(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014681
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】感染防止機能付き生体認証装置
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20220113BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220113BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20220113BHJP
A61B 5/1172 20160101ALI20220113BHJP
【FI】
G06T1/00 400H
G06T7/00 510E
A61B5/1171 100
A61B5/1172
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117165
(22)【出願日】2020-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】596177559
【氏名又は名称】インターマン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田平 重樹
【テーマコード(参考)】
4C038
5B043
5B047
【Fターム(参考)】
4C038FF01
4C038FG01
4C038VA07
4C038VB13
4C038VC01
4C038VC05
4C038VC14
5B043AA04
5B043BA02
5B043BA03
5B043DA05
5B047AA23
5B047AA25
5B047AB04
5B047BA02
5B047BB04
5B047BC11
5B047BC16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウイルス、細菌といった病原体の感染を防止する機能を有する生体認証装置を提供する。
【解決手段】病原体の感染を防止する機能を有する指紋認証装置10vは、被認証者の指先Yを撮影して画像を取得する画像取得手段(カメラ)と、取得した画像に含まれる生体情報を用いて被認証者の認証処理を行う認証処理手段(信号制御部)と、被認証者の指先を、指紋認証装置に対して予め決められた位置に誘導することにより、被認証者の指先と指紋認証装置との接触を防止する接触防止手段と、を備えている。接触防止手段としては、超音波振動子アレイ12の音響放射圧によって空間に触覚を仮想的に提示する超音波触覚提示装置が含まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者の指を撮影して画像を取得する画像取得手段と、
取得された画像に含まれる生体情報を用いて前記被認証者の認証処理を行う認証処理手段と、
からなる生体認証装置であって、
更に、前記被認証者の指を、前記生体認証装置に対して予め決められた位置に誘導することにより、前記被認証者の指と前記生体認証装置との接触を防止する接触防止手段を備えたことを特徴とする感染防止機能付き生体認証装置。
【請求項2】
前記接触防止手段は、超音波振動子アレイの音響放射圧によって空間に触覚を仮想的に提示する超音波触覚提示装置であり、この仮想的な触覚により前記被認証者の指を、前記生体認証装置に対して予め決められた位置に誘導することを特徴とする請求項1に記載の感染防止機能付き生体認証装置。
【請求項3】
前記認証処理で用いる生体情報は指静脈のパターンであることを特徴とする請求項2に記載の感染防止機能付き生体認証装置。
【請求項4】
被認証者の指を撮影して画像を取得する画像取得手段と、
取得された画像に含まれる生体情報を用いて前記被認証者の認証処理を行う認証処理手段と、
からなる生体認証装置であって、
更に、前記画像を取得する際に前記被認証者の指が接触する可能性のある表面を含む面に、紫外線を照射して、その面に付着しているウイルスや細菌といった病原体を不活性化または殺菌する紫外線照射手段を備えたことを特徴とする感染防止機能付き生体認証装置。
【請求項5】
前記認証処理で用いる生体情報は指静脈のパターンであることを特徴とする請求項4に記載の感染防止機能付き生体認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス、細菌といった病原体の感染を防止する機能を有する生体認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今般の新型コロナウイルスによって引き起こされたパンデミックは、人口密度があがり、高速大量輸送時代となった21世紀が、いかに感染症に弱い社会であるかを人々に思い知らせることとなった。
【0003】
このような状況においては、身の回りのあらゆる物が感染源に思え、生活状況が非常に窮屈なものとなる。事実、感染拡大の中では、全てを疑ってかかる必要がある。
【0004】
