(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014650
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】コミュニティ型のAI人材育成支援システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20220113BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20220113BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20220113BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
G06Q50/20
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117102
(22)【出願日】2020-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】519077805
【氏名又は名称】NABLAS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】コミュニティを形成し、AI技術を習得した特定の人材(教員)に過大な負荷をかけることなく、多くの技術者にAI教育を行うことのできるコミュニティ型人材育成支援システムを提供することを目的とする。
【解決手段】人材育成支援システムは、複数のユーザ端末に、機械学習の学習モデルの作成環境を、ネットワークを介して提供し、機械学習の学習モデルの作成環境で作成された複数の学習済みモデルをスコアリングサーバに提供するユーザインタフェースサーバと、複数の学習済みモデルをスコアリングし順位付けするスコアリングサーバと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ端末に、機械学習の学習モデルの作成環境を、ネットワークを介して提供し、前記機械学習の学習モデルの作成環境で作成された複数の学習済みモデルをスコアリングサーバに提供するユーザインタフェースサーバと、
前記複数の学習済みモデルをスコアリングし順位付けするスコアリングサーバと、を含む、人材育成支援システム。
【請求項2】
複数のユーザ端末に、機械学習の学習モデルの作成環境を、ネットワークを介して提供し、前記機械学習の学習モデルの作成環境で作成された複数の学習済みモデルをスコアリングし、前記スコアリングの結果をスコアリングサーバに提供するユーザインタフェースサーバと、
前記スコアリング結果に基づいて前記複数の学習モデルを順位付けするスコアリングサーバと、を含む、人材育成支援システム。
【請求項3】
前記ユーザインタフェースサーバが、前記複数のユーザ端末に、前記機械学習の学習モデルの作成環境として学習用データの中の一部のデータを提供し、
前記スコアリングサーバが、前記学習用データの全部を使って前記複数の学習済みモデルをスコアリングする、請求項1に記載の人材育成支援システム。
【請求項4】
前記ユーザインタフェースサーバが、
前記複数のユーザ端末に、前記機械学習の学習モデルの作成環境として学習用データの中の一部のデータを提供し、
前記学習用データの全部を使って前記複数の学習済みモデルをスコアリングする、請求項2に記載の人材育成支援システム。
【請求項5】
前記ユーザインタフェースサーバが、前記機械学習の学習モデルの作成環境で作成された学習モデルの試行をクラウド上のコンピュータに実行させて前記学習済みモデルを生成する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の人材育成支援システム。
【請求項6】
前記ユーザインタフェースサーバが提供する前記機械学習の学習モデルの作成環境において、前記複数のユーザ端末のうち少なくとも1つのユーザ端末が、学習モデルの試行を行い前記学習済みモデルの生成をする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の人材育成支援システム。
【請求項7】
前記スコアリングサーバが、前記順位付けの結果を前記ユーザインタフェースサーバに提供し、
前記ユーザインタフェースサーバが、前記複数のユーザ端末に、複数の前記学習済みモデルの中から前記順位付けの上位の学習済みモデルを提示する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の人材育成支援システム。
【請求項8】
ユーザインタフェースサーバが、複数のユーザ端末に、機械学習の学習モデルの作成環境を、ネットワークを介して提供し、前記機械学習の学習モデルの作成環境で作成された複数の学習済みモデルをスコアリングサーバに提供し、
スコアリングサーバが、前記複数の学習済みモデルをスコアリングし順位付けする、ことを含む、コンピュータによる人材育成支援方法。
【請求項9】
ユーザインタフェースサーバが、複数のユーザ端末に、機械学習の学習モデルの作成環境を、ネットワークを介して提供し、前記機械学習の学習モデルの作成環境で作成された複数の学習済みモデルをスコアリングし、前記スコアリング結果をスコアリングサーバに提供し、
スコアリングサーバが、前記スコアリング結果に基づいて前記複数の学習モデルを順位付けする、ことを含む、コンピュータによる人材育成支援方法。
【請求項10】
前記ユーザインタフェースサーバから、前記複数のユーザ端末に、前記機械学習の学習モデルの作成環境として学習用データの中の一部のデータを提供し、
前記スコアリングサーバにより、前記学習用データの全部を使って前記複数の学習済みモデルをスコアリングする、請求項8に記載のコンピュータによる人材育成支援方法。
【請求項11】
前記ユーザインタフェースサーバにより、前記複数のユーザ端末に、前記機械学習の学習モデルの作成環境として学習用データの中の一部のデータを提供し、前記学習用データの全部を使って前記複数の学習済みモデルをスコアリングする、請求項9に記載のコンピュータによる人材育成支援方法。
【請求項12】
前記ユーザインタフェースサーバにより、前記機械学習の学習モデルの作成環境で作成された学習モデルの試行をクラウド上のコンピュータに実行させて前記学習済みモデルを生成する、請求項8乃至11のいずれか一項に記載のコンピュータによる人材育成支援方法。
