(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146707
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】席決定支援装置、プログラム及び席決定支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20220928BHJP
【FI】
G06Q10/10 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047813
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】藤原 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】松下 聖
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】ユーザ同士の人的ネットワークをより短い期間に広げることが可能で、かつ、ユーザ同士の関係性をより短い期間で深めることを可能にする席決定支援装置、プログラム及び席決定支援方法を提供する。
【解決手段】席決定支援サーバ装置10は、ユーザ同士の関係度Rが記憶されたユーザDB12bと、3名以上の複数のユーザからなるユーザグループを作成するユーザグループ作成部42と、ユーザグループに含まれる複数のユーザが使用する席112が近接するか、または、同一の席グループ111に属するように、当該複数のユーザが使用する席を決定する席決定部43と、を備える。ユーザグループ作成部42は、複数のユーザ同士の複数の関係度Rのうちの、最小の関係度Rmを有するユーザの各々と他のユーザとの関係度Rが上記最小の関係度Rmよりも大きいユーザグループを作成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザが個々に使用する席の決定を支援する席決定支援装置であって、
複数の席の各々の位置または複数の席の各々が属する席グループの識別情報のうちの少なくとも一方が記憶された席データベースと、
ユーザごとに、ユーザ自身と他のユーザとの関係性の度合いを示す関係度が記憶されたユーザデータベースと、
3名以上の複数のユーザからなるユーザグループを作成するユーザグループ作成部と、
前記ユーザグループに含まれる前記3名以上の複数のユーザが使用する席が近接するか、または、当該複数のユーザが使用する席が同一の席グループに属するように、前記席データベースから当該複数のユーザが使用する席を決定する席決定部と、
決定された前記複数のユーザが使用する席または席グループの情報を出力する出力部と、を備え、
前記ユーザグループ作成部は、前記3名以上の複数のユーザ同士の複数の関係度のうちの、最小の関係度を有するユーザの各々と他のユーザとの関係度が前記最小の関係度よりも大きいユーザグループを作成する、席決定支援装置。
【請求項2】
前記ユーザグループ作成部は、
前記ユーザデータベースから3名以上の複数のユーザを抽出して、前記ユーザグループの候補となる複数の候補グループを作成する候補グループ作成部と、
前記複数の候補グループの各々の評価値を取得する評価値取得部であって、評価対象の候補グループに含まれる3名以上の複数のユーザ同士の複数の関係度のうちの最小の関係度と当該最小の関係度以外の関係度との差分値が大きい程、高い評価値を取得する評価値取得部と、
前記評価値に基づいて、前記複数の候補グループの少なくとも1つを前記ユーザグループに決定するユーザグループ決定部と、を含む、請求項1に記載の席決定支援装置。
【請求項3】
前記評価値取得部は、
前記評価対象の候補グループにおける複数の関係度のうちの、最小の関係度と当該最小の関係度以外の複数の関係度との各々の差分値である第1の差分値と、前記最小の関係度以外の関係度同士の差分値である第2の差分値とを取得し、
前記第1の差分値の合計値が大きく前記第2の差分値の合計値が小さい程、高い評価値を取得する、請求項2に記載の席決定支援装置。
【請求項4】
前記候補グループ作成部は、前記ユーザデータベースから3名以上の第1の人数のユーザが抽出された第1の候補グループと、前記ユーザデータベースから3名以上の第2の人数のユーザが抽出された第2の候補グループと、を含む前記複数の候補グループを作成し、
前記評価値取得部は、前記第1の候補グループが取り得る評価値の上限値と、前記第2の候補グループが取り得る評価値の上限値とが等しくなるように、前記第1の候補グループ及び前記第2の候補グループの各々の評価値を取得する、請求項2または3に記載の席決定支援装置。
【請求項5】
前記ユーザグループ決定部は、前記ユーザグループを複数決定する場合に、当該複数のユーザグループの評価値の合計値が最も大きくなるか、または、前記複数のユーザグループの評価値のうちの最小値が最も大きくなるか、または、前記複数のユーザグループの評価値同士のばらつきが最も小さくなるように、前記ユーザグループを決定する、請求項2~4のいずれか1項に記載の席決定支援装置。
【請求項6】
前記候補グループ作成部は、ユーザごとに出社予定日が記憶された出社予定日データベースから、翌日の出社予定者を抽出するとともに、前記ユーザデータベースのうちの前記翌日の出社予定者のうちから前記3名以上の複数のユーザを抽出して、前記複数の候補グループを作成する、請求項2~5のいずれか1項に記載の席決定支援装置。
【請求項7】
複数のユーザの各々のユーザ端末と通信する通信部を、さらに備え、
前記ユーザグループ決定部は、前記複数の候補グループのうちから一部の候補グループを、前記ユーザグループに決定し、
決定された前記ユーザグループに含まれる3名以上の複数のユーザの前記ユーザ端末の各々に、前記通信部を介して出社を提案するメッセージを送信するメッセージ送信部を、さらに備える、請求項2~5のいずれか1項に記載の席決定支援装置。
【請求項8】
前記出力部により前記席または席グループの情報が出力された後に、前記ユーザグループに含まれる3名以上の複数のユーザの少なくとも1名からのフィードバック情報を取得するとともに、当該フィードバック情報に基づいて、前記ユーザデータベースに記憶された前記関係度を更新する、関係度更新部を、さらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の席決定支援装置。
【請求項9】
前記席データベースには、席の位置と、当該席を使用したユーザの識別情報及び当該ユーザにより前記席が使用された時期とが関連付けられて記憶されており、
前記席決定部は、前記ユーザグループに含まれる前記3名以上の複数のユーザが使用する席を、当該3名以上の複数のユーザが所定の期間内に使用した席とは異なる席に決定する、請求項1~8のいずれか1項に記載の席決定支援装置。
【請求項10】
複数のユーザが個々に使用する席の決定を支援する席決定支援装置であって、複数の席の各々の位置または複数の席の各々が属する席グループの識別情報のうちの少なくとも一方が記憶された席データベースと、ユーザごとに、ユーザ自身と他のユーザとの関係性の度合いを示す関係度が記憶されたユーザデータベースと、を備えた席決定支援装置のプロセッサに、
3名以上の複数のユーザからなるユーザグループを作成する処理と、
前記ユーザグループに含まれる前記3名以上の複数のユーザが使用する席が近接するか、または、当該複数のユーザが使用する席が同一の席グループに属するように、前記席データベースから当該複数のユーザが使用する席を決定する処理と、
決定された前記複数のユーザが使用する席または席グループの情報を出力する処理と、を実行させ、
前記ユーザグループを作成する処理は、前記3名以上の複数のユーザ同士の複数の関係度のうちの、最小の関係度を有するユーザの各々と他のユーザとの関係度が前記最小の関係度よりも大きいユーザグループを作成する処理を含む、プログラム。
【請求項11】
複数の席の各々の位置または複数の席の各々が属する席グループの識別情報のうちの少なくとも一方が記憶された席データベースと、ユーザごとに、ユーザ自身と他のユーザとの関係性の度合いを示す関係度が記憶されたユーザデータベースと、を用いた複数のユーザが個々に使用する席の決定を支援する席決定支援方法であって、
3名以上の複数のユーザからなるユーザグループを作成するステップと、
前記ユーザグループに含まれる前記3名以上の複数のユーザが使用する席が近接するか、または、当該複数のユーザが使用する席が同一の席グループに属するように、前記席データベースから当該複数のユーザが使用する席を決定するステップと、
決定された前記複数のユーザが使用する席または席グループの情報を出力するステップと、を備え、
