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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146473
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】仮設手摺取付金具
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20220928BHJP
   E04G 7/22 20060101ALI20220928BHJP
   E04G 5/14 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
E04F11/18
E04G7/22 B
E04G5/14
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047452
(22)【出願日】2021-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517263446
【氏名又は名称】三恭工業有限会社
(71)【出願人】
【識別番号】519013825
【氏名又は名称】ソルマーニ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直之
(72)【発明者】
【氏名】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】進 正英
(72)【発明者】
【氏名】作田 友司
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301FF05
2E301JJ08
2E301JJ09
2E301LL19
(57)【要約】
【課題】作業の邪魔になりにくく、仮設手摺の取付作業を容易にし、取付対象にキズを付けにくい取付金具を提供する。
【解決手段】取付金具1は、施工中の鉄骨階段91の施工現場で、ササラ桁95に仮設手摺3を取付けるための金具であって、仮設手摺3を保持する金具本体31と、金具本体31に設けられ鉄骨階段内側に配置される固定狭持部38と、鉄骨階段外側に配置され固定狭持部38との間に挿入されたササラ桁95の板厚方向に移動し、固定狭持部38との間にササラ桁95を狭持する狭持コマ37と、鉄骨階段外側に配置され金具本体31に鉛直に螺合され頭を上方に露出したボルト41と、鉄骨階段外側に配置されボルト41の軸方向移動を狭持コマ37の移動に変換する楔コマ39と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工中の構造物の一部位である所定の板状部位と、当該板状部位に取付けられる仮設手摺と、によって、第1領域と第2領域とが仕切られる前記構造物の施工現場で、前記板状部位に前記仮設手摺を取付けるための仮設手摺取付金具であって、
前記仮設手摺を保持する金具本体と、
前記金具本体に設けられ前記第1領域に配置される第1狭持部と、
前記金具本体に設けられ前記第2領域に配置され、前記第1狭持部との間に挿入された前記板状部位の板厚方向に移動し、前記第1狭持部との間に前記板状部位を狭持する第2狭持部と、
前記第2領域に配置され、前記金具本体からの前記仮設手摺の延出方向に平行な姿勢で前記金具本体に取付けられ、前記金具本体から前記延出方向に露出しユーザ操作を受け付ける操作受付部を有し、前記操作受付部の操作に応じて自軸方向に移動可能な可動軸部と、
前記第2領域に配置され、前記可動軸部の移動を前記第2狭持部の移動に変換する変換機構と、を備える仮設手摺取付金具。
【請求項2】
前記可動軸部は、
前記金具本体に螺合されるとともに前記操作受付部としての頭を含むボルトを有し、
前記変換機構は、
前記第2狭持部に摺動する楔面を含み前記可動軸部に伴って前記自軸方向に移動しながら前記楔面を介して前記第2狭持部を前記板厚方向に押す楔部材を有する、
請求項1に記載の仮設手摺取付金具。
【請求項3】
前記構造物は鉄骨階段であり、前記板状部位は前記鉄骨階段のササラ桁であり、前記第1領域は前記鉄骨階段の内側の領域であり、前記第2領域は前記鉄骨階段の外側の領域である、請求項1又は2に記載の仮設手摺取付金具。
【請求項4】
前記第1領域側の部位の下端部が、前記第2領域側の部位の下端部よりも高い位置に配置される、請求項3に記載の仮設手摺取付金具。
【請求項5】
