(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146391
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】発泡吐出ノズルおよび発泡吐出製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/30 20060101AFI20220928BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20220928BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220928BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B65D83/30
A61K8/02
A61Q19/10
B05B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047321
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 信也
(72)【発明者】
【氏名】村上 知子
【テーマコード(参考)】
3E014
4C083
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB04
3E014PC02
3E014PC03
3E014PD01
3E014PE11
3E014PE17
3E014PF10
4C083AC132
4C083AC402
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC712
4C083AC902
4C083AD042
4C083AD132
4C083BB01
4C083BB49
4C083CC23
4C083DD08
4F033RA02
4F033RA20
4F033RC01
4F033RC04
4F033RC05
4F033RC06
4F033RC07
4F033RC08
4F033RC11
4F033RC16
4F033RC17
(57)【要約】
【課題】複雑な構造を用いずに、圧縮ガスを用いた発泡性組成物を吐出し、きめ細かな泡状の吐出物を得ることのできる吐出製品を提供する。
【解決手段】起泡剤を含む原液および圧縮ガスからなる発泡性組成物が充填された吐出容器に取り付けて使用され、本体部と、発泡性組成物が吐出される吐出孔が形成されたノズル部とを備え、本体部は、第1通路が形成されており、ノズル部は、第1通路と連通する第2通路が形成されており、絞り部と、テーパ部とを有し、絞り部における第2通路の径は、第1通路の径よりも小さく、テーパ部における第2通路の径は、絞り部における第2通路の径から、吐出孔における第2通路の径となるようテーパ状に拡径されている、発泡吐出ノズル。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起泡剤を含む原液および圧縮ガスからなる発泡性組成物が充填された吐出容器に取り付けて使用され、本体部と、前記発泡性組成物が吐出される吐出孔が形成されたノズル部とを備え、
前記本体部は、前記吐出容器から取り込まれた前記発泡性組成物が、前記ノズル部に向かって通過する第1通路が形成されており、
前記ノズル部は、
前記第1通路と連通する第2通路が形成されており、
絞り部と、テーパ部とを有し、
前記絞り部における前記第2通路の径は、前記第1通路の径よりも小さく、
前記テーパ部における第2通路の径は、前記絞り部における第2通路の径から、前記吐出孔における第2通路の径となるようテーパ状に拡径されている、発泡吐出ノズル。
【請求項2】
前記絞り部における前記第2通路の径は、0.2~3mmである、請求項1記載の発泡吐出ノズル。
【請求項3】
前記絞り部における前記第2通路の径と、前記第1通路の径との比は、0.1~0.8である、請求項1または2記載の発泡吐出ノズル。
【請求項4】
前記ノズル部は、テーパ部と吐出孔との間に、円筒部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡吐出ノズル。
【請求項5】
前記ノズル部の長さは、20~100mmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡吐出ノズル。
【請求項6】
起泡剤を含む原液および圧縮ガスからなる発泡性組成物と、前記発泡性組成物が充填された吐出容器と、請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡吐出ノズルとからなる発泡吐出製品。
【請求項7】
前記吐出容器は、容器本体と、前記容器本体に取り付けられ、前記発泡性組成物を外部に吐出するための吐出通路が形成されたバルブと、を備え、
前記バルブは、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられ、前記発泡性組成物を前記ハウジングに取り込むためのチューブ部材と、を備え、
前記チューブ部材は、
前記容器本体に充填された前記発泡性組成物の気相部分に開口し、前記気相部分を導入するための気相導入孔と、
前記容器本体に充填された前記発泡性組成物の液相部分に開口し、前記液相部分を導入するための液相導入孔と、が形成されており、
導入された前記発泡性組成物の前記気相部分と前記液相部分とを混合するための混合室を備える、請求項6記載の発泡吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡吐出ノズルおよび発泡吐出製品に関する。より詳細には、本発明は、圧縮ガスによって、従来よりも簡易な構造できめ細かい泡を吐出することのできる発泡吐出ノズルおよび発泡吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液化石油ガス等の液化ガスによって原液を発泡させて吐出する吐出製品が開発されている。このような吐出製品は、容器内では、液体である液化ガスと原液とが混合されており、外部に吐出されると、液化ガスが気化して膨張し、きめ細かな泡状の吐出物を得ることができる。ところで、近年の環境問題等への懸念から、液化ガスの使用量を抑える試みがある。
【0003】
しかしながら、液化ガスの代わりに圧縮ガスを用いる場合、圧縮ガスは原液にほとんど溶解しないため、きめ細かな泡状の吐出物を得ることが難しい。そこで、特許文献1には、内容物と空気を混合させるエアゾール用噴射ノズルが開示されている。このノズルは、内容物と空気が混合するための衝突壁と発泡した内容物を滞留する滞留室が設けられている。ノズル内に導入された内容物は、滞留室内の衝突壁に強く衝突し、跳ね返って滞留室内を激しく流動する。この流動により、内容物と空気が混合し、発泡を生じる。また、特許文献2には、容器放出口への外付けタイプの筒状部に、上流側と下流側に2重にメッシュを備え、メッシュ間の距離を変更可能にした泡生成用アタッチメントが開示されている。この泡生成用アタッチメントは、メッシュ間の距離を変更可能にすることで泡生成用アタッチメントを取付けたまま、放出内容物の泡状態を切り換えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-66388号公報
【特許文献2】特開2011-31889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~2に記載の発明は、構造が複雑であり、製造が難しい。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、複雑な構造を用いずに、圧縮ガスを用いた発泡性組成物を吐出し、きめ細かな泡状の吐出物を得ることのできる吐出製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明には、以下の構成が主に含まれる。
【0008】
