(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146692
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ドアオープナー
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
E05B1/00 311R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047788
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 隆介
(57)【要約】
【課題】各種のレバーハンドルに取付対応できるドアオープナーを提供すること。
【解決手段】ドアオープナー10は、ドアの回転操作可能なレバーハンドル2を構成する軸部21に回転不能に固定可能な固定体30と、軸部21の軸方向に交差する交差方向に延びて固定体30に取り付けられる操作体50とを備えることを特徴とする。このように、ドアオープナー10の固定体30がレバーハンドル2の軸部21に固定されるので、各種のレバーハンドル2のレバー部22の形状の如何にかかわらず、ドアオープナー10をレバーハンドル2に固定できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの回転操作可能なレバーハンドルを構成するレバー部および軸部のうち前記軸部に回転不能に固定可能な固定体と、前記軸部の軸方向に交差する交差方向に延びて前記固定体に取り付けられる操作体とを備える
ことを特徴とするドアオープナー。
【請求項2】
請求項1に記載のドアオープナーにおいて、
前記操作体は、前記固定体に対する取付状態で前記レバー部に沿った位置に配置される構成である
ことを特徴とするドアオープナー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のドアオープナーにおいて、
前記操作体は、操作部材と、前記操作部材を前記固定体に連結する連結部材とを備えている
ことを特徴とするドアオープナー。
【請求項4】
請求項3に記載のドアオープナーにおいて、
前記連結部材は、板状の本体部と、前記本体部の左右一方端に形成された取付部とを備え、
前記本体部は、その表側および裏側のいずれにも、前記操作部材を連結可能に構成され、
前記取付部は、前記固定体に対して前記連結部材を前記軸方向に取り付ける第一取付部と、前記固定体に対して前記連結部材を前記交差方向に取り付ける第二取付部とを有し、
前記固定体は、前記第一取付部が取り付けられる第一被取付部と、前記第二取付部が取り付けられる少なくとも二つの第二被取付部を有し、
前記少なくとも二つの第二被取付部は、前記交差方向に対向して配置される
ことを特徴とするドアオープナー。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のドアオープナーにおいて、
前記固定体は、前記操作体が取り付けられる第一カバーと、前記第一カバーとネジ連結される第二カバーとを備え、
前記第一カバーおよび前記第二カバーの間には滑止め材が配置される
ことを特徴とするドアオープナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアの回転操作可能なレバーハンドルに取り付けられるドアオープナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアオープナーとして、ドアの回転操作可能なレバーハンドルに取り付けられる作動部と、作動部から離間した操作部と、作動部および操作部を連結する力伝達部とを有した取っ手アタッチメントが知られている(特許文献1参照)。
この種のドアオープナーを用いることで、ドアの取っ手に手指が直接に触れることがなくなり、ウイルスや細菌などの接触感染を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の取っ手アタッチメントでは、作動部がレバーハンドルのレバー部に取り付けられているので、レバー部形状の如何によって取付状態が異なってしまい、また、取っ手アタッチメントがレバー部の延びる方向に抜けてしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、各種のレバーハンドルに取付対応できるドアオープナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のドアオープナーは、ドアの回転操作可能なレバーハンドルを構成するレバー部および軸部のうち前記軸部に回転不能に固定可能な固定体と、前記軸部の軸方向に交差する交差方向に延びて前記固定体に取り付けられる操作体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各種のレバーハンドルに取付対応できるドアオープナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るドアオープナーを示す斜視図。
【
図6】前記ドアオープナーが固定される各種形状のレバーハンドルを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および
