(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146581
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】基板の保護回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
H02M3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047619
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】源川 健
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730AS01
5H730AS11
5H730AS13
5H730BB81
5H730BB88
5H730CC01
5H730FD61
5H730XX42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電源基板に外乱が発生した場合に、この電源基板の保護動作を行なうことができる保護回路を提供する。
【解決手段】複写機Pにおいて、電源基板1は、角度検出手段7、AC商用電圧から内部電圧としてのDC12V、DC24Vを生成する、AC入力分岐部2の整流器やコンバータ4、5のそれぞれのトランス、スイッチング素子、ダイオード、コンデンサなどの電気部品を備えている。また、角度検出手段7は、傾いた角度によりON/OFFが切り替わり、この角度検出手段7がOFF状態のときは、コンバータ4、5がDC12V、DC24Vを生成しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC商用電圧から内部電圧を生成する電気部品を実装する基板が備える保護回路であって、
傾いた角度によりON/OFFが切り替わる角度検出手段を有し、
前記角度検出手段がOFF状態のときには前記電気部品が前記内部電圧を生成しないように構成されることを特徴とする保護回路。
【請求項2】
前記電気部品、前記保護回路および前記基板により電源基板が構成され、
前記電源基板を有する装置は、前記AC商用電圧の電力が供給されるユニットを有し、
前記角度検出手段がOFF状態のときには前記ユニットが前記AC商用電圧の電力を供給されないように構成されることを特徴とする請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
前記角度検出手段は、複数の角度検出スイッチを有し、
前記角度検出スイッチが、前記基板の角部近傍に配設されることを特徴とする請求項1または2に記載の保護回路。
【請求項4】
前記角度検出手段は、複数の角度検出スイッチを有し、
前記角度検出スイッチが、前記基板に実装された重量のある前記電気部品の近傍に配設されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項5】
すべての前記角度検出スイッチが直列に接続されることを特徴とする請求項3または4に記載の保護回路。
【請求項6】
前記角度検出スイッチが傾斜スイッチであることを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板の保護回路に関し、特にAC商用電圧をそれぞれのDC電圧に変換して内部電圧を生成し、装置の各部に電力を供給する電源基板の保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電源基板などの電源部の保護回路では、例えば胴内排紙型の複合機(multi-function peripheral:MFP)に取付けられ、MFPの動作中にユーザが誤ってその筐体の備えた扉を開き、または給紙カセットを引き出した場合に、所定の部品への電力供給を遮断することでMFPを緊急に停止させるものが開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した引用文献1を含む従来の技術は、例えば複合機などの装置の筐体内部に組み込まれるため、例えば装置の横転や大きな衝撃を受けるなど外乱が発生した場合の保護機能を有していなかった。そのため外乱が発生したことによる、電源部が破損した状況や装置から外れた状況のような異常時でも、この電源部で内部電圧を生成して所定の部品への電力供給を行なってしまい、装置の通電前、すなわち装置のメインパワーON前の状態で維持して電源部の保護動作を行なうことができなかった。その結果、電源部の異常時に所定の部品へ電力を供給することにより、電源部や所定の部品の二次破壊の虞や、発煙、発火を引き起こす虞があった。
