(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146788
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】評価装置
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20220928BHJP
A61B 3/113 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A61B10/00 W
A61B3/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047946
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉井 良明
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】小村田 美玖
(72)【発明者】
【氏名】新井 雄太
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA21
4C316AB16
4C316FA04
4C316FC01
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】被験者の酔いに対する特性を高精度に評価する。
【解決手段】評価装置は、表示部と、表示部における被験者の視点の位置を検出する視点検出部と、被験者の頭部と表示部との位置関係が保持された状態を維持しつつ被験者を振動させる振動発生部と、表示部に指標を表示させる表示制御部と、被験者を振動させた状態において指標を基準とする被験者の視点の動きに基づいて被験者の酔いに対する特性を評価する評価部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
被験者の頭部と前記表示部との位置関係が保持された状態を維持しつつ前記被験者を振動させる振動発生部と、
前記表示部における前記被験者の視点の位置を検出する視点検出部と、
前記表示部に指標を表示させる表示制御部と、
前記被験者を振動させた状態において前記指標を基準とする前記被験者の視点の動きに基づいて前記被験者の酔いに対する特性を評価する評価部と
を備える評価装置。
【請求項2】
前記振動発生部は、前記被験者を第1時間振動させた後、第2時間振動を停止した状態とし、
前記評価部は、前記第1時間の前記被験者の前記視点の動きと前記第2時間の前記被験者の前記視点の動きとに基づいて前記被験者の酔いに対する特性を評価する
請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記表示部に表示される前記指標を移動させ、
前記評価部は、前記指標の移動に対する前記被験者の前記視点の追従性に基づいて前記被験者の酔いに対する特性を評価する
請求項1又は請求項2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記振動発生部は、
前記表示部が固定され、前記被験者を乗せる筐体と、
前記被験者の頭部を前記筐体に保持する保持部と
前記筐体を振動させる駆動部と
を有する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の評価装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記被験者の頭部に保持されるヘッドマウントディスプレイを有する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の視線の振動と視線の先にある物体の振動とを検出し、両者の振動差から被験者が乗り物酔いの状態にあるかを判定する技術が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、被験者の視線の振動と視線の先にある物体の振動との差分を検出する必要があり、高精度に差分を検出することが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、被験者の酔いに対する特性を高精度に評価することが可能な評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る評価装置は、表示部と、前記表示部における被験者の視点の位置を検出する視点検出部と、前記被験者の頭部と前記表示部との位置関係が保持された状態を維持しつつ前記被験者を振動させる振動発生部と、前記表示部に指標を表示させる表示制御部と、前記被験者を振動させた状態において前記指標を基準とする前記被験者の視点の動きに基づいて前記被験者の酔いに対する特性を評価する評価部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被験者の酔いに対する特性を高精度に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る評価装置の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、評価装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る評価方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、変形例に係る評価装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る評価装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る評価装置100の一例を模式的に示す図である。