図2において、本実施形態に係るドアオープナー10は、ドアに対して回転操作可能に設けられたレバーハンドル2に取り付けられて、レバーハンドル2を直接に触れずに操作可能にするものである。本実施形態では、レバーハンドル2は、外周円形状の軸部21とバー状のレバー部22で構成され、軸部21の軸方向はドアの面外方向に沿っており、レバー部22は軸方向(本実施形態では後述するZ軸方向)に対して直交する直交方向に延びている。ドアオープナー10は、軸部21に回転不能に固定可能な固定体30と、軸部21の軸方向に交差する交差方向(本実施形態では後述するX軸方向)に延びて固定体30に取り付けられる操作体50とを備えている。
以下の説明において、ドアオープナー10の左右方向をX軸方向とし、ドアオープナー10の上下方向をY軸方向とし、ドアオープナー10の見込み方向(面外方向、奥行方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
固定体30は、合成樹脂製の第一カバー31および第二カバー32と、第一カバー31および第二カバー32と軸部21との間に介在されて固定体30の軸部21に対する滑止め材としてのゴム、ウレタン等のシート材33とを備えている。
【0011】
第一カバー31は、後述する連結部材70がネジ止めされる矩形板状の固定本体311と、固定本体311に一体に形成されていると共に軸部21の外周に沿って配置可能に半円弧状に形成されたカバー部312とを有している。カバー部312は、固定本体311のうちレバー部22よりもドア側に近接した位置に配置可能に設けられている。固定本体311のうちカバー部312よりもドアからZ軸方向へ離間した部分、本実施形態では固定本体311の端面には、第一被取付部313が形成されている。第一被取付部313には、連結部材70の後述する第一取付部73がネジ止めされる。また、固定本体311の左右の側面にも第二被取付部314が形成されている。左右の第二被取付部314は、X軸方向に対向して配置される。左右一方の第二被取付部314には、連結部材70の後述する第二取付部74がネジ止めされる。固定本体311には、Z軸方向とX軸方向の二方向から連結部材70が強固に取り付けられる。
【0012】
第二カバー32は、第一カバー31のカバー部312と概略同様に半円弧状に形成されており、その両端部でカバー部312の両端部にネジ連結される。このため、径寸法の異なる軸部や角形状、テーパー形状の軸部といった各形状の軸部21(
図6参照)であっても、前記ネジ連結を調整することで固定可能である。
なお、シート材33は、
図2では上下に分割されたものとされているが、前記滑止め能を発揮できればよく、このような構成に限られない。
【0013】
操作体50は、合成樹脂製の操作部材60と、操作部材60を固定体30に連結する合成樹脂製の連結部材70とを備えている。
操作部材60は、基板部61と、基板部61からY軸方向に延びて概略湾曲板状に形成された操作板部62とを有している。
基板部61のドア側の側縁は折り返された凹状に形成された係合片部63を形成しており、連結部材70の第一取付部73のドア側の側縁に係合している。基板部61は、操作部材60と連続する側で連結部材70にネジ止めされている。前述した係合とネジ止めによって操作部材60は連結部材70に連結されている。
操作板部62の押し操作される表面621(
図4参照)は滑らかな湾曲凹面で形成されており、操作板部62の裏面622は湾曲凸面で形成されている。裏面622にはY軸方向に沿った左右のリブ623および中央のリブ624が形成されており、リブ623,624を設けることで、操作板部62を薄肉化しつつ強度を保てる。
【0014】
連結部材70は、表側および裏側のいずれにも操作部材60の基板部61を連結可能に構成された板状の本体部71(
図2参照)と、本体部71のX軸方向における左右一方端に形成された取付部72とを備えており、本実施形態では表裏同形状に形成されている。
取付部72は、固定本体311の第一被取付部313に対して連結部材70をZ軸方向にネジ止めする第一取付部73と、固定本体311の第二被取付部314に対して連結部材70をX軸方向にネジ止めする第二取付部74とを有している。
本体部71の表面711および裏面712(
図5参照)には、Z軸方向に沿った左右のリブ713および中央のリブ714が形成されており、これにより、板状の本体部71を薄肉化しつつ強度を保てる。係合片部63の本体部71に対する係合状態(
図3から
図5参照)では、リブ713は基板部61の係合片部63に対して左右に配置され、リブ714は係合片部63の中央に形成された凹部625に配置される。このため、操作部材60は連結部材70にネジ止めされていない状態であってもX軸方向に仮位置決めされる。
【0015】
[本実施形態の施工]
まず、操作部材60を連結部材70にネジ止めする。操作部材60を連結部材70の表裏いずれに取り付けるかについては、ドアの左右勝手に対応して適宜設定される(
図1(A)および
図1(B)参照)。
次に、操作体50を固定体30に前記二方向からネジ止めする。操作体50を固定体30に対して左右いずれに取り付けるかについては、ドアの左右勝手に対応して適宜設定される。
次に、ドアオープナー10の固定体30をレバーハンドル2の軸部21にネジ止めする。このとき、操作体50の連結部材70は、レバー部22に沿って配置される。本実施形態では、連結部材70はレバー部22に当接している必要はなく、このため、