(1)起泡剤を含む原液および圧縮ガスからなる発泡性組成物が充填された吐出容器に取り付けて使用され、本体部と、前記発泡性組成物が吐出される吐出孔が形成されたノズル部とを備え、前記本体部は、前記吐出容器から取り込まれた前記発泡性組成物が、前記ノズル部に向かって通過する第1通路が形成されており、前記ノズル部は、前記第1通路と連通する第2通路が形成されており、絞り部と、テーパ部とを有し、前記絞り部における前記第2通路の径は、前記第1通路の径よりも小さく、前記テーパ部における第2通路の径は、前記絞り部における第2通路の径から、前記吐出孔における第2通路の径となるようテーパ状に拡径されている、発泡吐出ノズル。
【0009】
このような構成によれば、発泡吐出ノズルは、簡易な構成であるにもかかわらず、絞り部において、第1通路から導出された発泡性組成物は流路抵抗が大きくなって圧縮され、圧縮ガスを微細化し、発泡性組成物中に細かく分散させることができる。また、発泡吐出ノズルは、細かく分散された圧縮ガスを、テーパ部において圧縮状態から徐々に開放することにより、発泡性組成物がきめ細かな泡状の吐出物となるよう膨張させることができる。
【0010】
(2)前記絞り部における前記第2通路の径は、0.2~3mmである、(1)記載の発泡吐出ノズル。
【0011】
このような構成によれば、発泡吐出ノズルは、絞り部において、第1通路から導出された発泡性組成物をより圧縮しやすく、圧縮ガスを、より微細化することができ、発泡性組成物中に圧縮ガスをより細かく分散させることができる。その結果、吐出される発泡性組成物は、よりきめ細かな泡状の吐出物が得られやすい。
【0012】
(3)前記絞り部における前記第2通路の径と、前記第1通路の径との比は、0.1~0.8である、(1)または(2)記載の発泡吐出ノズル。
【0013】
このような構成によれば、発泡吐出ノズルは、絞り部において、第1通路から導出された発泡性組成物をより圧縮しやすく、圧縮ガスを微細化しやすく、発泡性組成物中に細かく分散させやすい。その結果、吐出される発泡性組成物は、よりきめ細かな泡状の吐出物が得られやすい。
【0014】
(4)前記ノズル部は、テーパ部と吐出孔との間に、円筒部を有する、(1)~(3)のいずれかに記載の発泡吐出ノズル。
【0015】
このような構成によれば、発泡吐出ノズルは、吐出物の勢いを調整しやすい。
【0016】
(5)前記ノズル部の長さは、20~100mmである、(1)~(4)のいずれかに記載の発泡吐出ノズル。
【0017】
このような構成によれば、発泡吐出ノズルは、発泡性組成物の発泡を調整しやすい。
【0018】
(6)起泡剤を含む原液および圧縮ガスからなる発泡性組成物と、前記発泡性組成物が充填された吐出容器と、(1)~(5)のいずれかに記載の発泡吐出ノズルとからなる発泡吐出製品。
【0019】
このような構成によれば、発泡吐出製品は、吐出容器内で原液と圧縮ガスとが混合された発泡性組成物が、発泡吐出ノズルの絞り部において、第1通路から導出された発泡性組成物をより圧縮しやすく、圧縮ガスを微細化し、発泡性組成物中に細かく分散させることができる。また、発泡吐出ノズルは、細かく分散された圧縮ガスを、テーパ部において圧縮状態から徐々に開放することにより、発泡性組成物がきめ細かな泡状の吐出物となるよう膨張させることができる。これにより、発泡吐出製品は、簡便な構成により、きめ細かな泡状の吐出物が得られやすい。
【0020】
(7)前記吐出容器は、容器本体と、前記容器本体に取り付けられ、前記発泡性組成物を外部に吐出するための吐出通路が形成されたバルブと、を備え、前記バルブは、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられ、前記発泡性組成物を前記ハウジングに取り込むためのチューブ部材と、を備え、前記チューブ部材は、前記容器本体に充填された前記発泡性組成物の気相部分に開口し、前記気相部分を導入するための気相導入孔と、前記容器本体に充填された前記発泡性組成物の液相部分に開口し、前記液相部分を導入するための液相導入孔と、が形成されており、導入された前記発泡性組成物の前記気相部分と前記液相部分とを混合するための混合室を備える、(6)記載の発泡吐出製品。
【0021】
このような構成によれば、吐出操作が行われることによりバルブが開放されると、容器本体内の圧力により、チューブ部材の混合室において、気相導入孔から導入された発泡性組成物の気相部分と、液相導入孔から導入された発泡性組成物の液相部分とが、自動的に混合される。気相部分を主に構成する圧縮ガスと液相部分を主に構成する原液は、混合室内を通過する際に流路抵抗を受けて混合され、発泡しながら外部に向かって流れる。その結果、吐出される発泡性組成物は、きめ細かな泡状の吐出物が得られやすい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、圧縮ガスを用いて発泡性組成物を吐出しているにもかかわらず、複雑な発泡通路を設けることなく、きめ細かな泡状の吐出物を得ることのできる発泡吐出ノズルおよび発泡吐出製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)の吐出容器の模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)の発泡吐出ノズルを説明するための模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態(第2の実施形態)の発泡吐出ノズルを説明するための模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、テーパ部の形成されていない発泡吐出ノズルを説明するための模式的な断面図である。
【
図5】
図5は、絞り部の形成されていない発泡吐出ノズルを説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1の実施形態]
本発明の一実施形態(第1の実施形態)の発泡吐出製品は、起泡剤を含む原液および圧縮ガスからなる発泡性組成物と、発泡性組成物が充填された吐出容器と、発泡吐出ノズルとを備える。発泡吐出ノズルは、吐出容器に取り付けて使用され、本体部と、発泡性組成物が吐出される吐出孔が形成されたノズル部とを備える。本体部は、吐出容器から取り込まれた発泡性組成物が、ノズル部に向かって通過する第1通路が形成されている。ノズル部は、第1通路と連通する第2通路が形成されており、絞り部と、テーパ部とを有する。絞り部における第2通路の径は、第1通路の径よりも小さい。テーパ部における第2通路の径は、絞り部における第2通路の径から、吐出孔における第2通路の径となるようテーパ状に拡径されている。以下、それぞれについて説明する。
【0025】
<発泡性組成物>
発泡性組成物は、容器本体に充填される内容物であり、起泡剤を含む原液と、圧縮ガスとからなる。
【0026】
(原液)
原液は、チューブ部材の混合室内で圧縮ガスと混合されて発泡したり、発泡吐出ノズルのノズル部内の通路で発泡・整泡されて、泡状で外部に吐出される。原液は、起泡剤を含む。起泡剤は、原液を混合室内やノズル部内で発泡させて、きめ細かな泡を形成する目的で用いられる。
【0027】
起泡剤は特に限定されない。一例を挙げると、起泡剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、天然系界面活性剤などの界面活性剤である。
【0028】
非イオン性界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、非イオン性界面活性剤は、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのエーテル型;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸POEセチルエーテル、イソステアリン酸POEラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル;モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン、トリイソステアリン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;POEラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンラノリンアルコールなどのエステル型などである。
【0029】
陰イオン性界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、陰イオン性界面活性剤は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの脂肪酸を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどアルカリで中和した脂肪酸石鹸;ラウリルリン酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウムなどのアルキルリン酸塩;POEラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;POEラウリルエーテル酢酸カリウム、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム、POEトリデシルエーテル酢酸カリウム、POEトリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩などが挙げられる。また、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウムなどのN-アシルグルタミン酸塩;N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN-アシルグリシン塩;N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミンなどのN-アシルアラニン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのアシルアラニン塩などのアミノ酸型界面活性剤等である。
【0030】
陽イオン性界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、陽イオン性界面活性剤は、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩などである。
【0031】
両性界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ステアリルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタインなどのアルキルベタイン;ヤシ酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)、コカミドプロピルヒドロキシスルタインなどの脂肪酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型;2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのアルキルイミダゾール型;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンなどのアミノ酸型;ラウリルジメチルアミンN-オキシド、オレイルジメチルアミンN-オキシドなどのアミンオキシド型;などである。
【0032】
シリコーン系界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、シリコーン系界面活性剤は、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などである。
【0033】
天然系界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、天然系界面活性剤は、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、水添酵素大豆レシチンなどである。
【0034】
起泡剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、起泡剤の含有量は、原液中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、起泡剤の含有量は、原液中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。起泡剤の含有量が上記範囲内であることにより、原液は、優れた起泡力が得られ、きめ細かな泡を形成しやすい。また、得られる吐出物は、皮膚などの適用箇所において残りにくく、べたつき等を生じにくくなり、使用感が優れる。
【0035】
溶剤は、原液に好適に配合される。溶剤は特に限定されない。一例を挙げると、溶剤は、水、アルコールである。溶剤は、水とアルコールとが併用されてもよい。
【0036】
水は特に限定されない。一例を挙げると、水は、精製水、イオン交換水、海洋深層水などである。
【0037】
水を含有する場合において、水の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水の含有量は、原液中、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、水の含有量は、原液中、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることが好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、得られる吐出物が、発泡しやすい。また、発泡性組成物は、その他の成分を配合しやすい。
【0038】
アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、アルコールは、1価アルコール、多価アルコール等である。
【0039】
1価アルコールは、使用感を向上させるという目的だけでなく、溶剤に溶解しにくい有効成分を溶解するための溶媒となり、吐出物の発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0040】
1価アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、1価アルコールは、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2~3個の1価アルコールである。
【0041】
多価アルコールは、吐出物の発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0042】
多価アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、多価アルコールは、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの2~4価のアルコールである。
【0043】
アルコールを含有する場合において、アルコールの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、アルコールの含有量は、原液中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、アルコールの含有量は、原液中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。アルコールの含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、アルコールを配合することによる効果が得られやすく、かつ、発泡性が優れる。
【0044】
本実施形態の原液は、用途や目的などに応じて、有効成分、水溶性高分子、単糖類、油分、粉体などを含有し得る。
【0045】