【請求項13】
前記学習済みモデルの作成を、前記機械学習の学習済みモデルの作成環境において前記複数のユーザ端末のうち少なくとも1つのユーザ端末で行う、請求項8乃至11のいずれか一項に記載のコンピュータによる人材育成方法。
【請求項14】
前記スコアリングサーバが、前記順位付けの結果を前記ユーザインタフェースサーバに提供し、
前記ユーザインタフェースサーバが、前記複数のユーザ端末に、複数の前記学習済みモデルの中から前記順位付けの上位の学習済みモデルを提示する、請求項8乃至13のいずれか一項に記載のコンピュータによる人材育成支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人材育成支援システム及び方法、並びにコンピュータプログラムに係り、例えば、人工知能(以下、「AI」とも記す。)を扱うことのできる人材を教育し育成するためのコミュニティ型の人材育成支援システム及びその方法、並びにコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの著しい性能向上に伴いAIの開発及びAIを利用した製品の技術開発を担う人材の開発が求められている。しかしながら、AIを教育する体制、AIを教育することのできる人材(教員)の育成自体が社会のニーズに応じていないことが問題となっている。
【0003】
このような背景に伴い、AIや情報技術(IT)の発展に伴い、プログラミングをすることのできる人材の育成を、携帯端末等を使用して、費用がかからず、簡便にプログラムの作成を学習することのできるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
技術分野を問わず優秀な人材を育成するには、コミュニティを形成しその中で相互に刺激を与え切磋琢磨することが必要である。しかしながら、インターネット等を利用した従来の人材育成支援システムは、ユーザ(受講者)がサーバから送られてくる教材を端末で閲覧し、録画された講義を受講し、与えられた課題を処理するだけのものであり、コミュニティの形成という視点が欠落していることが問題であった。また、AIのような先端技術に関しては、教育をすることのできる専門性の高い人材が不足していることが問題であった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑み、コミュニティを形成し、AIに関する技術を教授することができる人材(教師、講師)に過大な負荷をかけることなく、多くの技術者にAI教育を行うことのできるコミュニティ型人材育成支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る人材育成支援システムは、複数のユーザ端末に、機械学習の学習モデルの作成環境を、ネットワークを介して提供し、機械学習の学習モデルの作成環境で作成された複数の学習済みモデルをスコアリングサーバに提供するユーザインタフェースサーバと、複数の学習済みモデルをスコアリングし順位付けするスコアリングサーバと、を含む。
【0008】
本発明の一実施形態に係る人材育成支援システムは、複数のユーザ端末に、機械学習の学習モデルの作成環境を、ネットワークを介して提供し、機械学習の学習モデルの作成環境で作成された複数の学習済みモデルをスコアリングし、スコアリングの結果をスコアリングサーバに提供するユーザインタフェースサーバと、スコアリング結果に基づいて複数の学習モデルを順位付けするスコアリングサーバと、を含む。
【0009】
本発明の一実施形態に係るコンピュータによる人材育成方法は、ユーザインタフェースサーバが、複数のユーザ端末に、機械学習の学習モデルの作成環境を、ネットワークを介して提供し、機械学習の学習モデルの作成環境で作成された複数の学習済みモデルをスコアリングサーバに提供し、スコアリングサーバが、複数の学習済みモデルをスコアリングし順位付けする、ことを含む。
【0010】
本発明の一実施形態に係るコンピュータによる人材育成方法は、ユーザインタフェースサーバが、複数のユーザ端末に、機械学習の学習モデルの作成環境を、ネットワークを介して提供し、機械学習の学習モデルの作成環境で作成された複数の学習済みモデルをスコアリングし、スコアリング結果をスコアリングサーバに提供し、スコアリングサーバが、スコアリング結果に基づいて前記複数の学習モデルを順位付けする、ことを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、人材育成支援システムが、ユーザインタフェースサーバとスコアリングサーバとを含んで構成されることにより、ユーザに対し、講座及び講座に対応する課題の提供し、学習の理解を高める演習を行う環境を提供し、演習の結果をフィードバックし、講座の受講者間で演習結果を共有できる環境を提供することができる。
【0012】
このような人材育成支援システムにより、ユーザは、他のユーザと切磋琢磨する環境が提供され、講座の履修を継続し、学習した内容をその場で実践し、専門知識を身につけることができる。また、人材育成支援システムにより講義及び課題の提出及び評価が支援されることにより、受講者を教育する立場の人材(教師、講師)の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る人材育成支援システムに含まれるユーザインタフェースサーバ、クラウドサーバ、スコアリングサーバと、人材育成支援システムとネットワークを介して接続されるユーザ端末との関係を概念的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る人材育成支援システムのハードウェア的な構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る人材育成支援システムの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る人材育成支援システムを用いて学習を行う際に行われる処理の流れを示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る人材育成支援システムを用いて学習を行う際に行われる処理の流れを示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る人材育成支援システムにおいて、学習モデルの構築と、学習済みモデルの評価に使われる学習用データとの対応関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様を含み、以下に例示する実施形態に限定して解釈されるものではない。