(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146728
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】操作装置及び遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20220928BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220928BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20220928BHJP
【FI】
A61B34/35
H04Q9/00 301B
A61M25/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047848
(22)【出願日】2021-03-22
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】牧 伸
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 雅司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達彦
(72)【発明者】
【氏名】桂 英毅
【テーマコード(参考)】
4C267
5K048
【Fターム(参考)】
4C267AA06
5K048AA04
5K048BA21
5K048EB02
5K048EB15
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】医療従事者にとっての操作性を向上可能な操作装置及び遠隔操作システムを提供する。
【解決手段】本開示に係る操作装置は、生体内に挿入される長尺体を前記長尺体の長手方向に沿って進退移動させる移動機構を含む医療装置を遠隔操作する操作装置であって、線状部材と、前記線状部材を支持する支持部材と、を備え、前記線状部材は、前記支持部材に架け渡されて外部に露出し、生体の接触を検出可能な接触センサを備える線状操作部を備え、前記接触センサが検出する接触情報に基づき、前記医療装置を操作する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に挿入される長尺体を前記長尺体の長手方向に沿って進退移動させる移動機構を含む医療装置を遠隔操作する操作装置であって、
線状部材と、
前記線状部材を支持する支持部材と、を備え、
前記線状部材は、前記支持部材に架け渡されて外部に露出し、生体の接触を検出可能な接触センサを備える線状操作部を備え、
前記接触センサが検出する接触情報に基づき、前記医療装置を操作する、操作装置。
【請求項2】
前記接触センサにより検出された前記接触情報に基づき、前記医療装置の動作を決定する制御部を備え、
前記制御部は、決定した前記医療装置の動作を実行させる動作情報に基づき、前記医療装置を操作する、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記接触センサは、前記線状部材の軸方向での生体の接触位置、及び、生体の接触面積、を検出可能である、請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記接触センサの前記接触情報に基づき、前記線状部材の前記軸方向での生体の接触位置の変化を検出した場合に、前記医療装置の動作を、前記移動機構により前記長尺体を前記長手方向に進退移動させる動作に決定する、請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記接触センサの前記接触情報に基づき、前記線状部材の前記軸方向での生体の接触位置の変化を検出した場合に、前記接触センサの前記接触情報から検出される生体の接触面積に基づき、前記医療装置の前記移動機構による前記長尺体の前記長手方向への進退移動の移動速度を決定する、請求項4に記載の操作装置。
【請求項6】
前記長尺体は、流体の供給を受けて拡張し、供給された流体が排出されることで収縮するバルーンを備え、
前記制御部は、前記接触センサの前記接触情報から検出される生体の接触面積の変化に基づき、前記医療装置の動作を、前記バルーンを拡張させる動作、又は、前記バルーンを収縮させる動作、に決定する、請求項4又は5に記載の操作装置。
【請求項7】
前記接触センサは、前記線状部材の周方向での生体の接触位置を検出可能である、請求項3から6のいずれか1つに記載の操作装置。
【請求項8】
前記医療装置の前記移動機構は、前記長尺体を、前記長尺体の中心軸周りに回動させることが可能であり、
前記制御部は、前記接触センサの前記接触情報に基づき、前記線状部材の前記周方向での生体の接触位置の変化を検出した場合に、前記医療装置の動作を、前記移動機構により前記長尺体を前記中心軸周りに回動させる動作に決定する、請求項7に記載の操作装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の操作装置と、