【0005】
そこで本発明は、電源基板に外乱が発生した場合に、この電源基板の保護動作を行なうことができる保護回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のAC商用電圧から内部電圧を生成する電気部品を実装する基板が備える保護回路は、傾いた角度によりON/OFFが切り替わる角度検出手段を有し、前記角度検出手段がOFF状態のときには前記電気部品が前記内部電圧を生成しないように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、角度検出手段7は、基板が傾斜または破損したときにこの基板が傾斜することによりOFF状態になり、基板が外れた状況や破損した状況、電気部品であるトランスT1,T2,T3が破損した状況と推測される場合に内部電圧の電圧供給を行なわないようにして基板の保護動作を行ない、基板が破損した場合の影響を最小限に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態における保護回路の基板を備える複写機の、特に電源基板に関連する電気的構成を示すブロック図である。
【
図2】同上、電源基板の構成を示す概略斜視図である。
【
図3】同上、角度検出スイッチの構成を示す概略図である。
【
図4】
図1で、特に角度検出手段に関連する電気的構成を示す概略図である。
【
図5】本発明の実施形態における保護回路の基板を備える複写機の電圧供給の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【0010】
本実施形態は、例えば、据付型の複写機に搭載される電源基板に本実施形態を適用したものである。
図1は、この複写機Pの、特に電源基板1に関連する電気的構成を示している主な電気的構成を示すブロック図である。なお、このような複写機には補助電源用の基板を備えているものもあるが、本発明とは関連性が薄いため、ここでは詳述しない。
【0011】
1は、例えば家庭用、工業用のAC商用電圧をそれぞれのDC電圧に変換して内部電圧を生成し、複写機Pの各部に電力を供給する電源基板である。この電源基板1は、AC入力分岐部2と、DC5V出力用のコンバータ3と、DC12V出力用のコンバータ4と、DC24V出力用のコンバータ5と、制御リレー6と、角度検出手段7と、を主に備えて構成される。
【0012】
AC入力分岐部2は、AC商用電圧の電力である商用電力が入力されたら、この商用電力を整流し、この整流された電力を分岐してそれぞれのコンバータ3,4,5に供給するものであり、例えばダイオードブリッジなどの整流器を有している。AC入力分岐部2の入力側には電源プラグ付きの電源コード8が接続され、コンセントからの商用電力が電源コード8を介してAC入力分岐部2に供給される。またAC入力分岐部2の出力側には、DC5V出力用のコンバータ3が直接接続され、また制御リレー6を介してDC12V出力用のコンバータ4およびDC24V出力用のコンバータ5が接続されている。
【0013】
DC5V出力用のコンバータ3、DC12V出力用のコンバータ4およびDC24V出力用のコンバータ5は、AC入力分岐部2で整流された電力を、それぞれDC5V、DC12VおよびDC24Vの電力に変換して出力するものであり、本実施形態では、例えばスイッチング方式の回路構成を有している。そのため、これらのコンバータ3,4,5はそれぞれ、トランスや、スイッチング素子や、ダイオードや、コンデンサなどを備えて構成される。
【0014】
コンバータ3は操作パネル9にDC5Vの電力を供給しており、この操作パネル9は、例えば印刷する紙の種類や枚数、印刷の濃さや色など印刷に関するあらゆる情報を、文字,数字,記号,写真などで表示する表示部としてのLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)や、このLCDの表面に設けられ、ユーザからのタッチ操作を受け付ける操作部としてのタッチパネルや、このタッチパネルからの操作信号と、各部からの各検出信号を受けて、所定のタイミングで、各部に駆動用の制御信号を出力し、またLCDに表示用の制御信号を出力する制御手段を備えて構成される。
