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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146568
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
A63F7/02 316A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047601
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 宏介
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088EB14
(57)【要約】
【課題】遊技盤面上の入賞装置や図柄表示装置の誤動作等の弊害を生じさせることなく、遊技球通路における球詰まりを効果的に防止することが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機1は、大入賞ユニット41内に、遊技球を右斜め下方向へ流下させるための第一スロープSを有する第一遊技球通路31と、遊技球を左斜め下方向へ流下させるための第二スロープSを有する第二遊技球通路32とが上下に設けられている。そして、第一スロープSの先端際に、第一遊技球通路31の長手方向に沿って遊技球の幅より狭い誘導切欠き(遊技球流下用切欠き)72が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面に遊技領域が区画されており、遊技球発射装置によって遊技領域内に発射された遊技球が前記遊技領域内に設置された入賞装置に入球すると、遊技球払出装置によって所定の個数の遊技球が賞品球として払い出される遊技機であって、
前記入賞装置内に、遊技球を所定の方向へ流下させるための第一スロープを有する第一遊技球通路と、遊技球を前記所定の方向とは逆方向へ流下させるための第二スロープを有する第二遊技球通路とが上下に設けられているとともに、
前記第一スロープの先端際に、前記第一遊技球通路の長手方向に沿って遊技球の幅より狭い遊技球流下用切欠きが形成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第一遊技球通路および前記第二遊技球通路が、遊技盤に対して平行に、かつ、遊技球の幅より広い間隔で設けられた前壁と後壁とによって区画されたものであり、
前記遊技球流下用切欠きが、前記前壁あるいは前記後壁に沿うように設けられたものであるとともに、前記第一スロープが、遊技球を前記遊技球流下用切欠きの方向へ流下させるように前下がりあるいは後下がりに傾斜したものであることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記入賞装置が、第一遊技部材と第二遊技部材とを備えたものであり、
前記第一遊技球通路が、第一遊技部材に設けられているとともに、前記第二遊技球通路が、第二遊技部材に設けられていることを特徴とする請求項1、または2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシーン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種として、機枠や機構板等の本体基部の前面上部に、入賞装置や図柄表示装置を設けた遊技盤が設置されており、前面に設置された発射ハンドルの操作により、遊技球を遊技盤面の上部に打ち出して遊技盤面上を流下させるパチンコ機が知られている。また、そのようなパチンコ機の中には、遊技盤面上に、遊技球の入賞(入球)可能な複数の入賞口を有する入賞ユニット(所謂、アタッカーユニット)が設けられており、その入賞ユニット内に形成された遊技球通路の内部を通過した遊技球が、種々の態様で複数の入賞口の内の何れかへ導かれるように構成されたものもある。
【0003】
そのような入賞ユニットを設けたパチンコ機においては、入賞ユニット内に入り込んだ複数の遊技球が、遊技球通路等において停留して塊を形成する(すなわち、球詰まりを生ずる)ことがあり、特に、湾曲した遊技球通路や屈曲した遊技球通路においては、その傾向が顕著なものとなる。それゆえ、そのような球詰まりを防止すべく、特許文献1の如く、遊技盤面の裏側に、球詰まり検出手段と振動発生装置ならなる球詰まり解除手段を設けたパチンコ機が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-194222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の如き従来のパチンコ機は、球詰まり検出手段と球詰まり解除手段とを別個に設ける必要があるため、製造のコストを低く抑えることが難しい。また、球詰まりを解消するためには、球詰まり解除手段である振動発生装置によって大きな振動を生じさせる必要があるため、遊技盤面上の入賞装置や図柄表示装置等の誤動作を誘発してしまう虞がある。