前記金具本体は、前記仮設手摺の支柱を回転可能に保持する保持部を有する、請求項3又は4に記載の仮設手摺取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設手摺取付金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の仮設手摺取付金具として下記特許文献1,2に記載のものがある。特許文献1の取付金具は、施工中の鉄骨階段の踊り場に仮設手摺を取付けるためのものであり、仮設手摺が固定され鉄骨階段のササラ桁を挟むコ字状のクランプ金具と、クランプ金具のうち上記鉄骨階段の外側に位置する長い片に取付けられ、鉄骨階段の外側に向けて頭を突出させたボルトと、を備えている。そして、上記ボルトを締め付けてクランプ金具がササラ桁に固定されることで、当該ササラ桁に仮設手摺が取付けられる。
【0003】
特許文献2の取付金具は、梁のフランジ部に仮設用通路の仮設手摺を取付けるためのものであり、梁のフランジ部を上下に挟むコ字状金具と、フランジ部上面と当該コ字状金具の上片との間に挿入される楔部材と、を備えている。そして、コ字状金具に取付けられたボルトの回転により、楔部材がフランジ部上面の面内方向に移動しながら、コ字状金具の上片に設けられたテーパ面の作用により楔部材がフランジ部上面に向けて押圧される。その結果、楔部材を介してコ字状金具がフランジ部に固定され、当該フランジ部に仮設手摺が取付けられた状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6-87554号公報
【特許文献2】実開平6-73242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の取付金具では、ボルトが鉄骨階段の外側に位置するとともに当該鉄骨階段の外側に向けて突出している。これにより、ボルトが鉄骨階段の内側での作業の邪魔になりにくいという利点はあるが、仮設手摺の取付作業時において鉄骨階段上からのボルトの締め付け操作が困難である。また、特許文献2の取付金具では、仮設手摺の取付時において、楔部材がフランジ部上面を面内方向に摺動しながら当該フランジ部上面に押し付けられるので、フランジ部上面にキズが付きやすいと考えられる。そしてフランジ上面に付いたキズは錆の原因にもなり得る。
【0006】
このような問題に鑑み、本発明は、作業の邪魔になりにくく、仮設手摺の取付作業を容易にし、取付対象にキズを付けにくい取付金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の仮設手摺取付金具は、施工中の構造物の一部位である所定の板状部位と、当該板状部位に取付けられる仮設手摺と、によって、第1領域と第2領域とが仕切られる構造物の施工現場で、板状部位に仮設手摺を取付けるための仮設手摺取付金具であって、仮設手摺を保持する金具本体と、金具本体に設けられ第1領域に配置される第1狭持部と、金具本体に設けられ第2領域に配置され、第1狭持部との間に挿入された板状部位の板厚方向に移動し、第1狭持部との間に板状部位を狭持する第2狭持部と、第2領域に配置され、金具本体からの仮設手摺の延出方向に平行な姿勢で金具本体に取付けられ、金具本体から延出方向に露出しユーザ操作を受け付ける操作受付部を有し、操作受付部の操作に応じて自軸方向に移動可能な可動軸部と、第2領域に配置され、可動軸部の移動を第2狭持部の移動に変換する変換機構と、を備える。
【0008】
この仮設手摺取付金具によれば、第2狭持部、可動軸部及び変換機構といったような、取付金具の部位の多くが第2領域側に配置されるので、取付けられた取付金具が、第1領域で行われる作業の邪魔になりにくい。仮設手摺の設置の際には、可動軸部が第2領域側に配置されることから、施工作業者が第1領域に居る場合には、施工作業者は第2領域に手を延ばして可動軸部を操作することになる。しかし、可動軸部の操作受付部が金具本体からの仮設手摺の延出方向に露出しているので、比較的操作し易い。また、第2狭持部は、板状部位の板厚方向に移動しながら当該板状部位を狭持するので、板状部位の表面にキズが付きにくい。
【0009】
可動軸部は、金具本体に螺合されるとともに操作受付部としての頭を含むボルトを有し、変換機構は、第2狭持部に摺動する楔面を含み可動軸部に伴って自軸方向に移動しながら楔面を介して第2狭持部を板厚方向に押す楔部材を有する、こととしてもよい。
【0010】
構造物は鉄骨階段であり、板状部位は鉄骨階段のササラ桁であり、第1領域は鉄骨階段の内側の領域であり、第2領域は鉄骨階段の外側の領域である、こととしてもよい。また、第1領域側の部位の下端部が、第2領域側の部位の下端部よりも高い位置に配置される、こととしてもよい。この構成によれば、鉄骨階段の内側にコンクリート打設がされる場合に、取付金具のうち鉄骨階段の内側の領域に位置する部位が、コンクリート打設の邪魔になりにくい。
【0011】
