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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146629
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220928BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047692
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 裕
(72)【発明者】
【氏名】内藤 慶太郎
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA10
5F083GA21
5F083JA39
5F083JA56
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR39
5F083ZA28
5F101BA45
5F101BB05
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD32
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE06
(57)【要約】
【課題】一つの実施形態は、動作信頼性を向上できる半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一つの実施形態によれば、半導体装置1において、第1の導電層6と第1の半導体膜CH及び第1の電荷蓄積膜CTとが交差する位置にダミーメモリセルDMT1が形成される。第1の導電層6は、第1の積層体SST1における複数の導電層6のうち第2の積層体SST2に最も近い導電層6である。第2の導電層6と第1の半導体膜CH及び第1の電荷蓄積膜CTとが交差する位置に情報記憶用のメモリセルMT4が形成される。第2の導電層6は、第1の積層体SST1における複数の導電層6のうち第1の導電層6より第2の積層体6から遠い導電層6である。平面方向における第1の導電層6の上面6aの端部6a1と第1の電荷蓄積膜CTとの距離DDWL1は、平面方向における第2の導電層6の上面6aの端部6a1と第1の電荷蓄積膜CTとの距離DWL4より大きい。平面方向は、積層方向と直交する方向である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層が絶縁層を介して積層された第1の積層体と、
前記第1の積層体の上方に配され、複数の導電層が絶縁層を介して積層された第2の積層体と、
前記第1の積層体及び前記第2の積層体を、前記第1の積層体と前記第2の積層体との積層方向に貫通する柱状の第1の半導体膜と、
前記第1の半導体膜と前記第1の積層体及び前記第2の積層体との間に配された第1の電荷蓄積膜と、
を備え、
前記第1の積層体における複数の導電層のうち前記第2の積層体に最も近い第1の導電層と前記第1の半導体膜及び前記第1の電荷蓄積膜とが交差する位置にダミーメモリセルが形成され、
前記第1の積層体における複数の導電層のうち前記第1の導電層より前記第2の積層体から遠い第2の導電層と前記第1の半導体膜及び前記第1の電荷蓄積膜とが交差する位置に情報記憶用のメモリセルが形成され、
前記積層方向と直交する平面方向における前記第1の導電層の上面の端部と前記第1の電荷蓄積膜との距離は、前記平面方向における前記第2の導電層の上面の端部と前記第1の電荷蓄積膜との距離より大きい
半導体装置。
【請求項2】
前記第2の積層体における複数の導電層のうち前記第1の積層体に最も近い第3の導電層と前記第1の半導体膜及び前記第1の電荷蓄積膜とが交差する位置にダミーメモリセルが形成され、
前記平面方向における前記第1の導電層の上面の端部と前記第1の電荷蓄積膜との距離は、前記平面方向における前記第3の導電層の上面の端部と前記第1の電荷蓄積膜との距離より大きい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の積層体における複数の導電層のうち前記第2の導電層より前記第2の積層体から遠い第4の導電層と前記第1の半導体膜及び前記第1の電荷蓄積膜とが交差する位置に情報記憶用のメモリセルが構成され、
前記平面方向における前記第2の導電層の上面の端部と前記第1の電荷蓄積膜との距離は、前記平面方向における前記第4の導電層の上面の端部と前記第1の電荷蓄積膜との距離より大きい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の導電層の前記積層方向の中央の端部は、前記第1の導電層の上面又は下面の端部より前記第1の半導体膜の中心の側へ突出している
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
複数の導電層が絶縁層を介して積層された第1の積層体と、
前記第1の積層体の上方に配され、複数の導電層が絶縁層を介して積層された第2の積層体と、
前記第1の積層体及び前記第2の積層体を、前記第1の積層体と前記第2の積層体との積層方向に貫通する柱状の第1の半導体膜と、
前記第1の半導体膜と前記第1の積層体及び前記第2の積層体との間に配された第1の電荷蓄積膜と、
を備え、
前記第1の積層体は、前記第1の積層体における複数の導電層のうち最上層の導電層である第1の導電層と、前記第1の積層体における複数の導電層のうち前記第1の導電層の下方で前記第1の導電層と隣接する第2の導電層を含み、
前記第2の積層体は、前記第2の積層体における複数の導電層のうち最下層の導電層である第3の導電層を含み、
前記積層方向における前記第1の導電層と前記第3の導電層との間隔は、前記積層方向における前記第1の導電層と前記第2の導電層との間隔より広く、
前記第3の導電層が前記第1の半導体膜と対向する周面における曲率が、前記第1の導電層が前記第1の半導体膜と対向する周面における曲率よりも大きく、
前記積層方向と直交する平面方向における前記第1の導電層の上面の端部と前記第1の電荷蓄積膜との距離は、前記平面方向における前記第2の導電層の上面の端部と前記第1の電荷蓄積膜との距離より大きく、前記平面方向における前記第3の導電層の上面の端部と前記第1の電荷蓄積膜との距離より大きい
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の導電層が絶縁層を介して積層された積層体を柱状の半導体膜が貫通し、各導電層と半導体膜との近接する部分をメモリセルとして機能させる3次元構造の半導体装置が知られている。この半導体装置では、動作信頼性を向上することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-126943号公報
【特許文献2】特開2012-015517号公報
【特許文献3】米国特許第9236395号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、動作信頼性を向上できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、第1の積層体と第2の積層体と第1の半導体膜と第1の電荷蓄積膜とを有する半導体装置が提供される。第1の積層体は、複数の導電層が絶縁層を介して積層される。第2の積層体は、第1の積層体の上方に配される。第2の積層体は、複数の導電層が絶縁層を介して積層される。第1の半導体膜は、第1の積層体及び第2積層体を、第1の積層体と第2の積層体との積層方向に貫通する。第1の半導体膜は、柱状である。第1の電荷蓄積膜は、第1の半導体膜と第1の積層体及び第2の積層体との間に配される。第1の導電層と第1の半導体膜及び第1の電荷蓄積膜とが交差する位置にダミーメモリセルが形成される。第1の導電層は、第1の積層体における複数の導電層のうち第2の積層体に最も近い導電層である。第2の導電層と第1の半導体膜及び第1の電荷蓄積膜とが交差する位置に情報記憶用のメモリセルが形成される。第2の導電層は、第1の積層体における複数の導電層のうち第1の導電層より第2の積層体から遠い導電層である。平面方向における第1の導電層の上面の端部と第1の電荷蓄積膜との距離は、平面方向における第2の導電層の上面の端部と第1の電荷蓄積膜との距離より大きい。平面方向は、積層方向と直交する方向である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態における半導体装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態における半導体装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態におけるメモリセルアレイの構成を示す回路図である。
図4】第1の実施形態にかかるメモリセルアレイの構成を示す断面図である。
図5】第1の実施形態におけるジョイント部付近の構成を示す拡大断面図である。
図6】第1の実施形態におけるダミーワード線付近の構成を示す拡大断面図である。
図7】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図8】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図9】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図10】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図11】第1の実施形態におけるダミーワード線付近の消去動作時の電流密度分布を示す断面図である。
図12】第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図13】第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図14】第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図15】第2の実施形態におけるダミーワード線付近の構成を示す断面図である。
図16】第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図17】第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図18】第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図19】第2の実施形態におけるダミーワード線付近の消去動作時の電流密度分布を示す断面図である。
図20】第3の実施形態におけるダミーワード線付近の構成を示す断面図である。
図21】第3の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図22】第3の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図23】第3の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図24】第4の実施形態におけるダミーワード線付近の構成を示す断面図である。
図25】第4の実施形態におけるダミーワード線付近の消去動作時の電流密度分布を示す断面図である。
図26】第5の実施形態におけるダミーワード線付近の構成を示す断面図である。
図27】第5の実施形態におけるダミーワード線付近の消去動作時の電流密度分布を示す断面図である。
図28】第6の実施形態にかかるダミーワード線付近の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
半導体装置では、導電層と絶縁層とが交互に積層された積層体が柱状の半導体膜、電荷蓄積膜及び絶縁膜を含む柱状体で貫通されて3次元的なメモリセルの配列(メモリセルアレイ)が構成されることがある。この半導体装置は、導電層の積層数を増やすことによって記憶容量の増加が可能なため、ビット当たりのコストを容易に削減できる。
【0009】
しかし、半導体装置において、導電層の積層数を増やすと、柱状体のアスペクト比(=(積層方向の寸法)/(平面方向の寸法))が高くなり、加工難易度が高くなる可能性がある。
【0010】
それに対して、積層体を複数のティアが積層された構造とすることが考えられる。すなわち、積層体を複数のティアに対応した複数の積層体に分割し、それに応じて、柱状体が埋め込まれるべきメモリホールを、複数のメモリホールに分割する。複数のメモリホールのそれぞれのアスペクト比は、分割前のメモリホールのアスペクト比より低いため、加工難易度を低減できる。
