(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146396
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20220928BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B65D83/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047328
(22)【出願日】2021-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595060487
【氏名又は名称】有限会社ユーワ商事
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】西倉 英生
(72)【発明者】
【氏名】田中 勉
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB04
3E014PD13
3E014PE02
3E014PF10
3E084AB01
3E084BA02
3E084FB01
3E084KA05
3E084KB05
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】収容している液体の吐出不良を抑制できる吐出容器の提供。
【解決手段】液体を収容する容器本体2と、ポンプユニット3と、ポンプユニット3を配置する空間を有するカバー部材4とを備え、ポンプユニット3は、容器本体2内の液体を吸引する吸液動作と、吸引した液体を送り出す送液動作をとる送液機構30と、内部に送液機構30が配置され且つ内外に連通する内側通気孔310が形成されるケース部31と、送液機構30の送液動作で内側通気孔310を開き、送液機構30の吸液動作で内側通気孔310を閉じる内側開閉部とを有し、カバー部材4は、ケース部31との間にケース部31の内部につながる貯留空間Sを形成し、内外に連通する外側通気孔4010が形成されるカバー本体部40と、容器本体2内の圧力に応じて外側通気孔4010を開閉する外側開閉部41とを有する吐出容器1。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器本体と、
前記容器本体の口部に取り付けられたポンプユニットと、
前記容器本体内に配置され、且つ内部に前記ポンプユニットを配置可能な空間を有するカバー部材と、を備え、
前記ポンプユニットは、
前記容器本体内の液体を吸引する吸液動作と、前記容器本体内から吸引した液体を送り出す送液動作をとるように構成される送液機構と、
内部に前記送液機構が配置される空間を有するケース部であって、内外に連通する内側通気孔が形成されているケース部と、
前記送液機構の前記送液動作に伴って前記内側通気孔を開き、且つ前記送液機構の前記吸液動作に伴って前記内側通気孔を閉じる内側開閉部と、を有し、
前記カバー部材は、
前記容器本体の内部で前記ケース部を覆った状態で前記ケース部との間に前記内側通気孔を介して前記ケース部の内部につながる貯留空間を形成するように構成されるカバー本体部であって、前記貯留空間と前記容器本体の内部とに連通する外側通気孔が形成されているカバー本体部と、
前記容器本体の内圧が前記貯留空間の内圧よりも低い状態で前記外側通気孔を開き、前記容器本体の内圧が前記貯留空間の内圧以上の状態で前記外側通気孔を閉じる外側開閉部と、を有する、
吐出容器。
【請求項2】
前記ケース部は、
前記容器本体の前記口部側に配置される一端と、
前記容器本体の底部側に配置される他端と、を有し、
前記カバー本体部は、
前記容器本体の前記口部側に配置される一端と、
前記容器本体の底部側に配置される他端と、を有し、
前記内側通気孔は、前記ケース部の前記一端側に形成され、
前記外側通気孔は、前記カバー本体部の前記他端側に形成される、
請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記内側開閉部は、
前記ケース部の内周面に密接した状態で前記送液機構の前記送液動作時に前記ケース部の前記一端側から前記ケース部の前記他端側に向かう方向に移動し、前記送液機構の前記吸液動作時に前記ケース部の前記他端側から前記ケース部の前記一端側に向かう方向に移動するように構成され、
前記ケース部の前記他端側から前記ケース部の前記一端側に向かう方向での移動により前記内側通気孔を覆う閉位置に配置され、
前記一端側から前記ケース部の前記他端側に向かう方向での移動により前記閉位置から退避するように構成される、
請求項2に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容している液体を吐出するポンプを備える吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の吐出容器9として、
