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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146783
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】丁番の取付構造及び方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/16 20060101AFI20220928BHJP
   E05D 5/02 20060101ALI20220928BHJP
   E05D 3/02 20060101ALN20220928BHJP
【FI】
E06B7/16 Z
E05D5/02
E05D3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047941
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】持田 典之
(72)【発明者】
【氏名】若松 勇司
(72)【発明者】
【氏名】小谷 敏之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 一郎
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 功
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 東三
(72)【発明者】
【氏名】篠原 孝之
【テーマコード(参考)】
2E030
2E036
【Fターム(参考)】
2E030AB03
2E030BB03
2E030CC03
2E030EA02
2E036AA01
2E036AA02
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA12
2E036DA16
2E036EB06
2E036EB07
2E036EC04
2E036HB14
(57)【要約】
【課題】丁番の羽板を枠体に差し込むタイプの丁番において、十分な止水効果が得られ、かつ、作業性が良好な丁番の取付構造及び方法を提供する。
【解決手段】
丁番6の第2羽板61を戸尻側縦枠3の第1見付面30に形成した挿入孔300に挿入させて内部で固定してなる丁番の取付構造において、戸尻側縦枠3の内部には、前記内部に位置する第2羽板61の挿入部位を囲む囲繞空間Sを形成するようにカバー8が設けてあり、囲繞空間Sが充填材9によって充填されており、充填材9によって、第2羽板61の面部と挿入孔300との間の隙間Cを内部から塞ぐようになっている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
丁番の羽板を枠体に形成した挿入孔に挿入させて枠体内部で固定してなる丁番の取付構造において、
前記枠体内部には、前記枠体内部に位置する前記羽板の挿入部位を囲む囲繞空間を形成するようにカバーが設けてあり、
前記囲繞空間が充填材によって充填されており、前記充填材によって、前記羽板の面部と前記挿入孔との間の隙間を枠体内部から塞ぐようになっている、
丁番の取付構造。
【請求項2】
前記充填材は発泡材であり、前記囲繞空間を形成する部位には、当該囲繞空間に発泡材を注入するための注入部が形成されており、前記囲繞空間は、発泡した充填材によって充填されている、請求項1に記載の丁番の取付構造。
【請求項3】
前記カバーは、少なくとも、前記挿入部位の上面の上方に対向する上面、前記挿入部位の下面に対向する下面、前記挿入部位の先端面に対向する底面を備え、
前記カバーは、前記枠体の部分および前記枠体内に位置する前記挿入部位の被固定部材と共に、前記囲繞空間を形成している、
請求項1、2いずれか1項に記載の丁番の取付構造。
【請求項4】
前記挿入孔は前記枠体の見付面に形成されており、
前記見付面から延びる見込部の内面に固定された前記被固定部材が前記囲繞空間の一方の側面部を形成しており、
前記見付面から前記見込部に対向して外側見込辺が延びており、
前記カバーは、底面側には側面が形成されており、前記側面の先端と前記外側見込辺の先端が当接することで、前記カバーの前記側面と前記外側見込辺から、前記囲繞空間の他方の側面部が形成されている、
請求項3に記載の丁番の取付構造。
【請求項5】
丁番の羽板を枠体に形成した挿入孔に挿入させて枠体内部で固定してなる丁番の取付方法において、
前記枠体内部に、当該枠体内部に挿入される前記羽板の挿入部位を囲む囲繞空間を形成するようにカバーが設ける工程と、