金具本体は、仮設手摺の支柱を回転可能に保持する保持部を有する、こととしてもよい。この構成によれば、鉄骨階段の左右に仮設手摺が取付けられる場合において、鉄骨階段の右の仮設手摺用の取付金具と左の仮設手摺用の取付金具との装着の仕方を共通化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業の邪魔になりにくく、仮設手摺の取付作業を容易にし、取付対象にキズを付けにくい取付金具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の取付金具を用いた仮設手摺の取付け状態の一例を示す側面図である。
図2図1における取付金具の近傍を矢印II方向から見て拡大して示す正面図である。
図3】(a)は取付金具の斜視図であり、(b)は楔コマの斜視図、(c)は狭持コマの斜視図、(d)は楔コマを他の方向から見た斜視図である。
図4】(a),(b)は、内部部品の動きを説明する取付金具の断面図である。
図5】第2実施形態の取付金具を用いた仮設手摺の取付け状態の一例を示す側面図である。
図6】第2実施形態の取付金具を示す斜視図である。
図7】第2実施形態の取付金具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明に係る取付金具の第1実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態の取付金具1を用いた仮設手摺3の取付け状態の一例を示す側面図である。この例の仮設手摺3は施工中の鉄骨階段91で使用されるものである。この種の鉄骨階段は、工場で製作され現場に搬入されて取付けられる。このとき、鉄骨階段には未だ手摺が設けられていない場合が多く、この場合に仮設手摺が取付けられる。本実施形態の仮設手摺3は、施工中の鉄骨階段91の踊り場93に仮設されるものであり、踊り場93の縁を構成するササラ桁95の上端部に対して2つの取付金具1,1を介して下端の2箇所で固定される。
【0015】
仮設手摺3は、両端で鉛直に延びる一対の支柱部11A,11Bと、支柱部11A,11Bの上端同士を水平に接続する上桟部13と、支柱部11A,11Bの下端同士を水平に接続する下桟部15と、を備えている。更に仮設手摺3は、支柱部11A,11Bの中央部同士を水平に接続する中桟部17と、支柱部11A,11B同士の間の位置で上桟部13、中桟部17及び下桟部15を鉛直に連結する中支柱部19と、を備えている。仮設手摺3の上記の各支柱部及び各桟部は、丸パイプ材で構成されている。また、仮設手摺3は、当該仮設手摺3の下部を面的に塞ぐ幅木21を備えている。幅木21は、下桟部15の直上の位置において、仮設手摺3の10分の1程度の上下幅で、仮設手摺3の全長に亘る帯状に設けられている。
【0016】
上桟部13、下桟部15及び中桟部17は、それぞれ、水平方向に伸縮可能に構成されている。例えば、下桟部15は、図面上で左側に位置する外筒部15aと、図面上で右側に位置し外筒部15aの内側に挿入された内筒部15bと、を有し、テレスコピック式に伸縮可能である。上桟部13及び中桟部17も同様の構造により伸縮可能である。この構成により、両端の支柱部11A,11B同士が近接離間するように仮設手摺3が全体として水平方向に伸縮可能である。また、幅木21は、図面上で左側に位置する外枠部21a、と図面上で右側に位置し外枠部21aの内側に挿入された内板部21bと、で構成されている。外枠部21aは図面上で左側に位置する支柱部11Aに対しブラケット等を介して固定され、内板部21bは図面上で右側に位置する支柱部11Bに対しブラケット等を介して固定されている。この構成により、仮設手摺3の伸縮時には幅木21も一緒に伸縮し、幅木21は常に仮設手摺3の全長に亘って存在する。
【0017】
中桟部17には外筒部と内筒部とを締着する蝶ネジ22が設けられており、当該蝶ネジ22を締め付けることで仮設手摺3の長さを固定することができる。なお、この仮設手摺3を保持する2つの取付金具1のうち、一方は支柱部11Aに近い位置で外筒部15aに固定され、他方は支柱部11Aに近い位置で内筒部15bに固定される。この構成により、仮設手摺3の長さが変動しても、仮設手摺3は、常に長さ方向の両端に近い2箇所おいて取付金具1,1で保持される。
【0018】
続いて、取付金具1の詳細について説明する。図2は、図1における取付金具1の近傍を矢印II方向から見て拡大して示す正面図である。ササラ桁95(板状部位)は施工中の鉄骨階段91の一部位であり鉛直姿勢の平板状をなす。図2上でササラ桁95よりも右側の領域A1(第1領域)は鉄骨階段91の内側の領域であり、図2上でササラ桁95よりも左側の領域A2(第2領域)は鉄骨階段91の外部の領域である。鉄骨階段91の施工現場において、主に領域A1を往来する施工作業者が誤って外部の領域A2に逸脱しないようにするために、仮設手摺3は領域A1を外部の領域A2から仕切るように鉛直に配置される。以下では、領域A1を「作業者領域A1」、領域A2を「外部領域A2」と呼ぶ。