前記操作装置により遠隔操作される前記医療装置と、を備える、長尺体の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は操作装置及び遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血管内に挿入されている状態のカテーテルを遠隔操作する遠隔操作システムが知られている。遠隔操作システムを利用することにより、手技中の医療従事者の放射線への被曝を抑制できる。また、手技を行う医療従事者が遠隔で操作することで、場所の制限をなくし医療の効率を大きく改善することができる。特許文献1には、この種の遠隔操作システムとして、ベッドサイドシステム及びワークステーションを備えるロボット血管カテーテルシステムが開示されている。特許文献1に記載のロボット血管カテーテルシステムでは、ワークステーションからベッドサイドシステムを遠隔操作することができる。また、特許文献1に記載のワークステーションは、ジョイスティック及びジョグボタンを含むユーザーインターフェースを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロボット血管カテーテルシステムでは、ワークステーションのジョイスティック及びジョグボタンが操作されることで、ベッドサイドシステムに保持されるカテーテルの移動量が制御される。そのため、特許文献1に記載の操作装置としてのワークステーションによる操作は、医療従事者による実際のカテーテル操作と大きく異なる。そのため、特許文献1に記載のロボット血管カテーテルシステムでは、医療従事者にとっての操作性の観点において、更なる改善の余地がある。
【0005】
本開示は、医療従事者にとっての操作性を向上可能な操作装置及び遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様としての操作装置は、生体内に挿入される長尺体を前記長尺体の長手方向に沿って進退移動させる移動機構を含む医療装置を遠隔操作する操作装置であって、線状部材と、前記線状部材を支持する支持部材と、を備え、前記線状部材は、前記支持部材に架け渡されて外部に露出し、生体の接触を検出可能な接触センサを備える線状操作部を備え、前記接触センサが検出する接触情報に基づき、前記医療装置を操作する。
【0007】
本開示の1つの実施形態として、前記接触センサにより検出された前記接触情報に基づき、前記医療装置の動作を決定する制御部を備え、前記制御部は、決定した前記医療装置の動作を実行させる動作情報に基づき、前記医療装置を操作する。
【0008】
本開示の1つの実施形態として、前記接触センサは、前記線状部材の軸方向での生体の接触位置、及び、生体の接触面積、を検出可能である。
【0009】
本開示の1つの実施形態として、前記制御部は、前記接触センサの前記接触情報に基づき、前記線状部材の前記軸方向での生体の接触位置の変化を検出した場合に、前記医療装置の動作を、前記移動機構により前記長尺体を前記長手方向に進退移動させる動作に決定する。
【0010】
本開示の1つの実施形態として、前記制御部は、前記接触センサの前記接触情報に基づき、前記線状部材の前記軸方向での生体の接触位置の変化を検出した場合に、前記接触センサの前記接触情報から検出される生体の接触面積に基づき、前記医療装置の前記移動機構による前記長尺体の前記長手方向への進退移動の移動速度を決定する。
【0011】
本開示の1つの実施形態として、前記長尺体は、流体の供給を受けて拡張し、供給された流体が排出されることで収縮するバルーンを備え、前記制御部は、前記接触センサの前記接触情報から検出される生体の接触面積の変化に基づき、前記医療装置の動作を、前記バルーンを拡張させる動作、又は、前記バルーンを収縮させる動作、に決定する。
【0012】
本開示の1つの実施形態として、前記接触センサは、前記線状部材の周方向での生体の接触位置を検出可能である。
【0013】
本開示の1つの実施形態として、前記医療装置の前記移動機構は、前記長尺体を、前記長尺体の中心軸周りに回動させることが可能であり、前記制御部は、前記接触センサの前記接触情報に基づき、前記線状部材の前記周方向での生体の接触位置の変化を検出した場合に、前記医療装置の動作を、前記移動機構により前記長尺体を前記中心軸周りに回動させる動作に決定する。
【0014】
本開示の第2の態様としての遠隔操作システムは、上記操作装置と、前記操作装置により遠隔操作される前記医療装置と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、医療従事者にとっての操作性を向上可能な操作装置及び遠隔操作システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の一実施形態としての遠隔操作システムを示す図である。
【
図2】
図1に示す医療装置の一構成例を示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態としての操作装置を示す図である。
【
図4A】操作装置の制御部による制御フローの一例を示す図である。
【
図4B】操作装置の制御部による制御フローの一例を示す図である。
【
図4C】操作装置の制御部による制御フローの一例を示す図である。
【
図5】
図3に示す操作装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係る操作装置及び遠隔操作システムの実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において共通する構成には同一の符号を付している。
【0018】
図1は、本開示の一実施形態としての遠隔操作システム100を示す図である。
図1に示すように、遠隔操作システム100は、医療装置101と、本開示の一実施形態としての操作装置102と、を備える。遠隔操作システム100は、医療装置101及び操作装置102に加えて、例えば、医療装置101及び操作装置102の少なくともいずれか一方と有線又は無線により通信可能な他の装置、を含む構成であってもよい。以下、遠隔操作システム100の一例として、医療装置101及び操作装置102からなる構成について例示説明する。
【0019】
