜視図である。図10は、図9に示す車輪201の側面図である。図11は、図9に示す車輪201のC-C断面図である。
【0097】
第3実施形態に係る車輪201について、第1実施形態に係る車輪1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第3実施形態に係る車輪201は、第1実施形態に係る車輪1と比較して、アーム作動用アクチュエータ80の代わりに、アーム作動用ブレーキ280を備える点で異なる。
【0098】
アーム作動用ブレーキ280は、アーム作動軸部材70を外輪10に対して相対回転させるために、アーム作動軸部材70の回転を止める又は回転速度を下げるための制動装置である。アーム作動用ブレーキ280は、第3実施形態において、アーム作動用ブレーキ280の筐体は、車輪支持部320に固定される。
【0099】
アーム作動用ブレーキ280の制動軸282は、軸心が車輪回転軸Awに一致するように、アーム作動軸部材70に固定される。また、制動軸282は、外周面が、軸受284を介して車輪支持部320の筒状部322の内周面に支持される。これにより、制動軸282は、筒状部322及び軸受284を介して、車輪回転軸Aw回りに車輪支持部320に対して回動可能である。
【0100】
アーム作動用ブレーキ280は、例えば、励磁作動型の電磁ブレーキである。アーム作動用ブレーキ280は、例えば、制動軸282と共に回転するロータと、筐体に固定されるステータと、を含む。ステータは、コイルを有し、コイルを通電することによって、磁力を帯びる。ステータは、コイルに通電している状態では、磁力がロータを引き付けることによって、ロータと密着するので、ロータを介して制動軸282を制動させる。ステータは、コイルに通電していない状態では、磁力を帯びず、ロータを引き付けないため、ロータと離隔するので、制動軸282を制動させない。アーム作動用ブレーキ280は、車輪201が搭載される自走車の車体側に設けられた電源(不図示)から電力が供給される。
【0101】
アーム作動用ブレーキ280は、電力が供給されることによって、制動軸282を介してアーム作動軸部材70を制動させる。すなわち、アーム作動用ブレーキ280は、外輪10が一方向(正回転方向R1又は逆回転方向R2)に回転している状態において、アーム作動軸部材70を制動させることによって、アーム作動軸部材70を外輪10に対して相対的に一方向とは反対の他方向(逆回転方向R2又は正回転方向R1)に回転させる。アーム作動軸部材70が外輪10に対して相対回転する場合のアーム50の動作については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0102】
アーム作動用ブレーキ280に電力が供給されず、アーム作動軸部材70が制動されない状態では、アーム作動軸部材70及び制動軸282は、車輪支持部320に対して回動自在である。外輪10が車輪支持部320に対して回動する場合、共に伝達部90が車輪回転軸Aw回りに同方向に回動する。この際、アーム作動軸部材70の円筒ウォーム72と伝達部90のウォームホイール94との間の摩擦により、アーム作動軸部材70も、外輪10と共に車輪回転軸Aw回りに同方向に回転する。すなわち、アーム作動軸部材70は、アーム作動用ブレーキ280に電力が供給されず、アーム作動軸部材70が制動されない場合、外輪10と同回転方向かつ同回転速度で回転する(相対回転しない)。
【0103】
次に、第3実施形態の車輪201におけるアーム50の収容位置(図10の実線で示す位置)と突出位置(図10の点線で示す位置)との間の変形動作について説明する。第3実施形態の車輪201において、アーム支持部20は、カバー18を介して外輪10の外輪本体12に固定されている。また、伝達部90は、伝達軸部92の伝達回転軸Atが外輪本体12に固定されている。このため、アーム支持部20に支持されるアーム50のアーム軸Aaと伝達軸部92の伝達回転軸Atとは、外輪10と共に車輪回転軸Aw回りに回動する。
【0104】
アーム作動用ブレーキ280は、電力が供給されていない状態では、アーム作動軸部材70を制動させない。この際、アーム作動軸部材70及び制動軸282は、車輪支持部320に対して回動自在なので、アーム作動軸部材70の円筒ウォーム72と伝達部90のウォームホイール94との間の摩擦により、外輪10と共に車輪回転軸Aw回りに回転する。
【0105】
アーム50が収容位置にある状態で、アーム作動軸部材70が外輪10と同回転方向かつ同回転速度で回転する(相対回転しない)場合、アーム50は、収容位置から突出方向Rpへ直動しない。すなわち、平地走行時においては、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、アーム作動用ブレーキ280の制動軸282を作動させないように制御する。これにより、車輪201は、アーム50が外輪10の外周より径方向内側に収容される収容位置を維持する。この場合、車輪201は、円形を保ち、外輪10の外周面が全周に亘って車輪201の転動周面を構成するので、通常の車輪と同様な走行が可能である。