図11に示すような、液体を収容する容器体90と、容器体90の口部に取り付けられたポンプ付きのポンプヘッド91と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ポンプ付きのポンプヘッド91は、容器体90内に配置された状態で口部に固定される筒状のシリンダー部材910と、シリンダー部材910内に立設されている棒部材9110、筒状であり且つ棒部材9110に対して往復動可能となるように外嵌される液路管9111を押し上げる方向に付勢する復帰ばね9112を有するポンプ911と、液路管9111に固定された状態でシリンダー部材910内に配置されているピストン912と、使用者によって押下操作される押下げヘッド913であって、液路管9111やピストン912が固定されている押下げヘッド913と、を有する。
【0004】
上記構成の吐出容器9では、使用者が押下げヘッド913を押下操作すると、液路管9111とピストン912が下方側に移動する。液路管9111が下方側に移動すると液路管9111内に棒部材9110が侵入することによって液路管9111の容積が狭まり、液路管9111内の液体が液路管9111外に送り出される(
図12参照)。
【0005】
そして、使用者が押下げヘッド913から手を離すと、復帰ばね9112の付勢力により、液路管9111とピストン912が上方側に移動する。液路管9111が上方側に移動すると液路管9111内から棒部材9110が退避することによって液路管9111の容積が広がり、容器体90内の液体が液路管9111内に引き込まれる。
【0006】
また、容器体90に収容されている液体が液路管9111内に引き込まれるに伴って容器体90の内部が負圧状態になるが、シリンダー部材910に貫設されている吸気孔9100を通じて外部の空気が容器体90の内部に引き込まれるため、この負圧状態が解消されるようになっている。
【0007】
このようにして、上記構成の吐出容器9は、容器体90内に収容されている液体を吐出できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の吐出容器9は、上述のように、ポンプ911が容器体90に収容されている液体を吸引する際に吸気孔9100を通じて容器体90内に空気が引き込まれることによって容器体90内の負圧状態が解消されるように構成されているが、例えば、ポンプヘッド91を素早く連続的に押下操作すると、容器体90内に十分な量の空気が引き込まれる前に吸気孔9100が塞がれることがあり、この場合、ポンプヘッド91を押下操作する度に容器体90内の負圧状態が強まる。
【0010】
このような状態になると、液路管9111が上方側に移動しても容器体90内の液体がポンプ911内に引き込まれなくなり、液体の吐出不良につながることがあった。
【0011】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、収容している液体の吐出不良を抑制できる吐出容器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の吐出容器は、
液体を収容する容器本体と、
前記容器本体の口部に取り付けられたポンプユニットと、
前記容器本体内に配置され、且つ内部に前記ポンプユニットを配置可能な空間を有するカバー部材と、を備え、
前記ポンプユニットは、
前記容器本体内の液体を吸引する吸液動作と、前記容器本体内から吸引した液体を送り出す送液動作をとるように構成される送液機構と、
内部に前記送液機構が配置される空間を有するケース部であって、内外に連通する内側通気孔が形成されているケース部と、
前記送液機構の前記送液動作に伴って前記内側通気孔を開き、且つ前記送液機構の前記吸液動作に伴って前記内側通気孔を閉じる内側開閉部と、を有し、
前記カバー部材は、
前記容器本体の内部で前記ケース部を覆った状態で前記ケース部との間に前記内側通気孔を介して前記ケース部の内部につながる貯留空間を形成するように構成されるカバー本体部であって、前記貯留空間と前記容器本体の内部とに連通する外側通気孔が形成されているカバー本体部と、
前記容器本体の内圧が前記貯留空間の内圧よりも低い状態で前記外側通気孔を開き、前記容器本体の内圧が前記貯留空間の内圧以上の状態で前記外側通気孔を閉じる外側開閉部と、を有する。
【0013】
上記構成の吐出容器では、ポンプユニットの吸液動作時においては、内側開閉部が内側通気孔を開き、送液機構に液体が吸引された分だけ容器本体内が減圧される。そして、容器本体の内圧が前記貯留空間の内圧よりも低い状態になると外側開閉部が外側通気孔を開いた状態になり、内側通気孔、貯留空間、外側通気孔を通じて容器本体内に空気が引き込まれる。
【0014】