本実施形態の遠隔操作システム100は、例えば、患者の血管内にガイドワイヤ、カテーテル等の医療用の長尺体200(以下、単に「長尺体200」と記載する。)を挿入して病変部Tに所定の手技を施す血管カテーテル手術において利用される。血管カテーテル手術において、医療装置101は、長尺体200が挿入される患者の近傍に配置される。本実施形態の医療装置101は、生体内に挿入される長尺体200を、長尺体200の長手方向Aに沿って進退移動させる、及び、長尺体200の中心軸周りに回動させる、移動機構110を含む。まず、長尺体200は、例えば医療従事者自身の手操作によって、患者の血管内へと挿入される。その後、長尺体200のうち患者の生体外に延在する部分が、医療従事者により、医療装置101にセットされる。医療装置101及び操作装置102は、有線又は無線により通信することができる。医療装置101は操作装置102により遠隔操作することができる。操作装置102は、患者がいる位置から離れた位置に配置されている。操作装置102が配置される位置は、手術が行われる手術室内であってもよく、手術室外の別の位置であってもよい。医療従事者は、操作装置102を通じて、医療装置101を遠隔操作することができる。つまり、医療従事者は、操作装置102を操作し、医療装置101に所定の動作を実行させることができる。詳細は後述するが、医療従事者は、操作装置102を操作し、例えば、医療装置101に保持されている長尺体200を進退移動させることができる。
【0020】
以下、本実施形態の遠隔操作システム100の詳細について説明する。
【0021】
<医療装置101>
図2は、医療装置101の一構成例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態の医療装置101は、移動機構110と、機構制御装置111と、流体供給機構112と、を備える。
【0022】
移動機構110は、上述したように、生体内に挿入される長尺体200を長手方向Aに沿って進退移動させることができる。更に、本実施形態の移動機構110は、進退移動に加えて、長尺体200を、長尺体200の中心軸周りの周方向Bに回動させることができる。
【0023】
本実施形態の移動機構110は、駆動源110aと、駆動源110aにより駆動されて長尺体200を進退移動させる進退機構110bと、駆動源110aにより駆動されて長尺体200を中心軸周りの周方向Bに回動させる回動機構110cと、を備える。
【0024】
駆動源110aは、例えば電気モータにより構成されるが、進退機構110b及び回動機構110cを駆動させることができれば特に限定されない。駆動源110aの駆動は、機構制御装置111により制御される。
【0025】
進退機構110bは、支持本体121と、第1回動体群122と、第2回動体群123と、を備える。
【0026】
支持本体121は、長尺体200を支持する。また、支持本体121には、進退機構110bにより進退移動させる対象となる長尺体200を病変部T(
図1参照)まで案内するための別の案内管55が予め取り付けられていてもよい。
図2では、案内管55の近位端部に設けられているコネクタ55aが、支持本体121に取り付けられている。そして、支持本体121に支持されている長尺体200は、コネクタ55aから案内管55内を通じて、生体内の病変部Tまで導入される。
【0027】
第1回動体群122は複数の回動体122aから構成される。第1回動体群122を構成する複数の回動体122aは、支持本体121に対して回動可能に取り付けられている。回動体122aは、駆動源110aの駆動力により、支持本体121に対して回動する。より具体的に、回動体122aは、長尺体200を支持する支持本体121の支持面121aに対して直交する方向に延在する回動軸周りを回動する。第1回動体群122の複数の回動体122aは、支持本体121の支持面121aに支持されている長尺体200を相互間で挟み込みながら回動することで、長尺体200を長手方向Aに進退させることができる。
【0028】
第2回動体群123は、第1回動体群122と同様であるが、支持本体121に対して取り付けられている位置が異なる。
図2に示す進退機構110bは、第1回動体群122及び第2回動体群123を備えるが、第1回動体群122のみを備える構成であってもよい。但し、本実施形態のように、第1回動体群122とは別に、第2回動体群123を備えることで、2つの別の長尺体200を同時にセットできる。そのため、これら2つの長尺体200を入れ替える作業をすることなく、2つの長尺体200を交互に進退移動させることが可能となる。例えば、第1回動体群122により1つの長尺体200としてのガイドワイヤを進退移動させ、第2回動体群123により別の長尺体200としてのバルーンカテーテルを進退移動させることができる。第2回動体群123は複数の回動体123aから構成される。第2回動体群123の構成は、上述した第1回動体群122と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0029】
回動機構110cは、駆動源110aにより駆動されて長尺体200を長尺体200の中心軸周りの周方向Bに回動させる。具体的に、回動機構110cは、進退機構110bの支持本体121に支持され、第1回動体群122により進退移動することが可能な一方の長尺体200を、長手方向Aに沿う長尺体200の中心軸の周りに回動させることができる。
図2に示す回動機構110cは、進退機構110bの支持本体121に対して回動可能な回動体124を備える。この回動体124は、駆動源110aの駆動力により、支持本体121に対して回動する。回動体124は、例えば、長尺体200の外周面を径方向外側から挟持した状態で、長尺体200の中心軸周りに回動する。これにより、回動体124の回動に伴い、回動体124に挟持されている長尺体200も中心軸周りに回動する。つまり、回動体124は、長尺体200と共に長尺体200の中心軸周りを回動する共回り回動体である。但し、回動体124は、長尺体200の中心軸周りに長尺体200と共に回動する構成であればよく、挟持以外の方法で回動体124が長尺体200を保持していてもよい。また、
