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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146815
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220928BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220928BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20220928BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220928BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20220928BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L29/58 G
H01L29/44 S
H01L21/28 301R
H01L21/285 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047984
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 正浩
(72)【発明者】
【氏名】新宮 昌生
(72)【発明者】
【氏名】市川 真也
【テーマコード(参考)】
4M104
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB16
4M104BB18
4M104CC05
4M104DD08
4M104DD43
4M104DD88
4M104EE06
4M104EE16
4M104GG16
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083GA06
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA02
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083KA01
5F083LA12
5F083LA21
5F101BA45
5F101BB05
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】好適に動作する半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1方向に交互に並ぶ複数の導電層及び複数の層間絶縁層と、第1方向に延伸し複数の導電層に対向する半導体層と、複数の導電層と半導体層との間に設けられたゲート絶縁膜と、を備える。複数の層間絶縁層は、第1方向において隣り合う第1層間絶縁層及び第2層間絶縁層を含む。複数の導電層は、第1層間絶縁層及び第2層間絶縁層の間に設けられた第1導電層を含む。第1導電層は、第1領域と、第1領域とゲート絶縁膜との間に設けられた第2領域と、第1領域と第1層間絶縁層との間に設けられた第3領域と、を備える。第1領域~第3領域は金属を含む。第3領域はシリコン(Si)を含む。第1領域及び第2領域はシリコンを含まず、又は、第1領域及び第2領域におけるシリコンの含有率が第3領域におけるシリコンの含有率よりも低い。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に交互に並ぶ複数の導電層及び複数の層間絶縁層と、
前記第1方向に延伸し、前記複数の導電層に対向する半導体層と、
前記複数の導電層と前記半導体層との間に設けられたゲート絶縁膜と
を備え、
前記複数の層間絶縁層は、前記第1方向において隣り合う第1層間絶縁層及び第2層間絶縁層を含み、
前記複数の導電層は、前記第1層間絶縁層及び前記第2層間絶縁層の間に設けられた第1導電層を含み、
前記第1導電層は、
第1領域と、
前記第1領域と前記ゲート絶縁膜との間に設けられた第2領域と、
前記第1領域と前記第1層間絶縁層との間に設けられた第3領域と
を備え、
前記第1領域~前記第3領域は金属を含み、
前記第3領域はシリコン(Si)を含み、
前記第1領域及び前記第2領域はシリコン(Si)を含まず、又は、前記第1領域及び前記第2領域におけるシリコン(Si)の含有率が前記第3領域におけるシリコン(Si)の含有率よりも低い
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1導電層は、前記第1領域と前記第2層間絶縁層との間に設けられた第4領域を備え、
前記第4領域は金属及びシリコン(Si)を含み、
前記第1領域及び前記第2領域はシリコン(Si)を含まず、又は、前記第1領域及び前記第2領域におけるシリコン(Si)の含有率が前記第4領域におけるシリコン(Si)の含有率よりも低い
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
第1領域及び第2領域を備える基板と、
前記第1領域に設けられ、前記基板の表面と交差する第1方向に交互に並ぶ複数の導電層及び複数の層間絶縁層と、
前記第1領域に設けられ、前記第1方向に延伸し、前記複数の導電層に対向する半導体層と、
前記第1領域に設けられ、前記複数の導電層と前記半導体層との間に設けられたゲート絶縁膜と、
前記第2領域に設けられ、前記複数の導電層に対応して前記第1方向に並ぶ複数の第1絶縁層と、
前記第2領域に設けられ、前記複数の層間絶縁層に対応して前記第1方向に並ぶ複数の第2絶縁層と、
前記第2領域に設けられ、前記複数の第1絶縁層のうちの一つと、前記複数の第2絶縁層のうちの一つと、の間に設けられ、シリコン(Si)を含むシリコン層と
を備える半導体記憶装置。
【請求項4】
第1方向に交互に並ぶ複数の第1絶縁層及び複数の層間絶縁層と、
前記複数の第1絶縁層のうちの一つと、前記複数の層間絶縁層のうちの一つと、の間に設けられ、シリコン(Si)を含むシリコン層と
を含む積層構造を形成し、
前記積層構造を貫通する第1の貫通孔を形成し、
前記第1の貫通孔の内部にゲート絶縁膜及び前記第1方向に延伸する半導体層を形成し、
前記積層構造を貫通する第2の貫通孔を形成し、
前記第2の貫通孔を介して、前記複数の第1絶縁層を除去して、前記ゲート絶縁膜の少なくとも一部と、前記シリコン層の少なくとも一部と、を露出させ、
前記第2の貫通孔を介して、前記ゲート絶縁膜の少なくとも一部及び前記シリコン層の少なくとも一部にハロゲン化金属を供給して、前記ゲート絶縁膜を介して前記半導体層に対向する複数の導電層を形成する
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1絶縁層は窒素(N)及びシリコン(Si)を含み、
前記層間絶縁層は酸素(O)及びシリコン(Si)を含む
