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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146695
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】金型洗浄方法と金型洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20220928BHJP
   B29C 45/42 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B29C33/72
B29C45/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047793
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】596149095
【氏名又は名称】北川 將
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】北川 將
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AM10
4F202AM32
4F202AP06
4F202AQ01
4F202AR07
4F202CA11
4F202CB01
4F202CM11
4F202CM90
4F202CS02
4F202CS04
(57)【要約】
【課題】 金型で成形された成形品を取り出しロボットで取り出すときに、金型にレーザーを照射して金型を洗浄し、金型の汚れを予防する。
【解決手段】 本発明の金型洗浄方法は、取り出しロボットで金型から成形品を取り出すときに、取り出しロボットに設けたレーザー照射部から金型にレーザーを照射して金型を洗浄する。レーザーの照射に先立って、レーザー照射部の照射方向のブレを検知し、そのブレを補正してから金型にレーザーを照射する方法である。本発明の金型洗浄装置は、金型から成形品を取り出す取り出しロボットにレーザー照射部と、ブレ検知装置と、補正装置を備える。レーザー照射部はレーザー照射方向を金型に向けてある。ブレ検知装置は取り出しロボットの移動に伴ってレーザー照射部と同方向に移動可能である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形時に毎回又は複数回ごとに、レーザー照射部から金型にレーザーを照射して、金型の汚れを洗浄する金型洗浄方法において、
取り出しロボットで金型から成形品を取り出す取り出し作業中に、取り出しロボットに設けたレーザー照射部のレーザー照射方向のブレを検知し、そのブレを補正してから、当該レーザー照射部から金型にレーザーを照射して金型の汚れを洗浄する、
ことを特徴とする金型洗浄方法。
【請求項2】
請求項1記載の金型洗浄方法において、
金型の洗浄箇所を複数領域に区分し、区分された複数領域にレーザーを照射して、又は、区分しない二以上の領域にレーザーを照射して洗浄する、
ことを特徴とする金型洗浄方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の金型洗浄方法において、
レーザーを移動させながら金型に照射して照射領域を広くする、
ことを特徴とする金型洗浄方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金型洗浄方法において、
取り出しロボットが金型側へ移動する際に、成形品の存在しない金型にレーザーを照射し、成形品を取り出して戻り移動する際に成形品を取り外した金型にレーザーを照射する、
ことを特徴とする金型洗浄方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金型洗浄方法において、
取り出しロボットに設けたレーザー照射部から金型にレーザーを照射して、金型を洗浄する際に、金型で成形された成形品にレーザーを照射して成形品へのマーキング又は成形品の不要物の除去を行う、
ことを特徴とする金型洗浄方法。
【請求項6】
取り出しロボットで成形品を取り出すときにレーザーを照射して洗浄し、更に、取り出しロボットで成形品を取り出した後に、当該取り出しロボットが金型洗浄のために金型側と反対側に往復移動し、その往復移動の過程でレーザー照射部の向きのブレを検知し、レーザー照射部の照射方向と照射角度の双方又は一方を調整してブレを補正してから金型にレーザーを照射して金型を洗浄する、
ことを特徴とする金型洗浄方法。
【請求項7】
レーザー照射部から金型にレーザーを照射して、金型の汚れを洗浄する金型洗浄装置において、
金型から成形品を取り出す取り出しロボットに、レーザー照射部と、レーザー照射部の照射方向のブレを検知するブレ検知装置と、ブレ検知装置で検知されたブレを補正する補正装置を備え、
レーザー照射部とブレ検知装置の双方又はいずれか一方は、取り出しロボットに一又は二以上装備されて、取り出しロボットが金型方向又は戻り方向へ移動すると同方向に移動するようにしてあり、レーザー照射方向と照射角度の双方又はいずれか一方を変更可能であり、
