(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146827
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】孔形成方法及び孔形成装置
(51)【国際特許分類】
B23B 35/00 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
B23B35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021080041
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】520314098
【氏名又は名称】田中 冨美雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 冨美雄
【テーマコード(参考)】
3C036
【Fターム(参考)】
3C036AA00
(57)【要約】
【課題】第1面と、第1面と対向する第2面を有するワークに、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成する孔形成方法を提供する。
【解決手段】孔形成方法は、第1面10aと、第1面10aと対向する第2面10bを有するワーク10に孔20を形成するツール1と、ワーク10の中心を通る中心線Cと、が所定角度になる状態とし、ワーク10の第1面10aにおいて、中心線Cから所定寸法離れた位置に、ツール1により孔20を形成する開始位置Sを設定し、ツール1を駆動させてから、ワーク10を回転させることで、ワーク10に、第1面10aから第2面10bに向かって円弧形状に延びる孔20を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と対向する第2面を有するワークに、前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成する孔形成方法であって、
前記ワークに前記孔を形成するツールと、前記ワークの中心を通る中心線と、が所定角度になる状態とし、
前記ワークの前記第1面において、前記中心線から所定寸法離れた位置に、前記ツールにより前記孔を形成する開始位置を設定し、
前記ツールを駆動させてから、前記ワークを回転させることを特徴とする孔形成方法。
【請求項2】
前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる前記孔を、前記ワークの内部まで形成した後に、
前記ワークを、前記第1面と前記第2面の位置を反転させ、
前記ワークの前記第2面において、前記孔の軌道の延長線上に、前記ツールにより前記孔を形成する開始位置を設定し、
前記ツールを駆動させてから、前記ワークを回転させ、前記第2面から前記第1面に向かって円弧形状に延び、前記ワークの内部において、前記孔と連通する逆孔を形成することを特徴とする請求項1に記載の孔形成方法。
【請求項3】
第1面と、前記第1面と対向する第2面を有するワークに、前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成する孔形成装置であって、
前記ワークを保持する保持部と、前記ワークに前記孔を形成するツールと、を備え、
前記ツールは、
前記ワークの中心を通る中心線に対して、所定角度となる状態で配置され、
前記ワークの前記第1面において、前記中心線から所定寸法離れた位置に、前記孔を形成する開始位置が設定され、
前記保持部は、前記ツールが駆動してから、前記ワークを回転させることを特徴とする孔形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔形成方法及び孔形成装置に関する。さらに詳細には、本発明は、第1面と、前記第1面と対向する第2面を有するワークに、前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成する孔形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の孔形成方法としては、例えば、特許文献1等で提案されているものが知られている。
特許文献1に開示された孔形成方法は、被加工材の貫通孔に対応するドリル径を有する孔あけドリルの先端部から貫通孔の長さよりも長く同一軸線上に延出され、かつ孔あけドリルよりも小径の小径案内軸を被加工材に貫通させる工程と、小径案内軸を回転保持具によって保持した状態で孔あけドリルの軸線上に沿って移動案内しながら孔あけドリルを前進させることで前記被加工材に貫通孔を孔あけ加工する工程と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された孔形成方法は、第1面と、第1面と対向する第2面を有するワークに、第1面から第2面に向かって直線的に延びる孔を形成できるものの、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成することはできない。
【0005】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、第1面と、第1面と対向する第2面を有するワークに、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成する孔形成方法及び孔形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る孔形成方法の構成は、
(1) 第1面と、前記第1面と対向する第2面を有するワークに、前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成する孔形成方法であって、
前記ワークに前記孔を形成するツールと、前記ワークの中心を通る中心線と、が所定角度になる状態とし、
前記ワークの前記第1面において、前記中心線から所定寸法離れた位置に、前記ツールにより前記孔を形成する開始位置を設定し、