本開示において、ある図面に記載された特定の要素と、他の図面に記載された特定の要素とが同一又は対応する関係にあるときは、同一の符号を付して、繰り返しの説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る人材育成支援システム100を構成する各要素と、人材育成支援システム100に接続されるユーザ端末108との間で実行される処理の内容を示す。人材育成支援システム100はコンピュータにより構成される。人材育成支援システム100は、ユーザインタフェースサーバ102、スコアリングサーバ106を含む。人材育成支援システム100の中で、ユーザインタフェースサーバ102、スコアリングサーバ106のそれぞれは、各機能を実現するサーバとして物理的に分離して構成されたものでも良いし、コンピュータシステムの中で機能的に分離して構築されたものであってもよい。また、人材育成支援システム100には、クラウド上のコンピュータ(以下、「クラウドサーバ104」ともいう)が含まれていてもよい。
【0016】
ユーザ端末108は、人材育成支援システム100と電気通信回線(インターネット、イーサネット、ローカルエリアネットワーク等であり、以下においては単に「ネットワーク」ともいう。)で接続される。人材育成支援システム100は、ユーザインタフェースサーバ102がユーザ端末108からのアクセスを受け付け、クラウドサーバ104及びスコアリングサーバ106はユーザ端末108から直接的にアクセスされないように構成されている。ユーザインタフェースサーバ102は複数のユーザ端末108と接続され、複数のユーザに対し1つ又は複数の講座を同時に及び/又は随時提供する。
【0017】
図1に対する以下の説明においては、ユーザ(受講者)がAIに関する技術を習得するために、講座を受講し、課題として提示された機械学習の学習モデルを構築し、さらに講座を受講する複数のユーザが学習モデルを共有する過程で人材育成支援システム100がどのように機能し、どのようなサービスをユーザに提供するのかを示す。
【0018】
ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザ端末108との間で認証を行う。認証は識別情報に基づいて行われる。認証情報としては、例えば、ログインIDとパスワード及び/又は生体情報が用いられる。ユーザインタフェースサーバ102は、認証が得られたユーザ端末108に対し講座を提供する。講座にはAIに関する技術を習得するための講義、講義で使われる資料、講義で出される課題が含まれる。講義は講師により行われ、実時間での配信(ライブ)及び/又は録画により配信される。講義で使われる資料(教材)には、レジュメ、板書、参考資料(副教材)等の情報が含まれる。
【0019】
また、ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザ端末108に講座の一覧情報を提供する。ユーザは、ユーザ端末108を使用して受講したい講座を選択可能であり、ユーザインタフェースサーバ102は、複数のユーザ端末108に対して同時又は随時異なる講座を提供することが可能である。
【0020】
ユーザインタフェースサーバ102からユーザ端末108に提供される課題は、講座に即した内容であり、講義の理解度を高め実習を通して理解度を高める目的で提供される。ユーザは、課題を通して演習を行う。課題は、複数のユーザに対して提出期間を定めて提供され、課題に対する解答が提出された後、解答の善し悪しが評価される。また、ユーザインタフェースサーバ102は、複数のユーザの間で成果を共有するために、他のユーザがどのように解答したのかをユーザ端末108に提供する。
【0021】
例えば、ユーザインタフェースサーバ102からユーザ端末108へ、一般物体を識別する学習モデルの作成が課題として提供される。ユーザは、ユーザ端末108を操作して学習モデルの構築を行い(演習)、課題に対する解答として学習済みモデルを提出する。解答の提出は、ユーザ端末108の操作により行われ、外観上、ユーザ端末108からユーザインタフェースサーバ102へ送信する形式で行われる。
【0022】
ユーザ端末108は、ユーザが講座を選択し、講義を受講し、課題に対する解答を作成する際に使用される。ユーザ端末108は、ユーザインタフェースサーバ102から提供された講座の一覧情報、AIに関する技術を習得するための講義、講義で使われる資料、講義で出される課題を表示する。また、ユーザ端末108は、ユーザがユーザ端末108を使って課題に対する解答を作成する際に、その作業画面を表示する。例えば、機械学習の学習モデルの作成が課題として出された際に、ユーザ端末108には、素材となるデータと、学習モデル作成用の入力画面がモニタに表示される。ユーザはユーザ端末108を操作して、コードの入力、パラメータの選択及び設定等を行いつつ、学習モデルを試行(訓練)させながらデバック等の作業を行うことで、課題に対する解答を作成する処理を行うことができる。また、ユーザはユーザ端末108を使用して、課題に対する解答として、学習済みモデルを提出する処理を行うことができる。
【0023】
上記のような、ユーザ側で行われる講座の選択、講義の受講、課題に対する解答の作成といった処理は、ユーザ端末108により行われる。ユーザ側から見れば、ユーザ端末108をユーザインタフェースサーバ102と接続することによって、全ての処理を行うことができ、提供され、また選択された講座を履修することができる。別言すれば、ユーザは、ユーザインタフェースサーバ102の背後にあるクラウドサーバ104やスコアリングサーバ106の存在を知ることなく、ユーザインタフェースサーバ102から提供される講座を受講することができる。
【0024】
ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザが課題に対する解答を作成するときに必要とされる処理を行う。ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザによって構築された学習モデルの試行(訓練)をするための計算処理が実行され、ユーザから提出された解答としての学習済みモデルをスコアリングサーバ106に提供する。例えば、ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザがユーザ端末108を操作して作成した学習モデルの試行(訓練)をし、ユーザから提出された学習済みモデルをスコアリングサーバ106に提供する。
【0025】
スコアリングサーバ106は、ユーザインタフェースサーバ102から提供された、解答としての学習済みモデルの評価を行い、評価結果に基づいて学習済みモデルを順位付けする。例えば、スコアリングサーバ106は、ユーザインタフェースサーバ102から提供された学習済みモデルのスコアリング(評価)を行い、そのスコアリングの結果に基づいて順位付けをする。ここで、学習済みモデルのスコアリングは、学習済みモデルの精度(例えば、分類精度)を評価することにより行われる。そして、スコアリングサーバ106は、課題に対する解答の評価、すなわち学習済みモデルのスコアリングの結果、及びそれに基づく順位付けに関する情報(以下、「スコアリングデータ」ともいう)を、ユーザインタフェースサーバ102に提供する。
【0026】
課題に対する解答の評価、すなわち学習済みモデルのスコアリングは、ユーザインタフェースサーバ102によって行われてもよい。この場合、ユーザインタフェースサーバ102は、課題に対する解答の評価結果(学習済みモデルのスコアリングの結果)をスコアリングサーバ106に提供する。スコアリングサーバ106は、評価結果(学習済みモデルのスコアリングの結果)に基づいて順位付けを行い、スコアリングデータをユーザインタフェースサーバ102に提供する。
【0027】
クラウドサーバ104はクラウド上にあり、ユーザがユーザ端末108を使って行う課題に対する解答を作成するための処理(実習)をするとき、また、提出された課題に対する解答を評価するとき、ユーザインタフェースサーバ102を支援又は代替するために使用され得る。すなわち、クラウドサーバ104は、ユーザインタフェースサーバ102の負荷を軽減するために使用される場合がある。例えば、ユーザに与えられた課題が機械学習の学習モデルの構築である場合、クラウドサーバ104は、ユーザによって構築された学習モデルを試行し(訓練)、提出された学習済みモデルのスコアリングを行うときに使用され得る。
【0028】
この場合、クラウドサーバ104で、ユーザ端末108からユーザインタフェースサーバ102を介して送信された、ユーザによって構築された学習モデルの試行(訓練)、学習済みモデルのスコアリング(評価)のための計算処理が実行される。クラウドサーバ104は、ユーザ端末108から直接的に計算処理の命令を受けるのではなく、ユーザインタフェースサーバ102から命令を受けて学習モデルの試行(訓練)、学習済みモデルのスコアリング(評価)のための計算処理を行う。別言すれば、ユーザは、ユーザインタフェースサーバ102に接続されたユーザ端末108のモニタに表示された入力画面やアイコン等を操作することによって、構築されたモデルを学習させることができ、クラウドサーバ104の存在を知ることなく与えられた課題によって演習を行うことができる。
【0029】
ユーザインタフェースサーバ102から処理の依頼を受けたクラウドサーバ104は、ユーザから提出された課題に対する解答を評価し、その評価結果を、ユーザインタフェースサーバ102を介さずに直接的にスコアリングサーバ106に出力するように構成されていてもよい。例えば、クラウドサーバ104は、学習済みモデルスコアリングし、その結果をスコアリングサーバ106に出力するように構成されていてもよい。なお、他の実施態様として、課題に対する解答の作成、すなわち学習モデルの構築がユーザ端末108で行われてもよい。
【0030】
スコアリングサーバ106は、ユーザから提出された学習済みモデルをスコアリングし、スコアリングの結果を保存し、そのスコアリング結果をユーザインタフェースサーバ102に出力する。ユーザインタフェースサーバ102は、学習の成果として各ユーザに対しスコアを通知し、またスコアの高い学習済みモデルを複数のユーザで共有できるように、各ユーザのユーザ端末108に提供する。例えば、スコアリングサーバ106は、複数の学習済みモデルをスコアリングし、その結果(学習済みモデルの精度)が高い順に順位付けをする。ユーザインタフェースサーバ102は、各ユーザが作成した学習済みモデルのスコアを該当するユーザ端末108に送信する。また、ユーザインタフェースサーバ102は、スコアの高い学習済みモデルを、複数のユーザが共有できるように各ユーザのユーザ端末108に送信する。または、ユーザインタフェースサーバ102は、スコアの高い学習済みモデルを各ユーザが知ることができるように、ユーザ端末108から閲覧できるように(アクセスし、実行できるように)提供する。
【0031】
このように、ユーザインタフェースサーバ102のバックグラウンドでクラウドサーバ104、スコアリングサーバ106が稼働することにより、ユーザに対してはアクセス先を選択し、又は切り替えるといった煩雑な作業を無くすことができ、人材育成支援システム100においては、サーバの機能を最適化し、負荷を低減することができるという利点を有する。また、クラウドサーバ104は、スコアリングするための計算結果をスコアリングサーバ106に直接出力することで、ユーザの負担を低減し、ユーザインタフェースサーバ102の負荷を低減することができる。すなわち、ユーザは、講座の選択、課題に対する解答を提出するために、その都度アクセス先を探したり、画面表示を切り替えたりする必要がなく、煩雑な作業が軽減される。ユーザインタフェースサーバ102は、クラウドサーバ104やスコアリングサーバ106と連携することで、ユーザから提出された課題に対する解答を評価し、スコアリングする必要がないのでサーバの負荷を低減することが可能となる。
【0032】