図1に示す評価装置100は、被験者の視線を検出し、検出結果を用いることで、被験者の酔いに対する特性を評価する。評価装置100は、例えば被験者の瞳孔の位置と角膜反射像の位置とに基づいて視線を検出する方法、又は被験者の目頭の位置と虹彩の位置とに基づいて視線を検出する方法等、各種の方法により被験者の視線を検出することができる。
【0011】
図1に示すように、評価装置100は、表示装置10と、眼球撮影装置20と、制御装置30と、振動発生装置40とを備える。評価装置100は、例えば水平な床部Fに設置される。
【0012】
表示装置10は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)又は有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display:OLED)のようなフラットパネルディスプレイを含む。本実施形態において、表示装置10は、表示部11を有する。表示部11は、画像等の情報を表示する。表示装置10は、ヘッドマウント型ディスプレイ装置であってもよい。表示部11は、振動発生装置40の筐体41に固定される。
【0013】
眼球撮影装置20は、被験者の左右の眼球EBを撮影して眼球画像を取得し、取得した眼球画像を制御装置30に送信する。眼球撮影装置20は、被験者の左右の眼球EBを撮影することで画像データを取得する。眼球撮影装置20は、被験者の視線を検出する方法に応じた各種カメラを有する。例えば被験者の瞳孔の位置と角膜反射像の位置とに基づいて視線を検出する方式の場合、眼球撮影装置20は、赤外線カメラを有し、例えば波長850[nm]の近赤外光を透過可能な光学系と、その近赤外光を受光可能な撮像素子とを有する。なお、この構成では、被験者の眼球EBに赤外線を照射する照射装置が設けられた構成であってもよい。また、例えば被験者の目頭の位置と虹彩の位置とに基づいて視線を検出する方式の場合、眼球撮影装置20は、可視光カメラを有する。眼球撮影装置20は、フレーム同期信号を出力する。フレーム同期信号の周期は、例えば20[msec]とすることができるが、これに限定されない。眼球撮影装置20は、例えば2つのカメラを有するステレオカメラの構成とすることができるが、これに限定されない。
【0014】
制御装置30は、評価装置100の動作を統括的に制御する。制御装置30は、CPU(central processing unit)等の演算処理装置と、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)のようなメモリ又はストレージ等の記憶装置とを含む。制御装置30は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理装置が演算処理を実施する。
【0015】
本実施形態に係る評価装置100は、表示装置10と制御装置30とが別々の装置である。なお、表示装置10と制御装置30とが一体でもよい。例えば評価装置100がタブレット型パーソナルコンピュータを含んでもよい。この場合、当該タブレット型パーソナルコンピュータに、表示装置、眼球撮影装置、コンピュータシステム、入力装置、出力装置等が搭載されてもよい。
【0016】
振動発生装置40は、筐体41と、保持部42と、駆動部43とを有する。筐体41は、表示部11が固定される。筐体41は、被験者を乗せることが可能な形状及び寸法に形成される。筐体41には、例えば被験者が座る着座部41aが設けられる。着座部41aは、被験者が座った状態で表示部11に対向するように配置される。保持部42は、被験者の頭部を筐体41に保持する。保持部42は、着座部41aのうち被験者の頭部に対応する位置に設けられる。保持部42は、例えば被験者の頭部を着座部41aに固定するように保持する。駆動部43は、筐体41を振動させる。駆動部43は、不図示の駆動源と、当該駆動源の駆動力を伝達する不図示の振動伝達機構を有する。
【0017】
図2は、評価装置100の一例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、制御装置30は、表示制御部31と、視点検出部32と、振動制御部33と、判定部34と、演算部35と、評価部36と、入出力制御部37と、記憶部38とを有する。