【0015】
コンバータ4は、LED10を駆動させるLED駆動回路11やファン12を駆動させるファン駆動回路13にDC12Vの電力を供給しており、これらのLED駆動回路11やファン駆動回路13によりLED10やファン12が駆動される。LED10は、複写する際にスキャンするとき、複写する被投影面を照明するものであり、例えばリング状照明具として構成される。またファン12は、複写機Pの内部を排熱するために設けられており、例えば制御手段などの精密機器や電源基板1などの高温になる部品の近傍に配設される。
【0016】
コンバータ5は、例えば感光ドラムを回転させるドラム駆動モータなど、各部のモータ14を駆動させるモータ駆動回路15にDC24Vの電力を供給しており、これらのモータ駆動回路15によりそれぞれのモータ14が駆動される。
【0017】
制御リレー6はメイン電源用のリレーの一つであり、コイル部を有する入力回路と、接点部を有する出力回路とで構成され、入力回路に入力される制御信号としての印刷時の動作トリガー信号により出力回路の接点部が閉/開することで、この出力回路の接続/遮断をするものである。本実施形態では、印刷時の動作トリガー信号がないときは接点部が開いているA接点のものを採用している。この制御リレー6の出力回路の一方にはAC入力分岐部2の出力側が接続され、出力回路の他方にはコンバータ4,5の入力側が並列で接続されている。そして制御リレー6の入力回路には、角度検出手段7を介して操作パネル9が接続されており、操作パネル9からの印刷時の動作トリガー信号により、AC入力分岐部2からの電力のコンバータ4,5への供給をON/OFFしている。
【0018】
保護回路としての角度検出手段7は、傾いた角度によりON/OFFが切り替わるものであり、本実施形態では複数の角度検出スイッチ7a~7gで構成される。角度検出手段7については、後程詳しく説明する。
【0019】
16は、印刷した用紙上のトナー像を定着させる定着器ユニットである。この定着器ユニット16は、加熱ロールと加圧ロールを備えており、搬送されてきた未定着のトナー像を載せた用紙をこれらの加熱ロールと加圧ロールとの間に挟んで加熱および加圧し、これにより用紙上の未定着トナー像がその用紙上に定着される。また定着器ユニット16の入力側は、制御リレー17を介して電源コード8に接続されており、コンセントからの商用電力が電源コード8および制御リレー17を介して定着器ユニット16に供給される。
【0020】
制御リレー17はメイン電源用のリレーの一つで、制御リレー6と同様のものであり、この制御リレー17の出力回路の一方には電源コード8が接続され、出力回路の他方には定着器ユニット16の入力側が接続される。そのためAC入力分岐部2と制御リレー6が電源コード8に並列で接続されている。そして制御リレー17の入力回路は、制御リレー6と並列で角度検出手段7に接続され、この角度検出手段7が操作パネル9に接続される。そのため操作パネル9からの印刷時の動作トリガー信号や角度検出手段7により、制御リレー6のON/OFFと同時に、商用電力の定着器ユニット16への供給をON/OFFしている。
【0021】
図2は、電源基板1の構成を示す概略斜視図である。なお以下の説明は、基板21が水平状態で角度検出スイッチ7a~7gの実装面が上側になるように、電源基板1が複写機Pに取付けられたときの例を示している。
【0022】
電源基板1は、例えばAC入力分岐部2の整流器やコンバータ3,4,5のそれぞれのトランスや、スイッチング素子や、ダイオードや、コンデンサなどの電気部品に加えて、角度検出手段7の角度検出スイッチ7a~7gが基板21に実装された構成となっている。矩形板状の基板21には、AC入力分岐部2の電源回路や、コンバータ3,4,5のそれぞれの電気回路などを構成する配線パターンが形成され、これらの配線パターンを覆うように、基板21の表面がレジストで被覆される。また電源基板1は、ネジなどの固定手段で複写機Pに固定される際に使用する挿通孔20を基板21の4つの角部近傍にそれぞれ設けている。