人材育成支援システム100は、ユーザにサービスを提供するユーザインタフェースサーバ102のバックグラウンドに、計算処理を行うクラウドサーバ104、スコアリングを行うスコアリングサーバ106を配置することで、システム全体の負荷を分散させ、ユーザに対しては煩雑な作業をさせることなく快適な学習環境を提供することができる。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係る人材育成支援システム100のハードウェア的な構成の一例を示すブロック図を示す。人材育成支援システム100は、ユーザインタフェースサーバ102、スコアリングサーバ106を含む。また、人材育成支援システム100は、クラウドサーバ104が含まれていてもよい。ユーザインタフェースサーバ102は、クラウドサーバ104及びスコアリングサーバ106とネットワークで接続される。ユーザインタフェースサーバ102は、ネットワークを介して少なくとも1つ、好ましくは複数のユーザ端末108と時間的に同時に又は随時に接続される。
【0034】
ユーザインタフェースサーバ102は、ネットワークを介してユーザ端末108と認証を行い、講座に関する情報(例えば、講座の一覧)、講義、講義で使われる資料、講義で出される課題等の提供を通してユーザに学習環境を提供する。また、ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザ端末108に演習をするための環境を提供する。例えば、ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザが課題に対する解答を作成する際に必要とする高度の計算環境を提供する。この計算環境はユーザインタフェースサーバ102が直接提供するのではなく、ユーザ端末108から送信される計算処理の要求をクラウドサーバ104へ仲介することにより行われてもよい。
【0035】
ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザに学習環境を提供するために必要な情報を記録媒体110から読み出す。記録媒体110には講座に関する情報(例えば、講座の一覧)、講義、講義で使われる資料、講義で出される課題等の情報が記憶されている。また、記録媒体110には、ユーザの氏名、住所又は居所、識別情報(ユーザID、暗証番号及び/又は生体識別情報等)、ユーザの履修の進捗状況、ユーザから送信された提出物(課題に対する解答)、成績(課題に対する解答のスコア)等の情報が記録されている。ユーザインタフェースサーバ102は、記録媒体110に記憶されている情報を適宜読み出して、その情報を複数のユーザ端末108に提供することが可能とされている。
【0036】
ユーザ端末108は、ユーザが講座を選択し、講義を受講し、課題に対する解答を作成するために使用される。ユーザ端末108は、ユーザインタフェースサーバ102から送信された講座に関する情報(例えば、講座の一覧)、講義、講義で使われる資料、講義で出される課題等を受信し表示する。また、ユーザ端末108は、ユーザが課題に対する解答を作成するための作業画面を表示する。例えば、ユーザ端末108は、一般物体を識別する学習モデルの作成という課題が提示されたとき、学習モデルを構築するコマンドを入力する画面を表示し、構築された学習モデルを訓練した結果(学習済みモデルの精度)を画面表示する。また、ユーザ端末108には、評価値の高い本人又は他者が作成した学習済みモデルが表示され、又はその学習済みモデルにアクセス可能に表示される。
【0037】
クラウドサーバ104は、クラウド上に存在し、学習モデルの訓練、学習済みモデルの評価を行うための計算を実行する。クラウドサーバ104は、ユーザインタフェースサーバ102とネットワークで接続され、学習モデルを構築する際に行われる計算処理、学習済みモデルの評価を行うための計算を実行する。
【0038】
クラウドサーバ104は、スコアリングサーバ106とネットワークで接続されている。クラウサーバ104は、学習済みモデルのスコアリング(評価)結果を直接的にスコアリングサーバ106に出力する機能を有していてもよい。スコアリングサーバ106は、ユーザインタフェースサーバ102、クラウドサーバ104、又はスコアリングサーバ106によりスコアリング(評価)された学習済みモデルを、例えば、精度の高い順に順位付けをする。また、スコアリングサーバ106は、ユーザインタフェースサーバ102からに要求に応じて、適宜スコアリングデータを出力する。
【0039】
スコアリングサーバ106は、ユーザインタフェースサーバ102とネットワークで接続されている。スコアリングサーバ106は、ユーザインタフェースサーバ102にスコアリングデータを出力する。または、ユーザインタフェースサーバ102は、スコアリングサーバ106に学習済みモデルのスコアリングデータの出力を命令し、スコアリングサーバ106から学習済みモデルのスコアリングデータを取得する。ユーザインタフェースサーバ102は、学習済みモデルのスコアリングデータの一部又は全部をユーザ端末108に提供し、また記録媒体110に記憶させる。
【0040】
ユーザインタフェースサーバ102、スコアリングサーバ106は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信回路等のハードウェア資源により構築され、ソフトウェア資源によって所望の機能を実現するように駆動される。ユーザインタフェースサーバ102、スコアリングサーバ106は、物理サーバとして構築されたものであってもよいし、仮想サーバとして構築されたものであってもよい。クラウドサーバ104は、好ましくはGPU(Graphics Processing Unit)を備え、高い計算処理能力により機械学習(特にディープラーニング)で使用される膨大な量のデータを扱うことが可能なように構成されている。また、記録媒体110は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)等で構成される。
【0041】
ユーザ端末108は、デスクトプ型又はノートブック型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末等の電子機器で実現される。ユーザ端末108として使用される電子機器は、CPU及びメモリの他に、入力部及び表示部を備えている。
【0042】