【0006】
本発明の目的は、上記特許文献1の如き従来のパチンコ機が有する問題点を解消し、遊技盤面上の入賞装置や図柄表示装置等の誤動作等の弊害を生じさせることなく、遊技球通路における球詰まりを効果的に防止することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる本発明のうち、請求項1に記載された発明は、遊技盤面に遊技領域が区画されており、遊技球発射装置によって遊技領域内に発射された遊技球が前記遊技領域内に設置された入賞装置に入球すると、遊技球払出装置によって所定の個数の遊技球が賞品球として払い出される遊技機であって、前記入賞装置内に、遊技球を所定の方向へ流下させるための第一スロープを有する第一遊技球通路と、遊技球を前記所定の方向とは逆方向へ流下させるための第二スロープを有する第二遊技球通路とが上下に設けられているとともに、前記第一スロープの先端際に、前記第一遊技球通路の長手方向に沿って遊技球の幅より狭い遊技球流下用切欠きが形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記第一遊技球通路および前記第二遊技球通路が、遊技盤に対して平行に、かつ、遊技球の幅より広い間隔で設けられた前壁と後壁とによって区画されたものであり、前記遊技球流下用切欠きが、前記前壁あるいは前記後壁に沿うように設けられたものであるとともに、前記第一スロープが、遊技球を前記遊技球流下用切欠きの方向へ流下させるように前下がりあるいは後下がりに傾斜したものであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または2に記載された発明において、前記入賞装置が、第一遊技部材と第二遊技部材とを備えたものであり、前記第一遊技球通路が、第一遊技部材に設けられているとともに、前記第二遊技球通路が、第二遊技部材に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の遊技機は、第一遊技球通路の第二遊技球通路への折り返し際において、遊技球より狭幅に形成された遊技球流下用切欠き内を、遊技球が並べられた状態で流下するため、第二遊技球通路において球詰まりが発生する事態を効果的に防止することができる。加えて、請求項1に記載の遊技機は、入賞装置の第一遊技球通路の先端際に遊技球流下用切欠きを設けることで、第一遊技球通路の先端部分の高さを遊技球の直径よりも短くして、入賞装置を従来の入賞装置に比べて上下にコンパクトなものとすることができるため、遊技領域内のレイアウトの自由度が高い。
【0011】
請求項2に記載の遊技機は、遊技球流下用切欠きが前壁あるいは後壁に沿うように設けられたものであるとともに、第一スロープが遊技球を遊技球流下用切欠きの方向へ流下させるように前下がりあるいは後下がりに傾斜されているため、第一遊技球通路の先端で遊技球が前壁側あるいは後壁側に寄るため、第二遊技球通路において、より球詰まりが形成されにくい。
【0012】
請求項3に記載の遊技機は、第一遊技球通路および第二遊技球通路が入賞装置を構成する別々の部材に設けられているため、メンテナンスが容易であるとともに、故障時に対応し易い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】パチンコ機を示す説明図(正面図)である。
図2】遊技盤を示す説明図(正面図)である。
図3】パチンコ機を示す説明図(背面図)である。
図4】大入賞ユニットを示す説明図(正面図)である。
図5】大入賞ユニットを示す説明図(正面から見た斜視図)である。
図6】大入賞ユニットを示す説明図(表側部材を取り外した状態の正面から見た斜視図)である。
図7】大入賞ユニットを示す説明図(駆動装置を取り外した状態の背面から見た斜視図)である。
図8】大入賞ユニットの表側部材を示す説明図(背面から見た斜視図)である。
図9】大入賞ユニットを示す説明図(図4におけるA-A線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の遊技機の一実施形態であるパチンコ機について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
