(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146511
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20220928BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20220928BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/46 Z
H05K7/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047508
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】讃岐 育孝
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322AA07
5E322AA11
5E322AB02
5E322AB08
5E322FA04
5F136BC01
5F136BC02
5F136CB06
5F136CB07
5F136CB08
5F136CB27
5F136DA07
5F136DA27
5F136FA82
(57)【要約】
【課題】 複数の半導体パッケージのそれぞれを効率的に冷却する冷却器及び半導体装置を提供する。
【解決手段】 第1放熱板と、前記第1放熱板と反対側の第2放熱板を有する複数の半導体パッケージと、熱冷媒を流す第1方向の延在する流路を有する複数の多穴管と、前記複数の半導体パッケージのいずれかと前記複数の多穴管のいずれかとの間に設けられる複数の接合部材と、を備え、前記複数の多穴管において前記第2方向の一方の端に設けられた第1多穴管は、前記複数の接合部材の内の第1外側接合部材を介して、前記複数の半導体パッケージの内の第1半導体パッケージの前記第1放熱板に接合され、前記第1半導体パッケージの前記第2放熱板には、第1内側接合部材が設けられ、前記第1外側接合部材は、前記第1内側接合部材より熱抵抗が低い半導体装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1放熱板と、前記第1放熱板と反対側の第2放熱板を有する複数の半導体パッケージと、
熱冷媒を流す第1方向の延在する流路を有する複数の多穴管と、
前記複数の半導体パッケージのいずれかと前記複数の多穴管のいずれかとの間に設けられる複数の接合部材と、
を備え、
前記複数の多穴管のそれぞれは、前記第1方向に垂直な第2方向に並んで離隔して設けられ、
前記複数の半導体パッケージのそれぞれは、隣接する前記多穴管の間に設けられ、
前記複数の多穴管において前記第2方向の一方の端に設けられた第1多穴管は、前記複数の接合部材の内の第1外側接合部材を介して、前記複数の半導体パッケージの内の第1半導体パッケージの前記第1放熱板に接合され、前記第1半導体パッケージの前記第2放熱板には、第1内側接合部材が設けられ、
前記複数の多穴管において前記第2方向の他方の端に設けられた第2多穴管は、前記複数の接合部材の内の第2外側接合部材を介して、前記複数の半導体パッケージの内の第2半導体パッケージの前記第2放熱板に接合され、前記第2半導体パッケージの前記第1放熱板には、第2内側接合部材が設けられ、
前記第1外側接合部材は、前記第1内側接合部材より熱抵抗が低く、
前記第2外側接合部材は、前記第2内側接合部材より熱抵抗が低い、
半導体装置。
【請求項2】
第1放熱板と、前記第1放熱板と反対側の第2放熱板を有する半導体パッケージと、
前記半導体パッケージを挟み込む2以上の多穴管と、
を備え、
前記2以上の多穴管のうち、1の多穴管は前記第1放熱板が実装される第1の実装面を有し、他の多穴管は前記第2放熱板が実装される第2の実装面を有し、
前記半導体パッケージは、
前記半導体パッケージ内部の前記第1放熱板側の第1の熱抵抗及び前記第2放熱板側の第2の熱抵抗に応じた熱抵抗並びに前記第1の実装面側の管内熱伝達抵抗及び前記第2の実装面側の管内熱伝達抵抗に応じた熱抵抗を有する接合部材を用いて前記多穴管に接合される、
半導体装置。
【請求項3】
前記第1外側接合部材の熱伝導率は、前記第1内側接合部材の熱伝導率と等しく、
前記第1外側接合部材は、前記第1内側接合部材より薄く、
前記第2外側接合部材の熱伝導率は、前記第2内側接合部材の熱伝導率と等しく、
前記第2外側接合部材は、前記第2内側接合部材より薄い、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1外側接合部材の厚さは、前記第1内側接合部材の厚さと等しく、
前記第1外側接合部材の熱伝導率は、前記第1内側接合部材の熱伝導率より高く、
前記第2外側接合部材の厚さは、前記第2内側接合部材の厚さと等しく、
前記第2外側接合部材の熱伝導率は、前記第2内側接合部材の熱伝導率より高い、
請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱によるパワー半導体パッケージの温度上昇を抑えるために、冷媒を内部に流す多穴管が用いられる。
【0003】
特許文献1には、熱抵抗の小さい下アーム側を冷媒流れの下流に位置させることで、下流側において上流側よりも半導体チップ温度が上昇することを緩和して冷却する半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