請求項4記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項6】
前記ハロゲン化金属は、
タングステン(W)又はモリブデン(Mo)と、
フッ素(F)、塩素(Cl)又は臭素(Br)と
を含む請求項4又は5記載の半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1方向に交互に並ぶ複数の導電層及び複数の層間絶縁層と、第1方向に延伸し複数の導電層に対向する半導体層と、複数の導電層と半導体層との間に設けられたゲート絶縁層と、を備える半導体記憶装置が知られている。ゲート絶縁層は、例えば、窒化シリコン(Si)等の絶縁性の電荷蓄積層やフローティングゲート等の導電性の電荷蓄積層等の、データを記憶可能なメモリ部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第9780116号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に動作する半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に交互に並ぶ複数の導電層及び複数の層間絶縁層と、第1方向に延伸し複数の導電層に対向する半導体層と、複数の導電層と半導体層との間に設けられたゲート絶縁膜と、を備える。複数の層間絶縁層は、第1方向において隣り合う第1層間絶縁層及び第2層間絶縁層を含む。複数の導電層は、第1層間絶縁層及び第2層間絶縁層の間に設けられた第1導電層を含む。第1導電層は、第1領域と、第1領域とゲート絶縁膜との間に設けられた第2領域と、第1領域と第1層間絶縁層との間に設けられた第3領域と、を備える。第1領域~第3領域は金属を含む。第3領域はシリコン(Si)を含む。第1領域及び第2領域はシリコン(Si)を含まず、又は、第1領域及び第2領域におけるシリコン(Si)の含有率が第3領域におけるシリコン(Si)の含有率よりも低い。
【0006】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1領域及び第2領域を備える基板を備える。また、この半導体記憶装置は、第1領域に設けられた、複数の導電層及び複数の層間絶縁層と、半導体層と、ゲート絶縁膜と、を備える。複数の導電層及び複数の層間絶縁層は、基板の表面と交差する第1方向に交互に並ぶ。半導体層は、第1方向に延伸し、複数の導電層に対向する。ゲート絶縁膜は、複数の導電層と半導体層との間に設けられている。また、この半導体記憶装置は、第2領域に設けられた、複数の第1絶縁層と、複数の第2絶縁層と、シリコン層と、を備える。複数の第1絶縁層は、複数の導電層に対応して第1方向に並ぶ。複数の第2絶縁層は、複数の層間絶縁層に対応して第1方向に並ぶ。シリコン層は、複数の第1絶縁層のうちの一つと、複数の第2絶縁層のうちの一つと、の間に設けられ、シリコン(Si)を含む。
【0007】
一の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法では、積層構造を形成する。この積層構造は、第1方向に交互に並ぶ複数の第1絶縁層及び複数の層間絶縁層と、シリコン層と、を含む。このシリコン層は、複数の第1絶縁層のうちの一つと、複数の層間絶縁層のうちの一つと、の間に設けられ、シリコン(Si)を含む。また、この製造方法では、積層構造を貫通する第1の貫通孔を形成し、第1の貫通孔の内部にゲート絶縁膜及び第1方向に延伸する半導体層を形成し、積層構造を貫通する第2の貫通孔を形成する。また、第2の貫通孔を介して、複数の第1絶縁層を除去して、ゲート絶縁膜の少なくとも一部と、シリコン層の少なくとも一部と、を露出させる。また、第2の貫通孔を介して、ゲート絶縁膜の少なくとも一部及びシリコン層の少なくとも一部にハロゲン化金属を供給して、ゲート絶縁膜を介して半導体層に対向する複数の導電層を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な平面図である。
図2図1のAで示した部分の模式的な拡大図である。
図3図2のBで示した部分の模式的な拡大図である。
図4図3のCで示した部分の模式的な拡大図である。
図5図4に示す構造をD-D´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
図6図5のEで示した部分の模式的な拡大図である。
図7図6に示す構造のF-F´線に沿った部分に含まれる成分の含有率を示す模式的なグラフである。
図8図6に示す構造のG-G´線に沿った部分に含まれる成分の含有率を示す模式的なグラフである。
図9図3に示す構造をH-H´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
図10図9のIで示した部分の模式的な拡大図である。
図11図2のJで示した部分の模式的な拡大図である。
図12図11に示す構造をK-K´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
図13図1のLで示した部分の模式的な拡大図である。
図14図13のMで示した部分の模式的な拡大図である。
図15】第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図16】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図17】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図18】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図19】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図20】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図21】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図22】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図23】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図24】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図25】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図26】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図27】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