前記ユーザグループを作成するステップは、前記3名以上の複数のユーザ同士の複数の関係度のうちの、最小の関係度を有するユーザの各々と他のユーザとの関係度が前記最小の関係度よりも大きいユーザグループを作成することを含む、席決定支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、席決定支援装置、プログラム及び席決定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユーザが個々に使用する席が固定されていない場合に、ユーザに対して使用すべき席を提案する席決定支援装置が知られている。例えば、特許文献1には、フリーアドレスオフィス環境において、ユーザの間の関連性の度合いを示す相関値が大きいユーザ(2名のユーザ)同士が近接するように、当該ユーザに席を提案するか、または、相関値が小さいユーザ(2名のユーザ)同士が近接するように、当該ユーザに席を提案するフリーアドレスオフィス利用支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1のフリーアドレスオフィス利用支援システムを用いて、相関値の小さい2名のユーザの席を互いに近接させることにより、当該2名のユーザの関係性を向上させることが考えられる。しかしながら、2名のユーザの席同士が近接している場合であっても、この2名のユーザの関係性が低いことに起因して、2名のユーザ同士がコミュニケーションを積極的に取らない場合があると考えられる。この場合、2名のユーザの関係性が十分には向上しないか、または、関係性が向上するまでに長い期間を要することが考えられる。
【0005】
また、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染防止のために、ユーザが在宅勤務をすることが増加しており、ユーザがオフィスに出社する頻度が減少している。また、業務活動に限られず、ユーザ同士が参加して交流を深める会合(飲み会や勉強会など)の頻度も減少している。このため、上記の従来のシステムを用いた場合には、関係性の低いユーザ同士の関係性を向上するためには、より一層長い期間を要してしまうと考えられる。そこで、ユーザがオフィスに出勤した際や、ユーザが会合に参加した際に、人間関係(人的ネットワーク)をより短い期間に広げることが可能で、かつ、ユーザ同士の関係性をより短い期間で深めることが可能な席決定支援装置、プログラム及び席決定支援方法が望まれている。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ユーザ同士の人的ネットワークをより短い期間に広げることが可能で、かつ、ユーザ同士の関係性をより短い期間で深めることを可能にする席決定支援装置、プログラム及び席決定支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、以下に開示する席決定支援装置は、複数のユーザが個々に使用する席の決定を支援する席決定支援装置であって、複数の席の各々の位置または複数の席の各々が属する席グループの識別情報のうちの少なくとも一方が記憶された席データベースと、ユーザごとに、ユーザ自身と他のユーザとの関係性の度合いを示す関係度が記憶されたユーザデータベースと、3名以上の複数のユーザからなるユーザグループを作成するユーザグループ作成部と、前記ユーザグループに含まれる前記3名以上の複数のユーザが使用する席が近接するか、または、当該複数のユーザが使用する席が同一の席グループに属するように、前記席データベースから当該複数のユーザが使用する席を決定する席決定部と、決定された前記複数のユーザが使用する席または席グループの情報を出力する出力部と、を備え、前記ユーザグループ作成部は、前記3名以上の複数のユーザ同士の複数の関係度のうちの、最小の関係度を有するユーザの各々と他のユーザとの関係度が前記最小の関係度よりも大きいユーザグループを作成する。
【発明の効果】
【0008】
上記の席決定支援装置によれば、最小の関係度を有するユーザ同士と、当該ユーザと比較的関係度の高い他のユーザ(共通の知り合い)とが、近接する席または同一の席グループを使用することになる。このため、最小の関係度を有するユーザに共通して関係度が高いユーザを介して最小の関係度を有するユーザ同士がコミュニケーションを取ることができる。この結果、最小の関係度を有するユーザ同士が積極的にコミュニケーションを取ることが可能となる。これにより、最小の関係度を有する(関係性が薄い)ユーザ同士の関係性が短い期間で向上する。この結果、ユーザ同士の人的ネットワークをより短い期間に広げることができるとともに、かつ、ユーザ同士の関係性をより短い期間で深めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態における席決定支援システムの全体の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、オフィスの構成を説明するための図である。
【
図3】
図3は、ユーザグループの決定を説明するための図である。
【
図4】
図4は、席DBの構成を説明するための図である。
【
図5】
図5は、ユーザDBの構成を説明するための図である。
【
図6】
図6は、予定DBの構成を説明するための図である。
【
図7】
図7は、案内端末の構成を説明するためのブロック図である。
【
図8】
図8は、ユーザ端末の構成を説明するためのブロック図である。
【
図9】
図9は、席決定支援サーバ装置の制御部の機能ブロック図である。
【
図10】
図10は、関係度の取得に関するユーザDBの構成を説明するための図である。
【
図11】
図11は、親密表現学習済モデルについて説明するための図である。
【
図12】
図12は、候補グループの作成を説明するための図である。
【
図13】
図13は、ユーザグループの決定に関する第1の方法を説明するための図である。
【
図14】
図14は、ユーザグループの決定に関する第2の方法を説明するための図である。
【
図15】
図15は、ユーザグループの決定に関する第3の方法を説明するための図である。
【
図16】
図16は、席及び席グループの決定を説明するための図である。
【
図17】
図17は、席及び席グループの情報の表示(出力)を説明するための図である。
【
図18】
図18は、フィードバック情報の取得を説明するための図である。
【
図19】
図19は、第1実施形態における席決定支援システムの制御処理を示すフロー図である。
【
図20】
図20は、第2実施形態における席決定支援システムの全体の構成を示すブロック図である。
【
図21】
図21は、第2実施形態における席決定支援サーバ装置の制御部の機能ブロック図である。
【
図22】
図22は、マネージャ端末の構成を説明するためのブロック図である。
【
図23】
図23は、マネージャ端末の表示部に表示される画面の例を説明するための図である。
【
図24】
図24は、第2実施形態におけるユーザグループの決定を説明するための図である。
【
図25】
図25は、ユーザ端末に表示されるメッセージの例を説明するための図(1)である。
【
図26】
図26は、ユーザ端末に表示されるメッセージの例を説明するための図(2)である。
【
図27】
図27は、第2実施形態における席決定支援システムの制御処理を示すフロー図である。
【
図28】
図28は、第1及び第2実施形態の第1変形例によるオフィスを説明するための図である。
【
図29】
図29は、第1及び第2実施形態の第1変形例による席決定支援サーバ装置の制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図30】
図30は、第1及び第2実施形態の第2変形例による席決定支援サーバ装置の制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図31】
図31は、第1及び第2実施形態の第2変形例によるユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【
図32】
図32は、第1及び第2実施形態の第2変形例による関係度の取得を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
【0011】
[第1実施形態]
(席決定支援システムの全体構成)
図1は、第1実施形態における席決定支援システム100(以下、「システム100」という)の構成を示すブロック図である。システム100は、複数のユーザが個々に使用する席の決定を支援するシステムである。第1実施形態では、システム100を、フリーアドレス環境のオフィス110(
図2参照)において、翌日出社予定のユーザまたは出社したユーザに対して、使用する席を提案するシステムとして説明している。本願明細書では、「席」とは、ユーザが椅子に座った状態で使用する座席に限られず、ユーザの姿勢や目的に関わらず、各ユーザが一定の期間占有する場所を含む広い概念を意味するものである。
【0012】
図1に示すように、システム100は、席決定支援サーバ装置10(以下、「サーバ装置10」という)と、案内端末20とを備える。サーバ装置10は、複数のユーザが個々に使用する席の決定を支援する席決定支援装置である。サーバ装置10は、オンプレミス型(据え置き型)のサーバ装置でもよいし、クラウド上に構成されたサーバ装置であってもよい。また、案内端末20は、出社したユーザに対して、当日使用する座席を提案(案内)するための情報端末である。
【0013】
図2は、フリーアドレス環境のオフィス110における席グループ111(席の島)及び席グループ111に含まれる複数の席112の配置を説明するための図である。
図2では、説明を容易にするために、1つのフロアのみを有するオフィス110を図示しているが、複数のフロア及び複数の拠点のオフィスにおける席の決定を、システム100により支援してもよい。