両面に発熱面を有し、両面を冷却するパワー半導体パッケージにおいて、パワー半導体パッケージの両面を効率よく冷却することが求められる。
【0006】
本開示は、複数の半導体パッケージのそれぞれについて、半導体パッケージの両面を効率的に冷却する半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様によれば、第1放熱板と、前記第1放熱板と反対側の第2放熱板を有する複数の半導体パッケージと、熱冷媒を流す第1方向の延在する流路を有する複数の多穴管と、前記複数の半導体パッケージのいずれかと前記複数の多穴管のいずれかとの間に設けられる複数の接合部材と、を備え、前記複数の多穴管のそれぞれは、前記第1方向に垂直な第2方向に並んで離隔して設けられ、前記複数の半導体パッケージのそれぞれは、隣接する前記多穴管の間に設けられ、前記複数の多穴管において前記第2方向の一方の端に設けられた第1多穴管は、前記複数の接合部材の内の第1外側接合部材を介して、前記複数の半導体パッケージの内の第1半導体パッケージの前記第1放熱板に接合され、前記第1半導体パッケージの前記第2放熱板には、第1内側接合部材が設けられ、前記複数の多穴管において前記第2方向の他方の端に設けられた第2多穴管は、前記複数の接合部材の内の第2外側接合部材を介して、前記複数の半導体パッケージの内の第2半導体パッケージの前記第2放熱板に接合され、前記第2半導体パッケージの前記第1放熱板には、第2内側接合部材が設けられ、前記第1外側接合部材は、前記第1内側接合部材より熱抵抗が低く、前記第2外側接合部材は、前記第2内側接合部材より熱抵抗が低い半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の各実施形態の半導体装置によれば、複数の半導体パッケージのそれぞれについて、半導体パッケージの両面を効率的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態の半導体装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の半導体装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の半導体装置の半導体パッケージの上面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の半導体装置の半導体パッケージの下面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の半導体装置の冷却器の斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の半導体装置の冷却器の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の半導体装置の冷却器のヘッダの斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の半導体装置の冷却器の多穴管の側面図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の半導体装置の断面図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の半導体装置の半導体パッケージ内部の側面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の半導体装置の一部を拡大した断面図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の半導体装置の評価結果を説明する図である。
【
図14】
図14は、比較例の半導体装置の評価結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0011】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0012】
≪半導体装置1≫
図1は、本実施形態の半導体装置1の斜視図である。
図2は、本実施形態の半導体装置1の分解斜視図である。半導体装置1は、例えば、3相モータの各相のそれぞれに2つの半導体パッケージ20によって直流を交流に変換して電力を供給する電力変換器である。半導体装置1は、例えば、モータを駆動する電力変換装置に用いられる。
【0013】
なお、図には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が設定される場合がある。図面の紙面に対して垂直な座標軸については、座標軸の丸の中にバツ印は紙面に対して奥の方向が正、丸の中に黒丸印は紙面に対して手前側が正であることを表している。ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、半導体装置1等の姿勢について限定するものではない。
【0014】
なお、本開示では、特に説明しない限り、X軸は冷却器30の第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれの延在方向とする。また、Y軸は冷却器30の第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3が隣接する方向とする。なお、Y軸方向を、上下方向と呼ぶ場合がある。Z軸は、当該X軸、Y軸に垂直な方向とする。