<パチンコ機の構造>
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図であり、図2は、遊技盤2を前面側から示した説明図であり、図3は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を支持してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
【0016】
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23および内レール24等によって囲まれており、遊技領域16の左部における両レール23,24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の中央には、「0」~「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6が設けられているとともに、当該演出用表示部6を囲むように、種々の電動役物を備えたセンター部材26が設置されている。さらに、センター部材26の下方には、遊技球が入賞可能な始動入賞口19が設けられている。そして、センター部材26の左方から下方にかけては、遊技球が流下可能な左打ち用スペースSLが形成されており、左打ち用スペースSLを流下させることで、遊技球を効率良く始動入賞口19へ入賞させ得るようになっている。
【0017】
一方、センター部材26の右方には、遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。当該右打ち用スペースSRには、遊技球が通過可能なゲート部材20、アタッカーユニットである大入賞ユニット41が設けられており、当該大入賞ユニット41には、「大当たり状態」において作動する第一大入賞装置18Aおよび第二大入賞装置18B、可動入賞役物17等が設置されている(なお、大入賞ユニット41の構造については後述する)。そして、所定の遊技状態において遊技球を右打ち用スペースSRを流下させることで、ゲート部材20を通過させたり、大入賞ユニット41内の所定の領域へ入賞させたりすることができるようになっている。
【0018】
なお、左打ち用スペースSLや右打ち用スペースSRには、多数の遊技釘が植設されている。また、遊技領域16外となる遊技盤2の右下部には、第1特別図柄及び第2特別図柄を夫々別個に表示可能とした特別図柄表示部(図示せず)が設けられている。さらに、遊技領域16の下端位置には、遊技領域16内へ打ち込まれた遊技球のうち、入賞部材へ入賞等することなく遊技領域16の下端まで流下した遊技球を回収するためのアウト口21が設けられている。
【0019】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、発射装置10へ供給する遊技球を貯留するための供給皿7、および、供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い、夫々機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させ、遊技球の遊技領域16への打ち込み強度を調整するためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。さらに、前扉4の左右の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する一対のスピーカ14、14が設けられている。加えて、前扉4の左右両側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを内蔵したランプ部材15、15・・が設けられている。
【0020】
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、および、各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、背面の中央上方には、合成樹脂によって直方体の箱状に形成されたセンターカバー21が設置されており、そのセンターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂大当たり抽選等)を実行するためのメイン制御装置、演出用表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置、および、表示制御装置や音制御装置等の動作を統合的に制御するサブ制御装置等が設置されている(制御装置はいずれも図示せず)。