有効成分は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分は、天然香料、合成香料などの各種香料;l-メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;コラーゲン、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノールなどの防腐剤;安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤;ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどの消臭剤;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤;アルブチン、コウジ酸などの美白剤などである。
【0046】
有効成分を含有する場合、有効成分の含有量は、原液中、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、有効成分を配合することによる所望の効果が得られやすい。
【0047】
水溶性高分子は、泡の保持性を高くするなど、吐出物の発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0048】
水溶性高分子は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子は、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(ポリクオタニウム4)、塩化ジメチルジアクリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリオクタニウム7)、塩化-O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム10)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム22)、塩化-O-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリオクタニウム24)、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム39)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液(ポリクオタニウム51)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール(ポリクオタニウム52)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体(ポリクオタニウム61)、メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸ナトリウム(ポリクオタニウム65)、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジメチル硫酸塩、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩酸塩、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテルなどのカチオン性高分子;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系多糖類;カラギーナン、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質;ゼラチン、デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどである。これらの中でも、水溶性高分子は、吐出物の発泡性が優れる点から、カチオン性高分子を用いることが好ましい。
【0049】
水溶性高分子を含有する場合、水溶性高分子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子の含有量は、原液中、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましい。また、水溶性高分子の含有量は、原液中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、水溶性高分子を含有する効果が得られやすい。また、得られる吐出物は、皮膚などの適用箇所において残りにくく、べたつき等を生じにくくなり、使用感が優れる。
【0050】
単糖類は、泡の保持性を高くするなど、吐出物の発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0051】
単糖類は特に限定されない。一例を挙げると、単糖類は、エリスリトール、アラビトール、ガラクチトール、グルシトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール;エリトリトール、D-エリトロース、D-トレオースなどのテトロース類;D-アラビノース、L-アラビノース、D-キシロース、D-リキソース、L-リキソース、D-リボース、D-キシルロース、L-キシルロース、D-リブロース、L-リブロースなどのペントース類;D-アルトロース、L-アルトロース、D-ガラクトース、L-ガラクトース、D-グルコース、D-タロース、D-マンノース、L-ソルボース、D-タガトース、D-プシコース、D-フルクトース、D-マンノースなどのヘキソース類などである。
【0052】
単糖類を含有する場合、単糖類の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、単糖類の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、単糖類の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。単糖類の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、単糖類を含有する効果が得られやすい。
【0053】
油分は、発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0054】
油分は特に限定されない。一例を挙げると、油分は、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィンなどの炭化水素油;アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、シクロヘキサン1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、エイコサン二酸-テトラデカン二酸ポリグリセリル、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、などのエステル油;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリグリセロール変性シリコーンなどのシリコーンオイル;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;イソステアリン酸などの液体脂肪酸;アボカド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂;ミツロウ、ラノリンロウなどのロウ類などである。
【0055】
油分を含有する場合、油分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油分の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、油分の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。油分の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、油分を配合することによる効果が得られやすい。