【0015】
半導体装置1は、複数の半導体パッケージ20と、冷却器30と、を備える。
【0016】
本実施形態の半導体装置1は、6個の半導体パッケージ20を備える。具体的には、半導体装置1は、半導体パッケージ21、半導体パッケージ22、半導体パッケージ23、半導体パッケージ24、半導体パッケージ25及び半導体パッケージ26を備える。なお、以下の説明では、半導体パッケージ21、半導体パッケージ22、半導体パッケージ23、半導体パッケージ24、半導体パッケージ25及び半導体パッケージ26のそれぞれを区別して説明する必要がない場合は、それぞれを総称して半導体パッケージ20と呼ぶ場合がある。
【0017】
半導体パッケージ20は、冷却器30の後述する第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3の間に、横3列、縦2段に配置され、保持される。冷却器30には、冷媒導入口30ap1から冷媒(熱冷媒)、例えば、冷却水、が導入される。また、冷却器30に導入された冷媒は、冷媒導出口30ap2から導出される。半導体パッケージ20は、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3内を通流する冷却水と熱交換することにより冷却される。
【0018】
第1多穴管30b1と第2多穴管30b2との間に、第1ヘッダ30aの側から順に並んで、半導体パッケージ21、半導体パッケージ22及び半導体パッケージ23を備える。第1多穴管30b1と第2多穴管30b2は、半導体パッケージ21、半導体パッケージ22及び半導体パッケージ23を挟み込む。
【0019】
また、第2多穴管30b2と第3多穴管30b3との間に、第1ヘッダ30aの側から順に並んで、半導体パッケージ24、半導体パッケージ25及び半導体パッケージ26を備える。第2多穴管30b2と第3多穴管30b3は、半導体パッケージ24、半導体パッケージ25及び半導体パッケージ26を挟み込む。
【0020】
半導体装置1の半導体パッケージ20と冷却器30のそれぞれの詳細について説明する。
【0021】
<半導体パッケージ20>
図3は、本実施形態の半導体装置1の半導体パッケージ20の上面図である。
図4は、本実施形態の半導体装置1の半導体パッケージ20の下面図である。
【0022】
半導体パッケージ20は、例えば、1相分の上下アームを構成する2つの半導体素子がパッケージされたいわゆる2in1の半導体パッケージである。また、半導体パッケージ20は、いわゆる両面冷却型の半導体パッケージである。半導体パッケージ20の内部には、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、FET(Field-Effect Transistor)等のパワートランジスタ等の半導体素子が内蔵される。
【0023】
なお、内蔵する半導体素子としては、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やFWD(Free Wheeling Diode)等でもよい。また、載置される半導体素子は、前述のIGBTやFWDをワンチップ化したRB-IGBT(Reverse Blocking-Insulated Gate Bipolar Transistor)でもよい。更に、載置される半導体素子は、前述のIGBTやFWDをワンチップ化したRC-IGBT(Reverse Conducting-Insulated Gate Bipolar Transistor)でもよい。
【0024】
半導体パッケージ20は、略直方体状の形状の樹脂、例えば、エポキシ樹脂等、のケース20dを備える。ケース20dは、上面20dAと、上面20dAの反対側に下面20dBと、を有する。
【0025】
半導体パッケージ20は、ケース20dの側面に、電流端子20a1、電流端子20a2及び電流端子20a3と、制御端子20b1、制御端子20b2、制御端子20b3及び制御端子20b4と、を有する。電流端子20a1、電流端子20a2及び電流端子20a3と、制御端子20b1、制御端子20b2、制御端子20b3及び制御端子20b4とは、半導体パッケージ20のケース20dの側面から突出して設けられる。
【0026】
電流端子20a1、電流端子20a2及び電流端子20a3は、例えば、負荷に電流を流すための端子である。電流端子20a1、電流端子20a2及び電流端子20a3は、導電材料で形成される。制御端子20b1、制御端子20b2、制御端子20b3及び制御端子20b4は、負荷に流す電流を制御するための端子である。制御端子20b1、制御端子20b2、制御端子20b3及び制御端子20b4は、導電材料で形成される。
【0027】
また、半導体パッケージ20は、放熱板20c1及び放熱板20c2を有する。半導体パッケージ20に内蔵される例えばパワートランジスタは、発熱素子であることから、冷却する必要がある。放熱板20c1及び放熱板20c2は、当該発熱素子を放熱するために設けられる。放熱板20c1及び放熱板20c2は、熱伝導性の高い材料、例えば、銅などの金属で形成される。放熱板20c1及び放熱板20c2は、当該発熱素子に熱的に接続される。放熱板20c1は、ケース20dの上面20dAに設けられる。放熱板20c2は、ケース20dの下面20dBに設けられる。