【0019】
図3(a)は取付金具1の斜視図であり、図3(b)~(d)は取付金具1の内部部品の斜視図であり、図4(a),(b)は、内部部品の動きを説明する取付金具1の断面図である。以下、取付金具1の説明において「上/下」、「左/右」の語を用いる場合には、図2の上下左右に対応させる。また、「鉛直/水平」の語を用いる場合には、図2に示されるように、ササラ桁95に取付けられた状態の取付金具1の鉛直/水平に対応させる。
【0020】
図2及び図3(a)に示されるように、取付金具1は、底板が無い中空筺状の金具本体31を備えている。金具本体31の正面板31aと背面板31bとは互いに同一形状をなしている。正面板31a及び背面板31bの上端部は金具本体31の上面板31cから上方に張出しており、この張出した上縁部分には仮設手摺3を載置するための手摺受け溝33,33がそれぞれ設けられている。手摺受け溝33は、正面板31a及び背面板31bの中央よりもやや右側の部位が半円状に切り欠かれることで形成されており、仮設手摺3の下桟部15が上方から嵌まり込むようになっている。このような一対の手摺受け溝33,33に対し、鉛直姿勢の仮設手摺3の下桟部15が嵌り込んで溶接されることで、仮設手摺3は鉛直姿勢で取付金具1に保持されている。
【0021】
金具本体31の正面板31aと背面板31bとの間に、上記の上面板31cと左側面板31dと右側面板31eとが挟まれて存在している。正面板31a及び背面板31bの左縁部は左側面板31dから僅かに左側に張出し、正面板31a及び背面板31bの右縁部は右側面板31eから僅かに左側に張出している。このような正面板31a、背面板31b、上面板31c、左側面板31d及び右側面板31eにより、5面が囲まれ底板が無い中空筺状の金具本体31が構成されている。
【0022】
正面板31a及び背面板31bには、ササラ桁95が挿入される桁挿入溝35が設けられている。この桁挿入溝35には、取付金具1の設置時において、鉛直姿勢のササラ桁95が鉛直下方から挿入される。桁挿入溝35は、正面板31a及び背面板31bの下縁から鉛直上方に向けて、正面板31a及び背面板31bの上下寸法の半分程度の深さで矩形に切り込まれて形成されている。桁挿入溝35の左右幅は、上記のようにササラ桁95を挿入させるために、ササラ桁95の板厚よりもやや大きくされている。桁挿入溝35は、正面板31a及び背面板31bの中央よりもやや右側に位置し、手摺受け溝33のほぼ下方に位置している。また、図2及び図4に示されるように、取付金具1のうち桁挿入溝35よりも右側の部位の下端は、桁挿入溝35よりも左側の部位の下端(後述する水平ガイド板31hの下端)よりも高い位置にある。
【0023】
取付金具1においては、図4(a),(b)に示されるように、金具本体31の中空部に内蔵された狭持コマ37(第2狭持部)が、桁挿入溝35の左側方から当該桁挿入溝35内に出没可能である。狭持コマ37を動作させる機構等については後述する。そして、桁挿入溝35に挿入されたササラ桁95は、右向きに移動してくる上記の狭持コマ37と、桁挿入溝35の右側に位置する金具本体31の部位38(第1狭持部)と、の間に挟み込まれて固定される。以下では、桁挿入溝35の右側に位置する金具本体31の部位を「固定狭持部38」と呼ぶ。取付金具1がササラ桁95を挟み込んだ状態において、固定狭持部38の下端は、狭持コマ37の下端よりも高い位置にある。このようにして、取付金具1がササラ桁95を挟み込み、取付金具1がササラ桁95に対して固定される。その結果、取付金具1に予め保持された仮設手摺3が、ササラ桁95に鉛直姿勢で取付けられた状態となる。
【0024】
続いて、取付金具1が上記のようにササラ桁95を挟み込むための、取付金具1の詳細な構成について説明する。
【0025】
図4(a),(b)に示されるように、金具本体31の中空部には、左右移動可能な上記の狭持コマ37と当該狭持コマ37を押し動かすための上下移動可能な楔コマ39(楔部材)とが内蔵されている。金具本体31の上面板31cには楔コマ39に係合するボルト41(可動軸部)が螺合されている。狭持コマ37と楔コマ39との奥行き方向寸法は略等しく、ともに金具本体31の中空部にちょうど収まる程度の寸法である。
【0026】
金具本体31には、狭持コマ37及び楔コマ39の移動を案内するための各案内部位が設けられている。狭持コマ37の移動を案内する案内部位として、例えば、水平ガイド板31hとガイドピン31jとがある。水平ガイド板31hは、狭持コマ37の底面の直下に水平に位置する鋼板材であり、正面板31aと背面板31bとの間に架け渡されて溶接されている。ガイドピン31jは狭持コマ37の長孔37fに挿通され図4の紙面に直交する方向に延在している。これらの水平ガイド板31h及びガイドピン31jにより、狭持コマ37の移動は左右方向に限定され、この左右移動のストロークが上記長孔37fの長さ以下に規制される。