また、上記構成の吐出容器では、容器本体内の負圧状態が解消される前に内側通気孔への空気の流通が阻害された場合であっても、容器本体の内圧が前記貯留空間の内圧よりも低い状態であれば外側開閉部が外側通気孔を開いた状態になるため、貯留空間内の空気が外側通気孔を通じて容器本体内に引き込まれる。
【0015】
このように、上記構成の吐出容器では、送液機構が吸液動作をとる際に容器本体内に空気を十分に引き込むことができるため、内側通気孔への空気の流通が阻害された場合であっても容器本体内の負圧状態が強まり続けることを抑えることができ、これにより、容器本体に収容されている液体の吐出不良を抑制できるようになっている。
【0016】
本発明の吐出容器において、
前記ケース部は、
前記容器本体の前記口部側に配置される一端と、
前記容器本体の底部側に配置される他端と、を有し、
前記カバー本体部は、
前記容器本体の前記口部側に配置される一端と、
前記容器本体の底部側に配置される他端と、を有し、
前記内側通気孔は、前記ケース部の前記一端側に形成され、
前記外側通気孔は、前記カバー本体部の前記他端側に形成される、ようにしてもよい。
【0017】
上記構成の吐出容器によれば、内側通気孔と貯留空間と外側通気孔が内側通気孔に流入して容器本体内に向かう空気の流れに沿って順番に並ぶように配置されているため、内側通気孔に流れ込んだ空気が、内側通気孔から貯留空間、貯留空間から外側通気孔へと流れるよう整流される。
【0018】
従って、上記構成の吐出容器では、内側通気孔に流れ込んで容器本体内に向かう空気の流れが円滑になるため、容器本体内への空気の供給も円滑になる。
【0019】
本発明の吐出容器において、
前記内側開閉部は、
前記ケース部の内周面に密接した状態で前記送液機構の前記送液動作時に前記ケース部の前記一端側から前記ケース部の前記他端側に向かう方向に移動し、前記送液機構の前記吸液動作時に前記ケース部の前記他端側から前記ケース部の前記一端側に向かう方向に移動するように構成され、
前記ケース部の前記他端側から前記ケース部の前記一端側に向かう方向での移動により前記内側通気孔を覆う閉位置に配置され、
前記一端側から前記ケース部の前記他端側に向かう方向での移動により前記閉位置から退避するように構成される、ようにしてもよい。
【0020】
上記構成の吐出容器においても、送液機構が吸液動作をとる際に容器本体内に空気を十分に引き込むことができるため、容器本体内の負圧状態が強まり続けることを抑えることができ、これにより、容器本体に収容されている液体の吐出不良を抑制できるようになっている。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の吐出容器は、収容している液体の吐出不良を抑制できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る吐出容器の外観図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る吐出容器の分解図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る吐出容器の縦断面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る吐出容器のポンプユニットの拡大図である。
【
図5】
図5において、(a)は、送液機構の送液動作時に送気路が開かれている状態の説明図であり、(b)は、送液機構の吸液動作時に取込路が開かれている状態の説明図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る吐出容器の動作説明図であって、非操作状態の説明図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る吐出容器の動作説明図であって、操作状態の説明図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る吐出容器の動作説明図であって、使用者が押し込んだポンプヘッドから手を離した状態の説明図である。
【
図9】
図9は、本発明の別の実施形態に係る吐出容器の非操作状態の説明図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る吐出容器の操作状態の説明図である。
【
図11】
図11は、従来の吐出容器の説明図であって、収容されている液体を吐出する前の状態の説明図である。
【
図12】
図12は、従来の吐出容器の説明図であって、収容されている液体を吐出した後の状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態にかかる吐出容器について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0024】
吐出容器は、液体を収容する容器本体と、容器本体内の液体を吐出するためのポンプとを備えたものである。なお、本実施形態では、容器本体内の液体を泡状にして吐出するように構成された吐出容器を一例に挙げて以下の説明を行うこととする。