【0011】
各積層体において、導電層と半導体膜とが交差する部分が情報記憶用のメモリセルとして機能するように構成され、複数のメモリセルが3次元的に配列されたメモリセルアレイが構成される。各積層体において、導電層における半導体膜と交差する部分がメモリセルにおけるコントロールゲートとして機能し、導電層における残りの部分がコントロールゲートへ信号を伝達するワード線として機能し得る。
【0012】
この構造では、例えば、複数のティアのジョイント部に対して上方・下方に最も近い導電層がそれぞれダミーワード線とされ、ダミーワード線の導電層と半導体膜の交差する部分が、それぞれ、情報が記憶されないダミーメモリセルとして機能する。
【0013】
メモリセルへの情報の書き込みは、メモリセルのコントロールゲートへ書き込み電圧を印加し半導体膜へ基準電圧を印加する。これにより、半導体膜からメモリセルの絶縁膜をトンネルした電荷(電子)が電荷蓄積膜に蓄積され、メモリセルへ情報が書き込まれる。また、メモリセルに対する情報の消去処理では、メモリセルのコントロールゲートへ基準電圧を印加し半導体膜へ消去電圧を印加し選択ゲートに両者の中間電圧を印加する。これにより、選択ゲートのドレイン近傍でGIDL(Gate Induced Drain Leakage)により電子・正孔対を発生させ、反対電荷(正孔)を半導体膜から電荷蓄積膜に注入することで、電荷蓄積膜に蓄積された電荷が消去され、メモリセルの情報が消去される。
【0014】
消去処理において、ジョイント部下方のダミーワード線の導電層へ基準電圧を印加し半導体膜へ消去電圧を印加すると、ダミーワード線の導電層とジョイント部付近の電荷蓄積膜との間にバックトンネル現象が起こる可能性がある。バックトンネル現象が起こると、消去不良が発生するなど半導体装置の動作信頼性が損なわれる可能性がある。
【0015】
そこで、本実施形態では、半導体装置において、ジョイント部下方のダミーワード線の導電層の上面端部と電荷蓄積膜との平面方向距離を大きく確保することで、バックトンネル現象の抑制を図る。
【0016】
具体的には、半導体装置1は、図1に示すように構成される。図1は、半導体装置1の概略構成を示す斜視図である。
【0017】
以下の説明では、基板SUBの表面に平行な平面内で互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、より具体的には、X方向はワード線WLの延びる方向とし、Y方向はビット線BLの延びる方向とする。Z方向は、基板SUBの表面に直交する方向とする。このため、Z方向は、X方向及びY方向と直交する。
【0018】
図1に示すように、半導体装置1には、選択ゲートSGSと、ワード線WLと、選択ゲートSGDとが含まれる。選択ゲートSGSは、絶縁層7を介して基板SUBの上に積層される。図1の例では、選択ゲートSGSは3層設けられる。ワード線WLは、最上層の選択ゲートSGSの上に絶縁層7を介して積層される。図1の例では、ワード線WLはZ方向に沿って、絶縁層7と交互に複数層設けられる。選択ゲートSGDは、最上層のワード線WLの上に絶縁層7を介して積層される。選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDは、それぞれX方向及びY方向に延びる板状である。
【0019】
図1の例では、選択ゲートSGD、ワード線WL、及び選択ゲートSGSは、スリットSTによりY方向に分断され絶縁される。ソース線SLは、層間絶縁膜81を介して基板SUBの+Z側に配されている。スリットSTは、ソース線SLの+Z側に設けられ、X方向及びZ方向に延在する。
【0020】
選択ゲートSGDは、例えば、分断膜SHEによりY方向に分断される。図1の例では、Y方向に分割された選択ゲートSGD0とSGD1が示されている。分断膜SHEは、ワード線WLの上方(+Z側)に設けられ、X方向及びZ方向に延在する。このため、ワード線WL上には、選択ゲートSGD0と選択ゲートSGD1とがY方向に並んで配置される。図1の例では、選択ゲートSGD0およびSGD1は、それぞれ、3層設けられる。
【0021】
基板SUBは、例えば、シリコン基板である。選択ゲートSGS、ワード線WL、選択ゲートSGDは、例えば、タングステン(W)を含む金属層である。絶縁層7および層間絶縁層81は、例えば、酸化シリコンを含む絶縁体である。
【0022】
半導体装置1は、複数の柱状体4をさらに備える。柱状体4は、選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDを貫いて、それらの積層方向であるZ方向に延びる。半導体装置1は、選択ゲートSGDの上方に設けられた複数のビット線BLをさらに備える。
【0023】
柱状体4は、それぞれコンタクトプラグ31を介してビット線BLに電気的に接続される。例えば、選択ゲートSGD0を共有する柱状体4のうちの1つと、選択ゲートSGD1を共有する柱状体4のうちの1つは、1つのビット線BLに電気的に接続される。
【0024】
なお、図1では、図示の簡略化のために、選択ゲートSGDとビット線BLとの間に設けられる層間絶縁膜を省略している。
【0025】
半導体装置1では、選択ゲートSGD、ワード線WL、及び選択ゲートSGSが、それぞれ、導電層で構成される。ソース線SLの+Z側には、導電層と絶縁層とが交互に積層された積層体SSTが構成される。積層体SSTが柱状体4で貫通されて3次元的なメモリセルの配列(メモリセルアレイ)が構成される。
【0026】
すなわち、半導体装置1において、ワード線WLと柱状体4とが交差する部分がメモリセルとして機能するように構成され、複数のメモリセルが3次元的に配列されたメモリセルアレイ2が構成される。また、選択ゲートSGSと柱状体4とが交差する部分がソース側の選択ゲートとして機能し、選択ゲートSGD0,SGD1と柱状体4とが交差する部分がドレイン側の選択ゲートとして機能する。半導体装置1では、積層体SSTにおけるワード線WLの積層数を増やすことによって、より微細なパターニング技術を利用しなくても、記憶容量を増加することが可能である。
【0027】
図2は、半導体装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、半導体装置1は、メモリセルアレイ2、周辺回路100、及びインタフェース200を有している。周辺回路100は、WL駆動回路110、SGS駆動回路120、SGD駆動回路130、SL駆動回路140、及びセンスアンプ回路150を含む。
【0029】
WL駆動回路110は、ワード線WLへの印加電圧を制御する回路であり、SGS駆動回路120は、選択ゲートSGSに印加する電圧を制御する回路である。SGD駆動回路130は、選択ゲートSGDに印加する電圧を制御する回路であり、SL駆動回路140は、ソース線SLに印加する電圧を制御する回路である。センスアンプ回路150は、ビット線BLに印加する電圧を制御する回路であるとともに、選択されたメモリセルからの信号に応じて読み出したデータを判定する回路である。
【0030】
周辺回路100は、インタフェース200経由で外部(例えば、半導体装置1が適用されるメモリシステムのメモリコントローラ)から入力された指示に基づいて、半導体装置1の動作を制御する。
【0031】
次に、メモリセルアレイ2の回路構成について図3を用いて説明する。図3は、メモリセルアレイ2の構成を示す回路図である。
【0032】
メモリセルアレイ2は、各々が複数のメモリセルトランジスタMTの集合である複数のブロックBLKを有する。以下では、メモリセルトランジスタMTを単にメモリセルMTと呼ぶことにする。
【0033】
各ブロックBLKは、ワード線およびビット線に関連付けられたメモリセルMTの集合である複数のストリングユニットSU0,SU1,SU2,SU3を有する。各ストリングユニットSU0~SU3は、メモリセルMTが直列接続された複数のメモリストリングMSTを有する。なお、ストリングユニットSU0~SU3内のメモリストリングMSTの数は任意である。
【0034】
複数のストリングユニットSU0,SU1,SU2,SU3は、複数の選択ゲートSGD0,SGD1,SGD2,SGD3に対応しているとともに選択ゲートSGSを共有しており、ブロックBLKにおける複数の駆動単位として機能する。各ストリングユニットSUは、その対応する選択ゲートSGDと選択ゲートSGSとで駆動され得る。また、各ストリングユニットSUは、複数のメモリストリングMSTを含む。
【0035】
各メモリストリングMSTは、例えば10個のメモリセルMT(MT0~MT9)および選択トランジスタDGT,SGTを含んでいる。メモリセルMTは、コントロールゲートと電荷蓄積膜とを有し、データを不揮発に保持する。そして10個のメモリセルMT(MT0~MT9)は、選択トランジスタDGTのソースと選択トランジスタSGTのドレインとの間に直列接続されている。なお、メモリストリングMST内のメモリセルMTの個数は10個に限定されない。
【0036】
各ストリングユニットSU0~SU3における選択トランジスタDGTのゲートは、それぞれ選択ゲートSGD0~SGD3に接続される。これに対して各ストリングユニットSUにおける選択トランジスタSGTのゲートは、例えば選択ゲートSGSに共通接続される。
【0037】
各ストリングユニットSU内にある各メモリストリングMSTの選択トランジスタDGTのドレインは、それぞれ異なるビット線BL0~BLk(kは任意の2以上の整数)に接続される。また、ビット線BL0~BLkは、複数のブロックBLK間で各ストリングユニットSU内にある1つのメモリストリングMSTを共通に接続する。更に、各選択トランジスタSGTのソースは、ソース線SLに共通に接続されている。
【0038】
つまりストリングユニットSUは、異なるビット線BL0~BLkに接続され、且つ同一の選択ゲートSGDに接続されたメモリストリングMSTの集合である。また各ブロックBLKは、ワード線WLを共通にする複数のストリングユニットSU0~SU3の集合である。そしてメモリセルアレイ2は、ビット線BL0~BLkを共通にする複数のブロックBLKの集合である。
【0039】
なお、ワード線WLを共有するメモリセルMTの群を「メモリセルグループMCG」と呼ぶことにすると、メモリセルグループMCGは、ワード線WLを介して一括して所定の電圧(例えば、書き込み電圧、読み出し電圧)を印加可能なメモリセルMTの集合の最小単位である。
【0040】
また、ワード線WL4とワード線WL5との間には、ダミーワード線DWL1及びダミーワード線DWL2が設けられる。各メモリストリングMSTにおけるメモリセルMT4とメモリセルMT5との間には、ダミーワード線DWL1及びダミーワード線DWL2に対応してダミーメモリセルDMT1とダミーメモリセルDMT2とが設けられる。ダミーメモリセルDMT1とダミーメモリセルDMT2とは、それぞれ、メモリセルMTと同様の構造を有し、データの記憶に使用されない。
【0041】
次に、メモリセルアレイ2の断面構成について図4を用いて説明する。図4は、メモリセルアレイ2の構成を示す断面図である。
【0042】
半導体装置1において、基板SUBの+Z側には、層間絶縁膜81を介して導電層3が配される。導電層3は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。導電層3は、XY方向に板状に延び、ソース線SL(図1参照)として機能する。導電層3の+Z側には、複数の柱状体4が配される。複数の柱状体4は、XY方向に配列される。各柱状体4は、Z方向に延び、積層体SST(図1参照)を貫通する。
【0043】
積層体SSTは、複数の積層体SST1,SST2が積層された構造を有する。図4では、積層体SSTが2つの積層体SST1,SST2に分割される構造が例示されるが、積層体SSTが3つ以上に分割されてもよい。
【0044】