本実施形態に係る人材育成支援システム100は、ユーザ端末108と直接的に接続されるユーザインタフェースサーバ102が、機械学習で必要とされる膨大な計算を実行するのではなく、クラウド上にある計算処理能力の高いGPUで構築されたクラウドサーバ104で行うことが可能とされており、それにより個々のサーバの負荷を分散させ、軽減することができる。その結果、ユーザインタフェースサーバ102の規模を大きくしなくても、複数のユーザに対し遅滞なく適切な学習環境を提供することができる。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態に係る人材育成支援システム100の機能的な構成の一例を示す。
図3は、人材育成支援システム100がユーザインタフェースサーバ102及びスコアリングサーバ106を有し、さらにクラウドサーバ104を含む構成を例示する。ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザ情報認証部112、講座情報提供部114、課題提供部116、演習支援部118、記録媒体110を含む。
【0044】
ユーザ情報認証部112は、ユーザ端末108から送信されたユーザ情報の認証を行う。ユーザ情報は、例えば、ユーザIDと暗証番号及び/又は生体情報の組み合わせにより行われる。ユーザ情報認証部112は記録媒体110と接続されていてもよく、記録媒体110に記憶されているユーザ情報を用いて認証を行うことができる。
【0045】
講座情報提供部114は、講座の一覧情報、講座で行われる講義、講義で使われる資料、講義で出される課題等の情報をユーザ端末108に提供する。講義で使われる資料には、レジュメ、板書、参考資料(副教材)等の情報が含まれる。講座情報提供部114は、これらの情報を記録媒体110から読み出してユーザ端末108に提供することもできる。
【0046】
課題提供部116は、ユーザが受講した講座に対応する課題をユーザ端末108に提供する。課題提供部116は、例えば、機械学習の学習モデルとして、一般物体を識別する学習モデルの作成、文字を識別する学習モデルの作成等の課題をユーザに提供する。また、課題提供部116は、例えば、一般物体を識別する学習モデルを構築する課題に対して、学習用データとして一般物体の画像のデータセットの一部をユーザ端末108に提供する。課題提供部116は、課題及び課題と共に提供されるデータ(例えば、上記の学習用データ)を記録媒体110から読み出してユーザ端末108に提供する。また、課題提供部116は、インターネット上に公開されているテキスト又は画像データ(例えば、CIFAR-10等)をダウンロードして、その一部又は全部を学習用データとしてユーザ端末108に提供することもできる。
【0047】
演習支援部118は、ユーザがユーザ端末108を使用して課題に対する解答を作成する作業(演習)の支援をする機能を有する。演習支援部118は、ユーザが課題に基づいて演習を行う際に必要な計算環境を提供する。演習支援部118は、ユーザ端末108で構築中の学習モデル又はユーザ端末108で構築された学習モデルについて実行命令がされたとき、その学習モデルの実行(計算処理)を行い、又はクラウドサーバ104で実行させ、その実行結果をユーザ端末108に送信する機能を有する。
【0048】
例えば、演習支援部118は、ユーザ端末108で学習モデルとして畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolution Neural Network)を構築する場合、CNNを構築するためのコマンド等を入力する画面を提供し、構築中又は構築済みのモデルを実行した結果を表示する画面を提供する。
【0049】
演習データ記録部120は、ユーザ端末108で作成され提出された演習データ(課題に対する解答)を記録媒体110に記憶させる。例えば、演習データ記録部120は、ユーザ端末108が演習支援部118の機能を使って作成した学習済みモデルを記録媒体110に記憶する。このとき、演習データ記録部120は学習済みモデルを、それを作成したユーザの識別情報と関連付けて記録媒体に記憶する。
【0050】
スコアリング情報提供部122は、スコアリングサーバ106から学習済みモデルのスコアリングデータを受信し、ユーザが作成した学習済みモデルのスコアをユーザ端末108に提供する。また、スコアリング情報提供部は、スコアの高い学習済みモデルを、演習データ記録部120を介して読み出して、スコアの高い学習済みモデルとしてユーザ端末108に提供する。なお、学習済みモデルのスコアとは、学習済みモデルの精度(例えば、分類精度)の高い順に並べたときの順位であることを含む。
【0051】
ユーザ端末108は、認証部134、講座情報受信部136、講座情報出力部138、演習部140を含む。認証部134は、ユーザインタフェースサーバ102に対してユーザの認証を行う機能を有する。認証部134は、ユーザIDとパスワード及び/又は生体情報によりユーザの認証が行われる。認証部134は、ユーザインタフェースサーバ102のユーザ情報認証部112と協働してユーザの認証を行う機能を有し、認証が成立するとユーザはログインが可能となる。なお、ユーザの生体情報をユーザ認証に用いる場合、ユーザ端末108には生体情報(本人の手、指、目、声、顔等の特徴量)を取得するセンサが備えられていてもよい。
【0052】
講座情報受信部136は、ユーザインタフェースサーバ102から提供される講座情報を受信する。講座情報受信部136は、ユーザが受講可能な講座情報の一覧、ユーザが選択した講座で行われる講義の情報をユーザインタフェースサーバ102から受信する。講義の情報には、講師による実時間又は録画された講義の動画コンテンツ、講義で使われる資料(レジュメ、板書、参考資料(副教材)等の情報)が含まれる。講座情報受信部136は、ユーザインタフェースサーバ102の課題提供部116から送信された課題及び課題と共に提供されるデータ(例えば、前述の学習用データ)を受信する。課題は講座の内容に即したものであり、演習をすることで理解を促進するために提供される。
【0053】
講座情報出力部138は、講座情報受信部136が受信した講座一覧情報、講座で行われる講義の情報をユーザの視覚及び/又は聴覚を通じて認識できるようにモニタ144及び/又はスピーカ142に出力する機能を有する。ユーザ端末108は、ウェブブラウザ又はインストールされた専用のアプリケーション・ソフトウェアにより、講座に係る情報をモニタ144に表示及び/又はスピーカ142で再生する。