【0023】
図3は、角度検出スイッチ7a~7gの構成を示している。本実施形態の角度検出スイッチ7a~7gは、それぞれが天頂部22aおよび底部22bを有する円筒部22と、底部22bを挿通し円筒部22の内部に突出している2本のリード線端子23,24と、円筒部22の内部に収容された2個の導電性のボール25,26から構成された傾斜スイッチ(チルトスイッチ)である。そのため角度検出スイッチ7a~7gのON/OFFに電気を必要とせず、停電時など、複写機Pに商用電力が供給されていないパワー無通電状態でも電源基板1の角度の状態を監視することができ、停電から復帰したときでも制御リレー6,17をOFFに維持して複写機Pの各部への電力供給をOFFに維持することができる。角度検出スイッチ7a~7gは、円筒部22が水平状態に対して垂直、かつ天頂部22aが上で底部22bが下になるように基板21に実装されており、例えば基板21が水平状態である本実施形態では、基板21に対して垂直、かつ天頂部22aが上で底部22bが下になるように基板21に実装される。なお角度検出スイッチ7a~7gは、パワー無通電状態でも電源基板1の角度の状態を監視することができる機械的なスイッチが好ましく、例えばマイクロスイッチなどでもよい。
【0024】
図3(A)に示されるように、角度検出スイッチ7a~7gは、円筒部22が水平状態に対して垂直、かつ天頂部22aが上で底部22bが下になっている正常時には、重力によりボール25,26が底部22b方向に移動し、円筒部22の内部に突出している2本のリード線端子23,24の両方にボール25が接触する。またボール26がボール25の上に乗ることによりボール25にボール26の重量も加わり、確実に2本のリード線端子23,24とボール25とが接触するようにしている。このとき、ボール25経由でリード線端子23とリード線端子24が導通するため、この角度検出スイッチはONの状態になる。
【0025】
その一方で、例えば複写機Pの横転、または角度検出スイッチ7a~7gが実装されている基板21の部分の破損など、複写機Pや電源基板1で外乱が発生して円筒部22が垂直に対して傾いてしまうと、2本のリード線端子23,24とボール25とが接触している力が弱まる。そして
図3(B)に示されるように、円筒部22が水平状態に対して、例えば10°未満など所定の角度以下にまで傾いた異常時には、2本のリード線端子23,24からボール25が離れてしまう。このとき、リード線端子23とリード線端子24とが導通していないため、この角度検出スイッチはOFFの状態になる。
【0026】
図2に戻って説明すると、角度検出スイッチ7a~7dは、矩形板状の基板21の4つの角部近傍にそれぞれ配設され、角度検出スイッチ7e~7gは、コンバータ3,4,5の重要かつ重量のある電気部品であるトランスT
1,T
2,T
3の近傍にそれぞれ配設される。そのため、例えば複写機Pが横転し、または大きな衝撃を受けるなど外乱が発生し、電源基板1を複写機Pに固定している固定手段が破損または外れるなど電源基板1に外乱が発生して基板21が傾斜した場合は、基板21の4つの角部が最も傾斜している可能性が高いため、これらの角部近傍の角度検出スイッチ7a~7dのいずれかが速やかに傾きを検出することができ、これらの角度検出スイッチ7e~7gがOFF状態になることにより、電源基板1が破損している、または複写機Pから外れていると推測することができる。
【0027】
その一方で、電源基板1の4つの角部は挿通孔20を使用して固定手段で固定される場合が多いため、電源基板1に外乱が発生して基板21の中央付近が破損した場合に、基板21の4つの角部は固定手段により水平状態を維持している一方で基板21の中央付近が傾斜していることがある。この場合、基板21の中央付近の破損により、コンバータ3,4,5の重量のある電気部品であるトランスT1,T2,T3が搭載された基板21の部分が最も傾斜している可能性が高いため、トランスT1,T2,T3の近傍の角度検出スイッチ7e~7gのいずれかが速やかに傾きを検出することができ、これらの角度検出スイッチ7e~7gがOFF状態になることにより、トランスT1,T2,T3が搭載された基板21の部分が破損していると推測することができる。なお本実施形態では、角度検出スイッチ7e~7gを重量のある電気部品であるトランスT1,T2,T3の近傍に配設しているが、例えばフィンなど、基板21から立ち上がった構造の電気部品の近傍に配設されてもよい。