図4に示す各柱状体4は、導電層3の+Z側に、ティア4a、ジョイント部4b、ティア4c、キャップ層4dが順に積層される。積層体SSTは、導電層3の+Z側に、積層体SST1、ジョイント層JL、積層体SST2が順に積層される。積層体SST1,SST2は、それぞれ、ワード線WLなどとして機能する導電層6が絶縁層7を介して積層されて構成される。ティア4aは、Z方向に延び、積層体SST1を貫通する。ジョイント部4bは、ジョイント層JLに対応したZ位置を有する。ジョイント層JLは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。ティア4cは、Z方向に延び、積層体SST2を貫通する。ティア4aは、+Z側の端部がジョイント部4bを介してティア4cに結合される。キャップ層4dは、XY方向に板状に延び、ティア4cの+Z側端を覆う。キャップ層4dは、例えば、不純物を含む半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。積層体SST2の+Z側には、層間絶縁膜82,83を介して導電層9が配される。導電層9は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。導電層9は、Y方向にライン状に延び、ビット線BL(図1参照)として機能する。キャップ層4dは、コンタクトプラグ31を介してビット線BLに接続される。
【0045】
図5に示すように、各ティア4a,4cは、Z方向に沿った中心軸CA1,CA3を有する柱形状を有し、例えば略円柱形状を有する。図5は、ジョイント部4b付近の構成を示す拡大断面図であり、図4のA部分を拡大した拡大断面図である。各ティア4a,4cは、+Z側端の径に比べて-Z側端の径が狭いテーパ形状を有してもよい。各ティア4a,4cは、+Z側端の径に比べて-Z側端の径が狭く且つ+Z側端及び-Z側端の間の所定のZ位置で径が広がったボーイング形状を有してもよい。ティア4cの-Z側端の径は、ティア4aの+Z側端の径より小さい。
【0046】
ジョイント部4bは、Z方向に沿った中心軸CA2を有しXY方向に延びた円盤形状を有する。ジョイント部4bは、-Z側の面がティア4aの+Z側端に接触し、+Z側の面がティア4cの-Z側端に接触する。ジョイント部4bは、ティア4aの+Z側端をティア4cの-Z側端に結合し、ティア4a及びティア4cをZ方向に結合させる。ジョイント部4bは、ティア4aの+Z側端の径より大きな径を有し、ティア4cの-Z側端の径より大きな径を有する。ジョイント部4bの中心軸CA2のXY位置は、ティア4aの中心軸CA1のXY位置及び/又はティア4cの中心軸CA3のXY位置とずれていてもよい。すなわち、ティア4aの中心軸CA1のXY位置とティア4cの中心軸CA3のXY位置とが互いにずれていてもよい。これにより、ティア4a及びティア4cのXY位置合わせのマージンが確保され得る。ジョイント部4bは、導電層6のZ方向厚さより大きなZ方向幅を有し、絶縁層7のZ方向厚さより大きなZ方向幅を有する。これにより、ティア4a及びティア4cの結合マージンが確保され得る。これに応じて、ジョイント層JLは、導電層6のZ方向厚さより大きなZ方向厚さを有し、絶縁層7のZ方向厚さより大きなZ方向厚さを有する。
【0047】
ティア4aは、図5に示すように、中心軸CA1側から順にコア部材CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1を有する。コア部材CRは、ティア4aの中心軸CA1近傍に配されティア4aの中心軸CA1に沿って延びた略円柱形状を含む。コア部材CRは、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。半導体膜CHは、コア部材CRを外側から囲むように配されティア4aの中心軸CA1に沿って延びた略円筒状の形状を含む。半導体膜CHは、さらにコア部材CRの-Z側の端部を覆うとともに、導電層3に接続される。半導体膜CHは、実質的に不純物を含まない半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜TNLは、半導体膜CHを外側から囲むように配されティア4aの中心軸CA1に沿って延びた略円筒状の形状を含む。絶縁膜TNLは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。電荷蓄積膜CTは、絶縁膜TNLを外側から囲むように配されティア4aの中心軸CA1に沿って延びた略円筒状の形状を含む。電荷蓄積膜CTは、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜BLK1は、電荷蓄積膜CTを外側から囲むように配されティア4aの中心軸CA1に沿って延びた略円筒状の形状を含む。絶縁膜BLK1は、酸化物(例えば、シリコン酸化物、金属酸化物またはそれらの積層)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、電荷蓄積膜CTが1対の絶縁膜TNL,BLK1で挟まれたONO型の3層構造が構成され得る。
【0048】
ジョイント部4bは、中心軸CA2側から順にコア部材CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1を有する。コア部材CRは、ティア4aのコア部材CRより径の大きな略円盤形状を含む。半導体膜CHは、ティア4aの半導体膜CHより径の大きな中空円盤形状を含む。絶縁膜TNLは、ティア4aの絶縁膜TNLより径の大きな中空円盤形状を含む。電荷蓄積膜CTは、ティア4aの電荷蓄積膜CTより径の大きな中空円盤形状を含む。絶縁膜BLK1は、ティア4aの絶縁膜BLK1より径の大きな中空円盤形状を含む。
【0049】
ティア4cは、中心軸CA3側から順にコア部材CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1を有する。コア部材CRは、ティア4cの中心軸CA3近傍に配されティア4cの中心軸CA3に沿って延びた略円柱形状を含む。半導体膜CHは、コア部材CRを外側から囲むように配されティア4cの中心軸CA3に沿って延びた略円筒状の形状を含む。絶縁膜TNLは、半導体膜CHを外側から囲むように配されティア4cの中心軸CA3に沿って延びた略円筒状の形状を含む。電荷蓄積膜CTは、絶縁膜TNLを外側から囲むように配されティア4cの中心軸CA3に沿って延びた略円筒状の形状を含む。絶縁膜BLK1は、電荷蓄積膜CTを外側から囲むように配されティア4cの中心軸CA3に沿って延びた略円筒状の形状を含む。ティア4cのコア部材CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1は、それぞれティア4aのコア部材CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1と同じ材料で形成される。これにより、電荷蓄積膜CTが1対の絶縁膜TNL,BLK1で挟まれたONO型の3層構造が構成され得る。
【0050】
ティア4aの半導体膜CHは、-Z側でソース線SLとしての導電層3に接続され、+Z側でジョイント部4bの半導体膜CHに接続される。ジョイント部4bの半導体膜CHは、+Z側でティア4cの半導体膜CHに接続される。ティア4cの半導体膜CHは、+Z側の端部がキャップ層4d及びコンタクトプラグ31を介してビット線BLとして機能する導電層9に接続される。すなわち、ティア4a、ジョイント部4b、ティア4cの半導体膜CHは、メモリストリングMSTにおけるチャネル領域(アクティブ領域)を含む。
【0051】
図4に示す各積層体SST1,SST2では、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層される。各導電層6は、XY方向に板状に延びる。各導電層6は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。各導電層6は、+Z側の面、-Z側の面、及びティア4a,4cに対向する面が絶縁膜BLK2で覆われていてもよい。絶縁膜BLK2は、絶縁物BLK1と組成が異なっていてもよい。絶縁膜BLK2は、絶縁物(例えば、酸化アルミニウム)を主成分とする材料で形成され得る。各絶縁層7は、XY方向に板状に延びる。各絶縁層7は、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。
【0052】
積層体SST1において、Z方向に互いに離間して配される複数の導電層6のうち、最も-Z側の導電層6は、選択ゲートSGSとして機能し、最も+Z側の導電層6は、ダミーワード線DWL1として機能し、他の導電層6は、ワード線WL0~WL4として機能する。
【0053】
選択ゲートSGSの導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、選択トランジスタSGTが形成される。ワード線WL0の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT0が形成される。ワード線WL1の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT1が形成される。ワード線WL2の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT2が形成される。ワード線WL3の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT3が形成される。ワード線WL4の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT4が形成される。ダミーワード線DWL1の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、ダミーメモリセルDMT1が形成される。なお、ティア4aは、選択ゲートSGSの導電層6と交差する位置において、部分的に電荷蓄積膜CT及び絶縁膜BLK1が省略されていてもよい。
【0054】
積層体SST2において、Z方向に互いに離間して配される複数の導電層6のうち、最も-Z側の導電層6は、ダミーワード線DWL2として機能し、最も+Z側の導電層6は、選択ゲートSGD0として機能し、他の導電層6は、ワード線WL5~WL9として機能する。
【0055】
ダミーワード線DWL2の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、ダミーメモリセルDMT2が形成される。ワード線WL5の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT5が形成される。ワード線WL6の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT6が形成される。ワード線WL7の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT7が形成される。ワード線WL8の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT8が形成される。ワード線WL9の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT9が形成される。選択ゲートSGD0の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、選択トランジスタDGTが形成される。なお、ティア4cは、選択ゲートSGD0の導電層6と交差する位置において、部分的に電荷蓄積膜CT及び絶縁膜BLK1が省略されていてもよい。
【0056】
メモリセルMTへの情報の書き込み処理では、選択ワード線WLの導電層6へ書き込み電圧が印加され、非選択ワード線WLの導電層6へ転送電圧が印加され、半導体膜CHへ基準電圧が印加される。書き込み電圧は、半導体膜CHの電荷(電子)を電荷蓄積膜CTへ引き込むための電位(例えば、20V)を有する。転送電圧は、書き込み電圧と基準電圧との間の電位(例えば、10V)を有する。基準電圧は、基準となる電位(例えば、0V)を有する。これにより、選択ワード線WLの導電層6と半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTとが交差する位置の選択メモリセルMTの電荷蓄積膜CTに電荷が蓄積され、選択メモリセルMTに情報が書き込まれる。
【0057】
メモリセルMTに対する情報の消去処理では、各ワード線WLの導電層6へ基準電圧が印加され、半導体膜CHへ消去電圧が印加され、選択ゲートSGS,SGDに両者の中間電圧が印加される。消去電圧は、半導体膜CHの反対電荷(正孔)を電荷蓄積膜CTへ注入するための電位(例えば、20V)を有する。基準電圧は、基準となる電位(例えば、0V)を有する。中間電圧は、消去処理と基準電圧との間の電位(例えば、5V)を有する。このような制御によって、選択トランジスタSGT,DGTのドレイン近傍でGIDL(Gate Induced Drain Leakage)により電子・正孔対を発生させ、反対電荷(正孔)を半導体膜CHから電荷蓄積膜CTに注入する。これにより、電荷蓄積膜CTに蓄積された電荷が消去され、メモリセルMTの情報が消去され得る。