図2に示す回動機構110cの回動体124は、進退機構110bの支持本体121に支持されているが、別の部材に支持されていてもよい。
【0030】
また、本実施形態の回動機構110cは、進退機構110bの支持本体121に支持され、第1回動体群122により進退移動することが可能な一方の長尺体200を中心軸の周りに回動させることができるが、これに加えて又は代えて、第2回動体群123により進退移動することが可能な他方の長尺体200を中心軸の周りに回動させる同様の回動機構110cが設けられていてもよい。
【0031】
流体供給機構112は、上述した駆動源110aにより駆動される流体ポンプである。流体供給機構112は、駆動源110aにより駆動されることで、長尺体200としてのバルーンカテーテルのバルーン201(
図1参照)に、液体等の流体を供給することができる。また、流体供給機構112は、バルーン201への流体の供給のみならず、バルーン201からの流体の回収も実行可能に構成されている。バルーン201は、流体の供給を受けて拡張し、供給された流体が排出されることで収縮する。バルーン201は、収縮状態で病変部T(
図1参照)又はその近傍まで運ばれる。収縮状態のバルーン201は、病変部T又はその近傍で、流体供給機構112から流体の供給を受けて拡張することができる。拡張状態のバルーン201は、流体供給機構112により流体が回収されることで再び収縮する。長尺体200は、バルーン201を収縮させた状態とすることで、生体外に抜去される。
【0032】
機構制御装置111は、移動機構110及び流体供給機構112の動作を制御する。具体的に、本実施形態の機構制御装置111は、駆動源110aの駆動を制御することで、移動機構110及び流体供給機構112の動作を制御する。
【0033】
本実施形態の機構制御装置111は、通信部125と、記憶部126と、制御部127と、を備える。
【0034】
通信部125は、操作装置102と有線通信又は無線通信により通信可能である。無線通信としては、例えば、Bluetoothや、無線LAN(Local Area Network)などが挙げられる。通信部125は、例えば、電気信号を送受信可能な電気信号線により、操作装置102の通信部13と電気的に接続されている。通信部125は、操作装置102から、医療装置101の動作を実行させる動作情報を受信可能である。
【0035】
記憶部126は、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read-Only Memory)を含む任意の記憶モジュールを含む。記憶部126は、例えば、制御部127による処理結果を記憶する。また、記憶部126は、制御部127が実行する各種プログラムを記憶していてもよい。また、記憶部126は、医療装置101の動作に用いられる任意の情報を記憶してもよい。
【0036】
制御部127は、通信部125及び記憶部126の動作を制御する。また、制御部127は、通信部125及び記憶部126から入力される各種情報を処理する。
【0037】
また、制御部127は、移動機構110及び流体供給機構112の動作を制御する。具体的に、制御部127は、通信部125が操作装置102から受信する、医療装置101の動作情報に基づき、駆動源110aの駆動を制御することで、移動機構110及び流体供給機構112の動作を制御する。より具体的には、制御部127は、上述の医療装置101の動作情報に基づき、移動機構110の回動体122a、123a及び124の回転駆動、及び、流体供給機構112としての流体ポンプの駆動、を制御する。これにより、長尺体200の進退移動、回動及びバルーン201の拡張状態、が制御される。
【0038】
制御部127は、1つ以上のプロセッサである。制御部127は、操作装置102から受信する動作情報に基づき移動機構110及び流体供給機構112を制御する処理に特化した専用プロセッサにより実現されるが、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサにより実現されてもよい。制御部127には、1つ以上の専用回路が含まれてもよく、制御部127において、1つ以上のプロセッサを1つ以上の専用回路に置き換えてもよい。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。制御部127は、記憶部126に記憶されているプログラムを実行し、医療装置101の各部を作動させる。
【0039】
<操作装置102>
操作装置102は、上述したように、医療従事者等の操作者の操作に基づき、医療装置101を遠隔操作することができる。
【0040】
図3は、操作装置102の一構成例を示す図である。
図1、
図3に示すように、本実施形態の操作装置102は、線状部材11と、この線状部材11を支持する支持部材12と、を備える。線状部材11は、生体の接触を検出可能な接触センサ22を備える線状操作部11aを備える。線状操作部11aは、支持部材12に架け渡されて外部に露出している。操作装置102は、接触センサ22が検出する接触情報に基づき、医療装置101を操作することができる。このように、操作装置102において医療従事者が操作する部位を、実際の長尺体200に類似した線状部材11とすることで、医療従事者にとっての操作性を向上させることができる。
【0041】
以下、本実施形態の操作装置102の更なる詳細について説明する。
【0042】
図3に示すように、本実施形態の操作装置102は、上述した線状部材11及び支持部材12に加えて、制御装置30を備える。制御装置30は、通信部13と、記憶部14と、制御部15と、を備える。以下、各部位の詳細について説明する。
【0043】
線状部材11の中心軸O1に直交する断面外形は略円形である。線状部材11の外径は、例えば1mm~10mmとすることができる。そのため、医療従事者が線状部材11を把持する感覚を、ガイドワイヤ、カテーテル等の実際の長尺体200を把持する感覚に類似させることができる。