ブレ検知装置はレーザー照射部又はその近くに設けられて、取り出しロボットの移動に伴ってレーザー照射部と共に同方向に移動する、
ことを特徴とする金型洗浄装置。
【請求項8】
請求項7記載の金型洗浄装置において、
レーザー照射部は、レーザーの照射方向を変更可能である、
ことを特徴とする金型洗浄装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8記載の金型洗浄装置において、
レーザー照射部が、取り出しロボットの成形品を取り出すロボットハンドよりも移動方向先方に設けられた、
ことを特徴とする金型洗浄装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の金型洗浄装置において、
ブレ検知装置がジャイロスコープ又はジンバル又はカメラのいずれかの単独、又はジャイロスコープとカメラの組み合わせ又はジンバルとカメラの組み合わせのいずれかである、
ことを特徴とする金型洗浄装置。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の金型洗浄装置において、
レーザー照射部は、成形品へのマーキング、成形品の不要部の除去が可能なレーザーを照射可能なものである、
ことを特徴とする金型洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂射出成形、アルミダイカスト成形、鋳物成形といった各種成形に使用される金型の洗浄方法と洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂射出成形や鋳物成形等では、固定側金型と可動側金型を閉じ、高温で溶融した樹脂やアルミを両金型間に流して成形し、冷やして固めてから両金型を開き、成形品を取り出しロボットで取り出す作業を繰り返し行っている。成形中に金型にガス焼けや樹脂がこびり付いて金型の成形面(表面)が汚れる。アルミダイカスト成形では、成形品を金型から取り出し易くするため、金型に離型剤を塗布することもある。この場合は、離型剤も金型表面汚れの一因になる。
【0003】
金型表面が汚れると、その汚れが成形品に付着して成形品が汚れる。このため、金型表面の汚れを洗浄している。金型表面の汚れの洗浄方法には、手作業によるアルコール洗浄、ドライアイスブラストや重曹ブラストによるブラスト洗浄、超音波洗浄などがある。
【0004】
手作業による洗浄では、成形作業終了後に金型を成形機から取り外して洗浄しているため、金型の取り外し、付け替え等の作業が面倒である。洗浄や付け替え作業に時間が掛かる。多いときは3時間に1回程度洗浄を行うため、その都度、成形を停止することになり成形機の可動率が低下し、生産性も低下する。コスト高の一因にもなる。成形作業終了後に洗浄するため、成形時に付着した汚れが金型に固着してしまい、洗浄しても落ちにくくなっていることが多く、洗浄に時間が掛かる。時間をかけて洗浄しても汚れがきれいに落ちるとは限らず、汚れが残りやすい。汚れが残ると、残った汚れが洗浄後の成形品に付着して不良品が増加し、歩留まりが低下し、原料の無駄が多くなり、コスト高の一因になる。
【0005】
ドライアイスブラストや重曹ブラストなどによる洗浄では、金型を成形機から取り外す必要も、分解する必要もないため作業が容易であるが、洗浄に時間が掛かり、ブラスト剤のランニングコストもかかり、作業環境も良くない。ドライアイスによる洗浄は、金型の大きさにもよるが1回洗うのに2000~3000円のドライアイス代が必要である。洗浄頻度は少なくとも3ヶ月に1度程度であるためランニングコストが嵩む。
【0006】
超音波による洗浄は、手作業で洗浄する必要はないが、金型を分解しなければならず、洗浄後に組み立て直す必要があるため、それら作業が面倒である。小物しか洗えないという問題もある。
【0007】
前記諸問題の解決策として、成形時に金型をレーザーで洗浄する装置及び方法が開発されている(特許文献1)。特許文献1は、レーザー照射部を洗浄専用のロボットハンドに装着し、そのレーザー照射部から金型にレーザー光を照射して金型表面に付着した汚れを焼き切りながら(洗浄しながら)樹脂成形することができるようにしたものである。この場合、レーザー照射部を成形品取り出し用のオフロードハンドに取り付けて、金型から成形品を取り出す際に金型にレーザーを照射して洗浄することもできる(特許文献1[0024])。
【0008】
特許文献1の洗浄方法によれば、成形後に直ぐに金型洗浄ができ、汚れが金型に固着する前に洗浄できるので汚れが落ち易く、洗浄後は成形品に金型の汚れが付着しにくくなるという利点がある。
【0009】
特許文献1で、レーザー照射部を洗浄専用のロボットハンドに装着するためには、洗浄専用のロボットハンドを新設しなければならず、成形機が複雑になる。また、成形工程と洗浄工程が別になるため、成形品取り出し時間の他に、レーザー照射時間が必要になり、成形サイクルが長くなり、生産性が低下する。洗浄専用のロボットを設けると、既存の取り出しロボットとの位置関係や動作タイミング、成形機の動作とのタイミング調整などが必要になるため設置やティーチングが複雑化してしまい、取り出しロボットと洗浄専用ロボットの間のティーチングミスで、ロボット同士が接触してレーザー照射方向がずれて、指定場所以外の箇所にレーザーが照射されて事故になる可能性もある。