図2に示すように、案内端末20は、例えば、フリーアドレス環境のオフィス110の入り口110aの近傍、または、図示しないがオフィス110内に配置されている。そして、オフィス110内では、複数の席グループ111が設けられている。席グループ111の各々には、複数のユーザが個々に使用可能な席112が設けられている。第1実施形態では、席グループ111に3つの席112または4つの席112が設けられている。なお、
図2では、机を複数のユーザにより共有するように図示しているが、この例に限られない。同一の席グループ111を使用するユーザ同士が会話できる範囲であれば、机や椅子の数及び配置は、どのように配置されていてもよい。
【0014】
また、
図1に示すユーザ端末30は、ユーザの各々が使用する情報端末である。そして、サーバ装置10、案内端末20、及び複数のユーザ端末30は、ネットワークNにより互いに通信可能に構成されている。また、サーバ装置10は、電子メールシステム101及びチャットシステム102の各々と、ネットワークNにより通信可能に構成されている。電子メールシステム101は、ユーザ同士の電子メールの送受信を管理するシステムである。チャットシステム102は、ユーザ同士のメッセージのやり取り(チャット)の送受信を管理するシステムである。なお、ネットワークNは、例えば、Local Area Network(LAN)およびインターネット等であるが、これら以外のネットワークを用いてもよい。
【0015】
また、案内端末20および複数のユーザ端末30の各々には、ブラウザ用ソフトウェア(例えば、Webブラウザ)がインストールされている。そして、案内端末20および複数のユーザ端末30の各々は、サーバ装置10にアクセスすることにより、ブラウザ上で、サーバ装置10が提供する画面(
図17及び
図18参照)を表示するように構成されている。なお、ブラウザ用ソフトウェアを用いることに限られず、専用のアプリケーションソフトウェアが案内端末20および複数のユーザ端末30の各々にインストールされていてもよい。
【0016】
(サーバ装置の制御処理の概要)
次に、
図1及び
図3を参照して、サーバ装置10の制御処理の概要について説明する。
【0017】
(1)
図1に示すように、サーバ装置10には、予定データベース12c(以下「予定DB12c」という)が構築されている。(2)サーバ装置10は、電子メールシステム101、チャットシステム102、及び予定DB12cの各々から取得した情報に基づいて、ユーザ同士の関係性の度合いである関係度Rを取得する。
【0018】
図3は、3名のユーザが使用する席グループ111及び4名のユーザが使用する席グループ111について、席の提案の例を示している。(3)
図3に示すように、複数のユーザ同士の関係度Rのうち最小の関係度RをRmとした場合、最小の関係度Rmを有する2名のユーザと、当該2名のユーザと他のユーザとの関係度RがRmよりも大きくなるように、席グループ111を使用するユーザのグループ(ユーザグループ)が決定される。(4)決定されたユーザグループに含まれるユーザの席112の情報及び席グループ111の情報が、案内端末20及びユーザ端末30の少なくとも一方に送信される。
【0019】
上記の構成によれば、最小の関係度Rmを有するユーザ同士と、当該ユーザと比較的関係度の高い他のユーザ(共通の知り合い)とが、同一の席グループ111を使用することになる。このため、最小の関係度Rmを有するユーザに共通して関係度Rが高いユーザを介して最小の関係度Rmを有するユーザ同士がコミュニケーションを取ることができるので、最小の関係度Rmを有するユーザ同士が積極的にコミュニケーションを取ることが可能となる。これにより、最小の関係度Rmを有する(関係性が薄い)ユーザ同士の関係性が短い期間で向上する。この結果、ユーザ同士の人的ネットワークをより短い期間に広げることができるとともに、かつ、ユーザ同士の関係性をより短い期間で深めることができる。
【0020】
(席決定支援システムの各部の構成)
図1に示すように、サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを含む。制御部11は、プログラムを実行することにより制御処理を実行するプロセッサを含む。そして、制御部11は、サーバ装置10の各制御処理を実行する。記憶部12には、席データベース12a(以下、「席DB12a」という)と、ユーザデータベース12b(以下「ユーザDB12b」という)と、親密表現学習済モデル12dとが記憶されている。通信部13は、通信インターフェイスであり、ネットワークNに接続されている。なお、親密表現学習済モデル12dについては、
図11を参照して後述する。
【0021】
図4は、席DB12aの一例を示す図である。
図4に示すように、席DB12aでは、席112の識別情報(席ID)と、当該席112が属する席グループ111の識別情報(席グループID)と、当該席112の位置と、当該席の使用履歴の情報とが関連付けられている。「席ID」は、例えば、「S001」、「S002」・・・など、席ごとに異なる数字、文字または記号が与えられたものである。「席グループID」は、例えば、「G001」、「G002」・・・など、席グループ111ごとに異なる数字、文字または記号が与えられたものである。「席の位置」には、例えば、席112が含まれる席グループ111の位置の情報(例えば、「X01」)と、席グループ111における席112の位置の情報(例えば、
図2の「1」は「Y01」、「2」は「Y02」)とを含む。そして、「席の位置」を参照すれば、席112同士の位置が同一の席グループ111内であるか、隣合う席112同士であるかを、判別することが可能となる。「使用履歴の情報」は、当該席112を使用したユーザID及び当該ユーザにより席112が使用された時期(例えば、日付)が関連付けられたものである。
【0022】
図5は、ユーザDB12bにおける関係度Rのデータの一例を示す図である。
図5に示すように、ユーザDB12bは、ユーザごとに、ユーザ自身と他のユーザとの関係性の度合いを示す関係度Rが記憶されている。
図5に示す関係度R(数値)が大きい程、ユーザ同士の関係性が高いことを意味しており、関係度R(数値)が小さい程、ユーザ同士の関係性が低いことを意味している。例えば、
図5では、「U001」と「U002」との関係度は、「9」であり、「U001」と「U003」との関係度は、「8」であり、「U002」と「U003」との関係度は、「3」である例を示している。この場合、「U001」のユーザは、「U002」のユーザと「U003」のユーザとの共通の知り合いである一方、「U002」のユーザと「U003」のユーザとは、関係性が低い(知り合いではない)。
【0023】
図6に示すように、予定DB12cは、いわゆるスケジューラであり、ユーザごとに出社予定日及び出社した日と、予定された業務内容(スケジュール)とが記憶されたものである。具体的には、予定DB12cでは、ユーザIDと、出社予定日とが関連付けられて記憶されている。また、予定DB12cは、ユーザごとに予定された業務内容と、他のユーザと共同で作業を行った内容とが関連付けられて記憶されている。例えば、「U001」のユーザの出社予定日は「2021/2/3」、及び「2021/2/5」である。また、「U001」のユーザは、「2021/2/1」において「U002」のユーザと共同で作業(会議A)を行っている。
【0024】
図7は、案内端末20の構成を示すブロック図である。案内端末20は、例えば、パーソナルコンピュータ、またはタブレット端末として構成されている。
図7に示すように、案内端末20は、制御部21と、操作部22と、表示部23と、通信部24とを含む。制御部21は、プログラムを実行することにより制御処理を実行するプロセッサを含む。そして、制御部21は、案内端末20の各制御処理を実行する。また、操作部22は、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースである。表示部23は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである。また、表示部23がタッチパネルとして構成されている場合には、当該タッチパネルが操作部22と表示部23とを兼ねてもよい。通信部24は、通信インターフェイスであり、ネットワークNに接続されている。
【0025】
図8は、ユーザ端末30の構成を示すブロック図である。ユーザ端末30は、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、またはタブレット端末として構成されている。
図8に示すように、ユーザ端末30は、制御部31と、操作部32と、表示部33と、通信部34とを含む。制御部31は、プログラムを実行することにより制御処理を実行するプロセッサを含む。そして、制御部31は、ユーザ端末30の各制御処理を実行する。また、操作部32、表示部33、及び通信部34は、それぞれ、操作部22、表示部23、及び通信部24と同様であるため、説明を省略する。
【0026】
図9は、サーバ装置10の制御部11の機能ブロック図である。制御部11は、関係度取得部41と、ユーザグループ作成部42と、席決定部43と、表示制御部44と、記憶制御部45とを含む。なお、
