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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146535
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/50 20060101AFI20220928BHJP
   E05D 15/10 20060101ALI20220928BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20220928BHJP
   F16D 3/04 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
E06B3/50
E05D15/10
F16H25/20 Z
F16D3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047539
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】中桐 卓大
【テーマコード(参考)】
2E014
2E034
3J062
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E034GB11
3J062AA45
3J062AB21
3J062AC07
3J062BA40
3J062CD02
3J062CD22
(57)【要約】
【課題】障子の複数箇所を支持して障子を移動させる複数の駆動部を備え、障子をスムーズに移動させることが可能な建具を提供すること。
【解決手段】建具1は、障子20と、障子20の複数箇所に接続され障子20を移動させる複数の駆動機構4と、障子20と複数の駆動機構4それぞれとを連結する連結部48と、を備え、障子20と連結部48とは遊びを有して接続され、又は、駆動機構4と連結部48とは遊びを有して接続される。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子と、
前記障子の複数箇所に接続され前記障子を移動させる複数の駆動機構と、
前記障子と前記複数の駆動機構それぞれとを連結する連結部と、を備え、
前記障子と前記連結部とは遊びを有して接続され、又は、前記駆動機構と前記連結部とは遊びを有して接続される、建具。
【請求項2】
前記遊びは、貫通孔と前記貫通孔に挿入されるピン部材との間に形成される隙間により形成される、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記駆動機構は、駆動軸を有する駆動部と、前記駆動軸に交差した状態で前記駆動軸に接続される移動軸であって該移動軸の軸方向に沿って前記障子を移動させる移動軸と、を有する、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記障子は、室内外方向に移動可能に構成される、請求項1~3のいずれかに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、障子を室内外方向に移動させることが可能な建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、例えば、障子の上部の2箇所及び下部の2箇所の計4箇所にモータ(駆動部)を設け、4つのモータを駆動させて、障子を室内外方向に移動させる機構が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-33853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
障子の4箇所に設けた4つのモータを駆動させて障子を室内外方向に移動させる機構においては、障子の4箇所にモータが接続されている。そのため、4つのモータを同時に駆動した場合に、4つのモータの製造時の寸法誤差や取り付け誤差などにより、障子がスムーズに移動しなくなったり動かなくなる可能性がある。
【0005】
本開示は、障子の複数箇所を支持して障子を移動させる複数の駆動部を備え、障子をスムーズに移動させることが可能な建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、障子と、前記障子の複数箇所に接続され前記障子を移動させる複数の駆動機構と、前記障子と前記複数の駆動機構それぞれとを連結する連結部と、を備え、前記障子と前記連結部とは遊びを有して接続され、又は、前記駆動機構と前記連結部とは遊びを有して接続される建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のパノラマ窓が閉位置に位置した状態を示す正面図である。
図2A図1のA-A線断面図であって、パノラマ窓が閉位置に位置した状態を示す横断面図である。
図2B図2Aに示す閉位置から、パノラマ窓が途中位置に移動した状態を示す横断面図である。
図2C図2Bに示す位置から、パノラマ窓が開位置に位置した状態を示す横断面図である。
図3A図1のB-B線断面図であって、パラレル側上部回転蓋及びパラレル側下部回転蓋が閉まった状態を示す図である。
図3B図1のB-B線断面図であって、パラレル側上部回転蓋及びパラレル側下部回転蓋が開いた状態を示す図である。
図4A図1のC-C線断面図であって、パラレル移動障子が室外側に位置した状態を示す図である。
図4B図1のC-C線断面図であって、パラレル移動障子が室内側に位置した状態を示す図である。
図5A図1のD-D線断面図であって、スライド移動障子が左右方向の左側に位置するとともに、スライド側下部回転蓋が開いた状態を示す図である。
図5B図1のD-D線断面図であって、スライド移動障子が左右方向の右側に位置すると共に、スライド側下部回転蓋が閉まった状態を示す図である。
図6】パノラマ窓の上枠の左右方向の右側の部分を室外側の斜め下方から見た斜視図である。
図7】パノラマ窓の下枠の左右方向の右側の部分を室外側の斜め上方から見た斜視図である。
図8】パノラマ窓の下枠の左右方向の右側の部分に配置されるパラレル側見込方向移動機構、パラレル側下部開閉機構及びパラレル側見込位置規制機構を示す図である。
図9】パノラマ窓の下枠の左右方向の左側の端部側の部分を室外側の斜め上方から見た斜視図である。
図10】スライド側下部開閉機構を示す斜視図である。
図11】スライド移動障子の戸車を示す斜視図である。
図12】スライド用右側レール板とスライド用左側レール板とが隙間を有して連続して並んで配置された状態を示す斜視図である。
図13】スライド用右側レール板とスライド用左側レール板とが隙間を有して連続して並んで配置された状態を示す断面図である。
図14図3Aにおいて下枠側の部分を拡大した拡大断面図である。
図15図5Aにおいて下枠側の部分を拡大した拡大断面図である。
図16】見込方向移動駆動機構を示す斜視図である。
図17】パラレル移動障子の室内側への移動を規制する規制機構を示す斜視図である。
図18】スライド移動障子の戸車が、スライド用左側レール板からスライド用右側レール板に移動する状態を示す図である。
図19】スライド移動障子の戸車が、図18に示す位置から、更に、スライド用右側レール板側に移動する状態を示す図である。
図20】スライド移動障子の戸車が、スライド用右側レール板からスライド用左側レール板に移動する状態を示す図である。
図21】スライド移動障子の戸車が、図20に示す位置から、更に、スライド用左側レール板側に移動する状態を示す図である。
図22】第2実施形態のスライド側下部開閉機構を示す斜視図である。
図23】第3実施形態の見込方向移動駆動機構を示す断面図である。
図24】第3実施形態の見込方向移動駆動機構を示す斜視図である。
図25図24のE-E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、第1実施形態の建具としてのパノラマ窓1について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具の枠体に収められる障子の面内方向を意味し、「見込方向」とは、室内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。また、見付方向において、図1における左右の方向を左右方向Xといい、図1のパノラマ窓1を室内側から見た場合に、図1における左右方向Xの一方側である右側を右側X1といい、左右方向Xの他方側である左側を左側X2という。また、図2A図2Cにおける室内外方向を見込方向Yといい、見込方向Yにおける奥側を室外側Y1といい、手前側を室内側Y2という。
【0009】
本実施形態のパノラマ窓1は、図1に示すように、建物の開口部に設けられる枠体10と、パラレル移動障子20と、スライド移動障子30と、パラレル移動障子20を見込方向に移動させるパラレル側見込方向移動機構4(駆動機構)と、スライド移動障子30を見付方向に移動させるスライド側見付方向移動機構5と、パラレル側下部開閉機構6と、パラレル側上部開閉機構7と、パラレル側見込位置規制機構8と、スライド側下部開閉機構9(回転駆動機構)と、を備える。パラレル移動障子20及びスライド移動障子30は、枠体10内に配置される。
【0010】
図1に示すように、枠体10は、上枠11、下枠12(横枠)及び一対の縦枠13、13が、方形状に枠組みされている。上枠11、下枠12及び一対の縦枠13,13は、例えば、アルミニウムを押し出し成型することによって形成される。枠体10内には、パラレル移動障子20(障子)及びスライド移動障子30(障子)が配置される。
【0011】
一対の縦枠13,13は、図2Aに示すように、それぞれ、室内側Y2及び左右方向Xの内側が開放する断面視略L字状に形成される。一対の縦枠13,13それぞれの左右方向Xの内側の面には、縦枠補助枠131が取り付けられている。縦枠補助枠131は、メンテナンスの際や他の色に変更する場合に、交換可能である。一対の縦枠13,13の間には、パラレル移動障子20及びスライド移動障子30が配置される。
【0012】
本実施形態のパノラマ窓1は、図2A図2Cに示すように、枠体10内において、パラレル移動障子20及びスライド移動障子30を、閉位置(図1及び図2A)と、途中位置(図2B)と、開位置(図2C)と、に移動させることが可能である。
【0013】
パラレル移動障子20は、閉位置において、枠体10内の左右方向Xの右側X1(図1参照)に配置され、パラレル側見込方向移動機構4(図1参照)により、見込方向Yに移動可能に構成される。スライド移動障子30は、閉位置において、枠体10内の左右方向の右側X1(図1参照)に配置され、スライド側見付方向移動機構5(図1参照)により、見付方向の左右方向Xに移動可能に構成される。
【0014】
本実施形態においては、パラレル移動障子20は、枠体10内において見込方向Y(室内外方向)のみに移動可能である。また、スライド移動障子30は、枠体10内において、見付方向の左右方向X(横方向)のみに移動可能である。これにより、パラレル移動障子20を枠体10内において見込方向Yのみに移動した後に、スライド移動障子30を見付方向の左右方向Xのみに移動させて、パノラマ窓1を開くことができる。これにより、眺望性を保ちつつ、開閉可能なパノラマ窓1を実現できる。
【0015】
パノラマ窓1が閉位置に位置した場合に、図2Aに示すように、パラレル移動障子20及びスライド移動障子30は、枠体10内において、見付方向の左右方向Xに一直線上に並んで配置される。