図28】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図29】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図30】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図31】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図32】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図33】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図34】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図35】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図36】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図37】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図38】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図39】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図40】比較例に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図41】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図42】比較例に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
図43】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
図44】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図45】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図46】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図47】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図48】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の一部に含まれる成分の含有率を示す模式的なグラフである。
図49】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の一部に含まれる成分の含有率を示す模式的なグラフである。
図50】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の一部に含まれる成分の含有率を示す模式的なグラフである。
図51】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
図52】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
図53】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
図54】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0010】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントローラダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0011】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0012】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0013】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0014】
また、本明細書において、構成、部材等について、所定方向の「幅」、「長さ」又は「厚み」等と言った場合には、SEM(Scanning electronmicroscopy)やTEM(Transmissionelectron microscopy)等によって観察された断面等における幅、長さ又は厚み等を意味することがある。
【0015】
また、本明細書において「含有率」と言った場合には、ある部材を構成する原子の数の比率を意味する事がある。
【0016】
[第1実施形態]
[構成]
図1は、メモリダイMDの模式的な平面図である。図2は、図1のAで示した部分の模式的な拡大図である。図3は、図2のBで示した部分の模式的な拡大図である。図4は、図3のCで示した部分の模式的な拡大図である。図5は、図4に示す構造をD-D´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。図6は、図5のEで示した部分の模式的な拡大図である。図7は、図6に示す構造のF-F´線に沿った部分に含まれる成分の含有率を示す模式的なグラフである。図8は、図6に示す構造のG-G´線に沿った部分に含まれる成分の含有率を示す模式的なグラフである。図9は、図3に示す構造をH-H´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。図10は、図9のIで示した部分の模式的な拡大図である。図11は、図2のJで示した部分の模式的な拡大図である。図12は、図11に示す構造をK-K´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。図13は、図1のLで示した部分の模式的な拡大図である。図14は、図13のMで示した部分の模式的な拡大図である。
【0017】
メモリダイMDは、例えば図1に示す様に、半導体基板100を備える。半導体基板100は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)からなる半導体基板である。
【0018】