【0028】
<冷却器30>
図5は、本実施形態の半導体装置1の冷却器30の斜視図である。
図6は、本実施形態の半導体装置1の冷却器30の分解斜視図である。
【0029】
冷却器30は、半導体パッケージ20を冷却する。冷却器30の内部には、冷媒が通流する。冷却器30は、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3内を通流する冷媒(例えば冷却水)と半導体パッケージ20との間で熱交換することにより、半導体パッケージ20を冷却する。なお、冷媒は水に限らず、不凍液を含む液体でもよい。
【0030】
冷却器30は、第1ヘッダ30aと、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3と、第2ヘッダ30cと、を備える。第2ヘッダ30cは、第1ヘッダ30aからX軸方向に離隔して設けられる。第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3は、Y軸方向、すなわち、X軸方向と交差する方向、に所定の間隔、具体的には、半導体パッケージ20を保持できる間隔、を隔てて設けられる。
【0031】
なお、X軸方向は、第2方向の一例である。
【0032】
第1ヘッダ30aは、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれの一端に連結される。具体的には、第1ヘッダ30aは、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれの-X側の端部に連結される。第2ヘッダ30cは、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれの他端に連結される。具体的には、第2ヘッダ30cは、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれの+X側の端部に連結される。
【0033】
[第1ヘッダ30a]
最初に、第1ヘッダ30aについて説明する。
図7は、本実施形態の半導体装置1の冷却器30の第1ヘッダ30aの斜視図である。第1ヘッダ30aは、冷媒を冷却器30の内部に導入するとともに、冷却器30の外部に導出する。第1ヘッダ30aは、壁部30aA、壁部30aB、壁部30aC、壁部30aD、壁部30aE及び壁部30aFにより構成される内部が空洞の直方体状である。
【0034】
第1ヘッダ30aの+X側の壁部である壁部30aEの一部が解放される。具体的には、第1ヘッダ30aは、壁部30aEに開口部30ah1、開口部30ah2及び開口部30ah3を有する。第1ヘッダ30aの開口部30ah1、開口部30ah2及び開口部30ah3には、それぞれ第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3の一端が挿入され、固定される。第1ヘッダ30aと、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3とは例えばロウ付けにて固定され、水密を確保する。
【0035】
第1ヘッダ30aは、壁部30aFに冷媒導入口30ap1及び冷媒導出口30ap2を有する。冷媒導入口30ap1は、外部の冷却装置から冷媒が導入される。冷媒導出口30ap2は、外部の冷却装置に冷媒を導出する。第1ヘッダ30aは、内部に後述する隔壁を有する。隔壁は、第1ヘッダ30aに導入される冷媒と、第1ヘッダ30aから導出される冷媒とを分ける壁である。隔壁については、後で詳細を述べる。
【0036】
[第1多穴管30b1、第2多穴管30b2、第3多穴管30b3]
次に、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3について説明する。
図8は、本実施形態の半導体装置1の冷却器30の第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3の側面図である。第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3は、長手方向の端部が解放され内部に冷媒が通流する管である。また、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3は、多穴管の内部を通流する冷媒と熱交換することで半導体パッケージ20を冷却する。
【0037】
第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3の短手方向の断面は外形が略長方形状になっている。第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3は、内部に分割された流路30bcを有するいわゆるマイクロチャネルである。
【0038】
第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3の各流路30bcは、Y軸方向(上下方向)に長い矩形状のマイクロチャネルになっている。なお、流路30bcは、Y軸方向に2段以上分けてもよい。