【0016】
また、枠体10内において、図2Aに示す閉位置から、パラレル移動障子20を見込方向Yの室内側Y2に移動させることで、図2Bに示すように、パラレル移動障子20が室内側Y2に移動した途中位置に配置される。
【0017】
また、枠体10内において、図2Bに示す途中位置から、一対のスライド移動障子30を左右方向Xの右側X1に移動させることで、図2Cに示すように、スライド移動障子30が左右方向Xの右側X1に移動した開位置に配置される。パノラマ窓1が開位置に位置した場合に、パラレル移動障子20及びスライド移動障子30は、枠体10内において、見込方向Yに見た場合に、左右方向Xの右側X1において、見込方向Yに重なって配置される。
【0018】
枠体10について説明する。上枠11は、図3A図5Bに示すように、見込方向Yに幅を有して、図1に示すように、左右方向Xに延びる。上枠11は、図3A図5Bに示すように、室外側Y1に設けられ室内側Y2及び下方が開放して形成された断面視略L字状の上枠室外側本体部111と、室内側Y2に設けられ室外側Y1及び下方が開放して形成された断面視略L字状の上枠室内側本体部112と、上枠室外側本体部111の下端部から室内側Y2に突出する上枠室外側下部水平突出部113と、上枠室内側本体部112の下端部の室外側Y1に設けられる上枠室内側カバー114と、上枠室内側固定蓋部115(図5A図5B参照)と、パラレル側上部回転蓋部15(図3A図4B参照)と、を有する。パラレル側上部回転蓋部15は、上枠11の内部に配置される。
【0019】
上枠室外側本体部111及び上枠室内側本体部112が連続して形成された状態において、上枠11の下部には、下方に向けて開放する上枠下方開口部117が形成される。
【0020】
上枠下方開口部117には、パノラマ窓1が閉位置に位置した状態において、パノラマ窓1の左右方向Xの右側X1(図1参照)においては、図3A図4Bに示すように、パラレル移動障子20の上端部が配置される。パラレル移動障子20の上端部は、パノラマ窓1の左右方向Xの右側X1(図1参照)において、見込方向Yに移動可能に配置される。
【0021】
上枠下方開口部117には、パノラマ窓1が閉位置に位置した状態において、パノラマ窓1の左右方向Xの左側X2(図1参照)においては、図5A及び図5Bに示すように、スライド移動障子30の上端部が配置される。スライド移動障子30の上端部は、パノラマ窓1の左右方向Xに移動可能に配置される。
【0022】
図1に示すパノラマ窓1の左右方向Xの右側X1(図1参照)において、図3A及び図3Bに示すように、パラレル移動障子20が見込方向Y(室内外方向)に移動する場合に、パラレル側上部開閉機構7(図1図6参照)により、パラレル側上部回転蓋部15が開閉される。
【0023】
パラレル側上部回転蓋部15は、図3A図3B及び図6に示すように、パラレル側上部開閉機構7に接続される。パラレル側上部回転蓋部15は、パラレル側上部開閉機構7に接続されるモータ側枠部151と、モータ側枠部151に接続される蓋側枠部152と、を有する。
【0024】
モータ側枠部151及び蓋側枠部152は、別々に設けられ、互いが固定されることで一体に構成される。パラレル側上部回転蓋部15(図6参照)は、パラレル側上部開閉機構7(図1図6参照)のモータ71が駆動されることで、図3A及び図3Bに示すように、回転軸7aを中心に一体で回転される。蓋側枠部152は、メンテナンスの際などに、取り外して交換可能である。
【0025】
パラレル側上部回転蓋部15は、上枠11の見込方向Yの中央側において、蓋側枠部152が上枠下方開口部117を閉める閉位置(図3A参照)と、蓋側枠部152が室内側Y2の斜め上側に回転して退避して上枠下方開口部117を開ける開位置(図3B参照)と、に回転可能である。
【0026】
図3Aに示すように、パラレル移動障子20が室外側Y1に位置する場合には、パラレル側上部回転蓋部15を閉位置に位置させる。パラレル側上部回転蓋部15を閉位置に位置させた場合には、上枠下方開口部117が閉められて、蓋側枠部152の下面と上枠11の上枠室内側カバー114の下面とが同一平面上に配置される。
【0027】
パラレル移動障子20を室外側Y1(図4A参照)から室内側Y2(図4B参照)に移動させる場合には、図3Bに示すように、パラレル側上部回転蓋部15を開位置に回転させて、蓋側枠部152を室内側Y2の斜め上側に回転して退避させることで、パラレル移動障子20を、室外側Y1(図4A参照)から室内側Y2(図4B参照)に移動可能な状態にすることができる。
【0028】
図1に示すパノラマ窓1の左右方向Xの全域において、図3A図5Bに示すように、上枠下方開口部117の見込方向Yの室内側Y2の部分は、開閉しないで固定される上枠室内側カバー114により閉じられている。上枠室内側カバー114は、図5Aに示すように、上枠室内側本体部112の室内側Y2の下端に固定された取付枠112aに着脱可能に取り付けられている。上枠室内側カバー114は、メンテナンスの際などに、取り外して交換可能である。
【0029】
図5A及び図5Bに示すように、上枠室内側カバー114は、後述する上枠室内側固定蓋部115と同じ形状に形成され、上枠室内側カバー114の取付構造は、後述する上枠室内側固定蓋部115の取付構造と同様である。そのため、上枠室内側カバー114の取付構造の説明は、後述する上枠室内側固定蓋部115の取付構造の説明を援用して、その説明を省略する。
【0030】
図1に示すパノラマ窓1の左右方向Xの左側X2(図1参照)において、図5Aに示すように、上枠下方開口部117の見込方向Yの中央側の部分は、開閉しないで固定される上枠室内側固定蓋部115により閉じられている。上枠室内側固定蓋部115は、メンテナンスの際などに、取り外して交換可能である。
【0031】
上枠室内側固定蓋部115の取付構造について説明する。図5A及び図5Bに示すように、上枠室内側本体部112の角部分の内側の面には、上部ホロー枠118が固定される。上部ホロー枠118の下面には、上枠11の見込方向Yの中央寄りにおいて、上部ホロー枠118よりも見込方向Yの長さが短い中間ホロー枠119が固定される。ここで、図5Bに示す状態から、上部ホロー枠118及び中間ホロー枠119を取り外すことで、スライド側見付方向移動機構5のモータ等を交換することが可能である。
【0032】
図5Aに示すように、中間ホロー枠119は、ホロー枠本体119aと、水平延出板119bと、下部回転軸側係合部119gと、下部係止側係合部119hと、を有する。水平延出板119bは、中間ホロー枠119の上下方向の中間の室外側Y1の面から、室外側Y1に突出して延びる。水平延出板119bを設けた理由は、図5Bに示すように、スライド移動障子30が左右方向X左側X2に移動して、上枠11の左右方向Xの左側X2の上枠室外側本体部111の内部にスライド移動障子30が存在しない場合に、上枠11の上枠室外側本体部111側の下方の上枠下方開口部117から、上枠11の内部を見えにくいようにするためである。
【0033】
図5Aに示すように、下部回転軸側係合部119g及び下部係止側係合部119hは、中間ホロー枠119の下端部において、見込方向Yに所定距離離間して配置される。下部回転軸側係合部119g及び下部係止側係合部119hには、上枠室内側固定蓋部115が着脱可能に係合されて固定される。
【0034】
下部係止側係合部119hは、中間ホロー枠119の下端において室外側Y1に水平に突出する突出部119iを有する。
【0035】
下部回転軸側係合部119gは、ホロー枠本体119aの室外側Y1の下端から下方に所定長さ延びる下方延出部119cと、下方延出部119cの下端部から下方に円弧状に所定長さ突出する円弧状突出部119dと、円弧状突出部119dから室外側Y1に水平に所定長さ延びる水平延出部119eと、水平延出部119eの室外側Y1の端部に形成される軸部119fと、を有する。
【0036】
上枠室内側固定蓋部115は、室外側Y1において下部回転軸側係合部119gに係合されると共に、室内側Y2において下部係止側係合部119hに係合することで、中間ホロー枠119に着脱可能に取り付けられる。
【0037】
上枠室内側固定蓋部115は、見込方向延在下面板115aと、見込方向延在下面板115aの室外側Y1の上面から上方に突出して形成される第1円弧片115b及び第2円弧片115cと、見込方向延在下面板115aの室内側Y2の上面から上方に突出して形成される上方突出片115dと、を有する。
【0038】
上方突出片115dは、上下方向の途中において、室内側Y2に突出する係止突起115eを有する。係止突起115eは、上枠室内側固定蓋部115が中間ホロー枠119の下端に取り付けられた状態において、中間ホロー枠119の下部係止側係合部119hの突出部119iに係止される。
【0039】
見込方向延在下面板115aの上面に形成される第1円弧片115b及び第2円弧片115cにおいて、第1円弧片115bは、室外側Y1に配置され、第2円弧片115cは、室内側Y2に配置される。第1円弧片115b及び第2円弧片115cは、見込方向Yに所定距離離間して配置され、互いが近づく側に円弧状に湾曲して形成される。第1円弧片115bの円弧の長さは、第2円弧片115cの円弧の長さよりも短く形成される。
【0040】
第1円弧片115b及び第2円弧片115cは、下部回転軸側係合部119gを回転可能に支持する。
【0041】
第1円弧片115bは、中間ホロー枠119の室外側Y1の下部に形成される下部回転軸側係合部119gの軸部119fを、円弧の内側において支持する。第2円弧片115cは、下部回転軸側係合部119gの円弧状突出部119dの外側に沿って配置される。これにより、下部回転軸側係合部119gは、第1円弧片115b及び第2円弧片115cの間において、軸部119fが第1円弧片115bに支持されることで軸部119fを中心に回転しながら、円弧状突出部119dが第2円弧片115cに沿って回転する。
【0042】
これにより、上枠室内側固定蓋部115を中間ホロー枠119の下端から取り外す場合には、図5Aに示すように、中間ホロー枠119の室内側Y2の下端において、上方突出片115dの係止突起115eと中間ホロー枠119の下部係止側係合部119hの突出部119iとの係止を外すことで、下部回転軸側係合部119gの軸部119fが、第1円弧片115bに引っ掛かった状態で、上枠室内側固定蓋部115は、軸部119fを中心に回転する。ここで、図5Aに示すように、下部回転軸側係合部119gの軸部119fが第1円弧片115bに引っ掛かるため、上枠室内側固定蓋部115が下方に落下することを抑制できる。
【0043】
また、上枠室内側固定蓋部115を中間ホロー枠119の下端に取り付ける場合には、下部回転軸側係合部119gの軸部119fに第1円弧片115bに引っ掛けた状態で、軸部119fを中心に上枠室内側固定蓋部115を回転して、中間ホロー枠119の下部係止側係合部119hの突出部119iを上方突出片115dの係止突起115eに係止させる。これにより、上枠室内側固定蓋部115を中間ホロー枠119の下端に取り付けることができる。
【0044】
図3A図5Bに示すように、上枠室外側下部水平突出部113の室内側の端部には、嵌合部113aが設けられる。嵌合部113aには、気密材113bが取り付けられる。嵌合部113aに取り付けられた気密材113bは、パラレル移動障子20及びスライド移動障子30の室外側の上部側の見付面に押圧される。
【0045】