図9では、制御部11の構成を機能ブロックとして記載しているが、各機能ごとに別個のハードウェアを構成してもよい。
【0027】
(関係度の取得に関する構成)
図10は、ユーザDB12bにおける関係度Rの取得を説明するための図である。関係度取得部41は、ユーザ同士の関係度Rを取得(算出)する。具体的には、関係度取得部41は、予定DB12c(
図6参照)から、ユーザ同士が所定の期間内に共同で作業(会議及び出張など)を行った回数(以下、「スケジュール共有数」という)を取得する。また、関係度取得部41は、電子メールシステム101から、ユーザ同士の所定の期間内における電子メールの送受信の数を、チャットシステム102から、ユーザ同士の所定の期間内におけるメッセージの送受信の数を、それぞれ、通信部13を介して取得する。なお、「所定の期間」は、これに限られないが、現在から数週間前(例えば、2週間前)の時点までの期間である。
【0028】
詳細には、
図10に示すように、関係度取得部41は、スケジュール共有数、電子メールの送受信の数、メッセージの送受信の数が大きく、メッセージの送受信の内容(表現)が親密である程、ユーザ同士の関係度Rを大きく設定する。また、関係度取得部41は、メッセージの送受信の数が大きく、メッセージの内容が親密である程、高い得点(メッセージに関する得点)を取得する。例えば、関係度取得部41は、スケジュール共有数、電子メールの送受信数、及びメッセージに関する得点の各々の項目について、上位(例えば、上位33%)、中位(上位及び下位のいずれにも該当しないもの)、及び下位(例えば、下位33%)に分類する。関係度取得部41は、「上位」に該当する項目については、関係度に「3」を加算し、中位に該当する項目については、関係度に「2」を加算し、下位に該当する項目については、関係度に「1」を加算する。そして、関係度取得部41は、スケジュール共有数、電子メールの送受信数、及びメッセージの送受信数の各々の加算値の合計値に、後述する更新値を加算または減算した値を関係度Rとして取得する。なお、この例では、「上位」、「中位」、及び「下位」に分類する例を示したが、2つに分類してもよいし、4以上に分類してもよい。
【0029】
図11は、親密表現学習済モデル12dについて説明するための図である。関係度取得部41は、送受信されたメッセージの内容を解析して、送受信されたメッセージの内容が親密かどうかを判断する。例えば、関係度取得部41は、メッセージに関する得点を取得(算出)する際に、親密表現学習済モデル12dを参照する。親密表現学習済モデル12dは、機械学習を行う学習装置800により作成される。例えば、学習装置800に、多数の学習用メッセージと、親密な表現であるか否かを示す教師データとのデータセットが入力されて、学習が行われる。機械学習の方法としては、例えば、ディープラーニングが用いられてもよいが、これに限られない。「親密な表現」には、例えば、尊敬語を使用しない表現(いわゆる「ため口」)であること、及び「フレンドリー」な(友人同士で使用するような)表現が含まれる。すなわち、データセットには、「ため口のメッセージのデータ」及び「親密な表現であることを示すデータ」のセットと、「フレンドリーなメッセージのデータ」及び「親密な表現であることを示すデータ」のセットと、「尊敬語を使用するメッセージのデータ」及び「親密な表現でないことを示すデータ」のセットとが、少なくとも含まれる。そして、関係度取得部41は、送受信されたメッセージを、親密表現学習済モデル12dに入力する。そして、関係度取得部41は、親密表現学習済モデル12dから出力された出力データが、「親密な表現であることを示すデータ」である場合、メッセージに関する得点に加点を行い、「親密な表現でないことを示すデータ」である場合、メッセージに関する得点に加点は行わない。これにより、関係度取得部41は、送受信されたメッセージの送受信数とメッセージの内容とに基づいて、メッセージに関する得点を取得する。
【0030】
図10の例では、ユーザID「U001」とユーザID「U002」との関係度Rは、スケジュール共有数、電子メールの送受信数、及びメッセージの送受信数が共に「上位」であるため、「9」となる。ユーザID「U002」とユーザID「U003」との関係度Rは、スケジュール共有数、電子メールの送受信数、及びメッセージの送受信数が共に「下位」であるため、「3」となる。
【0031】
図5に示すように、関係度取得部41は、取得した関係度Rを、ユーザDB12bに記録する。これにより、ユーザDB12bでは、ユーザごとに、自身のユーザIDと、他のユーザとの関係度Rとが関連付けられたデータが構成される。
【0032】
(ユーザグループの作成に関する構成)
ユーザグループ作成部42は、3名以上の複数のユーザからなるユーザグループを作成する。
図3に示すように、第1実施形態では、ユーザグループ作成部42は、3名または4名のユーザグループを作成する。ユーザグループ作成部42は、ユーザグループに含まれる複数のユーザ同士の複数の関係度Rのうちの、最小の関係度Rmを有するユーザの各々と他のユーザとの関係度Rが最小の関係度Rmよりも大きいユーザグループを作成する。すなわち、ユーザグループ作成部42は、関係度Rの小さい2名のユーザと、当該2名のユーザと関係度Rの大きいユーザとを含む、ユーザグループを作成する。
【0033】
図9に示すように、ユーザグループ作成部42は、候補グループ作成部42aと評価値取得部42bとユーザグループ決定部42cとを含む。
図12は、候補グループ作成部42aによる候補グループの作成と、評価値取得部42bによる評価値Pに関する処理を説明するための図である。
【0034】
〈候補グループの作成〉
図12に示すように、候補グループ作成部42aは、ユーザDB12bから3名または4名のユーザを抽出して、ユーザグループの候補となる複数の候補グループを作成する。また、候補グループ作成部42aは、この際に、予定DB12cから、翌日の出社予定者を抽出するとともに、ユーザDB12bのうちの翌日の出社予定者のうちから3名のユーザまたは4名のユーザを抽出して、複数の候補グループを作成する。これにより、出社予定でないユーザがユーザグループに含まれないので、ユーザグループに含まれるユーザの一部が出社せずに、関係性が向上しない状態になるのを防止することができる。例えば、翌日出社予定のユーザが9名の場合、候補グループ作成部42aは、3名ずつの1680通りの候補グループを作成する。また、翌日出社予定のユーザが10名の場合、候補グループ作成部42aは、3名、3名、及び4名の候補グループ(4200通り)を作成する。そして、候補グループ作成部42aは、作成した候補グループの各々に、識別情報(ID)を付与する。例えば、候補グループ作成部42aは、候補グループに「C0001」等の数字、文字または記号等を付与する。
【0035】
〈評価値の取得〉
評価値取得部42bは、複数の候補グループの各々の評価値Pを取得する。具体的には、評価値取得部42bは、評価対象の候補グループに含まれる複数のユーザ同士の複数の関係度Rのうちの最小の関係度Rmと他の関係度Rとの差分値が大きい程、高い評価値Pを取得する。また、評価値取得部42bは、全ての候補グループについて、評価値Pを取得する。これにより、候補グループが複数ある場合に、評価値Pにより候補グループの優劣を評価することができる。そして、候補グループが複数あり、決定されるユーザグループの数が候補グループの数以下であっても、この評価値Pに基づいて、優先度の高い候補グループをユーザグループに決定することができる。
【0036】
具体的には、評価値取得部42bは、評価対象の候補グループにおける複数の関係度Rのうちの、最小の関係度Rmと当該最小の関係度Rm以外の複数の関係度Rとの各々の差分値である第1の差分値D1xと、最小の関係度Rm以外の関係度R同士の差分値である第2の差分値D2yとを取得する。なお、差分値における「x」及び「y」は、差分値の項数である。すなわち、候補グループにおけるユーザの人数が「3」の場合、「x」は、「1」及び「2」であり、「y」は、「1」となる。また、候補グループにおけるユーザの人数が「4」の場合、「x」は、「1」・・・「5」であり、「y」は、「1」・・・「10」となる。
【0037】
そして、評価値取得部42bは、第1の差分値D1xの合計値Sd1が大きい程、高い評価値Pを取得し、第2の差分値D2yの合計値Sd2が小さい程、高い評価値Pを取得する。詳細には、評価値取得部42bは、第1の差分値D1xの合計値Sd1に第1の係数t1を乗算した値と、第2の差分値D2yの合計値Sd2に第2の係数t2を乗算した値との差分値を、評価値Pとして取得する。すなわち、下記の式(1)により、各候補グループについて、評価値Pが取得される。これにより、最小の関係度Rmを有するユーザ同士は、関係性が低い程、評価値Pが高くなり、最小の関係度Rmを有するユーザと当該ユーザの共通の知り合いとの関係度Rが高い程、評価値Pを高くすることができる。この結果、人的ネットワークを結ぶべき関係度Rの低いユーザと、当該ユーザと共通の知り合いとが含まれる適切なユーザグループを作成することができる。
P = (t1×Sd1)-(t2×Sd2) ・・・ (1)
【0038】