【0058】
このとき、図5に示すように、ダミーワード線DWL1の導電層6は、ジョイント部4bが存在することに伴い、+Z側の導電層6とのZ方向間隔GD1D2が-Z側の導電層6とのZ方向間隔GW4D1より大きい。これにより、ダミーワード線DWL1の導電層6から電荷蓄積膜CTへ向かう方向の電界が、-Z側の導電層6の電圧から受ける影響に比べて、+Z側の導電層6の電圧から受ける影響が少なくなる。このため、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aにおけるティア4a側の端部6a1に電界集中が起こりやすく、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aにおけるティア4a側の端部6a1から絶縁膜BLK1をトンネルした電荷がジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTに蓄積されるバックトンネル現象が発生する可能性がある。バックトンネル現象が発生すると、ジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTに意図しない情報が書き込まれるが、ジョイント部4b付近には、ワード線WLの導電層6が存在しないため、反対電荷を半導体膜CHから電荷蓄積膜CTに注入して電荷を消去することも困難である。
【0059】
一方、ワード線WL4の導電層6は、+Z側の導電層6とのZ方向間隔GW4D1が-Z側の導電層6とのZ方向間隔GW3W4と均等である。これにより、ワード線WL4の導電層6では、ダミーワード線DWL1の導電層6のような電界集中が起こりにくい。
【0060】
また、ダミーワード線DWL2の導電層6は、-Z側の導電層6とのZ方向間隔GD1D2が+Z側の導電層6とのZ方向間隔GD2W5より大きく、-Z側の面のティア6c側の端部に電界集中が起こり得る。ダミーワード線DWL2の導電層6のZ位置におけるティア4cの径は、ダミーワード線DWL1の導電層6のZ位置におけるティア4aの径に比べて小さい。すなわち、ダミーワード線DWL2の導電層6のZ位置における半導体膜CHの最大平面幅は、ダミーワード線DWL1の導電層6のZ位置における半導体膜CHの最大平面幅に比べて小さい。これに応じて、XY平面視において、ダミーワード線DWL2の導電層6のZ位置における周面4c1の曲率がダミーワード線DWL1の導電層6のZ位置における周面4a1の曲率に比べて大きい。これにより、ダミーワード線DWL2の導電層6から電荷蓄積膜CTへ向かう方向の電界がダミーワード線DWL1の導電層6から電荷蓄積膜CTへ向かう方向の電界に比べて小さい。この結果、ダミーワード線DWL2の導電層6の下面端部と電荷蓄積膜CTとの間では、バックトンネル現象が発生しにくい。
【0061】
これに関して、半導体装置1は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の部分が、図6に示すように構成される。図6は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の構成を示す拡大断面図であり、図5のB部分を拡大した拡大断面図である。ダミーワード線DWL1の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DDWL1は、ワード線WL4の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL4より大きい。同様に、図示しないが、距離DDWL1は、ワード線WL3の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL3より大きい(図5参照)。距離DDWL1は、ワード線WL2の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL2より大きい(図4参照)。距離DDWL1は、ワード線WL1の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL1より大きい。距離DDWL1は、ワード線WL0の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL0より大きい。
【0062】
また、距離DDWL1は、+Z側のダミーワード線DWL2の導電層6の上面6aにおけるティア4c側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DDWL2より大きい(図5参照)。距離DDWL1は、ワード線WL5の導電層6の上面6aにおけるティア4c側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL5より大きい。距離DDWL1は、ワード線WL6の導電層6の上面6aにおけるティア4c側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL6より大きい(図4参照)。距離DDWL1は、ワード線WL7の導電層6の上面6aにおけるティア4c側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL7より大きい。距離DDWL1は、ワード線WL8の導電層6の上面6aにおけるティア4c側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL8より大きい。距離DDWL1は、ワード線WL9の導電層6の上面6aにおけるティア4c側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL9より大きい。
【0063】
例えば、ダミーワード線DWL1の導電層6に対応するZ位置で、ティア4aの側面に凸部4a21が配され、それに対応して導電層6がティア4aの側面から外側に後退されるように構成される。
【0064】
すなわち、ダミーワード線DWL1の導電層6に対応するZ位置の絶縁膜BLK1の外周面4a2とし、そのZ位置より若干高いZ位置の絶縁膜BLK1の外周面を4a1とし、そのZ位置より若干低いZ位置の絶縁膜BLK1の外周面を4a3とする。ワード線WL4の導電層6に対応するZ位置の絶縁膜BLK1の外周面4a4とし、そのZ高さより若干低いZ位置の絶縁膜BLK1の外周面を4a5とする。外周面4a1,4a2,4a3,4a4,4a5に対応した電荷蓄積膜CTの外周面を、それぞれ、4a11,4a12,4a13,4a14,4a15とする。
【0065】
外周面4a1,4a3,4a4,4a5が一体面を形成するか他の面の延長面上にあり第1の基準外周面を形成する。外周面4a2は、第1の基準外周面の外側に位置にする。外周面4a11,4a13,4a14,4a15が一体面を形成するか他の面の延長面上にあり第2の基準外周面を形成する。外周面4a12は、第2の基準外周面の外側に位置にする。これに応じて、ダミーワード線DWL1の導電層6の中心軸CA1側の端面がワード線WL4の中心軸CA1側の端面に比べて第1の基準外周面からより外側に後退した位置に配されている。
【0066】
外周面4a1と外周面4a2との間にXY方向に沿った段差面4a1aが構成され、外周面4a11及び外周面4a12の間にXY方向に対して傾斜した段差面4a11aが構成される。外周面4a2と外周面4a3との間にXY方向に沿った段差面4a3aが構成され、外周面4a12と外周面4a13との間にXY方向に対して傾斜した段差面4a13aが構成される。これに応じて、絶縁膜BLK1は、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aのZ位置と-Z側の面のZ位置とのそれぞれにおいて、絶縁膜BLK1のXY方向の膜厚が他のZ位置に比べて部分的に厚くなる。これにより、ダミーワード線DWL1の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DDWL1がワード線WL4の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL4より大きい構造が構成される。
【0067】
この結果、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aの端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保することができるので、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0068】
なお、半導体膜CHにおけるダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面から-Z側の面までに対応した第1の部分とワード線WL4の導電層6の+Z側の面から-Z側の面までに対応した第2の部分とを比較すると、第2の部分が直線状に延びるのに対して、第1の部分は屈曲して延びる。すなわち、半導体膜CHは、ダミーワード線DWL1の導電層6と半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTとが交差する位置で屈曲している。このため、半導体膜CHは、第1の部分の方が第2の部分より長い。これにより、図5に示すように、ダミーメモリセルDMT1のチャネル長は、メモリセルMT4のチャネル長より長い。同様に、ダミーメモリセルDMT1のチャネル長は、各メモリセルMT0~MT3,MT4~MT10のチャネル長より長い(図4参照)。ダミーメモリセルDMT1のチャネル長は、ダミーメモリセルDMT2のチャネル長より長い。
【0069】
次に、半導体装置1の製造方法について図7図10を用いて説明する。図7(a)~図10(c)は、半導体装置1の製造方法を示す断面図である。
【0070】
図7(a)に示す工程では、基板SUBにトランジスタを形成し、基板SUB上に、コンタクトプラグ、配線膜及びビアプラグ等を形成するとともにそれらの周囲に層間絶縁膜を形成する。これにより、周辺回路100が形成される。その後、基板SUBの+Z側に層間絶縁膜81を堆積する。層間絶縁膜81は、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成され得る(図4参照)。層間絶縁膜81の+Z側に導電層3が堆積される。導電層3は、不純物を含む半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料または導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。導電層3の+Z側に、絶縁層7iと犠牲層5iとを交互に複数回堆積して積層体SST1iを形成する。絶縁層7iは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。犠牲層5iは、窒化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。各絶縁層7i及び各犠牲層5iは、概ね同様な膜厚で堆積され得る。積層体SST1iの+Z側に、ジョイント層JLiが堆積される。ジョイント層JLiは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。ジョイント層JLiは、絶縁層7iの膜厚より厚く犠牲層5iの膜厚より厚い膜厚で形成される。
【0071】
図7(b)に示す工程では、メモリホール10の形成位置が開口されたレジストパターンをジョイント層JLiの上に形成する。レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングを行い、ジョイント層JLj及び積層体SST1jを貫通し導電層3に到達するメモリホール10を形成する。
【0072】
図7(c)に示す工程では、ジョイント孔11の形成位置が開口されたレジストパターンをジョイント層JLjの上に形成する。レジストパターンの開口は、Z方向から見た場合にメモリホール10iを内側に含むように形成される。レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングを行い、ジョイント孔11をジョイント層JLに形成する。ジョイント孔11は、メモリホール10iより大きな径でジョイント層JLの厚さより浅い深さで形成される。ジョイント孔11の深さは、異方性エッチングのエッチング時間で調整され得る。