下枠12は、図3A図5Bに示すように、見込方向Yに幅を有して、図1に示すように、見付方向に延びる。下枠12は、図3A図5Bに示すように、室外側Y1に設けられ室内側Y2及び上方が開放して形成された断面視略L字状の下枠室外側本体121と、室内側Y2に設けられ室外側Y1及び上方が開放して形成された断面視略L字状の下枠室内側本体122と、下枠室外側本体121の上端部から室内側Y2に突出する下枠室外側上部水平突出部123と、下枠室内側本体122の上端部の室外側Y1に設けられる下枠室内側カバー124と、下枠室内側固定蓋部125(図5A図5B参照)と、下部支持枠126と、パラレル側下部回転蓋部16(図3A図4B参照)と、スライド側下部回転蓋部17(図5A図5B参照)(回転部材)と、を有する。パラレル側下部回転蓋部16及びスライド側下部回転蓋部17は、下枠12の内部に配置される。
【0046】
下枠室外側本体121及び下枠室内側本体122が組み合わされた状態において、下枠12の上部には、上方に向けて開放する下枠上方開口部127が形成される。
【0047】
下枠12において、下枠上方開口部127の下方側の内部は、パラレル移動障子20の下端部及びスライド移動障子30の下端部が配置される障子配置溝を構成する。
【0048】
下枠上方開口部127には、パノラマ窓1が閉位置に位置した状態において、パノラマ窓1の左右方向Xの右側X1(図1参照)においては、図3A図4Bに示すように、パラレル移動障子20の下端部が配置される。パラレル移動障子20の下端部は、パノラマ窓1の左右方向Xの右側X1(図1参照)において、見込方向Yに移動可能に配置される。
【0049】
下枠上方開口部127には、パノラマ窓1が閉位置に位置した状態において、パノラマ窓1の左右方向Xの左側X2(図1参照)においては、図5A及び図5Bに示すように、スライド移動障子30の下端部が配置される。スライド移動障子30の下端部は、パノラマ窓1の左右方向Xに移動可能に配置される。
【0050】
下部支持枠126は、パノラマ窓1の左右方向の右側X1に下枠12の内部において、下枠上方開口部127の下方に配置される。下部支持枠126は、図4A図4B及び図7に示すように、見付方向移動用支持枠126aと、2つの見込方向移動用支持枠126bと、を有する。
【0051】
見付方向移動用支持枠126aは、中空部を有し、左右方向Xに延びる。見付方向移動用支持枠126aの上面は、水平面状に形成され、見付方向移動用支持枠126aの上面には、スライド用右側レール板181(レール)が固定される。見付方向移動用支持枠126aは、スライド用右側レール板181の上面を移動するスライド移動障子30を下部において支持する。スライド用右側レール板181は、例えば、ステンレス材料により形成される。
【0052】
スライド用右側レール板181の上面には、パラレル移動障子20が見込方向Yに移動可能に配置されると共に、スライド移動障子30が左右方向Xに移動可能に配置される。スライド用右側レール板181の上面は、図3A図4B図7に示すように、下枠12内において、スライド移動障子30の見付方向移動戸車34が走行する走行面を構成する。スライド用右側レール板181の上面の一部には、図4A及び図7に示すように、パラレル移動障子20が室外側Y1に位置する場合に、パラレル移動障子20の見込方向移動戸車24が配置される。
【0053】
2つの見込方向移動用支持枠126bは、中空部を有し、図7に示すように、パノラマ窓1の左右方向Xにおいて、パラレル移動障子20の見込方向移動戸車24が設けられる位置において、見付方向移動用支持枠126aの室内側Y2に接続される。2つの見込方向移動用支持枠126bそれぞれの上面は、水平面状に形成され、見込方向移動用支持枠126bの上面には、パラレル用右側レール板182が固定される。
【0054】
パラレル用右側レール板182は、スライド用右側レール板181の左右方向Xのパラレル移動障子20の見付方向移動戸車34が設けられる位置においてスライド用右側レール板181の室内側Y2に連続して形成される。見込方向移動用支持枠126bは、パラレル用右側レール板182の上面を移動するパラレル移動障子20を下部において支持する。パラレル用右側レール板182は、例えば、ステンレス材料により形成される。
【0055】
パラレル用右側レール板182の上面には、パラレル移動障子20が見込方向Yに移動可能に配置される。パラレル用右側レール板182の上面は、図4B及び図7に示すように、下枠12内において、左右方向Xの一部においてパラレル移動障子20の見込方向移動戸車24が走行する走行面を構成する。パラレル用右側レール板182の上面には、図4B及び図7に示すように、パラレル移動障子20が室内側Y2に位置する場合に、パラレル移動障子20の見込方向移動戸車24が配置される。パラレル用右側レール板182は、例えば、ステンレス材料により形成される。
【0056】
図1に示すパノラマ窓1の左右方向Xの右側X1(図1参照)において、図3A及び図3Bに示すように、パラレル移動障子20が見込方向Y(室内外方向)に移動する場合に、パラレル側下部開閉機構6(図1図7図8参照)により、パラレル側下部回転蓋部16が開閉される。
【0057】
パラレル側下部回転蓋部16は、図3A図3B及び図7に示すように、パラレル側下部開閉機構6に接続される。パラレル側下部回転蓋部16は、パラレル側下部開閉機構6に接続される複数のモータ側枠部161と、モータ側枠部161に接続される蓋側枠部162と、を有する。複数のモータ側枠部161は。図7及び図8に示すように、X方向に離れて複数設けられる。
【0058】
複数のモータ側枠部161及び蓋側枠部162は、別々に設けられ、互いが固定されることで一体に構成される。パラレル側下部回転蓋部16(図7参照)は、パラレル側下部開閉機構6(図1図8参照)のモータ61が駆動されることで、図3A及び図3Bに示すように、回転軸6aを中心に一体で回転される。蓋側枠部162は、メンテナンスの際などに、取り外して交換可能である。
【0059】
パラレル側下部回転蓋部16は、下枠12の見込方向Yの中央側において、蓋側枠部162が下枠上方開口部127を閉める閉位置(図3A参照)と、蓋側枠部162が斜め下側に回転して退避して下枠上方開口部127を開ける開位置(図3B参照)と、に回転可能である。
【0060】
図3Aに示すように、パラレル移動障子20が室外側Y1に位置する場合には、パラレル側下部回転蓋部16を閉位置に位置させる。パラレル側下部回転蓋部16を閉位置に位置させた場合には、下枠上方開口部127が閉められて、パラレル側下部回転蓋部16の蓋側枠部162の上面が床面を構成し、蓋側枠部162の上面と下枠12の下枠室内側カバー124の上面とが同一平面上に配置される。
【0061】
パラレル移動障子20を室外側Y1(図4A参照)から室内側Y2(図4B参照)に移動させる場合には、図3Bに示すように、パラレル側下部回転蓋部16を開位置に回転させて、蓋側枠部162を室内側Y2の斜め下側に回転して退避させることで、パラレル移動障子20を、室外側Y1(図4A参照)から室内側Y2(図4B参照)に移動可能な状態とすることができる。
【0062】
図1に示すパノラマ窓1の左右方向Xの右側X1(図1参照)において、図5A及び図5Bに示すように、パラレル移動障子20が左右方向Xに移動する場合に、スライド側下部開閉機構9(図1図9図10参照)により、スライド側下部回転蓋部17が開閉される。
【0063】
スライド側下部回転蓋部17は、図5A図5B図9及び図10に示すように、スライド側下部開閉機構9に接続される。スライド側下部回転蓋部17は、スライド側下部開閉機構9に接続されるモータ側枠部171と、モータ側枠部171に接続される蓋側枠部172と、スライド用左側レール板183(レール)と、を有する。
【0064】
モータ側枠部171、蓋側枠部172及びスライド用左側レール板183は、別々に設けられ、互いが固定されることで一体に構成される。スライド側下部回転蓋部17(図10参照)は、スライド側下部開閉機構9のスライド側下部開閉用モータ92が駆動されることで、図5A及び図5Bに示すように、回転軸9aを中心に一体で回転される。
【0065】
モータ側枠部171の下方には、図5A図5B図9及び図10に示すように、台座ローラ18が配置されている。台座ローラ18は、回転するスライド側下部回転蓋部17を下方から支持する。台座ローラ18は、台座部18aと、台座部18aの上部において台座部18aに回転可能に取り付けられるローラ18bと、を有する。ローラ18bは、スライド側下部回転蓋部17を下方から支持する。
【0066】
台座ローラ18は、スライド側下部回転蓋部17がパラレル移動障子20からの荷重を受けた場合に、スライド側下部回転蓋部17が撓まないように、スライド側下部回転蓋部17の下方から受けている部材である。また、台座ローラ18は、スライド側下部開閉機構9に荷重が乗らないように、スライド側下部回転蓋部17の下方から受けている部材である。
【0067】
図5A及び図5Bに示すように、モータ側枠部171は、スライド側下部回転蓋部17が開位置に位置した場合に、下枠12内において、上面に形成され左右方向Xに水平に延びる上部水平板部171aを有する。上部水平板部171aの上面には、スライド用左側レール板183(レール)が固定されている。モータ側枠部171は、スライド用左側レール板183の上面を移動するスライド移動障子30を下部において支持する。
【0068】
スライド用左側レール板183の上面には、スライド移動障子30が左右方向Xに移動可能に配置される。スライド用左側レール板183の上面は、図5A図5B図9図11に示すように、下枠12内において、スライド移動障子30の見付方向移動戸車34が走行する戸車走行面を構成する。スライド用左側レール板183は、例えば、ステンレス材料により形成される。
【0069】
図12及び図13に示すように、スライド移動障子30の見付方向移動戸車34が走行する範囲において、スライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183とは、隙間Gを空けて連続して左右方向Xに並んで配置される。スライド用右側レール板181及びスライド用左側レール板183の境目の構成の詳細及びスライド移動障子30の見付方向移動戸車34がスライド用右側レール板181及びスライド用左側レール板183の境目を通る場合の動作については、後述する。
【0070】
スライド側下部開閉機構9は、図10に示すように、ベース板91と、スライド側下部開閉用モータ92(駆動部)と、第1動力変換機構93と、連結軸部94と、第2動力変換機構95と、蓋部回転軸部96と、回転プレート97と、を備える。
【0071】
ベース板91は、室内側Y2において、左右方向Xに延びる室内側左右方向延在板911と、室内側左右方向延在板911の左側X2の端部から室外側Y1に延びる見付方向延在板912と、見付方向延在板912の室外側Y1の端部に接続される室外側プレート913と、を有する。
【0072】
スライド側下部開閉用モータ92は、ベース板91の室内側左右方向延在板911の左右方向Xの右側X1の端部に配置される。スライド側下部開閉用モータ92は、モータ本体921と、モータ本体921の左右方向Xの左側の端部から左側に突出するモータ軸922と、を有する。モータ軸922は、左右方向Xに延びる。
【0073】
第1動力変換機構93は、L字状に形成され、モータ軸922の軸方向を、直交する方向に変換する。具体的には、第1動力変換機構93は、モータ軸922の軸方向に伝達される動力を、左右方向Xから見込方向Yに変換する。第1動力変換機構93は、L字状の一端が、モータ軸922に接続され、L字状の他端が、連結軸部94に接続される。