図示の例において、半導体基板100にはX方向及びY方向に並ぶ4つのメモリセルアレイ領域RMCAが設けられる。また、メモリセルアレイ領域RMCAには、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKが設けられている。メモリブロックBLKは、例えば図3に示す様に、Y方向に並ぶ複数のストリングユニットSUを備える。Y方向において隣り合う2つのメモリブロックBLKの間には、酸化シリコン(SiO)等のブロック間絶縁層STが設けられる。例えば図4に示す様に、Y方向において隣り合う2つのストリングユニットSUの間には、酸化シリコン(SiO)等のストリングユニット間絶縁層SHEが設けられる。
【0019】
また、メモリセルアレイ領域RMCAは、例えば図1に示す様に、X方向に並ぶ複数のメモリホール領域RMHと、これらメモリホール領域RMHの間に設けられた複数のコンタクト接続領域RC4Tと、を備える。また、メモリセルアレイ領域RMCAのX方向の中央位置には、X方向に並ぶ2つの第1フックアップ領域RHU1と、これら2つの第1フックアップ領域RHU1の間に設けられた第2フックアップ領域RHU2と、が設けられている。また、メモリセルアレイ領域RMCAのY方向の一端部には、X方向に並ぶ複数のメモリホール領域RMHに対応してX方向に並ぶ複数のコンタクト接続領域RBLTが設けられている。
【0020】
[メモリホール領域RMHの構造]
メモリブロックBLKのメモリホール領域RMHは、例えば図5に示す様に、Z方向に並ぶ複数の導電層110と、Z方向に延伸する複数の半導体層120と、複数の導電層110及び複数の半導体層120の間にそれぞれ設けられた複数のゲート絶縁膜130と、を備える。
【0021】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層である。一部の導電層110は、例えば、メモリセル(メモリトランジスタ)のゲート電極及びワード線として機能する。一部の導電層110は、例えば、選択トランジスタのゲート電極及び選択ゲート線として機能する。Z方向に並ぶ複数の導電層110の間には、酸化シリコン(SiO)等の層間絶縁層101が設けられている。
【0022】
導電層110は、例えば、タングステン(W)又はモリブデン(Mo)等の金属と、シリコン(Si)と、を含んでいても良い。例えば、図6には、導電層110のYZ断面における中心近傍の領域を領域RWL1と示している。また、導電層110のゲート絶縁膜130の近傍の領域を領域RWL2と示している。また、導電層110の下面近傍の領域を領域RWL3と示している。また、導電層110の上面近傍の領域を領域RWL4と示している。
【0023】
ここで、図7及び図8に示す様に、第1実施形態においては、領域RWL3におけるタングステン(W)の含有率が、領域RWL1,RWL2,RWL4におけるタングステン(W)の含有率よりも低い。また、領域RWL3におけるシリコン(Si)の含有率が、領域RWL1,RWL2,RWL4におけるシリコン(Si)の含有率よりも高い。
【0024】
尚、図示の例では、領域RWL3におけるシリコン(Si)の含有率が、領域RWL1におけるシリコン(Si)の含有率よりも高い。この様な場合、領域RWL3と領域RWL1との境界は、例えば、次の様な方法で規定しても良い。即ち、図6のF-F´線に沿って導電層110の成分を分析する。次に、領域RWL3におけるシリコン(Si)の含有率の最大値を取得する。また、領域RWL1におけるシリコン(Si)の含有率の最小値を取得する。また、取得した最大値と最小値との平均値を取得する。また、図6のF-F´線上の点であって、シリコン(Si)の含有率が取得した平均値となる点を、領域RWL3と領域RWL1との境界とする。
【0025】
また、この様な場合、領域RWL2と領域RWL1との境界、及び、領域RWL4と領域RWL1との境界は、次の様な方法で規定しても良い。即ち、領域RWL3と領域RWL1との境界を上述の方法で規定し、この境界の位置から導電層110の下面までの距離を取得する。次に、導電層110の上面からこの距離だけ離れた位置を、領域RWL4と領域RWL1との境界とする。また、導電層110のゲート絶縁膜130との接触面からこの距離だけ離れた位置を、領域RWL2と領域RWL1との境界とする。
【0026】
尚、この様な方法は、領域RWL4におけるシリコン(Si)の含有率が、領域RWL1,RWL2におけるシリコン(Si)の含有率よりも高い場合にも適用可能である。
【0027】
導電層110の下方には、例えば図5に示す様に、半導体層112が設けられている。半導体層112は、例えば、ソース線の一部として機能する。半導体層112は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。半導体層112及び導電層110の間には、酸化シリコン(SiO)等の層間絶縁層101が設けられている。
【0028】
半導体層120は、例えば図4に示す様に、X方向及びY方向に所定のパターンで並ぶ。半導体層120は、Z方向に並ぶ複数のメモリセル(メモリトランジスタ)及び選択トランジスタのチャネル領域として機能する。半導体層120は、例えば、多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体層120は、例えば図5に示す様に、略円筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン等の絶縁層125が設けられている。
【0029】
半導体層120は、半導体領域120と、これよりも上方に設けられた半導体領域120と、を備える。また、半導体層120は、半導体領域120の上端及び半導体領域120の下端に接続された半導体領域120と、半導体領域120の下端に接続された不純物領域122と、半導体領域120の上端に接続された不純物領域121と、を備える。
【0030】
半導体領域120は、Z方向に延伸する略円筒状の領域である。半導体領域120の外周面は、それぞれ、複数の導電層110によって囲まれており、これら複数の導電層110と対向している。
【0031】
半導体領域120は、Z方向に延伸する略円筒状の領域である。半導体領域120の外周面は、それぞれ複数の導電層110によって囲まれており、これら複数の導電層110と対向している。
【0032】
半導体領域120は、半導体領域120と対向する複数の導電層110よりも上方に設けられている。また、半導体領域120は、半導体領域120と対向する複数の導電層110よりも下方に設けられている。半導体領域120のX方向及びY方向の幅は、半導体領域120のX方向及びY方向の幅、及び、半導体領域120のX方向及びY方向の幅よりも大きい。
【0033】
不純物領域122は、上記半導体層112に接続されている。図5の例では、半導体領域120の下端部と不純物領域122の上端部との境界線を、破線によって示している。不純物領域122は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含む。
【0034】