【0056】
粉体は、滑りを良くするなど使用感を向上させるなどの目的で用いられる。
【0057】
粉体は特に限定されない。一例を挙げると、粉体は、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、炭粉末、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダーなどである。
【0058】
粉体を含有する場合、粉体の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、粉体の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、粉体の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。粉体の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、粉体を含有することによる効果が得られやすい。また、粉体は、混合室内で溜まりにくい。
【0059】
原液全体の説明に戻り、原液の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、原液は、発泡性組成物中、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましい。また、原液は、発泡性組成物中、99.99質量%以下であることが好ましく、99.98質量%以下であることがより好ましい。原液の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、混合室内において圧縮ガスと混合されやすく、また、ノズル部内で発泡、整泡されやすく、きめ細かな泡が形成されやすい。
【0060】
原液の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、原液は、溶剤に、起泡剤や有効成分などを溶解させることにより調製し得る。
【0061】
(圧縮ガス)
圧縮ガスは、吐出容器内に充填される原液を加圧して、液相導入孔から原液を混合室に供給するとともに、圧縮ガス自体も気相導入孔から混合室に供給することにより混合室内で原液と混合される。また、圧縮ガスは外部との圧力差により徐々に容積が大きくなって原液を発泡させ、さらにノズル部内で発泡、整泡してきめ細かな泡を外部に吐出するために配合される。
【0062】
圧縮ガスは特に限定されない。一例を挙げると、圧縮ガスは、窒素ガス、圧縮空気、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス、酸素ガスなどであり、窒素ガス、圧縮空気が好ましい。
【0063】
圧縮ガスの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、圧縮ガスは、発泡性組成物中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。また、圧縮ガスは、発泡性組成物中、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。圧縮ガスの含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、混合室内において原液と混合されやすく、さらにノズル部内で発泡、整泡されて、きめ細かな泡が形成されやすい。
【0064】
圧縮ガスの平衡圧力は特に限定されない。一例を挙げると、圧縮ガスは、原液を充填した容器本体に充填され、容器本体内の25℃での平衡圧力が、0.4MPa以上であることが好ましく、0.45MPa以上であることがより好ましい。また、圧縮ガスの容器本体内の25℃での平衡圧力は、2.0MPa以下であることが好ましく、1.5MPa以下であることがより好ましい。
【0065】
なお、容器本体内の圧力を調整したり、発泡状態を調整するなどのために、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E)、沸点19℃)、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(Z)、沸点39℃)およびこれらの混合物などのハイドロフルオロオレフィン、イソペンタンやノルマルペンタンなどの炭化水素などをさらに充填されてもよい。
【0066】
発泡性組成物全体の説明に戻り、発泡性組成物の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、発泡性組成物は、原液を容器本体に充填し、容器本体にバルブを取り付け、その後、圧縮ガスを充填することにより製造し得る。
【0067】
<吐出容器>
本実施形態の吐出容器は、発泡性組成物が充填される容器である。
図1は、本実施形態の吐出容器1の模式的な断面図である。
図2は、本実施形態の発泡吐出ノズル9を説明するための模式的な断面図である。本実施形態の吐出容器1は、容器本体2と、容器本体2に取り付けられ、発泡性組成物を外部に吐出するための吐出通路が形成されたバルブ3とを備える。なお、本実施形態の吐出製品は、後述するチューブ部材4に、気相導入孔P1および液相導入孔P2が形成されており、混合室42mが設けられている。吐出製品は、これら以外の構成に関しては、適宜、設計変更されてもよい。
【0068】
(容器本体2)
容器本体2は、発泡性組成物を加圧状態で充填するための耐圧容器である。容器本体2は、汎用の形状であってよい。たとえば、容器本体2は、上部に開口を有する有底筒状である。開口は、原液を充填するための充填口である。容器本体2は、開口に後述するバルブ3を取り付けて閉止することにより吐出容器1となる。
【0069】
容器本体2の材質は特に限定されない。容器本体2は、発泡性組成物を加圧状態で充填できる程度の耐圧性を有していればよい。このような材質は、アルミニウム、ブリキ等の金属、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂、耐圧ガラス等である。
【0070】
(バルブ3)
バルブ3は、容器本体2の開口を閉止して密封するための部材である。また、バルブ3は、ハウジング5と、容器本体2の内外を連通するステム孔62が形成されたステム6と、ステム孔62の周囲に取り付けられ、ステム孔62を閉止するためのステムラバー7と、ハウジング5に取り付けられ、発泡性組成物をハウジング5に取り込むためのチューブ部材4とを主に備える。バルブ3は、容器本体2の開口を閉止するためのマウンティングカップ8によって、容器本体2に取り付けられている。
【0071】
・ハウジング5
ハウジング5は、略円筒状であり、ステム6を上下方向に摺動可能に収容する。
【0072】
また、ハウジング5の底面には、後述する原液と圧縮ガスとが混合された発泡性組成物をハウジング5内に導入するための混合物導入孔52が形成されている。ハウジング5の下面には、略円筒状の取付部53が設けられている。取付部53は、チューブ部材4の第2のチューブ部材42の一端が差し込まれる部位である。
【0073】
・ステム6
ステム6は、略円筒状の部位であり、吐出時にハウジング5内に取り込まれた発泡性組成物が通過するステム内通路61が形成されている。ステム内通路61の下端近傍には、ハウジング5内の空間とステム内通路61とを連通するステム孔62が形成されている。ステム6の上端には、発泡性組成物を吐出するための発泡吐出ノズル9が取り付けられる。
【0074】
・ステムラバー7
ステムラバー7は、ステム孔62の周囲に取り付けられ、ハウジング5の内部空間と外部とを適宜遮断するための部材である。ステムラバー7は、可撓性を有する円盤状の部材であり、非吐出時において、内周面をステム6のステム孔62が形成された外周面と密着させて、ステム孔62を閉止する。
【0075】
ステムラバー7は、吐出時にステム6が下方へ摺動すると、内周縁が下方に撓む。その結果、撓んだステムラバー7によってステム孔62が開放される。その結果、容器本体2から取り込まれた発泡性組成物は、ステム孔62を通過して発泡吐出ノズル9を通り、外部に吐出される。