【0021】
以上のようなパチンコ機1では、遊技者はハンドル9を回動操作して発射装置10を作動させ、発射通路13を介して遊技球を遊技領域16内へ打ち込み、まずは左打ち用スペースSLを流下させ(所謂“左打ち”を行い)、始動入賞口19への遊技球の入賞を狙う。遊技球が始動入賞口19へ入賞すると、所謂大当たり抽選が実行されるとともに、演出用表示部6において装飾図柄が、特別図柄表示部(図示せず)において第1特別図柄が夫々変動開始となる。そして、大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、演出用表示部6および特別図柄表示部(図示せず)に夫々所定の「大当たり図柄」が確定表示される(たとえば、演出用表示部6に「7・7・7」と確定表示される)。また、「大当たり図柄」が確定表示されると、第一大入賞装置18Aと第二大入賞装置18Bとを交互に所定回数ずつ開成させるといった所謂「大当たり状態」が生起する。そこで、遊技者は、遊技球を右打ち用スペースSRへ打ち込んで流下させる所謂“右打ち”を行い、開成する第一大入賞装置18A、第二大入賞装置18Bへの遊技球の入賞を狙う。なお、遊技球が始動入賞口19へ入賞したものの、大当たり抽選の結果が「はずれ」であると、演出用表示部6および特別図柄表示部に夫々所定の「はずれ図柄」が確定表示され、「大当たり状態」が生起することはない。
【0022】
また、「大当たり」の種類が所謂「特定大当たり」であると、上記「大当たり状態」の終了後、後述する可動入賞役物17が開動作しやすく、かつ、大当たり抽選の結果が「大当たり」となりやすい「確変状態」が生起する。そこで、遊技者は“右打ち”を継続し、遊技球のゲート部材20の通過に起因して頻繁に開動作する可動入賞役物17への遊技球の入賞を狙う。そして、遊技球が可動入賞役物17へ入賞すると、大当たり抽選が実行され、演出用表示部6において装飾図柄が、特別図柄表示部(図示せず)において第2特別図柄が夫々変動開始となる。また、大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、演出用表示部6および特別図柄表示部に夫々所定の「大当たり図柄」が確定表示され、上述したような「大当たり状態」が生起する。
【0023】
一方、「大当たり」の種類が所謂「非特定大当たり」であると、上記「大当たり状態」の終了後、遊技球のゲート部材20の通過に起因して可動入賞役物17が開動作しやすいものの、大当たり抽選において「大当たり」となる確率が通常の遊技状態における確率と変わらない「サポート状態」が生起する。ただし、「サポート状態」は、特別図柄の確定表示回数が特定回数に達すると終了となり、遊技状態が、遊技開始当初の通常状態へ復帰する。そこで、特別図柄の確定表示回数が特定回数に達するまで遊技者は“右打ち”を継続し、遊技球のゲート部材20の通過に起因して頻繁に開動作する可動入賞役物17への遊技球の入賞を狙い、大当たり抽選が「大当たり」となることを期待する。しかしながら、大当たり抽選の結果が「大当たり」とならないまま特別図柄の確定表示回数が特定回数に達してサポート状態が終了すると、“右打ち”を止めて左打ち用スペースSLを流下させる上記通常の遊技へと戻る。
【0024】
<パチンコ機の特徴部分の説明>
[大入賞ユニット41の構造]
図4図9は、右打ち用スペースSRに設けられた入賞ユニット(アタッカーユニット)である大入賞ユニット41を示したものであり、大入賞ユニット41には、可動入賞役物17、第一大入賞装置18Aおよび第二大入賞装置18B等が設けられている。そして、可動入賞役物17に入賞した遊技球が、可動入賞役物17の下部から第一大入賞装置18Aの上部へ導かれて、第一大入賞装置18Aの内部を流下して、第一大入賞口33への入賞と、入賞口34への入賞と、第二大入賞装置18Bへの入賞とに振り分けられるようになっている。
【0025】
大入賞ユニット41は、第一表側部材42、第二表側部材43、第一裏側部材44、第二裏側部材45、上部駆動装置46、第一駆動装置47、第二駆動装置48等によって構成されている。なお、大入賞ユニット41においては、第一表側部材42 第一裏側部材44および上部駆動装置46等によって第一遊技部材が構成され、第二表側部材43、第二裏側部材45、第一駆動装置47および第二駆動装置48等によって第二遊技部材が構成されている。
【0026】