前記ツールを駆動させてから、前記ワークを回転させることを特徴とする。
【0007】
本発明の孔形成方法の上記(1)の構成によれば、前記第1面と対向する第2面を有するワークに対して、ワークに孔を形成するツールと、ワークの中心を通る中心線と、が所定角度になる状態とし、ワークの第1面において、中心線から所定寸法離れた位置に、ツールにより孔を形成する開始位置を設定し、ツールを駆動させてから、ワークを回転させる。これにより、ワークに、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる孔が形成される。
従って、本発明の孔形成方法の上記(1)の構成によれば、第1面と、第1面と対向する第2面を有するワークに、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成する孔形成方法を提供することができる。
【0008】
本発明の孔形成方法の上記(1)の構成においては、以下の(2)のような構成にすることが好ましい。
【0009】
(2)前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる前記孔を、前記ワークの内部まで形成した後に、
前記ワークを、前記第1面と前記第2面の位置を反転させ、
前記ワークの前記第2面において、前記孔の軌道の延長線上に、前記ツールにより前記孔を形成する開始位置を設定し、
前記ツールを駆動させてから、前記ワークを前記中心線を中心に回転させ、前記第2面から前記第1面に向かって円弧形状に延び、前記ワークの内部において、前記孔と連通する逆孔を形成する。
【0010】
ここで、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成する場合、ワークの厚さ寸法(第1面から第2面までの距離)によっては、ツールの回転軸が、孔の内壁に当接し、第2面まで孔を形成できない場合がある。
【0011】
上記(2)の好ましい構成によれば、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる孔を、ワークの内部まで形成した後に、ワークを、第1面と第2面の位置を反転させ、ワークの第2面において、孔の軌道の延長線上に、ツールにより孔を形成する開始位置を設定し、ツールを駆動させてから、ワークを回転させ、第2面から第1面に向かって円弧形状に延び、ワークの内部において、孔と連通する逆孔を形成する。これにより、例えば、ワークの厚さ寸法(第1面から第2面までの距離)により、第1面から第2面まで孔を形成できない場合、ワークを、第1面と第2面の位置を反転させ、第2面から第1面に向かって逆孔を形成し、第1面から第2面に向かう孔と連通させる。
従って、本発明の孔形成方法の上記(2)の構成によれば、ワークの厚さ寸法(第1面から第2面までの距離)が比較的大きいワークに、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成する孔形成方法を提供することができる。
【0012】
前記目的を達成するため、本発明に係る孔形成装置の構成は、
(3) 第1面と、前記第1面と対向する第2面を有するワークに、前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成する孔形成装置であって、
前記ワークを保持する保持部と、前記ワークに前記孔を形成するツールと、を備え、
前記ツールは、
前記ワークの中心を通る中心線に対して、所定角度となる状態で配置され、
前記ワークの前記第1面において、前記中心線から所定寸法離れた位置に、前記孔を形成する開始位置が設定され、
前記保持部は、前記ツールが駆動してから、前記ワークを回転させることを特徴とする。
【0013】
本発明の孔形成装置の上記(3)の構成によれば、孔形成方法の上記(1)と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1面と、第1面と対向する第2面を有するワークに、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる孔を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態における孔形成方法により製造される製造物の構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態における孔形成方法の概要を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態における孔形成方法のフローを説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態における孔形成方法のステップS1及びステップS2が完了した状態を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態における孔形成方法のステップS3及びステップS4が完了した状態を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態における孔形成方法のステップS3及びステップS4が完了した状態を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態における孔形成方法のステップS5が完了した状態を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態における孔形成方法のステップS6を進めた状態を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態における孔形成方法のステップS6を、進めた後に、ワーク10を、第1面と第2面の位置を反転させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
[孔形成方法の概要]