丁番の羽板を前記挿入孔から差し込んで、挿入部位を前記囲繞空間に位置させる工程と、
前記囲繞空間を塞ぐように充填材を充填させる工程と、
からなる丁番の取付方法。
【請求項6】
前記充填材は発泡材であり、
前記囲繞空間を形成する部位には、当該囲繞空間に発泡材を注入するための注入部が形成されており、
前記注入部から前記発泡材を注入することで、前記注入された前記発泡材が発泡して前記囲繞空間を塞ぐ、
請求項5に記載の丁番の取付方法。
【請求項7】
前記カバーは、少なくとも、前記挿入部位の上面の上方に対向する上面、前記挿入部位の下面に対向する下面、前記挿入部位の先端面に対向する底面を備え、
前記カバーは、前記枠体の部分および前記枠体内に位置する前記挿入部位の被固定部材と共に、前記囲繞空間を形成している、
請求項5、6いずれか1項に記載の丁番の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丁番の取付構造及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
丁番は、一般に、互いに回動自在に連結された第1部材と第2部材からなり(これらの部材は、例えば羽板と称される)、第1部材を扉体等の開閉体に固定する一方、第2部材を躯体側に固定することで、開閉体が躯体に開閉可能に取り付けられる。
【0003】
躯体に対する丁番の取付態様としては幾つかのタイプがあり、例えば、第2部材となる羽板を躯体の表面に固定するものや、第2部材となる羽板を躯体に形成した孔部に挿入して固定するタイプのものが知られている(特許文献1参照)。後者のタイプにおいて、扉体が開閉する開口部が中空状の金属製枠体から形成されているような場合には、典型的には、枠体の戸尻側の縦枠の所定部位に切り欠きを形成して、羽板を切り欠きに差し込んで、枠体内部で固定するようにしている。
【0004】
後者のタイプにおいて、扉体が屋内外を連通する開口部に取り付けられており、全閉姿勢にある扉体が雨風に晒されるような場合には、縦枠に形成した切り欠きと当該切り欠きに差し込まれた羽板との隙間(クリアランス)から縦枠内に浸水し、当該縦枠の中空部を通ってさらに屋内側に浸水するおそれがある。
【0005】
このような丁番の取付構造における止水対策としては、縦枠内部にシール材を充填する方法が採り得るが、シール材を充填するためのスペースは狭く、また、作業時にシール材の充填状況を目視することが困難であるため、作業性が悪く、また、止水効果も十分なものとは言えなかった。
【特許文献1】特開平5-179857
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、丁番の羽板を枠体に差し込むタイプの丁番において、十分な止水効果が得られ、かつ、作業性が良好な丁番の取付構造及び方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
丁番の羽板を枠体に形成した挿入孔に挿入させて枠体内部で固定してなる丁番の取付構造において、
前記枠体内部には、前記枠体内部に位置する前記羽板の挿入部位を囲む囲繞空間を形成するようにカバーが設けてあり、
前記囲繞空間が充填材によって充填されており、前記充填材によって、前記羽板の面部と前記挿入孔との間の隙間を枠体内部から塞ぐようになっている、
丁番の取付構造、である。
前記囲繞空間は前記隙間と連通しているが、前記隙間から浸水が生じるような場合であっても、充填材によって充填された囲繞空間内に留まり、枠体内に浸水することを可及的に防止している。
【0008】
1つの態様では、前記充填材は発泡材であり、前記囲繞空間を形成する部位には、当該囲繞空間に発泡材を注入するための注入部が形成されており、前記囲繞空間は、発泡した充填材によって充填されている。
1つの態様では、前記注入部は、前記カバーに形成された切り欠きないし孔である。
【0009】
1つの態様では、前記カバーは、少なくとも、前記挿入部位の上面の上方に対向する上面、前記挿入部位の下面に対向する下面、前記挿入部位の先端面に対向する底面を備え、
前記カバーは、前記枠体の部分および前記枠体内に位置する前記挿入部位の被固定部材と共に、前記囲繞空間を形成している。
【0010】
1つの態様では、前記挿入孔は前記枠体の見付面に形成されており、
前記見付面から延びる見込部の内面に固定された前記被固定部材が前記囲繞空間の一方の側面部を形成しており、
前記見付面から前記見込部に対向して外側見込辺が延びており、