【0054】
演習部140は、ユーザが課題に対する解答を作成するために必要な演習画面をモニタに表示させ、入力部146によって文字、数字、記号を入力し、またアイコン、ボタン等による操作を可能にする機能を有する。演習部140は、例えば、機械学習の学習モデルを構築するための演習画面をモニタ144に表示させ、ユーザが入力部146からコードを入力し学習モデルの構築を行うことを補助する機能を有する。また、演習部140は、学習モデルを訓練する機能、学習済みモデルを提出する機能を有する。
【0055】
クラウドサーバ104は、計算処理部124、計算結果出力部126を含む。計算処理部124は、機械学習のための計算を行う。例えば、計算処理部124は、ユーザインタフェースサーバ102の演習支援部118と連動し、構築中の学習モデルの計算(学習モデルの訓練)を行う機能を有し、また、学習済みモデルを実行してその精度(例えば、分類精度)を算出する機能を有する。
【0056】
計算結果出力部126は、計算処理部124で計算された結果をスコアリングサーバ106に出力する機能を有する。例えば、計算結果出力部126は、計算処理部124で実行された学習済みモデルをスコアリングサーバ106に出力する。また、計算処理部124で学習済みモデルのスコアリングが行われたとき、そのスコアリングの結果をスコアリングサーバ106に出力する。
【0057】
スコアリングサーバ106は、受信部128、スコアリング部130、スコアリング情報出力部132を含む。受信部128はクラウドサーバ104の計算結果出力部126から出力されたデータを受信する。例えば、受信部128は、学習済みモデル又は学習済みモデルの評価結果(例えば、分類精度)を受信する。
【0058】
スコアリング部130は、学習済みモデルのスコアリングを行う機能を有する。学習済みモデルのスコアリングは、その精度(例えば、分類精度)を評価することにより行われる。また、スコアリング部130は、複数の学習済みモデルに対して、スコアリングの結果に基づいて順位付けを行う機能を有する。例えば、スコアリング部130は、複数の学習済みモデルに対し精度の高い順に順位付けする機能を有する。この場合において、スコアリングサーバ106は、記録媒体110を備え、スコアリングの対象となる学習済みモデルを記録媒体110から読み出して順位付けを行ってもよい。記録媒体110には、学習済みモデルとユーザとを識別する情報と関連付けて保存されていてもよい。
【0059】
スコアリング情報出力部132は、スコアリングデータをユーザインタフェースサーバ102に出力する。例えば、スコアリング情報出力部132は、スコアリングデータを、ユーザインタフェースサーバ102のスコアリング情報提供部122に出力する。
【0060】
ユーザインタフェースサーバ102は、前述のように、ユーザ毎に、課題の評価結果であるスコアリングの結果を提供する。また、ユーザインタフェースサーバ102は、スコアの高い学習済みモデルを複数のユーザの間で共有できるように、それぞれのユーザ端末108に提供する。これらの提供は、次の講座を開始する際にユーザ端末108に提供されてもよい。
【0061】
このように、本実施形態に係る人材育成支援システム100は、各サーバが、上記のような機能を有することで、ユーザに対し、講座及び講座に対応する課題の提供し、学習の理解を高める演習を行う環境を提供し、演習の結果をフィードバックし、さらには、講座の受講者間で演習結果を共有できる環境を提供することができる。このような人材育成支援システム100により、ユーザにとっては、他のユーザと切磋琢磨する環境が提供され、講座の履修を継続し、学習した内容をその場で実践し、専門知識を身につけることができる。
【0062】
なお、図示されないが、クラウドサーバ104が備える計算処理部124の機能の一部又は全部は、ユーザインタフェースサーバ102に備えられていてもよいし、ユーザ端末108の側に備えられていてもよい。クラウドサーバ104が備える計算結果出力部126の機能の一部又は全部は、ユーザインタフェースサーバ102に備えられていてもよい。また、スコアリングサーバ106が備えるスコアリング部130の機能の一部が、ユーザインタフェースサーバ102に備えられていてもよい。
【0063】
図4及び
図5は、
図3に示す人材育成支援システム100を用いてユーザが学習を行う際に行われる処理の流れを説明するシーケンス図を示す。以下、
図4及び
図5を参照して、人材育成支援システム100で行われる処理の流れの一例を説明する。
【0064】
ユーザは、人材育成支援シシテム100によって提供される学習環境の中で、講義を受けるためにユーザ端末108からユーザインタフェースサーバ102に認証要求をする(S202)。ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザ情報を確認し(S204)、ユーザ端末108に対し講座の一覧情報(カリキュラム)を提供する(S206)。例えば、学習コースが複数ある場合には、ユーザが受講可能な講座一覧情報(カリキュラム)をユーザ端末108に提供する。
【0065】
ユーザは、ユーザ端末108を使って受講する講座を選択する(S208)。ユーザインタフェースサーバ102は、講座をユーザ端末108に提供する(S210)。講座の提供には、講義、講義で使われる資料(レジュメ、板書、参考資料(副教材)等)が含まれる。ユーザは、ユーザ端末108によって、提供された講義及び講義で使われる資料を使用して学習をする(S212)。学習は、複数のユーザがオンライン上で同時に講義を視聴し、また、インタラクティブに会話が交わされる形式であってもよいし、講義や講座のレジュメをユーザが独習する非インタラクティブな形式であってもよい。
【0066】
講義が進むと、ユーザインタフェースサーバ102は、講義に対応する課題をユーザ端末108に提供する(S214)。ユーザは、ユーザ端末108を操作して、課題に対する解答の作成を通して演習を行う(S216)。演習は、例えば、機械学習の学習モデルの作成であり、そのためにユーザはユーザ端末108を使って学習モデルの構築を行い(S218)、構築した学習モデルの訓練を行う(S220)。
【0067】
例えば、