図3では、説明の便宜上、線状部材11を太く描いているが、図示する太さに限られるものではない。
【0044】
より具体的には、
図3に示すように、線状部材11は、細管体21と、この細管体21の内面上に配置されている接触センサ22と、を備える。
【0045】
細管体21は、例えば、合成樹脂、ガラス、シリコン、クォーツ等の絶縁材料により構成されている。本実施形態において、上述した線状部材11の外径は、細管体21の外径である。医療従事者などの操作者は、この細管体21の外面を触りながら操作を行うことができる。
【0046】
接触センサ22は、線状部材11のうち後述する支持部材12の2つの保持部12b間に仮設されている線状操作部11aに設けられている。接触センサ22は、線状部材11の線状操作部11a上での生体の接触を検出可能である。接触センサ22は、例えば、複数のセンサ電極22aを含む静電容量方式のセンサが挙げられる。
図3では、説明の便宜上、線状部材11の線状操作部11aにおいて、細管体21の外面の任意の位置への生体の接触を検出可能とするセンサ電極22aが、細管体21の軸方向(線状部材11の軸方向Cと同じ方向であり、以下、単に「軸方向C」と記載する。)及び、細管体21の周方向(線状部材11の周方向Dと同じ方向であり、以下、単に「周方向D」と記載する。)それぞれに、複数配置されている例を模式的に示す。接触センサ22は、複数のセンサ電極22a間の静電容量の変化に基づき、生体の接触を検出可能である。但し、接触センサ22は、例えば、細管体21の内面上にパターン電極層が設けられ、細管体21の外面の軸方向C及び周方向Dの任意の位置での生体の接触を検出可能とする構成とされてもよく、その構成は特に限られない。接触センサ22として、ピエゾ抵抗を用いたひずみセンサを用いるのも好適な例である。
【0047】
線状部材11が、このような接触センサ22を備えることで、医療従事者などの操作者が、細管体21の外面を触りながら行う操作を、接触センサ22により検出することができる。
【0048】
詳細は後述するが、本実施形態の接触センサ22は、軸方向Cでの生体の接触位置、周方向Dでの生体の接触位置、及び、生体の接触面積、を検出可能である。
【0049】
本実施形態の線状部材11は、中空部を区画する細管体21の内側に接触センサ22が配置されているが、中実の棒体内に接触センサ22が埋設されていてもよい。
【0050】
図3に示すように、支持部材12は、本体部12aと、この本体部12aから突出し、対向して配置されている2つの保持部12bと、を備える。線状部材11は、支持部材12の2つの保持部12bの間に架け渡されている状態で、支持部材12に固定されている。本実施形態の線状部材11の線状操作部11aは、2つの保持部12bに架設されている部分である。支持部材12は、例えば、合成樹脂等の絶縁材料により構成することができる。
【0051】
通信部13は、医療装置101と有線通信又は無線通信により通信可能である。無線通信としては、例えば、Bluetoothや、無線LAN(Local Area Network)などが挙げられる。通信部13は、例えば、電気信号を送受信可能な電気信号線により、医療装置101の機構制御装置111における通信部125と電気的に接続されている。また、通信部13は、接触センサ22により検出された接触情報に基づき制御部15により決定される医療装置101の動作情報を、医療装置101に対して送信することができる。
【0052】
記憶部14は、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read-Only Memory)を含む任意の記憶モジュールを含む。記憶部14は、例えば、制御部15による処理結果を記憶する。また、記憶部14は、制御部15が実行する各種プログラムを記憶していてもよい。
【0053】
制御部15は、通信部13及び記憶部14の動作を制御する。また、制御部15は、通信部13及び記憶部14から入力される各種情報を処理する。
【0054】
また、制御部15は、接触センサ22により検出された接触情報に基づき、医療装置101の動作を決定する。また、制御部15は、決定した医療装置101の動作を実行させる動作情報に基づき、医療装置101を操作する。
【0055】
具体的に、制御部15には、接触センサ22が検出した、線状部材11の線状操作部11aに対する操作者の接触情報が入力される。詳細は後述するが、制御部15は、この接触情報に基づき、医療装置101の動作を決定する。医療装置101の動作としては、例えば、移動機構110により、長尺体200を長手方向Aへ進退移動させる動作等である。制御部15は、通信部13を介して、決定した医療装置101の動作情報を、医療装置101に送信する。
【0056】
制御部15は、1つ以上のプロセッサである。制御部15は、接触センサ22により検出された接触情報に基づき医療装置101の動作を決定したり、決定した医療装置101の動作情報を通信部13を介して医療装置101に送信したりする処理に特化した専用プロセッサにより実現されるが、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサにより実現されてもよい。制御部15には、1つ以上の専用回路が含まれてもよく、制御部15において、1つ以上のプロセッサを1つ以上の専用回路に置き換えてもよい。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。制御部15は、記憶部14に記憶されているプログラムを実行し、操作装置102の各部を作動させる。
【0057】
次に、
図4A、
図4B、
図4Cを参照して、制御部15が、接触センサ22により検出された接触情報に基づき、医療装置101の動作を決定する制御フローについて例示説明する。本実施形態の制御部15は、