【0018】
表示制御部31は、被験者に注視させるための指標を表示部11に表示させる。表示制御部31は、例えば表示部11の中央部等に指標を表示させることができる。表示制御部31は、表示部11において所定時間指標を表示させることができる。また、表示制御部31は、表示部11に表示される指標を移動させてもよい。例えば、表示制御部31は、表示部11の上下方向、左右方向、斜め方向に指標を移動させてもよい。表示制御部31は、評価用コンテンツを再生することで指標を表示部11に表示してもよい。
【0019】
視点検出部32は、被験者の視点の位置を検出する。本実施形態において、視点検出部32は、眼球撮影装置20によって取得される被験者の左右の眼球EBの画像に基づいて、三次元グローバル座標系で規定される被験者の視線ベクトルを検出する。視点検出部32は、検出した被験者の視線ベクトルと表示装置10の表示部11との交点の位置を、被験者の視点の位置として検出する。つまり、本実施形態において、視点の位置は、三次元グローバル座標系で規定される被験者の視線ベクトルと、表示装置10の表示部11との交点の位置である。視点検出部32は、規定のサンプリング周期毎に被験者の視点の位置を検出する。このサンプリング周期は、例えば眼球撮影装置20から出力されるフレーム同期信号の周期(例えば20[msec]毎)とすることができる。
【0020】
振動制御部33は、振動発生装置40の駆動部43の動作を制御する。振動制御部33は、駆動部43に対して所定の駆動信号を供給することにより、駆動部43による筐体41の振動を制御する。振動制御部33は、例えば筐体41の振動発生時間、振幅、周波数、振動の方向等を制御することができる。振動制御部33は、例えば筐体41を第1時間振動させた後、第2時間振動を停止させた状態とする、というように振動発生時間と振動停止時間とを設けるように筐体41の振動を制御可能である。振動制御部33は、筐体41が上下方向、左右方向、前後方向の各方向に振動するように制御することができる。
【0021】
判定部34は、表示制御部31によって指標が表示される時間に、視点の位置に基づいて、視点が指標に対応する判定領域に存在するか否かをそれぞれ判定し、判定結果を出力する。判定領域は、例えば指標を含む領域であり、指標の輪郭線に沿って設定することができる。判定部34は、規定の判定周期毎に視点が判定領域に存在するか否かを判定する。判定周期としては、例えば眼球撮影装置20から出力されるフレーム同期信号の周期(例えば20[msec]毎)とすることができる。つまり、判定部34の判定周期は、視点検出部32のサンプリング周期と同一である。判定部34は、視点検出部32で視点の位置がサンプリングされる毎に当該視点について判定を行い、判定結果を出力する。
【0022】
演算部35は、表示部11に指標が表示されてからの経過時間を検出するタイマと、判定部34により判定領域に注視点が存在すると判定された判定回数をカウントするカウンタとを有する。演算部35は、例えばカウンタの値が所定の閾値を超える場合、被験者の視点が指標に移動したことを検出することができる。また、演算部35は、タイマに基づいて、指標が表示されてから被験者の視点が指標に移動するまでの到達時間を算出することができる。
【0023】
評価部36は、被験者の視点の位置に基づいて被験者の酔いに対する特性を評価する。評価部36は、例えば振動発生装置40による振動が発生している時間において、被験者の視点が指標の表示位置に存在する場合には、被験者が振動に対して酔っていない状態であると評価する。また、評価部36は、例えば振動発生装置40による振動が発生している時間において、被験者の視点が指標の表示位置に対して所定の距離を超えて移動する場合には、被験者が振動に対して酔った状態であると判定する。評価部36は、被験者に対する振動の発生時間、振動の強さ、振動の周波数、被験者の視点の移動距離等に鑑みて、被験者が振動に対する酔いに強いか弱いかを評価することができる。
【0024】
入出力制御部37は、眼球撮影装置20又は不図示の入力装置からのデータ(眼球EBの画像データ)を取得する。また、入出力制御部37は、表示装置10及び不図示の出力装置の少なくとも一方にデータを出力する。また、入出力制御部37は、評価部36により被験者の酔いに対する特性が評価された場合、評価結果を紙に印刷したり、表示装置10に表示させたりすることで評価結果を出力することができる。
【0025】
記憶部38は、上記の判定結果及び評価結果を記憶する。また、記憶部38は、被験者の頭部と表示部11との位置関係が保持された状態を維持しつつ被験者を振動させる処理と、表示部11における被験者の視点の位置を検出する処理と、表示部11に指標を表示させる処理と、被験者を振動させた状態において指標を基準とする被験者の視点の動きに基づいて被験者の酔いに対する特性を評価する処理とをコンピュータに実行させる視野評価プログラムを記憶する。
【0026】
次に、本実施形態に係る評価方法について説明する。本実施形態に係る評価方法では、上記の評価装置100を用いることにより、被験者の酔いに対する特性を評価する。