【0039】
なお、Y軸方向(上下方向)は、第1方向の一例である。
【0040】
第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3は、冷却面30bA、冷却面30bBを有する。半導体パッケージ20を冷却器30で冷却する場合には、冷却面30bA又は冷却面30bBに冷却する半導体パッケージ20が接触して設けられる。具体的には、冷却面30bA又は冷却面30bBと、半導体パッケージ20の放熱板20c1又は放熱板20c2とがハンダ付けや熱伝導グリス等の後述する接合部材で熱的に接合される。なお、冷却面30bA及び冷却面30bBは、半導体パッケージ20の放熱板20c1又は放熱板20c2が実装される実装面である。
【0041】
第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれの流路30bcは、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれの延在方向に対して一様な断面積を有する。第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれの流路30bcの延在方向と冷媒の流れ方向は、X軸方向で一致する。なお、流路30bcの断面積とは、本開示においては、それぞれの流路30bcの延在方向、すなわち、冷媒の流れ方向に垂直な面の断面積とする。
【0042】
第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3の少なくとも1本の多穴管は、第1ヘッダ30aから第2ヘッダ30cの方向に冷媒が流れ、残りの多穴管は、第2ヘッダ30cから第1ヘッダ30aの方向に冷媒が流れる。なお、以下の説明において、第1ヘッダ30aから第2ヘッダ30cの方向に冷媒が流れる多穴管を上流側多穴管、第2ヘッダ30cから第1ヘッダ30aの方向に冷媒が流れる多穴管を下流側多穴管、という場合がある。
【0043】
なお、多穴管の数は、3本に限らず、例えば、2本又は4本以上備えるようにしてもよい。半導体パッケージ20を挟み込むために、冷却器は多穴管を少なくとも2以上備える。
【0044】
[第2ヘッダ30c]
第2ヘッダ30cは、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3の少なくとも一本の多穴管から導入された冷媒を、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3の残りの多穴管に導入する。いいかえると、第2ヘッダ30cは、上流側多穴管から導入された冷媒を、下流側多穴管に導入する。
【0045】
第2ヘッダ30cは、片側が解放された空洞となっている。具体的には、第2ヘッダ30cは、-X側の面に開口部30ch1、開口部30ch2及び開口部30ch3を有する。第2ヘッダ30cの解放側には、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3の他端が挿入され、固定される。具体的には、開口部30ch1には、第1多穴管30b1の他端が挿入され、固定される。開口部30ch2には、第2多穴管30b2の他端が挿入され、固定される。開口部30ch3には、第3多穴管30b3の他端が挿入され、固定される。第2ヘッダ30cと、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3とは例えばロウ付けにて固定され、水密を確保する。
【0046】
<第1ヘッダ30aの隔壁>
ここで、第1ヘッダ30aに設けられる隔壁について説明する
【0047】
外部の冷却装置から冷却器30に導入される冷媒は、半導体パッケージ20から熱を吸収して冷却器30から導出される。よって、冷却器30を通流する冷媒は、導入された直後において一番温度が低く、徐々に熱を吸収して温度が高くなる。すなわち、上流側多穴管を流れる冷媒の温度より、下流側多穴管の冷媒の温度は高くなる。
【0048】
次に、第1ヘッダ30aに設けられる隔壁の位置をについて説明する。本実施形態の半導体装置1では、第1多穴管30b1及び第2多穴管30b2の2本の多穴管を上流側多穴管とする。また、第3多穴管30b3の1本の多穴管を下流側多穴管とする。
【0049】
図9、
図10は、本実施形態の半導体装置1の断面図である。具体的には、
図9は、半導体装置1を第1ヘッダ30a部分で、X軸方向に垂直な面で切断した断面図である。具体的には、
図10は、半導体装置1をZ方向の中心部分で、Z軸方向に垂直な面で切断した断面図である。なお、半導体パッケージ20については、内部の詳細は省略して、一様な断面として示している。
【0050】
本実施形態の半導体装置1では、第1多穴管30b1及び第2多穴管30b2が上流側多穴管、第3多穴管30b3が下流側多穴管となるように、隔壁30awを設ける。隔壁30awは、X軸方向において、第1ヘッダ30aの壁部30aFから壁部30aEまで延在する。
【0051】
第1多穴管30b1及び第2多穴管30b2は、壁部30aAの一部、壁部30aB、壁部30aCの一部及び隔壁30awと、壁部30aE及び壁部30aFと、に囲まれる空間SPinに連通する。空間SPinには、冷媒導入口30ap1からの冷媒が導入される。空間SPinに導入された冷媒は、空間SPinに連通する第1多穴管30b1及び第2多穴管30b2から導出される。