【0027】
また、楔コマ39の移動を案内する案内部位として、例えば、上面板31cの下面から鉛直下方に延び出すように設けられた鉛直ガイド板31fがある。楔コマ39が鉛直ガイド板31fと左側面板31dとの間に挟まれて配置されることで、楔コマ39の移動は上下方向に限定される。なお、ボルト41は上面板31cに螺合されているので、ボルト41の移動は、軸周りの回転及び回転に伴う軸方向への移動のみに限定される。
【0028】
狭持コマ37は、図4の視線で見て水平な2辺をもつ台形状をなしている。狭持コマ37は、右端面として位置しササラ桁95に当接する当接面37aと、左端面として位置し水平面に対し略45°傾斜した傾斜面37bと、を有している。楔コマ39は、狭持コマ37と略同じ奥行き寸法の部材であり、図4の視線で見て鉛直な2辺をもつ台形状をなしている。そして楔コマ39は、水平面に対し略45°傾斜した楔面39aを下部に有している。この構成により、狭持コマ37と楔コマ39とが傾斜面37bと楔面39aとで面的に接触している。
【0029】
なお、狭持コマ37と楔コマ39とは、上記の特徴を備える金属ブロックで構成されてもよいが、本実施形態においては、図3(b)及び図3(c)に示されるように、所定厚さの鋼板をコ字状に折曲げ加工し必要な箇所に他の鋼板を溶接することにより製作されている。従って、傾斜面37bと楔面39aとは、実際には、上記鋼板の厚さに対応する幅の面である。また、ササラ桁95に当接する狭持コマ37の当接面37aは、上記鋼板の厚さに対応する幅のコの字形状の面である。
【0030】
具体的には、図3(c)に示されるように、狭持コマ37は、下端において水平に延在する底板37cと、当該底板37cの両端縁から鉛直上方に延び出す一対の側板37d,37dと、を有している。そして、各側板37dの中央部には、左右方向に延びる長孔37fが形成されており、この各長孔37fに前述のガイドピン31jが挿通されている。また、図3(b),(d)に示されるように、楔コマ39は、上端において水平に延在する上板39cと、当該上板39cの両端縁から鉛直下方に延び出す一対の側板39d,39dと、を有している。上板39cには、左端面中央から切り込まれたU溝39hが形成されている。更に、楔コマ39の上下方向の略中央部において、側板39d,39d同士の間に架け渡すように水平なボルト受け板39eが溶接されている。ボルト受け板39eの上面には、U溝39hの直下の位置に球面状をなすボルト受け凹部39fが形成されている。
【0031】
図4に示されるように、金具本体31の上面板31cには、ボルト41の呼び径よりも大径の貫通孔43が形成されるとともに、当該貫通孔43と略同軸にナット45が溶接されている。このナット45にボルト41が螺合されることで、ボルト41は鉛直姿勢で金具本体31に設置される。そして、ボルト41の先端側は貫通孔43を貫通して金具本体31の中空部に挿入されており、ボルト41の頭41a(操作受付部)は上面板31cの上方に突出する。ボルト41の軸部のうち先端近傍の一部位には、ネジ山が除去され小径に形成された小径部41bが形成されている。ボルト41の小径部41bよりも先端側の部位にはネジ山が残されており、またボルト41の先端面41cは球面状に丸められている。ボルト41の小径部41bは楔コマ39のU溝39hに係合しており、小径部41bよりも先端側の部位は上板39cとボルト受け板39eとの間に位置している。
【0032】
以上のような構成に基づく取付金具1の動作は次のとおりである。取付金具1の設置作業時には、図4(a)に示されるように、取付金具1の桁挿入溝35にササラ桁95が挿入される。ここでは、ササラ桁95の上端面が桁挿入溝35の上縁面に突当てられてもよい。その後、施工作業者がインパクトドライバー等でボルト41の頭41aを回転させる。ボルト41の回転により当該ボルト41が鉛直下方に変位すると、ボルト41の先端面41cが楔コマ39のボルト受け凹部39fに嵌まり込んでボルト受け板39eを下方に押し、楔コマ39が鉛直下方に移動する。そうすると、楔コマ39の楔面39aが狭持コマ37の傾斜面37b上を摺動しながら、狭持コマ37は楔コマ39によって右向きに押し退けられ右向きに移動する。このように、楔コマ39を含む機構が、ボルト41の軸方向の鉛直移動を狭持コマ37の右向きの移動に変換する変換機構として機能する。
【0033】