図3から
図5は、表示部11における表示内容の一例を示す図である。
図3に示すように、表示制御部31は、被験者が注視するように例えば表示部11の中央部に指標Pを表示させる。振動制御部33は、所定の振幅及び周波数で筐体41に振動を発生させる。演算部35は、振動開始からの時間を測定するためのタイマを起動させる。視点検出部32は、被験者の視点Qの位置を検出する。
【0027】
判定部34は、振動が発生した場合、検出された被験者の視点Qが指標Pに対応する判定領域Rに存在するか否かを判定する。判定部34は、例えば指標Pを含む領域に判定領域Rを設定することができる。判定部34は、判定領域Rの形状を、例えば円形、矩形、三角形等の各種の形状に設定することができる。判定部34は、判定領域Rの形状を、例えば指標Pの輪郭線に沿った形状としてもよい。判定部34は、判定領域Rの寸法については、被験者が視点を移動させても振動に対して酔っていない状態と認定可能な寸法とすることができる。例えば、
図4に示すように、判定部34は、指標Pの中心に対して所定の径dとなる円形状の判定領域Rを設定することができる。この設定においては、被験者の視点Qが所定の径dを超えて移動する場合、被験者の視点Qが判定領域Rから外れた位置に存在することになる。
【0028】
演算部35は、判定結果に基づいて、被験者の視点が判定領域Rに存在しない時間を算出する。評価部36は、算出された時間が所定時間未満である場合、被験者の視点が指標Pに存在している判断する。この場合、評価部36は、被験者が振動に対して酔っていない状態であると評価する。一方、算出された時間が所定時間以上である場合、被験者の視点が指標Pの表示位置から外れて移動したと判断する。この場合、評価部36は、被験者が振動に対して酔っている状態であると評価する。
【0029】
振動制御部33は、所定時間振動を発生させた時点で、演算部35により算出された時間が所定時間未満である場合、筐体41の振動の強度を大きくして、さらに所定時間振動を発生させてもよい。判定部34は、上記同様、振動が発生している時間において、検出された被験者の視点Qが指標Pに対応する判定領域Rに存在するか否かを判定する。演算部35は、判定結果に基づいて、被験者の視点が判定領域Rに存在しない時間を算出する。評価部36は、算出された時間が所定時間未満である場合、被験者が振動に対して酔っていない状態であると評価する。一方、算出された時間が所定時間以上である場合、評価部36は、被験者が振動に対して酔っている状態であると評価する。
【0030】
振動制御部33は、所定時間(第1時間)振動を発生させた後、筐体41の振動を所定時間(第2時間)停止した状態としてもよい。判定部34は、振動が停止している時間(第2時間)において、検出された被験者の視点Qが指標Pに対応する判定領域Rに存在するか否かを判定する。第1時間及び第2時間は、同一時間であっても異なる時間であってもよい。演算部35は、判定結果に基づいて、被験者の視点が判定領域Rに存在しない時間を算出する。評価部36は、算出された時間が所定時間未満である場合、被験者が振動に対して酔っていない状態であると評価する。一方、算出された時間が所定時間以上である場合、評価部36は、被験者が振動に対して酔っている状態であると評価する。
【0031】
また、表示制御部31は、
図5に示すように、振動が発生している時間、指標Pを移動させるようにしてもよい。この場合、判定部34は、指標Pと判定領域Rとの間の相対位置が変化しないように指標Pの移動に追従させて判定領域Rを移動させる。判定部34は、振動が発生している時間において、検出された被験者の視点Qが指標Pに対応する判定領域Rに存在するか否かを判定する。演算部35は、判定結果に基づいて、被験者の視点が判定領域Rに存在しない時間を算出する。評価部36は、算出された時間が所定時間未満である場合、被験者の視点が指標Pの移動に追従していると判断する。この場合、評価部36は、被験者が振動に対して酔っていない状態であると評価する。一方、算出された時間が所定時間以上である場合、被験者の視点が指標Pの移動に追従していないと判断する。この場合、評価部36は、評価部36は、被験者が振動に対して酔っている状態であると評価する。
【0032】
入出力制御部37は、評価部36により被験者の酔いに対する特性が評価された場合、評価結果を出力することができる。評価結果を紙に印刷したり表示装置10に表示したりすることで、評価者が被験者に評価結果を説明することが容易になる。
【0033】
次に、本実施形態に係る評価方法の一例について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、本実施形態に係る評価方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態において、表示制御部31は、表示部11に指標Pを表示させる(ステップS10)。振動制御部33は、所定の振幅及び周波数で筐体41に振動を発生させる(ステップS20)。演算部35は、振動開始からの時間を測定するためのタイマを起動させる(ステップS30)。視点検出部32は、被験者の視点Qの位置を検出する(ステップS40)。