【0025】
本実施形態に係る吐出容器1は、
図1に示すように、液体を収容する容器本体2と、前記容器本体2の口部に取り付けられたポンプユニット3と、
図2、
図3に示すように、前記容器本体2内に配置され、且つ内部に前記ポンプユニット3を配置可能な空間を有するカバー部材4と、を備えている。
【0026】
なお、本実施形態の吐出容器1は、ポンプユニット3に被せるキャップCを備えているが(
図1参照)、キャップCを備えていないものであってもよい。
【0027】
容器本体2は、
図2に示すように、有底筒状の収容部20と、収容部20の一端に一体的に形成される筒状の口部21と、を有している。
【0028】
収容部20は、筒状の容器胴部200と、容器底部201とを有する。そして、口部21の外径は、容器胴部200の外径よりも小さくなっている。
【0029】
ポンプユニット3は、
図3に示すように、容器本体2内の液体を吸引する吸液動作と、容器本体2内から吸引した液体を送り出す送液動作をとるように構成される送液機構30と、内部に送液機構30が配置される空間を有するケース部31であって、内外に連通する内側通気孔310が形成されているケース部31と、送液機構30の送液動作に伴って、送液機構30に液体と混合するための空気を送る気液混合部32と、送液機構30から送り出された液体を外部に吐出するための流路が形成されているポンプヘッド33と、容器本体2の口部21に固定される固定具34と、を有する。
【0030】
送液機構30は、
図4に示すように、ケース部31内に固定される筒状の固定筒部300であって、軸線方向における一端部(下端部)に容器本体2内から吸引する液体を通過させる吸液口3000が形成されている固定筒部300と、筒状であり且つ固定筒部300にスライド可能に内嵌されている可動筒部301であって、軸線方向における一端部(上端部)にポンプヘッド33に向けて送り出す液体を通過させる送液口3010が形成されている可動筒部301と、可動筒部301を固定筒部300から進出する方向に向けて付勢する付勢手段302と、可動筒部301の外周面から外方(可動筒部301の径方向外方)に向かって突出する鍔部303と、前記吸液動作に伴って固定筒部300の吸液口3000を開き、前記送液動作に伴って固定筒部300の吸液口3000を閉じる吸引弁304と、前記吸液動作に伴って可動筒部301の送液口3010を閉じ、前記送液動作に伴って可動筒部301の送液口3010を開く送出弁305と、を有する。
【0031】
固定筒部300は、ケース部31と一体的に形成されている。そして、固定筒部300の軸線方向における他端部(上端部)には、可動筒部301を挿し込むための挿込口が形成されている。なお、本実施形態の固定筒部300の下端部には、管状の導管Tが取り付けられている。
【0032】
可動筒部301の軸線方向における他端部(下端部)には、固定筒部300の内部で開放する連通口が形成されている。そして、可動筒部301の送液口3010は、気液混合部32の後述する混合室321に連通するように構成されている。
【0033】
付勢手段302は、圧縮ばねであり、固定筒部300の内部と可動筒部301の内部とに亘って配置されている。
【0034】
鍔部303は、可動筒部301の上端部側に形成されている。また、本実施形態の鍔部303は、可動筒部301の外周面全周に亘って連続するように形成されている。
【0035】
吸引弁304は、固定筒部300の下端部内に配置されるボール3040と、固定筒部300の下端部内でのボール3040の動く範囲(固定筒部300の下端部側から上端部側に向って動く範囲)を制限するボール止め3041と、を有する。
【0036】
ボール3040は、送液機構30が送液動作をとっている状態においては、固定筒部300の下端部の内周面全周に亘って当接し、送液機構30が吸液動作をとっている状態においては、固定筒部300の下端部の内周面から離間した状態になるように構成されている。
【0037】
そして、ボール3040が固定筒部300の下端部の内周面全周に亘って当接すれば吸液口3000が閉じられ、ボール3040が固定筒部300の下端部の内周面から離れると吸液口3000が開かれるようになっている。
【0038】
また、送液機構30の吸液動作に伴ってボール3040が固定筒部300の下端部の内周面から離間する際、ボール3040は、固定筒部300の下端部側から上端部側に向かって動くが、これに対し、ボール止め3041は、固定筒部300の下端部側から上端部側に向かって動くボール3040を受け止めるように構成されている。
【0039】
送出弁305は、軸状であり、且つ可動筒部301内に挿通された状態で可動筒部301に対して相対的にスライドするように(可動筒部301の軸線方向において相対的にスライドするように)構成されている開閉軸部3050を有する。
【0040】