図4A、
図4B、
図4Cに示す制御フローにより決定した医療装置101の動作情報に基づき、医療装置101を操作する。より具体的に、本実施形態の制御部15は、
図4A、
図4B、
図4Cに示す制御フローにより決定した医療装置101の動作情報に基づき医療装置101を操作するように、医療装置101の機構制御装置111の制御部127に指示する。
【0058】
まず、制御部15は、接触センサ22により検出された接触情報を取得する。本実施形態の制御部15は、接触センサ22により検出された接触情報に基づき、一例として、医療装置101の動作を、以下の(1)~(7)のいずれかの動作に決定する。
(1)操作者の操作速度と等しい速度(通常速度)で長尺体200を長手方向Aに進退移動させると共に、長尺体200を周方向Bに所定速度で回動させる。
(2)操作者の操作速度と等しい速度(通常速度)で長尺体200を長手方向Aに進退移動させると共に、長尺体200を周方向Bに回動させない。
(3)操作者の操作速度より遅い速度(低速)で長尺体200を長手方向Aに進退移動させると共に、長尺体200を周方向Bに所定速度で回動させる。
(4)操作者の操作速度より遅い速度(低速)で長尺体200を長手方向Aに進退移動させると共に、長尺体200を周方向Bに回動させない。
(5)長尺体200を長手方向Aに進退移動させずに、長尺体200を周方向Bに所定速度で回動させる。
(6)長尺体200を長手方向Aに進退移動させず、長尺体200を周方向Bに回動させずに、バルーン201の拡張状態を制御する。
(7)長尺体200を動作させない(長尺体200を長手方向Aに進退移動させず、かつ、周方向Bに回動させず、かつ、バルーン201の拡張状態も変動させない)。
【0059】
まず、本実施形態の制御部15は、接触センサ22により検出される接触情報に基づき、生体の接触面積が第1閾値としての所定値以下であるか否かを判定する(
図4AのステップS1)。第1閾値は、例えば、操作者の指4本以上の腹が線状部材11の線状操作部11aの外面に接触した場合の接触面積が想定される。制御部15は、例えば、操作者が5本の指で線状操作部11aを握る場合に、生体の接触面積が第1閾値としての所定値より大きいと判定し(
図4AのステップS1のno)、
図4BのステップS10に進む。この場合に、本実施形態の制御部15は、医療装置101の動作を、長尺体200を長手方向Aに進退移動させない動作に決定する。また、本実施形態の制御部15は、医療装置101の動作を、長尺体200を周方向Bに回動させない動作に決定する。
【0060】
また、
図4Aに示すステップS1において、制御部15は、例えば、操作者が3本以下の指で線状操作部11aを挟み込むように把持する場合に、生体の接触面積が第1閾値としての所定値以下であると判定し(
図4AのステップS1のyes)、
図4AのステップS2に進む。この場合に、本実施形態の制御部15は、医療装置101の動作を、長尺体200のバルーン201の拡張状態を変化させない動作に決定する。
【0061】
図4AのステップS2では、制御部15は、接触センサ22により検出される接触情報に基づき、生体の接触面積が第2閾値としての所定値以下であるか否かを判定する。第2閾値は、第1閾値より小さい。第2閾値は、例えば、操作者の指2本の腹が線状部材11の線状操作部11aの外面に接触した場合の接触面積より大きく、操作者の3本の腹が線状部材11の線状操作部11aの外面に接触した場合の接触面積より小さい値が想定される。制御部15は、例えば、操作者が親指、人差し指及び中指の3本の指で線状操作部11aを挟み込むように把持する場合に、生体の接触面積が第2閾値としての所定値より大きいと判定し(
図4AのステップS2のno)、
図4CのステップS12に進む。逆に、制御部15は、例えば、操作者が2本の指で線状操作部11aを挟み込むように把持する場合に、生体の接触面積が第2閾値としての所定値以下であると判定し(
図4AのステップS2のyes)、
図4AのステップS3に進む。
【0062】
図4AのステップS3では、制御部15は、接触センサ22により検出される接触情報に基づき、軸方向Cでの生体の接触位置の変化を検出したか否かを判定する。制御部15は、例えば、軸方向Cでの生体の接触位置の変化を、生体の接触が所定時間内に軸方向Cの異なる複数の位置で検出された場合に検出する。所定時間は、例えば1秒とすることができる。このようにすることで、制御部15は、例えば、操作者が線状操作部11a(
図3参照)を2本の指の腹で挟み込むように把持しながら、軸方向Cにスライド移動させる動作を検出することができる。換言すれば、制御部15は、軸方向Cでの生体の接触位置の変化により、操作者が上述の軸方向Cでのスライド移動を行ったと判定する。制御部15は、接触センサ22の接触情報に基づき、軸方向Cでの生体の接触位置の変化を検出した場合に、医療装置101の動作を、移動機構110により長尺体200を長手方向Aに進退移動させる動作に決定する。制御部15が、軸方向Cでの生体の接触位置の変化を検出しない場合は、
図4AのステップS5に進む。制御部15が、軸方向Cでの生体の接触位置の変化を検出した場合は、
図4AのステップS4に進む。
【0063】
図4AのステップS4では、制御部15は、接触センサ22により検出される接触情報に基づき、周方向Dでの生体の接触位置の変化を検出したか否かを判定する。制御部15は、例えば、周方向Dでの生体の接触位置の変化を、生体の接触が所定時間内に周方向Dの異なる複数の位置で検出された場合に検出する。所定時間は、例えば1秒とすることができる。このようにすることで、制御部15は、例えば、操作者が線状操作部11a(
図3参照)を2本の指の腹で挟み込むように把持しながら、周方向Dにスライド移動させる動作を検出することができる。換言すれば、制御部15は、周方向Dでの生体の接触位置の変化により、操作者が上述の周方向Dでのスライド移動を行ったと判定する。制御部15が、周方向Dでの生体の接触位置の変化を検出した場合は、