【0010】
特許文献1で、レーザー照射部をオフロードハンドに取り付ける場合は、既存のオフロードハンドを使用できるため、洗浄専用のロボットハンドを新設する必要はないが、オフロードハンドのアームはロボットの移動中や成形品取り出し中に揺れるため、金型の洗浄したい箇所にレーザー光を照射しにくく、洗浄したい箇所の汚れを確実に洗浄しにくいという難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008-149705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の解決課題は、成形機の成形品取り出し用ロボット(以下、単に「取り出しロボット」という)を利用して、金型にレーザーを照射して金型を洗浄し、金型の汚れを予防することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の金型洗浄方法は、金型から成形品を取り出す取り出しロボットに取り付けたレーザー照射部から金型にレーザーを照射して金型の汚れを洗浄する方法であり、取り出しロボットで成形品を取り出すときに、取り出しロボットに装備してあるレーザー照射部の向き(レーザー照射方向:以下において同じ。)のブレを検知し、レーザー照射部の照射方向と照射角度の双方又は一方を変えてブレを補正してから、当該レーザー照射部から金型にレーザーを照射して金型の汚れを洗浄する方法である。ブレの検知は取り出しロボットに装備してあるブレ検知装置により行うことができる。ここでいう、取り出しロボットで成形品を取り出すときとは、取り出しロボットが成形品を取り出すために金型側に移動するとき(過程)と、金型から成形品を取り出して戻るとき(過程)の双方又はいずれか一方をいう(以下において同じ。)。
【0014】
本発明の金型洗浄方法は、取り出しロボットで成形品を取り出すときにレーザーを照射して洗浄し、更に、取り出しロボットで成形品を取り出した後に、当該取り出しロボットが金型洗浄のために金型側と反対側に往復移動し、その往復移動の過程で金型にレーザーを照射して洗浄することもできる。この場合も、レーザーを照射する前に、レーザー照射部の向きのブレを検知し、レーザー照射部の照射方向と照射角度の双方又は一方を調整してブレを補正してから金型にレーザーを照射する。
【0015】
本発明の金型洗浄装置は、金型で成形された成形品を取り出しロボットで取り出す金型洗浄装置において、取り出しロボットにレーザー照射部とブレ検知装置と補正装置が装備され、レーザー照射部は金型に照射するレーザーの照射方向及び照射角度を変更可能であり、ブレ検知装置は取り出しロボットの移動に伴って生ずるレーザーの照射方向のブレを検知できるものであり、補正装置はレーザー照射部の照射方向と照射角度の双方又はいずれか一方を調整して前記ブレを補正できるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の金型洗浄方法、金型洗浄装置は次のような効果を奏する。
(1)取り出しロボットの移動に伴って生ずるレーザーの照射方向のブレを検知し、そのブレを補正してからレーザーを照射するので、洗浄希望箇所を的確に洗浄することができる。
(2)レーザー照射部とブレ検知装置を、既存の取り出しロボットに装備することができるので、洗浄専用のロボットを新設する必要がない。
(3)取り出しロボットでの成形品の取り出し作業中に金型の洗浄ができるので、成形機の生産性が低下しない。
(4)成形品を取り出すときに、毎回又は複数回に一度、洗浄するので、汚れが金型に固着する前に洗浄することができ、汚れが落ち易い。成形品に金型の汚れが残りにくくなるので、金型の汚れが成形品に移りにくく、成形品が汚れにくくなり、成形品の品質、歩留まりが向上する。
(5)汚れが金型に固着する前に洗浄できるので、低出力のレーザーで十分に洗浄でき、高価な高出力のレーザー装置を必要とせず、設備導入コストが低減する。また、電力消費量が少なくて済み、ランニングコストも低減する。
(6)レーザー光の照射方向や照射角度を調整できるため、照射できない部分を少なくすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の金型洗浄装置の第一の実施例の説明図。
図2】本発明の金型洗浄装置の第二の実施例の説明図。