【0074】
連結軸部94は、見込方向Yに延びる。連結軸部94は、室内側Y2の端部が、第1動力変換機構93の他端に接続され、室外側Y1の端部が、第2動力変換機構95に接続される。
【0075】
第2動力変換機構95は、連結軸部94の軸方向を、見込方向Yから左右方向Xに変換する。第2動力変換機構95は、第1ギア951と、第2ギア952と、を有する。
【0076】
第1ギア951は、連結軸部94の室外側Y1の端部に接続され、見込方向Yに延びる軸を中心に回転可能に構成される。第1ギア951の外周面には、見込方向Yに延びる軸を中心として旋回する螺旋状の螺旋ギアが形成される。
【0077】
第2ギア952は、左右方向Xに延びる軸を中心に回転可能に構成される。第2ギア952の外周面には、左右方向Xに沿って延びる溝状のギアが、左右方向Xに延びる軸を中心とする周方向に複数並んで形成される。
【0078】
第2ギア952の溝状ギアは、第1ギア951の螺旋ギアに噛み合った状態で接続されている。第2動力変換機構95は、第1ギア951の軸方向(見込方向Y)に伝達される動力を、第2ギア952の軸方向(左右方向X)に変換する。
【0079】
蓋部回転軸部96は、左右方向Xに延びる。蓋部回転軸部96は、第2ギア952の軸方向と軸方向が一致するように、第2ギア952に接続される。蓋部回転軸部96の軸方向(左右方向X)の両端部には、回転プレート97が接続される。回転プレート97は、スライド側下部回転蓋部17の左右方向Xの端面に接続される。回転プレート97を蓋部回転軸部96の軸を中心に回転させることで、回転プレート97に接続されたスライド側下部回転蓋部17を回転させることができる。
【0080】
以上のスライド側下部開閉機構9においては、下枠12内において、スライド側下部開閉用モータ92を、スライド移動障子30が走行する方向に延びる走行ラインからスライド移動障子30の見込方向Yにずれた位置の下方に設けている。これにより、スライド移動障子30の見付方向移動戸車34が走行する部分を避けて、スライド側下部開閉用モータ92を、見込方向Yにずらして配置することができる。
【0081】
以上のように構成されるスライド側下部開閉機構9により、スライド側下部回転蓋部17は、下枠12の見込方向Yの室外側Y1において、蓋側枠部172が斜め下側に回転して退避して下枠上方開口部127を開けてスライド移動障子30が配置される開位置(図5A参照)と、スライド移動障子30の移動後に蓋側枠部172が下枠上方開口部127を閉める閉位置(図5B参照)と、に回転可能である。
【0082】
スライド側下部回転蓋部17が開位置に位置する場合には、下枠上方開口部127の下方には、モータ側枠部171の上部水平板部171aの上面にスライド用左側レール板183が配置されており、パノラマ窓1の左右方向Xの左側X2において、スライド移動障子30の見付方向移動戸車34が、スライド用左側レール板183の上面の走行面を走行可能な状態である。
【0083】
スライド移動障子30がパノラマ窓1の左右方向の右側X1に移動した場合には、スライド側下部回転蓋部17を閉位置に位置させる。スライド側下部回転蓋部17を閉位置に位置させた場合には、下枠上方開口部127が閉められて、スライド側下部回転蓋部17の蓋側枠部172の上面が床面形成面を構成し、蓋側枠部172の上面と、下枠12の下枠室内側カバー124の上面と、下枠室内側固定蓋部125の上面と、下枠12の下枠室外側上部水平突出部123の上面とが同一平面上に配置されて床面を形成することでバリアフリーを実現することができる。
【0084】
このように、スライド側下部回転蓋部17は、スライド移動障子30の見付方向移動戸車34が走行する戸車走行面(モータ側枠部171に設けられたスライド用左側レール板183の上面)と、バリアフリーとなる床面を形成する床形成面(スライド側下部回転蓋部17の蓋側枠部172の上面)と、が別々に設けられた状態で一体化して構成される。スライド側下部回転蓋部17は、回転軸9aを中心に戸車走行面と床形成面とが一体的に回転される。
【0085】
スライド側下部開閉機構9は、スライド側下部回転蓋部17を開位置(図5A)(第1回転位置)に回転させることで床形成面を下枠12内に配置し、スライド側下部回転蓋部17を閉位置(図5B参照)に回転させることで床形成面を設置する。これにより、スライド側下部開閉機構9は、スライド側下部回転蓋部17を、床形成面が下枠12内に配置される開位置(図5A参照)(第1回転位置)と、床形成面を設置する閉位置(図5B参照)と、に回転駆動する。
【0086】
図1に示すパノラマ窓1の左右方向Xの全域において、図3A図5Bに示すように、下枠上方開口部127の見込方向Yの室内側Y2の部分は、開閉しないで固定される下枠室内側カバー124により閉じられている。下枠室内側カバー124は、メンテナンスの際などに、取り外して交換可能である。
【0087】
図1に示すパノラマ窓1の左右方向Xの左側X2(図1参照)において、図5A及び図5Bに示すように、下枠上方開口部127の見込方向Yの中央側の部分は、開閉しないで固定される下枠室内側固定蓋部125により閉じられている。下枠室内側固定蓋部125は、メンテナンスの際などに、取り外して交換可能である。
【0088】
下枠室外側上部水平突出部123の室内側の端部には、嵌合部123aが設けられる。嵌合部123aには、気密材123bが取り付けられる。嵌合部123aに取り付けられた気密材123bは、スライド移動障子30の室外側の上部側の見付面に押圧される。
【0089】
パラレル移動障子20及びスライド移動障子30について説明する。パラレル移動障子20は、パラレル側見込方向移動機構4(室内外方向移動機構)(後述)により、見込方向Yに移動可能である。図1図2A及び図3Aに示すように、パラレル移動障子20は、ガラスパネル体23(ガラスパネル)と、ガラスパネル体23の上端部を支持する上框21と、ガラスパネル体23の下端部を支持する下框22と、2つの見込方向移動戸車24と、を有する。ガラスパネル体23は、3枚のガラスパネル231を有し、スペーサー232を間に配置することで、空気層を介して見込方向に積層される複層ガラスにより構成される。
【0090】
2つの見込方向移動戸車24は、図1に示すように、パラレル移動障子20の左右方向Xの両方の端部側において、見込方向Yに移動可能に、パラレル移動障子20の下端部に取り付けられる。見込方向移動戸車24は、図3Aに示すように、取付枠体25を介して、ガラスパネル体23の下端部に固定される。
【0091】
見込方向移動戸車24は、図3A及び図7に示すように、車輪支持部241と、4組の2個の車輪242と、を有する。4組の2個の車輪242は、いずれも、左右方向Xに延びる回転軸を中心に回転可能な円板状に形成される。
【0092】
4組の2個の車輪242は、図3Aに示すように、2個の車輪242の径方向が見込方向Yに一致した状態で見込方向Yに並べられた2個の車輪242が、図7に示すように、左右方向Xに4組並んで配置されて構成される。4組の2個の車輪242は、左右方向Xに延びる回転軸を中心に回転可能な円板状に形成されることで、見込方向Yに移動可能である。
【0093】
車輪支持部241は、4組の2個の車輪242を支持する。車輪支持部241は、一体で構成される。車輪支持部241は、4組の2個の車輪242を位置関係が変わらないように一体で支持する。
【0094】
見込方向移動戸車24の4組の2個の車輪242が走行する走行面について説明する。図7に示すように、下枠12の左右方向Xの右側X1において、下部支持枠126の見付方向移動用支持枠126aの上面には、スライド用右側レール板181が固定され、2つの見込方向移動用支持枠126bの上面には、スライド用右側レール板181に連続して形成されるパラレル用右側レール板182が固定されている。見込方向移動戸車24の4組の2個の車輪242は、スライド用右側レール板181の上面及びパラレル用右側レール板182の上面を走行面として見込方向Yに移動可能である。
【0095】
図14に示すように、パラレル移動障子20は、下框22の全てが、下枠12の内部に配置されている。下框22は、上方が開放したU字状に形成される。下框22の開放した部分には、ガラスパネル体23の下端が配置されている。
【0096】
下框22の室外側Y1の上端部221は、下枠12の下枠室外側上部水平突出部123の上端部よりも下方に配置される。下框22の室内側Y2の上端部222は、下枠12に配置されるパラレル側下部回転蓋部16の蓋側枠部162が閉位置に位置する場合において、パラレル側下部回転蓋部16の蓋側枠部162の上端部よりも下方に配置される。
【0097】
図14に示すように、パラレル移動障子20の見込方向Yの室外側Y1において、パラレル移動障子20のガラスパネル体23と下枠12との間の距離L1aは、下框22と下枠12との間の距離L1bよりも大きい(L1a>L1b)。
【0098】
そのため、仮に、嵌合部123aに気密材123bが取り付けられていない状態において、パラレル移動障子20が見込方向Yの室外側Y1に移動しても、下框22が下枠12に先に当たるため、下枠12にガラスパネル体23が当たることが抑制される。
【0099】
また、本実施形態においては、嵌合部123aに気密材123bが取り付けられているため、パラレル移動障子20が見込方向Yの室外側Y1に移動した場合に、下框22は、気密材123bに最初に当たる。気密材123bは、下框22の見込方向の移動を規制する規制部材として機能する。
【0100】
また、パラレル移動障子20の見込方向Yの室内側Y2において、パラレル移動障子20のガラスパネル体23と下枠12との間の距離L1cは、下框22と下枠12との間の距離L1dよりも大きい(L1c>L1d)。そのため、パラレル移動障子20が見込方向Yの室内側Y2に移動しても、ガラスパネル体23よりも先に下框22が下枠12に当たるため、下枠12にガラスパネル体23が当たることが抑制される。
【0101】
スライド移動障子30は、スライド側見付方向移動機構5(後述)により、左右方向Xに移動可能である。スライド移動障子30は、図1図2A及び図3Aに示すように、ガラスパネル体33(ガラスパネル)と、ガラスパネル体33の上端部を支持する上框31と、ガラスパネル体33の下端部を支持する下框32と、2つの見付方向移動戸車34と、を有する。ガラスパネル体33は、3枚のガラスパネル331を有し、スペーサー332を間に配置することで、空気層を介して見込方向に積層される複層ガラスにより構成される。
【0102】
2つの見付方向移動戸車34は、図1に示すように、スライド移動障子30の左右方向Xの両方の端部側において、左右方向Xに移動可能に、スライド移動障子30の下端部に取り付けられる。見付方向移動戸車34は、図5Aに示すように、取付枠体35を介して、ガラスパネル体33の下端部に固定される。
【0103】
2つの見付方向移動戸車34のうちの左右方向Xの左側X2に配置される見付方向移動戸車34は、図1に示すように、スライド移動障子30の左右方向Xの左側X2の端部側において、左右方向Xの左側X2の端部に配置されるスライド側下部開閉機構9を避けて、スライド移動障子30の左右方向Xの左側X2の端部よりも中央寄りに配置されている。
【0104】
2つの見付方向移動戸車34は、図11に示すように、車輪支持部341と、2組の4個の車輪342と、を有する。2組の4個の車輪342は、いずれも、見込方向Yに延びる回転軸を中心に回転可能な円板状に形成される。