【0106】
アーム作動軸部材70の正回転方向R1への回転速度が、外輪10の正回転方向R1への回転速度より遅い場合、アーム作動軸部材70は、外輪10に対して相対的に逆回転方向R2へ回転する。アーム50が収容位置にある状態において、アーム作動軸部材70が外輪10に対して相対的に逆回転方向R2へ回転すると、伝達部90に対してアーム作動軸部材70が逆回転方向R2へ相対回転する。これにより、伝達部90は、伝達回転軸At回りに、ピニオン96がアーム50のラック歯54を突出方向Rpへ送り出す方向に回転する。したがって、アーム50は、収容位置から突出位置まで、外輪10に対してアーム軸Aaに沿って突出方向Rpに直動する。すなわち、アーム50を収容位置から突出位置まで変形させる際には、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42を正回転方向R1に回転駆動させた状態で、アーム作動用ブレーキ280を作動させることによって、制動軸282を介してアーム作動軸部材70の回転を制動させる。これにより、これにより、アーム50を突出位置に突出させて、車輪201を変形させることができる。
【0107】
アーム50が突出位置にある状態で、アーム作動軸部材70が外輪10と同回転方向かつ同回転速度で回転する(相対回転しない)場合、アーム50は、突出位置から収容方向Rsへ直動しない。すなわち、段差走行時においては、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、アーム作動用ブレーキ280の制動軸282を作動させないように制御する。これにより、車輪201は、アーム50の一部が外輪10の外周より径方向外側に突出させた突出位置を維持する。この場合、車輪201は、アーム50の先端部60を段差(後述の図13を参照)の上面に引っ掛けることによって、段差の走破が可能である。
【0108】
アーム作動軸部材70の逆回転方向R2への回転速度が、外輪10の逆回転方向R2への回転速度より遅い場合、アーム作動軸部材70は、外輪10に対して相対的に正回転方向R1へ回転する。アーム50が突出位置にある状態において、アーム作動軸部材70が外輪10に対して相対的に正回転方向R1へ回転すると、伝達部90に対してアーム作動軸部材70が正回転方向R1へ相対回転する。これにより、伝達部90は、伝達回転軸At回りに、ピニオン96がアーム50のラック歯54を収容方向Rsへ送り出す方向に回転する。したがって、アーム50は、突出位置から収容位置まで、外輪10に対してアーム軸Aaに沿って収容方向Rsに直動する。すなわち、アーム50を突出位置から収容位置まで変形させる際には、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42を逆回転方向R2に回転駆動させた状態で、アーム作動用ブレーキ280を作動させることによって、制動軸282を介してアーム作動軸部材70の回転を制動させる。これにより、アーム50を収容位置に収容させて、車輪201を円形に戻すことができる。
【0109】
なお、アーム作動用ブレーキ280の作動は、上記に限定されない。アーム作動用ブレーキ280は、例えば、アーム作動用ブレーキ280のステータのコイルに通電している状態では、制動軸282を制動させ、ステータのコイルに通電していない状態では、制動軸282を制動させない構成であってもよい。アーム作動用ブレーキ280は、制動軸282を介してアーム作動軸部材70の回転を制動する状態と、制動しない状態と、を通電の有無で切り替え可能であれば、どのような構成であっても構わない。
【0110】
以上説明したように、第3実施形態の車輪201は、アーム作動軸部材70の車輪回転軸Aw回りの回転を制動する状態と制動しない状態とを、通電の有無で切り替え可能なアーム作動用ブレーキ280を備え、車輪201において、アーム作動軸部材70は、アーム作動用ブレーキ280に制動されない状態において、外輪10と同回転方向かつ同回転速度で回転する。すなわち、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、アーム作動用ブレーキ280282を作動させないように制御することによって、アーム50の突出した状態又は収容される状態を維持することができる。これにより、車輪201の意図しない変形を抑制できるので、安定した段差走行及び平地走行が可能である。また、外輪10が回転している状態で、アーム作動用ブレーキ280を作動させるように制御することによって、アーム50を突出又は収容することができる。
【0111】
[適用形態]
次に、車輪1の適用例としての車両300の構成について、図12を参照して説明する。図12は、第1実施形態に係る車輪1を搭載する適用例としての車両300の構成例を模式的に示す斜視図である。
【0112】