図3】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図4】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図5】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図6】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図7】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図8】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図9】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図10】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図11】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図12】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図13】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図14】本発明の金型洗浄装置の動作説明図。
図15】本発明の金型洗浄方法においてレーザー照射角度を変える場合の説明図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のX-X矢視図。
図16】本発明の金型洗浄方法において、レーザー照射領域を区分して洗浄する場合の説明図であり、(a)は可動側金型の正面図、(b)は固定側金型の正面図、(c)は可動側金型の平面図、(d)は可動側金型の右側面図、(e)は可動側金型の左側面図。
図17】(a)~(e)は、本発明の金型洗浄方法において、レーザーを水平に往復移動させながら照射する場合の説明図。
図18】(a)~(g)は、本発明の金型洗浄方法において、固定側金型にレーザーを照射するタイミングの説明図。
図19】(a)~(g)は、本発明の金型洗浄方法において、可動側金型にレーザーを照射するタイミングの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[縦型、横型の成形機]
射出成形機には固定金型と可動金型が縦方向に開閉する縦型と、横方向に開閉する横型がある。取り出しロボットは縦型成型機の場合は横方向に往復移動成形品を取り出し、横型成形機の場合は縦方向に昇降して成形品取り出すようになっている。本発明の金型洗浄方法は縦型、横型のいずれの成形機の金型洗浄にも使用可能であるが、以下の実施形態では横型成形機の取り出しロボットを使用(利用)する場合を一例として説明する。
【0019】
(金型洗浄方法の実施形態1)
本発明の金型洗浄方法は、図1のように、固定側金型1aと可動側金型1b(以下では、いずれか一方の金型を、単に「金型1」と記載することもある。)を開閉操作して成形品3を成形し、成形品3を取り出しロボット4で取り出すときに、取り出しロボット4に装備されているレーザー照射部5から固定側金型1aと可動側金型1bの双方に同時に、又は、いずれか一方の金型1にレーザーLを照射して金型1を洗浄する方法である。取り出しロボット4には既存の取り出しロボットを使用することができる。
【0020】
[レーザーによる汚れ剥離の原理]
レーザーによる汚れ剥離の原理は、金型に照射したレーザーで金属や樹脂を溶かして焼き切ることで金型の汚れを洗浄することである。レーザーは金属に文字やイラストを彫刻することができる装置である。本発明はこの原理に基づくものであり、レーザー照射装置のレーザー照射部から照射されるレーザーのパワーの強弱やレーザーの太さを調節する等して、金型に照射される単位面積当たりのエネルギーを調節して金型に傷が付かないようにし、金型に付着した汚れ(付着初期の見えない程度の汚れ)を焼き切ることで、汚れを洗浄して、汚れの蓄積を防ぐようにしてある。またパワーを上げることで付着している汚れを徐々に焼き切ることもができる
【0021】
[使用レーザーの種類]
本発明では汎用の各種レーザーを使用することができる。一例としては、半導体レーザー(レーザーダイオード:LD)、紫外線レーザー、青色レーザー、赤色レーザー、赤外線レーザー(YAGレーザー)、COレーザー、ファイバーレーザー等である。半導体レーザーは低電圧、低電流で駆動でき、比較的小出力のレーザーを発振できる。半導体レーザーはレーザー発振部とレーザー照射部5が一体化されたものが多い。他のレーザーはレーザー照射装置で発振されたレーザーをレーザー照射部5から金型1に照射することになる。
【0022】
[レーザー照射部]
レーザー照射部5は取り出しロボット4に装備されている。レーザー発振部とレーザー照射部5が一体化している半導体レーザーは小型であるため、取り出しロボット4に装備し易い。レーザー照射部5は照射方向及び照射角度を変更可能な機能を備えたものが望ましいが、変更できないものの場合は、サーボ機構、その他の駆動機構(外部機器)で照射方向及び照射角度を変更可能とすることができる。
【0023】
[金型の汚れと洗浄箇所の初期設定]
金型によっては汚れ易い箇所(洗浄必要箇所)が決まってくる傾向にある。このため、本発明では、洗浄必要箇所を基準箇所として予め設定(初期設定)しておき、設定された基準箇所にレーザーを照射してその箇所を洗浄する。
【0024】
[レーザー照射部のブレ]