【0028】
図4は、
図1において、特に角度検出手段7に関連する電気的構成を示している概略図である。角度検出手段7は操作パネル9と、制御リレー6の入力回路および制御リレー17の入力回路との間に設けられているが、
図4に示されるように、角度検出手段7においてすべての角度検出スイッチ7a~7gが直列に接続されており、これらの角度検出スイッチ7a~7gのどれか1つでもOFF状態になると、制御リレー6の入力回路および制御リレー17の入力回路が操作パネル9からの印刷時の動作トリガー信号を受信できなくなり、制御リレー6,17をOFFに維持する。そのため、電源基板1への外乱の発生を常に監視することができる。
【0029】
複写機Pでは、制御信号用の電流が流れる信号ラインと、大きな電流が流れる大電流ラインがあり、信号ラインはDC5Vで複写機Pの各部に流れる経路である。また大電流ラインは、制御リレー17経由で定着器ユニット16に流れる経路と、制御リレー6経由でコンバータ4,5に流れ、そこからDC12VまたはDC24Vで複写機Pの各部に流れる経路とがある。本実施形態の角度検出スイッチ7a~7gは、上述したように電源基板1が破損したときに基板21が傾斜することによりOFF状態になり、制御リレー6,17をOFFに維持することで複写機Pの各部へのDC12V,DC24VおよびAC商用電圧の電力の供給をOFFに維持し、大電流ラインに電流が流れないようにして電源基板1および複写機Pの保護動作を行なうことで二次災害を事前に防止することができ、電源基板1が破損した場合の影響や、複写機Pが破損した場合の影響を最小限に抑制している。
【0030】
次に
図5のフローチャートを参照して、上記構成の電源基板1について、特に角度検出手段7に関連する動作の特徴を詳細に説明する。ステップ1で、ユーザが電源コード8の電源プラグをコンセントに差し込むと、電源コード8に商用電力が供給される。ここで図示しない電源スイッチをONにすると複写機Pが通電し、AC入力分岐部2に商用電力が供給される。その一方で、制御リレー17がOFF状態であるため、定着器ユニット16には商用電力がまだ供給されない。
【0031】
AC入力分岐部2は、商用電力が供給されると、この商用電力を整流してコンバータ3に供給する。その一方で、制御リレー6がOFF状態であるため、コンバータ4,5には、この整流された電力がまだ供給されない。コンバータ3はこの整流された電力をDC5Vの電力に変換して操作パネル9に供給し、複写機Pが待機状態(スリープモード)に移行する。その後、ユーザが操作パネル9のタッチパネルにタッチ操作をすると、操作パネル9の制御手段がタッチパネルからの操作信号を受信し、印刷時の動作トリガー信号を送信してステップS2に移行する。
【0032】
本実施形態では、複写機Pが待機状態から通常状態に移行するとき、一番に保護回路としての角度検出手段7の状態を確認する。具体的には、ステップS2に移行すると角度検出スイッチ7aのON/OFFの状態を確認し、ステップS3では角度検出スイッチ7bのON/OFFの状態を確認し、ステップS4では角度検出スイッチ7cのON/OFFの状態を確認し、ステップS5では角度検出スイッチ7dのON/OFFの状態を確認し、ステップS6では角度検出スイッチ7eのON/OFFの状態を確認し、ステップS7では角度検出スイッチ7fのON/OFFの状態を確認し、ステップS8では角度検出スイッチ7gのON/OFFの状態を確認する。そして、ステップS2~S8ですべての角度検出スイッチ7a~7gがON状態であったら、複写機Pが正常状態であると判断してステップS9に移行する。またステップS2~S8で、OFF状態の角度検出スイッチ7a~7gが1つでもある場合は、複写機Pが異常状態であると判断してステップS10に移行する。
【0033】
ステップS9に移行すると、すべての角度検出スイッチ7a~7gがON状態であるため、角度検出スイッチ7a~7gを経由してパワーリレーとしての制御リレー6および制御リレー17の両方の入力回路が操作パネル9からの印刷時の動作トリガー信号を受信し、制御リレー6および制御リレー17の両方の出力回路が接続されて制御リレー6および制御リレー17がON状態となり、ステップS11に移行する。