【0076】
・チューブ部材4
チューブ部材4は、圧縮ガスと原液とを混合し、混合物をハウジング5に取り込むための部材である。すなわち、容器本体2に充填された発泡性組成物は、圧縮ガスと、原液とに分かれる。チューブ部材4は、これら圧縮ガスと、原液とを別々の導入孔(気相導入孔P1および液相導入孔P2)から導入し、混合室42mにおいて圧縮ガスと原液とを混合させる。
【0077】
本実施形態のチューブ部材4は、第1のチューブ部材41、第2のチューブ部材42、および、第1のチューブ部材41と第2のチューブ部材42とを連結する連結部材43とからなる。
【0078】
第1のチューブ部材41は、気相導入孔P1の形成された一端と、連結部材43に接続された他端とを有する。本実施形態の第1のチューブ部材41は、チューブ本体41bと、チューブ本体41bの端部に取り付けられたノズル41cとからなる。ノズル41cには、気相導入孔P1が形成されている。気相導入孔P1は、原液および圧縮ガスが充填された状態において、気相部分(原液の液面よりも上位置)において開口している。ノズル41cは、チューブ本体41bを細くすることで省略することができる。
【0079】
第1のチューブ部材41の寸法は特に限定されない。第1のチューブ部材41の寸法は、気相導入孔P1が気相部分に開口するために必要な長さであればよく、一例を挙げると、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。また、第1のチューブ部材41の長さは、150mm以下であることが好ましく、140mm以下であることがより好ましい。また、第1のチューブ部材41の内径の面積は、0.1mm2以上であることが好ましく、0.15mm2以上であることがより好ましい。また、第1のチューブ部材41の内径の面積は、50mm2以下であることが好ましく、20mm2以下であることがより好ましい。
【0080】
気相導入孔P1は、気相部にある圧縮ガスの導入量を調整するために設けられている。気相導入孔P1の面積は特に限定されない。一例を挙げると、気相導入孔P1の面積は、0.01mm2以上であることが好ましく、0.1mm2以上であることがより好ましい。また、気相導入孔P1の面積は、5mm2以下であることが好ましく、3mm2以下であることがより好ましい。なお、気相導入孔P1は、気相部分において開口していればよく、その位置および個数等は特に限定されない。
【0081】
気相導入孔P1の孔径は、第1のチューブ部材41の内径に比べて小さい。そのため、気相導入孔P1からは、吐出部材9を転倒したり振とうする場合であっても、液相部分が導入されにくく、気相部分のみが導入されやすい。また、気相導入孔P1の孔径を変えることにより、気相の導入量は、調整されやすい。
【0082】
連結部材43は、第1のチューブ部材41と第2のチューブ部材42とを連結する部材である。連結部材43は、第1のチューブ部材41を差し込んで固定するための第1差込部43pと、第2のチューブ部材42を差し込んで固定するための第2差込部43qが形成されている。また、連結部材43は、その側面に、第1差込部43pと第2差込部43qとを連結する内部管路43rが形成される。内部管路43rは、連結部材43の側面において開口している。開口は、液相部に連通しており、液相導入孔P2として作用する。第1差込部43pおよび第2差込部43q、内部管路43rの大きさを変えることにより、流量は、調整されても良い。
【0083】
連結部材43は、ハウジング5に一端が接続された第2のチューブ部材42の他端が、第2差込部43qに差し込まれることによって、容器本体2内において、原液に浸るように位置決めされている。液相導入孔P2は、原液を導入するための開口であり、容器本体2の内底面の近傍において開口している。これにより、液相導入孔P2からは、使用により原液の量が減った状態でも、原液を導入しやすい。
【0084】
液相導入孔P2は、液相部にある原液の導入量を調整するために設けられている。液相導入孔P2の内側面積は特に限定されない。一例を挙げると、液相導入孔P2の内側面積は、0.01mm2以上であることが好ましく、0.03mm2以上であることがより好ましい。また、液相導入孔P2の内側面積は、2mm2以下であることが好ましく、1mm2以下であることがより好ましい。
【0085】
第2のチューブ部材42は、連結部材43に接続された一端と、ハウジング5の取付部53に差し込まれる他端とを有する。第2のチューブ部材42の内部空間は、気相導入孔P1から導入された圧縮ガスと、液相導入孔P2から取り込まれた原液とを混合するための混合室42mである。
【0086】
第2のチューブ部材42の寸法は特に限定されない。第2のチューブ部材42の寸法は、圧縮ガスと原液とを混合することのできる長さであればよく、一例を挙げると、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。また、第2のチューブ部材42の長さは、200mm以下であることが好ましく、150mm以下であることがより好ましい。また、第2のチューブ部材42の内側面積は、0.2mm2以上であることが好ましく、0.5mm2以上であることがより好ましい。また、第2のチューブ部材42の内側面積は、50mm2以下であることが好ましく、10mm2以下であることがより好ましく、5mm2以下であることがさらに好ましい。
【0087】
・発泡吐出ノズル9
図2に示されるように、発泡吐出ノズル9は、発泡性組成物の発泡を促進し、整泡してきめ細かな泡にして吐出するための吐出部材であり、吐出容器の上端に取り付けて使用される。発泡吐出ノズル9は、使用者によって操作されることにより、ステム6を作動させることができ、これにより吐出操作が行われる。発泡吐出ノズル9は、本体部91と、発泡性組成物が吐出される吐出孔92eが形成されたノズル部92とからなる。なお、本体部91とノズル部92とは、一体化された部材であってもよく、別々の部材であってもよい。
【0088】
・本体部91
本体部91は、使用者によって操作される部位であり、ステム6の上端に取り付けられる。本体部91は、吐出容器1から取り込まれた発泡性組成物が、ノズル部92に向かって通過する第1通路91aが形成されている。
【0089】
第1通路91aの断面形状は、略L字状である。第1通路91aは、ステム内通路61と連通する基端部側通路91b、基端部側通路91bと直交する方向に曲がった先端側通路91cとからなる。
【0090】
先端側通路91cの径d1は、後述する絞り部92bにおける第2通路の径d2よりも大きければよい。一例を挙げると、先端側通路91cの径は、1~5mmである。
【0091】
・ノズル部92
ノズル部92は、略円筒状の部位であり、発泡性組成物の発泡を促進し、整泡してきめ細かな泡にして吐出するための部位である。ノズル部92は、第1通路91aの先端側通路91cと連通する第2通路92aが形成されている。また、ノズル部92は、絞り部92bと、テーパ部92cと、吐出孔92eが形成された円筒部92dとを有する。第2通路92aは絞り部92b、テーパ部92c、円筒部92dにおける各内部通路から構成されている。第2通路92aの径d2は、絞り部92bにおける内部通路の径であり、第2通路92a全体において最も小さい径である。吐出孔92eからは、発泡状態の発泡性組成物が吐出される。なお、本実施形態において、円筒部92dは好適に設けられる部位であり、必須ではない。
【0092】
吐出孔92eの形状は、略円形状、略角形状等であってもよい。
【0093】
ノズル部92の長さは特に限定されない。一例を挙げると、ノズル部92の長さは、20mm以上であることが好ましく、25mm以上であることがより好ましい。また、ノズル部92の長さは、100mm以下であることが好ましく、90mm以下であることがより好ましい。ノズル部92の長さが上記範囲内であることにより、発泡吐出ノズル9は、発泡性組成物の発泡を調整しやすい。
【0094】