レーザー照射部5は取り出しロボット4のロボットハンド10よりも下方に固定具12で取り付けられている。取り出しロボット4は成形品取り出し時の移動に伴って揺れる(ブレる)。このため、レーザー照射部5の向きもブレる。そのブレに伴って、レーザー照射方向やレーザー照射角度(内部のプリズムやレンズなどでレーザーを屈折させて照射する場合の照射角度)が基準箇所からずれてしまい、洗浄必要箇所を的確に洗浄しにくい。
【0025】
[ブレ検知と照射方向、照射角度の補正]
本発明では、レーザー照射部5から金型1にレーザーLを照射する前に、取り出しロボット4の移動に伴って生ずる照射方向と照射角度の双方又はいずれか一方のブレをブレ検知装置11で検知し、検知したブレ分だけ、レーザー照射部5を駆動して、初期設定してある基準箇所に合うように調整(補正)してから、レーザー照射部5から金型1にレーザーLを照射する。
【0026】
[レーザー照射部の補正]
本発明では、初期設定で記録した情報と、照射する際のロボットの位置情報とブレ検知装置11での検知情報をもとにリアルタイムに演算して、レーザー照射部5の基準箇所からの向きのずれを求め、検知されたずれを初期設定値に合わせて(補正して)照射角度や照射方向を調整することで、取り出しロボットの揺れによってレーザー照射部5の向きが基準箇所からずれても、基準箇所に照射できるようにする。
【0027】
[レーザー照射頻度]
本発明では金型1を開いて成形品3を取り出しロボット4で取り出すときに、毎回又は数回に一度ずつレーザーLを照射して金型1を洗浄することができる。レーザー照射頻度は金型の汚れ具合、一回の成形品取り出し時に洗浄できる洗浄領域の広さ等により任意に設定することができる。
【0028】
[照射方向と照射角度の変更]
レーザーは直進性であり、線状で照射面積が狭いため、レーザー照射部5を固定して照射方向を一定にすると、照射できない領域ができてしまう。成形面が平面でない金型1では照射できない領域が残る。本発明の金型洗浄方法では、図15(a)(b)のように金型1に照射するレーザーLの照射方向を自在に変えて金型1の広範囲を洗浄できるようにすることも、照射角度を変えて最適な照射角度に調整することにより、金型1の凹凸面や球形面等の照射しにくい箇所にもレーザーLを照射できるようにした。照射方向や照射角度の変更は照射しながらリアルタイムに行うと、レーザーLを金型1の洗浄希望箇所に的確に照射することができる。
【0029】
[照射領域の区分]
レーザーLは直進性であり、線状で照射面積が狭いため、一回の照射で金型1の広範囲(洗浄要望箇所の全域:略全域を含む:以下において同じ)は難しい。本発明では、洗浄要望箇所を複数領域に区分し(図16(a)~(e))、レーザー照射を複数回行い、照射するたびに照射領域(区域)を変えて全領域を洗浄することができる。図16(a)及び(c)~(e)は可動側金型1bをA~Eに区分した場合、図16(b)は固定側金型1aをF~Jに区分した場合である。図19(a)~(g)は可動側金型1bに凹凸がある場合である。
【0030】
[スキャン照射]
レーザーLは直進性であり、線状で照射面積が狭いため、一回の照射で金型1の広範囲(洗浄要望箇所の全域:略全域を含む:以下において同じ)に照射することは難しい。本発明では、洗浄要望箇所を複数領域に区分し、レーザー照射を任意方向に移動させて複数回行い、照射するたびに照射箇所を変えて照射領域を広げて(面状に照射して)、区分した全領域に照射することができる。例えば、図17(a)のように、照射するレーザーを左上から右横方向に斜め水平に移動させて一回の移動範囲7を一スキャンとし、それを繰り返す。この場合、取り出しロボット4の降下速度を一回の往復移動速度(スキャン速度)よりも速い速度で下降させて、二回目以降の照射開始位置を図17(b)、(c)のように少しずらす。更に17(d)のように、レーザーを右上から左横方向に斜め水平に移動させ、繰り返すたびに照射開始位置を変えることにより、図17(e)のように金型1の全面(ほぼ全面を含む)8を面状に照射できるようにすることもできる。このようにすれば、一回の往復移動時間(一サイクルの照射時間)を短くして、生産性を落とさずに洗浄することが可能となる。本発明では、図示しないが、縦移動させながら横移動させるとか、他の移動方法で照射面積を広げることもできる。何れの照射方法でも、照射ムラにならないようにする。
【0031】
[金型に成形品がある場合の洗浄:金型の上半分、下半分の洗浄]
図4図6のように、可動側金型1bには成形品3があるが、固定側金型1aには成形品3がない。このため、成形品がない固定側金型1aを洗浄する場合は、図18(a)~(d)のように、取り出しロボット4の降下時に固定側金型1aの上半分にレーザーを照射して上半分を洗浄し、取り出しロボット4のハンド10が成形品3をキャッチして上昇する間(図18(e)~(g))に残りの下半分にレーザーを照射して洗浄することができる。この場合は、レーザー照射のための時間を設けることなく、取り出しロボット4が昇降する間に金型1を洗浄することができる。図18(a)~(g)においてZの箇所は照射済み(洗浄済み)箇所である。