開閉軸部3050は、先端側(上端側)であるほど外径が太くなるように形成されている。そのため、開閉軸部3050に対して可動筒部301が下方側にスライドすると、開閉軸部3050が可動筒部301の上端部の内周面から離間し、開閉軸部3050に対して可動筒部301が上方側にスライドすると、開閉軸部3050が可動筒部301の上端部の内周面に当接した状態になる。
【0041】
送液機構30が送液動作をとる際、開閉軸部3050に対して可動筒部301が相対的に下方側にスライドするため、開閉軸部3050が可動筒部301の上端部の内周面から離れて送液口3010が開かれる。一方で、送液機構30が吸液動作をとる際、開閉軸部3050に対して可動筒部301が相対的に上方側にスライドするため、開閉軸部3050が可動筒部301の上端部の内周面に当接して送液口3010が閉じられる。
【0042】
ケース部31は、有底筒状であり、円筒状のケース胴部311と、容器底部201側に向けて配置されるケース底部312とを有する。
【0043】
内側通気孔310は、ケース胴部311の内外に連通するように形成されている。また、内側通気孔310は、ケース胴部311の上端部側(ケース底部312とは反対側)に形成されている。
【0044】
気液混合部32は、
図5(a)、
図5(b)に示すように、可動筒部301の外周面に固定されているベース部320と、送液機構30から送り出された液体と気体とを混合させるためのスペースを形成する混合室321と、ベース部320につながり、且つケース胴部311の内周面全周に亘って密接した状態で摺動可能なシール部322と、送液機構30の送液動作時において、ケース部31内でベース部320とシール部322とによって仕切られる2つの空間のうちの下方側の空間(以下、下側空間と称する)内の空気を混合室321に送るための送気構造323と、送液機構30の吸液動作時に、ケース部31内でベース部320とシール部322とによって仕切られる2つの空間のうちの上方側の空間(以下、上側空間と称する)から下側空間に空気を送るための取込構造324と、を有する。
【0045】
シール部322は、
図4に示すように、ベース部320を介して可動筒部301に固定されているため、ベース部320とシール部322は、可動筒部301と共にケース部31内で往復同(上下動)するように構成されている。
【0046】
また、シール部322は、送液機構30が送液動作を取る前の状態(非操作状態)である時は、ケース部31内の上端部側に配置されており、ケース部31の内側から内側通気孔310を覆った状態(塞いだ状態)になる。
【0047】
一方で、シール部322は、送液機構30が送液動作を取り始めると(操作状態に移ると)、ケース部31内の上端部側から下端部側に移動するため、内側通気孔310に対応する位置から退避した状態(内側通気孔310を開いた状態)になる。
【0048】
このように、本実施形態では、シール部322が、送液機構30の送液動作に伴って内側通気孔310を開き、且つ送液機構30の吸液動作に伴って内側通気孔310を閉じる内側開閉部を構成している。
【0049】
混合室321は、送液機構30が送液動作を取る際に送液口3010を介して可動筒部301の内部に連通し、送液機構30が送液動作の後に吸液動作が完了した状態(非操作状態)になると、可動筒部301の内部との連通状態が遮断されるように構成されている。
【0050】
送気構造323は、
図5(a)、
図5(b)に示すように、下側空間と混合室321とに連通する送気路3230と、送液機構30の送液動作時に送気路3230を開き、且つ送液機構30の吸液動作時に送気路3230を閉じる送気弁3231と、を有する。
【0051】
取込構造324は、上側空間と下側空間とに連通する取込路3240と、送液機構30の送液動作時に取込路3240を閉じ、且つ送液機構30の吸液動作時に取込路3240を開く取込弁3241と、を有する(
図5(b)参照)。
【0052】
カバー部材4は、
図4に示すように、容器本体2の内部でケース部31を覆った状態でケース部31との間に内側通気孔310を介してケース部31の内部につながる貯留空間Sを形成するように構成されるカバー本体部40であって、貯留空間
Sと容器本体2の内部とに連通する外側通気孔4010が形成されているカバー本体部40と、容器本体2の内圧が貯留空間Sの内圧よりも低い状態になると外側通気孔4010を開き、容器本体2の内圧が貯留空間Sの内圧以上の状態になると外側通気孔4010を閉じる外側開閉部41と、を有する。
【0053】
カバー本体部40は、筒状のカバー胴部400と、容器本体2の容器底部201側に向けて配置されるカバー底部401と、を有しており、外側通気孔4010は、カバー底部401に形成されている。なお、本実施形態のカバー底部401の外面は平らに形成されている。
【0054】