不純物領域121は、例えば、リン(P)等のN型の不純物を含む。図5の例では、半導体領域120の上端部と不純物領域121の下端部との境界線を、破線によって示している。不純物領域121は、コンタクトCh及びコンタクトVy(図4)を介してビット線BLに接続される。
【0035】
ゲート絶縁膜130は、半導体層120の外周面を覆う略有底円筒状の形状を有する。ゲート絶縁膜130は、例えば図6に示す様に、半導体層120及び導電層110の間に積層されたトンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、ブロック絶縁膜133及び高誘電率絶縁膜134を備える。トンネル絶縁膜131及びブロック絶縁膜133は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁膜である。電荷蓄積膜132は、例えば、窒化シリコン(Si)等の電荷を蓄積可能な膜である。高誘電率絶縁膜134は、例えば、アルミナ(Al)等の金属酸化膜である。トンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、ブロック絶縁膜133及び高誘電率絶縁膜134は略円筒状の形状を有し、半導体層120と半導体層112との接触部を除く半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。
【0036】
[コンタクト接続領域RC4Tの構造]
メモリブロックBLKのコンタクト接続領域RC4Tは、例えば図3に示す様に、Y方向に並ぶ2つの絶縁層OSTを備える。また、これら2つの絶縁層OSTの間には、コンタクト接続小領域rC4Tが設けられている。また、ブロック間絶縁層STと絶縁層OSTとの間には、導電層接続小領域r110が設けられている。これらの領域は、ブロック間絶縁層STに沿ってX方向に延伸する。
【0037】
絶縁層OSTは、例えば図9に示す様に、Z方向に延伸し、下端において半導体層112に接続されている。絶縁層OSTは、例えば酸化シリコン(SiO)を含む。
【0038】
コンタクト接続小領域rC4Tは、複数の導電層110に対応してZ方向に並ぶ複数の絶縁層110Aと、Z方向に延伸する複数のコンタクトC4aと、を備える。
【0039】
絶縁層110Aは、X方向に延伸する略板状の絶縁層である。絶縁層110Aは、窒化シリコン(SiN)等の絶縁層を含んでいても良い。Z方向に並ぶ複数の絶縁層110Aの間には、酸化シリコン(SiO)等の層間絶縁層101が設けられている。また、図10に示す様に、絶縁層110Aの下面と層間絶縁層101の上面との間には、それぞれ、シリコン(Si)を含むシリコン層110Bが設けられている。
【0040】
絶縁層110A(図10)は、例えば、図6を参照して説明した導電層110の領域RWL1,RWL4に対応する高さ位置に設けられている。シリコン層110B(図10)は、例えば、図6を参照して説明した導電層110の領域RWL3に対応する高さ位置に設けられている。コンタクト接続領域RC4T中の層間絶縁層101は、例えば、メモリホール領域RMH中の層間絶縁層101に対応する高さ位置に設けられている。
【0041】
コンタクトC4aは、例えば図2に示す様に、X方向に複数並んでいる。コンタクトC4aは、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。コンタクトC4aの外周面は、それぞれ絶縁層110A及び層間絶縁層101によって囲まれている。
【0042】
例えば図10に示す様に、コンタクトC4aと絶縁層110Aとの間には、絶縁層110Cが設けられている。また、コンタクトC4aとシリコン層110Bとの間には、絶縁層110Dが設けられている。絶縁層110C,110Dは、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。絶縁層110C,110Dは、それぞれ、絶縁層110A、シリコン層110Bに対応する高さ位置に設けられている。
【0043】
導電層接続小領域r110は、例えば図3に示す様に、導電層110の幅狭部110C4Tを備える。例えば図2に示す様に、X方向において隣り合う2つのメモリホール領域RMHに含まれる複数の導電層110は、この幅狭部110C4Tを介してお互いに導通している。
【0044】
[コンタクト接続領域RBLTの構造]
コンタクト接続領域RBLTは、例えば図12に示す様に、複数の導電層110に対応してZ方向に並ぶ複数の絶縁層110Aと、Z方向に延伸する複数のコンタクトC4bと、を備える。
【0045】
コンタクト接続領域RBLTにおいては、コンタクト接続小領域rC4Tと同様に、導電層110の領域RWL1,RWL4に対応する高さ位置に絶縁層110Aが設けられている。また、導電層110の領域RWL3に対応する高さ位置にシリコン層110Bが設けられている。また、コンタクト接続領域RBLT中の層間絶縁層101は、例えば、メモリホール領域RMH中の層間絶縁層101に対応する高さ位置に設けられている。
【0046】
コンタクトC4bは、例えば図11に示す様に、X方向及びY方向に複数並んでいる。コンタクトC4bは、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。コンタクトC4bの外周面は、それぞれ絶縁層110A及び層間絶縁層101によって囲まれている。
【0047】
コンタクトC4bと絶縁層110Aとの間には、図10を参照して説明した様な絶縁層110Cが設けられている。また、コンタクトC4bとシリコン層110Bとの間には、図10を参照して説明した様な絶縁層110Dが設けられている。絶縁層110C,110Dは、それぞれ、絶縁層110A、シリコン層110Bに対応する高さ位置に設けられている。
【0048】
[第1フックアップ領域RHU1の構造]
メモリブロックBLKの第1フックアップ領域RHU1は、図13に示す様に、コンタクト接続小領域rCC1を備える。また、一部のメモリブロックBLKの第1フックアップ領域RHU1は、上述した様なコンタクト接続小領域rC4Tを備える。
【0049】
図14に示す様に、コンタクト接続小領域rCC1は、複数の導電層110のX方向における端部を備える。また、コンタクト接続小領域rCC1には、Z方向から見てマトリクス状に並ぶ複数のコンタクトCCが設けられている。これら複数のコンタクトCCは、導電層110と接続されている。また、これら複数のコンタクトCCは、第1フックアップ領域RHU1中のコンタクトC4aを介して、半導体基板100の上面に設けられたトランジスタに電気的に接続される。
【0050】
また、第1フックアップ領域RHU1には、コンタクトCCの近傍に設けられた支持構造HRが設けられている。支持構造HRは、例えば酸化シリコン(SiO)を含む。
【0051】
[第2フックアップ領域RHU2の構造]