【0032】
レーザー照射部5を取り出しロボット4の固定側金型1aと可動側金型1bの両方に向けて搭載してある場合は、成形品3が残らない固定側金型1aは取り出しロボット4の降下時と上昇時の二回洗浄することができ、成形品3が残る可動側金型1bは成形品3を取り出して上昇するときの一回の洗浄が可能である。
【0033】
可動側金型1bを洗浄する場合は、取り出しロボット4の降下時は、図19(a)~(d)のように、可動側金型1bに残っている成形品3の除いた箇所にレーザーを照射して洗浄し、取り出しロボット4のハンド10で成形品3をキャッチして上昇する間(図19(e)~(g))に残りの部分にレーザーを照射して洗浄することができる。図19(a)~(g)においてZの箇所は照射済み(洗浄済み)である。
【0034】
[金型に凹凸がある場合の洗浄]
金型1に凹凸がある場合は、金型1を図16(a)~(e)のように区分し、区分ごとに、最適な照射方向と照射角度で照射して洗浄すると、凹凸部分を洗浄し易くなる。
【0035】
[マーキング、印刷]
本発明では、取り出しロボット4の降下中であって、取り出しロボット4で成形品3を取り出す前に、レーザー照射部5から成形品3にレーザーを照射して、成形品3にロットナンバー、その他のマーク等を印刷することもできる。また、レーザーを照射して成形品3のバリ、その他の不要物を除去することもできる。
【0036】
(金型洗浄方法の実施形態2)
前記実施形態1は、取り出しロボット4で成形品3を取り出すときにレーザーLを照射して金型1を洗浄する場合であるが、本発明の金型洗浄方法は、取り出しロボット4で成形品3を取り出すときにレーザーLを照射して洗浄してから、更に、取り出しロボット4が金型洗浄のために金型側と反対側に往復移動し、その往復移動の過程でレーザー照射部5から金型1にレーザーLを照射して洗浄することもできる。この場合も、レーザーLを照射する前に、レーザー照射部5の向きのブレを検知し、レーザー照射部5の照射方向と照射角度の双方又は一方を調整してブレを補正してから金型1にレーザーLを照射する。
【0037】
(金型洗浄方法の実施形態3)
本発明の金型洗浄方法は、他の実施形態であってもよい。例えば、レーザーLを照射する前にレーザー照射部5の向きのブレを検知し、レーザー照射部5の照射方向と照射角度の双方又は一方を調整してブレを補正してから金型1にレーザーLを照射する方法であれば、取り出しロボット4で成形品3を取り出すときに金型1にレーザーLを照射するのではなく、取り出しロボット4を洗浄のためだけに金型側と反対側に往復移動させ、その往復移動の過程で金型1にレーザーLを照射して洗浄することもできる。
【0038】
(金型洗浄装置の実施形態1:図1図2
図1は本発明の金型洗浄装置の一例であり、成形機2が取り出しロボット4を備えている。取り出しロボット4は細長の縦軸6とロボットハンド10を備えている。縦軸6の下方にレーザー照射部5と、レーザー照射部5の向き(照射方向)を検知するブレ検知装置11と、レーザー照射部5の照射方向と照射角度の双方又はいずれか一方を初期設定されている基準箇所に合わせる(補正する)補正装置(図示せず)を備えている。レーザー照射部5は縦軸6の下方であって、ロボットハンド10よりも下方に、固定具12で取り付けてある。
【0039】
[取り出しロボット]
取り出しロボット4のハンド10は汎用の取り出しロボットと同様に、金型1で成形品を成形するときは、金型1の上方に待機しており、成形品3が成形されるたびに、固定側金型1aと可動側金型1bの間に降下して成形品3を取り出すものである。固定具12はハンド10の下方に連結さている。
【0040】
[レーザー照射部]
レーザー照射部5には汎用のレーザー照射部を使用することができる。レーザー照射部5はレーザー発振機(図示せず)から発振されるレーザーを金型1に向けて照射する。レーザー発振機はレーザーコントローラ(図示せず)により、照射するレーザー径、レーザー出力、レーザー照射の移動軌跡(複数回のレーザー照射で面状照射できる移動軌跡)、レーザーの径(点形状)や長さ等のサイズといった諸条件が設定される。本発明では、レーザー照射部5を取り出しロボット4に一つ若しくは複数(必要な数だけ)取り付けることができる。レーザー照射部5に、二方向に照射可能なものを使用し、一つのレーザー照射部5から固定側金型1aと可動側金型1bの双方に照射できるようにすることもできる。
【0041】
レーザー照射部5を複数設けた場合は、いずれのレーザー照射部5も照射方向と照射角度を変更可能なものが望ましい。レーザー照射方向と照射角度を変更可能とすることにより、平面的な移動だけでは洗浄不可能であった曲面部にもレーザーLを照射して洗浄することができる。レーザー照射部5が照射方向と照射角度を変更できないものの場合は、サーボその他の駆動機構で変更できるようにする。
【0042】
レーザー照射部5を複数設けた場合は、それらレーザー照射部5から一つの金型1の異なる箇所に、同時に照射して広い領域を短時間で洗浄することができる。この場合は、一回の照射時間が短くても洗浄可能となるため、既存の取り出し時間を伸ばすことなく取り出すことができ、生産性を落とすことなく洗浄が可能となる。