【0105】
2組の4個の車輪342は、図11に示すように、4個の車輪342の径方向が左右方向Xに一致した状態で左右方向Xに並べられた4個の車輪342が、見込方向Yに2組並んで配置されて構成される。4個の車輪342は、見付方向移動戸車34が走行する方向に並んで配置される。2組の4個の車輪342は、見込方向Yに延びる回転軸を中心に回転可能な円板状に形成されることで、左右方向Xに移動可能である。
【0106】
車輪支持部341は、2組の4個の車輪342を支持する。車輪支持部341は、一体で構成される。車輪支持部341は、2組の4個の車輪342を位置関係が変わらないように一体で支持する。4個の車輪342は、所定の間隔Pごとに車輪支持部341に取り付けられている(図18参照)。
【0107】
見付方向移動戸車34の2組の4個の車輪342が走行する走行面について説明する。図12に示すように、下枠12の左右方向Xの右側X1において、下部支持枠126の見付方向移動用支持枠126aの上面には、スライド用右側レール板181が固定されている。下枠12の左右方向Xの左側X2において、スライド側下部回転蓋部17のモータ側枠部171の上面には、スライド用右側レール板181が固定されている。スライド用右側レール板181及びスライド用左側レール板183は、図13に示すように、互いの間に隙間Gを有した状態で、左右方向Xに連続して並べられて配置されている。見付方向移動戸車34は、スライド用右側レール板181の上面及びスライド用左側レール板183の上面を走行面として左右方向Xに移動可能である。
【0108】
図15に示すように、スライド移動障子30は、下框32の全てが、下枠12の内部に配置されている。下框32は、上方が開放したU字状に形成される。下框32の開放した部分には、ガラスパネル体33の下端が配置されている。
【0109】
下框32の室外側Y1の上端部321は、下枠12の下枠室外側上部水平突出部123の上端部よりも下方に配置される。下框32の室内側Y2の上端部322は、下枠室内側固定蓋部125の上端部よりも下方に配置される。
【0110】
図15に示すように、スライド移動障子30の見込方向Yの室外側Y1において、スライド移動障子30のガラスパネル体33と下枠12との間の距離L2aは、下框32と下枠12との間の距離L2bよりも大きい(L2a>L2b)。
【0111】
そのため、仮に、嵌合部123aに気密材123bが取り付けられていない状態において、スライド移動障子30が見込方向Yの室外側Y1に移動しても、下框32が下枠12に先に当たるため、下枠12にガラスパネル体33が当たることが抑制される。
【0112】
また、本実施形態においては、嵌合部123aに気密材123bが取り付けられているため、スライド移動障子30が見込方向Yの室外側Y1に移動した場合に、下框32は、気密材123bに最初に当たる。気密材123bは、下框32の見込方向Yの移動を規制する規制部材として機能する。
【0113】
また、スライド移動障子30の見込方向Yの室内側Y2において、スライド移動障子30のガラスパネル体33と下枠12との間の距離L2cは、下框32と下枠12に配置されるスライド側下部回転蓋部17の蓋側枠部172の室外側Y1の端部172aとの間の距離L2dよりも大きい(L2c>L2d)。
【0114】
そのため、スライド移動障子30が見込方向Yの室内側Y2に移動しても、ガラスパネル体33よりも先に下框32が下枠12に配置されるスライド側下部回転蓋部17の蓋側枠部172の室外側Y1の端部172aに当たるため、下枠12にガラスパネル体33が当たることが抑制される。本実施形態においては、下枠12に配置されるスライド側下部回転蓋部17の蓋側枠部172は、下框32の見込方向Yの移動を規制する規制部材として機能する。
【0115】
パラレル側見込方向移動機構4について説明する。パラレル側見込方向移動機構4は、パラレル移動障子20の上端の2箇所及びパラレル移動障子20の下端の2箇所を支持して接続した状態で、パラレル移動障子20を見込方向Yに移動させる。パラレル側見込方向移動機構4は、パラレル移動障子20の上辺及び下辺それぞれに2個ずつ、計4個設けられる。パラレル移動障子20は、4個のパラレル側見込方向移動機構4により支持される。
【0116】
本実施形態においては、4個のパラレル側見込方向移動機構4のうち、パラレル移動障子20の下辺の左側の部分を支持するパラレル側見込方向移動機構4の詳細について説明する。他の3個のパラレル側見込方向移動機構4は、上下の向きや左右の向きが異なるが、基本的な構造は同様である。そのため、他の3個のパラレル側見込方向移動機構4の説明については、以下に説明するパラレル側見込方向移動機構4の説明を援用できる。
【0117】
パラレル側見込方向移動機構4は、パラレル移動障子20を見込方向Yのみに移動させることができる。パラレル側見込方向移動機構4は、パラレル移動障子20を、図4Aに示す室外側Y1の位置と、図4Bに示す室内側Y2の位置と、に移動させることができる。
【0118】
パラレル側見込方向移動機構4は、図16に示すように、ベース板41と、パラレル移動用モータ42(駆動部)と、ユニバーサルジョイント軸43と、動力変換機構44と、見込方向移動軸45(移動軸)と、突出ピン部材47(ピン部材)が形成された移動プレート46と、を備える。L字状連結部48(連結部)により、パラレル移動障子20と、4個のパラレル側見込方向移動機構4それぞれと、が連結される。
【0119】
ベース板41は、L字状の板状に形成される。ベース板41は、下枠12の室内側Y2において、左右方向Xに延びる室内側左右方向延在板411と、室内側左右方向延在板411の左側X2の端部から室外側Y1に延びる見込方向延在板412と、を有する。
【0120】
パラレル移動用モータ42は、ベース板41の室内側左右方向延在板411の左右方向Xの右側X1の端部に配置される。パラレル移動用モータ42は、モータ本体421と、モータ本体421の左右方向Xの左側X2の端部から左側X2に突出するモータ軸422と、を有する。モータ軸422は、左右方向Xに延びる。モータ軸422は、ユニバーサルジョイント軸43に接続される。
【0121】
ユニバーサルジョイント軸43は、パラレル移動用モータ42のモータ軸422に接続される。ユニバーサルジョイント軸43は、軸方向を左右方向Xに維持した状態で、見込方向Y及び上下方向に僅かにシフトした位置に向きを変換できる。本実施形態においては、ユニバーサルジョイント軸43は、見込方向Yに僅かにシフトした位置に向きを変換した状態で、側面視で左右方向Xに延びる。
【0122】
動力変換機構44は、ユニバーサルジョイント軸43に接続された第1ギア441の軸方向を、左右方向Xから見込方向Yに変換する。動力変換機構44は、第1ギア441と、第2ギア442と、を有する。
【0123】
第1ギア441は、ユニバーサルジョイント軸43の左側X2の端部に接続され、左右方向Xに延びる軸を中心に回転可能に構成される。第1ギア441の外周面には、左右方向Xに延びる軸を中心として旋回する螺旋状の螺旋ギアが形成される。
【0124】
第2ギア442は、見込方向Yに延びる軸を中心に回転可能に構成される。第2ギア442の外周面には、見込方向Yに延びる溝状のギアが、見込方向Yに延びる軸を中心とする周方向に複数並んで形成される。
【0125】
第2ギア442の溝状ギアは、第1ギア441の螺旋ギアに噛み合った状態で接続されている。動力変換機構44は、ユニバーサルジョイント軸43に接続された第1ギア441の軸方向(左右方向X)に伝達される動力を、第2ギア442の軸方向(見込方向Y)に変換する。
【0126】
見込方向移動軸45は、動力変換機構44を介してパラレル移動用モータ42のモータ軸422に接続される。見込方向移動軸45は、パラレル移動用モータ42のモータ軸422が延びる方向に直交(交差)する見込方向Yに延びる。
【0127】
見込方向移動軸45は、第2ギア442の軸方向と軸方向が一致するように、第2ギア442に接続される。見込方向移動軸45の軸方向(見込方向Y)の途中には、移動プレート46が接続される。見込方向移動軸45は、移動プレート46見込方向Yに移動させる送りねじ機構を有する。
【0128】
移動プレート46は、見込方向移動軸45の軸方向に沿って、見込方向Yに移動可能である。見込方向移動軸45は、移動プレート46を軸方向に沿って移動させることで、移動プレート46に接続されるパラレル移動障子20を見込方向Yに沿って移動させる。移動プレート46の上面からは、突出ピン部材47が突出する。
【0129】
突出ピン部材47は、円柱状に形成されるピン状に形成され、移動プレート46の上面から上方に突出する。
【0130】
L字状連結部48は、パラレル移動障子20とパラレル側見込方向移動機構4とを連結する。L字状連結部48は、室外側Y1の上方側が開放されたL字状に形成され、見込方向Yに延びる横部材481と、縦方向に延びる縦部材482と、を有する。
【0131】
縦部材482には、パラレル移動障子20が接続される。横部材481には、パラレル側見込方向移動機構4が接続される。
【0132】
横部材481には、上下方向に貫通する貫通孔481aが形成される。貫通孔481aには、パラレル側見込方向移動機構4の移動プレート46の突出ピン部材47が、隙間S1を有した状態で挿入される。パラレル側見込方向移動機構4とL字状連結部48とは、遊びを有して接続される。遊びは、貫通孔481aと突出ピン部材47との間に形成される隙間S1により形成される。
【0133】
隙間S1は、水平方向において、突出ピン部材47の外周面から貫通孔481aの内周縁まで環状に形成された空間により構成される。突出ピン部材47は、隙間S1の分だけ、水平方向のいずれの方向にも、移動することが可能な状態で、貫通孔481aに挿入されている。
【0134】
以上のように構成されるパラレル側見込方向移動機構4は、パラレル移動障子20の上端の2箇所及び下端の2箇所において、パラレル移動障子20を支持して移動させる。パラレル側見込方向移動機構4は、パラレル移動障子20を支持する4箇所それぞれにおいて、突出ピン部材47とL字状連結部48の貫通孔481aとの間に隙間S1を設けることで遊びを有した状態で接続されている。このため、モータの取り付け誤差やモータの製造誤差などがあっても、突出ピン部材47とL字状連結部48の貫通孔481aとの間の隙間S1において誤差を吸収できるため、パラレル移動障子20を安定して見込方向Yにスムーズに移動させることができる。
【0135】
また、パラレル移動障子20は、閉位置に位置した場合に、パラレル移動障子20が室内側Y2に倒れないように、室内側Y2の下方において、図17に示すように、パラレル側見込位置規制機構8(規制部材移動部)により、パラレル移動障子20の見込方向Yの移動を規制する。パラレル側見込位置規制機構8は、図1に示すように、下枠12の左右方向Xの中央よりも右側X1寄りに配置されている。
【0136】
パラレル側見込位置規制機構8は、図3A図3B及び図17に示すように、規制部材84を、パラレル移動障子20の見込方向の移動を規制する規制位置(図3A及び図17参照)と、パラレル移動障子20の見込方向の移動を許容する非規制位置(図4A参照)と、に移動させる。
【0137】
パラレル側見込位置規制機構8は、図17に示すように、規制部材移動モータ81と、動力変換機構82と、回転軸部材83と、規制部材84と、を備える。規制部材84は、パラレル移動障子20の下端部において、パラレル移動障子20の見込方向Yの移動を規制する。
【0138】