前記カバーは、底面側には側面が形成されており、前記側面の先端と前記外側見込辺の先端が当接することで、前記カバーの前記側面と前記外側見込辺から、前記囲繞空間の他方の側面部が形成されている。
【0011】
本発明が採用した技術手段は、
丁番の羽板を枠体に形成した挿入孔に挿入させて枠体内部で固定してなる丁番の取付方法において、
前記枠体内部に、当該枠体内部に挿入される前記羽板の挿入部位を囲む囲繞空間を形成するようにカバーが設ける工程と、
丁番の羽板を前記挿入孔から差し込んで、挿入部位を前記囲繞空間に位置させる工程と、
前記囲繞空間を塞ぐように充填材を充填させる工程と、
からなる丁番の取付方法、である。
【0012】
1つの態様では、前記充填材は発泡材であり、
前記囲繞空間を形成する部位には、当該囲繞空間に発泡材を注入するための注入部が形成されており、
前記注入部から前記発泡材を注入することで、前記注入された前記発泡材が発泡して前記囲繞空間を塞ぐ。
1つの態様では、前記注入部は、前記カバーに形成された切り欠きないし孔である。
【0013】
1つの態様では、前記カバーは、少なくとも、前記挿入部位の上面の上方に対向する上面、前記挿入部位の下面に対向する下面、前記挿入部位の先端面に対向する底面を備え、
前記カバーは、前記枠体の部分および前記枠体内に位置する前記挿入部位の被固定部材と共に、前記囲繞空間を形成している。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、枠体内部には、前記枠体内部に位置する羽板の挿入部位を囲む囲繞空間を形成するようにカバーが設けてあり、前記囲繞空間を充填する充填材によって前記羽板の面部と挿入孔との間の隙間を枠体内部から塞ぐことで、枠体内部に浸水すること可及的に防止するようになっている。
本発明では、枠体内部に、当該枠体内部に挿入される丁番の羽板の挿入部位を囲む囲繞空間を形成するようにカバーを設けておくことで、丁番の取付工程の流れの中で充填材を注入するだけで止水構造を形成することができ、作業性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係るドア装置(全閉姿勢)を屋外側から見た正面図である。
図2】戸尻側縦枠の丁番取付部を屋外側から見た正面図である。
図3図2を側方から見た図であり、丁番の位置を二点鎖線で示す。
図4】丁番の第2羽板が挿入された状態を示す縦断面図である。
図5】丁番が戸尻側縦枠に取り付けられる前の状態を示す平面図である。
図6】丁番の第2羽板の挿入部位の周囲の空間への充填材の充填作業を示す図である。
図7】本実施形態に係る丁番の取付構造における止水構造を示す横断面図である。
図8】カバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は全閉姿勢にあるドア装置を屋外側から見た正面図であり、ドア装置は、縦長方形状の扉体1と、上枠2、戸尻側縦枠3、戸先側縦枠4、下枠5からなるドア枠と、を備えている。ドア装置は開き戸であり、扉体1の戸尻側部位が戸尻側縦枠3に丁番6によって回動可能に取り付けられている。本実施形態に係る扉体1は大型の扉体であるが、扉体1のサイズは限定されない。
【0017】
丁番6は、扉体1の屋外側面部1´の戸尻側部位に固定される第1羽板60と、戸尻側縦枠3に挿入されて内部で固定される第2羽板61と、第1羽板60及び第2羽板61の基端側が回動自在に装着されている軸部62と、からなる。図示の態様では、扉体1の高さ方向に亘って3つの丁番6が設けてあるが、丁番6の個数は限定されない。本実施形態では、戸尻側縦枠3の内部には戸尻側縦枠3に沿って高さ方向に延びる支持部材7が設けてあり、丁番6の第2羽板61は、戸尻側縦枠3の内部において支持部材7に固定されている。
【0018】
戸尻側縦枠3は、開口高方向に延びる長尺部材であり、図5に示すように、屋外側に面する幅狭の第1見付面30と、屋内側に面する幅広の第2見付面31と、を備え、戸尻側縦枠3の見込部は、第1見付面30側の第1見込面32と、第2見付面31側の第2見込面33と、第1見込面32と第2見込面33の段差部を形成する中間見付面34と、からなる。第1見付面30には、第1見込面32と対向して延びる第1外側見込辺35が形成されており、第2見付面31には、第2見込面33と対向して延びる第2外側見込辺36が形成されている。
【0019】