第一表側部材42は、表側から内部が見えるように透明な合成樹脂によって横長な平板状に形成されており、内側の上部に上部左側誘導突起65および上部右側誘導突起66が、所定の距離を隔てて左右に突設されている(後方に突出するように設けられている)。そして、それらの2つの部材の間が、遊技球流下路(入球口)になっており、上部右側誘導突起66の上面には、当該遊技球流下路に遊技球を誘導するための誘導面67が形成されている。
【0027】
また、上部左側誘導突起65および上部右側誘導突起66の中間の下方には、第一通路形成体68が突設されている(後方に突出するように設けられている)。当該第一通路形成体68は、上部の基端側に、前方から後方へ向かって下向きに、かつ、右下がりに傾斜した傾斜側面69が設けられているとともに、その傾斜側面69の左前方に、右下がりに傾斜した流下補助面70が設けられており、かつ、傾斜側面69の中央(左右方向の中央)後方に、緩い角度で(すなわち、流下補助面70より小さい傾斜角度で)右下がりに傾斜した転動面71が設けられている。そして、それらの傾斜側面69、流下補助面70および転動面71によって、すり鉢状の上面が形成された状態になっている。また、傾斜側面69の右方の先端縁と転動面71の先端縁とによって、遊技球の直径よりも狭幅の帯状の誘導切欠き72が形成された状態になっている。
【0028】
また、第一裏側部材44は、合成樹脂によって第一表側部材42と同様な横長な平板状に形成されている。そして、中央よりやや左側に、通過した遊技球を検出する上側検出器51が設けられている。また、当該上側検出器51の左側に、遊技球を挿通可能な上側入賞口78が穿設されており、第一裏側部材44の背面に突設された筒状の上側誘導路77と連通した状態になっている。また、中央に横長なスリット79が設けられており、そのスリット79から、平板状の上部左側板状スライド部材49および上部右側板状スライド部材50が、第一裏側部材44の後方に設置された上部駆動装置46によって、水平状に出没可能になっている。そして、それらの上部左側板状スライド部材49、上部右側板状スライド部材50、上側検出器51および上側入賞口78が、可動入賞役物17として機能するようになっている。すなわち、所定の遊技状態で、上部左側板状スライド部材49および上部右側板状スライド部材50が前方へ突出することによって、大入賞ユニット41内へ入り込んだ遊技球が上側検出器51を通って上側入賞口78へ入賞可能となる(すなわち、上部左側板状スライド部材49および上部右側板状スライド部材50が前方へ突出することによって可動入賞役物17が開成した状態となる)ように構成されている。
【0029】
一方、第二表側部材43も、第一表側部材43と同様に、表側から内部が見えるように透明な合成樹脂によって横長な平板状に形成されており、右側に第一大入賞装置形成部分αが設けられており、左側に第二大入賞装置形成部分βが設けられている(図4参照)。そして、右側の上端際には、後述する第二遊技球通路32を流下する遊技球の障害物として機能する突起体63a,63bが突設されている。また、第二表側部材43の下端際には、一定幅の帯状の外周壁体61が第二表側部材43の板面に対して直交するように設けられており、その外周壁体61の上方には、第一入賞口60、第二入賞口56および第三入賞口55へ導かれた遊技球を、それぞれ、遊技盤2の裏面側へ導くための鉛直断面U字状の第一誘導路76、第二誘導路75および第三誘導路74が、第二表側部材43の板面に対して直交するように設けられている。さらに、外周壁体61の上方には、流下した遊技球をそれらの第一誘導路76、第二誘導路75および第三誘導路74へ導くための下側通路形成リブ62が、第二表側部材43の板面に対して直交するように設けられている。
【0030】
また、第二裏側部材45は、合成樹脂によって第二表側部材43と同様な横長な平板状に形成されており、右側に第一大入賞装置形成部分αが設けられており、左側に第二大入賞装置形成部分βが設けられている。そして、右側の第一大入賞装置形成部分αの上端際には、後述する第二遊技球通路32を流下する遊技球の障害物として機能する突起体53a~53cが突設されている。それらの突起体53a~53cの下側には、横長なスリット80が設けられており、そのスリット80から、平板状の第一板状スライド部材52が、第二裏側部材45の後方に設置された第一駆動装置47によって、水平状に出没可能になっている。また、スリット80の下側には、通過した遊技球を検出する第一検出器54が設けられている。さらに、その第一検出器54の挿通孔の下側には、第三入賞口55が穿設されており、第二裏側部材45の背面に突設された半筒状の第三誘導路74と連通した状態になっている。
【0031】