【0034】
評価部36は、判定部34による判定結果及び演算部35による演算結果に基づいて、被験者が指標Pを注視しているか否かを判定する(ステップS50)。ステップS50において、被験者が指標Pを注視していると判定された場合(ステップS50のYes)、演算部35は、タイマの検出結果に基づいて全測定時間が経過したか否かを判定する(ステップS60)。ステップS50において、被験者が指標Pを注視していないと判定された場合(ステップS50のNo)、ステップS60をスキップして、後述するステップS70に進む。また、ステップS60において、全測定時間が経過したと判定された場合(ステップS60のYes)、後述するステップS70に進む。一方、ステップS60において、全測定時間が経過していないと判定された場合(ステップS60のNo)、ステップS40以降の処理を繰り返し行うようにする。なお、ステップS40以降の処理を繰り返す過程で、例えば所定時間が経過するごとに振動の強度を高めるようにしてもよいし、所定時間(第1時間)が経過した場合に振動を停止させた状態とし、振動停止の状態で所定時間(第2時間)ステップS40以降の処理を行ってもよい。
【0035】
ステップS70において、評価部36は、被験者が指標Pを注視しているか否かに基づいて、被験者の酔いに対する特性を評価する(ステップS70)。入出力制御部37は、上記の評価結果を出力する(ステップS80)。以上で処理が終了する。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る評価装置100は、表示部11と、被験者の頭部と表示部11との位置関係が保持された状態を維持しつつ被験者を振動させる振動発生装置40と、表示部11における被験者の視点の位置を検出する視点検出部32と、表示部11に指標を表示させる表示制御部31と、被験者を振動させた状態において指標を基準とする被験者の視点の動きに基づいて被験者の酔いに対する特性を評価する評価部36とを備える。
【0037】
この構成によれば、被験者を振動させた状態において指標を基準とする被験者の視点の動きに基づいて被験者の酔いに対する特性を評価するため、例えば被験者の視線の振動と視線の先にある物体の振動との差分を高精度に検出する必要がなく、被験者の酔いに対する特性を高精度に評価することができる。
【0038】
本実施形態に係る評価装置100において、振動発生装置40は、被験者を第1時間振動させた後、第2時間振動を停止した状態とし、評価部36は、第1時間の被験者の視点の動きと第2時間の被験者の視点の動きとに基づいて被験者の酔いに対する特性を評価する。この構成によれば、振動状態から振動が停止した状態に移行した場合の被験者の酔いに対する特性を高精度に評価することができる。
【0039】
本実施形態に係る評価装置100において、表示制御部31は、表示部11に表示される指標を移動させ、評価部36は、指標の移動に対する被験者の視点の追従性に基づいて被験者の酔いに対する特性を評価する。この構成によれば、被験者の酔いに対する特性をより高精度に評価することができる。
【0040】
本実施形態に係る評価装置100において、振動発生装置40は、表示部11が固定され、被験者を乗せる筐体41と、被験者の頭部を筐体41に保持する保持部42と、筐体41を振動させる駆動部43とを有する。この構成によれば、表示部11と被験者の頭部との間の位置関係を確実に保つことができる。
【0041】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、表示部11が筐体41に保持され、被験者の頭部が筐体に保持された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0042】
図7は、変形例に係る評価装置100Aを模式的に示す図である。
図7に示す評価装置100Aは、表示装置10Aと、眼球撮影装置20Aと、制御装置30と、振動発生装置40Aとを備える。表示装置10Aは、ヘッドマウント型ディスプレイ装置であり、被験者の頭部に直接保持される構成である。この場合、眼球撮影装置20Aは、表示装置10Aのヘッドマウントモジュール内に配置される。振動発生装置40Aは、筐体41と、駆動部43とを有する。変形例に係る評価装置100Aの構成によれば、筐体41に表示装置10Aを固定するような大掛かりな装置構成が不要となる。
【符号の説明】
【0043】
EB…眼球、P…指標、Q…視点、R…判定領域、10,10A…表示装置、11…表示部、20、20A…眼球撮影装置、30…制御装置、31…表示制御部、32…視点検出部、33…振動制御部、34…判定部、35…演算部、36…評価部、37…入出力制御部、38…記憶部、40、40A…振動発生装置、41…筐体、41a…着座部、42…保持部、43…駆動部、100,100A…評価装置