戸尻側縦枠3の第1見付面30には、丁番6の取付位置(上端部位、下端部位、中途部位)に対応する位置に丁番6の第2羽板61が挿入される挿入孔300が形成されている。挿入孔300は丁番6の第2羽板61の断面形状に対応する形状を備えており、本実施形態では、挿入孔300及び第2羽板61の断面形状は縦長方形状である。挿入孔300の面積(高さ寸法、幅寸法)は、第2羽板61の断面積(長手寸法、短手寸法)よりも僅かに大きく、挿入孔300に第2羽板61が差し込まれた状態で、第2羽板61の面部(左側面部610と、右側面部611と、上端面612、下端面613とからなる四周面である)と挿入孔300の縁部との間には僅かな隙間(クリアランス)Cが存在する(図7)。なお、「左」、「右」は、丁番6の第2羽板61の差し込み方向(図5の矢印方向)から見た時の「左」、「右」を意味している。
【0020】
丁番6の第2羽板61が第1見付面30に形成された挿入孔300から戸尻側縦枠3内に挿入された状態において、左側面部610と、右側面部611と、上端面612、下端面613のそれぞれの基端側部位(軸部62に近い側)を除く部位及び先端面614が戸尻側縦枠3内に位置する挿入部位となっている。
【0021】
支持部材7は、図1に示すように、開口高方向に延びる長尺部材であり、図5等に示すように、見込方向(屋内外方向)に延びる見込部70と、見付方向に延びる見付部71と、から断面視L形状を有している。支持部材7の見込部70は、戸尻側縦枠3の第1見込面32よりも大きい見込寸法を備えており、見込部70の先端を第1見付面30の内面に近接ないし当接させ、見込部70の一側の第1面700を第1見込面32の内面に当接させた状態で固定(溶接)されており、見込部70の基端側は第2見込面33に対向しており、見付部71は、第1外側見込辺35と第2外側見込辺36との間の空間を通って戸尻側縦枠3の外部に延出している。なお、図示の支持部材7の見込部70や見付部71の寸法は例示であって、例えば、支持部材7の見込部70の見込寸法は、戸尻側縦枠3の第1見込面32よりも小さくてもよく、あるいは、支持部材7の見付部71は戸先側縦枠3内に収まるような寸法でもよい。また、図示の支持部材7の形状は例示であって、支持部材7の形状は断面視L形状に限定されない。
【0022】
戸尻側縦枠3には、戸尻側縦枠3の見込部(第1見込面32、第2見込面33)に対向するように、水平状に延びる複数の第1帯状連結板37、第2帯状連結板38が設けてある。図3では、一本の第1帯状連結板37、第2帯状連結板38が示してあるが、第1帯状連結板37、第2帯状連結板38は、戸尻側縦枠3の高さ方向に亘って複数本設けてある。
【0023】
本実施形態に係る第1帯状連結板37は、丁番6が設けられた位置においては、異なる方向に延びる折り曲げ片370、371を備えており、基端側の折り曲げ片371は、先端が支持部材7の見込部70の第2面701に当接すると共に、カバー8の底面82(後述する)に当接するように納まっており、先端側の折り曲げ片370が支持部材7の見付部71の一側の面に当接している。丁番6が設けられていない位置においては、カバー8が設けられておらず、第1帯状連結板37の一端には折り曲げ片371を備えておらず、第1帯状連結板37は一端は第1外側見込辺35に重なるまで延びており、第1外側見込辺35に連結されている。
【0024】
第2帯状連結板38は、基端側が第2外側見込辺36に連結されており、先端に一体形成された折り曲げ片380が支持部材7の見付部71の他側の面に当接している。支持部材7の見付部71が小さい場合には、1本の帯状連結板を用いてもよい。1つの態様では、戸尻側縦枠3は、支持部材7を介して躯体に固定(溶接)されている。また、戸尻側縦枠3の躯体への固定において、第1帯状連結板37、第2帯状連結板38を補助的に用いてもよい。
【0025】
支持部材7の見込部70及び見付部71の厚さは、戸尻側縦枠3を形成する板材に比べて肉厚であり、大型の扉体1の重量を支持する強度を備えている。見込部70の一側の第1面700が第1見込面32の内面に当接した状態で、見込部70の他側の第2面701は、戸尻側縦枠3の挿入孔300から挿入された丁番6の第2羽板61の面部(左側面部610)が摺接するような位置にあり、戸尻側縦枠3の内部に挿入された丁番6の第2羽板61と支持部材7の見込部70とを当接させて螺子10(8本)で固定するようになっている。
【0026】
挿入孔300の面積(高さ寸法、幅寸法)は、第2羽板61の断面積(長手寸法、短手寸法)よりも僅かに大きく、挿入孔300に第2羽板61が差し込まれた状態で、第2羽板61の面部(左側面部610と、右側面部611と、上端面612、下端面613とからなる四周面である)と挿入孔300の縁部との間には僅かな隙間C(図7参照)が存在するが、本実施形態では、丁番6の取付構造において、戸尻側縦枠3の内部に挿入された丁番6の第2羽板61の挿入部位の周囲の囲繞空間Sを充填材9で閉塞することで、隙間Cを戸尻側縦枠3の内部から塞ぐようになっている。充填材9は、好ましくは発泡性のある充填材であり、本実施形態では、充填材9として発泡ウレタンが用いられる。