【0043】
[ブレ検知装置]
ブレ検知装置11は、レーザー照射部5の照射方向と照射角度を検知し、検知したデータと、初期設定された基準の照射方向と照射角度に基づいて、レーザー照射部5の照射方向と照射角度のブレを算出可能なものである。ブレ検知装置11にはジャイロセンサー(角速度センサー)、ジャイロセンサーを備えたジンバル、その他の機器を単独で、又は、ジャイロセンサーとカメラの組み合わせ、ジンバルとカメラの組み合わせ等を使用することができる。
【0044】
ブレ検知装置11の取り付け箇所は、レーザー照射部5、又はレーザー照射部5を内蔵したケース内、又はレーザー照射部5とは別の箇所であってレーザー照射部5の取り付け構造体もしくはレーザー照射部5の近くが望ましい。ブレ検知装置11はレーザー光照射部5の初期設定された照射方向又は照射角度と、ブレ検知装置11で検知された照射方向又は照射角度に基づいて両者のズレを算出できるものであり、各種の演算装置を使用することができる。
【0045】
[初期設定]
金型1によって、成形により汚れ易い箇所(洗浄必要箇所)が決まってくる。本発明では洗浄必要箇所をX軸、Y軸、Z軸の三次元空間内で位置決めし、その箇所を基準箇所として設定する。本発明ではレーザー照射部5のレーザー照射方向及び照射角度と取り出しロボット4によるレーザー照射部5の向き、ブレ検知装置11の検知方法及び検知角度を、前記基準箇所に合わせておく。
【0046】
[補正装置]
補正装置はブレ検知装置11で算出されたブレに応じて、レーザー照射部5の向きを変えて、レーザー照射部5の照射方向と照射角度の双方又はいずれか一方を設定基準に合わせる(補正する)ものである。この補正により、取り出しロボット4の不規則な揺れによるレーザー照射部5のブレに対応することができる。
【0047】
[ジャイロセンサーに基づく補正]
ブレ検知装置11がジャイロセンサーの場合は、ジャイロセンサーで得られた情報と取り出しロボット4の位置情報をもとに三次元空間を認識し、その値から、レーザー照射部5の照射方向と初期設定とのブレを算出し、この値に基づいてレーザー照射部5を直に又は駆動装置を駆動させて、レーザー照射部5のレーザー照射方向を初期設定方向に補正する。この補正により、取り出しロボット4の不規則な揺れによる照射方向のブレに対応することができる。ジャイロセンサーの情報をもとに三次元空間を認識し、その値からブレを計算し、初期設定した金型1の照射したい位置にレーザー照射方向と角度の双方又は一方を補正しながら照射していくことで、取り出しロボット4の不規則な揺れに対応できる。サーボを複数組み合わせることでレーザー照射部5の向きを変える(補正する)場合は、サーボは1軸・2軸・3軸・4軸・5軸・6軸にて制御できるようにするものとし、軸数が増えるほど高度な制御が可能となるため3軸以上が望まれる。
【0048】
[ジンバルに基づく補正]
ジンバルはジャイロセンサーを備えているため、ブレ検知装置11にジンバルを使用した場合の補正は、そのジャイロセンサーで検知した情報に基づいてレーザー照射部5の照射方向又は照射角度を調整(補正)する。
【0049】
[カメラを利用した補正]
カメラの画角とレーザーの照射位置関係を記憶し、照射時に毎回カメラにて金型1を認識させて金型1に対してレーザー照射範囲を一つもしくは複数パターン記憶させ、カメラからの情報をもとに金型1の照射したい位置にカメラの情報を元にしてレーザーを照射していくことで取り出しロボット4の不規則な揺れに対応できる。初期設定時に目視できる程度の弱いレーザーを照射し、そのレーザー照射位置と金型1の位置関係を読み取ることにより自動で初期設定が可能になる。
【0050】
[カメラとジンバルを組み合わせた補正]
ジンバルが備えるジャイロセンサーの情報と取り出しロボット4の位置情報をもとに、三次元空間認識をしてカメラ用ジンバルと同じようにサーボを複数組み合わせることでレーザー照射部5を自由に動かすことができるものとし、その値からブレを計算しサーボにてレーザー照射方向を微調整して取り出しロボット4の不規則な揺れに対応できる。またサーボは1軸・2軸・3軸・4軸・5軸・6軸にて制御できるようにするものとし軸数が増えるほど高度な制御が可能となるため3軸以上が望まれる。さらにカメラから得た画像情報も位置精度計算に加えることで高度な位置縫製が可能となる。
【0051】
[カメラとジャイロの組み合わせに基づく補正]
カメラの画角とレーザーの照射位置関係を記憶し、照射時に毎回カメラにて金型1を認識させて金型1に対してレーザー照射範囲を一つもしくは複数パターン記憶させ、カメラからの情報をもとに金型1の照射したい位置にレーザーを照射していくときにさらにジャイロから得た三次元空間情報を利用することで高度な補正が可能となり、その情報をもとにレーザーを照射することで取り出しロボット4の不規則な揺れに対応できる。
【0052】
前記したレーザー照射部5、ブレ検知装置11、補正装置は、以下の実施形態においても同じもの或いはそれに類する機能を備えたものを使用することができる。
【0053】