図6に示すように、ユーザは機械学習の学習モデルを構築する際に、ユーザインタフェースサーバ102から提供された学習素材を用いてモデルの訓練を行う。例えば、一般物体を識別する学習モデルを構築する課題に対しては、モデル構築用の複数の画像のデータセットが提供される。画像データは既知のものでよく、例えば、インターネット上に掲載されているものであってもよい(例えば、CIFAR-10等)。複数の画像のデータセットは学習済みモデルの評価にも使用される。ユーザが機械学習の学習モデルを構築する際にユーザインタフェースサーバから提供されるモデル構築用の複数の画像のデータセットは、学習済みモデルの評価に使用される複数の画像のデータセットに含まれる画像のうち、80%~90%の数の画像データである。
【0068】
図4に示すように、モデルの訓練(S220)は、ユーザ端末108からユーザインタフェースサーバ102に訓練を依頼する形で行われる。ユーザインタフェースサーバ102は、演習支援部118で受付の処理を行い(S222)、クラウドサーバ104でモデルが実行される(S224)。実行の結果はユーザインタフェースサーバ102に戻され、ユーザインタフェースサーバ102はその戻された結果(例えば、分類精度)をユーザ端末108に送信する(S226)。ユーザは訓練の結果を見て、学習モデルのパラメータを調整し、再度訓練を試行する(S220)、といった処理を複数回繰り返すことができる。
【0069】
図5に示すように、ユーザは、演習が終わると、解答(学習済みモデル)を提出する処理を行う(S228)。解答(学習済みモデル)の提出は、ユーザ端末108の作業画面の操作により行われる。ユーザ端末108から提出された解答(学習済みモデル)は、ユーザインタフェースサーバ102の演習データ記録部120の機能によって記録媒体110に保存される(S230)。ユーザインタフェースサーバ102は、演習支援部118の機能により解答(学習済みモデル)の評価を行う(S232)。
【0070】
例えば、ユーザインタフェースサーバ102は、クラウドサーバ104に解答(学習済みモデル)の評価を命令し、クラウドサーバ104は解答である学習済みモデルのスコアリングを実行し(S234_1)、スコアリング結果をスコアリングサーバ106に出力する(S236_1)。他の実施形態として、ユーザインタフェースサーバ102が学習済みモデルのスコアリングを実行し(S234_2)、スコアリング結果をスコアリングサーバ106に出力してもよい(S236_2)。また、ユーザインタフェースサーバ102は、解答(学習済みモデル)をスコアリングサーバ106に提供し、スコアリングサーバ106で解答である学習済みモデルのスコアリングを実行してもよい(S234_3)。
【0071】
学習済みモデルの評価は、
図6に示すように、複数の画像のデータセットに含まれる全ての画像が用いられる。すなわち、機械学習の学習モデルを構築する際に使用する複数の画像のデータセットは全体の80%~90%の画像データであるのに対し、学習済みモデルの評価に用いる複数の画像のデータセットは全ての画像データ(100%)を用いる。このように、学習モデルの訓練用のデータセットのデータ量を、評価用のデータセットのデータ量より少なくすることで、学習済みモデルが未知の識別対象(未知の画像)に接したときも、正確に識別する能力を高めることができる。
【0072】
図5に示すように、スコアリングサーバ106は、スコアリングされた学習済みモデルを、スコアリングデータに基づいて順位付けが行われ(S238)、スコアリングの結果を記憶し、またユーザインタフェースサーバ102に出力する(S240)。
【0073】
ユーザインタフェースサーバ102は、ユーザ毎に課題の評価結果であるスコアを提供する(S242)。また、ユーザインタフェースサーバ102は、スコアの高い学習済みモデルを複数のユーザの間で共有できるように、それぞれのユーザ端末108に提供する(S244)。これらの提供は、次の講座を開始する際にユーザ端末108に提供されてもよい。ユーザ端末108は、ユーザインタフェースサーバ102から学習済みモデルのスコアを受信し、またスコアの高い学習済みモデルを共有する(S246)。
【0074】
図4及び
図5を参照して説明したように、本実施形態に係る人材育成支援システム100によって、ユーザインタフェースサーバ102によって、ユーザ端末108に機械学習の学習モデルの作成環境を提供し、ユーザインタフェースサーバ102によりクラウドサーバ104が、ユーザが生成した学習済みモデルを評価し、その評価結果をスコアリングサーバ106に出力し、スコアリングサーバ106により、学習済みモデルの評価結果をスコアリングする処理が行われる。
【0075】
本実施形態に係る人材育成支援システム100は、上記のようにユーザインタフェースサーバ102、クラウドサーバ104、及びスコアリングサーバ106が協働することで、ユーザに対し、講座及び講座で行われる講義に対応する課題の提供し、学習の理解を高める演習を行う環境を提供し、演習の結果をフィードバックし、さらには、講座の受講者間で演習結果を共有できる環境を提供することができる。このような人材育成支援システム100により、ユーザにとっては、他のユーザとのコミュニティが形成され、コミュニティの中で切磋琢磨する環境が提供され、講座の履修を継続し、学習した内容をその場で実践し、専門知識を身につけることができる。また、受講者を教育する側の講師にとっては、教育に係る負担を軽減することができる。
【0076】
本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
100・・・人材育成支援システム、102・・・ユーザインタフェースサーバ、104・・・クラウドサーバ、106・・・スコアリングサーバ、108・・・ユーザ端末、110・・・記録媒体、112・・・ユーザ情報認証部、114・・・講座情報提供部、116・・・課題提供部、118・・・演習支援部、120・・・演習データ記録部、122・・・スコアリング情報提供部、124・・・計算処理部、126・・・計算結果出力部、128・・・受信部、130・・・スコアリング部、132・・・スコアリング情報出力部、134・・・認証部、136・・・講座情報受信部、138・・・講座情報出力部、140・・・演習部、142・・・スピーカ、144・・・モニタ、146・・・入力部