【0027】
本実施形態では、戸尻側縦枠3の丁番6の第2羽板61が挿入される挿入孔300の内部に位置して、カバー8が設けてあり、カバー8が戸尻側縦枠3の部分(第1見付面30、第1外側見込辺35)と支持部材7の部分(見込部70)と協働して、戸尻側縦枠3内に挿入された丁番6の第2羽板61の挿入部位を取り囲むような囲繞空間Sを形成しており、この囲繞空間Sに発泡ウレタンを充填するようになっている。
【0028】
図8に示すように、本実施形態に係るカバー8は、平面視長方形状の上面80及び下面81と、上面80と下面81の長手方向の一方の端部(すなわち、一方の短辺)間を接続するように高さ方向に延びる底面82と、上面80と下面81の一方の長辺の底側部位を接続するように高さ方向に延びる側面83と、からなり、底面82の端部と側面83の端部は当接しており角部を形成している。側面83の先端側には、上下に位置して2つの切り欠き84が形成されている。後述するように、切り欠き84は、充填材の注入部84´を形成するものであり、切り欠き84が形成される部位や個数は限定されず、カバー8のいずれかの面に1つ以上形成されていればよい。
【0029】
カバー8は、上面80及び下面81を水平とし、底面82及び側面83を垂直とし、底面82が見付面、側面83が見込面となる姿勢で、戸尻側縦枠3の内部に取り付けられている。カバー8は、例えば、戸尻側縦枠3の部分や支持部材7との接触部位を溶接することで、戸尻側縦枠3に固定される。カバー8において、底面82から遠い側を前方とする。
【0030】
より具体的には、図2図4図6に示すように、カバー8の高さ寸法は、挿入孔300の高さ寸法よりも大きく、上面80は挿入孔300の上端縁よりも上方に位置しており、下面81は挿入孔300の下端縁よりも下方に位置している。上面80の前方の端部(他方の短辺)は、第1見付面30の内面に近接ないし当接しており、下面81の前方の端部(他方の短辺)は、第1見付面30の内面に近接ないし当接している。
【0031】
カバー8の幅寸法(上面80、下面81、底面82の幅寸法)は、支持部材7の見込部70の第2面701と戸尻側縦枠3の第1外側見込辺35の内面との間の寸法と略同じであり、カバー8は、戸尻側縦枠3の内部空間において、挿入孔300に対応し、支持部材70の見込部70の第2面701と第1外側見込辺35の内面との間の空間を含む部位に配置されている。
【0032】
カバー8の見込寸法は、第1外側見込辺35の見込寸法よりも大きく、カバー8の上面80の一方の短辺、下面81の一方の短辺、カバー8の底面82は、第1外側見込辺35の先端よりも第2見付面31側に位置しており、カバー8の側面83の先端が第1外側見込辺35の先端に当接しており、第1外側見込辺35とカバー8の側面83が一体で、支持部材7の見込部70に対向する側面部を形成している。
【0033】
このようにして、戸尻側縦枠3の第1見付面30の内面、第1外側見込辺35の内面、支持部材7の見込部70の第2面701、カバー8の上面80、下面81、底面82、側面83から、丁番6の第2羽板61の挿入部位を取り囲む囲繞空間Sが形成されている。言い換えると、囲繞空間Sの前面部は第1見付面30から形成され、上面部はカバー8の上面80から形成され、下面部はカバー8の下面81から形成され、一方の側面部は支持部材7の見込部70から形成され、他方の側面部は第1外側見込辺35及びカバー8の側面83から形成され、後面部はカバー8の底面82から形成されている。囲繞空間Sは、第2羽板61の面部(左側面部610、右側面部611、上端面612、下端面613)と挿入孔300の縁部との隙間Cと連通している。
【0034】
丁番6の第2羽板61を、戸尻側縦枠3の第1見付面30に形成した挿入孔300から挿入した状態において、挿入部位の一方の側面部(左側面部610の部分610´)は支持部材7の見込部70の第2面701に当接して螺子10で固定され、挿入部位の他方の側面部(右側面部611の部分611´)は、第1外側見込辺35の内面及びカバー8の側面83からなる側面部に離間対向しており、挿入部位の上端面(上端面612の部分612´)は、カバー8の上面80に離間対向しており、挿入部位の下端面(下端面613の部分613´)は、カバー8の下面81に離間対向しており、挿入部位の先端面614は、カバー8の底面82に離間対向している。
【0035】