そして、図4(b)に示されるように、狭持コマ37の右向きの移動により、狭持コマ37の右端の当接面37aがササラ桁95に対して当該ササラ桁95の板厚方向に押し付けられる。そうすると、ササラ桁95は、狭持コマ37と固定狭持部38との間に挟み込まれて固定され、その結果、取付金具1がササラ桁95に対して固定される。ここでは、ササラ桁95の外側の面には狭持コマ37の当接面37aが押し当てられる。また、ササラ桁95の内側の面には、桁挿入溝35の右縁に対応する正面板31aの端面38hと背面板31bの端面38kとが押し当てられる。そして、取付金具1の手摺受け溝33に予め溶接されている仮設手摺3は、この取付金具1を介して鉛直姿勢でササラ桁95に取付けられた状態となる。
【0034】
また、ボルト41が逆回転され鉛直上方に変位すると、ボルトの先端側の部位が小径部41bとの段差によって楔コマ39のU溝39hに引っ掛かり、楔コマ39はボルト41に伴って上方に引き上げられる。そうすると、楔コマ39からの狭持コマ37の押圧が解除され、狭持コマ37は左向きに移動可能になり、その結果、狭持コマ37によるササラ桁95の狭持力が解除され、取付金具1をササラ桁95から取り外すことができる。
【0035】
続いて、取付金具1による作用効果について説明する。
【0036】
図2及び図4に示されるように、取付金具1の設置時には、狭持コマ37、楔コマ39、ボルト41等を含み嵩張る機構部分が外部領域A2に配置され、作業者領域A1に配置されるのは比較的嵩が小さい固定狭持部38である。作業者領域A1では施工作業者が往来し、作業者領域A1で実行される作業も多いが、取付金具1のうち嵩張る機構部分が外部領域A2に配置されるので、取付金具1は作業者領域A1における施工作業者の往来の邪魔になりにくく、作業者領域A1で行われる作業の邪魔になりにくい。
【0037】
例えば、鉄骨階段91の施工においては、図2に示されるように、踊り場93の床93a上や階段の踏み面上に所定厚さでコンクリートCが打設がされる場合がある。ここで前述のとおり、取付金具1では、固定狭持部38の下端が、桁挿入溝35よりも左側に位置する取付金具1の部位の下端(水平ガイド板31hの下端)よりも高い位置にある。従って、コンクリート打設高さが固定狭持部38まで達する可能性が低く、すなわち、取付金具1がコンクリート打設作業の邪魔になりにくい。よって、コンクリート打設作業中においては、例えば、取付金具1を一時的に外したり、一時的に上方に移動させたりするといったような措置を不要にすることができ、仮設手摺3が一時的に不安定な設置状態になることを回避することができる。また、取付金具とコンクリートとの干渉を避けるためにササラ桁95を高くするといった対策の必要性も低くなる。
【0038】
仮設手摺3は施工作業者が往来する領域(作業者領域A1)をその外部(外部領域A2)から仕切るものであるので、仮設手摺3には作業者領域A1側から外部領域A2側に向けて押す力が作用しやすい。この力に起因して、取付金具1には外部領域A2側に向けて転倒させる力(図2において反時計回りに回転させる力)が作用する。ここで、取付金具1がササラ桁95に取付けられた状態においては、外部領域A2側の狭持コマ37の下端が作業者領域A1側の固定狭持部38の下端よりも低い位置にあるので、この構成により、取付金具1は、上記の転倒させる力に対抗しやすい。また、固定狭持部38及び狭持コマ37が、上下に幅をもつ面(当接面37a、端面38h、端面38k)を面接触させてササラ桁95を狭持していることも、上記の転倒させる力への対抗に寄与している。
【0039】
上記のように、機構部分が外部領域A2に配置されるようにした結果、仮設手摺3の設置作業で施工作業者が操作すべきボルト41も外部領域A2(踊り場93の外側,仮設手摺3の外側)に配置される。従って、作業者領域A1に居る施工作業者は、外部領域A2)に手を伸ばしてボルト41を締付け操作する必要がある。ところが、取付金具1では、ボルト41は鉛直姿勢で金具本体31に取付けられており、ボルト41の頭41aは金具本体31から上方に露出しているので、施工作業者によるボルト41の締付け操作は比較的容易である。
【0040】
すなわち、施工作業者は、インパクトドライバーを上方から頭41aに挿すようにしてボルト41を締め付けることができ、比較的容易な姿勢で作業を行うことができる。仮に、前述の特許文献1の取付金具のように、ボルト41がササラ桁95の外側に水平に突出していれば、施工作業者が踊り場93の内側から手を伸ばしてインパクトドライバーを操作することは困難である。また、鉄骨階段91の側方には壁や柱などが既に存在する場合もあるので、ボルトがササラ桁95の外側に水平に突出している場合には、インパクトドライバーを挿入するスペースが確保できない場合もある。これに対して、取付金具1では、鉄骨階段91の側方に壁や柱などが存在する場合にも、インパクトドライバーを挿入するスペースが確保し易い。
【0041】