【0052】
一方、第3多穴管30b3は、壁部30aAの一部、隔壁30aw、壁部30aCの一部及び壁部30aDと、壁部30aE及び壁部30aFと、に囲まれる空間SPoutに連通する。空間SPoutに連通する第3多穴管30b3から冷媒が導入される。空間SPoutに導入された冷媒は、冷媒導出口30ap2から導出される。
【0053】
<熱の伝達について>
図11は、半導体パッケージ20の内部を示す側面図である。具体的には、
図11は、半導体パッケージ20のケース20dを取り外した図である。さらに、
図11は、電流端子20a1、電流端子20a2及び電流端子20a3と、制御端子20b1、制御端子20b2、制御端子20b3及び制御端子20b4と、を取り外した図である。
【0054】
半導体パッケージ20は、内部に、1つ又は複数の半導体素子20eと、絶縁基板20f及び絶縁基板20gと、1つ又は複数の半導体素子20eのそれぞれと絶縁基板20fとの間を接続する1つ又は複数の接続部材20hを備える。
【0055】
半導体素子20eは、IGBT、FET等のパワートランジスタ等の半導体素子である。半導体素子20eは、動作時に発熱する。
【0056】
絶縁基板20fは、放熱層20fa及び導電層20fbと、絶縁層20fcと、を備える。放熱層20faは、絶縁層20fcに対して半導体パッケージ20の外側に配置される。放熱層20faには、放熱板20c1が設けられる。導電層20fbは、絶縁層20fcに対して半導体パッケージ20の内側に配置される。放熱層20faには、接続部材20hが接続される。
【0057】
絶縁基板20gは、放熱層20ga及び導電層20gbと、絶縁層20gcと、を備える。放熱層20gaは、絶縁層20gcに対して半導体パッケージ20の外側に配置される。放熱層20gaには、放熱板20c2が設けられる。導電層20gbは、絶縁層20gcに対して半導体パッケージ20の内側に配置される。放熱層20gaには、半導体素子20eが載置される。また、半導体素子20eには、接続部材20hが接続される。接続部材20hにより、半導体素子20eと絶縁基板20fとが接続される。
【0058】
半導体素子20eで発熱した熱は、放熱板20c1及び放熱板20c2から放熱される。半導体素子20eから熱の一部は、導電層20gb、絶縁層20gc及び放熱層20gaを順に伝搬して、放熱板20c2から放熱される。導電層20gb、絶縁層20gc及び放熱層20gaを順に伝搬する経路を放熱経路HP1という。
【0059】
また、半導体素子20eから熱の一部は、接続部材20h、導電層20fb、絶縁層20fc及び放熱層20faを順に伝搬して、放熱板20c1から放熱される。接続部材20h、導電層20fb、絶縁層20fc及び放熱層20faを順に伝搬する経路を放熱経路HP2という。
【0060】
放熱経路HP1と放熱経路HP2とを比較すると、放熱経路HP2の方が熱が伝搬する経路が長く、かつ、接続部材20hを経由することから伝熱しにくい。すなわち、放熱経路HP2の熱抵抗は、放熱経路HP1の熱抵抗より高い。
【0061】
次に、接合部材について説明する。
図12は、本実施形態の半導体装置1の一部を拡大した断面図である。
【0062】
半導体装置1は、半導体パッケージ21、半導体パッケージ22及び半導体パッケージ23のそれぞれと、第1多穴管30b1との間に、それぞれ接合部材41a、接合部材42a及び接合部材43aを備える。また、半導体装置1は、半導体パッケージ21、半導体パッケージ22及び半導体パッケージ23のそれぞれと、第2多穴管30b2との間に、それぞれ接合部材41b、接合部材42b及び接合部材43bを備える。
【0063】
更に、半導体装置1は、半導体パッケージ24、半導体パッケージ25及び半導体パッケージ26のそれぞれと、第2多穴管30b2との間に、それぞれ接合部材44a、接合部材45a及び接合部材46aを備える。また、半導体装置1は、半導体パッケージ24、半導体パッケージ25及び半導体パッケージ26のそれぞれと、第3多穴管30b3との間に、それぞれ接合部材44b、接合部材45b及び接合部材46bを備える。
【0064】
なお、接合部材41a等について、それぞれ区別する必要がない場合は、総称して接合部材40という。
【0065】
接合部材40は、例えば、ハンダ付けや熱伝導グリスである。接合部材40は、半導体パッケージと多穴管との間を熱的に接合する。すなわち、多穴管は接合部材40を介して半導体パッケージの放熱板に接合される。また、接合部材40は、半導体パッケージと多穴管との間を機構的に接合してもよい。半導体パッケージと多穴管との間に隙間があると、半導体パッケージから多穴管への熱の伝達が妨げられる。そこで、半導体装置1では、半導体パッケージと多穴管との間に、接合部材40を備える。
【0066】
接合部材40は、種類によって半導体パッケージから多穴管に熱が伝達する際の熱抵抗が異なる。また、接合部材40は、厚さによっても熱抵抗が半導体パッケージから多穴管に熱が伝達する際の熱抵抗が異なる。本開示の半導体装置1では、接合部材40の熱伝導率と厚さを調整することによって、各接合部材40での熱抵抗を調整して、冷却したときの冷却効率を半導体パッケージの間で均等になるように調整する。