外側開閉部41は、カバー底部401に固定される固定部410と、固定部410につながり且つ可撓性を有する外側通気弁411であって、容器本体2内の圧力状態に応じて外側通気孔4010をカバー底部401の外面側から覆った状態(塞いだ状態)と、開放した状態とに切り替わる外側通気弁411と、を有する。
【0055】
外側通気弁411は、容器本体2の内圧が前記貯留空間Sの内圧よりも低い状態になるとカバー底部401の外面から離れて外側通気孔4010を開放し、容器本体2内の負圧状態が解消されるとカバー底部401の外面側から覆うことによって外側通気孔4010を塞ぐように構成されている。
【0056】
ポンプヘッド33は、混合室321で気体と混ぜ合わされた状態の液体を流通させる吐出路330と、吐出路330内に設置されている泡化手段331であって、気体と混ぜ合わされた状態の液体を泡状にする泡化手段331とを備えている。なお、本実施形態のポンプヘッド33は、2つの泡化手段331を有しているが、泡化手段331の数は2つでなくてもよい。
【0057】
また、ポンプヘッド33は、容器本体2に対して押込操作可能であり、押込操作が解除されると付勢手段302の付勢力を間接的に受けて、上方(元の位置)に復帰するように構成されている。
【0058】
固定具34は、口部21に対して送液機構30、ケース部31、気液混合部32、ポンプヘッド33を固定するように構成されており、本実施形態では、口部21に固定(螺合させるように構成されている)
【0059】
本実施形態に係る吐出容器1の構成は、以上の通りである。続いて、吐出容器1の使用方法を説明する。
【0060】
図6には、使用者に操作されていない非操作状態の吐出容器1を図示している。この非操作状態の吐出容器1に対して使用者がポンプヘッド33を押し込んだ後に手離すことにより、送液機構30が送液動作と吸液動作を順番にとる操作状態に遷移する。
【0061】
なお、吐出容器1が一度も操作状態に遷移していない状態においては、可動筒部301と固定筒部300の中に液体が充填されていないが、使用者がポンプヘッド33を押し込んだ後に手離す操作を繰り返し行うことにより、可動筒部301と固定筒部300の中に液体が吸引されるようになっている。
【0062】
より具体的に説明する。
図7に示すように、非操作状態の吐出容器1に対して、使用者がポンプヘッド33を押し込むと、ポンプヘッド33が下方側に沈むとともに、可動筒部301と気液混合部32がケース部31内でケース底部312側に移動する。
【0063】
可動筒部301が固定筒部300内に侵入すると、可動筒部301と固定筒部300の内部の容積が狭まる。このとき、送液口3010が開かれ且つ吸液口3000が閉じられた状態になるため、可動筒部301と固定筒部300の内部に充填されている液体は、送液口3010を通じて混合室321に送り出される。このようにして、送液機構30が送液動作をとるようになっている。
【0064】
また、気液混合部32は、ケース部31の上端部側から下端部側に移動する際、取込弁3241が取込路3240を閉じ、送気弁3231が送気路3230を開いた状態になるため、下側空間内の空気が送気路3230を通じて混合室321に送り出される。
【0065】
そして、混合室321内で液体と空気とが混合され、混合室321内で空気が混合された液体は、泡化手段331を通過することで液状から泡状に変化し、ポンプヘッド33から外部に吐出される。
【0066】
続いて、使用者が押し込んでいるポンプヘッド33から手を離すと、
図8に示すように、可動筒部301が付勢手段302の付勢力によって固定筒部300に対して進出する方向(ケース部31内においてケース底部312から離れる方向)に向かって移動し、送液機構30が吸液動作をとる。
【0067】
可動筒部301が固定筒部300内から進出すると、可動筒部301と固定筒部300の内部の容積が広がる。このとき、送液口3010が閉じられ且つ吸液口3000が開かれた状態になるため、可動筒部301と固定筒部300の内部に液体が引き込まれる。
【0068】
また、気液混合部32は、ケース部31の下端部側から上端部側に移動する際、取込弁3241が取込路3240を開き、送気弁3231が送気路3230を閉じた状態になるため、上側空間内の空気が取込路3230を通じて下側空間に取り込まれる。
【0069】
容器本体2は、収容している液体が送液機構30に吸引される分、内部の圧力が下がり、容器本体2の内圧が前記貯留空間Sの内圧よりも低い状態になると、外側開閉弁部41が外側通気孔4010を開いた状態になり、外部の空気が内側通気孔310、貯留空間S、外側通気孔4010を通り、容器本体2の内部に引き込まれる。これにより、容器本体2の内部の負圧状態が解消される。
【0070】