規制部材移動モータ81は、モータ本体811と、モータ本体811の左右方向Xの左側X2の端部から左側X2に突出するモータ軸812と、を有する。モータ軸812は、左右方向Xに延びる。モータ軸812は、動力変換機構82に接続される。
【0139】
動力変換機構82は、モータ軸812に接続された第1ギア821の軸方向を、左右方向Xから見込方向Yに変換する。動力変換機構82は、第1ギア821と、第2ギア822と、を有する。
【0140】
第1ギア821は、規制部材移動モータ81のモータ軸812の左側X2の端部に接続され、左右方向Xに延びる軸を中心に回転可能に構成される。第1ギア821の外周面には、左右方向Xに延びる軸を中心として旋回する螺旋状の螺旋ギアが形成される。
【0141】
第2ギア822は、見込方向Yに延びる軸を中心に回転可能に構成される。第2ギア822の外周面には、見込方向Yに延びる溝状のギアが、見込方向Yに延びる軸を中心とする周方向に複数並んで形成される。
【0142】
第2ギア822の溝状ギアは、第1ギア821の螺旋ギアに噛み合った状態で接続されている。動力変換機構82は、規制部材移動モータ81のモータ軸812に接続された第1ギア821の軸方向(左右方向X)に伝達される動力を、第2ギア822の軸方向(見込方向Y)に変換する。
【0143】
回転軸部材83は、見込方向Yに延びる。回転軸部材83は、第2ギア822の軸方向と軸方向が一致するように、第2ギア822に接続される。回転軸部材83の室内側Y2の端部には、規制部材84が接続される。
【0144】
規制部材84は、回転軸部材83が回転されることで、上方側に突出してパラレル移動障子20の室内側Y2への移動を規制する規制位置(図3A参照)と、上方側に突出せずにパラレル移動障子20の室内側Y2への移動を許容する非規制位置(図4A参照)と、に回転する。これにより、パラレル移動障子20は、室外側Y1に位置した場合に、室内側Y2の下方において、パラレル側見込位置規制機構8により、パラレル移動障子20が室内側Y2に倒れないように、パラレル移動障子20の室内側Y2への移動を規制する。
【0145】
スライド側見付方向移動機構5について説明する。スライド側見付方向移動機構5は、図1に示すように、上枠11内に配置される。スライド側見付方向移動機構5は、図1及び図5Aに示すように、一対のモータ501と、一対のプーリ502と、一対のプーリ502に掛け渡される回転ベルト503と、連結部材504と、振れ止め機構部505と、を備える。
【0146】
モータ501は、プーリ502を回転駆動する。プーリ502は、図1に示すように、スライド移動障子30の上方側において、左右方向Xに離間して配置され、モータ501の駆動により、上下方向に延びる回転軸を中心に回転する。
【0147】
回転ベルト503は、無端ベルトにより環状に形成され、左右方向Xに離間して配置される一対のプーリ502に掛け渡される。回転ベルト503は、プーリ502が回転することで回転する。
【0148】
連結部材504は、図5Aに示すように、回転ベルト503の下方側の部分に連結される。連結部材504は、断面形状がL字状に形成され、スライド移動障子30の上端部に接続されたL字金具301と回転ベルト503とを連結する。回転ベルト503を回転させて連結部材504を左右方向Xに移動させることで、スライド移動障子30は、左右方向Xに移動される。
【0149】
振れ止め機構部505は、スライド移動障子30の見込方向Yの振れを低減する。振れ止め機構部505は、図5Aに示すように、振れ止めレール枠505aと、ローラ部材505bと、ローラ支持部材505cと、を有する。
【0150】
振れ止めレール枠505aは、断面形状が上方に向けて開放したU字状に形成され、回転ベルト503が配置される左右方向Xの範囲において、見付方向の左右方向Xに延びる。
【0151】
ローラ部材505bは、径方向が略水平になるように配置された円板状のローラ部材により形成される。ローラ部材505bは、振れ止めレール枠505aの内部に配置され、ローラ部材505bの径は、振れ止めレール枠505aの内部側の幅と同程度の大きさに形成される。ローラ部材505bは、上下方向に延びる回転軸を中心に回転可能に、ローラ支持部材505cの下面に取り付けられる。
【0152】
ローラ支持部材505cは、断面形状がL字状に形成され、ローラ部材505bを支持すると共に、連結部材504に接続される。ローラ支持部材505cは、スライド移動障子30及び連結部材504が見付方向の左右方向Xに移動された場合に、連結部材504が左右方向Xへ移動されるのと同時に、見付方向の左右方向Xに移動する。
【0153】
以上のように構成されるスライド側見付方向移動機構5は、モータ501によりプーリ502が回転されることで、回転ベルト503が回転される。これにより、スライド側見付方向移動機構5は、連結部材504を介して、スライド移動障子30を左右方向Xに移動させることができる。
【0154】
また、振れ止め機構部505は、ローラ部材505bが振れ止めレール枠505aにガイドされて移動することで、スライド移動障子30を左右方向Xに移動させる際に、見込方向Yの振れを低減させることができる。
【0155】
スライド側見付方向移動機構5によりスライド移動障子30を左右方向Xに移動させることで、スライド移動障子30の見付方向移動戸車34は、左右方向Xにおいて、左右方向Xの右側X1に配置されるスライド用右側レール板181と、左右方向Xの左側X2に配置されるスライド用左側レール板183との境目を移動して走行する。
【0156】
本実施形態においては、スライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目を移動する見付方向移動戸車34の車輪342は、図11に示すように、見付方向移動戸車34が走行する左右方向Xに並んで配置された4個の車輪342が、見込方向Yに2組並んで配置されて構成されている。2組の4個の車輪342のうちの4個の車輪342は、一直線上に配置された状態が変化しないように、一体で、車輪支持部341に回転可能に固定されている。4個の車輪342は、見付方向移動戸車34の全体が傾いた場合には、車輪支持部341と共に、全体が一体で傾く。
【0157】
本実施形態においては、図13に示すように、左右方向Xの右側X1のスライド用右側レール板181と、左右方向Xの左側X2のスライド用左側レール板183とは、その境界において、スライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との間に隙間Gを設けた状態で、左右方向Xに並べて配置される。
【0158】
隙間Gは、図18に示すように、見付方向移動戸車34が落下せずに通過できる距離で形成される。隙間Gは、少なくとも、スライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183とが離れて形成されると共に、車輪342の径Rよりも小さい距離で形成される。
【0159】
スライド用右側レール板181及びスライド用左側レール板183は、板状部材により形成される。スライド用右側レール板181の上面及びスライド用左側レール板183の上面は、見付方向移動戸車34の車輪342が走行する走行面を構成する。
【0160】
スライド用右側レール板181は、図13に示すように、下面が、下部支持枠126の見付方向移動用支持枠126aに支持されている。スライド用右側レール板181のスライド用左側レール板183側の端部側は、下部支持枠126の見付方向移動用支持枠126aから、スライド用左側レール板183側に突出して形成され、自由端で構成される。
【0161】
スライド用右側レール板181のスライド用左側レール板183側の端部側の下方には、空間K1が設けられている。そのため、スライド用右側レール板181のスライド用左側レール板183側の端部は、スライド用右側レール板181の端部に荷重が掛かった場合に、下方側の空間K1側に撓む。
【0162】
図18に示すように、スライド用右側レール板181におけるスライド用左側レール板183側の端部側には、下方に曲がる屈曲部181aと、屈曲部181aの下端から下方に延びる延在部181bと、が形成される。屈曲部181aは、アールを有する湾曲形状(アール形状)に形成されている。なお、屈曲部181aを、傾斜を有する傾斜形状に形成してもよい。
【0163】
スライド用右側レール板181は、例えば、ステンレス製の板材により形成される。スライド用右側レール板181の端部は、自由端で構成され、弾性反発力を有している。下方に空間K1が設けられることで、下方から支持するものが無いスライド用右側レール板181の端部側においては、上方側からの荷重により撓むことが可能であり、上方側からの荷重がなくなった場合に、元に戻る力が作用する。
【0164】
スライド用左側レール板183は、図13に示すように、下面が、スライド側下部回転蓋部17のモータ側枠部171に支持されている。スライド用左側レール板183のスライド用右側レール板181側の端部側は、スライド側下部回転蓋部17のモータ側枠部171から、スライド用右側レール板181側に突出して形成され、自由端で構成される。
【0165】
スライド用左側レール板183のスライド用右側レール板181側の端部側の下方には、空間K2が設けられている。そのため、スライド用左側レール板183のスライド用右側レール板181側の端部は、スライド用左側レール板183の端部に荷重が掛かった場合に、下方側の空間K2側に撓む。
【0166】
ここで、図18に示すように、スライド用右側レール板181の隙間G側の端部の下方の空間K1における下部支持枠126側の端部126cから、スライド用左側レール板183の隙間G側の端部の下方の空間K2におけるモータ側枠部171側の端部171bまでの距離Dは、隣り合う車輪342の間隔Pよりも大きい(D>P)ことが好ましい。
【0167】
なぜなら、見付方向移動戸車34における2個の車輪342が、スライド用右側レール板181の自由端及びスライド用左側レール板183の自由端に同時に乗ってしまうと、2個の車輪342の荷重が同時に、スライド用右側レール板181の自由端及びスライド用左側レール板183の自由端に作用するため、見付方向移動戸車34を安定して走行させることが難しいためである。
【0168】
図18に示すように、スライド用左側レール板183におけるスライド用右側レール板181側の端部側には、下方に曲がる屈曲部183aと、屈曲部183aの下端から下方に延びる延在部183bと、が形成される。屈曲部183aは、アールを有する湾曲形状(アール形状)に形成されている。なお、屈曲部183aを、傾斜を有する傾斜形状に形成してもよい。
【0169】
スライド用左側レール板183は、例えば、ステンレス製の板材により形成される。スライド用左側レール板183の端部は、自由端で構成され、弾性反発力を有している。下方に空間K2が設けられることで、下方から支持するものが無いスライド用左側レール板183の端部側においては、上方側からの荷重により撓むことが可能であり、上方側からの荷重がなくなった場合に、元に戻る力が作用する。
【0170】
以上のスライド用右側レール板181及びスライド用左側レール板183において、スライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目の隙間Gを見付方向移動戸車34の車輪342が通過する場合には、スライド用右側レール板181のスライド用左側レール板183側の端部が自由端で構成され、スライド用左側レール板183のスライド用右側レール板181側の端部が自由端で構成されるため、下方に撓んで、段差による音鳴りを吸収できる。