【0034】
ステップS11に移行すると、制御リレー17がON状態であるため、制御リレー17を経由して定着器ユニットに商用電力が供給される。また制御リレー6がON状態であるため、制御リレー6を経由してコンバータ4,5に整流された電力が供給される。コンバータ4はこの整流された電力をDC12Vの電力に変換してLED駆動回路11やファン駆動回路13に供給し、コンバータ5はこの整流された電力をDC24Vの電力に変換してモータ駆動回路15に供給する。そのため、複写機Pの各部すべてに電力の供給が可能となり、複写機Pが通常状態に移行し、通常状態がスタートする。
【0035】
その一方でステップS10に移行すると、角度検出スイッチ7a~7gのいずれかがOFF状態であるため、直列に接続された角度検出スイッチ7a~7gのいずれかで印刷時の動作トリガー信号が止められてしまい、制御リレー6の入力回路および制御リレー17の入力回路は、いずれも操作パネル9からの印刷時の動作トリガー信号を受信できない。そのため制御リレー6,17をOFFに維持することで複写機Pの各部への電力供給をOFFに維持する。そのため、電源基板1が外れた状況や破損した状況、重要な電気部品であるトランスT1,T2,T3が破損した状況と推測される場合に大電流ラインであるDC12V,DC24Vのラインに電流が流れないようにして電源基板1の保護動作を行なうことにより、二次災害を事前に防止することができ、電源基板1が破損した場合の影響を最小限に抑制することができる。電源基板1が破損した場合には複写機Pの各部も破損している虞があるので、大電流ラインであるAC商用電圧のラインに電流が流れないようにして複写機Pの保護動作を行なうことにより、二次災害を事前に防止することができ、複写機Pが破損した場合の影響を最小限に抑制することができる。したがって、複写機Pの各部への通電前、すなわち複写機PのメインパワーがONする前に複写機Pの各部への電力を遮断することができ、電源基板1や複写機Pを保護することができる。
【0036】
ステップS10は、ステップS2~S8ですべての角度検出スイッチ7a~7gがON状態になるまで継続され、二次災害を事前に防止して電源基板1が破損した場合の影響を最小限に抑制している。ここで操作パネル9の制御手段は、所定時間経過しても定着器ユニットへの商用電力の供給や、LED駆動回路11およびファン駆動回路13へのDC12Vの電力の供給や、モータ駆動回路15へのDC24Vの電力の供給が確認されなかったときに、角度検出スイッチ7a~7gのいずれかがOFF状態である複写機Pの異常状態と判断して、例えばメンテナンスでタッチパネルに所定の操作が行われない限り印刷時の動作トリガー信号を送信しないように構成されてもよく、二次災害を事前に防止することができ、電源基板1が破損した場合の影響をさらに抑制することができる。また操作パネル9の制御手段は、電源コード8の電源プラグを一回抜き差ししたことを検出すると、電源基板1の異常がすべて解消されたと判断して、印刷時の動作トリガー信号を送信するように構成されてもよく、ステップ10になったときの複写機Pの復旧作業を簡易にすることができる。
【0037】
以上のように本実施形態の基板としての電源基板1の保護回路としての角度検出手段7は、AC商用電圧から内部電圧としてのDC12V,DC24Vを生成する、AC入力分岐部2の整流器やコンバータ4,5のそれぞれのトランスや、スイッチング素子や、ダイオードや、コンデンサなどの電気部品を実装する基板21が備えている。また角度検出手段7は、傾いた角度によりON/OFFが切り替わり、この角度検出手段7がOFF状態のときは制御リレー6がOFF状態であるため、コンバータ4,5がDC12V,DC24Vを生成しないように構成される。
【0038】
このような構成により、角度検出手段7の角度検出スイッチ7a~7gは、電源基板1が傾斜または破損したときに基板21が傾斜することによりOFF状態になり、電源基板1が外れた状況や破損した状況、電気部品であるトランスT1,T2,T3が破損した状況と推測される場合に内部電圧であるDC12V,DC24Vの電力の供給を行なわないようにして電源基板1の保護動作を行ない、電源基板1が破損した場合の影響を最小限に抑制することができる。
【0039】