【0067】
本開示では、半導体パッケージ24、半導体パッケージ25及び半導体パッケージ26のそれぞれと、第3多穴管30b3との間に備える接合部材44b、接合部材45b及び接合部材46bのそれぞれは、互いに同じ厚さであるとする。また、接合部材44b、接合部材45b及び接合部材46bのそれぞれの厚さをt1とする。
【0068】
また、半導体パッケージ24、半導体パッケージ25及び半導体パッケージ26のそれぞれと、第2多穴管30b2との間に備える接合部材44a、接合部材45a及び接合部材46aのそれぞれは、互いに同じ厚さであるとする。また、接合部材44a、接合部材45a及び接合部材46aのそれぞれの厚さをt2とする。
【0069】
本開示では、半導体パッケージ21、半導体パッケージ22及び半導体パッケージ23のそれぞれと、第2多穴管30b2との間に備える接合部材41b、接合部材42b及び接合部材43bのそれぞれは、互いに同じ厚さであるとする。また、接合部材41b、接合部材42b及び接合部材43bのそれぞれの厚さをt3とする。
【0070】
また、半導体パッケージ21、半導体パッケージ22及び半導体パッケージ23のそれぞれと、第1多穴管30b1との間に備える接合部材41a、接合部材42a及び接合部材43aのそれぞれは、互いに同じ厚さであるとする。また、接合部材41a、接合部材42a及び接合部材41aのそれぞれの厚さをt4とする。
【0071】
第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3とを比較すると、第2多穴管30b2に接続される半導体パッケージ20の数は、第1多穴管30b1又は第3多穴管30b3より多い。したがって、均一に冷却することを考えると、第2多穴管30b2に接続される半導体パッケージ20から第2多穴管30b2に伝熱する熱量を減らして、減らした熱量を第1多穴管30b1又は第3多穴管30b3に伝熱することが望ましい。
【0072】
本開示の半導体装置1では、第2多穴管30b2に接続する半導体パッケージ20と第2多穴管30b2との間の接合部材40の熱抵抗を大きくする。
【0073】
具体的には、第2多穴管30b2に接続する半導体パッケージ20である半導体パッケージ21、半導体パッケージ22及び半導体パッケージ23と、第2多穴管30b2と、の間の接合部材41b、接合部材42b及び接合部材43bの熱抵抗を大きくする。
【0074】
また、具体的には、第2多穴管30b2に接続する半導体パッケージ20である半導体パッケージ24、半導体パッケージ25及び半導体パッケージ26と、第2多穴管30b2と、の間の接合部材44a、接合部材45a及び接合部材46aの熱抵抗を大きくする。
【0075】
接合部材40の熱抵抗を大きくする場合は、例えば、接合部材40として熱伝導率の低い部材を用いる。また、接合部材40の熱抵抗を大きくする場合は、例えば、接合部材40の厚さを厚くする。
【0076】
更には、第1多穴管30b1に接続する半導体パッケージ20である半導体パッケージ21、半導体パッケージ22及び半導体パッケージ23と、第1多穴管30b1と、の間の接合部材41a、接合部材42a及び接合部材43aの熱抵抗を小さくする。
【0077】
また、具体的には、第3多穴管30b3に接続する半導体パッケージ20である半導体パッケージ24、半導体パッケージ25及び半導体パッケージ26と、第3多穴管30b3と、の間の接合部材44b、接合部材45b及び接合部材46bの熱抵抗を小さくする。
【0078】
接合部材40の熱抵抗を小さくする場合は、例えば、接合部材40として熱伝導率の高い部材を用いる。また、接合部材40の熱抵抗を小さくする場合は、例えば、接合部材40の厚さを薄くする。
【0079】
更には、上述のように、半導体パッケージ20の内部で、発熱素子から放熱板20c1又は放熱板20c2までの熱抵抗が異なる場合は、放熱板20c1又は放熱板20c2に接続する接合部材40の熱抵抗を異ならせる。例えば、発熱素子から放熱板20c2までの熱抵抗が、発熱素子から放熱板20c1までの熱抵抗が小さい場合は、放熱板20c2に接続する接合部材40の熱抵抗を放熱板20c1に接続する接合部材40の熱抵抗より大きくする。
【0080】
具体的に、接合部材の熱抵抗を調整した場合の効果について説明する。
【0081】
図13は、本実施形態の半導体装置1の評価結果を説明する図である。具体的には、熱伝導率が1.5W/m・K程度で一定のもとで、厚さt1を0.1mm、厚さt2を1.6mm、厚さt3を1.0mm、厚さt4を0.7mmとした結果である。なお、
図14は、比較例の半導体装置の評価結果を説明する図である。具体的には、厚さt1、厚さt2、厚さt3及び厚さt4のそれぞれの厚さを0.85mmにした場合の結果である。
【0082】
図13、
図14において、発熱体1は、第1多穴管30b1と第2多穴管30b2との間に設けられる半導体パッケージ20である。発熱体2は、第2多穴管30b2と第3多穴管30b3との間に設けられる半導体パッケージ20である。下側は、第1多穴管30b1側、上側は第3多穴管30b3側を表す。
【0083】
発熱体から多穴管までの熱抵抗は、発熱体自身が内部にもつ熱抵抗と、接合部材(接合材)の熱抵抗と、多穴管の熱伝導抵抗(多穴管熱伝導抵抗)と、多穴管の管内における熱伝達抵抗(管内平均熱伝達抵抗)の和となる。