ここで、候補グループに含まれるユーザの数が、3名の場合、第1の係数t1及び第2の係数t2は、共に「1」である。そして、候補グループに含まれるユーザの数が、4名の場合、第1の係数t1は、3名の場合の「x」の数「2」から4名の場合の「x」の数「5」を除算した値である「2/5」となる。また、第2の係数t2は、3名の場合の「y」の数「1」から4名の場合の「y」の数「10」を除算した値である「1/10」となる。この第1の係数t1及び第2の係数t2により、3名のユーザからなる候補グループが取り得る評価値Pの上限値(例えば、「12」)と、4名のユーザからなる候補グループが取り得る評価値Pの上限値(例えば、「12」)とを等しくすることが可能となる(式(2-2)及び式(3-2)参照)。これにより、候補グループに含まれるユーザの数が3名と4名とで異なる場合でも、評価値Pに基づいて同等に比較することができる。
【0039】
具体的には、評価値取得部42bは、候補グループに含まれるユーザの数が、3名の場合、下記の式(2-1)に基づいて、評価値Pを取得する。ここで、最小の関係度Rmとは異なる他の関係度Rを、それぞれ、R3a、及びR3bとしている。また、評価値取得部42bは、候補グループに含まれるユーザの数が、4名の場合、下記の式(3-1)に基づいて、評価値Pを取得する。ここで、最小の関係度Rmとは異なる他の関係度Rを、それぞれ、R4a、R4b、R4c、R4d、及びR4eとしている。
P=(|R3a-Rm|+|R3b-Rm|)-|R3a-R3b|・・・(2-1)
P(上限値)=(|9-3|+|9-3|)-|9-9|=12・・・(2-2)
P=(2/5)×(|R4a-Rm|+|R4b-Rm|+|R4c-Rm|+|R4d-Rm|+|R4e-Rm|)-(1/10)×(|R4a-R4b|+|R4a-R4c|+|R4a-R4d|+|R4a-R4e|+|R4b-R4c|+|R4b-R4d|+|R4b-R4e|+|R4c-R4d|+|R4c-R4e|+|R4d-R4e|)・・・(3-1)
P(上限値)=(2/5)×(|9-3|+|9-3|+|9-3|+|9-3|+|9-3|)-(1/10)×(|9-9|+|9-9|+|9-9|+|9-9|+|9-9|+|9-9|+|9-9|+|9-9|+|9-9|+|9-9|)=12・・・(3-2)
【0040】
〈ユーザグループの決定〉
図13、
図14及び
図15は、ユーザグループ決定部42cによるユーザグループの作成に関する処理を説明するための図である。ユーザグループ決定部42cは、評価値Pに基づいて、複数の候補グループの少なくとも1つをユーザグループに決定する。具体的には、
図13に示すように、ユーザグループ決定部42cは、ユーザグループを複数決定する場合に、当該複数のユーザグループの評価値Pの合計値Q1が最も大きくなる(第1の方法)か、または、
図14に示すように、複数のユーザグループの評価値Pのうちの最小値Q2が最も大きくなる(第2の方法)か、または、
図15に示すように、複数のユーザグループの評価値P同士の分散Q3(ばらつき)が最も小さくなる(第3の方法)ようにユーザグループを決定する。第1実施形態では、ユーザグループ決定部42cは、ユーザグループを決定する日に応じて、上記第1~第3の方法のいずれかの方法を自動的に選択する。例えば、ユーザグループ決定部42cは、日毎に、ユーザグループの決定方法を、第1の方法、第2の方法、及び第3の方法の順に変更する。
【0041】
例えば、翌日出社予定のユーザが10名である場合、3つのユーザグループが決定される。この例において、ユーザグループ決定部42cは、複数の候補グループから3つの候補グループを抽出する。そして、ユーザグループ決定部42cが第1の方法を選択した場合には、
図13に示すように、複数の候補グループから抽出しうる3つの候補グループの全パターン(「E0001」、「E0002」・・・)について、ユーザグループ決定部42cは、評価値Pの合計値Q1を取得する。そして、ユーザグループ決定部42cは、上記合計値Q1が最大となる3つの候補グループを3つのユーザグループとして決定する。
図13の例では、パターン「E0001」の候補グループ「C0001」、「C0123」及び「C0846」が、ユーザグループとして決定される。この方法によれば、ユーザ同士の関係性の向上に関する期待値を最も大きくすることができる。
【0042】
図14に示すように、ユーザグループ決定部42cが第2の方法を選択した場合には、全パターン(「E1001」、「E1002」・・・)について、評価値Pの最小値Q2を取得する。そして、ユーザグループ決定部42cは、上記最小値Q2が最大となる3つの候補グループを3つのユーザグループとして決定する。
図14の例では、パターン「E1001」の候補グループ「C0678」、「C0123」及び「C0846」が、ユーザグループとして決定される。この方法によれば、決定された複数のユーザグループにおいて、関係性の向上が見込めないユーザグループが含まれるのを防止することができる。
【0043】
図15に示すように、ユーザグループ決定部42cが第3の方法を選択した場合には、全パターン(「E2001」、「E2002」・・・)について、複数のユーザグループの評価値P同士の分散Q3を取得する。そして、ユーザグループ決定部42cは、上記分散Q3が最小となる3つの候補グループを3つのユーザグループとして決定する。
図15の例では、パターン「E2001」の候補グループ「C0951」、「C0654」及び「C0846」が、ユーザグループとして決定される。この方法によれば、決定された複数のユーザグループが均等に、ユーザグループ内の関係性を向上させることができる。
【0044】
(席の決定)
図16は、ユーザグループに含まれるユーザが使用する席グループ111(席112)の決定を説明するための図である。席決定部43は、ユーザグループに含まれる3名または4名のユーザが使用する席が近接するか、または、3名または4名のユーザが使用する席が同一の席グループに属するように、席DB12aから複数のユーザが使用する席を決定する。なお、第1実施形態では、「同一の席グループに属する席同士」は、互いに「近接する」席であるものとする。
【0045】
また、席決定部43は、席DB12aに記憶された使用履歴の情報(
図4参照)に基づいて、ユーザグループに含まれる3名または4名のユーザが使用する席を、当該ユーザが所定の期間内(例えば、1週間以内)に使用した席とは異なる席に決定する。この構成によれば、ユーザが所定の期間内に使用した席112が使用される席112として決定されないので、同一の席112に同一のユーザが固定化されるのを防止することができる。例えば、「U005」のユーザが翌日出社予定のユーザグループ(
図16では、「D0002」)に含まれている場合、「U005」のユーザが「S001」の席を昨日使用している(
図4参照)ため、「S001」の席が含まれる「G301」の席グループではなく、「G302」等の「G301」とは異なる席グループの席が、当該ユーザグループに含まれるユーザが使用する席として決定される。
図16の例では、2つの3名からなるユーザグループ(「D0001」及び「D0002」)のユーザが使用する席112が、それぞれ、「G301」及び「G302」の席グループ111の席112に決定される。また、1つの4名からなるユーザグループ(「D0003」)のユーザが使用する席112が、それぞれ、「G401」の席グループ111の席112に決定される。
【0046】
(席及び席グループの情報の表示)
表示制御部44は、決定された複数のユーザが使用する席及び席グループの情報を出力する出力部として機能する。表示制御部44は、オフィス110の入り口110aの近傍に配置された案内端末20の表示部23、または、ユーザ端末30の表示部33に、ユーザが使用する席112の席ID及び席グループ111の席グループID(席及び席グループの情報)を表示させる。例えば、
図2のように、表示部23または33に、オフィス110全体のマップとして表示されてもよいし、席IDのみが表示されてもよい。
図17は、表示部23または33に表示される画面の例である。
図17に示すように、表示部23または33には、ユーザIDと、席グループIDと、席IDとが表示される。
【0047】
記憶制御部(関係度更新部)35は、表示制御部44により席データが出力された後(ユーザが席を使用した後)に、ユーザグループに含まれる複数のユーザの少なくとも1名からのフィードバック情報を取得する。例えば、
図18は、フィードバック情報を取得する際に、表示部23または33に表示される画面である。例えば、表示部23または33には、「○○××(U003)さんとの関係性は向上しましたか?」というメッセージと、「向上した」、「変化なし」及び「低下した」という画像とが、共に表示される。記憶制御部45は、ユーザによる「向上した」、「変化なし」及び「低下した」の画像に対する選択操作を、フィードバック情報として取得する。
【0048】
そして、記憶制御部45は、フィードバック情報に基づいて、ユーザDB12b(
図10参照)に記憶された関係度Rを更新する。例えば、記憶制御部45は、ユーザにより「向上した」が選択された場合には、例えば、
図10に示すユーザDB12bの更新値に「+1」が加算される。記憶制御部45は、ユーザにより「変化なし」が選択された場合には、例えば、