また本実施形態の角度検出手段7は、前記電気部品、角度検出手段7および基板21により電源基板1が構成され、この電源基板1を有する装置としての複写機Pは、AC商用電圧の電力である商用電力が供給されるユニットとしての定着器ユニット16を有し、角度検出手段7がOFF状態のときには制御リレー17がOFF状態であるため、定着器ユニット16が商用電力を供給されないように構成される。
【0040】
このような構成により、電源基板1が破損した場合には複写機Pの各部も破損している虞があるので、角度検出手段7の角度検出スイッチ7a~7gは、電源基板1が外れた状況や破損した状況と推測される場合に大電流ラインであるAC商用電圧のラインに電流が流れないようにして複写機Pの保護動作を行ない、複写機Pの各部が破損した場合の影響を最小限に抑制することができる。
【0041】
また本実施形態の角度検出手段7は、複数の角度検出スイッチ7a~7dを有し、これらの角度検出スイッチ7a~7dが、基板21の角部近傍に配設される。そのため電源基板1が傾斜した場合は、基板21の4つの角部が最も傾斜している可能性が高く、これらの角部近傍の角度検出スイッチ7a~7dのいずれかが速やかに傾きを検出することができ、これらの角度検出スイッチ7e~7gがOFF状態になることにより、電源基板1が破損している、または複写機Pから外れていると推測することができる。
【0042】
また本実施形態の角度検出手段7は、複数の角度検出スイッチ7e~7gを有し、これらの角度検出スイッチが、基板21に実装された重量のある電気部品としてのトランスT1,T2,T3の近傍に配設される。そのため、電源基板1の中央付近の破損した場合は、コンバータ3,4,5の重量のある電気部品であるトランスT1,T2,T3が搭載された基板21の部分が最も傾斜している可能性が高く、トランスT1,T2,T3の近傍の角度検出スイッチ7e~7gのいずれかが速やかに傾きを検出することができ、これらの角度検出スイッチ7e~7gがOFF状態になることにより、トランスT1,T2,T3が搭載された基板21の部分が破損していると推測することができる。
【0043】
また本実施形態の角度検出手段7は、すべての角度検出スイッチ7a~7gが直列に接続されており、これらの角度検出スイッチ7a~7gのどれか1つでもOFF状態になると、制御リレー6,17をOFFに維持することで複写機Pの各部への電力供給をOFFに維持するので、電源基板1への外乱の発生を常に監視することができる。
【0044】
また本実施形態の角度検出手段7は、角度検出スイッチ7a~7gが傾斜スイッチであり、角度検出スイッチ7a~7gのON/OFFに電気を必要とせず、停電時など、複写機Pに商用電力が供給されていないパワー無通電状態でも電源基板1の角度の状態を監視することができ、停電から復帰したときでも制御リレー6,17をOFFに維持して複写機Pの各部への電力供給をOFFに維持することができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば本実施形態では、保護回路としての角度検出手段7が、操作パネル9と、制御リレー6の入力回路および制御リレー17の入力回路との間に設けられるが、DC12V出力用のコンバータ4やDC24V出力用のコンバータ5の、例えばFETなどのスイッチング素子の、例えばゲート端子などの制御端子に入力される制御信号の信号ラインに設けて、電源基板1への外乱発生時にコンバータ4やコンバータ5でスイッチング素子の動作を停止させることで、複写機Pの各部へのDC12VおよびDC24Vの電圧供給をOFFに維持するように構成してもよい。また角度検出スイッチ7a~7gで加速度センサや傾斜センサを採用して所定の角度を下回ったらOFFするように構成してもよく、この場合、コンバータ3から角度検出スイッチ7a~7gにDC5Vの電力が供給される。また、実施形態中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、複写機や電源基板の仕様などに応じて適宜変更してかまわない。
【符号の説明】
【0046】
1 電源基板
7 角度検出手段(保護回路)
7a,7b,7c,7d,7e,7f,7g 角度検出スイッチ
16 定着器ユニット(ユニット)
21 基板
P 複写機
T1,T2,T3 トランス(重量のある電気部品)