メモリブロックBLKの第2フックアップ領域RHU2は、図13に示す様に、コンタクト接続小領域rCC2を備える。また、メモリブロックBLKは、上述した様なコンタクト接続小領域rC4Tを備える。
【0052】
コンタクト接続小領域rCC2は、複数の導電層110の一部を備える。また、コンタクト接続小領域rCC2には、X方向に並ぶ複数のコンタクトCCが設けられている。これら複数のコンタクトCCは、導電層110と接続されている。また、これら複数のコンタクトCCは、第2フックアップ領域RHU2中のコンタクトC4aを介して、半導体基板100の上面に設けられたトランジスタに電気的に接続される。
【0053】
また、図示は省略するものの、第2フックアップ領域RHU2にも、図14を参照して説明した様な支持構造HRが設けられている。
【0054】
[製造方法]
次に、図15図39を参照して、メモリダイMDの製造方法について説明する。図15図39は、メモリダイMDの製造方法を示す模式的な断面図である。尚、図15図25図28図33図35及び図37は、図5に対応する断面を示している。また、図26図27図34図36図38及び図39は、図9に対応する断面を示している。
【0055】
本実施形態に係るメモリダイMDの製造に際しては、例えば図15に示す様に、層間絶縁層101上に、シリコン等の半導体層112A、窒化シリコン等の犠牲層112B及びシリコン等の半導体層112Cを形成する。また、例えば、層間絶縁層101の形成、シリコン層110Bの形成及び絶縁層110Aの形成を、繰り返し実行する。この工程は、例えば、CVD(Chemical VaporDeposition)等の方法によって行われる。
【0056】
次に、例えば図16に示す様に、半導体層120に対応する位置に、複数のメモリホールLMHを形成する。メモリホールLMHは、Z方向に延伸し、層間絶縁層101及び絶縁層110A、半導体層112C及び犠牲層112Bを貫通し、半導体層112Aの上面を露出させる貫通孔である。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0057】
次に、例えば図17に示す様に、メモリホールLMHの内部に、アモルファスシリコン膜120Aを形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。尚、この工程では、アモルファスシリコン膜120Aの形成前に、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)等の絶縁膜を形成しても良い。
【0058】
次に、例えば図18に示す様に、メモリホールLMHの上端近傍に位置する部分を除去する。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0059】
次に、例えば図19に示す様に、最上層の層間絶縁層101の一部を除去し、メモリホールLMH上端の半径を拡大する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0060】
次に、例えば図20に示す様に、メモリホールLMHの上端近傍に、アモルファスシリコン膜120Aを形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0061】
次に、例えば図21に示す様に、図20を参照して説明した構造の上面に対して、層間絶縁層101の形成、シリコン層110Bの形成及び絶縁層110Aの形成を、繰り返し実行する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行われる。
【0062】
次に、例えば図22に示す様に、半導体層120に対応する位置に、複数のメモリホールUMHを形成する。このメモリホールUMHは、Z方向に延伸し、層間絶縁層101及び絶縁層110Aを貫通し、アモルファスシリコン膜120Aの上面を露出させる貫通孔である。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0063】
次に、例えば図23に示す様に、アモルファスシリコン膜120Aを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0064】
次に、例えば図24に示す様に、メモリホールLMH,UMHの内部に、ゲート絶縁膜130、半導体層120及び絶縁層125を形成する。この工程では、例えば、CVD等による成膜が行われ、メモリホールLMH,UMHの内部に、アモルファスシリコン膜が形成される。また、例えば、アニール処理等によって、このアモルファスシリコン膜の結晶構造を改質する。
【0065】
次に、例えば図25及び図26に示す様に、ブロック間絶縁層STに対応する位置に溝STA(貫通孔)を形成し、絶縁層OSTに対応する位置に溝OSTA(貫通孔)を形成する。溝STA,OSTAは、Z方向及びX方向に延伸し、層間絶縁層101、絶縁層110A及び半導体層112CをY方向に分断し、犠牲層112Bの上面を露出させる溝(貫通孔)である。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0066】
次に、例えば図27に示す様に、溝OSTAの内部に、絶縁層OSTを形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0067】
次に、例えば図28に示す様に、溝STAのY方向の側面に、窒化シリコン等の保護膜STBを形成する。この工程では、例えば、CVD等の方法によって溝STAのY方向の側面及び底面に、窒化シリコン等の絶縁膜が形成される。また、RIE等の方法によって、この絶縁膜のうち、溝STAの底面を覆う部分が除去される。
【0068】
次に、例えば図29及び図30に示す様に、犠牲層112B及びゲート絶縁膜130の一部を除去し、半導体層120の一部を露出させる。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行われる。
【0069】
次に、例えば図31に示す様に、半導体層112を形成する。この工程は、例えば、エピタキシャル成長等の方法によって行う。
【0070】
次に、例えば図32に示す様に、保護膜STBを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行われる。
【0071】
次に、例えば図33及び図34に示す様に、溝STAを介して絶縁層110Aを除去する。これにより、Z方向に配設された複数の層間絶縁層101と、この層間絶縁層101を支持するメモリホールLMH,UMH内の構造(半導体層120、ゲート絶縁膜130及び絶縁層125)を含む中空構造が形成される。また、層間絶縁層101の下面、シリコン層110Bの上面、及び、ゲート絶縁膜130の外周面の一部が露出する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0072】