図10に示すユーザDB12bの更新値は変更されない。記憶制御部45は、ユーザにより「低下した」が選択された場合には、例えば、
図10に示すユーザDB12bの更新値に「-1」が加算される。ここで、ユーザ同士が実際には関係性が向上したものの、スケジュール共有数等がすぐには増加しない場合、関係度Rが実際の状態に整合するまで時間を要する場合がある。これに対して、上記の構成によれば、ユーザが席112を使用することによって変化した関係度Rを、更新値によって迅速に更新することができる。
【0049】
(席決定支援方法)
次に、
図19を参照して、第1実施形態のシステム100による席決定支援方法について説明する。
図19は、システム100の制御処理を示すフローチャートである。システム100(サーバ装置10)における各制御処理は、制御部11により実行される。
【0050】
ステップ201において、予定DB12cからスケジュール共有数が、電子メールシステム101から電子メールの送受信数が、チャットシステム102からメッセージの送受信数が、それぞれ取得される。
【0051】
ステップ202において、スケジュール共有数、電子メールの送受信数、及びメッセージの送受信数に基づいて、ユーザDB12bの関係度Rが更新される。なお、ステップ209において、フィードバック情報が取得された後に、ステップ202が実行される場合には、スケジュール共有数、電子メールの送受信数、及びメッセージの送受信数に加えて、フィードバック情報(更新値)に基づいて、ユーザDB12bの関係度Rが更新される。
【0052】
ステップ203において、予定DB12cから翌日の出社予定者が抽出される。そして、ステップ204において、抽出された出社予定者から複数の候補グループが作成される。そして、ステップ205において、候補グループの評価値Pが取得される。
【0053】
ステップ206において、複数の候補グループの少なくとも一部を、ユーザグループに決定する。複数の候補グループの評価値Pの合計値Q1が最も大きいか、または、複数の候補グループの評価値Pの最小値Q2が最も大きいか、または、複数の候補グループの評価値Pの分散Q3が最も小さいパターンとなる、複数の候補グループがユーザグループとして決定される。
【0054】
ステップ207において、表示部23または33に、席ID、席グループID及び席の位置を示したマップの少なくとも1つが表示される。ステップ208において、表示部23または33に、フィードバック情報を取得するための画像が表示される。ステップ209において、ユーザによる案内端末20またはユーザ端末30に対する入力操作または選択操作に基づいて、フィードバック情報が取得される。その後、ステップ201に戻ることにより、ステップ201~209が日毎に繰り返される。上記の方法によれば、ユーザ同士の人的ネットワークをより短い期間に広げることができるとともに、かつ、ユーザ同士の関係性をより短い期間で深めることが可能な席決定支援方法を提供することができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、
図20~
図26を参照して、第2実施形態による席決定支援システム300(以下「システム300」という)について説明する。第1実施形態では、翌日の出社予定者を抽出し、抽出した出社予定者からユーザグループを決定する例を示したが、第2実施形態では、ユーザグループを決定した後に、決定したユーザグループに含まれるユーザに対して出社を提案する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ符号を用いる場合、第1実施形態と同様の構成を示しており、特に説明がない限り先行する説明を参照する。
【0056】
図20は、システム300の構成を示すブロック図である。
図21は、システム300の席決定支援サーバ装置310(以下、「サーバ装置310」という)の制御部311の機能ブロック図である。システム300には、マネージャ端末350が設けられている。マネージャ端末350は、ネットワークNを介して、サーバ装置310と通信可能に構成されている。マネージャ端末350とは、マネージャが使用する情報端末である。「マネージャ」とは、例えば、職場におけるマネジメント職者(管理職者)であり、自身の部下に出社の要否を判断する者である。本実施の形態では、マネージャ端末350を例示したが、これに限定されず、例えば、同僚や先輩後輩の端末を、マネージャ端末350と同様の機能を持たせる構成としてもよい。
【0057】
図22は、マネージャ端末350の構成を示すブロック図である。マネージャ端末350の制御部351、操作部352、表示部353、及び通信部354は、ユーザ端末30の制御部31、操作部32、表示部33、及び通信部34と同様の構成であり、ユーザ端末30の一部がマネージャ端末350として機能してもよい。
図23は、マネージャ端末350の表示部353に表示される画面の例である。サーバ装置310の制御部311の表示制御部344は、マネージャ端末350の表示部353に、メッセージ(例えば、「出社を依頼したいメンバーを指定してください」)と、マネージャが選択したユーザ名及びユーザIDとが表示される。例えば、マネージャは、
図23に示す画面上で、マネージャ端末350に出社を依頼したいユーザ名またはユーザIDを入力する。
【0058】
図21に示すように、第2実施形態では、ユーザグループ作成部342は、候補グループ342aとユーザグループ決定部342cとを含む。候補グループ342aは、ユーザDB12bから翌日出社可能なユーザまたは全ユーザを抽出して複数の候補グループを作成する。そして、
図24に示すように、ユーザグループ決定部342cは、マネージャが出社を依頼したいユーザとして選択されたユーザを含むユーザグループを決定する。また、ユーザグループ決定部342cは、第1実施形態と同様に、評価値Pに基づいて、ユーザグループを決定する。例えば、
図24の例では、ユーザグループ「D3001」には、上記マネージャ「U693」と出社を依頼されるユーザ「U050」及びユーザ「U021」に加えて、評価値Pが大きくなるように、ユーザ「U041」が設定されている。
【0059】
ここで、例えば、全ユーザの一部を、出社させ、他部をテレワークによる勤務を提案する場合には、ユーザグループ作成部342は、複数の候補グループの評価値Pの上位から所定の割合の候補グループを、ユーザグループとして決定される。例えば、全ユーザの50%を、出社させ、残り50%に対してはテレワークによる勤務を提案する場合には、ユーザグループ作成部342は、複数の候補グループの評価値Pの上位半数の候補グループを、ユーザグループとして決定する。上記「割合」は、例えば、マネージャ端末350に対してマネージャが入力することにより、ユーザグループ作成部342において設定されてもよい。
【0060】
図25及び
図26は、ユーザ端末30の表示部33に表示される画面の例である。制御部311のメッセージ送信部346は、ユーザグループ決定部342cにより決定されたユーザグループに含まれるユーザのユーザ端末30に対して、翌日の出社を提案するメッセージを送信する。
【0061】
例えば、メッセージ送信部346は、マネージャにより出社を依頼されるユーザ「U050」及びユーザ「U021」に対しては、
図25に示すように、マネージャ名及びマネージャのユーザIDの少なくとも一方と、出社を提案するメッセージと、席ID及び席グループIDの少なくとも一方とを含む情報を送信する。ユーザ端末30の表示部33には、マネージャ名及びマネージャのユーザIDの少なくとも一方と、出社を提案するメッセージとが表示される。また、メッセージ送信部346は、マネージャにより出社を依頼されるユーザ以外のユーザに対しては、
図26に示すように、関係性を向上させる対象のユーザ名及びユーザIDの少なくとも一方と、出社を提案するメッセージと、席データを含む情報を送信する。ユーザ端末30の表示部33には、関係性を向上させる対象のユーザ名及びユーザIDの少なくとも一方と、出社を提案するメッセージと、席ID及び席グループIDとが表示される。
【0062】
(第2実施形態による席決定支援方法)
次に、
図27を参照して、第2実施形態のシステム300による席決定支援方法について説明する。
図27は、システム300の制御処理を示すフローチャートである。システム300(サーバ装置310)における各制御処理は、制御部311により実行される。なお、第1実施形態と同様の制御処理については同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0063】
ステップ403において、マネージャ端末350からマネージャが出社を依頼したいユーザの情報(ユーザ名またはユーザID)が取得される。そして、ステップ404において、ユーザDB12bから抽出されたユーザから複数の候補グループが作成される。そして、ステップ405において、候補グループの評価値Pが取得される。
【0064】
ステップ406において、複数の候補グループの少なくとも一部を、ユーザグループに決定する。このユーザグループには、マネージャが出社を依頼したいユーザが含まれる。ステップ407において、ユーザグループに含まれるユーザのユーザ端末30に対して、出社を依頼するメッセージが送信される。