また、取付金具1では、仮設手摺3の設置作業において、ササラ桁95の外側の面には狭持コマ37が当該ササラ桁95の板厚方向に移動しながら押し当てられ、一方、ササラ桁95の内側の面には固定狭持部38の端面38h,38kが不動のまま押し当てられる。従って、前述の特許文献1の取付金具のように、可動部材が狭持対象物の表面を面内方向に摺動しながら締付ける方式に比較すれば、ササラ桁95の表面にキズが付きにくい。また、ササラ桁95の外側の面に押し当てられる当接面37aは、当該ササラ桁95の表面に対して比較的大きい面積をもって面接触する。すなわち、図3(c)等から理解されるように、当接面37aは、狭持コマ37の材料の鋼板の厚さに対応する幅のコの字形状の面である。例えば、締付けボルトの先端面を対象物に直接押し当てる方式の他の取付金具と比較すれば、取付金具1の当接面37aは十分に大きい面積をもってササラ桁95の表面に面接触していると言える。また、ササラ桁95の内側の面に押し当てられる固定狭持部38の端面38h,38kも、それぞれ正面板31aと背面板31bの材料の鋼板の厚さに対応する幅を持つ面であり、同様に十分に大きい面積をもってササラ桁95の表面に面接触していると言える。従って、このような当接面37a及び端面38h,38kに関する構成も、ササラ桁95の表面にキズを付けにくくする効果に寄与している。
【0042】
(第2実施形態)
続いて、図5図7を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る取付金具51について説明する。図5は、本実施形態の取付金具51を用いた仮設手摺53の取付け状態の一例を示す側面図である。この例の仮設手摺53は、施工中の鉄骨階段91の階段部94に仮設されるものであり、階段部94の左右の縁を構成するササラ桁96の上端部に対して2つの取付金具51,51を介して下端の2箇所で固定される。
【0043】
仮設手摺53は、第1実施形態で説明した踊り場用の仮設手摺3を、階段部94の傾斜に対応させるべく平行四辺形に変形したものである。仮設手摺53は、仮設手摺の伸縮構造も含めて仮設手摺3と同様の構成を備えるものであるので、図面において仮設手摺3と同一又は同等の構成要素に同一符号を付して重複する説明を省略する。仮設手摺3との相違点として、仮設手摺53は、下桟部15の2箇所に設けられた支柱97,97を備えている。このうち一方の支柱97は、下桟部15の外筒部15aに対して垂直に固定された丸パイプ材からなり、外筒部15aの下面から下方に延び出している。他方の支柱97は下桟部15の内筒部15bに対して同様に固定されている。そして、上記のような各支柱97,97に対してそれぞれ取付金具51,51が装着されている。
【0044】
図6は取付金具51等を示す斜視図であり、図7はその断面図である。取付金具51は、第1実施形態の取付金具1における手摺受け溝33(図3参照)に代えて、支柱保持部54を備えている。支柱保持部54は桁挿入溝35よりも右側に配置され、支柱保持部54においては金具本体31の右端部の壁が支柱97に対応する半円柱形状とされている。更に、金具本体31の上面には、支柱97の径に対応する円形開口55が形成されている。また、上記の半円柱形状の壁に、円柱周方向に延在し壁厚方向に貫通されたガイド孔57が形成されている。ガイド孔57は、図6における金具本体31の正面側から背面側に亘って上記半円柱の180°分に対応する範囲で延在している。
【0045】
仮設手摺53に取付金具51が装着された状態では、上記のような支柱保持部54に対して、仮設手摺53の支柱97が挿入されている。支柱97の外周面には径方向に突出したガイドピン97aが形成されており、このガイドピン97aがガイド孔57に嵌り込むことで、支柱保持部54は支柱97を軸方向に抜け出さないように保持している。また、ガイドピン97aがガイド孔57内を周方向に移動可能であるので、支柱保持部54内で支柱97はその軸周りに180°回転可能である。すなわち、取付金具1は支柱97を180°回転可能に保持した状態である。
【0046】
なお、支柱97への取付金具51の円滑な装着を容易にするために、支柱97のガイドピン97aは支柱97の本体に対し着脱可能に設けられている。装着時には、ガイドピン97aがない状態で支柱97の本体が支柱保持部54に挿入された後、ガイド孔57を通して支柱97の本体にガイドピン97aが取付けられる。以上のような支柱保持部54以外の取付金具51の構成は、第1実施形態の取付金具1と同様であるので、図面において取付金具1と同一又は同等の構成要素に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