尚、図34に示す様に、この工程では、コンタクト接続小領域rC4Tに絶縁層110Aが残存する。また、図示は省略するものの、コンタクト接続領域RBLTに絶縁層110Aが残存する(図12参照)。
【0073】
次に、例えば図35及び図36に示す様に、導電層110を形成する。この工程は、例えば、6フッ化タングステン(WF)、6塩化タングステン(WCl)、6臭化タングステン(WBr)、6フッ化モリブデン(MoF)、6塩化モリブデン(MoCl)、6臭化モリブデン(MoBr)等のハロゲン化金属を用いたCVD等の方法によって行う。例えば6フッ化タングステン(WF)を使用した場合、6フッ化タングステン(WF)とシリコン層110Bとの間で、2WF(気体)+3Si(固体)→2W(気体)+3SiF(気体)の化学反応が生じる。従って、層間絶縁層101の上面及び下面にタングステン(W)が固体として形成されると共に、シリコン(Si)及びフッ素(F)が気体として排出される。
【0074】
尚、本実施形態では、シリコン層110Bが、層間絶縁層101の上面に形成される。この様な方法では、導電層110の形成後においても、シリコン層110B中のシリコン(Si)が導電層110中に残存する場合がある。その結果、例えば図6図8を参照して説明した様に、導電層110の下面近傍の領域RWL3におけるシリコン(Si)の含有率が、導電層110の他の領域におけるシリコン(Si)の含有率よりも高くなる場合がある。
【0075】
次に、例えば図37に示す様に、溝STA内にブロック間絶縁層STを形成する。この工程は、例えば、CVD及びRIE等の方法によって行う。
【0076】
次に、例えば図38に示す様に、コンタクトC4aに対応する位置に、コンタクトホールCHを形成する。また、図示は省略するものの、コンタクトC4bに対応する位置にも、コンタクトホールCHを形成する。コンタクトホールCHは、Z方向に延伸し、層間絶縁層101、絶縁層110A及びシリコン層110Bを貫通する貫通孔である。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0077】
次に、例えば図39に示す様に、コンタクトホールCHの内周面に、絶縁層110C,110Dを形成する。この工程は、例えば、酸化処理によって行っても良い。また、この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって絶縁層110A及びシリコン層110Bの一部を選択的に除去し、これらが除去された部分にCVD等の方法によって絶縁層を形成しても良い。
【0078】
次に、例えば図9及び図12に示す様に、コンタクトホールCHの内部にコンタクトC4a,C4bを形成する。この工程は、例えば、CVD及びRIE等の方法によって行う。
【0079】
その後、配線等を形成し、ダイシングによってウェハを分断することにより、メモリダイMDが形成される。
【0080】
[比較例]
次に、図40及び図41を参照して、比較例に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。図40及び図41は、同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0081】
比較例に係る半導体記憶装置の製造方法では、図15に対応する工程において、図40に示す様に、シリコン層110Bを形成しない。また、図21に対応する工程において、図41に示す様に、シリコン層110Bを形成しない。
【0082】
比較例に係る半導体記憶装置の製造法では、図35及び図36に対応する工程において、導電層110を形成する。この工程は、例えば、6フッ化タングステン(WF)等のハロゲン化金属を用いたCVD等の方法によって行う。この様な方法によって導電層110を形成した場合、導電層110中に、フッ素(F)が残存してしまう場合がある。
【0083】
ここで、導電層110中のフッ素(F)は、その後の熱工程において他の構成中に拡散し、絶縁膜、例えば酸化シリコン(SiO)を除去してしまう場合がある。
【0084】
例えば、図42の例では、導電層110中のフッ素(F)が高誘電率絶縁膜134を経由してブロック絶縁膜133に到達し、ブロック絶縁膜133の一部が除去されて、空隙Vが形成されている。この様な場合、半導体層120と導電層110との間で、リーク電流が発生してしまう場合がある。
【0085】
また、例えば、図43の例では、導電層110中のフッ素(F)が層間絶縁層101に到達し、層間絶縁層101の一部が除去されて、空隙Vが形成されている。この様な場合、Z方向において隣り合う2つの導電層110の間で、リーク電流が発生してしまう場合がある。
【0086】
[効果]
本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法では、図15を参照して説明した工程、及び、図21を参照して説明した工程において、シリコン層110Bを形成している。これにより、上述の通り、図35及び図36に対応する工程においてフッ素(F)等を好適に輩出して、上述の様なリーク電流の発生を抑制することが出来る。
【0087】
また、この様な方法によって製造された半導体記憶装置においては、例えば図6図8を参照して説明した様に、導電層110中にシリコン(Si)が含まれる場合がある。
【0088】
ここで、導電層110におけるシリコン(Si)の含有率が高くなってしまうと、導電層110の抵抗率が高くなってしまう場合がある。従って、例えば、導電層110のYZ断面における領域RWL1図6)におけるシリコン(Si)の含有率が高くなってしまうと、導電層110の充放電に要する時間が増大してしまう場合がある。また、例えば、導電層110のゲート絶縁膜130の近傍の領域RWL2図6)におけるシリコン(Si)の含有率が高くなってしまうと、ゲート絶縁膜130に好適に電界を供給出来ない場合がある。
【0089】
ここで、上述の通り、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法においては、シリコン層110Bが、層間絶縁層101の上面に設けられ、例えば、ゲート絶縁膜130の外周面等には設けられない。これにより、導電層110のYZ断面における中心近傍の領域RWL1、及び、導電層110のゲート絶縁膜130の近傍の領域RWL2にシリコン(Si)を含ませず、又は、これらの領域RWL1,RWL2におけるシリコン(Si)の含有率を、他の領域におけるシリコン(Si)の含有率よりも低くすることが可能である。従って、上述の様なリーク電流の発生を抑制しつつ、好適に動作する半導体記憶装置を提供することが可能である。