また、第二裏側部材45の左側の第二大入賞装置形成部分βの上端際には、遊技球通路を流下する遊技球の障害物として機能する突起体58a,58bが突設されている。それらの突起体58a,58bの下側には、横長なスリット81が設けられており、そのスリット81から、平板状の第二板状スライド部材57が、第二裏側部材45の後方に設置された第二駆動装置48によって、水平状に出没可能になっている。また、スリット81の下側には、通過した遊技球を検出する第二検出器59が設けられている。さらに、その第二検出器59の挿通孔の下側には、第二入賞口56が穿設されており、第二裏側部材45の背面に突設された半筒状の第二誘導路75と連通した状態になっている。
【0032】
大入賞ユニット41は、第一裏側部材44および第二裏側部材45の前方に、それぞれ、所定の距離(遊技球の直径よりも長い距離=約15mm)を隔てて第一表側部材42および第二表側部材43を配置させた状態となるように一体的に組み付けられている。そして、第一表側部材42と第一裏側部材44との間に(中央から下端にかけて)、右下がりに傾斜した第一遊技球通路31が形成されている。すなわち、第一裏側部材44、第一表側部材42の内面、第一通路形成体68の傾斜側面69、流下補助面70および転動面71によって、誘導切欠き72を有する右下がりの第一遊技球通路31が形成されている。そして、傾斜側面69、流下補助面70、転動面71、誘導切欠き72によって、右下がりに傾斜した第一スロープSが形成された状態になっている。
【0033】
一方、第二表側部材43と第二裏側部材45との間に(上端際の第一板状スライド部材52の上方に)、第一裏側部材44、第一表側部材42の内面および第一板状スライド部材52によって、左下がりの第二遊技球通路32が形成されている。そして、第一板状スライド部材52の上面に、左下がりに傾斜した第二スロープSが形成された状態になっている。
【0034】
[大入賞ユニット41内での遊技球の流下態様]
上記の如く構成された大入賞ユニット41においては、第一遊技部材の上部(上部左側誘導突起65と上部右側誘導突起66との間に形成された入球口)から遊技球が入球する。そして、入賞した遊技球は、第一通路形成体68の傾斜側面69、流下補助面70に接触して転動面71上に導かれ、下側の一部を誘導切欠き72に挟まらせた状態で、第一遊技球通路31内を右下方に流下する。しかる後、第一表側部材42と第一裏側部材44との間の下端から排出され、第二遊技部材の第二表側部材43と第二裏側部材45との間の右上端際に導かれ、所定の遊技状態においては、第二遊技球通路32を構成する前方へ突出した状態の第一板状スライド部材52の上面を転動して、突起体53a~53cと衝突して前後に移動しながら左下方に流下し、第一入賞口60あるいは第二大入賞装置形成部分βへ導かれるようになっている。
【0035】
大入賞ユニット41においては、上記した「大当たり状態」、「確変状態」および「サポート状態」以外の遊技状態においては、第一板状スライド部材52が後方へ退入した状態になっているため、第二表側部材43と第二裏側部材45との間の右上端際に導かれた遊技球は、下側通路形成リブ62上に落下して、第三入賞口55内に入り込む。なお、大入賞ユニット41においては、第一入賞口60、第二入賞口56に遊技球が入り込んだ場合には、遊技球が第三入賞口55内に入り込んだ場合より、高い遊技価値(たとえば、所定の入賞装置への入賞、所定の入賞装置の開成、それらの確率の増加)が遊技者に提供されるようになっている。
【0036】
また、上記の如く大入賞ユニット41内を遊技球が流下する際に、第一遊技球通路31においては、上から落下した遊技球が、第一通路形成体68の傾斜側面69によって後方に(第一裏側部材44の内面の方に)押し出されて、下側の一部を誘導切欠き72に挟まらせて一列に並んだ状態で抑制された速度で右下方に流下する。したがって、第二遊技球通路32の基端(第一遊技球通路31と第二遊技球通路32との屈曲部位)で遊技球が球詰まりを生じて塊となる(所謂“球ブドウ”を形成する)事態が効果的に防止される。
【0037】
<パチンコ機の効果>
パチンコ機1は、上記の如く、大入賞ユニット41内に、遊技球を右斜め下方向へ流下させるための第一スロープSを有する第一遊技球通路31と、遊技球を左斜め下方向へ流下させるための第二スロープSを有する第二遊技球通路32とが上下に設けられているとともに、第一スロープSの先端際に、第一遊技球通路31の長手方向に沿って遊技球の幅より狭い誘導切欠き(遊技球流下用切欠き)72が形成されている。それゆえ、その誘導切欠き72内を、遊技球が並べられた状態で流下するため、第二遊技球通路32において球詰まりが発生する事態を効果的に防止することができる。また、パチンコ機1は、第一遊技球通路31の先端際に誘導切欠き72を設けることで、大入賞ユニット41を従来の入賞装置に比べて上下にコンパクトなものとすることができるため、遊技領域16内のレイアウトの自由度が高い。