【0073】
図8(a)に示す工程では、メモリホール10i及びジョイント孔11に犠牲膜14が埋め込まれる。犠牲膜14は、絶縁層7及び犠牲層5に対してエッチング選択比を確保可能な材料(例えば、アモルファスシリコン)で形成され得る。犠牲膜14は、メモリホール10iに埋め込まれた柱状部12とジョイント孔11に埋め込まれた円盤状部13とを含む。
【0074】
図8(b)に示す工程では、犠牲膜14におけるジョイント孔11の部分が除去され、さらに、犠牲膜14におけるメモリホール10iの上部が除去される。ジョイント孔11及びメモリホール10iにより、積層体SST1jにおける最も+Z側の犠牲層5の内周面が露出される。犠牲膜14iにおける+Z側の端面のZ位置は、異方性エッチングのエッチング時間で調整され得る。図8(b)では、犠牲膜14iの+Z側の端面のZ位置が積層体SST1jにおける最も+Z側の絶縁層7のZ位置である場合が例示されているが、Z方向に多少変動した位置も許容される。例えば、犠牲膜14iの+Z側の端面のZ位置は、積層体SST1jにおける最も+Z側の犠牲層5にかかるZ位置であってもよい。この場合、積層体SST1jにおける最も+Z側の犠牲層5の内周面における+Z側の部分が露出される。
【0075】
図8(c)に示す工程では、メモリホール10jで露出された犠牲層5の側面をエッチングして後退させる犠牲層リセス処理を行う。犠牲層5がシリコン窒化物を主成分とする材料で形成される場合、犠牲層リセス処理は、SiNリセス処理又はNリセス処理とも呼ばれる。犠牲層リセス処理により、メモリホール10jの内側面に凹部10j1を形成する。凹部10j1は、積層体SST1jにおける最も+Z側の犠牲層5kのZ位置において、メモリホール10jの内側面に対してメモリホール10jの中心から遠ざかる方向に窪むように形成される。例えば、絶縁層7及び犠牲膜14iに対する犠牲層5kのエッチング選択比が高いエッチャントを用いてメモリホール10jの内側面をウェットエッチングする。あるいは、絶縁層7及び犠牲膜14iに対する犠牲層5kのエッチング選択比が高い処理ガスを用いた等方性エッチングの条件でメモリホール10jの内側面をドライエッチングする。これにより、メモリホール10jで露出された犠牲層5kの側面をエッチングして後退させ、メモリホール10jの内側面に凹部10j1を形成することができる。メモリホール10jの内側面に対する凹部10j1の窪み幅(リセス量)は、エッチング時間で調整され得る。凹部10j1のZ方向の幅は、犠牲層5kの膜厚とほぼ均等である。
【0076】
図9(a)に示す工程では、メモリホール10j及びジョイント孔11に犠牲膜14jを埋め戻す。犠牲膜14jにおける柱状部12jは、側面に凸部12j1を有する。凸部12j1は、積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲層5kに対してXY方向に当接する。
【0077】
図9(b)に示す工程では、ジョイント層JL及び犠牲膜14jの+Z側に、犠牲層5iと絶縁層7iとを交互に複数回堆積して積層体SST2iを形成する。犠牲層5iは、窒化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁層7iは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。各絶縁層7i及び各犠牲層5iは、積層体SST1iにおける各絶縁層7i及び各犠牲層5i(図7(a)参照)と概ね同様な膜厚で堆積され得る。
【0078】
図9(c)に示す工程では、メモリホール15の形成位置が開口されたレジストパターンを積層体SST2iの上に形成する。レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングを行い、積層体SST2jを貫通し犠牲膜14jの+Z側の面を露出するメモリホール15を形成する。
【0079】
図10(a)に示す工程では、犠牲膜14jが除去される。これにより、積層体SST2j、ジョイント層JL、積層体SST1kを貫通し導電層3(図4参照)に到達するメモリホール16が形成される。メモリホール16は、導電層3の+Z側に、メモリホール10j、ジョイント孔11、メモリホール15を順に含む。
【0080】
図10(b)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面に、絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLを順に堆積する。絶縁膜BLK1は、酸化物(例えば、シリコン酸化物、金属酸化物またはそれらの積層)を主成分とする材料で形成され得る。電荷蓄積膜CTは、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜TNLは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLにおけるメモリホール16の底面の部分が選択的に除去された後、メモリホール16の側面及び底面に半導体膜CHが堆積される。半導体膜CHは、実質的に不純物を含まない半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。そして、メモリホール16にコア部材CRが埋め込まれる。コア部材CRは、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、積層体SST1k、ジョイント層JL、積層体SST2jをZ方向に貫通する柱状体4が形成される。柱状体4は、導電層3の+Z側に、積層体SST1kをZ方向に貫通するティア4a、ジョイント層JLをZ方向にほぼ貫通するジョイント部4b、積層体SST2jをZ方向に貫通するティア4cを順に含む。ティア4aは、側面に凸部4a21を有する。凸部4a21は、積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲層5kに対してXY方向に当接する。
【0081】
図10(c)に示す工程では、積層体SST1kの犠牲層5,5kと積層体SST2jの犠牲層5とがそれぞれ除去される。除去によって形成された空隙の露出面に絶縁膜BLK2が堆積される。絶縁膜BLK2は、絶縁物(例えば、酸化アルミニウム)を主成分とする材料で形成され得る。そして、空隙に導電層6が埋め込まれる。導電層6は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層された積層体SST1が形成され、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層された積層体SST2が形成される。ティア4aの側面の凸部4a21は、積層体SST1における最も+Z側の導電層6に絶縁膜BLK2を介してXY方向に当接する。
【0082】
次に、ダミーワード線DW1の導電層6付近の消去動作時の電流密度分布についてシミュレーションを行った結果について図11を用いて説明する。図11は、ダミーワード線付近の消去動作時の電流密度分布を示す断面図であり、図6の拡大断面図に対応している。図11では、電流密度の大きさをハッチングの濃淡で示し、ハッチングが薄いほど電流密度が高いことを示す。
【0083】
半導体膜CHへ20Vを印加し、選択ゲートSGS,SGDに5Vを印加し、各ワード線WL0~WL4,WL5~WL9の導電層6に0Vを印加し、各ダミーワード線DWL1,DWL2の導電層6に0Vを印加した状態で、電流密度がどのように分布するかが示されている。ここで、ワード線WLまたはダミーワード線DWLとして機能する導電層6と電荷蓄積膜CTとの間を通して、電流密度が図11に示す基準値以上の値を保持して電流経路が延びた場合に、この経路においてバックトンネル現象が起こる可能性が生じる。図11に示すように、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとの間にほとんど電流が流れておらず、バックトンネル現象が抑制されていることが分かる。
【0084】
以上のように、第1の実施形態では、半導体装置1において、ジョイント部4bの-Z側のダミーワード線DWL1の導電層6の上面6aにおける端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保する。例えば、ダミーワード線DWL1の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DDWL1がワード線WL4の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL4より大きい構造が構成される。これにより、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。この結果、消去不良の発生を抑制できるなど、半導体装置1の動作信頼性を向上できる。
【0085】
なお、図5図6では、各導電層6における+Z側の面、-Z側の面、及びティア4a,4cに対向する面が絶縁膜BLK2で覆われた構成が例示されるが、絶縁膜BLK2が省略された構成であってもよい。
【0086】
次に、半導体装置1の変形例について説明する。変形例の半導体装置は、その製造方法が図12図14に示すように、次の点で半導体装置1と異なる。図12(a)~図14(c)は、変形例にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。半導体装置1の製造方法において、図8(a)の工程が行われた後、犠牲膜14におけるジョイント孔11の部分が除去され、さらに、犠牲膜14におけるメモリホール10iの上部が除去される。このとき、図12(a)に示すように、犠牲膜14iにおける+Z側の端面のZ位置は、積層体SST1jにおける+Z側から2番目の犠牲層5にかかるZ位置であってもよい。この場合、積層体SST1jにおける+Z側から1番目の犠牲層5の内周面が全面的に露出され、+Z側から2番目の犠牲層5の内周面における+Z側の部分が露出される。
【0087】
図12(b)に示す工程で、図12(a)のメモリホール10iに露出された犠牲層5の側面をエッチングして後退させる犠牲層リセス処理を行う。これにより、メモリホール10jが形成される。メモリホール10jの内側面に凹部10j1に加えて凹部10j2が形成される。凹部10j2は、積層体SST1jにおける+Z側から2番目の犠牲層5kにかかるZ位置において、メモリホール10jの内側面に対してメモリホール10jの中心から遠ざかる方向に窪むように形成される。メモリホール10jの内側面に対する凹部10j2の窪み幅(リセス量)は、メモリホール10jの内側面に対する凹部10j1の窪み幅(リセス量)より小さい。凹部10j2のメモリホール10jの中心に対する放射方向の幅は、凹部10j1のメモリホール10jの中心に対する放射方向の幅より小さい。凹部10j2のZ方向の幅は、積層体SST1jにおける+Z側から2番目の犠牲層5kの膜厚とほぼ均等である。
【0088】
図13(a)に示す工程では、メモリホール10j及びジョイント孔11に犠牲膜14jを埋め戻す。犠牲膜14jにおける柱状部12jは、側面に凸部12j1に加えて凸部12j2を有する。凸部12j2は、積層体SST1kにおける+Z側から2番目の犠牲層5kに対してXY方向に当接する。凸部12j2の犠牲膜14j中心に対する放射方向の幅は、凸部12j1の犠牲膜14j中心に対する放射方向の幅より小さい。
【0089】
図13(b)に示す工程では、ジョイント層JL及び犠牲膜14jの+Z側に、犠牲層5iと絶縁層7iとを交互に複数回堆積して積層体SST2iを形成する。
【0090】
図13(c)に示す工程では、メモリホール15の形成位置が開口されたレジストパターンを積層体SST2iの上に形成する。レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングを行い、積層体SST2jを貫通し犠牲膜14jの+Z側の面を露出するメモリホール15を形成する。
【0091】
図14(a)に示す工程では、犠牲膜14jが除去される。これにより、積層体SST2j、ジョイント層JL、積層体SST1kを貫通し導電層3(図4参照)に到達するメモリホール16が形成される。メモリホール16は、導電層3の+Z側に、メモリホール10j、ジョイント孔11、メモリホール15を順に含む。