図4AのステップS6に進む。制御部15が、周方向Dでの生体の接触位置の変化を検出しない場合は、
図4AのステップS7に進む。
【0064】
ステップS6に進むことで、制御部15は、医療装置101の動作を、上述した(1)の動作に決定する。そして、制御部15は、医療装置101が上述した(1)の動作を実行するための動作情報を、医療装置101に送信する。これにより、医療装置101は、上述した(1)の動作を実行する。
【0065】
ステップS7に進むことで、制御部15は、医療装置101の動作を、上述した(2)の動作に決定する。そして、制御部15は、医療装置101が上述した(2)の動作を実行するための動作情報を、医療装置101に送信する。これにより、医療装置101は、上述した(2)の動作を実行する。
【0066】
図4AのステップS5では、ステップS4と同様、制御部15は、接触センサ22により検出される接触情報に基づき、周方向Dでの生体の接触位置の変化を検出したか否かを判定する。ステップS5での制御部15による判定方法は、上述したステップS4での判定方法と同じとしてよい。制御部15は、周方向Dでの生体の接触位置の変化により、操作者が周方向Dにスライド移動させる動作を行ったと判定する。制御部15が、周方向Dでの生体の接触位置の変化を検出した場合は、
図4AのステップS8に進む。制御部15が、周方向Dでの生体の接触位置の変化を検出しない場合は、
図4AのステップS9に進む。
【0067】
ステップS8に進むことで、制御部15は、医療装置101の動作を、上述した(5)の動作に決定する。そして、制御部15は、医療装置101が上述した(5)の動作を実行するための動作情報を、医療装置101に送信する。これにより、医療装置101は、上述した(5)の動作を実行する。
【0068】
ステップS9に進むことで、制御部15は、医療装置101の動作を、上述した(7)の動作に決定する。そして、制御部15は、医療装置101が上述した(7)の動作を実行するための動作情報を、医療装置101に送信する。これにより、医療装置101は、上述した(7)の動作を実行する。つまり、医療装置101は長尺体200を動作させない。
【0069】
図4Bに示すステップS10では、制御部15は、接触センサ22により検出される接触情報に基づき、生体の接触面積の変化を検出したか否かを判定する。制御部15は、上述したステップS1にて、生体の接触面積が第1閾値としての所定値より大きいと判定し、ステップS10では、第1閾値としての所定値より大きいと判定した生体の接触面積が、所定時間内に変化したか否かを判定する。所定時間は、例えば、2、3秒などの数秒としてよい。このようにすることで、制御部15は、例えば、操作者が5本の指で線状操作部11aを握る状態から、線状操作部11aを手放す動作を検出することができる。つまり、制御部15は、生体の接触面積が小さくなる変化を検出することができる。逆に、制御部15は、生体の接触面積が大きくなる変化を検出してもよい。換言すれば、制御部15は、生体の接触面積の変化により、操作者が上述の把持状態の変更を行ったと判定する。制御部15が、生体の接触面積の変化を検出しない場合は、
図4AのステップS9に進み、医療装置101に上述の(7)の動作を実行させる。制御部15が、生体の接触面積の変化を検出した場合は、
図4BのステップS11に進む。
【0070】
ステップS11に進むことで、制御部15は、医療装置101の動作を、上述した(6)の動作に決定する。そして、制御部15は、医療装置101が上述した(6)の動作を実行するための動作情報を、医療装置101に送信する。これにより、医療装置101は、上述した(6)の動作を実行する。つまり、医療装置101は、長尺体200を長手方向Aに進退移動させず、かつ、周方向Bに回動させずに、バルーン201の拡張状態を制御する。制御部15は、例えば、操作者が5本の指で線状操作部11aを握る状態から、線状操作部11aを手放す動作を検出する場合に、医療装置101にバルーン201を収縮状態から拡張状態に拡張させる動作を実行させてよい。医療装置101によるバルーン201を拡張させる動作は、流体供給機構112(
図2参照)を動作させることで実行可能である。このように、本実施形態の制御部15は、接触センサ22の接触情報から検出される生体の接触面積の変化に基づき、医療装置101の動作を、バルーン201を拡張させる動作、又は、バルーン201を収縮させる動作、に決定する。
【0071】
図4CのステップS12では、
図4AのステップS3と同様、制御部15は、接触センサ22により検出される接触情報に基づき、軸方向Cでの生体の接触位置の変化を検出したか否かを判定する。ステップS12での制御部15による判定方法は、上述したステップS3での判定方法と同じとしてよい。制御部15は、軸方向Cでの生体の接触位置の変化により、操作者が軸方向Cにスライド移動させる動作を行ったと判定する。制御部15が、軸方向Cでの生体の接触位置の変化を検出しない場合は、
図4AのステップS5に進む。制御部15が、軸方向Cでの生体の接触位置の変化を検出した場合は、
図4CのステップS13に進む。
【0072】
図4CのステップS13では、ステップS4と同様、制御部15は、接触センサ22により検出される接触情報に基づき、周方向Dでの生体の接触位置の変化を検出したか否かを判定する。ステップS13での制御部15による判定方法は、上述したステップS4での判定方法と同じとしてよい。制御部15は、周方向Dでの生体の接触位置の変化により、操作者が周方向Dにスライド移動させる動作を行ったと判定する。制御部15が、周方向Dでの生体の接触位置の変化を検出した場合は、
図4CのステップS14に進む。制御部15が、周方向Dでの生体の接触位置の変化を検出しない場合は、