マスクを着用し、他人との距離を十分に取り、密集を避ける、といった対策を講じることが重要であるが、必要な社会生活を送る上で、どうしても最小限度の感染経路への接触は避けられない。このリスクをできるだけ小さくすることが感染を予防する上で肝要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-60291号公報
【特許文献2】特開2016-224692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最も注意すべき感染経路の一つは手指を介したものであり、特に不特定多数が触るものは要注意である。なるべく触れないで済ませるのが無難であるが、そうもいかない場合もある。指紋認証や静脈認証といった認証を求められた場合には、装置への直接の接触が必要となる。従って、その面を介しての他人との間接的な接触は避けられず、感染の危惧が付きまとう。
【0007】
例えば、従来の指紋認証装置や静脈認証装置では、指先を直接装置の所定の面へ押し付けて固定し、その状態で撮影を行うことで指紋や静脈の情報を得るようにしている(特許文献1、2)。このような装置では、装置を介した感染を予防する場合には、認証を行った後に毎回消毒処理を行わなければならず、面倒であり、そのための人手も必要となる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、感染を防止する機能を備えた生体認証装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の1つの様相による感染防止機能付き生体認証装置は、被認証者の指を撮影して画像を取得する画像取得手段と、取得された画像に含まれる生体情報を用いて前記被認証者の認証処理を行う認証処理手段と、からなる生体認証装置であって、更に、前記被認証者の指を、前記生体認証装置に対して予め決められた位置に誘導することにより、前記被認証者の指と前記生体認証装置との接触を防止する接触防止手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、一つの実施例では、前記接触防止手段は、超音波振動子アレイの音響放射圧によって空間に触覚を仮想的に提示する超音波触覚提示装置であり、この仮想的な触覚により前記被認証者の指を、前記生体認証装置に対して予め決められた位置に誘導することを特徴とする。
【0011】
ここで、前記生体認証装置の認証処理で用いる生体情報は、例えば、指静脈のパターンである。
【0012】
更に、本発明の別の様相による感染防止機能付き生体認証装置は、被認証者の指を撮影して画像を取得する画像取得手段と、取得された画像に含まれる生体情報を用いて前記被認証者の認証処理を行う認証処理手段と、からなる生体認証装置であって、更に、前記画像を取得する際に前記被認証者の指が接触する可能性のある表面を含む面に、紫外線を照射して、その面に付着しているウイルスや細菌といった病原体を不活性化または殺菌する紫外線照射手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係わる感染防止機能付き生体認証装置によれば、多数のユーザーが入れ替わり使用するような状況においても、病原体が人から人へ伝染することが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1の感染防止機能付き生体認証装置である指静脈認証装置10を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1による指静脈認証装置10を示す
図1のA-A線に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例2の感染防止機能付き生体認証装置である指紋認証装置10vを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例2による指紋認証装置10vを示す
図3のA-A線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例3の感染防止機能付き生体認証装置である指静脈認証装置20を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例3による指静脈認証装置20を示す
図5のA-A線に沿った断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例4の感染防止機能付き生体認証装置である指紋認証装置20vを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例4による指紋認証装置20vを示す
図7のA-A線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明による感染防止機能付き生体認証装置の実施例1を説明する。この生体認証装置では、ユーザー(被認証者)は直接装置へ触れること無く認証を行うができるので、接触による感染を防止することができる。
【0016】