適用形態の車両300は、車両300の車体310と、4つの車輪1と、を備える台車である。車体310は、4つの車輪1をそれぞれ支持する4つの車輪支持部320を含む。車体310には、例えば、外輪駆動用アクチュエータ40及びアーム作動用アクチュエータ80に供給する電力の電源、外輪駆動用アクチュエータ40及びアーム作動用アクチュエータ80の回転方向及び回転速度を制御する制御装置等(不図示)が搭載される。車体310には、進行方向の段差を検出する検出装置を搭載してもよい。検出装置は、例えば、段差までの距離を検出する赤外線センサ等のセンサを含む。検出装置は、例えば、段差を撮像する撮像部を含み、撮像画像に基づいて段差を検出してもよい。
【0113】
4つの車輪1は、車輪支持部320を介して車体310に支持される。4つの車輪1は、車体310の左右前後に配置される。それぞれの車輪1は、車輪回転軸Awが水平姿勢かつ進行方向に直交するように配置される。左右2つの車輪1は、車輪回転軸Awが同軸となるように設けられる。左右2つの車輪1は、アーム50の位置が、車輪回転軸Aw方向視で互いに同一の位置になるように取り付けられる。
【0114】
車輪1は、適用形態において、車輪支持部320の上端部が、車体310の下面に固体される。車両300は、適用形態において、4つの車輪1が左右前後に配置されるが、車輪1を自走車に適用する場合、3つ以上の車輪1を備えればよい。車両300の左右方向への旋回は、操舵にステアリング装置を用いるのではなく、右側の車輪1と左側の車輪1との回転速度差を用いる。
【0115】
次に、車両300の動作について、図13を参照して説明する。図13は、図12に示す車両300による段差乗り越え動作を説明するための説明図である。車両300は、車輪1が正回転方向R1に回転する方向に移動しているものとし、進行方向に段差があるものとする。また、1段の段差は、車輪1の半径より高く車輪1の直径より低いものを想定する。
【0116】
図13のステップS1に示すように、車両300が段差に到達せず、平地走行中においては、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42及びアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向及び回転速度を制御する。これにより、車輪1は、アーム50が外輪10の外周より径方向内側に収容される収容位置を維持する。
【0117】
図13のステップS2に示すように、車両300が段差に接近した場合、又は前輪側の車輪1が段差に到達した場合、前輪側の車輪1のアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転を停止させ、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42のみを駆動させる。これにより、アーム50を突出位置に突出させて前輪側の車輪1を変形させる。
【0118】
前輪側の車輪1のアーム50を突出位置まで突出させた後、再び、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42及びアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向及び回転速度を制御する。これにより、前輪側の車輪1は、アーム50が先端部60を含む一部を外輪10の外周より径方向外側に突出させる突出位置を維持する。アーム50の突出位置を維持した状態で前輪側の車輪1が段差に到達すると、前輪側の車輪1は、アーム50の先端部60が段差の上面に接触する。
【0119】
なお、車輪回転軸Awに対するアーム50の位置によって、アーム50の先端部60が段差に引っ掛からないことがある。このような場合は、車輪1が段差の手前で正回転方向R1に空転することによって、逆回転方向R2側に隣接するアーム50の先端部60が段差に引っ掛かる。
【0120】
図13のステップS3示すように、前輪側の車輪1は、段差に先端部60を引っ掛けたアーム50が突出位置を維持しながら、1段目の段差に乗り上げる。この際、後輪側の車輪1は、アーム50が収容位置を維持している。
【0121】
図13のステップS4示すように、後輪側の車輪1が段差に接近した場合、後輪側の車輪1のアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転を停止させ、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42のみを駆動させる。これにより、アーム50を突出位置に突出させて後輪側の車輪1を変形させる。
【0122】
後輪側の車輪1のアーム50を突出位置まで突出させた後、再び、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42及びアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向及び回転速度を制御する。これにより、後輪側の車輪1は、アーム50が先端部60を含む一部を外輪10の外周より径方向外側に突出させる突出位置を維持する。アーム50の突出位置を維持した状態で後輪側の車輪1が段差に到達すると、後輪側の車輪1は、アーム50の先端部60が段差の上面に接触する。
【0123】