【0092】
図14(b)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面に、絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLを順に堆積する。絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLにおけるメモリホール16の底面の部分が選択的に除去された後、メモリホール16の側面及び底面に半導体膜CHが堆積される。そして、メモリホール16にコア部材CRが埋め込まれる。これにより、積層体SST1k、ジョイント層JL、積層体SST2jをZ方向に貫通する柱状体4が形成される。柱状体4におけるティア4aは、側面に凸部4a21に加えて凸部4a22を有する。凸部4a22は、積層体SST1kにおける+Z側から2番目の犠牲層5kに対してXY方向に当接する。凸部4a22の中心軸CA1(図5参照)に対する放射方向の幅は、凸部4a21の中心軸CA1に対する放射方向の幅より小さい。
【0093】
図14(c)に示す工程では、積層体SST1kの犠牲層5,5kと積層体SST2jの犠牲層5とがそれぞれ除去される。除去によって形成された空隙の露出面に絶縁膜BLK2が堆積される。絶縁膜BLK2は、絶縁物(例えば、酸化アルミニウム)を主成分とする材料で形成され得る。そして、空隙に導電層6が埋め込まれる。導電層6は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層された積層体SST1が形成され、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層された積層体SST2が形成される。ティア4aの側面の凸部4a21は、積層体SST1における最も+Z側の導電層6に絶縁膜BLK2を介してXY方向に当接する。ティア4aの側面の凸部4a22は、積層体SST1における+Z側から2番目の導電層6に絶縁膜BLK2を介してXY方向に当接する。
【0094】
このとき、凸部4a22の中心軸CA1(図5参照)に対する放射方向の幅は、凸部4a21の中心軸CA1に対する放射方向の幅より小さい。これに応じて、ダミーワード線DWL1の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DDWL1は、ワード線WL4の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL4より大きい。さらに、ワード線WL4の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL4は、ワード線WL3の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL3より大きい。すなわち、
DWL1>DWL4>DWL3
の関係が成立する構造が構成される。このような構造によっても、半導体装置1において、ジョイント部4bの-Z側のダミーワード線DWL1の導電層6の上面6aにおける端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保でき、バックトンネル現象を抑制できる。
【0095】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0096】
第1の実施形態では、ダミーワード線の導電層に対応する位置でティアの側面に凸部が配され、それに対応して導電層が後退した構成を例示するが、第2の実施形態では、ダミーワード線の導電層とティアとの間に絶縁膜が追加された構成を例示する。
【0097】
具体的には、半導体装置101は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の部分が、図15に示すように構成される。図15は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の構成を示す拡大断面図であり、図5のB部分を拡大した拡大断面図に相当する。
【0098】
ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間には、絶縁膜BLK3が追加されている。絶縁膜BLK3は、中心軸CA1から遠い側の面が絶縁膜BLK2を介して導電層6に当接し、中心軸CA1に近い側の面がティア4aの外周面4a2に当接している。ワード線WL4の導電層6とティア4aとの間には絶縁膜BLK2が介在するのに対し、ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間には絶縁膜BLK2に加えて絶縁膜BLK3がさらに介在する。これに応じて、ダミーワード線DWL1の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DDWL1がワード線WL4の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL4より大きい構造が構成される。
【0099】
すなわち、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aの端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保することができるので、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0100】
ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間に介在する絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1(例えば、シリコン酸化物)と組成が異なっていてもよいし、絶縁膜BLK2(例えば、アルミニウム酸化物)と組成が異なっていてもよい。絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1より誘電率が低い材料で形成されていてもよい。絶縁膜BLK3は、例えば、炭素、フッ素、窒素、水素、ホウ素を含む群から選択された1つ以上の元素を含むシリコン酸化物で形成されていてもよいし、シリコン酸化物を低密度化又は多孔質化した材料で形成されていてもよい。これにより、絶縁膜BLK3は、物理的な膜厚に比べてシリコン酸化膜に換算した場合等の電気的な膜厚を厚く確保できるので、効果的にバックトンネル現象を抑制できる。
【0101】
なお、外周面4a1,4a3,4a4,4a5が一体面を形成するか他の面の延長面上にあり第1の基準外周面を形成する。外周面4a2は、+Z側端から中間のZ位置に向かうにしたがって第1の基準外周面から徐々に外側に遠ざかり、中間のZ位置から-Z側端に向かうにしたがってその外側の位置から徐々に第1の基準外周面に近づき-Z側端で第1の基準外周面に連続する。外周面4a11,4a13,4a14,4a15が一体面を形成するか他の面の延長面上にあり第2の基準外周面を形成する。外周面4a12は、+Z側端から中間のZ位置に向かうにしたがって第2の基準外周面から徐々に外側に遠ざかり、中間のZ位置から-Z側端に向かうにしたがってその外側の位置から徐々に第2の基準外周面に近づき-Z側端で第2の基準外周面に連続する。これに応じて、絶縁膜BLK3は、中間のZ位置の部分のXY方向膜厚が+Z側端のXY方向膜厚より薄く、-Z側端のXY方向膜厚より薄くなっている。
【0102】
また、半導体装置101の製造方法が図16図18に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。図16(a)~図18(c)は、半導体装置101の製造方法を示す断面図である。
【0103】
図8(c)に示す工程が行われた後、図16(a)に示す工程が行われる。図16(a)に示す工程では、メモリホール10jの側面及び犠牲膜14iの+Z側の面に絶縁膜BLK3が堆積される。このとき、メモリホール10jの内側面の凹部10j1に絶縁膜BLK3が埋め込まれる。絶縁膜BLK3は、絶縁物を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1より誘電率の低い絶縁物を主成分とする材料で形成されてもよい。
【0104】
図16(b)に示す工程では、メモリホール10jの側面及び犠牲膜14iの+Z側の面に絶縁膜BLK3が、RIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングでエッチバックされ除去される。これにより、メモリホール10jの側面の凹部10j1に選択的に絶縁膜BLK3が残される。このとき、絶縁膜BLK3の露出された面が多少エッチングされ、メモリホール10jの側面に対して若干外側に窪み得る。
【0105】
図17(a)に示す工程では、メモリホール10j及びジョイント孔11に犠牲膜14jを埋め戻す。犠牲膜14jにおける柱状部12jは、側面に膨出部12j1を有する。膨出部12j1は、積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲層5kに対して絶縁膜BLK3を介してXY方向に当接する。
【0106】
図17(b)に示す工程では、ジョイント層JL及び犠牲膜14jの+Z側に、犠牲層5iと絶縁層7iとを交互に複数回堆積して積層体SST2iを形成する。このとき、積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲層5kと犠牲膜14jとの間に絶縁膜BLK3が介在している。
【0107】
図17(c)に示す工程では、メモリホール15の形成位置が開口されたレジストパターンを積層体SST2iの上に形成する。レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングを行い、積層体SST2jを貫通し犠牲膜14jの+Z側の面を露出するメモリホール15を形成する。
【0108】
図18(a)に示す工程では、犠牲膜14jが除去される。これにより、積層体SST2j、ジョイント層JL、積層体SST1kを貫通し導電層3(図4参照)に到達するメモリホール16が形成される。メモリホール16は、導電層3の+Z側に、メモリホール10j、ジョイント孔11、メモリホール15を順に含む。このとき、積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲膜5kのZ位置において、メモリホール10jの側面に絶縁膜BLK3が露出される。
【0109】
図18(b)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面に、絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLを順に堆積する。絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLにおけるメモリホール16の底面の部分が選択的に除去された後、メモリホール16の側面及び底面に半導体膜CHが堆積される。そして、メモリホール16にコア部材CRが埋め込まれる。これにより、積層体SST1k、ジョイント層JL、積層体SST2jをZ方向に貫通する柱状体4が形成される。柱状体4におけるティア4aの膨出部4a21は、積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲層5kに対して絶縁膜BLK3を介してXY方向に当接する。
【0110】
図18(c)に示す工程では、積層体SST1kの犠牲層5,5kと積層体SST2jの犠牲層5とがそれぞれ除去される。除去によって形成された空隙の露出面に絶縁膜BLK2が堆積される。そして、空隙に導電層6が埋め込まれる。これにより、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層された積層体SST1が形成され、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層された積層体SST2が形成される。ティア4aの側面の膨出部4a21は、積層体SST1における最も+Z側の導電層6に絶縁膜BLK3及び絶縁膜BLK2を介してXY方向に当接する。
【0111】
また、ダミーワード線DW1の導電層6付近の消去動作時の電流密度分布についてシミュレーションを行った結果について図19を用いて説明する。図19は、ダミーワード線付近の消去動作時の電流密度分布を示す断面図であり、図15の拡大断面図に対応している。