【0065】
上記第2実施形態の構成及び方法によれば、複数のユーザのうちの一部のユーザのみが出社する場合に、人的ネットワークを効率よく向上させるために優先的に出社すべきユーザを抽出することができるとともに、当該ユーザに出社の提案を連絡することができる。この結果、ユーザが出社して勤務することとテレワークとが併用される場合でも、人的ネットワークを効率よく広げることが可能となる。
【0066】
[変形例]
以上、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0067】
(1)上記第1及び第2実施形態では、フリーアドレス環境のオフィスにおける席の決定を支援する例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、ユーザ同士の会合(例えば、飲み会や勉強会など)における席の決定を、本システムにより支援してもよい。
【0068】
(2)上記第1及び第2実施形態では、ユーザグループに含まれるユーザが使用する席を、同一の席グループ内の席に決定する例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、
図28に示すオフィス610のように、複数の席612が個別に配置されている場合には、ユーザグループに含まれるユーザが使用する席を、互いに近接する席に決定する。具体的には、
図29に示すように、第1及び第2実施形態の第1変形例に係る席決定支援サーバ装置510は、席決定部543を有する制御部511を含む。席決定部543は、ユーザグループに含まれるユーザの席を、ユーザグループに含まれるユーザのうちの他のユーザの少なくとも1名の席に隣接する席に決定する。例えば、
図28に示す「X1Y1」の席612と、「X2Y1」の席612とは隣接している。また、5名のユーザからなるユーザグループの場合、例えば、「X1Y1」、「X2Y1」、「X3Y1」、「X1Y2」、及び「X2Y2」の各席612が使用する席として決定される。また、本発明では、ユーザグループに含まれるユーザが使用する席112または席612を決定することなく、ユーザグループに含まれるユーザが使用する席グループ111のみが決定されてもよい。この場合、ユーザグループに含まれるユーザは、決定された席グループ111内の席112を自由に使用する。
【0069】
(3)上記第1及び第2実施形態では、関係度Rを取得するための情報として、スケジュール共有数、電子メールの送受信数、及びメッセージの送受信数を例として示したが、本発明はこれに限られない。例えば、
図30及び
図31に示す席決定支援サーバ装置710の関係度取得部741は、ユーザ端末730からユーザ同士の近接時間を取得して、近接時間が長い程、関係度Rの加算値を大きくするように構成されている。「近接時間」とは、ユーザ同士が所定の距離内に位置した時間である。
図32に示すように、関係度取得部741は、ユーザ端末730に設けられた位置センサ735によって取得されたユーザの位置情報を、各ユーザ端末730から取得して、当該位置情報に基づいて、近接時間を取得する。また、ユーザDB(図示せず)に、予めユーザの各々の趣味が登録されている場合には、関係度取得部741は、ユーザ同士で共通する趣味の数(趣味共通数)を取得する。また、関係度取得部741は、ユーザ端末730に対するユーザによる入力操作によって自身と他のユーザとの関係度Rへの加算値を設定する。
【0070】
(4)上記第1及び第2実施形態では、関係度Rの加算値を、スケジュール共有数、電子メールの送受信数、及びメッセージの送受信数の上位の場合、関係度Rの加算値を「3」とし、中位の場合、関係度Rの加算値を「2」とし、下位の場合、関係度Rの加算値を「1」とする例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、「上位」、「中位」及び「下位」に分類せずに、スケジュール共有数、電子メールの送受信数、またはメッセージの送受信数に、所定の係数を乗算したものを加算値としてもよい。
【0071】
(5)上記第1及び第2実施形態では、ユーザ端末を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、ユーザ端末を使用せずに、案内端末によってユーザに対して席を提案してもよいし、フィードバック情報を取得してもよい。
【0072】
(6)上記第1及び第2実施形態では、3名または4名のユーザからなるユーザグループが決定される例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、2名のユーザからなるユーザグループが決定されてもよいし、5名以上のユーザからなるユーザグループが決定されてもよい。
【0073】
(7)上記第1及び第2実施形態では、評価値Pの取得方法(算出方法)として、式(1)、(2-1)、(2-2)、(3-1)、及び(3-2)を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、上記式を用いずに、最小の関係度Rmを有するユーザの各々と他のユーザとの関係度Rが最小の関係度Rよりも大きくなるように、ユーザグループが決定されてもよい。
【0074】
(8)上記第1及び第2実施形態では、「翌日」に使用される席を提案(決定)する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、「当日」に使用される席を提案(決定)してもよいし、「2日後以降」に使用される席を提案(決定)してもよい。
【0075】
(9)上記第1及び第2実施形態では、関係度Rを取得するための「メッセージに関する得点」を、メッセージの内容が親密な表現であるか否かが判断される例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、メッセージの内容が親密な表現であるか否かが判断されずに、メッセージに関する得点として、メッセージの送受信数のみが用いられても良い。また、親密表現学習済モデルを用いて、メッセージのみならず、電子メールの内容を解析して、解析結果に基づいて関係度が取得されてもよい。また、本発明では、親密表現学習済モデルを用いずに、メッセージの内容が親密な表現であるか否かが判断されてもよい。例えば、予め親密な表現が記憶されたデータベースが参照されて、メッセージにデータベースに記憶されたキーワードが含まれる場合に、メッセージに関する得点に加算を行っても良い。
【0076】
また、上述した席決定支援装置、プログラム、及び席決定支援方法は、以下のように説明することができる。
【0077】
第1の構成に係る席決定支援装置は、複数のユーザが個々に使用する席の決定を支援する席決定支援装置であって、複数の席の各々の位置または複数の席の各々が属する席グループの識別情報のうちの少なくとも一方が記憶された席データベースと、ユーザごとに、ユーザ自身と他のユーザとの関係性の度合いを示す関係度が記憶されたユーザデータベースと、3名以上の複数のユーザからなるユーザグループを作成するユーザグループ作成部と、ユーザグループに含まれる3名以上の複数のユーザが使用する席が近接するか、または、当該複数のユーザが使用する席が同一の席グループに属するように、席データベースから当該複数のユーザが使用する席を決定する席決定部と、決定された複数のユーザが使用する席または席グループの情報を出力する出力部と、を備え、ユーザグループ作成部は、3名以上の複数のユーザ同士の複数の関係度のうちの、最小の関係度を有するユーザの各々と他のユーザとの関係度が最小の関係度よりも大きいユーザグループを作成する(第1の構成)。
【0078】
上記第1の構成によれば、最小の関係度を有するユーザ同士と、当該ユーザと比較的関係度の高い他のユーザ(共通の知り合い)とが、近接する席または同一の席グループを使用することになる。このため、最小の関係度を有するユーザに共通して関係度が高いユーザを介して最小の関係度を有するユーザ同士がコミュニケーションを取ることができるので、最小の関係度を有するユーザ同士が積極的にコミュニケーションを取ることが可能となる。これにより、最小の関係度を有する(関係性が薄い)ユーザ同士の関係性が短い期間で向上する。この結果、ユーザ同士の人的ネットワークをより短い期間に広げることができるとともに、かつ、ユーザ同士の関係性をより短い期間で深めることができる。
【0079】
第2の構成において、ユーザグループ作成部に、ユーザデータベースから3名以上の複数のユーザを抽出して、ユーザグループの候補となる複数の候補グループを作成する候補グループ作成部と、複数の候補グループの各々の評価値を取得する評価値取得部であって、評価対象の候補グループに含まれる3名以上の複数のユーザ同士の複数の関係度のうちの最小の関係度と当該最小の関係度以外の関係度との差分値が大きい程、高い評価値を取得する評価値取得部と、評価値に基づいて、複数の候補グループの少なくとも1つをユーザグループに決定するユーザグループ決定部と、が含まれてもよい(第2の構成)。
【0080】
上記第2の構成によれば、候補グループが複数ある場合に、評価値により候補グループの優劣を評価することができる。そして、候補グループが複数あり、決定されるユーザグループの数が候補グループの数以下であっても、評価値に基づいて、優先度の高い候補グループをユーザグループに決定することができる。