まず、本発明の一実施形態における孔形成方法の概要について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態における孔形成方法により製造される製造物の構成を示す斜視図、
図2は、本発明の一実施形態における孔形成方法の概要を説明する図である。
【0019】
本実施形態の孔形成方法1は、第1面10aと対向する第2面10bを有するワーク10に、第1面10aから第2面10bに向かって円弧形状に延びる孔20を形成し、製造物100を製造する。
【0020】
製造物100は、外周が上面視で円形状に形成され、所定の厚さを有し、例えば、回転させることで、孔20に流体(気体や液体)を流通させるツール(例えば、切削用のツールヘッド等)や、孔20に流体(気体や液体)を流通させることで、回転力を得る回転体である。このような回転体は、回転力により、駆動力や電気を得る装置(例えば、エンジン、モータ、発電機等)に応用することができる。
【0021】
図2に示すように、本実施形態の孔形成方法1は、ワーク10に孔20を形成するツール1の回転軸TCと、ワーク10の中心を通る中心線Cと、が所定角度(例えば、35°等)になる状態とし、ワーク10の第1面10aにおいて、中心線Cから所定寸法離れた位置に、ツール1により孔20を形成する開始位置Sを設定し、ツール1を駆動させてから、ワーク10を回転させる。
これにより、ワーク10に、第1面10aから第2面10bに向かって円弧形状に延びる孔20を形成できる。
【0022】
本実施形態の孔形成方法1は、ワーク10を、中心線Cを回転の中心軸として回転させるとともに、中心線Cに沿って、ツール1の方向に移動させる。これにより、ツール1と、ワーク10の中心を通る中心線Cとの角度に応じた螺旋形状の(螺旋曲線Rを中心とする)孔20を形成することができる。
【0023】
[孔形成方法の詳細]
次に、本発明の一実施形態における孔形成方法の詳細について説明する。
図3は、本発明の一実施形態における孔形成方法のフローを説明する図である。
図4から
図9は、本発明の一実施形態における孔形成方法における各ステップの状態を説明する図である。
【0024】
本実施形態の孔形成方法を行う孔形成装置は、先端にビットが配置され、ビットを回転させるツール1と、ワーク10を保持し、回転及び移動させる保持部2と、ツール1と保持部2の駆動を制御する制御部(図示無し)と、を備える。孔形成装置は、例えば、5軸加工機で構成される。なお、本実施形態の説明では、ツール1は、回転ドリルであるが、公知のレーザ照射機としてもよい。また、保持部2は、回転・移動・傾斜可能なテーブルであるが、ツール1を移動できれば、回転・傾斜可能なテーブルであってもよい。また、保持部2は、ツール1を傾斜できれば、回転・移動可能なテーブルであってもよい。
【0025】
また、以下、一例として、半径が125mm、厚さ50mmの円板形状のワーク10に、ワーク10の中心から85mm離れた位置に、半径85mmで、中心を垂直方向に配置した場合に、水平方向に対して35°傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心とする、内径30mmの孔を、孔形成装置で形成する例について説明する。なお、ワークの形状・寸法、円孤形状孔の大きさ・位置、円弧の形状は、任意に設定することができる。また、ワークは、本実施形態では金属製としているが、これに限らず、ファインセラミックスでもよいし、木材でもよいし、樹脂素材でもよく、素材には限定されない。
【0026】
図4は、ステップS1及びステップS2が完了した状態を示している。
図4は、正面を水平方向から視た図である。
ステップS1では、ツール1をセットする。ツール1は、先端にビット1aが設けられ、ビット1aの回転軸TCが垂直に配置される。また、ビット1aは、円板形状の切削刃であり、その底面でワーク10を切削し、中心が、ワーク10の面方向の中心線Cから距離L離れた位置にセットされる。ビット1aの直径は、所望する孔20(
図2参照)の内径に応じた寸法(本説明例では、直径30mm)である。また、距離Lは、ワーク10における所望する孔20(
図2参照)位置に応じて決定され、本実施形態で説明する例では、ワーク10の中心から85mm離れた位置である。
【0027】
ステップS2では、ワーク10をセットする。ワーク10は、保持具2の回転軸と、ワーク10の面方向の中心とが一致するように、保持具2に固定される。そして、ワーク10は、保持具2を傾斜させることで、ツール1のビット1aの回転軸TCと、ワーク10の厚さ方向の中心を通る中心線WTCと、が所定角度になる状態に配置される。この状態で、保持具2又はツール1を、互いに近接する方向に移動し、ビット1aの端部が、ワーク10の第1面10aに当接させ、
図4に示す状態とする。なお、本実施形態では、ツール1の回転軸TCを垂直に配置し、保持具2(ワーク10)を傾斜させているが、保持具2(ワーク10)を水平に配置し、ツール1の回転軸TCを傾斜させることで、ツール1のビット1aの回転軸TCと、ワーク10の厚さ方向の中心を通る中心線WTCと、が所定角度になる状態に配置してもよい。
【0028】
ビット1aの回転軸TCに対するワーク10の中心線WTCの所定角度は、ワーク10に形成する、第1面10aから第2面10bに向かって円弧形状に延びる孔20の入射角となる。本実施形態で説明する例では、孔20を、水平方向に対して35°傾斜して延びる螺旋曲線R(
図2参照)を中心とする孔とするので、ビット1aの回転軸TCに対するワーク10の中心線WTCの所定角度α(後述する
図5参照)は、35°に設定される。
【0029】
ステップS3では、制御部(図示無し)は、ビット1aを回転軸TCを中心に回転させ、保持具2を、
図4に示す矢印方向に回転させることで、ワーク10を、中心線Cを中心に回転させる。本ステップから、ワーク10に対して孔20の形成が開始される。本実施形態で説明する例では、制御部(図示無し)は、保持具2(ワーク10)を回転させるとともに、保持具2又はツール1を、中心線Cに沿って、互いに近接する方向に移動することで、ビット1a側に保持具2(ワーク10)を移動する。