【0038】
また、パチンコ機1は、第一遊技球通路31および第二遊技球通路32が、遊技盤2に対して平行に、かつ、遊技球の幅より広い間隔で設けられた前壁(第一表側部材42および第二表側部材44)と後壁(第一裏側部材43および第二裏側部材45)とによって区画されたものであり、誘導切欠き72が、後壁(第一裏側部材43)に沿うように設けられたものであるとともに、第一スロープSを形成している傾斜側面69が、遊技球を誘導切欠き72の方向へ流下させるように後下がりに傾斜したものであるため、第一遊技球通路31の先端で、遊技球が後壁側に寄るため、第二遊技球通路32において、より球詰まりが形成されにくい。
【0039】
さらに、パチンコ機1は、大入賞ユニット41が第一遊技部材(第一表側部材42 第一裏側部材44および上部駆動装置46等)と第二遊技部材(第二表側部材43、第二裏側部材45、第一駆動装置47および第二駆動装置48等)とを備えたものであり、第一遊技球通路31が第一遊技部材に設けられているとともに、第二遊技球通路32が第二遊技部材に設けられているため、第一遊技部材と第二遊技部材とを分離して容易にメンテナンスすることができるとともに、故障時に対応し易い。
【0040】
<遊技機の変更例>
なお、本発明に係る遊技機の構成は、上記実施形態の構成に何ら限定されるものではなく、遊技盤、遊技領域、大入賞ユニット、第一遊技球通路、第二遊技球通路、可動入賞役物、第一大入賞装置、第二大入賞装置、センター部材等の形状、構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0041】
たとえば、本発明に係る遊技機は、上記実施形態の如く、第一遊技球通路内で遊技球が後壁方向に誘導されるものに限定されず、第一遊技球通路および/または第二遊技球通路内で遊技球が前壁方向に誘導されるものや、第二遊技球通路内で遊技球が後壁方向に誘導されるもの等に変更することも可能である。また、本発明に係る遊技機は、上記実施形態の如く、出没自在に設けられた板状部材によって、第二遊技球通路のスロープが形成されるものに限定されず、第二遊技球通路内に固定されたスロープが形成されたもの等に変更することも可能である。また、本発明に係る遊技機は、上記実施形態の如く、入賞ユニットが分離可能な第一遊技部材と第二部材とによって構成されており、第一遊技部材内に第一遊技球通路が形成され、第二遊技部材内に第二遊技球通路が形成されたものに限定されず、一体に形成された入賞ユニット内に、複数の遊技球通路が形成されたものでも良い。
【0042】
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(たとえば、入賞ユニット、遊技球通路、可動入賞役物、大入賞装置、図柄表示部、センター部材等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。さらには、上述した全ての要素のうちの複数の要素を一体的に構成するか、もしくは一つの要素を複数の要素に分けて構成するかは、あえて特許請求の範囲等において特定していない限り、いずれも当業者であればきわめて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくてもいずれのパターンも想定範囲内であることが明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることに疑いの余地はない。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異しかない遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由にするのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0043】
1・・パチンコ機(遊技機)
2・・遊技盤
10・・発射装置
10・・遊技領域
17・・可動入賞役物
18A・・第一大入賞装置
18B・・第二大入賞装置
31・・第一遊技球通路
32・・第二遊技球通路
41・・大入賞ユニット
69・・傾斜側面
70・・流下補助面
71・・転動面
72・・誘導切欠き(遊技球流下用切欠き)
・・第一スロープ
・・第一スロープ
図1
図2
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