次に、取付金具51による作用効果について説明する。階段部94用の仮設手摺53にあっては、階段部94の右側のササラ桁96に取付けられる右側用と、階段部94の左側のササラ桁96に取付けられる左側用と、の間で、装着すべき取付金具51の向きが180°相違する。そこで、取付金具51が採用されれば、前述のように仮設手摺53に対して取付金具51を180°回転することができるので、右側用/左側用を互いに容易に変更することができる。従って、仮設手摺53への取付金具51の装着の仕方を共通化することができ、ササラ桁96への仮設手摺53設置の直前に取付金具51を回転させて右側用/左側用を確定すればよい。また、仮設手摺53の幅木21は当該仮設手摺53の表裏何れの面にも取付け可能とされており、ササラ桁96への仮設手摺53設置の直前に右側用/左側用に対応させ何れかの面に取付けるようにしてもよい。
【0048】
なお、第1実施形態の踊り場用の仮設手摺3にあっては、上記のような右側用/左側用の概念がないので、仮設手摺3に溶接で固定される方式の取付金具1を用いれば十分である。これに対し、鉄骨階段91の階段部94用の仮設手摺53に対しては、本実施形態の取付金具51が好適に適用される。
【0049】
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、実施例の変形例を構成することも可能である。各実施形態等の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。例えば、上述の実施形態では、本発明の取付金具を鉄骨階段91の仮設手摺に適用したが、他の種々の構造物の施工中に使用される仮設手摺に適用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,51…取付金具、3…仮設手摺、31…金具本体、37…狭持コマ(第2狭持部)、38…固定狭持部(第1狭持部)、39…楔コマ(変換機構)、39a…楔面、41…ボルト、41a…頭(操作受付部)、51…取付金具、53…仮設手摺、54…支柱保持部、91…鉄骨階段、95,96…ササラ桁、97…支柱(支柱)、A1…作業者領域(第1領域)、A2…外部領域(第2領域)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工中の構造物の一部位である所定の板状部位と、当該板状部位に取付けられる仮設手摺と、によって、作業者が往来する領域である第1領域と前記作業者が往来する領域の外部領域である第2領域とが仕切られる前記構造物の施工現場で、前記板状部位に前記仮設手摺を取付けるための仮設手摺取付金具であって、
前記仮設手摺を保持する金具本体と、
前記金具本体に設けられ前記第1領域に配置される第1狭持部と、
前記金具本体に設けられ前記第2領域に配置され、前記第1狭持部との間に挿入された前記板状部位の板厚方向に移動し、前記第1狭持部との間に前記板状部位を狭持する第2狭持部と、
前記第2領域に配置され、前記金具本体からの前記仮設手摺の延出方向に平行な姿勢で前記金具本体に取付けられ、前記金具本体から前記延出方向に露出しユーザ操作を受け付ける操作受付部を有し、前記操作受付部の操作に応じて自軸方向に移動可能な可動軸部と、
前記第2領域に配置され、前記可動軸部の移動を前記第2狭持部の移動に変換する変換機構と、を備える仮設手摺取付金具。
【請求項2】
前記可動軸部は、
前記金具本体に螺合されるとともに前記操作受付部としての頭を含むボルトを有し、
前記変換機構は、
前記第2狭持部に摺動する楔面を含み前記可動軸部に伴って前記自軸方向に移動しながら前記楔面を介して前記第2狭持部を前記板厚方向に押す楔部材を有する、
請求項1に記載の仮設手摺取付金具。
【請求項3】
施工中の構造物の一部位である所定の板状部位と、当該板状部位に取付けられる仮設手摺と、によって、第1領域と第2領域とが仕切られる前記構造物の施工現場で、前記板状部位に前記仮設手摺を取付けるための仮設手摺取付金具であって、
前記仮設手摺を保持する金具本体と、
前記金具本体に設けられ前記第1領域に配置される第1狭持部と、
前記金具本体に設けられ前記第2領域に配置され、前記第1狭持部との間に挿入された前記板状部位の板厚方向に移動し、前記第1狭持部との間に前記板状部位を狭持する第2狭持部と、
前記第2領域に配置され、前記金具本体からの前記仮設手摺の延出方向に平行な姿勢で前記金具本体に取付けられ、前記金具本体から前記延出方向に露出しユーザ操作を受け付ける操作受付部を有し、前記操作受付部の操作に応じて自軸方向に移動可能な可動軸部と、
前記第2領域に配置され、前記可動軸部の移動を前記第2狭持部の移動に変換する変換機構と、を備え、
前記構造物は鉄骨階段であり、前記板状部位は前記鉄骨階段のササラ桁であり、前記第1領域は前記鉄骨階段の内側の領域であり、前記第2領域は前記鉄骨階段の外側の領域であり、
前記第1領域側の部位の下端部が、前記第2領域側の部位の下端部よりも高い位置に配置される、仮設手摺取付金具。
【請求項4】
前記金具本体は、前記仮設手摺の支柱を回転可能に保持する保持部を有する、請求項1~3の何れか1項に記載の仮設手摺取付金具。