【0084】
発熱体1及び発熱体2のそれぞれが内部に有する熱抵抗は、上側の放熱板から放熱する場合と、下側の放熱板から放熱する場合とで異なる場合がある。発熱体1及び発熱体2のそれぞれは、上側の放熱板から放熱する場合の方が大きな熱抵抗を有する。
【0085】
多穴管熱伝導抵抗は、多穴管、具体的には、多穴管を構成する壁を熱が伝導するときの熱抵抗である。管内平均熱伝達抵抗は、多穴管の壁から冷媒に熱が伝達する際の抵抗である。
【0086】
多穴管を流れる冷媒の流速により、管内平均熱伝達抵抗は多穴管によって異なる。例えば、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3を比較すると、第3多穴管30b3の管内平均熱伝達抵抗は、第1多穴管30b1及び第2多穴管30b2の管内平均熱伝達抵抗より低くなる。
【0087】
本実施形態の半導体装置1では、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれに発熱体1及び発熱体2から入熱する伝熱量が等しくなるように接合部材の熱抵抗を定める。具体的には、発熱体1及び発熱体2に相当する半導体パッケージ20の放熱板20c1側の熱抵抗と、放熱板20c2側の熱抵抗に応じて接合部材の熱抵抗を定める。また、発熱体1及び発熱体2に相当する半導体パッケージ20が実装される多穴管の管内熱伝達抵抗に応じて接合部材の熱抵抗を定める。
【0088】
すなわち、半導体パッケージ20は、半導体パッケージ20の内部の放熱板20c1側の第1の熱抵抗及び放熱板20c2側の第2の熱抵抗に応じた熱抵抗を有する接合部材を用いて多穴管に接合される。また、半導体パッケージ20は、半導体パッケージ20の放熱板20c1が実装される多穴管の実装面側の管内熱伝達抵抗及び放熱板20c2が実装される多穴管の管内熱伝達抵抗に応じた熱抵抗を有する接合部材を用いて多穴管に接合される。更に、半導体パッケージ20は、上述の半導体パッケージ20の内部の熱抵抗及び実装される多穴管の管内熱伝達抵抗の両方に応じた熱抵抗を有する接合部材を用いて接合される。
【0089】
本実施形態の半導体装置1において、発熱体1の下側の熱抵抗R1aを1とすると、発熱体1の上側の熱抵抗R1bは2、発熱体2の下側の熱抵抗R2aは1.7、発熱体2の上側の熱抵抗R2bは1.1となる。
【0090】
上記熱抵抗を考慮して、本実施形態の半導体装置1における第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれに、発熱体1及び発熱体2から入熱する伝熱量を求める。第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれに、発熱体1及び発熱体2から入熱する伝熱量は、第1多穴管30b1に入熱する伝熱量を1とすると、第2多穴管30b2に入熱する伝熱量は1.1、第3多穴管30b3に入熱する伝熱量は0.9となる。
【0091】
一方、比較例の半導体装置において、発熱体1の下側の熱抵抗R1aを1とすると、発熱体1の上側の熱抵抗R1bは1.7、発熱体2の下側の熱抵抗R2aは1、発熱体2の上側の熱抵抗R2bは1.6となる。
【0092】
上記熱抵抗を考慮して、比較例の半導体装置における第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれに、発熱体1及び発熱体2から入熱する伝熱量を求める。第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれに、発熱体1及び発熱体2から入熱する伝熱量は、第1多穴管30b1に入熱する伝熱量を1とすると、第2多穴管30b2に入熱する伝熱量は1.5、第3多穴管30b3に入熱する伝熱量は0.7となる。
【0093】
上述のように、半導体装置1においては、第1多穴管30b1、第2多穴管30b2及び第3多穴管30b3のそれぞれに伝熱する伝熱量を均一にすることができた。一方、比較例の半導体装置においては、第2多穴管30b2への伝熱量が多くなった。
【0094】
なお、第1多穴管30b1は第2方向の一方の端に設けられた第1多穴管の一例、第3多穴管30b3は第2方向の他方の端に設けられた第2多穴管の一例とすると、例えば、半導体パッケージ22が第1半導体パッケージの一例、半導体パッケージ25が第2半導体パッケージの一例である。また、接合部材42aが第1外側接合部材の一例、接合部材42bが第1内側接合部材の一例、接合部材45aが第2内側接合部材の一例、接合部材45bが第2外側接合部材の一例である。また、半導体パッケージ20の放熱板20c1及び放熱板20c2は、第1放熱板及び第2放熱板の一例である。
【0095】
<作用・効果>
本実施形態の半導体装置1は、複数の半導体パッケージ20を均等に冷却できる。
【0096】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 半導体装置
20、21、22、23、24、25、26 半導体パッケージ
20c1、20c2 放熱板
30 冷却器
30b1 第1多穴管
30b2 第2多穴管
30b3 第3多穴管
41a、41b、42a、42b、43a、43b、44a、44b、45a、45b、46a、46b 接合部材
SPin 空間
SPout 空間