この際、前輪側の車輪1は、アーム50の先端部60が2段目の段差の上面に接触する。前輪側の車輪1は、2段目の段差に先端部60を引っ掛けたアーム50が突出位置を維持しながら、1段目の段差の上面から浮き上がり、1段目と同様に2段目に乗り上げる。
【0124】
図13のステップS5に示すように、車両300は、前輪側の車輪1がアーム50の突出位置を維持した状態で3段目の段差に乗り上げるとともに、後輪側の車輪1がアーム50の突出位置を維持した状態で2段目の段差に乗り上げる。
【0125】
図13のステップS6に示すように、前輪側の車輪1が段差の最上段に乗り上げた場合、前輪側の車輪1の外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42の回転を停止させ、アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82のみを駆動させる。すなわち、ステップS2で行った制御と反対の制御を行う。これにより、アーム50を収容位置に収容させて前輪側の車輪1を円形に戻す。
【0126】
前輪側の車輪1のアーム50が収容位置に達した後は、再び、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42及びアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向及び回転速度を制御する。これにより、前輪側の車輪1は、アーム50の収容位置を維持させる。
【0127】
図13のステップS7に示すように、車両300がさらに走行して、後輪側の車輪1が段差の最上段に乗り上げた場合、後輪側の車輪1の外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42の回転を停止させ、アーム作動用アクチュエータ80の出力軸82のみを駆動させる。すなわち、ステップS4で行った制御と反対の制御を行う。これにより、アーム50を収容位置に収容させて後輪側の車輪1を円形に戻す。
【0128】
後輪側の車輪1のアーム50が収容位置に達した後は、再び、外輪10とアーム作動軸部材70とを同回転方向かつ同回転速度で回転させるよう、外輪駆動用アクチュエータ40の出力軸42及びアーム作動用アクチュエータ80の出力軸82の回転方向及び回転速度を制御する。これにより、後輪側の車輪1は、アーム50の収容位置を維持させる。
【0129】
前輪側の車輪1及び後輪側の車輪1が収容位置に戻った後は、それぞれの車輪1が円形を保ち、外輪10の外周面が全周に亘って車輪1の転動周面を構成するので、車両300は、通常の車輪と同様な走行が可能である。
【0130】
以上説明したように、適用形態の車両300は、車輪1と、車輪1を車輪回転軸Aw回りに回転可能に支持する車体310と、を備える。車両300は、平地走行時にはアーム50を外輪10の外周より径方向内側に収容することによって外輪10が転動する。車両300は、平地走行時には変形しない外輪10が転動する車輪1を備えるので、平地走行時の安定性を維持することができる。また、車両300は、段差走行時にはアーム50の一部を外輪10の外周より径方向外側に突出することによってアーム50が段差を捉えて走破することができる。アーム50は、外輪10とアーム作動軸部材70とを相対回転させるという単純な構造で、突出及び収容することができる。
【0131】
なお、本実施形態は、上記態様に限定されるものではない。即ち、本実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本実施形態では、1つの車輪1、101、201に対して設けられるアーム50、150の数は、3つに限定されず、1つ、2つ、又は4つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0132】
1、101、201 車輪
10、110 外輪
12、112 外輪本体
14 筒状支持部
16 タイヤ部
18、118 カバー
20 アーム支持部
120 伝達部支持部
22 内側面
24 軸受
26 外輪歯車
28 外側面
30 外輪駆動歯車
40 外輪駆動用アクチュエータ
42 出力軸
50、150 アーム
52、152 アーム本体
54 ラック歯
154 雄ねじ部
156 溝部
158 回転止め
60 先端部
62、162 収容側規制部
64、164 突出側規制部
70 アーム作動軸部材
72 円筒ウォーム
80 アーム作動用アクチュエータ
82 出力軸
280 アーム作動用ブレーキ
282 制動軸
284 軸受
90、190 伝達部
92 伝達軸部
94 ウォームホイール
96 ピニオン
192 筒状部
194 ウォームホイール
196 雌ねじ孔
300 車両
310 車体
320 車輪支持部
322 筒状部
Aw 車輪回転軸
Aa アーム軸
Ad 外輪駆動回転軸
At 伝達回転軸
R1 正回転方向
R2 逆回転方向
Rp 突出方向
Rs 収容方向
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13