(金型洗浄装置の実施形態2:図2
図2は本発明の金型洗浄装置の第2の実施例であり、取り出しロボット4が本来備えている縦軸6aの他に縦軸6を取り付けて二本にし、縦軸6aを取り出し専用、縦軸6を照射専用とし、照射専用の縦軸6の下部にレーザー照射部5、ブレ検知装置11を取り付けたものである。それらの取り付けは実施形態1の場合と同様である(以下において同じ)。
【0054】
[本発明の金型洗浄装置の使用例1]
本発明の金型洗浄装置を備えた成形機2は、汎用の成形機と同様にして成形品3を成形することができ、成形品3を取り出しロボット4で取り出すときに金型1を洗浄することができる。以下にその使用例を説明する。
(1)図3のように、二つの金型1a、1bを閉じ、その金型1内に樹脂を射出し、冷却して成形品3を成形する。この間、取り出しロボット4を降下させる。
(2)図4のように可動側金型1bを開く。この間、取り出しロボット4を降下させる。
(3)図5のように、取り出しロボット4に取り付けてあるレーザー照射部5から固定側金型1aにレーザーを照射する。このとき、レーザー照射部5から左側にレーザーLを出射して成形品3に照射して、成形品3のバリを溶解させて切除したり、成形品3の表面を滑らかにしたり、成形品3に模様を付けたり、ロットナンバー、その他の記号等をマーキングしたりすることもできる。
(4)取り出しロボット4の降下に伴うレーザー照射部5のレーザー照射方向をブレ検知装置11で検知して基準値とのブレを算出する。補正装置で補正してから、図6のように、レーザー照射部5からレーザーLを右側に任意の角度で出射して固定側金型1aに照射し、当該金型1aを洗浄する。このとき、レーザー照射部5の照射方向を検知し、レーザー照射部5のブレを算出し、そのブレを補正装置で補正する。
(5)図7のように、取り出しロボット4がさらに降下し、当該ロボット4のハンド10で成形品3をキャッチする。このとき、レーザー照射部5から右側へのレーザーLの出射を停止する。もしくは角度を変化させて金型にレーザーLの照射を継続することもできる。
(6)図8のように、成形品3をキャッチした取り出しロボット4が上昇する。上昇中に、取り出しロボット4の上昇に伴うレーザー照射部5のブレをブレ検知装置11で検知し、そのブレを補正装置で補正してから、上昇中に、レーザー照射部5から左右の金型1a、1bにレーザーLを照射する。
(7)図9のように、成形品3をキャッチした取り出しロボット4が更に上昇する。その間にレーザー照射部5から左右の金型1a、1bにレーザーLを照射する。
(8)図10のように、取り出しロボット4の上昇が停止し、レーザー照射を停止する。もしくは角度を変化させて金型1にレーザーを継続照射することもできる
(9)図11のように、取り出しロボット4による成形品3の取り出しが完了する。
(10)図12のように、成形品3を置台9の上に置いて搬出が完了する。
(11)図13図14のように、前記(1)の状態に戻る。
(12)以下、前記(1)~(11)の動作の繰り返しにより、成形品3を繰り返し成形し、成形品3の取り出し中に金型1を洗浄する。
【0055】
[本発明の金型洗浄装置の使用例2]
前記使用例1は、取り出しロボット4で成形品3を取り出すときにレーザーLを照射して金型1を洗浄する場合であるが、図2のように、レーザー照射部5とブレ検知装置11を取り付けた照射用の縦軸6を、ロボットハンド10を備えている縦軸6aとは別に設けた場合は、縦軸6a側で成形品3を取り出してから、更に、照射用の縦軸6が金型側とその反対側に往復移動し、その往復移動の過程でレーザー照射部5から金型1にレーザーLを照射して金型1を洗浄することもできる。この場合も、レーザーLを照射する前に、レーザー照射部5の向きのブレを検知し、レーザー照射部5の照射方向と照射角度の双方又は一方を調整してブレを補正してから金型1にレーザーLを照射する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の金型洗浄方法及び金型洗浄装置は、樹脂成形やアルミ成形用の金型洗浄に限らず、鋳物成形、ゴム成形といった各種成形に使用する金型の洗浄に利用することができる。この場合、金型の形状、材質等に応じて、必要な事項を設計変更することができる。
【0057】
前記した成形品の成形及び成形品取り出し中の金型洗浄方法は、あくまでも一例であり、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の解決課題を解決可能な範囲において、変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 金型
1a 固定側金型
1b 可動側金型
2 成形機
3 成形品
4 取り出しロボット
5 レーザー照射部
6 縦軸
6a 縦軸
7 移動範囲
8 全面
9 置台
10 ロボットハンド
11 ブレ検知装置
12 固定具
L レーザー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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