【0112】
半導体膜CHへ20Vを印加し、選択ゲートSGS,SGDに5Vを印加し、各ワード線WL0~WL4,WL5~WL9の導電層6に0Vを印加し、各ダミーワード線DWL1,DWL2の導電層6に0Vを印加した状態で、電流密度がどのように分布するかが示されている。図19に示すように、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとの間にほとんど電流が流れておらず、バックトンネル現象が抑制されていることが分かる。
【0113】
以上のように、第2の実施形態では、半導体装置101において、ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間に絶縁膜BLK3が追加された構造が構成される。このような構造によっても、ダミーワード線DWL1の導電層6の上面端部と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保可能であり、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0114】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0115】
第1の実施形態では、ダミーワード線の導電層に対応する位置でティアの側面に凸部が配され、それに対応して導電層が後退した構成を例示するが、第3の実施形態では、ダミーワード線の導電層に対応する位置でティアの側面に凸部が配されずに導電層が後退した構成を例示する。
【0116】
具体的には、半導体装置201は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の部分が、図20に示すように構成される。図20は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の構成を示す拡大断面図であり、図5のB部分を拡大した拡大断面図に相当する。
【0117】
例えば、ダミーワード線DWL1の導電層6に対応するZ位置で、ティア4aの側面に凸部が配されずに、ティア4aの側面から導電層6を外側に後退させるように構成される。
【0118】
外周面4a1,4a2,4a3,4a4,4a5が一体面である第1の基準外周面を形成する。外周面4a11,4a12,4a13,4a14,4a15が一体面である第2の基準外周面を形成する。絶縁膜BLK4は、ティア4a側の側面が+Z側でジョイント層JLのティア4a側の側面に連続し、-Z側で絶縁層7のティア4a側の側面に連続している。絶縁膜BLK4は、ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間に介在している。これにより、ダミーワード線DWL1の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DDWL1がワード線WL4の導電層6の上面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向の距離DWL4より大きい構造が構成される。
【0119】
この結果、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aの端部6a1と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保することができるので、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0120】
ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間に介在する絶縁膜BLK4は、絶縁物を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜BLK4は、ジョイント層JL、絶縁層7と同様の材料(例えば、シリコン酸化物)で形成されていてもよいし、ジョイント層JL、絶縁層7及び犠牲層5(図7(b)参照)の中間的な組成の材料(例えば、シリコン酸窒化物)で形成されていてもよい。
【0121】
また、半導体装置201の製造方法が図21図23に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。図21(a)~図23(c)は、半導体装置201の製造方法を示す断面図である。
【0122】
図8(b)に示す工程が行われた後、図21(a)に示す工程が行われる。図21(a)に示す工程では、水蒸気酸化法等により、メモリホール10iの露出された内側面が酸化される。これにより、積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲層5kのZ位置において、犠牲層5kにおける露出された部分が組成変更されて絶縁膜BLK4に変わる。絶縁膜BLK4は、ジョイント層JL及び絶縁層7と同様の材料(例えば、シリコン酸化物)で形成されていてもよいし、ジョイント層JL、絶縁層7及び犠牲層5(図7(b)参照)の中間的な組成の材料(例えば、シリコン酸窒化物)で形成されていてもよい。絶縁膜BLK4のXY方向厚さは、酸化を行う時間で調整され得る。絶縁膜BLK4のZ方向幅は、犠牲層5kのZ方向厚さと略同じであってもよいし、犠牲層5kのZ方向厚さより大きくてもよい。
【0123】
図21(b)に示す工程では、メモリホール10i及びジョイント孔11に犠牲膜14を埋め戻す。積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲層5kのZ位置において、犠牲膜14における柱状部12と犠牲層5kとの間に絶縁膜BLK4が介在している。
【0124】
図22(a)に示す工程では、ジョイント層JL及び犠牲膜14の+Z側に、犠牲層5iと絶縁層7iとを交互に複数回堆積して積層体SST2iを形成する。このとき、積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲層5kと犠牲膜14との間に絶縁膜BLK4が介在している。
【0125】
図22(b)に示す工程では、メモリホール15の形成位置が開口されたレジストパターンを積層体SST2iの上に形成する。レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングを行い、積層体SST2jを貫通し犠牲膜14の+Z側の面を露出するメモリホール15を形成する。
【0126】
図23(a)に示す工程では、犠牲膜14が除去される。これにより、積層体SST2j、ジョイント層JL、積層体SST1kを貫通し導電層3(図4参照)に到達するメモリホール16が形成される。メモリホール16は、導電層3の+Z側に、メモリホール10i、ジョイント孔11、メモリホール15を順に含む。このとき、積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲膜5kのZ位置において、メモリホール10iの側面に絶縁膜BLK4が露出される。
【0127】
図23(b)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面に、絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLを順に堆積する。絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLにおけるメモリホール16の底面の部分が選択的に除去された後、メモリホール16の側面及び底面に半導体膜CHが堆積される。そして、メモリホール16にコア部材CRが埋め込まれる。これにより、積層体SST1k、ジョイント層JL、積層体SST2jをZ方向に貫通する柱状体4が形成される。積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲層5kと柱状体4におけるティア4aとの間に絶縁膜BLK4が介在している。
【0128】
図23(c)に示す工程では、積層体SST1kの犠牲層5,5kと積層体SST2jの犠牲層5とがそれぞれ除去される。除去によって形成された空隙の露出面に絶縁膜BLK2が堆積される。そして、空隙に導電層6が埋め込まれる。これにより、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層された積層体SST1が形成され、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層された積層体SST2が形成される。ティア4aの側面と積層体SST1における最も+Z側の導電層6との間に絶縁膜BLK4及び絶縁膜BLK2が介在している。
【0129】
以上のように、第3の実施形態では、半導体装置201において、ダミーワード線DWL1の導電層6に対応するZ位置でティア4aの側面に凸部を形成せずに導電層6が後退した構造が構成される。例えば、ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間に、製造時に犠牲層5を部分的に組成変更することで絶縁膜BLK4を追加する。このような構造によっても、ダミーワード線DWL1の導電層6の上面端部と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保可能であり、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0130】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0131】
第1の実施形態では、消去処理におけるバックトンネル現象を抑制するための構造について例示するが、第4の実施形態では、第1の実施形態の構造に対して、書き込み処理の特性を向上するための構造を追加する。
【0132】
例えば、図10(a)に示す工程で犠牲膜14jを除去しメモリホール16が形成された後に、メモリホール16で露出された各犠牲層5,5kの側面に微量のリセス量で犠牲層リセス処理を行う。これにより、各犠牲層5,5kの側面がメモリホール10j、15の中心から遠ざかる方向に若干窪むように形成される。その後に、図10(b)、図10(c)と同様の処理を行って半導体装置301を製造する。これにより、半導体装置301は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の部分が、図24に示すように構成される。図24は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の構成を示す拡大断面図であり、図5のB部分を拡大した拡大断面図に相当する。
【0133】
例えば、ワード線WL4の導電層6に対応するZ位置で、ティア4aの側面に膨出部4a22が配され、それに対応してティア4aに対向する導電層6の側面が窪むように構成される。そのZ位置で、中心軸CA1を含む断面視において、ワード線WL4の導電層6のティア4a側の側面が湾曲凹面状に窪むように構成される。導電層6の側面において、Z方向中間位置の窪み量は、+Z側端の窪み量より大きく、-Z側端の窪み量より大きい。
【0134】
すなわち、外周面4a1,4a3,4a5が一体面を形成するか他の面の延長面上にあり第1の基準外周面を形成する。外周面4a4は、+Z側端から中間のZ位置に向かうにしたがって第1の基準外周面から徐々に外側に遠ざかり、中間のZ位置から-Z側端に向かうにしたがってその外側の位置から徐々に第1の基準外周面に近づき-Z側端で第1の基準外周面に連続する。外周面4a11,4a13,4a15が一体面を形成するか他の面の延長面上にあり第2の基準外周面を形成する。外周面4a14は、+Z側端から中間のZ位置に向かうにしたがって第2の基準外周面から徐々に外側に遠ざかり、中間のZ位置から-Z側端に向かうにしたがってその外側の位置から徐々に第2の基準外周面に近づき-Z側端で第2の基準外周面に連続する。
【0135】
これに応じて、中心軸CA1を含む断面視において、ワード線WL4の導電層6におけるZ方向の中央のティア4a側の端部6c1は、+Z側の面6aのティア4a側の端部6a1より中心軸CA1から遠ざかる方向に凹んでおり、-Z側の面6bのティア4a側の端部6b1より中心軸CA1から遠ざかる方向に凹んでいる。これにより、導電層6の側面に対する+Z側の角部と-Z側の角部との角度をそれぞれ第1の実施形態より小さくことができるので、+Z側の角部と-Z側の角部とのそれぞれに電界集中が起きやすくすることができる。この結果、書き込み処理において、導電層6から電荷蓄積膜CTへ向かう電界を強めることができ、書き込み特性を向上できる。