【0081】
第2の構成において、評価値取得部を、評価対象の候補グループにおける複数の関係度のうちの、最小の関係度と当該最小の関係度以外の複数の関係度との各々の差分値である第1の差分値と、最小の関係度以外の関係度同士の差分値である第2の差分値とを取得し、第1の差分値の合計値が大きく第2の差分値の合計値が小さい程、高い評価値を取得するように構成してもよい(第3の構成)。
【0082】
上記第3の構成によれば、最小の関係度を有するユーザ同士は、関係性が低い程、評価値が高くなり、最小の関係度を有するユーザと当該ユーザの共通の知り合いとの関係度が高い程、評価値を高くすることができる。この結果、人的ネットワークを結ぶべき関係度の低いユーザと、当該ユーザと共通の知り合いとが含まれる適切なユーザグループを作成することができる。
【0083】
第2または第3の構成において、候補グループ作成部は、ユーザデータベースから3名以上の第1の人数のユーザが抽出された第1の候補グループと、ユーザデータベースから3名以上の第2の人数のユーザが抽出された第2の候補グループと、を含む複数の候補グループを作成するように構成されてもよく、評価値取得部は、第1の候補グループが取り得る評価値の上限値と、第2の候補グループが取り得る評価値の上限値とが等しくなるように、第1の候補グループ及び第2の候補グループの各々の評価値を取得するように構成されてもよい(第4の構成)。
【0084】
上記第4の構成によれば、第1の候補グループに含まれるユーザの数と、第2の候補グループに含まれるユーザの数が異なる場合でも、第1の候補グループ及び第2の候補グループを評価値に基づいて同等に比較することができる。
【0085】
第2~第4の構成のいずれか1つにおいて、ユーザグループ決定部は、ユーザグループを複数決定する場合に、当該複数のユーザグループの評価値の合計値が最も大きくなるか、または、複数のユーザグループの評価値のうちの最小値が最も大きくなるか、または、複数のユーザグループの評価値同士のばらつきが最も小さくなるように、ユーザグループを決定するように構成されてもよい(第5の構成)。
【0086】
上記第5の構成によれば、複数のユーザグループの評価値の合計値が最も大きくなるようにユーザグループを複数決定する場合には、ユーザ同士の関係性の向上に関する期待値を最も大きくすることができる。また、複数のユーザグループの評価値のうちの最小値が最も大きくなるようにユーザグループを複数決定する場合には、決定された複数のユーザグループにおいて、関係性の向上が見込めないユーザグループが含まれるのを防止することができる。また、複数のユーザグループの評価値同士のばらつきが最も小さくなるようにユーザグループを複数決定する場合には、決定された複数のユーザグループが均等に、ユーザグループ内の関係性を向上させることができる。
【0087】
第2~第5の構成のいずれか1つにおいて、候補グループ作成部は、ユーザごとに出社予定日が記憶された出社予定日データベースから、翌日の出社予定者を抽出するとともに、ユーザデータベースのうちの翌日の出社予定者のうちから3名以上の複数のユーザを抽出して、複数の候補グループを作成するように構成されてもよい(第6の構成)。
【0088】
上記第6の構成によれば、出社予定でないユーザがユーザグループに含まれないので、ユーザグループに含まれるユーザの一部が出社せずに、関係性が向上しない状態になるのを防止することができる。
【0089】
第2~第5の構成のいずれか1つにおいて、複数のユーザの各々のユーザ端末と通信する通信部を、さらに備えてもよく、ユーザグループ決定部は、複数の候補グループのうちから一部の候補グループを、ユーザグループに決定するように構成されてもよく、席決定支援装置は、決定されたユーザグループに含まれる3名以上の複数のユーザのユーザ端末の各々に、通信部を介して出社を提案するメッセージを送信するメッセージ送信部を、さらに備えてもよい(第7の構成)。
【0090】
上記第7の構成によれば、複数のユーザのうちの一部のユーザのみが出社する場合に、人的ネットワークを効率よく向上させるために優先的に出社すべきユーザを抽出することができるとともに、当該ユーザに出社の提案を連絡することができる。この結果、ユーザが出社して勤務することとテレワークとが併用される場合でも、人的ネットワークを効率よく広げることが可能となる。
【0091】
第1~第7の構成のいずれか1つにおいて、出力部により席または席グループの情報が出力された後に、ユーザグループに含まれる3名以上の複数のユーザの少なくとも1名からのフィードバック情報を取得するとともに、当該フィードバック情報に基づいて、ユーザデータベースに記憶された関係度を更新する、関係度更新部が、さらに備えられてもよい(第8の構成)。
【0092】
上記第8の構成によれば、ユーザが席を使用することによって変化した関係度を、更新することができる。これにより、関係度を最新の状態を維持することができる。
【0093】
第1~第8の構成のいずれか1つにおいて、席データベースには、席の位置と、当該席を使用したユーザの識別情報及び当該ユーザにより席が使用された時期とが関連付けられて記憶されていてもよく、席決定部は、ユーザグループに含まれる3名以上の複数のユーザが使用する席を、当該3名以上の複数のユーザが所定の期間内に使用した席とは異なる席に決定するように構成されていてもよい(第9の構成)。
【0094】
上記第9の構成によれば、ユーザが所定の期間内に使用した席が使用される席として決定されないので、同一の席に同一のユーザが固定化されるのを防止することができる。
【0095】
第10の構成に係るプログラムは、複数のユーザが個々に使用する席の決定を支援する席決定支援装置であって、複数の席の各々の位置または複数の席の各々が属する席グループの識別情報のうちの少なくとも一方が記憶された席データベースと、ユーザごとに、ユーザ自身と他のユーザとの関係性の度合いを示す関係度が記憶されたユーザデータベースと、を備えた席決定支援装置のプロセッサに、3名以上の複数のユーザからなるユーザグループを作成する処理と、ユーザグループに含まれる3名以上の複数のユーザが使用する席が近接するか、または、当該複数のユーザが使用する席が同一の席グループに属するように、席データベースから当該複数のユーザが使用する席を決定する処理と、決定された複数のユーザが使用する席または席グループの情報を出力する処理と、を実行させ、ユーザグループを作成する処理は、3名以上の複数のユーザ同士の複数の関係度のうちの、最小の関係度を有するユーザの各々と他のユーザとの関係度が最小の関係度よりも大きいユーザグループを作成する処理を含む(第10の構成)。
【0096】
上記第10の構成によれば、第1の構成と同様に、ユーザ同士の人的ネットワークをより短い期間に広げることができるとともに、かつ、ユーザ同士の関係性をより短い期間で深めることが可能なプログラムを提供することができる。
【0097】
第11の構成に係る席決定支援方法は、複数の席の各々の位置または複数の席の各々が属する席グループの識別情報のうちの少なくとも一方が記憶された席データベースと、ユーザごとに、ユーザ自身と他のユーザとの関係性の度合いを示す関係度が記憶されたユーザデータベースと、を用いた複数のユーザが個々に使用する席の決定を支援する席決定支援方法であって、3名以上の複数のユーザからなるユーザグループを作成するステップと、ユーザグループに含まれる3名以上の複数のユーザが使用する席が近接するか、または、当該複数のユーザが使用する席が同一の席グループに属するように、席データベースから当該複数のユーザが使用する席を決定するステップと、決定された複数のユーザが使用する席または席グループの情報を出力するステップと、を備え、ユーザグループを作成するステップは、3名以上の複数のユーザ同士の複数の関係度のうちの、最小の関係度を有するユーザの各々と他のユーザとの関係度が最小の関係度よりも大きいユーザグループを作成することを含む(第11の構成)。
【0098】
上記第11の構成によれば、第1の構成と同様に、ユーザ同士の人的ネットワークをより短い期間に広げることができるとともに、かつ、ユーザ同士の関係性をより短い期間で深めることが可能な席決定支援方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0099】
10,310,510,710…席決定支援サーバ装置、11,311,511…制御部、12…記憶部、12a…席DB、12b…ユーザDB、12c…予定DB、13…通信部、30,730…ユーザ端末,41,741…関係度取得部,42,342…ユーザグループ作成部,42a,342a…候補グループ作成部、42b…評価値取得部,42c,342c …ユーザグループ決定部、43,543…席決定部,44,444…表示制御部,45…記憶制御部,111…席グループ,100,300…席決定支援システム、110,610…オフィス、112,612…席、346…メッセージ送信部,D1x…第1の差分値、D2y…第2の差分値、P…評価値、Q1…評価値の合計値、Q2…評価値の最小値、Q3…評価値の分散、R…関係度、Rm…最小の関係度