【0171】
次に、見付方向移動戸車34が、スライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目を通過する場合の動作について説明する。本実施形態においては、図18に示すように、スライド用右側レール板181がスライド用左側レール板183よりも高さH1高い位置に配置される段差を備える場合において、見付方向移動戸車34の動作について、スライド用左側レール板183側からスライド用右側レール板181側に移動する場合の動作と、スライド用右側レール板181側からスライド用左側レール板183側に移動する場合の動作について説明する。
【0172】
なお、スライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との段差の高さH1は、好ましくは、限りなく0(ゼロ)であることが好ましい。しかし、部材の製造誤差や取付誤差等の設計誤差を考慮して、車輪342が段差を乗り越える際に引っ掛からない段差の高さH1の範囲となるように、設計誤差を含めて設計されることが好ましい。スライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との段差の高さH1は、車輪342が段差を乗り越える際に引っ掛からない範囲として、例えば、車輪342の径Rの10%よりも小さい(R×10%>H1)ことが好ましい。
【0173】
まず、スライド用左側レール板183側からスライド用右側レール板181側に移動する見付方向移動戸車34の動作について説明する。図18の上段に示す図において、見付方向移動戸車34がスライド用左側レール板183側からスライド用右側レール板181側に進行すると、見付方向移動戸車34の4個の車輪342のうちの進行方向の先頭の車輪342が、隙間Gにおいて、スライド用左側レール板183の端部から浮いた状態のまま水平に進行し、先頭の車輪342よりも後の3つの車輪342がスライド用左側レール板183に支持されているため、そのまま、スライド用右側レール板181の端部に当たるまで進行する。
【0174】
図18の上段の図に示す状態から、見付方向移動戸車34が、スライド用右側レール板181側に走行することで、図18の中段の図に示すように、スライド用右側レール板181のスライド用左側レール板183側の端部側の下方に空間K1が形成されるため、先頭の車輪342が、スライド用右側レール板181のスライド用左側レール板183側の端部を、下方に押圧しながら、下方に撓ませる。
【0175】
これにより、スライド用右側レール板181の端部側は、空間K1により、下方に撓むことで、スライド移動障子30の荷重を逃がすことができる。よって、見付方向移動戸車34がスライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目を通過する際の音鳴りを低減できる。
【0176】
また、屈曲部181aは、アール形状又は傾斜形状に形成される。そのため、車輪342は、スライド用右側レール板181の屈曲部181aに当たりながら移動するため、スムーズに車輪342を走行させて誘導させることができ、音鳴りを低減できる。
【0177】
図18の中段の図に示す状態から、見付方向移動戸車34が、スライド用右側レール板181側に進行することで、先頭の車輪342は、スライド用右側レール板181における下方から支持されている部分に乗り上げるため、スライド用右側レール板181のスライド用左側レール板183側の端部は、押圧されない元の状態に戻る。ここでは、図18の下段の図に示すように、先頭の車輪342がスライド用右側レール板181の上面に接し、先頭から4番目の車輪342がスライド用左側レール板183の上面に接した状態で、見付方向移動戸車34は走行している。
【0178】
続けて、見付方向移動戸車34が進行方向に進むことで、図19の上段の図に示すように、先頭から2番目の車輪342が、スライド用右側レール板181のスライド用左側レール板183側の端部を、下方に押圧しながら、下方に撓ませる。
【0179】
この状態においては、見付方向移動戸車34がスライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目を通過する際に、先頭から2番目の車輪342が隙間Gに差し掛かっても、先頭の車輪342と先頭から4番目の車輪342とが荷重を受けるため、隙間Gに差し掛かった車輪342に荷重がかかりにくい。よって、見付方向移動戸車34がスライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目を通過する際の音鳴りを低減できる。
【0180】
図19の上段の図に示す状態から、見付方向移動戸車34が進行方向に進むことで、図19の中段の図に示すように、先頭から3番目の車輪342が、スライド用右側レール板181のスライド用左側レール板183側の端部を、下方に押圧しながら、下方に撓ませる。ここでは、先頭から3番目の車輪342がスライド用右側レール板181の上面に接し、先頭から4番目の車輪342がスライド用左側レール板183の上面に接した状態で、見付方向移動戸車34は走行している。
【0181】
この状態においては、見付方向移動戸車34がスライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目を通過する際に、先頭から3番目の車輪342が隙間Gに差し掛かっても、先頭から2番目の車輪342と4番目の車輪342とが荷重を受けるため、隙間Gに差し掛かった車輪342に荷重がかかりにくい。よって、見付方向移動戸車34がスライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目を通過する際の音鳴りを低減できる。
【0182】
図19の中段の図に示す状態から、見付方向移動戸車34が進行方向に進むことで、図19の下段の図に示すように、見付方向移動戸車34の先端側の荷重が大きくなり、見付方向移動戸車34が水平状態になり、先頭から3番目までの車輪342がスライド用右側レール板181の上面に接した状態で、見付方向移動戸車34は走行する。そして、見付方向移動戸車34が更に進行方向に進むことで、見付方向移動戸車34は、スライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目を通過できる。
【0183】
次に、スライド用右側レール板181側からスライド用左側レール板183側に移動する場合の見付方向移動戸車34の動作について説明する。図20の上段に示す図において、見付方向移動戸車34がスライド用右側レール板181側からスライド用左側レール板183側に移動すると、4個の車輪342が車輪支持部341に支持されて一体となっており、見付方向移動戸車34の先端側への荷重が大きくない状態であるため、図20の上段の図に示す状態から、図20の中段の図に示すように、先頭の車輪342及び先頭から2番目の車輪342が浮いた状態まで水平状態で移動する。
【0184】
図20の下段に示す図のように、先頭から3番目の車輪342がスライド用右側レール板181におけるスライド用左側レール板183側の端部を通る際に、先頭の車輪342側に作用する荷重が大きくなると共に、先頭から3番目の車輪342が、スライド用右側レール板181におけるスライド用左側レール板183側の端部を下方に押圧して、下方に撓ませることで、先頭から4番目の車輪342がスライド用右側レール板181の上面に接する。
【0185】
この状態においては、見付方向移動戸車34がスライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目を通過する際に、先頭から3番目の車輪342が隙間Gに差し掛かっても、先頭の車輪342と4番目の車輪342とが荷重を受けるため、隙間Gに差し掛かった車輪342に荷重がかかりにくい。よって、見付方向移動戸車34がスライド用右側レール板181とスライド用左側レール板183との境目を通過する際の音鳴りを低減できる。
【0186】
図20の下段の図に示す状態から、見付方向移動戸車34が、スライド用左側レール板183側に進行することで、図21の上段の図に示すように、先頭から3番目の車輪342は、浮いた状態となり、スライド用右側レール板181のスライド用左側レール板183側の端部は、押圧されない元の状態に戻る。
【0187】
図21の上段の図に示す状態から、見付方向移動戸車34が、スライド用左側レール板183側に進行することで、図21の中段の図に示すように、先頭から4番目の車輪342が、スライド用右側レール板181におけるスライド用左側レール板183側の端部を下方に押圧して、下方に撓ませる。
【0188】
図21の中段の図に示す状態から、見付方向移動戸車34が、スライド用左側レール板183側に進行することで、先頭から4番目の車輪342が隙間Gを通過して、スライド用右側レール板181側に移動する。ここでは、先頭から4番目の車輪342がスライド用右側レール板181におけるスライド用左側レール板183側の端部を下方に押圧して下方に撓ませた状態から元の状態に戻しながら、スライド用右側レール板181側に移動する。
【0189】
以上説明した第1実施形態の構成によれば、以下のような効果を奏する。本実施形態のパノラマ窓1は、パラレル移動障子20と、パラレル移動障子20の複数箇所に接続されパラレル移動障子20を移動させる複数のパラレル側見込方向移動機構4と、障子20と複数のパラレル側見込方向移動機構4それぞれとを連結するL字状連結部48と、を備え、パラレル側見込方向移動機構4とL字状連結部48とは遊びを有して接続される。これにより、複数のパラレル側見込方向移動機構4によりパラレル移動障子20を移動させる場合に、モータの製造時の寸法誤差や取り付け誤差などを吸収できるため、パラレル移動障子20をスムーズに移動させることができる。
【0190】
また、前記実施形態においては、遊びは、貫通孔481aと貫通孔481aに挿入される突出ピン部材47との間に形成される隙間Sにより形成される。そのため、簡易な構成で遊びとして隙間Sを形成できるため、簡易な構成で、モータの製造時の寸法誤差や取り付け誤差などを吸収して、パラレル移動障子20をスムーズに移動させることができる。
【0191】
また、前記実施形態においては、パラレル側見込方向移動機構4は、モータ軸422を有するパラレル移動用モータ42と、モータ軸422に交差した状態でモータ軸422に接続される見込方向移動軸45であって見込方向移動軸45の軸方向に沿ってパラレル移動障子20を移動させる見込方向移動軸45と、を有する。これにより、パラレル移動障子20を、モータ軸422に交差する見込方向移動軸45に沿って移動させることが可能である。よって、パラレル移動障子20を見込方向Y(室内外方向)に移動させる場合であっても、パラレル移動用モータ42を下枠12内に配置することができる。
【0192】
第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明し、重複する説明を適宜に省略する。
【0193】
第2実施形態は、第1実施形態の図10に示すスライド側下部開閉機構9に代えて、図22に示すように、スライド側下部開閉機構9Aを備える。
【0194】
図22に示すように、スライド側下部開閉機構9Aは、ベース板981と、スライド側下部開閉用モータ982と、ユニバーサルジョイント軸983と、蓋部回転軸部984と、回転プレート985と、を備える。