図1は、本発明の実施例1の感染防止機能付き生体認証装置である指静脈認証装置10を示す斜視図であり、
図2は、
図1のA-A線に沿った断面図である。すなわち、
図1の矢印に垂直な面で切断した断面図が
図2である。
【0017】
この指静脈認証装置10は、半円筒形状に配置された超音波振動子アレイ12と、この超音波振動子アレイ12からなる半円筒の上端真ん中に配置された一対の赤外線LED14と、この半円筒の底部中央に配置された赤外線カメラ16と、これら超音波振動子アレイ12、赤外線LED14および赤外線カメラ16を制御すると共に、USB端子(図不示)を介して接続されたコンピュータと共に認証に伴う処理を実行する信号制御部18を含んでいる。なお、簡単のため、信号制御部18と各要素を接続する配線や電源などの図示は省略されている。
【0018】
この指静脈認証装置10で認証を行う場合、ユーザーは、超音波振動子アレイ12の配置された半円筒形状の中心軸上に指先を浮かせておく。そして、赤外線LED14から指先に近赤外線が照射される。この近赤外線が指先の内部を透過した際に、血液中の還元ヘモグロビンが近赤外線を吸収するため、指の静脈が影となって赤外線カメラ16で撮影され、指静脈のパターンが画像信号として取得される。取得された画像信号は信号制御部18で処理され、USB端子(図不示)を介して信号制御部18に接続されたコンピュータによって一般的な指静脈認証処理が行われる。
【0019】
この場合、ユーザーは指先を空中に浮かせておく必要があるため、その位置が安定せず、フォーカスが取りにくいという問題がある。また、場合によっては、指静脈認証装置10に接触してしまうという心配もある。そこで、本発明の指静脈認証装置10では、以下に説明するように超音波振動子アレイ12の音響放射圧によって、空中における指先の誘導を行う。
【0020】
超音波振動子アレイ12は、共振周波数40kHzの多数の振動子12sからなり、信号制御部18から個別に制御信号が与えられ、強度・位相の独立制御によって超音波の焦点を任意の位置に形成することができる。すなわち、超音波振動子アレイ12は、この制御信号を生成する信号制御部18と共に、空間に触覚を仮想的に提示する超音波触覚提示装置となっている。
【0021】
ここでは、超音波振動子アレイ12の配置された半円筒形状の中心軸上に、人間の指先Yよりも若干大きい程度の同心円上の半円筒形状をなす複数の焦点Fが形成されるように、振動子12sが制御される。
【0022】
この焦点Fでの音響放射圧により、空中における触覚を提示することができる。すなわち、この焦点Fに指先Yを近づけると、何かに触れた感触が得られる。この感触によって指先Yの位置を所定の位置に誘導することができる。ユーザーは、感触が得られる位置で指先Yを静止させるように求められる。この位置では、赤外線カメラ16の焦点合わせが容易であり、またユーザーの指先Yが指静脈認証装置10に接触してしまうという虞もない。
【0023】
なお、上記例では、指先Yを下から支えるように半円筒形状をなす複数の焦点Fが形成されているが、上からも指先Yの位置を定めるように焦点Fを形成してもよい。すなわち、超音波振動子アレイを筒状にして、円筒形状をなす複数の焦点Fが形成してもよい。
【0024】
また、上記例では、指先Yが指静脈認証装置に接触しないので、接触感染を防止できるが、更に紫外線LEDを赤外線LED14の近傍の位置に組み込んで、適宜この紫外線LEDから紫外線を指静脈認証装置や指先Yへ照射するようにしてもよい。このようにすることで、より感染のリスクを下げることができる。
なお、上記実施例1では、生体認証装置で利用する生体情報として指静脈のパターンを例としているが、本発明はこれに限定されない。例えば、生体情報として指紋を採用しても、本発明は容易に実装できることは明らかである。実施例2では、生体情報として指紋を採用する。
実施例2の指紋認証装置10vの本体は、実施例1の指静脈認証装置10の本体と共通する要素が多い。従って、対応する要素には同一の符号を付して関連する説明を省略する。
この実施例では、生体情報として指紋を利用する。従って、指先Yの表面の凹凸を撮影すれば良いので、撮影に利用する光は可視光となる。そのため、実施例1の赤外線LED14は白色LED14vとなり、赤外線カメラ16は通常の可視光を撮影するカメラ16vとなる。
カメラ16vの画像信号は、信号制御部18vで処理され、USB端子(図不示)を介して信号制御部18vに接続されたコンピュータによって一般的な指紋認証処理が行われる。
上記実施例1と同様に、超音波振動子アレイ12は、指先Yを下から支えるように半円筒形状をなす複数の焦点Fが形成し、この焦点Fでの音響放射圧により、空中における触覚を提示することができる。すなわち、この焦点Fに指先Yを近づけると、何かに触れた感触が得られる。この感触によって指先Yの位置を所定の位置に誘導することができる。ユーザーは、感触が得られる位置で指先Yを静止させるように求められる。この位置では、カメラ16vの焦点合わせが容易であり、またユーザーの指先Yが指紋認証装置10vに接触してしまうという虞もない。