絞り部92bは、第1通路から導出された発泡性組成物を圧縮し、圧縮ガスを微細化し、吐出物中に細かく分散させるための部位である。
【0095】
絞り部92bにおける第2通路の径d2は、第1通路91a(先端側通路91c)の径d1よりも小さければよい。一例を挙げると、絞り部92bにおける第2通路の径d2は、0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましい。また、絞り部92bにおける第2通路の径d2は、3mm以下であることが好ましく、2.5mm以下であることがより好ましい。絞り部92bにおける第2通路の径d2が上記範囲内であることにより、発泡吐出ノズルは、圧縮ガスを微細化しやすく、細かく分散させやすい。
【0096】
絞り部92bにおける第2通路の径d2と、第1通路91a(先端側通路91c)の径d1との比(d2/d1)は、0.1~0.8であることが好ましく、0.2~0.7であることがより好ましい。絞り部92bにおける第2通路の径と、第1通路91a(先端側通路91c)の径との比が上記範囲内であることにより、発泡吐出ノズルは、絞り部92bにおいて、第1通路から導出された発泡性組成物を圧縮し、圧縮ガスを微細化しやすく、細かく分散させやすい。その結果、吐出される発泡性組成物は、よりきめ細かな泡状の吐出物が得られやすい。
【0097】
絞り部92bの長さは特に限定されない。一例を挙げると、絞り部92bの長さは、7~30mmである。絞り部92bの長さが上記範囲内であることにより、発泡吐出ノズルは、第1通路から導出された発泡性組成物を圧縮し、圧縮ガスを微細化しやすく、細かく分散させやすい。
【0098】
テーパ部92cは、絞り部92bを通過した発泡性組成物を、テーパ部92cにおける第2通路の内壁に沿って、吐出孔92eに向かって進行させることにより、発泡性組成物の圧縮をゆるやかに解除し、吐出の勢いを調整し、かつ、発泡性を調整するための部位である。
【0099】
テーパ部92cにおける第2通路の径は、絞り部92bにおける第2通路の径から、後述する円筒部92dにおける第2通路の径となるようテーパ状に拡径されている。
【0100】
テーパ部92cの長さは特に限定されない。一例を挙げると、テーパ部92cの長さは、10~50mmである。テーパ部92cの長さが上記範囲内であることにより、発泡吐出ノズルは、発泡性組成物の吐出の勢いを調整しやすく、かつ、発泡性を調整しやすい。
【0101】
円筒部92dは、発泡性組成物の発泡状態や吐出の勢いを調整するための部位である。
【0102】
円筒部92dにおける第2通路の径は、絞り部92bにおける第2通路の径よりも大きければよい。一例を挙げると、円筒部92dにおける第2通路の径は、4mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましい。また、円筒部92dにおける第2通路の径は、15mm以下であることが好ましく、12mm以下であることがより好ましい。円筒部92dにおける第2通路の径が上記範囲内であることにより、発泡吐出ノズルは、発泡性組成物の吐出量を調整しやすく、テーパ部までに形成した発泡性組成物を押し潰しにくい。
【0103】
円筒部92dの長さは特に限定されない。一例を挙げると、円筒部92dの長さは、0mmを超え、40mm以下である(なお、円筒部92dの長さが0である実施形態(すなわち円筒部92dが設けられていない実施形態)は、第2の実施形態として後述されている)。円筒部92dの長さが上記範囲内であることにより、発泡吐出ノズルは、発泡性組成物の発泡状態や吐出の勢いを調整しやすい。
【0104】
<吐出動作の説明>
次に、本実施形態の吐出製品を用いて発泡性組成物を吐出する場合の吐出動作について説明する。
【0105】
(吐出時の機序)
本実施形態の吐出製品は、発泡吐出ノズル9が押し下げられると、バルブ3のステム6が下方に押し下げられる。これにより、ステムラバー7が下方に撓み、ステム孔62が開放される。その結果、容器本体2内と外部とが連通する。容器本体2内と外部とが連通すると、気相部分を構成する圧縮ガスの圧力と、大気圧との圧力差にしたがって、原液の液面が下方に加圧される。この際、気相部分を構成する圧縮ガスは、気相導入孔P1から第1のチューブ部材41内に導入され、第1のチューブ部材41内および連結部材43の内部管路43rを通過し、第2のチューブ部材42の混合室42mに向かう。一方、加圧された原液は、連結部材43の液相導入孔P2から連結部材43の内部管路43rに導入され、内部管路43rを通過し、第2のチューブ部材42の混合室42mに向かう。
【0106】
圧縮ガスおよび原液は、混合室42m内に導入され、自動的に混合されて、ハウジング5に向かう。また、圧縮ガスと原液が混合室42m内をハウジング5側に流れる際に、混合室から流路抵抗を受けて流速が制限されて、原液と圧縮ガスが混合されやすく、また外部との圧力差により圧縮ガスが膨張して発泡しやすく、安定したきめ細かな泡を形成する。
【0107】
ハウジング5に導入された、圧縮ガスと原液との混合物は、次いで、ステム孔62、ステム内通路61を通過し、発泡吐出ノズル9に送られる。発泡吐出ノズル9に取り込まれた発泡性組成物は、絞り部92bにおいて、発泡性組成物が流路抵抗を受けて圧縮され、圧縮ガスが微細化され、テーパ部92cにおいて、流路抵抗が小さくなって圧縮されていた圧縮ガスが徐々に膨脹し、発泡が促進される。また、テーパ部92cでは、第2通路の径がテーパ状に拡径されているため、発泡性組成物は、吐出の勢いが調整され、円筒部92dの吐出孔92eからきめ細かな泡状で吐出される。
【0108】
本実施形態の発泡性組成物は、混合室42m内において原液と圧縮ガスとが混合されているものを、発泡吐出ノズルでより発泡を促進し、整泡する。その結果、得られる吐出物は、液化ガスを用いることが必須でないにもかかわらず、きめ細かな泡状となる。なお、本実施形態の吐出製品は、吐出する前に振って容器内で発泡させなくても、本実施形態の発泡吐出ノズルを使用することにより、原液と圧縮ガスの発泡が促進されて、きめ細かい泡を吐出することができる。そのため、本実施形態の吐出製品は、吐出する前に容器を振る必要がなく、たとえば、洗顔フォーム、手指洗浄フォーム、シャンプーなどの据え置き型の吐出製品として好適に使用することができる。
【0109】
(非吐出時の機序)
発泡吐出ノズル9の押し下げが終わると、ステムラバー7の撓みが解消され、再び、ステム孔62が閉止される。その結果、容器本体2と外部とは、再び遮断され、発泡性組成物の吐出が終わる。
【0110】
なお、本実施形態の吐出製品の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、吐出製品は、原液を容器本体2に充填し、バルブ3を取り付けて容器本体2を閉止し、次いで、圧縮ガスを充填し、ステムに発泡吐出ノズルを取付けることにより製造することができる。
【0111】
以上、本実施形態によれば、簡易な構成であるにもかかわらず、発泡吐出ノズルの絞り部92bにおいて、発泡性組成物中の圧縮ガスが微細化され、細かく分散する。このような分散した圧縮ガスを含む発泡性組成物は、テーパ部92cにおいて、発泡が促進され、きめ細かな泡状の吐出物が得られやすい。
【0112】
[第2の実施形態]
本発明の一実施形態(第2の実施形態)の発泡吐出ノズルは、円筒部が設けられておらず、長尺のテーパ部が設けられている以外は、第1の実施形態の発泡吐出ノズル(
図1~
図2参照)と同様である。そのため、本実施形態の発泡吐出ノズル(およびこれを用いた発泡吐出製品)の説明において、第1の実施形態と重複する説明は、適宜省略される。
【0113】
図3は、本実施形態の発泡吐出ノズル9aを説明するための模式的な断面図である。発泡吐出ノズル9aは、本体部91と、発泡性組成物が吐出される吐出孔92eが形成されたノズル部93とからなる。なお、本体部91とノズル部93とは、一体化された部材であってもよく、別々の部材であってもよい。
【0114】
・ノズル部93