【0195】
ベース板981は、下枠12の室外側Y1に配置され、左右方向Xに延びる平板状に形成される。
【0196】
スライド側下部開閉用モータ982は、ベース板981の左右方向Xの左側X2の端部に配置される。スライド側下部開閉用モータ982は、モータ本体982aと、モータ本体982aの左右方向Xの右側X1の端部から右側X1に突出するモータ軸982bと、を有する。モータ軸982bは、左右方向Xに延びる。モータ軸982bは、ユニバーサルジョイント軸983に接続される。
【0197】
ユニバーサルジョイント軸983は、スライド側下部開閉用モータ982のモータ軸982bに接続され、下方から上方に僅かにシフトした位置に向きを変換した状態で、平面視で左右方向Xに延びる。ユニバーサルジョイント軸983は、軸方向を左右方向Xに維持した状態で、見込方向Y及び上下方向に僅かにシフトした位置に向きを変換できる。
【0198】
蓋部回転軸部984は、左右方向Xに延びる。蓋部回転軸部984は、ユニバーサルジョイント軸983の左右方向Xの右側X1の端部における軸方向と軸方向が一致するように、ユニバーサルジョイント軸983に接続される。蓋部回転軸部984の軸方向の端部には、回転プレート985が接続される。回転プレート985は、スライド側下部回転蓋部17の左右方向Xの右側X1の端面に接続される。回転プレート985を蓋部回転軸部984の軸を中心に回転させることで、回転プレート985に接続されたスライド側下部回転蓋部17を回転させることができる。
【0199】
以上のスライド側下部開閉機構9Aは、スライド側下部開閉用モータ982とユニバーサルジョイント軸983と蓋部回転軸部984とが、平面視で、左右方向Xに直線上に配置される。スライド側下部開閉用モータ982は、スライド移動障子30の見付方向移動戸車34が走行する部分を避けてスライド移動障子30が走行する方向に延びる走行ライン上の下方において下枠12内の左右方向の左側X2の端部側に設けられる。
【0200】
そのため、スライド側下部開閉用モータ982を下枠12の左右方向Xに沿って配置できるため、下枠12の幅の大きさや上下方向の大きさを抑えることができる。これにより、下枠12をコンパクトに形成できる。
【0201】
第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。第3実施形態では、第1実施形態と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明し、重複する説明を適宜に省略する。
【0202】
第3実施形態は、第1実施形態の図4A及び図16に示すパラレル側見込方向移動機構4(駆動機構)に代えて、図23図25に示すパラレル側見込方向移動機構4A(駆動機構)を備える。
【0203】
パラレル側見込方向移動機構4Aは、図23及び図24に示すように、ベース板51と、パラレル移動用モータ52(駆動部)と、連結軸53と、動力変換機構54と、見込方向移動軸55(移動軸)と、一対の側方突出ピン部材57(ピン部材)が形成された移動プレート56と、室内側位置検知部59と、を備える。
【0204】
図23に示すように、パラレル移動障子20の下端においては、U字状連結部58(連結部)により、パラレル移動障子20と2個のパラレル側見込方向移動機構4Aそれぞれとが連結される。パラレル移動障子20の上端においては、L字連結部585(連結部)及びU字状連結部58(連結部)により、パラレル移動障子20と2個のパラレル側見込方向移動機構4Aそれぞれとが連結される。
【0205】
ベース板51は、図24に示すように、L字状の板状に形成される。ベース板51は、下枠12の室内側Y2において、左右方向Xに延びる室内側左右方向延在板511と、室内側左右方向延在板511の左側X2の端部から室外側Y1に延びる見込方向延在板512と、を有する。
【0206】
パラレル移動用モータ52は、ベース板51の室内側左右方向延在板511の左右方向Xの右側X1に配置される。パラレル移動用モータ52は、モータ本体521と、モータ本体521の左右方向Xの左側X2の端部から左側X2に突出するモータ軸(図示せず)と、を有する。モータ軸は、連結軸53に接続される。連結軸53は、左右方向Xに延びる。
【0207】
動力変換機構54は、連結軸53に接続された第1ギア541の軸方向を、左右方向Xから見込方向Yに変換する。動力変換機構54は、第1実施形態の動力変換機構44と同様の構成であるため、対応する符号を付けて、その説明を省略する。
【0208】
見込方向移動軸55は、動力変換機構54を介してパラレル移動用モータ52に接続される。見込方向移動軸55は、パラレル移動用モータ52のモータ軸が延びる方向に直交(交差)する見込方向Yに延びる。
【0209】
見込方向移動軸55は、第2ギア542の軸方向と軸方向が一致するように、第2ギア542に接続される。見込方向移動軸55の軸方向(見込方向Y)の途中には、移動プレート56が接続される。見込方向移動軸55は、移動プレート56見込方向Yに移動させる送りねじ機構を有する。
【0210】
移動プレート56は、見込方向移動軸55の軸方向に沿って、見込方向Yに移動可能である。見込方向移動軸55は、移動プレート56を軸方向に沿って移動させることで、移動プレート56に接続されるパラレル移動障子20を見込方向Yに沿って移動させる。移動プレート56の左右方向Xの両方の側面からは、図24及び図25に示すように、一対の側方突出ピン部材57が突出する。
【0211】
側方突出ピン部材57は、円柱状に形成されるピン状に形成され、見込方向移動軸55の軸線と同じ高さで、移動プレート56の左右方向Xの側面から左右方向Xの外側に突出する。
【0212】
U字状連結部58は、図24及び図25に示すように、下方に向けて開放するU字状支持部581と、U字状支持部581の上面における見込方向Yの室内側Y2の端部から上方に延びる縦部材584と、を有する。
【0213】
縦部材584には、パラレル移動障子20が接続される。U字状支持部581には、パラレル側見込方向移動機構4Aが接続される。
【0214】
U字状支持部581は、水平板部582と、一対の側面板部583と、を有する。水平板部582は、縦部材584の下端部から見込方向Yの室外側Y1に延びる。一対の側面板部583は、それぞれ、水平板部582の左右方向の両端から、下方に延びる。
【0215】
一対の側面板部583それぞれには、図23図25に示すように、上下方向に延びると共に下方に向けて開放するピンガイドスリット583a(貫通孔)が形成される。ピンガイドスリット583aは、側面板部583を左右方向Xに貫通する。ピンガイドスリット583aには、パラレル側見込方向移動機構4Aの移動プレート56の側方突出ピン部材57が、隙間S2を有した状態で挿入される。パラレル側見込方向移動機構4AとU字状連結部58とは、遊びを有して接続される。遊びは、ピンガイドスリット583aと側方突出ピン部材57との間に形成される隙間S2により形成される。
【0216】
隙間S2は、見込方向Yにおいて、ピンガイドスリット583aと側方突出ピン部材57との間に形成される。見込方向Yにおいては、側方突出ピン部材57は、隙間S2の分だけ移動可能である。上下方向においては、側方突出ピン部材57は、上下方向に延びるピンガイドスリット583aの範囲で移動可能である。
【0217】
一対の側面板部583の左右方向Xの左側X2の側面には、L字板583bが取り付けられる。L字板583bの横板583cが室内側位置検知部59のスリットに配置された場合に、室内側位置検知部59により、パラレル移動障子20が室内側Y2の位置に位置されたことが検知される。
【0218】
以上のように構成されるパラレル側見込方向移動機構4Aは、パラレル移動障子20の上端の2箇所及び下端の2箇所において、パラレル移動障子20を支持して移動させる。パラレル側見込方向移動機構4Aは、パラレル移動障子20を支持する4箇所それぞれにおいて、一対の側方突出ピン部材57とU字状連結部58のピンガイドスリット583aとの間に隙間S2を設けることで遊びを有した状態で接続されている。このため、モータの取り付け誤差やモータの製造誤差などがあっても、側方突出ピン部材57とU字状連結部58のピンガイドスリット583aとの間の隙間S2において誤差を吸収できるため、パラレル移動障子20を安定して見込方向Yにスムーズに移動させることができる。
【0219】
また、見込方向移動軸55の軸線と側方突出ピン部材57とは同じ高さに位置するため、U字状連結部58は、一対の側方突出ピン部材57を、見込方向移動軸55の両側から、見込方向移動軸55の軸線と同じ高さで接続することができる。これにより、例えば、パラレル移動障子20の上端の2箇所及び下端の2箇所においてスピードのずれが多少生じても、移動プレート56に傾く力が作用することが抑制されるため、移動プレート56が見込方向移動軸55の送りねじ機構に噛むことが抑制される。よって、パラレル移動障子20を安定して見込方向Yにスムーズに移動させることができる。
【0220】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態や変形例に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0221】
例えば、前記実施形態においては、スライド移動障子又はパラレル移動障子の開放部分の開閉機構や駆動機構をパノラマ窓に使用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、引き違い窓などに使用する場合にも適用できる。
【0222】
また、前記実施形態においては、戸車走行面と床形成面を一体として回転させる機構を用いたが、これに限定されない。戸車走行面は例えば下枠内の見込方向Yからスライドして構成されるスライド式や例えば下枠内で昇降機構により形成される構成としてもよい。
【0223】
また、前記実施形態においては、パラレル側見込位置規制機構8を、パラレル移動障子20の見込方向Yの移動を規制するように構成したが、これに限定されない。見込位置規制機構を、スライド移動障子30の見込方向Yの移動を規制するように構成してもよい。
【0224】
また、前記実施形態においては、パラレル側見込方向移動機構4(駆動機構)と連結部48とを遊びを有して接続して構成したが、これに限定されない。障子20と連結部48とを遊びを有して接続してもよい。
【0225】
また、前記実施形態においては、連続して並べて配置される複数のレールの境目を戸車が通過するように構成したが、これに限定されない。連続して並べて配置される複数のレールの境目を吊車が通過するように構成してもよい。
【0226】
また、前記実施形態においては、見付方向移動戸車34の車輪342を、左右方向Xに4個並んで配置される車輪により構成したが、これに限定されない。見付方向移動戸車34の車輪342を、3個並んで配置される車輪により構成してもよいし、4個以上並んで配置される車輪により構成してもよい。
【符号の説明】
【0227】
1 パノラマ窓(建具)、4 パラレル側見込方向移動機構(駆動機構)、20 パラレル移動障子(障子)、42 パラレル移動用モータ(駆動部)、45 見込方向移動軸45(移動軸)、48 L字状連結部(連結部)、47 突出ピン部材(ピン部材)、422 駆動軸、481a 貫通孔、S 隙間(遊び)
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25