図4CのステップS15に進む。
【0073】
ステップS14に進むことで、制御部15は、医療装置101の動作を、上述した(3)の動作に決定する。そして、制御部15は、医療装置101が上述した(3)の動作を実行するための動作情報を、医療装置101に送信する。これにより、医療装置101は、上述した(3)の動作を実行する。上述した(3)の動作は、上述した(1)の動作と比較して、長尺体200の長手方向Aの移動速度が異なる。上述した(3)の動作での長尺体200の長手方向Aの移動速度は、例えば、操作者の軸方向Cへのスライド移動の速度の1/2の速度とすることができるが、1/3の速度など、他の速度に設定されてもよい。
【0074】
ステップS15に進むことで、制御部15は、医療装置101の動作を、上述した(4)の動作に決定する。そして、制御部15は、医療装置101が上述した(4)の動作を実行するための動作情報を、医療装置101に送信する。これにより、医療装置101は、上述した(4)の動作を実行する。上述した(4)の動作での長尺体200の長手方向Aの移動速度についても、(3)の動作での速度と同様としてよい。
【0075】
このように、本実施形態の制御部15は、接触センサ22の接触情報に基づき、軸方向Cでの生体の接触位置の変化を検出した場合に、医療装置101の動作を、移動機構110により長尺体200を長手方向Aに進退移動させる動作(上記(1)~(4)の動作)に決定する。更に、本実施形態の制御部15は、接触センサ22の接触情報に基づき、軸方向Cでの生体の接触位置の変化を検出した場合に、接触センサ22の接触情報から検出される生体の接触面積に基づき、医療装置101の移動機構110による長尺体200の長手方向Aへの進退移動の移動速度を決定する。つまり、本実施形態では、
図4AのステップS2にて、生体の接触面積が第2閾値としての所定値以下か否かを制御部15が判定することにより、長尺体200の長手方向Aの移動速度が通常速度の動作(上記(1)、(2)の動作)となるか、低速の動作(上記(3)、(4)の動作)となるか、が決定されている。
【0076】
また、本実施形態の制御部15は、接触センサ22の接触情報に基づき、周方向Dでの生体の接触位置の変化を検出した場合に、医療装置101の動作を、移動機構110により長尺体200を中心軸周りである周方向Bに回動させる動作(上記(1)、(3)、(5)の動作)に決定する。
【0077】
本実施形態の操作装置102の制御部15は、
図4A~
図4Cに示す制御フローを繰り返し実行することで、医療装置101の動作を制御することができる。但し、
図4A~
図4Cに示す制御フローは一例であり、制御部15が、接触センサ22が検出する生体の接触情報に基づき、医療装置101の動作を、上述した(1)~(7)とは異なる別の動作に決定してもよい。
【0078】
更に、
図5に示すように、操作装置102は、接触センサ22に加えて、例えばカメラなどの撮像装置16を用いて、操作者の線状操作部11aの操作を検出してもよい。かかる場合に、制御部15は、操作者の線状操作部11aへの接触と無関係なハンドサインなどの動作に基づき、医療装置101の一部の動作を制御してもよい。
【0079】
本開示に係る操作装置及び遠隔操作システムは、上述した実施形態に示す具体的な構成及び工程に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形・変更・工程の順序の入れ替え・組み合わせが可能である。上述した実施形態では、接触センサ22として静電容量方式のセンサを用いた例を示しているが、例えば、光反射を利用して距離及び回転角を検出することで、線状操作部11aへの生体の接触位置及び接触面積を検出するようなセンサとしてもよい。
【0080】
また、上述した実施形態ではバルーンの拡張収縮操作に言及したが、その他にレーザー治療やアブレーションの照射開始や終了、照射向きや照射量の調整、血栓レトリーバーの拡張収縮、血栓吸引の吸引開始や終了や吸引量の調整など様々なカテーテル手技にも応用が可能である。
【0081】
また、上述した実施形態の操作装置102では、
図3に示すように、通信部13、記憶部14及び制御部15を備える制御装置30が、支持部材12内に配置されているが、この構成に限られない。制御装置30は、支持部材12の外部に別装置としても設けられていてもよい。
【0082】
更に、上述した実施形態の制御部15は、生体の接触面積、軸方向Cでの生体の接触位置の変化、及び、周方向Dでの生体の接触位置の変化、を判定する構成であるが、この構成に限られない。制御部15は、上述の3つのうち、いずれか1つのみ又は2つのみを判定し、その判定結果に基づき医療装置101の動作を決定してもよい。更に、制御部15は、上述した3つに加えて、他の接触情報を検出可能な構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本開示は操作装置及び遠隔操作システムに関する。
【符号の説明】
【0084】
11:線状部材
11a:線状操作部
12:支持部材
12a:本体部
12b:保持部
13:通信部
14:記憶部
15:制御部
16:撮像装置
21:細管部
22:接触センサ
22a:センサ電極
30:制御装置
55:案内管
55a:コネクタ
100:遠隔操作システム
101:医療装置
102:操作装置
110:移動機構
110a:駆動源
110b:進退機構
110c:回動機構
111:機構制御装置
112:流体供給機構
121:支持本体
121a:支持面
122:第1回動体群
122a:回動体
123:第2回動体群
123a:回動体
124:回動体
125:通信部
126:記憶部
127:制御部
200:長尺体
201:バルーン
A:長尺体の長手方向
B:長尺体の周方向
C:線状部材の軸方向
D:線状部材の周方向
O1:線状部材の中心軸
T:病変部