【0090】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態に係る半導体記憶装置及びその製造方法について説明した。しかしながら、第1実施形態に係る半導体記憶装置及びその製造方法はあくまでも例示であり、具体的な構成、方法等は適宜調整可能である。
【0091】
例えば、第1実施形態においては、図15を参照して説明した工程、及び、図21を参照して説明した工程において、層間絶縁層101の上面及び絶縁層110Aの下面と接する位置に、シリコン層110Bを形成していた。しかしながら、これらの工程では、例えば図44に例示する様に、層間絶縁層101の下面及び絶縁層110Aの上面と接する位置に、シリコン層110Bを形成することも可能である。また、例えば図45に例示する様に、層間絶縁層101の上面及び絶縁層110Aの下面と接する位置と、層間絶縁層101の下面及び絶縁層110Aの上面と接する位置と、の双方に、シリコン層110Bを形成することも可能である。
【0092】
また、例えば、以上の例では、図15を参照して説明した工程、及び、図21を参照して説明した工程において、全ての絶縁層110Aの上面及び下面の少なくとも一方に、シリコン層110Bを形成していた。しかしながら、これらの工程では、例えば図46及び図47に例示する様に、一部の絶縁層110Aの上面のみ、一部の絶縁層110Aの下面のみ、又は、一部の絶縁層110Aの上下面のみに、シリコン層110Bを形成することも可能である。
【0093】
尚、図46及び図47では、シリコン層110Bが設けられた絶縁層110Aを絶縁層110Aaと、シリコン層110Bが設けられていない絶縁層110Aを絶縁層110Abとして示している。
【0094】
また、この様な場合には、例えば図46に例示する様に、絶縁層110Aaとシリコン層110BとのZ方向における厚みの合計が、絶縁層110AbのZ方向における厚みと同程度となる様に、絶縁層110AのZ方向における厚みを調整しても良い。また、例えば図47に例示する様に、絶縁層110AaのZ方向における厚みが、絶縁層110AbのZ方向における厚みと同程度となる様に、絶縁層110AのZ方向における厚みを調整しても良い。
【0095】
尚、第1実施形態においては、上述の様に、シリコン層110Bが層間絶縁層101の上面に形成されていた。その結果、例えば図6図8を参照して説明した様に、導電層110の下面近傍の領域RWL3におけるシリコン(Si)の含有率が、導電層110の他の領域におけるシリコン(Si)の含有率よりも高くなる場合があった。
【0096】
ここで、例えば図44を参照して説明した様に、シリコン層110Bが層間絶縁層101の下面に形成された場合には、例えば図6図8及び図48に示す様に、導電層110の上面近傍の領域RWL4におけるシリコン(Si)の含有率が、導電層110の他の領域におけるシリコン(Si)の含有率よりも高くなる場合がある。
【0097】
同様に、例えば図45を参照して説明した様に、シリコン層110Bが層間絶縁層101の上下面に形成された場合には、例えば図6図8及び図49に示す様に、導電層110の下面近傍の領域RWL3におけるシリコン(Si)の含有率、及び、導電層110の上面近傍の領域RWL4におけるシリコン(Si)の含有率が、導電層110の他の領域におけるシリコン(Si)の含有率よりも高くなる場合がある。
【0098】
また、例えば図46及び図47を参照して説明した様な方法を採用した場合、絶縁層110Aaに対応する導電層110(以下、「導電層110a」と呼ぶ。)におけるシリコン(Si)の含有率の分布は、図6及び図8と、図7図48又は図49と、を参照して説明した様な分布となる場合がある。一方、絶縁層110Abに対応する導電層110(以下、「導電層110b」と呼ぶ。)におけるシリコン(Si)の含有率の分布は、図6図8及び図50に示す様な分布となる場合がある。即ち、導電層110bにはシリコン(Si)が含まれない場合がある。また、導電層110bの領域RWL3,RWL4におけるシリコン(Si)の含有率が、導電層110aの領域RWL3,RWL4におけるシリコン(Si)の含有率よりも低くなる場合がある。
【0099】
また、上述の通り、メモリホール領域RMHに設けられた絶縁層110Aは、図33及び図34を参照して説明した工程において除去される。また、メモリホール領域RMHに設けられたシリコン層110Bは、図35及び図36を参照して説明した工程において、化学反応によって気体となって排出されるか、導電層110に含まれることとなる。一方、上述の通り、コンタクト接続小領域rC4T及びコンタクト接続領域RBLTでは、絶縁層110A及びシリコン層110Bが除去されずに残存する。
【0100】
従って、例えば、図45を参照して説明した様に、絶縁層110Aの上下面にシリコン層110Bを形成した場合には、例えば図51及び図52に例示する様に、コンタクト接続小領域rC4T及びコンタクト接続領域RBLTに、この様な構造が残存することとなる。図44図46又は図47を参照して説明した様な方法を採用した場合も同様である。
【0101】
また、例えば図46を参照して説明した様に、絶縁層110Aaとシリコン層110BとのZ方向における厚みの合計が、絶縁層110AbのZ方向における厚みと同程度となる様に、絶縁層110AのZ方向における厚みを調整した場合、例えば図53に例示する様に、これら絶縁層110Aa,110Abに対応する導電層110a,110bのZ方向における厚みも、同程度となる。
【0102】
一方、例えば図47を参照して説明した様に、絶縁層110AaのZ方向における厚みが、絶縁層110AbのZ方向における厚みと同程度となる様に、絶縁層110AのZ方向における厚みを調整した場合、例えば図54に例示する様に、絶縁層110Aaに対応する導電層110aのZ方向における厚みが、絶縁層110Abに対応する導電層110bのZ方向における厚みよりも大きくなる。
【0103】
尚、以上の例では、絶縁層110A及びシリコン層110Bが最終構造において残存する領域として、コンタクト接続小領域rC4T及びコンタクト接続領域RBLTを例示した。しかしながら、これらの領域はあくまでも例示に過ぎず、絶縁層110A及びシリコン層110Bが最終構造に残存する領域は、メモリダイMD中のどの領域であっても良い。また、メモリダイMDは、この様な、絶縁層110A及びシリコン層110Bが最終構造において残存する領域を備えていなくても良い。
【0104】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
100…半導体基板、101…層間絶縁層、110…導電層、110A…絶縁層、110B…シリコン層、120…半導体層、130…ゲート絶縁膜、RWL1~RWL4…領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図11
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