【0136】
なお、他のワード線WLの導電層6についても、ワード線WL4の導電層6と同様である。また、ダミーワード線DWL1の導電層6に対応するZ位置で、ティア4aの側面の凸部にも膨出部4a21が配されるが、それに対応する導電層6の側面の窪み量がわずかである。このため、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる点は、第1の実施形態と同様である。
【0137】
例えば、ダミーワード線DW1の導電層6付近の消去動作時の電流密度分布についてシミュレーションを行った結果について図25を用いて説明する。図25は、ダミーワード線付近の消去動作時の電流密度分布を示す断面図であり、図24の拡大断面図に対応している。
【0138】
半導体膜CHへ20Vを印加し、選択ゲートSGS,SGDに5Vを印加し、各ワード線WL0~WL4,WL5~WL9の導電層6に0Vを印加し、各ダミーワード線DWL1,DWL2の導電層6に0Vを印加した状態で、電流密度がどのように分布するかが示されている。図25に示すように、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとの間に微小な電流が流れる程度であり、バックトンネル現象が十分に抑制されていることが分かる。
【0139】
以上のように、第4の実施形態では、半導体装置301において、第1の実施形態の構造に対して、書き込み処理の特性を向上するための構造を追加する。例えば、ワード線WLの導電層6に対応するZ位置で、中心軸CA1を含む断面視において、ワード線WLの導電層6のティア4a側の側面を湾曲凹面状に窪ませる。すなわち、中心軸CA1を含む断面視において、ワード線WL4の導電層6におけるZ方向の中央のティア4a側の端部6c1は、+Z側の面6aのティア4a側の端部6a1より中心軸CA1から遠ざかる方向に凹んでおり、-Z側の面6bのティア4a側の端部6b1より中心軸CA1から遠ざかる方向に凹んでいる。この構造により、書き込み処理の特性を向上できる。
【0140】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第4の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0141】
第2の実施形態では、消去処理におけるバックトンネル現象を抑制するための構造について例示するが、第5の実施形態では、第2の実施形態の構造に対して、書き込み処理の特性を向上するための構造を追加する。
【0142】
例えば、図18(a)に示す工程で犠牲膜14jを除去しメモリホール16が形成された後に、メモリホール16で露出された各犠牲層5,5kの側面に微量のリセス量で犠牲層リセス処理を行う。これにより、各犠牲層5,5kの側面がメモリホール10j、15の中心から遠ざかる方向に若干窪むように形成される。その後に、図18(b)、図18(c)と同様の処理を行って半導体装置401を製造する。これにより、半導体装置401は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の部分が、図26に示すように構成される。図26は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の構成を示す拡大断面図であり、図5のB部分を拡大した拡大断面図に相当する。
【0143】
例えば、ワード線WL4の導電層6に対応するZ位置で、ティア4aの側面に膨出部4a22が配され、それに対応してティア4aに対向する導電層6の側面が窪むように構成される。そのZ位置で、中心軸CA1を含む断面視において、ワード線WL4の導電層6のティア4a側の側面が湾曲凹面状に窪むように構成される。導電層6の側面において、Z方向中間位置の窪み量は、+Z側端の窪み量より大きく、-Z側端の窪み量より大きい。
【0144】
すなわち、外周面4a1,4a3,4a5が一体面を形成するか他の面の延長面上にあり第1の基準外周面を形成する。外周面4a4は、+Z側端から中間のZ位置に向かうにしたがって第1の基準外周面から徐々に外側に遠ざかり、中間のZ位置から-Z側端に向かうにしたがってその外側の位置から徐々に第1の基準外周面に近づき-Z側端で第1の基準外周面に連続する。外周面4a11,4a13,4a15が一体面を形成するか他の面の延長面上にあり第2の基準外周面を形成する。外周面4a14は、+Z側端から中間のZ位置に向かうにしたがって第2の基準外周面から徐々に外側に遠ざかり、中間のZ位置から-Z側端に向かうにしたがってその外側の位置から徐々に第2の基準外周面に近づき-Z側端で第2の基準外周面に連続する。
【0145】
これに応じて、中心軸CA1を含む断面視において、ワード線WL4の導電層6におけるZ方向の中央のティア4a側の端部6c1は、+Z側の面6aのティア4a側の端部6a1より中心軸CA1から遠ざかる方向に凹んでおり、-Z側の面6bのティア4a側の端部6b1より中心軸CA1から遠ざかる方向に凹んでいる。これにより、導電層6の側面に対する+Z側の角部と-Z側の角部との角度をそれぞれ第2の実施形態より小さくことができるので、+Z側の角部と-Z側の角部とのそれぞれに電界集中が起きやすくすることができる。この結果、書き込み処理において、導電層6から電荷蓄積膜CTへ向かう電界を強めることができ、書き込み特性を向上できる。
【0146】
なお、他のワード線WLの導電層6についても、ワード線WL4の導電層6と同様である。また、ダミーワード線DWL1の導電層6に対応するZ位置で、絶縁膜BLK3の側面にも膨出部4a21が付加されるが、それに対応する導電層6の側面の窪み量がわずかである。このため、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる点は、第2の実施形態と同様である。
【0147】
例えば、ダミーワード線DW1の導電層6付近の消去動作時の電流密度分布についてシミュレーションを行った結果について図27を用いて説明する。図27は、ダミーワード線付近の消去動作時の電流密度分布を示す断面図であり、図26の拡大断面図に対応している。
【0148】
半導体膜CHへ20Vを印加し、選択ゲートSGS,SGDに5Vを印加し、各ワード線WL0~WL4,WL5~WL9の導電層6に0Vを印加し、各ダミーワード線DWL1,DWL2の導電層6に0Vを印加した状態で、電流密度がどのように分布するかが示されている。図27に示すように、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aにおけるティア4a側の端部6a1と電荷蓄積膜CTとの間に微小な電流が流れる程度であり、バックトンネル現象が十分に抑制されていることが分かる。
【0149】
以上のように、第5の実施形態では、半導体装置401において、第2の実施形態の構造に対して、書き込み処理の特性を向上するための構造を追加する。例えば、ワード線WLの導電層6に対応するZ位置で、中心軸CA1を含む断面視において、ワード線WLの導電層6のティア4a側の側面を湾曲凹面状に窪ませる。すなわち、中心軸CA1を含む断面視において、ワード線WL4の導電層6におけるZ方向の中央のティア4a側の端部6c1は、+Z側の面6aのティア4a側の端部6a1より中心軸CA1から遠ざかる方向に凹んでおり、-Z側の面6bのティア4a側の端部6b1より中心軸CA1から遠ざかる方向に凹んでいる。この構造により、書き込み処理の特性を向上できる。
【0150】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第5の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0151】
第1の実施形態では、消去処理におけるバックトンネル現象を抑制するための構造について例示するが、第6の実施形態では、第1の実施形態の構造に対して、消去処理におけるバックトンネル現象をさらに抑制するための構造を追加する。
【0152】
例えば、図10(a)に示す工程で犠牲膜14jを除去しメモリホール16が形成された後に、メモリホール16で露出された各絶縁層7、ジョイント層JLの側面に微量のリセス量で絶縁層リセス処理を行う。絶縁層7、ジョイント層JLがシリコン酸化物を主成分とする材料で形成される場合、絶縁層リセス処理は、SiOリセス処理又はOリセス処理とも呼ばれる。例えば、犠牲層5,5kに対する絶縁層7、ジョイント層JLのエッチング選択比が高いエッチャントを用いてメモリホール10j、15の内側面をウェットエッチングする。あるいは、犠牲層5,5kに対する絶縁層7、ジョイント層JLのエッチング選択比が高い処理ガスを用いた等方性エッチングの条件でメモリホール10j、15の内側面をドライエッチングする。絶縁層リセス処理により、各絶縁層7、ジョイント層JLの側面がメモリホール10j、15の中心から遠ざかる方向に若干窪むように形成される。このとき、犠牲層5,5kの露出された側面における+Z側及び-Z側の領域もわずかにエッチングされ窪む。
【0153】
その後に、図10(b)、図10(c)と同様の処理を行って半導体装置501を製造する。これにより、半導体装置501は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の部分が、図28に示すように構成される。図28は、ダミーワード線DWL1の導電層6付近の構成を示す拡大断面図であり、図5のB部分を拡大した拡大断面図に相当する。
【0154】
例えば、ダミーワード線DWL1の導電層6とワード線WL4の導電層6との間のZ位置で、ティア4aの側面に膨出部4a23が配され、それに対応してティア4aに対向する絶縁層7の側面が窪むように構成される。そのZ位置で、中心軸CA1を含む断面視において、絶縁層7のティア4a側の側面が湾曲凹面状に窪むように構成される。絶縁層7の側面において、Z方向中間位置の窪み量は、+Z側端の窪み量より大きく、-Z側端の窪み量より大きい。このとき、ダミーワード線DWL1の導電層6とワード線WL4の導電層6とのそれぞれの側面における+Z側及び-Z側の領域もわずかに窪むように構成される。中心軸CA1を含む断面視において、導電層6のティア4a側の側面が湾曲凸面状に突出するように構成される。
【0155】
これに応じて、中心軸CA1を含む断面視において、ダミーワード線DWL1の導電層6におけるZ方向の中央のティア4a側の端部6c1は、+Z側の面6aのティア4a側の端部6a1より中心軸CA1に対して突出しており、-Z側の面6bのティア4a側の端部6b1より中心軸CA1に対して突出している。これにより、導電層6の側面に対する+Z側の角部と-Z側の角部との角度をそれぞれ第1の実施形態より大きくすることができるので、消去処理において、導電層6から電荷蓄積膜CTへ向かう電界を弱めることができ、バックトンネル現象をさらに抑制できる。
【0156】
以上のように、第6の実施形態では、半導体装置501において、第1の実施形態の構造に対して、消去処理におけるバックトンネル現象をさらに抑制するための構造を追加する。例えば、ダミーワード線DWL1とワード線WL4の導電層6との間のZ位置で、中心軸CA1を含む断面視において、絶縁層7のティア4a側の側面を湾曲凹面状に窪ませ、これに応じて、導電層6のティア4a側の側面を湾曲凸面状に突出させる。すなわち、中心軸CA1を含む断面視において、ダミーワード線DWL1の導電層6におけるZ方向の中央のティア4a側の端部6c1は、+Z側の面6aのティア4a側の端部6a1より中心軸CA1に対して突出しており、-Z側の面6bのティア4a側の端部6b1より中心軸CA1に対して突出している。この構造により、消去処理におけるバックトンネル現象をさらに抑制できる。
【0157】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0158】
1,101,201,301,401,501 半導体装置、4b ジョイント部、CH 半導体膜、CT 電荷蓄積膜、DMT1,DMT2 ダミーメモリセル、MT,MT0~MT9 メモリセル、SST,SST1,SST2 積層体、3 ソース、4 柱状体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図20
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