図6に示すような各種形状のレバー部22を有したレバーハンドル2に対しても、固定体30が軸部21に固定されていればドアオープナー10を設置可能であり、汎用性の向上が図れる。
【0016】
[変形例]
前記実施形態では、操作体50は、Z軸方向に交差する交差方向に延びていればよく、固定体30が軸部21に固定されていれば、必ずしもレバー部22に沿って延びている必要はない。
前記実施形態では、操作体50は、二つの部材(操作部材60と連結部材70)によって構成されているが、一つの部材によって構成されていてもよい。
前記実施形態では、固定体30は、第一カバー31および第二カバー32に分割され、その間にシート材33が配置されて構成されているが、軸部21に固定可能な構成であればこの形状に限られない。
前記実施形態では、各種の固定・取付にネジ止めを採用している。このため、施工業者による施工でなくとも、エンドユーザー自身でドアオープナーを容易に施工可能であるが、固定・取付できるのであればスナップフィット式などの各種の連結形態であってもよい。
前記実施形態では、第一カバー31、第二カバー32、操作部材60および連結部材70は合成樹脂製であるが、金属製であってもよく、また、全体が合成樹脂製で一部が金属製であってもよい。
【0017】
[発明のまとめ]
本発明のドアオープナーは、ドアの回転操作可能なレバーハンドルを構成するレバー部および軸部のうち前記軸部に回転不能に固定可能な固定体と、前記軸部の軸方向に交差する交差方向に延びて前記固定体に取り付けられる操作体とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ドアオープナーの固定体がレバーハンドルの軸部に固定されるので、各種のレバーハンドルのレバー部の形状の如何にかかわらず、ドアオープナーをレバーハンドルに固定でき、また、経年劣化等により固定体が軸部から軸方向にズレ動いたとしても、固定体がレバー部に当たるので、ドアオープナーがレバーハンドルから抜け落ちるおそれをなくせる。
【0018】
本発明のドアオープナーでは、前記操作体は、前記固定体に対する取付状態で前記レバー部に沿った位置に配置される構成であってもよい。
このような構成によれば、ドアオープナーによってレバーハンドルを操作する際、例えば経年劣化等により固定体が軸部に対して軸周りの回転方向にズレ動いたとしても、操作体がレバー部に当たるので、ドアオープナーがレバーハンドルに対して前記回転方向にズレ動くことを抑制できる。また、ドアオープナーのレバーハンドルに対する取付当所から操作体をレバー部に当てて配置することで、ドアオープナーの操作時に固定体に加わる前記回転方向の負荷を軽減できる。
【0019】
本発明のドアオープナーでは、前記操作体は、操作部材と、前記操作部材を前記固定体に連結する連結部材とを備えていてもよい。
このような構成によれば、操作部材を連結部材と別体としたことで、各種の操作部材を採用可能である。
【0020】
本発明のドアオープナーでは、前記連結部材は、板状の本体部と、前記本体部の左右一方端に形成された取付部とを備え、前記本体部は、その表側および裏側のいずれにも、前記操作部材を連結可能に構成され、前記取付部は、前記固定体に対して前記連結部材を前記軸方向に取り付ける第一取付部と、前記固定体に対して前記連結部材を前記交差方向に取り付ける第二取付部とを有し、前記固定体は、前記第一取付部が取り付けられる第一被取付部と、前記第二取付部が取り付けられる少なくとも二つの第二被取付部を有し、前記少なくとも二つの第二被取付部は、前記交差方向に対向して配置されてもよい。
このような構成によれば、連結部材は固定体に対して前記交差方向において対向する二つの位置のいずれにも配置可能であり、例えばドアの左右勝手にも対応可能であり、第一、第二取付部の二方向から強固に取り付けられる。また、連結部材を例えばドアの左右勝手に対応し配置しても、操作部材を連結部材の本体部の表裏いずれか一方側に連結することで、操作部材を適切な位置に配置可能である。
【0021】
本発明のドアオープナーでは、前記固定体は、前記操作体が取り付けられる第一カバーと、前記第一カバーとネジ連結される第二カバーとを備え、前記第一カバーおよび前記第二カバーの間には滑止め材が配置されてもよい。
このような構成によれば、前記第一カバーおよび前記第二カバーの間に配置される滑止め材をレバーハンドルの軸部に当て、第一カバーおよび第二カバーを締結することによって、固定体を軸部に強固に固定できる。また、レバーハンドルの軸部にも各種形状のものがあるが、第一カバーおよび第二カバー同士をネジ連結する構成なので、第一カバーおよび第二カバーの相互の間隔を調整でき、各種形状の軸部に対応して固定可能である。
【符号の説明】
【0022】
10…ドアオープナー、2…レバーハンドル、21…軸部、22…レバー部、30…固定体、31…第一カバー、311…固定本体、312…カバー部、313…第一被取付部、314…第二被取付部、32…第二カバー、33…シート材、50…操作体、60…操作部材、61…基板部、62…操作板部、621,711…表面、622,712…裏面、623…リブ、624…リブ、625…凹部、63…係合片部、70…連結部材、71…本体部、713,714…リブ、72…取付部、73…第一取付部、74…第二取付部。