ノズル部93は、略円筒状の部位であり、発泡性組成物の発泡を促進し、整泡してきめ細かな泡にして吐出するための部位である。ノズル部93は、第1通路91aの先端側通路91cと連通する第2通路92aが形成されている。また、ノズル部93は、絞り部92bと、吐出孔92eが形成されたテーパ部93aとを有する。
【0115】
テーパ部93aは、絞り部92bを通過した発泡性組成物を、テーパ部93aにおける第2通路の内壁に沿って、吐出孔92eに向かって進行させることにより、発泡性組成物の圧縮をゆるやかに解除し、吐出の勢いを調整し、かつ、発泡性を調整するための部位である。
【0116】
テーパ部93aにおける第2通路の径は、絞り部92bにおける第2通路の径から、吐出孔92eの径となるようテーパ状に拡径されている。
【0117】
テーパ部93aの長さは特に限定されない。一例を挙げると、テーパ部93aの長さは、10~90mmである。テーパ部93aの長さが上記範囲内であることにより、発泡吐出ノズルは、発泡性組成物の吐出の勢いを調整しやすく、かつ、発泡性を調整しやすい。
【0118】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明した。本発明の発泡吐出ノズルは、たとえば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0119】
(1)上記実施形態では、テーパ部は、テーパ部における第2通路の径が、テーパ状に拡径されている態様について例示した。これに代えて、テーパ部における第2通路の径は、所定のテーパ比に基づいて拡径されなくてもよい。すなわち、テーパ比は、たとえば、吐出孔に向かって徐々にテーパ比が大きくなるか、または、小さくなるよう設定されてもよい。
【0120】
(2)上記実施形態では、テーパ部は、テーパ部における第2通路の径が、連続してテーパ状に拡径されている態様について例示した。これに代えて、テーパ部における第2通路の径は、円筒部や吐出孔に向かって段階的に拡径された複数の領域を含んでもよい。このように段階的に拡径された複数の領域が設けられた態様もまた、本発明のテーパ部に含まれ得る。
【実施例0121】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0122】
(実施例1~4、8~11)
アルミニウム製容器本体(容器本体2(
図1参照)、胴部の外径がφ45、高さ140mm、満注量200mL)に以下の処方の原液50gを充填し、以下の表1に記載の仕様にしたがって、バルブ3を固着した。なお、原液の密度は1.05(g/mL、25℃)であった。ステム6から窒素ガスを充填して容器本体内の圧力を0.5MPa(25℃)にし、ステム6に発泡吐出ノズル9(
図2参照)を取り付けて吐出製品を製造した。それぞれの実施例において使用した発泡吐出ノズル9とバルブ3の各部位の寸法は、表1に示すとおりである。
【0123】
<原液>
ラウリルリン酸(*1) 15.0
ソルビト-ル 10.0
ジプロピレングリコール 10.0
コカミドプロピルベタイン(*2) 3.0
ラウレス-11カルボン酸(*3) 1.2
ポリクオタニウム-52/PEG-32/精製水(*4) 1.0
トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタン(*5) 0.5
メチルパラベン 0.1
精製水 59.2
合計 100.0(質量%)
*1:プライオリー B650D、花王(株)製
*2:レボン2000HG、三洋化成工業(株)製
*3:カオーアキポRLM100、花王(株)製
*4:ソフケアKG-301W、花王(株)製
*5:レオドールTW-IS399C、花王(株)製
【0124】
(実施例5、12)
アルミニウム製容器本体(容器本体2(
図1参照)、胴部の外径がφ45、高さ140mm、満注量200mL)に上記処方の原液50gを充填し、以下の表1に記載の仕様にしたがって、バルブ3を固着した。ステム6から窒素ガスを充填して容器本体内の圧力を0.5MPa(25℃)にし、ステム6に発泡吐出ノズル9(
図3参照)を取り付けて吐出製品を製造した。それぞれの実施例において使用した発泡吐出ノズル9とバルブ3の各部位の寸法は、表1に示すとおりである。
【0125】
(実施例6、13)
アルミニウム製容器本体(容器本体2(
図1参照)、胴部の外径がφ45、高さ140mm、満注量200mL)に上記処方の原液70gを充填し、以下の表1に記載の仕様にしたがって、バルブ3を固着した。ステム6から窒素ガスを充填して容器本体内の圧力を0.8MPa(25℃)にし、ステム6に発泡吐出ノズル9(
図2参照)を取り付けて吐出製品を製造した。それぞれの実施例において使用した発泡吐出ノズル9とバルブ3の各部位の寸法は、表1に示すとおりである。
【0126】
(実施例7、14)
アルミニウム製容器本体(容器本体2(
図1参照)、胴部の外径がφ45、高さ140mm、満注量200mL)に上記処方の原液100gを充填し、以下の表1に記載の仕様にしたがって、バルブ3を固着した。ステム6から窒素ガスを充填して容器本体内の圧力を1.5MPa(25℃)にし、ステム6に発泡吐出ノズル9(
図2参照)を取り付けて吐出製品を製造した。それぞれの実施例において使用した発泡吐出ノズル9とバルブ3の各部位の寸法は、表1に示すとおりである。
【0127】
(比較例1)
アルミニウム製容器本体(容器本体2(
図1参照)、胴部の外径がφ45、高さ140mm、満注量200mL)に上記処方の原液50gを充填し、以下の表1に記載の仕様にしたがって、バルブ3を固着した。ステム6から窒素ガスを充填して容器本体内の圧力を0.5MPa(25℃)にし、ステム6に、テーパ部の無いノズル10aを備えた発泡吐出ノズル10(
図4参照)を取り付けて吐出製品を製造した。
図4は、テーパ部の形成されていない発泡吐出ノズル10を説明するための模式的な断面図である。発泡吐出ノズル10は、本体部91と、絞り部10bと、絞り部10bに接続された円筒部10cとからなるノズル部10aを備える。比較例1において使用した発泡吐出ノズル10の各部位の寸法は、表1に示すとおりである。
【0128】
(比較例2)
アルミニウム製容器本体(容器本体2(
図1参照)、胴部の外径がφ45、高さ140mm、満注量200mL)に上記処方の原液50gを充填し、以下の表1に記載の仕様にしたがって、バルブ3を固着した。ステム6から窒素ガスを充填して容器本体内の圧力を0.5MPa(25℃)にし、ステム6に発泡吐出ノズル11(
図5参照)を取り付けて吐出製品を製造した。
図5は、絞り部の形成されていない発泡吐出ノズル11を説明するための模式的な断面図である。発泡性ノズル11は、絞り部が形成されておらず、直線部11bと、テーパ部11cと、円筒部11dとが設けられたノズル部11aを備える。本体部91の先端側通路91cと、直線部11bとの内径は同程度である。すなわち、直線部11bの内径は、先端側通路91cの内径に対して狭められていない。比較例2において使用した発泡吐出ノズル11とバルブ3の各部位の寸法は、表1に示すとおりである。なお、表1において、直線部11bの寸法は、「絞り部」の欄に記載されている。
【0129】
【0130】
実施例1~14および比較例1~2の吐出製品について、以下の評価方法により、吐出状態を評価した。
【0131】
(吐出状態)
吐出製品を25℃に調整し、吐出製品を振らずに満注量25mLのカップに吐出して泡で満たし、泡の重量を測定して泡密度(g/mL)を算出し、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
◎:泡密度は、0.10(g/mL)未満であり、非常にきめ細かな泡を形成した。
○:泡密度は、0.10~0.15(g/mL)であり、きめ細かな泡を形成した。
×:泡密度は、0.16(g/mL)以上であり、きめ細かな泡を形成できなかった。
【0132】
表1に示されるように、本発明の実施例1~14の吐出製品は、きめ細かな泡を形成した。一方、テーパ部のない比較例1の吐出製品は、きめ細かな泡を形成できず勢いが強かった。絞り部のない比較例2の吐出製品は、きめ細かな泡を形成できなかった。