カバー8の側面83の先端と第1外側見込辺35の先端が当接することで形成された側面部には、側面83に形成された切り欠き84によって、充填材の注入部84´が形成されている(図3図6参照)。注入部84´から発泡ウレタンスプレー9´を用いて発泡ウレタンを空間に注入することで、空間内で発泡したウレタンからなる充填材9によって、丁番6の第2羽板61の挿入部位の周囲の空間が充填材によって充填されて閉塞され、隙間Cを戸尻側縦枠3の内部から塞ぐようになっている(図7参照)。なお、発泡したウレタンは、隙間Cに入り込んでもよい。充填材の注入部84´が形成される部位は限定されない。例えば、カバー8の上面80や下面81に形成した孔を注入部としてもよい。あるいは、戸尻側縦枠3の部分(例えば、第1外側見込辺35)に形成した切り欠きを用いて注入部としてもよい。
【0036】
本実施形態に係る丁番6の取付工程は、以下の通りである。
(ア)戸尻側縦枠3の内部に、戸尻側縦枠3の第1見付面30の挿入孔300から挿入される丁番6の第2羽板61の挿入部位を囲む囲繞空間Sを形成するようにカバー8を設ける。本実施形態に係る囲繞空間Sは、第1見付面30(前面部)、カバー8の上面80(上面部)、カバー8の下面81(下面部)、支持部材7の見込部70(側面部)、第1外側見込辺35及びカバー8の側面83(側面部)、カバー8の底面82(後面部)から形成されている。
【0037】
(イ)丁番6の第2羽板61を戸尻側縦枠3の第1見付面30の挿入孔300に差し込み、戸尻側縦枠3の内部に挿入する。
(ウ)戸尻側縦枠3の内部に挿入された丁番6の第2羽板61の挿入部位の一方の側面部610´と支持部材7の見込部70とを当接させて螺子10で固定する。丁番6の第2羽板61の挿入部位の周囲は囲繞空間Sによって囲まれている。より具体的には、丁番6の第2羽板61の挿入部位の他方の側面部(右側面部611の部分611´)は、第1外側見込辺35の内面及びカバー8の側面83からなる側面部に離間対向しており、挿入部位の上端面(上端面612の部分612´)は、カバー8の上面80に離間対向しており、挿入部位の下端面(下端面613の部分613´)は、カバー8の下面81に離間対向しており、挿入部位の先端面614は、カバー8の底面82に離間対向している。
【0038】
(エ)第1外側見込辺35の内面及びカバー8の側面83からなる側面部に形成された注入部84´から発泡ウレタンを注入する。この時、第2羽板61の面部と挿入孔300の縁部との間の隙間Cから第1見付面30の外部に発泡ウレタンがはみ出すことを防止するために、隙間Cをマスキングテープで塞いでもよい。
(オ)囲繞空間Sに注入された発泡ウレタンが発泡することで、第2羽板61の挿入部位を取り囲む囲繞空間Sが発泡ウレタンによって充填される。囲繞空間Sは、比較的狭い空間であるが、注入した発泡ウレタンが囲繞空間S内で発泡することで、発泡ウレタンで良好に当該空間を充填することができる。囲繞空間Sを充填する発泡ウレタンによって、第2羽板61の面部と挿入孔300の縁部との間の隙間Cを戸尻側縦枠3の内部から塞ぐ。
【0039】
本実施形態において、工場において、カバー8を、戸尻側縦枠3の所定部位に取り付け、丁番6の第2羽板61を、戸尻側縦枠3の第1見付面30の挿入孔300から挿入させて、支持部材7の見込部70に螺子10で固定し、注入部84´から発泡ウレタンを注入することで止水構造を得ることができる。本実施形態に係る丁番6の取付方法では、丁番6の取付工程の流れの中で発泡ウレタンを注入するだけで止水構造を形成することができ、作業性が良好である。また、丁番6の第2羽板61の挿入部位を取り囲むように充填された発泡ウレタンは軟質なので、丁番6の交換の妨げになることがない。
【符号の説明】
【0040】
3 戸尻側縦枠(枠体)
30 第1見付面(枠体の外面)
300 挿入孔
32 第1見込面(見込部)
35 第1外側見込辺
6 丁番
61 第2羽板(羽板)
610 左側面部(面部)
610´ 左側面部の部分(挿入部位)
611 右側面部(面部)
611´ 右側面部の部分(挿入部位)
612 上端面(面部)
612´ 上端面の部分(挿入部位)
613 下端面(面部)
613´ 下端面の部分(挿入部位)
614 先端面(挿入部位)
7 支持部材
70 見込部(被固定部材)
700 第1面
701 第2面
8 カバー
80 上面
81 下面
82 底面
83 側面
84 切り欠き
84´ 注入部
9 充填材
10 螺子
C 隙間
S 囲繞空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8