また、容器本体2の内部の負圧状態が解消されないまま、内側通気孔310への空気の流れが阻害された場合(例えば、容器本体2の内部の負圧状態が解消される前に内側通気孔310がシール部322によって塞がれてしまった場合等)であっても、容器本体2の内圧が前記貯留空間Sの内圧よりも低い状態であると外側開閉弁部41が外側通気孔4010を開いた状態になるため、貯留空間S内の空気が外側通気孔4010を通って容器本体2の内部に引き込まれ、これにより、容器本体2の内部の負圧状態が解消されるようになっている。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る吐出容器1によれば、ポンプユニット3の吸液動作時においては、内側開閉部が内側通気孔310を開き、送液機構30に液体が吸引された分だけ容器本体2内が減圧される。そして、容器本体2の内圧が前記貯留空間Sの内圧よりも低い状態になると外側開閉部41が外側通気孔4010を開いた状態になり、内側通気孔310、貯留空間S、外側通気孔4010を通じて容器本体2内に空気が引き込まれることによって容器本体2内の負圧状態が解消される。
【0072】
また、吐出容器1では、容器本体2内の負圧状態が解消される前に内側通気孔310への空気の流通が阻害された場合であっても、容器本体2の内圧が前記貯留空間Sの内圧よりも低い状態であれば外側開閉部41が外側通気孔4010を開いた状態になるため、貯留空間S内の空気が外側通気孔4010を通じて容器本体2内に引き込まれる。
【0073】
このように、上記構成の吐出容器1では、送液機構30が吸液動作をとる際に容器本体2内に空気を十分に引き込むことができるため、容器本体2内の負圧状態が強まり続けることを抑えることができ、これにより、容器本体2に収容されている液体の吐出不良を抑制できるようになっている。
【0074】
また、吐出容器1は、内側通気孔310と貯留空間Sと外側通気孔4010が内側通気孔310に流入して容器本体2内に向かう空気の流れに沿って順番に並ぶように配置されているため、内側通気孔310に流れ込んだ空気が、内側通気孔310から貯留空間S、貯留空間Sから外側通気孔4010へと流れるよう整流される。
【0075】
従って、上記構成の吐出容器1では、内側通気孔310に流れ込んで容器本体2内に向かう空気の流れが円滑になるため、容器本体2への空気の供給も円滑になる。
【0076】
また、本実施形態では、カバー底部401の外面を平らに形成し、このカバー底部401の平らな外面を外側通気弁411で覆うことによって外側通気孔4010を塞いでいるため、カバー底部401の外面と外側通気弁411との間に隙間が生じにくくなり、シール性が高くなるとともに、容器本体2に収容している液体の蒸散も抑制される。
【0077】
また、吐出容器1は小型のもの(小容量のもの)であるほどカバー部材4のサイズも小さくなるため、カバー胴部400の外周面の曲率が大きくなるが、カバー底部401の外面は平らなままであるため、サイズによらずカバー底部401の外面と外側通気弁411との間のシール性を確保しやすい構造となっている。
【0078】
さらに、本実施形態では、ケース部31と容器本体2内を隔てるようにしてカバー本体部40を設けたうえで、外側通気孔4010を外側通気弁411で開閉するように構成されているため、吐出容器1を正立位置(容器底部201を下方側に配置し、口部21を上方側に配置した姿勢)ではなく、吐出容器1を水平位置(容器底部201と口部21を横向きに配置した姿勢)で使用した場合であっても、容器本体2内の液体が内側通気孔310に到達して液漏れが生じてしまうことや、ケース部31内に容器本体2内の液体が入り込んでしまうことにより、混合室321内での空気と液体の混合比率が変わってしまうことも防止される。
【0079】
なお、本発明に係る吐出容器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0080】
上記実施形態では、容器本体2に収容されている液体を泡状にして吐出する態様の吐出容器1について説明をしたが、例えば、吐出容器1は、
図9、
図10に示すように、液体を泡状にする構造を有しておらず、液状のまま吐出するものであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…吐出容器、2…容器本体、3…ポンプユニット、4…カバー部材、6…実開平、20…収容部、21…口部、30…送液機構、31…ケース部、32…気液混合部、33…ポンプヘッド、34…固定具、40…カバー本体部、41…外側開閉部、200…容器胴部、201…容器底部、300…固定筒部、301…可動筒部、302…付勢手段、303…鍔部、304…吸引弁、305…送出弁、310…内側通気孔、311…ケース胴部、312…ケース底部、320…ベース部、321…混合室、322…シール部、323…送気構造、324…取込構造、330…吐出路、331…泡化手段、401…カバー底部、410…固定部、411…外側通気弁、3000…吸液口、3010…送液口、3040…ボール、3050…開閉軸部、3230…送気路、3231…送気弁、3240…取込路、3241…取込弁、4010…外側通気孔、C…キャップ、S…貯留空間