【0030】
図5及び
図6は、ステップS3及びステップS4が完了した状態を示している。
図5は、
図2に示す左方向から視た図である。
図6は、
図5に示す中心線Cの第1面10a側から視た図である。
ワーク10(保持具2)の回転量Aと、保持具2又はツール1の移動量Bと、の関係により、孔20の形状が決まる。本実施形態で説明する例では、孔20を、半径85mmで、水平方向に対して35°傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心とする孔とするので、回転量Aと、移動量Bと、の関係は、以下のとおりになる。
【0031】
螺旋曲線Rを、螺旋曲線Rが延びる方向から視た円周は、小数点第三位以下を四捨五入した値で534.07mm(直径170mm×円周率(約3.14))である。
螺旋曲線Rの高さは、小数点第三位以下を四捨五入した値で373.85mm(円周534mm×tan35°(約0.70))である。
以上より、移動量Bが1mmに対する回転量Aは、小数点第三位以下を四捨五入した値で1.43mm(534.07mm/373.85mm)である。
【0032】
ステップS4では、孔20の基準面20aを形成する。基準面20aを形成したら、ワーク10(保持具2)の回転と、保持具2又はツール1の移動を停止する。
【0033】
基準面20aは、ビット1aの底面で切削された面であり、螺旋曲線Rの延びる方向と直交する面である。ビット1aの底面で切削された面は、ビット1aの端部がワーク10に当接した後、ステップS3を開始することで、徐々に面積が大きくなり、ビット1aの底面全面がワーク10に当接した状態となると、予め設定された孔20の内径(ビット1aの底面の直径)と同じ直径となり、基準面20aとなる。
【0034】
なお、ステップS4における基準面20aの形成は、ワーク10の厚さに応じて省略してもよい。すなわち、後述するステップS5において、ビット1aからビット1bに交換しなくても、孔20を、ワーク10の第1面10aから第2面10bまで貫通させることができる場合には、ステップS4から後述するステップS6までを省略することができる。
【0035】
図7は、ステップS5が完了した状態を示している。
図7は、
図2に示す左方向から視た図である。
ステップS5では、保持具2又はツール1を移動させることで、ビット1aを基準面20aから離間させ、ツール1の円板形状の切削刃であるビット1aを、ビット1aと同じ直径である最大径部分から、先端中央に向かって外径が収束する円錐形状の切削刃であるビット1bに交換し、再び、保持具2又はツール1を移動させることで、ビット1bの先端を、基準面20aの中心に当接させる。これにより、
図7に示す状態となる。
【0036】
ステップS6では、制御部(図示無し)は、ステップS3と同様に、ビット1aを回転軸TCを中心に回転させ、ワーク10を回転させるとともに、保持具2又はツール1を、中心線Cに沿って、互いに近接する方向に移動することで、ビット1a側にワーク10を移動する。
【0037】
図8は、ステップS6を進めた状態を示している。
図8は、
図7に示す中心線Cの第1面10a側から視た図である。
ステップS6を進めた場合、ワーク10の厚さによっては、孔20が、第1面10aから第2面10bに貫通する前に、
図8に示すように、ツール1の軸1cが、孔20の側壁20bに当接してしまう場合がある。
【0038】
図9は、ステップS6を、進めた後に、ワーク10を、第1面10aと第2面10bの位置を反転させた状態を示している。
図9は、
図2に示す左方向から視た図である。このような場合、例えば、ワーク10の厚さ方向の中間位置まで、孔20を形成した後に、ワーク10を、第1面10aと第2面10bの位置を反転させ、第2面10bから第1面10aに向かって、ステップS1からステップS6を行う(以下、「反転工程」ともいう。)。なお、以下の説明において、上記の第1面10aから第2面10bに向かって孔20を形成する工程と同様の構成は、説明を省略又は簡略する。
【0039】
反転工程において、ステップS2では、ワーク10の第2面10bにおいて、第1面10aから第2面10bに向かって形成した孔20の軌道(
図9に示す例では、螺旋曲線R)の延長線上に、ツール1のビット1aにより孔20を形成する開始位置を設定する。その後、ステップS3からステップS6を行うことで、
図9に示すように、第2面10bから第1面10aに向かって円弧形状に延び、ワーク10の内部において、孔20と連通する逆孔21を形成する。なお、ワーク10の厚さによっては、孔20が、第1面10aから第2面10bに貫通する。この場合、反転工程は省略することができる。
【0040】
本実施形態の孔形成方法にあっては、ステップS3において、ワーク10を回転させるとともに、保持具2又はツール1を、中心線Cに沿って、互いに近接する方向に移動する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。ワーク10を回転させれば、保持具2又はツール1を、中心線Cに沿って、互いに近接する方向に移動させなくともよい。
【0041】
この場合、ツール1と、ワーク10の中心を通る中心線Cと、が所定角度(例えば、35°等)になる状態とし、ワーク10を、ツール1(例えば、直交方向)と直交する方向(例えば、水平方向)を中心軸として回転させれば、第1面10aから第2面10bに向かって円弧形状に延びる孔20を形成することができる。また、この場合、更に、制御部(図示無し)の制御により、ワーク10を、ワーク10の中心を中心点として回転させることで、円弧形状に延びる孔20を、螺旋形状に調整することもできる。
【符号の説明】
【0042】
1 ツール
1a ビット(円柱形状)
1b ビット(円錐形状)
1c 軸
2 保持具
10 ワーク
10a 第1面
10b 第2面
20 孔
20a 基準面
20b 側壁
21 逆孔
100 製造物